イスラム銀行ドバイ

デット
キャピタル
マーケット
人民元の国際化とアジア債券市場の発展
Stephen Williams
Head of Debt Capital Markets, Asia-Pacific
Date: September 2012
Contents
人民元の国際化
セクション 1
アジア債券市場の発展
セクション 2
2
セクション 1: 人民元の国際化
人民元の国際化の進展
2004

2004年1月

オフショア人民元に
関する個人事業が可
能となる。
2007
2009 – 2010
2007年1月

オフショア人民元建て
債券発行が可能となる
。
2009年6月
人民元のクロスボーダー貿易決済
スキームのパイロット運用開始。




2011年9月2日
民間部門の主導によるロンドンにおけ
るオフショア人民元市場の発展


2011年12月
ロンドンをオフショア人民元ビジネス
の中心とするための確立のためシティ
のイニシアティブ
2012年1月
英国財務大臣と香港金融管理局総裁と
の間のオフショア人民元ビジネスの発
展に関する協力
2012年4月
HSBC銀行がロンドンにおいて初めての
オフショア人民元建て債券の発行を実
行
2011
2012

2011年1月

中国本土の企業がオフショア人民元にて
海外直接投資の形態により海外投資が可
能となる。
2010年6月
人民元のクロスボーダー貿易決済
スキームの拡大。

2011年3月
八つのオフショア銀行がオンショア債券
市場へのアクセスを認められる。
2010年7月
香港におけるオフショア人民元(
CNH)市場の設立。

2011年8月
- 中国財政部の200億元のオフショアソブ
リン債の香港における発行。
- 中国 李克強副総理、オフショア人民元
センターとしての香港を支持。
- 中国本土企業が香港においてオフショ
ア人民元債の発行が可能となる。

2011年10月
人民元の対外直接投資 (FDI)の定型化。

2011年12月
人民元適格海外機関投資家(RQFII)制度開
始。

2010年8月
オンショア人民元銀行間債券市場
の一定のオフショア人民元取扱金
融機関及び中央銀行への開放。

2010年9月
オフショア人民元決済口座の開設
がオフショア銀行に認められる。
出所: HSBC
注記: CNHは、オフショアで決済可能な人民元を対象とする市場を示すコードである。
4

2012 年7月
中国財政部7月期のオフショア
ソブリン債の発行。
2012年9月
アシアタが世界初の人民元建て
スクークの発行に際し値付け
人民元貿易決済額は香港における決済額
出所: 香港金融管理局(HKMA)
5
Jun-12
Jul-12
Apr-12
May-12
Feb-12
Mar-12
Dec-11
Jan-12
Oct-11
Nov-11
Aug-11
Sep-11
Jun-11
Jul-11
Apr-11
May-11
Mar-11
Jan-11
Feb-11
Nov-10
Dec-10
Sep-10
Oct-10
Jul-10
Aug-10
600
May-10
Jun-10
Mar-10
Apr-10
Jan-10
Feb-10
香港におけるオフショア人民元の取引量及び預金の伸長
オフショア人民元預金 (2010 – 2012直近まで)
10億オフショア人民元
700
RMB Market Deposits
RMB Trade Settlement Volume (Monthly)
500
400
300
200
100
0
オフショア人民元発行額
オフショア人民元発行額(累積)
10億オフショア人民元
出所:デール・ロジック
6
世界における人民元
ロンドン
台湾
英国政府及び中国政府は欧米の人民元ハブ市場としてロンドン市場を発展さ
せることを支援。
2011年7月 – オフショア銀行 (OBU) に人民元ビジネスが許容される。
指定オフショア銀行(DBU)への人民元ビジネスの開放。
英国財務大臣と香港金融管理局は民間セクター主導の香港-ロンドンフォーラ
ムを支援。
香港のインフラを介してヨーロッパの取引時間における人民元の支払いを可能
にするため香港の人民元RTGSシステムを拡張。
日本
2011年12月 – 日中首脳、金融に関する協力を合意。
BRICS
2012年3月 – 日銀650億元の中国国債買入れの許可を得る。
2012年3月 – 中国の国家開発銀行(CDB) が、ニューデリーで開催された年次
BRICSサミットにおいて他のBRICS諸国の開発銀行との間で2つの条約/協定
に合意。
2012年6月 – 中国外貨取引センター(CFETS)において日本円・人民元直接
取引スタート。
国家開発銀行が人民元ローンを他のBRICS諸国に供給。
5か国間の取引の増進及びBRICS諸国間における取引のための完全な兌換通
貨実現に対する要求を減じることを目指す。
オーストラリア
2012年7月 – 香港とオーストラリアの間の人民元取引及び人民元投資に関する
対話がスタート。
ドバイ国際金融センター (DIFC)
本年中に人民元の取引の許可が期待されている。
企業に石油取引以外の取引においてアメリカドル又は欧州ユーロに代替し
人民元を利用することを許容。
UAEの中国への石油輸出は引き続きアメリカドルにて決済されることが期
待されている。
中国との通貨スワップに関する協定締結国/地域
アジア: 香港、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、韓国、モンゴル、パキスタン、UAE、ウ
ズベキスタン、カザフスタン
オーストラレーシア: オーストラリア、ニュージーランド
ヨーロッパ: ロシア、アイスランド、ウクライナ、ベラルーシ、トルコ
南アメリカ: アルゼンチン
出典: 香港金融管理局、中国人民銀行、ロイター
7
オフショア人民元市場における国際的発行者
多国籍企業によるトランザクション(任意抽出)
August 2012
August 2012
July 2012
July 2012
July 2012
June 2012
June & May 2012
Sumitomo Mitsui Finance
& Leasing Company
Export and Import Bank of
Korea
Swedish Export Credit
ABN AMRO Bank N.V.
Kreditanstalt für
Wiederaufbau
Korea Development Bank
Societe Generale
RMB500m 4.150% due
2014
RMB500m 3.500% due
2014
RMB500m Reopening
due 2014
RMB600m 4.000% due
2015
RMB1.75bn 3.250% due
2015
RMB1bn 3.300% due
2015
RMB500m 2.375%
RMB150m Reopening
due 2015
May 2012
May 2012
April 2012
March 2012
March 2012
March 2012
March 2012
Kreditanstalt für
Wiederaufbau
Landeskreditbank BadenWürttemberg
HSBC Bank Plc
Raiffeisen Bank
International
Hitachi Capital
Corporation
Ford Motor Company
Emirates NBD
RMB1bn 2.050% due
2014
RMB250m 2.250% due
2014
RMB2bn 2.875% due
2015
RMB750m 4.550% due
2014
RMB1bn 4.875% due
2015
RMB750m 4.875%
RMB250m Reopening
due 2015
March 2012
March 2012
February 2012
February 2012
February 2012
November 2011
November 2011
Alstom
ICICI Bank
Mitsui & Co., Ltd.
Lotte Shopping
America Movil
IDBI Bank Limited
Lafarge Shui On Cement
RMB500m 4.250% due
2015
RMB210m 4.625% due
2015
RMB500m 4.250% due
2017
RM750m 4.000% due
2015
RMB1bn 3.500% due
2015
RMB650m 4.500% due
2014
RMB1.5bn 9.000% due
2014
日本の発行者
8
RMB500m 3.750% due
2015
ロンドンにおける最初に執行されたオフショア人民元債発行
HSBC 銀行
20億元 2.875% 3年 シニア 無担保ベンチマーク型発行
HSBC Bank Plc.
RMB2bn 2.875%
3-year senior unsecured transaction
新たな流通市場
人民元の国際化に関するパイ
オニア的マイルストーン
圧倒的な需要
発行条件の概
要
発行者
発行額
発行形態
発行者格付
発行格付
価格決定日
HSBC 銀行
20億元
シニア 無担保
Aa3 / A+ / AA (Moody’s/S&P/Fitch)
Aa2 / AA- / AA (Moody’s/S&P/Fitch)
2012年4月18日
決済日
償還期日
利率
再オファー利回り
再オファー価格
上場先
2012年4月30日
2015年4月30日
年律2.875%
3.000%
99.644%
ロンドン証券取引所
ロンドンにおいて執行されたディールを成功裏に行った最初の発行者
 HSBC 銀行は、その最初のオフショア人民元の発行案件を2012年4月18日(水)に公表した。この取引は特に欧州の投資家を対象とする
タイプの最初の案件であったことにより新境地を開いた。欧州における消化が首尾よく60%に達し、目標を満たした。
 HSBCは、ロンドン証券取引所の個人投資家向け債券取引システム(ORB system)においてその債券取引が認められることを目指して
いた。
現在進行中の人民元の国際化のためのマイルストーン
 人民元の国際化と2番目のオフショア人民元センターとしてロンドンを奨励するためのHSBCの継続的な努力を、同取引は示している。
 同取引の成功が、人民元の国際的発行に関する主導的な業者である HSBCの立場をより強固なものにしている。
強力なマーケットレスポンスにつながった戦略的執行
 2012年4月16日(月)に公表された一連のインベスター・コールが投資家の関心を惹きつけ、同取引はベンチマークとして、 3% –
3.25% の当初ガイダンスと共に香港市場の開設時に公表された。
 この戦略は、アジアにおける、また、欧州市場の開設に対する強固な需要を確保し、発行者はガイダンスを3%に変更する一方、人民元
の最少発行単位を20億元に向上させることができた。
 投資者からの良好な反応を得て、100以上の優良顧客から42.5億元を超える発注があった。
9
最初のSEC登録オフショア人民元債発行
アメリカ モビル (AMX)
10億元 3.500% 3年 シニア無担保ノート
América Móvil
RMB1bn 3.500%
3-year senior unsecured transaction
市場を拓いた取引
革新的な発行形態
発行条件の概
要
発行者
発行額
発行形態
順位
I発行者格付
América Móvil S.A.B. de C.V.
10億元
SEC 登録
シニア 無担保
A2 / A- / A (Moody’s/S&P/Fitch)
価格決定日
償還期日
利率
上場先
2012年2月1日
2015年2月8日
年率3.500%
ルクセンブルグ証券取引所
南アメリカからの発行増加への道を拓く
 この画期的な取引は南アメリカの発行体に全く新しい市場を効果的に開くとともに、世界中の伝統的な市場、非定型な市場双方において顧客
のために最良の金融手段を探求するHSBCの強力な公約を反映している。
 2012年の最初のオフショア人民元社債発行は、(中国国営企業による発行を除き)2011年11月後半以降不活発であった点心債市場を成功裏に再
開させた。
SEC がオフショア人民元による発行を登録
 アメリカモビルが初めて発行した点心債は同時に、SECに登録された最初のオフショア人民元債でもある。
戦略的執行
綿密に計画された執行
 アジアのビジネスの終了時刻までに本件発行総額に対しては完全に引受がなされたものの、シ団は、米国の顧客からの追加的な需要に対応す
るため、ニューヨーク営業時間中2時間発注を受け付けた。
市場における強い需要
極めて順調に約20億元の受注に成功
 AMXの画期的な取引は2月1日の香港市場の開始時に、特にアジアで12月に行われたロードショーに参加し、当該発行を期待していた顧客から
の早急な大量注文と共にスタートした。
 60を超える顧客からの総額約20億元の発注により、 AMXは当初価格ガイダンス (3.500% - 3.600%)の下限であった利率3.500%で10億元の人
民元債の発行を行うことができた。
10
最初の格付けされたイスラムオフショア人民元債発行
アシアタグループ (アシアタ)
10億元 3.750% 2年 イスラム シニア無担保ノート(スクーク)
Axiata Group Berhad
RMB1bn 3.750%
2-year Islamic senior unsecured
transaction
画期的な取引
発行条件の概
要
発行者
債務者
発行額
形態
順位
発行者格付
発行格付
Axiata SPV2 Berhad
Axiata Group Berhad
10億元
規則 S
シニア 無担保
Baa2 / BBB (Moody’s/S&P)
Baa2 / BBB- (Moody’s/S&P)
価格決定日
決済日
償還期日
利率
上場先
2012年9月11日
2012年9月18日
2014年9月18日
年率3.750%
シンガポール証券取引所、マ
レーシア証券取引所
オフショア人民元市場における更なるイスラム債発行者のために道を拓く
 この画期的な取引は世界最初の格付けされた人民元建てのスクークの発行であり、オフショア人民元債の発行体に全く新しい市場を効果的に
開くとともに、顧客のために最良の金融手段を探求するHSBCの強力な公約を反映しており、かつ、人民元市場に多様な発行体を参入させるも
のとなった。
 この取引は、現時点で世界最大の人民元建てスクークの売り出し案件である。
革新的形態
100%通信利用料債権を裏付け資産とする世界最初の人民元建てスクーク
 アシアタの最初の点心債は、100%通信利用料債権を裏付資産とする世界最初の人民元建てスクークであり、イスラム金融の革新を主導するに
おけるHSBCの役割を再認識させた。
市場における強い需要
極めて順調に約35億元の受注に成功
 アシアタの画期的取引は2012年9月11日に開始され、非常に強い顧客の需要を呼び起こし、当初の4.00%近辺から、 3.75% - 3.85%に価格ガ
イダンスを変更するとともに、取引を当初提案の5億元から増額することができた。
 80超の顧客からの受注により、最終的に当初提案のおよそ7倍となる35億元を超える受注を得て、アシアタは、最終価格ガイダンスの下限と
なる年率3.750%で、10億元の発行を行うことができた。
 同取引では、ファンド(62%)、銀行(22%)、民間銀行(14%)及び事業法人(2%)からなる広範な投資者により引受が行われた。香港の
投資家には55%、シンガポールの投資家には28%、マレーシアの投資家には13%をそれぞれ配分され、残りは欧州その他の投資者に配分され
た。
11
人民元市場の潜在力
 米ドル及びユーロに次いで、人民元は英ポンドに変わり世界第3位の貿易決済通貨としての役割を期待されている。
 2兆ドル超すなわち新興国との中国の取引総量の2分の1が2013年から15年にかけて人民元で
決済されることが予想されている。 (1)
 国内金融インフラを強化するための一層の金融改革
 人民元の完全な兌換性に向けた方策
2010-2011
2015 以降
2013-2015
注記:
(1) HSBCの社内予測
12
セクション2:アジア債券市場の発展
アジア及び新興市場が引き続き発展する予測
新興市場への資金流入は2012
年前半に堅調な成長が見られ
、2012年後半においても引き
続き安定的に推移すると予想
される。
この結果、総計約941億ドルの
173を超える米ドル建て取引が
行われている。
投資者の強い需要は2012年上
半期の日本を除くアジアにお
けるG3債券における強力なリ
バウンドとして表れ、本年末
まで続くと予想されている。
投資適格アジア銘柄インデッ
クスは、2011年の250bpsを超
える水準から、現在は110bps
から130bpsになっている。
世界信用インデックス(bps)
300 bps
300 bps
250 bps
250 bps
200 bps
200 bps
150 bps
150 bps
100 bps
100 bps
50 bps
Jan-10
出所: Bloomberg, 2012年9月20日現在
50 bps
Jul-10
Jan-11
iTraxx Asia ex-JP IG
14
Jul-11
iTraxx Europe Index
Jan-12
Jul-12
CDX North America IG
アジアにおける米ドル建て債券の発行は記録的水準
2012年に入り、アジアにおける
米ドル建て債券の発行市場は、
発行者が安定した市場を背景に
発行の機会に誘われたことから
堅調なスタートを切り、2011年
下半期における発行の不足によ
る投資者の需要を取り込んだ。
2012年直近では、 173件の米ド
ル建ての取引、総額941億ドルが
価格決定されている。
アジアにおける米ドル建て債券の月間発行額 (累積)
USD m
100,000
90,000
80,000
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
Jan
Feb
Mar
Apr
出所: Bloomberg, 2012年9月20日現在
May
2012
15
June
2011
July
2010
Aug
2009
Sep
Oct
Nov
Dec
G3 債券の発行に関する分析 (2012年直近まで)
期間による内訳
格付による内訳
AAA (2%)
<5 years (3%)
AA (9%)
5 years (40%)
A (36%)
5 to 7 years (12%)
BBB (27%)
10 years (33%)
BB (11%)
> 10 years (12%)
B (4%)
NR (11%)
起債国による内訳
発行体による内訳
China (17%)
Hong Kong (19%)
Corporate (60%)
India (6%)
Indonesia (9%)
Korea (19%)
Financial Institutions (30%)
Malaysia (6%)
Mongolia (1%)
Philippines (8%)
Sovereign (10%)
Singapore (10%)
Sri Lanka (1%)
Thailand (3%)
出所: HSBC, Bloomberg, 2012年9月20日現在
Vietnam (1%)
16
アジア債券市場のパフォーマンス向上
日本を除くアジアでの発行額 1999年 – 2012年直近まで
10億米ドル
250
250
• 急成長する債券市場
• 資金の源泉は、銀行もしくは
• 幅広い品揃え
関係先からの貸付が太宗を占
める
• より市場に精通した発行者と
• 発行体の多様性、商品種別及
投資者
び厚みの不足
• 新たな市場
200
200
150
150
100
100
5050
00
1999
1999 2000
2000 2001
2001 2002
2002 2003
2003 2004
2004 2005
2005 2006
2006 2007
2007 2008
2008 2009
2009 2010
2010 2011
2011 2012
2012
G3
Local Currency
出所: Bloomberg, 2012年9月20日現在
17
CNH
アジアの発行体の一層の多様化
日本を除くアジアのG3債発行の国別分布
100%
Vietnam
Taiwan
Sri Lanka
80%
Pakistan
Mongolia
Macao
60%
Thailand
Malaysia
40%
Singapore
India
Philippines
20%
Indonesia
China
Hong Kong
0%
1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
出所: ディール・ロジックD, 2012年9月20日現在
18
South Korea
アジア債券市場の見通し
テーマ
• アジア域内通貨建て債券市場の重要性の向上 – 近年における目を見張る成長、特にオフショア
人民元建て
• プライベートバンクの投資家としての参加増大 – アジアG3及び域内通貨建ての発行市場に積
極的に参加し、特に格付未取得もしくは初回発行の発行体の起債を促進
• 高度な商品開発の促進 – 例:ハイイールド債、負債性資本、スクーク、物価連動債
• ミドルマーケット発行体の参入急増 – 特にバーゼルⅢ以降
19
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