森と湖と人々と Finland Aalto University 経済学部四年 水村 健(みずむら けん) ○留学先で学んだこと 私は経済学部に所属していますが、経済学の授業だけでなく、自分の専攻分野以外の授業 やファイナンス、マーケティングの授業も履修していました。特に Product and Brand Management という授業では実際に売られているヘインツのケチャップの商品や派遣先大 学の教育機関を事例としてとりあげ、商品の売り上げの向上や教育機関の拡大についてプ レゼンテーション形式で発表するという課題が毎週ありました。 また、Investment Management では株や債券について学び、投資をする場合にどのような 利益が生じるかなどを計算させる課題がグループワーク形式で課されました。授業の形式 としては科目によって異なりますが、グループワークが多く、宿題として読んでくる書物 の量が多いイメージがあります。これは一つのタームに取る授業の数が日本より少ないた めかもしれませんが、その分みっちりその分野への理解が深まると思いました。現地なら ではの授業としては Introduction to Finnish language and culture という授業を受講しま した。 この授業ではフィンランド語の入門編を習うだけでなく、実際のフィンランド文化を知る ために市内を先生の解説付きで歩き回ったり、美術館に行ったり、伝統料理を味見したり、 と座学だけでなく体全体を使ってフィンランド文化を学ぶような形式になっていました。 最終プレゼンでは個人がフィンランド文化に関連したトピック(ムーミン、サウナ、自然 など)を選び、発表し合う場が設けられました。 ○留学先での人々との関わり 派遣大学先ではフィンランド人が留学生をサポートする学生団体を持っていて、その中の フィンランド人がチューターとして面倒を見てくれていました。そのため現地の学生と交 流する機会は多く、私もフィンランド人の友人を多く作ることができました。彼らの中に は日本について興味のある人が意外と多く、勉強をしている学生はとても多くいました。 驚いたことに日本人とフィンランド人のハーフの学生も二人ほどいて、彼らは流暢な英語、 フィンランド語、そして日本語を自在に操っていました。もちろん留学生同士の交流も多 く、特に自分のルームメイトであったメキシコ人やドイツ人とは、よく夜ご飯を食べたり、 一緒にパーティに行くこともありました。また、学生だけではなく、すでに仕事をしてい る人や友達の家族などにもお会いする機会があり、より広い年齢層の人々と関わり合うこ とができたことは貴重でした。彼らが考えているフィンランドの社会や人となりを聞くこ とができ、とても勉強になりました。逆に彼らも日本の文化についてとても興味を持って おり、私の説明をしっかり聞いてくれ、理解しようと努めてくれていました。 (ハロウィンパーティーにて) ○イメージとのギャップ 森と湖に囲まれたフィンランド。ひっそりと生活しているフィンランド人。というイメー ジが留学前にはありました。しかし、寒い冬でも暖かい夏でもフィンランド人は陽気に人々 と触れ合いながら楽しく生活をしているなと感じました。確かに冬は本当に寒いし外に出 ている人々も少ないですがその代わり凍った海の上でスキーをしたりワカサギ釣りをして いたり、積極的に遊んでいる人も多くいました。また、5月くらいから日照時間が延び 始めると、街の中心のカフェテラスが人で溢れています。ほとんどのお客さんが中はおら ず外でお茶を楽しんでいます。また夏にはサマーコテージに移動して電機やガスのない環 境で自然との共生を楽しんでいます。もちろんお酒も大好きで週末には楽しい人だかりが 町中にできており、みんな陽気に過ごしています。こういった常に気候や環境に合った楽 しみ方を探し、生活しているフィンランド人の姿はイメージとはだいぶ離れているもので したが、逆にいい意味でギャップが見つけられ自分自身も楽しむことができました。 (寮から徒歩 15 分にあるビーチ) ○留学を振り返って 一年間、自然に囲まれた国、教育が発達している国、福祉が充実している国といわれるフ ィンランドで過ごす中で、当初思い描いていた勉強だけでなく、人々の優しさや国の風土、 自然と生活の密着度の強さなど様々なことを学ぶことができました。日本とは違いすぎて 帰国後は懐かしい感情がこみ上げてきますが、これからはその懐かしい留学生活を今の日 本の生活で生かしながら前向きに生活していきたいと考えています。 (2014 年 6 月 25 日)
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