派遣労働者を直接雇用する際の留意点 業績の悪化により役員給与の額

2009.02.01 Vol.01
㈱ブレインコンサルティング
千代田区飯田橋 2-6-3 N&K ビル 5 階
派遣労働者を直接雇用する際の留意点
2004 年に派遣法改正で派遣が解禁され、2007 年には派遣期間の上限が 3 年に延長されています。その間、「請
負」から「派遣」へのスイッチが進んできていますが、2006 年にかなりの製造現場で派遣契約への切替えが行われまし
た。それから 3 年が経過するのが 2009 年。これ以降、派遣契約を続けることは許されないため、派遣期間終了後の直
接雇用・請負への切替えについて問題となっています(2009 年問題)。
そもそも、労働者派遣とは、常用雇用の代替となるおそれが少ないと考えられる業務に臨時的・一時的な労働力を
需給調整する仕組みです。派遣期間終了後に継続が必要な場合には、それは臨時的・一時的とはいえず、趣旨にそ
ぐわないことから再度派遣を繰り返すことは前提とされておらず、そこでは、遅滞無く雇い入れるように努めなければな
りません。これらの労働条件は新規採用と同様、労働基準法等・労働規約・就業規則の遵守、賃金の決定方法なども
他の労働者と同一水準でなければならず、社会保険への加入等についても、通常の労働者と同様です。派遣労働
者というと、雇用管理が簡便というメリットばかりが強調されますが、派遣労働者が派遣先である自社の常用雇用者の
代替となっていないかしっかりと認識していくことが重要です。
業績の悪化により役員給与の額を減額する場合の取扱い
国税庁の HP において、役員給与に関する Q&A が掲載されました(平成 20 年 12 月)。会社の役員に支給される給
与や賞与は、税務上の損金算入が厳しく制限されています。原則として損金算入が認められる条件の一つとして、
「定期同額給与(ひと月以下の一定期間ごとに毎回同額が支給されるもの)」が挙げられますが、「業績等の悪化によ
り経営状況が著しく悪化したこと」により、年の中途でこの給与の減額改定を行うためには、どのような基準を満たして
いればよいのでしょうか。『①株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から役
員給与の額を減額せざるを得ない場合、②取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、
役員給与の額を減額せざるを得ない場合、③業績や財務状況又は資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係
者からの信用を維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給与の額の
減額が盛り込まれた場合。』等が判断基準として掲げられております。昨年実施された弊社顧客に対する税務調査に
おいても、この役員給与減額の取扱いは検討事項となりました。業績や財務状況、資金繰りの悪化といった事実が生
じていても、調査では利益調整を目的とした改定とみなされ、期首にさかのぼって役員給与の一部が損金不算入とな
ってしまう可能性があるため、十分に改定事由を検討し、議事録等の書類作成等の準備をしておく必要があります。
「資金繰り破綻」を防ぐ借入金折衝ノウハウ
金融危機と急激な景気後退で金融機関が軒並み減益となる中、「貸し渋り」「貸しはがし」が再び懸念されています。
今後の経営資金の確保を中心とする金融機関折衝のポイントとして、第一に、金融機関の動きに注目し、財務内容の
悪化から金融機関が「貸出」から「回収」に経営方針を変更させるなどの動きを察知することが大事です。また、金利
引上げを要求された、短期借入金の返済を要請された、担保不動産の売却を促された、などの動きがあった場合に
は、後の対応が「貸し渋り」「貸しはがし」に変化していくことに警戒することが必要です。次に、貸し渋りや業績低迷に
備えるべく、手元資金を厚くしておくことが不況期のセオリーですが、資金ショートを防ぐ対策として、必要な借入額の
見積り、複数に借入を申し込む、黒字前提の事業計画で交渉する、提出資料を見直す、短期借入金は長期に借り換
えるなど、今一度資金対策について見直してみてはいかがでしょうか。
TEL:03-3556-9481
FAX:03-3556-9482
E-mail:[email protected]
URL:http://www.braincon.co.jp
2009.02.01 Vol.01
ビジネストレンド
今月は、ソフトウェア業を特集します。
全国
中小企業庁より、2008 年 10-12 月期の業況判
一方、主力の「受注ソフトウェア」は、官公庁
断 DI が発表され、全産業の業況判断 DI は▲42.0
向けなどが増加したことから同0.6% の増加、
(前期差▲6.1 ポイント)となり、11 期連続して
内訳の「システムインテグレーション」は同2.
マイナス幅が拡大した。
1%の増加、
「システム等管理運営受託」は同6.
非製造業の業況判断DIは、▲41.5(前期差▲
0%の増加、
「計算事務等情報処理」は同5.4%
4.7ポイント)となり、9期連続してマイナス幅
の増加、「データベースサービス」は同4.0%
が拡大した。
の増加、「各種調査」は同0.2%の増加であっ
サービス業の業況判断 DI も▲37.7(前期差▲
5.0 ポイント)とマイナス幅が拡大した。
経済産業省発表の「特定サービス産業動態統計調
査」によると、平成 20 年 10 月の売上高は、前年
同月比▲2.0%と2か月連続の減少。内訳をみ
ると、「ソフトウェアプロダクト」は、「ゲーム
ソフト」が国外向けを中心に同▲24.8%と減
少したことに加え、ゲームソフト以外のソフトウ
ェアも減少したことから、全体では同▲19.
2%の減少であった。
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2009.02.01 Vol.01
東京
東京都産業労働局による 2008 年 12 月調査の
11月の都内中小企業の業況DI(業況が「良い」とし
業種別の業況見通しDIをみると、サービス業
(▲42→▲42)は横ばいで推移している。
た企業割合-「悪い」とした企業割合)は、▲64(前
月▲58)と落ち込みが一段と深まり、バブル経済
崩壊後で最も厳しかった平成10年3月(▲66)以来
の低水準となった。
一方、当月と比べた今後3ヶ月間(12~2月)の業況
見通しDI(業況は当月に比べて「良い」とした企業
割合-「悪い」とした企業割合)は▲47と、ここ10
年間で最も厳しい水準だった前月の▲51からや
や戻した。
業況DIを業種別にみると、すべての業種が3ヶ
月以上連続して悪化した。サービス業(▲44→▲
52)も一段と悪化した。業種区分別では、サービ
ス業で「企業関連」(▲42→▲52)の不振が目立つ。
【参考資料】
経済産業省・特定サービス産業動態統計調査
東京都産業労働局・東京都中小企業の景況
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