【1】中2社会でめざすもの

2012 年
担当
大関、小川、福島
【1】中2社会でめ ざすもの
中2の社会では、今自分たちのいるこの場所=日本がどのような地域的
特徴を持ち、どのような歴史を歩んできたのかを学びます。日本は海に囲
まれた国です。ずっと古い時代から、この海の道を通じて、世界のさまざ
まな地域と関わり、交流してきました。ですから、日本の歴史を学ぶ時、世界のどのような動きの中
で、日本は歩んできたのか、という視点は欠かせません。中1では第二次世界大戦まで、頑張って学
びましたね。そうした、学んだことを頭に思い浮かべながら、中 2 での日本の歴史を学んでほしいと
思います。
みなさんの中には、社会科や歴史と聞くと「暗記」ということをすぐに思い浮かべる人がいるかと
思います。たしかに、社会科という教科、特に歴史は、たくさんの覚えることが出てきます。しかし、
それだけなのでしょうか?
昨年、みなさんは世界史の授業で「ファラオの晩餐」と題して古代エジプトの人々が食べていた(で
あろう)ビーフシチューを作り、食べましたね。その他にも、黄砂を見たり、古代ギリシアの重装歩
兵を体験したり・・・それも大切な歴史の学習です。さらに、板書の授業で、新しいことを知って、驚い
たり、感動したり、ドキドキしながら次の展開を楽しみにして学んだり、あるいはその場所に行って
実物を見てみたいって思ったり・・そういう体験を多くの人がしたと思います。その時のみなさんは、
実は「暗記」を超えて、臨場感をもって歴史に接していたのです。歴史学習の面白さはここにあります。
「何故?」「どうして?」という疑問をもちながら歴史と出会ったとき、私たちは時代を超えて歴史の
世界をタイムスリップできるのです。
また、歴史は現在とつながっています。皆さんの中にも、海外旅行に行ったことがある人、外国に
住んでいた人が居ると思います。また、外国製の商品を使い、食べている人、これは全員だと思いま
す。現代社会はボーダレスと呼ばれ、国と国の境目はどんどんなくなってきています。日本は外国の
国々との交流を持ってきたわけですが、その関係は、太古の昔から色々な変遷をたどってきました。
友好の歴史もあれば、支配、戦争という歴史もあります。そしてそういった歴史を前提に、現在の日
本があるのです。歴史を学びながら、これからの国際社会を担うみなさんに、現在の社会について真
剣に立ち向かっていくための力をつけてほしいと考えています。私たち担当者も、みなさんと一緒に
歴史を見つめ、考えていきたいと思います。
知る
ことこそが青年のパワーの源です。
知らない
という状態ではものごとの理解も判断もできません。
「戦争」ひとつとっても分かっていないことだらけです。
そして皆さんの周囲にある世界はまだ分からないことや知らないことに満ちています。
貪欲に、新しい知識を吸収する道に踏み出してください。
無知を脱して知の力を身につけること。それが自分の身を守り、他者を気遣える力になっていきます。
このメッセージは、3 年前に講演をしてくださった中村梧郎さんから神奈川学園生に向けて寄せられ
たメッセージです。是非授業を通じて貪欲に「知る」作業を積み重ね、社会を見る眼を養っていきま
しょう。
【2】心がけてほしいこと
①主体的に学ぼう!
中学 2 年生になって、まずみなさんに心がけてほしいことは、『自分から学ぶ力』をつけてほしい、
ということです。中 1 と違って、中 2 ではオリジナル史料集がありません。今年は、教科書・資料集(『歴
史の資料』)・地図帳を「自分の力で開き」それを「ふんだんに使用して」学習します。時々歴史にも
っと関心を持ってもらえるようなプリントも配る予定です。
また、社会の学習の柱は、習った事を自分の頭の中でもう一度整理する事と学習内容をしっかり自
分のものにする事です。そのため、
『授業用ノート』、
『まとめノート』といった「ノートづくり」はと
ても重要です。中1のときの社会科シラバスを思い出してみましょう。
*ノ ート はあ な たの 財産 です ・・・ノートは各科目専用のものを用意しましょう。一冊で何科目も兼ねたもの
や、ルーズリーフは感心しません。そして授業では、先生は黒板には項目や用語、地名など基本的なことしか
書きません。ボーとしていてただ機械的に黒板を写していたのでは、あとでノートを見たときに何も分からな
い事になります。しっかり話を聞きながらノートをとる訓練をしていきましょう。出来るだけいつも手が動い
ているようにしましょう。そうすることが頭を働かす事につながります。授業中に先生の話した事で大切だと
思うところをどんどん書き取っていきましょう。疑問に思ったこと、後で調べてみよう、質問をしてみようと
思ったこともきちんと書いておきましょう。授業の後、疑問点への解答や自分で興味を持って更に調べてみた
ことを書き加えていきましょう。つまりノートは後から書き足す事が出来るように、余裕を持たせてぜいたく
に使いましょう。
こうやって作った「ノート」はあなたの貴重な学習の記録です。その中にはあなたが学習=「ノート作り」
で得たたくさんの知識と何よりもあなたの努力と時間が一杯に詰まっています。
「ノート作り」はその過程が大
切な学習なのであって、それを通して考え、苦労して学んでいく行為を通して知識や判
断力がついていきます。
「ノート」はあなた自身が作った紛れもないあなたの財産です。大切にしましょう。
(それはすべての人のノートに言えることです。)後(数年後でも)で見直した時に『そ
うなのか!』と納得するような分かりやすいあなたの個性が一杯の「ノート」=素晴ら
しい財産を作っていってください。
まとめノート作りを頑張ってきたみなさん、今年は、
『授業用のノート』を柱に教科書・資料集の内
容や図版、地図や年表を自分なりの工夫で加えて完成させる『まとめノート』を求めたいと思ってい
ます。
そして社会科の学習では継続的な学習が大切です。
『まとめノート』作りなどを通じて、復習をしな
がら、決してそれだけにせず、自分で復習する努力が必要ですよ。中2では小テストも実施しますが、
こうした取り組みも大切にしてください。さらに、社会がもっと面白くなるきっかけは、授業に加え
て、日常生活の中にもたくさんあります。博物館に行ったり、本を読んだり、テレビを見たり・・・・
日常生活の中でアンテナを張って、過ごしてみましょう。
②授業を大事にしよう!
誰にとっても授業はとても大事な時間です。「授業を大事にすること」は、「自分と、同じ授業を受
けている仲間を大事にすること」でもあります。だからこそ、誰にとっても大切な時間を守るため、
誰もが気持ちよく学習できるため、授業での最低限の約束を守りましょう。具体的には、
「忘れ物をせ
ず」
「授業の前にきちんと準備しておくこと」
「授業開始の時間を守ること」
「授業をしっかり聞くこと」
「提出物を忘れないこと」
などです。私たち担当者も、みなさんが豊かに学べるように精一杯頑張
ります。みなさんも、やらなくてはならないことをきちんとやりきって、主体的に授業に臨みましょ
う。
【3】これからの授業の予定
1学期中間テストまで
世界の中の日本(地理)
∼
平城京の時代(奈良時代)
1学期期末テストまで
平安京に都を移す(平安時代)∼
2学期中間テストまで
建武の新政と南北朝(室町時代)∼
鎌倉文化(鎌倉時代)
江戸幕府の成立(江戸時代)
2学期期末テストまで
江戸の文化(江戸時代)
∼
自由民権と憲法(明治時代)
3学期学年末テストまで
日本のアジア侵略(明治・大正) ∼サンフランシスコ講和
会議(昭和時代)
*中 1 と違って、中2の社会は週4時 間になります。
使用する教材・毎回の授業に用意してきてください
・教科書(『私たちの中学社会 歴史的分野』を使います)
・ノート(授業用ノート、まとめ用ノート)
・地図帳
・資料集(『歴史の資料』)
・ファイル(配布したプリントをまとめるもの。各自で用意しましょう。)
・中 1 のときに使った年表プリントを使うこともあります。
【4】力が付くってどういうこと?
社会の実力って何でしょうか。自分は社会が苦手だという、苦手意識を持っている人もいると思いま
す。しかし、苦手なものも、できることから一つ一つこなしていけば、いつか苦手意識がなくなり、
テストでも結果が出るようになり、いつかは得意教科になる可能性があります。社会を得意になるた
めには、社会科の学習に対応した力を付ける必要があります。それは、次のような力です。
1) 因果関係を理解する力
因果関係とは「物事の原因と結果のつながり」のことです。この因 果関 係を 理解 する 力 は社 会科で
特に重視 してい る力 です。
「まとめノート」をやりましょう。ただ し、ただ授 業ノー トを右 から左
へと 写 して も 意味 があ り ませ ん 。一つ一つの内容を、「自 分の 頭 でも う一 度 考え な がら 」 まと め
るのです。今年は、一歩進んだまとめノートを求めたいと思っています。
2) 基本用語を正確に憶える力
言うまでもありませんが、語句や年号を頭に入れる力です。あ る程 度の用 語と年 号が わから なけれ
ば、流れ を理解 したり 、説明 するこ ともで きま せん。まとめノート以外に、自分で年表を作るなど
の努力も必要です。また、この力を付けていくためのきっかけとして、小テストも計画しています。
3) 何を質問されているのか、正確に文章を読解できる力
これは読解力です。読解力ほど、身に付けるのに時間のかかる力はありません。国 語の教 材や読 書の
本を 、「考 えな がら」 読む こと。また、テス トは 必ずや り直し て 、問題文をじっくり読み直すこと
です。また、新聞記事や評論文を半分以下の文字数で要約 する 訓練を続ける事でも身に付きます。
4) 歴史の出来事の広がりを地図で理解する力
みなさん「地中海周辺の国」とか「関ヶ原より西の地域で」といった表現から、その周辺地図を想い
浮かべることができるでしょうか。授業でそれを「耳から聞いた」時に、即座に「頭の中に」地図が
浮かんで来る力であり、
「大陸から日本列島に来た人々が九州から東へ広がった」という表現を「聞い
た」時に、その動きを地図的に理解できる力です。まとめノ ートを 作ると きに自 分で手 描き地 図を
描きまし ょう 。何度もチャレンジしていると、そのうち、日本でも世界でもスラスラ描けるようにな
るし、頭に浮かんできます!
5) そもそも、歴史を楽しいと思える力
これは大きいです。一年間継続してやり続けるためには、その授業の中に「楽しさ」がなければな
らないと思います。まず乗 りこえ てほし いの は、 学習を 好き嫌 いで区 分け してし まう 思考 です。
平気で「○○は嫌い」と苦手な教科を挙げる人がいます。しかし、言葉として出したところで、苦手
が克服できるわけでもなく、また、その教科の学習をしなくて済むわけでもありません。「 ○ ○ は 苦
手
だけ ど、自 分なり にやっ てみよ うと思 う」 と、前向 きな力 に変え ていっ てくだ さい 。
そのうえで、その教科に楽しさを見つけることができれば一歩も二歩も苦手克服に近づいてきます。
しかし、楽 し い 授 業 は 、 た だ そ れ を 待 っ てい るだ け で は い つ ま で たっ て も や っ て来 ま せ ん 。自
分から参加すること、発言をすること、わからなくても質問に答えてみること、そして何より、
「何で
だろう?」という好奇心を持ち続けることが大切です。
6) やはり鍵は「まとめノート」
1∼5の力を身につけていくためには、やはりまとめノートを早め早めに取り組む事が鍵です。いろ
んな学年の中学生の話で共通する事は、テストでも「まとめノ ートを 早めに 終わ
らせて、そ こから まとめ を使っ た本格 的な復 習 をする」人が社会の得意な人た
ちになっているということです。頑張りましょう。