赤ちゃん学会 ターゲット論文 身体・身体運動知覚に関する発達認知神経科学研究とその展望 平井真洋 1,2 1 Department of Psychology, Queen’s University, Kingston, Ontario, CANADA 2 日本学術振興会海外特別研究員 連絡先: Biomotion Lab - Queen's University - 62 Arch Street - Kingston, Ontario - K7L 3N6 - Canada e-mail: [email protected] 1 要旨 身体・身体運動は顔と同様に感情や意図など「社会的シグナル」を他者に伝達するインタ ーフェースである.この 10 年,脳イメージング技術の発達に伴い,他者の身体・身体運動 (バイオロジカルモーション:光点運動のみから他者の行為を知覚できる現象)に対して 選択的に活動する部位の存在が報告され,その発達的変化について明らかにされつつある. 本論文では,他者身体・行為の認知に関するこれまでの研究を発達認知神経科学の視点か ら概観し,著者らが明らかにしてきた研究成果と併せ紹介した上で,それらが社会的認知 とどのように関連するのか,さらにそれらを社会的認知のメカニズムを明らかにするため のツールとしてそれらをどのように用いるべきかについて考察する. 2 1.身体の知覚 顔・身体は我々にとって最も身近なそして特別な「オブジェクト」であり,我々 はそれらから性別・感情・意図・年齢・友人・知人の弁別など様々な情報を読み取ること が可能である.特に,顔知覚に関する研究はこれまで数多く行われ,その知覚特性,発達 的変化,神経機序についても詳しく明らかにされている.一方,顔と同様に身近なオブジ ェクトである「身体」の知覚に関する研究は顔研究に比べてこれまで十分に行われてきた とは言えないのが現状であるが,この数年,身体・身体運動知覚に関する研究が進み[1, 2], 顔知覚処理との類似・相違点が明らかにされつつある.特に重要な知見としては,脳機能 イメージングの研究から,身体に対して特異に活動する部位 (EBA; Extrastriate Body Area) [3]の発見や,その後の事象関連電位(Event-related potential; ERP)研究により顔処理と同様に 身体知覚処理と関連した ERP 成分(刺激提示後 190 ミリ秒後にみられる成分)[4, 5]の発 見が挙げられる.また顔知覚処理で見られるような倒立効果も身体知覚において生じるこ とも報告されている[2, 4].これは,我々の身体は顔と同様に手,足,胴体の配置には規則 があり(例えば,胴体は常に足の上に位置している),その知覚処理には configural な処理 が 関 与 し , 倒 立 に す る と そ の 知 覚 が 阻 害 さ れ る 現 象 で あ る [6] . こ の よ う な 身 体 の configuration の処理に関する発達的変化についても顔と同様に検討され,Slaughter らの研 究によれば生後 18 ヶ月以降でヒト身体の構成に敏感になることが報告され,顔知覚とは異 なる発達的変化を辿ることが報告されている[7]. 2.身体運動(バイオロジカルモーション)処理メカニズムの解体 しかしながら,我々の日常生活において完全に静止した他者の身体を見る機会は 決して多いとはいえず,むしろ他者の行為から相手の意図,感情などを読み取る機会が多 い.身体運動には様々な情報が埋め込まれており,例えばダンス(身体運動)の対称性か ら異性により魅力を[8]感じるなど,身体運動のもつ様々な情報に関する研究がこれまで行 3 われてきている.興味深いことに,我々(の視覚系)は身体の関節に装着したわずか十数 個の光点運動のみからでも他者に関する様々な情報を読み取ることが可能である.この知 覚現象はバイオロジカルモーションと呼ばれ[9](図 1),それらの光点運動のみから性別 [10-12],感情[13, 14],方向[15, 16],行為のカテゴリ[17],知人かそうでないか[18, 19],あ るいは 2 エージェントの意味ある相互作用[20]といった様々な情報を読み取ることが可能 である(バイオロジカルモーションに関するデモンストレーションは: http://www.biomotionlab.ca/demos.php を参照).近年ではバイオロジカルモーションに関し て,その知覚現象の面白さだけでなく,社会的知覚のメカニズムを解明するためのツール として用いられている. このようなバイオロジカルモーションの知覚処理にはどのようなメカニズムが関 与すると考えられているのであろうか.一つのアプローチとして,その処理を段階的に捉 えようとするアプローチである.Troje [21]は,バイオロジカルモーション知覚処理には複 数の段階から構成されていることを提唱している.これによればバイオロジカルモーショ ンの知覚処理には(1) Life Detection,(2) Structure from motion,(3) Action recognition,(4) Style recognition の少なくとも 4 つの段階が関与し,それぞれの段階では光点運動から異なる情 報を抽出するとしている(図 2).最初の段階(Life detection)では,例えば単一の光点運動の みから生物らしさを検出するメカニズム[16].その後,生物らしさが検出された後,二番 目の段階(structure-from-motion)では光点運動から(ヒトあるいは動物の)形態を検出する. さらに次の段階(Action recognition)では検出された形態情報から運動のカテゴリを検出し, 4 番目の段階(style recognition)は性別,感情など対象のより詳細な情報を抽出するとしてい る. このような段階的な処理の存在を示唆する端的な例の一つとして,バイオロジカ ルモーションにみられる二つの倒立効果が挙げられよう[16, 22, 23].これは,一つ目の倒 立効果は顔知覚処理にみられる倒立効果(顔を倒立して提示することにより,顔知覚処理 4 が阻害されるという倒立効果[24])と同様に,バイオロジカルモーションを倒立して提示 することにより,光点運動のパターンから知覚される形態(例えばヒトの歩行運動)が阻 害される現象である[22, 23].更にバイオロジカルモーションには光点運動から知覚される 形態処理とは独立した,局所運動(具体的には足の運動)に依存したもう一つの倒立効果 があることが報告されている[16].これはバイオロジカルモーションの方向弁別課題の成 績がバイオロジカルモーションの形態によらず(たとえ光点運動をスクランブルにしても), 正立の場合は正答率が 80%近いのに対し,光点を倒立することにより正答率がチャンスレ ベルに落ちることを見出した.特に足の光点運動のみを倒立にした場合にこの効果が強く 現れることから,足の光点運動の軌跡がこの倒立効果を引き起こすとされている.これは 足の運動は重力と筋骨格系における生体力学的な制約を受け,その光点運動から進行方向 を知覚することが可能であるが,いったん倒立してしまうと,我々の視覚系にとっては奇 妙な運動軌跡となり,その運動方向を弁別することが難しくなってしまう.このように, バイオロジカルモーション知覚処理にみられる二つの倒立効果から光点から知覚される形 態情報処理のみの単一の処理ではなく,光点の動的な側面に関する倒立効果の少なくとも 二つの処理過程が関与していると考えることができよう. では実際にどのような脳部位がバイオロジカルモーションの知覚処理に関与して いるのであろうか.先に述べたような段階的な処理は関与しているのであろうか?この 10 年,様々な研究グループが fMRI および PET による計測手法を用いることによりその活動 部位とその処理のメカニズムを明らかにしている.これらの研究で共通して報告されてい る部位は視線や意図の検出など社会的知覚にかかわる,いわゆるソーシャルブレインネッ トワークの一つに含まれる後部上側頭溝(posterior Superior Temporal Sulcus; pSTS)[25-28]の ほか,ヒトの身体刺激に対し対して選択的に活動する Fusiform Body Area(FBA), Extrastriate Body Area(EBA) [29],および輪郭に対して活動する Kinetic Occipital (KO),舌状回(lingual gyrus) [30]さらには Frontal region[31]などの脳部位が関与することが指摘されている(図 3). 5 更に神経心理学的手法による研究(例えば[32])や経頭蓋磁気刺激法(TMS; Transcranial magnetic stimulation)による STS の活動の抑制による研究[33]により,脳部位とバイオロジ カルモーション知覚処理の因果関係に迫る研究が報告されている.例えば脳損傷患者を対 象とした研究において,Saygin [32]は STS に加え Premotor 領域もバイオロジカルモーショ ン知覚処理に関与することを示した.Premotor 領域はミラーニューロン[34]と呼ばれる, 自身の行為で活動するとともに他者の行為の観察においても活動する部位であり,バイオ ロジカルモーションの知覚処理は視覚処理だけに留まらず,自己の運動に関連した脳部位 も含んでいることを示唆している. これまでの研究により pSTS がバイオロジカルモーション知覚時において活動す ることが共通して報告され,それが社会的知覚の一つであるとの論拠になっていた.しか しながら,近年の研究により pSTS の活動はバイオロジカルモーション刺激の複雑さ,実 験中のタスクにより活動が変調することが報告されている[35].特に歩行運動を受動的に 観察するだけでは pSTS の活動は観察されず,様々な複雑なヒトの運動を観察すること, さらには one-back task などの課題を課すことによって pSTS の活動が増加することが示さ れた.実際,STS はシンプルな図形が意図的な運動を示すことにより活動することがこれ まで報告されており[36],光点運動からヒト運動を知覚可能な刺激だけでなく,運動情報 が持つ複雑さ,生物らしさといった情報それ自体によって STS の活動が変調されることが 考えられる. これらの脳イメージング研究は主としてバイオロジカルモーション知覚処理に関 連する脳活動部位の空間的同定に焦点が当てられ,その時間的側面については明らかにさ れていない.バイオロジカルモーションはわずか数フレーム(100~200 ミリ秒)の刺激提示で あっても行為を同定することができることが報告されている.また,マカクサルを用いた 電気生理学的な研究によれば,刺激提示後 100 ミリ秒後にすでに Superior Temporal Polysensory Area の活動が見られることが報告されている[37, 38]. 6 先に述べたように顔研究においては,顔刺激に対して刺激提示後およそ 150-200 ミリ秒後に「選択的」に後頭側部において計測される陰性方向の ERP 成分である N170[39] が報告され,同様に身体刺激に対しても類似した成分 N190 が報告され[4, 5]ているが,バ イオロジカルモーションに関しても同様に電気生理学的な指標は確立できるのであろう か?著者らはバイオロジカルモーション刺激に対する指標を確立するために,その神経活 動を ERP 計測により明らかにしてきた.バイオロジカルモーションと各光点をランダムに 配置したスクランブルモーションを提示した際の脳活動を計測した結果,刺激提示後 200 ミリ秒,更には 300-400 ミリ秒後に二つの陰性成分の活動を計測した[40, 41].特に初期成 分については光点の局所的な運動情報処理を,後期成分については光点の運動パターンか ら知覚されるヒトの形態情報に関する処理を反映するとの仮説を立てた.その後 Jokisch らの研究グループにより,特に初期成分については舌状回,後部帯状回(posterior cingulated gyrus),後期成分については紡錘状回(fusiform gyrus),上側頭回(superior temporal gyrus)に信 号源が推定されることが判明した[41].著者らの脳磁図(MEG)計測を用いた実験において も後期成分に相当する成分に対して信号源を推定結果,同様に遅い潜時(~400 ミリ秒)でヒ ト光点運動パターンに対する活動が見られた[42].また,順応パラダイムと呼ばれる手法 を用い,それぞれの成分の機能同定を試みた結果,初期成分についてはバイオロジカルモ ーションの局所的な運動情報処理過程に鋭敏であり,後期成分は光点運動の全体的なパタ ーン処理に対して鋭敏である可能性を示唆した[43].近年,これらの仮説を支持する実験 結果が,EEG および fMRI を用いた同時計測実験により報告されている.これによるとバ イオロジカルモーションと道具の光点運動を提示した場合,刺激提示後 478 ミリ秒後に右 半球 STS および中側頭回(Middle Temporal Gurys; MTG),左半球下側頭溝(Inferior Temporal Suclus; ITS)付近においてバイオロジカルモーションにおいて道具の光点運動よりも強い 活動が示された[44].これは,光点の運動パターン(大域的な情報)から知覚される運動 カテゴリに関する処理が遅い潜時で関与していることを示唆している. 7 これらの研究結果は,バイオロジカルモーション知覚処理には少なくとも 2 つの 処理過程が関与することを示唆している.つまり,刺激提示後 170-200 ミリ秒後において は光点の局所的な処理を,もう一つは刺激提示後 300-500 ミリ秒後において,光点の運動 パターンからヒトの運動に関連した処理を反映する過程が関与するものと現時点で著者ら は考えられている. 3.バイオロジカルモーション知覚の発達的変化 では果たしてこのようなバイオロジカルモーションを知覚できる能力は生まれつ き備わっているのであろうか?あるいは発達に伴いこのような知覚能力が形成されるので あろうか.これまで複数の研究グループがこの問いに答えるために,選好注視法あるいは 馴化・脱馴化法を用いることにより乳児におけるバイオロジカルモーションと統制刺激の 弁別能力について調べてきた.Bertenthal らの一連の研究[45-48],Fox・McDaniel[49]によ る研究により,その発達変化について調べられてきた.Bertenthal らの一連の研究では生後 3-5 ヶ月の間にバイオロジカルモーションと光点の位相関係をずらした刺激を弁別するこ とが可能であること,Fox および McDaniel による研究では生後 4 ヶ月においてバイオロジ カルモーションとランダムの点を弁別することができることが示されている.さらに近年 の報告によれば,生後すぐにバイオロジカルモーションに対する選好があることが報告さ れている.例えば Meary らは生後 4 日の乳児ですでに生物らしい単一光点の運動パターン に対する選好が異なることを示している[50].更に,生後 2 日の新生児においても正立の バイオロジカルモーションに対する選好が倒立のバイオロジカルモーションよりも選好が あることを示している[51].孵化直後のニワトリの初生雛を用いた研究によってもバイオ ロジカルモーションに対する選好が示されており[52, 53],これらの研究は,すでに我々の 神経回路に生物らしさを検出するメカニズムが備わっていることを示唆している. 更に,その後の発達に伴いバイオロジカルモーション処理が変化し続けることが 8 複数の行動実験により示されている.Pavlova ら[54] は 3 歳児においてすでにバイオロジ カルモーションとそうでない刺激の弁別が可能であり,5 歳児はすでに成人のレベルに達 すると報告している.心理物理実験による研究では,Freire ら[55]が,6 歳児のバイオロジ カルモーション検出感度は成人のそれよりも低いが,9 歳児では成人と成績がほぼ変わら ないことを示している.これらの行動実験の結果は,バイオロジカルモーションの検出に 関する回路は生得的に備わっているが,10 歳付近までその処理過程が変化することを示し ている.では,バイオロジカルモーション知覚処理に関連した神経活動はどのように変化 するのであろうか.著者らの ERP 研究によれば生後 8 ヶ月児においてすでにバイオロジカ ルモーションとスクランブルモーションで活動電位が異なること[56],別の研究グループ により,正立と倒立のバイオロジカルモーションでも活動が異なること[57]が報告されて いる.また著者らの 5 歳から 14 歳までの学童期(50 名以上)を対象とした ERP 研究[58] によれば,10 歳までは刺激提示後 100 ミリ秒および 200 ミリ秒後にみられる初期成分 (P1,N1)については発達的な変化を遂げるが,11 歳群では成人のそれと変化しないこと示し た.一方,300 – 400 ミリ秒後にみられた後期成分(N2)については発達的な変化は見られな かった. fMRI によるバイオロジカルモーションに関する(光点運動を用いたバイオロジ カルモーションではなく,CG を用いた刺激)研究では,学童期(7 歳から 10 歳)におけ る STS の活動が発達に伴って変化することが示されている[59].これらの発達研究結果か ら,少なくとも生得的にバイオロジカルモーションを検出する回路が備わっていることが 考えられるが,その知覚処理の成績が成人のそれに近づくには 10 歳まで変化し続ける可能 性が考えられる. 4.社会的知覚としてのバイオロジカルモーション これまでの脳イメージングの研究より,バイオロジカルモーション知覚処理には pSTS などを含む,いわゆる「社会的知覚」処理にかかわるソーシャルブレインネットワー 9 クが関与することが報告されている.これまでのバイオロジカルモーション知覚に関する 脳イメージング研究では,知覚を担う神経ネットワークの解明に焦点が置かれてきたが, 近年,バイオロジカルモーション知覚処理と他の認知課題,例えば, 心の理論・道徳判断 課題をあわせて用いることにより,両者の共通する,あるいは異なる神経活動部位に関す る解明が試みられている.特に fMRI を用いた研究では,児童を対象とした Saxe ら[60]に よる研究,道徳判断課題を用いた Bahnemann ら[61]による成人を対象とした研究が挙げら れよう.Saxe らは 6 歳から 11 歳までの 13 人の児童を対象とし,場面を説明した文章,登 場人物に関する文章,および登場人物の心的状態に関する文章を提示し,それらの文章に 関連する問いに答える課題およびバイオロジカルモーション知覚課題を課された.結果, 右側頭頂接合部(RTPJ: Right Temporo-Parietal Junction)の活動が低年齢の児童では他者に対 する心的および人物の描写に関して同等の活動を示したが,高年齢群の児童では他者に対 する心的状態に関する文章のみ活動が見られた.更に,バイオロジカルモーション(CG によって作成されたヒト歩行運動)では extrastriate cortex や下前頭回(inferior frontal gyrus; IFG)が活動し,活動の検出閾値を下げると pSTS の活動が見られたが,これらの脳活動部 位は上記の課題とは異なる部位の活動であった.一方,Bahnemann ら[61] は,バイオロジ カルモーション,心の理論課題,道徳判断課題を用いることにより,それぞれの課題に関 連した脳活動を調べた.その結果,右 pSTS はすべての課題で活動が増加し,左 pSTS およ び TPJ においては心の理論課題および道徳判断課題のみ活動が増加することが示され,こ れらの知見はバイオロジカルモーション知覚処理と心の理論課題・道徳判断課題と活動が 重複する脳部位が右 pSTS であり,その後の複雑な処理は左 pSTS, TPJ が関与するという, 少なくとも 2 つの分離した処理がこれらの課題には関与するとの仮説を示している.更に, MEG を用いた心の理論課題に関する研究では[62],右 STS において刺激提示後 450 ミリ秒 後に他者への意図の帰属条件でピークの活動が見られたと報告している.当然,実験刺激 および実験課題によりその活動部位が異なることが考えられるが,バイオロジカルモーシ 10 ョン知覚と心の理論課題・道徳課題の両者に共通した(あるいは異なった)神経活動を明 らかにすることは,社会的知覚と社会認知がどのように関連するかを明らかにする一つの 手がかりとなろう. バイオロジカルモーションを用いた自閉症児を対象とした研究も複数行われて おり,それらの結果はバイオロジカルモーションを社会的知覚処理の違いを特徴付ける一 つのツールとして用いることが可能であることを示唆している.例えば Klin らの研究[63] によると,正立と倒立のバイオロジカルモーションを提示した際に,2 歳の定型発達児に おいては,正立のバイオロジカルモーションに対して選好があったのに対し,2 歳の自閉 症児群では,有意な選好がみられなかった.しかしながら詳細な解析の結果,身体の動き と対応した音刺激を伴うバイオロジカルモーション(物理的な随伴性を伴う刺激)を提示 した際にのみ正立のバイオロジカルモーションに選好があったことを報告している.この ように刺激に対する選好を発達の初期段階で特徴付けることができたことは早期診断など への応用の可能性があるかもしれない.また,Blake ら[64]は,8-11 歳の自閉症児と定型発 達児群を対象に,静止した線分の群化課題とバイオロジカルモーションを提示し,その行 為の同定課題を定型発達群と自閉症群を対象に行ったところ,線分の群化課題では有意な 違いは群間で見られなかったが,バイオロジカルモーション課題では自閉症児群において 行為の同定に困難さが見られた.Koldewyn らは,11 歳から 19 歳の自閉症児において, coherent motion 検出課題とバイオロジカルモーションの検出課題の閾値が定型発達群と比 較して高いことを見出したが,coherent form 検出タスクにおいては定型発達群と有意差が 無いことを示し,更にバイオロジカルモーションの検出成績と自閉症の症状と関連するこ とを報告した [65].これらの研究は,先に述べたバイオロジカルモーション知覚処理の段 階における structure-from-motion や action recognition の段階に相当すると考えられる.更に, life detection の段階(単一の光点運動の処理)においても自閉症児において課題成績の違 いが報告されている[66].その一方で,自閉症児におけるバイオロジカルモーション検出 11 は定型発達児と比べて有意差が無いとの報告もある(例えば[67, 68]).現時点では様々な 刺激・タスクによって異なる結果が様々なグループから報告されており,対立する研究結 果も報告されている.例えば,先に述べたとおり,バイオロジカルモーション知覚処理に は複数の段階があり[21] ,どの段階に着目して課題を設定するかによってもその成績が異 なる可能性が考えられる.更に STS の活動は刺激の複雑さ,タスクそれ自体によって変調 される[35]ことを考えると,刺激・課題を十分統制した実験を行うことが重要であろう. さらに自閉症児だけでなく,ウィリアムズ症候群の児童および成人を対象とした 研究を著者らは行い,バイオロジカルモーション知覚処理に関連した脳活動が定型発達児 と比較してどのように異なるかを調べている[69].ウィリアムズ症候群とは特定遺伝子の 障害(7番染色体のエラスチン遺伝子をはじめとする複数の遺伝子の欠失)に基づく疾病で あり,特徴のある顔貌・心血管系の異常などとともに,視覚・空間認知に関する障害を持 つことが知られている.特に模写課題において,要素をまとまりとして模写することに困 難があり,要素を羅列して描画することができるが,それらをまとまりとして描くことに 困難を示すことが発達過程において認められる.一つの仮説として,二つの視覚経路(腹 側経路・背側経路)のうち,背側経路の障害に起因するものであるとの報告がある[70-76]. 一方,バイオロジカルモーションにおいては,光点をまとまりとして知覚することが出来 て初めて,我々は光点がヒトの運動であることを知覚することが可能となる.それでは, ウィリアムズ症候群児は,光点をまとまりとして捉えることに困難が生じるであろうか, それとも光点をまとまりとして知覚し,ヒトの運動として知覚することが可能となるであ ろうか?これまで報告されている行動実験によれば,バイオロジカルモーション知覚処理 には困難が無いことが報告されている[77, 78]一方,運動からの2次元図形の知覚には困難 が生じることが報告されている[78].しかしながら,これまでの研究では直接バイオロジ カルモーション知覚処理に関連した神経活動については調べられてこなかった.著者らの グループはバイオロジカルモーション知覚処理に関連した成分を抽出する手法を開発し 12 [42],ウィリアムズ症候群成人を対象に用い検討した.結果,脳磁場反応は成人の 2SD 以 内に入り,これまでの行動実験の結果と同様に,その処理は障害を受けていない可能性が 考えられる.ウィリアムズ症候群児は特に他者への好奇心が強い hypersociability を有する [79] ことが知られており,このような他者に対する鋭敏性が他者の行為知覚とどのように 関係があるかを調べることも重要な研究課題の一つとなるであろう. 更に,著者らは統合失調症とバイオロジカルモーションの知覚処理の関係につい ても調べている.統合失調症の特徴の一つとして,心の理論課題の遂行に困難があること がこれまで報告されており[80],また,社会的知覚処理(例えば,顔表情知覚[81])に関し ても困難があると考えられてきた.実際,行動実験によってバイオロジカルモーションの 検出に困難が生じることが Kim ら[82]により示されているが,どのように神経活動が統制 群と異なるかについては不明であった.橋本らは fMRI を用いた実験の結果,統制群では バイオロジカルモーションと初期光点位置をランダマイズしたスクランブルモーションの 活動の差分において STS の活動が見られたが,統合失調症患者群では有意な活動がみられ ないことが確認された[83]. 5.今後の展望 このように,バイオロジカルモーションはその知覚現象の面白さだけでなく,社 会的知覚,あるいは社会認知の処理メカニズムを調べるひとつとしてのツールとして用い ることが可能であろう.これまでのバイオロジカルモーション知覚研究では,その知覚処 理特性に焦点が置かれ,成人,定型・非定型発達児を対象とした研究が行われてきた.し かしながら,他者の身体知覚が他の認知機能とどのように関連するのか,例えば他者の身 体運動知覚の検出成績と心の理論の課題成績とどのように関連するのか,Saxe ら[60] , Bahnemann ら[61]が示すように,今後バイオロジカルモーション知覚処理と他の認知機能 の関連の解明が重要になるであろう. 13 また,行為の認識は文脈によってもその妥当性が変化することが考えられる[84, 85].例えば Brass らは文脈における行為の妥当性と STS の活動の関係について明らかにし ている[85].このように他者行為の認識が文脈によってどのように変化するのか,さらに は発達・発達障害によってどのように変化するかを明らかにすることも興味深い話題の一 つとなるであろう.また,バイオロジカルモーションの知覚において premotor 領域が活動 することが報告されており[31],行動実験においてもバイオロジカルモーションは他者へ の運動にも影響を与えることが報告されている[86, 87].「生物らしさ」がどのように我々 の行為に影響を与えるのかなど興味深い話題が数多くある. 我々が対象に「生物らしさ」を感じるメカニズムは他者の行為を認識し,理解す る上で基本かつ重要なメカニズムであろう.それらがどのように社会的認知とかかわるか を明らかにする上で,バイオロジカルモーションは一つの重要なツールとなることが考え られる. 謝辞 本稿に対してコメントを頂戴しました中村みほ先生(愛知県身障者コロニー),橋本直樹先 生(北海道大学医学部)に感謝いたします.また,御指導を賜りました開一夫先生(東京 大学),柿木隆介先生(生理学研究所),金桶吉起先生(和歌山県立医科大学),乾幸二先生 (生理学研究所),金田昌子先生(名古屋大学),Nikolaus F. Troje 先生(Queen’s 大学),にも 改めて感謝いたします.本稿で紹介した著者らの研究は日本学術振興会特別研究員,海外 特別研究員の研究助成を受けて行われました. 14 1. de Gelder B: Why bodies? Twelve reasons for including bodily expressions in affective neuroscience. Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci, 364, 3475-3484 (2009). 2. Minnebusch DA, Daum I: Neuropsychological mechanisms of visual face and body perception. Neurosci Biobehav Rev, 33, 1133-1144 (2009). 3. Downing PE, Jiang Y, Shuman M, Kanwisher N: A cortical area selective for visual processing of the human body. Science, 293, 2470-2473 (2001). 4. Stekelenburg JJ, de Gelder B: The neural correlates of perceiving human bodies: an ERP study on the body-inversion effect. Neuroreport, 15, 777-780 (2004). 5. Thierry G, Pegna AJ, Dodds C, Roberts M, Basan S, Downing P: An event-related potential component sensitive to images of the human body. Neuroimage, 32, 871-879 (2006). 6. Reed CL, Stone VE, Bozova S, Tanaka J: The body-inversion effect. Psychol Sci, 14, 302-308 (2003). 7. 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