The Dairy Australian ザ・デーリーオーストラリアン

The Dairy Australian
ザ・デーリーオーストラリアン
2012年5月
目次
1. デーリーオーストラリアからのご挨拶
2. オーストラリアン グランド デーリーアワード
3. オーストラリアGP酪農賞受賞者
4. オーストラリア・デー・イン・スプリング 2012
5. バラフーズ、5,400万ドル規模の生産増強プロジェクト完了
6. マレーゴールバン酪農協、中東・アフリカ事務所を開設
7. 豪州最大の酪農会社、
さらに拡大へ
8. “バター イズ ベター”
9. 世界初の技術が機能性乳製品の可能性をさらに開く
10.
韓国酪農家、豪に学ぶ
11.
酪農家夫妻が示した不屈の精神
12.
国際市場コーディネーター Katie Porter (ケイティ・ポーター)
13.
DAの東南アジアセミナー開催予定
14.
国際市場概況-2012年5月
15.
豪州の生産概況
The Dairy Australian - February 2012
日本の皆様、
オーストラリアは秋を迎え今シーズンも最終四半期に入り
ました。殆どの生産地域で例年よりも乾燥した秋となって
いますが、早い時期に雨が多く降り、所によっては洪水も
ありましたが、各地に充分な貯水量が確保されています。
その結果飼料が十分にあり、2012年3月までの9ヶ月の総
乳量は75億リットルで昨年に比べておよそ3億リットル、4
%増となっています。
デーリーオーストラリアでは2011/12年シーズンは今後も
伸びが続き、乳量が94〜95億リットルに達すると予測して
います。
これは2006/07年の96億リットル以来最高の乳量
です。
最近国際乳価がやや下がっていますがメーカー各社は将来に向けて前向き、楽観的で、
ここ数ヶ月の間に農場や製造レベルでかなりの投資が行われています。
なかでもタスマニア州は、北西部に位置する国内最大の酪農場ヴァン・ディーメンズ・ラ
ンド(Van Diemen’s Land Company)の大規模な拡張計画で他をリードしてい ます。
こ
れは資金繰りに成功した場合、既存の23の酪農場に加え更に29の酪農場を開発するとい
うものです。更にフォンテラ、
ライオン、マレーゴールバンや地元の成功企業であるアッシ
ュグローブもそれぞれ新たな加工、製造計画を発表しています。
ビクトリア州では輸出乳食材のスペシャリストであるバラフーズが5,400万ドルをかけた
南ギプスランドの製造工場の拡張を完了し、ベガによる7,800万ドルをかけたタチューラ
クリームチーズ工場の拡張計画が進行中です。
デーリーオーストラリアの国際チームは引き続き地元事業の海外展開支援に精力的であ
り、海外からのご訪問を歓迎しています。先日韓国から2名の生産者をお迎えした事は相
互理解を深める大変よい機会となりました。
「ザ・デーリーオーストラリアン」最新号の様々なデーリーストーリーをお楽しみいただ
ければ幸いです。
敬具
国際貿易開発マネージャー
Peter Myers(ピーター・マイヤーズ)
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The Dairy Australian - May 2012
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デーリーオーストラリアからのご挨拶
オーストラリアン グランド デーリーアワード
3月にメルボルンで開催されたDAの2012年オーストラリアン・グランド・デーリーア
ワード(AGDA)において、オーストラリア乳製品の「ベスト・オブ・ベスト」が栄光を手
にした。オーストラリア全国から集まった乳業界メンバーや支援者の前で行われた
授賞式では19のチャンピオンと2つのグランドチャンピオンが表彰された。
毎年行われるアワードでは高品質と革新に対する業界のコミットメントを讃えるが、
今年は製品の創造における先駆者に対する表彰も行われた。
2012年オーストラリア生産者年を祝い、DAの第13回オーストラリアン・グランド・デ
ーリーアワードは乳業界の素晴らしい人々や意欲をかき立てるエピソードに敬意を
表した。
DA社長のイアン・ハリデーは乳業界には革新やインスピレーションの確固とした歴
史があると述べた。
「我々の乳業の伝統は成功への視野と信念を持った人々が築いてきたものであり、
忍耐や情熱、エネルギーが溢れるエピソードに満ちています」
2012年AGDAの審査員には業界専門家も含まれ、数日に渡る厳しい審査を行って各
種類のどの製品が19のチャンピオンの1つを勝ち取り、高い評価を持つAGDAの品
質認定を受けるかを判定した。
これら19のチャンピオンの中から更に各部門で最高
得点を上げた製品が名誉あるグランドチャンピオンチーズまたはグランドチャンピ
オン乳製品に選ばれた。全ての受賞製品には向こう3年間AGDAメダルを表示する
栄誉が与えられる。
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The Dairy Australian - May
February
20122012
2012年AGDAグランドチャンピオン:
2012年AGDAチャンピオン乳製品:
2012年グランドチャンピオンチーズ - マフラ
クロスエージド チェダー、マフラ チーズ
(Maffra Cheese Co) (VIC)
2012年グランドチャンピオン乳製品 – ギプスラ
ンドデーリー ピュアダブルクリーム、ビードフ
ーズ(Bead Foods)(VIC)
チャンピオン ナチュラルヨーグル
ト – マンデラ プレミアムナチュラルヨ
ーグルト、マンデラ フーズ(Mundella
Foods)(WA)
2012年AGDAチャンピオンチーズ:
チャンピオン フレッシュ未熟成チ
ーズ – ザッツ アモーレ ブラータ、 ザッツ アモーレ チーズ(That’s
Amore Cheese)(VIC) チャンピオン チェダースタイルチー
ズ – マフラ クロスエージド チェダ
ー、
マフラ チーズ (VIC)
チャンピオン 白カビチーズ – タスマ
ニアンヘリテージ シグネチャーカマ
ンベール、
ライオンデーリー&ドリンク
ス (TAS)
チャンピオン ハードチーズ - プーリア
ペコリーノ ロマノ、ザ フレッシュチ
ーズ(The Fresh Cheese Co)(VIC)
チャンピオン セミハード&アイチーズ
– タスマニアンヘリテージ セントクレ
ア、
ライオンデーリー&ドリンクス (TAS)
チャンピオン ブルーチーズ – キングア
イランドデーリー ローリングフォーテ
ィーズブルー、
ライオンデーリー&ドリ
ンクス(TAS) チャンピオン ウォッシュドリンドチー
ズ – キングアイランドデーリー スト
ーミー、
ライオンデーリー&ドリンクス
(Lion Dairy & Drinks)(TAS)
チャンピオン フレーバーチーズ – バラ
ンバー オーガニック フェネル&シー
ソルト入りラブナ、バランバーオーガニッ
クス
(Barambah Organics) (QLD)
チャンピオン ゴートまたはシープチ
ーズ - ウッドサイドモネ、
ウッドサイド
チーズ ライツ
(Woodside Cheese
Wrights)(SA)
チャンピオン デーリージェラート - カフ
ェ エ ジェラート ミラニー バナナ
ジェラート、
カフェ エ ジェラート ミ
ラニー
(Caffe e Gelato Milany)(QLD) チャンピオン スペシャリティーホワイト
デーリードリンク – サンゴールド オフ
ローシーワン、
ワーナンブールチーズ&
バターファクトリー (VIC) チャンピオン フレーバーヨーグルト –
ギプスランドデーリー ブルーベリーツ
イストヨーグルト、
ビードフーズ (VIC)
チャンピオン アイスクリーム – ココラッ
ト ピスタチオアイスクリーム、
ココラット
(Cocolat)(SA)
チャンピオン デーリーデザート – キン
グアイランドデーリー ベルギー風チョ
コレートクリームデザート、
ライオンデー
リー&ドリンクス (TAS) チャンピオン フレーバーデーリ
ードリンク – オーク エッグノグ、
パーマラット (SA) チャンピオン 飲用乳 – ピュラ オリジナルミルク、
ライオンデーリ
ー&ドリンクス (VIC)
チャンピオン クリーム – ギプスラン
ドデーリー ピュアダブルクリーム、
ビードフーズ (VIC) チャンピオン バターまたはバターブレ
ンド – タチューラ コンチネンタル無塩
バター、
タチューラ ミルクインダストリ
ーズ (VIC)
The Dairy Australian - May 2012
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オーストラリア・デー・イン・スプリング 2012
4月に日本で行われた「オーストラリア・デー・イン・スプリング2012」において、オーストラ
リアのチャンピオンチーズが花形となりました。
「オーストラリア・デー・イン・スプリング」は、東京にあるオーストラリア大使館庭園で開
かれる大変質の高いオーストラリアの食とワインの懇親会パーティーです。今年は1,070
名のゲストが訪れました。
スポンサーの1社であるDAは、マフラ社「クロス・ラップド・チェダー」、
ジンディー社「ファ
イアー・エンジン・レッド・ウォッシュドリンドチーズ」等、2011年および2012年の「オース
トラリアン・グランド・デーリー・アワード」のグランドチャンピオンチーズを提供し、
「オー
ストラリア・デー・イン・スプリング2012」がこれらのチーズを紹介する初めての場となり
ました。
その他にもチャンピオンチーズであるキングアイランド社「ローリング40’sブルー」やレム
ノス社「メロン&マンゴークリームチーズ」等の人気チーズが会場を賑わせました。
ゲストには主要乳製品取引企業やオーストラリアのスペシャリティーチーズを取り扱う大
手スーパーマーケットの代表、高級ホテルの支配人、高級レストランのシェフ他、
日本政
府および各国大使館代表等が含まれました。
イベントと併せてDAが作成した「グランド・デーリー・アワード」受賞乳製品のクックブック
と、デーリーキッチンが新たに開発したアジア風レシピブックも参加者に配られました。
また、DAは東京でセミナーを開催し、160名を超える日本の乳業界関係者にご参加いた
だきました。イベントではAGDA受賞チーズの展示およびテースティングが行われ参加者
から高い評価を得ました。 フェースブック
「The Dairy Kitchen」サイトの「いいね!」をクリックいただき、毎日紹介され
る新しいレシピを是非ご覧ください : www.facebook.com/thedairykitchen 写真: 東京のオーストラリア大使館で開催された「オーストラリア・デー・イン・スプリング2012」
でのオ
ーストラリアングランドチャンピオンおよびチャンピオンチーズの展示
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The Dairy Australian - May 2012
バラフーズ、5,400万ドル規模の生産増強プロジェクト
完了
乳素材輸出を主力とするバラフーズ(Burra Foods)
では、ビクトリア州South Gippsland
地方Korumburraで進めていた増設工事が先ごろ完了した。
これは工場の製造能力アッ
プを図るため5,400万ドル(豪ドル、以下同じ)を投じた大型プロジェクトだった。
2009年から伊藤忠商事が少数株主として資本参加するバラフーズは2012年の売上高を
2億ドルと見込んでいるが、
これは2011年の売上高約5,500万ドルからの大幅増となる。
今回のプロジェクトで新たに導入されたのは、粉乳製造工程の蒸発・乾燥・包装用設備
だ。
これにより製造能力の大幅な増強を図るという。
プロジェクト進行中の過去3年間に
製造量は約3倍増の39,000トンに増え、
また新規雇用の創出により従業員数は80人から
130人へと増加した。
バラフーズは乳製品製造量の4分の3以上を海外輸出向けとするなど、乳製品輸出に強い
企業との定評がある。輸出相手国は米国、
日本、韓国、中国、台湾、香港、インドネシア、マ
レーシア、
シンガポール、中東および欧州の一部地域に広がり、顧客には世界有数の乳製
品・食品メーカーが名を連ねる。
日本では東京に事務所を構えている。
バラフーズは発行株式の45%を世界市場で強みを持つ伊藤忠商事、残る55%をビクトリ
ア州で100年以上の歴史を持つ酪農家Crothersファミリーが取得している。19年前に当
時閉鎖されていた現工場を買収し操業を開始して以来、個別のニーズに応じた乳素材を
顧客と共同開発するという特注製造を通じ、ニッチ市場で着実に地歩を築いてきた。
今回の生産増強プロジェクトは、South Gippsland地方の酪農家にも生乳需要の大幅増
という波及効果をもたらした。直接供給を行う酪農家戸数は3年前の75から現在は150へ
と著しく増加している。
バラフーズの生産体制強化や地方で行われている製造事業のニュースは、地方経済や製
造部門が難しい時期を迎えている現在、食品・食物繊維業界から明るい材料と受け止め
られている。バラフーズが5,400万ドルを投じたこの生産増強プロジェクトには、ビクトリ
ア州政府からも210万ドルの資金提供が行われた。ビクトリア州食品輸出事業の売上高
は昨年度81億ドルを記録している。
www.burrafoods.com.au
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The Dairy Australian - May 2012
マレーゴールバン酪農協、中東・アフリカ事務所を開設
マレーゴールバン酪農協(MGC)は世界第2位の国際乳製品市場である中東・北部アフリ
カ地域(MENA)への展開を図るため、
ドバイに駐在事務所を開設する。
「MENA地域の主要ユーザーとの関係強化と当社主力ブランドDevondaleの浸透を図
るため、近いうちにドバイに戦略的事業単位(SBU)を立ち上げる予定だ」
(MGC、Gary
Helou社長)
このSBUには経験豊富な現地の経済人を代表に迎え、成長著しい乳製品市場
でMGCの存在感を広めて行けるよう事業活動を任せるという。
「MENA地域で当社の販売活動を進めていく上で、ユーザーや消費者との関係の強化は
極めて重要と考えている」
「この地域では食品需要が今後も伸び続けると予想される。
また、
この地域の人々からす
れば、将来の乳製品需要に対応していくために豪州などの主要輸出国に期待する部分が
あると思う」
(同)
サウジアラビア、
アラブ首長国連邦、
カタール、
クウェート、オマーンを含むMENA地域は、
文化的に乳製品を好む富裕層の人口増が急速に進んでいる。同地域が輸入する乳製品は
合計120万トン、輸入額は豪ドル換算で38億ドルに相当する。
「この地域における豪州産乳製品のシェアは、現時点では10%に満たない」
(Helou社長)
MENA地域に新設する駐在事務所は、MGCにとって東京事務所に次ぐ2つめの海外事務
所となる。
クリームチーズ生産体制の強化
MGCはビクトリア州北西部Kiewaにあるクリームチーズ工場に350万ドルを投じ、生産能
力を現在より年間1万トン増やすための改修工事を行う。
この増産により、
日本市場でのシェア拡大やアジア・中東地域での販売実績の大幅な伸び
が期待できるようになるだろう。MGCは近年、
アジア・中東地域で収益性の高い市場の開
拓に成功している。Kiewa工場で増産されるクリームチーズは2012年末から市場に供給さ
れる予定だ。
「これらのプロジェクトにより、MGCの業績向上やポートフォリオの見直しのほか、1億ド
ル規模のコスト削減を目指していきたい」
(Helou社長)
1950年創業のMGCの生乳処理量は、豪州全体の生産量の約3分の1を占める。製品は豪
州内外の市場に供給されており、取り扱い品目は脱脂粉乳、全脂粉乳、チーズ、乳脂肪製
品、ホエイパウダーのほかに、
カゼイン、
カゼイナート、MPC85等「Natra」
ブランドで販売さ
れる乳タンパクなど原料乳製品の全種類に及ぶ。
www.mgc.com.au
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The Dairy Australian - May 2012
豪州最大の酪農会社、
さらに拡大へ
豪州最大の酪農会社がタスマニア州北西部のCape Barren島で新たな酪農場Cape
Barren Dairyの運営を開始した。1,000頭の乳牛を保有するこの酪農場は3月から搾乳作
業を始めている。
Van Diemen’s Land Company(VDL)はタスマニア州の歴史的名所Woolnorthに23の
酪農場を所有し、畜産・牧羊事業や牝子牛専用の飼育場の運営を行なう豪州の農業会社
だ。新たに運営を開始した酪農場は、同社が1.8億ドルを投資する事業拡大プロジェクト
の一つであり、400万ドルをかけて開かれたものである。
VDLの事業拡大プロジェクトは、今後4~5年で畜産用放牧地と未整地地区の酪農向けへ
の転用を進めるとともに29の酪農場を新設することを内容とし、現在は増資の段階に入
っている。
プロジェクト完了後はWoolnorth全体で合計4万頭の乳牛を保有する予定。
放牧地の酪農向け転用の促進とArthur Riverからの灌漑用水確保により、生乳生産量も
乳固形分換算で年間5,000トンから同1万5,000トンに増える見込みだ。新規雇用も促進さ
れ、新たに120人の常勤従業員の採用のほかに地元の関連産業での雇用創出も期待さ
れる。Cape Barren Dairyの場合、酪農向けへの転用に要したのはわずか2ヶ月であり、そ
の間に柵の取り付け工事(全長322㎞)
と5人の従業員の居住施設建設も完了した。来夏
はさらに転用が進められる予定という。
成長が続くタスマニア酪農
VDLの事業拡大プロジェクトの他にも、
タスマニア州では様々な開発プロジェクトが進め
られている。
Woolnorthから車で約30分ほど離れたSmithtonではTasmania Dairy Productsが6,000
万ドルを投じて新しい粉乳製造工場を建設中だ。完成後は豪州最大の乳業メーカー、マ
レーゴールバン酪農協が新工場の大半を所有し、伸び続ける海外ユーザーの需要に対
応していくという。製造品目はアジア・中東地域向けの超特注粉乳と関連製品が中心とな
る予定で、生乳処理量は2億㍑が見込まれている。新工場は2012年末に完成の予定。
成長が続く酪農業界では新規の人材募集が数百件に上るほどの売り手市場となってい
る。それに応えるべく酪農教育機関AgriTasでは現在、新たな訓練用施設を建設中だ。
こ
の施設は自動搾乳設備、
自動哺乳設備を始めとする新技術が利用できるようになるとい
う。来シーズンの生乳需要は現在の生産量を30~40%上回ると予想される中、放牧地が
点在するこの地方の酪農向け転用化を進めるため、各放牧地へのk給電体制を整えてい
くことも予定されている。
その他に、最近発表されたタスマニア州の酪農業開発プロジェクトには以下のものがあ
る:
• フォンテラによるSpreytonでのガス変換プロジェクト
(650万ドル規模)
と、Wynyard
のチーズ製造工場改修プロジェクト
(1,200万ドル規模)
• ライオン(前ナショナルフーズ)によるBurnieとKing Islandでのスペシャルティチー
ズ工場の拡張・改修プロジェクト
(1.5億ドル規模)
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The Dairy Australian - May 2012
• 地元のチーズメーカーAshgroveによるElizabeth Townでのスペシャルティチーズ
増産プロジェクト
(500万ドル規模)。
これにより50人分の雇用を創出する。
「タスマニアにおけるスペシャルティチーズ製造は無限の成長可能性を秘めている」
「
当社がこの地に投資する理由は、緑豊かな自然が広がる清潔な生産環境という定評が
あるからだ」
(ライオンの農産品調達部門ディレクター、Murray Jeffrey氏)
写真: Cape Barren Dairyの開場式にて、Bryan Greenタスマニア州福首相、Lara Giddingsタスマニ
ア州首相、Michael Guerin VDL社長
“バター イズ ベター”
「Love My Butter」
と題するこの新キャンペーンでは「天然素材」
「美味しさ」
「添加物不使
用」の三要素を備えた食品としてのバターの魅力を広めると同時に、世界各国に向けてと
同様に豪州国内でバターの素晴らしさを再認識してもらうことを目指す。
このキャンペーンは、最近行われたバターからマーガリンへの切り替えを促すキャンペー
ンに対する、酪農乳業界の反論と位置づけられる。
近ごろマーガリン業界が広めようとしているバターのネガティブイメージの内容は、80年
代に見られた同種のネガティブキャンペーンを彷彿させるものだ。だが今日では科学的
研究によって、
「飽和脂肪酸と心臓病には明確な因果関係が存在しない」
という事実がか
つてないほど説得力を持つに至っている。
「減脂肪でない乳製品のイメージ悪化を防ぐため、
こうした研究結果について医療従事
者や食品栄養分野の政策担当者に一所懸命伝える努力をしています」
「一般開業医、食事療法士、栄養士たちと定期的に会合を開き、現在では科学的知見が
昔と変わってきていることを伝えると共に、患者たちへのアドバイスは正しい情報に基づ
いて行なってほしいという話をしてきました」
「学校の先生、保護者、
アスリート、
メディア、ハートファウンデーション等の主要団体に対
しても、健康でバランスの取れた食生活を支える食品としての乳製品の重要性を説いて
きました」
「バターは人間が数千年にわたり食べてきた素晴らしい自然食品であることは、原料表
示を見れば一目瞭然です」
「そのまま食べて美味しいだけでなく、料理に使えば食材の風味を引き立ててるという
のもバターの大きな魅力です」
「全粒パンや野菜など、栄養面では重要だけどオーストラリアの食生活で不足している
食材にも、ほんの少しバターを使えば風味や食感が良くなります」」
(Glenys Zucco栄養
士、DA)
このバターキャンペーンはDAによる健康・栄養促進プログラムの一つだが、他にも乳製
品の効用を広めイメージを守るためのプロジェクトやプログラムがいくつか実施されて
いる。
脂肪やコレステロールと心臓疾患との因果関係に関する科学的知見は以前と変わってき
ており、DAではこうした研究データが一般の人々や健康的な食生活に関して影響力を持
つ人々に行きわたるよう活動を続けている。
「信頼性の高い研究データによって乳製品の健康面での効用が実証される例が、以前よ
り増えています」
(Glenys Zucco栄養士、DA)
この記事に関するウェブサイト:www.dairyaustralia.com.au/butter
または www.facebook.com/lovemybutter
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The Dairy Australian - May 2012
世界初の技術が機能性乳製品の可能性をさらに開く
クイーンズランド大学(UQ)の研究グループが栄養強化ジュースや乳飲料、
カルシウム強
化タイプの乳製品を通じて健康効果を高める研究を進めた結果、複合プロバイオティク
スを配合した非発酵型の乳飲料とジュースの開発に世界で初めて成功した。
新興の食品技術開発会社Progel Pty Ltd(本社ブリスベン)は、豪州や海外の食品・食品
素材企業と提携し、
カプセル化技術の商品化の検討とプロバイオティクスやオメガ3を取
り入れた新製品の共同開発を行う。
プロバイオティクスやオメガ3の乳飲料やジュース等
への応用は、
まだ十分に実用化されていない。
ブリスベンを拠点とするProgel社は、UQのBhesh Bhandari教授(農学・食品科学学部)が
開発したカプセル化技術の商品化を目的とし、UniSeedとBrisbane Angelsからの出資に
よりUniQuest Pty Limitedが設立した新会社だ。商品化のために豪州政府からも助成金
25万ドルが提供される。
Progel社のカプセル化技術によれば、従来品よりもオメガ3の配合を3~4倍増やした乳
飲料やジュースの開発が可能となる。
しかも、新鮮な香りや風味を損なわないという点が
特長だ。
この革新技術は、
アイスクリームほか多くの食品に使われるアルギン酸塩など安
全な素材のみを使う。
アルギン酸塩は海草の抽出物であり、持続的に調達することがで
きる。
Bhandari教授の研究チームは、
これまでにプロバイオティクスやオメガ3配合でしかも香
りや風味を損なわない乳飲料やジュースの試作品開発に成功している。
「試作品の開発にあたっては、オメガ3とプロバイオティクスを選んでみた。
これらを選ん
だ理由は、健康に良いことが周知されているが、従来の食品やサプリメントでは十分に取
り入れられていないからだ」
「乳製品やジュースを通じてプロバイオティクスを摂取できれば、消化機能の改善や整
腸作用、免疫機能の強化にもつながる。
しかし、牛乳やジュースにプロバイオティクスを加
えると数日で腐敗が生じるため、今のところ製品化に至っていない」
(Bhandari教授)
従来のオメガ3強化食品は、オメガ3が少量でも独特の魚の匂いや味が舌に残ってしまう
が、Bhandariに教授によると、Progelカプセルは食品の品質や口当たり、風味、香りに影
響を与えず、
しかもカプセルには健康効果を発揮するのに十分な量のプロバイオティク
スやオメガ3を封入することができるという。
Progelカプセル化技術を使えばカルシウムの含有も可能であり、牛乳やヨーグルト、青魚
を食べない人でもカルシウムやプロバイオティクス、オメガ3を摂取できるようになる。
食品分野のカプセル化技術の世界市場は、乳製品やジュースなど健康食品や子供向け
食品が中心となっており、市場の複合年間成長率は7%、2014年には227億米ドル規模に
成長すると見込まれている。
Progel社のCEO、Cameron Turner氏は次のように語る
「この新技術により食品メーカー
は独自の視点を確立し、健康効果に優れた革新的な機能性食品の提供ができるようにな
るだろう」
「また、
(農業・水産業などの)一次生産者にとっては市場シェアや収益性の回復
につながると思われる」
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The Dairy Australian - May 2012
「健康志向の強いオーストラリアの消費者は、
自分のニーズや味へのこだわりを大切に
する傾向がある。健康食品市場の競争が激しいのは、
こうした背景があるようだ」
「この試みが成功すれば、Progelカプセルはオーストラリアから世界各国の食品メーカ
ーに輸出される
『食のイノベーション』に名を連ねることになるだろう」
(Cameron Turner
氏)
Progel社の現在の主なターゲットは機能性食品市場だが、
このカプセル化技術の研究成
果を利用し、
プロバイオティクスやオメガ3のカプセルをさまざまな分野(例:薬品、化粧
品、栄養補強食品、農作物、水産養殖など)
で応用することも前向きに考えているという。
この記事に関するウェブサイト:www.uniquest.com.au/portfolio/progel-pty-ltd
お問い合わせ:Cameron Turner +61 7 3365 4037, 0437 448 773 または [email protected]
韓国酪農家、豪に学ぶ
今年の3月、韓国から2人の酪農家が豪州酪農の研修に訪れ、酪農を違う視点から体験す
る機会を得た。
Hwang In Won氏とLee Eun Ho氏はビクトリア州の酪農家に2週間滞在し、豪州酪農を実
地体験した。両氏は研修を受けた後に300-500頭の搾乳作業を行ったが、
自分たちが日
頃行う50頭規模での作業とはだいぶ勝手が違ったようだ。
この滞在研修はDAと韓国酪農理事会との覚書に基づき、豪韓酪農関係者の交流強化策
の一環として行われた。
研修では飼料・牧草管理、乳牛管理、生乳品質管理を学んだが、豪州と韓国の酪農には、
生乳の生産とその品質、動物の健康、繁殖といったテーマが重視されているなど、多くの
共通点が見られたという。
「豪州では緑豊かでクリーンな環境で酪農が行われているという点が、
とても印象的で
した」
「乳牛も豪州の方が幸せで健康そうに見えます」」
(Hwang氏)
研修受け入れ先である2つの酪農場はビクトリア州の東部と西部に分かれ、車で8時間の
距離がある。二つの酪農場でそれぞれ行われている牧草・飼料管理法を学べたことも、両
氏の貴重な経験になったという。
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The Dairy Australian - May 2012
西部のGippslandでの研修中は、マレーゴールバン酪農協のMaffra工場と近隣の酪農場
(1,000頭規模)の見学も行われた。搾乳ロボットによる作業の様子も見ることができた
という。ビクトリア州東部では、大手チーズメーカーL’artisan Cheese Companyで昼食に
招かれ、同社自慢のチーズの試食も行うことができた。
「豪州と韓国は何千キロも離れた国ですが、動物の健康管理や後継者問題等、酪農家が
抱える悩みは共通しています」
「韓国では会社づとめや都会での暮らしに誰もが憧れる一方、小規模な農業に魅力を感
じる人は多くありません。豪州と同様に韓国酪農理事会と韓国政府も、若者に酪農の魅
力を知ってもらうための様々な努力を続けています」
研修先となった酪農家の一人、Mark Wilms氏はこう述べている
「今回の滞在は二人にと
ってとても貴重な体験になったと思います」
「我々は日頃から当たり前だと思っています
が、豪州酪農の乳牛の数や酪農場の規模、環境重視の姿勢を見て、彼らは圧倒された様
子でした」
写真: 韓国酪農家Hwang In Won氏、Lee Eun Ho氏と研修先のBaumファミリー、Wilmsファミリー
酪農家夫妻が示した不屈の精神
クイーンズランド州で二度の洪水被害に遭いながらも、見事に立ち直った酪農家夫妻が
いる。その粘り強い精神力に対し、豪州酪農界全体から賞賛の声が寄せられている。
メルボルンで開かれたオーストラリアン・グランド・デーリー・アワードで、5つの酪農家の
感動的な話が紹介された。
ウェズ・ジャッド氏と妻のリアーンさんの話はその一つだ。
会場では2010年、2011年とクイーンズランド州を立て続けに襲った洪水によって、当時
300頭の乳牛を飼育していたジャッド夫妻の酪農場がほぼ全壊した様子から、再建を果
たすまでの奮闘の日々を描いたショートフィルムが上映された。
栽培中の飼料作物はすべてがダメになり、牧場を囲うフェンスはズタズタに千切れた。牛
は酪農場から40㎞も離れた地点まで流されたという。
だが、
これほどの被害を受けながらもジャド夫妻は夢をあきらめなかった。その夢とは、
息子2人と共に酪農を行えるよう以前に購入していた1,000ヘクタールの用地で、基盤の
しっかりした酪農会社を作るというものだ。
酪農を続ける、そして夢の実現に向けて頑張ると決めたジャッド夫妻は、施設を修復し新
たに飼料作物の栽培に取り組んだ3ヶ月間、乳牛を別の場所に移転させることにした。
「以前のように元気に酪農ができるよう、必要なことはすべてやる。ただそれだけを夢中
にがんばりました」
(ウェズ・ジャッド氏)
数えて4代目の酪農家であるウェズ・ジャッド氏は過去26年間、酪農乳業の関連団体で数
々の要職に就いている。
「私はこれまでに豪州酪農の数々のイノベーション、私たちが経験した変化やその対応
の仕方など、誰もが関心を持つ話を世界各国の生産者にしてきました」
「酪農には数々の困難がつきものです。それにどう取り組み、
どう対処できるかで得られ
るものが変わってきます」
(ウェズ・ジャッド氏)
写真(右奥)洪水発生時のクイーンズランド州
にあるウェズ•ジャッド氏の酪農施設
写真(右手前)
:
(左から)
ウェズ・ジャッド氏とDA
社長イアン・ハリデー
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The Dairy Australian - May 2012
国際市場コーディネーター Katie Porter (ケイテ
ィ・ポーター)
Katie PorterはDAの国際市場コーディネーターとして、
日本・韓国・東南アジア市場を担当
しています。
DAの主要事業である国際業務と豪州酪農乳業の国際市場でのプロモーション活動にと
ても熱心なKatie ですが、
こうした考えはビクトリア州西部の農家に生まれ、海外、特に中
国で留学・職務経験を重ねたことが影響している、
と語っています。
アデレード大学で中国語を専攻し、国際研究とアジア研究の学位を取得しただけあって、
中国語での会話も流暢にこなします。
中国には4年間滞在し、留学・職務経験を積んできました。オーストラリア政府のスタッフ
として国際マーケティングや企業イベントの開催支援業務などさまざまな職務を経験し
たことはKatieの貴重な財産です。
中でも一番の思い出は2008年北京オリンピックで働く機会を得たこと、だそうです。
DAの貿易担当部門の一員として入社したのは昨年のことです。今年の5月、6月にはイン
ドネシア、
シンガポール、
フィリピン、ベトナム、
タイ等東南アジア各国で開かれるセミナ
ーや各地の主要ユーザーとの会議に参加する予定です。
「中国で職務経験を積んだ後に、
アジアを違う角度から学べる機会を得られたことをと
ても嬉しく思います。DAでの経験は私にとって大変貴重なものです」
「日本のチーズスカラシップに携われるのは本当に素晴らしいことだと思います。
この仕
事を通じて酪農乳業をより多く知ることができました」
「私は料理がとても好きで、イギリスで料理学校に通ったこ
ともあります。いつの日かオーストラリア産の最高の乳製品
を紹介したり、世界各地の食べ物とチーズとの相性を提案す
るような仕事ができればと願っています」
KatieはDAの一員として東南アジアセミナーに参加し、滞在
先各地の人々と交流を深めたり長く続く関係を作れることを
とても楽しみにしているそうです。
写真:ケイティ・ポーターとDA日本事務所レプレゼンタティブ鈴木利佳
(ビクトリア州西部の酪農場にて)
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The Dairy Australian - May 2012
DAの東南アジアセミナー開催予定
2012年東南アジア酪農乳業セミナー
東南アジア各国で開催するこのセミナーでは、豪州酪農乳業および食品安全管理体制の
概要、豪州酪農乳業の現状、国際市場の動向を紹介していく予定です。
セミナー開催地と日程、照会先:
ジャカルタ
(インドネシア) 5月28日-[email protected] クアラルンプール(マレーシア)
5月30日-[email protected]
バンコク
(タイ) 6月1日-[email protected]
ハノイ
(ベトナム) 6月4日-[email protected]
マニラ
(フィリピン)
6月6日-[email protected]
シンガポール
6月8日-[email protected]
DAの東南アジアセミナーに関するご質問等はKatie Porter
([email protected])
までお問い合わせ下さい。セミナーへの参加をご希
望の方は、該当する開催地のオーストレード事務所あてにご連絡をお願いいたします。
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The Dairy Australian - May 2012
国際市場概況-2012年5月
原料乳製品の国際価格は、生乳供給不安の広がりから過去2ヶ月間下落傾向にある。NZ
はシーズン全体を通じて好調が続き、10% の生産増が見込まれており、
この増加分を市
場は予想価格に反映させている。南半球の生産シーズンがほぼ終了した現在、市場の関
心は再び北半球の春先の生産予測に向いている。
米農務省が発表した3月の生産量は前年同月比4.2%(3.16億㍑)増の79億㍑。生産増の
背景には乳業頭数の増加(10万頭増)
と1頭あたりの生産量の増加(前年同期比3.2%増)
がある。3月時点での米国の乳牛頭数は927万頭と、豪州(約160万頭)の約5倍以上の規
模であり、
また特に例年に比べ冬が温暖だったこともプラスに作用した。米国の1-3月の
合計生産量は228億㍑、前年同期比5.2%となった。
EU27カ国の2月の合計生産量は前年同月比4.8%増の110億㍑。生産上位を占めるドイツ
は24億㍑(5.5%増)、
フランスは20億㍑(3.9%増)だった。EUは生産年度(4月-3月)終了
後の各国別の速報値でアイルランドとオーストリアが生産割当枠を超過し、かなりの課徴
金を課される模様だ。
需要に関し、国際原料乳製品市場の需給バランスのカギを握るのは米欧の国内消費の
動向だ。生産量に占める輸出割合が豪州では45%、NZが95%と非常に大きいのに対し、
米欧では10%程度となっている。経済的な苦境が続く中、米欧の牛乳乳製品消費は安定
しており、
これは外食部門のチーズ消費が穏やかに伸び続けていることからも伺える。
coming months unless farm gate prices in the US and EU fall fast enough to discourage strong production growth in the northern hemisphere peak. Indicative International Commodity Prices 国際乳製品価格(気配値)
インターネット・オークションシステム「GlobalDairyTrade/GDT(グローバル乳製品取引)
」の落札価格は、主要輸出国・地域の生産予測が軒並み上向きなことからここ数ヶ月軟化
が続いている。
しかし製品別では値動きに激しさが見られ、特にチーズとレンネットカゼ
インは3月、4月の入札で10%以上も価格が変動した。安値傾向、順調な供給予測に加えこ
うした価格変動の激しさは、バイヤーの購買意欲を弱めるとともにさらなる値下げを期
待しての買い控えにつながるおそれもある。
こうした流れを受け、供給側の値下げ圧力は
ますます強まっている。
6,000 BuHer 3,000 SMP Dec-­‐11 Mar-­‐12 Jun-­‐11 Sep-­‐11 Dec-­‐10 Mar-­‐11 Jun-­‐10 Sep-­‐10 Dec-­‐09 Mar-­‐10 0 Jun-­‐09 Cheddar Sep-­‐09 1,000 Dec-­‐08 WMP Mar-­‐09 2,000 Jun-­‐08 現在は生産シーズンが南半球から北半球へと移行中であり、市場の動きは比較的落ち着
いている。過去数ヶ月間の世界的な乳製品需要の高さはこれまでの生産増加分を消費す
るのに十分なものとなったが、今後数カ月以内に国際市場に投入される米欧の増加分に
対しては懸念が強まっている。北半球の生産ピークを迎える前に乳価引下げによって生
産意欲を抑制できない限り、今後数カ月は原料乳製品価格の値下がりリスクが懸念され
ることになろう。
4,000 Sep-­‐08 US$/tonne FOB 5,000 Mar-­‐08 中国の輸入需要を見ると2月は粉乳が大きく伸び、前年同月比で全脂粉乳は23%増、脱
脂粉乳は倍増となった。ホエイパウダーの輸入量も73%超の伸びとなり合計33,808トン。
この3種だけで中国の乳製品輸入量全体の80%近くを占め、輸入額でも70%近くを占め
た。
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The Dairy Australian - May 2012
豪州の生乳生産量 2011年7月-2012年3月
豪州の乳製品製造量 2011年7月-2012年3月
豪州の生産概況
過去7ヶ月間はすべての月で前年同月比3~6%の大幅増となり、11年7月-12年3月
(9ヶ
月)の生産量は合計75億㍑と、前年同期と比べ約3億㍑(4%)増加した。
豪州各地の生産地域は気候と経営条件の両面で概ね順調であり、生産増の流れは今シ
ーズン終了まで続くものと見られる。
DAでは2011/12年シーズン終了まで成長基調は続き、生産量は年度全体で94億~95億
㍑に達すると見込んでいる。
これは96億㍑を記録した2006/07年シーズン以来最大とな
る。
DAが実施した2012年の豪州酪農家意識調査によれば、将来における最も大きな課題と
して生産資材コストの増大懸念を掲げた回答が増えている。従来と同様、乳価を将来の
課題とする回答も多かった。3、4年前の調査時と異なり、今回の調査では飼料コストを懸
念する声はそれほど多くなかったが、電気代や燃料費の大幅増への懸念は以前より高ま
っていることが示された。いずれも酪農経営の事業費全体に非常に大きな影響を与える
ものだ。
チーズの製造量はここ数ヶ月で急速に増え、
シーズンの4分の3が経過した時点で前年同
期比約5%増となった。チェダーは4%増だが非チェダー系は種類によりばらつきがある。
フレッシュとセミハードは大幅増だがハードタイプは小幅な伸びにとどまり、
ストレッチ
カードと青カビ/白カビタイプは微減となっている。
前年同期と比べホエイパウダーは10%増、脱脂粉乳も2%増だが全脂粉乳とバター/バタ
ーオイルは約5%減となっている。
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The Dairy Australian - May 2012
豪州のチーズ製造量 2011年7月-2012年3月
2010/11
2010/12
ISSN 1839-8812
「ザ・デーリーオーストラリアン」は4ヶ国語(英語、
日本語、韓国語、中国語)
で発行されています。定期的な閲覧のお申し込み、掲載記事に
関するお問い合わせは担当ケイティ・ポーター(Ms Katie Porter) [email protected]までお気軽にお寄せください。
発行者:Dairy Australia Limited.
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