Journal Club 2015.9 Clinical Case Studies Point: The Quest for Clean Competition in Sports: Are We the Dopes? Department of Laboratory Medicine, University of Washington, Seattle, WA. * Address correspondence to the author at: Laboratory Medicine, University of Washington, Harborview Medical Center, Box 359743, 325 9th Ave, Seattle, WA 98104. E-mail [email protected]. 臨床症例研究 ポイント:公正なスポーツ競技の探求:我々はドーピング者か? Clinical Chemistry に掲載された論文 A 2011 Q&A には、最近のスポーツ界における違法な薬物や運 動能力を向上させる薬物の使用について、我々が努力すべき将来展望について書かれています。これ をドーピングと言います。その中には、心を打つ告白が幾つか書かれていました。ドーピングの検出 率は 100%ではないこと、もしかしたら、その検出率は大変低いかもしれません。その抑止的な検査 は、より強い公正性を導き出すために必要です。また将来出現するドーピング薬剤について、我々は 信頼できる広範囲の検査の開発に真剣に挑戦します。 この挑戦は、我々の社会の中でのドーピング検査の目的を見直すことになるのかもしれません。ま た、このことは、臨床検査に携わる我々がすべての検査をすべきかどうかを考える機会になるのかも しれません。 検査に関するもっとも重要なことのひとつは、ベイズ定理にある統計的な概念です。真値を見つける ための見込みは、その検査の感度・特異度と、検査前に想定する真の確率に現れます。薬物の試験の 場合、もし、その薬剤が使われていることがほとんどないようであれば、その薬物の陽性の結果は偽 陽性であるように思われます。反対に、もし、その薬物が頻度高く使われているような場合には、そ の薬物の陰性の結果は偽陰性であるかもしれません。例えば、仮に禁止されている薬物を使っている アスリートの 90%が、検査した集団の中に含まれるとしましょう。たとえ、禁止された薬物のために 使われる検査の感度・特異度の両方が 95%だとしても、ベイジアン解析によれば、その薬物が否定さ れた検査結果の 32%以上が偽陰性であることになります。なぜならば、ドーピング検査は、しばし ば、偽陰性の結果を減らすために、感度を犠牲にしながら、高い選択性を持つようにしています。ア スリートはドーピングの発覚を避けるようにしているので、偽陰性の問題は良くないことであり、そ れはドーピングの蔓延を引き起こします。 それゆえドーピング検査において、もし、その検査によりドーピングが蔓延することになるのであれ ば、その検査の結果は有益ではありません。しかし、問題はだれもドーピングの蔓延を知らないし、 知ることが難しいことです。問題が複雑化する中で、幾つかの組織はドーピングが蔓延し始める状況 を見つける権限を持っています。プロ・スポーツ協会は自分たちのイメージを心配しますし、World 1 Journal Club 2015.9 Antidoping Agency(WADA)はその存在を正当化することについて心配するかもしれません。しかし、サイク リストであるランス・アームストロングの最近の告白、サイクリストであるフロイド・ランディスの発言、野球 界のドーピングに関するアメリカ政府のミッシェルからの報告、などの証拠は少なくとも幾つかのスポーツでは ドーピングの検査前に想定される確率は高いことを示しています。例えば、Sottas らは、ひとつの無名の国のト ラックとフィールドのアスリートの少なくとも 46~48%において、赤血球が増加するドーピングを行っている ことを見つけました。しかしながら、一般的な昔ながらの評価方法が使い、輸血や赤血球を増加させる薬物によ るドーピングに注目していますから、この集団の中のすべてのドーピングを累積すれば、より高い確率となるで しょう。たぶん、これらのアスリート全員がドーピングはおこなっているのではないでしょうが、しかし、我々 がベイズ理論の中で検査を実施する前に、本当はどのくらいの確率でドーピングが行われているのか知ることは 無意味なのでしょうか? ドーピング検査が無意味であるかどうかは、議論すべきことではありません。むしろ、無益の程度に ついて議論の余地があります。なぜなら、我々が彼らを捕まえる努力をしていても、いくらかのアス リートはそれをかいくぐっていることが知られているからです。Sottas らの A 国では、アスリートの約 50%がトラックやフィールド競技で失格するようなドーピングを行っているのでしょうか?たぶん、 違います。サイクリングのトゥール・ド・フランスで禁止されている薬物を使って見つかったアスリ ートや、毎年のドーピング検査で陽性となった他の多くのアスリート達は、薬物の乱用を始めた時期 につかまっているのでしょうか?答えは NO です。ランス・アームストロングとフロイド・ランディス は明らかに違います。たぶん、多くのアスリートが見つかる前に、数ヶ月、また何年も、ドーピング 検査をパスしながら薬物を乱用しています。彼らの最終的な識別は、我々の検査の努力よりも、検査 の感度の低さや、彼らの回避行動の失敗に影響されるようです。これが真実であるのであれば、アー ムストロングとランディス事件は真実であることを示しているわけですが、単に決められた回避療法 を不注意に怠ったアスリートや、最初から効果な回避療法が行えないアスリートを見つけるだけで、 百万ドルもかけたドーピング検査のキャンペーンはほとんど価値がないでしょう。 ドーピング検査に関してもう一つの課題は、彼らが目的を達成するには本当に資金不足であることで す。この事実に関して適切なやり方については議論の余地がありますが、それが事実であることは明 らかなことです。2010 年の WADA 活動への 2800 万ドルの寄付は、ニューヨーク・ヤンキースに所属す るスター野球選手、アレックス・ロドリゲスの 2010 年の年俸 3200 万ドルより、だいぶん少ない額で した。ロドリゲスは 2009 年にステロイド薬の乱用を認めましたが、メジャーリーグは 4 年間その判断 を保留とし、その後、1 年間だけ出場停止にしました。我々は問います。10 億ドルを背景とする製薬 会社の陰謀組織と分析研究所に対する戦いは、化学的に向上したアスリートと彼らのスポンサーによ ってコントロールされている中で、資金不足の反ドーピング運動がどのように成功するというのでし ょうか?聖書の物語に登場するダビデは巨人ゴリアテを見事に倒しましたが、そのときダビデは、大 量のシェケル銀貨でゴリアテを押しつぶしたに違いありません。 統計的、財政的な面から議論をしなくても、ドーピング検査の目的を考えることは、我々の社会の中 での必要性は明らかです。Clinical Chemistry Q&A でインタビューされた人々は、みな、ドーピング検 査の第一の目的が抑止することであることに同意しました。著明なアスリートであるジュリー・チュ は、公正さを確保することが次の目的であることを示しました。どのようにすれば、反ドーピング運 動により、薬物の使用を阻止したり、公正さを確保したりことができるのでしょうか、それは、明ら かではありません。フロイド・ランディスが、もし、信用できるのであれば、それはドーピング検査 が抑止効果を持たないことになります。なぜなら、彼はたくさん、いや、ほとんどの彼と同じエリー トレベルのサイクリングのアスリートは、禁止されている薬物を使っていると信じているからです。 2 Journal Club 2015.9 ドーピング検査は薬物の使用を阻止するより、高度な回避計画、より検出が難しい薬物、増進療法に ついて、小さな産業の育成を促しているようです。一方、ドーピング検査が公正さを確保するかどう かを判断するのは、臨床化学者より哲学者によるほうが良いのかもしれません。確かに、レースで有 利なスタートを取るために薬物を飲むことは公平ではありません。しかし、先進国のアスリートが、 第三世界のアスリートが行うことができないような、高価な合法的な栄養摂取やトレーニング療法を 行うことは公正と言えるでしょうか?不注意に、禁止された薬物を使った選手を罰することは公正で しょうか?我々の政府が、ステロイドを乱用していたアーノルド・シュワルツネッガーを米国の最高体育 学スポークスマンに指名したことは、公正と言えるでしょうか?これのことは、たぶん、我々の臨床検査室で存 在意義を議論するよりも、社会学の教室で議論すべきことなのです。 我々は、ドーピング検査において、何をすべきなのでしょうか?私たちは 2 つの方法を取ることがで きます。1 つは、このまま継続することです。もし、私たちがそうするなら、まれに著名なアスリート を、多くは無名のアスリートを捕まえ続け、有名なアスリートがすべてを話した時、精密な調査によ りスポーツ界で嵐が巻き起こるでしょう、そして、次の新しい薬剤が市場にもらされるときから、ま た、はじめからやり直すことになるのです。しかし、私が思うには、このことは臨床化学が麻薬を作 ることであり、私たちが決して勝つことのできない戦いなのです。 もし、我々がすべてのドーピング検査をやめることを選択したら、何が起こるのでしょうか?たぶ ん、スポーツ界のドーピングする選手の割合は増加し、それが 100%となることはないでしょうが、で も、今、すでにそれに近い状態であるかもしれません。我々は子供たちに間違ったメッセージを送っ ているのでしょうか?しかし、もし、個人がプロスポーツ界での成功の可能性だけを考えているので あれば、その成功のために必要とされる薬物強化とその実績を追い求めるスポーツに対して、子供た ちを思いとどまらせることは悪いメッセージではないでしょう。しかし、スポーツ産業でより重要な ことは、我々がドーピングの告白により恩赦を提供したら、そして、すべてのドーピングしたアスリ ートをそのように認めたら、薬理学が生理学を上回るたびに人々が数千ドルも払うかどうか?ということ です。しかし、たぶん、少なくとも、お金を払って得たものであることは知られているし、それは正確に言っ て、社会が価値あると認めているスポーツの技量の高さに匹敵するでしょう。 Footnotes Author Contributions: All authors confirmed they have contributed to the intellectual content of this paper and have met the following 3 requirements: (a) significant contributions to the conception and design, acquisition of data, or analysis and interpretation of data; (b) drafting or revising the article for intellectual content; and (c) final approval of the published article. Authors' Disclosures or Potential Conflicts of Interest: Upon manuscript submission, all authors completed the author disclosure form. Disclosures and/or potential conflicts of interest: Employment or Leadership: None declared. Consultant or Advisory Role: G.S. Baird, Avalon Healthcare Solutions. 3 Journal Club 2015.9 Stock Ownership: None declared. Honoraria: None declared. Research Funding: None declared. Expert Testimony: None declared. Patents: None declared. Received for publication April 11, 2014. Accepted for publication June 17, 2014. © 2014 American Association for Clinical Chemistry References 1. Butch AW, Lombardo JA, Bowers LD, Chu J, Cowan DA. The quest for clean competition in sports: Are the testers catching the dopers? Clin Chem 2011;57:943–7. 2. Full transcript: Lance Armstrong on Oprah. http://armchairspectator.Wordpress.Com/2013/01/23/fulltranscript-lance-armstrong-on-oprah/ (Accessed April 2014). 3. 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E-mail [email protected]. 現在ある技術によるランダムな薬物検査で、ドーピングの規則を犯したすべてのアスリートを見つけ ることはできますか?それは No です。警察もすべての違反運転手を捕まえることはできません。で も、その試みをやめるべきなのでしょうか?業務監査委員がインサイダー取引すべてを捕まえること ができないからといって、金融産業の規制をやめるべきではないでしょう?そして、一部の人たちが 税についてうまく不正をするからといって、国税庁が監査を行うのを止めなければならないのです か? ベイジアン解析に基づいた基本的な問題は、ランダムな薬物検査を通してすべての違反者を捕えるこ とが、反ドーピング・プログラムの唯一の目的であると考えているからです。それは、そうではあり ません。しかし、反ドーピング・プログラムによる薬物検査の役割を考える前に、なぜ、反ドーピン グ規制が重要なのでしょうか? 一緒に暮らし、社会の目的を達成するのに、我々は仕事と遊びを統治するための規制の制定に同意し ます。例えば、我々は違反運転手の規制を受け入れます。なぜなら、それは他人に危害を与える可能 性があるからです。我々は、バスケットボールのリングが 3.05 m の高さで、プレイするコートの広さ が横 28 m、縦 15 m のルールを受け入れます。アスリートが公正な競技を行うために同意したルールを 破ることを不正行為と言います。個人が不正行為をするとき、スポーツにおいて、仕事で、または、 彼らの税の上においても、それは他人から奪い取るか、だまし取るかです。それは、倫理的にも、道 徳的に間違っていますし、個人がそれを合理化しようとするものではありません。 反ドーピングの規則に違反する不正行為は、被害者がいる犯罪です。サイクリストであったスコッ ト・メルシェは詐欺も健康被害も冒したくなかったので、自分の好きだったスポーツをやめる選択を することになりました。砲丸投げのアダム・ネルソンは最近 2004 年のオリンピックの 9 年後に金メダ ルが授与されました。なぜなら、その競技の勝利者の尿を新しい技術により再検査したところ、筋肉 増強剤が見つかったからです。ネルソンは「この勝利は私のものではなく、システムによる勝利で す。」とコメントしました。そして違反者は、競争相手からだまし取った賞金と保証金、百万ドルを 得る機会を失いました。 スポーツの本質は競争であり、ラテン語の competere に由来し、その意味は「競い合え」です。オリン ピック競技での熟練した敵との戦いは、多くの人々が好みます。オリンピックは、もっとも激しいプ 5 Journal Club 2015.9 レッシャーの中で傑出した人間が奮闘し、挑戦します。最高のスポーツは、技術、刻苦、集中、努 力、チームワークと他の人に対する尊敬を教えています。「競い合う」ことがなくなってしまった ら、スポーツ競技は肉体的および精神的な技術の展示になってしまいます。ハーレム・グローブトロ ッターズは驚くべき技術を持っていますが、ワシントン・ジェネラルズとの試合はスポーツ競技では なくエンターテイメントです。極端なことを言うと、違反された薬物を含むすべての犠牲を払って勝 利する競技となります。本当の意味では、競争は薬物のない公平なフィールドで価値を持ちます。. ドーピング規則を選ばずに、投与薬物の無秩序を選ぶことには、まったくメリットがありません。グ ラウンドでは、だれもが望むように公平ではありません。例えば、だれもが同じ赤血球数で始めるわ けではないし、安全な薬物の投与量で同じように反応するわけではありません。そして、薬物の使用 を許すようにしても、競技は公平になりません。そして、最大の危険を冒す気持ちを持つアスリート と薬物アドバイザーは競技に勝ちます。そのアスリートは、制御されていない人体実験に知らないう ちに参加しているのかもしれません。人はスポーツを 2 つに分けることを考えています。1 つは無制限 の薬物の使用、もう 1 つは薬物を使用しないスポーツです。そのことは、重量挙げで審議されました が、散々な結果でした。一部の選手は、競技の中で中間の順位で終わるより、薬物を使用してはいけ ない競技の中で勝利するために不正行為をします。競争相手とファンをだましてまで、勝ちたいと思 う選手の性格の中により深い問題があるのです。しかし、その質問は本稿の範囲外です。 薬物検査が明確なものでないのに、抗ドーピング・プログラムのその目的は何なのでしょうか?主た る目的は、アスリートに運動能力を向上させる薬物や方法を始めることから思いとどませることで す。不正行為をしないという決断は、個人の道徳的な抑制による部分があります。そして、犠牲を払 って勝つよりも、公正な競争を積極的に認めるコミュニティとすることにより、アスリート自身が不 正行為を抑止するようにする役割があります。伝えられるところでは、1980 年代には筋肉増強剤の使 用がたくさん行われていて、トラックやフィールドのアスリート、フットボール選手は、彼らの健康 に対する懸念から、ステロイドの使用を削減するための薬物検査プログラムを強く支持していまし た。効果的な抗ドーピング・プログラムは、アスリートの道徳的なコミュニティを支持することを目 的に、スポーツの価値とドーピングの健康リスクに関する教育を含めなければいけません。 薬物摂取をするかしないか決める時に、道徳的に抵抗する意思が弱いアスリートに対して、薬物検査 は抵抗する更なる動機付けとなります。抑止力の作用は、彼らが薬物を行うことを決める前に、個人 がドーピングについて合理的な決定をするという、また、彼らがドーピングの利益と犠牲と検討する という仮定に基づいています。アスリートが薬物摂取の選択について理性的に行動する、また、薬物 検査が彼らの決定に影響を及ぼすという証拠があります。抑止力には 3 つの作用があります。その 3 つ は、個人を捕えることができる、形式的で非公式の制裁の厳しさ、その制裁の迅速さです。非公式な 制裁とは、影響力のある人からの否定的な反応です。最近の米国反ドーピング機関 (USADA)のオリ ンピックのアスリートを対象とした別の調査でも、非公式の制裁が個人に対する形式的な制裁より高 い認知コストとなることが認められました。 個人が捉えられる認識には、3 つの重要な要素があります。我々は、彼らが捉えやすいアスリートの認 識を増加させるために何ができますか?個人を捕らえるためには、正しい時間にサンプルを収集する こと、そして、そのサンプルの中から禁止された薬物を検出する分析能力が要求されます。臨床現場 とは異なり、アスリートと彼らの非論理的なアドバイザーは、活発に、管理されるルートと服用のタ イミングを変えることによって発見を避けようと試みます。アスリートに取って、収集のタイミング 6 Journal Club 2015.9 の不確実さは、効果的な検査として評価されない要素となります。この理由から、2002 年 10 月 2 日か ら USADA のオリンピック・ムーブメントのための検査の実施要項(プログラム)に、事前通知なしで 競技をしていないときに検査することを容易にするために、アスリートの所在を明らかにすることが 要求されました。世界的な反ドーピング運動は、集めるサンプルの数より、効果的にサンプルを集め ることにより利益を得ました。. エリート・アスリートのドーピングの発生率は、幾つかの異なる種類の研究から推定されました。す べての研究が 10%から 30%であったことは、いくらか安心できるものでした。ドーピングは、性別、 スポーツ、国別と多様でした。ラボからの逆分析的調査では、1%から 2%だったのですが、それより もずっと高い発生率でした。禁止された薬物を低確率で検出するので、それに価値がないという議論 は、全体のプログラムの中では無視されました。 例えば、前の試験結果に対するそのアスリートの結果を評価するときには、反ドーピング・プログラ ムでは、血液学的バイオマーカーと生理的ステロイドの両方を関連付けました。幾つかのサンプル は、個人の通常の範囲を推定するために集められます。その評価法は、ドーピング規則の違反審理の 証拠としてだけでなく、計画された検査の評価にも多用されます。加えて、幾らかの陰性の検査は、 ドーピングした者を捕らえることができたという確信を増す効果を持ちます。そのようにして、彼ら が薬物を始めることを思いとどまらせます。すべての陰性の検査が「失敗」と考えてはいけません。 しかし残念なことに、その抑止力を推定するより、陽性の検査を数えることは容易なのです。 反ドーピングを含むどんなシステムでも、個人の経験によって、そのリスクの認識は変わります。ク リーンな競争と世界アンチドーピング機関(WADA)により資金提供を受けて行われている新しい検 査法およびサンプルの採取に関する研究は、また、新しい検査を養成する研究の維持、捕まえられる アスリートの増加の重要性をもたらします。検査方法の開発に加えて、現在、サンプルの収集の費用 を抑えるための、唾液、乾燥した全血や血漿のスポットの利用が研究されています。研究は主に、イ ンシュリン様成長因子 1、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのようなドーピング検査、また、ドーピング検査 に適応可能なモデルに関して行われています。また、その研究は、臨床、薬理学、内分泌の幅広い分 野、反ドーピング運動に関する社会的な利益に価値をもたらします。また、これまで述べたように、 サンプルの保存、新しく研究された検査法による再テストは、そのテストにより「打ち勝つ」ことが できるかどうか、不確実性を増大させます。 非分析的な証拠の回収は、重要性を増しています。アスリートからのチップと、実在する手助けは反 ドーピングの制裁の数を決定します。BALCO(アメリカの栄養補助食品会社)だけでなく、アスリー トが違法なインターネットにより国境を越えて購入しようとした原料についても、反ドーピング当局 の法律の施行に協力する様相を持ちました。「疑わしい」(否定的な)検査の結果の場合には、禁止 する薬物の直接検出ではなく、WADA 規則を使い証明した証拠が使われました。2015 年に出された WADA 規則では、ドーピングを助ける人の摘発をサポートして、法律の施行を容易くしました。抑止 は、より確実に捕まえることにより効果を上げることができます。 プレーヤーが 1 年間に 10 万ドルの賞金を得るようなスポーツは、反ドーピング規則をより多く実施し なければいけませんか?その通りです。確かに、すべてのプレーヤー、コーチ、ファンは、「競争し 7 Journal Club 2015.9 ない」態度をとらないようにすることが必要ですか?その通りです。ファンは、ドーピングの言い訳 を受け入れるときに、より洞察力を持たなければいけませんか?特に、それが、自分のホームクラブ である時に?その通りです。アスリートは他の社会と同じく、責任があるのですか?当然です。しか し、これらの変化は検査プログラムの変化より大きく、それらは長い時間をかけて、社会の中で定着 してきます。 挑戦が与えられなければ、なぜ試しさえしないのですか?ナショナル・パブリック・ラジオ(2012 年 8 月 29 日)のフランク・デフォードは、次のことを言いました。「結局、我々はすべてのアスリート の体を疑うかもしれません。もし、あなたが声を疑うのであれば、オペラはありません。もし、あな たが体を疑うのであれば、スポーツはありません。それは、ちょうど、特殊効果によるもう 1 つのエ ンターテイメントとなるでしょう。」 我々が、クリーンなアスリートとスポーツの本当の価値を失うなんて、なんて間抜けなことなのでし ょう。 (訳者:廣渡祐史) Footnotes 2 Nonstandard abbreviations: USADA, US Anti-Doping Agency; WADA, World Anti-Doping Agency. Author Contributions: All authors confirmed they have contributed to the intellectual content of this paper and have met the following 3 requirements: (a) significant contributions to the conception and design, acquisition of data, or analysis and interpretation of data; (b) drafting or revising the article for intellectual content; and (c) final approval of the published article. Authors' Disclosures or Potential Conflicts of Interest: Upon manuscript submission, all authors completed the author disclosure form. Disclosures and/or potential conflicts of interest: Employment or Leadership: L.D. Bowers, US Anti-Doping Agency. Consultant or Advisory Role: None declared. Stock Ownership: None declared. Honoraria: None declared. Research Funding: None declared. 8 Journal Club 2015.9 Expert Testimony: L.D. Bowers, federal court. Patents: None declared. Received for publication June 11, 2014. Accepted for publication June 17, 2014. © 2014 American Association for Clinical Chemistry References 1. Adam Nelson finally gets 2004 Olympic gold in shot put. http://www.usatoday.com/story/sports/olympics/2013/05/30/adam-nelson-to-get-2004-gold-in-shot-put/2372997/ (Accessed July 2014). 2. The 3 TrueSport pillars. http://www.truesport.org/3-pillars/ (Accessed July 2014). 3. Murray T, Maschke KJ, Wasunna AA. Performance enhancing technologies in sports: ethical, conceptual, and scientific issues. Baltimore (MD): Johns Hopkins University Press; 2009. 4. Murray TH, Maschke KJ, Wasunna AA, Todd J, Todd T. Reflections on the “parallel federation solution” to the problem of drug use in sport: the cautionary tale of powerlifting. In: Murray TH, Maschke KJ, Wasunna AA, eds. Performance enhancing technologies in sports: ethical, conceptual, and scientific issues. Baltimore (MD): Johns Hopkins University Press; 2009. p 44–80. 5. Paternoster R, Simpson S. 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