広告等法規・行政情報 - 公益社団法人 東京広告協会

広告等法規・行政情報
№280
平成26年6~8月度
【国の行政機関等の動き】
Ⅰ.消費者庁関係
⑴
景表法の改正を公布(6月13日)………………………………………………
1
⑵
根拠なく食品を摂取するだけで痩せるとうたっていた健康食品販売事業者
に景表法違反(優良誤認)で措置命令(6月13日)…………………………… 1
⑶
募集型企画旅行の表示に関する公正競争規約について一部変更を認定し官
報に告示(6月24日)……………………………………………………………… 1
⑷
カシミヤストールの表示調査の結果をもとに家庭用品品質表示法・景表法
違反で18事業者に指示・指導(6月26日)……………………………………… 2
⑸
尿漏れ対策用下着の最大吸収量を過大に表示していた通信販売事業者に景
表法違反(優良誤認)で措置命令(6月27日)………………………………… 2
⑹
根拠がないにもかかわらず診療の効果を表示していた歯科診療所運営事業
者に景表法違反(優良誤認)で措置命令(7月4日)………………………… 3
⑺
平成25年度における景表法の運用状況及び表示などの適正化への取組状況
まとめる(7月9日)……………………………………………………………… 3
⑻
食品摂取により簡単に痩せると根拠なくうたっていた健康食品販売事業者
に景表法違反(優良誤認)で措置命令(7月17日)…………………………… 4
⑼
不当な表示による肉の特売の広告を行っていた食肉等小売事業者に景表法
違反(有利誤認)で措置命令(7月24日)……………………………………… 4
⑽
家庭電気製品小売業における表示に関する公正競争規約について一部を変
更し官報に告示(7月25日)……………………………………………………… 5
Ⅱ.経済産業省関係
大臣官房調査統計グループ、「特定サービス産業動態統計調査」広告業平
成26年4~6月分の結果まとめる ……………………………………………… 5
【地方公共団体等の動き】
1.東京都
生活文化局、平成25年度インターネット広告・表示の監視事業結果まとめ
る(7月1日)……………………………………………………………………… 6
【国の行政機関等の動き】
Ⅰ.消費者庁関係
⑴
国会に提出されていた「景品表示法等の一部を改正する等の法律案」が6月6日
に成立し、6月13日に公布した。
今回の景品表示法改正は、行政の監視指導態勢を強化するため新たに事業所管大
臣等に対して調査権限を、都道府県知事に対して措置命令権限や合理的根拠の提出
要求権限などを付与することができるものとし、また、事業者の表示管理体制の強
化として、事業者が表示を適正に管理するために必要な体制の整備などの措置を講
じることを義務づけることとしている(事業者が講ずべき措置に関しては必要な指
針を定める。)
。このほか、同法施行後1年以内に課徴金制度導入に関して検討し必
要な措置を講ずるものとする規定が置かれており、消費者委員会で議論されている。
改正景品表示法の施行は12月1日から。
⑵
合理的根拠がないにもかかわらず、ダイエット食品を飲めば運動や食事制限をせ
ずに痩せることができるかのように表示していた健康食品販売事業者に対し6月13
日、景品表示法に違反するものとして措置命令を行った。
優良誤認により措置命令を受けたのは、ステラ漢方(福岡市博多区)。同社はダイ
エット食品「カロリストン―PRO―」を通信販売するにあたり、平成25年11月下旬
.....
~平成26年5月1日の間、ウェブサイトに「えっ!?普段の食事のままで…!!」、「今
までのダイエットサプリでは実現できなかった『普段の食事ダイエット』を実現。」
、
「たったの3ヶ月で理想の姿に!!」などと記載することで、あたかも本商品を摂取す
るだけで運動や食事制限をすることなく簡単に著しいダイエット効果を得ることが
できるかのような表示を行っていた。同社にはその裏付けとなる合理的な根拠を示
す資料の提出を求めたが、提出された資料は表示の裏付けとなる合理的な根拠を示
すものとは認められないものだった。
⑶
旅行業公正取引協議会により申請された「募集型企画旅行の表示に関する公正競
争規約」の一部変更を、景品表示法の規定に基づき6月12日に認定、6月24日に公
正取引委員会・消費者庁告示第3号として官報に告示した。
主な変更点は、告知広告について「特定の募集型企画旅行の広告その他の表示で
あって、当該広告において旅行契約の申込みを受け付けないもの」と定義、告知広
告の必要表示事項として「旅行契約の申込みを受け付けない旨を表示しなければな
らない」こと、また表示基準として「旅行代金について表示するときは施行規則に
定めるところにより表示しなければならない」ことを追加し、協議会マーク、ロゴ
1
マークを規定したことなどで、施行は6月24日から。
⑷
オンラインショッピングサイトで販売されるカシミヤ使用をうたうストールの表
示に関する調査の結果、家庭用品品質表示法及び景品表示法上問題となることがわ
かったため、表示を行っていた18事業者に対し指示・指導を行い6月26日に概要を
公表した。
指示・指導の対象となった事例は次のとおりとなっている。
表示
①
②
③
④
⑤
実際の組成繊維と混用率
<縫付けラベル又は下げ札における表示>
「カシミヤ100%」
「100%CASHMERE」
アクリル100%
<ウェブサイトにおける表示>
「思わず触りたくなる!カシミヤ100%のストール」
「カシミヤをふんだんに使ったストールです」
アクリル99%
羊毛1%
レーヨン59%
アクリル41%
レーヨン100%
<縫付けラベル又は下げ札における表示>
「カシミヤ70% シルク30%」
<ウェブサイトにおける表示>
「ふんわり柔らかな風合い☆カシミヤ70%+シルク30%!」
「手触りの良いカシミヤ&シルク素材」
アクリル100%
家庭用品品質表示法から上記事例について見ると、①と⑤は「アクリル100%」、
②は「レーヨン100%」又は「RAYON100%」が適正な表示となる。また、カシミ
ヤを表す指定用語は「毛」又は「カシミヤ」で、
「CASHMERE」は指定されていな
い。また、景品表示法から上記事例について見ると、カシミヤはストールの原材料
に全く用いられていないにもかかわらず、あたかも用いられているかのように示す
優良誤認表示であると認められた。
本件で指示・指導の対象となった事業者の多くはストールの組成繊維及び混用率
に関する表示内容を決める際にその検査を行っておらず、仕入先販売業者による口
頭説明や、仕入時にストールに縫い付けられているラベルの表示内容どおりに表示
を行っていたことが、実際の組成繊維と異なる表示を行った原因だった。
⑸
尿漏れ対策用下着の広告などに記載した最大吸収量は、実際には表示より相当程
度下回るものであるとして通信販売事業者に対し6月27日、景品表示法違反で措置
命令を行った。
優良誤認により措置命令を受けたのは新光通販(東京都中央区)
。同社は「ダンデ
ィトランクス30」
、
「ダンディ『いき』120」、
「安心さわやかパンツ200cc女性用」
、
「エ
レガンス『れい』30」、「すいすいパンツ130cc」、「NEW楽々安心ショーツ」などの
尿漏れ対策用失禁下着の新聞広告や商品カタログ、自社のウェブサイトで、
「中高年
2
の快適生活応援
毎日が安心」、「最大吸収量30cc」、「◆お出かけや、長時間の会合
に、大容量で安心の失禁パンツ」
、
「吸水部分は安心の6層構造で120ccを吸収。」
、
「●
広範囲に設置された大量吸水パッドで、失禁数回分も、強力に吸い込みます。
」など
と、記載した吸収量までの尿であれば外に漏れ出すことがないかのように表示して
いたが、実際に日常生活で人が着用し失禁した場合、記載の吸収量を相当程度下回
る量で尿が外に漏れ出すと認められるものだった。
⑹
マウスピース状のプレートを歯に装着する診療で、合理的根拠がないにもかかわ
らず顎関節症をはじめ腰痛や肩こりなどの症状が治癒、改善するかのように表示し
ていた歯科診療所運営事業者に対し7月4日、景品表示法に違反するものとして措
置命令を行った。
優良誤認により措置命令を受けたのはバイオファミリー(東京都渋谷区)
。同事業
者は、歯にマウスピース状の「バイオプレート」を装着する診療である「バイオプ
レート治療」について、遅くとも平成25年7月頃から平成26年2月21日までの間、
ウェブサイトで「バイオプレート治療は、下あごのずれから生じる150もの慢性疾患
を治療する治療法です。
」、
「そしてこの治療は対症治療ではなく、原因除去による治
療であるため、的確な治療法がなくて長年困られていた方にとっては、特効的作用
に驚かれます。」
、
「■有効な症状一覧 顎関節症 睡眠時無呼吸症候群(いびき) 腰
痛
椎間板ヘルニア
坐骨神経痛
股関節痛
ひざの痛み、水がたまる
不眠症 睡眠障害 メニエール病(めまい、耳鳴り、難聴) 偏頭痛
(肩こりによる頭痛) 眼精疲労(疲れ目) 更年期障害
皮膚炎
肩こり
筋緊張性頭痛
仮面うつ病
アトピー性
気管支ぜんそく」などと記載していた。同事業者には表示の裏付けとなる
合理的な根拠を示す資料の提出を求めたが、提出された資料はその裏付けとなる合
理的な根拠を示すものとは認められないものだった。
⑺
平成25年度における景品表示法の運用状況及び表示などの適正化への取組状況を
まとめ、7月9日に公表した。
平成25年度における調査件数は、前年度から繰越となっている180件、年度内に新
規に着手した688件の合計868件で、このうち同年度に処理した件数は666件だった。
その内訳としては、措置命令が45件、指導が373件のほか、都道府県による処理が適
当として都道府県に移送したものが15件、公正競争規約により処理することが適当
としてその公正競争規約を運用する公正取引協議会などに移送し、同協議会などが
処理したものが33件などとなっており、措置命令の45件はすべて表示事件だった。
また、平成25年度に処理したもののうち、公正取引委員会事務総局地方事務所・
3
支所などが行った調査の結果を踏まえて消費者庁が行った処理は、措置命令8件(北
海道事務所、東北事務所、近畿中国四国事務所四国支所、九州事務所)、指導96件、
調査を打ち切ったものなどが13件。都道府県による処理としては12都道県において
64件の指示が行われ、メニュー・料理などの食品不当表示、水産物・水産加工品・
農産加工品の原料原産地に関する不当表示、畜産物や飲料水の内容に関する不当表
示、冷凍食品における不当な二重価格表示など、その全てが表示事件だった。なお、
指示を受けた事業者がその指示に従わないなど、都道府県知事から消費者庁長官に
措置請求が行われたものはなかった。
表示などの適正化への取組として行ったのは、公正競争規約の設定・変更に関す
る指導と認定、食品表示問題への対応、その他の表示などの適正化への対応、関係
行政機関などとの連携強化、景品表示法に関する相談業務、景品表示法の普及・啓
発としての講習会や研修会への講師派遣など。
⑻
合理的な根拠なく、ダイエット食品を飲むだけで簡単に痩せることができると表
示していた健康食品販売事業者に対し7月17日、景品表示法に違反するものとして
措置命令を行った。
優良誤認により措置命令を受けたのはプライム・ワン(東京都板橋区)。同社はダ
イエット食品「トリプルバーナー」を通信販売するにあたり、雑誌広告に「飲むだ
け簡単!脂肪燃焼専用サプリ
肪
トリプルバーナー」、「3大脂肪
中性脂肪
内臓脂
皮下脂肪 を3種の脂肪燃焼専用サプリで徹底燃焼」
、
「余分な脂肪は1gだって
残さない!」
、
「このサプリで失敗した人は1,000人中、たった1人だけ!」などと記
載し、あたかも本商品を飲むだけで体脂肪を燃焼させ、簡単に痩せることができる
かのように表示していた。同社にはその裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提
出を求めたが、提出された資料は表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは
認められないものだった。
⑼
肉の特売を知らせる広告で、価格を一旦引き上げてから割引しているにもかかわ
らず、通常販売している価格からの割引であるかのように表示していた食肉等小売
事業者に対し7月24日、景品表示法に違反するものとして措置命令を行った。
有利誤認により措置命令を受けたのはミート伊藤(愛媛県伊予市)
。同社はスーパ
ーマーケットの食肉売り場で毎月29日に実施している「肉の日」と称する牛、豚、
鶏肉の特売を広告するにあたって、新聞折込みチラシに「5月29日(水)肉の日限
り 牛肉 豚肉 鶏肉 当日表示価格より半額」と記載、また、テレビCMで「毎月29
日は肉の日!!」、「牛肉が半額!当日表示価格より」などの映像と「毎月29日は月に
4
一度の大特売」、「牛肉が半額」、「豚肉が
半額」、「鶏肉も半額」などの音声を放送
することによって、あたかも「肉の日」
には通常販売している価格の半額である
かのように表示していた。ところが実際
には、通常販売している価格を一旦引き
上げてから半額に割引した価格だった。
⑽
全国家庭電気製品公正取引協議会により申請された「家庭電気製品小売業におけ
る表示に関する公正競争規約」の一部変更を、景品表示法の規定に基づき7月15日
に認定、7月25日に公正取引委員会・消費者庁告示第4号として官報に告示した。
変更は、家電品の必要表示事項として「事業者は、販売する家電品が中古品、店
舗展示現品、未使用品等であるときはその旨表示しなければならない」こと、また、
「未使用品については、併せて用語の説明を表示しなければならない」ことを規定し、
不当表示として「未使用品であるにもかかわらず、その旨を明示しないことにより、
実際のものよりも優良又は有利であると一般消費者に誤認されるおそれがある表
示」を追記し禁止したことなどで、施行は7月25日から。
Ⅱ.経済産業省関係
大臣官房調査統計グループは、
「特定サービス産業動態統計調査」広告業平成26年
4月~6月分の調査結果をまとめ、公表した。
平成26年4月の売上高は、前年同月比0.4%の減少。媒体別に見ると、4媒体広告
は同1.8%の減少。
「新聞」は同0.2%の増加。一方、「雑誌」は同13.2%、「テレビ」
は同1.4%、「ラジオ」は同0.3%のそれぞれ減少だった。4媒体広告以外では、「海
外広告」は同36.5%、
「インターネット広告」は同14.1%、
「その他」は同3.1%のそ
れぞれ増加。一方、「屋外広告」は同11.1%、「交通広告」は同5.4%、「折込み・ダ
イレクトメール」は同3.9%、
「SP・PR・催事企画」は同5.0%のそれぞれ減少だっ
た。
平成26年5月の売上高は、前年同月比2.2%の増加。媒体別に見ると、4媒体広告
は同4.3%の増加。「テレビ」は同7.3%の増加。一方、「新聞」は同5.1%、「雑誌」
は同6.0%、「ラジオ」は同1.6%のそれぞれ減少だった。4媒体広告以外では、「交
通広告」は同1.1%、「インターネット広告」は同13.7%、「その他」は同5.3%のそ
れぞれ増加。一方、
「屋外広告」は同39.5%、
「折込み・ダイレクトメール」は同0.7%、
「海外広告」は同14.2%、
「SP・PR・催事企画」は同6.3%のそれぞれ減少だった。
5
平成26年6月の売上高は、前年同月比5.2%の増加。媒体別に見ると、4媒体広告
は同3.8%の増加。「テレビ」は同7.7%の増加。一方、「新聞」は同8.2%、「雑誌」
は同5.0%、「ラジオ」は同2.1%のそれぞれ減少だった。4媒体広告以外では、「交
通広告」は同9.6%、
「SP・PR・催事企画」は同6.0%、
「インターネット広告」は同
11.3%、
「その他」は同9.3%のそれぞれ増加。一方、
「屋外広告」は同6.1%、
「折込
み・ダイレクトメール」は同2.4%、
「海外広告」は同3.8%のそれぞれ減少だった。
【地方公共団体等の動き】
1.東京都
生活文化局は、平成25年度インターネット広告・表示監視事業の結果についてま
とめ、7月1日に公表した。
同事業は、景品表示法の観点から年間を通じてインターネット上の広告・表示の
監視を行っているもので、平成21年度より継続的に実施している。平成25年度は443
件に不当表示がみられたため、表示を行っていた375事業者に対し改善を指導した。
違反内容の内訳は、優良誤認のおそれがあるものが313件、有利誤認のおそれがある
ものが205件、その他誤認されるおそれのある表示が15件、過大な景品類の提供のお
それがあるものが6件だった(複数の内容に違反する広告・表示があるため、指導
件数の合計とは一致しない)。不当表示例と特徴は次のとおり。
①健康食品、化粧品、除菌・消臭剤:誇大な効能効果をうたう表示が多数
〈表示例〉著しい体質改善効果をうたうサプリメントの広告
「症状を緩和しながら花粉に強い体質にチェンジ!!」等
⇒効能効果について、合理的な根拠を確認せずに表示(優良誤認のおそれ)
②美容関連サービス、外国語教室:不当な割引キャンペーンの表示が多数
〈表示例〉期間限定で適用される割引であると思わせるサービスの広告
「今だけの期間限定!今月末まで」等
⇒割引キャンペーンについて、月をまたいで継続して実施(有利誤認のおそれ)
③有料老人ホーム:告示で指定された表示事項の記載不備
〈表示例〉施設の介護職員等が充実している旨をうたう広告
「24時間看護師常駐」等
⇒介護職員等について表示する場合に必要な表示事項がなかった。
④総付景品:取引に付随して提供する総付景品の限度額超過
〈景品例〉化粧品販売の際に、新規購入者にもれなく景品をプレゼント
⇒総付景品の限度額(取引価格の20%)を超えた景品を提供していた。
6
広告等法規・行政情報
広告等法規・行政情報/第280号(平成26年9月発行)
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