指導計画

社会科 第3学年
単元名 人間の尊重と日本国憲法の基本的原則(全16時間)
単元の目標 日本国憲法は、長い歴史の中で多くの犠牲の下に獲得された基本的人権と、戦争における惨禍の反省に立った国民主権や平和主義が保障されている崇高なものである事を理解するとともに、それらを守り育てて
いくためには、不断の努力が必要であり、目先の事や自らのことのみにとらわれ、安易に周囲の考えに流されてしまい、他人事として考え行動してしまう弱さと闘い続けなくてはならないと考えられる。
単元の評価規準
関心・意欲・態度
技能・表現
思考・判断
人間の尊重についての考え方と法に対する関心を高め、それ 我が国の政治が日本国憲法に基づいて行われていることの意義に
らを意欲的に追究し、民主的にな社会生活について考えよう ついて多面的・多角的に考察し、民主的な社会生活の在り方につ
いて様々な考え方を踏まえ公正に判断している。
としている。
知識・理解
人間の尊重についての考え方と法に関する様々な資料を収集し、 人間尊重の考え方を基本的人権を中心に深め、法の意義と法に基
学習に役立つ情報を適切に選択して活用するとともに、追究し考 づく政治の大切さ、日本国憲法が基本的人権の尊重、国民主権及
察した過程や結果をまとめたり、説明したりしている。
び平和主義を基本的原則としていること、天皇の地位と天皇の国
事に関する行為について理解し、その知識を身についけている。
きめ細かな指導
章
題材
時
ねらい
学習活動
評価規準
評価方法
私たちが持っている権利にはどのようなものがあるだろうか
人権を考
えよう
人権についての既存の知識を出し、
カードに示されている内容について考
1
える中で、人権学習のスタートとし感
心意欲を高める。
◎課題についての交流
◆人権カード
・自分の思うままにしていくことと人権を守ることは違うようだ
・人権と一言で言っても難しい面があるようだ
・感想を書く
指導の手だて
資料を見ても、感想がかけない・意見が持てない
基本的人権を中心とした人間の尊
重についての考え方に対する関心
が高まっている。
【関心・意欲】
C:考えを持つ時間を確保し、机間巡視により本単元の
スタートとして、全員が意見を持ち発言できるよう
挙手発言
にする。
ノート
個人のわがままを通していく事と人権を守る事は違うのだなあ
・「私たちは自由だろうか」について意見交流
私達はいつこのような自由を手に入れることができたのだろうか
人
間
の
尊
重
と
日
本
国
憲
法
人権思想
の発達と
日本国憲
法の制定
自由という基本的人権でさえも、長い
歴史の中で多くの人のたゆまぬ努力に
よって獲得されたものであることを理
2
解するとともに、日本国憲法が三原則
をもち、民主主義の実現をめざしてい
ることがわかる。
・絶対王政後の市民革命について復習
(清教徒革命・名誉革命・フランス革命・アメリカ独立戦争)
◆人権宣言・独立宣言を読み重要なところに赤線を引く ◆思想家ロック・ルソー
「人は生まれながらにして自由で平等な権利を持つ」 モンテスキュー
◎日本国憲法が大切にしていることは何だろうか。
◎前文をじっくり読む(大切にしていると思われる部分を発表)
・日本国憲法の三原則・・・国民主権・基本的人権の尊重・平和主義に集約していく
用語・語彙は理解しているが、人権を獲得するための
努力と結びつけて考えられていない
基本的人権の理念が人類の長年に
わたる自由獲得の努力の成果であ
り、価値あるものであることを理
解し、その知識を身につけてい
る。
【知識・理解】
挙手発言
今日
の
まとめ
C:ノートへの記入の見届け
適切なまとめの紹介
人権を獲得するために、多くの年月と多くの血を流し、命をかけてきたんだ。その歴史が日本国憲法
にも生かされている気がする。日本国憲法の三原則はどう守られているのだろう。
・国民主権:主権が国民にあるとは、どんな力が国民にあるのだろうか?
「人民の、人民による、人民のための政治」(リンカーン)
・大日本帝国憲法下では主権は天皇
国民主権
と
象徴とし
ての天皇
厳しい戦争の反省に立って、憲法では
3 主権が国民に存し、天皇は象徴として
の地位が与えられている事が分かる。
天皇はどんなことをしているのだろう
◆天皇の登場する写真 ◆憲法第1条「象徴としての天皇」
内閣の助言と承認が必要な国事行為
儀式的儀礼的な行為のみ
天皇は象徴であり、きちんと国民主権が守られている。では、人権はどのように守られているのだ
ろうか。
天皇の地位は象徴であり、国事行
為を行うためには内閣の助言と承
認が必要で、その行為は儀式的儀
礼的なものであることが理解でき
ている。
【知識・理解】
挙手発言
今日
の
まとめ
「逮捕するぞ」と言われたらどうしたらよいのだろう
自由権
自由権における身体の自由において、
「逮捕の要件」を理解し、犯罪におけ
4
る処罰を除いてはむやみに逮捕されな
いことが分かる。
◎課題についての交流
◆身体の自由に関る憲法条文(逮捕の要件33条) ◆逮捕令状
◆冤罪事件(松山事件のVTR)
私たちには身体の自由が保障されていることが分かった。しかし、20年間以上無実の罪で囚われ
た斎藤さんの人生はかえって来ない。二度とこのようなことがあってはならない。法律で身体の自
由が保障されているからと言って、まったく無関心にしてはいられない問題だ。
「象徴としての天皇」と「国民主権」を関連付け
て理解できていない
C:ノートへの記入の見届け
適切なまとめの紹介
身体の自由について具体的な内容を記述できない
自由権における身体の自由におい
て、「逮捕の要件」を理解し、犯
罪における処罰を除いてはむやみ
に逮捕されないことが分かる。
【知識・理解】
挙手発言
今日
の
まとめ
C:ノートへの記入の見届け
適切なまとめの紹介
きめ細かな指導
章
題材
時
ねらい
学習活動
評価規準
評価方法
指導の手だて
◆憲法第25条(生存権)資料
社会権1
(生存
権)
憲法における生存権が保障する「健康
で文化的な最低限度の生活」を考え、
5 1960年当時と比較し、朝日訴訟等
の戦いの中で最低限度の基準が高まっ
てきた事が分かる。
あなたにとって「健康で文化的な最低限度の生活」をするために必要な物事をあげよう
◎課題についての発表
◆第一審判決 第二審判決
◆生活保護水準の推移グラフ
朝日さんが何を訴えているのかが分かった。憲法第25条で保障されている「健康で文化的な最低
限度の生活」が保障されていない朝日さんの訴えは最終的にが認められなかったが、こうした闘い
が最低限度のレベルをたかめてきたのだな。
訴えている内容の部分に線がひけない
朝日さんが訴えた内容や理由を理
解し、闘いの中で最低限度の水準
が高まってきたことが分かる。
挙手発言 C:期間巡視
ノート
訴えの内容が読み取れる部分を示唆する
【知識・理解】
どのような条件のもと就職するかを考えよう
社会権2
(労働基
本権・教
育を受け
る権利)
人
間
の
尊
重
と
日
本
国
憲
法
働く事は権利であり、就職する条件を
考えていく中で、されらが労働三法・
6
労働三権に結びついていることが理解
できる。
◎課題についての発表
◆賃金・休日・有給休暇・交通費・労働時間・保険等について
・労働三法・労働三権
・教育を受ける権利
◎私たちが必要と考えた条件は、どの権利にあてはまるのだろう。
私たちには働く権利があり、労働三法や労働三権によって働くための様々な権利が保障されている
ことが分かった。
労働基本権の内容と課題とが結び付けられない
働く事は権利であり、就職する条
件を考えていく中で、されらが労
働三法・労働三権に結びついてい
ることが説明できる。
【技能・表現】
挙手発言
C:機関巡視による指導、仲間との交流
ノート
◆ハンセン病とは(写真・文書資料)
ハンセン病についての問題をつかもう
ハンセン
病患者
差別の
経緯
ハンセン病について正しく理解し、ハ
7 ンセン病問題のこれまでの経緯を年表
等からつかみとることができる。
◆ハンセン病年表 ◆らい予防法
◎資料みて、問題点を発表しよう(◆内務省衛生局の考え方 ◆黒髪校事件)
90年もの隔離政策の中、患者達は苦しんできた。日本国憲法施行後もこの政策を変えなかったの
はひどい。国の政策や正しい知識が得られなかったことが、一般の国民の差別も生み出しているよ
うだ。差別の実態はどのようなものだったのだろうか。また、差別に対して患者達は何も抵抗しな
かったのだろうか。
「かわいそうだ」「ひどい」という具体性・他の事
象との関連性に欠くまとめに終始している
ハンセン病が完全に治癒する病気であ
る事を理解し、ハンセン病問題が国の
挙手発言
政策によって引き起こされてきたこ
C:憲法の内容を丁寧に補足する
と、日本国憲法が施行された後にもか
ハンセン病年表の重要な点に赤線を入させる
今日
かわらず差別が続いてきたことを理解
の
できている。
まとめ 文書資料2つを戦前・戦後の関係で位置づける
【知識・理解】
適切なまとめの紹介
・前時の感想発表
患者達の差別の実態はどのようなものだったのだろう
差別の実
態
すざましい差別の差別の実態の内容を
理解し、このような差別が二度とあっ
8
てはならないと強く感じることができ
る。
◆監禁室 ◆差別の実態資料
◎差別の実態についての感想発表
ハンセン病患者への人権侵害は壮絶なものである。二度とこのようなことがあってはならない。強い
怒りを感じる。患者達はこうした差別に対して、どのように感じ行動していったのだろう。
すざましい差別の差別の実態の内
容を理解し、このような差別が二
度とあってはならないと強く感じ
ることができる。
【思考判断】
「ひどい・すごい」といった具体性・関連性に欠く感
想に終始している
挙手発言 C:ハンセン病患者への差別の資料における重要な
ポイントに赤線を引かせる
感想
適切な感想の紹介
・前時の感想発表
闘い続けてきた患者達の思いをつかみとろう
闘い続け
た患者達
患者達は差別の中で、ただ国の政策の
いいなりになっていたのではなく、自
9
らの人権を守ろうと闘い続けてきた思
いにふれることができる。
◆病患者闘争年表 ◆座り込み・闘争写真 ◆三園長の国会証言
◎闘いにおける患者達の思いをつかもう(課題についての交流)
◇島比呂志さんの手紙に込められた思いは何か?
・らい予防法の廃止 ・熊本裁判と国の控訴断念(首相談話一部) ・砂川さんの写真
「ひどい・すごい」といった具体性・関連性に欠く感
想に終始している
ハンセン病患者への差別の実態を知
り、自らの人権を守るために長年にわ
挙手発言 C:ハンセン病患者闘争年表の重要なポいントに赤線を
たって闘ってきた患者達の思いに触れ
ひかせる
ることができる。
【思考・判断】
長い闘いの末、らい予防法の廃止と国家賠償請求訴訟での勝利を得る事ができた。患者達の喜びは大
きなものだっただろう。もとハンセン病患者の砂川さんの人生はどのようなものだったのだろうか。
感想
適切な感想の紹介
きめ細かな指導
章
題材
時
学習活動
ねらい
評価規準
評価方法
◆前時の感想 ◆砂川さんの写真 ◆砂川さんの年表資料
ハンセン病療養所の退所者である砂川
砂川さん
昇さんの年表から、ハンセン病患者と
の
10
しての苦しみをつかみ、差別の実態を
苦しみ
具体的に理解する事ができる。
砂川さんが苦しんだことは何なのだろう
◎課題についての発表
砂川さんの苦しみは、壮絶なものであり、想像を絶する。妻にまで16年間病気の事を隠し通さねば
ならなかった気持ちは計り知れない。ここまで砂川さんを追い詰めたものは一体何なのだろうか。
指導の手だて
資料から砂川さんの苦しみをとらえられない
砂川さんの苦しみをつかみとり、
差別の実態を具体的に理解するこ
とができる。
【知識・理解】
挙手発言 C:砂川さんの年表の重要な部分は四角で囲み、理解し
感想
やすくする。
机間巡視による指導援助
(苦しみの内容部分を示唆する)
◆前時の感想
差別を生み出してきた原因を1つの見方からしか
考えられない
砂川さん夫妻を死の手前まで追い込んだものは何だろうか
砂川さん夫妻を死の手前まで追い込ん
砂川さん
だものを考える中で、差別を無くして
夫妻を死
いくためには、正しい知識が必要であ
の手前ま 11
り、無関心が差別を生み出すことがわ
で追い込
かり、さらに、自分自身の中に差別の
んだもの
心があることに気付くことができる。
◎課題についての交流
◆砂川さんの妻からの手紙
◎課題をさらに深める
◆太陽は輝いた(詩:日野弘毅)
このような差別は、二度とあってはならない。差別を無くしていくためには、正しい知識が必要だと
いうことが分かった。また、無関心であることも差別を生み出す原因となるんだ。そして、自分自身
の中に差別の心があり、それを見つめ、差別を無くす方向に立ちあららなくてはならない。
ハンセン病に対する正しい知識の
無さが、砂川さんに対する差別に
つながっていったことを理解し、
そうした差別を生み出してしまう
心が、自分自身の中にあることに
気づくことができる。
【思考・判断】
挙手発言
感想
◆既習の人権資料
・これまで学習してきた、私たちに保障されている権利が、侵されるのはどのような時だろう
人
間
の
尊
重
と
日
本
国
憲
法
私たちの人権が不当な力によって犯さ
人権を守
れないようにするためには、国民の力
るための
によって政治が民主的に行われなけれ
権利と 12
ばならないことが分かり、そのために
国民の義
私たちに与えられている権利と義務を
務
理解することができる。
C:考えを持つ時間の確保
適切な感想の紹介
人権を守るための権利の具体的内容が説明できない
私たちの人権を守るために、どのような権利が保障されているのだろうか
◎参政権・請願権・裁判を受ける権利・不法行為による損害賠償請求・刑事補償請求
の権利についてまとめる
・国民の三大義務についてまとめる
人権を守るための権利をまとめる
ことができる
【知識・理解】
人権学習
C:板書を確実にノートに記入させる
プリント
の記述
私たちの人権を守るために、様々な権利が保障されていることが分かった。
◆権利のまとめプリント配布
新しい
人権
・
人権の
まとめ
学習プリントのどの四角にどの権利を記入すれば
良いかわからない
これまで学習した権利と新しい権利についてまとめよう
13
これまで学習してきた権利を学習プリ
ントにまとめることができる。
◎基本的人権の空白の四角の部分を、ノート教科書を見ながらまとめる
・社会権・平等権・自由権・人権を守るための権利・国民の義務
・環境権・知る権利・プラーバシーの権利・公共の福祉
人権学習プリントに権利を記入す
ることができる
【知識・理解】
人権学習 C:教科書・ノート・教科書を見て
プリント 振り返りながら記入させる
の記述
普段何気ないことも人権として多様に守られているんだな。どの一つが無くても私たちは生きていけ
ない。
・戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認(教科書憲法第9条)
〇第9条にはどんな、願いが込められているかノートにまとめよう
憲法9条の内容を読み取ることを通し
て、我が国は厳しい戦争の反省に立
平和主義
ち、憲法には平和主義が掲げられてい
と
14
ることを理解するとともに、国を守る
自衛隊
ために自衛隊が置かれていることがわ
かる。
憲法9条に込められた願いをまとめられない
自衛隊はどのような経緯で発足し、現在どのような考えで位置付いているのだろうか
◆自衛隊の移り変わり ◆政府の自衛隊に関する考え方の推移 ◆防衛庁「日本の守り」
◆横浜米軍機事故年表
〇感想発表
憲法第9条の内容が理解でき、そ
れに基づいて国の防衛のために自
衛隊が発足した事が理解できる。
【知識・理解】
C:ノートに憲法第9条を写させ、大切な部分を補足して
挙手発言
赤で記入させる
ノート
憲法9条の精神に逸脱しないように自衛隊が存在することが大切だ。日本を取り巻く環境の変化
が、自衛隊にも影響を与えて来た。それにしても、ユー君とヤス君はかわいそうだ。
・前時の感想発表
米軍機墜落事件で亡くなった3人の悲
横浜米軍
劇を繰り返さないためにも、主権者で
機墜落事 15 ある国民が平和主義を守っていかなく
件
てはならないこと考えることができ
る。
学習の
まとめ
16
人間の尊重と日本国憲法の基本原則に
ついての学習プリントを利用して、学
習してきた知識を自ら把握することが
できる。
国を守るのは一体誰だろう
◎課題についての意見発表交流
◆一人ぼっちになったパパ(千人以上の皮膚提供者)
二度と戦争を起こさないように掲げられた平和主義は、主権者である私たちの心の内にこそ打ち立て
なくてはならないのだなあ。
◆学習プリント配布
学習プリントに取り組み、自らの知識の定着を把握しよう
主権者である国民が平和主義を守
らなくてはいけないと考える事が
できる。
【思考・判断】
人間の尊重と日本国憲法の基本原
則についての学習プリントに適す
る用語や考えを記入することがで
きる。【知識・理解】
挙手発言
感想
「パパやママ、ユー君ヤス君がかわいそうだ」
「自衛隊に落ち度がある」という感想で終わってい
る
C:考える時間の確保と机間巡視
仲間の意見から自らの意見を築いていく
適切な感想の交流
プリント プリントの問題に適する語句や言葉が記入できない
への
C:ノート、教科書を利用する
記述