第16号(PDF形式、36kバイト)

 1998 年 3 月
No.16
日立パワーデバイス技術情報 PD Room
今月から3回くらいにわたりましてIGBTの並列接続で使用時の注意事項等について述べ
てまいります。
並列接続時の注意すべき基本的な事項は
1)定常時の電流不平衡を押さえるため、素子のV C E ( s a t ) の差を小さくし、
2)ターオン、ターンオフ等の過渡時の電流不平衡を押さえるために、素子並列レイアウト時の配
線アンバランスを小さくする。
の2点が大事なことです。
1)項に関しましてはメーカーサイドで選別をして対応が可能でありますが、2)項に関しまし
ては、お使いいただくユーザーサイドで対応をして頂かなければなりません。これから述べて
まいります内容は2)項に関するいろいろな注意事項です。
1)項、2)項共、電流不平衡率の目安は15%程度に押さえるのが一般的です。
今月はドライバ回路について述べます。
1)1アームのドライバ数
並列接続をされた素子をドライブする際、一部の信号処理回路(ホトカプラ、過電流保
護回路等)を含んだドライバ(例えば当社ドライバIC HTK0030)は、並列数に関係な
く、1ドライバで構成することをお勧め致します。
これは、ドライバ毎の出力遅延時間のバラツキ等による並列動作への悪影響を回避する
ためです。
2)ドライバのバッファ回路
例えば、HTK0030 の出力電流ピーク値は、2.5Ap(パルス幅 5μs)以下となっており
ますので、並列素子をドライブするためにはバッファ回路が必要となります。図1に示す
ようなバッファ回路を構成してください。
ここで、トランジスタQ1、Q2はコンプリメンタリペアのものをお使いください。
C
pin②
(HTK0030)
Pin③
Q1
Pin①
Pin④
推奨トランジスタ
Ic
RG
G
Q2
1
5A
2
8A
E
E
種別
Q1,Q2 形式
NPN
2SD1722(50V)
PNP
2SB1165(-50V)
NPN
2SD1723(50V)
PNP
2SB1166(-50V)
図1.当社 HTK0030 でのバッファ回路構成例(一部の部品記述を省略)
バッファ用トランジスタQ1、Q2はドライバ出力電流によって選択します。
3)並列接続でのゲート抵抗接続法
ドライバと、並列接続された素子との接続は、モジュール間の干渉によるゲート電圧振動
を抑制のために、各モジュールにゲート抵抗が接続されるよう、図2のような接続として
ください。また、図2においては次の点に留意ください。
ⅰ.ドライバ出力配線はツイストペアとし、低インピーダンス化を図る。
極力小さくする
上記ⅰとⅱは主回路スイッチング時の誘導による悪影響を防止するために行います。
ⅲ.前述しましたゲート電圧振動は、ターンオン、ターンオフの各スイッチング時に現
れます。振動を防止するためには、ゲート抵抗RGとループインダクタンス Lgst と
の間には(1)式関係を保つようにご留意ください。(この為にも Lgst を小さくす
る必要があります。)
2 RG > 2
Lgst
Cies / 2
(1)
Cies は IGBT のゲート入力容量
RG
配線ループ A
G
+
ドライバ回路
RG
G
−
(ドライバ側)
IGBT
E
配線ループ B
IGB
T
E
(IGBT モジュール側)
図2.並列接続されたモジュールとドライバ回路の接続例
次号には主回路配線について述べます。
新年号に載せましたこの写真、記憶に御座いますか。
紙面の関係からその詳細についてはご紹介できませんでしたが
ここでご紹介致します。
5MA
製品名:5W形サージ吸収素子(面実装タイプ)
形 式:ZSH5MA/5MB Vz=27V
用 途:自動車電装品回路のロードダンプよりの保護用
4.4
Φ9.6
13.1
(5MA タイプ)
特 長:JASO A-1 規格をクリア、 薄形タイプ
現在開発中でサンプル提出 可
5MB
6月より量産開始予定
概略寸法
次号のお知らせ IGBTの並列接続 Ⅱ
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ⅱ.下図のループA、Bに各々存在するインダクタンス(Lgst)を同一とし、その値は