高齢者や衰弱者の進行癌に対する低温岩盤浴の有用性 ー特に膵臓癌

高齢者や衰弱者の進行癌に対する低温岩盤浴の有用性
ー特に膵臓癌に対する効果について―
Effectiveness of low temperature- base rock bath remedy
for advanced cancer of elderly and debilitated patients.
-Effectiveness , especially, for the pancreas cancer-
篠崎 洋二1)
笠原 真悟3)
矢野 純子1)
佐野 俊二3)
宇都宮紫1)
上者 郁夫2)
1)医療法人 篠洋会 篠崎クリニック
2)岡山大学大学院保健学研究科
3)岡山大学大学院医歯薬総合研究科 心臓血管外科
目的
昨年の第12回日本補完代替医療学会にお
いて、岩盤を選べば、低温岩盤浴は単独療法
として、高齢者や心不全などの重篤な病気を
抱えた病人にも安全に適応でき、更に進行癌
の治療法として有益であることを示した。
今回、我々は主として、11例の膵臓癌に対す
る治療効果について報告する。
方法
•11例の膵臓癌について低温岩盤浴を施行した。
•青龍石の岩盤を用いて、36℃‐39℃、40分程度の
低温岩盤浴を、原則、週4回以上施行し、進行癌に
対する効果をCT等により判定した。
•膵臓癌以外の進行癌との比較において、遜色のな
い有効率と生存率を認めた。
低温岩盤浴って?
•一般的な岩盤浴には、欠点があります。40度以上の高温で行なう岩盤浴
では、高齢者や心不全などの病気を持つ方にはリスクが高いのです。
•ところが、質の高い岩盤では、36-39度の低温でも十分、岩盤浴の特性
を発揮するのです。
•低温岩盤浴においては、たとえ高齢者や病人であっても安全に岩盤浴を
楽しむことが出来るのです!
ドーム型
岩盤ベッド
温度の微調整が可能です。
【青龍石の成分の特徴】
①鉄分豊富
通常の岩石の中には、鉄分は多く入っていても
5%程度が一般的。対して、青龍石には、16%
もの鉄分(酸化鉄)が含まれる。
■鉄分の特徴
温泉でも、鉄分と空気中の酸素が反応し茶褐
色となる「 酸化鉄温泉」は、身体の芯から温まり、
湯冷めしにくい。血液の循環をよくし、貧血や婦
人病に効果があるとされている。
②酸化チタンを含有
通常の岩石の中には、ほんのわずかしか含ま
れていないチタンが、青龍石の中に1.7%も存在
する。
■酸化チタンとは
太陽光、蛍光灯の光が当たるだけで、汚れなど
の有機物を酸化還元し、水と二酸化炭素に分解
する光触媒作用のある物質。防臭・防汚・抗菌
効果、また傷口を消毒作用する効果がある。
青龍石のデータ
麦飯石No3のデータ
成分(%) :
酸化けい素63.7 / 酸化アルミニウム18.4 / 酸化鉄2.83 /
酸化カリウム5.09 / 酸化チタン0.46 / その他
作用 :
肥満・美肌・疲労回復
血液リンパ系悪性腫瘍の有効例
36-39℃の
低温岩盤波動浴の
心臓機能の保護効果
BNP値の変化
BNP値の変化
90.0
80.0
岩盤
浴前
岩盤
浴後
№1
30.8
28.5
92.5%
-7.5%
№2
74.8
52.7
70.5%
-29.5%
比率
岩盤浴
前後比
70.0
60.0
50.0
№3
82.4
44.3
53.8%
-46.2%
№4
23.5
8.1
34.5%
-65.5%
№5
17.0
32.3
190.0%
90.0%
№6
43.5
12.6
29.0%
-71.0%
№7
8.5
6.5
76.5%
-23.5%
40.0
30.0
20.0
10.0
№8
38.6
37.9
98.2%
-1.8%
№9
66.0
36.3
55.0%
-45.0%
0.0
岩盤浴前
岩盤浴後
NK細胞活性の変化
36-39℃の
低温岩盤波動浴の
免疫能の改善効果
NK細胞活性
60
50
岩盤 岩盤
浴前 浴後
比率
岩盤
浴
前後
比
№1
41
47 114.6%
14.6%
№2
38
42 110.5%
10.5%
40
30
20
№3
50
48
96.0%
-4.0%
№4
20
36 180.0%
80.0%
№5
57
55
-3.5%
96.5%
10
0
岩盤浴前
岩盤浴後
有効症例提示(低温岩盤浴単独療法)
 症例1. 81歳 女性 PR
 膵体部癌(手術不能例)
 症例2. 85歳 女性 PR
 膵頭部癌(手術不能例)
 症例3. 65歳 女性 CR
 膵頭部癌(手術不能例)
 症例4. 85歳 男性 MR
 膵頭部癌(手術不能例)
 症例5. 84歳 女性 PR
 膵頭部癌(手術不能例)
進行膵臓癌の一例(81才、女性)
青龍石を用いた低温岩盤浴のみで治療をおこなった。
2ヵ月後、腫瘍が縮小
膵臓周囲から
癌浸潤が消滅
大動脈
800
大動脈
07.5.12
PR
岩盤浴前
CA19-9
07.7.28.
738
700
600
腫瘍マーカーの推移
500
400
365
岩盤浴後
300
200
174
100
症状も著明に改善した。
0
術前
術後
岩盤浴後
青龍石を用いた低温岩盤浴
単独で治療をおこなった。
膵頭部癌(Stage III)の一例(85才、女性)
十二指腸・総胆管
への癌浸潤++
腫瘍縮小
1群リンパ節+
周囲組織への
癌浸潤改善
1群リンパ節消失
低温岩盤浴
十二指腸
退院
10/03/15
十二指腸
09/10/20
腫瘍縮小
総胆管周囲の
癌浸潤消失
低温岩盤浴
(外来)
総胆管
総胆管付近の腫瘍は
完全に消失した。
PR
退院
低温岩盤浴
(入院)
十二指腸
10/07/17
主膵管
十二指腸
総胆管
10/09/04
膵頭部癌(Stage III)の一例(65才、女性)
青龍石を用いた低温岩盤浴のみで治療をおこなった。
総胆管。主膵管周囲
への癌浸潤++
周囲組織への
癌浸潤改善
1群リンパ節++
1群リンパ節縮小
膵頭部腫瘍は
十二指腸に浸潤
低温岩盤浴
腫瘍縮小
10/06/15
09/11/08
低温岩盤浴
周囲組織への
癌浸潤消失
低温岩盤浴
1群リンパ節縮小
腫瘍消失
10/08/04
PR
10/09/29
膵頭部癌(Stage IV)の一例(84才、男性)
青龍石を用いた低温岩盤浴のみで治療をおこなった。
膵頭部腫瘍は
胆嚢・胆嚢周囲に浸潤
1群リンパ節++
膵頭部腫瘍は
胆嚢・胆嚢周囲に浸潤
1群リンパ節縮小
主腫瘍縮小
低温岩盤浴
胆嚢・胆嚢周囲浸潤
改善
瘍
低温岩盤浴
1群リンパ節縮小
主腫瘍縮小
PR
膵頭部癌(Stage I)の一例(85才、女性)
膵頭部腫瘍は総胆管・
主膵管周辺に浸潤
1群リンパ節なし
青龍石を用いた低温岩盤浴
単独で治療をおこなった。
総胆管周囲の主腫瘍は著明に縮小
低温岩盤浴
PR
10.9.29
10.8.30
主膵管
主膵管
十二指腸
十二指腸
総胆管
10.10.25
総胆管
(拡張)
15
低温岩盤浴単独療法の有効率
全11例
膵臓癌に対する低温岩盤浴の効果
CR
CR
PR
MR
NC
PD
合計
PR
MR
1
4
1
NC
PD
9%
36%
37%
1
9%
4
11
9%
有効例
CR+PR=46%
非進行例 [CR+PR+MR]+NC=64%
16
カプランマイヤー法による
低温岩盤浴単独治療群の生存率
膵臓癌に対する低温岩盤浴の効果
1.00
生存率
0.80
0.60
転移有
0.40
転移無
0.20
0.00
0
200
400
生存日数
600
800
17
進行癌(Stage III/IV)における
低温岩盤浴の生存率(カプランマイヤー法による)
化学療法併用/非併用群における
低温岩盤浴治療の生存分析
1.00
0.80
生存率
化学療法・放射線併用群の生存曲線
0.60
0.40
低温岩盤浴単独の生存曲線
0.20
0.00
0
500
1000
生存日数
1500
低温岩盤浴の一般の症状に対する効果は?
著
効
改
善
消化器系
便秘
1
神経系・関節
痛
痛み
1 11
自律神経系
動悸
精神・神経系
不眠症
0
3
4
2
2
1
倦怠感
意識障害
循環器系
浮腫
冷感
炎症
呼吸器系
合
血栓性静
脈炎
喘息
計
不
変
悪
化
悪
化
0%
改
善
93%
1
1
2 25
不
変
0%
0
0
著
効
7%
結論
1. 膵臓癌11症例のうち、Ⅰ例がCR、4例(40%)
がPR、1例(10%)がMRの効果判定であった。
2. 特に遠隔転移および腹水のない膵臓癌5例
はいずれもCR・PRの効果判定が得られた。
考察
1. 低温岩盤浴は高齢者や衰弱者に対し、安全
かつ有益に適応できる方法と思われた。
2. 適切な岩盤を選べば、進行癌に対する良好
な治療法として、最新の抗癌剤に匹敵する
有効性が認められた。
3. この方法は誰に対しても手軽にかつ安価に
使用できることから、後期高齢者等における
進行癌の治療法及び予防法として有力な方
法となると思われる。