オムロンをご愛顧頂いています皆様へ ダイジェスト 2009/4/1 発行元: オムロン株式会社 セーフティ事業部 営業部 セーフティ・インフォメーション担当 ジャンル 規格関連情報 用語解説 豆知識 Q&A 労働安全 関連情報 掲 載 内 容 大規模製造業における安全管理の強化に係る緊急対策要綱の策定 韓国S-mark認証制度 JIS B 9700正式発行 新指令 2006/42/EC ISO13849-1が改定されました ISO13849シリーズ カテゴリ ISO13849シリーズ MTTFd ISO13849シリーズ DC ISO13849シリーズ CCF JIS B9960-1、JIS B9961の改定および新規発行 国際規格のJIS化 世界各国の主な規格と概要 リスクアセスメントを支援する科学的分析手法 (FMEA、FTA、What-if、HAZOP) リスクアセスメント 危険源 リスクの見積り リスクの評価 セーフティライトカーテンの機能・特徴 (相互干渉防止機能、 ミューティング機能、L字・コの字取り付け、 ブランキング機能) セーフティライトカーテン 安全距離 セーフティライトカーテン タイプ2/タイプ4 配線色 再起動防止制御とは? マニュアルリセットとオートリセットの違い インターロック装置の分類 メンテナンス時の安全制御の方法 セーフティスイッチ関連規格 ミラーコンタクトと強制ガイド機構の違い 非接触式セーフティドアスイッチの無効化防止機能 セーフティ・リレーユニットの仕組み 制御盤の設計において留意点を教えてください 装置可動部に作業者の体が挟まれないように設計したいのですが、 なにか基準になる値はありますか? 危険箇所に上半身が触れないように、安全ガードを設計したいのですが、 なにか基準にする規格はありますか? 安全回路のフィードバックは何をしているのですか? ロックアウトとタグアウトとは何ですか? 電磁ロックドアスイッチのロックモニタ接点を使う必要はありますか? セーフティリレーユニット/セーフティコントローラの故障検出機能とは どのようなものですか? 国内の安全基準の指針が改正されました 第11次労働災害防止計画が公示されました 危険・有害要因の特定、低減措置の推進 掲載ページ 掲載号 18 18 19 19 20 20 21 22 22 23 23 24 23 23 26 32 37 42 38 39 41 40 36 35 21、22、 23、24 30 30 31 34 25、26、 27、28 35 38 26 29 30 41 36 27 31 32 39 24 25 33 26 34 27 28 29 33 29 27 30 32 31 32 33 37 40 31 1 1 2 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11、12 13 13 14 15 16、17 規格関連情報 1 大規模製造業における安全管理の強化に係る 緊急対策要綱の策定 2004年5月21日現在 厚生労働省は、2003年夏以降にあいついだ大型労災事故を受け、経営トップに直接、安全管理を指導することなどを柱と する 「緊急対策要綱」をまとめました。これによると、指導対象は従業員300人以上が働く製造業の事業場とし、 自主点検の 対象とした事業場を主たる対象とする。また、各都道府県の労働局を通じ、管内の対象事業場の経営トップ等を召集し、安全 管理の徹底に向けた経営トップの役割と責務に重点を置いた集団指導を実施する。安全管理に特に問題が認められる事業 場には管轄する労働局職員による立ち入り調査も実施する。 としています。 平成16年3月16日 厚生労働省発表 大規模製造業における安全管理の強化に係る緊急対策要綱の概要 1 都道府県労働局幹部による経営トップに対する安全管理の徹底指導。 ①経営トップ等を対象とした集団指導。 ②繰り返し重大な災害を発生させるなど、安全管理に特に問題が 認められる事業場のトップ等に対する指導。 2 安全管理に問題のある事業場に対する重点的な個別指導。 ①事業場のトップによる安全衛生方針の表明。 ②安全委員会の活性化。 ③所属元の異なる労働者が混在している事業場における 関係者相互の確実な連絡調整の確保。 ④安全管理者に対する選任時等の教育の充実。 ⑤雇い入れ時、あるいは作業転換時などの労働者に対する安全教育の充実。 ⑥職場の危険箇所の特定・評価及びそれに基づく対策の徹底。 ⑦設備の適切な維持管理の確保。 お問い合わせ先 URL : http://www.mhlw.go.jp/topics/2004/03/tp0316-1.html →「04/03/16 大規模製造業における安全管理の 強化に係る緊急対策要綱の策定について」 「厚生労働省ホームページ (トップページ) 」 ( URL : http://www.mhlw.go.jp ) 韓国S-mark認証制度 2004年5月21日現在 韓国S-mark認証制度とは!? 韓国S-mark認証は、1997年11月より韓国産業安全衛生公団(KOSHA)が、労働災害を 削減する目的で制定した任意認証制度です。このS-mark認証は、産業安全保険法第34条2の規定に基づき製品の安全 性と信頼性および製造者の品質管理能力について韓国産業安全衛生公団(KOSHA) が審査を行い基準に満たしていると 判断されたものに対し発行される認証マ−クです。要求事項は安全面とEMC(EMI,EMS) に分かれており国際規格であ るISO/IEC規格がべ−スに作成されたKOSHA Codeがべ−スになります。また、連続的に生産される製品については工 場監査などの維持監査も要求されます。詳細情報は製品により要求内容が変わるため事前質問を提出の上、要求事項およ び適用規格に付いてKOSHAに確認することが必要になります。 お問い合わせ先 KOSHA URL: http://www.kosha.or.kr/english/index.jsp 日本窓口 テュフラインランドジャパン株式会社 URL: http://www.jpn.tuv.com TUV Rheinland Berlin-Brandenburg 規格関連情報 2 JIS B 9700正式発行 2005年2月23日現在 国際安全規格から国内安全規格へ 2003年11月ISO12100-1及び12100-2が国際規格として発行されましたが、2004年11月25日に JIS規格としてJIS B 9700-1:2004(ISO12100-1:2003) および JIS B 9700-2:2004(ISO12100-2: に位 2003)が制定されました。 今回制定されたJIS B 9700 は国際規格体系の中で基本安全規格(A規格) 置し、その適用範囲はA規格>B規格>C規格の関係となります。 この規格構成により,原則上あらゆる分野の 機械にもれなく適用されることとなり、日本の安全環境が変革の時を迎えました。 グループ安全規格(B規格) 広範囲の機械類で利用できるような安全、 又は安全装置を扱う規格 個別機械安全規格(C規格) 特定の機械に対する詳細な 安全要件を規定する規格 基本安全規格 A規格 グループ安全規格 基本安全規格(A規格) すべてに共通する基本概念や一般技術原則を扱う規則 ・基本概念、設計のための一般原則 (ISO 12100) JIS B 9700 ・リスクアセスメント規格 (ISO 14121)JIS B 9702 基本安全規格 JIS B 9700 機械類の安全性−設計のための基本概念, 一般原則 − 第1部 : 基本用語, 方法論 − 第2部 : 技術原則 日本工業規格 (J I S) 国際規格 備考 JIS B 9702 基本概念、 設計のための一般原則 ISO 第1部:基本用語、 方法論 基本概念、 設計のための一般原則 ISO 第2部:技術原則、 仕様 ISO リスクアセスメントの原則 JIS B 9960-1 機械の電気装置 IEC 60204-1 1999年制定 JIS B 9705-1 制御システムの安全関連部 第1部:設計のための一般原則 ISO 13849-1 2000年制定 JIS B 9707 上肢の安全距離 ISO 13852 2002年制定 JIS B 9708 下肢の安全距離 ISO 13853 2002年制定 JIS B 9704-1/2 電気的検知保護設備 IEC 61496-1/2 2000年制定 JIS B 9700-1 JIS B 9700-2 JIS B 9706-1/2/3 表示、マーキング及び作動 12100-1 2004年制定 12100-2 2004年制定 14121 2000年制定 IEC 61310-1/2/3 2001年制定 グループ安全規格 B規格 個別機械の安全規格 C規格 新指令 2006/42/EC 機械指令(98/37/EC) が改正され、新しい機械指令 (2006/42/EC) が発行されました。 この新指令は、 一部リフト指令(95/16/EC)の 改正内容も含んでいますが、 ほとんどの記述は 機械指令(98/37/EC) の改正となっています。 2006年8月20日現在 改正日:2006年5月17日 EU官報公示日:2006年6月9日 EU加盟国法制化期限:2008年6月29日 改正要求発効日:2009年12月29日 改正内容は多岐に渡っていますが、次の事項が含まれます。 ・スコープの追加・明確化 (リフティング用のアクセサリの追加、 主に 「低電圧指令」で評価すべき電気機器の除外など) ・「safety component」のリスト追加 (Annex V) ・「full quality assurance procedure」の追加 (Annex X) ・Annex Iの評価項目拡大 (人間工学の考慮、作業部位や 座席の検討、意図しない動作のリスクの考慮、避雷など) および既存の評価項目の見直し ・Annex IV該当機械類の評価方法の一部改正 「safety component」のリスト追加 (Annex V) には、 存在検知用保護装置、非常停止装置などが含まれています。 ※詳細は「新指令2006/42/EC」の原文をご確認ください。 規格関連情報 3 ISO13849-1が改定されました 2007年11月20日現在 2006年に制御システムの安全関連部(安全防護における安全コンポーネントや安全制御回路) の規格(ISO13849-1) が 改定されました。一言で言うと、従来の安全カテゴリに加えて、信頼性の考え方が加味されます。 タイプC規格(個別安全規 格) への展開含めて、本格的な規格の運用はこれからとなりますが (現在EN規格は移行中、 日本はJIS原案作成中)、理解を 深めておく必要があるため紹介していきます。 ISO13849-1:1999では障害の発生状況(怪我の度合い、危険源にさらされる度合い、危険を避けられる度合い) は安全カ テゴリに直接つながっていました。ISO13849-1:2006では安全カテゴリに加え、平均危険側故障時間(MTTFd)、診断範囲 (DC)、共通原因故障(CCF) により構築され、PL(パフォーマンスレベル) で評価されます。PLとはリスクのレベルとそれに見 合った安全関連部の性能レベルを同じ次元で評価できる “a” から “e” までの5段階で構成されます。 ・要求される安全性としてみた場合がPLr (Required Performance Level) ・それを実現するために採られた安全関連部の性能がPL ( Performance Level) MTTFd=Low ISO13849-1:2006 S:怪我の重大度 (Severity of Injury) ・S1:軽傷 ・S2:重症 (後遺症、死亡など) PLr F1 S1 F2 F:危険にさらされる頻度 (Frequency and/or Exposure to Hazard) ・F1:まれに発生するか短時間 ・F2:頻繁に発生するか長時間 P:危険を避ける、 あるいは損害を 制限する可能性 P1 a P2 P1 b (Possibility of Avoiding Hazard or Limiting Harm) ・P1:特定の条件下で可能 ・P2:不可能 b c c P2 P1 d d F2 P2 パフォーマンスレベル要求値 (PLr) の決め方 MTTFd=High a P2 P1 F1 S2 MTTFd=Medium PL e e Cat.B Cat.1 Cat.2 Cat.2 Cat.3 Cat.3 Cat.4 DCavg none DCavg none DCavg low DCavg medium DCavg low DCavg medium Cavg high 安全関連部の性能 (PL) の決め方 安全の国際規格 3「制御システムの安全」 (日本規格協会) を参照 ※次ページからPLについて詳しく紹介します。 規格関連情報 4 ISO13849シリーズ カテゴリ カテゴリ MTTFd 2009年2月25日現在 DC CCF たとえば … カテゴリ (Category) とは・ ・ ・安全制御システムは、機械の安全を確保するという目的は同じでも、機械の 目的や危険の度合い、機械の規模、使われる頻度などによってそのアーキテクチャ (構造) が異なります。 たとえば、 「 雨風を防げる空間」 を考えたとき、テント、木造の住宅、 オフィスビルなど目的に応じて建物に もさまざまな違いがあり、基礎や骨組み、外壁や屋根など基本的 な構造も異なります。このような基本的なアーキテクチャの分類 が安全制御システムでいうカテゴリです。 ISO13849-1:2006における、 そ れぞれのカテゴリに求められる 安 全 制 御システム の 要 件 は EN954-1の内容と変わりがあり ません。ただし、 それぞれの安全 制御システムを「Ⅰ」 ( Input:入 力)、 「L」 ( Logic:論理演算機 器) 、 「O」 ( Output:出力) の3部 分を軸にしてそれぞれの特徴を よりわかりやすく図式化しまし た。一般的な機械の安全制御 システムはこのいずれかにあて はまります。 テント 木造住宅 オフィスビル Tent House Building カテゴリB、カテゴリ1に適用されるアーキテクチャ Input signal I I : 入力機器(例:センサ) L : 論理演算機器 O :出力機器(例:コンタクタ) Output signal L O 注. カテゴリ1のMTTFdはカテゴリBより高いため、 安全機能の喪失する可能性は低いが、 故障時には、安全機能の喪失を招くことがある。 カテゴリ2に適用されるアーキテクチャ Input signal I Output signal L O m :モニタリング TE :点検機器 OTE : 点検結果の出力 m 注. カテゴリ2は、 故障が起きると、点検と点検の間で安全機能の喪失を招くことがある。 OTE TE Output signal カテゴリ3、カテゴリ4に適用されるアーキテクチャ m l1 L1 Input signal O1 Output signal 注1. カテゴリ3は、 検出されない故障の累積により安全機能が働かない場合がある。 C 注2. このブロック図に規定されたアーキテクチャの冗長系は物理的な意味だけでなく、 単一故障耐性が確認された内部論理も意味する場合がある。 m l2 Input signal m :モニタリング C :クロスモニタリング L2 O2 Output signal 注1:この図式に当てはまらない複雑なアーキテクチャ、 たとえば入力が3チャンネル以上で多数決判断する論理などはISO13849-1では扱えません。 この場合は、IEC62061など他の規格によって安全制御システムの性能を評価する必要があります。 注2:カテゴリの考え方については現在のEN954-1で述べられている考え方とほぼ同意となります。 規格関連情報 5 ISO13849シリーズ MTTFd カテゴリ MTTFd DC 2008年2月20日現在 CCF MTTFd :平均危険側故障時間 (mean time to dangerous failure) について 説明いたします。 MTTFdとは、安全関連部が危険側故障に至るまでの平均時間です。 MTTFdを求めるには、安全関連部をI:入力、 L :論理、 O:出力 に分けて それぞれの危険側故障までの時間を求め、 それを平均化します。 危険側故障とはある部品が故障したとき、 その故障が原因で安全機能を 喪失するような場合を指します。 MTTFdは下記のように分類されます MTTFd Low (低) Medium (中) High ( 高) 3年 ≦ MTTFd <10年 10年 ≦ MTTFd <30年 30年 ≦ MTTFd ≦100年 MTTFdの見積り方法 (例) ① メーカーのデータ ② ISO13849−1:2006の付属書C及びDに示される手法 などがあります。 MTTFdを見積るにあたり、現時点では部品メーカからのデータが用意されていない場合が 多いため、ISO13849-1:2006の付属書CおよびDから求めることになります。付属書Cには、 「MTTFd」 ではなく 「B10d」 で記載されているものもあります。 B10dからMTTFdを求める計算式は次になります。 MTTFd=B10d/(0.1×Nop) ※Nop=年間の運転回数 Nop=(dop×hop×3600)/tcycle dop=1年に作動する日数 hop=1日に作動する時間 tcycle=1サイクルに要する時間 (秒) ※ B10dとは、信頼性工学で10%のサンプルが危険側故障にいたるまでに 要した操作回数を意味します。 安全の国際規格3 「制御システムの安全」 (日本規格協会発行) より引用 規格関連情報 6 ISO13849シリーズ DC カテゴリ 2008年5月21日現在 MTTFd DC CCF DC:診断範囲 (Diagnostic Coverage, DC) は検出される危険側故障と全危険側故障 の確率の分数です。診断率の高さによって、None(なし)、Low(低)、Medium(中)、 High ( 高) の4通りに分類されます。 ( 図・1参照) ただし、実際の機械や装置は、 さまざまな 部品やソフトウェアでシステムとして稼動しているため、部品単位のDCから全体のDCの 平均値 (DCavg:Average Diagnostic Coverage) を求める必要があります。その数値 が指標となります。 つまり、システムがどれくらいの頻度や精度で自己診断を行い、 それに対してどのような 措置を取っているかによって要求される指標が変わってきます。 (図・1) DC 評価 None (なし) Low (低) Medium (中) High ( 高) 範囲 DC<60% 60%≦DC<90% 90%≦DC<99% 99%≦DC 建物で例えるならば、テントならば年に一度使う前に修繕をしておけば困ることがありま せん。 しかし、毎日の生活を送る木造住宅となると、シロアリや雨漏りといった不具合が あった時にはすぐに処置しておかないと困ったことになります。 ( 図・2) このように求めら れる診断のレベルも機械、装置の基本設計の概念に適したものでなければなりません。 (図・2) テント 木造住宅 Tent House 使う前 に手入れ 必要に応じて 対策 シロアリ退治、雨漏りなど 規格関連情報 7 ISO13849シリーズ CCF カテゴリ 2008年11月26日現在 MTTFd DC CCF CCF:共通原因故障(Common Cause Failure) とは・ ・ ・ 安全制御システム全体の機能がある共通の原因によって損なわれることが ないように考慮されているか、 という設計的な信頼性の指標です。 つまり予見できる共通の原因に対するシステム全体の信頼性を指します。 CCFはチェックリスト方式で求めます。 CCFで見たテントと木造住宅のチェックリスト方式(例) CCF対策のスコアリングプロセスと定量化 (ISO13849-1:2006 Annex Fより引用) No. … た と え ば テント 木造住宅 Tent House 1 配線・配管の分離 10 20 2 第一系統:プログラマブル電子機器と第二系統:ハードワイヤード 起動の種類 台風 耐風圧 排水設備 0 20 0 10 圧力と温度 消防設備 避難誘導 20 距離と圧力の測定 デジタルとアナログ 火事 難燃性(内装) 多様性 異なる技術/設計や物理原則が使用されている。 避難誘導 耐水 15 プリント回路基板における、十分な空間距離と沿面距離 耐震強度 全体のバランス 対策スコア 信号系統間の物理的分離 地震 基礎の強度 CCF 分離と隔離 異なる製造者の部品 10 points 50 points 3 設計/アプリケーション/経験 3.1 過電圧、過圧力、過電流などの保護 3.2 十分吟味された部品が使用されている。 4 設計上考慮されているか? 5 理解するための訓練を受けているか? 6 例えば地震という災害は激しい揺れとともに地割 れなども引き起こします。 5 能力/訓練 設計者/保守作業者は、 共通原因故障の原因と結果を 6.1 5 アセスメント/分析 故障モードと影響分析の結果が、 共通原因故障の防止に、 テントと木造建築を例に説明いたします。 建物に重大な影響(被害) を及ぼす事象として、 台風や地震や火事といった災害が考えられます。 15 5 環境 適切な規格に準じたCCFに対する汚染の防止と電磁両立性 (EMC) 流体システム:圧媒体のろ過作用、 汚れ吸気の防止、 圧縮空気の排出 例:圧媒体清浄に関連する部品製造者の要求条件に準拠。 地震による揺れや地割れで、柱や外壁は揺れに 十分耐えられるか、 または、建物の基礎は地盤の 変化に耐えられるかなどが想定できていなければ なりません。 このように予見できるかぎりのさまざまな外的要因 に対してされている設計上の考慮の度合いを意 味します。 具体的には、右表を利用し、 トータルのスコアが 65点以上あるかどうかで判断します。 電気システム: システムは電磁環境耐性に対してチェックされたものであるか? 25 例:CCFに対する関連規格に指定された通りか? 流体系と電気系システムの組み合わせの場合は、 両方の側面が考慮なれなければならない。 6.2 その他の影響 温度、衝撃、 振動、湿度など (関連する規格で規定) 、 すべての関連する 10 環境的影響への耐性要求条件は考慮されているか? 合計 最大100まで 合計スコア CCF対策 65 以上 要求に合致 65 以下 プロセスに問題あり → 追加手段を選択 規格関連情報 8 JIS B9960-1、JIS B9961の 改定および新規発行 2008年8月26日現在 JIS B9960-1(機械の電気装置 一般要求事項)が改定されました。また、産業機械用途の機能安全 規格(IEC 62061)がJIS B9961として新規に発行されました。 JIS B9960-1 JIS B9961 ●概要 ●概要 2005年に第5版として発行された IEC60204-1を基に作成した規格です。 機能安全規格IEC61508シリーズの機械産業部門に適 用する事項を規定し、IEC62061をもとに作成された規格 です。 電気・電子・プログラマブル電子制御システムを用いた 安全関連制御システムの設計と検証に適用されます。 ●主な改定内容 ①: 非常停止に関して「ハードワイヤによる構成」の要 求事項が削除され、電子機器による構成が可能とな りました。 ②: 故障時の制御機能 (制御回路の安全関連部) につい て、 「JIS B9961」 (右欄参照) /JIS B9705-1 (安全 カテゴリ) の要求事項の適用が求められます。 ③: ①、②に関連して、電子装置に関する個別要求事項 が削除されました。 ④: 引用規格として、機械安全関連のJISが追加になり ました。 ⑤:日本において一般的に用いられているTT接地系統 の規定を追加。 (付属書JA) などが主なポイントになります。 ※規格の詳細は、規格原文を参照し、 ご確認をお願いいたします。 ●要点 安全関連制御システムが実行する安全機能に必要な SIL (Safety Integrity Level) の割り付けと、割り付けた SILを満たすための具体的手段について規定されてい ます。 主な内容は、下記5項目の規定となります。 (1)機能安全の管理 (2)安全関連制御の仕様作成 (3)制御システムの設計 (4)使用のための情報 (マニュアル) (5)妥当性確認 規格関連情報 9 国際規格のJIS化 2007年9月5日現在 世界的な貿易の自由化のためには、貿易上の技術的障害を取り除き、各国の規格・基準を 国際規格と整合させることは必要不可欠な条件となってきます。WTOに加盟・批准に伴い、 工業標準化法に基づき制定された日本工業規格 (J IS) は、機械安全に係わる分野でも IEC ISO 電気安全 機械安全 国際規格採用の義務化を受け現在ゼロベースからの総点検を行い、IEC/ISOにより 構成される国際規格との整合化をはかっています。 国際規格と整合された機械安全関連JIS JIS 2007年4月現在 JIS B 9702:2000 JIS (日本工業規格) 機械類の安全性−設計のための基本概念、一般原則 第1部:基本用語、方法論 機械類の安全性−設計のための基本概念、一般原則 第2部:技術原則 機械類の安全性−リスクアセスメントの原則 JIS B 9703:2000 機械類の安全性−非常停止−設計原則 JIS B 9700-1:2004 JIS B 9700-2:2004 JIS B 9705-1:2000 JIS B 9710:2006 JIS B 9714:2006 JIS B 9715:2006 JIS B 9716:2006 JIS B 9960-1:1999 JIS B 9704-1:2006 JIS B 9704-2:2000 JIS C 0508-1:1999 対応国際規格 ISO12100-1:2003 ISO12100-2:2003 ISO14121:1999 ISO13850:1996 機械類の安全性−制御システムの安全関連部 第1部:設計のための一般原則 機械類の安全性−ガードと共同するインタロック装置−設計 及び選択のための原則 機械類の安全性−予期しない起動の防止 機械類の安全性−人体部位の接近速度に基づく保護設備の 位置決め 機械類の安全性−ガード−固定式及び可動式ガードの設計 及び製作のための一般要求事項 機械類の安全性−機械の電気装置 第1部:一般要求事項 機械類の安全性−電気的検知保護設備 第1部:一般要求事項及び試験 機械類の安全性−電気的検知保護設備 第2部:能動的光電保護装置を使う設備に対する要求事項 電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の機能安全 第1部:一般要求事項 ISO13849-1:1999 ISO14119:1998 ISO14118:2000 ISO13855:2002 ISO14120:2002 IEC60204-1:1997 IEC61496-1:2004 IEC61496-2:1997 IEC61508-1:1998 <書籍紹介>「安全の国際規格(全3巻)」 国際的な安全規格の全体像と基本を学ぶ! ◆安全設計はどうあるべきか? ◆国際規格における安全の考え方とは何か、従来の日本の考え方と何が違うのか? 第1巻 安全設計の基礎概念 第2巻 機械安全 第3巻 制御システムの安全 第一章 国際的な安全規格の体系 第二章 I SO/I EC Gu i de51の精神 第三章 I SO12100機械類の安全な設計 第四章 I EC61508制御システムの安全な設計 第五章 日本の機械安全にかかわる規制 第一章 I SO12100について 第二章 本質的安全設計方策 第三章 安全防護策 第四章 付加防護方策 第五章 使用上の情報 第一章 安全に関する国際規格 第二章 I EC60204−1 機械の電気装置 第三章 I SO13849−1 制御システムの安全性関連部 第四章 I EC61508シリーズ 機能安全 −電気・電子プログラマブル安全関連系 第五章 まとめ 電気と制御システム分野の今後 お問合せ先 財団法人日本規格協会 出版サービス第一課 TEL:03-3583-8002 E-mail:[email protected] URL:http://www.jsa.or.jp 規格関連情報 10 世界各国の主な規格と概要 2007年5月23日現在 WTO/TBT協定の加盟国は、 各国規格の整合が加速されています。 主な規格 ANSI 米国規格協会 米国 UL ANSI/RIA 産業用ロボット協会 1918年創設。米国の自主規格の承認を行う。自ら規格作成作業 は行わず、各分野において作成される規格を承認することで米国 規格として登録されます。 1894年、火災保険業者電気局として創設された非営利試験機関 で、あらゆる電器製品の製品安全規格の策定や認証試験を行っ ています。1976年にANSIより認定を受けています。 1974年創設。産業用ロボットの規格策定を行っている。 ANSI/RIA R15.06「産業用ロボットおよびロボットシステムの安 全性に関する要求事項」は日本をはじめ、世界各国の多くの産業 用ロボットメーカが活用しISO10218のベースとなっている。 NFPA 1896年、防火に関する非営利団体として創設。電気火災および 感電防止に関する規格を策定しています。 代表的なものとしてNFPA79:Electrical Standard for Industrial Machinery (産業用途の電気関連規格) があります。 CSA 1919年に非営利、非政府機関の標準化団体として設立され、電 器製品の製品安全規格の策定や認証試験を行っています。 カナダ 欧州 EN 欧州規格 日本 JIS 日本工業規格 中国 GB 中国国家標準 韓国 概 要 KS 韓国国家標準 欧州の統一規格。CEN(非電気分野) とCENELEC(電気分野) との共同体制で制定されます。通常、欧州規格(EN)そのものが欧 州各国の自国規格となります。 EC指令では、適用規格が明示されていませんが、EC官報により、 適用しなければならなN規格が公表されます。 1949年制定。日本の国家規格として工業標準化法に基づいて制 定されます。1995年にWTOに批准・加盟し、ISO/IECとの整合化 をはかっています。 経済産業省に設置されている日本工業標準調査会が工業標準化 全般に関する調査・審議を行っています。 2001年にWTOに批准・加盟し、国家標準化管理委員会によって ISO/IECとの整合化がはかられています。 中国強制性国家標準のGB、中国推薦性国家標準のGB/T、中 国標準化指導性技術文章のGB/Zがあります。 韓国はWTO (世界貿易機構)発行を受けて、 TBT協定を含めて WTO協定を1995年に批准・加盟。この結果、 KSはIEC、 ISOによ り構成される国際規格との整合化をはかっています。 11 リスクアセスメントを支援する科学的分析手法 生産現場において、作業者が機械設備を使用して、仕事をする状態をシステム (人間--機械システム) としてとらえ、 システムの安全度を解析する科学的な手法として、 よく知られているものに「FMEA」 「FTA」 「What-if」 「HAZOP」 などの手法があります。このような手法は、 リスクを網羅するのに役立ち、特に化学工業などで、 よく使われています。 FMEA FTA What-if HAZOP ●「FMEA」― Failure Mode Effect Analysis(故障影響解析)についてご紹介します。 FMEA解析とは アセスメント(評価)する機械・機器を構成する部品に対し、想定される故障により、潜在する リスクを網羅します。その故障によって、全体のシステムへの影響を検討し、 リスクを回避す る方策を講ずるというものです。例えば、オムロン製のライトカーテン(形F3SN)は、 FMEA解析により、素子の1つ1つにいたるまで故障モード影響解析を行っています。 ※例えば基板に実装されている抵抗にクラックが入っても(絶縁)、逆に焼けても(短絡) F3SNという製品の動きは安全側に働くことを設計段階で確認している。 対象機器の選定 各構成部品の洗い出し リスクの評価と安全方策 システムでの影響解析 FTA FMEA 各部品の故障モード解析 What-if HAZOP ●「FTA」― Fault Tree Analysis(故障の木解析)についてご紹介します。 想定される事故(例えば、ロボットが可動範囲内で、人と激突する)が発生する原因を洗い出 し、さらにその原因の元になる要因を洗い出すというように、考えられる全ての要因と組み 合わせを根本まで分析・解析して、その安全方策を導き出すことで、安全性の強化を図る手法 を言う。事故の発生と、因果関係をTree状に展開するので原因を網羅できるが、時間と労力 を要する。電気・電子、機械、原子力などの分野で広く使われています。 FTA解析とは メリット: 事故の発生と、因果関係をTree状に展開するので原因を網羅できる。 デメリット: 時間と労力を要する。 不注意による近寄り 人がいる ロボットと 人の衝突 (頂上事象) OR メンテナンスでの入場 ティーチング作業 AND 動作の異常 ロボットのシステム OR 高速動作 保護装置の問題 (欠陥事象、末端事象) 12 リスクアセスメントを支援する科学的分析手法 生産現場において、作業者が機械設備を使用して、仕事をする状態をシステム (人間--機械システム) としてとらえ、 システムの安全度を解析する科学的な手法として、 よく知られているものに「FMEA」 「FTA」 「What-if」 「HAZOP」 などの手法があります。このような手法は、 リスクを網羅するのに役立ち、特に化学工業などで、 よく使われています。 FMEA What-if FTA HAZOP ●リスク解析の手法のひとつとして、What-if 解析について説明します。 「もし、 バルブが壊れて開きっぱなしになったら、何が起きるか、 どういう影響が出るか」 「もし、作業者がうっかりして、手を入れたらどうなるか」 というように、物質そのもののリスク、 W What-if解析とは 機器の特性によるリスク、コントロールシステムのリスク、作業者や監督者のミスによるリスク、 管理システム上のリスクなどのそれぞれについて同定し、考えられる 「もし」を網羅して、そこから生じる 影響や波及結果を洞察する。さらに、 そのための対策を講ずるというステップになります。 例1 もし、高速回転物に手を触れたら 手を巻き込まれ、骨折、切断などの重症 回転物を人から隔離する など 例2 もし、○○バルブが開きっばなしになったら △△ガスが漏れる △△ガス漏れ検知器をつける など * 簡便な方法で、 他の手法より体系性、網羅性のレベルにおいては、 課題がある手法です。 FMEA FTA What-if HAZOP ●リスク解析の手法のひとつとして、HAZOP 解析について説明します。 HAZOP ( Hazard and Operability Study ) は、 化学プラントなどのリスク分析手法の1つとしてプロ セスのパラメーター(流量、温度、圧力、成分など)と案内語(増加、減少、なし、逆転)の組み合わせから、 HAZOP解析とは 「設計意図からのズレ」を想定し、そのズレによるシステムの異常などのリスクを想定して、安全方策を 考察するという手法です。 ----- プラントの潜在リスクや操作上のリスクを洗い出します。 特長として、定型的かつ網羅的であるが、時間がかかるという短所があります。 例 (パラメータ) プロセスの圧力 (案内語/現象) (設計意図からのズレ) 増加 減少 (想定されるリスク) (安全方策) 弁の誤操作 機器の破裂 安全弁の設置 パイプのつまり 機器停止 流量計の設置 13 リスクアセスメント リスクアセスメントとは、適切な安全措置を選択するための、危険な状況に起こり得る傷害や健康への悪影響の可能性と重 大性を完全に評価することです。リスクアセスメントを実施する手順としては、 「危険源を特定すること」 「リスクを推定し、 評価すること」 「対策の優先度を決定すること」が挙げられます。 * 関連規格ISO14121,JIS B 9702 リスクアセスメントの手順 開 始 使用及び予見可能な誤使用の明確化 危険源の同定 リスクの低減 リスク分析 リスクの見積り リスクの評価 いいえ リスクアセスメント 許容可能リスクは達成されたか? は い 終 了 危険源 危険源とは、危険領域内における災害の原因です。 危険源の具体例 1.物理的危険源 機械的、熱的、電気的など 人間の作業空間 災害 機械の運転出力空間 発生! 2.材料/物質による危険源 有害物質・刺激・粉塵・火災・爆発・生物など 危険領域 3.人間工学による危険源 不自然な姿勢・精神的過負荷・人間挙動など 4.組合せによる危険源 個々には些細な危険源であっても、互いに 組み合わされて重要顕著な危険源となり得る ● 機械的 ● 熱的 ● 電気的 ● 騒音 領域内に単一または複数の危険源が存在 ● 放射線 *その他危険源の詳細は、ISO14121付属書Aの 「危険源/危険事象リスト」 を参照下さい。 14 リスクの見積り 「リスクの見積り」とは、 「危険源の同定」で洗い出した、予見される機械装置の危険事象について、危害のひどさと危害の 発生確率を考慮し、 どの程度のリスクがあるのかを見積ることを言います。 S:ケガの度合い S1:軽症(打撲症など) S2:重症(手足の切断、死亡など) F:危険にさらされる度合い F1:まれに発生か短時間 F2:頻繁に発生か長時間 P:危険を避けられる度合い P1:避けられる P2:避けられない リスクアセスメントの手順 開始 使用及び予見可能な誤使用の明確化 危険源の同定 リスク分析 リスクの低減 リスクの見積り リスクの評価 いいえ 許容可能リスクは達成されたか? リスクアセスメント はい 終了 (例)加工ロボットのリスクの見積り ※(例) ではリスクグラフ法(EN954-1)でリスクを見積っています。 他の手法として加算法、積算法、 マトリクス法などがあります。 リスクレベル S1 P1 怪我の度合い:S F1 P2 危険にさらされる 度合い:F 1.怪我の度合い S2 骨折 2.危険にさらされる度合い F2 作業者が30秒おきにワークを設置 3.危険を避けられる度合い P2 避けられない アクチュエータ速度500mm/s S2 P1 F2 危険を回避できる可能性:P ※EN954-1は2009年12月まで有効(予定) です。 P2 通常選択 追加手段を併用して選択化 余裕ある選択 上記の例では、 リスクの見積りの結果、 加工ロボットのリスクレベルは「V」 となります。 次号ではリスクの見積り後、 どのようにリスクを評価するのかを解説します。 15 リスクの評価 「リスクの見積り」後、 「リスクの低減」が必要か、又は安全性が達成されているか否かを決定するため、 「リスク の評価」を実施する必要があります。 「リスクの低減」を実施した場合、 「許容可能リスクは達成されたか」を確認 しなければいけません。許容可能リスクは達成できた場合は、終了します。 達成できない場合は、再度、 リスク分析を行い、下記手順を反復する必要があります。 (J IS B 9702: 2002、ISO14121) リスクの見積り結果 リスクアセスメントの手順 開始 リスクの見積り リスクアセスメント 危険源の同定 リスク分析 使用及び予見可能な 誤使用の明確化 1. 怪我の度合い S2 骨折 2. 危険にさらされる度合い F2 作業者が30sおきにワークを設置 3. 危険を避けられる度合い P2 避けられない アクチュエータ速度500mm/s リスクの低減 <Before> 〈許容可能なリスクではない〉 リスクの評価 安全カテゴリ4 の リスク低減策が必要 評価を受けて行うリスクの低減(例) いいえ 許容可能リスクは 達成されたか? ・TYPE4のライトカーテンを設置する ・カテゴリ4の安全回路を設計する など、追加の安全防護策を講じる はい 終了 <Af ter> 16 ● セーフティライトカーテンの機能・特徴 セーフティライトカーテンはさまざまなアプリケーションに応じていろいろな機能・特徴で対応できます。 それらの機能・特徴を活用することで今まで以上に製造現場の安全性、生産性を向上させることができます。 そのセーフティライトカーテンがもついろいろな機能・特徴の中から、4つを取り上げて紹介します。 相互干渉防止 ミューティング機能 L字・コの字取付 ブランキング機能 ●機能・特徴のひとつとして、相互干渉防止について説明します。 相互干渉防止とは? 相互干渉防止とは? まず相互干渉とは透過型のセンサを2台以上隣どうしに横に並べたとき、一方のセンサの投光器 から出た光が、 もう一方のセンサの受光器に入りセンサが誤動作してしまうことをいいます。この 誤動作により一般のエリアセンサは危険側に動作する可能性があります。 また、 セーフティライト カーテンはロックアウト (停止) し、 チョコ停の原因になります。そのためこの誤動作を防止する対 策を行わなければなりません。その対策を相互干渉防止といいます。その防止策として、ハード的 なもの (設置の工夫、 スリット装着) やソフト的なもの (自己診断機能) などがあります。 例1:2セット間で投光方向が異なるようにする 受光器 投光器 投光器 例2:2セット間にしゃ光板を設置する 受光器 投光器 受光器 投光器 受光器 しゃ光板 相互干渉防止 ミューティング機能 L字・コの字取付 ブランキング機能 ●機能・特徴のひとつとして、ミューティング機能 について説明します。 ミューティング 機能とは? セーフティライトカーテンの検出エリアに、加工ワークや搬送用パレットなどを通過させる時、一時的に安全 機能を無効化する機能をいいます。 そのために、外部センサ (ゲート用の光電センサ、 または電気的、機械的 スイッチなど) を用いてシーケンス制御することが必要です。 主な留意事項 ① ミューティングを必要とする場合には、作業者にミューティング中であることを知らせる表示灯を設ける必要があります。 ② ミューティングは自動で行われ、 1ミューティング信号のみで行われてはなりません。 (複数信号が必要) ③ 不適切なシーケンスでミューティング信号が入力された時は、 ミューティング状態になるのを防止するか、 あるいは機械を停止しなければなりません。 安全機能 有効 ミューティング センサB 入光 安 全 危 険 領域側 領域側 安全機能 無効 反射板 ミューティング センサB しゃ光 ワーク ミューティング セーフティセンサ 入光 ライトカーテンなど センサA 安 全 危 険 領域側 領域側 安全機能 有効 反射板 ミューティング センサB 入光 安 全 危 険 領域側 領域側 ワーク 反射板 ミューティング センサA しゃ光 セーフティセンサ ライトカーテンなど 反射板 ワーク 反射板 ミューティング セーフティセンサ 入光 ライトカーテンなど センサA *ミューティングセンサは安全規格取得の光電センサやリミットスイッチでなくても使用できます。 *ミューティングにより、 リスクが増える可能性があります。 リスクアセスメントを実施した上でご使用下さい。 反射板 17 ● セーフティライトカーテンの機能・特徴 セーフティライトカーテンはさまざまなアプリケーションに応じていろいろな機能・特徴で対応できます。 それらの機能・特徴を活用することで今まで以上に製造現場の安全性、生産性を向上させることができます。 そのセーフティライトカーテンがもついろいろな機能・特徴の中から、4つを取り上げて紹介します。 相互干渉防止 ミューティング機能 L字・コの字取付 ブランキング機能 ●機能・特徴のひとつとして、L字・コの字取付について説明します。 L字・コの字取付 とは? 一般的な取付方法は、左右または上下に1組使用しますが、大きなワークを投入する場合では、 ワーク の投入から取出しにおいて、作業者の移動量が多く非効率です。 セーフティライトカーテンを上下コの字に3組(またはL字に2組)配置することにより、左右にも開口部 を設けることができ、 スムーズな作業による生産性の向上が可能となります。 一般的な取付方法 相互干渉防止 ミューティング機能 コの字取付方法 L字・コの字取付 ブランキング機能 ●機能・特徴のひとつとして、ブランキング機能について説明します。 ブランキング機能 とは? セーフティライトカーテンの検出領域の光軸の一部を無効にする機能で無効になった光軸の領域に 物体が進入しても、出力信号が変化しません。 【1】フィックスブランキング 検出領域内の特定の光軸を無効化できます。例えばワーク台が常時固定されており邪魔になっている場合、そのワーク台 で遮光している光軸を無効化できる機能です。また、 ワーク台が取り外された場合は、 自動的に検出領域が復活します。 【2】フローティングブランキング 検出領域内で不特定の光軸を無効化できます。例えばワークの上下移動によって無効化光軸が特定できない場合、光軸を ワーク幅だけ無効化できます。それ以上の光軸が遮光されると、出力がオフします。 注)最小検出物体が大きくなりますので安全距離にご注意ください。 〈フィックス ブランキング〉 ワーク台 設置 ロー 止 ラ停 〈フローティング ブランキング〉 検出領域復活 ブランキング設定光軸 もしワーク台が 取り外されたら フローティング部 (必要光軸設定) 18 ● セーフティライトカーテン 安全距離 ロボットに関する労働安全衛生規則には、第百五十条の四(運転中の危険の防止)があります。 事業者は、産業用ロボツトを運転する場合 (教示等を除く) において、当該産業用ロボットに接触することにより労働者に危険 が生ずるおそれのあるときは、 さく又は囲いを設ける等当該危険を防止するために必要な措置を講じなければならない。 【アプリ事例】 ロボットがワークを加工する場合、投入/取出作業が存在するため、安全防護が必要になります。 ロボット:加工 ライトカーテンA ライトカーテンB 投入/取出作業が あると危険! 協調エリア 危険防止のため、作業者監視用と ロボット監視用の2つのライトカーテン (安全防護)を設置します。 作業者:ワーク投入/取出し ※ライトカーテンを安全防護として使用します。 ライトカーテンを設置するにあたり、必要な安全距離を確保する必要があります。 ロボットによる ワーク加工時 溶接ロボット 人による ワーク投入/取出し時 搬送ロボット 溶接ロボット 搬送ロボット 監視中 ロボットの検出用 ライトカーテンA ライトカーテンA P1 監視中 S2 P2 S1 人の検出用 ライトカーテンB ライトカーテンB S1:安全距離1 P1:ロボットが最も人体に近づく距離 (運転領域限界) S2:安全距離2 P2:人体の一部が最もロボットに近づく距離 ● セーフティライトカーテン タイプ2/タイプ4 投光部・受光部から構成されるセーフティセンサ(能動的光電保護装置) =セーフティライトカーテンには、例えば下記のよ うな安全設計と有効開口角(指向角)の違いによりタイプ2とタイプ4の2種類があります。 安全設計 受光部 制御部 反射物体 監視 投光部 タイプ2 監視 有効開口角 制御部 出力部 出力部 広がった光 有効開口角 □ 有効開口角±5° 以下 (検出距離 3m以上) □ 周期的な故障監視 □ 安全出力部の2重化 監視 監視 受光部 投光部 タイプ4 制御部 □ センサ応答時間内での 故障監視 □ 安全出力回路の2重化 □ ダブルCPUでの相互監視 反射物体 制御部 出力部 制御部 出力部 監視 物体 広がった光 有効開口角 物体 □ 有効開口角±2. 5° 以下 (検出距離 3m以上) 19 ● 配線色(IEC60204-1(JIS B9960-1)、NFPA79) ● IEC 60204-1準拠の機器内配線識別色 ● NFPA79準拠の機器内配線識別色 ※NFPA 米国防災協会 (NFPA 79 産業用機械の電気安全規格) 色 適用導体 緑/黄の 保護接地 (アース) 回路 スパイラル 電力中性回路 ライトブルー (水色) 動力 (一次側) 回路 黒 制御回路 (直流) 青 制御回路 (交流) 赤 インターロック回路 橙 色 適用導体 保護接地 (アース) 回路 緑 or 緑/黄のスパイラル 白 or 灰 or 白ライン+ (緑 or 青 or 橙 or 黄) AC回路接地 DC回路接地 白+青ストライプ メイン遮断後も通電されて 白+ (燈 or 黄) ストライプ いる部品の接地 メイン遮断後も通電されて いる接地されていない導線 燈 or 黄 接地されていない導線 接地されていない 制御回路導線 接地されていない DC制御回路導線 黒 赤 青 ● 再起動防止制御とは ? 危険領域において、安全が回復しただけでは機械の起動を許さず、 明らかに安全状態が回復したことを人が確認して初めて機械の起動を許す制御方法です。 (人の意思) 運転状態 非安全状態の 発生にて運転停止 安全状態の 回復確認 停止状態 の確認 運転ボタン ON 運転再開 (起動) 例えば、装置で何らかのエラーが発生し、非安全状態となった場合、セーフティ インターロックが働いて、装置は停止します。そして復旧作業によって、装置は 安全状態を回復します。 しかし、装置が安全状態になったことで、再起動がかか ってしまうと、 メンテナンス中の作業者が危険にさらされる可能性があります。 したがって、装置が安全状態になったからといって再起動するのではなく、作業 者の意思により、設置した運転ボタン (リセットボタン等) を押して初めて、それ を明らかな安全状態とし、装置の再起動がかかるような設計を行います。これ によって作業者の安全が確保されます。 ■具体的な再起動防止制御は、セーフティリレーユニットなどを利用して 構築することが可能です。 関連規格 1. JISB 9700−1 : 2004 (ISO 12100−1 : 2003) 2. JISB 9700−2 : 2004 (ISO 12100−2 : 2003、ISO 14118:2000) 20 ● マニュアルリセットとオートリセットの違い 動力源断のインターロックを解除する方法の中で、 「マニュアルリセット」 とは、 電源投入時および安全入力OFFによる電源断後において、安全入力ONによって 安全が確認された後に、 リセットスイッチ等で再スタートさせる方式です。 予期せぬ起動を防止するため、前回29号解説の「再起動防止制御」にあたります。 使用例 動作タイムチャート 柵で覆われている危険領域内に立ち入った際に、不意に ドアが閉まってしまう恐れのある場合や、危険領域内 に人が入り込める程の広い開口部にライトカー テンを設置している場合などは、必須です。 予期せぬ起動を防止し、安全に機械を起動する ために有効な方法です。 安全入力 リセット入力 出力 「オートリセット」は、装置の安全が確認されると自動的に起動します。 装置の小さな開口部や、 カバーを閉じた際に危険領域に作業者が取り残されない など、安全が確立されている場合にご使用ください。 使用例 動作タイムチャート 開口部が小さく、人が立ち入ることができない装置に使います。 例えば、右図のようにライトカーテンを使用する際、開口部に 手を入れるとセンサが遮光されて危険源が停止し、手を引くと 自動的に危険源が再起動します。 ただしこの場合は、安全確保のため、裏面や左右上下のガード の存在が必須となります。 安全入力 出力 ● インターロック装置の分類 インターロック装置とは・ ・ ・ 機械式・電気式などの装置で、例えばガードが閉じた状態でなければ機械の運転が妨げられる目的の装置をインターロック装置といいます。 インターロック装置の役割は、安全が確認された結果を動力制御要素に送る役目をします。 下記にインターロック装置の分類を紹介します。 使用状況に適したセーフティドアスイッチやセーフティリミットスイッチ等の選定にお役立てください。 インターロック方式 制御インターロック方式 : インターロック装置からの停止信号を電磁継電器などの制御システムに入れることにより、制御システムか機械可動部へのエネ ルギーの供給を遮断または切り離しを行う方式。 動力インターロック方式 : インターロック装置からの停止信号により機械可動部へのエネルギーの供給を直接遮断または切り離しを行う方式。動力インタ ーロック方式は、 インターロック装置と動力の間に制御システムが介在しない方式であり、 セーフティスイッチ等を用いるインター ロック装置は、制御インターロック方式となります。 ガードロック方式 非施錠方式:いつでもガード開閉が可能で、開状態で停止信号を出す。 施 錠 方 式:①無条件ロック解除方式:オペレータが何時でもガードロックの解除が可能であるが、 ロック解除時間が、危険性消滅時間よりも長いことを条 件とする解除方式。 ②条件付ロック解除方式:一定時限後または危険性消滅 (回転ゼロ検出など) により、一定条件が満たされ、機械の危険状態がなくなったこと を確認することよりガードロックの解除が可能な方式。 どちらの施錠方式も、 ロック解除の操作条件としては、危険性が消滅 (装置の停止など) している事となります。 施錠/解錠方式 ガードの施錠・解錠を目的とする操作機構により下記に分類できます。 スプリング施錠・動力解錠方式 :オムロンでは、 メカニカルロック/ソレノイドリリース方式といいます。 動力施錠・スプリング解錠方式 :オムロンでは、 ソレノイドロック/メカニカルリリース方式といいます。 メカニカルロック/ソレノイドリリース方式 ソレノイドロック/メカニカルリリース方式 動力施錠・動力解錠方式 : バネ(スプリング)の力でロック ソレノイド (動力)の力でロック 接点閉 ガード(閉) 接点開 ソレノイド (動力)の力でロック解除 バネ(スプリング)の力でロック解除 接点開 ガード(開) 接点閉 注. 特定用途において同等水準の安全性が保証されれば、 「動力施錠・スプリング解錠」または「動力施錠・動力解錠」を用いてもよいが、 ロックを目的とする部品(ボルト)は原則として、 「スプリング施錠・動力解錠」方式でなければならない。 21 ● メンテナンス時の安全制御の方法 作業者の安全確保のためには、定常作業ではもちろんのこと、 メンテナンス等の非定常作業においても、機械の予期しない 動作から回避することが必要です。そのためのセーフティコンポーネントとして、 イネーブルスイッチがあります。 これは、 スイッチ部を軽く押した状態を保持している間に限り、機械やロボットは手動運転をします。 もし、作業者に危険が迫り反射的にスイッチ部を強く握りこんだり、手を離したりする時には、機械やロボットなどの運転が停 止します。イネーブル機器については、IEC60204-1 (JIS B9960-1) などに規定されており、電気回路と組み合わせ、動 作制限などと併用することにより、 リスクを低減することができます。 イネーブルスイッチは、 ティーチングペンダントやグリップスイッチなど、主に手持ちの操作機器に組み込み使用されます。 正常時 緊急時 イネーブルスイッチの構造 イネーブルスイッチはOFF−ON−OFFの3ポジションで動作が遷移します。 OFF (押されていない状態) →ON (中間位置まで押されている状態) →OFF (中間位置を過ぎて押された状態) になります。 ●OFF−ON−OFFの3ポジション ポジション 1 ポジション 2 ポジション 3 中間位置まで 押されている 状態 押されていない 状態 中間位置を過ぎて 押された状態 軽く押す スイッチの状態 OFF ON さらに押し込む OFF 離す 可動接点 端子接点 離す 機械の状態 停止 運転可能 停止 22 ● セーフティスイッチ関連規格 ドイツの労働安全に関する規格で作業者の労働災害防止のために制定されています。 『安全機能用直接開路動作形 位置検出スイッチの試験の原則』 『安全機能のための電磁的保持機能を 有する連動装置の試験の原理』 安全機能用直接開路動作形位置検出スイッチの 試験に適用 ロック監視 (モニタ) 機構を備えている装置に適用 ・ロック保持機構はソレノイドなどによりロック保時 または解除 ・直接開路動作機構、機械的寿命100万回、 機密性IP54、専用操作キー以外の工具でスイッチが 動作しない構造 ・機能的にリミットスイッチとドアスイッチの 2つのカテゴリに対応 ・直接回路動作機構、寿命100万回、機密性IP54専用 操作キー以外の工具でスイッチが動作しない構造 ● ミラーコンタクトと強制ガイド機構の違い 構造と特長 ミラーコンタクトは主接点側のa接点が溶着した場合、機械的に連結された補助接点側のb接点は閉位置に戻らずに接 点間隔を維持した状態となり、接点間の耐衝撃電圧2.5kV以上を確保、 または接点間隔0.5mm以上を保持します。 この機能を利用して、主接点側のa接点の状態を監視することができます。つまり補助接点を安全回路の起動条件として 使用できます。強制ガイド機構は a接点およびb接点の故障をそれぞれ相互に監視することができるので、安全回路の シーケンスに使用することができます。 正常動作 無励磁 励磁 主接点 補助接点 主接点 補助接点 開 閉 閉 開 (励磁→無励磁) (無励磁→励磁) 耐衝撃電圧:2.5kV以上または 接点間隔:0.5mm以上 耐衝撃電圧または接点間隔が 規定値を確保できない ミラーコンタクト 機構 a接点 b接点 a接点 b接点 開 閉 閉 開 接点溶着 閉 開 開?? 接点間隔:0.5mm以上 閉 接点溶着 接点間隔:0.5mm以上 強制ガイド機構 接点溶着 閉 開 開 閉 接点溶着 ※ミラーコンタクト機構の図は接点の概要図になり、実際の構造とは異なります。 関連規格 IEC/EN60947-4-1付属書F 電力接点に連結された補助接点(ミラーコンタクト) の要求事項 EN50205 接点の強制ガイド機構付きリレーの要求事項 23 ● 非接触式セーフティドアスイッチの無効化防止機能 非接触式セーフティドアスイッチは、様々なタイプのドアの開閉検知に使用できます。 その非接触式セーフティドアスイッチと汎用のマグネットスイッチの違いについて説明します。 汎用のマグネットスイッチは作業者が生産を止めないために、 磁石等でスイッチを故意に無効化することがあります。 非接触式セーフティドアスイッチは作業者による無効化 一般の磁石 スイッチ部 を防止する構造をとっており、 アクチュエータ部、 スイッチ部、 コントローラで構成されています。 接点の開閉状態をコントローラで監視し、専用の アクチュエータが接近したときのみ、出力します。 専用のアクチュエータ以外 (磁石や鉄片) では接点の 開閉が正しく認識されず、出力されることはありません。 ドアが閉じたから、 出力しよう アクチュエータ スイッチ部 出力ON 何かおかしい・ ・? 出力はしない 安全出力 ON 可動扉 ドアが閉じたから、 出力しよう… 一般の磁石 スイッチ部 安全 安全出力 OFF コントローラ コントローラ 【関連規格 EN1088 (ISO14119)ガードに連動するインターロック装置-設計と選定の原則】 ● セーフティリレーユニットの仕組み セーフティリレーユニットは、安全制御機器の一つであるライトカーテンの信号やガードにつけた電磁ロックスイッチなどの 入力機器の信号により、機械を安全に停止させます。また、 ガードが閉じた状態でなければ機械の運転をさせないようにす る安全用途に使用される制御機器になります。 ● 非安全関連部 ● 非安全関連部 (PLC) 安全関連部 機械設備の安全確認が行われた時のみ運転を可能にする機能 です。 ● 判断機能 上記の非安全関連部からの機械設備の運転命令信号および機 械設備が安全であるという安全確認信号を受けて両信号がともに 運転可能信号である時のみ動力制御要素に機械運転信号を発 信する機能要素をもっています。 ● 運転命令信号 独立 判断 機能 動力制御要素 自動制御機器から運転命令信号を受けて装置の運転・継続をす る機能です。 安全関連部 (セーフティライトカーテンなど) 安全確認信号 セーフティリレーユニットの必要性 強制ガイド接点機構を備えたセーフティリレーを組み合わせることにより、安全立証された回路を構成することも可能ですが、回路構成技術およ び回路認定のための諸費用などで困難を伴うため、一般的には専門メーカーがセーフティリレーを組み込んでユニット化し、機能の安全性を証明 された「セーフティリレーユニット」 をシリーズ化し、標準機器として使用するのが一般的です。 24 Q A 制御盤の設計において留意点を教えてください 下記に示すJIS B9960-1の内容を考慮することをお勧めします。 JIS B9960-1 (機械類の安全性−機械の電機装置 第1部一般要求事項) において、主に制御盤に関連する項目 ● 電源断路 (遮断)機器 −ON “|” とOFF “○” の表示 −外部操作手段(ハンドルなど) −OFF位置でロックできる手段を備えていること −適切な遮断容量 など ● 配置 −電源断路機:0.6m∼1.9m。上限は1.7mを推奨。 −手動操作機器:0.6m以上 −端子:0.2m以上 −定期的保守または調整のために近づく必要がある機器:0.4m∼2.0m ● エンクロージャ (筐体)の保護等級:IP22以上 ● 感電保護 −エンクロージャを開ける場合 ・充電部を断路した状態でエンクロージャを開くことができる ・充電部を断路せずに開くことが可能な場合は、 すべての充電部はIP2XまたはIPXXBで保護する。 バリアを設ける場合は取り外しに工具を必要とするか、 取り外した時に充電部が自動的に断路する。 ※ 補足情報 −IP2X:12.5mm以上の直径の異物に対する保護 (指に相当) −IPX2:15° 落下の水滴に対する保護 −IPPXXB:指による接近に対する保護 《参考見取り図》 制御盤 (エンクロージャ) 2.0m 1.9m 操作盤 (エンクロージャ) (1.7m) 制御機器 0.4m 手動操作機器 (操作SW等) 電源断路機 操作ハンドル (ブレーカー等) 0.6m 端子台 0.2m ① 電源を遮断しないと盤の扉が開かない構造 ② 電源を遮断せずに扉が開く構造の場合、 充電部に指などが触れないようにカバー等で保護する必要がある。 25 Q A 装置可動部に作業者の体が挟まれないように 設計したいのですが、なにか基準になる値はありますか? 人体部位が押しつぶされることを回避するための 最小すきまが規定されています。 (JIS B 9711:2002、ISO 例えば図のように、人体が可動部に挟まれないために あけなければならない距離は500mmです。 500mm未満 人体部位 最小すきま 人体 頭 図示 最小すきま 500mm 以上 人体部位 最小すきま 500mm つま先 50mm 300mm 腕 120mm 脚 180mm 手 手首 こぶし 100mm 足 120mm 指 25mm 豆知識 13854:1996) a a 図示 最小すきま 人体部位の挟まれを防止する最小すきまと、 人体部位の侵入を防止する最小すきまは規格が異なります。 26 Q A 危険箇所に上半身が触れないように、安全ガードを設計 したいのですが、なにか基準にする規格はありますか? 「機械類の安全性−危険区域に上肢が到達することを防止するための安全距離」 が規定されています。 ISO13852:1996 JIS B 9707:2002 【保護構造物を越える場合の安全距離】 危険区域の高さ (a) 〔リスクの高い場合の安全距離〕 危険区域 の高さ 保護構造物の高さ (b) 1000 1200 2700 − − − − − − − 2600 900 800 700 600 600 500 400 2400 1100 1000 900 800 700 600 400 2200 1300 1200 1000 900 800 600 400 2000 1400 1300 1100 900 800 600 400 1800 1500 1400 1100 900 800 600 − 1600 1500 1400 1100 900 800 500 − 1400 1500 1400 1100 900 800 − − 1200 1500 1400 1100 900 700 − − 1000 1500 1400 1000 800 − − − 800 1500 1300 900 600 − − − (a) 危険区域 (b) 1600 (a) 1400 単位:mm (c) 900 基準面 単位:mm 1400 1600 1800 2000 2200 危険区域への水平距離 (c) 例:危険区域の高さ (a) =1,400mm、保護構造物の高さ (b) =1,600mmとすると 危険区域への水平距離 (c) =900mm (リスクの高い場合) 以上確保する必要があります。 注1) 危険区域のリスクが高い、低い場合の定義はJIS B9707:2002に記載されていますのでご参照下さい。 ・リスクが低い場合の例:こすれ又は擦りむきの危険源 ・リスクが高い場合の例:巻き込みの危険源 注2) 中間の値の場合は、 より安全側の数値を採用します。 注3) 格子状のガードの場合は、格子の隙間についても別途、安全距離の計算が必要です。 27 Q A 安全回路のフィードバックは何をしているのですか? 安全回路におけるフィードバックは、モータの電源をON/OFFしている リレー/コンタクタの接点溶着を監視しています。 Q. 安全回路のフィードバックって何をしているの? ィードバックは、 モータの電源を A. 安全回路におけるフ ON/OFFしているリレー/コンタクタの接点溶着を 監視しているのだよ。 危険源を止める最終段のリレー/コンタクタの接点が 溶着故障していたら大変危険でしょう? リレー/コンタクタの接点を監視するフィードバックは、 機械の安全を維持するために必要な機能だよ。 フィードバックのしくみ KM2のa接点で溶着すると、KM2のb接点は強制ガイド接点機構/ミラーコンタクト機構により、 0.5mmの間隔を保ち復帰しない。 したがって、 フィードバックループが成立しないため セーフティリレーユニットが再起動せずモータは起動しない。 溶着発生 ドアSW S1 S2 リセット SW KM1 KM1 KM2 KM2 KM2 a接点 溶着 フィードバック ループ セーフティリレーユニット モータ S1、S2:セーフティドアスイッチ KM1、KM2:強制ガイド接点つきセーフティリレーや ミラーコンタクト機構つきマグネットコンタクタ ドア SW リセット SW KM1 b接点 KM1 a接点 KM2 b接点 KM2 a接点 モータ 起動しない 28 Q A ロックアウトとタグアウトとは何ですか? 定められた手続に従ってエネルギー遮断装置に錠/タグを取り付けて、 定められた手続に従って錠/タグが取り外されないかぎり、 エネルギー遮断装置を操作してはならないことを示します。 ロックアウトとは・・・ メンテナンス時等において、作業者が危険領域内に立ち入る際、第三者による誤操作によって装置がふいに 起動しないように、動力源を遮断するだけでなく、その操作部や機械を錠などで施錠することを言います。 なお、施錠した本人以外、 また本人の立会い・確認なしに開錠することはできません。 タグアウトとは・・・ 装置のエネルギー遮断中に、運転や操作を禁止することを警告表示などによって作業者に明示することを 言います。警告表示には「操作禁止」や「始動禁止」など明確に表示されており、装置を操作しないように 警告するものでエネルギーの供給そのものを遮断するものではありません。 注) ロックアウト・タグアウトを行う際は、通常の機械装置の停止作業の後、以下の作業が必要になります。 ①エネルギー源の切断。②エネルギー切断の確認。③残留エネルギーを放出し、機械装置を危険エネルギーゼロの状態にする。 ロックアウト・タグアウトの具体例 ∼ロボットシステム∼ ドア開時、 フタで鍵穴をふさぐ フタ キー フタに南京錠で施錠し、 その鍵を持って設備内に入る ロックアウト 鍵穴 タグアウト 操作を禁止することを 札などによって明示する。 例えば、図のように機械の周りを柵で覆っている設備に おいて、 メンテナンス等で作業者が立ち入る際、万が一 第三者によりドアが閉められ、ロボットを再起動される と、作業者は危険な状態になります。 そこで扉の鍵穴のフタの部分にロックアウト、タグアウ トをすることにより作業者の安全を確保します。 ・作業日付 ・作業者名 ・作業内容 DANGER! DO NOT OPERATE 下記(*) を参照のこと。 関連規格および規則 ・JISB9700 2004年11月 「機械類の安全性−設計のための基本概念」 ・ANSI/RIA R15.06-1999 8. 4 安全防護領域内の要因保護 ・OSHA(米国労働安全衛生局)規則 ブレーカーをロックアウトする場合 (*) ロックアウトとタグアウトは通常セット で使われ、 タグアウトの単独使用は ロックアウトが適用できない場合に 限定されます。 複数の作業者が装置に入る場合 (*) 作業者一人に対して錠一つとタグ 一つを使用し、 ロックアウトを行います。 作業者が三人入る場合は、図のように 三つのロックアウトをします。 JISB9700の発行もあり、日本でも ロックアウト・タグアウトのニーズが高まって きています。 29 電磁ロックドアスイッチの ロックモニタ接点を使う必要はありますか? Q A ロックモニタ接点を使用することをお勧めします。 ①ロックモニタ接点を使わない場合(左図)、例えば、 リリースキーを “UNLOCK” の位置に していた場合、安全回路がONし、負荷が動き出す場合があります。 ②逆にロックモニタ接点を使うと (右図)、 リリースキーが “UNLOCK” の位置になっていても 安全回路がONせず負荷の起動を防ぐことができます。 ロックモニタ接点未使用 ロックモニタ接点未使用 ロック状態 (LOCK/UNLOCK) を検出できない UNLOCK ロックモニタ接点使用 ロックモニタ接点使用 ロック状態 (LOCK/UNLOCK) を検出できる UNLOCK UNLOCK LOCK UNLOCK LOCK 11 12 41 42 11 12 41 42 21 22 51 52 21 22 51 52 31 32 31 32 ソレノイド SW接点 安全回路 ON UNLOCK LOCK 安全回路への入力 SW接点 ソレノイド 安全回路 OFF (*) リリースキー 停電時あるいは緊急時にロックを解除する場合に使います。 工具を用いてLOCK位置からUNLOCK位置にするとロックが解除して安全扉をあけることができます。 ドア開閉検知接点 (11-12) とロックモニタ接点 (41-42) を直列に接続して入力することで、 機械運転中の危険源への侵入を防ぎます。 ドイツの規格 (GS-ET-19) でも要求されています。 30 セーフティリレーユニット/セーフティコントローラの 故障検出機能とはどのようなものですか? Q A セーフティリレーユニットやセーフティコントローラは、異常が発生した 場合にも安全側(機械を止める側) に働く仕組みになっています。 代表的な故障検出機能を以下に挙げます。 【1】断線検知 S1 【2】系統間の短絡検知 S2 S1 S2 断線 ● ● ● ● ● セーフティリレーユニット 【3】入力の短絡検知 S1 短絡 短絡 ● ● ● ● ● セーフティリレーユニット セーフティリレーユニット S1、S2:セーフティドアスイッチ 断線発生 S1 S2 S2 出力 ショート ドア ドア リセット 発生 開 閉 ON ショート発生 S1 断線発生時に 出力OFF 出力 S2 S1 セーフティリレー ユニットの 監視機能により、 短絡を検知し 出力OFF S2 出力 起動しない 短絡中はS1がON 状態のままであり、 再起動しない。 セーフティリレーユニット/セーフティコントローラでは、上記のような入力の故障だけではなく、内部故障や出力の溶着等も検知し、 安全が確認されない場合は再起動させないための安全機能を有しています。 31 国内の安全基準の指針が改正されました 2007年7月31日に厚生労働省により 「機械の包括的な安全基準に関する指針」 が改正されました。 改正の理由として、労働安全衛生法が改正され危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づく措置の実施が 努力義務化されたこと、機械類の安全性に関する国際規格等が制定されたこと等があげられます。 改訂の概要 ◆労働安全衛生法と明確に関連付けられました。 「法第28条の2に規定する危険性又は有害性等の調査及びリスクの低減の実施」 ◆機械の製造等を行う者の実施事項… …危険性又は有害性等の調査及びリスクの低減の手順について明確になりました。 ◆機械を労働者に使用させる事業者の実施事項… …取り組み事項について詳細に規定されました。 ◆指針の具体的な解説により、実際のやり方、考え方が明確になりました。 さらに、JIS (JIS B9700、JIS B9960、JIS C0508 等) との関連が明確になりました。 指針の解説 (厚生労働省労働基準局作成) について、一部をご紹介します。 ● 「合理的に予見可能な誤使用」 が起こりうる場合の解説 ● 「種々の運転モード及び種々の介入方法」 …… JIS B9700-1 の 5.3 を参照 ● リスクの低減方策の 「3ステップメソッド」……… JIS B9700-1 の 5.4 を参照 ● 停止の3つの方式「停止のカテゴリ」 ………… JIS B9960-1の 9.2.2 を参照 ● 適切な部品、 構成品を選択する基準「安全カテゴリ」…… JIS B9705-1 (機械類の安全性 −制御システムの安全関連部−第1部:設計のための一般原則) を参照 ● 制御システムのリスク低減性能を解析する際の指標「安全度水準」 …… JIS C0508 (電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の機能安全)を参照 (機械安全) 改正労働安全衛生法 法令 機械の包括的な安全基準に 関する指針(+解説) 指針 JIS(IEC/ISO) 規格 (製造者・使用者の義務と責任) 詳細は、中央労働災害防止協会 (安全衛生情報センター http://www.jaish.gr.jp) 「法令・通達」に掲載されておりますのでご覧ください。 32 第11次労働災害防止計画が公示されました 平成20年3月19日に厚生労働省により、今後5年間の労働災害防止に関する計画書が公示されました。これは、国・事業 者・労働者が一体となって総合的、かつ計画的に労働災害防止対策に取り組む事ができるように労働安全衛生法の規定に 基づいたもので、今回が第11次となり、平成20年度から平成24年度までの計画になります。 事業者、労働者をはじめとする関係者は自ら積極的に対策を推進し、安全衛生水準の向上に努める事 が求められる事になります。目標と重点対策は次の通りです。 3つの目標 ① 死亡者数について、平成24年において、平成19年と比して20%以上減少させること。 ② 死傷者数について、平成24年において、平成19年と比して15%以上減少させること。 ③ 労働者の健康確保対策を推進し、定期健康診断における有所見率の増加傾向に歯止めをかけ、 減少に転じさせること。 8つの重点対策 1: リスクアセスメント (危険性又は有害性の調査) 及びその結果に基づく措置の実施の促進 4: 墜落・転落災害の防止 2: 化学物質におけるリスクアセスメント及びその 結果に基づく措置の実施の促進 6: 化学物質による健康障害の防止 3: 機械災害の防止 8: メンタルヘルス対策の推進 5: 粉じん障害の防止 7: 健康診断の結果に基づく措置の徹底 機械の災害防止においては、労働災害が多発又は重篤度の高い労働災害が発生している機械等の 種類ごとの安全対策の充実を検討し、必要な措置を講じる必要があります。 具体的には、 「 機械の包括的な安全基準に関する指針」等に基づき、対策を実行することが必要です。 設計時はもちろん、製造現場においても確実にリ スクアセスメントを実施し、十分な安全対策を行 う事が求められています。 労働災害のリスク低減の手法としても国際動向 を踏まえ、規格への適合など、論理的な根拠に基 づく対応が必要です。 詳細は、厚生労働省のホームページでご確認ください http://www.mhlw.go.jp/ 第11次労働災害防止計画書 (PDF) http://www-bm.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei21/index.html 33 危険・有害要因の特定、低減措置の推進 平成18年4月1日より、労働安全衛生法が改正され、危険・有害要因の特定、低減措置を実施する手法の導入が必要となっ ています。改正される内容の1つとして、 リスクアセスメントが努力義務として明文化されていることです。 (第28条の2) 安全管理者を選任しなければならない業種の事業者は、建設物の設置時等、設備、原材料、作業方法や作業手順の新規の 採用時等に労働災害発生のおそれのある危険性又は有害性等を調査し、その結果に基づいて、 これを除去・低減する措置 (リスクアセスメント) を講ずるよう努めなければならないこととなりました。 なぜ労働安全衛生法を改正するのか 昭和48年では製造業における労働災害死者数が1108人でしたが、平成16年では293人まで減少しています。 (図1参照) しかし、一度に3人以上が死傷する重大災害件数は昭和50年以降、ほぼ横ばいに推移しています。 (図2参照) その要因として事業所内の設備や作業の危険性・有害性の調査と、それに基づく対策の不十分さが挙げられます。 (人) (件) 図.1 死亡災害発生状況の推移(製造業) 図.2 重大災害発生状況の推移(製造業) ※図1、図2は厚生労働省ホームページより参照。労働安全衛生法の詳細につきましては、 右記URLをご覧ください。 第79回 全国安全週間 2006.7.1∼7 準備期間:2006.6.1∼30 http://www.mhlw.go.jp/
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