「ワイキキビーチ」アメリカ(ハワイ)KT 目 次 随 想 しごと……………………………………………………<近藤方人>… 594 解 説 シリーズ解説:米の話(第14回) 米の加工利用(3)炊飯米特性の理化学測定…<鈴木啓太郎>… 596 解 説 糖質素材の機能と利用(第13回) DFAⅢ(ツイントース®)−食品への利用− …<魚津伸夫>… 602 113 行ってよかった国ぐに,会えてよかった人びと(4) 肺魚のため息⃝ はるかなりアンデス高原……………………<多紀保彦>… 609 海外技術・マーケット情報 食品工場における合理化,省エネとコスト削減………………………… 612 体重管理と食事:情報の整理……………………………………………… 614 米国における最新の食生活ガイドライン………………………………… 616 醸造廃酵母加水分解物のマウス血糖値上昇抑制効果と抗酸化性……… 618 PepsiCo社のヘルシー製品開発戦略………………………………………… 620 食中毒菌の最新検査機器…………………………………………………… 622 味のマスキング技術とトレンド…………………………………………… 623 ハーブおよび薬効植物の飲料利用………………………………………… 625 加熱処理食品をレトルトする際のヘッドスペース圧力の測定と予測… 627 〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰 〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰 〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰 業界トピックス:麦茶の寄与に期待,11年の日本茶飲料 10年は3カテゴリーで1%減…………………………………… 629 連載エッセー:食べもの随想 気になる字 −八− ……<田村真八郎>… 630 特別解説:食品ポリフェノールの核内受容体への作用…………<安岡顕人>… 632 技術用語解説:クリーンルーム……………………………………………………… 639 特別レポート:日本における清涼飲料,ビール系酒類市場 −平成23年の7・8月を振り返って− …………………………… <醸造産業新聞社 編集部>…640 業界の話題……………………………………………………………………………… 644 今月の統計……………………………………………………………………………… 648 最近の技術雑誌から…………………………………………………………………… 650 野菜・果物を巡って(第三十四話)なしの季節に思う………<吉田企世子>… 655 FOOD & PACKAGING 缶詰技術研究会 http://kangiken.net/ 随 想 し ご と こん どう かと うど 近 藤 方 人 PET ボトルリサイクル推進協議会 専務理事 ( ) 今から30年近くも前のこと,朝日新聞にグロリ この運転手の言っている「しごと」ということ ア・スタイネム女史へのたっぷりとしたインタビ の意味,すなわちこのエピソードを取り上げてい ュー記事が掲載された。当時女史は米国のウーマ る女史の意図がどこにあるのかが気にかかって, ン・リブ(女性解放運動)の旗頭的存在であり, その後も女史の著書を読んでみて,そして,自分 その関係の雑誌「MS(ミズ)」の編集長であっ なりに理解できたことがある。 た。新聞記事の写真には普段そのままを感じさせ るような笑顔のやさしい美人が写っていた。その ジャクリーン・オナシス・ケネディは,生活の 後,女史の著書がいくつか邦訳されて刊行された。 糧を得るために働く必要はないはずである。われ あいにくその題名が記憶にないのだが,その中の われが一般に「仕事だから」というとき,それは 一冊に 多分に不本意ながら生活のためにというニュアン スを含んでいるように思うのだが,スタイネム女 「夫と死別した後のジャクリーン・オナシス・ 史やこのタクシーの運転手,そして,ジャクリー ケネディがある日,ニューアーク空港からタクシ ン・オナシス・ケネディのいっている「しごと」 ーに乗ったとき,中年の黒人の運転手が彼女であ とは,何かとても別な取り扱いが必要なもののよ ることに気づいて,あなたは近頃何をしているの うであった。 かとたずねて,彼女が,最近は本の編集の仕事を しているのと答え,それに対して運転手が,それ ウィキペディアによるとウーマン・リブ運動と はいい,仕事をしているというのが一番なのだか は「男女は社会的にも対等・平等であって,生ま ら,と応じた」という一節があり,そこにはこの れつきの肌の色や性別による差別や区別の壁を取 エピソードだけがしごくあっさりと語られている り払うべきだ」という考えのもとに開始され, だけであった。 1979年,国連総会において女子差別撤廃条約が採 択されるなどその後の男女平等社会の推進に大き 食品と容器 594 2011 VOL. 52 NO. 10 く貢献し,日本でも,男女雇用機会均等法の制定 であれば,ボランタリーな活動であるとか,趣味 に大きな役割を果たしたとある。 の世界とかであってもしごとと呼んで差し支えは ウーマン・リブはフェミニズムやジェンダー問 ないはずで,昔の大工が家を建てたときに「あと 題とともに語られることが多いが,これを「しご は施主のしごとです」と言ったというはなしがあ と」という面から整理してみると,職場における る。 性差別の存在ということになる。この場合の性差 別とは,職場において発生する男女間の待遇差で たしかに家というものは好むと好まざるとにか ある。 かわらずその家の主人の,または住人の生活,ま たは生活に対する思想を反映して表情を見せるも そしてここでも「しごと」とは,何かについて のであり,その意味において社会性を発揮する。 どのように考えているかが重要である。 そうであればその家で生活し,生活が家を生かし ていくことがしごとであると言えて,この大工は このように考えてくると,アリストテレスが語 そのしごとを施主に託したということになる。 ったとされる「人間は社会的動物である」という 言葉が思い浮かんでくる。このことばの解釈はさ ことほど左様にしごとということを認識させる まざまのようであるが,総じて「人間は社会を形 切っ掛けを作ってくれた人がグロリア・スタイネ 成して生活していくもの」ということでよろしい ム女史であった。 はずで,ウーマン・リブの諸氏は,人間は自分の 属するその社会に対してしごとを通じて接点をも 現在,私は使用済みPETボトルを円滑にリサ つことがもっとも自然なことであり,しごとを持 イクルさせるという環境対応の仕事をしている。 つということは,言論や職業選択の自由と同じよ そのしごとが,社会や皆さんに向かってひとつの うに,人間の有する根源的権利のひとつと考えて 表情をもてるところまで至っていることを願って いるようであった。 止まないのだが,そんなことを意識しているうち はその域に遠いというのが実のところであろう。 ウーマン・リブは,それ故に,人間としてのそ の根源的権利の存する場において,性差別による しかし,現役の仕事を退いた後にも,社会との 不平等が許されていることを決して受け入れる訳 良好で健全な関係抜きには生活は成り立たないと にはいかないという信念に行き着いている。 いうことは理解できたような気がしている。 社会と人間との接点が,しごとを持つというこ ジャクリーン・オナシス・ケネディを乗せたタ とであるとすると,しごととは,それによって生 クシーの運転手と同じように,しごとがあるのが 活の糧を得るということには止まらないものとい 一番だと自分自身に対して言えるようなしごとを うことにもなる。 続けていきたいものだと願っている今日この頃で しごとが社会と自分との接点と意識してのこと ある。 食品と容器 595 2011 VOL. 52 NO. 10 シリーズ解説:米の話(第14回) ●解説● 米の加工利用(3) 炊飯米特性の理化学測定 す ず き・ け い た ろ う 筑波大学大学院農学研究課 博士課程修了。現在,独立 行政法人農業・食品産業技 術総合研究機構作物研究所 稲研究領域主任研究員。新 規育成品種の品質検査およ び米加工品の用途開発の研 究に従事。 博士(農学) 鈴 木 啓太郎 も非常に重要であり,家庭用のみならず業務用途 ●1.はじめに● の市場において,食味の良い米を安定的に市場に わが国の米の食用利用の内訳は,家庭や業務用 導入できれば,消費量減少をもう少し抑制できる 途での炊飯米としての主食利用がその大部分を占 かもしれない。 そ め,次いで,伝統的な清酒,味噌・醸造品製造の 炊飯米の食味の評価方法は,人による食味官能 せんべい 原料米や和菓子,煎餅等に代表される米菓類,米 試験と理化学的な測定原理に基づく検査に大別さ を原料としたパン,米麺などの米加工品製造での れる。現在,提案されている各種の理化学的な品 原料米である。 質評価項目の中には,この食味要因を評価・推定 国内での米の消費量は,食生活の多様化や欧米 する目的のものが多い。本稿では,炊飯米特性で 化などのため年々減少し続け,1965年には国民 重要となる食味にかかわる理化学測定法を中心に 一 人 当 た り 1 年 間 に111.7kgあ っ た の に 対 し, 紹介する。 1) 2010年では59.5kgになった 。このような状況の ●2.炊飯米に関係する品質項目と 測定方法● 中で,食料自給率向上の施策とも合わせて,新た な米の消費拡大策が必要となっている。 水稲を品種別に見ると,作付面積は「コシヒカ 炊飯米の原料となる玄米もしくは精米における リ」のおよそ38%が筆頭で,「コシヒカリ」系 品質は,品種,産地,気象条件,栽培法,収穫, で見ると,その割合は65%以上を占め, 「コシヒ 乾燥・調製,栽培環境および貯蔵環境等が影響因 カリ」系品種の持つ品質特性が,市場において, 子となるといわれている。さらに,収穫後,市場 評価されている傾向がしばらく続いている 1) に流通してから消費者の口に入るまでに,貯蔵, (第1図)。 炊飯・調理,保蔵といった一連の工程も品質に影 その理由の一つに,食べた際の“おいしさ”す 響を及ぼす2)。 なわち食味が良いことが挙げられる。主食利用に 炊飯米の食味評価方法は,人による食味官能試 おける炊飯米特性のうち,食味は品質特性の中で 験と理化学的な測定原理に基づく検査とに大別さ 食品と容器 596 2011 VOL. 52 NO. 10 炊飯米特性の理化学測定 れる。人による食味官能試験では,所定の条件で によるセンシング・画像解析技術の進歩により, 準備した炊飯米の食味を選抜されたパネラーによ 1粒ずつ連続的に解析可能な米粒判別装置が市販 り,評価している。農林水産省(旧食糧庁)で採 化されている。 用した標準計測法では,炊飯米の食味について, 2)タンパク質含量 「外観」, 「香り」 , 「味」 , 「硬さ」 , 「粘り」 , 「総合」 穀物の中でも,米のタンパク質はアミノ酸組成 の項目を点数で評価することと定めている。現在, の観点から栄養面では優れており,重要であるが, (財)日本穀物検定協会で採用されている食味官 炊飯米の物性,外観等に影響するといわれてい 能試験もこれに準じて試験が実施されている。 る 3) ,4) 。近年では,栽培時の施肥管理技術等の 一方,理化学測定法では,これらの食味にか 全国の水稲の作付状況 かわる情報を客観的に評価もしくは推定する目 まっしぐら 的で,成分特性,物理特性,外観,味,香りな 1% どに関する測定方法が提案されている。成分特 17% 2% 性では,精米の主要構成成分であるデンプン (アミロース/アミロペクチン) ,タンパク質, その他 つるがロマン コシヒカリ 38% きらら はえぬき 3% 3% 水分等に関連する測定を行う。炊飯米を直接評 ななつぼし 3% 価する測定では,物理特性,外観,味,香りに キヌヒカリ 3% ついての検査が挙げられる(第2図) 。 あきたこまち 1)玄米および精米品質 8% ひとめぼれ ヒノヒカリ 11% 11% 玄米および精米については,農林水産省で定 める品位(検査)規格がそれぞれあり,水分, (農林水産省「米穀の流通・消費等動態調査」2009年) 整粒,砕米と背白,心白,粉状質,着色粒,未 第1図 稲の品種別作付面積 熟粒などの被害粒の割合が,等級選別の検査基 準の項目に含まれている。等級の格付けは,流 እほ 通段階での米の価格に影響する。また,これら ≀ᛶ の指標は,米が商品として流通する前の1次的 እほ ホ౯⨨ እほホ౯⨨ ◳䛥 ⢓䜚 ᙎ ຊᛶ な品質項目ではあるが,水分は精米特性に影響 を及ぼすこと,砕米や被害粒に類する乳白米や ⅕㣤㣗ィ ⅕㣤㣗ィ ᗘ䝯䞊䝍䞊 ᗘ䝯䞊䝍䞊 㻴㻼㻸㻯 䝉䞁䝃䞊 䝉䞁䝃䞊 ≀ᛶヨ㦂 ᶵ ≀ᛶヨ㦂ᶵ 未熟粒等の多少は,食味低下の要因であること が分かっており,米胚乳の充実度に関係する千 㣗䛻ᙳ㡪䛩䜛 せᅉ 粒重と合わせて,整粒割合に関する指標は,食 味を判断する情報の一つとなる。 ᡂศ 測定は,水分については加熱乾燥法および電 㤶䜚 㻳㻯㻘 㻳㻯㻘 㻳㻯 㻳㻯㻙㻙㻹㻿 㻹㻿 䠈㤶Ẽ䝉䞁䝃䞊 䠈㤶 Ẽ䝉䞁䝃䞊 䜰䝭䝻䞊䝇 䝍䞁䝟䜽㉁ Ỉศ 気抵抗式水分計による測定が,千粒重は電子天 秤法による測定が,旧食糧庁の標準計測法に定 められている。整粒割合は,人(検査官)によ 第2図 炊飯米の食味影響因子 (カラー図表をHPに掲載 C053) る検査法が基本であるが,カラーCCDカメラ 食品と容器 597 2011 VOL. 52 NO. 10 シリーズ解説:米の話 進歩により,一般的な精米のタンパク質含量は, ミロース含量の一般米の中で比較しても,アミロ 5) 5%から7%程度の範囲になっている 。米のタ ース含量が15%から18%程度で低い傾向にある。 か (プロテインボディ) ンパク質は,タンパク質顆粒 また,一般米よりさらにアミロース含量が低く, と呼ばれる構造物で,そのタンパク質組成により 15%以下の低アミロース米では,主食用途のほか はい PB-I,PB-IIとして,胚 乳のデンプン細胞の境界 に,冷凍ピラフや冷凍寿司といった米飯加工品に 6) に分布する 。精米粒表層部に多く,中心部に向 用いられている。また,一般米とブレンドして, かうに従い減少することが,顕微鏡観察からも確 炊飯米の物理特性を改善したブレンド米として利 認できる。 用が検討されている7)。いずれも,アミロース含 タンパク質含量の測定は,近赤外分光法による 量の検査結果から,初期の原料選定の際の適性が 非破壊計測やケルダール法または燃焼法により求 あると判断された。 められる窒素含量から,所定の窒素-タンパク質 精米のアミロース含量は,炊飯米の物理特性に 換算係数5.95を乗じて求める科学的定量法が標準 強く影響することが分かっており,重要な品質指 的であり,各計測原理に基づく測定操作を簡易化 標の一つである2),3)。 または自動化した装置が販売されている。 他方,アミロペクチンの鎖長分布と理化学特性 3)アミロース/アミロペクチン含量 との比較解析からは,アミロペクチンの分子構造 モチ米を除くウルチ米精米の主要成分であるデ が物理特性を規定している因子の一つであるとい ンプンは,アミロースとアミロペクチンから構成 う解析結果が得られた9)。その結果,アミロペク されている。アミロース含量は,炊飯米の硬さや チン分子構造の情報は,アミロースの情報に加え 粘り具合に影響を及ぼしている。また,炊飯米を て,米の物理特性の違いを説明する材料となると 置いておくと時間の経過とともに硬くなり,粘り 考えている。 も減少し,まずくなってしまう。おもに,炊飯に 4)物理特性 こ より糊化したデンプンの物理的変化によるもので, アミロースやタンパク質が影響因子となる炊飯 老化と呼ぶが,炊飯米が硬くなりにくい,すなわ 米の物理特性は,食味官能試験においても最も強 ち耐老化性に優れた品種は,お弁当,おにぎりな く判断に影響している特性と考えられている。物 ど業務用途での要望がある。 理特性の評価からは,炊飯米の硬さや粘り具合に アミロースの測定は,ヨウ素呈色法,電流滴定 加えて,炊飯米粒の弾力性などの食感にかかわる 法,酵素法,酵素-クロマトグラフ法などがある 値について数値化することができる。また,保蔵 が,Julianoにより提案されたヨウ素呈色法によ に伴う炊飯米の硬化のしやすさ(老化性)につい る“見かけのアミロース含量”として計算する方 ても,食味への影響はもとより,弁当やおにぎり 法が,世界的にも広く用いられており,人による などの業務用炊飯米の選定のために適性評価する 試験分析およびオートアナライザーによる測定が ことができる。 2) 可能である 。 物理特性の測定は,圧縮試験機を用いる。炊飯 消費者に好まれている「コシヒカリ」系の良食 米粒もしくは一定重量の炊飯米を成型した米塊を 味品種の炊飯米の特徴としては,適度な硬さに加 圧縮試験する方法があり,炊飯米に関する測定は, えて,よく粘る特性が挙げられる。このような米 テンシプレッサー,テクスチュロメーターと呼ば は,おおむね15%から20%程度の範囲にあるア れる圧縮試験機を用いた評価例が多い。 食品と容器 598 2011 VOL. 52 NO. 10 炊飯米特性の理化学測定 炊飯米粒を用いた測定からは,炊飯米表層いわ 値化する装置が開発されている。味度メーターで ゆる“おねば”と呼ばれる部位の硬さや粘りに関 は味度,一方,炊飯食味計では炊飯食味値として, する指標と同時に,炊飯米粒全体の硬さや粘りに 食味官能試験の「総合」評価とある程度の相関を 関する指標を同時にかつ高精度に検出可能である。 示す検量線が装置メーカーにより開発されており、 また,粘りと硬さの比をとったバランス度(粘り 炊飯米の味度値および炊飯食味値を総合的に食味 /硬さ)が高い炊飯米ほど,食味評価が高い傾向 を推定する外観評価値としている。 4) が見られ,良食味の推定の指標の一つになる 。 6)味 圧縮方法を変えることにより,米飯粒の弾力性を 炊飯米を食した際に呈するほのかな甘みは,炊 評価することができ,粒感のある,しっかりした 飯米に含まれる遊離アミノ酸や遊離糖の影響が大 食感の有無を評価することができる。 きいと考えられている。 一定重量の炊飯米を成型した集団粒(米塊)に 呈味成分の測定では,いずれも炊飯米からの抽 よる圧縮試験からは,炊飯米のほぐれやすさ,成 出液の遊離アミノ酸および遊離糖をHPLC法で定 形容器からの離れやすさといった業務用途でのハ 性,定量する。炊飯米の主要な呈味成分は,アミ ンドリングにかかわる品質情報,あるいはブレン ノ酸では,グリシン,アラニン,アスパラギン酸, ド米の物理特性からブレンド適性を解析する情報 グルタミン酸,他方,糖では,スクロース,グル が得られる(第3図) 。 コース,マルトースなどであり,「コシヒカリ」 5)外観 系品種で食味官能試験が良いと評価された炊飯米 炊飯米を見た際に視覚的に把握できる白さや光 は,呈味成分が多い傾向が見られる。遊離糖含量 沢,つや,粒感などは,食味官能試験の「外観」 は,炊飯の前後および炊飯方法で変動することも 項目において重要な要素であり,これらを客観的 分かっており,炊飯後の炊飯米中の呈味成分の含 に評価でき ⡿㣤䛾≀⌮≉ᛶ㻔◳䛥䚸⢓䜚㻕䛾 ᐃ 㻝⢏ἲ る測定方法 が必要であ 䡼䡵䢀䢏㟁ᶵ 䡿䢙䡸䢈䢛䢖䡫䡷䡬 㻹㼥㻌㼎㼛㼥㻌㻿㼥㼟㼠㼑㼙 ると考えら れている。 ◳䛥 色彩光沢 計,味度メ ーター,炊 飯食味計な どの分光分 を光学的に 直接測定し, 炊飯米表層 の状態を数 食品と容器 㻴㻝 䝥䝷䞁䝆 䝱䞊 㻲㼕㼞㼟㼠 㻮㼕㼠㼑 析法に基づ き,炊飯米 పᅽ⦰ヨ㦂 㧗ᅽ⦰ヨ㦂 ⡿㣤⢏⾲ᒙ ⡿㣤⢏య䛾≀ᛶ 䠄䛚䛽䜀䠅䛾≀ᛶ ◳䛥 㻿㼑㼏㼛㼚㼐 㻮㼕㼠㼑㻌㻌㻌㻌 㻴㻞 ╔㔞 㻭㻝 㻭㻞 㻸㻟 㻸㻝 㻸㻞 㻭㻟 ╔㔞 㻭㻠 㻭㻡 㻸㻢 㻙 㻴㻝 㻭㻢 㻸㻠 㻸㻡 㻙 㻴㻞 ⢓䜚 ⡿㣤⢏ ⢓䜚 㻜㻑 㻞 㻡㻑 ヨᩱ ཌ ᐃ ప ᅽ⦰ ヨ 㦂 㻥㻜㻑 㧗ᅽ⦰ ヨ 㦂 㻴㻝 㻙㻴㻝 㻸㻟㻌㻌㻌㻌㻌㻌㻌㻌㻌㻌㻌 㻭㻟 䝞䝷䞁䝇ᗘ 䝞䝷䞁䝇ᗘ 䝞䝷䞁䝇ᗘ ◳䛥 ⢓䜚 ╔㔞 ╔ᛶ 㻙㻴㻝㻛㻴㻝 㻭㻟㻛㻭㻝 㻸㻟㻛㻸㻝 㻴㻞 ◳䛥 㻙㻴㻞 ⢓䜚 㻸㻢 ╔㔞 㻭㻢 ╔ᛶ 䝞䝷䞁䝇ᗘ 㻙㻴㻞㻛㻴㻞 䝞䝷䞁䝇ᗘ 㻭㻢㻛㻭㻠 䝞䝷䞁䝇ᗘ 㻸㻢㻛㻸㻠 第3図 炊飯米の高精度物性試験(カラー図表をHPに掲載 C054) 599 2011 VOL. 52 NO. 10 シリーズ解説:米の話 量は,食味を判断する情報であると考えている。 計測方法にも採用された2)。ヨード呈色度と食味 7)香り の総合値とに正の相関がみられること,業務用途 炊飯米の香りには,ガスクロマトグラフ-質量 における原料米の低コスト性に関連する膨張容積 分析(GC-MS)法による評価から,メチルエチ など品質に関係する指標を比較的少量で評価でき ルケトン,ペンタナール,ヘキサナール等の香気 る点で重要な評価法といえる。 物質が検出される。また,古米化の進んだ米では, ●3.理化学測定で分かること● ヘキサナールなどのカルボニル化合物の総量が増 農林水産省の委託プロジェクト「加工業務プロ」 加し,「香り」に関しては,不快臭に類する香り 2) として評価される 。 において,新規育成米の炊飯米特性に関する各種 炊飯米の香りの測定は,GC-MS法による香気 理化学測定値をデータベース化し,主要な品質項 成分の定性,定量とライブラリーマッチングによ 目を全国の一般米品種の検査値の平均値とレーダ るデータベース化や数種類の半導体センサーを組 ーチャート上で比較できるようにした(第4図) 。 み合せた香り分析装置の活用により,食味官能試 このデータベースとの比較では,栽培年次,気象 験の「香り」との関係解析が進められている。 環境や栽培地等によると思われる品質の変動が観 8)炊飯特性 察されたが, 「コシヒカリ」, 「キヌヒカリ」, 「ひ 炊飯特性試験は,米を炊飯した際の加熱吸水率, とめぼれ」,「あきたこまち」,「ヒノヒカリ」,「ほ 膨張容積,炊飯液のヨード呈色度,固形物量など しまる」,「ゆめぴりか」,「つや姫」,「はえぬき」, を測定する。一定量の米を炊飯して検査する方法 「みずほの輝き」,「いただき」,「萌 えみのり」, と米国農務省で開発された方法,竹生による改変 「ふくいずみ」 , 「あきだわら」などで主食用米と 法が基準となり,農林水産省(旧食糧庁)の標準 して良質であると判断される品種が多かった。 も ᪂つ⫱ᡂ⡿䛾⌮Ꮫ≉ᛶ್䛾䝕䞊䝍䝧䞊䝇 䠅 䝁䝅䝠䜹䝸䠄㝣䠅 䜰䝭䝻䞊䝇 ⡿㣤䛾 ⾲ᒙ⪁ᗘ 㻝㻚㻜 ᇶ‽ 䝍䞁䝟䜽㉁ 㻜㻚㻡 ⡿㣤እほ ⅕㣤 㣗್ ⡿㣤䛾 ⢓䜚 ᇶ‽䛸䛧䛯୍⯡⢥⡿ရ✀ 反面,各測定は 䝍䞁䝟䜽㉁ 単一的な評価と ෆ ഃ䜋䛹ྵ 㔞䛜ప䛔䛣䛸 䜢♧䛩䚹≀ᛶ䚸 㣗䛻ᙳ㡪䛩䜛 なる。また,品 ⡿㣤እほ䠄⅕㣤㣗್䠅 質が近接した一 እഃ䜋䛹ホ౯䛜Ⰻ䛔 ⡿㣤䛾⢓䜚 እഃ䜋䛹⢓䜚䛜ᙉ䛔䛣䛸䜢♧䛩 䛒䛝䛯䛣䜎 䛱 情報を得られる ෆ ഃ䜋䛹ྵ 㔞䛜ప䛔䛣䛸 䜢♧䛩䚹≀ᛶ䚸 㣗䛻ᙳ㡪䛩䜛 እഃ䜋䛹◳䛔䛣䛸䜢♧䛩 䛿䛘䛼䛝 測定は,客観的 䜰䝭䝻䞊䝇 ⡿㣤䛾◳䛥 ⡿㣤䛾 ◳䛥 各種の理化学 般米の品種が多 く流通するよう な昨今,単一の 䜋䛧䜎䜛 ⡿㣤䛾⾲ᒙ⪁ᗘ 品質指標のみで ෆ ഃ䜋 䛹⡿ 㣤ಖ ⶶ 䛻◳䛟䛺䜚䛻䛟䛔 ≉ᛶ䜢᭷䛩䜛 は,食味の推定 䜻䝚䝠䜹䝸 䛿䛺䛘䜎䛝 ⴌ䛘䜏䛾䜚 䛝䜙䜙㻟㻥㻣 䜂䛸䜑䜌䜜 ᆅ䛾ᫍ 䝁䝅䝠䜹䝸 䝠䝜䝠䜹䝸 ᪥ᮏᬕ 䛺䛺䛴䜌䛧 䜋䛧䛾䜖䜑 精度が十分に得 䞉 㯮⥺ 䛿 ᅜෆ 䛾Ⰻ㉁୍ ⯡⢥ ⡿䛾ᖹ ᆒ್䜢♧䛩䚹 られないことも ある。より高度 第4図 理化学測定値のデータベース化(カラー図表をHPに掲載 C055) 食品と容器 600 な食味推定をす 2011 VOL. 52 NO. 10 炊飯米特性の理化学測定 るためには,複数項目の品質評 ⌮Ꮫ ᐃ䛛䜙䛾㣗᥎ᐃ 価結果を基に,総合的に解釈す Ⰻ䛔 㻣 定値と食味官能試験の結果を基 㻡 に,統計的解析結果から食味推 定式を作成する研究も進められ 㻡 ┦ 㛵ಀᩘ 㻾㻩 㻜㻚㻣 㻞㻟 㻾㻩 㻜㻚 㻣㻡 ┦㛵ಀᩘ 㻣㻟 ている10),11)。著者らのこれま での研究から,精米のアミロー ᮍ▱ヨᩱ䛻䜘 䜛᳨ᐃ Ⰻ䛔 㻣 㣗 ᐁ⬟್ る必要があり,複数の理化学測 㣗ᐁ⬟್ ᮍ▱ヨᩱ 䛻䜘 䜛᳨ᐃ 㻟 㻟 㻡 㻣 ᥎ᐃ್ ᝏ䛔 䠴䠍 䠴䠎 䠴䠏 䠴䠐 䠴䠑 ス含量やタンパク質含量,炊飯 米の物性値,外観評価値,呈味 成分(還元糖)含量から精度良 く,食味を推定できる可能性が 㻡 㻥 Ⰻ䛔 ᝏ䛔 㻣 ᥎ᐃ್ 㻥 Ⰻ䛔 䝍䞁䝟䜽㉁ྵ㔞 䜰䝭䝻䞊䝇ྵ㔞 ⡿㣤䛾≀ᛶ್ 㻔䝔䞁䝅䝥䝺䝑䝃 䞊䠅 ⡿㣤䛾እほホ ౯㻔⅕㣤㣗್䠅 ࿊ᡂศ㻔㻴㻼㻸㻯ἲ䠅 ᥎ᐃᘧ 示された(第5図) 。 㣗᥎ᐃ್ ●4.おわりに● 炊飯米特性の理化学的手法に 第5図 理化学測定に基づく炊飯米の食味測定 (カラー図表をHPに掲載 C056) よる解析は,新しい品種の選抜・育成,流通米の 参考文献 品質を把握するために重要な情報を提供すると考 1)農林水産省(2009) :米穀の流通・消費等動態調査. えられる。また,本シリーズ解説の中にも連載さ 2)竹生新次郎 監修 (1995) :米の科学,朝倉書店. 3)岡留博司ら(1999) :窒素施肥の異なる炊飯米の多面 れている多様化する各種の高機能炊飯器や業務用 的物性評価法,日本作物学会記事,68,211-216. 炊飯工程における炊飯適性を解析する上でも重要 4)益重博ら(1994) :プロテインボディI,IIの分布,含量 と米の食味の関係,育種学雑誌,44別2,238. な役割を担っていると考えている。 5)鈴木啓太郎ら(2006) :理化学測定による各種新形質 理化学測定法は,一度に多面的な情報を得られ 米の品質評価,日本食品科学工学会誌,53,287-295. る食味試験と異なり,各種の計測からそれぞれが 6)田中國介ら(1988) :化学と生物,26,543. 単一的な情報を客観的に得られるという特長があ 7)鈴木啓太郎ら(2006) :茨城県産米「ゆめひたち」の る。そのため,品質をより正確に把握するために 品質特性および低アミロース米とのブレンド効果,日 本食品科学工学会誌,53,296-304. は,複数の理化学測定法の組み合わせによる評価 8)農林水産省 農林水産技術会議事務局, (独)農業食品 結果を基に,炊飯米の特性を総合的に判断する必 産業技術総合研究機構 作物研究所(2006) :新しい 要がある。現状では,測定項目によっては,生米 米を創る. 9)Suzuki. K. et al(2006): Relationship between chain- による検査と炊飯米による検査を実施し,判断す length distributions of waxy-rice amylopectins and ることが不可欠であると考えている。今後,より physical properties of rice grains, 簡便に品質を予測可能な評価法を確立できるよう ., 53, 227-232. 10)農林水産省 農林水産技術会議事務局(2002) :米の流 に関係機関・組織との連携を図りながら,研究に 通・消費の多様化に対応した新食味評価手法の開発. 取り組んでいきたい。 11)大坪研一,鈴木啓太郎ら(2007) :官能検査および理 学評価による米の食味の総合評価技術の開発,飯島 記念食品科学振興財団年報,Vol.2005,251-260. 食品と容器 601 2011 VOL. 52 NO. 10 シリーズ解説:糖質素材の機能と利用(第 13 回) ◆解説◆ DFAⅢ(ツイントース®)−食品への利用− う お つ・ の ぶ を 東京農工大学大学院連合 農学研究科満期退学。現 在,株式会社ファンケル 総合研究所健康食品研究所 新素材研究グループマネ ージャー。 魚津伸夫 博士(農学) の野菜をロースト処理することでも DFA Ⅲが生 ◆1.はじめに◆ 成するので 4),日本人が古くから食している食事 DFA Ⅲとは,ダイフラクト−スアンハイドラ にも少量含まれている糖質だと考えられる。 イドⅢ(difructose anhydride Ⅲ,IUPAC 名: ◆2.製造◆ di-D-fructofuranose-1,2’:2,3’-dianhydride) の 略 称であり,フラクトース2分子が環状に結合した DFA Ⅲの製造方法を第2図に示した。チコリ 構造を有する糖質である(第1図) 。自然界では から抽出したイヌリンに 彼岸花( )に含まれていることが フラクトシルトランスフェラーゼを作用させて酵 知られている。食品としては,多糖イヌリンまた 素反応により DFA Ⅲを生成させる5,6)。その後 はショ糖から調製したカラメル,EU においてノ の精製工程を経た後に,濃縮し結晶化させて,純 ンカフェインのコーヒーとして古くから飲用され 度 99% 以上の DFA Ⅲを製造する。 ているチコリコーヒーに DFA Ⅲが含まれてい る . 由来の チコリ 1-3) 。多糖イヌリンは,日本では北海道などで 抽出 栽培され野菜として食されているキク科チコリ ( イヌリン )やニンニク,ネギ,ゴボ フラクトシルトランスフェラーゼ ウ,キクイモなどの根菜に含まれており,これら +2 +2 2 +2 2 2+ 2 酵素反応 精製 (脱色、脱塩) 㵭 㵭 㵭 濃縮 2 結晶化 +2 㵭 㵭 㵭 乾燥 2+ DFAⅢ 第1図 DFAⅢの化学構造式 食品と容器 第2図 DFAⅢの製造方法 602 2011 VOL. 52 NO. 10 DFAⅢ(ツイントース®)−食品への利用− 試験した結果,pH3.0, 37℃の条件下で3カ月間 ◆3.特徴◆ 保存してもほとんど分解が進まない(第6図c)。 DFA Ⅲの甘味度はショ糖の約半分の 48.5(シ また,相対湿度 75% の条件下においては全く吸湿 ョ糖を 100 とした場合)と評価され,その味質は せず,相対湿度 94% の条件でショ糖の約 30% の吸 第3図に示した特徴を持っている。溶解度や水溶 湿を示し,DFA Ⅲは極めて低い吸湿性を有する 液の粘度,水分活性,氷点降下はショ糖とほぼ同 (第6図d)。 じ挙動を示す(第4図)。また,DFA Ⅲは摂取 3-2)資化性 しても血糖値を上昇させず,インシュリンの分泌 ミュータンス菌 ( 口腔内においては, くう にも影響は与えない(第5図)7)。従って,血糖 )が食事で摂取した糖質を分解して生成 値が気になる人の甘味料として糖尿病食への応用 した有機酸により歯を溶解させ,う 蝕 リスク も可能であると考えられる。 を高めている。しかし,DFA Ⅲはミュータン しょく 5) 3-1)安定性 ス 菌 に よ る 資 化 を 受 け な い の で,DFA Ⅲ の 摂 多くのオリゴ糖や多糖では,糖と糖の間の結 取は虫歯のリスク要因とはならない(第7図a)5)。 合が1カ所だけなのに対し,DFA Ⅲは第1 ἁἍầẝỦ 図に示したように,フラクトース2分子が2 ᵋᵐ カ所で結合した強固な構造を有しており,非 ẲếẮẟ ộỨởẦỂễẟ ᵋᵏ 常に安定性が高い。DFA Ⅲは構造的に還元 ᵉᵏ 末端を持たないのでアミノ酸と混在させても ᵉᵐ ẝểԛầസỦ メイラード反応が進まず着色の原因物質を生 ẰỪởẦỂễẟ ᵉᵐ ᵉᵏ じることがないので,着色を嫌う食品との相 ᵎ ᵋᵏ 性が良い(第6図a)。酸性条件下における ฑỚầẝỦ ХນầẝỦ ᵋᵐ 加熱安定性を試験した結果では,ショ糖は ᒊԛầẝỦ pH2.0 で 100℃,30 分間処理することで完全 第3図 DFAⅢの味質 に分解されるのに対し,DFA Ⅲは pH2.0 で処 理しても 90% が残存する(第6図b)。さら 注)0点を通る8角形は 10%グラニュー糖溶液 試験濃度:20.6%,試験温度:20±0.5℃,パネル数:10 に,酸性条件下における長期の保存安定性を ቬࡇ ᵑᵓᵎ ᵔ ᵑᵎᵎ ᵓ ᵐᵓᵎ ᵐᵎᵎ ᵏᵓᵎ ൧ໜᨀɦ ᵎ ἉἹኄ ᵢᵤᵟḫ ᵒ ภࡇ ᵆḥὸ ቬࡇίᶁᵮὸ ๋ᚐࡇίᾶᵍ൦ᵏᵎᵎᶅὸ ๋ᚐࡇ ᵑ ᵐ ᵋᵐ ᵋᵒ ᵏ ᵏᵎᵎ ᵎ ᵐᵎ ᵒᵎ ᵔᵎ ภࡇίḥὸ ᵖᵎ ᵋᵔ ᵐᵎ ᵒᵎ ᵔᵎ ภࡇίḥὸ ᵖᵎ ᵎ ᵏᵎ ᵐᵎ ᵑᵎ ᵒᵎ ຜࡇ ίᵃὸ ᵓᵎ 第4図 DFAⅢの特徴 食品と容器 603 2011 VOL. 52 NO. 10 シリーズ解説:糖質素材の機能と利用 DFA Ⅲはパンの製造に使用される酵母による資 菌により資化されるが,DFA Ⅲを資化すること 化も受けないので,パンの甘味料としては使用で ができる菌としては数種類のみが報告されてい きるが,パンを発酵させる糖質としては利用する る8,9)。 ことができない(第7図 b) 。ヒト腸管内には腸 3-3)熱量 内細菌がおり,小腸で吸収されずに通過してきた 熱や酸,口腔内細菌に対して安定な特徴を持 糖質を資化し,代謝して生成する有機酸により つため,糖質としてのカロリーを動物試験により 腸管内の pH を低下させ,腸内環境をよくするこ 評価している。ショ糖のカロリー4kcal/mol に対 とが知られている。一般的な糖質は多くの腸内細 して, DFA Ⅲのカロリーはショ糖の1/15 と推定 ᘉኄ͌ ἉἹኄ ᾓᾕᾐḫ ό ᵐᵎ ᘉɶỶὅἋἼὅ͌ ί᷈ᵳᵍᶋᵪὸ ᘉኄ͌ ίᶋᶅᵍᶂᵪὸ ᵏᵐᵎ され,低カロリー甘味料である可能 ỶὅἋἼὅ͌ ᵏᵏᵎ ᵏᵎᵎ ᵗᵎ ᵖᵎ 性が示唆されている10)。さらに,糖 ό 質のカロリーを評価するのに,ヒト 臨床試験において糖質を摂取させた 後の呼気水素量を測定する方法があ ᵏᵎ る。 そ の 試 験 方 法 に 従 っ て DFA Ⅲ 10g を単回摂取し,摂取8時 間 後までの呼気水素量を測定したが, ᵎ ᵎ ᵎᵌᵓ ᵏ ᵏᵌᵓ ᧓ ίᶆὸ ᵐ ᵎ ᵎᵌᵓ ᵏ ᵏᵌᵓ ᧓ ίᶆὸ ᵐ 呼気水素はほとんど上昇しない(第 8図)7)。また,DFA Ⅲを 12 日間連 第5図 血糖値とインスリン値への影響 平均値 ±S.E.. (n =9)* p<0.05 Ẇ 続摂取させた後に,DFA Ⅲ 10g を単 ࣱܭܤ 回摂取させても,呼気 ь༏ბᑥࣱίᵏᵃᵥᶊᶓύᵏᵎᵃኄឋὸ ь༏ࣱܭܤίᵏᵎᵎḥύᵑᵎЎὸ ᵏᵎᵎ ᵆᵿᵇ ᵐᵌᵎ ἉἹኄ ᵢᵤᵟḫ ᵖᵎ സ ྙ܍ᵆᵃᵇ Ԉήࡇίᵟᵒᵐᵎᶌᶋὸ ᵐᵌᵓ ᵏᵌᵓ ᵏᵌᵎ ᵔᵎ ᵆᶀᵇ べて低カロリーの糖質 ᵎ ᵑ ᵒ ᵓ ᶎᵦ ᵔ ᵕ ᵖ ᵎ ࣱ̬ܭܤ܍ί᾿ᵦᵑᵌᵎỉ๋෩ύᵑᵕḥὸ ᵐ ᵔ ᵒᵎ ᵆᶂᵇ ᵏᵎᵎ ᵑᵎ ᵖᵎ ᵔᵎ ൦Ў ᵆᵃᵇ സ ྙ܍ᵆᵃᵇ ᶎᵦ ᵒ ԈࣱίႻݣࡇ ᵗᵒᵃὸ ᵏᵐᵎ ᵆᶁᵇ ᵒᵎ ᵐᵎ ᵎ ᵑᵎ ᵔᵎ ̬܍᧓ίଐὸ ᵗᵎ だと推定される。 ◆4.DFAⅢの 安全性◆ ᵐᵎ DFA Ⅲは細菌を用 ᵏᵎ いた復帰突然変異試験 において,突然変異誘 ᵎ ᵎ 物試験およびヒト臨床 DFA Ⅲはショ糖に比 ᵐᵎ ᵎ しない 11)。これらの動 試 験 の 結 果 か ら, ᵒᵎ ᵎᵌᵓ 水素量はほとんど上昇 ᵎ ᵓ ᵏᵎ ᵏᵓ ᵐᵎ ᵐᵓ ᵑᵎ ᧓ίଐὸ 発能を有さない事が確 認されている。動物試 験では,ラットにおけ 第6図 DFAⅢの安定性 食品と容器 604 2011 VOL. 52 NO. 10 DFAⅢ(ツイントース®)−食品への利用− ႆᣞࣱίᣞὸ ࣱ҄ίἱἷὊἑὅἋᓏὸ ᵕᵌᵓ ᵐᵓ ᵆᵿᵇ ᵐᵎ ỾἋႆဃ ίᶋᵪᵇ ᵔᵌᵓ ᶎᵦ ᵔᵌᵎ ἣἻἓἠὊἋ ᵓᵌᵓ ᵓᵌᵎ ᵏᵓ ᵏᵎ ᵓ ἉἹኄ ἧἽἁἚỼἼἆኄ ᵒᵌᵓ ἉἹኄ ᵢᵤᵟḫ ᵆᶀᵇ ἨἻὅἁ ỿἉἼἚὊἽ ᾓᾕᾐḫ ἏἽἥἚὊἽ ᵕᵌᵎ ᵒᵌᵎ ᵎ ᵎ ᵓ ᵏᵎ ᵏᵓ ᵐᵎ ᵐᵓ ᵎ ᵑᵎ ᵓᵎ ᵏᵎᵎ ᵏᵓᵎ ᧓ ίЎὸ ᧓ίᶆὸ 第7図 DFAⅢの資化性 る単回経口投与毒性試験,28 日間反復投与毒性 のミネラルの吸収経路は,腸管上皮細胞を介する 試験,90 日間反復投与毒性試験において安全性 能動輸送と,上皮細胞同士の隙間にある細胞間接 が確認されている。ヒトにおける安全性試験とし 着部位(タイトジャンクション)を通過する受動 て,健常人における DFA Ⅲの連続過剰量摂取試 輸送がある。DFA Ⅲは,タイトジャンクション 験を実施している。健常人男女の被験者 25 名に を通過する受動輸送を活性化して,小腸でのミネ 対して朝昼晩と1日3回,4週間連続摂取させた ラル吸収を高めている 15-17)。その後,大腸まで到 結果,他の難消化性糖質やオリゴ糖と同様に,一 達した DFA Ⅲは大腸内の一部の細菌によって発 過性の緩下作用が認められているが,血液学的検 酵され,代謝産物として生成した有機酸が大 査や血液生化学的検査,血液内分泌学的検査,尿 腸内の pH を下げて酸性側に傾けることで,大 すき 検査で有害事象は一切認められていない 12) 腸でのミネラル吸収を高めていると考えられ 。 ᵒᵎ ◆5. ミネラル吸収促進作用◆ よびヒト臨床試験により多数報告されてい る。DFA Ⅲが他のオリゴ糖や糖アルコー ルのように,ミネラルの吸収を促進すると いう最初の知見は 1998 年 Suzuki らによっ て 報 告 さ れ13),そ の 後, Ԡൢ൦እ ᵆᶎᶎᶋᵇ DFA Ⅲは腸管におけるカルシウムの吸 収を促進する作用を持つことが動物試験お ᵢᵤᵟḫ ἻἁἓἷἿὊἋ ᵑᵎ όᶝ ό όᶝ όᶝ ᵐᵎ όᶝ όᶝ ᵕ ᵖ ᵏᵎ および 試験でその効果が確認されている 14,15)。 ᵎ DFA Ⅲの作用部位としては主に小腸と大 ᵎ ᵏ ᵐ ᵑ ᵒ ᵓ ᵔ ᧓ ᵆᶆᵇ 腸が考えられる。食品中に含まれるミネラ 第8図 DFAⅢ摂取の呼気水素量への影響 *:p<0.05 VS ショ糖 §:p<0.05 VS DFA Ⅲ ルは,経口摂取した後に胃酸により可溶化 され,小腸まで達して吸収される。小腸で 食品と容器 ἉἹኄ όᶝ 605 2011 VOL. 52 NO. 10 ᵎᵌᵒ ᵎᵌᵑ ᵎᵌᵐ ݣༀ ᵢᵤᵟḫ ᵎᵌᵑᶅ ᵎᵌᵏ ᵎᵌᵓ ᵈ ᵈᵈ ᵡᵿᵍᵡᶐᶃ ᵆᶋᶋᶍᶊᵍᶋᶋᶍᶊᵇ ᵈᵈ ᵎᵌᵓ ᵡᵿᵍᵡᶐᶃ ᵆᶋᶋᶍᶊᵍᶋᶋᶍᶊᵇ ᵡᵿᵍᵡᶐᶃ ᵆᶋᶋᶍᶊᵍᶋᶋᶍᶊᵇ シリーズ解説:糖質素材の機能と利用 ᵈ ᵎᵌᵒ ᵎᵌᵑ ᵎᵌᵐ ݣༀ ᵢᵤᵟḫ ᵏᵌᵎᶅ ᵎᵌᵏ ᵎᵌᵓ ᵎ ᵎᵋᵐ ᵐᵋᵒ ᵒᵋᵔ ᵎ ᵔᵋᵖ ᵖᵋᵏᵎ ᵎᵋᵐ ᧓ίᾷὸ ᵐᵋᵒ ᵒᵋᵔ ᵈᵈ ᵈᵈ ᵎᵌᵒ ᵎᵌᵑ ᵎᵌᵐ ݣༀ ᵎᵌᵏ ᵢᵤᵟḫ ᵑᵌᵎᶅ ᵎ ᵎ ᵈ ᵎ ᵔᵋᵖ ᵖᵋᵏᵎ ᵎ ᵎᵋᵐ ᵐᵋᵒ ᵒᵋᵔ ᵔᵋᵖ ᵖᵋᵏᵎ ᧓䋨䌨䋩 ᧓䋨䌨䋩 第9図 DFAⅢ単回摂取によるカルシウム尿中排泄量への影響 *p<0.05,**p<0.01 VS 対照 る 14,18,23)。 を用いた試験では,カルシウムの吸収促進と共に, 5-1)カルシウム 大腿骨のカルシウム重量の増加が認められ,骨粗 歯や骨を作る重要な栄養素としてのカルシウム 鬆症予防に効果があると考えられる 18,19)。さらに, の知名度は高いが,厚生労働省の報告によると, カルシウムと DFA Ⅲの摂取とエクササイズを組 日本人のカルシウムの摂取量は不足している。カ み合わせることで,大腿骨や脛骨のカルシウム重 ルシウムの摂取不足は,閉経後の女性や高齢者の 量が増加することも報告されており,運動負荷に たい けい しょう 骨粗 鬆 症リスクを高め,QOL(Quality of Life) よる骨形成を DFA Ⅲが促進すると考えられる 20)。 へ影響を及ぼす可能性があり,カルシウム摂取量 ヒト臨床試験では,DFA Ⅲ単回摂取によるカ の増加が求められている。カルシウムと DFA Ⅲ ルシウムの見かけの吸収率を評価している。健常 の同時摂取によるカルシウムの吸収促進効果が動 人 男 性 12 名 に 対 し て, カ ル シ ウ ム 300mg と 物試験により検証されている。5週齢の雄性 SD DFA Ⅲ 0.3,1.0 もしくは 3.0 gを同時に単回摂取 ラットに3%DFA Ⅲを含む混合飼料を2週間投 し,摂取後に尿中に排泄されたカルシウムを定量 与すると,見かけのカルシウム吸収率が上昇す して,見かけの吸収率を評価している。その結果, る 13)。また,閉経後骨粗鬆症モデルラット(OVX) DFA Ⅲの摂取量依存的にカルシウムの見かけの Ԉӓྙ ᵓᵎ ᵐᵎ ỽἽἉỸἲ˳ϋ̬သྙ ίήὸ ỽἽἉỸἲ˳ϋԈӓྙ ίήὸ せつ ᵏᵌᵒ̿ ᵒᵎ ᵑᵎ ᵐᵎ ᵏᵎ ᵎ ỽἽἉỸἲ ᵏᵎᵎ ᵔᵌᵓ̿ DFA Ⅲ 3.0 gにおい ては尿中排泄された カルシウムの総量に ᵏᵎ 有意な増加が見られ ている(第9図)21)。 ᵓ ま た,DFA Ⅲ の ᵎ ỽἽἉỸἲ અӕᵡᵿ ὼ ኇ̝ɶᵡᵿ અӕᵡᵿ 吸 収 率 が 増 加 し, ᵏᵓ 13 日 間 連 続 摂 取 試 ỽἽἉỸἲ ὺᵢᵤᵟḫ Ԉӓྙ ᾌ ̬သྙ ỽἽἉỸἲ ̬သྙ ᾌ અӕᵡᵿ ὼ ኇ̝ɶᵡᵿ ὼ ބɶᵡᵿ અӕᵡᵿ 第10図 DFAⅢ連続摂取によるカルシウム出納への影響 食品と容器 験によりカルシウム ὺᵢᵤᵟḫ 606 の体内吸収率と体内 ᵏᵎᵎ 保留率を評価してい る。 健 常 人 男 性 20 名を被験者として, 2011 VOL. 52 NO. 10 DFAⅢ(ツイントース®)−食品への利用− DFA Ⅲ( 1 g × 3 回 / 1 日 ) と カ ル シ ウ ム 験 者 と し て, プ ラ セ ボ 群, 鉄 剤 摂 取 群 お よ び (100mg× 3回/1日)を 13 日間摂取させるシ DFA Ⅲ配合鉄剤摂取群で,6カ月間の介入試験 ングルブラインドクロスオーバー試験を実施して を実施している。鉄剤摂取により徐々に体内鉄保 いる。その結果,カルシウムのみ(100mg× 3 有量は上昇し,貧血が改善する。鉄剤単独摂取群 回/1日)を摂取した場合と比較して,DFA Ⅲ よりも DFA Ⅲ配合鉄剤併用摂取群でそれ以上の 併用群ではカルシウムの体内吸収率が 1.4 倍に, 体内鉄保有量の増加および貧血改善効果が得られ 体内保留率が 6.2 倍に高まる結果が得られ,DFA る(第 11 図)26)。 Ⅲによるカルシウムの吸収促進が示されている 5-3)その他 22) (第 10 図) 。さらに,骨形成マーカーである血 DFA Ⅲのミネラル吸収促進作用は,カルシウ 中オステオカルシン濃度が有意に上昇したことか ムと同様に歯や骨の形成に重要なマグネシウ ら 22) ム 19,24)や成長障害,食欲不振,味覚障害に関与す ,体内に保留されたカルシウムが,骨形成 に寄与している可能性も考えられる。 る亜鉛 15,27)でも報告されている。また,フラボノ 5-2)鉄 イドの一種である αG- ルチンを用いた試験でも吸 WHO によれば世界の 20 億人以上の人が貧血だ 収促進効果が認められ,ミネラルだけではなく植 と報告されているが,これは栄養素の摂取が不足 物に含まれる種々のフラボノイドの吸収も促進す している発展途上国だけの問題ではなく,実は, る可能性が示されている 28)。 日本人女性においても潜在的な貧血者が多く4人 ◆6.おわりに◆ に1人は鉄が不足している。DFA Ⅲのミネラル 近年,食生活の欧米化により肥満,食後高血糖 5週齢の雄性 SD ラットにタンニン酸を摂取させ や内臓脂肪量の増大などメタボリックシンドロー 鉄の吸収を阻害しておき,DFA Ⅲを含む混合飼 ムの弊害が問題になっている。この原因は脂質や 料を3週間投与すると,見かけの鉄吸収率が上昇 糖質などの過剰摂取に由来するカロリー過多が原 する 24)。ヒト臨床試験として,鉄剤と DFA Ⅲを 因の1つとしていわれている。しかし,その一方 摂取させ,DFA Ⅲ併用による貧血に対する効果 で,カルシウム摂取量は厚生労働省が策定した をダブルブラインド・プラセボコントロール試験 「日本人の食事摂取基準」の中に目標量が記載さ により検証している。WHO が定義する鉄欠乏 れているが,1990 年以降において目標量を達成 (血中ヘモグロビン濃度 12 g /dL 以下)女性を被 した年はなく日本人は慢性的にカルシウムが不足 ᵏᵎ ᵖ ᵔ ᵐᵌᵓ ᶋᶅᵍᶉᶅ فь ᵒ ᵓᵌᵎ ᶋᶅᵍᶉᶅ فь ᵐ ᵎ ᵏᵎᵎ ᝢᘉᎍίᵃὸ ˳ϋᤧ̬ஊᵆᶋᶅᵍᶉᶅᵇ 吸収促進作用は,鉄でも報告されている 23-25)。 ᵔᵎ ᵔᵏᵃถݲ ᵒᵎ ᵖᵏᵃถݲ ᵐᵎ ᵋᵐ ᵋᵒ ᵖᵎ ἩἻἍἮ ᤧд ᵎ ᵢᵤᵟḫᣐӳ ᤧд ἩἻἍἮ ᤧд ᵢᵤᵟḫᣐӳ ᤧд 第11図 DFAⅢ配合鉄剤による体内鉄保有量と貧血への効果 食品と容器 607 2011 VOL. 52 NO. 10 シリーズ解説:糖質素材の機能と利用 している。また,閉経前の女性に限れば鉄の摂取 食 事 量 を 増 や す こ と が 困 難 な 場 合 も あ る。 量も目標値を下回っている。それを受けて食生活 DFA Ⅲは,食事量を増やさずに,カルシウム含 の改善が,「21 世紀における国民健康づくり運 有食品に添加することで,カルシウムの吸収率を 動(健康日本 21)」の中で提唱され,食事バラ 向上させてカルシウム不足を改善できる可能性が ンスを気にかけるように食育が進められている。 ある。また,DFA Ⅲはカルシウム以外の鉄やマ カルシウムを含有する小魚や牛乳を摂取した場合, グネシウム,亜鉛の吸収促進作用も有しており, 生体内に取り込まれるカルシウムの吸収率は 20 ミネラル全般の摂取不足改善の一助となることが ∼ 40% といわれている。カルシウムを含む食品を 期待される。 より多く摂取すれば良いのだが,特に高齢者では 参 考 文 献 1)H. Y. Li et al., 841(1998) ., 299, 301-305(1997) 2)M. M. Harris, et al., 14)H. Mineo et al., ., 287, 183-202 3)J. Defaye, et al., 4)T. Kato et al., ., 120, 700-704(1995) . ., 14, 70-75(2007) 5)H. Kikuchi et al., . 23)K. Afsana et al., ., 71 681., 133, 3553-3560(2003) 24)P. Asvarujanon et al., ., 101 149-156 , 21, 1025-1035 (2005) 25)K. Shiga et al., ., 70, 26)M. Nakamori at al., , 22, 786-793(2006) Sci. 56, 191- 197(2010) ., 68, 27)S. Hachiya et al., 1882-1887(2004) , 39 64-68 (2006) ., 28)M. Matsumoto et al., 7, 89-96(2003) 食品と容器 ., 68, 687(2007) ., 98 244-250 1416-1422(2006) 12)A. Tamura et al., ., 94, 168-274(2005) ., 133, 4207-4211(2003) 22)K. Tomita et al., (2006) 11)A. Tamura et al., , 132, 3387-3393(2002) 1011-1016(2004) ., 49, 422- (2004) 10)A. Tamura et al., ., 79, 401-410(2006) 21)N. Shigematsu et al., . 427(2003) 9)K. Minamida et al., . , 134, 1935-1941(2004) 17)T. Suzuki et al., 20)K. Shiga et al., . ., 107, 262-265 (2009) 8)K. Minamida et al., . 16)T. Suzuki et al., 19)R. Mitamura et al., (2004) 7)A. Tamura et al., . ., 49 122-132(2004) 18)R. Mitamura et al., ., 51, 291-296 6)H. Kikuchi et al., 13)T. Suzuki et al., , 132, 3394-3399(2002) 15)H. Mineo et al., (1996) ., 55, 4202-4208(2007) ., 62, 837- 608 2011 VOL. 52 NO. 10 113 行ってよかった国ぐに,会えてよかった人びと (4)はるかなりアンデス高原 た き やす ひこ 多 紀 保 彦 ( 東 京 水 産 大 学 名 誉 教 授 ) ンチに座りこんでしまう人,終始そろりそろりと ■■■ 4,070メートル 歩を進めている年配者,それを横目に重い荷物を 南米ペルーのリマ空港を飛び立ったラパス行き 下げてすたこら歩く地元の人らしい乗客―。 のわが搭乗機は,太平洋岸をしばらく南下したの ここの滑走路は海抜 4,070 メートル,世界一高 ち,進路を東にとって高度を上げた。いよいよア いところにある国際空港である。空港の名称もエ ンデス越えである。あっという間に眼下は急峻な ル・アルト〈高地〉だ。地元民以外の乗客は,到 山地となる。機内の気圧調節装置がなかったむか 着後しばらくは高山病に悩まされることになる。 しは,乗客はこのあたりで酸素マスクを使用した かくいう私も,ホテルの酸素ボンベで息を吹き返 というが,いまはその心配はない。 したが,2,3日は頭痛に悩まされた。 白銀の峰々を越えるとそこは平原だった。ア ラパスの町は,今では都市圏が高原部にひろが ンデス山脈はこのあたりでは東と西の山列に分か っているが,低いところほど高級地,滞在してい れていて,そのあいだに広大な平原がひろがって るホテルより 200 ∼ 300 メートル低い高級地にある いるのだ。そう,アンデス高原である。 大使公邸によばれてゆくと,心なしにではなく呼 小さな湖が点在する高原をまたぐと,機は広び 吸が楽になり,なるほどと思ったことだった。 ろとした水面の上に出た。「我われはいまティテ ■■■ 高原の魚たち ィカカ湖の上を飛んでいます」と機内アナウンス が告げている。湖面を横切り,機はボリヴィアの ボリヴィアとペルーに囲まれたティティカカ湖 実質上の首都ラパスの表玄関エル・アルト空港へ は,面積 8,280 平方キロ,琵琶湖の 12 倍,四国の の着陸態勢に入る。眼下はどこまでも続く平坦な 半分に近い広さがある。湖面は海抜 3,810 メート 原野,機はスムーズに着陸した。こうして 1976 年 ル,名のある湖としては世界でもっとも高い。と (昭和 51 年)10 月のある日,この南の高原国の土 ころがこの湖には,周囲の湖や川から流れこむ水 を,私ははじめて踏んだのである。 はあっても,湖から海に向かって流れ出る川はな 当時の空港ターミナルは簡素な平屋建築,乗客 い。ひとつの内陸水系を形成しているのである。 はタラップで地上に降りてターミナルまで歩いて そんな高原に取り残されたような湖にも,魚は 行くのだが,その動きは人さまざまだった。最初 すんでいる。北米原産のニジマスや南米の他地域 は元気だったがすぐに青い顔になって待合室のベ から運ばれたペヘレイという魚もいるが,土着の 食品と容器 609 2011 VOL. 52 NO. 10 魚種もいる。まず現地名をマウリという小魚,広 人たちは,干物を水にもどしてスープにしたり, 義にはナマズ類だからアンデスナマズと呼んでお 粉をつけた空揚げ―フリット―にしたりする。 こう。あとはアクアリウムフィッシュとして身近 だが,干物は日本人社会では敬遠されていた。私 なグッピーやソードテールの仲間(カダヤシ科) も試食してみたが,一種独特のにおいがあってご に属する4種である。現地名をカラチ,ボーガ, 免こうむった。ただし小型種のイスピーの干物は イスピー,ウマントという。いずれも小型種だ。 大ぶりのチリメンジャコを思わせ,日系人はこれ アンデス高地の東側はアマゾンの流域の低地, をお正月の“田作り”(ごまめ)にしていた。 ここは淡水魚の宝庫である。だが,魚たちがそこ ■■■ アルコ・イリス からえっちらおっちら登ってきたとは考えられな い。おそらく彼らは,自ら登ったのではなく持ち ティティカカ湖にはこのような土着の魚のほか 上げられたのである。 に,ニジマスとペヘレイという魚が放流されてい 今から1千万年前の地質時代,いまのアンデ た。ニジマスは北米原産の魚,湖に豊富なヨコエ ス高原はせいぜい海抜数百メートルの低地だった。 ビなどの小動物を食べて繁殖している。ふつうニ そこには数多くの魚たちが生息していたにちがい ジマスの肉は白いが,この湖のものは“サーモン ない。その後この土地は次第に高くなり,それに ・ピンク”,ヨコエビの色素によるものである。 つれてこの地の水系は次第に他との連絡が切れ, ペヘレイはボリヴィア東南部を含む南米の低地 ついには東側のアマゾン・ラプラタ水系からも, 水域に生息するトウゴロウイワシ科の魚,ごく大 西側の太平洋岸の河川からも孤立していった。ボ まかにいえばサヨリやサンマの仲間だ。白身の美 ーガやイスピーの祖先たちは,こうして次第に高 味しい魚で,高地を含め南米各地に移植され,ア みに持ち上げられ,孤立した低温の水域に閉じこ ルゼンチンの日系人のイニシアティヴで日本にも められていったのである。 移入されている。分類上ではいささか縁が遠いが, ラパスの町のそこここにある市場には,カラ 姿や肉質はキスに似ている。 チやボーガの干物が山積みになっていた。地元の ボリヴィアでの私の仕事は JICA (国際協力機構) の業務で,ティティカカ湖とその 周辺でのニジマス養殖の技術改善 が目標だった。外来種のニジマス や“国内移入種”のペヘレイの放 流は,いまなら生態系保全の論議 の的となるところであるし,現に 在来魚種は減っている。だが当時, 放流による貧弱な水域生物生産の 増大と生業の創出が図られたのは, 無理からぬことだった。 私が訪問した当時,ここではニ ジマス資源の保護増殖のため,日 本と同様に禁漁期や禁漁区を設け られていた。だが広大で人口希薄 な国のこと,統制の眼が届かない。 なんとかせねばと民間の釣りクラ ティティカカ湖原住の魚たち。 上からボーガ,イスピー,アンデスナマズ。 (多紀,1979より) 食品と容器 610 ブが,予算も人も少ない政府を応 援して管理業務をおこなっていた。 2011 VOL. 52 NO. 10 この釣りクラブ,名前をそのものずばりアルコ レジ仕事は緊張の連続だった。お客が買い物を ・イリス〈arco iris〉という。ご存じのとおりニ すると O さんや店員が伝票を書いて,×× 3個, ジマスは英名を rainbow trout といい,スペイン ○○ペソと叫ぶ。お客は伝票と品物をもってレジ 語名はそれを直訳して trucha arco iris という。 にくるのだが,商品がレジのそばにあるときは私 和名のニジマスも直訳名だ。釣りクラブによるこ が棚から品物をとってお客に渡し,お金を受け取 の管理事業の中心人物には,ふたりの日系人がい ってお釣りを出さなければならないのである。 た。O さんと G さんである。ともに若いころ家 スペイン語は数字くらいはわかるが,間違えは許 族といっしょに移住してきた人だ。 されない。伝票の字は乱雑だ。品物の名前は必死 O さんは町の中心部で金物店を経営し,日本 になって憶えた。鍵が llabe〈ヤーベ〉でドアの からの輸入品販売を含め, 手広く商いをしていた。 掛け金やノブが picaporte〈ピカポルテ〉などと 高級住宅街にあるお宅には,奥さんとお母さん, いうことを,いまでも憶えている。 それにメイドさんがいた。奥さんは日系人だがボ O さん G さんのお二人には,お宅にお邪魔し リヴィア生まれ,スペイン語はネイティヴだが日 てご馳走になることもよくあった。O さん宅の 本語をあまり話さない。みんなに“ばあちゃん” 料理には洋風のものが多かったが,あるとき見事 と呼ばれる O さんのご母堂はスペイン語を話さ な鮭の塩焼きに感激したことがあった。ティティ ないから息子以外には話し相手は少ないが,お嫁 カカのニジマスを“新巻”に仕立てたのである。 さんにやさしくされながら静かに暮らしておられ それを肴に O さんと私のビールとおしゃべりは た。 進んだ。おばあちゃんは,言葉はなかったが,望 若い G さん夫婦は,どちらも子供のころ,こ 郷の心中は察することができた。 の国西部の低いところにあるサンタクルスという G さんの家では,よくペヘレイのフォイル焼き 日本人移住地に家族で移住してきた。ふたりは結 をご馳走になった。ある日感激したのは,まっ 婚してラパスに居をかまえ,移住地産の鶏卵など 白なかまぼこがチューブのワサビをそえて登場し の卸販売をしていた。他の成功者にくらべお宅は たときである。“板わさ”だ。どこから手に入れ 質素だったが,小学生の坊やを囲む暖かい家庭を たのかと聞くと,奥さんは笑いながら言った。 つくっていた。 “手製です”。材料はペヘレイだった。 ■■■ 望郷の魚 それから1年して,私はふたたびラパスを訪れ ラパスでの私の赴任先は農業牧畜省野生動物局 た。高原の空気は,やはり冷たく薄いがさわやか だった。ボリヴィアは畜産国,役所には水産専門 だった。O さんは健在で商売も繁盛,相変わら 家はひとりもいない。私の部屋はすでに用意され ず休日には高原を車で走り回って密漁を取り締ま ており,“デスクと椅子は明日届きます”という。 っていた。奥さんも元気で,私が好きなラムチョ だが,明日どころか1週間たっても揃わなかった。 ップをつくってくれた。だが,おばあちゃんは病 おかげでフィールドワークの時間はたっぷりと 院のベッドに横たわっていた。 れたが,役所では落ち着く場所がない。そこでご そしてある日,おばあちゃんは異国の地で帰ら 厄介になったのが O さんのお店だった。商売の ぬ人となった。葬儀はカトリック教会,ご遺体は お手伝い,それもキャッシャーを受けもつのであ 集合墓所に土葬された。私にできるのは,安らか る。この国では店のお金を扱うのは身内の仕事, にお眠り下さいと墓前で祈ることのみだった。 O さんのお店では奥さんの役割だった。そこへ G さん一家は,ボリヴィアでの生活を切り上 私が来ると私がレジを肩代わりし,奥さんはほか げ,すでに日本に帰っていた。ここでも,あの素 の大事な仕事に専心する,というわけである。 朴な一家の幸せをただ祈るのみだった。 食品と容器 611 2011 VOL. 52 NO. 10 食品工場における合理化,省エネとコスト削減 ( )p.33( 11・4)文献 №5680 デリバティブ取引で一夜にして元手の何倍もも のロボット化にも取り組んだが,当時はまだそこ うける人があるような今の世の中で,モノ造りの までの技術が伴わず,失敗に終わったこともある ために投資するというのは一種驚きともいえるが, という。食品や飲料の装置産業はエネルギー消費 そ の 意 味 で はShearer's Foods社 が オ ハ イ オ 州 のかたまりのようなものでこれを節減する努力は Massillon工場で3年前に始めた取り組みは,誠 ラインの先頭から末端にまで及んでいる。テキサ に素晴らしいものである。新旧のテクノロジーを ス州CoppelのQualityFabrication(QF)社が納入 結集し,エネルギーや水,廃棄物の削減に投資す したトルティーヤチップス製造ラインのトウモロ ることで当面コストアップにはつながるものの, コシ 調 製・ 移 送 設 備 で は, 全 体 の ガ ス 消 費 量 それは将来のための投資であると同社は言う。 の16%にあたる年間17億Btuを節減する一方,水 それから3年,その構想の成果発揮はいまだ十 の使用量も1/3ほど減らしている。ほかの大手 全とはいえないところだが,同社のこのプロジェ メーカーでも同様のシステムはあるが,Shearer's クト展開はますます大規模なものとなっており, 社のその効率は他に抜きんでている。 第一期が終わった2010年3月時点で,同社は本誌 同じくテキサス州Coppelのオーブンメーカー Food Engineeringの「プラント・オブ・ザ・イ IET Combustion社が納めた高効率オーブンはそ ヤー」を受賞したほか,スナック食品メーカーと れまでのShearer's社のオーブンの標準的ガス使 して初の米国グリーン建築評議会のLEED(先 用量を47%下回るものとなっている。オーブン 進的エネルギー・環境デザイン認証)のプラチナ ボックスのシールドキャビティー構造によりエア 認証を獲得,さらにはオハイオ州知事やエネルギ ー取り込み量が2/3となっており,しかもエア ー庁長官の視察を受けるなどして大いにその声望 ーは単に外気を取り込むのでなく,配管を通じて を高めた。 取り込み,これを赤外線バーナーへ均一に送り込 プロジェクト開始にあたって同社が業者に示し んでいるためチップスの品質にもプラスの効果を た見積もり依頼は,生産能力,メンテナンス性と 与えている。ただ,それよりもこのオーブンの最 いった標準的な事項だけでなく,ユーティリティ 大の特長はバーナーで,従来のものに比べ半分以 ー使用量や廃棄物発生量なども記載するよう求め 下の燃焼で済むこと,しかもバーナー表面の温度 ていた。こうして,長期的な視点からのメリット が通常の赤外線バーナー2,000℉よりも低いため を含めた提案を求めた結果,Massillon工場では 傷みが少なく長持ちするというメリットがある。 しの 同社の他工場を凌ぐ斬新な技術やデザインが採用 この高効率オーブンは工場の熱回収システムに されることとなった。 もメリットをもたらしている。排ガス中の水分は 同社では各製造ラインをユーティリティーの消 凝 縮 さ れ て 熱 交 換 器 に 送 ら れ, 工 場 のHVAC 費量や廃水,廃棄物の発生量によってランク付け (暖房・換気・空調)設備に熱として利用されて している。オハイオ州Brewsterの同社本社工場 い る が, こ のHVACシ ス テ ム に も オ ハ イ オ 州 では全体で30%以上の節減を実現し,さらにス FermontのPSI Engineering社 に よ る 工 夫 が 施 ライスポテトの洗浄水を50∼60%減らすことを さ れ て い る。 す な わ ち, 毎 分1,000立 方 フ ィ ー 目指している。このような最新設備の導入につい トのエアーが排出されるとして,その倍の水分と ては同社は極めて積極的であるが,いつもうまく その潜熱を取り出すことができるので毎分2,000 いくとは限らない。90年代後半にはケース包装 立方フィートのエアーと同じだけの熱効率が得ら 食品と容器 612 2011 VOL. 52 NO. 10 れるのである。また,未検証ながら,熱を気体か 社は従業員数は200名足らずで,独自の経営方針 ら液体の形へ変換することで二酸化炭素などの排 を堅持してきたが,組織が大きくなるに従いその 気汚染を防止する効果もあると考えられている。 方針を維持するために業界内外から人材を募り枢 最近発行された保健省の食事ガイドラインでは 要な役割を担わせてきた。Massillon工場の新工 塩分,砂糖,脂肪の害について明確な警告を打ち 場長もそのひとりで, 「カイゼン」を旨とする自 出している。これをうけて近年スナック食品メー 動車業界からの出身者である。 「今朝もラインの カーは製品の処方を変更し,健康志向の商品を出 型替え(調味替え)時間を25∼30分から15分に しているが,これはShearer's社においても同様 短縮するカイゼン活動を始めたところで,こう である。同社のポテトチップスのほとんどはトラ したさまざまな試みを受け入れる柔軟な文化をこ ンス脂肪を除去したものとなり,Massillon工場 の会社は備えている。この型替え短縮が成功すれ の設備も製品の包装前に40%の油分を遠心力で ば,工場にとって大きなフレキシビリティーにつ 分離するものとなっている。ただ,全粒チップス ながるメリットが生まれる」と同工場長は言う。 などより複雑な製品の場合,従来のシングルスク シンプルさと柔軟性を目指すMassillon工場では リューの設備では能力が足りないためツインスク さまざまな改良が行われている。例えば,フォー リューのエクストルーダーを導入している。装置 クリフトの代わりにハンドトラックを使うことで を納めたフロリダ州TampaのClextral社 に よ る 免許が不要になり,誰もが必要な時にモノを運ぶ と,この6バレル容量のエクストルーダーなら ことができるようになったとか,さまざまなサイ 製品の質感,食感に対する対応性が優れており, ズや種類の製品をケース梱包するのに,機械を排 能力も800ポンド/時に達するという。 除し手作業にすることで煩わしい設備操作が不要 第二期に入ったMassillon工場のイノベーショ になり,柔軟な対応ができるようになったなど数 ンでは第一期に導入されたテクノロジーがそのま 多くの新しい試みが実行に移されている。 ま使われているものもある。すなわち,熱交換シ Shearer's社が導入しているもう一つの重要な ステムは廃水を温めて嫌気型ダイジェスターを システムは,バージニア州ChantillyのInfinity QS 90℉に昇温している。このダイジェスターから出 社によるControlNetである。これは機械の作業状 るメタンガスはいずれ有効活用される見込みだが, 況を伝えると共に品質データ,ひいてはオペレー その量が確定するまでの間は燃焼させている。従 ターのパフォーマンスをも管理するシステムであ 来の好気型ダイジェスターに対してこの嫌気型ダ る。そのプログラムの一つDynamic Schedulerは イジェスターのメリットは,必要薬品量の節減, 品質チェック,包装のチェック等々,作業を可視 スラッジの減少,省人化などいろいろとある。 化することでオペレーターに次の作業をいつやる Shearer's社は両方のタイプのダイジェスター かということを知らせると共に,作業が行われな を検討したが,好気型ダイジェスターは,イニシ かったり,問題が発生した場合には現場長や技術 ャルコストは低いが長期的にはコストが高くつく 者にこれを知らせて対応を求めるというものであ との結論に達した。すなわち,要因1名で済む嫌 る。 気型ダイジェスターに対して好気型ダイジェスタ また,Manufacturing Information Portal ーはpHのバランス維持にさまざまな薬品を投入 (MIP)というプログラムでは, 包装作業が始まり, するため6名を要する。嫌気型ならブロワーは必 オペレーターがケース上のバーコードのスキャニ 要なく,モーターやポンプもほとんど要らないう ングを行い,読み取ったバーコードが生産スケジ え,発生するスラッジの脱水処理も好気型なら毎 ュールのものと異なるというようなことが起きた 日行わねばならないのに対し,嫌気型は2,3年 場合,MIPはラベルプリンターをロックし,正 に1回で済むというのである。 しいコードが読み取られるまで生産を停止するよ 業容拡大が始まる90年代後半までのShearer's うになっている。 食品と容器 613 2011 VOL. 52 NO. 10 さらに,モニター画面には各ラインの設備の状 もので,それよりも重要なのは今起こりつつある 況が稼働中か停止中かなど,色によってひと目で 日常の細かな工程の改良とか,小さな変化を積み 分かるように表示されている。 重ねて高い効率化を達成するといった意識,思考 統計的工程管理プログラムソフトをQCのデ の変化である。持続可能な生産というコンセプト ータ管理に応用することも行われている。この管 やテクノロジーは今は当たり前のように言われる 理システムにより同社ではQCデータのペーパ ことだが,しかしその改良もひとりやふたりの人 ーレス化を実行,併せて従業員のトレーニング, 間では進められないのであって,会社全体をそれ QCテスト,作業標準の改訂,等々のデータベー に向けてまとめていくということこそが肝心なの ス化も行っている。 だと同社は言う。会社のスリム化といえば場合に 一つのことがうまくいけば連鎖的にほかのこと よって要員の削減ということに結びつくこともあ もうまくいくもので,食品会社の多くがその取得 るわけだが,しかし会社が成長していればそうし のために苦労する安全品質食品(SQF)レベル3認 た要員をほかに回すこともできるのだという。 定も,Massillon工場の場合,こうしたデータの Shearer's社創業者の引退が近づいてきた今, 自動化や標準化のおかげで2カ月半でこれを取得 同社ではMassillon工場のイノベーションプロジ することができた。 ェクトにからんで一つの遺言ともいうべき考え方 Massillon工場に見られる高断熱性とか,アル が現れてきている。いわく,「改良やイノベーシ ゴンガスを封入した窓枠とか太陽光を活用した照 ョンに終わりはない。もし終わったなら,それは 明設備などといったものは,LEED認証を得た 後退の始まりだ」。 (大池静男) 工場としてのいわばアクセサリーとでもいうべき 海外技術情報 体重管理と食事:情報の整理 ( )p.21( 11・4)文献 №5682 アメリカ人の肥満とカロリー問題の取り組み は,多くのアメリカ人は自分の体重に関心を持っ 国際食品情報協議会(IFIC)が最近行った消 ており,67%は健康的な食事,そして体重を減ら 費者調査は,多くのアメリカ人が,肥満予防のた せる食事に改善したいとしている。 めの栄養学の実際を理解するのに苦しんでいるこ カロリー問題 とを明らかにした。何が高栄養食品であるか,1 カロリーが体重管理の上で最も重要であること 日の適正総カロリー摂取がいくらであるか,食物 を理解する一方で,家族の健康的な食事には高栄 繊維やタンパク質をどのように利用すれば過食を 養食品が大切と考えており,カロリーとの関係に 避 け ら れ る か 等 に つ い て ほ と ん ど 知 ら な い。 奮闘している(農業健康厚生省関連の食事ガイド 2010年 ア メ リ カ 人 の た め の 食 事 ガ イ ド ラ イ ン ライン団体の調査から)。2010年IFIC食品と健康 (Dietary Guidelines for Americans) は, 消 費 に関する調査によると12%のアメリカ人しか, 者が食品革命と,栄養教育の真っただ中に置かれ 1日の必要カロリー量を正しく見積もることが ていること,さらに60%以上のアメリカ人が肥 できない。多くの親は,カロリー計算はあまりに 満かその予備軍に分類されており,消費者が自分 時間がかかると不満を述べ,またほかの人はあま の体重を管理するのを支援することが,企業や健 りに複雑であると言っている。親たちはカロリー 康の専門家にとって最重要課題であることをはっ 量より何を食べるかの方が大事であると思ってい きりと示している。そして2010年のIFIC調査で る。驚いたことに,多くの消費者は,カロリーへ 食品と容器 614 2011 VOL. 52 NO. 10 の関心が一時的なダイエットブームであり,その 対しての消費者の姿勢を具体的に調べている。消 流行に乗るのに慎重である。2010年5月の食事 費者の大多数が食品は基本的な栄養分のほかにも 「国 ガイドライン委員会で議長のL.V. HORN氏は, 恩恵を与えてくれると考えているという。特に, 民すべてが自分の必要カロリー量を知ることが 体重管理に関する飲食物について尋ねられると, 重要である」と発言し,会議の最重要勧告とされ 81%の成人が食品と飲料は健康体重に貢献し得る た。この提言は食事のカロリーと身体活動のバラ と答え,73%の成人が特定の食品はより長い時間 ンスをとることの大切さを強調している。 満腹感を与えることができると答える。そこで, カロリー管理の対処法 機能性成分が食品素材とその効用に関連している 健康的でバランスのとれた食事の理想は,必要 場合の特定の食事と健康の関係について具体的に な栄養素の量と種類が摂れ,年齢,性別,体格, 質問した。食物繊維とタンパク質が体重管理と満 運動量に見合ったカロリーの食品,飲料を選択す 腹感を得るのに役立つことを知っているかと聞く ることである。2010年の栄養食事ガイドライン と,タンパク質の効用を知っていると答えた消費 では,栄養に配慮した食生活,特に摂取の少ない 者は80%で,食物繊維との関連を知っていると カルシウムやビタミンD,食物繊維,カリウムの 答えた消費者は88%であった。食事と健康の関 ような栄養素を含む食事に改めるべきであるとい 連性について知っていると答えた消費者の半数は, う重要提言がなされている。栄養食品が栄養豊富 すでにタンパク質と食物繊維の入った食品や飲料 だとか栄養濃厚と称し市販されているが,カロリ を摂取していると答えたが,42%はその効用の ー量の割にはたくさんの栄養素を含んでいる。 ために摂取することに興味があると答えるにとど 別の調査では,たいていの親は,家族には栄養 まった。 のある食事が重要だと信じており,簡単に食事に カロリー管理や高栄養食品についての理解と同 付け加えれば良いと考えていることが分かった。 様に,タンパク質と食物繊維を含む食品や飲料を しかし,多くの親に栄養価の高い食品の例を尋ね もっと食事に取り入れさせるための消費者への教 ると,果物や野菜は即答したが,2つ以上の食品 育が必要である。 の名を答えるのには苦戦していた。ピラミッド型 体重管理法の豊富な選択肢 で表示された推奨食品(MyPyramid)中の例え すべてのアメリカ人の体重管理に対しただ一つ ば全粒穀物,高カルシウムの低脂肪乳製品や高タ で済む解決法は無い。問題が多面的であると同時 ンパク質食品(脂身の無い肉,魚,卵,ナッツ類 に解決法もまた多面的となるだろう。これまでに など)は答えられなかった。消費者にとって,栄 挙げたカロリー,栄養価の高い食品,食物繊維と 養価という言葉がさまざまな食品と具体的に結び タンパク質に関する消費者の実態は,アメリカ人 ついていないことが明らかとなった。高栄養食品 が体重管理を行うのを助けるために,まだまだ教 がアメリカ人のカロリー管理と健康を助ける別の 育が必要であるということを示している。食品工 手段となっている一方で,アメリカ人に多くの種 学もまた,食糧生産において,低カロリー化,糖 類の高栄養食品について教育する新しい取り組み 類,飽和脂肪酸,トランス脂肪酸の削減や,1食 が必要とされる。 分の食品パッケージの変更などによりアメリカ人 体重管理におけるタンパク質と食物繊維の役割 の健康改善に利用できる。 タンパク質と食物繊維はどちらも健康維持に必 行動管理に関する周辺知識の基盤作りに取り組 要で,バランスのとれた食事には欠かすことがで み,減量に役立つ多様な選択肢を提供することに きない。両栄養素とも満腹感を増大させるので摂 より,アメリカ人の健康体重達成を支援できる方 取総カロリーが削減され,体重管理に役立つ。 向に向かうだろう。 (小南友里) IFICの消費者調査では健康を促進する飲食物に 食品と容器 615 2011 VOL. 52 NO. 10 海外技術情報 米国における最新の食生活ガイドライン ( )p.22( 11・3)文献 №5675 「食べることを楽しむのは良いが,量は制限し 康の観点から,青果物,全粒穀物,無/低脂肪乳 て」が2010年アメリカ人のための食生活ガイド ほか乳製品,タンパク質,特定の油脂など栄養に ラインの主要テーマである。米国が直面している 富むとされる食品に焦点を当てている。また不足 第一の健康危機はガンでも心臓病でも高血圧症で しがちな栄養素にも言及している。 もなく,肥満であることを全面的に認め, 「子供 第五章:健康的な食生活の構築 1/3,成人2/3が体重過多あるいは肥満であ ガイドラインをいかに健康的な食生活と結びつ ることから,カロリー摂取削減と運動量増加を, けるかが述べられている。農務省 Food Patterns これまでより強調した」との言が添えられている。 and DASH Eating Planはすべてのアメリカ人に また前年6月に食生活ガイドライン専門委員 対し,摂取カロリー制限内で,栄養学的ニーズに 会が出した草案と大差ないが,ナトリウム削減に 合致し,慢性病の疾病リスクを下げる食生活のテ 関する提言を和らげている。草案では,すべての ンプレートを提供している。 人が現行の2,300mgか ら1,500mgへ, 1日当た 第六章:健康に良い選択をする助けとなるため りのナトリウム摂取目安量を引き下げることを推 に 奨した。最終的にガイドラインでは,ナトリウム 二つの重要事項について述べている。第一は, 摂取目安量を1日当たり2,300mgにとどめながら, 現在の食事と身体運動の環境が栄養学的にも運動 年齢層によっては同1,500mgに抑えるように,そ 学的にも効果的とは言えないこと,第二は,個人, れは「全米人口の約半数の人が該当する」数値 家庭,地域共同体,職場,産業のほか,さまざま であるとしている。 なレベルの政府機関を含めた社会の要素が,アメ 公式見解は6つの章に分かれる。導入部分の リカを健康にするための流れの中で,それぞれの 第一章は割愛し第二章以降は下記の通りである。 役割を担っているということである。 第二章:体重管理のためのカロリーバランス 第三章を振り返ってみよう。 「摂取制限すべき カロリーバランスに関する説明,体重過多およ 食品および食品素材」について,ガイドラインは まん び肥満が蔓延する環境的要因に関する記述,カロ 以下のように推奨している。 リーバランスに至る食生活と運動の原理に関する ・1日当たりのナトリウム摂取量を,健康な人 解説がなされている。 では2,300mg未 満 ま で,51歳 以 上 で ア フ リ カ 第三章:摂取制限すべき食品および食品素材 系アメリカ人または高血圧症,糖尿病,慢性腎 食品メーカー(および素材メーカー)が注目す 臓病を患っている人は1,500mg未満まで減ら べき章である。アメリカ人では通常過多になりが す。 ちな傾向のあるナトリウム・固形脂肪・コレステ ・飽和脂肪酸による摂取カロリーを,一価/多 ロール・砂糖・精白穀物・アルコール類などの摂 価不飽和脂肪酸に置き換えることで,10%以下 取を減らし,十分な栄養素を含みながら比較的低 にする。 カロリーなものと置き換えることで,アメリカ人 ・コレステロールの摂取は1日300mg未満に の健康は改善される余地があるという。 抑える。 第四章:摂取を増やすべき食品および栄養素 ・水素添加油脂や固形脂肪の摂取を控えること メーカーにとってもう一つの鍵となる章であり, で,トランス脂肪酸の摂取量をできる限り抑え 栄養学的に優れた摂取・疾病予防および総合的健 る。 食品と容器 616 2011 VOL. 52 NO. 10 ・固形脂肪および過多な砂糖からの摂取カロリ よう,しかも新年早々に行うことで強い印象を残 ーを削減する。 すように,タイミングを調整した」。 ・精白穀物を含む食品,特に固形脂肪や砂糖, 健康な人向けには23の「食生活のポイント」 ナトリウムを多く含むものの摂取を制限する。 が,妊婦など特定のグループ向けにはさらに6 ・アルコールを飲む場合はほどほどに――女性 つのポイントが挙げられている。消費者にやさし の場合は1日1杯,男性は2杯までとする。 いアドバイスや,次世代の食品ピラミッドなど買 同じく第四章「摂取を増やすべき食品および栄 い物に便利な情報も,間もなく農務省,厚生福祉 養素」に関しては, 省から出版される予定である。 ・青果物,特に緑黄色野菜や豆類の摂取を増や 前述のようにナトリウムに関する記述が少々変 す。 更になっただけで,ガイドライン最終稿は専門委 ・穀物摂取全体の半分以上を全粒にする。単に 員会の勧告とほとんど変わらない。専門委員会 全粒穀物の摂取を増やすのではなく,精白穀物 は13名の栄養学的専門家からなり,1年間かけて から置き換えることで全粒穀物の摂取を増やす。 食生活や健康に関する最新の科学的データを蓄積 ・無/低脂肪の乳および乳製品の摂取量を増や し,消費者および産業界の意見を聞いた。このた す。 めメーカーにとっては目新しいものとはならず, ・さまざまなタンパク質を摂取する。 既に最新情報に基づく改良が進められている。 ・畜肉や鶏肉の代わりに魚介類を多く摂る。 Kraft Foods社副社長のR.BLACK氏は,同社全 ・固形脂肪が少なくカロリーも低いタンパク質 製 品 の ナ ト リ ウ ム 含 有 量 を2012年ま で に 平 均 10%削減する計画を,IFTウェブサイト上で発表 を選ぶ。 ・固形脂肪の代わりに植物油を使う。 している。 「一つのメーカーが食生活におけるす ・不足しがちなカリウム,食物繊維,カルシウ べての食品について改善策を講じることは不可能 だ。自社製品から可能な限りナトリウムを取り除 ム,ビタミンDの多い食品を選ぶ。 また特定グループへのアドバイスとして,妊娠 くことしかできないが,それこそが最大限のナト 中の女性および50歳以上の人は「シリアルやサ リウム削減達成につながる」と同氏は言う。 プリメントなど,ビタミンB12強化食品を摂取 Cargill Salt社 のJ.F RANKLIN 氏は「食品メー すること」とある。 カーは,各社のナトリウム削減目標値に応じ,し 標語としては冒頭のほか,以下のものがある。 かも製品の風味を損なわずに共同製造ができる素 ・多すぎる一人前は避けて。 材メーカーを模索中だ。わが社の製品を使えば, ・お皿の半分を青果物に。 おいしくて50%ナトリウム減という食品を消費 ・無脂肪/低脂肪乳への切り替えを。 者に提供できる」と言う。 ・スープやパン,冷凍食品はナトリウムの少な 酸性ピロリン酸ナトリウムはベーカリー製品の 発酵膨張剤として広く使用されている。数年前 いものを。 ・砂糖入り飲料より,水を飲もう。 ICL Performance Products社 で は, 膨 張 剤 2010年食生活ガイドラインについて,農務省 Levonaシリーズにおいてこのナトリウムを多く T.VILSACK長官および厚生福祉省K.SEBELIUS長官 含有する材料をカリウム/カルシウムリン酸塩に が1月31日に共同発表した。下院の承認は前年末 置き換えて,ガイドラインが不足を指摘する2つ に行われ,農務省スポークスマンは上記二局が事 の栄養素の強化を図っている。またMagnificent 実上の締め切りを設定したと語った。「食生活ガ はマグネシウムとリンを強化した製品である。 イドラインはVILSACK氏,SEBELIUS氏の承諾を得 全粒穀物について上記BLACK氏は,Kraft社の て最終稿となった。発表は両氏の都合が合い,ま ガイドライン対応策として以下を挙げている。 た年末年始の休暇に紛れて忘れられてしまわない ・Wheat Thinsは 全 粒 穀 物 を11gか ら22gに 食品と容器 617 2011 VOL. 52 NO. 10 する。 我々は消費者が食品を買ったり,調理したり,食 ・Honey Maid Graham Crackersは同じく5g べたりする方法を変化させつつある」と同氏。 から20gへ。 食生活ガイドラインは各種栄養教育プログラム 「風味も良いと我々は信じているが,従来品と や栄養補助プログラムのほか,専門家による食生 の違いはある。食習慣にも同様のことが言える。 活アドバイスなども提供している。(力丸みほ) 海外技術情報 醸造廃酵母加水分解物のマウス血糖値上昇抑制効果と抗酸化性 ( )p.C287( 11・3)文献 №5677 醸造業からの副産物である,醸造廃酵母はビー 市販の加水分解物のCHP含量は,イカ由来のもの ル生産量の増加とともに,毎年多大な量が産出さ は1.8μg/g,豚肉由来のものは2.2μg/g,小エビ由 れる。 来のものは12.3μg/g,コーン由来のものは23.3 酵母菌はタンパク,脂質,RNA,ビタミン,ミ μg/g,酵母由来のものは102.1μg/gであり,もとも ネラルなどの栄養素を含んでいる。醸造酵母菌は と酵母の加水分解物では高い。これに対して,本試 安価な窒素源で安全性も一般に認められており, 験で調製した廃酵母加水分解物では,最も含量が低 また良好な栄養特性を持っている。 かったアルカラーゼ分解物でも300μg/g程度と 一般的には,加熱により不活化された後,主に 市販品より200μg/gも高かった。プロタマック 動物用の安価な飼料として売られるが,大部分は ス分解物,フィシン分解物,ニュートラーゼ分解 産業有機廃棄物とみなされ,大きな問題となって 物はいずれも500μg/g程度であり,フレ−バザ いる。 イム分解物は最も高く674μg/gとなった(第1図) 。 醸造廃酵母から酵母自身が持つ酵素による自己 しかし,フレ−バザイム分解物においても実 消化で得られる加水分解物に含まれる環状ヒスチ 際に商用に使用するには,CHP含量が不十分で ジン−プロリン(CHP)の活性は,糖尿病の血糖 あるため,濃縮方法を検討した。pH3.5における 値の制御と関係していることが知られている。こ 酸沈殿法(分子量の大きいペプチドの沈殿除去) の環状ジペプチドの機能を利用するため,種々の では濃度が2倍(1.2mg/g,回収率52%)になっ プロテアーゼ(ペプチド結合加水分解酵素)処理 により酵母加水分解物のCHP含量を高める試みを 行い,経口耐糖能の活性および抗酸化活性を評価 した。 加水分解には,ニュートラーゼ(エンドプロテア ーゼ) ,アルカラーゼ(エンドプロテアーゼ) ,プロ タマックス(プロテアーゼ混合物) ,フレ−バザイ ム(エンドプロテアーゼとエキソプロテアーゼ), フィシン(エンドプロテアーゼ)の5種類のプロテ アーゼ製剤を用いた。酵素/基質の比は1/100とし た。廃酵母8%の懸濁液に,各プロテアーゼの至適 pHにて50℃で48時間作用させ,加水分解するとと もに,CHPを生成させた。酵素を加熱失活後,遠心 第1図 さまざまなプロテアーゼによる廃酵母加水分解物 中の環状ヒスチジン−プロリン(CHP)含量 分離により上清を集め,加水分解物とした。 食品と容器 618 2011 VOL. 52 NO. 10 たCHPを活性炭に吸着させて液と分離後に脱着 させる方法では10倍(6.6mg/g,回収率14%)と なった。分子量10,000でカットオフする限外ろ過 㻋㼐㼊㻒㼇㻯㻌 では20倍(12.0mg/g,回収率67%)となった。 活性炭吸着 と 限 外 ろ 過 の 併 用 で は, 濃 度 は75 倍(51.0mg/g)となったが,回収率が2.4%と極 端に低く不適であった。よって,限外ろ過法を最 適方法として選択した。 こ の 濃 縮 物( 乾 燥 物 ) の 組 成 は, 水 分 含 量 5.4 %, 粗 脂 肪 含 量0.8 %, 粗 タ ン パ ク 質 含 量 64.9%,炭水化物含量26.9%,灰分含量0.9%で あった。アミノ酸組成は,グルタミン酸が最も多 く14%,ヒスチジン4.5%,プロリン2.0%であ った。全窒素含量は103.8mg/g,アミノ態窒素含 㻋㼐㼊㻒㼇㻯㻌 量は58.1mg/g,平均ペプチド長は1.78であった。 抗酸化性に関してはラジカル捕捉能を調べた 結果,加水分解物の濃度が高くなるにつれて高く なった。ABTSラジカルの捕捉能は加水分解物の 濃 度 が1.5mg/mLの と き 阻 害 率 が66.5 %, DPPHラ ジ カ ル の 捕 捉 能 は2.5mg/mLの と き 59.9%であった。それぞれの50%捕捉濃度(IC50) は,0.9mg/mL,1.9mg/mLであった。 食べたCHPには,メカニズムは十分に明らか になっていないが,亜鉛と協力して,インシュリ ン感受性の改善や血中グルコースの低下作用が知 第2図 廃酵母加水分解物のマウス血糖値の上昇抑制 効果 上段,1型モデルマウス:下段,2型モデルマウス *p<0.05 : **p<0.01で有意差有り られている。そこで,このCHP含量を非常に高 くした廃酵母加水分解物の血糖値上昇抑制効果を マウスを用いて調べた。4週齢のICRマウスを 3週間飼育環境に慣れさせた後,試験に供した。 こう 糖尿病誘発剤であるストレプトゾトシンを腹腔内 加水分解物投与区は無投与の対照より有意に血糖 に 注 入 し, 絶 食 時 の 血 中 グ ル コ ー ス 濃 度 が 値が低かった。2型では,グルコース投与後10分, 180mg/dL以上の個体を1型高血糖症のモデルと 20分では有意 差がなかったが,30分,60分, した。また,db/dbマウス(レプチン受容体欠損 100分で有意に低かった(第2図)。 系統)を2型糖尿病のモデルとした。廃酵母加水 以上のように,廃酵母のフレーバザイムによる 分解物を100mg/kg体重を摂取させ,グルコース 加水分解と,それに続く限外ろ過により,CHP を2.5g/kg体重を与え,血中グルコース濃度を測 を高濃度に含有する加水分解物が調製できる。こ 定した。 のものは,ラジカル捕捉能と血糖値上昇抑制作用 1型モデルでは,グルコース投与後30分,60 を有しており,機能性食品の素材として利用でき 分,90分,120分 の い ず れ の 時 期 で も,廃酵母 ると結論した。 食品と容器 619 (松倉 潮) 2011 VOL. 52 NO. 10 海外技術情報 PepsiCo 社のヘルシー製品開発戦略 ( )p.30( 11・4)文献 №5684 世界的な食料品・飲料品企業,PepsiCo社は, J.M C I NTYRE 氏 は,2009年 7 月PepsiCo社 に 入 自社の製品ラインアップの拡充・拡大を検討して 社し,薬品,食品原料,農業研究の経歴を有する いる。「絶え間ない改良を」というスローガンを 人物だ。 商品企画専任チームに掲げ,2009年の研究開発 PepsiCo社の研究開発チームは,人間の健康, チームの再編では,風味,色,味などを超えて, 知覚科学,包装・材料科学,加工技術などに特化 商品を支える科学的技術を掘り下げ,消費者が楽 した全社的な研究体制構築に力を入れている,と しめる商品提供を目指している。 J.MCINTYRE氏は言う。その実現のため,内部によ この再編において,PepsiCo社は,天然素材に り一層焦点をあてて,研究開発に力を注いできた。 よる商品開発と健康志向のポジショニングを目指 PepsiCo社の研究開発チームは,食品および飲 して,それぞれに専門性と独自の見地を持つ臨床 料品原材料のさまざまな要素の科学研究に力を注 医,疫学者,食品科学者からなる世界クラスの人 いでおり,その中には糖分の削減や果物・野菜の 材を招集。さらに最新の科学と原材料の研究を目 使用増などの課題も含まれている。この社内研究 的として世界中の研究機関と提携した。 開発チームは,社内的にも社外的にも厳格な指針 これは「PepsiCo社の技術革新の手法を変えた」 に基づいて運営されており,精密な科学的査定に とPepsiCo Beverages North America社 の イ ノ も耐えなければならないとM C I NTYRE 氏は言う。 ベーション&インサイト担当上級副社長 J.C AGE 研究では,食品や飲料品の成分を徹底的に調べ, 氏は言う。「アイデアはどこからでもやってくる。 その香り,風味,口あたり,嗜好への影響を掘り そのため,世界規模の研究開発ネットワークは将 下げるという。MCINTYRE氏によれば,その目標 来の成長に欠かせない資源だ」と同氏は語る。 は,PepsiCo社の優れた味覚基準を維持しながら, 「この研究開発体制によって,2020年までの糖 栄養面での便益をもたらすことができる健康に良 質添加25%削減を含む,PepsiCo社の栄養素材 い製品の開発方法を知ることだと言う。 関連の意欲的な目標は達成できる」 。 相乗効果の活用 PepsiCo社の研究開発チームを率いるのは,最 研究開発チームが世界中の研究チームからの知 高科学責任者兼Global Nutrition Group(GNG) 見を得る上で,PepsiCo社の世界的な存在感が機 最 高 経 営 責 任 者 のDr.M.KHANだ。 こ のGNGは 能している。M C I NTYRE 氏が国際チームと共同で 2010年10月 に 発 足 し, 果 物, 野 菜, 穀 物, 乳 全社的プロジェクトを担当し,新製品投入は現地 製品,および機能性栄養素分野での飛躍的革新を レベルで対応していると言う。 目標としている。シカゴを拠点とするこのグルー 「仮に,ある世界的プロジェクトがほかの地域 プの設置は,2010年に約100億ドルだった栄養 の消費者にも通じると思えば,中枢グループを通 ビジネスの収益を10年後には300億ドルにする じて,それらの製品や技術をほかの地域で用いる という長期的成長戦略の一環である,とPepsiCo (社内で『リフト&シフト』(壁を越えて移す) 社の会長兼CEOのI.NOOYI氏は昨年語っている。 と呼ばれている)ことが可能」とM C I NTYRE 氏は GNGは,長期研究や健康,食品,経営戦略,財 言う。北南米の主要研究拠点から地域全体へ『リ 務など,それぞれ特化した分野を担当する幹部か フト&シフト』できるし,地域内にチャンスが特 らなる本社研究開発チームによって支援されてい 定できれば,地域から『リフト』して,サポート る。R&Dグ ロ ー バ ル 飲 料 担 当 上 級 副 社 長 の センターへ持ち込み,全地域に仕向けることがで 食品と容器 620 2011 VOL. 52 NO. 10 きる。 かの人工甘味料のような強い甘味は持ち合わせて 「ローカル対グローバル」というアプローチは, いない。甘味を増やそうとすると,ある種のフレ 約1年前にグローバル飲料研究開発チームを再編 ーバーや味の特徴を持ち込むことになる。Reb A 成する上での刺激になった,とMCINTYRE氏は言 を増加させると苦みや甘草のような味がしてしま う。 う。それらはPepsiCo社の飲料品の多くにはそぐ またPepsiCo社には,軽量化ボトルなどの新 わないと考えられ,開発の際に重要視したのは, しいパッケージ素材や,その他の革新的技術を専 素晴らしい風味を保ち,苦みを出すことなく適度 門に研究する研究者もいるという。 な甘味を得ることのできるフレーバーシステムと 「パッケージデザインは,人々を商品に惹き付 フレーバープロファイルを見つけることだった」 け,魅了し,優れた消費者経験を与える上で大変 と言う。 重要な要素である。そして素材,デザイン,材料 甘 味 料 に 関 す る さ ら な る 選 択 肢 と し て, 構成を理解することも,より独創的なデザイン能 PepsiCo社 は2010年 8 月, 食 品, 飲 料, 原 材 料 力を発揮するために重要だ」と同氏は言う。 業界向けに新しいフレーバー材料を発見,開発す マトリクス組織のもとでは,開発スケジュール る企業であるSenomyx社(San Diego)と4年 が加速するだけでなく,ある特定分野に注力する 間の提携契約を結んだ。PepsiCo社によれば,こ ことで,研究開発チームのメンバーが専門性を持 の提携は同社の低カロリー飲料製品用の甘味増強 つことができる,とM C I NTYRE 氏は言う。 剤と強力な天然甘味料の発見,開発,商業化を目 地域間で可視性が保たれているのと同様,ブラ 指 し た も の で, そ の 提 携 の も と で 開 発 さ れ た ンドごとのプロジェクトや,特定の問題解決や実 Senomyx社の甘味原料に対しては,PepsiCo社 用化技術に特化したプロジェクトにおいても,可 が独占権を得るという。 視性が保たれている。この可視化によって,上級 またSenomyx社との提携は,甘味知覚に関す 管理職も研究チームがいま何のプロジェクトを進 るヒトの生物学と生理学の調査も含んでいる。 めているか,それらのプロジェクトのもたらす利 それは「商品の流行を追ったアプローチという 益,発売予定日,プロジェクトによって強化され より,味覚全般を本当に理解しようとするちょっ る技術などを掌握することができるという。 とした生物学的アプローチ」だ。 甘味料戦略 革新のポイント マ ト リ ク ス 組 織 の 実 施 に 先 立 つ2008年, PepsiCo社は,天然成分の商品を拡充すること PepsiCo社 が 初 め てPureVia( ス テ ビ ア ベ ー ス に力を注いでいるが,それぞれの製品に処方の課 の甘味料)を使用した飲料を発売した際に,その 題があるとM C I NTYRE 氏は言う。一方で,研究開 組織構造の利点に気付いた,とM C I NTYRE 氏は言 発チームでは,PepsiCo社製品に使われる天然成 う。 分の割合を増やすように取り組んでいる。 「私たちはリボディオサイドA(Reb A)への 「つまり,世界中を探し回って,各地の食物と 取り組み方が重要になると感じ始めていた。Reb A 調理の知識を得ることで,新製品を見つけ出し特 を処方する方法が分かる専門的人材を擁し、そ 定するのだ」という。PepsiCo社の長期研究開発 れをプラットホーム横断で実行できる体制にす の目的は,GNGと共に,『目的意識を持ったパ るということだ」 。 フォーマンス』のアジェンダのもと,味に優れ, M C I NTYRE 氏はまた「研究開発の見地からすれ 健康にも良い食品・飲料品を世界的規模で消費者 ば,課題はステビア製品の特質にあった。ステビ に届けることだ。 (常盤恭徳) アは一見適度な甘味があるようだが,ショ糖やほ 食品と容器 621 2011 VOL. 52 NO. 10 海外技術情報 食中毒菌の最新検査機器 ( )p.74( 11・4)文献 №5681 食品の安全は食品産業の最も重要な関心事であ せ る た め,Mocon 社 は ア イ ル ラ ン ド のLuxcel り,いくつかの企業は食中毒菌の検査のための新 Bioscience社 と 共 同 で,2010年 末, しい機器の導入や導入計画を行っている。ここで を発表した。これらの装置は,従来の は,3つの事例を紹介する。 好気プレートカウント法(労力を要し,信頼でき PCRをベースとしたシステム る結果を得るには48時間が必要)の不便さの改 Life Technologies 社は,鶏卵の腸炎菌検査用の 良に取り組んだものである。この装置では,8時 最 初 の リ ア ル タ イ ムPCR(polymerase chain 間以内に結果が得られ,2つのモデルで実用化さ reaction:ポリメラ−ゼ連鎖反応)システムを発 れている。 960モデルは,大きな研究室用,910 売した。 モデルは小さな研究室や加工エリア用にデザイン FDAは, 同 社 の されている(写真1)。 は,精度, 正 確 さ, 感 度 に お い て, 当 局 の 検査サンプル中のバクテリアは増殖と呼吸をし て,酸素を消費する。装置はLuxcel Bioscience 社 に記載された標準法に匹敵す が開発した酸素に敏感なプローブを用いている。 ると言う。この検査では,鶏卵に腸炎菌が含まれ 酸素の濃度変化は,蛍光の変化で示され,蛍光プ るかどうかを27時間以内に判定できる。なお, レートリーダーによって測定される。酸素濃度の 従来の一般的な方法を用いると,10日間が必要と 変化はサンプル中の微生物負荷の計算に用いられ なる。 る。 この検査は,2010年の秋に鶏卵で,2011年1月 技 術 はAOAC Internationalに よ り きん には家禽 類環境で実施された。同社は,AOAC 性能検査済み試験法として認められている。 International,FDAなどから,その他のサルモネ サンプルの調製や分析法は,一般的な寒天培地 ラ属,リステリア菌,大腸菌O157:H7などの検査 法と同じである。食品サンプルは,ペプトン緩衝 でも認可を受けている。 液のような希釈液と混合され,ホモゲナイズされ 検査は,基本的な培地中で一晩かけて増菌培養 る。960モデルでは,酸素に敏感なプローブは, し た も の をApplied Biosystems社 のMagMix ホモゲナイズしたサンプル液と同時にマイクロ滴 Express-96 Magnetic Particle Processorを用い 定プレートにピペットで注入される。 910モデル た磁気ビーズ分離によって高収量のDNAを抽出 では,調製された食品サンプルが,あらかじめプ し,7500 Fast Real -Time PCR Systemを 用 い 写真1 Mocan 社 の たPCR分析までを1工程としたものである。検 査では定量的な結果は得られないが,異なる濃度 のDNA と比較することにより相対的に定量する サンプルは,酸素 に敏感なプローブ が含まれるバイア ルびんに直接ピペ ットで注入され, そしてバイアルび んは測定装置に挿 入される。 ことができる。分析方法は完成されたものだが, 2011年末には保存性を高めた凍結乾燥の形態で試 薬が上市される。 酸素消費をベースとしたシステム 食品中の微生物レベルを,より迅速にシンプル な方法で測定したいという食品産業の要望に合わ 食品と容器 622 2011 VOL. 52 NO. 10 写 真 2 Beacon Food Safety 社 の BrightSpotシステム ローブを含むAP Checkバイアルびんに,ピペッ トで注入される。 両装置とも,酸素濃度の変化がモニターされ, 超高感度のチップを 含むカートリッジに サンプルの一滴が加 えられると,カート リッジは病原菌の同 定 の た め,PCの デ ータ読取り器に接続 される。 結果は自動的に,1gまたは1mL当たりのコロ ニー形成単位(CFU)の数として表示される。 光放射をベースとしたシステム Beacon Food Safety LLC社は,使い捨て装置 (USBメモリー程度のサイズ)の導入を計画して いる。この装置は,時間がかかるサンプル調製が 不要で,約30分,サンプル1滴で 100種類以上 の診断検査ができる。 倍と推定される明るい青色光を発する。 ユーザーはサンプルの1滴をカートリッジに載 検査プラットフォームは,個々にアドレス可能 せ,コンピューターまたはPDAへ差し込む。病 な光学検出器を内蔵する112個の超高感度のチッ 原菌のバイオマーカーがサンプル中に検出される プをベースにしている。40倍以上の感度を持つ検 と,赤い光でサンプルが汚染されていることを示 出器と1,000倍明るい信号の組み合わせは,この す。 技術の心臓部である。 同社のBrightSpot技術は,極めて感度の高い 同社は,綿棒,バッグ,その他で構成されるサ 光センサーと,発光(luminescent)タンパク質 ンプルキットを開発している。綿棒キットを用い Gaussiaルシフェラ−ゼ(copepodと呼ばれる深 たサンプルの調製は3分で行え,サンプリングか 海の微小甲殻類由来の発酵酵素)を組み合わせて ら結果を得るまでの全工程は30分以内で完了する いる。これはホタルのルシフェラーゼの10,000 (写真2)。 (十時正義) 海外技術情報 味のマスキング技術とトレンド ( )p.51( 11・4)文献 №5683 消費者に受け入れられる食品,飲料はおいしく の苦味やオレンジジュース,ヨーグルトなどの強 なければならない。ここでは食品と飲料の不快な い酸味である。ほかには,微生物代謝,酵素分解, 味をマスキングする3つの方法について紹介する。 熱処理,脂質の酸化,ビタミンやミネラル,酸化 さじ “一匙のお砂糖で苦い薬も楽しく飲める”こん 防止剤の添加などが味を悪くする原因となる。不 な一節に聞き覚えがあるだろうか。メリーポピン 快な味を制御することは不可能ではないとしても ズのこの一節は,味のマスキング現象を説明する 困難である。食品中の嫌な味を抑制する方法とし 最も簡単な方法である。 ては,発酵や加水分解などで元から除去する,も 嫌な味は食品業界共通のコストのかかる問題で しくは砂糖や塩のような別の原料を加えるマスキ ある。長年,塩や砂糖,香辛料を用い,苦味や酸 ングがある。食品には元来,苦味はあるが健康に 味などの味を隠してきたが,機能性原料および栄 良い生物活性化合物が多くある(例えばフラボノ 養補助食品の使用が増え,味をマスキングする新 イド,ポリフェノール,ペプチド,ミネラル,テ しい戦略の必要性が増した。 ルペンなど)。これらの除去により味を向上させ 不快な味はもともと食品中に含まれることがあ ることは,本来の健康への好影響を失うことにな る。例えば,芽キャベツ,ブロッコリーなど野菜 る。そのため効果的なマスキングが,フレーバー 食品と容器 623 2011 VOL. 52 NO. 10 の改善とともに顧客に受け入れられる鍵となる。 効果的なマスキングには,口内で生じる相互作 10 用と同様,食品マトリックスで生じる相互作用を 理解する必要がある。知覚的な視点から,マスキ ⏉ ࠈ ⱖ 㓗 ሲ ᪠ 8 ングは口内レベル(抹消的な相互作用;味の抑制) 6 と脳内レベル(中枢の認知的相互作用;混合抑制) の2段階で生じる。マスキング技術はこの2つの 4 現象に基づくが,カプセル化や苦味だけを除去す るといった不快な味の発生源を除去するほかの技 2 術もある。3つのマスキング手段を記述する。 味の抑制(抹消的相互作用) 0 味覚は甘味,酸味,塩味,苦味,旨味の基本味 䟼 䟼 Sucrose QHCL CA NaCl MSG 㸟ࣚࢠࢷࢮ࣭ࣜࡢ⏉᪠ࡡវ▩ࢅᢒโࡌࡾ に分類できる。異なる受容体,変換メカニズムが それぞれの感知に関係する。2つの物が口内に存 在する時,多くの相互作用が起きると考えられる。 第1図 味覚のブロッキング 片方がもう片方の味覚受容体細胞もしくは味の変 ングする。これはメリーポピンズの薬と砂糖の例 換メカニズムを妨げるかもしれない。苦味の受容 にも示される。この場合砂糖は必ずしも口内の苦 体は約25あり,1つですべてに効くブロッカー 味受容体に働くわけではなく,抑制はより高位の の発見は困難だ。しかし,特定の味を効果的にブ レベルで生じており,味やにおいは一体化され, ロックする物質も存在し,ギムネマシルベスタや いわゆる風味として認知される。すなわち混合抑 ジジフ ィ ン 抽 出 物 は 甘 味 の 感 知, ラ ク テ ィ ソ 制は脳内で起きている。また,抑制は味対味に限 ー ル(Na-2,4-methoxyphenoxy-propanoate) 定されず,香り対味の増強や抑制も可能である。 は,甘味と旨味の感知を抑制することが知られて 技術としての混合抑制が最近注目されている。 いる(第1図)。ほかには,一定の濃度で苦味を 混合抑制によるマスキングは歴史的に試行錯誤を 抑制することが知られているナトリウム,亜鉛塩 繰り返してきた。NIZOは,香り対香り,香り対 などがある。 味の相互作用を体系的に検査できる技術 この分野では最近,特定の受容体に対して味の ® Olfactoscan (香りの相互作用参照)を開発し 信号を活性化もしくは抑制するかの検査,分析が た。この技術は,香りあるいは味をパルスで送り 中心となっている。この技術の問題は,抑制作用 続け,一方で連続して供給する異なった香り成分 が見つかっても安全面から使えない化合物がある と一緒にして評価パネリストに決められた回数を こ と で あ る。 こ の 問 題 を 克 服 す る 方 法 と し て 送るものである。Olfactoscan NIZO食品研究所は,食品等級分別技術を使用し, 効果的に味をマスクする食品由来の香りにある化 訓練された官能パネラーにより抑制作用を持つ天 学物質を選択できる。 然素材を探している。天然素材は果物,野菜,香 カプセル化によるマスキング 辛料,発酵産物にある。この総体的な手法が昔か 味の抑制もしくは混合抑制が適さない時,もう らの知識と組み合わされ,マスキングに最適な解 一つの方法がある。カプセル化による苦味のマス 決策が見つかるだろう。 キングは栄養強化食品にとって重要な問題解決方 混合抑制(中枢の認知的相互作用) 法になる。マイクロカプセル化の主な技術は,乳 多くの場合,呈味物質は2種以上存在すると, 剤の噴霧乾燥および相分離による濃厚液滴形成 単体で存在する時とは異なる反応をする。一つの (コアセルべーション)である。コアセルべーシ 味が十分に強い時,もう一つの味を完全にマスキ ョン法によるマイクロカプセル化は,生物高分子 食品と容器 624 は,機能的かつ 2011 VOL. 52 NO. 10 複合体が,核(今回は苦味成分)の周りに層を形 成することによってなされ,核となる成分が食品 中で呈味するのを阻害する。NIZOのR&D計画 は,コアセルべーションによるマイクロカプセル 化が苦味を効果的にマスキングすることを実証し た。この一例として,オレンジに含まれる苦味成 カプセル:1∼10μm 分ナリンギンをマイクロカプセル化することによ 第2図 苦みのマイクロカプセル化 り,苦味はほとんど感じられなくなった(第2 図)。 方法は,新しいマスキング物質を実用化するため 味覚に関する分野の向上は食品摂取の際に起き の費用対効果の優れた検査法である。味をマスキ るほかの相互作用の理解も助けている。より複雑 ングするというのは,顧客を満足させるための一 な食習慣になればなるほど,より複雑な技術がお つの考え方である。第一印象は常に消費者に受け いしい食品を届けるために必要となる。NIZOの 入れられる鍵である。 (伊藤るり) 海外技術情報 ハーブおよび薬効植物の飲料利用 ( )p.55( 11・3)文献 №5676 今までのところ,飲料産業におけるハーブや薬 っていると彼は付け加えた。 効植物の位置づけは,機能性や,健康のカテゴリ “認知”に関してMartin Bauer社は,ハーブや ー が 上 位 に ラ ン ク さ れ て い る, とBI Nutra- 薬効植物であるガラナ,イチョウなどが使われて ceuticals社の副社長W.POSTELWAIT氏は言う。 いて,さらにそれらは多くのエネルギードリンク 手に入る多くのハーブのうち,緑茶や紅茶に代 にも使われていることに言及した。 表 さ れ る お 茶 が 突 出 し て 使 わ れ て い る, と 「さまざまな飲料の中に含む成分として,一番 Martin Bauer Inc取 締 役 のG.V ORSHEIM氏 は 言 にカフェインが挙げられる」とVORSHEIM氏は言 う。 う。カフェインはあるハーブや薬効植物が持つ重 米国国立補完代替医療センター(NCCAM)に 要な効能の一つになっている。なぜならそれは消 よると,緑茶やそのエキスは,精神的敏しょう性 費者によく知られている天然原料だからであると の改善や体重の減量を助ける目的で飲料に使われ 同氏は言う てきた。お茶とそのエキスは,抗酸化カテキンの さらなる機能の提供 エピガロカテキン没食子酸塩(EGCG)を含む 機能性飲料の拡大によって,ハーブや薬効植物 ことで知られている。 は数多くの飲料に利用されるようになった。 「緑茶の機能的特性である,代謝における熱発 Ethical Naturals取 締 役 のA.MCKELVEY氏 は 生特性はより知られるようになってきた。緑茶の 「彼らは特定の健康機能をターゲットにするとき EGCGによる抗酸化特性もより一般的になって に使っている。企業はハーブや薬効植物で心臓や きている」とPOSTELWAIT氏は言う。 目の健康,リラクセーション,美容やアンチエイ VORSHEIM氏も,消費者と飲料企業の最大の関 ジングなどをターゲットにすることができる」と 心は抗酸化物質にあると認めている。お茶に含ま 言う。 れる抗酸化ポリフェノールや抗酸化フラボノイド Terry Lab社営業部長のP.ANDERSON氏は機能 などの活性化合物に,飲料企業の鋭い関心が集ま 性飲料を新興成長市場だとみている。 食品と容器 625 2011 VOL. 52 NO. 10 「飲料産業の最近の流行はハーブや薬効植物を 方は薬効植物中のフラボノイドなどを製品に多く 使った多機能性飲料だ」と同氏は言う。「消費者 利用しようとするが,できるだけ異味を抑えたい は買い物の予算を気にしつつ,飲料はのどの乾き とも考えている」。 を潤すだけでなく,ビタミンやミネラル増強剤な アメリカで,特定健康飲料を作製するときに, どとして効能があるものとみている」 。 あるハーブ原料とハーブエキスがおいしくないこ リラックスのための時間 とが大きな問題となっていた,とVORSHEIM氏は いくつかの原料供給業者は,機能性飲料の分野 言う。 において,休息とくつろぎを目玉にした製品発売 ハーブと薬効植物の利用における風味劣化を抑 が拡大していることに注目している。リラクセー えるためには,薬効植物を抽出するテクノロジー ションの目的で供給業者が使ってきたハーブや薬 に集中することだとPOSTELWAIT氏はみている。 効植物には,カモミールやレモンバーム,ラベン MCKELVEY氏が見た方法の一つに,レスベラト ダーなどがある。 ロールを溶解させるテクノロジーとして,エキス 「人々はこれらの植物に抗不安性の効能を求め を包み込み溶けやすくし,さらに味もよくするナ ている」とMCKELVEY氏は言う。 ノ構造の脂質担体を使う方法がある。 例えば,Two Leaves and a Bud Tea社はレモ MCKELVEY氏は確かにフレーバーが重要だと付 ングラス,ペパーミント,カモミール,レモンバ け加える。もし消費者がその飲料を飲めないなら, ームなどを含んだBetter Rest Blendを発表した。 二度と買う気にはならないだろうから。しかし企 高いリラクセーション効果を提供できるよう原料 業は溶解性に囚われてもいけない,と同氏は言う。 を選んだ,と同社は言う。 「社会がより健康になるにつれ,人々は飲み物 「あなたはティーバッグにカモミールが使われ のボトルの底の沈殿物を探し,おいしいハーブと ているのを見ることがあるでしょう・・・それが 薬効植物が入っていて,ちゃんとした機能性が備 リラックスするのを助ける効果があることは,北 えられていることの証しにしようと考える」と アメリカの市場のホット飲料部門ではすでに知ら MCKELVEY氏は言う。 れていることである」とVORSHEIM氏は言う。 ハーブや薬効植物を使って利益を生む新しい飲 リラクセーション飲料は,エネルギードリンク 料を探すことに革新の焦点を当てることもできる。 部門での過度のカフェインから消費者が抱くエネ その目的が抗酸化関連向けだったり,製品に含ま ルギーの印象を払拭させようとのねらいがある, れる絞り汁の量を減らしたり,味のプロファイル と同氏は言う。 を変えたり,乳飲料に加えたり,子供用の製品に 「我々が求めているエネルギ MCKELVEY氏は, 使ったりといったことはともかく,ハーブや薬効 ーは効能が絞られ,さらに鎮静効果があるもので 植物が拡大できるいくつもの方法をVORSHEIM氏 それにより生活が実り多く健康でいられるもので は予測している。そして消費者がハーブにより親 ある」と言う。 しくなってくれることで拡大が進む,と同氏は言 市場革新 う。 原料供給業者は,飲料企業がハーブや薬効植物 「我々はある大きな活動に対する準備はできて を多様な種類の飲料に使ってきたのをみてきたが, おり,そして革新はハーブと関係するものとなろ これらの原料に対してまだ多くの革新が起こると う。なぜならハーブはまだ我々の文化にそこまで 予測している。 定 着 し て い な い か ら 」 とV ORSHEIM 氏 は 言 う。 「液汁ベースではない薬効植物原料を扱ってい 「ハーブを組み込むためには,現存する飲料にし るときの最大の課題として,言うまでもなく味質 ろこれから開発される未来の飲料にしろ,革新が 「あなた が挙げられる」とPOSTELWAIT氏は言う。 必要だろう」。 食品と容器 626 (今城 匠) 2011 VOL. 52 NO. 10 海外技術情報 加熱処理食品をレトルトする際のヘッドスペース圧力の測定と予測 ( )p.E298( 11・4)文献 №5685 はじめに 2006)。さらに,WAGNER氏とPRUSS氏(2002)に レトルトパウチあるいはレトルトトレーは,伝 よ る 式 は,IAPWS(Intl. Assoc. for the 統的な缶やびんに代わり,広くマーケットで受け Properties of Water and Steam)により推奨さ 入れられている。しかしながら,レトルト容器内 れ,凝集性のないガスにおいて,理想気体の法則 の圧力(ヘッドスペース圧力)が加熱中に高くな に従って,純水に適用できることが明らかになっ ることがあり,また,内容物が膨張することなど ている。食塩水およびショ糖溶液の場合は,ラウ により,容器が破壊されることが懸念されるため, ールの法則が水蒸気圧の予測に適用できる。 加熱中は容器内外の圧力が釣り合うように,レト 本研究の目的は,レトルト加熱工程におけるヘ ルト装置を厳密に制御する必要がある。実際の工 ッドスペース圧力の変化を予測する方法を開発す 業用の工程では,レトルト容器にオンラインセン ることにある。 サーを取り付け,容器の内外圧力差が生じないよ 実験方法 うにレトルト装置の圧力を制御している。このセ 温 度・ 圧 力 セ ン サ ー を 内 部 に 入 れ た 容 量 ンサーは,高い圧力制御レベルを実現するために 475mLのアルミニウム製円筒容器を,パイロッ 非常に有効ではあるが,調整に時間と人手が掛か トスケールのレトルト装置に入れ,121℃で注 り,新しい工程ごとに調整し直す必要があった。 意深く圧力条件を調整し,1試料3反復で実験を レトルト容器に入った食品を殺菌する際に要求 行った。処理時間は,試料により異なるが,おお される外部圧力の制御方法は,これまで,試行錯 むね60分前後であり,立ち上がりに10∼12分, 誤か前述のオンラインセンサーによって決められ 冷却に8∼10分程度を要した。試料として,蒸 ていた。一方,この圧力制御に必要なレトルト容 留水,10%ショ糖溶液,5%食塩溶液,緑豆,ス 器内の圧力解析に関して,さまざまな数学的なア イートピーを用いた。緑豆,スイートピーは,5 プローチも行われてきた。 分間の湯通し後に冷却し,室温に戻してから容器 食品のような複雑系では,さまざまな要因が一 に入れ,蒸留水を加えて所定の量とした。 度に生じ,熱力学的な性質を解析することは難し 圧力変化の解析は,ヘッドスペースのガスが水 い。FLEDENSLUND氏ら(1975)により提案された 蒸 気 の み と 仮 定 し, 水 蒸 気 の 比 熱 比γを1.324 UNIFAC(UNIversal Functional Activity (V AN -W YLEN 氏とS ONNTAG 氏 1965:L ANGE 氏 Coefficient)は,液相の活量係数を予測する方法 1970:W HITE氏 1986) と し て, 次 式 を 用 い て として,解析速度が速く,信頼性のある解析ツー 計算した。 ルとして実績がある。UNIFACはさまざまなパ P1(γ-1)/T1γ= P2(γ-1)/T2γ γ=1.324より 4.09 ラメーターを決める必要があるが,食品へ適用す ∴ P2=P1・(T2/T1) る場合に特に重要となる糖および食塩の溶液に適 実験結果 用できるパラメーターは,すでに有効性が確認さ 蒸留水の実験結果の一例を第1図に示した。所 れ 公 表 さ れ て い る(SPILIOTIS氏 とTASSIOS氏 定のレトルト条件まで,容器内,容器外(レトル 。これにより, 2000:DHAL 氏とMACEDO氏1992) ト装置内)の温度と圧力は徐々に上昇し,その後 さまざまな温度での混合液の蒸気圧を計算できる。 一定となった。この時,容器の内圧は外圧に対し また,水表面の蒸気圧を計算するために,さまざ て23kPa高くなり,一般的なレトルト包装容器 ま な 数 学 的 な 式 が 提 案 さ れ て い る(VOMEL氏 では膨張または破裂する圧力差となった。第2図 食品と容器 627 2011 VOL. 52 NO. 10 ウム容器と反応し水素ガスが発生したことにより, ᷷ᐲ ኈེᄖ᷷ᐲ ኈེౝ᷷ᐲ ജ 塩化ナトリウム,塩化アルミニウム,酸化アルミ ኈེౝജ ニ ウ ム( 沈 殿 物 ) 等 が 生 成 さ れ(US Dept. of ኈེᄖജ Energy 2008),さらに水素ガスの発生により圧 力が上昇したものと考えられた。 緑豆の試料では,蒸留水の場合と同様,容器内 外の圧力差が29kPaとなり,レトルト包装容器 の変形あるいは破裂の危険性が示唆された。圧力 ᤨ㑆 の予測値と実験値は,実験期間全体に渡って予測 第1図 レトルト工程における実験容器内外の温度及び 圧力の変化(蒸留水の一例) 値が若干低くなる結果となった。これらの現象は, 緑豆中に保持されていた空気や硫黄化合物の影響 㩷 と考えることができる。 ᷷ᐲ ታ㛎୯ スイートピーでは,容器内外の圧力が,これま ੍᷹୯ での実験とは逆に,容器内部の圧力が外部の圧力 に対し12kPa程度低くなった。また,圧力の予 測値が実験値を大きく上回った。スイートピーは 緑豆に比べ水分含量が低く(78%,緑豆は92%) , 糖質やデンプンの量も多いことから,緑豆や蒸留 ᤨ㑆 水に比べ蒸気圧が低くなったものと推察される。 第2図 実験容器内の圧力の実験値と予測値 (蒸留水の一例) 結論 今回用いた予測式では,蒸留水,10%ショ糖溶 には圧力変化の実験値と予測値を示した。レトル 液,5%食塩溶液では,実験値と予測値がほぼ良 トの殺菌温度保持時間内では両者は良好に一致し 好に一致した。緑豆とスイートピーでは,水の解 かい たが,初期の立ち上がりでは多少の乖離があった。 析モデルをそのまま適用したが,緑豆では水分量 温度センサーが容器内部の底部にあるため,ヘッ が多く,溶出成分も少ないため,実験値と予測値 ドスペースの温度上昇に比べ,計測温度が遅れた が比較的よく一致することが明らかになった。一 ためと推察された。 方,スイートピーでは,水分量が少なく,溶出成 10%ショ糖溶液では,圧力の予測値と実験値は 分も多いため,単純なモデルを使って,ヘッドス ほぼ一致したが,予測値の方が多少高くなった。 ペースの蒸気圧を予測するのは難しいことが分か ラウールの法則に従って蒸気圧を補正したが,ラ った。また,食塩溶液の実験で,白濁が生じ,水 ウールの法則だけでは,ショ糖溶液中の分子間相 素ガスの発生が疑われたことから,アルミニウム 互作用や各種の結合が蒸気圧に与える影響を十分 製の容器は不適当であり,今後の実験ではステン に予測できないためと考えられた。 レス製にすべきであることが分かった。さらに, 5%の食塩溶液では,実験値は所定のレトルト 今後,複雑な成分や化学組成を持つ食品のヘッド 保持時間のあいだ徐々に増加し,保持初期の段階 スペースガスを解析する場合には,今回のような では一致していた予測値が,保持末期では実験値 理想気体の蒸気を前提としたモデルから,水分活 に比べわずかに上昇した。また,実験後の食塩溶 性などの特性を含む新たなモデルに改良する必要 液は白濁し,沈殿が生じた。食塩溶液がアルミニ がある。 食品と容器 628 (大谷敏郎) 2011 VOL. 52 NO. 10 業 界 ト ピ ッ ク ス ◇麦茶の寄与に期待,11年の日本茶飲料 10年は3カテゴリーで1%減 10年の日本茶飲料3カテゴリー合計実績は, 箱数ベースで前年比1.1%減の3億1,527万箱,容 量ベースで0.7%減の338万4,100kL(ともにシロ ップ・パウダー除く)とわずかに届かず,3年連 続のマイナスを喫した。清涼飲料総市場(パッケ ージのみ)で2.4%増(シロップ・パウダーを除 く実箱ベースで17億8,840万箱)と猛暑の恩恵を 享受したのに対し,日本茶飲料は長引く景気の低 迷(マイボトルの普及,リーフ需要拡大)や,競 合カテゴリーの台頭(広義ではゼロ系飲料全体) などの複合要因により,減少を喫した。見方を変 えると,猛暑の寄与があったにもかかわらずマイ ナス成長となった訳で,清涼飲料市場の中におい て完全に“伸びあぐねている”状況といえよう。 ただし,3カテゴリーすべてが低調,というこ とではない。カテゴリー各々の増減を見ると,緑 茶飲料が箱数で1.5%減(容量で1.1%減),混合 茶飲料が箱数で3.3%減(同2.8%減)と苦戦して いるが,麦茶飲料は箱数で11.6%増(同11.1% 増)と規模は小さいながらも2ケタ増を達成して おり,昨年は過去最高だった01年実績をさらに 上回り,過去最高実績を更新した。4年連続のプ ラスであり,苦戦が続く日本茶飲料の中にあって イボトルの普及が進んでいるにもかかわらず,前 年から1.1ポイントも拡大した。PET化比率で見 ると,ミネラルウォーターの93%,スポーツド リンクの90%にはわずかに届かないものの,清 涼飲料の平均値からおよそ22%も高い数値であ り,茶系飲料と同容器の親和性の高さがうかがえ る。因みに3カテゴリー別にPET化比率を見て みると,緑茶飲料が85.1%,麦茶飲料が83.1%, 混合茶飲料が91.3%と最大値となっている。 今年の日本茶飲料 今年の清涼飲料総市場は,3月11日に発生し た東日本大震災とその後の原発事故によりさまざ まなマイナス要因を被った。日本茶飲料において も,容器不足は一時的ながら深刻な状況となり, 3カテゴリー全体の上期実績は2%前後のマイナ スを喫した。 緑茶飲料は,上期2%減で折り返し,下期に入 ってもマイナス基調が続いていることから,通年 で実績を確保することは,厳しそうな情勢。混合 茶飲料は,上期7%減で折り返している。下期に 入っても需要は上向かず,ブランドでは「十六 茶」のみが気を吐いている。通年でも,上期実績 と同程度のマイナスが予想されている。麦茶飲料 は,トップの伊藤園が上期5割近い伸びを記録, 今後はアサヒ「六条麦茶」,サントリー「伊右衛 唯一明るい材料といえよう。 容器別構成,PETは86.4% 日本茶飲料の容器別構成を見てみよう。清涼飲 料総市場の容器構成ではPET容器が64.8%(全国 清涼飲料工業会調べ/ 10年実績)となっている が,日本茶飲料3カテゴリー合計では86.4%と非 常に高い比率となっている。景気低迷を背景にマ 門 京番茶入り麦茶」の積極展開も期待できるこ とから,通年では控えめに見積もっても2∼3割 の増加は望めよう。 9月を含め,残り4カ月。日本茶飲料がどこま で巻き返せるか,注目したい。 (業界誌記者 戸田雅雄) 第1表 日本茶飲料の年次別生産量 年次 単位 千箱 kL 千箱 08 年 kL 千箱 09 年 kL 千箱 10 年 kL 07 年 缶 29,800 211,090 25,890 183,390 24,970 174,600 22,940 160,400 食品と容器 緑茶 PET 他 計 前年比 207,600 237,400 99.6 2,246,620 2,457,710 99.1 206,510 232,400 97.9 2,247,810 2,431,200 98.9 201,270 226,240 97.3 2,208,300 2,382,900 98.0 199,950 222,890 98.5 2,196,100 2,356,500 98.9 麦茶 缶 PET 他 計 250 18,250 18,500 2,230 210,980 213,210 240 19,460 19,700 2,140 227,140 229,280 240 19,800 20,040 2,050 230,530 232,580 240 22,120 22,360 2,050 256,430 258,480 629 前年比 119.7 117.0 106.5 107.5 101.7 101.4 111.6 111.1 日刊経済通信社調 混合茶 缶 PET 他 計 前年比 7,810 73.890 81,700 112.0 63,370 817,630 881,000 111.5 6,140 69,110 75,250 92.1 49,820 772,220 822,040 93.3 6,140 66,240 72,380 96.2 49,800 741,800 791,600 96.3 4,900 65,120 70,020 96.7 39,750 729,370 769,120 97.2 2011 VOL. 52 NO. 10 食べもの随想 気になる字 ― 八 ― た むら しん ぱち ろう 田 村 真 八 郞 (元農水省食品総合研究所長) 私は八という字をずっと気にしてきました。多 はありませんし,8の字は逆に好きな字ですから。 分,小学生の3,4年になって名前を漢字で書く ところで,そういうこととは無関係に八の字の ようになった頃からだと思います。つまり私の名 ことを考えてみます。 前・田村真八郎の中の八が気になり出したのです。 大昔は,日本では1,2から8ぐらいまでしか 正確にはむしろイヤな気がし始めたのです。 数えられなくて,八は多いという意味を持ってい 両親は八が末広がりで縁起が良いと考えて使った たようです。古代には日本のことを大八州と呼ん のだと思います。明治時代の日露戦争(明37 ∼ 38) でいましたが,これは多くの陸地があるという意 で,世界の大国・ロシアのバルチック艦隊に日本 味でしょう。また半世紀以上も前の太平洋戦争 海海戦で大勝し,まだ駆け出しの極東の小国・ (1941 ∼ 1945)の頃は「…八紘一宇…」という用 日本を有名にした連合艦隊司令長官・東郷平八郞 語がよく使われました。八紘というのは大きく世 の八にあやかれということだったかも知れません。 界全体のことで,一宇というのは一つの家という しかし私が八という字がイヤになったのは東郷 ことです。ですから世界全体を一つの家にして仲 平八郞とは無関係でした。その理由は明白で,私 良く生活しましょうということです。悪いことで が弱虫だったからです。当時,少年講談だったか はないでしょう。ところが当時の日本は軍国主義 と思うのですが,戸田新八郞とかいう強い人の話 の時代ですから,その家の家父長は当然日本人だ が大流行だったのです。戸田新八郞は槍の達人で ということで,諸外国からは嫌われてしまったわ 大活躍していたわけです。 けです。 後で考えてみれば,田村真八郎と戸田新八郞と 「…七転八起…」「…八股大蛇…」なども8つと は何の関係もないわけです。ですから何も比較し いう意味よりもむしろ,多くのの意味のようです。 て,どうのこうのという必要はないわけです。し ですから「7回転んでどうして8回起きるの?」 かし少年時代の当時はゴテイネイにも比較して, など質問するのはヤボというものでしょう。 戸田新八郞が強いのに田村真八郞は弱いので,す 昔の東京の「…大江戸八百八町…」大阪の「…難波 っかり自分の名前,真八郞がイヤになり,八さえ の八百八橋…」なども広さ大きさを誇らしく言っ なければと八の字を憎みました。どういう文書, ているわけです。その行きつく先は,キリスト教 小説であっても,解説であっても,ページをめく やイスラム教の一神教と異なり多神教の日本では, ると,八の字が気になります。八の字があるとイ 八百万の神様ということになります。茶摘みの八 ヤな気分になるわけです。数が気に入らないので 十八夜も五月晴れの青空を大きく広く見せるのに オオヤシマ ハッコウイチ ウ ナナコロビヤオキ ヤマタノオロチ コロ ナニワ ヤオヨロズ 食品と容器 630 2011 VOL. 52 NO. 10 一役買っているようです。また時間が長く続くこ 勝ち抜き戦は合理的と言えます。 とを「…千代に八千代に…」と言って,万代を使 ところが時に「…負け抜き戦…」の場合があり わず八千代を使うわけです。 ました。根性をつけようという意図でしょう。こ 全体的にみれば八を使った用語は良い意味を持 れは負けたほうが残って次の相手と取るわけです。 つものが多いようですが,一方で悪い意味を持つ これだと何回も負ければくたびれて勝てなくなり ヤオチヨウ ものもあります。 「…ウソ八百…」とか「…八百長 ます。ですから誰かが負けてやらなければ土俵か …」とかです。また「…口も八丁 手も八丁…」 ら降りられなくなります。これはクラスの仲間に は良い意味にも悪い意味にも使うようですが,ど はわかるわけです。それでわざと負けてやる,つ ちらかと言えば,信用できない感じがあると言え まり八百長角力をとることになります。実際には, ましょう。 立ち会いから突っ込んで行って転ぶわけです。そ 八百長は近年では評判が悪いのですが,私は必 れで土俵から降ろしてやるわけです。小学生のク ずしも悪いばかりではないと思います。八百長の ラスメートの間の絆のほうが,負け抜き戦を指示 語源は江戸時代で,手広く八百屋を営んでいた長 した先生との絆よりずっと強いからです。それで 兵衞さんという人がいたのだそうです。その八百 男の子ならみんな八百長角力をとったことがある スモウ 屋の長兵衞さん・八百長さんは角力が強かったわ と思っています。私は八百長は日本のすぐれた文 けです。ところがある時,町内会の角力大会のよ 化のようにさえ考えています。 うなイベントがあって,八百長さんが,野菜をた 昔,中学生の頃だったでしょうか。何かの『捕 くさん買ってくれる町内の大だんなに,わざと負 物帖』の中の一つの物語として「八幡の籔知らず」 けた,つまり八百長角力をとったというわけです。 というのを読んだことがあります。 これが八百長という名称の始まりと言われていま 多分,江戸時代で千葉県での話です。八幡の籔 す。 知らずという興業が行われます。竹籔のような迷 ところがよく考えてみますと,大昔から角力は い道があって,入場料は数文で,もしうまく出口 八百長があったようです。日本各地の神社仏閣な を見つけることができれば,出るときに1両の小 どで奉納角力がありますが,多くは占いになって 判がもらえるという仕組みです。大部分の人は出 いて,こちらが勝てば豊作,あちらが勝てば不作 口を見つけることができず,1両を払うことは滅 となっています。そして,いろいろ揉みあった末, 多にないので,興業が成り立っていると思われて こちらが勝って豊作となるようにしているようで いるわけです。 すから。 ところが,調べてみると,意外に多くの人が出 私には男の子なら,みんな八百長角力をとった 口に辿りつき1両をもらっていて,入場料・数文 ことがあるように思えます。実際,私も八百長角 ではとても興業が成り立つ筈がないわけです。興 力をしたことがあります。というのは,昔は小学 行主は,大部分の入場者を放置しておいて,時た 校で角力をよくやりました。土俵は一つしかない ま入る金品を持っていると推察される入場者を狙 のでその時多くは「…勝ち抜き戦…」です。勝ち って,迷い道の途中で,迷い道の仕切りを替えて 抜き戦は,土俵の上に勝ったほうが残って,次の 閉じ込めてしまい,殺害して金品を奪っていたわ 相手と角力をとるわけです。そしてまた勝てば, けです。 次の三人目の相手と角力をとるわけです。こうい この不気味な話・ 「八幡の籔知らず」を読んだこ う方法であれば,何人も抜けば疲れてきますから, とが,私の「八の字嫌い」を多少,増強したかも そのうちに八百長でなくとも負けます。ですから 知れません。 ヤハタ モン 食品と容器 631 2011 VOL. 52 NO. 10 特別解説 食品ポリフェノールの核内受容体への作用 やすおか・あきひと 前橋工科大学工学部 生物工学科准教授。 博士(理学) 安 岡 顕 人 はタマネギ(35-120mg/100g)に多く含まれる。 1.はじめに アピゲニン(4',5,7 -OH)はセロリに,バイカレ 私達が口にする食物には何らかの形で植物由来 イン(5,6,7 -OH)はアブラナ科植物に,ガランジ のポリフェノールが含まれている。ポリフェノー ン(3,5,7 -OH)はハチミツなどに含まれている。 ルとはフェノール性水酸基を有する化合物の総称 フラボン類は植物の中では3位や7位が配糖化さ であり,フラボン,カテキン,アントシアニジン, れていることが多い。カテキン類(catechins)は 木質(リグニン)の構成単位であるリグナンなど 緑 茶(12-100mg/200mL) や チ ョ コ レ ー ト がこれに属する。広義にはポリフェノールを構成 (23-30mg/50g)に豊富である。カテキン類は するフェノール酸も含まれる。本来,植物は,こ 没食子酸エステル(catechin gallate)の形が多く のようなポリフェノールを紫外線,活性酸素,捕 を占め,酸化,重合することでいわゆるタンニン 食者などから自身を守るために産生している。一 を形成する。アントシアニジン(cyanidinはその ひ 方,捕食者たる私達は,ある場合はその色に惹か 一種)は紫色を呈し,ビルベリー(25-500mg/ へき れ,ある場合はその苦味に辟易し,ある場合はそ 100g)や黒ブドウ(60-1500mg/100g)に含ま の生体調節作用を受けながら植物ポリフェノール れる。ダイゼイン(daizein)はイソフラボンの一 と接してきた。これは進化の時間尺度で行われて 種で,マメ科植物に含まれる。他に4',5, 7位に きたことであり,食品中のポリフェノールに対す 水酸基を持つゲニステインなどがある。セサミン るわれわれの体の応答は適応の結果であると考え (sesamin) は ゴ マ( 3-5mg/1 g ) に 含 ま れ られる。本稿では,ポリフェノールの生体調節作 るリグナンである。クルクミンはカレー(3-5 用を,従来からいわれてきた抗酸化性とは少し異 mg/300g)に使われるターメリック由来の成分 なる観点から論ずる。 である1-4)。次に述べるポリフェノール類は,酒類 の中にアルコールや糖質以外の成分として含まれ 2. 代表的な食品ポリフェノール ており,コンジェナーと称される。レスベラトロ 第1図に代表的な食品ポリフェノールの構造式 ール(resveratrol)は赤ワイン(1-7.5mg/ 500mL) を示す。フラボン類(flavones)は水酸基(OH) に含まれるブドウ果皮由来のスチルベンである。 の位置によって多くの種類があり,いくつかは固 エラグ酸はウイスキー(1-10mg / 100mL)に含 有名を持つ。例えばケルセチン(3,3',4',5,7 - OH) まれ,貯蔵する樽の水溶性タンニンから火による たる 食品と容器 632 2011 VOL. 52 NO. 10 加熱で生成する。エラグ酸はイチゴやザクロにも 響を与え,長期的に何らかの健康に良い効果を表 含まれる。ビールは大麦由来とホップ由来のフェ しているのは事実である。フレンチパラドックス ノール化合物を約7:3の割合で含む。ミルセン の食品要因としては赤ワイン中のレスベラトロー (myrcene) ,β-カリオフィレン(β-caryophyllene) , ル(第1図)が挙げられている。レスベラトロー キサントフモール(xanthohumol)はホップ由来 ルは抗酸化活性を持つだけでなく,サーチュイン の化合物である。以上のように,多様なポリフェ と呼ばれるタンパク質アセチル化酵素に働きかけ, ノールが野菜,茶や酒類などの嗜好飲料にも含ま 代謝を制御していることが報告されている8-10)。ま れており,われわれがこれらを日常的に摂取して た,大豆に含まれるイソフラボン(第1図)にエ いることが分かる。 ストロゲン様の作用があることは1950年代から 報告されている。作用点としては,後述するエス 3.ポリフェノールの生体調節機能 トロゲン受容体やステロイド合成酵素などが考え 植物ポリフェノールの 生体調節機能は経験的に 知られてきた。ビルベリ ーはアントシアニジンを 8 7 2’ O A 6 4’ B 2 C (+)-Catechin HO 5’ OH OH O HO O OH 3 OH O OH OH O 視力増強に用いられたこ 用機序は,視物質の光酸 (-)-Catechin gallate 6’ 5 多く含み,飛行士の夜間 とは有名である。その作 OH OH 3’ Flavonoid OH O OH OH (-)-Epicatechin HO Cyanidin OH HO O OH OH HO 7 O 8 O Daizein 2 2’ 6 化がアントシアニジンの OH 抗酸化性により抑制され OH 3’ 5 OH O OH 6’ OH 5’ 4’ OH ることにあると考えられ ている5)。この例に限ら O OCH3 O trans-Resveratrol O O O OH HO OH O スクの低下,血管疾患の Curcumin O ず,ポリフェノールの生 体調節作用は,発ガンリ O Sesamin 予防,抗アレルギー作用 など多面的である。これ Ellagic acid H3CO O O らの疾患が生ずる主要因 は活性酸素分子種である HO と考えられており,ポリ OH HO た 。一方で,動物性脂 O Cl Xanthohumol TCPOBOP O Cl Cl Cl N CITCO OH HO O OH N 肪の摂取量が高いにもか N O N かわらず血管系疾患の頻 H H ていると説明されてき 6, 7) H2C O フェノールはその抗酸化 能をもって予防的に働い -Caryophyllene Myrcene OH OH OCH3 O Cl Cl S Cl N 度が低いフランス人の矛 盾(フレンチパラドック ス)に見られる様に,ポ リフェノールが代謝に影 食品と容器 第1図 各種ポリフェノール(食品との関係については本文参照) TCPOBOP(1,4-Bis [2-(3,5-dichloropyridyloxy)] benzene)はマウスCAR, CITCO(6-(4-Chlorophenyl)imidazo[2,1-b] [1,3]thiazole-5-carbaldehyde O-(3,4-dichlorobenzyl)oxime)はヒト CAR の活性化薬剤。 633 2011 VOL. 52 NO. 10 第1表 核内受容体ファミリー 分類名 名前 略称 遺伝子数 内在活性化物質 NR 1ファミリー 甲状腺ホルモンレセプター TR 2 甲状腺ホルモン レチノイン酸レセプター RAR 3 レチノイン酸 ペルオキシソーム増殖因子 PPAR 3 脂肪酸 活性化レセプター Reverse erb Rev-erb 2 ヘム RAR 類似オーファンレセプター ROR 3 コレステロール 肝臓 X レセプター LXR 2 オキシステロール ファルネソイド X レセプター FXR 2 胆汁酸 ビタミン D レセプター VDR 1 ビタミン D プレグナン X レセプター PXR 1 胆汁酸,ビリルビン 構成的アンドロスタンレセプター CAR 1 NR 2ファミリー 肝細胞核因子 4 HNF4 2 脂肪酸 CoA レチノイド X レセプター RXR 3 レチノイン酸 その他 7 不明 NR 3ファミリー エストロゲンレセプター ER 2 卵胞ホルモン ジエチルスチルベストロール エストロゲン類似レセプター ERR 3 グルココルチコイドレセプター GR 1 コルチゾール ミネラルコルチコイドレセプター MR 1 アルドステロン プロゲステロンレセプター PR 1 黄体ホルモン アンドロゲンレセプター AR 1 テストステロン NR 0, 4, 5, 6 8 不明 ファミリー 計 49 られており,プラスの効果としては,ホルモン依 天然活性化物質 ポリフェノール 生体異物,薬物 ポリフェノール イソフラボン にシグナルを伝達する。刺激が脂溶性物質の場合, しょう 存性乳がんの抑制や閉経後の骨粗 鬆 症の軽減など 細胞膜を通過して直接細胞内に到達しうる。その 11,12) 。これ以外のポリフェノールについて ような刺激の代表としてステロイドホルモンがあ も,抗酸化能のみでは説明しきれない特異的な遺 るが,その受容と細胞応答には,核内受容体と呼 伝子の発現制御などが観察されており,次に述べ ばれる一群の転写調節タンパク質がかかわってい るような核内受容体の関与が示唆されてきた13)。 ることが知られている(第1表) 。哺乳類ゲノムの がある ほ 解析によって49の核内受容体遺伝子が同定され 4.核内受容体ファミリー ており,アミノ酸配列の相同性からNR0からNR6 外部刺激に対する細胞応答にはほぼ例外なく受 に分類されている14,15)。核内受容体はステロイド 容体タンパク質が介在している。刺激が水溶性物 ホルモンや脂溶性ビタミンなどに特異的に応答し 質の場合,原形質膜上の受容体が受容し,細胞内 て核に移行し,刺激に応じてさまざまな遺伝子 を制御している(第2図) 。NR1 ファミリーの一員として構成的 アンドロスタン受容体(CAR) がある。第3図にCARとNR1 ファミリーの機能の概略を示す。 CARは麻酔薬であるフェノバ ルビタールに応答してチトクロ ームp450酵素(CYP2B)を誘 導する転写因子として同定され 第2図 核内受容体による遺伝子の制御 活性化物質を受容した核内受容体は核に移動し,遺伝子の制御領域に結合することによ り遺伝子の転写調節を行う。核内受容体以外にもクロマチンの構造を変化させる分子や RNAポリメラーゼを接近させる分子などが転写調節に関与している。 食品と容器 634 た16)。CARはプレグナンX受容 体(PXR) と と も に, 主 に 生 体外の化学物質やビリルビンなど 2011 VOL. 52 NO. 10 の 不 要 代 謝 物 で 活 性 化 さ れ, CYPs,糖付加酵素,硫酸付加酵 素,薬剤輸送体などの遺伝子を活 性化することにより,生体不要物 の活性化,水溶化,排出,すなわ 17) 。 ち解毒を促進している(第4図) 第 3 図 に 示 し たCARとPXR以 外 の核内受容体が,基本的には脂肪 酸,ビタミンD,胆汁酸など体内 の物質を受容し,脂質代謝,カル シウム濃度,ステロイド代謝の恒 常性維持に働いているのに対して, CARはどちらかというと生体外 物質への応答に機能が偏っている。 さらに最近では,DNAマイクロア レイによる遺伝子発現解析の結果, CARは脂肪酸のβ酸化や糖新生 第3図 CARに近縁な核内受容体の機能 核内受容体の多くはホルモンなどの生体内物質によって活性化され,酵素などの遺伝子 発現を制御することで代謝の恒常性を維持している。一方,CARやPXRは生体外の化学 物質や代謝不要物で活性化され,解毒や脂質代謝などのエネルギー代謝を制御している。 などエネルギーの産生に関係する 酵素の遺伝子も制御していること CITCOより強い。このうちクリシンについては, 18) が明らかになっている 。 マウスの生体内でもCAR依存的にcyp2b10遺伝 子を誘導することを確かめている。興味深いこと 5.ポリフェノールによる CARの活性化 に,CARは赤ワインの有効成分であるレスベラ トロール(trans - resveratrol)でも活性化されるこ われわれはポリフェノールの生体調節作用の一 とが明らかになった20)。生体内でのCARへの作用 部にCARが関与していることを予想し,32種類の については現在解析中であるが,脂肪肝などの代 ポリフェノールについて培養細胞の系を用いて 謝異常の緩和に関与している可能性がある21,22)。 19) 。その結 CARの活性化能を検討した(第5図) CARの活性化が解毒を通じて健康に寄与する例 果, ヒトとマウスCARについて, 互いに類似した応答のスペクトラ ムが観察された。まずカテキン類 2 については,没食子酸エステル (gallate)で比較的高いCARの活 性化能が見られた。カテキン類の p C Ps 異性体の間で活性化能の違いは見 られなかった。フラボン類につい -S ては5, 7位に水酸基を持つものが 比較的強いCARの活性化能を有 し て い た。 特 に ク リ シ ン(5,7第4図 解毒の三相 OH) , バ イ カ レ イ ン(5,6,7-OH) , ガランジン(3,5,7-OH)の活性化 能は,既知のヒトCAR活性化薬剤 食品と容器 第一相で生体内の不要物は酸化,還元酵素により分解,あるいは抱合に向けて活性化 される。第二相では,糖,硫酸,アミノ酸などの抱合を受け,水溶性を増す。 第三相では輸送体を介して胆汁,尿などに排出される。 635 2011 VOL. 52 NO. 10 由来のポリフェノール Relative l ci erase activity がCARを 活 性 化 し う H ることを示したのは本 an C R 研究が始めてである。 食品ポリフェノールが 2 他のNR1ファミリー の核内受容体を活性化 する例として,PXRと SO -Catechin - -Catechin gallate - -Epicatechin - -Epicatechin gallate - -Epigallocatechin - -Epigallocatechin gallate - - allocatechin - - allocatechin gallate -OH ae p erol -OH -OH -OH -OH Chrysin -OH -OH -OH i iritigenin -OH pigenin -OH Baicalein -OH alangin -OH -OH isetin -OH teolin -OH 2 -OH orin -OH ercetin -OH yricetin C rc in Ellagic acid µ trans-Resveratrol µ -Caryophyllene µ yrcene µ anthoh ol CITCO 2µ PPARに関する報告が B ある。PXRは柑橘類に 含まれるタンジェレチン (4',5,6,7-OH,8-OCH3 フラボン)で活性化さ れるが,CARを活性化 したケンフェロール, Relative l ci erase activity クリシン,フィセチン, ルテオリン,モリン, o se C R ケルセチン,ミリセチ ンでは活性化されな い24,25)。従って,CAR 2 のフラボン類に対する 活性化スペクトラムは SO -Catechin - -Catechin gallate - -Epicatechin - -Epicatechin gallate - -Epigallocatechin - -Epigallocatechin gallate - - allocatechin - - allocatechin gallate -OH ae p erol -OH -OH -OH -OH Chrysin -OH -OH -OH i iritigenin -OH pigenin -OH Baicalein -OH alangin -OH -OH isetin -OH teolin -OH 2 -OH orin -OH ercetin -OH yricetin C rc in Ellagic acid µ trans-Resveratrol µ -Caryophyllene µ yrcene µ anthoh ol TCPOBOP 2 n PXRより広いと考えら れる。また,脂質の代 謝 に 関 与するPPARγ はアピゲニン,クリシン, ケンフェロールのほか, カテキンやカテキン没 食子酸エステルで活 性化される26-28)。以上 第5図 ポリフェノールによるCARの活性化 各種の食品ポリフェノールを培養細胞の系に供し,ヒト(A)あるいはマウス(B)CARの活性化を 検討した。濃度を示したもの以外は10μMで処理した。#は純度85%のホップ抽出物の5μM相当。 黒丸●はコントロール(DMSO)に対して有意(p<0.05)な増加が見られたもの。 より,CARは他のNR 1 ファミリーの核内受容 体と協調して食品中の ポリフェノールに応答 し,代謝に影響を及ぼ は知られている。Yin Zhi Huangはハーブ茶の一 している可能性が考えられる。 だん 種で,中国では幼児の黄疸の治療に伝統的に用い 6.おわりに られてきた。その有効成分ジメチルスクレチンは フラボン類のA-C環(第1図)に類似しており, 実際のところ,植物ポリフェノールの摂りすぎ CARを活性化することにより,黄疸の原因であ は体に良くない。酸化されたポリフェノールは生 23) るビリルビンの排出を促す 。しかし,多様な食品 食品と容器 体分子を修飾しうるし,高い濃度のエストロゲン 636 2011 VOL. 52 NO. 10 かく 様ポリフェノールは内分泌撹 乱作用を及ぼしう 腸に排出されたポリフェノールが,腸内細菌によ 29,30) 。植物は,動物のためではなく,自分の都 って脱配糖化され,再度吸収されるという現象も 合でポリフェノールを産生しているのである。そ ある1,2)。分子標的を考慮した上でのポリフェノー れに対応するように,一般に人体内に摂取された ルの体内動態については,研究すべき部分が多く ポリフェノールは上述した解毒経路により,速や 残されている。現在,各種の食品機能性成分に対 かに排出される傾向にある。例えば,緑茶500mL する遺伝子の応答をDNAマイクロアレイにより 分に相当する525mgのカテキン類を摂取した人 網羅的に解析し,データベース化することが日本 の最大血中濃度は4.4μMで,ワイン1.6L分に相当 を始めとする先進国で進行中である33)。いわゆる する25mgのレスベラトロールを摂取した場合の ニュートリゲノミクスの一分野であるが,将来, る 31,32) 。いずれもほ このような「機能性成分への遺伝子応答地図」を ぼ一日で最低の濃度にまで排出される。カテキン もとに食品ポリフェノール摂取の利点とマイナス の値はCARを活性化しうるが,レスベラトロール 面は総体的に評価されるべきであろう。 最大血中濃度は0.03μMである の値は活性化濃度に届かない。また,配糖化され, 参 考 文 献 1)Crozier A, Jaganath IB, Clifford MN. 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Transactivation of peroxisome activated proliferator-receptor alpha by green tea extracts, ., 2004, 5, 325-30. 29)Greim HA. The endocrine and reproductive system: adverse effects of hormonally active substances? , 2004, 113 (4 Suppl) , 1070-5. 30)Fox JE. Chemical communication threatened by endocrine-disrupting chemicals, ., 2004,112, 648-53. 31)Manach C, Williamson G, Morand C, Scalbert A, Rémésy C. Bioavailability and bioefficacy of polyphenols in humans. I. Review of 97 bioavailability studies, ., 2005, 81, 230S-242S. 32)Goldberg DM, Yan J, Soleas GJ. Absorption of three wine-related polyphenols in three different matrices by healthy subjects, ., 2003, 36, 79-87. 33)Abe K. Genomics for Food Functionality and Palatability. Food Factors for Health Promotion, ., 2009, 61, 1-9. 「食品総合研究所研究成果展示会2011」のご案内 (独)農研機構食品総合研究所は,食品研究の専門機関として,食と健康の科学的解析,食料の安全性確保と革新 的な流通・加工技術の開発,生物機能の発掘とその利用など,食に係る幅広い研究を行っています。当研究所の全 研究員(約 100 名)がパネルを展示し,研究者が直接,研究成果を説明する研究成果展示会 2011 を開催いたし ます。 日 時:平成 23 年 11 月2日(水)9:30 ∼ 16:00 会 場:つくば国際会議場 多目的ホール、中ホール 〒 305-0032 茨城県つくば市竹園 2-20-3 参加費:無料 参加登録:不要 お問合せ先:食品総合研究所企画管理部連携共同推進室 TEL:029-838-7990・8017、FAX:029-838-7989 食品と容器 638 2011 VOL. 52 NO. 10 ∼∼∼∼ 技術用語解説: 『容器の事典』 (缶詰技術研究会編)から抜粋 ∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼ クリーンルーム (clean room) 子径が異なるため,どの規格によるものかは注意 クリーンルームとは空気清浄度が確保された部 ①JIS方 式:JIS B 9920で は 1m3 中 の0.1μm以 屋のことである。JIS Z 8122-2000では次のよう 上の粒子数を10のべき数で表示したときの指 に定義されている。「コンタミネーションコント 数で表す。表示はクラス1∼9 を要する。代表的なものは次の4つ。 ロールが行われている限られた空間であって,空 ②FED STD -209D(米国連邦規格1988年) : 気中における浮遊微粒子,浮遊微生物が限定され 1f3 中の0.5μmの粒子の数で表示する。表示 はクラス1,10,100,1000,10000 た清浄度レベル以下に管理され,また,その空間 に供給される材料,薬品,水などについても要求 ③FED-STD-209E( 米 国 連 邦 規 格1992年 ): 単 される清浄度が保持され,必要に応じて温度,湿 位容積にメートル法を用い,1m3 中の0.5μm 度,圧力などの環境条件についても管理が行われ の粒子の数を10のべき数で表示したときの指 ている空間」。 数で表す。表示はクラスM1∼M7 現在,日本で一般に使用されている清浄度クラ ④ISO法: 基 準 粒 子 径 は0 .1 μm,基 準 体 積 は ス表示は統一されていない。基準となる体積や粒 1m3でJIS法と同じ。表示はISO class1∼9 新刊のご案内 缶詰技術研究会設立50周年記念として『容器の事典』を出版しました。 ・容器(缶,プラスチック,紙,ガラス)に関する材料から製造方法まで広範囲に解説 ・見出し語:約1,300項目(文中語はゴシックで示し,邦語索引から検索可能) ・A5版246ページで手軽なハンディータイプ,販売価格 4,800円 ご購入希望の方は,巻末の通信カードよりお申し込み下さい。 研究例会のご案内 食品膜・分離技術研究会MRC第23回秋季研究例会 ◇日 時:2011年11月9日(水) ◇場 所:川口総合文化センター 川口リリア11階 e-mail:[email protected] ◇プログラム:10:00∼16:55 〒332-0015 埼玉県川口市川口3-1-1 TEL:048-258-2000 FAX:048-258-2100 ①洗浄の基礎知識と食品産業への応用 大矢 勝(横浜国立大学) (京浜東北線川口駅西口徒歩1分) ◇主 催:食品膜・分離技術研究会(MRC) ◇協力機関:東京農工大学農学部付属硬蛋白質利用研 究施設 ◇参加費(円/人) :民間会社・特例会員=25,000円 ②食の安全を守る仕組み―リスク分析の考え方― 大谷敏郎( (独)農研機構 食品総合研究所) ③産官学の連携による食品産業に育成―新潟県 食品産業を例として― 江川和徳(江川技術士事務所) /人,民間会社非会員=35,000円/人,当会顧 問・国公立研究機関・大学等教育機関:会員= ④省エネプロセスの提案−膜技術への取り組み− 山川洋亮(木村化工機(株)) 15,000/人,非会員=23,000円/人(10/21 以降の申し込みは+5,000円) ◇参加申し込みおよび問い合わせ 食品膜・分離技術研究会(MRC)本部事務局 〒332-0015 川口市川口1-1-3-3211 ⑤セラミック膜の発展と新しい応用例 小坂慎一(KGKフィルテック(株)) ⑥乳ペプチドを応用したスポーツ飲料粉末 越智 浩(森永乳業(株)) (17:05∼19:00) TEL/FAX:048-224-3336(事務局 渡辺敦夫) 交流会(1階ラウンジリリア) 食品と容器 639 2011 VOL. 52 NO. 10 特別レポート 日本における清涼飲料,ビール系酒類市場 −平成23年の7・8月を振り返って− の裏返しでマイナスもやむなし」とのメーカー関 清涼飲料の最新市場動向 係者の多くが予想したとおり,昨年の「記録的猛 7月4%増,8月5%減,前年数字重く 暑(酷暑) 」の裏返しが大きくのしかかった。昨年 上半期(1∼6月)の清涼飲料市場は本誌(第 と比べ今年は梅雨明けが早まったことでその分の 52巻8号)のとおり,3月11日に発生した東日本大 数字が上昇,7月の数字を押し上げ,4%増で着 震災の大きな影響を受けたものの前年比2%増と 地。一方,7月下旬から8月第1週までは天候不 プラスで乗り切った。メーカー各社の「前半戦で 順な日が続き,昨年数字が高かった時期の裏返し 少しでも貯金」と考え,1,2月の積極的なマー をそのまま受けた。そのため8月は月初から水面 ケティング施策や商品の投入が奏功,そして震災 下で推移,一時的に数字は盛り返したが,5%減 後の早期の供給回復,水・茶系飲料の特需などが と震災のあった3月以来初のマイナス。昨夏は統 上半期の数字を押し上げた。今夏は「昨年の猛暑 計開始以来最も高い気温だったが,今夏も「過去 第1表 平成23年1∼8月の主要各社の清涼飲料出荷実績前年対比(単位:%) 業界平均 サントリー 伊藤園 キリン 大塚 アサヒ飲料 ビバレッジ グループ ポッカ カルピス サッポロ コカ・コーラ 飲料 合計 1月 105 108 102 100 118 101 102 104 104 106 2月 103 105 105 92 117 103 92 108 112 103 3月 96 88 118 100 102 117 98 94 112 95 4月 103 106 88 102 111 115 105 108 115 101 5月 102 102 106 101 114 114 109 109 114 98 6月 102 102 105 94 118 110 91 97 107 98 7月 104 105 104 101 109 107 107 94 101 104 8月 95 98 97 96 94 76 97 95 96 94 1∼2月累計 104 106 103 96 117 102 97 106 108 104 1∼3月累計 101 99 109 97 111 108 97 102 110 101 1∼4月累計 102 101 102 99 111 110 100 104 111 101 1∼5月累計 102 101 103 99 112 111 102 105 112 100 1∼6月累計 102 101 104 98 113 111 101 103 111 100 1∼7月累計 103 102 104 99 112 110 102 101 109 100 1∼8月累計 101 101 103 98 110 104 101 100 107 99 ※ コカ・コーラ合計は醸造産業新聞社推計。 食品と容器 640 2011 VOL. 52 NO. 10 4番目の高い気温」 (気象庁)で,単に天候を理由 年との気温差での消費減少に加え,夏前の「買い にはできない。ただ,記録的猛暑だった昨年との 溜めも低調の要因」という。ミネラルウォーター 対比ではマイナスは「致し方ない」 (各社) 。ここ の伸び率にも陰りがみえはじめ,7月には店頭で では7,8月の状況を振り返り,節電の影響や秋 動いたものの,並行輸入商品のだぶつきがみられ だ し 冬商戦の中心商材・嗜好飲料を展望する。 る輸入は苦戦,正規品の動きに影響した。 「流通の 7月:中旬までの暑さが寄与し4%増 滞留在庫がいまだ重い」 (メーカー関係者)状況が 7月は前年比4%増。稼働日は各社昨年より1 続いた。一方で,缶コーヒーは8月中に新製品を 日少ないが,早い梅雨明けや6月下旬から続いた 発売した〈ボス〉は「ゼロの頂点」の初動は100 「記録的暑さ」の恩恵で中旬までに出荷を伸ばし 万箱弱と好調で25%増, 〈ワンダ〉は基幹商品が大 た。下旬の台風6号の影響やその後気温が低下し きく上回り11%増となるなど,ブランドにより前 たが,前年を上回ることができた。中旬までは 年を大きく上回るものもでた。店頭売価は,震災 「過去最高の伸び率」 (メーカー関係者)と期待さ で上昇したものの,この夏場には一部で投げ売り れるほどの好調な動きとなったが,昨年が梅雨明 に近い値段もでており,再度下落に転じた。 け後に好天が続き,ボリュームが大きかったこと 夏場(6∼8月)は微減。6月2%増,7月4 から,中旬までの貯金を取り崩す形で下旬は推移 %増と前年実績を上回ったが,8月に5%減とな した。カテゴリー別では,スポーツ飲料の商品群 り,夏場入り前の数字(2%増)から1ポイント が原材料の問題で一部出荷調整を行ったブランド 後退。「この程度で乗り切れたのは御の字」 (メー もあったが好調,塩や涼感を感じられる商品群も カー各社) 。ただ,8月の段階で夏場商材の動きが 登場した。6月下旬頃から,震災で発売が遅れて 鈍くなる傾向がみられ,しかも昨年9月が12%増 いたり,夏の最盛期に当て込んだりした各社の新 と数字が高いことから,「マイナスは免れない」 にぎ 製品群が登場,店頭を賑わし,上乗せに寄与した。 (大手メーカー関係者)との声もが聞かれる。 「年 炭酸飲料は多くの商品が登場,例年は上位や売れ 間で前年を上回るのは厳しい」 (メーカー関係者) 筋に集約している時期だが, 「取捨選別する前に猛 という見方が広がっている。 暑がやってきた」(CVS関係者)ことから,多く 自販機影響は軽微,CVS移行「一部」で のアイテムが棚に並んだ。猛暑によりミネラルウ 清涼飲料自動販売機の東京電力管内の節電もこ ォーターは国産を中心に好調な動きが続き,在庫 の9月22日(東北電力管内は9日)をもって順次 過多が叫ばれていた周辺国からの輸入品も在庫を 通常に戻る。「炭酸飲料がぬるくて溢れ出した」 あふ 減らすことができた」 (流通関係者) 。 「買ったはいいがぬるい」などの苦情が一部でメ 8月:天候不順,夏商材鈍化で5%減 ーカーのお客様相談室に寄せられたが, 「節電への 8月は前年比5%減。気温は比較的高かったが 理解が広がっていたことから,想定されたほどで 好天が続かず,気温の変動が激しかったことが影 はなかった」というのが各社の感想。一方で,間 響,7月と比べ夏商材の動きが鈍化した。昨年の 引きなど稼働停止した自販機では売上げゼロにな 猛暑の裏返しでスポーツ飲料が大幅減,茶系飲料 り,各社の自販機売上構成比の低下がみられた。 もメーカー差が大きい結果に終わった。累計は1 自販機の節電でCVSへの飲料の買い場移行が予想 %増に後退。台風6号の影響や気温低下により7 されたが,「その影響は限定的」(卸関係者)との 月下旬から8月上旬にかけ低迷,お盆前の暑さで 見方が多い。スーパーの冷ケースの設定温度上昇 若干盛り返したが,好天は続かず,主要各社の数 も「売れ行きに影響なし」とみられている。夏の 字は稼働日が前年同月より1∼2日多かったが, 節電は一段落したものの,冬に向かい使用電力の 軒並みマイナスとなった。カテゴリー別では,昨 増加が予想され,節電への意識は冬,来夏も変わ 年急伸した炭酸飲料やスポーツ飲料の減少幅が大 らないとみられる。コカ社「来年度からLED照 きく,2ケタ減も散見され,熱中症対策飲料は昨 明の積極的な導入」 ,伊藤園「13年度までにヒート 食品と容器 641 2011 VOL. 52 NO. 10 ポンプ機を50%に」など,自販機自体の節電訴求 サントリーもオリジナルPET容器を採用した〈リ は今後も広がりそうだ。 プトン・スマートタイムズ〉を,コカ社も〈紅茶 嗜好飲料回復が秋冬浮揚の鍵に 花伝ショコラロイヤルミルクティー〉や〈同苺ミ この秋冬商戦の浮沈を握るのは嗜好飲料。震災 ルフィーユロイヤルミルクティー〉などを投入, で紅茶飲料やコーヒーといった嗜好飲料への消費 「〈紅茶花伝ロイヤルミルクティー〉との二本立 の戻りは遅れたが,主要ブランドの中心商材は堅 て」が狙いだ。紅茶飲料はフレーバーティーの好 ねら そろ 調に推移,商品が出揃いはじめた7月以降は勢い 調な動きも続いており,秋冬の動向次第では7年 を増している。コーヒー飲料は市場の中で「元気 連続のプラスも見えてきそうだ。 のいい」 (メーカー各社)とされる微糖商品群をブ ビール系酒類の最新市場動向 ランドの前面に展開する傾向が強まっている。微 糖を訴求することで,砂糖ミルク入りのスタンダ 夏場3カ月の出荷,最近10年間で最低 ードやブラックその他までブランド力を波及させ 今年の夏場3カ月間(6∼8月)のビール系酒 ようという動きだ。また,カフェインやカロリー 類の課税数量は,前年同期比4.8%減と低調だった。 などの「ゼロ」商品や人工甘味料不使用などの取 昨年は,7,8月が記録的な猛暑となったことが り組みがどこまで支持を広げられるか。今冬はボ 寄与して0.7%の増加となったが,今年は7月中旬 トル缶の各社の競合関係が増し,さらに流通での に台風が来てから下旬にかけて天候不順だったこ 取り扱い意欲も高く,売場が拡大,冬場の動きに とと,加えて8月下旬の天候不順が災いし,最近 も注目が集まる。一方,紅茶飲料は,春夏とキリ 10年間の夏場3カ月の課税数量としては最も少な ンビバレッジ〈午後の紅茶〉 , 伊藤園 〈TEAS'TEA〉 い数量となった。月別の動向は次のとおり。 の両ブランドが伸長,市場全体を引き上げたが, 6月 課税数量の総計は前年比11.1%の2ケタ 秋の主戦場ミルクティーでは各社の激しい戦いが 減で,最近10年間の6月の数量としては最も少な 繰り広げられそうだ。 〈午後の紅茶〉はミルクティ かった。東日本大震災の影響や天候要因がその原 ーの中心商材に「パンジェンシー・茶葉2倍ミル 因。分野別にみても,ビールと発泡酒は2ケタ減 クティー」を発売,紅茶の味わいの最高の褒め言 となり,新ジャンルも前年を下回った。 葉を冠した商品で,今秋最注力商材の位置づけだ。 7月 総計は0.4%増と,営業日数が前年同月よ 第2表 平成23年夏場3カ月のビール系酒類課税数量 6月 前年比 (%) 数量 (kL) 8月 前年比 (%) 数量 (kL) 6∼8月 前年比 (%) 数量 (kL) 1∼8月 前年比 (%) 数量 (kL) 前年比 (%) ビール 数量 (kL) 7月 国産 計 263,209 89.0 319,008 102.2 269,236 93.7 851,470 95.1 1,804,120 96.1 76,665 80.0 86,748 89.2 76,398 88.7 239,806 85.9 575,836 87.9 輸入 108 81.4 116 86.3 169 141.5 393 101.6 864 99.1 262,533 89.0 318,075 102.1 268,800 93.7 849,426 95.1 1,799,128 96.1 輸入 675 104.1 932 131.7 436 77.4 2,044 106.5 4,992 115.1 発泡酒 国産 新ジャンル 計 76,773 80.0 86,864 89.2 76,567 88.8 240,199 85.9 576,700 87.9 その他の 醸造酒 67,126 92.5 75,762 100.8 68,979 104.4 211,860 99.1 474,211 99.2 リキュール 116,259 93.5 118,055 105.1 104,002 104.4 338,305 100.6 799,555 106.1 計 183,385 93.1 193,817 103.4 172,982 104.4 550,165 100.0 1,273,766 103.4 523,367 88.9 599,689 100.4 518,785 96.2 1,641,834 95.2 3,654,586 97.1 総計 ビール ÷ 総計 50.3%(50.2%) 53.2%(52.3%) 51.9%(53.3%) 51.9%(51.9%) 49.4%(49.9%) 発泡酒 ÷ 総計 14.7%(16.3%) 14.5%(16.3%) 14.8%(16.0%) 14.6%(16.2%) 15.8%(17.4%) 新ジャンル ÷ 総計 35.0%(33.5%) 32.3%(31.4%) 33.3%(30.7%) 33.5%(31.9%) 34.9%(32.7%) 食品と容器 642 2011 VOL. 52 NO. 10 り1日少ないにもかかわらず,わずかながら前年 第3表 夏場3カ月のビール系酒類課税数量の10年間推移 を上回った。昨年の7月も好天が寄与して2.1%の ビール 発泡酒 新ジャンル 合計 (kL) (kL) (kL) (kL) 1,341,300 775,522 − 2,116,822 平成 14 年 (87.7%) (115.1%) (−) (96.1%) 696,679 − 1,883,535 15 年 1,186,856 (88.5%) (89.8%) (−) (89.0%) 1,197,878 680,250 104,600 1,982,728 16 年 (100.9%) (97.6%) (−)(102.3%) 1,117,616 478,711 334,221 1,930,548 17 年 (93.3%) (70.4%)(319.5%) (97.4%) 1,082,301 443,877 335,745 1,861,923 18 年 (96.8%) (92.7%)(100.4%) (96.4%) 1,055,393 422,039 364,653 1,842,085 19 年 (97.5%) (95.1%)(108.6%) (98.9%) 390,514 425,459 1,791,802 20 年 975,829 (92.5%) (92.5%)(116.7%) (97.3%) 327,052 487,158 1,713,527 21 年 899,317 (92.2%) (83.7%)(114.5%) (95.6%) 895,328 279,631 550,105 1,725,064 22 年 (99.6%) (85.5%)(112.9%)(100.7%) 240,199 550,165 1,641,834 23 年 851,470 (95.1%) (85.9%)(100.0%) (95.2%) 注)カッコ内は前年比 増加となっており,7月は2年連続で前年を上回 った。 8月 下旬の天候不順が災いし,営業日数が前 年同月より1日多いにもかかわらず3.8%の減少と なった。昨年の8月は0.3%減となったものの,猛 暑の寄与が少なからずあったと考えられることか ら,今年の8月はその裏返しがマイナス要因とし て作用したことも一因とみられる。 低価格の輸入新ジャンル急拡大 国産のビール系酒類が伸び悩む中で,韓国産を 中心とする輸入新ジャンルは勢いがまったく衰え ていない。今年の3月以降は大幅増が続いており, 6月は前年比2倍の176万箱(大瓶換算) ,7月は 8割増の202万箱と,月を追うごとに数量が増えて ル類にはどのように表れるか注目されたが,結局, いる。国産の新ジャンルとの合計数量に占める輸 目立った影響はなかったようだ。氷を入れて飲む 入新ジャンルの構成比は,6月が11.4%と過去最 〈キリンアイスプラス〉ビールが発売されるなど, 高の数値を記録,7月も同じ構成比だった。かつ 通常とは違う「ビールに氷を入れて飲む」飲み方 てのように数量が少ない時には全体に及ぼす影響 が一部で話題を集めたが,大きな広がりとはなら 度合いも小さかったが,現在のように規模が大き なかったようだ。また,スーパーでは節電対応の くなると,その影響度合いも大きくなる。6月を 一環としてビール類やRTDを陳列する冷蔵ケー 例にとると,国産新ジャンルだけの前年比は5.7% スの設定温度を,通常の5℃程度から10℃程度ま 減とマイナスだったが,輸入新ジャンルを合わせ で引き上げて販売するところが多かった。このこ た全体の前年比は0.4%の増加となり,国産の前年 とによる売り上げへの影響が懸念されたが,実際 比より6ポイント程度押し上げる力を持つに至っ にはほとんど影響はなかったとする店が大半だった。 ている。7月も同様に国産新ジャンルの前年比は ノンアルビール,伸び一段落 3.0%増だが,国産・輸入合計の前年比は8.4%増 〈キリンフリー〉登場後,市場拡大を続けてき で,5ポイント強押し上げたことになる。夏場3 たアルコール分0.00%のビール風味飲料,いわゆ カ月の国産新ジャンル課税数量の前年比はほぼ前 るノンアルコールビールだが,昨年8月にアサヒ 年並みにとどまったが,輸入分を合わせると5% 〈ダブルゼロ〉とサントリー〈オールフリー〉が 程度の増加となっていることが想像され,逆にい 発売されてから1年間を経過したことで,8月単 うと輸入新ジャンルに流れたユーザーがこれだけ 月は前年並みの128万箱(大瓶換算)となるなど, 多くなったということがいえよう。大手量販店で 前年比大幅増は一段落した。1∼8月累計は740万 は,輸入新ジャンルPB商品に注力する動きが広 箱に達しており,現在のペースで推移すれば年間 がっており,今後しばらくは輸入新ジャンル市場 で1,000万箱の大台に乗ることは確実で,1,100万 は拡大を続けることは間違いなさそうだ。 ∼1,200万箱程度となることが見込まれる。最近は, 「節電の夏」も例年と変化なし ノンアルビール以外にノンアルカクテルにも注目 今年の夏は,原発事故に伴って社会全体として が集まりつつあり,清涼飲料と酒類の間の「業際 節電への対応が求められ,例年より「暑い夏」と 商品」として今後の市場の行方が注目されている。 (醸造産業新聞社 編集部) なることが予想された。そして,その影響がビー 食品と容器 643 2011 VOL. 52 NO. 10 業界の話題 日本食糧新聞社・食サーチ(http://news.nissyoku.co.jp/)より 業界の話題 フードスペシャリストの認知度向上へ食品業界で てもアンテナを立ててもらいたい。子どもに教え 活躍を 日本冷凍食品協会・三浦佳子広報部長 るにしても“火を使うときは換気扇を回す”など, ガスや電気の安全についても基礎的な知識を持っ (日食 2011/08/26 日付) 日本フードスペシャリスト協会の賛助会員であ てほしい。 る日本冷凍食品協会(冷食協)は,会員588( 8月 実際に,厨房でプロが起こしてしまう事故は多 8日現在)を擁している。冷食の市場規模は8,361 い。平常時が一番大事で,ガスも電気もゼロリス 億円(国内の工場出荷額と輸入額)で,国内生産 クはない。 のうち業務用が6割,家庭用が4割を占めている。 資格認知度向上には,今現在資格を持っている 業務用は,価格の変動が小さく年間を通じて安定 人が現場で活躍することだろう。こういう資格が 的に供給されているため,外食・中食などのメニ あって良かったという専門家ならではの仕事をし ューが立てやすいという冷食ならではのメリット てほしい。認知度は簡単には上がらないだろうが, がある。そして食品残渣(ざんさ)が出ないこと フードスペシャリストが食の現場で頼られる存在 や調理時間が短縮できることもメリットだ。 であってほしい。 冷食協の三浦佳子広報部長は「フードスペシャ 資格もたくさんあるため,一般の人にはその違 リスト資格を持った人が冷食業界でも広く活躍し, いがわからない。大学,短期大学で所定の科目を 冷食のレベルを高めてほしい」と話す。三浦部長 履修し,食をトータルに学んだ人が取れる資格だ は消費生活コンサルタントの資格を持ち,さまざ ということをどう出していくかが難しい。社会的 まな分野にかかわっていることから,食のプロで 意義は大きいので,地域密着で活躍してくれると あるフードスペシャリストには「食のことだけで いい。また企業には,その特性を生かした採用を なく,ガスや電気など食と切り離せない電化製品 してもらいたい。 やエネルギーの安全性などにも目を向けてほし 高齢社会が進む中,低栄養の問題や単身世帯の い」と語っている。また認知度を高めるには資格 食の指導も重要。フードスペシャリストだからこ を取得しているフードスペシャリストが食品産業 そ啓発できるさまざまな場所があるのではないか。 界全体で活躍することだという。三浦部長に,フ 小売も含め流通業界には女性が少ないと感じる ードスペシャリストへの期待と要望を聞いた。 が,フードスペシャリスト有資格者を積極的に採 ■実践での研さんが大切 用するべきだ。学んでいる分,流通業界での活躍 資格は取得までの学ぶ課程と,それを礎にしな が望める。 がら取得後に学ばなければならないことがある。 ■安全な冷食を積極活用 資格を持って現場で生かすには机上の学びだけで 食も限られた資源であり,自然の恩恵でいただ なく実践だ。他の資格取得者や一緒に携わる人と いている食べ物も多いので,自然に対する畏敬の の実践的な交流が大事で,資格は取ってからが勝 念も忘れないでほしい。農家の子どもは天候不順 負。 だとコメが採れないことが実感としてわかるが, 例えば,高齢者,地域の人を巻き込んで食育活 都市部の子どもにはわかりにくい。 動を一緒に企画してはどうか。社会教育の現場な 現在,消費者には食に対する不信感やそこから どでボランティアとして研さんを積む,実践とし くる不安があるので,正しい知識の下,消費者の て積むことが大切。 誤解を解いていくよう,ニュートラルな目線で食 食品関係は資格が多いが真の食のプロとは何か。 の安全を伝えてもらいたい。 なぜ食にこだわり,かかわるのか,食に対する自 地産地消も大事にしつつ,冷食の優れた点を知 分軸を持っていてほしい。併せて,安全性につい っていただきたい。外食,中食のメニューがなぜ 食品と容器 644 2011 VOL. 52 NO. 10 業界の話題 低価格でしかも大量に提供できるのかといったこ 知って備える!防災フェア」を開催する。缶詰を となど,現場に立って提供する側のことも理解し 使用したレシピ浸透を目指す「非常時にも大活躍! てほしい。冷食の品質・技術は以前に比べて格段 缶詰,びん詰,レトルト食品を使ったスピードレ に向上している。冷食は安定供給できるため価格 シピコンテスト&試食会」と災害疑似体験イベン も一定でメニューが立てやすいこともメリットだ。 ト「親子で参加!災害時帰宅疑似体験ラリー」で 旬でないものでも冷食ならば取ることができる。 構成されるもので, 「缶詰の日」の認知拡大を図る そして冷食はエコ。生産工場で出る残渣は飼料 とともに,災害時における缶詰・瓶詰・レトルト などに加工しており,前処理がしてあるため調理 食品の有用性を啓蒙(けいもう)する。 場でのゴミが出ない。また調理時間の短縮にもな イベントは午前9時半スタートで,ウオーキング る。高齢者や独り暮らしの方にも安定した食を提 専門家の協力で一般公募による100組300人の親子 供できる。必要な分量だけ無駄なく使っていただ が参加する予定。芝公園からイオン品川シーサイ ける。便利なだけではない冷食の魅力を,フード ド店まで約6kmのコースを災害帰宅を想定して スペシャリストの皆さんに伝えていただきたい。 歩き,ラリー中は災害時に帰宅支援をしてくれる これからも,食に関わるプロフェッショナルを CVSの表示説明や最適な歩行路の選び方などをア 応援し一緒にやっていきたい。 ドバイスする。 日本缶詰協会, 「親子で知って備える!防災フェ 終点到着後はレシピコンテスト会場で試食や投 ア」10月8日開催 (日食 2011/08/29 日付) 票に参加する。同コンテストは災害時の限られた 日本缶詰協会は10月8日, 「缶詰の日」 (10月10 食材や調理環境でも缶詰などをアレンジすること 日)を記念するイベントとして「第2回 親子で で簡単に調理できるレシピを競うもので,その場 シンポジウムのご案内 日本包装学会 第56回シンポジウム −プラスチックへの加飾技術− ◇日 時:平成23年10月4日(火)9:50 ∼ 16:50 ◇主 催:日本包装学会 ◇協 賛:(社)日本包装技術協会 ◇後 援:日本食品包装協会,軟包装衛生協議会, 日本接着学会,日本食品科学工学会 ◇会 場:きゅりあん 6F 大会議室 東京都品川区東大井5−18−1 (JR大 井 町 駅 前 )TEL 03-5479-4100 ◇参加費:維持会員15,000円(注1) ,企業に属する 個人会員10,000円,その他の個人会員および学 校・公的機関の会員5,000円,エキスパート会員 2,000円,学生2,000円,非会員18,000円(注2) (注1) :企業会員で1社2名以上申し込まれた場 合は,更に1名が無料になります。4名以上の場 合は1人につき10,000円の追加で参加できます。 (注2):申込み時に会員登録(年会費8,000円)を していただければ,個人会員として参加できます。 ◇申込・問合せ先: 日本包装学会「第56回シンポジウム」係 〒169-0073 東京都新宿区百人町1-20-3 バラードハイム703 食品と容器 TEL 03-5337-8717 FAX 03-5337-8718 ◇定 員:100名 ◇申込締切:9月20日(火) 先着順にて締切 ◇内 容 ・ 「プラスチックへの加飾技術の最近の動向」 MTO技術研究所 桝井 捷平氏 ・ 「プラスチック製品への加飾事例(インモールド 成形) 」 大日本印刷株式会社 包装事業部 亀田 克己氏 ・ 「プラスチック基材に対応する印刷インキ及び意匠 性付与材料」 東洋インキ株式会社 コンバーティング技術統括部 島田 健志郎氏 ・ 「UVフレキソ印刷の最新技術−なぜ今UVフレキ ソ印刷か?−」 株式会社 T&K TOKA 開発部 福丸 隆志氏 ・ 「UVオンディマンド印刷の最新技術について」 株式会社ミマキエンジニアリング 国内営業部長 羽場 康博氏 ○シンポジウムの詳細については,日本包装学会ホー ムページをご覧下さい。 (http://www.spstj.jp/event/sympo/index.html) 645 2011 VOL. 52 NO. 10 業界の話題 で最優秀レシピを決定する。メーン会場では子供 本最大のコンテスト。アクセシブルデザイン賞は 向けイベントとして地震体験車やオリジナル缶作 最高賞の「ジャパンスター賞」に次ぐ栄誉ある り体験などを行う予定で,東日本大震災の復興支 「包装技術賞」の一部門に当たる。表彰式は8月 援を目的とする募金箱も設置する。 30日に都内で行われた。 ◆概要 キャップの名称は「32スムーズプルヒンジEU4 ▽後援=東京都,消防庁,農林水産省▽日時= -TE」。共同開発者である日本クラウンコルクが 10月8日午前9時半∼午後4時半(雨天決行)▽ 応募した。 ウオーキングラリー行程=芝公園∼埠頭公園∼イ 大日本印刷,植物由来バリアフィルム開発 他フ オン同店前広場▽応募方法=インターネットで専 ィルムと組み合わせでCO2最大50%削減 用HP(http://www.bousai-fair.com/)にアクセス (日食 2011/09/05 日付) 後,所定事項を記入▽参加費=無料▽参加賞=完 大日本印刷(DNP)はこのほど,植物由来の 歩した参加者各組に「缶詰・びん詰・レトルト食 原料を使用した包装材料「バイオマテック」シリ 品詰め合わせ」を贈呈▽参加資格=原則として親 ーズで透明蒸着バリアフィルム「バイオマテック 子または子ども連れの親子▽照会先=運営事務局 IB-PET」を国内で初めて開発した。この新バリ (03・3373・4447) アフィルムは,DNPが開発済みの植物由来のポ 宝酒造の改良キャップがデザイン賞受賞 高齢者 リエチレンフィルム「バイオマテックPE」など ・障害者にも使いやすい 消費者の声に応え と貼り合わせることで,水蒸気や酸素に対する優 (日食 2011/09/05 日付) れたバリア性を備えた包装材に加工できる。廃棄 高齢者・障害者にも使いやすく--宝酒造は消費 後の焼却時に発生するCO2排出量を最大50%削減 者からの声に応えて本みりん,料理清酒のキャッ する。主に食品・菓子・トイレタリー・医薬品な プを大幅改良し, 「2011日本パッケージコンテス ど幅広い分野の包装材向け。量産開始は9月から。 ト」でアクセシブルデザイン賞(高齢者・障害者 同シリーズ使用の包装材で2015年度200億円の売 に配慮した包装に与えられる賞)を受賞した。キ 上げを見込む。 ャップにくぼみをつけたり,つまみ部分の面積を バイオマテックシリーズは石油由来原料の一部 広げるなどの改良を施した結果, 「開けやすくなっ を植物由来原料に置き換えることで石油使用量の た」「注ぎやすい」と好評を得ている。 削減を実現しながらも,石油由来フィルムと同等 同社のお客さま相談室に寄せられた「キャップ の物性と加工適性を持つ製品。同シリーズのフィ がうまく開封できない」との声に対応したもの。 ルムを組み合わせて製造する包装材は,石油使用 開封用のつまみに指をかけやすいよう大きなくぼ 量を最大50%削減するとともに,焼却時のCO2排 みをつけたほか,つまみ部分の面積も拡大し高齢 出量も最大50%削減する。一般的に植物由来フィ 者など握力の弱い人にも使いやすいように工夫し ルムは石油由来フィルムに比べて高価だが,同シ た。また,くぼみを新しく設けたおかげで,使用 リーズを用いた包装材は製造コストを2∼3割程 時に前後の向きがブラインドタッチでもわかるよ 度の上昇に抑えている。 うになるなど,障害者にも注ぎやすくなっている。 DNPは食品や飲料などメーカーに提供してい 改良した新キャップは4月から順次, 「タカラ本 る包装材を順次バイオマテックシリーズに切り替 みりん」や「タカラ料理清酒」の中小容量(1.8リ えていく予定だ。海外メーカーの関心も高く,海 ットル未満)の商品に導入している。 外市場への展開も積極的に推進する。将来的には 日本パッケージコンテストは社団法人日本包装 石油由来フィルムと同程度の価格となるようなコ 技術協会が毎年開催している包装分野における日 ストダウンの取組みを継続し,紙容器や成型品へ 食品と容器 646 2011 VOL. 52 NO. 10 業界の話題 の展開を図り,同シリーズの普及を促進する。 論文に対して贈呈するもので,今年は大和製罐の * 加藤寛之氏と大阪市立大学大学院の佐藤和信氏・ ▽バイオマテックPET=包装材の最表面印刷層 工位武治氏の「口腔内で感じる鉄臭の生成場所」 に用いるフィルム。原料の約30%を占めるエチレ が選ばれた。11月10日,新潟市内のホテルオーク ングリコールを石油由来からサトウキビ由来のバ ラ新潟で表彰式を行う。 イオエタノールに置き換え,石油使用量を約30% 「口腔内で感じる鉄臭の生成場所」では,食品 削減した。 や飲料で重要なにおい,特に金属臭が口中のどの ▽同IB-PET=今回開発の新製品。包装材の中 部分で発生し,鉄臭物質を生成しているのかを調 間層に用いられる高いバリア性を備えたフィルム。 査,発表している。同協会ではこれ以外に日本缶 DNP独自の透明蒸着技術を用いて表面に透明な 詰協会技術奨励賞として,アサヒ飲料・青山冬樹 薄膜(バリア層)を形成し,水蒸気や酸素による 氏の「DNAアレイを用いた果実・果汁有害真菌の迅 内容物の劣化を防ぐ。 速同定法の開発」 ,日本缶詰協会の山崎良行氏・田 ▽同PE=包装材の内面層に用いるフィルム。 口真寿美氏・武田淳氏の「トランス脂肪酸生成に サトウキビ由来のPEを使用し,石油由来の製品 及ぼすレトルト殺菌の影響」を選出した。 に比べて石油使用量を50%∼ 60%程度削減した。 同賞には選考委員として委員長に東京大学・お 密封性や強度,風合いを高めるフィルム。 茶の水女子大学の藤巻正生名誉教授,委員に実践 日本缶詰協会,「平成23年度技術賞」大和製罐 女子大学の三浦洋名誉教授,東京海洋大学の大島 ・加藤寛之氏らに決定 敏明教授,東洋製罐グループ総合研究所の後藤弘 (日食 2011/09/16 日付) 明所長,大和製缶の加藤寛之総合研究所長,田中 日本缶詰協会は2日, 「平成23年度日本缶詰協 技術士事務所の田中光幸所長,日本缶詰協会技術 会技術賞」の最終選考を行い同賞1本,奨励賞2 委員会の金丸淳委員長が参加している。 本を選定した。缶詰の技術発展に寄与した研究や 新刊紹介 ソフト・ドリンク技術資料 No. 164 発刊のお知らせ (社)全国清涼飲料工業会では、「ソフト・ドリンク 技術資料164号」を発刊しました。ご希望の方はホー ムページよりお申し込み下さい。 ◇書 名:ソフト・ドリンク技術資料 No.164 (2011年・第2号)B5判 123ページ ◇価 格:1部購入の場合=4,500円(全清飲また は日清研会員は3,000円) ,定期購読の場合= 9,000円(全清飲または日清研会員は6,000円) ◎定期購読は年間3冊,価格はいずれも消費税 込,送料サービス,10部以上お求めの場合には 1割引。 ◇申し込み先:ホームページhttp://www.j-sda.or.jp ◇お問合せ先: (社)全国清涼飲料工業会 TEL 03(3270)7300 担当 坂本または安達 ◇内 容 1.予測食品微生物学 (東京農工大学 藤川 浩) 2.食品産業における予測微生物学の活用 ( (独)農研機構 食品総合研究所 小関 成樹) 食品と容器 3.加熱による微生物細胞の損傷・修復とストレス 応答 (関西大学 土戸 哲明) 4.茶の科学と後発酵茶について 1 (大妻女子大学 大森 正司) 5.原材料としての地下水の起源判別(その3) −水のおいしさについて− (三菱マテリアルテクノ (株) 富山 眞吾,他) 6.コカ・コーラシステムの食品安全の取り組み (ザ コカ・コーラ カンパニー グローバル オーディットオーガニゼーション 小山 郁) 7.第43回コーデックス食品添加物部会会合報告 (日本食品添加物協会 平川 忠) 8.第5回CODEX汚染物質部会報告 (サントリービジネスサポート (株)) 渡辺 健介) ティータイム ▶そうだったか! 小田原北条氏 −戦国の幕を開け・幕を閉じた関東の雄− ( (社)全国清涼飲料工業会 久保田 潔) 647 2011 VOL. 52 NO. 10 今月の統計 ᮇ 㸝࢞ࣛࣤࣄ࣭ࣜᰬᘟఌ♣ㄢ㸞 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ȾѤϴᔶ˴˙˭ʱᄍɣɾంɶɣᯨقʊɩɣᠪԠ ƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃ ݼ ٽᎣ ͥ Ⱦвପବ˝̎˕˯̎ˏʊܛʄɮᰖԔ˝̎˕ពˍ ˏ˜˶ƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃϷᙸҶ· Ⱦᮂवᘛ൮Ԏۿˡˀʺˑ̉ˋʍᆌᶭຼ ࠜށᄉ اቿࠜᧅ ᯨშ݄ቿࠜቿ̍ށဍ०ͥለኴ࠺ᶭɕ ᆱ ̡ ߦ ೮ ɜព៥ɝ最近の冷凍食品産業の動向 ኚᡅдͥᶺᑉ៊ీܫᶬ90ᶨºᶩ²³᷾²¹ᶨ ²²ᶩᶮ ࠍѨ҈̡ӟһӞһ௴࿁ ɜព៥ɝ特集1―世界で活躍する日本の食品素材・添加 物― ˫̎˟ˇ˵ˁ́ᶬ27ᶨºᶩ²¸᷾¶±ᶨ ²²ᶩᶮ ȾఖಢɪʨͳᄟʗʍᯨقᤤԎଞށʊɰʅƃƃۣдవ ȾໟݹऐܬʊɩɰʪఖಢʍᯨقՒँᄍ᧤ᎫԢᄍ ƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃᡋ݇· ȾଞށɸʪͳᄟʍΖ֊ԺऐܬʗʍᝒقЙᏋʍכʩᎻʞ ƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃಙಏ Ⱦঞˏ˕̎˗Οඋʍໟ࢘ݹƃƃƃƃƃƃƃࣨᄑᓧ· Ⱦˉ̎ˍ˹٦قʍ៖࠳ʇऐܬթƃƃƃƃƃƃѾዞআ Ⱦ˥˿̎́ʍᒑɧఄʇ៖ាʊʃɣʅƃƃƃƃƃฮᙸᖓᔱ Ⱦ፥۔ᯨࠪقӂও֊ຫʍʇʉࡩড়ᶭ-(752ᶭ ȾͳᄟʆໍᣱɸʪʍᯨقᎫಲ̍༐Ւၑ̍թ ƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃᐁᭂᧅ ɜព៥ɝ東日本大震災後の缶びん詰,レトルト食品の消 費動向Ⅰ−第1回 レトルト食品についての調査− ©ªఖಢᑉ៊֩ϥᶺᑉ៊ీܫᶬ90ᶨºᶩ³᷾²²ᶨ ²²ᶩᶮ ௴ ࿁ ڵ ཥ ɜព៥〕2011年酒類・食品産業の上期動向と下期展望: 復旧・復興支援で重責担う2011年の酒類・食品産業 ∼健康とゆとりの提供を最優先に∼ ᧘ᯕᯨقᏎឞಏܫᶬ53ᶨ·ᶩ³᷾³µᶨ ²²¯¹ᶩᶮ ɜព៥ɝ高齢者の食事に要求されるテクスチャー ށᢳʑʬᶺ)),ˎ˹̎ˠ́ᶬ216ᶨ´ᶩ³±¸᷾³²´ᶨ ²²¯¹ᶩᶮ ɜព៥ɝ高齢者が誤嚥しにくい介護食の物性 ဍᡅ μ̍ᡅ፥ᶨᫎᡅࣽᶩ༦ࠍ̍ᄑϐుࠍ̍ဍᡅఖ ᆍᑬᶺ֊ࠜʇᄉၑᶬ49ᶨºᶩ·²±᷾·²ºᶨ ²²ᶩᶮ ɜព៥ɝ市場動向Ⅰ/有機酸の市場動向 ᐁᭂᧅᶺᯨقʇᆌᶬ46ᶨºᶩ´º᷾µ·ᶨ ²²ᶩᶮ ɜព៥ɝ市場動向Ⅲ/消臭,呈味改善・マスキング素材 の利用動向 ᐁᭂᧅᶺᯨقʇᆌᶬ46ᶨºᶩ¶¸᷾·²ᶨ ²²ᶩᶮ ɜព៥ɝ“水から炊く”電子レンジ専用カップライス 「日清カップヌードルごはん」/自社人気商品との 差別化にボックス型の紙容器を採用 ฮᄑ࠹Ԣᶺᯨقւᝀᶬ55ᶨºᶩ³᷾´ᶨ ²²ᶩᶮ ర ઍ ̡ ඟ ઍ ɜព៥ɝ生産不能・出荷停止で混乱した飲用牛乳/牛乳 は優先出荷で久しぶりに伸長 ᧘ᯕᯨقᏎឞಏܫᶬ53ᶨ·ᶩµ¹᷾¶´ᶨ ²²¯¹ᶩᶮ ɜព៥ɝ大震災で価値販売の道が見えた?!/即席めん の消費活性化策/有力メーカーの販売政策を探る Ᏼᯨقᶬ35ᶨµᶩ²¶᷾³¶ᶨ ²²¯ºᶩᶮ ۄᆎ ̡ ௧ ഉ ɜព៥ɝ年末・年始の伝統食品だけではない!!/簡単 に調理できる非常食として価値を再評価された包 装もち Ᏼᯨقᶬ35ᶨµᶩ¶²᷾¶ºᶨ ²²¯ºᶩᶮ ɜព៥ɝ“高品質”な国産ワイン造りを継続/観光需要 減少から徐々に回復 ᧘ᯕᯨقᏎឞಏܫᶬ53ᶨ·ᶩ´´᷾´¸ᶨ ²²¯¹ᶩᶮ ɜព៥ɝおいしさを評価する方法の探索 ͼᨂ·ᑬࠍ̍Ϣಟ βᶺˡ˻̎˫̎˟ʺ̉˖ˏ˞̀ ɜព៥ɝ麦茶の寄与に期待,11年の日本茶飲料/10年は 食品と容器 651 2011 VOL. 52 NO. 10 最近の技術雑誌から ̎ᶬ53ᶨºᶩµº᷾¶·ᶨ ²²ᶩᶮ ᄵ ࠰ ̡ ၆ ௴࿁݈ী̡ဲഇ ɜព៥ɝ特集1―食品包装の未来に乾杯! partⅡ― ᯨقւᝀᶬ55ᶨºᶩ²¶᷾³¹ᶨ ²²ᶩᶮ Ⱦಜহʍ˜˅ˤ̃ˎ̎Գᏺᶯఖಢˉˁ̍ˉ̎˿ 3(7˲˞́๎ᗕʊ᭙ࠍᏺဆ૮ᶯᬛˉˁ̍ˉ ̎˿˭̃˖˅˚ሑາँܬʍᗕҰܾం˿ʺ̉ʊࡶӁ Ⱦࡉኢᶯ³±²²शা֤ϒᬆᶬᯨقւᝀʎžɲɲſʊີᆾᶡ ᶨাᐁᶩᶯ᧦Ꭻ؎יᓧɪʨᲝ्вପᶬ˦ʺˀւᝀ ʍԳᏺƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃᗿᕩয়দ Ⱦີᆾւಲʍᆌˏ˞̎̀̎ᶯͪᗡේᓨ '/&૮˯ ̎ˏʊ۔ӑ༒᧘ށʇӉʆᶯথၤʊʡɲɿʮʂɾ ˥ʺ˦̀ʸ3(7˲˞́Ӂʩఖಢ᧘ɫॉᯃʊ ɜព៥ɝ拡大する逆浸透膜利用のRO水/純水自動販売 機のパイオニア環境向学/「自分で水の浄化」を提 案する新商法 ͫᖓބᶺᏴᯨقᶬ35ᶨµᶩ´¹᷾µ²ᶨ ²²¯ºᶩᶮ ɜព៥ɝ特集―混合・撹拌・乳化機器― ᯨقീᝀᑝᶬ48ᶨºᶩ·²᷾¹³ᶨ ²²ᶩᶮ Ⱦ໐ᣈॾ࠳ۓᱝˎ˸˱ۥˠʺˌ̎ʊʧʪᱝ्ʉΖ֊̍Ԕ ૮ʇᯨقᆌʗʍড়ᄍƃƃƃƃƃƃƃ·ྑӆΠ Ⱦˎʽ˙˞ॾ˵˃ˋ̎ʊʧʪంɶɣଏ૮ᶯϹ̍፫ Ϲ̍Ϲʍ༌ʱᶱʆ࠷Ⴛƃƃƃƃƃƃͪಟ٦ Ⱦ˃˹˩˜̎ˍ˽̉Ԣᄍʍᮀห̎ˋ˃˵̉ʺ˿̉ʺۿ ƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃࢡͼቻේ Ⱦ༌ᶬଏᶬΖ֊ګʊʃɣʅƃƃƃƃƃƃࣽຟҰ ɜព៥ɝ特集2―ロングライフ食品と包装の“これから”― ᯨقւᝀᶬ55ᶨºᶩ³º᷾´¶ᶨ ²²ᶩᶮ Ⱦʸˁ˝˵˙˅ԳᏺᶯቬΥᇊዒ ࠜށɔࡷᲫʍɴɴཷ ɰɕʍӲӻᫎಜвࠓʆીೖᶯᜟᆣᕫ֊ݳʆ᧦Ꭻ˦ ̀ʸւಲʍనʨɪʉಐ՞৷ʱሯ៖ƃƃƃƃƃᐁᭂᧅ Ⱦ់ᯌ˅̃̎ːʸ˙˭ᶯ൛Ζඋ࠷ఆʍʸ̉ˇ̎˞ ᭝ ࿔াʡɔಠʆॗൈɕʎᶲՁওᶯžᢋءಜᬈɫᫎ ɣ٦قſʊࡩɸʪߧʍɫనʨɪʊƃᐁᭂᧅ ɜព៥ɝ特集―高品質化を目指す新しい食品殺菌技術― ᯨقʇᆌᶬ46ᶨºᶩ¶᷾³´ᶨ ²²ᶩᶮ Ⱦᯨʍࠪӂʇقᢑʱዒɴɺʪం&&3ϵ༦๎ᗕ˭̃ ˑˏƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃ0¯ˇ˿̎̍ϟղᄑቻේ Ⱦంɾʉ๎ᗕˍˏ˜˶ɔʼʽ̎ˬ̍˜˅ˤ̃ˎ̎ɕ ƃƃƃƃƃƃƃ©ಐªˋˤ˲˜˅ˤ̃ˎ̎ˎ˹˧̉ Ⱦᦋပᘛᆌᄉᝀᑝʱໍᄍɶɾᯨ๎قᗕ૮ʍᓧ৷᷾ ,+66ʊʧʪሀీᜟᮅ๎ᗕ᷾ƃƃƃƃƃᙸᄑ ག ȾᘛʱЋʂɾᇫᜟᮅ๎ᗕᝀᑝʍᆌƃƃᙸׄᝃװ Ⱦᯨقᄊඋʊɩɰʪ๎ᗕ૮ʇᝀᑝᆌ᷾قᢑࡩড়ʇˉ ˏ˞༜ɫ៨ᯌᶬᱝᵱᒓɰᯨقᆌʆಜহʡ᷾ ƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃᐁᭂᧅ ɜព៥ɝ寄稿/食品包装にも期待される応用展開の可能 性/「マイクロ波吸収発熱フェライト粉」∼電子レ ンジで発熱し所定温度で昇温停止する粉体の提案 ࢨࣉᄒࠍ̍ͼࣃ ౄ̍ᱝऺᭀᶺᯨقւᝀᶬ55 ᶨºᶩ´·᷾´ºᶨ ²²ᶩᶮ ɜព៥ɝ特集─最新の化粧品容器包装─ ւᝀ૮ᶬ49ᶨºᶩ´᷾²¹ᶨ ²²ᶩᶮ Ⱦ˳̎˿ .̍2̍8ʍ˝ˌʺ̉ᆌΟАƃϟᙸӎރಘ Ⱦ+$.8 ˷˿ˤ˫ʿ̎ˁˏʍ៊ʠಌɧࡄګᆌ ƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃϷᙸဆᭀ Ⱦ၄ʆፍ֫ʊЋɧʪంɶɣ˧˫ΐ̎ˏ˗̎˅ࡄګʍ ᆌƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃዬӑ᮵ࠍ Ⱦɖ́̎ˏ˫ʷ̉˝̎ˍ˽̉ᄍˉ̉˧˅˞ࡄګɗʍ٦ق ᆌƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃᖶΥ ٩̍ሃΥฯ ધਯ̡ᅻ෭ ɜព៥ɝ2010年度全国酒類・食品問屋200社の業績ラン キング/業界再編,最終局面へ ᧘ᯕᯨقᏎឞಏܫᶬ53ᶨ·ᶩ·¶᷾¹±ᶨ ²²¯¹ᶩᶮ ɜព៥〕堅実な成長とげた自販機オペレーター/不透明 感増す中,需要喚起策が不可欠に ᧘ᯕᯨقᏎឞಏܫᶬ53ᶨ·ᶩ¹²᷾¹¹ᶨ ²²¯¹ᶩᶮ ɜព៥ɝ第三十五回木下賞/受賞論文 ւᝀ૮ᶬ49ᶨºᶩ²º᷾´·ᶨ ²²ᶩᶮ ȾᗕҰܾࡩড়ᱝ˦̀ʸ৷Ꭷᝒᯯ௶ˁ˙˭ɔʾˉ˫˿˙ ˞ˁ˙˭ɕʍᆌƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃϟূుዞ Ⱦ9$,2 :ʍშ݄ᡥᖻʱ༜ʨɸכʩᎻʞƃƃƃͫΥѪς ȾྪʫɾʆЋʂʅʡʣឞᨃˏ˭̎̉ɫԺʆʫʊ ɮɣɔ˼ˡ˦̎ˋ́˝ˌʺ̉፫ಡԺࡄګɕʍᆌ ƃƃƃƃƃƃƃƃීभ̍״೫ಳಐᑬ̍ࢡಢధদ Ⱦૺᗕᓧϊԕʩˊ˵ᜫɔ˖ˏ˞˴̉ɕʍᆌ ƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃƃї ቒࠪ̍ࠨᧉ࠽ࠗవ ɜព៥ɝ主な未上場スーパー10年度売上高上位30社 ᧘ᯕᯨقᏎឞಏܫᶬ53ᶨ·ᶩ²¶²ᶨ ²²¯¹ᶩᶮ ɜព៥ɝ購入率高まるCVSデザート/コンビニデザート に関する意識調査 ˴́˥ˡ˗̃˱̎́˝ʹ̉ˆˏᶺᏴᯨقᶬ 35ᶨµᶩµ³᷾µ·ᶨ ²²¯ºᶩᶮ 食品と容器 652 2011 VOL. 52 NO. 10 最近の技術雑誌から Hold the Salt Please: Trends in Salt Reduction & 海 外 Salt Substitutes …………………………………29∼31 編 ○食品と飲料の栄養強化における最近のトピックス Making Good Things Better: Current Topics in Food 邦文の題名は内容に従って付けてありま すので,原題と異なる場合があります。 and Drink Fortification …………………………32∼33 ご興味のある雑誌・記事がございました Food & Beverage Packaging (U.S.A.) Vol.75 Jun./Jul. (2011) らいつでも閲覧できますので,当会宛ご 連絡ください。 ○世界の食品メーカートップ50 Top 50 Food Packagers : Billion Dollar Brands, The World of Food Ingredients (Neth.) Mar. (2011) Multibillion Dollar Companies ○次世代飲料のコンセプト ○バイオプラスチック:製品進化または市場革命? What Will They Drink Up Next? Bioplastics:A Product Evolution or Market D.Berry ……………………………………………15∼18 Revolution? ○伸長する茶,コーヒー飲料 R.Lingle ……………………………………………40∼42 R.Lingle ……………………………………………26∼34 Coffee Moves into the Cold M.Hilliam …………………………………………19∼22 Food Technology (U.S.A.) Vol.65 Jul. (2011) ○INNOVA市場調査による飲料デザイントレンド ○急成長を続ける自然食品市場動向 Beverage Design Trends Navigating the Natural Marketplace ……………………………………………27∼29 A.E.Sloan …………………………………………24∼33 ○新しい甘味料の市場と技術動向 ○“環境”軌道を走る食品飲料会社4 A New Sweetness Battlefield D.Ghosh On a Green Growth Track …………………………………………30∼33 ○Angptl4タンパク質の生物学的作用考察 M.E.Kuhn and T.Tarver …………………………34∼42 Preventative Protein ○GRAS 25 : 食品添加物の安全性評価プログラム R.Barnhoorn ………………………………………56∼60 Gras Flavoring Substances 25 ○関節の健康に効果的な成分 R.L.Smith et al.……………………………………44∼54 21st Century Joint Health ○前進する新規成分の開発状況報告 J.Udani ……………………………………………61∼63 A Progressive Potpourri D.E.Pszczola ……………………………………77∼89 Food Engineering & Ingredients (BEL.) Vol.36 Mar./Apr. (2011) ○機能性オイルの技術革新と実用化 ○期待される抗菌包装の将来 L.M.Ohr ……………………………………………91∼96 High Hopes for the Future of Antimicrobial Packaging ○食物繊維の分析方法 Functionally Fit Oils ……………………………………………10∼13 Analyzing for Dietary Fiber ○合成食品染料への挑戦:天然の着色料と着色成分 N.H.Mermelstein ……………………………… 98∼102 Challenging Synthetic Food Dyes: Natural Colours ○食品照射法のバリエーションとその応用 and Ingredients …………………………………14∼17 Irradiation Variations and Applications ○高圧処理における最近の動向 J.P.Clark ………………………………………103∼105 Recent Developments in High Pressure Processing ……………………………………………18∼21 Food Engineering (U.S.A.)Vol.83 Jul. (2011) ○充填包装ラインを効率化,低コスト化するための標準 ○第9回食品加工業の交換部品管理リポート 化概念 Efficiency All Along the Line 9th Annual Replacement Parts Directory : L.Jahn………………………………………………22∼24 Inventory Strategies Shift ○減塩の取り組みと塩の代替品の可能性 K.T.Higgins ………………………………………12∼20 食品と容器 653 2011 VOL. 52 NO. 10 最近の技術雑誌から Food Processing (U.S.A.) Vol.72 Jul. (2011) H.Landi ……………………………………………18∼22 ○フクシマ放射能による欧米の食品汚染リスク ○2011年のBevStar賞を受賞した刷新的な飲料 Fukushima in Our Food Beverage World BevStar Awards 2011 S.Hoffman …………………………………………14∼16 ……………………………………………23∼31 ○2011年食品加工従事者の給与と仕事満足度調査 ○増加するナチュラルカラーの需要 Bringing Back the Bacon A Broad Palette D.Feder ……………………………………………30∼40 H.Landi ……………………………………………46∼47 ○消費者に認知され,プライベートブランドが成長 Public Growth for Private Label Beverage Industry (U.S.A.)Vol.102 Jul. (2011) D.Toops ……………………………………………43∼46 ○回復傾向にあるファストフード産業 ○オーガニック食品と天然着色料の進歩 Foodservice Channel Making Strides Botanicals Lend Color and More J.Jacobsen ………………………………………32∼34 M.Anthony …………………………………………49∼51 ○容器の軽量化に対応した検査装置 Designed for Detailed Detection Prepared Foods (U.S.A.) Vol.180 Jul. (2011) E. Fuhrman ………………………… 36∼38 ,63∼64 ○最近のス−プトレンド ○特別レポート:2011年,アメリカの飲料企業 Soup−On-trend The State of the Industry 2011 B.Patterson ………………………………………15∼18 ………………………………… SOI-1∼SOI-18 ○体重管理:減量表示規制の現状 ・炭酸飲料 ・スポーツドリンク Weight Management : ・エネルギードリンク・ボトルドウオーター Hot Claims to Cool Substantiation ・茶 ・コーヒー ・ジュース ・乳飲料 J.J.Prochnow …………………………… NS3∼NS12 ・ビール ・ワイン&スピリッツ ○共役リノール酸の臨床試験と効能 ○肥満を低減する体重管理飲料の開発 CLA・・・Yay or Nay? Formulations to Fight Expanding Waistlines S.Caligiuri ………………………………… NS15∼NS18 J.Zegler ……………………………………………67∼75 ○フルーツ,ナッツの食品と飲料への利用 Fruit and Nut Creative Enhancements The Canmaker (U.K.) Vol.24 Jul. (2011) W.Jones ……………………………………………53∼54 ○3ピース缶の軽量化の推移 ○最新テクノロジーによる味覚の制御 Lightweighting Gathers Pace Emerging Technology Tackles Taste J.Nutting …………………………………………28∼29 K.Burseg …………………………………………61∼66 Packaging Digest (U.S.A.) Vol.48 Jul. (2011) Food Manufacture (U.K.) Vol.86 Jul. (2011) ○第23回デュポン賞を受賞した革新的なパッケージ ○プロバイオティクス:消化以外の効能研究リポート Earthly Rewards Beyond the Gut L.Casey ……………………………………………22∼25 A.Bruce ……………………………………………57∼58 ○ラップラウンドシュリンクラベルを初めて飲料缶に適用 ○体重管理の新しい機能成分トレンド Rolling Ahead with Stunning Shrink Full Answer to Weighty Problems L.M.Pierce …………………………………………26∼29 M.Knott ……………………………………………61∼62 ○米国食品安全法で重要視するトレーサビリティー ○ヨーロッパにおける冷凍食品の革新 Food Safety Law Advances Role of Traceability Break the Ice D.Miller ……………………………………………36∼37 J.Dunn ……………………………………………69∼70 Fruit Processing (DEU.) Vol.21 Jul./Aug. (2011) Beverage World (U.S.A.) Vol.130 Jul. (2011) ○スムージー飲料の特性解析と評価 ○新しい茶系飲料の市場開拓状況 Analytical Characterization and Evaluation of High Tea Smoothies ………………………………………145∼154 食品と容器 654 2011 VOL. 52 NO. 10 も非常に大型で,味の良好な品種が栽培されてい 野菜・果物を巡って ることを知って,その分布の広いことに驚いたこ とである。 (第三十四話) なしの季節に思う よし だ 千葉県松戸市には二十世紀ガ丘という地名があ るが,長十郎と共に代表的品種であった二十世紀 の誕生がこの地なのである。明治3年千葉県の松 き よ こ 吉田 企世子 戸覚之助という人がごみ捨て場で自然交雑の幼苗 (女子栄養大学名誉教授) を発見し,なし園に移植したのが始まりであると 「桃栗三年,柿八年,柚子は九年で成りかかり, 記されている。果皮が淡緑色,果肉は多汁で甘味 梅は酸いとて十三年,梨の大ばか十八年」 。よく のあるものが得られて,1898年(明治31年)に 知られている諺である。小学生のころから耳にし 二十世紀と命名されたとのこと。二十世紀の特産 ているので,なしを作るのは大変なことであると 地,鳥取県では1904(明治37年)に千葉県から の意識がインプットされていた。 栽植した10本から始まり,品種改良によって現 芽生えてから実が結ぶまでに十八年もかかると 在のような鳥取県二十世紀の全盛を導くことにな いうなしであるが,現在は成木に高接するので3 ったのである。甘味があり,品質は優れているが, ∼5年で結実するという。歴史的な表現と技術の 病害に弱いため,栽培に手がかかるのが難点であ 進歩とはかみ合わないことは当然で,特に日本に った。そこで,二十世紀を土台にして,改良され おける果物や野菜の品種改良や栽培技術の進歩と た新品種が数多く生まれている。 多様化は見事である。海外に誇りうる日本の技術 長十郎は明治27年頃,川崎大師のそばにあっ であろう。 た当麻長十郎の赤なし園から突然変異で生まれた なしに関する諺で「瓜の皮は厚く剥け,梨の皮 もので,それまでになかった赤の輝き,大きさも は薄く剥け」という表現がある。それぞれに適し 倍ぐらい,形は正円の堂々とした貫禄,しかも食 た皮の剥き方があることを示しているのであろう。 味は甘さ十分,歯触りも上々,長十郎は感激し, たしかに瓜の皮は硬いので厚めに剥くのがよい。 このなしに自分の名前をつけたと伝えられている。 というより当然厚く剥くことになる。なしの皮は なしの原産地は中国といわれるが,アジアから 薄いので,厚く剥く必要はない。現在主流の品種 ヨーロッパに至るまで広い地域にわたって栽培さ である幸水,豊水などは技術を要することなく薄 れ,その土地特有の品種が生まれたのである。 く剥くことができる。 わ が 国 で は す で に 平 安 時 代 中 期 の 延 長 年 間 今では懐かしい品種となったが,長十郎が主流 (923 ∼ 930)に栽培の記録があるという。した であった時代には皮を薄くむくことは現在の品種 がって,伝来はもっと古く,平安時代初期と考え より少々困難であったので,このような諺がうま られている。わが国の果樹栽培の中ではなしが最 れたのであろうか。 も古いとされているのである。徳川末期になると かつては長十郎の赤褐色の果皮に秋の季節を感 150品種以上があったとの記述もみられる。栽培 じたものである。ジューシーさには欠けるが歯ご の歴史が古いので,いつしか「日本なし」と呼ば たえがしっかりしていて,ほどよい甘味があって れるようになったとのこと。 好みに合う品種であった。今では店頭で見かける 西洋なしはヨーロッパの中・南部からコーカサ ことはあまりない。 ス,小アジア,イラン北部にかけて原生分布する なしはわが国の気候風土によく合うのか,九州 野生種を基本種として生まれたのである。わが国 から北海道まで各地で栽培されている。若い頃は, には明治初年,米国やフランスから導入,試作さ 千葉県,鳥取県が主産地と認識していたが,郷里 れ,山形県で結実したのが最初である。はじめは である栃木県の北部地域でも生産量が多く,中で 日本人の嗜好に合わず,栽培する人が減少したよ 食品と容器 655 2011 VOL. 52 NO. 10 うであるが,昭和時代に入って再認識され,品種 アに対し,スノウ・ペアといっているとのこと。 改良によって日本人にもなじむようになった。夏 現在では優れた品質の日本なしは欧米人にも受け 期に雨の少ない地域に適するので,栽培面積は山 入れられている。 形県が圧倒的に多く,次に青森,長野,岩手県と 世界で最も多くなしを食べる民族は中国人との 続く。品種は,ラ・フランス(フランス原産)が こと。何故,中国人はなしをそれほど食べるのか。 60%以上を占め,その他,バートレット(イギリ 油っこい中国料理のデザートには甘味がほどほど, ス原産),ル・レクチェなどがある。学生時代に 果汁がたっぷりの中国なしがよく合うらしい。中 は西洋ナシといえばバートレットが有名で,高級 国をよく知る友人によるとウーロン茶と同じよう なしのイメージが強く,実際に高価であったので, に,口中の油っこさがぬぐいとれるような美味し 庶民の果物ではなかったように記憶する。その後, さだとのこと。 ラ・フランスが普及し,普通に購入できる時代と 日本で栽培されている中国なしには西洋なしの なった。日本なしと異なって西洋ナシは樹上では ようにひょうたん型をしている鴨梨(ヤーリー), 完熟させず,収穫後,追熟させて可食状態とする 莱陽慈梨(ライヤンツーリー)やりんごと見まが ので,最も美味しい食べ頃を把握するのが少々難 うような紅梨(ホンリー)などがある。本場中国 しい。追熟が過ぎると香りはよいが,柔らかくな でいちばん人気があるのは鴨梨であるとのこと。 り過ぎ,美味しさが激減する。有り難いことに, 歌舞伎の世界を梨園と称しているが,これは唐 時期になると山形県に住む友人からラ・フランス の玄宗皇帝が梨園において,奏楽者に楽を教えた が届くのであるが,美味しく味わいながらも食べ 故事によると記されている。その梨園に植えられ 頃を逸しているのではないかという気持ちが何と ていたなしは,中国なしの中でも姿,色が美しく, なくつきまとうのである。 味の優れた鴨梨ではないかと推察されているよう さくさくとした歯切れのよさを楽しむ日本なし, である。 香と滑らかな舌触りが持ち味の西洋なし,なしと 朝食のメニューにはヨーグルトを欠かさず加え は呼ばれても非常に異なる存在である。西洋なし ているが,季節の果物を刻んで添えると大変美味 に馴染んでいる欧米人は,日本なしは舌触りがざ しく,腸の働きにも効果的である。このところは らざらし,砂をかじった感じがあってサンド・ペ もっぱらなしを用いている。この組み合わせは今 アとでも名づけたいほどだという。更に種子の周 年はじめての試みであるが,予想に反してヨーグ 囲に強い酸味を感じるとして,あまり評価しなか ルトとなしの相性がよいことに気づき,美味しい ったようである。西洋なしについてはサンド・ペ 朝食を楽しんでいる。 ●このところ朝晩は随分過ごしやす ものだ。気掛かりは,節電で浮いたお金が女房の遊びに くなった。緊急節電期間も9月9日 消えはしないか。東北のお酒を買うのが一番だと進言し に解除されたが,日中はまだまだ厳 てみよう。 (山) しい残暑が続いている。 ●この夏のわが家の節電も,ゴーヤ 食 品 と 容 器 第 52 巻 第 10 号 のグリーンカーテンが枯れ始めたの FOOD & PACKAGING 平成23年 10月 1 日発行 を機にこれで終わりかと思いきや,女房が電気代の節約 発行所 缶 に味をしめたらしく,まだまだ続きそうだ。冷房の効き が悪いとか,夜の街全体が暗めなのにも慣れてきたし, ゴーヤの成長ぶりや収穫を楽しむこともでき,節電・節 約生活もまんざらでもなかった。 ●それにしても,わが家の食料自給率を向上させたゴー −禁無断転載− ヤの勢いには驚かされた。このところあちこち老いの兆 編 集 人 発 行 人 飯 田 塚 嶋 秀 一 夫 雄 印刷所 大和サービス株式会社 乱丁・落丁本はお取り替えいたします。 候を隠せない自分も,ゴーヤの勢いを見習い復活したい 食品と容器 定 価 1部 800円 年間 8,000円 (送 料 共) 詰 技 術 研 究 会 〒103−0002 東京都中央区日本橋馬喰町1−8−4 TEL 0 3( 3 6 6 3 )7 2 5 1 FAX 0 3( 3 6 6 3 )7 2 5 3 Eメール:[email protected] 郵便振替 0 0 1 5 0 −0− 4 2 2 1 5 656 2011 VOL. 52 NO. 10
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