-地球文明の危機〔環境編〕- 『地球文明の危機〔環境編〕』 稲盛和夫編 第 1 版 はじめに ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 01 (稲盛和夫) 第1章 限界に近づいている地球システムの中の「人間圏」 ・ ・ 01 (松井孝典) 第2章 地球文明の未来を予告しているアフリカの惨状 ・ ・ ・ ・ 02 (石 弘之) 第3章 脳科学の立場から見た人間・文明・環境 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 03 (甘利俊一) 第4章 利他的遺伝子の優越する生命文明の地平に向かって 04 (大橋 力) 第5章 現代文明は科学技術で滅びるのか ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 06 (伊東俊太郎) 第6章 新たな文明原理は危機の時代に生まれた ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 08 (安田喜憲) おわりに 「成長の限界」から「生存の限界」へ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 08 (安田喜憲) 参考 ◇ 人類の危機を救う消費者の安全論(竹田 正) ・ ・ ・ ・ ・ ・ 09 ◇ 「心」の豊かさを追求する時代(北野 大) ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 10 -地球文明の危機〔環境編〕- 『地球文明の 地球文明の危機〔 危機〔環境編〕- 環境編〕-新 〕-新たな文明原理 たな文明原理をどう 文明原理をどう構築 をどう構築するか 構築するか』 するか』 (稲盛和夫編、 稲盛和夫編、東洋経済新報社、 東洋経済新報社、2010 2010年 10年) ◇はじめに 過去の、人類文明史を紐解いた時、永遠不滅 永遠不滅の 永遠不滅の文明などは 文明などは存在 などは存在 しなかった。 とりわけ自然を一方的に収奪する文明の寿命は短く、 しなかった その収奪の規模が大きければ大きいほど繁栄の度合いも大きく、 それと同時に崩壊もまたドラスティックであった。 これまでにない巨 大な規模で自然を収奪し、破壊しつくしている現代文明 現代文明の 現代文明の終焉がま 終焉がま もなく訪 もなく訪れるであろうという予測 れるであろうという予測は 予測は、おそらく正 おそらく正しいであろう。 しい ならばこの現代文明はいつ、どのように崩壊し、我々の未来に待っ ているものはどのような世界なのかを解明し、その危機に対して「警 鐘」を鳴らすとともに、来るべき危機は、どのようにすれば乗り越え られるのかについて、「方策」と「解」を提言する必要がある。 本書ではまず、過去の文明は地球環境変動との関係において、 過去における における文明興亡 文明興亡の 実態を どのように興亡したのか、その過去 過去 における 文明興亡 の実態 を、気 候変動や 候変動や森林破壊など 森林破壊など高精度 など高精度の 高精度の環境史との 環境史との関係 との関係において 関係において、 において、再考察 する。 する それだけではない。 環境の変動が人間の生理・心理・行動様式 にいかなる影響を与え、それが政治や経済活動の変化といかに関 わっていたかについても考察する。 これまでの研究によって、過去の文明の興亡においては、自然を 一方的に収奪し、短期間に繁栄し、ドラスティックに崩壊した文明と、 地味ながらも 地味ながらも自然 ながらも自然と 自然と共生した 共生した循環的 した循環的・ 循環的・持続的に 持続的に生きた文明 きた文明が 文明が存在し 存在し たことが明らかとなっている。 21世紀 21世紀は 世紀は、限られた地球資源 られた地球資源の 地球資源の中で、いかに人類 いかに人類がその 人類がその繁栄 がその繁栄を 繁栄を 維持するかが 維持するかが問 するかが問われる時代 われる時代となる。 この21世紀の地球環境と文 時代 明の危機を生き抜くためには、自然と共生し、循環的・持続的に生 きた文明の価値の再発見が必要である。 その素晴らしさを、環境との関係において解明し、その叡智を、 未来の文明の構築のために、いかに活かすかについても、本書で は考える。 自然と共生し、循環的・持続的に生きた文明の叡智を、どのよう にすれば未来の文明の構築に役立てることができるかについて考 地球環境を え、地球環境 地球環境を激しく収奪 しく収奪する 収奪する現代 する現代の 現代の物質・ 物質・エネルギー文明 エネルギー文明は 文明は、い つ頃、どのように崩壊 どのように崩壊するか 崩壊するかを予測し、警鐘を鳴らし、その崩壊の するか 危機を回避するためには、いかなる文明をどのように創造していけ ばよいかについて、「方策」と「解」を提言することを目指す。 私たちの船 たちの船は大海に 大海に浮かぶ小 かぶ小さな小船 さな小船だが 小船だが、 だが、その小船 その小船が 小船が警笛を 警笛を 鳴らせば、 らせば、それに呼応 それに呼応して 呼応して、 して、あちこちで警笛 あちこちで警笛を 警笛を鳴らす小船 らす小船が 小船が出てき て、それが大 それが大きな渦 きな渦になっていくことを期待 になっていくことを期待する 期待する。 する 2010年 9月 稲盛財団理事長 稲盛 和夫 - 1 - ◇第1章 限界に 限界に近づいている地球 づいている地球システム 地球システムの システムの中の人間圏( 人間圏(松井) 松井) ○宇宙からの 宇宙からの視点 からの視点で 視点で考える「 える「人間圏」 人間圏」 地球の中には、さまざまなサブシステム(構成要素)が含まれる。 例えば大気、海、生物圏、地殻、マントル、コア等、これらの物質圏 から地球という星ができている。 地球システムという言い方をすれ ば、これらがその構成要素である。 その中の1つに生物圏という サブシステムがあるが、我 我々は今、生物圏から 生物圏から分 から分かれ、 かれ、人間圏とい 人間圏とい うサブシステムをつくって サブシステムをつくって生 をつくって生きている。 きている この生物圏と人間圏はまったく異なるサブシステムである。 地 球を宇宙から見ると、夜半球には光の海が見える。 これが人間圏 人類は である。 人類 人類は生物圏の 生物圏の中の種の1つとして、 つとして、7百万年ほど 百万年ほど前 ほど前に 誕生し 誕生し、以来、 以来、その中 その中に閉じて生 じて生きてきた。 現生人類になっても、 きてきた 少なくとも1万年位前まではそういう存在だった。 狩猟採集が なぜ、狩猟採集 狩猟採集が生物圏の 生物圏の中に閉じて生 じて生きる生 きる生き方かというと、 かというと 例えば食物連鎖を考えてみればよい。 それは生物圏内部 生物圏内部の 生物圏内部の、モノ とかエネルギー とかエネルギーの エネルギーの流れにつながって生 れにつながって生きているということだ。 きている 農耕牧畜という それに対して、農耕牧畜 農耕牧畜という生 という生き方はどうか。 例えば森林を 伐採して畑に変えることを考えてみよう。 その結果どういうことが 起こるかというと、太陽からのエネルギーの流れが変わる。 例え ば反射率が変わって、地表へ吸収される割合が変化する。 あるい は雨が降った時に大地を侵蝕する割合が、森林と農地では違う。 それは地球 地球という 地球という星 という星のエネルギーや エネルギーやモノの モノの流れを変 れを変えるということ える 生物圏の である。 それはまさに生物圏 生物圏の中から飛 から飛び出して、 して、違う物質圏を 物質圏を つくって生 つくって生きるということになる。 きるということ したがって、宇宙というスケールで「文明とは何か」ということを考 「人間圏をつくって えると、「 人間圏をつくって生 をつくって生きる生 きる生き方」というのが、 というのが、文明の定義と 文明 考えることができる。 ○地球学的人間論から 地球学的人間論から「 から「我々」とは 々」とは何 とは何かを考 かを考える 私は基本的にそういう認識のもとに、現在の文明の何が問題か ということを考えている。 そうすると、まず初めにどうしても―現生 人類(ホモ・サピエンス)がこういう生き方を始めたわけだから―「 「人 間とは何 とは何か」という、 という、根源的な 根源的な問題も 問題も考えなければいけない。 えなければいけない 文明がどこに行くのかというような大きな問題を問おうとすると、 「我々とは何 1つは、「 とは何か」という人間論 という人間論をもう 人間論をもう一度 をもう一度きちんと 一度きちんと論 きちんと論じなけれ ばいけないということと、もう1つは、地球 地球システム ばいけない 地球システムと システムと調和的な 調和的な人間 圏とは何 とは何なのかを問 なのかを問わねばならないということである。 わねばならない 地球システムと人間圏を円で表すとするならば、人間圏が拡大し、 このままいけば21世紀には、まさに(地球と重なって)地球そのも のが人間圏になってしまう。 これを次に考えてみる。 ○加速度的に 加速度的に拡大する 拡大する「 する「人間圏」 人間圏」の問題点 20世紀の人口増加で考えると、人口 人口はだいたい 人口はだいたい百年 はだいたい百年で 百年で4倍に増 えた。 このペースで増えた時に、人類の総重量が地球の重さに等 えた しくなるのに何年かかるだろうか。 そんなことは実際にはあり得な いのだが、思考実験として考えてみてほしい。 3千年も 実は3千年もかからないのだ。 3 千年も経たないうちに、 たないうちに、全人類 の重さと地球 さと地球の 地球の重さが同 さが同じになってしまうのである。 それはとりも じになってしまう なおさず、地球全体が人類そのものに置き換わってしまうことであ そうした人間圏 る。 そうした そうした人間圏の 人間圏の急拡大が 急拡大が問題なのだ。 問題 ○人間圏内部システム 人間圏内部システムの システムの崩壊が 崩壊が始まっている 人間圏の未来は今後どうなるのか、を考えてみたい。 いずれ「リ アル・ワールド」における右肩上がりの終焉が起こることは間違いな 物質的にも い。 物質的 物質的にも、 にも、エネルギー論的 エネルギー論的にも 論的にも右肩上 にも右肩上がりは 右肩上がりは永遠 がりは永遠に 永遠に続かな い、という意味で人間圏 人間圏の 人間圏の終焉が 終焉が始まっていくのは自明 まっていくのは自明のこと 自明のことだ。 のこと 「汚染」に象徴される地球環境問題が分かりやすいかもしれない が、こればかりではない。 人間圏が大きくなり過ぎたゆえに、何ら かの自然災害 自然災害が 自然災害が起こった場合 こった場合、 場合、その被害 その被害が 被害が巨大なものとなる 巨大なものとなる。 なものとなる 地球環境問題だけでなく、資源エネルギー問題、食料問題、人口 問題すべてが基本的には同じような問題を含んでいる。 共同幻想が これまで我々が築いてきた共同幻想 共同幻想が、これから次 これから次々と破綻して 破綻して いくのが未来に違いない。 今、食料自給率に対する懸念が指摘さ いく 自分の れている。 自分 自分の国で食料を 食料を作らなくても、 らなくても、お金さえあれば買 さえあれば買える というこれまでの前提 というこれまでの前提が 前提が、これからは通 これからは通じなくなる。 また、博愛、民 じなくなる 主主義、市場主義経済、人権など「右肩上がりの未来」という前提 の下につくられている共同幻想が、次々に破綻していくものと思わ れる。 今、我々がもっとも関心を寄せている地球温暖化の問題を、こう した視点で見た場合、一番ネックになるのは「 「国境の 国境の問題」 問題」である。 我々自身が 我々は地球上に国境を定めて生きている。 我 自身が自由に 自由に人 の移動ができないという 移動ができないというルール ができないというルールを ルールを設けているがために、 けているがために、温暖化の 温暖化の問 題がより深刻化 がより深刻化する 深刻化するのであり、その意味では、地球環境問題はきわ する めて人為的な問題と言えよう。 その結果、人間圏にどういった問題が生じるかと言えば、おそらく 自然発生的に人類の大移動が発生するに違いない。 そのことで 人間圏の が崩壊する 人間圏の内部システム 内部システムの システムの1つ(廣志注:国境線)が 崩壊する。 この する この ようなことが積 は崩 ようなことが積み重なることで、 なることで、やがて人間圏 やがて人間圏(同:現代文明)は 人間圏 壊するに至 するに至る、と私は考えている。 【討論】 討論】 ⇒文明・ 文明・環境の 環境の危機を 危機を救えるのは「 えるのは「宗教」 宗教」しかないのか ⇒地球倫理( 地球倫理(地球システム 地球システムと システムと調和的な 調和的な人間観) 人間観)を確立するには 確立するには ⇒畑作牧畜文明は 畑作牧畜文明は一種の 一種の致死性の 致死性の系である ⇒我々人類は 人類は「何のために」 のために」生き延びるのか 【松井】 た 松井】世の中には「何のために」という議論がほとんどない。 た だ「生き延びる」 びる」という話 という話ばかりしている。 「何のために」を考えなく ばかり ては、人間圏をつくって生きることの意味がなくなってしまう。 生物 より長 学的な意味でより より長く生き延びるためだったら、 びるためだったら、生物圏の 生物圏の中の種の 1つ(同:狩猟採集生活)で で生きていた方 きていた方がよかった。 種として少な がよかった くとも7百万年生き延びているわけですから。 たった1万年でこん な事態を迎えることはなかった。 したがって、こういう こういう生 こういう生き方は、生 き延びるという戦略 びるという戦略としては 戦略としては間違 としては間違っている 間違っている。 「 っている 「何かのために」 かのために」人間 圏をつくって生 をつくって生きる生 きる生き方を選択した 選択したとしか考えられない。 した 【稲盛】 稲盛】では、「何のために」なのでしょうか。 【松井】 松井】私自身は、個人的には「何のために」かの答えはあります。 【稲盛】 稲盛】個人ではなくて人類にとっては、いかがでしょう。 【松井】 松井】人類は難しいですね。 【大橋】 遺伝子に 大橋】現生人類以外の生物であれば、遺伝子 遺伝子に従って素直 って素直に 素直に生 きていけばそれで良 きていけばそれで良いのでしょう。 しかし、我々つまりこの文明に 属する人間だけは、その例外としなければならないと思うのです。 -地球文明の危機〔環境編〕- というのは、不適切 不適切な 不適切な文明が 文明が増殖して 増殖して、 して、我々人類だけのものでは 人類だけのものでは ないこの地球 ないこの地球をめちゃくちゃにしてしまっている 地球をめちゃくちゃにしてしまっている。 少なくともこれを をめちゃくちゃにしてしまっている 人類はあまり 元に戻すくらいのことをしなければ、人類 人類はあまり美 はあまり美しい生 しい生き物とは 言えない。 そういう点からいっても、この文明の問題を解決すると えない いうのが、我々の1つの目標にはなり得るかもしれない。 ⇒ 「小船の 小船の警笛」 警笛」と「我かかわる、 かかわる、ゆえに我 ゆえに我あり」 あり」 ◇第2章 地球文明の 地球文明の未来を 未来を予告している 予告しているアフリカ しているアフリカの アフリカの惨状( 惨状(石 弘之) 弘之) ○環境と 環境と文明の 文明の関係 現在語られている「環境」という概念は、「文明」の中から生まれ 環境問題は てきた、「文明」に包含された概念だと思う。 つまり、環境問題 環境問題は、 私たちの文明 たちの文明が 文明が必然的に 必然的に生み出したものだということである。 「環 したもの 境問題は文明に内在する不可避のリスク」と考えてよいだろう。 その意味では、「 「環境と 環境と共生できる 共生できる文明 というものは、実はあり できる文明」 文明」というものは、 得ないものと考えている。 人類 人類が ない 人類が文明を 文明を維持・ 維持・追求する 追求する限 する限り、環境 の破壊から 破壊から逃 から逃れることはできない。 せいぜい、破壊の影響をどう れることはできない 少なくするかの対策しかないだろう。 ○「文明」vs「 文明」vs「未開 」vs「未開」 未開」という認識 という認識 「文明とは何か」という議論は、19世紀から20世紀にかけ、おび ただしい数の定義が提案されてきた。 その主流は、「文明」を「未 高い文化を 開」と対置させ、高 文化を持つ文明の 文明の光と、その光 その光が届かない闇 かない闇 の世界としての 世界としての野蛮 としての野蛮や 野蛮や未開という 未開という世界像 という世界像であった。 世界像 背後には、ダーウィンの進化論の影響を受けた社会進化論があ り、未開から段階を踏んで高度な文明に進化するという「歴史の進 歩史観」がある。 これは、「適者生存・優勝劣敗」という発想から強 者の論理となり、帝国主義による侵略を正当化する根拠にもされた。 植民地主義に また、植民地主義 植民地主義に利用されて 利用されて、 されて、未開社会を 未開社会を文明化する 文明化するキリスト するキリスト教 キリスト教 徒の責務という 責務という独善 という独善に 独善に発展することになった。 発展 この議論を環境に投影すると、自然環境 自然環境は 未開」であり、 であり、それを 自然環境は「未開」 「civilize(都市化 「civilize(都市化)」 都市化)」させることこそが )」させることこそが、「 させることこそが、「文明 、「文明」 文明」という西欧文明 という西欧文明の 西欧文明の底 流に合致する 合致することになる。 自然環境を人工化することは、神の意 する 思に適った正しい行いだったのである。 一例を挙げてみよう。 16世紀頃からメキシコに移住したスペイ 一所懸命に ン人は、一所懸命 一所懸命に木を伐ってはげ山 ってはげ山をつくっていった。 森林の をつくっていった 消失は、持ち込んだ牛や羊による過放牧も原因だったが、伐採の 影響が大きかったと言える。 荒涼とし 彼らの多くは、「鳥の止まる木もない」と歌にうたわれた荒涼 荒涼とし たカスティリア地方 カスティリア地方からの 地方からの移住者 からの移住者で 移住者で、故郷と 故郷と同じ光景をつくることこ 光景をつくることこ そ、神の意思と 意思と信じて頑張 じて頑張った 頑張ったわけである。 った ○文明に 文明に内在する 内在する普遍性 する普遍性・ 普遍性・合理性・ 合理性・機能性 ○欲望の 欲望の無限拡大が 無限拡大が生んだ悲劇 んだ悲劇 文明は 文明は人類に 人類に欲望の 欲望の無限拡大をもたらした 無限拡大をもたらした。 特にその圧力は をもたらした 森林に集中した。 多くの人が鉄の便利さに目覚めて、鉄の製造が 増えるほどに、精錬に必要な薪炭(しんたん)の生産も急増した。 こ のために大量の木が伐られ、乾燥性が高く降雨が冬に集中する地 中海性気候のような森林再生産力 森林再生産力の 森林再生産力の低い気候帯から 気候帯から森林 から森林が 森林が消えて いった。 いった - 2 - フランスや英国では、15、16世紀には早くも森林の不足が深刻 になり、18世紀には薪炭 薪炭の 薪炭の不足から 不足から「汚いエネルギー」として毛嫌 から 石炭が いされていた石炭 石炭が最大の 最大のエネルギー源 エネルギー源になる。 それから百年以 になる 上経った1960年代になると、石炭は石油に主役の座を奪われる。 現在、世界の文明基盤を支配するのは、鉄に代わって石油原料 であるプラスチックである。 その過剰消費から、大量の二酸化炭 素や汚染物質を排出して、今や世界が温暖化や大気汚染の恐怖 かつて、 に怯(おび)えている。 かつて かつて、森林破壊から 森林破壊から多 から多くの文明 くの文明が 文明が衰退して 衰退して いったが、 いったが、現在は 現在は石油が 石油が文明衰退の 文明衰退のカギを カギを握っているように思える。 っている だからといって、私たちが縄文時代に戻れるわけではない。 文 今、我々にできることは、 明は常に非可逆的に拡大してきた。 今 にできることは、文明 衰退の 衰退の先延ばししかない 先延ばししかないのであろう。 ばししかない 「地球の 現在の環境危機を一言でいうならば、「 地球の許容力以上に 許容力以上に人 類活動が 類活動が巨大化した 巨大化した」 した」ということに尽きる。 したがって、地球環境 対策も一言でいうならば、「人類活動を地球の許容力の範囲内に押 し戻せばよい」。 だが、世界人口が毎年7千万人ずつ増加しており、 増える一人ひとりに、居住のスペース、食料、衣料、エネルギーが すでにこの世 必要だ。 すでにこの すでにこの世に生まれている私 まれている私たちが、 たちが、未来世代と 未来世代と進ん で資源を 資源を分かち合 かち合うことができるだろうか。 うことができるだろうか ○人間の 人間の欲望で 欲望で劣化する 劣化する地球 する地球 最新の国連の報告書によると、飢餓人口 飢餓人口が 飢餓人口が遂に10億人 10億人を 億人を超えた。 えた 肥満人口はなんと また、この数字とは裏腹に、世界の肥満人口 肥満人口はなんと20 はなんと20億人 20億人を 億人を超 える。 「飢餓」か「飽食」かの両極化が進んでいるのだ。 える もしこのまま、世界人口が増え続けるとどうなるか。 国連の最新 2050年 の人口予測(2008年度版)では、2050 2050年に91. 91.5億人に 億人に達する。 する 2025年 私は、80億人に達する2025 2025年あたりから、 あたりから、何らかの大変動 らかの大変動が 大変動が地 球に現れるのではないかと考えている。 れる 地球の定員を予測した研究には65通りくらいあるが、ここではよ く引用される2つの数字を紹介したい。 地球の定員1(一人当 一人当たりの 一人当たりの穀物消費量 たりの穀物消費量から計算) 穀物消費量 ・米国的 米国的な 27. 米国的な食生活 : 800キロ⇒ 27 食生活 27.5億人(1954年) 億人 ・イタリア的な食生活: 400キロ⇒ 55 億人(1993年) インド的 110 ・インド インド的な食生活 食生活 : 200キロ⇒ 110 110 億人 億人(2100年) 億人 (出所) 米国ワールドウォッチ研究所 農業生産水準から推定) 地球の定員2(農業生産水準 農業生産水準 ・米国的生活 米国的生活 : 23 23億人 米国的生活 23億人(1940年) 億人 ・欧州的生活 : 41億人(1976年) 日本的生活 : 61 61億人 ・日本的生活 日本的生活 61億人(2001年) 億人 ・バングラデシュ的生活: 109億人 ・最低生活水準 : 150億人 (出所) FAOのエコノミスト ウイリアム・ベンダー 水資源にも さらには水資源 水資源にも限界 にも限界が 限界が近づいている。 中でもアフリカ、中東、 づいている 中央アジア地域では水不足が深刻である。 地球の将来の制約要 因で、水は食糧と同じくらい大きなものである。 水がなくなれば、 当然食糧生産もなくなってくる。 中央 中央アジア 中央アジアに アジアに位置する 位置するアラル するアラル海 アラル海は、 現在では 現在では、 では、かつての大 かつての大きさの1 きさの1割を切ってしまった。 その原因の大 ってしまった 部分が、周辺の農業地域の取水にある。 今、世界の多くの地域で、水源を地下水に頼り始めている。 そ 米国で 小麦生産のおそらく のおそらく4 ぐらいが、 地下水を の代表が米国 米国 で、小麦生産 のおそらく 4割ぐらいが 、地下水 を水源 とした生産 とした生産となっている。 とりわけ世界の穀倉地帯と言われる米国 生産 中西部は、地下水の減少量が著しく、ひどい時には年間 年間10 年間10m 10mずつ 水位が 水位が下がっているというほど深刻な地域もある。 がっている 米国農業の 最近は、地下水に塩水が入り始めていて、米国農業 米国農業の崩壊は 崩壊は地 下水の 下水の破綻で 破綻で生じる、というのが有力な説になっている。 このよう じる な地下水の枯渇は、アジア全域、アフリカも当然起こっている。 ○生態系の 生態系の破壊も 破壊も止まらない 自然災害による被害も甚大である。 我々人類 人類が 人類が生態系を 生態系を破壊し 破壊し てしまった結果 てしまった結果、 結果、災害に 災害に対する脆弱性 する脆弱性が 脆弱性が非常に 非常に高まっている。 大 まっている 地震や大旱魃も世界中で頻発している。 これらの多くが異常気象 がもたらすものだと思われているが、実は自然災害を起こすような 異常気象はそれほど増えてはいない。 ではなぜ被害だけが増大しているのか。 1つは、災害 災害を 災害を食い止 めてきた健全 めてきた健全な 健全な生態系が 生態系が失われてしまっていることが指摘できる。 われてしまっていること 災害の もう1つは、災害 災害の被害を 被害を受けやすい場所 けやすい場所に 場所に、多くの人間 くの人間が 人間が住むよ うになったことが挙げられる。 うになったこと 森林の 森林の消失が 消失が止まらない。 19世紀のアメリカには巨木の森が まらない 普通に存在していた。 ところが今は、まったく残っていない。 唯一 残っているのは、カリフォルニアの国立公園で、そこだけには百メー トル以上の巨木がわずか何十本か残っている。 このような巨木の 森は、いまやアフリカでもまったく見られなくなった。 地球が 地球が劣化したことが 劣化したことが一番見 したことが一番見て 一番見て分かるのが、 かるのが、この地上 この地上から 地上から巨木 から巨木 がなくなってしまったことである。 インドネシアのスマトラ島は、か がなくなってしまったこと つては8割近くが森林だった。 しかし、現在では、森林は島全体の 2004年 10数%にまで激減してしまっている。 2004 2004年、スマトラ沖地震 スマトラ沖地震で 沖地震で 生じた大津波 じた大津波の 被害が甚大になったのは 甚大になったのは、 海岸林のマングローブ 大津波の被害が になったのは、海岸林の を切ってしまったことが理由 ってしまったことが理由の 理由の1つだと考えられている。 ○アフリカは アフリカは地球文明の 地球文明の未来を 未来を予告している 予告している 新種の 新種のウイルスの ウイルスの発生も 発生も、ここへ来 ここへ来て急増している 急増している。 1970年 している 以降に現れたエマージングウイルスと呼ばれるものは、HIVウイル これらの発生 スや鳥インフルエンザウイルス等16種類に及ぶ。 これらの これらの発生も 発生も 自然破壊に 自然破壊に大きな影響 きな影響がある 影響があるということが分かってきている。 がある ○人類崩壊の 人類崩壊のシナリオ 現在、地表の約4割が人工化している。 それが2050 2050年 2050年には、 には、 地表の 地表の7割にまで拡大 にまで拡大すると、国連は予測している。 世界の7割 拡大 私たちがどんなに環境保護 の地表が人工化された暁には、私 たちがどんなに環境保護を 環境保護を叫ん でも、 でも、護るべき環境 るべき環境がほとんどない 環境がほとんどない状況 がほとんどない状況になっているだろう。 状況 その頃には経済はさらに拡大し、資源消費が増加し、環境汚染 や自然破壊が進行し、生態系もかなりの部分が失われているだろう。 そして最終的に、食糧危機 食糧危機や 食糧危機や自然災害という 自然災害という形 という形で我々の文明は 文明は崩 壊に至る、というのが私のシナリオである。 アフリカを ていると、 私はアフリカを専門としているが、アフリカ アフリカ を見ていると 、アフリカ -地球文明の危機〔環境編〕- - 3 - で起きていることは、 きていることは、地球の 地球の未来を 未来を先取りしている 先取りしているのではないかと りしている 思わずにいられない。 今、アフリカでは、2億3千万人、つまり3人 に1人が飢餓状態にある。 加えて、アフリカでは、年平均50万人が自然災害で命を落として いる。 また、これまで2千6百万人もの人がエイズで死亡した。 「いつかは来る」と言われていた地球の限界が、アフリカでは先取り 地球の する形で始まっている。 地球 地球の危機はいつ 危機はいつ来 はいつ来るかではなく、 るかではなく、アフリ カではすでに始 ではすでに始まってしまった- まってしまった-というのが私の見方である。 ⇒グローバル化 グローバル化の波は止められないのか 【安田】 安田】アフリカというのは アフリカというのは、 というのは、狩猟採集社会をやっている 狩猟採集社会をやっている限 をやっている限り、きわ めて持続的 植民地支配により めて持続的な 持続的な社会だった 社会だった。 結局、植民地支配 だった 植民地支配により、ヨーロッパの により 歴史や 商品作物が導入されたことによって、歴史 歴史や伝統、 伝統、自分たちに 自分たちに根差 たちに根差 したライフスタイル したライフスタイルが ライフスタイルが破壊された 破壊された。 もし、サスティナブル(持続可能) された ということを考えれば、大地に根差した伝統や歴史というものを、も う一度思い直すということが、それぞれの国、人類にとって幸せにな るということでもある。 ○「多様性」 多様性」の尊重が 尊重が未来の 未来のキーワード 知的好奇心は人間にとって良い資質である。 それがあったから こそ、現代人はこうした文明社会を築き、そして環境の激変という大 変な時代を生き延びて、現代まで来ることができた。 こうしたこと 今 から言えるのは、やはり文明の多様性が非常に大事であって、今 の我々の危機的な 危機的な状況は 状況は、文明、 文明、文化、 文化、価値観が 価値観が金融に 金融に一本化し 一本化 てしまって、ありとあらゆるものが ありとあらゆるものが、 ありとあらゆるものが、その価値基準 その価値基準で 価値基準で動くようになって しまったことに由来 しまったことに由来する 由来するようだ。 する ○地球環境対策の 地球環境対策の足を引っ張る人類の 人類の行動原理の 行動原理の3つの法則 つの法則 <合成の 一人ひとりの 合成の誤謬> 誤謬>:一人 一人ひとりの当事者 ひとりの当事者が 当事者が最善と 最善と考えた行動 えた行動が 行動が、全 体で合成されると 合成されるとマイナス されるとマイナスの マイナスの結果になるということ 結果になるということ。 それぞれの になるということ 人には、それぞれの夢がある。 「大型のテレビに買い換えたい」 「エアコンを増やしたい」「一戸建ての家を建てたい」 ・ ・ ・ 。 日 本の5千万世帯が、こうした夢を1つでも叶(かな)えるたびに、日 本全体では二酸化炭素や廃棄物が増えていく。 <生活価値の 生活価値の非可逆性> 非可逆性>:多くの人は、生活の快適性・利便性を高 一度獲得した めることに生活価値を見出し、一度獲得 一度獲得した生活水準 した生活水準を 生活水準を自らの行 らの行 動で下げることには困難 げることには困難が 困難が伴う。 低酸素社会の実現には、最低 でも一般家庭の自動車とエアコンの保有を禁じる必要がある。 だが、進んで手放す人はどれだけいるだろうか。 <経路依存性> ある時点 経路依存性>:ある ある時点で 時点で行われた選択 われた選択が 選択が、当初の 当初の条件が 条件が変化 した場合 した場合でも 場合でも、 でも、依然として 依然として存続 として存続すること 存続すること。 地球の将来の不安を語 すること るゴア元米副大統領も、自分の生活を変えることができなかった。 ⇒現代文明が 現代文明がリセットされなければ リセットされなければ、 されなければ、次の文明は 文明は生まれない ⇒人間一人の 人間一人の代謝エネルギー 代謝エネルギーは エネルギーは、ゾウ一頭 ゾウ一頭に 一頭に匹敵する 匹敵する ⇒社会を 社会を変えていく具体的方策 えていく具体的方策を 具体的方策を提言できるか 提言できるか ⇒欲望の 欲望のコントロールは コントロールは遺伝子の 遺伝子の劣化につながる 劣化につながる? につながる? ⇒アヘン効果 かれた近現代文明 アヘン効果のある 効果のあるデジール のあるデジールに デジールに憑(つ)かれた近現代文明 (伊東):「欲望」には、フランス語の「 「ブゾワン(besoin)」 ブゾワン(besoin)」:すなわち (besoin)」 食欲のように 食欲のように人間 きていくためには必須の 欲求 のように人間が 人間が生きていくためには必須 必須の欲求と、もう1つは 「デジール(desir)」 デジール(desir)」:必要 (desir)」 必要ではないが 必要ではないが人 ではないが人が持っているから欲 っているから欲しいと しい いったような、人間本来のものではない欲望がある。 人為的に ブゾワンは、そんなに急には大きくならないが、人為的 人為的に作られ るデジールは デジールは無限に 無限に増殖するもので 増殖するもので切 するもので切りがない。 デジールは近代 りがない 科学技術、そしてこれと結びつく、特殊な資本主義に関わるもので、 文明の それは文明 文明の罠(わな) わな)であり、それに隷属してしまってはいけない。 デジールを ですから、危険な欲望であるデジール デジールをブゾワンと ブゾワンと混同して 混同して、 して、人 間の欲求だから 欲求だから仕様 だから仕様がないんだという 仕様がないんだという言 がないんだという言い方で、味噌も 味噌も糞も一緒に 一緒に するようなことをしてはいけないと思っているのです。 するようなことをしてはいけない 人間というものは一人ひとりがみな違う。 ある基準からすれば、 強い人でも、別の基準では弱者という人がいる。 そうなるのは、基 全体で 準軸が非常に多様にあるからだ。 全体 全体で包み込んで、 んで、社会全体で 社会全体で 上手く 上手く活動していける 活動していける多様性 どの文明も っていた していける多様性を 多様性を、どの文明 文明も持っていたはずである。 ところが、いまの文明社会では、そういった多様性が失われ、家 庭の崩壊だとか、社会の崩壊だとかが取りざたされるようになった。 個の尊重は非常にいいことだが、それは他の人との協調の上に成 り立つことだったのに、多様性 多様性が 多様性が崩れ、一元的な 一元的な価値のもとに 価値のもとに競争 のもとに競争 だけが加速 だけが加速している。 加速 我々は、貧しい途上国の生活水準を引き上げることが先進国の 使命だとして、先進各国は中国やインドなどに援助を続けてきた。 その結果、確かに経済は成長を遂げたが、資源、エネルギー、食糧 などの需要の急増を生み出した。 途上国の二酸化炭素の総排出量が、先進国のそれを抜くのは時 日本は 間の問題であろう。 日本 日本はモノこそ モノこそ溢 こそ溢れているが、 れているが、食糧自給率は 食糧自給率は 40% 40%という、 という、主要国の 主要国の中で際立って 際立って低 って低い水準だ。 にも関わらず、 水準 食糧供給の 食糧供給の1/3にも達 にも達する残飯 する残飯を けている 残飯を出し続けている。 日本人に「清 貧のすすめ」を説いても、笑い話にもならないだろう。 地球の これから人類はどこへ行くのだろうか。 地球 地球の命運はあと 命運はあと50 はあと50億 50億 年というが、 というが、そのはるか以前 そのはるか以前に 以前に文明によって 文明によって滅 によって滅ぼされることだろう。 ぼされる 『悲しき熱帯 「世界は レヴィ=ストロースが『 しき熱帯』 熱帯』の最後に書き記した、「 世界は人 間なしに始 なしに始まったし、 まったし、人間なしに 人間なしに終 なしに終わるだろう」 わるだろう」ということなのだろう か。 【討論】 討論】 ⇒アフリカはすでに アフリカはすでに崩壊 はすでに崩壊の 崩壊のシナリオに シナリオに入っている ⇒なぜアフリカ なぜアフリカに アフリカに深刻な 深刻な問題が 問題が集中するのか 集中するのか 【安田】 安田】地球の劣化が著しいのはよく分かりました。 では、その 生き残るのはどの地域 中で生 るのはどの地域でしょうか 地域でしょうか。 でしょうか ヨーロッパは 【石】地域で言うと、ヨーロッパ ヨーロッパは生き残る気がします。 彼らは何 がします 度もそういう過酷な状況をくぐり抜けてきているので、ヨーロッパ特 人口を 有の精神的強さがある。 それから、人口 人口を大幅に 大幅に減らして生 らして生き残 るのは、 るのは、日本がそれに 日本がそれに入 がそれに入るのではないでしょうか。 ペストが終わっ た15世紀に人口の爆発が起こった。 その時に、うまい具合に新世 界が見つかった。 ところが現在は、人口のガス抜きができない。 ◇第3章 脳科学の 脳科学の立場から 立場から見 から見た人間・ 人間・文明・ 文明・環境( 環境(甘利俊一) 甘利俊一) ○宇宙史の 宇宙史の中での脳 での脳の位置づけ 位置づけ ○文明の 文明の発展と 発展と脳の進化 ○文明の 文明の暴走を 暴走を抑えるもの 現代の文明にはいろいろな特徴があると思うが、1つには稲盛さ んが問題にした金融の勝手な暴走が挙げられる。 人 人々の欲望が 欲望が 金融による 金融による金儲 による金儲けという 金儲けという一点 けという一点に 一点に集中し 集中し、マネーが マネーが一元的な 一元的な価値になっ 価値になっ てしまった。 もう1つは、科学技術が高度に発展したことである。 てしまった 高度に ところが、この高度 高度に発展した 発展した科学技術 した科学技術が 科学技術が、知の蓄積というだけで 蓄積というだけで なく、 なく、一方で 一方で金儲けの 金儲けの手段 けの手段にもなってしまっている 手段にもなってしまっている。 にもなってしまっている こういう現象を目の当たりにして、現代の文明は本当にこのまま でよいのか。 この暴走は止められるのか、結局、止められなくて、 あと数十年 あと数十年もすると 数十年もすると、 もすると、今のままの文明 のままの文明は 文明は滅びるのではないか。 滅 びるのではないか びれば、そこで人類が全滅するというわけでもないので、文明のや り直しになるのではないか。 では今、マネー マネーが マネーが一元的価値を 一元的価値を持つに至 つに至った文明 った文明の 文明の暴走を 暴走を、どう やったら抑 抑えられるのか。 「お前は脳科学をやっているのだろう。 やったら えられるのか 脳が分かれば、なぜ暴走するかが分かるのだから、脳科学で暴走 を抑えろ」。 そんな声が聞こえてくるが、それは無理だと言わざる を得ない。 この問題は脳科学の問題ではなく、それを超えるもっと大きな問 題だ。 この この問題 この問題は 問題は脳科学を 脳科学を踏まえ、 まえ、これを超 これを超えた、 えた、大きな「 きな「人間学」 人間学」 をつくっていかなければ解明 をつくっていかなければ解明できない 解明できないと思っている。 できない の心や幸せというものは、物質的な欲望だけでなく、人 人との調 人の せというものは との調 和、社会との 社会との中 との中で人と協調して 協調して生 して生きていくことから得 きていくことから得られるものであ られるもの る。 その幸せの仕組みといったものに目を開かせるためにも、多 様性は非常に大事である。 これはむしろ、生命ができて以来の進化 進化の 進化の法則で 法則で、多様性のある 多様性のある ものがどんどん発展 それが一元化 ものがどんどん発展した 発展したのであって、それが した それが一元化してしまった 一元化してしまった時 してしまった時 に環境が 環境が変動すれば 変動すれば、 すれば、滅びるに決 びるに決まっている。 今の文明は、そう まっている いうところに来ている。 【討論】 討論】 ⇒心は脳に発生するが 発生するが、 その定義とは するが、その定義 定義とは? とは? ⇒現生人類の 現生人類の脳だけが認識 だけが認識の 認識の時空を 時空を拡大できる 拡大できる ⇒言語研究と 言語研究と脳科学 ⇒石器に 石器に現れるネアンデルタール れるネアンデルタール人 現生人類の時空認識の 時空認識の違い ネアンデルタール人と現生人類の ⇒ 「脳」と「心」はどちらが先 はどちらが先か ⇒ゾウの ゾウの反乱と 反乱と脳科学がわきまえるべき 脳科学がわきまえるべき「 がわきまえるべき「分」 【石】最近の研究を一つ紹介しますと、アフリカでアフリカゾウ アフリカゾウが アフリカゾウが 人を襲うという事件 うという事件が 事件が、この数年間 この数年間、 数年間、頻発している 頻発している。 本来、ゾウは している よほどの攻撃でもされない限り、自分から人を襲うことはないとされ ています。 では、なぜ急にゾウが反乱を起こしたかについて、いろ 1970年代 いろな研究者が調べていて分かってきたのは、1970 1970年代から 年代から80 から80 年代にかけて 年代にかけて、 にかけて、アフリカで アフリカでゾウの ゾウの大虐殺が 大虐殺が起こりました。 こりました なぜかというと象牙が高く売れ、特に日本が象牙の印鑑をつくる ために、大量の象牙を輸入したことも、大きく影響していたのです。 その時に、母親を含めた多くのゾウが殺されています。 そしてどう やら、その その時 その時の子どもが今 どもが今、反乱を 反乱を起こしているということが分かっ こしている てきたのです。 これはゾウの個体識別が進んできて、村になだれ 込んで人を殺す事件を調べてみると、犯人ゾウは20年前に殺され た親ゾウの子どもだったという個体が結構出てきたのです。 彼らは、 そうすると彼 らは、20年間記憶 20年間記憶を 年間記憶を保持していたことになる 保持していたことになる。 しか していたことになる も、憎しみや復讐という感情はかなり高級なものです。 その復讐を やっているのではないかということで、この2、3年、動物行動学者 の中では話題になっています。 -地球文明の危機〔環境編〕- ◇第4章 利他的遺伝子の 利他的遺伝子の優越する 優越する生命文明 する生命文明の 生命文明の地平に 地平に向かって (大橋 大橋 力) ○生命科学的アプローチ 生命科学的アプローチで アプローチで「文明」 文明」を読み解く この報告の土台となる<情報環境学>は、1980年代に筑波研 究学園都市で、「筑波病」と呼ばれる原因不明の研究者の自殺が 多発したことをきっかけに誕生した。 この学問の枠組みには3つの柱がある。 ・第1の柱は、物質 物質と 物質とエネルギーに エネルギーに新たな情報 たな情報を 情報を加えた3 えた3つの次元 つの次元 から環境 から環境を 環境を捉え直したこと。 こうすることで、心の病理に関わる筑 した 波病のような問題を、<情報環境>という科学的枠組みで受けて 立つことができる。 ・第2の柱は、問題を出来合いの専門分野に切り分けて処理する 問題が やり方を改め、問題 問題が出てきたらその都度 てきたらその都度、 都度、問題それ 問題それ自体 それ自体に 自体に合わ せて学問 せて学問の 学問の形を創り直す。 ・第3の柱は、人間生存に関連して発展しつつある新しい学問の中 から< <分子生物学> 分子生物学>と<情報科学> 情報科学>の活性に 活性に注目し 注目し、この2 この2つを 軸にした知識空間 にした知識空間を 知識空間をプラットフォームにする プラットフォームにする形 にする形で、学問の 学問の枠組みを 枠組みを 構築した 構築したこと。 した 私たちは、こうした情報環境学を基礎に、文明の問題にアプロー 文明とは とは何 という問題 問題は チしている。 「 「文明 とは 何か」という 問題 は、これまで主として人文・ 社会科学の分野で扱われてきた。 今後もその成果が期待される が同時に、科学技術文明と呼ぶべき今の時代に相応(ふさわ)しく、測 自然科学の 定・実験・実証などを伴う自然科学 自然科学の側から文明 から文明を 文明を捉える、 える、新しい 土俵があってもいい 土俵があってもいいのではないかと考えるようになった。 があってもいい 『文明の その点で先駆した安田先生の『 文明の環境史観』 環境史観』は素晴らしい。 特に、文明のきっかけが何であったのかについての、環境を視野に 入れた指摘に、私は喝采したい。 ○遺伝情報発現スイッチ 遺伝情報発現スイッチの スイッチのオンと オンとオフ 地球生命のDNAの中の多くの遺伝子には<オペロン>と呼ばれ るスイッチがついている。 遺伝子はスイッチの設定で大きく2つ、 細かくは3つにグループに分かれる。 <構成的発現遺伝子> 遺伝子の 構成的発現遺伝子>:遺伝子 遺伝子のスイッチが スイッチが入りっ放 りっ放しになって いるグループで、エネルギー代謝に関わる酵素の遺伝子など。 <調節的発現遺伝子> 調節的発現遺伝子>:これはさらに2つのグループに分かれる。 発現スイッチオフ ・発現 発現スイッチオフ型 スイッチオフ型:初期設定としてスイッチが切れている。 そし 合成される て、例えばその遺伝子のつくる酵素によって合成 合成される物質 される物質が 物質が欠 乏 乏したというような時 したというような時にスイッチを スイッチを入れ、酵素をつくり生存を図る。 つまり危機管理の機能を持つ遺伝子群と言える。 ・発現 発現スイッチオン 発現スイッチオン型 スイッチオン型:初期値としてスイッチが入っている。 そして、 合成される 例えばその遺伝子によって合成 合成される物質 される物質が 物質が過剰である 過剰である時 である時、スイッ チ チを切って、 って、酵素の 酵素の生産を 生産を停止し、無駄な合成反応を抑制する。 停止 つまり節約機能を持つ遺伝子群と言える。 ○ <適応> 適応>の前提に 前提に<本来> 本来>がなければならない ある特定 ある特定の 特定の種が進化的適応を 進化的適応を遂げた環境 げた環境、 環境、つまり遺伝子 つまり遺伝子の 遺伝子の揺り かご、 かご、あるいはDNA あるいはDNAの DNAの鋳型となった 鋳型となった環境 となった環境の 環境の構造と、その種に初期 構造 設定された遺伝子発現パターンとは、まるで鍵と鍵穴のようにぴっ たりと合う傾向を見せる。 したがって、この環境の中に生きる生命 は、生まれつきセットされている遺伝子活性のままで生きていける ことになる。 この この状態 この状態を 状態を概念として 概念として< として<本来> 本来>と名付ける 名付ける。 ける - 4 - ところで、ある ある種 ある種の棲む環境が 環境が、その< その<本来> 本来>の環境とずれてし 環境とずれてし まった時 まった時に何が起こるだろうか。 そこでは様々な不適合が生じうる。 こるだろうか このような時、元々は切られているスイッチをオンにして、欠乏して 環境への いるものを自力でつくって生存を図る。 こうして環境 環境への< への<適応> 適応> が行われる。 その際、環境との不適合がストレス信号を発生させ、 われる それが引き金を引いて眠っていたプログラムを呼び起こすという仕 組みが働く。 生命の 生命の活性と 活性と環境との 環境とのズレ とのズレが ズレが、生まれ持ったすべての遺伝子を 適応できないほど 呼び出しても適応 適応できないほど大 できないほど大きくなった時 きくなった時、地球生命は 地球生命は、元々 己のDNAに内臓されている<自己解体>のプログラムを呼び起こ 己の躰を再利用に して、己 再利用に適した要素 した要素に 要素に分解し 分解し、環境に 環境に積極的に 積極的に還元 してしまう状態に入る。 してしまう ○生命を 生命を支配する 支配する3 する3つのモード つのモード →種が進化的適応を――-―→「 「本来モード 本来モード」 モード」 遂げた「本来の環境」 ↑ +―本来プログラム 「適応モード 生物 ――――――→本来と違う ――――――→「 適応モード」 モード」 (遺伝子に書かれ 「適応可能な環境」 ↑ た「本来の活性」) +―適応プログラム →適応限界を超えた―――→「 「自己解体モート 自己解体モード モード」 「自己解体環境」 ↑ +―自己解体プログラム 本来・適応・自己解体モデル ○地球生命に 地球生命にプログラムされた プログラムされた自己解体 された自己解体メカニズム 自己解体メカニズムの メカニズムの発見 地球の生命体には、捕食 捕食や 分解、共生バクテリア 共生バクテリアによる 捕食や分解、 バクテリアによる食物 による食物へ 食物へ の直接摂取からなる <自己消化> 直接摂取からなる< からなる<食物連鎖> 食物連鎖>に加えて、< 自己消化>と呼ば れる「 れる「自然に 自然に朽ち果てる現象 てる現象」 現象」が加わって、循環回路が完成されて いる。 生 態 系 +―――――――――――――――――――――+ | 消 費 ↓ +――――--+ +――――--+ |有限の | |生 命 体| |空間と物質| +――――--+ +―――――+ +――――――+ | ↑ |食 物 連 鎖| | +――――――| |―――――――+ 現状回復 |自 己 消 化| +――――――+ 生態系の現状回復メカニズム 生命活動が この循環回路によって、生命活動 生命活動が環境から 環境から一旦 から一旦、 一旦、侵食した 侵食した物 した物 質と空間が 空間が返還されて 返還されて現状 されて現状が 現状が回復し 回復し、それを再利用 それを再利用して 再利用して新 して新しい生命 しい生命 の誕生が 誕生が繰り返し実現する 実現するという考え方である。 する すべての生命が他のすべての生命に利用しやすい状態に自らを 分解して土に還る―そういう そういう利他的 そういう利他的な 利他的な仕組みが 仕組みが地球生命全体 みが地球生命全体に 地球生命全体に普 遍的に 遍的にセットされている セットされている、というモデルを創った。 されている ○利他的遺伝子の 利他的遺伝子の優越性 ・有限・不均質な環境条件を持つ生態系では、不死 不死の 不死の生命よりも 生命よりも、 よりも、 有死の 有死の生命の 生命の方が繁栄する 繁栄する。 する ⇒不死の生命は、生存可能な範囲に素早く拡がるものの、そのす べてを占領してしまったら、それ以上増殖できない。 一方、有死の 生命は、増殖するとともに、解体して生きるための場所と素材とを環 境に還し、子孫に残す。 それを使って再び子孫が誕生し、それは 限りなく繰り返される。 こうして新しい生命が誕生する時、必ず新しいDNAの複製-コピー がつくられる。 その時、一定の割合で、コピーミス、突然変異が現 突然変異のほとんどは れる。 突然変異 突然変異のほとんどは環境 のほとんどは環境に 環境に適合できずに 適合できずに死滅 できずに死滅するが 死滅するが、 するが、ご く僅(わず) わず)かに、 かに、親にはなかった新 にはなかった新しいポジティブ しいポジティブな ポジティブな活性を 活性を持った子 った子 が現れ、生き延びていく。 これが進化である。 びていく 有死の こうした理由で、DNAの複製が繰り返される有死 有死の生命の 生命の方が、 多様な 多様な環境への 環境への進化的適応 への進化的適応が 進化的適応が著しく加速 しく加速されて版図を拡げ、より繁 加速 栄する可能性が高いことが分かった。 ・有限・不均質な環境条件を持つ生態系では、利他性 利他性の 利他性の最も高い 有死の の生命の 有死 生命の方が最も繁栄する 繁栄する。 する ⇒単に増えるだけの不死の生命に較べて、有死の生命は、死と解 体の仕組みをプログラムした遺伝子情報を余分に創り、書き加える ため、遺伝子は長くなる。 つまり、最初に誕生する有死の生命は、より原始的なの不死の 生命の中から、突然変異によって一匹だけ出現する。 ほとんどの 有死の 場合、有死 有死の生命は 生命は不死の 不死の生命に 生命に圧倒され 圧倒され絶滅 され絶滅してしまうが 絶滅してしまうが、 してしまうが、無視 できない比率 できない比率で 比率で、ただ一匹 ただ一匹だけ 一匹だけ出現 だけ出現した 出現した有死 した有死の 有死の生命が 生命が生き延び、増 殖を重ねることがある。 そうなると例外なく、最終的には不死の生 ねることがある 命を凌駕して栄える。 到底生存上有利とは思えない「遺伝子にプログラムされた自己解 体を伴う死」は、逆に「極めて洗練された生存戦略」と呼ぶに相応し 自ら死ぬ上に己の体をあらゆる生命 い。 私たちのモデルは、自 をあらゆる生命に 生命に利 用し易い部品に 部品に自力で 自力で分解して 分解して土 生命に奉仕する 奉仕する遺 して土に還し、他の生命に する遺 伝子- 伝子-という利他を極めた存在を想定した。 「現存する このモデルは、「 現存する地球生命 する地球生命は 地球生命は、なぜ例外 なぜ例外なく 例外なく死 なく死を約束さ 約束さ れているのか」 れているのか」という、これまであまり適切な説明に恵まれていない 問題についても、新しい理解を開いた。 すなわち、「より原始的な 不死の生命から進化した、より洗練された有死の生命が、その優越 性によって不死の系譜を駆逐し、絶滅させて、地球全体に普遍的に 拡がった。 だから、もはや地球上には、敗者である不死の生命は 存在しない。 <利他性> 利他性>への認識 への認識が 認識が欠落している 欠落している未成熟 している未成熟な 未成熟な発想は 発想は、帝国主義・ 帝国主義・ 経済原理主義など など、 経済原理主義 など、近現代文明の 近現代文明の弱肉強食・ 弱肉強食・優勝劣敗の 優勝劣敗のパラダイ ムを合理化し 合理化し、この地球 この地球の 地球の危機を 危機を招き寄せる原動力 せる原動力となってきた。 原動力 そこには地球生命が普遍的・本質的に利他性を持っており、この性 質によって、単に利己的な段階に止まっていた不死の生命に優越 し、それらを殲滅してきた可能性というものに思いを馳せるといった 想像力の片鱗も読み取れない。 こうした知識構造上の欠陥を持つ近現代文明の招いた地球上の 危機は、いま利他的遺伝子 利他的遺伝子の 利他的遺伝子の優越性を 優越性を突き止めた新 めた新しい科学的 しい科学的ア 科学的ア プローチによって プローチによって、 によって、克服可能な射程に捉え直さなければならない。 克服可能 -地球文明の危機〔環境編〕- ○人類本来の 人類本来の環境は 環境は熱帯雨林 人類が 人類が起源した 起源した環境 した環境については 環境については、しばらく前までは<サバンナ起 については ここ数年間 源説>が有力だった。 しかし、ここ ここ数年間で 数年間で、それは< それは<アフリカ熱 アフリカ熱 帯雨林単一起源説> 帯雨林単一起源説>にほぼ完全 にほぼ完全に 完全に置き換えられた。 えられた 大型類人猿が オラウータンの先祖に始まる大型類人猿 大型類人猿が脳を特別に 特別に発達させ 発達させ つつ歩 つつ歩んできた約 んできた約2千万年の 千万年の進化の 進化のハイウェーは ハイウェーは、ずっと熱帯雨林 ずっと熱帯雨林 の中にあり、私たち現生人類もその例外ではないと考えられている。 にあり 私たちは、熱帯雨林に棲む「森の狩猟民」として設計された遺伝子 と脳を持っている可能性が高い。 私は現在最も純正な熱帯雨林と狩猟採集社会の姿を残している といわれる、アフリカ・コンゴ共和国の北東部にあるイトゥリ森の最 深部まで入って、ムブティ・ピグミーの人たちと一緒に暫らく生活をし、 驚くべき体験を得た。 現代文明が イトゥリ森の生活のあまりの快さ、美しさから、現代文明 現代文明が実現し 実現し ている「 ている「豊かな暮 かな暮らし」 らし」は、実は文明人たちが 文明人たちが遺伝子 われ、 たちが遺伝子の 遺伝子の声に誘われ、 人類本来の 人類本来の森の狩猟採集生活に 狩猟採集生活に近づこうとする高度 づこうとする高度な 高度な適応努力の 適応努力の 結果、 結果、行き着いたものに違いないと思うに至った。 いたもの 現 代 文 明 社 会 イトゥリ森のムティブ人 ・エアコン 温度23~27℃ 温度20~27℃ 湿度50~60% 湿度65~75% ・グルメ材料 植物 63種、肉 23種 植物 79種、肉207種 魚介125種、計211種 魚介 22種、計308種 ・音楽形式 16ビート・ポリフォニックスタイル 16ビート・ポリフォニックスタイル プロの芸を素人が金を 演者・観客の別なく全員 払って楽しむ 参加で楽しむ ・労働時間 約5時間(やっとここまで) 約4時間 エネルギー おそらく100 おそらく100万 100万kcal以上 kcal以上 以上 約3000kcal 3000kcal 消費量 (生産、移動、戦争、他) (おもに1日の食べ物) 現代社会のくらしと森の狩猟採集生活の比較 彼らは森 らは森の中の美味しい 美味しい物 しい物が密集していそうな 密集していそうな場所 していそうな場所に 場所に葉っぱの 家を作って棲 って棲み、「レジ 、「レジのない レジのないコンビニ のないコンビニ」 コンビニ」の中で生きているようなもの。 きているようなもの そのうちに周りの食物が減ってきたら、棲み場所ごと移動してしまう。 ○人類本来の 人類本来のライフスタイルは ライフスタイルは狩猟採集 私がムティブ人たちに逢いに行った直接の動機は、彼らの音楽 その音楽 の録音物を聴いたことにある。 その その音楽はあまりにも 音楽はあまりにも完成度 はあまりにも完成度が 完成度が高 く、凄まじく高度 まじく高度なものだった 高度なものだった。 そうした なものだった そうした凄 そうした凄い音楽を 音楽を、世の中で一番 「未開・ 未開・野蛮」 野蛮」だとされている人 だとされている人たちが、 たちが、太古の 太古の昔から伝 から伝えていること えている になる。 これを自分自身の目で確かめずには、おられなくなったこ とが、その後の私の生涯を決める旅立ちの引き金となった。 大半の 現地に行ってみて、私は心底呆れてしまった。 大半 大半のムティブ 人たちは15 たちは15歳位 15歳位になると 歳位になると、 になると、いわゆる「 いわゆる「先進国」 先進国」のプロの プロの音楽家並み 音楽家並み の能力を 能力を発揮する 発揮する。 しかもその音楽は、世界最先端のポピュラー する 音楽と瓜2つだった。 現代文明は科学技術を駆使し、膨大なエネ ルギーを使って、心身を取り囲む<物質、エネルギー、情報>環境 の一部でやっと森の狩猟採集民の生活に近づいた、と言ってもあな がち無茶な話ではない。 - 5 - ○必須情報としての 必須情報としての「 としての「熱帯雨林の 熱帯雨林の音」 私たちの遺伝子 遺伝子やその 遺伝子やその設計 やその設計に 設計に基づく脳 づく脳が熱帯雨林を 熱帯雨林を本来の 本来の環境 としてつくられているという考え方を、文明社会の環境音と熱帯雨 としてつくられている 林の環境音の、両方の物理構造と人間の心身に及ぼす影響を比 べてみた。 熱帯雨林の その調査結果から、熱帯雨林 熱帯雨林の音は美しく快適 しく快適である 快適である上 である上に、健康 上とても良 とても良い状態を 状態を導く点で、都市の音と大きな差があること(NK 細胞の活性、免疫グロブリンの活性、アドレナリンの低下)が示され 私たちの遺伝子 た。 これらの結果は、私 たちの遺伝子や 遺伝子や脳が熱帯雨林に 熱帯雨林に合わせ てつくられていて、 てつくられていて、そこが人類 そこが人類にとって 人類にとって一番快適 にとって一番快適、 一番快適、健康に 健康に生きられる 本来の 本来の環境である可能性が高い。 環境 ○生命科学的世界像から 生命科学的世界像から文明 接近する から文明へ 文明へ接近する 従来は、農耕 農耕の 農耕の始まりはメソポタミア まりはメソポタミア起源 メソポタミア起源の 起源の<畑作牧畜文明> 畑作牧畜文明>の 始まりに等しいと考えられていたが、梅原猛先生を中心とした日中 合同長江文明学術調査団によって、長江流域起源 長江流域起源の 長江流域起源の<稲作漁撈 文明> 文明>という既知 という既知の 既知の四大文明とは 四大文明とは異 とは異なるコンセプト なるコンセプトを コンセプトを持った文明 った文明の 文明の 存在が浮かび上がった。 存在 これは大変な発見で、これによって、人類の文明のあり方に、互 いに大きく異なる2つの方向性で観ることができるようになったこと の意義は計り知れない。 <狩猟採集> <稲作漁撈> <畑作牧畜> ・遺伝子起動 <本来>モード <本来>指向 <適応>モード 自然そのもの 自然との 自然 自然そのもの そのもの 自然との共生 との共生 自然 共生 自然の 自然の改造 ・環境像 有限系世界 有限系世界 無限系世界 ・環境との関係 定常的共生 持続的共生 不可逆的侵食 <生命文明モデル>による文明対比マトリックス ○本来を 本来を指向する 指向する文明 する文明と 文明と適応を 適応を指向する 指向する文明 する文明 、人類の 人類の代表的な 代表的なライフスタイルを ライフスタイルを <生命文明モデル>によって、 狩猟採集、 狩猟採集、稲作漁撈、 稲作漁撈、畑作牧畜の 畑作牧畜の3つの系譜にグループ分けする ことができる。 熱帯雨林の ・熱帯雨林 熱帯雨林の狩猟採集生活は、基本的な初期設定に限りなく近く、 狩猟採集生活 <本来>そのものとも言える。 稲作漁撈文明は、<本来>から一歩踏み出してはいるものの、 ・稲作漁撈文明 稲作漁撈文明 その眼差しは森の狩猟採集民を側をしっかり視野に捉えており、 <本来>指向と観るのが妥当である。 畑作牧畜文明は、<本来>を「未開・野蛮」として否 ・それに対して畑作牧畜文明 畑作牧畜文明 定する傾向が著しい。 言い換えると、畑作牧畜文明 畑作牧畜文明の 畑作牧畜文明の系譜は 系譜は、「原始 、「原始から 原始から文明 から文明へ 文明へ」を掲 げ、原始すなわち<本来>を離れて、<適応>の度合いを高め、 その行 その行く手には、< には、<自己解体 、<自己解体> 自己解体>という文明 という文明の 文明の病理が 病理が待ち受けている。 けている ○棲み分け型社会と 型社会と非棲み 非棲み分け型社会 ○群れを制御 れを制御し 制御し自己組織化する 自己組織化する行動制御 する行動制御の 行動制御のメカニズム ○行動制御系の 行動制御系の階層構造 ○報酬系が 報酬系が主導する 主導する社会 する社会と 社会と懲罰系が 懲罰系が主導する 主導する社会 する社会との 社会との対比 との対比 ○報酬脳を 報酬脳を究極的に 究極的に活性化する 活性化するバリ するバリ島共同体 バリ島共同体の 島共同体の祭り ○情報環境の 情報環境の本来指向 【討論】 討論】 ⇒「おばあさん」 おばあさん」の誕生が 誕生が出アフリカと アフリカと農耕に 農耕に繋がった 【松井】 松井】現生人類(ホモサピエンス)は15~16万年前にアフリカ 5~6万年前に で生まれ、5 万年前に“出アフリカ” アフリカ”をして、 をして、世界中に 世界中に散っていっ た。その理由としては、人口増加 人口増加という 人口増加という問題があったと考えられます。 という 狩猟採集の場合、一定のエリアで生きられる人数というのは決まっ ています。 その限界を超えて人が増えたら、住む地域を拡大せざ るを得ません。 すなわち“出アフリカ”です。 そして、他の人類と現生人類は、人口増加という点では、非常に 異なる条件があったのではないか。 それは、「おばあさん」の誕生 「おばあさん」 という事件が、そうではないかと考えている。 「 おばあさん」という 存在は 存在は、現生人類のみに 現生人類のみに出現 のみに出現したことです。 その結果として人口 出現 増加が起こった。 ⇒畑作牧畜文明は 畑作牧畜文明は人類が 人類が絶滅していく 絶滅していくプロセス していくプロセスか プロセスか 【大橋】 大橋】畑作牧畜文明は 畑作牧畜文明は、地球が無限系ならば末長く実現するも 地球は のですが、地球 地球は有限ですからどこかで 有限ですからどこかで行 ですからどこかで行き詰ってしまうのは、 ってしまうのは、最 初から約束 から約束されている 約束されている。 されている 稲作文明では 一方、稲作文明 稲作文明では、 では、水の分配等に 分配等に強い対立構造をはらんでい 対立構造をはらんでい るから、利己的脳機能に支配される社会は破綻しやすく、淘汰され 個人と 消えてしまったと考えられます。 反対に、個人 個人と全体を 全体を調和させる 調和させる ことに長 ことに長けた( けた(利他的脳機能が 利他的脳機能が優越した 優越した) した)社会集団が 社会集団が優位に 優位に立ち、 結局、 結局、淘汰に 淘汰に勝った。 特に棚田をつくっている地域では、そういう った 共生型の社会しか残っていない。 ⇒崩壊の 崩壊の仕方が 仕方が異なる畑作牧畜文明 なる畑作牧畜文明と 畑作牧畜文明と稲作漁撈文明 【安田】 安田】人類はもともと 人類はもともとピグミー はもともとピグミー的 ピグミー的だった。 それがある だった それがある段階 それがある段階で 段階で、稲 作漁撈文明と 作漁撈文明と畑作牧畜文明に 畑作牧畜文明に分かれたというのが私の考えです。 かれた 1万5千年くらい前に地球が温暖化して、農業を始めた時に、かた や稲作漁撈に、かたや畑作牧畜というライフスタイルをとったことが、 この2つの違う文明を生んだというのが私の考えです。 稲作漁労と 【松井】 松井】私は稲作漁労 稲作漁労と畑作牧畜という 畑作牧畜という生 という生き方の選択そのものが 選択そのものが、 そのものが、 人間圏をつくるという 人間圏をつくるという意味 その後の人類の 人類の心やライフスタイルに ライフスタイルに をつくるという意味で 意味で、その後 大きな影響 きな影響を 影響を与えたのではないかと考えています。 えた 古代の 【稲盛】 稲盛】大橋先生の話だと、古代 古代の文明が 文明が滅亡していったのは 滅亡していったのは、 していったのは、 まさに畑作牧畜文明側 まさに畑作牧畜文明側の 畑作牧畜文明側の人たちがつくり上 たちがつくり上げていった文明 げていった文明ですね。 文明 一方でピグミーの方は、文明はつくらないが、今も平穏に暮らしてい 狩猟採集文明それとも る。 このことは、狩猟採集文明 狩猟採集文明それとも、 それとも、稲作漁撈文明に 稲作漁撈文明に還れ、と いうことなのか。 いうことなのか 【松井】 松井】私は個人的には、狩猟採集に還るという生き方はできな いと思っています。 60 60億 60億を超える人 える人がいまさらピグミー がいまさらピグミー的 ピグミー的な生き 方なんて なんてできない。 できない 【稲盛】 稲盛】畑作牧畜文明は崩壊するのだということを、歴史的にも考 滅亡しないような 古学的にも証明できるわけですから、これを滅亡 滅亡しないような文明 しないような文明 にするには、 にするには、どうすればよいか。 どうすればよいか 【安田】 安田】畑作牧畜文明の 畑作牧畜文明の場合は 場合は、自然を 自然を一方的に 一方的に破壊して 破壊して、 して、そし てちょっとした気候変動 てちょっとした気候変動が 気候変動が起こる時 こる時に、極めて劇的 めて劇的に 劇的に文明が 文明が崩壊し 崩壊 長江 ていく。 一方、稲作漁撈文明の場合は、例えば4200年前に長江 文明が 文明が崩壊するのですが 崩壊するのですが、 するのですが、それは北方 それは北方の 北方の畑作牧畜民が 畑作牧畜民が侵略してき 侵略してき てやられるんです。 そして崩壊はするが、その後に稲作漁撈民は てやられる 豊かな大地を残していく。 ここが畑作牧畜型とは違う。 -地球文明の危機〔環境編〕- ⇒人口問題、 人口問題、温暖化、 温暖化、言語の 言語の発達が 発達が農耕牧畜を 農耕牧畜を生んだ 【松井】 10万年位 松井】環境は大体10 10万年位で 万年位で温暖化と 温暖化と寒冷化を 寒冷化を繰り返している。 している 我々は今、温暖化した1万年位に続く間氷期にいる。 現生人類は 15万年位に生まれて、5~6万年位前に世界中に散らばった。 そ 人類は して人類 人類は、狩猟採集をずっと 狩猟採集をずっと続 をずっと続けてきたが、 けてきたが、1万5千年位前に 千年位前に農 耕牧畜を 耕牧畜を始めた。 農耕牧畜という生き方を始めた理由の1つは、 めた たまたま気候 たまたま気候が 気候が温暖化して 温暖化して、 して、非常に 非常に安定化したから 安定化したからだと思う。 したから 加えて、もともと現生人類が、生まれた時からそういう資質(「おばあ ちゃん」の存在で人口が増加、言語機能の獲得)を持っていたんじゃ ないか、ということも挙げられる。 ⇒ポスト畑作牧畜文明 ポスト畑作牧畜文明とはどんなものか 畑作牧畜文明とはどんなものか ⇒自己解体を 自己解体を拒否する 拒否する現代文明 する現代文明は 現代文明は崩壊する 崩壊する 【稲盛】 生物というのは自己解体 というのは自己解体、 自己解体、死を自らのものとしてプログラ らのものとしてプログラ 稲盛】生物というのは ムされている。 そういうことがあるために上手くいっているんだとい されている うことでした。 【松井】 死があるから安心 松井】私も死 があるから安心して 安心して生 して生きられると思っています。 きられる 人に死がなかったら大変なことだ。 現 【安田】 安田】文明は死ぬ。 文明は崩壊するから生きられる。 ただ現 代文明だけが 代文明だけが不死 だけが不死の 不死の思想を 思想を取り入れている。 文明 れている 文明が 文明が終わるんだと いうことを皆 いうことを皆が意識すれば 意識すれば、 すれば、新しい文明 しい文明が 文明が生まれるのだが。 まれる 【大橋】 大橋】文明の問題を最後に決めるのは、まさしく「ひとのこころ」 西欧近代文明の だと思います。 西欧近代文明 西欧近代文明の中の情動、 情動、理性、 理性、感性を 感性を合わせた 「ひとのこころ」 ひとのこころ」の全体像が 全体像が、地球を 地球を巻き添えに破滅 えに破滅に 破滅に向かっている ことは、否定できない。 ⇒他者を 他者を思いやる稲作漁撈民的 いやる稲作漁撈民的アプローチ 稲作漁撈民的アプローチ ⇒人間だけの 人間だけの生命 だけの生命を 生命を最優先させる 最優先させるキリスト させるキリスト教的発想 キリスト教的発想の 教的発想の限界 【稲盛】 稲盛】ピグミーの ピグミーの世界の 世界の人口増加は 人口増加はどうなっているのですか。 非常に調和的に良い生活をしているとおっしゃったのですが。 【大橋】 大橋】マクロ的 マクロ的に見て、人口は 人口は増えも減 えも減りもしていない。 病気 りもしていない や事故などで環境が奪っていくものと、一所懸命子育てして大人に なっていく速度や確率のバランスがとれている。 彼らには、「延命 延命の 延命の思想と 思想と技術(西欧近代に象徴される自然・社 技術 生の絶対化と 会環境を無視した生 絶対化と死の敵視。 この至上命令の下で、 敵視 が入っていない。 あらゆる手段が正当化される)」が っていない キリスト教圏のように、人間の生存をすべてのものに優先させ、 死と徹底的に 徹底的に敵対するという 敵対するという態度 するという態度は 態度は、むしろかなり少数派 むしろかなり少数派かもしれ 少数派 ない。(アジアの伝統社会では、輪廻転生の思想が、今なお多数派 であろうと推定される) 死を絶対的に 私は、死 絶対的に敵視し 敵視し、その回避 その回避を 回避を無条件で 無条件で支持する 支持するキリス するキリス ト教文明が 教文明が現在の 現在の収拾のつかない 収拾のつかない人口爆発 のつかない人口爆発を 人口爆発を招いた可能性を検証 いた すべきだと思っている。 ⇒ピグミー的 ピグミー的なものを復活 なものを復活させる 復活させる試 させる試み 【稲盛】 稲盛】今まで人類にとって善きことだと思っていたことが、そうで 「大善は はないのかもしれません。 仏教の中に「 大善は非情に 非情に似たり、 たり、小 善は大悪に 大悪に似たり」 たり」というのがあります。 人間を 人間を大事にした 大事にした結果 にした結果、人口が爆発的に膨張し、もう地球圏には 結果 棲めなくなってしまい、それは人類 人類が 滅亡する大悪 人類が滅亡する する大悪になる 大悪になる。 一方、 になる 「冷たく非情な」と思われることが、大きな善になることがある。 まさ にそういうことを今、言わなければいけない。 - 6 - 【松井】 途上国への 松井】私はいつも逆説的ですが、途上国 途上国への援助 への援助に 援助に関して、 して、現 在のような形 のような形の援助はすべきでない 援助はすべきでないと主張しています。 その地域 はすべきでない で人々がローカルな循環に基づいて、生きていけなくなりますから。 デカルトが提唱した自然学の本質は、自然 自然から 自然から一切 から一切の 一切の能動性、 能動性、 自律性、 自律性、自己形成性を 自己形成性を剥奪(はくだつ) はくだつ)した-ということである。 この した 本質をどの哲学書もほとんど書いていないのは困ったことだ。 ⇒肥大化する 肥大化する「 する「人間圏」 人間圏」に対抗する 対抗する手段 する手段はあるか 手段はあるか 【安田】 「利他の 安田】この研究会は、「 利他の心に立脚した 立脚した新 した新しい文明 しい文明を 文明を創る」 ことを目指 ことを目指している 目指しているが、大橋先生は今日初めて、総合的視野に立っ している て「遺伝子は利他的な要素を持っている」とおっしゃいました。 【大橋】 大橋】生き物というのは、利己的な存在が生き残りやすいのは 当然です。 しかし、進化のプロセスの中で、利己と利他の双方を 持った形が出現し、それがより強力な生存力を発揮して、地球生態 系を支配するに至っている。 すべての地球生命に寿命というものが認められる現実は、単なる 利己性一本槍の 利己性一本槍の不死の 不死の生命が 生命が競争に 競争に負けて絶滅 けて絶滅し 絶滅し、利他的な 利他的な自 己解体を 己解体を伴う死の遺伝子を 遺伝子を搭載した 搭載した生命 した生命が 生命が完勝したことを反映して 完勝 いる。 【松井】 松井】システムというのは、構成要素が何であれ、それ1個だけ 他があるから自 で存在できない。 他 があるから自らがあるのであって、 らがあるのであって、利他は 利他は当 然であり、今 今の教育の 教育の問題は 問題は、それを忘 それを忘れてしまったことにある。 れてしまったこと ○機械論的自然観から 機械論的自然観から創発自己組織系 から創発自己組織系としての 創発自己組織系としての自然観 としての自然観へ 自然観へ 私がここで提起しようとする新たな自然観は、デカルトの機械的 自然観に対抗するものである。 この「創発自己組織系としての自 然観」は、自然 自然を 自然を自分で 自分で自分を 自分を形成していく 形成していく、「 していく、「創発 、「創発」 創発」のシステムだと システム 認めることである。 この創発の形成史を一瞥するために、下図を用意した。 自然誌 は、「宇宙誌」から始まり、ヒトを経て、「科学革命」まで行き、今や 「環境革命」へと向かっている。 いずれの段階も、前の段階を含ん でいる。 宇宙誌→銀河系誌→太陽系誌→地球誌→生命誌 生命誌 <自然誌>:宇宙誌 宇宙誌 →ヒト→<人間誌> <文明誌>:<人間誌>→人類革命→農業革命→都市革命→ 精神革命→科学革命→環境革命 創発自己組織系の形成 ⇒ 「利己の 利己の快感」 快感」から「 から「利他の 利他の快感」 快感」へ 【稲盛】 欲望というものを 稲盛】今我々は、欲望 欲望というものをエンジン というものをエンジンにして エンジンにして、 にして、その探究心 その探究心 と好奇心のおもむくままに 好奇心のおもむくままに展開 のおもむくままに展開して 展開して今日 して今日をつくった 今日をつくった。 それは をつくった それは非常 それは非常に 非常に 快感でもある 快感でもあるし、物質的にも豊かになることも快感なんですが、それ でもある 何か癒しの、 とは別に、何 しの、あるいは利他 あるいは利他を 利他を達成した 達成した時 した時の心地よい 心地よい快感 よい快感 というのもありますね。 そういう快感というのは、また味わいが違 というのもあります いますよ。 そういう新しい時代を創ろうではありませんか―そうい う提案もよいかもしれませんね。 【大橋】 大橋】そのとおりですね。 実は、今そうした提案につながるアプ ローチを、先端的な科学の力を借りてやっています。 それともう1 あまりにも我 つの問題は、あまりにも あまりにも我々の文明が 文明が遺伝子設計から 遺伝子設計から離 から離れたところ に来てしまって、 てしまって、人類に 人類に約束された 約束された満足感 された満足感とか 満足感とか歓 とか歓びに十分接 びに十分接してい 十分接してい ない人 ない人ばかりになってしまった、ということです。 ばかりになってしまった この研究会の先生方にも、熱帯雨林に入られて、そういう快さを 味わってもらい、自分の持つ快感のレパートリーを目覚めさせ、確 認していただければと私は思います。 特に、利己性が消し飛んで そのようなものを体験 利他性が支配するバリ島の祝祭の快感。 そのようなものを そのようなものを体験す 体験す ると、 ると、自分自身だけでなく 自分自身だけでなく、 だけでなく、人類全体に 人類全体に対する認識 する認識も 認識も変わると思うん わる です。 ◇第5章 現代文明は 現代文明は科学技術で 科学技術で滅びるのか( びるのか(伊東俊太郎) 伊東俊太郎) ○実質的に 実質的に破綻している 破綻している機械論的自然観 している機械論的自然観 デカルトの デカルトの自然観を 自然観を一言でいうと 一言でいうと、「 でいうと、「自然 、「自然を 自然を機械として 機械として見 として見る」という ことだ。 そこらに生えている木も、人間の身体も機械ということにな こと る。 ただ、身体は単純に機械化できるが、「考える」ことだけは例 外であって、機械化できないと考えた。 しかし、デカルトのこの結論にも問題がある。 デカルトは身体の 「我生きる」ところをすっ飛ばし、いきなり「考える」ところから始めた。 そして、自然 自然から 自然から質的 から質的なもの 質的なもの、 なもの、生命的なもの 生命的なもの、 なもの、意識的なものを 意識的なものを取 なものを取り 除き、一様な 一様な「幾何学的延長」 幾何学的延長」に還元した 還元した。 その結果、自然は幾何 した 学、言い換えれば数学になった。 宇宙誌の ここでは、宇宙誌 宇宙誌の始まりと、 まりと、生命誌の 生命誌の始まりの2 まりの2つを取 つを取り上げて、 げて、 そこに焦点 そこに焦点を 焦点を定めて考察 めて考察する 考察することにより、機械論的自然観から創発 する 自己組織系の自然観へと変換する手がかりを得たいというのが、 私の目標である。 ○宇宙は 宇宙は自己組織する 自己組織する 2003年に宇宙探査機WMAPを飛ばし、その観測によって、ハッ ブル膨張以前の「インフレーション」という(佐藤勝彦、アラン・ダース の二人が出した)説が間接的に検証された。 さらに、このWMAP 宇宙の の観測によって、初めて宇宙 宇宙の年齢が 年齢が137億年 137億年と 億年と分かった。 かった 宇宙で それからもう1つ驚くべきことは、宇宙 宇宙で光っていて、 っていて、通常天文学 の対象とされるものは 対象とされるものは、 全体の4%に過ぎないことが分かった ぎない とされるものは、実は全体の 何もださない暗黒物質 のである。 その他、何 もださない暗黒物質が 暗黒物質が23%、 23%、残 %、残りの73 りの73% 73% がダークエナジーである ダークエナジーである。 暗黒物質がなかったら銀河がバラバラ である になるし、ダークエナジーがなければ、宇宙の膨張はもっと早くなる。 したがって、あることは分かるのだが、何であるかは分からない。 ○「対称性の 対称性の自発的破れ 自発的破れ」と宇宙の 宇宙の形成 宇宙は、時間を経るに従って温度が下がり、その結果、対称性が 自発的に破れ、様々な力が分化して、相互作用をしながら宇宙を形 成した。 宇宙の温度/ビッグバンからの時間 ・10の32乗K/10の-44乗・秒 ⇒重力が分離 ・10の28乗K/10の-35乗・秒 ⇒核力が分離 ・10の15乗K/10の-10乗・秒 ⇒電磁気力と弱い力が分離 ・10の12乗K/10の-4乗・秒 ⇒原子核形成(プラズマ) ・4,000K /10の5乗・秒 ⇒原子形成(晴れ上がり) ・100K /10の8乗・秒 ⇒星の形成 ・2.7K /5.10の17乗・秒(137億年)⇒現在 対称性の自発的破れと宇宙の形成 -地球文明の危機〔環境編〕- ○生命の 生命の誕生と 誕生と進化 宇宙は 宇宙は誕生して 誕生して137 して137億年 137億年、 億年、地球は 地球は誕生して 誕生して46 して46億年 46億年、 億年、生命は 生命は誕生 して38 して38億年 38億年の年数を経ている。 地球の温度が下がって固まり出 億年 地球 すと、周りを囲む大気の水蒸気が雨になって、海ができる。 地球 は、太陽と 太陽と適当な 適当な距離を 距離を持つことによって、 つことによって、うまい具合 うまい具合に 具合に水ができ、 ができ、 ここに生命 ここに生命が 生命が生じた。 じた その生命の特徴は、①生命に囲 囲いがある。 ②自己維持 自己維持が行わ 自己維持 自己増殖が行われる。 進化 進化(evolution:外へ展開→多 れる。 ③自己増殖 自己増殖 進化 様化)する。 宇宙も進化するが、生物の場合は、DNAが変化することによって、 長い時間が経つと遺伝子情報がいろいろと変化して、環境に適合し たものはどんどん子孫を増やし、適合しなかったものは滅びてしま 進化を う。 このように、進化 進化を「突然変異」 突然変異」と「自然選択」 自然選択」で説明するのが 説明するのが 通説(進化論:ダーウィニズム)だが、この説では、生物 生物は 通説 生物は何ら能動 性のない存在 のない存在にされており 間違っていると私は思っている。 存在にされており、 にされており、間違っている っている デカルトの 本稿の冒頭で、17世紀のデカルト デカルトの機械論が 機械論が、自然から 自然から「 から「能動 性」と「自律性」 自律性」を剥奪した 剥奪したと説明したが、この機械論を生物界に徹 した 底したのが、このダーウィニズムだと言える。 生命の いよいよ、生命 生命の誕生が 誕生が自己組織化だったか 自己組織化だったか-という問題に入 だったか るが、その前に「セントラル・ドグマ」について考えてみる。 DNAが 先か核酸が先かというものだが、ニワトリが先か卵が先かの関係と 同じである。 どちらが先とは言えないのだ。 これが、セントラル・ド グマのパラドックスである。 〔このパラドックスを解く説明は、複雑になるので省略(廣志)〕 ↓ | | | |触媒作用 ↓ 翻訳 | | 複製 DNA ――――→ RNA ――――→タンパク質 転写 ↑ | セントラル・ドグマの構造 時 期 生 物 界 の 現 象 大 変 動 ・46億年前 地球の誕生 ≪生命誕生≫ ・38億年前 ≪ 生命誕生≫ 全球蒸発 ・35億年前 最古原核生物 ・30億年前 酸素大気の始まり ・13億年前 真核生物・多細胞生物出現 ・5.7億年前 ≪ ≪カンブリア大爆発 カンブリア大爆発≫ 大爆発≫ V/C境界 水生動植物大爆発、最初の脊椎動物 ≪大量絶滅≫ ・4.4億年前 ≪ 大量絶滅≫ O/S境界 原始魚類、最初の陸上植物(シダ類)、~ ≪生物の ・2.25億年前 ≪ 生物の大量絶滅≫ 大量絶滅≫ P/T境界 最初の哺乳類、恐竜時代、~ ≪恐竜大絶滅≫ ・6500万年前 ≪ 恐竜大絶滅≫ K/T境界 哺乳類の多様化、人類の登場 ・100万年前 ホモ・サピエンス ・現在 地球と生物の歴史 - 7 - 生命の誕生から、いわゆる進化をして、そしてホモ・サピエンスが 出てくる。 この間、 、5回の大変動、 大変動、つまり大絶滅 つまり大絶滅があった。 大絶滅 ・全球蒸発:地球の温度が上がって水が蒸発、この時に少ない水 にいろいろな要素が入り固まって生命が誕生? ・V/C境界:カンブリア大爆発で、今の生物の原型ができ上がる ・O/S境界:大量の生命がいなくなって魚類が発生 ・P/T境界:火山の爆発、生物大量絶滅、最初の哺乳類が誕生 ・K/T境界:恐竜が大絶滅、哺乳類が多様化 今、問題は そして今 問題は次の絶滅である 絶滅である。 これはいつ来るかは分から である 人間がその ないが、次の絶滅は、人間 人間がその知 がその知の進歩により 進歩により、 により、人間がつくり 人間がつくり出 がつくり出 したものによって絶滅 したものによって絶滅する 絶滅する、という今までの絶滅とは違うものになる する だろう。 ○科学技術の 科学技術の発達によって 発達によって人類 によって人類は 人類は滅びるのか 私は今までは、「創発自己組織系」で、自然と文明のことを考えて 自然も きた。 しかし、「科学革命」以降の300年の変質の果てに、自然 自然も 文明も 文明も「創発」 創発」ではなくなり、「 ではなくなり、「人発 、「人発」 人発」になってきた。 自然の中に潜っ になってきた ているものが出てきて組み合わさり、新しいものがつくられていると いうのではない。 人間が勝手に作って付け加えてしまう。 自然の進化など関係な い。 人工的なものをどんどん入れてしまう。 これでは何が危険で、 「人発自己破滅系」 何が危険でないかも分からない。 我々は「 人発自己破滅系」という ものを何 ものを何とか避 とか避けなければならないところにきている。 けなければならない この地上 まず人類にとって最大の危険は「核科学」である。 この この地上から 地上から 核兵器を を廃絶しない 核兵器 廃絶しない限 しない限り、その拡散 その拡散によって 拡散によって人類 によって人類が 人類が自滅することは 自滅することは 明らかだろう。 ベトナム戦争が終わる頃、私はプリンストン高等研 らか 究所にいたが、いろいろ考えが変わってきて、科学に幻滅を感じる ところが少なくなってしまった。 科学はかつて 科学はかつて人類 はかつて人類の 人類の希望であったが 希望であったが、 であったが、今は人類にとって 人類にとってダモクレ にとってダモクレ スの剣のように諸刃(もろは)の刃(やいば)になっている。 まさに人類 を滅ぼすかも知れないような危険、希望でなく危機をもたらすかも 知れないと感じている。 ○科学には 科学には「 には「緑の科学」 科学」と「黒い科学」 科学」がある 科学には、地球 地球を 地球を 地球を良くする「 くする「緑の科学」 科学」と、地球 地球を破滅させてしま 破滅させてしま う「黒い科学」 まだ、 科学」とが明確に存在する。 さらにもう1つ、まだ まだ、どっちに 進むのか分 むのか分からない「 からない「白い科学」 科学」という領域が存在する。 行く先を 慎重に見定めなければいけないものである。 代表的なものは「遺 伝子工学」「ナノテクノロジー」「加速器(Large HadronCollider )」 「脳科学」「宇宙科学」などである。 ○超加速社会から 超加速社会から定常社会 から定常社会への 定常社会への大転換 への大転換 科学技術は進歩するにしても、減速してもっと人間らしい時間を 1750年 回復すべきである。 1750 1750年からの300 からの300年 300年は、人類史の 人類史の例外的な 例外的な 時代であると認め、この このパターン 時代 このパターン( パターン(成長) 成長)がずっと続 がずっと続くような錯覚 くような錯覚を 錯覚を持っ てはいけない。 てはいけない いま我々は文明の大転換の時代に生きていると意識することが 重要である。 科学技術についても経済成長についても同様だ。 要するに、ここで文明 文明のあり 文明のあり方 のあり方、人間の 人間の生き方を大転換させること 大転換させること、 させること、 そこにこそ人類 そこにこそ人類の 人類の破滅を 破滅を回避する 回避する鍵 する鍵があると言いたい。 がある 【討論】 討論】 ⇒創発自己組織系を 創発自己組織系を推し進めてきているものこそが神 めてきているものこそが神 【伊東】 伊東】我々は今、宇宙が 宇宙が何であるかということをやっと知 であるかということをやっと知り始め た。 10の-33乗のプランク定数の尺度から30乗の巨大な宇宙 までを考えられるようになった。 生物も皆、DNAで繋がっているん それらが分 だと。 それらが それらが分かった時 かった時に、人類が 人類が終わりだなんて、 わりだなんて、悲しい。 しい もちろん、こういう文明が無限だとは思わない。 だけれども、もっ とこの文明をいいものにして、我々と我々の子孫がそれを楽しみた い。 こんな こんな暗 こんな暗い予想しか 予想しか持 しか持てない生 てない生き方では、 では、生きていてもしよう がない。 がない 文明 結局、人間の生きがいです。 それがどこにあるかです。 文明 の転換が 転換が起こっているのは、 こっているのは、環境が 環境が悪い時です。 精神革命、都市 革命、科学革命、すべてそうです。 産業革命もそうだった。 ⇒日本人が 日本人が伝統的に 伝統的に持っていた「 っていた「自己組織系」 自己組織系」という考 という考え方 ⇒利他という 利他という心 原動力にして新 しい文明をつくり 時代の到来 という心を原動力にして にして新しい文明 文明をつくり出 をつくり出す時代の 【稲盛】 稲盛】近代文明は、人間の飽くなき欲望で、わずか300年位で 人間の 今日の物質文明の社会をつくりあげた。 しかし、人間 人間の心の中に は、飽くなき欲望 利他と くなき欲望と 欲望と、もう1 もう1つ慈悲とか 慈悲とか博愛 とか博愛がある 博愛がある。 今度は利他 がある 利他と いう心 いう心を原動力に 原動力に、新しい文明 しい文明をつくっていこう 文明をつくっていこう、 をつくっていこう、と言いたいのです。 いたい 【伊東】 伊東】おそらく、それだと思います。 アダム・スミスは、利己は 突き詰めれば、結局、利他になる、「神の見えざる手」がそうしてい るんだと言うが、それはちょっと違う気がします。 【稲盛】 稲盛】通用しなかったですよ、まさに今回の金融危機でそれが 証明されたと思います。 ⇒「慈悲」 慈悲」こそ、 こそ、21世紀 21世紀の 世紀の新しい文明 しい文明の 文明のキーワード 【稲盛】 食欲のように 稲盛】人間の心の中で欲望というのは、食欲 食欲のように五感 のように五感に 五感に訴 えた、 えた、快感を 快感を覚えるものであるわけです。 その快感と、人を助けて えるもの 利他的なことをした ける快感と あげる、親切にする―そういう利他的 利他的なことをした時 なことをした時に受ける快感 快感と は、味(快感の 快感の種類・ 種類・度合い 度合い)がまったく違 がまったく違う。 自分の欲望を満たし もっと高級 た時に得られる快感とは違って、もっと もっと高級な 高級な、もっといい感 もっといい感じの快 じの快 感が得られるよ、と言えるのではないか。 そういう心をエンジンに られる して、新しい科学技術を生み出そうではありませんか、という提案を すると、何か良い解が出るのではないかと漠然と思っています。 「生き 【伊東】 伊東】まったくその通りですね。 それは、私にいわせたら「 がい」 利他は その人 がい」の問題です。 利他 問題 利他は生きがいなんですよ。 その きがい その人の生きて いく根源 いく根源になる 根源になるエネルギー になるエネルギーなんです。 それが、今の日本人には、 エネルギー どんどん少なくなっている。 だから、私はその慈悲を基礎づけたい。 最後に、3つの結論を申し上げたい。 ・1つ目は、このことによって、「 「人間対自然」 人間対自然」という偏見 という偏見がなくなる。 偏見 「精神と ・2つ目は、「 精神と物質」 物質」の対立、しかし、これは対立ではない。 対立 心、精神もまた創発なんです。 「宗教と 自己組織系を ・最後が、「 宗教と科学」 科学」です。 自己組織系 自己組織系を動かしていくもの― かしていくもの―こ れは、 れは、私にとってはほとんど奇跡 にとってはほとんど奇跡です。 キリストが奇跡を行わなく 奇跡 そういうものとして神 ても、これこそが奇跡だから。 そういうものとして そういうものとして神をとらえたら、 をとらえたら、 科学と 科学と矛盾しない 矛盾しない。 そういうことで、根本的な見方の転換が可能な しない のではないか、私はそう思う。 ⇒利他の 利他の愛に対する自己満足感 する自己満足感には 自己満足感には限界 には限界がない 限界がない -地球文明の危機〔環境編〕- ◇第6章 新たな文明原理 たな文明原理は 文明原理は危機の 危機の時代に 時代に生まれた( まれた(安田 安田 喜憲) 喜憲) (1) 新たな文明 たな文明の 文明の原理を 原理を創造できるか 創造できるか ○文明の 文明の原理とは 原理とは 永遠不滅の文明は存在しない。 いかなる文明も崩壊する。 そ れは人類史を牽引した文明の原理が、いつかは人類の要求に合わ 文明の なくなるためである。 その文明 文明の原理が 原理が色あせる契機 あせる契機は 契機は、地球環 境の変動によって そ 変動によって与 によって与えられる。 しかも、繁栄を謳歌した文明は、そ えられる の文明を 文明を繁栄に 繁栄に導いた文明原理 いた文明原理によって 文明原理によって崩壊 によって崩壊する 崩壊する。 文明発展の する 原理は、文明崩壊の原理ともなるのである。 文明が なぜそうなるのか。 それは文明 文明が繁栄を 繁栄を獲得した 獲得した原理 した原理を 原理を容易に 容易に 変換できないから 変換できないからである。 自らの文明を繁栄に導いた原理に執着 できないから いかなる文明 し、その原理を放棄できないのである。 ゆえに、いかなる いかなる文明も 文明も、 その原理 その原理が 原理が時代の 時代の精神、 精神、人類の 人類の欲求に 欲求に合わなくなった時 わなくなった時に崩壊す 崩壊す るのである。 私は未開 未開と 文明を区別することなど 区別することなど、 もってのほか 未開と文明を することなど、もってのほかであると考え ている。 未開と文明を区別する文明論からは、未開とみなされた 少数民族の文化や縄文文化から、人類の未来を切り開こうとする 新たな文明原理を学びとろうとする姿勢は生まれ得ない。 縄文にも 私が縄文 縄文にも文明原理 にも文明原理が 文明原理が存在すると 存在すると主張 すると主張するのは 主張するのは、 するのは、落日の 落日の近代 文明にかわって 文明にかわって、 にかわって、人類文明史を 人類文明史を牽引する 牽引する文明原理 する文明原理が 文明原理が、そこには隠 そこには隠さ れていると見なすからである。 レヴィ=ストロースやトインビーも同 れている じ考えであった。 彼らは、未開と文明を区別し、中心文明と周辺文 明を区別する、近代ヨーロッパの階級支配の世界観に立脚した、科 学の限界を見据えていた。 人間の 人間の欲望の 欲望の解放を 解放を中心に 中心に据え、「過去 、「過去に する感謝と 未来に 過去に対する感謝 感謝と、未来に 対する責任 する責任」 責任」を放棄した 放棄した「 した「市場原理主義」 市場原理主義」が、近代ヨーロッパ文明の 中で誕生し、近代文明を牽引する文明原理になった時、その文明 の原理は、人類文明史を牽引する文明原理ではなくなった。 マネーの このマネー マネーの欲望を 欲望を中心とする 中心とする文明原理 とする文明原理が 文明原理が、生命の連鎖を破壊 し、この地球の生きとし生けるものの命を奪い、弱者と強者の人間 関係を増幅させ、自然 自然を 破壊する心 みを失わせ、 わせ、同胞の 同胞の人類 自然を破壊する する心の痛みを失 を搾取していることに 搾取していることに対 していることに対する倫理的規範 する倫理的規範さえ 倫理的規範さえ奪 さえ奪ってしまった。 ってしまった 多くの識者は、市場原理主義の横行に警告を発し始めていた。 市場原理主義を しかし、その市場原理主義 市場原理主義を自らの文明 らの文明の 文明の原理として 原理として世界 として世界を 世界を支配し 支配し たアメリカは、その文明原理に未だに固執し続けている。 「 「文明は アメリカ 文明は 文明を それは、 文明を繁栄に 繁栄に導いた文明原理 いた文明原理によって 文明原理によって、 によって、崩壊する 崩壊する」 する」。 それは それは、また もや人類文明史 もや人類文明史の 人類文明史の公理となって 公理となって、 となって、人類を 人類を奈落の 奈落の底に突き落とそうと している。 している ○危機の 危機の時代が 時代が新たな文明原理 たな文明原理を 文明原理を生む ホモサピエンスは、約 約20万年前 20万年前に 誕生してから1 千年前の危 万年前に誕生してから してから1万5千年前の 機に直面するまで 直面するまで、 するまで、約19万年近 19万年近くも 万年近くも狩猟採集社会 くも狩猟採集社会の 狩猟採集社会の中で暮らして きた。 ところが最後の氷河時代が終わり、地球温暖化の時代の到 きた 来によって、食料としてきた大型哺乳動物が姿を消し、人類は食糧 危機に直面し、人口も激減した(数千人に激減したとの説もある)。 そうした中で人類は野生のコムギやイネの栽培化を始めるので ある。 18 18万年以上 18万年以上も 万年以上も持続した 持続した原理 した原理が 原理が崩壊し 崩壊し、新たに農耕 たに農耕に 農耕に立脚し 立脚し た原理に 原理に移行する 移行する時 する時が、人類最大の 人類最大の危機であった。 危機 - 8 - 4200年前、これまで以上に気候は激しく寒冷化と乾燥化した。 その気候悪化 気候悪化は 気候悪化は200年間続 200年間続き 年間続き、その間 その間に古代メソポタミア 古代メソポタミア文明 メソポタミア文明、 文明、エ ジプトの ジプトの古王国、 古王国、長江文明も 長江文明も崩壊した。 崩壊 3500年前から気候は再び激しい寒冷化と乾燥化に直面し、そ 社会的混乱の の社会的混乱 社会的混乱の中で、その後 その後の人類文明史に 人類文明史に大きな影響 きな影響を 影響を与える 一神教が 一神教が誕生した。 誕生 そして17世紀、近代ヨーロッパ文明を生み出した科学革命 科学革命もまた 科学革命もまた、 もまた 気候悪化の 小氷河期の気候悪化 気候悪化の中で、ヨーロッパの ヨーロッパの人々が飢えとペスト えとペストの ペストの大 流行の 流行の危機に 危機に直面した 直面した時 した時に、引き起こされた。 こされた 自然を 自然を征服して 征服して人間 して人間の 人間の王国をつくるという 王国をつくるというベーコン をつくるというベーコン、 ベーコン、自然を 自然を単なる 機械と 機械と見なすデカルト なすデカルトの デカルトの思想によって 思想によって、自然を搾取することに何ら によって 近 の倫理的責任や、うしろめたさを感じさせない文明原理を持った近 代ヨーロッパ文明 ヨーロッパ文明が 文明が、この時 この時に誕生した 誕生した。 した 地上のみでなく それはやがて産業革命を生み出し、地上 地上のみでなく地下資源 のみでなく地下資源を 地下資源を 搾取することによって 搾取することによって、 人類は未曾有(みぞう) みぞう)の発展を 発展を遂げた。 げた することによって、人類は ○人類は 人類は新たな文明原理 たな文明原理を 文明原理を構築できるか 構築できるか これまで人類は、地球環境 地球環境の 地球環境の変動によって 変動によって引 によって引き起こされた危機 こされた危機を 危機を、 新たな文明原理 たな文明原理を 文明原理を導入することによって 導入することによって、 することによって、巧みに切 みに切り抜け、新たな 文明の 文明の時代を 時代を構築してきた 構築してきた。 現代文明もまた、地球環境の変動に してきた その変動 よって今、危機に直面しつつある。 しかし、その その変動は 変動は、人間自ら 人間自ら つくり出 つくり出した問題 した問題であるところが 問題であるところが、 であるところが、これまでのものとは根本的 これまでのものとは根本的に 根本的に相違 する。 する 自らの手によって引き起こされた危機なのだから、その克服は容 易なはずである。 にも関わらず、答えは楽観的ではない。 そこに 人間の 立ちはだかってきたのが人間 人間の欲望であり 欲望であり、 であり、人間の 人間の生きる力 きる力を形成 しているものだった。 その人間 人間が しているもの 人間が生きる根源 きる根源の 根源の力の抑制が 抑制が必要と 必要と なってきたのである。 なってきた 科 近代文明を発展に導いたのは、科学と技術力だった。 だが、科 学と技術力が 技術力が生んだ核兵器 んだ核兵器によって 核兵器によって、 によって、文明の 文明の崩壊どころか 崩壊どころか、 どころか、今や人 類の絶滅の 絶滅の危機さえ 危機さえ、 もたらし始めているのである。 その危機の めている さえ、もたらし始 新たな文明原理 時代に、人類はこれまでやってきたように、新 たな文明原理を 文明原理を創造 し、その危機 その危機を 危機を乗り越えて、 えて、新たな文明 たな文明の 文明の時代を 時代を創造できるのであ 創造できるのであ ろうか。 ろうか (2) 人類は 人類は超紛争を 超紛争を回避できるか 回避できるか ○アフリカは アフリカは未来の 未来の地球 イースター島は、かつてヤシの巨木の森に覆われていた。 しか 大規模な し、12世紀から17世紀に至るまでモアイは造られ続け、大規模 大規模な 環境破壊が 環境破壊が行われた結果 われた結果、 結果、破局的な 破局的な文明の 文明の崩壊が 崩壊が引き起こされた。 こされた モアイを立てるため土木用材がいる。 家を建てるためにも建築材 がいる。 主食のバナナやタロイモを栽培する畑を拡げることによっ ても、ヤシの森は破壊された。 イースター島 イースター島は沖縄と 沖縄と同じ南緯度に 南緯度に位置し 位置し、雨は集中豪雨になっ 大粒の て降る。 大粒 大粒の雨が森を失った表土 った表土を 表土を浸食し 浸食し、豊かな表土 かな表土を 表土を削り 去った。 さらに山が低いため強風が吹き、表土は風によっても飛 った いったん失 ばされた。 いったん いったん失われた表土 われた表土が 表土が回復することはなかった 回復することはなかった。 することはなかった 主食のタロイモやバナナを育てる豊かな表土を失った島は、突然 の食糧難に見舞われ、1 1万人いた 万人いた人口 いた人口は 人口は200人足 200人足らずにまで 人足らずにまで激減 らずにまで激減 した。 さらに木を切り倒してしまったため、大型の船を作れず、沖 合いの漁に行くことも、島を脱出することも不可能になった。 それから300年以上が経ち、17世紀のイースター イースター島 イースター島の惨状は 惨状は、 アフリカ大陸全域 アフリカ大陸全域にまで 大陸全域にまで拡大 にまで拡大した。 21世紀に入って、地球の未来 拡大 2050年 の縮図はアフリカ大陸になった、おそらく2050 2050年には、 には、地球全体 がこの崩壊 がこの崩壊の 崩壊のシナリオを シナリオを体験することになる 体験することになるのは間違いあるまい。 することになる ○超紛争はやってくるのか 超紛争はやってくるのか ジャック・アタリは、地球環境問題の悪化で、2050 2050年頃 2050年頃に 年頃に資源や 資源や 水を巡る争いが激化 いが激化し 激化し、人類がこれまで 人類がこれまで経験 がこれまで経験したことのない 経験したことのない超紛争 したことのない超紛争 が起きると指摘する。 超紛争が起こってから、利他の心や慈悲の きる 心に目覚めても手遅れなのである。 東洋の稲作漁撈文明と、そこで誕生した仏教や道教の世界では、 利他の 利他の心、慈悲の 慈悲の心を持った文明原理 った文明原理が 文明原理が2千年以上も 千年以上も持続してい 持続 その文明原理 るのである。 その その文明原理が 文明原理が世界に 世界に拡がれば、 がれば、超紛争など 超紛争など体験 など体験 せずとも、 せずとも、人類は 人類は新たな文明 たな文明の 時代を構築できる 構築できるのである。 それ 文明の時代を できる は、これまでに人類が経験したどの文明への転換よりも容易なはず である。 ○それでも復活 それでも復活の 復活の日を期待する 期待する人 する人々 ◇おわりに-「 おわりに-「成長 -「成長の 成長の限界」 限界」から「 から「生存の 生存の限界」 限界」へ(安田 安田 喜憲) 喜憲) 21世紀の世界は、地球環境問題 地球環境問題、 地球環境問題、民族紛争、 民族紛争、さらには食糧 さらには食糧と 食糧と水、 エネルギーの 人類 エネルギーの危機など 危機など、 など、様々な難問が 難問が待ち受ける世紀 ける世紀となり、人類 世紀 は確実に 確実に「生存の 生存の限界」 限界」に直面する 直面する。 する 『成長の 1970年代にローマ・クラブによって提示された『 成長の限界』 限界』(ダ イヤモンド社)は、21世紀に入って「生存の限界」へと、その戦略目 いまや人類 標を変えねばならなくなった。 いまや いまや人類は 人類は、「成長 、「成長の 成長の限界」 限界」から 「生存の 生存の限界」 限界」に直面し 直面し始めたのである。 めた 人類がこの地球で生き残るためにはどうすればいいのか、その 「方策」と「解」を探求し、新たな人類文明の未来を構築することが、 緊急の課題となった。 稲盛財団 環境文明倫理研究センターは、科学技術と人類の精 神的深化のバランスがとれた人材を育成し、21世紀の新たな倫理 を探究し、持続可能な循環型の文明を構築する世界最高の環境と 文明の研究機関とすべく発足した。 その活動の第一段として、日本を代表する研究者に集まっていた だき、A環境部門「歴史・環境」、B文明部門「人口・食料・エネルギー 資源・産業経済」、C倫理部門「倫理・道徳・教育」に別けて、共同研 究を実施した。 本書は、そのA環境部門の2008~2009年に実 施した研究成果の一部である。 ◇執筆者紹介 ○稲盛和夫( 稲盛和夫(編者) 編者) 1932年鹿児島県生まれ。 鹿児島大学工学部卒業。 59年京 都セラミック(現・京セラ)を設立。 社長、会長を経て97年より名誉 会長。 また、84年には第二電電(現・KDDI)を設立、会長に就任。 2001年より最高顧問。 2010年より日本航空会長に就任。 1984年には稲盛財団を設立し、理事長に就任。 「京都賞」を創 -地球文明の危機〔環境編〕- 設し、毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった方々を顕彰して いる。 また、若手経営者が集まる経営塾「稲盛塾」の塾長として、 経営者の育成にも心血を注ぐ。 主な著書に『生き方』(サンマーク出版)、 『ガキの自叙伝』(日経 新聞出版社)、 『人生の 人生の王道』 王道』(日経BP社)、 『「成功 『「成功」 成功」と「失敗」 失敗」の 法則』 法則』(致知出版社)、 『働き方』(三笠書房)などがある。 ○松井孝典( 松井孝典(第1章) 1946年静岡県生まれ。 東大理学部卒業、同大学院修了。 N ASA研究員、東京大学大学院教授等を経て、現在、千葉工大惑星 探査研究センター所長。 専門は惑星物理学・アストロバイオロジー 『宇宙人としての 主な著書に『 宇宙人としての生 としての生き方』(岩波書店)、 『地球システム 地球システム の崩壊』 崩壊』(新潮選書)等がある。 ○石 弘之( 弘之(第2章) 1940年東京都生まれ。 東京大学卒業後、朝日新聞社に入社。 編集委員、ニュヨーク特派員などを務める。 東京大学大学院教授、 駐ザンビア特命全権大使などを経て、現在、東京農業大学教授。 主な著書に『 『地球環境報告Ⅰ 『キリマンジャロの 地球環境報告Ⅰ、Ⅱ』、『 キリマンジャロの雪が消えて いく』 いく』(岩波書店)等がある。 ○甘利俊一( 甘利俊一(第3章) 1936年東京都生まれ。 東京大学工学部応用物理学科卒業。 九州大学助教授、東京大学工学部計数工学科教授、パリ大学客員 教授、理化学研究所脳科学総合研究センター長を経て、現在、同 『バイ 特別顧問。 数理脳科学、情報幾何学を研究。 主な著書に『 オコンピュータ』 中身が見えてきた』 えてきた』(共著、岩 オコンピュータ』(岩波書店)、 『脳の中身が 波書店)、 『脳科学の 脳科学の現在』 現在』(共著、講談社)等がある。 ○大橋 大橋 力(第4章) 1933年栃木県生まれ。 東北大学農学部卒業。 農学博士。 大学共同利用機関・放送教育開発センター教授、ATR感性脳特別 研究室長等を経て、現在、文明科学研究所所長。 情報環境学、脳 『情報環境学』 科学、分子生物学などの研究を続ける。 主な著書『 情報環境学』 (朝倉書院)、 『音と文明』 文明』(岩波書店)等がある。 ○伊東俊太郎( 伊東俊太郎(第5章) 1930年東京都生まれ。 東京大学哲学科卒業。 プリンストン 高等研究所客員研究員などを経て、東京大学教養学部教授。 専門は科学史、比較文明学。 現在東京大学名誉教授。 主な著 『伊東俊太郎全集( 書に『 伊東俊太郎全集(全12巻 12巻)』(麗澤大学出版会)等がある。 )』 ○安田喜憲( 安田喜憲(第6章) 1946年三重県生まれ。 東北大学大学院理学研究科終了。 理学博士。 環境考古学専攻。 京都大学大学院理学研究科教授 (併任)などを歴任。 現在、国際日本文化センター教授。 主な著 『文明の 書に『 文明の環境史観』 環境史観』(中公叢書)、 『稲作漁撈文明』 稲作漁撈文明』(雄山閣)等。 地球文明の危機〔環境編〕 ******************************************************** 2010年11月 4日 発行 編 者 稲盛 和夫 発行者 柴生田晴四 発行所 東洋経済新報社 ******************************************************** 借入日 2012年 3月21日 (再借入 2014年 8月26日) 借入先 愛媛県立図書館 - 9 - ★★★ ★★★ 人類の 人類の危機を 危機を救う消費者の 消費者の安全論 安全論 ★★★ 一般社団法人日本交通協会副会長兼理事長 竹 田 正 ◇種資源枯渇が 種資源枯渇が人類滅亡を 人類滅亡を招く やがて人類は、穀物など「食料の種が枯渇して滅亡する」のでは ないかという有力な説があります。 実は、食料の種の枯渇の恐れ やバイオ・テロなどは、究極の人類の危機で、対応策が難しく、最終 的には消費者の安全論が、死命を制します。 バイオ・テロはとても私の手には負えない話ですので置くとして、 農産物の種の枯渇の問題は、次のような恐れが考えられます。 してしまうわけです。 これらを世界中に広げて、人類の食糧危機を救うためだ!、と言 われましても、遺伝子を人工的に組み替えた極少数の、独占された 人工種で、世界中を蔽(おお)ってしまうやり方は、結果的に各地域の 独自固有の自然種を廃棄に追い込み、限定された人工遺伝子の種 に統一され、農業を衰退させ、豊富な遺伝資源を有する原種などの 種資源が枯渇し、人類の滅亡に繋がる恐れがあると、指摘されてい るのです。 いま世界の人口は、70億人を突破し、新興国を中心に一年に、 約8千万人も増加し、幾何級数的に増えています。 また、経済発 展に伴い、牛や豚、鶏などの肉食化が世界中で急速に進み、トウモ ロコシなどを飼料として、爆食する家畜に与えて、美味しい肉を大 量生産しています。 さらに、二酸化炭素排出を抑制するということで、トウモロコシや サトウキビなどの、人が食べる食料でバイオエタノールを生産し、自 動車の燃料に使い始めました。 ◇消費者の 消費者の選択が 選択が人類を 人類を救う 勿論、遺伝子組み換え種を広げようとしている米欧の巨大化学 会社は、安全性の問題もないし、種の枯渇を招くようなことはない、 と言っております。 ただ、これは事業者の安全論です。 食料の安全は、あくまでもそれを食べて命を繋(つな)いでいる消費 者の判断が優先すべきです。 消費者の中には、遺伝子の組み換 えによる食品よりも、自然のできれば、有機栽培の食品を「選択」し たいという人もいます。 これが「消費者の安全論」です。 こうなりますと、世界の都市部で急増する人口に対し、ただでさえ 不足する食料を大増産するため、科学的に解明されてきた遺伝子 組み換え技術を縦横に駆使し、害虫や病気に強く、収量を飛躍的 に増産する「遺伝子組み換え農産物」を、世界中で生産する動きに なって来ます。 米欧の化学会社や工業化された大農家は、トウモロコシや大豆、 コメなどの穀類や、トマト、ジャガイモなどの野菜類も、遺伝子を組 み換えて生産性を上げるとともに、消費者の健康機能性向上(例え ば、高血圧や糖尿病予防の米など)も加えて、遺伝子組み換え農 産物の大増産体制をとっています。 1966年イギリスで狂牛病(当時はこう表現、BSEのこと)の大発 生が問題になりました。 これは、牛を育てるにあたり、抗生物質や 搾乳(さくにゅう)のためのホルモン剤などの大量投与とともに、おとな しい草食動物に羊や牛の肉骨粉を与え、肉食を強いたことが原因 でした。 牛ですら正しい食べ物を与えられないと、恐ろしい病気(BSE)を 発症するのですから、人の食べ物は、生命維持そのものであること から、「正しく」作られなければなりません。 害虫がそれを食べると、コロッと死んでしまうような遺伝子組み換 え農産物でも、人間には安全だということは、実質的同等性の安全 理論として、OECD(経済協力開発機構)などでも認めていますが、 食料の増産は、遺伝子の組み換えなどを行わずとも、農法の改善 などで幾らでもできます。 自然界の一部に過ぎない人間の食料は、自然のままの食べ物の 方が良いに決まっています。 そして、その帰結する問題の所在は、農産物の安全性の問題も さることながら、米欧の巨大化学会社が遺伝子組み換えの麦やコメ、 トウモロコシ、大豆、野菜などの種の特許権を所有し、自家採種を 不能とする一代雑種にして独占して販売する体制ができつつある ことです。 もともと食べ物の種の起源は、麦は中東(メソポタミア)、米はイン ド、中国、トウモロコシやジャガイモやトマトなどは、南米と言われて いますが、これらの種資源は全世界に広がり、種は等しく公共物と して、長い年月をかけて自然の改良改善を加えられ、今日に至って います。 これを遺伝子組み換え技術による操作を施したことにより、特許 権が発生し、独占され、一代雑種化して、農業生産を実質的に支配 私も食品会社の社長をやった経験がありますが、合法的ではあっ ても、正しく作られて本物、健康、自然の食品は、極めて少ないの が現実です。 農業では多すぎる農薬、化学肥料、加工食品では、 防腐剤、発色剤など、おびただしい化学添加物、畜産などの化学物 質、濃厚飼料、飼育環境の悪化など、生産のプロセスは公表される トレーサビリティーなどには出てきません。 いま世界で、遺伝子組み換え食品を嫌う多くの国民の声が聞か れる国は、日本やヨーロッパなど、思いのほか少ないように思いま す。 日本はBSE牛に対して、今でも事実上、全頭検査をやってお ります。 私は、日本の消費者が食品に対し、これを大事にし、この ような健全な考え方や判断を下されていることを、尊いことだと思っ ています。 日本は、2千年に及ぶ農業国です。 日本の消費者と農家が、自 然食品を重視し、人類の危機を救う原動力となっていただきたいと 思っています。 人間の体は、60兆個の細胞でできているそうですが、分子レベ ルで見ると毎日古いものが排出され、新しく入れ替わっており、昨 日の自分と今日の自分は、決して同じではないというのが、福岡伸 一先生の動的平衡の理論です。 この新陳代謝が正しく行われ、健康を維持するためには、「いい 食べ物」を食べ続けなければなりません。 -地球文明の危機〔環境編〕- したがって消費者は、もっと食品の品質について、農家や生産者 に注文をつけていいのです。 例えば、主食の米くらいは、有機栽 培米を農家と契約して作っていただき、それを食べるとかしたらい かがでしょうか。 そうしたら、かつての豊かな田園風景も復活します。 ヨーロッパ などでは、農産物のオーガニック栽培は、すでに全体の一割くらい になっている国もあります。 その意味で、日本の消費者はまだま だ、ものを言わなさ過ぎます。 どうか日本の消費者が、もう少し生産者に注文をつけ、国産の農 産物、畜産物を選択していただき、農家や食品業界の方々も、消費 者の要請に応えて、日本農業や食品の、真の高品質化を進めてい ただき、ひいては人類を種資源の枯渇の危機から救っていただき たいと思っています。 〔なお、消費者の安全論につきましては、近著『安全と良心』(晶文 社)をご参照下さい〕 ◇筆者紹介 ・1940年 新潟県生まれ。 ・1963年 一橋大学法学部卒。 日本国有鉄道入社。 職員局労 働課課長補佐、警察庁茨城県警出向、経理局主計課 長などを経て、 ・1987年 日本食堂(現 日本レストランエンタープライズ株式会 社)入社。 ・1996年 同社代表取締役社長に就任。 ・2003年12月に同社を退社し、国土交通省運輸審議会委員に就 任。 ・2008年10月 運輸審議会会長。 ・2011年 社団法人日本交通協会副会長兼理事長。 まちむら(自治会町内会情報誌) 120号 ******************************************************** 2013年 1月発行(季刊誌) 発行所 公益財団法人 あしたの日本を創る会 ******************************************************** 入手日 2013(平成25)年 2月28日 入手先 八幡浜市役所保内支所 2013年 3月 5日作成 - 10 - ★★★ 「 ★★★ 「心 「心」の豊かさを追求 かさを追求する 追求する時代 する時代 時代 ★★★ ・これからは「物」ではなく、「 「心」の豊かさを追求 かさを追求する 追求する時代 する時代 ・心の豊かさとは「 かさとは「生きがい」 きがい」を感じること “感謝” から生 ・生きがいは“ 感謝”されることから から生まれる きがいは“感動” 感動”すること、“ ます。 私の思う心の豊かさとは、「 「生きがい」 「感 きがい」です。 生きがいとは、「 動する」 「感謝される する」ことと、「 感謝される」 される」ことで得られると思っています。 感動 することとは本物に触れることであり、感謝されることとはボランティ アなど人の役に立つことです。 明治大学教授 北 野 大 ◇読者の皆さんへメッセージをお願いします。 タレント、コメンテーターとしてテレビでもおなじみの北野大さん。 本職は大学教授であり、環境化学の専門家です。 約40年にわた り科学者として環境問題に携わってきた北野さんに、環境に対する 問題意識や、持続可能な社会に向けたお考え、同世代へのメッセー ジなどを伺いました。(情報労連 共済事業本部 「ひろがり」編集部) ******************************************************** ◇環境問題について、今最も気にされているのは、どのようなこと でしょうか。 北野 やはり最大 最大の 北野 最大の問題は 問題は、「地球温暖化 、「地球温暖化」 地球温暖化」です。 東日本大震災 以降、やや下火にはなっていますが、「地球温暖化」は最も解決が 困難で、最も被害の種類が多い問題です。 特に日本の場合、「温暖化=エネルギーの問題」と言えます。 原発事故が起きて、原発はエネルギー源としては難しくなりました から、今のところは化石燃料に依存せざるを得ません。 そこで今、私たちには、どういうエネルギー源を選択するかという 問題と同時に、どういう どういうライフスタイル どういうライフスタイルや ライフスタイルや価値観を 価値観を持つかが問われ つか ています。 北野 退職後は「第二の人生」とよく言われますが、私は第二の人 北野 生こそ、本当の人生だと思っています。 現役時代はいろいろなし がらみがあって、やりたいことがなかなかできません。 しがらみから自由になれる第二の人生こそ、自分の生きたいよう に生きる。 趣味を追求するのもいいですし、ボランティアをするの もいいでしょう。 どちらも生きがいにつながりますよね。 私が学長を務めている東京都江戸川区の江戸川総合人生大学 は、地元の人々に社会貢献に必要な知識や、実践の場を提供して います。 退職後、社会に貢献したいと思っても、すぐに始めるのはハード ルが高いものです。 大学で二年間学ぶ間に、必要な知識が得ら れるとともに、多様な経験を持った人々とのつながりができるので、 卒業生のグループが地域でユニークな活動を行っています。 他の自治体でもいろいろな活動が行われていますから、そういっ たものを活用するのも一つの方法でしょう。 第二の人生では、心の豊かさを求めて、積極的に社会と関わって みてはいかがでしょうか。 ◇どのようなライフスタイルが望ましいとお考えですか。 北野 私たちは将来に向けて持続可能な社会をつくっていかなくて 北野 はいけません。 そのためには「 「循環型社会」、「 循環型社会」、「自然共生型社会 」、「自然共生型社会」、 自然共生型社会」、 「低炭素社会」 低炭素社会」の3つを組み合わせることが重要になります。 このうち「循環型社会」とは、生産→流通→使用→リサイクルと循 環させることですが、ただ循環させればよいのではなく、大切なの は「 「スローな スローな循環」 循環」をさせることです。 をさせる なぜなら、循環させるにはエネルギーが必要だからです。 スロー な循環は、「生産」や「流通」でやろうとしても難しく、「使用」をスロー にすることが必要です。 それは言い換えれば、良 良い物を長く、大事に 大事に使うということです。 ◇プロフィール ・1942年 東京都生まれ。 ・1972年 分析化学で博士号を取得。 (財)化学品検査協会(現・ 化学物質評価研究機構)・企画管理部長から淑徳大学教授を経て 明治大学教授。 ・2013年4月より現職。 経済産業省・化学物質審議会委員、環境 省・中央環境審議会委員などを歴任。 ◇このことと関連して、北野さんは10年以上前から一貫して、「物 の豊かさから心の豊かさへシフトしよう」と仰ってきました。 北野 物の豊かさの追求はエネルギーを必要としますから、持続可 北野 能な社会にはつながりません。 物はもちろんなければ困りますが、 「少欲知足」、つまり、欲 欲を少なくして足 なくして足るを知 るを知ることが大事だと思い ます。 そのためにも、良い物を長く使うことが大切なのです。 ◇心の豊かさとは、具体的にはどのようなことでしょうか。 北野 物の豊かさの指標は、国家ならGDP、個人なら持っている資 北野 産などで表わせますが、心の豊かさは個々人で異なるものだと思い ひろがり(情報労連 共済事業本部 広報誌) 2013年 8号 ******************************************************** 2013年 7月 1日発行 発行所 情報産業労働組合連合会 共済事業本部 ******************************************************** 2013年 7月15日作成 -地球文明の危機〔環境編〕- 私は、20歳代の半ばの頃から地球環境問題や人口問題に関心 を持ち、下記の書籍等を読み、その主旨を『 『科学の 科学の進歩は 進歩は人間に 人間に 幸せをもたらすか』 せをもたらすか』(以下に再掲)としてまとめるとともに、それ以来、 それらの問題に関心を抱き続けてきました。 ・(正・続) 『人間に 人間に未来はあるか 未来はあるか』 はあるか』(G.テイラー、みすず、1969年) ・ 『成長の 成長の限界』 限界』(ローマクラブ、ダイヤモンド社、1972年) ・ 『新しい世界像 しい世界像を 世界像を求めて』 めて』(科学技術と経済の会、1974年) ・ 『未来はあるか 未来はあるか』 はあるか』(朝日新聞社、1973年) ・ 『燃え尽きる地球 きる地球』 地球』(朝日新聞社、1973年) ・ 『地球は 地球は満員』 満員』(朝日新聞社、1973年) 第二の 私の第二 第二の人生における 人生におけるライフワーク におけるライフワークは ライフワークは、現時点で、 ①青少年に生きる目的を考えてもらう「教育資料の作成」と「実践」 ②災害を生き延びるための防災「啓発資料の作成」と「実践」 ③次世代に平和を引き継ぐための平和「啓発資料の作成」と「実践」 ④人類が生き延びるために現代文明を考える「啓発資料の作成」 を目標としています。 ①については、『 『人生を 人生を生き抜く!』(2012年12月3日)として取 !』 実践はまだ りまとめましたが、実践 実践はまだできていません。 はまだ 『災害を ②については、『 災害を生き延びる!』 びる!』(2012年12月20日)とし !』 て取りまとめ、ことあるごとに普及に努めている(団地内、友人知人、 防災関係者、NTT-OB、伊予銀行、日本生命 等に配布)。 また、 団地内での 団地内での防災活動 での防災活動を 防災活動を牽引しています。 できればその実績を積む 牽引 ことで、① ①の実践の 実践の取っ掛かりにしたいとも考えています。 かりにしたい 『平和 ③については、安倍政権の方向性に危機感を感じ、急遽、『 な世界を 世界を実現する 実現する!』 する!』(2013年12月20日)として取りまとめました。 !』 安倍政権が その後、安倍政権 安倍政権が集団的自衛権の 集団的自衛権の行使容認に 行使容認に暴走するに及び、 暴走 『日米同盟の 政党 日米同盟の正体』 正体』(孫崎 享)を要約(2014年7月20日)し、政党 や大手メディア 大手メディアに メディアに送ったが、 ったが、残念ながらなしの 残念ながらなしのツブテ ながらなしのツブテだった。 ツブテ ④については、現代文明の崩壊だの、地球の破滅だのといった、 普通一般の 普通一般の人には話 には話し辛い(こちらが真剣 こちらが真剣に をすると変人扱いに 真剣に話をすると変人扱 変人扱いに されかねない) 私たち自身 されかねない)テーマであり、しかも、私 テーマ たち自身の 自身の生活スタイル 生活スタイルの スタイルの 見直しを 見直しを求 しを求める厳 める厳しいテーマ しいテーマでもあります。 テーマ 人 それ故、最も取り組みの困難なテーマでもあり、自分としては人 生最後の 『地球文明の 生最後の取り組みテーマとして考えていました。 この『 テーマ 地球文明の 危機〔 危機〔環境編〕』 環境編〕』は、2012年に県立図書館で見つけ読んでいました 〕』 が、その取りまとめは少し先でやることにして、もっと他の本を読む つもりでした。 他の本を読んでいても、 しかし、他 んでいても、この本 この本のことが気 のことが気になって仕方 になって仕方 がありません。 そういう時に県立図書館が改修工事のため閉館し、 がありません 二ヶ月ほど借りれることになったので、迷うことなくこの本を借りまし 『地球文明の た。 なおこの本には、『 地球文明の危機〔 危機〔倫理編〕』 倫理編〕』という姉妹編が 〕』 ありますが、この本の要約はもう少し先にしたいと考えています。 ◇ 「科学の 科学の進歩は 進歩は人間に 人間に幸せをもたらすか」 せをもたらすか」(再掲) 再掲) . 技大2の4 加藤広志 試験管にバクテリアを入れ栄養と酸素を供給してやるとバクテリ アはものすごい勢いで増えていく。 しかし、やがて自らがつくりだ - 11 - す老廃物によって窒息し、ついには死滅してしまう。 技術の進歩は地球上により多くの人口を養うことを可能にした。 しかし、それは無制限であるわけがない。 つい数年前まで未来学 者と称する人達はバラ色の未来をとなえ、高度に文明の発達した 二十一世紀というものを標榜していた。 しかし現在、我々は人口爆発、資源の枯渇、公害といった人類の 生存を直接脅かす種々の問題の解決をせまられている。 今やこの問題はただ一国のみが良いというのではなく、全世界的 な問題として考えていかねばならない。 それとともに米国人はイン ド人よりも50倍も幸せだと言うが、公害に怯えての文化生活が果た して幸せなのかどうか。 人類は今まで自然を克服することのみを考えてきたが、そのこと が良かったのかどうか、人類は今、その反省点に立たされている。 『続、人間に G・ティラー『 人間に未来はあるか 未来はあるか』 はあるか』を参考にしました。 都市化、工業化の進展は相対的に緑を減少させ、河川はそれら が吐き出すおびただしい量の排水、廃液によってその浄化作用を 全く失った死の河川と化し、それが海洋にまで及んでいる。 それと油による海洋の汚染は地球上で消費する酸素の70%を 供給しているプランクトンを確実に減少させている。 その一方で都市は多量のガス、二酸化炭素を排出し、これは都 市化につれてますます増加の一途をたどっている。 いくら植物や プランクトンが二酸化炭素を分解し酸素を供給するといっても、それ は自己の処理できる能力の範囲内においてであって、それ以上の 汚染は植物、プランクトンの生命力をも奪ってしまう結果となりかね ない。 現在、西アフリカの干ばつなど全世界的な異常気象が問題となっ ているが、都市が吐き出すガス、二酸化炭素は地球上の気象にも 影響を及ぼし始めている。 地球の温度は二酸化炭素の温室効果による温暖化と、大気中に 浮遊する塵の太陽光線遮断による冷却化という微妙なバランスの 上に成り立っているが、都市化は又この微妙なバランスをも崩そう (※1) としている。( ヨーロッパやソビエトで発見されている多くのマンモスは皮や毛が 充分保存された状態で、なかには胃の中に未消化の草さえ残って いるものがあるという。 このことはこのマンモスを一瞬のうちに凍結する程の気候の急変 (※2) があったことを物語っている。( 一方、工業化の進展は多量のPCB、水銀、鉛、カドミウムなどを 生みだし、その汚染は全世界に広がっている。 これらは自然によっ て分解されることなく蓄積する一方で、生態学的な均衡を崩し、食 ( ※ 3) 物連鎖の環を断ち切ろうとしている。( 我々人類もその環の中で生きており、その環から独立して人類の み生き延びるというのは、到底不可能なことである。 人類が二十一世紀へ生き延びる道はただひとつ、人口の増加を くい止め、資源の浪費を慎むことである。 よく開発途上国での人口 増加率が問題になるが、米国では一人当たりインド人の50倍もの 資源を浪費している。 高度消費社会はただ資源上だけの問題ではなく、全世界的な汚 染の問題として考えていかねばならない。 人口問題に手をつけずただ自然のなすがままに放置しておくと人 口は倍増に倍増を重ね、やがて試験管の中のバクテリアと同じ運 命になりかねない。 仮に助かったところでインド人並みの生活を余 儀なくされるだろう。 もし、全世界の人たちが米国並みの生活水準を望むなら、人口を 現在より大幅に削減せねばならないだろう。 『活動レポート』(訓練生分会機関誌)への投稿原稿 ******************************************************** 1973年上期発行 全電通本社支部 中央学園訓練生分会 ******************************************************** 補足 補足 人類は21世紀まで生き延びることができ、日本の公害対策 も格段に進展したが、中国など新興国の状況は、かつての公害 大国日本とまったく変わらない状況で、地球全体から見れば、人 人 類 類は少しも賢 しも賢くなっていない。 くなっていない ※1 現在(2012年)、温暖化による海面 海面の 海面の上昇・ 上昇・南洋の 南洋の島の消失と、 消失 動植物の 動植物 動植物の分布変化という生態系への影響が生じている。 分布変化 ※2 現在では、巨大(直径数Km~10Km)な隕石 隕石の 隕石の落下による 落下による による 地球環境 地球環境の急変説が、ほぼ確実視されている。 急変説 地球環境の ※3 人工的な化学物質の環境への悪影響としては、フロンによる オゾン オゾン層 環 オゾン層の破壊・ 破壊・紫外線の 紫外線の増加による 増加による皮膚 による皮膚ガン 皮膚ガン等の増加と、環 ガン 境 境ホルモンによる ホルモンによる生態系 による生態系( 生態系(生殖) 生殖)への悪影響 への悪影響(オスの弱体化)。 悪影響 ◇ 地球カレンダー 地球カレンダー . (地球 地球46 地球46億年 46億年の 億年の歴史を 歴史を1年365日 365日に置き換えると、 1日⇒1260万年、1時間⇒52.5万年、1分間⇒8750年 300年 700万年≒13時間、1万年≒68秒、300 300年≒2秒) 1月 1日 水素やヘリウムからなるガス状の原始太陽系星雲の 中で、原始惑星同士の巨大衝突を何度も繰り返して、 原始地球が 【46 原始地球が誕生。 【 誕生 【46億年前 46億年前】 億年前】 1月12日 原始地球に火星サイズの天体が衝突し、地球から月 月が誕生。 【44. が分離し、月 誕生 44.5億年前】 億年前】 2月 9日 原始惑星との巨大衝突を繰り返していた原始地球は、 ドロドロに溶けたマグマの海に覆われていたが、徐々 に冷え、地殻が固まって、陸と海が誕生。 2月17日 原始の海の中で、化学反応によって、生命の素材とな るタンパク質や核酸が生まれる。 【40億年前】 2月25日 最初の原始生命 原始生命が 【39 原始生命が誕生。 【 誕生 【39億年前 39億年前】 億年前】 3月29日 光からエネルギーを吸収するバクテリアが登場。 5月31日 この頃から地球に強い磁場ができ、宇宙から降り注ぐ 有害な粒子を遮るようになり、光合成を行うバクテリア (ラン藻)が登場、酸素の放出を始める。 【27億年前】 6月 8日 この頃は火山活動が活発で、大陸の成長が進む。 全球凍結。 6月28日 この前後しばらく、地球全体が氷に覆われ全球凍結 全球凍結 7月10日 細胞に核を持つ真核生物 真核生物が 【22億年前 真核生物が誕生。 誕生 22億年前】 億年前】 8月 3日 最初の超大陸「ヌーナ」が形成、その後ゆっくり分裂。 多細胞生物の 【12 9月27日 多細胞生物 多細胞生物の出現。 【 出現 【12億年前 12億年前】 億年前】 - 12 - -地球文明の危機〔環境編〕- 11月 6日 この頃から、地球全体が凍結するほどの寒冷化と温 暖化を繰り返す。(7億年前) 11月14日 この頃、寒冷化か収まる。 この頃からオゾン層が形 成され、有害な紫外線を遮るようになる。 大型多細胞生物や骨格 大型多細胞生物 骨格を 骨格を持つ動物も 動物も出現 【6億年前】 億年前】 11月17日 超大陸「ゴンドワナ」が形成。 11月18日 カンブリア紀動物群の出現、生物の爆発的な多様化。 11月20日 魚類 魚類が 【5.3億年前】 魚類が出現。 出現 億年前】 11月28日 植物が陸へ上がる。 節足動物が陸へ上がる。 両生類が 【4.1億年前】 11月29日 魚類から両生類 両生類が分化し、陸へ上がる。【 分化 億年前】 12月 3日 両生類から爬虫類 爬虫類が 爬虫類が分化する。 分化 12月 5日 この頃から気温が低下、氷河期に入る。 12月10日 氷河期が収まってくる。 【2.8億年前】 12月11日 超大陸「パンゲア」が形成。 12月12日 海洋全体が極端な酸欠状態となる。 午前2時頃、史 上最大規模の生物 生物の 【2.5億年】 生物の大量絶滅が起こる。 大量絶滅 億年】 12月13日 爬虫類から恐竜 恐竜が 恐竜が分化。 分化 鳥類( 12月19日 恐竜から鳥類 鳥類(始祖鳥) 始祖鳥)が分化。 分化 12月24日 この頃、地球全体が温暖化。 【1億年前】 12月25日 恐竜の全盛期。 恐竜が 12月26日 午後8時17分頃、巨大隕石の落下により恐竜 恐竜が絶滅。 絶滅 【6.5千万年前】 千万年前】 ほかの生物も大量絶滅。 生き延び 原始霊長類が た哺乳類の中から、リスに似た原始霊長類 原始霊長類が登場。 登場 12月27日 哺乳類の繁栄が進む。 12月28日 ほぼ現在の大陸配置に近くなる。 ヒマラヤ山脈やア ルプス山脈が形成される。 【5千万年前】 類人猿の 。 12月29日 午前6時頃、類人猿 類人猿の祖先となる狭鼻猿が登場。 祖先 ・12月 12月31日 31日の出来事 出来事 猿人が 登場。 10時40分 類人猿から分かれたトゥーマイ猿人 猿人 が登場 【700万年前 700万年前】 万年前】 15時39分 ラミダール猿人が登場、直立二足歩行を始める。 【440万年前】 19時15分 ガルヒ猿人が登場、簡単な石器を使い始める。 【250万年前】 19時26分 最初の原人ホモ・ハビリスが登場、石器を使いこなす。 20時35分 新たな原人ホモ・エレクトスが登場、火を使い始める。 20時40分 氷河期に入る。 【175万年前】 これ以降は、氷期と間氷期を繰り返す。 ・23時代 23時代の 時代の出来事 23時 3分 ネアンデルタール人などの旧人登場。 【50万年前】 現生人類 23時37分 ホモ・エレクトスの一部がアフリカで進化し、現生人類 (新人= 新人=ホモ・ ホモ・サピエンス) サピエンス)が誕生。 【 誕生 【20万年前 20万年前】 万年前】 58分52秒 農耕牧畜 農耕牧畜が 【1万年前】 農耕牧畜が始まる。 まる 万年前】 ・59分代 59分代の 分代の出来事 59分46秒 キリスト誕生。 【2千年前】 59分56秒 ルネサンス。 59分58秒 産業革命 産業革命。 【300年前 産業革命 300年前】 年前】 59分59秒 明治維新そして、20世紀の幕開け。 【140年前】 第二次大戦敗戦、戦後の復興 【 70年前】 ◇ 地球人口の 地球人口の推移 . 億人 100+ 80+ 60+ 私たちの多くは、今 今の生活スタイル 生活スタイル、 スタイル、生活レベル 生活レベルを レベルを当然のように 当然のように 思い、またずっと続 またずっと続くことに、 くことに、何の疑問も 疑問も持っていません。 しかし、 っていません 地球誕生から現在までの46億年間を、一年間に置き換えて見ると、 12月 人類( 12月31日 31日 10時 10時40分 40分(7百万年前) 人類 人類(最初の 最初の猿人) 猿人)の登場 23時37分(20万年前) 現生人類の誕生 23 23時 23時59分 59分( 1万年前) 農耕牧畜の 農耕牧畜の開始(人類初の 開始 自然破壊) 59分 産業革命、 59 59分58秒 58秒( 3百年前) 産業革命 産業革命、近代文明(大量 近代文明 人口の 生産・大量廃棄)の拡大、人口 人口の大爆発 59 59分 明治維新、20世紀の幕開け 59分59秒 59秒( 140年前) 明治維新 明治維新 40+ 20+ 0+ + + + + 西暦1 500 1000 1500 2000 (10億人増加に要した時間) 西暦元年 3億人 1802年 10億人( ― ) 1250年 4億人 1927年 20億人(125年) 1500年 5億人 1961年 30億人( 34年) 1750年 8億人 1974年 40億人( 13年) 1987年 50億人( 13年) 1998年 60億人( 11年) 2011年 70億人( 13年) ◇ 日本の 日本の人口推移 . 2025年? 80億人( 14年?) 百万人 140+ 1192年 684万人(鎌倉幕府) 1600年 1,227万人(関ヶ原合戦 ) 120+ 1730年 3,128万人(享保改革) 1868年 3,330万人(明治維新) 100+ 1920年 5,596万人 1950年 8,390万人 80+ 1975年 11,194万人 2000年 12,693万人 60+ 40+ 今の生活スタイル このように、今 生活スタイル( スタイル(大量生産、 大量生産、大量廃棄) 大量廃棄)は、長い地 球上の の生命進化の 球上 生命進化の歴史から 歴史から見 から見れば、 れば、ごく一瞬 ごく一瞬に 一瞬に過ぎないのです。 ぎない 地球の しかも、左の図が示すように、地球 地球の人口は 人口は加速度的に 加速度的に膨張( 膨張(人口 爆発) 爆発)しており、生活スタイルの変更との相乗効果から、資源 資源・ 資源・エネ ルギーの ルギーの消費量は 消費量は、人口増加率以上の 人口増加率以上の増加率で 増加率で激増している。 激増 その結果、化石エネルギーの消費量は、母なる地球の許容限界 地球温暖化、 を超えつつあり、それが地球温暖化 地球温暖化、北極・ 北極・南極の 南極の氷の減少、 減少、海面 の上昇等の 上昇等の地球環境の 地球環境の激変、 激変、近年の 近年の異常気象の 異常気象の激増となって現れ 激増 ているのです。 さらに、現代文明は、自然に還ることのないプラスチックを生み出 し、そのプラスチック プラスチックの プラスチックのゴミで ゴミで地球上を 地球上を埋め尽くすとともに、 くすとともに、原子力 の発見で 発見で、10万年間安全 10万年間安全にならない 万年間安全にならない放射性廃棄物 にならない放射性廃棄物を 放射性廃棄物を、地球上に 地球上に放 置しっ放 今の自分の しっ放しにしようとしています。 それでも私たちは、今 自分の 生活スタイル 生活スタイルを スタイルを守るため、 るため、お金を儲けるため、 けるため、経済成長のために 経済成長のために、 のために、 それらのことは止 それらのことは止むを得 むを得ないとでも言うのでしょうか? ない 後世世代の 後世世代の人たちに対 たちに対して、 して、心が痛むことはないのでしょうか? むことはないのでしょうか? いま池のハス(人類)は等比級数的 等比級数的に 等比級数的に成長( 成長(1年で倍増) 倍増)し、100 池(地球) 年かかって、池 地球)の1/8までを覆 までを覆うようになりました。 池の 中の生き物たちは、そのうちハス ハスが 池全面を覆うようになるのでは ハスが池全面を ないかと心配 ないかと心配しています。 しかし、この大きさになるまでに100年 心配 100年 かかったのだから、100 100年×8倍=800年 800年と遠い先の話だろうとノ ンキに構えているようです。 しかし、ハスは1年で倍増するのですから、ハス(人類)が池(地 あと3 球)全面を覆うまでには、あと あと3年しか残 しか残されていないのです。 されていない 地球の ちなみに、地球 地球の人口が 人口が倍増する 倍増する年数 する年数は 年数は、1500年の 5億人を 302年 125年 47年 51年 倍増するという するという等 起点にすると、302 302 年、125 年、47 年、51 年で倍増 するという 等 比級数的増加よりも 比級数的増加よりも、 よりも、さらに過激 さらに過激に 過激に増加( 増加(人口爆発) 人口爆発)しています。 「人口 誰が見ても、この状態が続くはずがありません。 このまま「 爆発」 爆発」そして「 そして「世界経済の 世界経済の成長」 成長」が続けば、 けば、「現代文明の 現代文明の崩壊( 崩壊(世界 的大飢饉、 的大飢饉、水・食糧をめぐる 食糧をめぐる大戦争 をめぐる大戦争) 大戦争)による大幅 による大幅な 大幅な人口の 人口の減少」 減少」は、 いつ起 「南海トラフ巨大地震」と同様に、いつ いつ起きるとは断言 きるとは断言できないが 断言できないが、 できないが、 そう遠 そう遠くない将来 くない将来に 将来に必ず起きることは間違 きることは間違いない 間違いないのです。 いない 20+ 2014(H26)年10月01日 加藤 廣志 0+ + + + + 1200 1400 1600 1800 2000 【第1版】 2014年10月01日
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