JEITA CP-2905B 電子情報技術産業協会規格 ポータブル・オーディオ機器の電池持続時間の測定方法 Methods of Measurement for Battery Duration on Portable Audio Equipment 第1章 1. 適用範囲 ポータブルオーディオ機器の再生時の電池持続時間の測定方法 この章では,ラジオ受信機,テープレコーダ(DATを含む),CDプレーヤを初めとす る光ディスクプレーヤ,メモリオーディオ,その他,音楽再生が可能な一次電池,又は二次電池を電源 とするポータブルオーディオ機器及びその複合機器の音楽再生時の電池持続時間の測定方法について 規定する。 備考 ビデオ機器との複合機器における,ビデオ系を除いたオーディオ系の再生時の電池持続時間の 測定方法については,本測定法を適用する。 2. 測定条件 (1) 周囲環境条件 +15 ℃とする。 -5 a) 温度は 20 b) 相対湿度は(60±15)%とする(判定に疑義を生じないかぎり,30~75%でもよい)。 c) 気圧は 86~106kPa とする。 (2) 複合機器においては,測定にあたってそのうち 1 つを再生させるものとする。 (3) 音質コントロール,ノイズリダクション等の付加機能は使用しない。 (4) 連続再生状態とする。 (5) 測定に用いる試験用ソース a) ラジオ受信機:標準信号発生器を用いる。(1kHz 正弦波変調) b) カセット式テープレコーダ:試験用カセットテープ(電池持続時間測定用)又は,基準録音レベ ル/基準周波数(250nWb/m/315Hz)で録音されたテープを用いる。 JEITA EIAJ CP-2311 2.5 磁気テープ録音再生システム(実用最大出力及び電池持続時間測定 用)参照。 c) DAT,MDレコーダ:基準録音レベル/基準周波数(最大録音レベル-12dB/1kHz)で記録され たソースを用いる。 JEITA EIAJ CP-2301A 2. DATレコーダの測定方法(基準録音レベル),及び, JEITA EIAJ CP-2404 2. ミニディスクレコーダの測定方法(基準録音レベル)参照。 - 1 - JEITA CP-2905B d) その他のデジタル機器:最大録音レベル-12dB/1kHz で記録されたソースを用いる。 (圧縮記録される場合は,圧縮前のレベルが-12dB) 注 1. 各々の機器で規定された試験用ソースを用いるのが望ましいが,入手できない場合はレ ベル/周波数が異なっていても,比較的統一された録音レベルでできる限り連続的に記 録されたソースで代用する。 注 2. 再生時の音量調整が連続的に行えない機器の測定を行う場合は,目標の再生出力を得る ために,記録レベルを微調整した同様のソースで代用してもよい。 (6) 供試機器は消費電流がその機種(型式)として標準的な値のものとする。 (7) 乾電池(一次電池)は,製造業者が指定した型式の標準的な容量を持つ未使用品とする。 充電式電池(二次電池)は,その機器に付属されているもの,又は製造業者が指定する型式の標準 的な容量を持つ活性化されたものとし,取扱説明書などにより製造業者が指定した方法に従って フル充電を行ったものとする。 3. 測定上の注意 (1) カセットテープのように終端で裏返すことのできるものは,終端で裏返す。 DATなどのように片面使用のものは,別のカセットに入れ換える。 (2) オートリバース機能付きのものは,オートリバースモードに設定する。 (3) ディスクについては,全トラックをリピート再生する。 (4) 測定にあたり,カセットテープやディスクの交換を行う場合は,最小限の時間で速やかに行う。 4. 4.1 測定方法 一般の測定方法 供試機器を規定再生状態(1)に調整したのち,試験用ソースを再生し,スピーカ 端子から得られる出力(2)が実用最大出力(公称値)(3)の 4%になるよう音量調整器を調整して再生を続 け,再生中の電池の端子電圧が供試機器の指定の終止電圧に達するまでに要した時間を測定する。 また,イヤホン/ヘッドホン専用方式の機器の場合は,各製造業者が指定する規定出力負荷インピー ダンスを接続したとき,イヤホン/ヘッドホン端子から得られる出力が 0.2mW(4)になるように音量調整 器を調整して再生を続けて行う。 注(1) 基準周波数信号が基準録音レベルで録音されたソース(試験用メディア)を供試機器で再生し, その出力に規定出力負荷インピーダンスを接続して規定出力レベルが得られるよう音量調整 器を調整した状態。 また,ラジオ受信機の場合は,2.(5) a)の信号を供試機器で受信し同様の調整を行った状態。 注(2) マルチアンプ機器のように複数のスピーカ用アンプを内蔵する機器の場合は,それぞれのアン プの実用最大出力の 4%になるよう調整する。 - 2 - JEITA CP-2905B 注(3) JEITA 注(4) 備考 EIAJ CP-1102(オーディオ機器の出力表示)参照 ステレオタイプのものは,0.1+0.1mW とする。 時間の経過やテープの走行方向などで出力レベルに差が出る場合は,測定結果に影響の出ない ようレベルを調整する。 4.2 公称等価抵抗法による代替算出方法 イヤホンタイプのラジオ受信機のように,電源電圧の低下 とともに消費電力が低下する機器で,かつ消費電力が少なく 4.1 項の測定方法では測定に何日もかかっ てしまうような機器においては,以下の測定方法を用いてもよい。ただし,4.1 項による結果に近似し た値が得られることが製造業者により事前に検証されていること。 公称等価抵抗:供試機器を通常使用状態にて動作させたとき,電源より見た等価抵抗のうち,電池持 続時間を電池の放電特性より偏りなく求めるために規定した条件における等価抵抗。 (1) 測定回路 電源装置,電圧計,電流計及び供試機器を図1のように接続する。 A V 電源装置 供試機器 図1 (2) a) 測定回路 算出方法 ラジオ受信機の場合は,2.(5) a)の標準信号を供試機器に入力する。 その他の機器においては,2.(5)項の信号を供試機器に入力する。 b) 図1の電圧計の読みを,供試機器の定格電源電圧の 60%にし,スピーカ内蔵の機器では 10mW(ス テレオの場合は,5+5mW),イヤホン/ヘッドホン専用機器では 0.2mW(ステレオの場合は, 0.1+0.1mW)になるように機器の音量を調整する。 この状態で実用上必要な動作に支障なく,かつ 10mW/0.2mW の出力が得られた場合は,この時 の電源電圧を終止電圧とする。 もし実用上必要な動作に支障を生じた場合又は,10mW/0.2mW の出力が得られない場合には,こ れらの支障が生じない最低の電圧を終止電圧とする。 c) 供試機器の定格電圧(V1)における消費電流(I1)及び終止電圧(V2)における消費電流(I2)を測定 する。 d) 次式により公称等価抵抗を算出する。 公称等価抵抗R= e) 1 V1 2 I1 + V2 I2 × 1 n n:使用電池の数 あらかじめ用意した「電池の定抵抗放電特性曲線」を用いて,d)で得られた公称等価抵抗値に対 応する終止電圧までの電池の持続時間を求める。 - 3 - JEITA CP-2905B 5. 性能表示の例 電池持続時間の表示は使用する電池の種類を指定し,表示例に準じて行う。最小表 示時間は,0.5 時間とする。ただし,4 時間未満の場合,15 分単位としてもよい。 表示例 電池持続時間:約 4 時間(JEITA CDプレーヤ再生時,VOL※程度) 付属乾電池 単 1 形マンガン電池(R20P)使用時 電池持続時間:約 9 時間(JEITA ヘッドホンステレオ出力 0.1+ 0.1mW 時) 付属乾電池 単 3 形アルカリマンガン電池(LR6)使用時 注 1. 複合機器においては,最短の電池持続時間の表示で代表してもよい。 注 2. ※は通常の音楽再生時に実用最大出力の 80%程度の出力となる音量調整器の位置を 7,8,9 などの整数で表すことが望ましい。 注 3. 電池の種類については,商標,型式等,明示することが望ましい。 第2章 1. 適用範囲 ポータブルオーディオ機器の録音時の電池持続時間の測定方法 この章では,一次電池又は二次電池を電源とするポータブルオーディオ機器及びその複 合機器の録音時の電池持続時間の測定方法について規定する。 備考 ビデオ機器との複合機器における,ビデオ系を除いたオーディオ系の録音時の電池持続時間の 測定方法については,本測定法を適用する。 2. 測定条件 (1) 連続録音状態とする。 (2) 録音に用いるテープ,ディスクなどのメディアは,その機器の製造業者が推奨する範囲の最長 時間のものを用いる。また,カセット式テープについてはノーマルタイプを用いる。 (3) 内蔵マイク又は外部入力端子から録音する場合は,1kHz の入力信号を規定録音状態から 5dB 低 い録音レベルで録音できるように録音ボリュームを設定する。 (4) 複合機器において,一方を再生しながら録音する場合の再生機器側の条件は,録音モニタの条 件を除いて,第1章「ポータブルオーディオ機器の再生時の電池持続時間の測定方法」の測定条 件に従う。(録音モニタの条件は表1による。) 録音機側は, 規定録音状態より 5dB 低いレベルで録音できるように録音ボリュームを設定する。 自動録音レベル設定の場合や,デジタルダビングのように録音レベルが可変できない場合はこ のかぎりではない。 (5) 録音モニタの条件は,表1による。 ただし,マイク録音の場合は録音モニタを行わない。 - 4 - JEITA CP-2905B 表1 録音モニタ条件 可変式(1) 切替式(2) 固定式 スピーカモニタ 10mW(3) 最小音量 ON 両機能を有するものはスピーカ イヤホン/ヘッドホンモニタ 0.2mW(4) 最小音量 ON モニタで測定する。 方 式 注(1) ほぼ連続的に調整できる方式。 注(2) 2~3 通りのレベルを選択できる方式。 注(3) ステレオの場合,5+5mW。 注 記 マルチアンプ使用機器の場合,試験用ソースの周波数(315Hz,1kHz 等)を含む帯域のス ピーカに 10mW(ステレオの場合,5+5mW)を印加するものとする。 注(4) ステレオの場合,0.1+0.1mW。 (6) 供試機器は消費電流がその機種(型式)として標準的な値のものとする。 (7) 乾電池(一次電池)は製造業者が指定した型式の標準的な容量を持つ未使用品とする。 充電式電池(二次電池)は,その機器に付属されているもの,又は製造業者が指定する型式の標 準的な容量を持つ活性化されたものとし,取扱説明書などにより製造業者が指定した方法に従っ てフル充電を行ったものとする。 3. 測定上の注意 第1章「ポータブルオーディオ機器の再生時の電池持続時間の測定方法」に準ずる。 4. 測定方法 供試機器を規定の測定条件に設定したのち,再生機側から録音機側への信号の録音を続 け,録音中の電池の端子電圧が供試機器の指定の終止電圧に達するまでに要した時間を測定する。 備考 5. 時間の経過とともに出力レベルが変化する場合は,測定結果に影響の出ないよう配慮する。 性能表示の例 電池持続時間の表示は,使用する電池の種類を指定し,表示例に準じて行う。 最小表示単位は 0.5 時間とする。ただし,4 時間未満の場合,15 分単位としてもよい。 表示例 1. 電池持続時間:約 9 時間(JEITA マイク入力信号録音時) 付属乾電池 単 1 形マンガン電池(R20P)使用時 表示例 1. 電池持続時間:約 9 時間(JEITA ラジオ入力信号録音時) 付属乾電池 単 1 形マンガン電池(R20P)使用時 表示例 1. 電池持続時間:約 4 時間(JEITA テープダビング録音時) 付属乾電池 単 1 形マンガン電池(R20P)使用時 表示例 1. 電池持続時間:約 5 時間(JEITA CDプレーヤ信号録音時) 付属乾電池 単 1 形マンガン電池(R20P)使用時 - 5 - JEITA CP-2905B 注 1. 複合機器においては,最短の電池持続時間の表示で代表してもよい。 例:電池持続時間:約 4 時間(JEITA テープダビング録音時) 付属乾電池 単 1 形マンガン電池(R20P)使用時 注 2. 電池の種類については,商標,型式等,明示することが望ましい。 表示例 2. 電池持続時間:約 1 時間 45 分(JEITA 光デジタル入力録音時) 付属充電式電池使用時 関連規格 JIS C 5562 ~ 5568 磁気テープ録音再生システム JIS C 6102 ラジオ受信機の測定方法 JEITA CP-2402A CDプレーヤの測定方法 - 6 -
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