在パナマ大 海外安全対策情報(平成25年第2四半期) 1.社会・治安情勢 (1)本年上半期にパナマ国内で発生した殺人件数(暫定値)は364件(前年同期比プ ラス6)で,最も多かった月は5月(72件)であった。地区別に見ると,殺人件数 の最も多かった地区はクリストバル地区(コロン市)の15件で,続いてフアン・デ ィアス地区(パナマ市)の14件,ペドレガル地区(パナマ市)とベリサリオ・ポラ ス地区(サン・ミゲリート市)の13件であった。県別に見ると,人口10万人当た りの殺人被害者数が最も多かった県はコロン県(17人)であった。また,国内にお ける銃器の違法流通を背景に,殺人のうち約90%は銃器使用,殺人被疑者の約60 %は30歳以下となっている。 (2)5月18日,パナマ県チェポ市で暴漢に刃物で襲われ死亡したMikel Illarramendi Zabaleta(46歳男性)がテロ組織ETA(バスク祖国と自由)のメンバー(ロジ スティックス担当)であったことが判明した。Illarramendiは約2年前,職を求めバ スク地方からパナマに入国後,永住許可を得て漁業を営んでいたとされるが,麻薬密 売組織への関与やパナマ国内でのシンパ獲得が取りざたされ,こうしたテロ関係者の 国内浸透には注意を要する。 (3)パナマ国内におけるパンディージャス総数は増加傾向にあり,2012年には7, 500人と5年前と比べ約5.4倍増加した。とりわけパナマ市エル・チョリージョ 地区は,3派14グループのパンディージャスがしのぎを削る危険エリアであり,6 月21日にはグループ間の抗争と見られる殺人事件が,エル・チョリージョ地区から 飛び火し白昼の在留邦人集住地区で発生するなど,抗争の余波が拡散傾向にある。 (4)ディアブロ・ロホに代わり新たな市民の足として登場したメトロブスに関し,バス 停やバスカード取扱所の数が少ないとして,サービス改善を訴える学生等により抗議 デモや道路封鎖が散発的に行われたが,機動隊が対応し大きな混乱には至らなかった。 とは言え,とりわけ低所得者層にとって関心の的である本件に関し,彼らの不満が鬱 積するようであれば事態悪化の虞は否定できず,引き続き警戒が必要である。 -1- 2.一般犯罪・凶悪犯罪の傾向 (1)犯罪統計(暫定値) 2013年1~5月におけるパナマ市中心部の犯罪統計は以下のとおり。 ※ 在留邦人集住地区 ベジャ・ビスタ地区 サン・フランシスコ地区 (単位:件数) (2)邦人被害事案 ア 車上狙い(被害者:在留邦人) 4月6日(土)午後0時50分頃から午後5時50分頃までの間,パナマ市ベジ ャ・ビスタ地区のマンション駐車場において,自車を駐車した際,ドアロックの確 認を十分にしないまま自車から離れた隙に,車内のスーツケース等が盗まれたもの。 イ 強盗(被害者:邦人旅行者) 4月19日(金)午後8時頃,パナマ市サン・フェリペ地区(カスコ・アンティ -2- グオ)の路地裏を散策中,突然「MONEY,MONEY」と言いながら接近してきた20~ 30代の男性1名に壁際に抑えつけられ,鞄を強奪されたもの。 ウ かっぱらい(被害者:邦人旅行者) 5月14日(火)午後0時20分頃,パナマ市カリドニア地区のとあるホテル前 において,ホテルの空室状況を確認するため,タクシーのトランクにリュックを載 せたままタクシーから離れた隙に,タクシーに逃走されたもの。 エ 置引き(被害者:在留邦人) 5月29日(水)午前10時頃,トクメン国際空港内のレストランで食事中,付 近に置いておいたリュックがなくなっているのに気付き,防犯カメラ映像で確認し たところ,隣のテーブルの客が傘の柄の部分でリュックを引っかけて盗んでいる様 子が映っていたもの(継続捜査中)。 3.殺人・強盗等凶悪犯罪の事例 (1)四半期中の邦人集住地区等における犯罪事例(殺人) ア 5月2日(木)午後7時頃,パナマ市内にある魚市場「メルカド・デ・マリ スコス」前で若者が拳銃を発射し,付近にいた1人が胸に銃弾を受けまもなく 死亡,2人が怪我を負った。 イ 6月8日(土)明け方,パナマ市ベジャ・ビスタ地区のホテル駐車場で,カ ジノを終え外に出た男(33歳)が体中を銃撃され死亡した。一緒にいた友人 も銃撃により怪我を負った。死亡した男は,以前エル・チョリージョ地区に居 住していたパンディージャス「Bagdad」のメンバーと見られる。 ウ 6月16日(日)午前3時20分頃,パナマ市ベジャ・ビスタ地区ウルグア イ通りで車を運転中の男性(27歳)が,犯人グループに追跡の上銃撃され, 背中に2発命中し死亡した 。死亡した男性はサンタ・アナ地区に居住していた。 エ 6月21日(金)午後2時10分頃,パナマ市サン・フランシスコ地区プン タ・パイティージャ区クラブ・ユニオン付近路上で,パンディージャス「Tost ada」のメンバーだったと見られる男(27歳)が車を運転中,犯人グループ の車とバイクに追跡され,行く手を遮られると,自動小銃で約30発の銃弾を 浴びせられ即死した。 -3- (2)四半期中の邦人集住地区等における犯罪事例(強盗) ア 4月18日(木)午後1時頃,パナマ市ベジャ・ビスタ地区アルゼンチン通り の会社に2人組の男が押し入り,拳銃で従業員を脅し,現金96,000ドルを 強奪しバイクで逃走した。 イ 4月23日(火)午後8時頃,パナマ市サン・フランシスコ地区パイティージ ャの駐車場警備小屋で,拳銃を持った2人組の男が警備員や客を脅し,さらには 催涙スプレーを噴射した上で,レジスターから現金1,600ドルを強奪し逃走 した。 ウ 6月12日(水)午後,パナマ市サン・フランシスコ地区のブティックに3人 組の男が拳銃を持って押し入り,現金約500ドルや商品数点を強奪してタクシ ーで逃走した。その後,警察の捜索により3人とも逮捕され,拳銃はおもちゃの 拳銃であることが判明した。 (3)その他 ア 4月7日(日)午後0時頃,パナマ市12月24日地区で帰宅途中の男性(3 5歳)が3人の男に行く手を遮られ,拳銃で12発の銃弾を浴びせられ死亡した。 死亡した男性は以前,「Los Perros de San Joaquín」というパンディージャスの メンバーであった。 イ 4月9日(火)午後10時15分頃,チリキ県プエルト・アルムエジェ地区の 住宅にいた男性(27歳)に,覆面をした2人の男が接近し,拳銃で9発の銃弾 を浴びせ殺害した。 ウ 4月15日(月)午後9時頃,パナマ県ラ・チョレーラ市の住宅に帰宅した男 性(64歳)に,暴漢が接近し,拳銃で12発の銃弾を浴びせ殺害した。 エ 4月17日(水)午後7時頃,パナマ市フアン・ディアス地区のショッピング センター駐車場で,車内にいた男性(43歳)に暴漢が接近し,拳銃で17発の 銃弾を浴びせ殺害した。 オ 4月20日(土)明け方,サン・ミゲリート市内を男性(22歳)が車で移動 中,これを追跡してきたパンディージャスによって銃撃され,18発の銃弾を浴 びせられ死亡し,同乗者2人も怪我を負った。車には43箇所の弾痕が認められ た。 カ 4月22日(月)午前,パナマ市ペドレガル地区のバス停で,殺人の罪による -4- 服役を終え出所した男性(32歳)が何者かによって12発の銃弾を浴びせられ 死亡した。 キ 4月25日(木)午後,サン・ミゲリート市内を歩行中の男性が,拳銃を持っ た2人組の男に襲われ,29発の銃弾を浴び死亡した。2人組は,この男性が本 来の標的ではなかったにもかかわらず,見誤って殺害した由。 ク 5月7日(火)午後7時30分頃,パナマ市トクメン地区を男性(34歳)が 車で走行中,突然3人組の男に行く手を遮られ,拳銃で撃たれ即死した。運転席 側ドアには30箇所以上の弾痕が認められた。 ケ 5月8日(水)午前7時5分頃,パナマ市エル・チョリージョ地区のマンショ ン前で,パンディージャス「Calor Calor」の男性(21歳)が,対立するパンデ ィージャス「BB」の男性2人によって拳銃で14発撃たれ死亡した。このマンシ ョンの15階には「Calor Calor」の拠点があった。 コ 5月10日(金)午後5時20分頃,パナマ県アライハン市ベラクルス地区を 男性が歩行中,3人組の男に囲まれ路上に押し倒されると,至近距離から拳銃で 撃たれ死亡した。被害者は以前,エル・チョリージョ地区に居住していた。 サ 5月19日(日)午前3時頃,パナマ市クルンドゥ地区の新設住宅付近にいた 男性(26歳)が,接近してきた車に乗った犯人グループにより,拳銃で12発 撃たれ死亡した。古くからの怨恨が原因と見られる。 シ 5月22日(水)午後,コロン市内の路上で,2人の男性が何者かによって至 近距離から拳銃で撃たれ死亡した。2人のうち28歳男性は15発,25歳男性 は4発の銃弾をそれぞれ浴びせられた。 ス 5月24日(金)明け方,チリキ県ダビ市内の警備会社に保管してあった小銃, 拳銃等17点が盗まれた。犯人は従業員が交替のため席を外した隙に犯行に及ん だと見られる。 セ 5月24日(金)午後9時45分頃,パナマ県アライハン市ヌエボ・アライハ ン地区で少年(17歳)が2人組の男に襲われ,60発の銃弾を浴びせられ死亡 した。犯人はタクシーで逃走したが,警察によりまもなく逮捕された。 ソ 5月30日(木)午後4時頃,サン・ミゲリート市内の自動車整備工場前にい た男性(37歳)が,高級車から降りてきた男に拳銃で20発撃たれ死亡した。 犯罪組織間のトラブルと見られる。 -5- 4.テロ・爆弾事件発生状況 なし。 5.誘拐・脅迫事件発生状況 日本人の被害は報告されていない。 なお、四半期中の犯罪事例は以下のとおり。 (1)誘拐 ア 4月18日(木)午後2時頃,パナマ市フアン・ディアス地区で,ニカラグア人 の男女が4人組の男に車で連れ去られた。警察が捜索するも現時点未発見である。 イ 6月下旬,パナマ市パルケ・レフェブレ地区で,パナマ在住のペルー人男性(4 6歳)が2人組の男に連れ去られ金を請求されたものの,事件から3日後,解放さ れた。犯人は2人とも逮捕された。 (2)その他 パナマ県,コロン県等で,計18件の行方不明事案の発生が確認されている。 6.日本企業の安全に関わる諸問題 なし。 (了) -6-
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