日本語 - Society for Actinomycetes Japan

日本放線菌学会誌
会 報
第25巻2号
—
目 次 —
巻頭言 セシウム・キノコ・放線菌・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
受賞論文 放線菌が持つメナキノン新規生合成経路の解明 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
2011 年度大会プログラム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
大村 智先生の瑞宝重光章受章、Tetrahedron Prize および
IUMS (国際微生物学連合)Arima 賞受賞を祝う ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
2011 年度大会感想記 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
IUMS2011 Symposium on Bioactive Microbial Products を終えて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
ESF-EMBO Symposium: Synthetic Biology of Antibiotic Production に参加して ・・・・・・・・・・・ 23
2012 年度(第27回)日本放線菌学会大会のご案内 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25
日本放線菌学会 25 周年記念出版「放線菌と生きる」出版のお知らせ ・・・・・・・・・・・・・・ 27
「Digital Atlas of Actinomycetes」改定のお知らせ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27
日本放線菌学会第 12 期理事候補者の推薦について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29
2012 年度日本放線菌学会授賞候補者推薦受付方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30
研究および業績の表彰に関する細則の変更について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32
ご寄付のお礼とお願い ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33
会務報告 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34
理事会議事録 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34
2011 年度総会記録 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38
会長挨拶骨子 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38
2011 年度授賞式および受賞講演の記録 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38
2010 年度事業報告 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40
2011 年度事業計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40
会計報告 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41
2010 年度一般会計決算 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41
2011 年度一般会計予算 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 42
2010 年度特別会計決算 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43
2011 年度特別会計予算 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43
お詫び ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44
会員交流コーナー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44
名誉会員名簿 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45
会員の異動 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45
役員名簿・担当業務 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 46
専門委員会委員名簿 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 46
日本放線菌学会賛助会員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 48
著作権について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 48
巻頭言
セシウム・キノコ・放線菌
本年 3 月 11 日に発生した東日本大地震により東京電力福島原子力発電所も被災し、原子炉の破損に
より放射性ヨウ素と放射性セシウムを主とした大量の放射性核種が環境中に放出された。放出された
放射性物質の量はチェルノブイリ原発事故の 1/10 程度と推定され、131I は 1.5×1017 Bq、137Cs は 1.3
×1016 Bq と試算されている。これらの放射性物質が原発周辺のみならず,一部は関東や東北北部にも
到達し,広範囲にわたる汚染が明らかとなり、大きな社会問題となっている。
チェルノブイリ原発事故後、東ヨーロッパを中心に 137Cs で汚染された食品の摂取による内部被曝が
問題となり、原因食品の一つに野生キノコがあげられた。チェルノブイリ周辺のみならず世界各地で
採集された野生キノコの 137Cs 濃度が高いことが数多く報告されており、日本においても、他の食品に
比べてキノコ中の 137Cs 濃度は高く、1990 年代における 137Cs 摂取量の約 30-50%がキノコ由来と推定
されている。なぜ、キノコに高濃度の 137Cs が蓄積されるのかは現在に至るまで明らかにはなっていな
い。Cs と K の元素としての類似性から K チャネルや K 移送系を介して取り込まれることが推定され
るが、キノコと他の細胞性生物の K 取込系がどのように異なるのかなど、不明な点が多い。ただ、ヒ
ラタケを使った実験では、取り込まれた Cs は細胞内に均一に分布するのではなく、局在することが明
らかになった。このような局在化が高濃縮性に関与しているのではないかと考えられる。
地表に落下した 137Cs は土壌表層に存在するが、そこは土壌微生物の生活の場でもある。土壌細菌の
Cs 蓄積性について調べてみると、二分裂増殖する細菌の多くは高濃度の Cs に耐性を示すが、細胞内
Cs の蓄積量は少なく、Streptomyces を中心とする放線菌は 10 mM 程度の Cs に感受性を示すものが多
いが、細胞内蓄積量は多いことが明らかとなった。SEM で観察すると、キノコに見られたのと同様に
取り込まれた Cs は細胞内で局在化しており、そこにポリリン酸様の物質の関与が示唆されている。S.
lividans を用いて KcsA チャネル、Kdp あるいは Trk 移送系の関与について調べたが、Cs 取込の主要経
路ではなかった。植物のシロイヌナズナでは、Cs 取込の主要経路は K 移送系ではなく非選択的な陽イ
オン輸送系 VICC であることが示唆されており、S. lividans でも同様の非選択的陽イオン輸送系により
Cs が取り込まれるのではないかと推定している。
半減期の長い 137Cs で汚染された土壌の除去作業が行われているが、その膨大な量の土壌をどうする
のか、全く見通しのない状況にある。ヒマワリやアオゲイトウなどの植物を用いたファイトレメディ
エーションが話題になっているが、土壌中の 137Cs の 70%は粘土鉱物等との強固な結合態として存在
することから、その除去には長い時間が必要となる。大量の汚染土壌から効率よく 137Cs を除去するの
に、Cs 蓄積能の高い放線菌を利用できればと思っていますが、137Cs を蓄積した菌体を回収する方法が
思いつきません。何か、うまい方法はないでしょうか。
2011 年 11 月 7 日
日本放線菌学会 副会長 加藤文男
(東邦大学 薬学部)
1
2010 年度学会賞受賞論文
放線菌が持つメナキノン新規生合成経路の解明
大利 徹
北海道大学大学院工学研究院生物機能高分子部門
(北海道札幌市北区北 13 条西 8 丁目)
Studies on an alternative menaquinone biosynthetic pathway operating in actinomycetes
Tohru Dairi
Graduate School of Engineering, Hokkaido University
(Kita 13, Nishi 8, Kita-ku, Sapporo, Hokkaido 060-8628)
(Received Sep. 15, 2011)
メチル基を導入する menE オルソログは存
在したことから、MK のナフトキノン骨格の
みが既知経路とは異なる経路で生合成され
ると考えその全容解明を行った。本稿ではこ
の新規経路の概略について最新の知見も踏
まえて紹介したい。
1.はじめに
メナキノン(以下 MK と略す)は、微生物
では呼吸の際の電子伝達系成分として生育
に必要であることが知られている。微生物は
電子伝達系に用いるキノンの種類により大
きく 2 つに分類される。一方はヒト同様にユ
ビキノンを用いるのに対し、他方は MK を用
いる。大腸菌のように好気条件ではユビキノ
ンを使い、嫌気条件では MK を使うという両
刀使いも知られている。微生物における MK
の生合成研究は、1970-80 年代に主に大腸菌
を用いて行われ、コリスミ酸からスクシニル
安息香酸を経る経路が明らかにされた(図
1-A)1 )。この経路は枯草菌(納豆菌)や結
核菌にも存在したことから微生物で共通で
あると考えられてきた。しかし筆者は約 8 年
前、当時ゲノム解析が終了していた放線菌
Streptomyces coelicolor と Streptomyces avermitilis は、大腸菌で明らかにされた MK 生合
成遺伝子(men 遺伝子(図1-A)
)のオルソ
ログ(相同遺伝子)を全く持たないことに気
づいた。放線菌が持つ MK のプレニル側鎖の
長さが、長らく放線菌の分類指標に用いられ
てきた事実を考えると、これらの遺伝子が見
つからないのは大きな驚きであった。他方、
ナフトキノン骨格にプレニル側鎖を付ける
menA オルソログと最終生合成ステップで
2.トレーサー実験による新規経路の存在の
確認
上述したように、放線菌は MK を作るにも
かかわらず既知経路の遺伝子群を持たない
事実は、これらの菌株では全く新規の経路で
MK を生産する可能性と、経路そのものは同
じであるが、個々の生合成反応に関与する酵
素が既知経路の酵素と全く相同性を有さな
い可能性の 2 つが考えられた。そこで、これ
ら の 可 能 性 を 検 証 す る た め 、 放 線 菌 S.
coelicolor に[U-13C6]グルコースをフィードし、
生育した菌体から MK を抽出・精製した後、
13
C-NMR 解析を行うトレーサー実験を行っ
た。その結果、 13C-13C カップリングパター
ンが既知経路とは異なりフォスフォエノー
ルピルビン酸が C7 と C8 へ、エリトロース
4-リン酸が C-8a, C4a, C5, C6 へ取り込
まれたことから(図 1-B の化合物中、太線で
示した部分)
、放線菌では MK は新規経路で
生合成されると結論付けた 2)。
2
3.新規経路の概要
少なくとも放線菌 S. coelicolor は MK を全
く新規の経路で生合成することが分かった
ので、この経路に関与する遺伝子の推定を試
みた。方法論的にはバイオインフォマティク
ス(生物情報学)の手法を用い、新規経路を
持つ放線菌やピロリ菌が共通して持つ遺伝
子群を Blast 検索した。他方、既知経路を有
する大腸菌や結核菌に共通な遺伝子も同様
に探索し、前者のグループにのみ特異的に存
在する遺伝子を探索した。最終的に 10 個の
候補遺伝子を選抜し、遺伝子工学的手法でこ
れらの破壊を行った。候補遺伝子を 2 点交差
の相同組換えにより抗生物質耐性遺伝子に
置換し、MK 含有培地で抗生物質耐性株を選
択した結果、何れも機能未知とされていた放
線菌 S. coelicolor の SCO4506、SCO4326、
SCO4327、SCO4550 の 4 つの遺伝子の破壊株
が、培地に添加した MK に依存してのみ生育
可能であった。したがって、これら 4 つの遺
伝子が実際に新規経路に関与することを証
明できたが、依然、新規経路が既知経路のど
の化合物から分岐して生合成されるか不明
であったため、S. coelicolor を変異剤処理し、
ランダムに MK 要求株を単離した。その結果、
それらのほとんどは上記 4 つの遺伝子で相
3
の中間体に変換すると考えられた。そこで組
換え SCO4327 酵素を用いてアッセイを行っ
た結果、2 つの反応産物が生成した。反応産
物の 1 つはヒポキサンチンであり、もう一方
の反応産物は、新規化合物であるデヒポキサ
ン チ ニ ル フ タ ロ シ ン (dehypoxanthinyl futalosine (DHFL))であることが分かった(図
1-B)3)。
次の反応は、SCO4550 により触媒される
と考えられたため、その組換え酵素と DHFL
を種々の条件下で反応させたが生成物は検
出できなかった。そこで、フタロシンを精製
した時と同様の手法で SCO4326 破壊株が蓄
積する中間体の単離・精製を行った結果、本
化合物は DHFL が環化した構造を持つサイ
クリックデヒポキサンチニルフタロシン
(cyclic DHFL)であることが分かった(図
1-B)。次いで組換え SCO4326 を cyclic DHFL
と反応させた結果、1,4-ジハイドロキシ-6-ナ
フトエ酸(1,4-dihydroxy-6-naphthoate)が生
成した 3)。
おそらく SCO4506 が関与するフタロシン
が生成する初発反応の詳細はいまだ不明で
あり、現在精力的に解析を行っているが、図
1-B に示したように新規経路の概略を明らか
にすることができた。
補されたが、相補されなかった株を用いてシ
ョットガンクローニングを行った結果、シキ
ミ酸経路の遺伝子群で相補された。そこで変
異株をシキミ酸経路の各種中間体存在下で
生育可能か検討した結果、コリスミ酸の添加
で MK 非存在下でも生育が回復した。シキミ
酸経路上、コリスミ酸が生成する反応は不可
逆反応であることから、新規経路も既知経路
同様コリスミ酸から分岐すると結論付けた
3)
。
次に生合成中間体を精製するためのアッ
セイ系の構築を行った。上述したように、
SCO4506 、 SCO4326 、 SCO4327 、 SCO4550
の破壊株は MK を外から添加しないと生育
できない。しかし 4 つの変異株を MK 存在下
で培養し、添加した MK を酢酸エチルで抽
出・除去後、残った水溶性画分を凍結乾燥後
培地に添加し、他の 3 つの破壊株の生育が回
復するか検討した。その結果、SCO4506 破
壊株から調製した抽出物を添加した際は、他
の 3 株の生育は認められなかったが(このこ
とは SCO4506 が生合成上、最上流の反応に
関与することを示唆する)
、残りの 3 つの破
壊株から調製した抽出物を加えた際、少なく
とも他の 1 つの破壊株の生育が認められた。
従ってこれら破壊株培養液中に生合成中間
体が蓄積していることが分かり、さらに 4 つ
の遺伝子が関与する生合成上の相対位置も
SCO4506 (MqnA) → SCO4327 (MqnB) →
SCO4550 (MqnC) → SCO4326 (MqnD) と決
定することができた 3)。
次に本アッセイ法を用い生合成中間体の
同定、精製、構造決定を行った。最初に
SCO4327 破壊株が蓄積する中間体の単離を
SCO4506 破壊株の生育の回復を指標に行っ
た。その結果、蓄積中間体を均一に精製する
ことができ、解析の結果、本化合物は以前放
線菌から単離報告のあるフタロシン
(futalosine)であることが分かった(図 1-B)
3)
。
SCO4327 破壊株がフタロシンを蓄積した
ことから、SCO4327 酵素はフタロシンを次
4. 新規経路に関する最近の知見
新規経路の遺伝子群をゲノム解析が終了
した微生物に探索すると、多くの場合、個々
の遺伝子は染色体上に分散しているが、好熱
放線菌である Acidothermus cellulolyticus は遺
伝子群が 2 箇所にクラスターを成しており、
その一方にアデノシンデアミナーゼ
(ADase)が含まれていた。微生物では関連
遺伝子がクラスターを成す場合が多いこと
から、本酵素の新規経路への関与を検討した。
化学合成したアミノ体のフタロシン(アミノ
デオキシフタロシン、AFL と略す。図 1-B
参照)と組換え ADase を反応させた結果、
予想通りフタロシンが生成した(図 1-B)4)。新
規経路の初発反応の詳細が不明であること
4
から、断定はできないが、放線菌ではコリス
ミ酸 → AFL → フタロシン → DHFL の順
番で生合成されると推定された。
興味深いことに、ピロリ菌では MqnB のオ
ルソログは他の菌株の MqnB と相同性が低
い。実際、ピロリ菌の組換え MqnB とフタロ
シンを反応させても DHFL の生成は認めら
れなかった。
そこで、AFL と反応させた結果、
DHFL が生成したことから、ピロリ菌ではコ
リスミ酸 → AFL → DHFL の順番で生合成
されると推定された 4)。ピロリ菌のゲノムを
探索すると、ADase が存在しないことから、
AFL → DHFL への直接変換は理にかなって
いると判断された。
また、新規経路を持つ高度好熱菌である
Thermus thermophilus もゲノム探索すると、
ADase のオルソログが存在しない。したがっ
て、本菌株では、AFL ではなくフタロシンが
唯一の中間体と考えられる。実際、本株の
MqnB オルソログの組換え酵素を用いて検
討した結果、フタロシンのみを基質とした。
したがって、本株では、コリスミ酸→フタロ
シン→DHFL の順番で生合成されると推定
された。以上、新規経路の初発反応には多様
性があることが示された 4)。
謝産物に候補化合物を見出し構造解析した
結 果 、 分 岐 脂 肪 酸 で あ る
12-methyltetradecanoic acid と 13-methyltetradecanoic acid であった 5)。両化合物は弱いな
がらピロリ菌の生育も阻害した。現在、より
阻害活性の高い化合物のスクリーニングを
継続している。
5. おわりに
以上述べてきたように、筆者らは近年急激
に増加した微生物ゲノム情報をベースとし
て、バイオインフォマティクスの dry な手法
と生化学実験の wet な手法を駆使し、微生物
が呼吸の際に電子伝達系成分として利用し
生育に必須なメナキノンが、放線菌やピロリ
菌などでは全く新しい経路で生合成される
ことを見出した。また、本新規経路の初発反
応には多様性があることも明らかにした。特
に AFL が中間体となる経路はピロリ菌に特
異的な経路であることから、この生合成を阻
害することにより副作用が無い抗ピロリ菌
剤の開発が可能と考えられる。ピロリ菌は迅
速な診断方法が確立されていることから、診
断と治療を同時に行うことができ、その特異
的阻害剤の開発が大いに期待されるところ
である。
今回明らかにした新規経路は胃潰瘍・胃が
んの原因菌として知られているピロリ菌、食
中毒原因菌として知られているカンピロバ
クター属細菌、クラミジアやスピロヘータな
どの病原微生物も有している。上述した遺伝
子破壊の実験で示されたように、MK の生合
成は微生物の生育に必須であり、さらに外部
からの MK 供給で破壊株の生育を回復させ
るには、高濃度(100 µg/ml)の MK が必要
であり、通常の食事では摂取できない量であ
ることを考え合わせると、新規経路の阻害剤
はヒトや腸内の有用な乳酸菌には影響を与
えず、これら病原菌に対する特異的薬剤にな
ると期待される。そこで新規経路を有する微
生物の生育のみを特異的に阻害する化合物
を天然物に探索した。その結果、放線菌の代
謝
辞
本研究は、筆者が富山県立大学に在籍中に
多くの共同研究者と一緒に行ったものであ
る。特に、当時、修士課程から博士課程にか
けて、生化学実験の全てを行った平塚知成博
士、基質合成・構造解析でご指導頂いた、東
京大学名誉教授の瀬戸治男先生、全ての中間
体の構造解析をして頂いた、東京大学大学院
農学研究科の降旗一夫先生、バイオインフォ
マティクスでご協力いただいた、国立感染症
研究所の石川 淳博士にこの場を借りて厚
くお礼申し上げます。また、本成果に対し、
日本放線菌学会 学会賞を賜りましたこと
を学会長はじめ、学会員の方々に深謝申し上
げます。
5
1670-1673, 2008.
4) Arakawa, C., Kuratsu, M., Furihata K.,
Hiratsuka, T., Itoh, N., Seto, H. & Dairi, T.:
Diversity of the early step of the futalosine
pathway. Antimicrob. Agents Chemother., 55:
913-916, 2011.
5) Tanaka, R., Kunisada, T., Kushida, N.,
Yamada, K., Ikeda, S., Noike, M., Ono, Y.,
Itoh, N., Takami, H., Seto, H. & Dairi, T.:
Branched fatty acids inhibit the biosynthesis of
menaquinone in Helicobacter pylori. J. Antibiot.,
64: 151-153, 2011.
文 献
1) Meganathan, R: Biosynthesis of menaquinone (vitamin K2) and ubiquinone (coenzyme
Q): a perspective on enzymatic mechanisms.
Vitam. Horm., 61: 173-218, 2001
2) Seto, H., Jinnai, Y., Hiratsuka, T., Fukawa,
M., Furihata, K., Itoh, N. & Dairi, T.: Studies
on a new biosynthetic pathway for menaquinone.
J. Am. Chem. Soc., 130: 5614-5615, 2008
3) Hiratsuka, T., Furihata, K., Ishikawa, J.,
Yamashita, H., Itoh, N., Seto. H. & Dairi, T.:
An alternative menaquinone biosynthetic pathway operating in microorganisms. Science, 321:
6
2011 年度(第 26 回)日本放線菌学会大会プログラム
9 月 8 日(木)
8:30
9:30
9:40
O-1
O-2
O-3
O-4
O-5
O-6
O-7
11:25
11:35
12:20
13:20
14:05
14:15
15:00
開場・受付開始 (ポスター掲示 8:00–)
開会の辞
一般講演 口頭発表 セッション 1 (O-1~O-7)
抗生物質生産と菌糸形態を制御するオートレギュレーターリセプターホモログ AvaR3
の機能解析
〇宮本 聖子 1,木谷 茂 1,小松 護 2,池田 治生 2,仁平 卓也 1
(1 阪大・生物工学国際交流セ,2 北里大・生命研)
転写因子 AdpA と tRNA bldA から構成されるフィードバックループによる Streptomyces
属放線菌の厳密な遺伝子発現制御
〇肥後 明佳,堀之内 末治,大西 康夫
(東大院農生科・応生工)
S. griseus における GPCR 様制御系 Cvn1 の破壊は栄養菌糸の分断を引き起こす
〇高野 英晃,橋本 和紀,渡辺 隼人,高野(白鳥)初美,上田 賢志
(日大・生物資源・生命科学研究センター)
Streptomyces rochei 7434AN4 株の抗生物質生産を誘導する新規γ-ブテノライドシグナル
分子 SRB の単離および構造決定
〇荒川 賢治,谷口 明大,津田 直人,木梨 陽康
(広大院・先端研・分子生命)
Characterization of ksbC, a γ-butyrolactone-autoregulator receptor gene homolog in Kitasatospora setae NBRC 14216
〇Aiyada Aroonsri1, Shigeru Kitani1, Haruo Ikeda2, and Takuya Nihira1
(1International Center for Biotechnology, Osaka University; 2Kitasato Institute for Life Sciences,
Kitasato University)
放線菌由来 ABBA プレニル基転移酵素の機能解析
〇尾崎 太郎,西山 真,葛山 智久
(東大・生物工学セ)
Actinoplanes missouriensis 由来の新規テルペノイドーポリケタイド融合化合物合成に関
わる遺伝子クラスターの機能解析
〇淡川 孝義 1,藤田 信之 2,早川 正幸 3,大西 康夫 1,堀之内 末治 1
(1 東大院農生科・応生工,2NITE・NBIC,3 山梨大・工・生命工)
休憩
ポスター発表 奇数番号コアタイム
昼休み
ポスター発表 偶数番号コアタイム
休憩
平成 23 年度 日本放線菌学会総会
浜田賞授賞式
7
15:20
浜田賞授賞講演
SAJ-AL-1
運動性放線菌の選択分離方法の構築とアジア地域における生態学的研究
乙黒 美彩 博士 (独立行政法人 製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター)
SAJ-AL-2
放線菌における低分子シグナル伝達系を介した抗生物質生産制御メカニズムの解明
木谷 茂 博士 (大阪大学 生物工学国際交流センター)
SAJ-AL-3
放線菌が生産する多様な二次代謝産物を用いた化合物ライブラリーの構築
高木 基樹 博士 (社団法人 バイオ産業情報化コンソーシアム)
16:20
休憩
16:30
一般講演 口頭発表 セッション 2 (O-8~O-14)
O-8
Streptomyces avermitilis 大規模染色体欠失変異体におけるシキミ酸経路由来の二次代謝
産物生合成遺伝子クラスターの異種発現
〇小松 護 1,尾仲 宏康 2,Mervyn J. Bibb3,池田 治生 1
(1 北里大・北里生命研,2 富山県大,3John Innes Centre U.K.)
O-9
リベロマイシン A のスピロアセタール環化に関わる鍵酵素の解析
〇高橋 俊二,熊野 匠人,高木 海,野川 俊彦,大輪田 恵利,Suresh Panthee,
浦本 昌和,長田 裕之
(理研基幹研・ケミカルバイオロジー)
O-10
リベロマイシン A 生合成におけるポスト PKS 修飾機構の解析
〇熊野 匠人,高橋 俊二,長田 裕之
(理研基幹研・ケミカルバイオロジー)
O-11
放線菌におけるメバロン酸経路の新規初発反応と反応機構の解明
〇葛山 智久
(東大生物工学セ)
O-12
発酵食品微生物が生産する抗酸化活性環状ジペプチドの酵素変換手法を用いる検出
〇神崎 浩,高津 綾香,福田 優,張 曼,仁戸田 照彦
(岡山大院・自然科学)
O-13
Streptomyces sp. RK95-74 株が生産する新規ポリケチド代謝産物の生合成に関する研究
〇植木 雅志 1,小城 尚文 1,2,高橋 俊二 1,大輪田 恵利 1,石川 淳 3,豊田 敦 4,
長田 裕之 1
(1 理研・ケミカルバイオロジー,2 東電大院・物質,3 感染研・生物活性,4 遺伝研)
O-14
Bioactive Streptomyces species isolated from desert soil in Riyadh, Kingdom of Saudi Arabia: Evaluation of their activity against human pathogenic bacteria and yeast
〇Ismet Ara, Muneera Al-Othman, and Mohammad Abdul Bakir
(Department of Botany and Microbiology, College of Science, King Saud University)
18:15
ポスター撤去
19:00
日本放線菌学会懇親会 (アサヒビール園 白石 はまなす館)
9 月 9 日(金) (Room I [207])
8:00
開場
8
9:00
O-15
一般講演 口頭発表 セッション 3 (O-15~O-21)
Streptomyces 及び Kibdelosporangium から単離された新規フェニルアセチル化ペプチド
化合物に関する研究
〇泉川 美穂 1,上田 純也 1,小曽根 郁子 1,山村 英樹 2,早川 正幸 2,高木 基樹 1,
新家 一男 3
(1 バイオ産業情報化コンソーシアム,2 山梨大学,3 産業技術総合研究所)
O-16
Streptomyces griseochromogenes が生産するトウトマイセチンを用いたケミカルバイオ
ロジーの新局面
〇生方 信,Ying Li,三橋 進也
(北大院・農)
O-17
沖縄県西表島のマングローブから分離された Lechevalieria sp. K10-0216 が生産する新
規二次代謝産物
落合 純也 1,〇中島 琢自 2,松本 厚子 3,岩月 正人 3,塩見 和朗 1,3,大村 智 3,
高橋 洋子 1,3
(1 北里大院・感染制御科学府,2 北里大・感染制御研究機構,3 北里大・生命研)
O-18
海洋由来放線菌からの 3,6,7-tri-epi-invictolide 及び類縁体の単離
〇岩田 史恵,佐藤 誠造,山田 彰一,川原 裕之
(日水中研)
O-19
ビタミン D3 水酸化酵素の分子表面への変異導入による 25 位水酸化ビタミン D3 の高効
率生産
〇西岡 大樹 1,井元 紀子 2,安武 義晃 3,田村 具博 1, 3
(北大院・農学院 1,八戸大・人間健康 2,産総研・生物プロセス 3)
O-20
Rpf-like protein from Tomitella biformata promotes the growth and resuscitates from
non-dividing state
〇Indun Dewi Puspita1, Moe Uehara1, Taiki Katayama2, Michiko Tanaka1, Yoichi Kamagata1,2,
and Kozo Asano1
(1Grad. Sch. Agri., Hokkaido Univ., Japan; 2Natl. Inst. Adv. Ind. Sci. Technol. (AIST), Japan)
O-21
放線菌が生産する細菌のコロニー形成促進物質に関する研究
〇河合 亮,山田 哲也,藤野 宣知,長澤 寛道,作田 庄平
(東大院農生科・応生化)
10:45
休憩
11:00
シンポジウム
SAJ-SY-1
Kissing the sleepy actinobacterial beauty: a molecular approach
Dr. Erko Stackebrandt (DSMZ, Braunschweig, Germany)
SAJ-SY-2
Ecological importance of the presence of Micromonospora in legume root nodules
Dr. Martha E. Trujillo (Dpto. de Microbiología y Genética, Universidad de Salamanca, Spain)
SAJ-SY-3
Genetic and biochemical analysis of precursor supply in secondary metabolite biosynthesis in Actinomycetes
Dr. Wolfgang Wohlleben (Institute of Microbiology, University of Tuebingen, Germany)
9
13:00
13:15
ポスター賞授賞式
閉会の辞
ポスター演題 (IUMS2011 P-AM08 Actinomycetes)
P-AM08-1
P-AM08-2
P-AM08-3
P-AM08-4
P-AM08-5
P-AM08-6
P-AM08-7
P-AM08-8
P-AM08-9
P-AM08-10
放線菌由来 ABBA プレニル基転移酵素の機能解析
〇尾崎 太郎,西山 真,葛山 智久
(東大・生物工学セ)
Actinoplanes missouriensis 由来の新規テルペノイドーポリケタイド融合化合物合
成に関わる遺伝子クラスターの機能解析
〇淡川 孝義 1,藤田 信之 2,早川 正幸 3,大西 康夫 1,堀之内 末治 1
(1 東大院農生科・応生工,2NITE・NBIC,3 山梨大・工・生命工)
Streptomyces avermitilis 大規模染色体欠失変異体におけるシキミ酸経路由来の二
次代謝産物生合成遺伝子クラスターの異種発現
〇小松 護 1,尾仲 宏康 2,Mervyn J. Bibb3,池田 治生 1
(1 北里大・北里生命研,2 富山県大,3John Innes Centre U.K.)
Actinorhodin 生合成に関わる actVA 領域遺伝子の機能解析
- 二成分系モノオキシゲナーゼの有するエポキシ化活性 -
〇田口 貴章 1,岡本 晋 1,2,長谷川 仁子 3,市瀬 浩志 1
(1 武蔵野大・薬研,2 食総研,3 リガク)
多様な 2-アルキルマロニル-CoA 生合成機構の解析
〇宮澤 岳 1,2,高橋 俊二 1,熊野 匠人 1,松本 幸次 2,長田 裕之 1,2
(1 理研基幹研・ケミカルバイオロジー,2 埼玉大院・理工学)
Rosamicin 生合成に関与する cytochrome P450 遺伝子 rosC、rosD の遺伝学的解析
安齊 洋次郎,〇飯坂 洋平,東 徳子,加藤 文男
(東邦大薬)
Nocardia 属における I 型ポリケタイド合成酵素遺伝子の多様性
〇小牧 久幸 1,市川 夏子 1,細山 哲 1,関根 光雄 1,田村 朋彦 1,山崎 秀司 1,
高橋(中口)梓 2,松澤 哲宏 2,五ノ井 透 2,鈴木 健一朗 1,藤田 信之 1
(1NITE・NBRC,2 千葉大・真菌センター)
Streptomyces lividans および Rhodococcus erythropolis を宿主としたアミノグリコシ
ド系抗生物質カスガマイシンの異種生産
〇春日 和 1,藤井 慈子 1,桑原 直哉 1,湊由 衣子 1,小林 正之 1,上松 仁 2,
田村 具博 3,池田 治生 4,小嶋 郁夫 1
(1 秋田県大,2 秋田高専,3 産総研・生物プロセス,4 北里大・北里生命研)
Goadsporin 生合成遺伝子の遺伝子破壊株による解析
〇黒川 優香里,奥 直也,五十嵐 康弘,尾仲 宏康
(富山県大・生工)
Organization of bafilomycin biosynthetic gene cluster of Kitasatospora cheerisanensis KCTC2395
〇Doo Hyun Nam, Jae Yoon Hwang, So Hee Kim, and Bo Geum Kim
10
(College of Pharmacy, Yeungnam Univ., South Korea)
P-AM08-11
抗生物質生産と菌糸形態を制御するオートレギュレーターリセプターホモログ
AvaR3 の機能解析
〇宮本 聖子 1,木谷 茂 1,小松 護 2,池田 治生 2,仁平 卓也 1
(1 阪大・生物工学国際交流セ,2 北里大・生命研)
P-AM08-12
転写因子 AdpA と tRNA bldA から構成されるフィードバックループによる
Streptomyces 属放線菌の厳密な遺伝子発現制御
〇肥後 明佳,堀之内 末治,大西 康夫
(東大院農生科・応生工)
P-AM08-13
S. griseus における GPCR 様制御系 Cvn1 の破壊は栄養菌糸の分断を引き起こす
〇高野 英晃,橋本 和紀,渡辺 隼人,高野(白鳥)初美,上田 賢志
(日大・生物資源・生命科学研究センター)
P-AM08-14
Streptomyces rochei 7434AN4 株の抗生物質生産を誘導する新規γ-ブテノライドシ
グナル分子 SRB の単離および構造決定
〇荒川 賢治,谷口 明大,津田 直人,木梨 陽康
(広大院・先端研・分子生命)
P-AM08-15
Characterization of ksbC, a γ-butyrolactone-autoregulator receptor gene homolog in
Kitasatospora setae NBRC 14216
〇Aiyada Aroonsri1, Shigeru Kitani1, Haruo Ikeda2, and Takuya Nihira1
(1International Center for Biotechnology, Osaka University; 2Kitasato Institute for Life Sciences,
Kitasato University)
P-AM08-16
Analysis of DeoR-family transcriptional regulators in Streptomyces avermitilis
〇Dana Ulanova, Shigeru Kitani, and Takuya Nihira
(International Center for Biotechnology, Osaka University)
P-AM08-17
Kitasatospora setae KM-6054T のジアミノピメリン酸エピメラーゼ遺伝子 (dapF)
の転写量解析
三浦 広美 1,〇八木澤 祥史 2,加藤 泰樹 2,大村 智 1,高橋 洋子 1,2
(1 北里大・生命研, 2 北里大院・感染制御科学府)
P-AM08-18
Streptomyces rochei の二次代謝産物生産における2つのリプレッサー遺伝子 srrB,
srrC の機能解析
〇津田 直人,高橋 譲,鈴木 敏弘,荒川 賢治,木梨 陽康
(広大院・先端研・分子生命)
P-AM08-19
リベロマイシン A のスピロアセタール環化に関わる鍵酵素の解析
〇高橋 俊二,熊野 匠人,高木 海,野川 俊彦,大輪田 恵利,Suresh Panthee,
浦本 昌和,長田 裕之
(理研基幹研・ケミカルバイオロジー)
P-AM08-20
リベロマイシン A 生合成におけるポスト PKS 修飾機構の解析
〇熊野 匠人,高橋 俊二,長田 裕之
(理研基幹研・ケミカルバイオロジー)
P-AM08-21
放線菌におけるメバロン酸経路の新規初発反応と反応機構の解明
〇葛山 智久
(東大生物工学セ)
11
P-AM08-22
発酵食品微生物が生産する抗酸化活性環状ジペプチドの酵素変換手法を用いる
検出
〇神崎 浩,高津 綾香,福田 優,張 曼,仁戸田 照彦
(岡山大院・自然科学)
P-AM08-23
Streptomyces sp. RK95-74 株が生産する新規ポリケチド代謝産物の生合成に関す
る研究
〇植木 雅志 1,小城 尚文 1,2,高橋 俊二 1,大輪田 恵利 1,石川 淳 3,豊田 敦 4,
長田 裕之 1
(1 理研・ケミカルバイオロジー,2 東電大院・物質,3 感染研・生物活性,4 遺伝研)
P-AM08-24
Streptomyces coelicolor ゲノム解析による新規代謝経路の探索
〇簗島 謙太郎 1,2,松井 智未 1,池田 駿介 1,大利 徹 1
(1 北大院・工,2 協和発酵バイオ・BPDC)
P-AM08-25
原核細胞生物由来テルペン化合物の包括的解析
〇山田 佑樹,内山 琢麻,小松 護,池田 治生
(北里大•北里生命研)
P-AM08-26
放線菌 Streptomyces anulatus により生産されるβ-N-acetylglucosaminidase 阻害剤
の阻害選択性
〇塩田 博人 1,臼木 博一 2,3,神崎 浩 1,仁戸田 照彦 1
(1 岡山大院・自然科学,2 岡山生物研,3 JSPS-PD)
P-AM08-27
アミノグリコシド抗生物質カナマイシンとゲンタミシン生合成における糖転移
酵素の機能解析
〇工藤 史貴,Hilda Sucipto,大田 恭平,江口 正
(東工大院理工)
P-AM08-28
放線菌 Saccharopolyspora erythraea における ε-poly-L-lysine 合成酵素ホモログの
機能解析
〇鬼頭 奈央子,宇多川 隆,濱野 吉十
(福井県大生物資源)
P-AM08-29
新規イソニトリルヒドラターゼの諸性質と活性残基の同定
〇佐藤 太祐,橋本 義輝,小林 達彦
(筑波大院・生命環境)
P-AM08-30
海洋生物から分離した放線菌の生産するヒアルロニダーゼインヒビターの精製
と諸性状
〇春成 円十朗1,寺原 猛1,小林 武志1,今田 千秋1,五十嵐 康弘2
(1海洋大・院,2富山県大・生工セ)
P-AM08-31
放線菌由来ジテルペン環化酵素の機能解析
〇目黒 亜由子 1,池田 治生 2,大村 智 3,西山 真 1,葛山 智久 1
(1 東大・生物工学セ,2 北里大・北里生命研,3 北里大)
P-AM08-32
ε-PL 合成酵素(Pls)におけるペプチド鎖長制御機構の解析
〇吉村 友宏 1,山中 一也 1,喜多 彰洋 2,鬼頭 奈央子 2,丸山 千登勢 2,濱野 吉十 2
(1JNC(株)・横浜研,2 福井県大生物資源)
P-AM08-33
Xylanase from a novel strain of Microbispora siamensis DMKUA 245T: enzyme
production and characterization
12
〇Antika Boondaeng, Shinji Tokuyama2, and Vichien Kitpreechavanich1
(1Microbiology, Kasetsart Univ., Thailand; 2Agri., Shizuoka Univ.)
P-AM08-34
抗結核薬 D-サイクロセリンの生合成におけるアルギニンの水酸化
熊谷 孝則,〇高木 紀紗,野田 正文,小田 康祐,的場 康幸,杉山 政則
(広大院・医歯薬学総合)
P-AM08-35
線状プラスミド SAP1 の解析
〇鈴木 温司 1,松田 卓也 1,池田 治生 2,片岡 正和 1
(1 信大院・工・環境機能,2 北里大・生命科学研)
P-AM08-36
Streptomyces nigrifaciens 由来の伝達性プラスミド pSN22 における TraB の ATP 利
用と接合伝達機能の関連性
〇伏屋 友希弘,宮武 徹,片岡 正和
(信州大院・工・環境機能工)
P-AM08-37
放線菌接合伝達機構の新側面:放線菌プラスミド pSN22 の接合伝達における clt
(cis-acting locus of transfer)の機能
宮武 徹,〇片岡 正和
(信大院・工)
P-AM08-38
Streptomyces 属放線菌の自己胞子発芽抑制物質
青木 友,柏木 沙織,〇横山 森,川出 洋,夏目 雅裕
(農工大院・農学府・生物制御科学)
P-AM08-39
Streptomyces sp. 631689 の抗生物質高生産ゲンタミシン耐性変異株におけるリボ
ソームの特性解析
〇保坂 毅 1,藤原 達也 2,今井 優 3,越智 幸三 4
(1 信州大・若手拠点,2 信州大院・総合工,3 信州大院・農,4 広島工大・情報)
P-AM08-40
タイの植物からの放線菌の分離とその応用
〇稲橋 佑起 1,松本 厚子 2,Ousana Ongcharoenwut3,Panitch Boonsnongcheep4,
Sompop Prathanturarug4,Watanalai Panbangred3,大村 智 2,高橋 洋子 1,2
(1 北里大院•感染制御科学府, 2 北里大•生命研, 3Faculty of Science, Mahidol Univ., Thailand,
4
Faculty of Pharmacy, Mahidol Univ., Thailand)
P-AM08-41
新規抗生物質 Amycolamicin生産菌 MK575-fF5株の分類学的位置
木下 直子,〇五十嵐 雅之,波多野 和樹,野本 明男
(微化研)
P-AM08-42
ベトナムで分離した放線菌の分類学的評価
〇﨑山 弥生 1,Chu Thi Thanh Binh2,Dinh Thuy Hang2,池田 成志 3,宮道 慎二 1,
Dao Thi Luong2,Duong Van Hop2,安藤勝彦 1
(1NBRC,2IMBT-VNUH,3 北農研)
P-AM08-43
日本土壌より分離した好酸性放線菌の系統的多様性について
〇村松 秀行 1,村上 龍二 2,村上 果菜 2,永井 浩二 1
(1 アステラスリサーチテクノロジー(株)醗酵研究部,2 アステラス製薬(株)薬理研究所)
P-AM08-44
運動性放線菌におけるフラジェリン遺伝子の多様性と分類マーカーとしての応
用
〇山村 英樹 1,花輪 圭太郎 1,清水 彩 1,中川 洋史 1,楠木 正巳 1,中村 和夫 1,
浜田 盛之 2,乙黒 美彩 2,田村 朋彦 2,藤田 信之 2,早川 正幸 1
13
(1 山梨大院・生命工学、2 製品評価技術基盤機構・NBRC)
P-AM08-45
日本の様々な環境から分離された地衣類由来放線菌の多様性
〇芦沢 春奈 1,櫻木 裕也 1,山村 英樹 1,中川 洋史 1,石田 優美 2,浜田 盛之 2,
乙黒 美彩 2,田村 朋彦 2,早川 正幸 1
(1 山梨大院・生命工学,2 製品評価技術基盤機構・NBRC)
P-AM08-46
水田および野菜畑土壌より分離された Actinoplanes 属放線菌の分類学的研究
〇清水 彩 1,山村 英樹 1,中川 洋史 1,石田 優美 2,浜田 盛之 2,乙黒 美彩 2,
田村 朋彦 2,早川 正幸 1
(1 山梨大院・生命工学、2 製品評価技術基盤機構・NBRC)
P-AM08-47
植物の根より分離された Actinoallomurus 属放線菌の分類研究
〇小山 諒 1,稲橋 佑起 1,松本 厚子 2,Watanalai Panbangred3,大村 智 2,
高橋 洋子 1,2
(1 北里大院・感染制御科学府,2 北里大・生命科学研,
3
Faculty of Science, Mahidol Univ., Thailand)
P-AM08-48
Streptomyces 属 が 生 産 す る 新 規 ト ラ ン ス グ ル タ ミ ナ ー ゼ の 評 価 お よ び 生
産菌の分類学的研究
〇西澤 将史 1,伊達 雅代 2,横山 敬一 2,山村 英樹 1,早川 正幸1
(1 山梨大学院・生命工学,2 味の素・ライフサイエンス研究所)
P-AM08-49
Dermatophilaceae 科の分類体系の再構築と 3 新属の提案
〇浜田 盛之,飯野 隆夫,田村 朋彦,鈴木 健一朗
(製品評価技術基盤機構・NBRC)
P-AM08-50
Bioactive Streptomyces species isolated from desert soil in Riyadh, Kingdom of Saudi
Arabia: Evaluation of their activity against human pathogenic bacteria and yeast
〇Ismet Ara, Muneera Al-Othman, and Mohammad Abdul Bakir
(Department of Botany and Microbiology, College of Science, King Saud University)
P-AM08-51
Cultivable actinomycete diversity in coastal marine sediments of Thailand
〇Wasu Pathom-aree1, Kannika Duangmal2, Yuki Inahashi3, Atsuko Matsumoto4,
Yoko Takahashi4, Saisamorn Lumyong1, and Michael Goodfellow5
(1Dept. Biology, Chiang Mai Univ., Thailand; 2Dept. Microbiology, Kasetsart Univ., Thailand;
3
Grad. Sch. Infection Control Sci., Kitasato Univ., Japan; 4Kitasato Inst. Life Sci., Kitasato Univ.;
5
School of Biology, Univ. Newcastle, United Kingdom)
P-AM08-52
Actinomycetes diversity from Thai coastal marine sediment by culture independent
approach
〇Pornpun Ruttanasutja1, Sakunnee Bovonsombut1, Kui Hong2, and Wasu Pathom-aree1
(1Dept. Biology, Faculty of Science, Chiang Mai Univ., Thailand; 2Inst. Tropical Biosciences and Biotechnology Chinese Academy of Tropical Agri. Sci., China)
P-AM08-53
Biodiversity and biotechnological potential of Streptomyces species from mountain
soils of Kyrgyzstan
〇Tinatin Doolotkeldieva, and S. T. Bobusheva
(Kyrgyz-Turkish International Univ., Kyrgyz Republic)
P-AM08-54
Diversity of actinomycetes associated with Nostoc commune Voucher ex Bornet &
Flahault from North-eastern of Thailand
14
〇Thanitsara Inthasotti, Yuwadee Peerapornpisal, Jeeraporn Pekkoh, and Wasu Pathom-aree
(Biology, Faculty of Science, Chiang Mai Univ., Thailand)
P-AM08-55
Streptomyces 及び Kibdelosporangium から単離された新規フェニルアセチル化ペプ
チド化合物に関する研究
〇泉川 美穂 1,上田 純也 1,小曽根 郁子 1,山村 英樹 2,早川 正幸 2,
高木 基樹 1,新家 一男 3
(1 バイオ産業情報化コンソーシアム,2 山梨大学,3 産業技術総合研究所)
P-AM08-56
沖縄県西表島のマングローブから分離された Lechevalieria sp. K10-0216 が生産
する新規二次代謝産物
落合 純也 1,〇中島 琢自 2,松本 厚子 3,岩月 正人 3,塩見 和朗 1,3,大村 智 3,
高橋 洋子 1,3
(1 北里大院・感染制御科学府,2 北里大・感染制御研究機構,3 北里大・生命研)
P-AM08-57
植物内生放線菌の検出および植物分離放線菌の二次代謝産物生産能
松本 厚子 1,〇田中 和紀 2,稲橋 佑起 2,島田 梨沙 2,大村 智 1,高橋 洋子 1,2
(1 北里大・生命研,2 北里大院・感染制御科学府)
P-AM08-58
Panowamycins A and B, new antitrypanosomal isochroman compounds produced by
Streptomyces sp. K07-0010
〇Junko Hashida1, Megumi Niitsuma1, Masato Iwatsuki2, Mihoko Mori1, Aki Ishiyama2,
Miyuki Namatame2, Aki Nishihara-Tsukashima2, Atsuko Matsumoto1, Yoko Takahashi1,
Haruki Yamada1, Kazuhiko Otoguro2, Satoshi Ōmura1 and Kazuro Shiomi1
(1Laboratory of Biological Functions, Kitasato Inst. Life Sci., Kitasato Univ., Japan;
2
Res. Cent. Tropical Diseases, Kitasato Inst. Life Sci., Kitasato Univ., Japan)
P-AM08-59
アルカリ-SDS 処理による Rhodococcus 属放線菌の選択分離に関する研究
〇髙野 真吾 1,山村 英樹 1,中川 洋史 1,浜田 盛之 2,乙黒 美彩 2,田村 朋彦 2,
早川 正幸 1
(1 山梨大院・生命工,2 製品評価技術基盤機構・NBRC)
P-AM08-60
Streptomyces sp. RK95-74 株が生産する代謝産物の単離
〇小城 尚文 1,2,植木 雅志 1,浦本 昌和 1,川崎 寿 2,長田 裕之 1
(1 理研ケミカルバイオロジー,2 東電大院・物質工)
P-AM08-61
Streptothricin(ST)生合成酵素群を利用した新規化合物の創製
〇丸山 千登勢 1,豊田 順也 1,矢野 愛佳 1,片野 肇 1,加藤 康夫 2,高木 基樹 3,
新家 一男 4,宇多川 隆 1,濱野 吉十 1
(1 福井県大・生物資源,2 富山県大工・生工研セ,3JBIC,4 産総研)
P-AM08-62
放線菌 Streptomycces reveromyceticus より MP plot およびスペクトルデータベース
を用いて見出した新規アントラキノンの構造
〇高木 海,野川 俊彦,高橋 俊二,岡野 亜紀子,浦本 昌和,長田 裕之
(理研基幹研・ケミカルバイオロジー)
P-AM08-63
マングローブ土壌からの放線菌の単離および二次代謝産物
〇永井 文 1,Shams Tabrez Khan,高木 基樹 1,2,新家 一男 1,3
(1 次世代天然物化学技術研究組合,2 バイオ産業情報化コンソーシアム,3 産総研)
P-AM08-64
放線菌由来の二次代謝産物を用いた天然物化合物ライブラリー
〇高木 基樹 1,新家 一男 2
15
(1 バイオ産業情報化コンソーシアム,次世代天然物化学技術研究組合,2 産総研)
P-AM08-65
海泥からのMicromonospora属の選択的分離法の検討
〇寺原 猛,小林 武志,今田 千秋
(東京海洋大学大学院 海洋科学技術研究科)
P-AM08-66
Streptomyces griseochromogenes が生産するトウトマイセチンを用いたケミカルバ
イオロジーの新局面
〇生方 信,Ying Li,三橋 進也
(北大院・農)
P-AM08-67
Antimicrobial antibiotic production in actinomycetes influenced by cultural medium
〇Rattanaporn - Srivibool
(Marine Biotechnol. Unit, Inst. Marine Sci., Burapha Univ., Thailand)
P-AM08-68
Identification of a Philippine Streptomyces isolate and its bioactive compound
against methicillin-resistant Staphylococcus aureus
〇Teofila O. Zulaybar1, Irene A. Papa1, Maria Teresa M. Perez1, Eufrocinio C. Marfori1,
Edwin A. Alcantara1, Pauline Angeli T. Roxas2, Takuya Nihira3, and Shigeru Kitani3
(1BIOTECH Univ. the Philippines Los Banos; 2Inst. Chemistry Univ. Philippines;
3
IC BIOTECH, Osaka Univ.)
P-AM08-69
Novel furaquinocins isolated from Streptomyces reveromyceticus
〇Suresh Panthee, Shunji Takahashi, Hiroshi Takagi, Toshihiko Nogawa, Eri Oowada,
Masakazu Uramoto, and Hiroyuki Osada
(Chem. Biol. Dept., RIKEN Adv. Sci. Inst., Japan)
P-AM08-70
海洋由来放線菌からの 3,6,7-tri-epi-invictolide 及び類縁体の単離
〇岩田 史恵,佐藤 誠造,山田 彰一,川原 裕之
(日水中研)
P-AM08-71
ビタミン D3 水酸化酵素の分子表面への変異導入による 25 位水酸化ビタミン D3
の高効率生産
〇西岡 大樹 1,井元 紀子 2,安武 義晃 3,田村 具博 1, 3
(北大院・農学院 1,八戸大・人間健康 2,産総研・生物プロセス 3)
P-AM08-72
Rpf-like protein from Tomitella biformata promotes the growth and resuscitates
from non-dividing state
〇Indun Dewi Puspita1, Moe Uehara1, Taiki Katayama2, Michiko Tanaka1,
Yoichi Kamagata1,2, and Kozo Asano1
(1Grad. Sch. Agri., Hokkaido Univ., Japan; 2Natl. Inst. Adv. Ind. Sci. Technol. (AIST), Japan)
P-AM08-73
放線菌が生産する細菌のコロニー形成促進物質に関する研究
〇河合 亮,山田 哲也,藤野 宣知,長澤 寛道,作田 庄平
(東大院農生科・応生化)
P-AM08-74
Streptomyces rochei 7434AN4 株の線状染色体の構造解析
〇曹 志生 1,Yosi Nindita1,片岡 憂祐,楊 英杰 1,荒川 賢治 1,田上 道平 2,
Alexander Lezhava2,志波 優 3,吉川 博文 3,木梨 陽康 1
(1 広大院・先端研・分子生命,2 理研・オミックス基盤研究領域,3 東京農大・応生科・
バイオ サイエンス)
P-AM08-75
Quorum quenching 活性を有する MM336-mF1 株の同定
16
〇波多野 和樹,木下 直子,五十嵐 雅之,野本 明男
(微化研)
P-AM08-76
Rhodococcus jostii RHA1 株の全ゲノム上における BphT1 結合領域の網羅的同定
〇愛宕 祐基 1,原 啓文 1,荒木 直人 2,下平 潤 2,福田 雅夫 2,八田 貴 1
(1 岡山理大・工,2 長岡技科大・生物)
P-AM08-77
Streptomyces lividans の潜在的な抗菌物質生産力の顕在化に及ぼすエリスロマイ
シン耐性変異の効果
〇今井 優 1,藤原 達也 2,越智 幸三 3,保坂 毅 4
(1 信州大院・総合工,2 信州大院・農,3 広工大・情報,4 信州大・若手拠点)
P-AM08-78
Rhodococcus jostii RHA1 におけるビフェニル/ポリ塩化ビフェニル分解酵素遺伝
子群転写制御配列の解析
〇下平 潤1,宮沢 雄太1,古澤 裕樹1,武 田尚2,笠井 大輔1,宮内 啓介3,
政井 英司1,福田 雅夫1
(1長岡技科大・生物,2星薬大,3東北学院大・環境建設)
P-AM08-79
Bacillus subtilis にて発現させた Corynebacterium glutamicum 由来 mechanosensitive
channel の解析
〇橋本 賢一,矢部 勇,中松 渉,川崎 寿
(東京電機大学 工学部 環境化学科)
P-AM08-80
放線菌によるイチゴ炭疽病の制御
原 兆子,〇徳山 真治
(静大農)
P-AM08-81
UPLC-TOF-MSを用いた放線菌二次代謝産物プロファイリング解析
〇小曽根 郁子1,高木 基樹1,新家 一男2
(1バイオ産業情報化コンソーシアム,次世代天然物化学技術研究組合,2産総研)
P-AM08-82
Improvement of PLA-degrading enzyme production by Actinomadura keratinilytica
strain T16-1 in airlift fermenter using response surface methodology
〇Sukhumaporn Sukkhum1, Vichien Kitpreechavanich2
(1Biology, Faculty of Sci., Srinakharinwirot Univ., Thailand; 2Microbiology, Faculty of Science,
Kasetsart Univ., Thailand)
P-AM08-83
Rhodococcus erythropolis から見いだされた新規抗菌タンパク遺伝子の解析
〇北川 航 1,2,波田 美弥子 1,田村 具博 1,2
(1 産総研・生物プロセス,2 北大院・農学院)
P-AM08-84
Gram-negative wide host-range conjugative vector pJRD215 の遺伝学的背景の解析
と Actinomyces 属細菌への応用
〇真下 千穂,南部 隆之,山根 一芳,山中 武志,福島 久典
(大歯大・歯)
P-AM08-85
Corynebacterium glutamicum における RNase E/G ファミリー酵素の機能解析
〇前田 智也,和地 正明
(東工大院・生命理工・生物プロセス)
P-AM08-86
Analysis of biofilm and aggregation in Rhodococcus sp. SD-74
〇Takuma Kikuko, Tomohiro Inaba, Toshiaki Nakajima, Hiroo Uchiyama,
and Nobuhiko Nomura
17
P-AM08-87
P-AM08-88
P-AM08-89
P-AM08-90
P-AM08-91
P-AM08-92
(Grad. Sch. Life Environ. Sci., Univ. Tsukuba, Japan)
Analysis of regulatory mechanism of trehalose lipids production in Rhodococcus sp.
〇Tomohiro Inaba, Takuma Kikuko, Toshiaki Nakajima-Kambe, Hiroo Uchiyama, and
Nobuhiko Nomura
(Grad. Sch. Life Environ. Sci., Univ. Tsukuba, Japan)
Growth promoting compound for Catellibacterium nectariphilum produced by
Sphingomonas sp.
〇Andrew Boey1, Kengo Shigetomi1, Shinya Mitsuhashi1, Yasuhiro Tanaka2,
Hideyuki Tamaki1, Yoichi Kamagata1, and Makoto Ubukata1
(1Grad. Sch. Agri., Hokkaido Univ., Japan; 2Yamanashi Univ., Japan)
Production of 14-membered macrolide antibiotic by deletion of polyketide synthase
gene in Streptomyces strain
〇Doo Hyun Nam, Nguyen Phan Kieu Hanh, Hyo Sun Kim, and Ji Seon Lee
(College of Pharmacy, Yeungnam Univ., South Korea)
The biochemical characterization of two acyl-CoA carboxylase complexes in Streptomyces toxytricini
〇Doo Hyun Nam, Bo Ram Park, and Anamika Khanal
(College of Pharmacy, Yeungnam Univ., South Korea)
Screening of actinomycetes from plant rhizospheric soils with inhibitory activity
against Colletotrichum spp.
〇Watanalai Panbangred, Bungonsiri Intra1,2, Isada Mungsuntisuk1,2, Takuya Nihira3, and
Yasuhiro Igarashi4
(1Dept. Biotechnol., Faculty of Science, Mahidol Univ.; 2Mahidol Univ.-Osaka Univ.
Collaborative Research Center for Bioscience and Biotechnology (MU-OU:CRC),
Faculty of Science, Mahidol Univ., Thailand; 3Osaka Univ., International
Center for Biotechnology, Japan; 4Toyama Prefectural Univ., Japan)
Molecular detection of inulin fructotransferase (DFA III-producing) gene in Nonomuraea strains
〇Sri Pudjiraharti1,2, Nanami Takano1, Ayumi Abe1, Michiko Tanaka1, Teruo Sone1, and
Kozo Asano1
(1Grad. Sch. Agri., Hokkaido Univ., Japan; 2Research Centre for Chemistry, Indonesian Inst.
Sci., Indonesia)
18
大村 智先生の瑞宝重光章受章、Tetrahedron Prize および
IUMS (国際微生物学連合)Arima 賞受賞を祝う
学校法人北里研究所名誉理事長の大村
智先生が 2011 年春の叙勲において「瑞宝重
光章」を受章、また、
「Tetrahedron Prize 2010」
および 「Arima 賞」を受賞されました。お
祝い申し上げますとともに、以下に対象とな
りましたご業績を記載させていただきます。
機合成化学者のターゲットとなり、有機合成
化学の発展に多大な貢献をされたことが高
く評価され、本賞が授与されました
授賞式並びに受賞講演は 2011 年 8 月 28 日
より米国コロラド州デンバーにおいて開催
された第 243 回アメリカ化学会ナショナル
ミーテイングにおいて行われました。
瑞宝重光章
国家または公共に対し、功労のあった方に
贈られる勲章です。
大村先生は、天然物有機化学の分野において、
微生物由来の有用な生理活性物質の探索に
努め、440 種を超える新規化合物を発見し、
そのうち 25 種が医薬、動物薬および研究用
試薬などに実用化され、特に放線菌の生産す
るアベルメクチンを改良したイベルメクチ
ンが熱帯病などの特効薬として利用される
など顕著な業績を挙げられました。
2011 年春の叙勲は東日本大震災のため 6
月 24 日に延期され、宮中において授与式が
行われ、内閣総理大臣より勲章が伝達された
後、天皇陛下に拝謁されました。
Arima 賞
Arima 賞は応用微生物学の権威、故有馬
啓教授の業績を顕彰するために 1990 年に設
立され、国際微生物学連合(IUMS)で運営
されている賞で、応用微生物学の発展に卓越
した貢献をした科学者に3年に1度贈られ
る賞です。
大村先生は永年に亘り微生物代謝産物(有
機化学)に関わる研究を展開し、数多くの有
用微生物を発見すると共に、微生物の持つ物
質生産の解析等を行いました。また、発見さ
れた化合物が世界の多くの人々の健康と福
祉の向上に顕著な貢献をするなど、応用微生
物学の発展に多大な貢献をなさいました。
授賞式並びに受賞講演は 2011 年 9 月 6 日
より札幌コンベンションセンターで開催さ
れた国際微生物学連合(IUMS)2011 におい
て行われました。
Tetrahedron Prize 2010
本賞は有機化学分野の創造的研究に対し
て贈られる賞として 1980 年に Tetrahedron
の編集者理事会と Tetrahedron 出版社によっ
て設立されました。これは Tetrahedron およ
び関連学術雑誌の出版を創始し、共同で委員
長を務められた二人のノーベル化学賞受賞
者故 Sir Robert Robinson 博士並びに故 Robert
Burns Woodward 博士の業績を称えて創られ
た賞であります。
大村先生は、多くの有用な微生物代謝産物
を発見され、それらに関する化学から生物学
にわたる独創的かつ総合的な研究を推進さ
れ、同先生が発見された 100 種の化合物が有
ここに、大村先生のご受賞をお祝い申し上
げますとともに先生の益々のご健勝をお祈
り申し上げます。日本放線菌学会の名誉会員
であります先生のご受賞は本学会にとりま
しても大きな誇りであり後進の励みとなる
ものであります。
平成 23 年 11 月
北里大学 北里生命科学研究所
高橋 洋子
19
2011 年度大会感想記
2011 年 9 月 8 日 9 日の両日、2011 年度
(第
26 回)日本放線菌学会が北海道の札幌コン
ベンションセンターで開催された。一般講演
(口頭発表 21 演題、ポスター発表 92 演題)
と受賞講演、シンポジウムを通じての討論が
二日間にわたり繰り広げられた。更に今大会
は 、 世 界 微 生 物 学 協 会 連 合 ( International
Union of Microbiological Societies : IUMS)の
一セッションとして開催されたため、会期中
は IUMS の各セッションへの参加も可能で
あり、例年以上に充実した大会となった。
二日間にわたって行われた一般講演は、
非常に白熱したものとなった。ポスターセッ
ション会場には IUMS 参加者の姿も多く見
られ、例年よりも短い開催時間であったにも
関わらず、活発な議論を交わす姿があちらこ
ちらで見受けられた。興味深い発表が数多く
並ぶ中、学生優秀ポスター賞を、宮澤岳さん
(埼玉大学)、目黒亜由子さん(東京大学)、
小山諒さん(北里大学)
、Indun Dewi Puspita
さん(北海道大学)の 4 名が受賞された。学
生の方にとっては、学会は日頃の研究成果を
発表する良い機会である訳だが、そこで評価
されるということは、更なる研究へ取り組む
励みとなるのではないだろうか。今後の皆さ
んの更なるご活躍を期待したい。
今大会、残念ながら学会賞と功績功労賞
の受賞者はいなかったが、3 名の方が浜田賞
を受賞された。乙黒美彩博士(独立行政法人
製品評価技術基盤機構)「運動性放線菌の選
択分離方法の構築とアジア地域における生
態学的研究」
、木谷茂博士(大阪大学)
「放線
菌における低分子シグナル伝達系を介した
抗生物質生産制御メカニズムの解明」、高木
基樹博士(社団法人バイオ産業情報化コンソ
ーシアム)「放線菌が生産する多様な二次代
謝産物を用いた化合物ライブラリーの構築」
の 3 名である。放線菌の分離生態学研究、二
次代謝の制御機構研究、そして有用化合物研
究といった放線菌研究の主要分野ともいえ
る各分野の研究者の方々が同時に受賞され
たことに、放線菌研究の裾野の広さが示され
たように感じた。
アサヒビール園白石はまなす館で開催さ
れた懇親会では、アットホームな雰囲気のも
と北海道ならではの美味しいビールを片手
に、参加者と交流を深めることが出来た。そ
こでは総会での報告に続いて、日本放線菌学
会の 25 周年を記念した「放線菌と生きる」
が、学会1日目の 8 日に出版されたことが報
告された。放線菌学会の 25 年の歴史が、学
会を支えていらっしゃった各先生方によっ
て語られ、また 100 人の会員の放線菌研究へ
の想いが語られた一冊となっている。学会か
ら、学生参加者へのこの本のプレゼントとい
うサプライズもあり、多いに盛り上がった。
シンポジウムは、Erko Stackebrandt 博士
(DSMZ) 「 Kissing the sleepy actinobacterial
beauty : a molecular approach」、Martha E. Trujillo 博 士 (Universidad de Salamanca)
「Ecological importance of the presence of Micromonospora in legume root nodules 」、
Wolfgang Wohlleben 博士(University of Tuebingen)「Genetic and biochemical analysis of
precursor supply in secondary metabolite biosynthesis in Actionmycetes」の 3 演題が講演さ
れた。英語での講演であったが、どの先生も
工夫を凝らしたプレゼンテーションを展開
されて、引き込まれる発表であった。
私事ではあるが、今回数年振りの放線菌
学会参加となった。懐かしさと多少の緊張感
を持っての参加であったが、この数年間での
放線菌研究の進展の早さに焦りを感じつつ
も、以前と変わらぬアットホームな雰囲気が
非常に心地良かった。25 周年を記念する本
も出版され、新たな歴史の始まりを感じさせ
た本大会であるが、今後の放線菌学会の発展
に少しでも寄与出来るよう努力したいと強
く感じた二日間であった。
最後に、このような盛況な本大会を運営
20
して下さった大会長の浅野行蔵先生(北海道
大学)を始め事務局の皆様に心より御礼申し
上げます。今年はご存知のように 3 月 11 日
の東日本大震災があり、大会準備にも多大な
ご苦労があったのではないかと思います。例
年と変わらぬ大会を開催下さったことに感
謝致します。また、震災により被災された方
や研究へ支障がでた方もいらっしゃったか
もしれません。心よりお見舞い申し上げます。
来年もまた放線菌学会で皆様と再会出来る
ことを心より願って、筆を取らせて頂きまし
た。
(社団法人バイオ産業情報化コンソーシア
ム 小曽根 郁子)
(日本放線菌学会 2011 年度大会のスナップ写真)
21
IUMS2011 Symposium on Bioactive Microbial Products を終えて
7 月になると、当日に配布する要旨・図表
集の編集作業に取りかからなければならな
かったが、私は 8 月の 1 ヶ月間、韓国への出
張が決まっていたため、印刷会社との細かな
やり取りは、渡韓前に済ませておいた。韓国
滞在中の 8 月中旬には集まってきた原稿を
セッション毎にまとめ、学術企画委員の方々
には PDF への変換をお願いして、これらを
印刷会社に送付した。これほどまでに電子メ
ールが便利なものと感じたことは、今までに
そう幾度もない。私が帰国した 8 月 30 日に
はゲラ刷りが出来上がっていたので、確認後
すぐに 300 部の印刷を依頼し、納品先は札幌
の IUMS 会場へ。シンポジウム間際になって、
綱渡りのスケジュールだったが、幸運にも滞
ることなく、準備が完了した。会場は、想像
していたよりも整っており、シンポジウムの
進行もスムーズに進んだ。入れ替わり立ち替
わりで、約 300 席ある会場がほぼ埋まるほど
常に多くの聴衆が集まって、議論も活発に行
われた。
2011 年 4 月 に 日 本 放 線 菌 学 会 誌
Actinomycetologica の英文部分が Journal of
Antibiotics に合流し、当学会の公式雑誌とな
った節目の年に行われる今回の共催シンポ
ジウムの開催に携われたことは幸運であっ
たし、また盛況のうちに終了したことで一気
に肩が軽くなった気がした。最後に、このシ
ンポジウム開催にあたり、協賛を頂いた各企
業に厚くお礼申し上げます。また、私の細か
国際微生物学連合 2011 会議(IUMS2011
Sapporo)が 9 月 5 日から 16 日まで行われた
が、その期間中の 9 月 7 日に長田裕之(理研)
が中心となって、生理活性微生物代謝産物に
関するシンポジウムが、日本抗生物質学術協
議会と日本放線菌学会の共催で開かれた。
おおよそ 1 年前の 2010 年 10 月、このシンポ
ジウムの第一回準備委員会が開かれ、委員長
には長田、委員として吉田稔(理研)、池田治
生(北里大)、岡本晋(食総研)の各氏と私が理
研に集まり、3 セッションある枠の内容構成
から話し合いが行われた。それぞれのセッシ
ョンのメインテーマをスクリーニング・作用
機構・生合成と決めるのにはそんなに時間は
掛からなかった。各セッション内は、30 分
フルトークを欧米・アジア・日本地域から各
1 名、15 分ショートトークを日本人若手 2 名
に、といったように全体的な構想はすんなり
とまとまった。しかし、果たして講演をどの
先生にお願いするのか、幾度か議論が重ねら
れたがすぐにはまとまらなかった。11 月に
は第二回準備委員会が開かれ、その後もメー
ルでの話し合いが行われ、徐々に絞られた。
承諾が得られずに候補の先生を考え直すこ
ともあったが、2 月末には漸く固まり、全体
の構成が具体化してきた。しかし 3 月 11 日
の震災以降、日本への渡航が心配される中、
海外からの先生のキャンセルが気になった
が、一人のキャンセルはあったものの、予定
通り行われる見通しになり安堵した。
22
な質問にもご丁寧に対応して頂いた、
IUMS2011 事務局の片岡道彦先生(大阪府大)、
清水昌先生(東レ)を始め多くの方々に、この
場をかりて感謝申し上げます。
(理化学研究所 基幹研究所 ケミカルバ
イオロジー研究領域 植木 雅志)
ESF-EMBO Symposium: Synthetic Biology of Antibiotic Production に
参加して
2011 年 10 月 2 日から 7 日までスペインにて
ESF-EMBO Symposium Synthetic Biology of
Antibiotic Production が開催され、日本からは
筆者の他、北里大学の池田治生先生、東京大
学の葛山智久先生、アステラス製薬の藤江昭
彦博士が参加された。奇しくも日本からの参
加者はすべて放線菌学会会員であり、その中
で最も若輩者であった私が見聞録を書くこ
とになった。我々一行は 10 月 1 日に成田空
港に集合しフランクフルト経由でバルセロ
ナに降り立ち、空港近くのホテルに一泊した
後バスを乗り継ぎ、実に 37 時間かけて開催
地であるスペインのサン・フェリウ・デ・ギ
ショルス(San Feliu de Guixols)へ到着した。
サン・フェリウ・デ・ギショルスはコスタブ
ラバと呼ばれるカタルーニャ地方の美しい
海岸地帯に位置する小さな町である。会場の
ホテル、エデンロックは、エデンの園をイメ
ージした多様な植物が生い茂る老舗のリゾ
ートホテルであり、我々会議参加者の他にも
多くの老人が保養のため宿泊していた。本シ
ンポジウムはオランダのフローニンゲン大
学の高野恵理子教授が大会長を務めており、
我々日本人にとってはとても誇らしいもの
であった。池田先生の講演を含む 18 の招待
講演の他、35 の一般講演、35 のポスター発
表があり、参加者は欧州を中心に 110 人程度
であった。本会は非公開のシンポジウムであ
り、抄録も発行されないアットホームなもの
であった。
本会は最近よく耳にするようになった
Synthetic biology(合成生物学)に関する大会
である。抗生物質生産に関する合成生物学研
究を一堂に集めたものであり、新しい遺伝子
クローニング手法等のツールに関するもの、
人工遺伝子を使った遺伝子クラスターのリ
ファクタリング、クリーンホストによる二次
代謝生産、ゲノムマイニングによる新規抗生
物質の探索、眠っている遺伝子クラスターの
覚醒、コンビナトリアル生合成、バイオイン
フォマッティクを用いた遺伝子機能予測等
多岐にわたる内容であった。扱っている生物
材料は放線菌が多かったが、カビやバクテリ
アなどもあり様々であった。日本からの発表
は3題であり、我らが池田先生の S. avermitilis クリーンホストを使った二次代謝異種
生産に関する講演と筆者によるリボゾーム
合成ペプチド、ゴードスポリン生合成マシナ
リーを使った誘導体創製についての 2 題の
口 頭 発 表 と 葛 山 先 生 の 新 規
acetoacetyl-coenzyme A 合成酵素に関するポ
スター発表1題であった。大会長の高野先生
にお話を伺ったところ、これまでに蓄積され
た抗生物質生合成に関する膨大な知見と最
新のゲノム操作技術を組み合わせて、自然界
に現存する生物にはできないようなことを、
人の手を使って生物にさせようという新し
い研究の潮流が生まれている、今回はその辺
に焦点を当てたシンポジウムを企画したと
のことであり、実際に講演を聴いてみて、そ
の意図がよく伝わるシンポジウムであった
と感じた。合成生物学とは、どちらかという
と言葉が先に生まれた感があり、中身につい
ては人それぞれとらえ方が少しずつ異なっ
ているようであり、今大会においても講演内
容が多岐にわたっていたことがそれを象徴
23
しているように感じる。筆者の抱く合成生物
学とは、最終的には人の手によって生物を作
り出すという、いわば神の領域へ人類が足を
踏み入れるイメージを抱いているが、現実的
には synthetic chemistry(合成化学)に対比す
る言葉として、生物の代謝システムを利用し
て化合物を作り出すことに関する研究と捉
えるのが妥当であろう。
ホテルの設備が古かったこともあり、壁が薄
く隣の声が丸聞こえであったり、空調がなか
ったり、ハエと蚊に悩まされたりと、到着当
初はどうなることかと心配したが、カタルー
ニャの澄んだ青空の下、豊かな自然の中でゆ
ったりと時が流れていくにつれ、そんなこと
などどうでもよくなるような気分が次第に
生じたのは不思議な感覚であった。そのよう
なリラックスした中で合成生物学について
じっくりと考えることができたのは大変な
収穫であり、あわせて、ダリ、ミロ、ガウデ
ィ、カザルスといった超一流の芸術家がカタ
ルーニャ地方から輩出した理由もこの地に
滞在して少しわかったような気がした。
(富山県立大学 工学部 尾仲 宏康)
高野大会長を囲んで。左より Felipe Lombo 先生
(スペイン・オビエド大学准教授、滞在中の我々
を色々とサポートしていただいた)、筆者、高野
先生、池田先生、葛山先生、藤江博士
会場のホテルを背景に参加者集合写真
24
2012年度(第27回)日本放線菌学会大会のご案内
大会長 夏目 雅裕
(東京農工大学大学院農学研究
院)
2012 年度日本放線菌学会大会は,東京都府中市の府中の森芸術劇場にて開催することになり
ました。皆様には奮ってご参加くださいますようお願い申し上げます。
詳しい情報は日本放線菌学会のホームページ(http://www.nih.go.jp/saj/index-j.html)を通じて,
随時ご案内致します。
概
期
会
要
日:平成24年9月6日(木)
,7日(金)
場:府中の森芸術劇場 ふるさとホール(京王線東府中駅北口より徒歩7分)
〒183-0001 東京都府中市浅間町 1-2
TEL: 042-335-6211 http://www.fuchu-cpf.or.jp/theater/
講演申し込みおよび要旨ならびに大会参加の事前申し込みの締切日:平成24年6月30日(土)
参加費(講演要旨集代を含む)
6月29日まで
6月30日〜当日受付
会
員: 6,000円
8,000円
学生会員: 3,000円
4,000円
非 会 員: 8,000円
10,000円
要旨集(2,000円)のみご希望の方は,大会事務局までご連絡ください。
懇親会
日
時:9月6日(木)18:00〜20:00
会
場:府中の森芸術劇場 平成の間
会
費:会員・非会員: 8,000円、学生:4,000円(6月29日まで)
会員・非会員:10,000円、学生:6,000円(6月30日〜当日受付)
●
プログラム概要(予定、詳細は随時学会 HP をご覧ください)
1.一般講演
2.受賞講演
3.特別講演
25
参加および講演申し込み要領
● 参加および講演申し込み:専用メールアドレス([email protected])で、平成24年3月
1日より受け付けます。
● 参加費・懇親会費の振り込み:平成24年6月30日(土)までに、下記の郵便振替でお願
い致します。郵便振替の振込用紙は2月に開催予定の学術講演会の案内状に同封して送付致
します。
郵便局から 口座記号番号
:00120-6-417944
口座名称(漢字):2012 日本放線菌学会
口座名称(カナ):ニセンジュウニニホンホウセンキンガッカイ
他行等から ゆうちょ銀行、店名:〇一九(ゼロイチキュウ)店、店番:019
預金種目:当座、口座番号:0417944
口座名称(カナ):ニセンジュウニニホンホウセンキンガッカイ
● 講演申込および講演要旨の締め切り:平成24年6月30日(土)です。
● 講演要旨:下記の例(A4 用紙1枚)を参考に MS Word で作成し、[email protected] まで
お送りください。
Streptomyces 属放線菌の自己胞子発芽抑制物質
青木 友 1、柏木 沙織 2、横山 森 2、川出 洋 3、○夏目 雅裕 3
(1 農工大院・連農、2 農工大院・農学府、3 農工大院・農学研究院)
【目的】胞子の発芽は微生物の存在にとって重要なステップであり、・・・
【方法】
・・・・
【結果および考察】
・・・
【文献】
【英文タイトル・著者名・所属】
Self-inhibitor of spore germination in Streptomyces spp.
Aoki Y.1, …… and Natsume M.3
(1United Grad. Sch. Agric., Tokyo Univ. Agric. Technol., ….)
・ 所属は和文、英文とも省略形で記載してください。
・ 英文タイトル等は英文プログラムに使用しますので、次ページになってもか
まいません。
●
発表形式の詳細等は学会 HP および案内状でお知らせ致します。
お問い合わせ先(大会事務局)
夏目雅裕 〒183-8509 東京都府中市幸町 3-5-8
東京農工大学 大学院農学研究院
Tel & Fax: 042-367-6798
E-mail: [email protected]
26
日本放線菌学会 25 周年記念出版「放線菌と生きる」出版のお知らせ
Actinomycetologica Vol.21 No.2 (2007) から Vol.24 No.2 (2010) まで
7回にわたり連載されてきました「日本放線菌学会の歴史」が、内容
を一層充実させ一冊の本としてまとまり、刊行されました。第一部で
は、戦後間もなく情報も物資も乏しい時代の放線菌の勉強会の立ち上
げから、放線菌育種談話会の発足と合流そして現在に至るまでの放線
菌学会の活動が、記録と当事者らの記憶に基づき綴られています。第
二部では、放線菌研究の歴史が、幕開けから現在に至まで詳細に記さ
れ、これからを担う若い研究者にとっても有用な情報が盛り込まれま
した。第三部には、これまでの放線菌研究に携わってこられた諸先輩
方から若い研究者まで幅広い方々の生の声を収載しました。
目次:
第一部 放線菌学会の歩み
Ⅰ 放線菌研究会誕生まで; Ⅱ 放線菌育種談話会の発足;Ⅲ 放
日本放線菌学会 編集
B5 判 264 頁+口絵4 頁
ISBN 978-4-86399-101-9 C3047
発行:みみずく舎
発売:医学評論社
定価 3,990円(本体3,800円+税)
線菌学会への昇格; Ⅳ 第 7 回国際放線菌学会議;Ⅴ 放線菌
育種談話会の合流; Ⅵ 学術集会; Ⅶ 学会誌の変遷; Ⅷ 学会賞:各賞受賞者一覧; Ⅸ 出版物;
Ⅹ 事務局
第二部 放線菌研究の歩み
Ⅰ 日本における放線菌研究の始まり; Ⅱ 抗生物質探索の幕開け; Ⅲ 希少放線菌生産抗生物質
の動向; Ⅳ ものにならなかった抗生物質; Ⅴ 放線菌の菌学的研究の概観; Ⅵ Streptomyces
coeliccolor A3(2) の再同定とその意義; Ⅶ 希少放線菌の発見と再分類; Ⅷ カルチャーコレクシ
ョンと放線菌; Ⅸ 日本における放線菌遺伝学―抗生物質生産; Ⅹ 日本における放線菌遺伝学―
重要事項と学会との関連
第三部 放線菌と生きる
学会員特別頒布価格 3,200 円、著者特別頒布価格 3,000 円(送料 500 円)
購入希望の方は下記宛ご連絡ください。学会が在庫しておりますので、学会経由での購入にご協
力ください。
問い合わせ先:学会事務局 松本厚子(E-mail: [email protected])
「Digital Atlas of Actinomycetes」改定のお知らせ
2002 年 本学会が作成し、学会 HP に公開
している“Digital Atlas of Actinomycetes”を
改定することになりました。会員のみなさん、
ぜひ、放線菌画像の自信作をこのサイトに投
稿してください。放線菌の多様な形態のおも
しろさや美しさを相互に楽しみ合っていき
ましょう。幸運にも、学会誌の編集委員会か
ら多少のスペースを提供するので、投稿への
お誘いの言葉を書いてもらえないかとの依
頼がありました。
まず、次ページに示した放線菌の写真を見
てください。放線菌は、言うまでもなく、バ
クテリアに所属する一分類群、即ち原核生物
です。バクテリアの形態と言えば、球状か棒
状、あるいは分岐のない糸状といった単純形
態が一般的です。なのに、どうして放線菌だ
27
生物デジタル標本データベース構築」分科会
に参加することになりました。そして、2002
年、『放線菌図鑑』の中から提供者の了解が
得られた約 130 枚の写真を選び、感染研の堀
田国元さん、石川淳さん、土崎尚史さんの協
力を得て日本放線菌学会ホームページのサ
イトに“Digital Atlas of Actinomycetes”とし
て公開しました。驚いたことに、ネット公開
の国際的な反響は、出版物『放線菌図鑑』の
比ではありませんでした。途上国の研究者も
含め、予想をはるかに超えた多くのアクセス
が寄せられたのです。そして、翌年、メルボ
ルンで開催された国際放線菌シンポジウム
ISBA-13 では、『微生物の世界』の出版と、
Digital Atlas によるネット上での放線菌形態
の広報活動を評価して“Life Achievement
Honorary Award”を授与され、改めて国際的
な反響の大きさに驚きました。しかし、これ
らは、もう、過去のことです。公開されてい
る画像の大部分は 15-20 年前に撮影されたも
ので、分類体系の変更に伴う学名の更新も必
要です。現在のような、電子情報の時代、国
際的に見ても“Digital Atlas of Actinomycetes”
の価値は、ますます高まっています。ぜひと
もこのサイトの更新を進めましょう。会員の
みなさんからの積極的な放線菌画像の提供
を期待しています。なお、画像提供の詳細に
ついては学会ホームページをご覧いただく
か、直接、担当の田村朋彦理事(NBRC)に
お問い合わせください。また、収載された画
像の転載条件についてはこのサイトの
Preface に記載されておりますのでご参照し
てください。
宮道慎二(NBRC バイオセンター)
けがこれほどまでに形態上の多様化を達成
してきたのでしょうか。このテーマを考える
だけでも、放線菌に関わっていることを幸せ
に感じます。古今東西、放線菌を扱ってきた
人たちは、放線菌の形態に魅せられ、たくさ
んの写真を残してきました。
“Digital Atlas of Actinomycetes”を公開す
るに至った経緯を簡単に紹介させてくださ
い。発端は 1997 年、学会から『放線菌図鑑
(朝倉書店、¥16,800)
』を出版したことです。
専門誌にはたくさんの写真が掲載され、当時、
私の所属していた明治製菓の研究所にも素
晴らしい放線菌の画像があふれていました。
しかし、不思議なことに、図鑑としてまとめ
られた書籍は世界的にも皆無だったのです。
そこで、学会に提案し放線菌の写真集を作成
することになりました。そして、3 年間の収
集活動によって最終的には 10 カ国 120 人か
ら放線菌の写真 450 枚を選択して掲載、学会
から世界への情報発信の願いを込めて日本
語と英語の完全なバイリンガル編集にしま
した。巻頭言は、「放線菌分類学の父」とも
いえる Lechevalier 先生にお願いし、約 300
部が海外で購入され、放線菌の形態的多様性
を網羅した唯一のモノグラフとして一定の
国際的評価を受けてきたのです。
その後、1998 年「生物多様性条約」の実
効性をあげるため、国連で「地球環境問題に
関するワークショップ」が開催され、地球規
模の生物多様性データ(種および標本に関す
る科学的情報)をデジタル情報として収集公
開する方針が採択されました。日本は文科省、
環境省が管掌し、財政面は科学技術振興事業
団が担当、日本放線菌学会は F グループ「微
放線菌の多様な形態“Digital Atlas of Actinomycetes”
日本放線菌学会 http://www.nih.go.jp/saj/DigitalAtlas/ より転載
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日本放線菌学会賛助会員
協和発酵キリン(株)研究本部
第一三共(株)機能分子第一研究所
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日本放線菌学会誌
第 25 巻 2 号
ACTINOMYCETOLOGICA 平成 23 年 12 月 25 日発行
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