第7回 重症心身障害理学療法研究会セミナー 事前抄録集

第7回 重症心身障害理学療法研究会セミナー
「私たちの創る未来」
事前抄録集
表紙イラスト http://kage-desigh.com
セミナーへのご案内
本研究会セミナーは、今回で第7回目を迎えます。この6年間多くの出会いがありました。私たち
は、側弯矯正装具プレーリーくん、LIFE、スパイダー、ベビーロコと出会い、多くの仲間・つながりを
築いてきました。私たちは、これまでのセミナーで行なわれたディスカッションが、重症心身障害のリ
ハビリテーションの進歩と発展に寄与してきたと確信しています。
重症心身障害がある彼らの身体機能に関わる私たちは、彼らの声(Voice)の代弁者としての責任と
役割を持っていると、私は考えます。その障害がある彼らと対話することは、重症心身障害の理学療
法を研究する上で欠くことのできない大切なことです。本セミナーの第一日目は、このことに焦点をあ
て、皆さんと考え、討論することで、私たちが目指す目標: 障害がある彼らに対する『コミットメント』
を共有したいと思います。
基調講演では、大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任教授である西川勝氏に臨床哲
学の視点から「対話」についてお話しいただきます。私は昨年西川氏と北海道で出会い、私たちが
大切にしたい「対話」と通じるものがあると感じました。西川氏は、その著書「ためらいの看護」(岩波
書店)で、看護師としての 20 数年の患者との対話と体験を、臨床哲学という切り口で語っています。
“リアル”西川勝氏を皆様に紹介したいと思います。
オープンディスカッションでは、重症心身障害においては誰もが重要と考える「姿勢ケア」に焦点を
あてます。指定提言者3名から、「姿勢ケアの今」というテーマでお話をいただき、討論します。この討
論から、当研究会の「姿勢ケア」における考え方を『ステイトメント』として形づくり、臨床研究の方向性
を示す目標: 障害がある彼らに対する『コミットメント』 を再構築していきたいと考えます。
2日目のプログラムでは、今年 5 月 8 日に急逝された今川忠男氏(元旭川児童院副院長)の業績を
ふりかえる特別セッション「故今川忠男氏の業績を振り返る」を行います。今川氏は私たちの先輩で
あり、私たちの世代に大きな影響を与えたと私は思います。この機会に、今川氏の業績をふりかえる
ことは、私たちの未来へのヒントになると考え、特別プログラムといたしました。
セミナー最後の分科会は、「側弯への対応」というテーマを加え、5分科会としました。話題を共有し、
討論し、深め、広げることで、積極参加型分科会にしたいと思います。いろいろな意見、経験を共有
して、参加者それぞれの臨床に、役立つ具体的な情報や考え方、方法を自ら発見して、持ちかえっ
てもらうことが目的です。
この二日間が充実した時間となるために、皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。
第 7 回 重症心身障害理学療法研究会セミナー開催責任者
花井 丈夫
タイムスケジュール
第1日目 2015/11/21(土)開場・受付開始 11:30~
12:00-12:10 開会のあいさつ
会場: 4階ホール
開催責任者:花井 丈夫
12:10-13:50 基調講演:「対話」
講師:西川 勝 (大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任教授)
司会:花井 丈夫(横浜療育医療センター)
14:00-16:00 オープンディスカッション 「姿勢ケアの今~ステイトメント・コミットメントに向けて~」
指定提言者:
宮本 久志
(みさかえの園総合発達医療福祉センターむつみの家)
辻
清張 (福井県こども療育センター)
花井 丈夫 (横浜療育医療センター)
コーディネーター:奥田 憲一 (医療福祉センター聖ヨゼフ園)
金子 断行 (心身障害児総合医療療育センター)
講師:西川 勝 (大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任教授)
16:10-16:40 継続報告
司会:花井 丈夫(横浜療育医療センター)
「 LIFE 」
榎勢 道彦 (四天王寺和らぎ苑)
中
18:30-20:30
交流会
(希望者のみ)
徹
(群馬パース大学)
受付 18:00~
会場:東天紅 横浜桜木町ワシントンホテル店
(横浜市社会福祉センターより、徒歩 3 分)
第 2 日目 2015/11/22(日) 開場:9:10~
9:20-9:50
重症心身障害理学療法研究会 総会
10:00-10:45
特別セッション:故 今川忠男氏 の業績をふりかえる
会場:4階ホール
会場:4階ホール
平井 孝明 (平井こどもリハビリテーションサービス)
奥田 憲一 (医療福祉センター 聖ヨゼフ園)
中
徹
(群馬パース大学)
司会:花井 丈夫 (横浜療育医療センター)
11:00-13:00
分科会
第一分科会
姿勢ケア
運営進行
会場:8階大会議室 8A
宮本 久志
(みさかえの園総合発達医療福祉センターむつみの家)
話題提供
杉浦 真紀 (都立府中療育センター)
「看護師さんといかに協働するか」
福原 一郎 (横浜療育医療センター)
「耳介部褥瘡に対する枕の検討」
第二分科会
呼吸
会場:8階大会議室 8B
運営進行
中林美代子 (新潟県はまぐみ小児療育センター)
話題提供
金子 断行 (心身障害児総合医療療育センター)
「重症児の理学療法の実際」
川野 琢也 (和歌山つくし医療・福祉センター)
「脳腫瘍のターミナル期における呼吸ケアについて」
今川 祐子 (済生会横浜市東部病院)
「呼吸障害に関する機械の導入について」
第三分科会 動く
会場:8階大会議室 8F
運営進行
高塩 純一 (びわこ学園医療福祉センター草津)
話題提供
奥田 憲一 (福祉医療センター聖ヨゼフ園)
「体重を免荷するということ」
榎勢 道彦 (四天王寺和らぎ苑)
「抱っこから拡がるこどもの経験」
柏山 淳
(和歌山圏域通所事業所 あいらんど)
「環境設定によって見られる動き~spider を用いて~」
第四分科会 在宅支援
会場:9階小会議室 904
運営進行
齋藤 大地 (株式会社 はこぶね)
話題提供
中野 弘陽 (訪問看護ステーション そら)
「寝たきり重症児にしないために(理学療法業務の検討)」
高島 朋貴(北海道立こども総合医療療育センター)
「中核的施設からの退院、
在宅生活に向けた取り組みについて」
第五分科会 側弯への対応
会場:9階小会議室 901
運営進行
平井 孝明 (平井こどもリハビリテーションサービス)
話題提供
高橋 彰子 (横浜療育医療センター)
「理学療法士からみたDSB(プレイリーくん)の可能性」
花井 丈夫 (横浜療育医療センター)
「側彎の肋骨捻転を伴う短縮側伸長の一方法の提案」
会場案内
横浜市社会福祉センター 4Fホール
アクセス:JR根岸線 横浜市営地下鉄 桜木町駅から徒歩すぐ
〒231-8482 横浜市中区桜木町 1-1 横浜市健康福祉総合センター内
JR桜木町駅
南改札口
からのアクセス
改札を出て、右へ進む
向かって左側の地下道へ。
エスカレーターをくだる。
直進し、地下道の案内看板にしたがい、
右側の階段をのぼる。
階段を上がって左手が、入り口です。
注意事項のご案内
 事前抄録を各自印刷のうえご持参下さい。
 会場の建物内は全て禁煙です。
 会場内およびロビーは飲食禁止です。飲食物の持ち込みはご遠慮下さい。
 会期中は、名札を着用してください。2 日目はお忘れなくご持参ください。
 名札のホルダーは 2 日目終了後に会場にて回収いたします。
 アンケートにご協力下さい。2 日目終了後に会場にて回収いたします。
 総会について
参加対象は、重症心身障害理学療法研究会 会員のみとなります。
会員外の方の入場は9時50分以降になりますのでご注意ください。
 荷物について
大きなお荷物の座席への持ち込みは、席数の都合上ご遠慮願います。
 スケジュール通り運営できますよう、時間厳守の程、ご協力よろしくお願い致します。
 欠席連絡について
運営の都合上、欠席される場合は事務局:横浜療育医療センター リハ課
045-352-6893 までご一報ください。
連絡が当日になる場合は、090-6511-4304 もしくはthanai[email protected] 花井
までご連絡お願いいたします。
基調講演
「対話」
講師:西川
勝
司会:花井
丈夫
1 日目:基調講演「対話」
講師
西川 勝(にしかわ
まさる)
所属:大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任教授
1957年(昭和32年)大阪市生まれ。
父は秋田県出身で幼いころから目が悪く望んでいた学業をあきらめて大阪で職を転々としていた。母
は福岡県出身、奔放な少女時代を過ごし、戦時中に中国へ渡り陸軍に入隊して看護婦の資格を取
る。敗戦後、老いた父を抱えて大阪に暮らしていた。この両親が大阪で出会って生まれたのがぼくで
ある。
大阪生まれの大阪育ち、現在 58 歳であるが、大阪を離れて暮らしたことは一度もない。別に望んだ
結果でもないが、大阪が身に染みついてコテコテである。
小学校時代のぼくはふつうの子ども、ちょっと目立ちたがり屋だったかもしれない。生徒会の役員に
立候補して3回落選してもあきらめず、4回目に当選した。中学生になると、それなりに不良少年にな
っていた。ぼくが煙草を覚えたのは失敗した家出のとき、中学2年生だった。高校に入って、人生や社
会をまじめに考えたつもりが、学生運動崩れとして中退してしまう。大学は夜間の哲学科、ここで生涯
の師(ぼくが勝手に弟子を自称している)と出会う。鷲田清一先生である。ぼくがなにか良いことを言っ
たとしたら、それは鷲田先生から教えてもらったのに、自分で考えたと思ってしまっていることである。
夜間大学に行きながら、ふざけたことに夜のアルバイトをしていたぼくは、なかば無理矢理に母親が
勤めていた精神病院の看護助手にさせられてしまった。本で読む哲学よりも、精神病院で向き合う現
実の方が圧倒的にぼくを刺激した。看護学校に働きながらいくようになって、大学は中退。でも、鷲田
先生の授業にだけはもぐり(非正規の受講)続けた。
33歳で、ようやく看護士の免許を取得。ずいぶんと遠回りのキャリアアップ。35歳で精神科を辞め
て、大型自動車の免許を取ったが就職口がなく、総合病院に紹介されて血液透析の看護師になる。
ここでぼくのナイチンゲールと言える看護師長、中川愛子さんに出会い、再びまじめに看護に取り組
むようになった。ターミナルケアに関心を深めたのものこのころ。学会発表なんかもするようになった。
ナースとしての専門性を身につけるぞ、と必死になっていた。そんなとき、しばらくご無沙汰していた鷲
田先生が、大阪大学で臨床哲学というのをはじめたと知り、どうにも堪えきれずに大阪大学に押しかけ
る。意外に優しく迎えられて、ますます増長して、授業へのもぐりを続けるために、職場を大阪大学の
そばに移した。それが介護老人保健施設。認知症ケアとの本格的な出会いになった。文部科学省の
大学院入試制度の緩和があって、学士号を持たないぼくが社会人入試で大阪大学文学研究科に入
ったとき、新聞にニュースで出た。もちろん小さな記事で名前などなかった。大学院のとき書いた文章
が縁になって、平成15年から20年まで京都市長寿すこやかセンターで認知症ケアの研究に従事す
ることになった。京都市伏見区の認知症デイサービスでも 1 年半ほど働いた。ここでの経験は、ぼくの
認知症ケア観を大きく変化させた。そうこうしているうちに、大阪大学に「コミュニケーションデザイン・セ
ンター」というところができて、そこで特任教員をすることになった。ぼくとしては晴天の霹靂、びっくり仰
天、あたふたとしながら「臨床コミュニケーション」を学生たちと考える立場になった。看護師時代とちが
って、何をするかは自分次第、あれこれと手を出しすぎてまとまらない毎日を過ごしている。もう11年
目になった。
これからのことは、わからない。
1 日目:基調講演 「対話」
司会
花井 丈夫(はない
たけお)
所属:横浜療育医療センター
1958年3月東京都生まれ。上智大学化学科に入学するも、上智大学
わかたけサークルでの活動が転機となり中退、東京都立府中リハビリテー
ション専門学校へ入学。
1981年4月心身障害児総合医療療育センターに理学療法士として入
職し15年勤務、その後、身体障害者療護施設「水平線」施設長、社会福
祉法人翔の会事務局長、湘南福祉ネットワーク事務局長など7年間転々
と旅をして、2003年1月から、横浜療育医療センターに理学療法士とし
て勤務。途中、開設準備室長として地域療育センターあおばを開設後、3
か月間挫折。2009年8月に全国の志を同じくする仲間で重症心身障害
理学療法研究会を設立し、現在に至る。
今回ご講演いただく西川勝さんとは、一昨年北海道で行われた「全国児童発達支援協議会北海道
連絡会肢体不自由部門」の研修会で初めてお会いしました。その時の彼の講演テーマは「臨床哲学に
学ぶ“身体・動き・心”-障害の重い子どもとの関係を考える-」でした。その内容の説明は割愛いたし
ますが、パワーポイントなどの視覚的資料は一切なく、独特のリズムで話される言葉から構成された西
川ワールドに私は心地よく漂いました。講演後、彼の著書「ためらいの看護」を読み、タイトルに使われ
た「ためらい」という言葉に、強く惹きつけられました。それは、第4回セミナーで熊谷晋一郎さんが使わ
れた「臆病なアスリート」という言葉を彷彿とさせ、私自身が常にセラピーを行う中で必要と感じているも
っとも大切なことを表していると思いました。それは、セラピストが、さぐるように、たしかめるように、自分
の身体を通じて、彼らを感じとること。その所作を私は「対話」と名づけてみました。
理学療法や作業療法を実施するセラピストと重症心身障害のある利用者さん、患者さん、お子さんと
の関わり方は、医師や看護師、薬剤師などの医療職とは異なるものです。長い場合は1時間という時
間、一対一で関わるやり取りの中で、我々は、重症心身障害のある彼らと単に関わるよりも深い「対話」
を必要としていると思います。
私は、人は自身の心(中枢神経)と身体(末梢神経)と対話しながら生きていると思います。身体に直
接働きかける徒手セラピーは、私の身体と彼らの身体の接触という物理的なものよりも、お互いの身体
を介して、心と心の「対話」の可能性を持っていると思います。
「対話」をテーマにいただく西川さんのお話から、「対話」への気づきを深めることができれば、重症心
身障害の理学療法に広がりが生まれるのではないでしょうか
オープンディスカッション
「姿勢ケアの今
~ステイトメント・コミットメントに向けて~」
1日目:オープンディスカッション 「姿勢ケアの今〜ステイトメント・コミットメントへ向けて〜」
指定提言者
宮本 久志(みやもと
ひさし)
所属:みさかえの園総合発達医療福祉センターむつみの家
1962年 長崎生まれ
学歴・職歴
1987年 弘前大学医療技術短期大学部卒業
1987年 諫早療育センター
1989年 東京小児療育病院・みどり愛育園
2002年 国立療養所長崎病院(当時)・重症心身障害病棟専任
2011年 みさかえの園総合発達医療福祉センターむつみの家
学生時代、国立療養所岩木病院(当時)筋ジス病棟を時々訪問。
入院していた方たちとの交流が発達分野へ進む契機となった。
地元長崎に始まり東京を経て長崎へ戻り、県内の発達分野セラピス
抄録:
ト達と集まる機会の中で、それぞれが持つ課題、地域の事を知り
つながりを大事に進む日々である。
重症心身障害の方たちに関わる理学療法士として29年目。この間、要医療度を増した障害は重度
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化し援助の在り方は変化してきた。新人の頃に「姿勢ケア」という用語はなく姿勢に関連するものは「姿
勢変換」「体位変換」が使われていた。その後「ポジショニング」「姿勢管理」が使われ始めたと思う。で
は今回のタイトル「姿勢ケア」はいつ頃から使われ始めた用語なのだろうか?2006年三輪書店発刊
(監訳:今川忠男)「脳性まひ児の24時間姿勢ケア」以降と思われる。翌2007年日本理学療法学術
大会に、このキーワードが入った発表がある。当研究会の2009年第1回セミナーから姿勢ケア分科会
が設定されている。そして2012年医学書院発刊「小児から高齢者までの姿勢保持 第2版」の中に、
当研究会の地域委員である榎勢道彦氏が『日常生活と姿勢ケア』を執筆されている。
「姿勢ケア」が2006年から使われ始め10年。しかしながら当然それ以前にも、そのような援助は行
われていた。包括的アプローチである「姿勢ケア」の中でも前述の「ポジショニング」「姿勢管理」の視
点で私たち理学療法士は家族、病棟職員他の援助者と共に取り組んできたと思う。
今回、私は日常生活における姿勢ケアについて話をさせて頂く。ステイトメント・コミットメントという大
きなミッションには役不足を感じながら、皆様から事前に頂いたアンケートも参考に提示したいと思っ
ている。主体である当事者が「快適」に過ごす時間を日常生活において維持できることが基本と考え
る。最近、こちらの考え=想いを当事者へ押し付けていなかったかという自責の念を感じる。一つに
は、これからの姿勢を守るための効果判定=評価の不足により曖昧な判断があったと感じること。ま
た、日々関わる人たち(家族、病棟職員等)へ姿勢を守るためのわかりやすい視点・見る目を提案でき
ていただろうかとも。
討論の場に当事者は不在だが、参加の皆様それぞれに代弁者としての考えを持ち、役割を考え、
楽しい有意義な時間が創られることを期待している。
1日目:オープンディスカッション 「姿勢ケアの今〜ステイトメント・コミットメントへ向けて〜」
指定提言者
辻 清張
(つじ きよはる)
所属: 福井県こども療育センター
1983 年 3 月 金沢大学医療技術短期大学部理学療法学科卒業
1983 年 4 月 ボバース記念病院勤務
1985 年 1 月 福井県小児療育センター勤務
2012 年 4 月 福井県こども療育センター相談・訓練課課長
主な役職
日本理学療法士協会 小児理学療法学会運営幹事
神経系および生活環境支援系専門理学療法士
日本障害者スポーツ協会認定 障害者スポーツトレーナー
日本リハ工学協会 SIG 姿勢保持全国世話人
重症心身障害理学療法研究会 地域委員
抄録
私は「姿勢ケア」という言葉を使ったことがない。今川先生監訳で 2006 年に発刊された「脳性まひ
児の 24 時間姿勢ケア」が語源であろうと勝手に推察するが定かでない。
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で 1000 字程度
第 2 回セミナーのとき、「側弯の理学療法」についてお話しする機会をいただいた。穴があったら入
りたいくらい内容が稚拙で、今でもお受けしなければよかったと思っている。
第 3 回福井セミナーを企画する際、「LIFE」は鉄板だったがもうひとつ対になるテーマがあるといい
なぁと朧げに思った。すぐにホンダ「LIFE」とダイハツ「MOVE」の文字が頭に浮かんだ。ちょうど榎勢さ
んも高塩さんも辻もそれぞれ違ったコンセプトの電動車いすを考えていたので、「MOVE」は都合が良
かった。福井という地方都市に客(参加者)を集める適当なキャッチコピーとして思いついた「MOVE」
だが、明確な定義があるわけもなかった。
第 5 回大阪セミナーは、「MOVE」ではなくテーマを「動く」とし、三度お話しする機会をいただいた。
重症児にとって「動く」とは何かを具現化しなければならない責務を感じた。
今回、横浜セミナー「姿勢ケアの今 ~ステイトメント・コミットメントに向けて~」で、Goldsmith 先生か
らも今川先生からも直接このことについてご教授いただいたことがない私にプレゼンテーターが務まる
のか、葛藤は今でもある。ただ、セミナー開催一か月前に至り、リハ工学および車いすスポーツ分野
で「姿勢」を担当してきた原点にもどろうと思った。若い頃、「姿勢保持」という言葉に違和感を持った
自分に、である。姿勢は動くための準備であり、動きの中の一瞬の切り取りであり、動きの後の目的を
達成した姿でもある。
「姿勢」はケアされるものでも保持されるものでもない。なのに「ケア」や「保持」がつくには理由があ
るはず。「動いていること」≒「生きていること」を背景で支えている姿勢、どっちが先なのか?
手段と目的、偶然と必然、真理を諦める山登りは続く。
1日目:オープンディスカッション 「姿勢ケアの今〜ステイトメント・コミットメントへ向けて〜」
指定提言者
花井 丈夫(はない
たけお)
所属:横浜療育医療センター
この国には「姿勢ケア」という言葉があります。これは日本語です。Google で「姿勢ケア」と検索する
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と ポイント
130 万件のヒットがありました。「姿勢保持具」の
20 万件、「重症心身障害」の 40 万件と比べれば、
「姿勢ケア」は、専門学術用語とは言い難い量のヒットです。そして、「重症心身障害」と「姿勢ケア」の
二つのキーワードで検索すると6万5千しかヒットがありませんでした。日本には、いろいろな「姿勢ケ
ア」があるようです。
重症心身障害の理学療法に携わる我々が共有している「姿勢ケア」とは、どんなコンセプト(概念)
なのでしょう。皆が同じものを見ているのでしょうか?
違うのでしょうか?
また、違いがあるならどんな違いで、どうして
我々は、「姿勢ケア」に比べて20分の1の「重症心身障害の姿勢ケア」を誰にで
も分かりやすく説明できるでしょうか。研究会セミナーで「姿勢ケア」というカテゴリーを持つならば、そ
れをきちっと説明する責任があると思いませんか。そして、この「姿勢ケア」が目指しているものを、具
体化していく責任が我々にはあると思うのですが、如何でしょうか。
私のこのディスカッションでの役割は、「呼吸機能における姿勢ケアのスタンダード」を提言すること
である。論点を提示し討議することと考えています。今回の参加者へのアンケート「姿勢ケアに関して
大切と思うこと」で「呼吸」というキーワードを検索すると、参加者 180 人中 28 人でした。これは多いの
か少ないのか、どちらでしょうか。
ご存知の通り、「呼吸」「循環」という生命維持機能は姿勢に影響を受ける。体位は換気血流比に、
構えはリラクセーションに影響しています。例えば、呼吸機能の発達(成熟)は「姿勢ケア」にどう期待
できるのでしょうか?
例えば、「姿勢ケア」は、呼吸機能の低下をどう遅らせることを期待できるので
しょうか。
また、この機会に言葉の使い方にもこだわってみたいとも思います。例えば、「安楽な呼吸」「心地
よい呼吸」「安定した呼吸」これは同じことを示しているのでしょうか?
活発なディスカッションになることを期待しています。
1日目:オープンディスカッション 「姿勢ケアの今〜ステイトメント・コミットメントへ向けて〜」
コーディネーター
奥田 憲一
(おくだ けんいち)
所属: 社会福祉法人 慈愛会 医療福祉センター聖ヨゼフ園 リハビリテーション部
昭和 35 年 5 月 2 日、福岡県に生まれる。平成 3 年、国立療養所福岡東
学歴・職歴
病院附属リハビリテーション学院 理学療法学科卒業。31 歳で理学療法
士となり社会福祉法人佐賀整肢学園入職。平成 7 年、社会福祉法人旭川
荘 旭川荘療育センター児童院入職。今川 忠男 先生から数多くのこと
を学び、数多くの機会を与えられる。平成 9 年、中央競馬馬主社会福祉
財団海外研修生として約 4 ヵ月間、E Goldsmith、 T Pountney、 P Pope
らに学ぶ。研修時の主食は GUINNESS。平成 16 年、社会福祉法人 高邦
福祉会 柳川療育センター入職。九州へ戻り 8 年間在籍。平成 19 年、国
際医療福祉大学大学院 保健医療学専攻 修士課程修了。平成 24 年、
抄録:
[email protected]
医療福祉センター聖ヨゼフ園入職。重症心身障害の理学療法について
再考する 4 年目の日々を過ごしている。
「脳性まひ児の 24 時間姿勢ケア」(今川忠男監訳:三輪書店、2006)の原題は、”The Chailey
11
ポイント
で 1000 management”である。本文中に「姿勢ケア」と訳出されている箇所は、原本で
字程度
Approach
to Postural
は”postural management”と記されている。特に英文献を読む時「姿勢ケア」と「姿勢マネジメント」の意
味を明確にする必要性を感じながら曖昧にしてきたことを反省し、今回のオープンディスカッションを
機に、この二つの用語を整理してみたいと思う。31 年前の 1984 年、英国の PT、David Scrutton は
“Aim-Oriented Management”という文章の中で”From treatment to management”という項を設けてい
る。つまり脳性まひ児の療育は、個別治療よりも家庭や保育園、学校といった生活場面での遊びや入
浴、食事といった具体的課題、それぞれの中で”management”されるべきであると記している。「脳性ま
ひ児の 24 時間姿勢ケア」の序論では「姿勢ケアという用語には、以下のような姿勢能力に影響を与え
るすべてのものが含まれている」とし、「ポジショニングと移動用器具、個別治療、能動的な運動練習、
装具」と記載されている。しかし原本では「姿勢ケア」ではなく、もちろん「姿勢マネジメント」である。こ
こで「ケア」と「マネジメント」の関連を考えてみる。「一人の人の姿勢をケアするという目的達成のため
には、ポジショニングと移動用器具、個別治療、能動的な運動練習、装具などを、その人に応じて用
いる。つまりマネジメントは手段であり、戦略である」といえる。「姿勢ケア」は非常に個別性が高い目的
であり、「マネジメント」は目的達成のために個々の項目が流動的に相互作用する。決して「姿勢ケア
=ポジショニング」ではない。今回のオープンディスカッションでは欧米の文献からの知見を参考にす
る一方で、日本の療育の祖、高木憲次先生、さらに戦後、法律の谷間に落とされた重い障害を持
つこどもと家族を支えた、小林提樹先生、糸賀一雄先生、草野熊吉先生、そして「最も弱いものを
ひとりももれなく守る。」と高らかに宣言した「守る会」といった日本の療育の歴史に学び、欧米の
理学療法士が対象としない人達であっても、理学療法の対象として位置づけている日本の文化
を尊重し、日本独自の「姿勢ケア」に対するステイトメント・コミットメントを創造していく契機となれ
ばと考える。
1日目:オープンディスカッション 「姿勢ケアの今〜ステイトメント・コミットメントへ向けて〜」
コーディネーター
金子 断行(かねこ
たつゆき)
所属:心身障害児総合医療療育センター
(職歴)
学歴・職歴
1985 年 ボバース記念病院
1993 年 国立精神神経センター武蔵病院、
同年
国立神経研究所 疾病研究第二部脳病理併任研究員
2000 年 心身障害児総合医療療育センター
(主な役歴・表彰歴)
日本重症心身障害学会編集委員・アジアボバース講習会講師会議学
術局長・多摩地区脳性まひ研究会代表・当研究会幹事長、他。
読売新聞光と愛の療育研究最優秀論文賞(2006)・第 42 回日本理学
抄録:
療法学術大会優秀賞(2007)・ヨルダン大学より感謝状(2010)他。
ボバース法国際インストラクター 医療技術学修士(Western 大学).
コミットメント(commitment)は英語からきており、「かかわりあうこと」、「ゆだねること」「委託」「委
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ポイント で 1000 字程度
任」、「言質を与えること」「公約」「誓約」「約束」などを意味する。つまり、責任をもって関わること、責
任をもって関わることを明言すること、責任を伴う約束を指す。
ステートメント (statement)も英語からきており、政治や外交について公式に発表される意見、声
明、声明書などを意味する。つまり「○○問題に対するコミットメントのステートメント」とは、「○○問題
についての公約の声明文」となる。
今回は、「姿勢ケアに対する理学療法士の公約(誓約)の声明文」に取り組むべく、三人の講師に
登壇して頂く。
宮本久志氏は、内にある闘志を秘めながら長く地道で確かな活動で重症心身障害の療育を九州
で支えられてきた方であり、コミットメントには非常に相応しいお一人である。
辻清張氏は、類稀なる論客でその頭の回転の速さと発想に富むセラピーは、まさにステートメント
に打って付けのお一人である。
当会代表でもある花井丈夫氏は、今回のコミットメント・ステートメントの火付け役であり、姿勢ケア
のあるべき方向性を示してくれるものと考える。
三人の報告と会場との討論により、理学療法が混沌としているこの曖昧な時代から、ひとつのモデ
ルケースとなる姿勢ケアのコミットメント・ステートメントが見つかるべく自分の役割を果たしたい。
継続報告「LIFE」
1 日目:継続報告 「LIFE」
榎勢 道彦(えのせ
みちひこ)
所属:四天王寺和らぎ苑
中 徹(なか
とおる)
所属:群馬パース大学
この4月より、四天王寺和らぎ苑での在宅支援の新たな展開として、児童発
学歴・職歴
達支援事業所(主に重症心身障害児)と訪問看護ステーションが開設され
ました。地域の重症心身障害のある子どもたちや成人の方々にとって健康
支援から生活支援まで役に立つ理学療法士でありたいと思います。
重症心身障害理学療法研究会 地域委員
大阪府理学療法士会 障害児保健福祉部 部長
日本リハビリテーション工学協会 SIG 姿勢保持 世話人
日本小児呼吸器学会 呼吸理学療法 WG メンバー
抄録:
アジア小児ボバース講習会講師会議 インストラクター候補
(本頁は榎勢氏紹介のみ中氏は別紙ご参照ください)
LIFE(version 0.9)は 2 度にわたる検証を経てようやく信頼性が証明されました。今年は JSPS 科研
11 ポイント で 1000 字程度
費および本研究会の助成を受けて、いくつかの施設で LIFE 評価講習会や事例検討会を実施させて
いただく機会を持つことができました。就学前重症児の集中リハビリテーションの効果判定、小児在
宅理学療法における情報共有、重症心身障害児(者)施設における包括的評価とチームアプロー
チ。重症心身障害のある子どもさんや成人の方々に関わる専門職種の皆さんが現場で当事者の
方々に向き合いながら、それぞれの必要性を感じて LIFE を活用され、生活の質(いのち、生活、生き
がい)を如何に保障すべきかと熱意を持って取り組まれていることに敬意を表します。LIFE 評価講習
会とともに行う事例検討会の中で LIFE の意義や評価内容が深められる機会となるとともに、包括的
なアプローチについての議論も深められることで LIFE 本来の意義も確認できる機会になっていま
す。
こういった機会がさらに促進されることを願うとともに、それを共有するための LIFE の WEB 版の開
発が進んでいます。WEB 版では、LIFE(version 0.9):PartⅠ~PartⅢについてインターネット接続環
境下でデータ入力と結果表出が可能となっています。また、データの蓄積も可能となりました。今回
の報告では、この WEB 版の使用についての説明を中心に、妥当性研究についての具体的な協力
依頼についてお話させていただきます。
特別セッション:
故
今川忠男氏
の業績をふりかえる
2日目:特別セッション:故 今川忠男氏 の業績をふりかえる
平井 孝明(ひらい
たかあき)
所属:平井こどもリハビリテーションサービス
1954年横浜生まれ。1980年社会医学技術学園卒業し、神奈川県立こ
ども医療センター入職。南大阪療育園を経て再度神奈川県立こども医療
センターに移り、2011年退職。同年平井こどもリハビリテーションサービス
学歴・職歴
を設立し現在に至る。
現在、特別支援学校、小児診療所、地域作業所、グループホーム、通
園施設、重症心身障害児施設等で非常勤職員として勤務。
写真
(画像は別に添付して
ください)
私が知っている今川さんは、晩年の彼を知っている方々と違いバリバリのボバースコース
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ポイント で 1000 字程度
のインストラクターでした。私が
PT になって3年目の昭和 57 年から 3 年間南大阪療育園
でお世話になりました。不肖の弟子です。今思えば彼はまだ 33 歳、大器早成だったと思い
ます。新人の私が彼から学んだ事は「理学療法士としての在り方、進むべき道」だったよう
に思います。
今回は彼の晩年の業績には全く触れる事が出来ませんが、彼から頂いた多くの座右銘を皆
さんに紹介したいと思います。
2日目:特別セッション:故 今川忠男氏 の業績をふりかえる
奥田 憲一
(おくだ けんいち)
所属: 社会福祉法人 慈愛会 医療福祉センター聖ヨゼフ園 リハビリテーション部
学歴・職歴
抄録:
今からちょうど 20 年前の 4 月、臨床経験 5 年目を迎える年、私は旭川荘療育センター児童院に入
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ポイント で 1000 字程度
職した。その前年、南大阪療育園から旭川荘療育センター児童院へ職場を変えられた、今川忠男先
生(以下、今川先生)の下で、理学療法士としての知識や技術を身につけたいと考えたからである。当
時は知識と技術を身につけ、徒手的な理学療法技術を向上させることのみが最も重要なことだと思っ
ていたし、今川先生の下ではすぐに「上手な理学療法士」になれると思っていた。しかし今川先生から
最初に学んだことは「重症心身障害児施設の歴史」であり、その理念であった。そして入職後、新入職
員対象の最初の On the Job Training で”People First Language”を学んだ。「彼は脳性まひです」は、”
He is cerebral palsy”ではなく”He has cerebral palsy”であり、”diabled person”ではなく”people with
disability”である。衝撃が走った。「臨床経験が 5 年目に入るのに何でこんな大事なことを知らなかった
のか」。私たち理学療法士は「人」を相手にするという、当然の事を当時の私は本当の意味で理解して
いなかった。これは「守る会」のスローガンの一つである「 最も弱いものをひとりももれなく守る」にも繋
がった。今川先生からは知識や技術の前に「理念」が大切であることを折に触れ学んだ。また「歴史を
知らないということは、何も知らないということだ」という言葉もよく使われていた。私は理学療法の歴史
を読み解きながら、多くのことを学ぶことができた。入職した年のある日、「これ読んでみたら」と渡され
た論文がある。Goldsmith 著、”A Technique to Measure Windswept Deformity”(Physiotherapy、1992)
だった。同期入職の 3 人で計測器具を作製し、計測を始めた。それがきっかけとなり、Goldsmith 夫妻
や Teresa E。Pountney、Pauline M Pope に出逢うことができた。今川先生は数多くの「チャンス」を与え
てくれた。私は南大阪療育園時代の今川先生のことを殆ど知らない。私の岡山での生活は 9 年間であ
った。その 9 年間、今川先生は「理念」と「歴史」に学ぶことの重要性、そして「チャンス」を与えてくれ
た。最後にもう一度、きちんとお礼が言いたかった。それができなかったことが、今も悔いとして残って
いる。
2日目:特別セッション:故 今川忠男氏 の業績をふりかえる
中
徹
(なか とおる)
所属:郡馬パース大学
1978 年東京農工大学農学部農学科卒業を経て
学歴・職歴
1981 年東京都立府中リハビリテーション専門学校 PT 卒業
国立身体障害者リハビリテーションセンター、京都府立向日が丘療育
園、吉備国際大学、鈴鹿医療科学大学を経て、現在郡馬パース大学理学
療法学科(学科長)
FESPIC(香港)帯同 PT、NDT アドバンスコース(英ロンドンボバースセン
ター)受講、筋膜リリースコース(米ミネアポリス)受講
日本小児理学療法士協会の理学療法ガイドライン脳性麻痺班班長(CP
ガイドライン 0 版、1 版、1 版ダイジェスト版)、日本神経理学療法学会運営
抄録:
[email protected]
幹事、日本小児理学療法学会運営幹事代表、
日本重症心身障害学会会員
今川さんと初めて出会ったのは昔のビデオテープの中でした。ある実習病院で昼休み時間にビデ
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ポイント で 1000 字程度
オ映像を昼食後に学生だけでビデオを見るのですが、その中に今川さんがいました。ボバースさんの
日本での治療風景を映し出した映像ですが、今川さんは通訳として活躍していました。関西の言葉で
わかり易く伝えられていました印象があった程度で、理学療法士の方だとは思っていませんでした。
その後、機会がありボバース研修会に参加したのですが、そのときに始めて理学療法士の今川さん
に会いました。ビデオで知ったときより、いろんな意味で大きくなっておられ、そのときより長きにわた
り、今川さんの表現した言葉が心にぶらさがるようになったことを覚えています。
今川さんの述べることばはシンプルでしたが、子どもの悩みやセラピストが見落としがちな視点を端
的に示すものであったように思います。決して「かゆいところに手が届く」ことばではないのですが、ず
っと考えることを求める、しかし苦しくはない言葉であったように思います。このような表現を緻密に評
価して述べられたのか、そのときの感性がそうさせたのか、よく分かりませんが、そのあたりは永遠の謎
でいいとも思います。ただ、いえることは、今でもその言葉の幾つかは生きていますので、そのことば
はやはり普遍的であったのだと思います。物事の本質を単純化してインパクトを与える言葉を紡ぐこと
ができた数少ない理学療法士であると思います。
もう一点は新しい流れに敏感であるということです。以前に脳性まひのデータベース構築の取り組
みをしたおりに、真っ先に声をかけてくださり協力に前向きな姿勢を示していただいたことを強く思い
出します。それは今川さんの晩年の思い出となっています。その場の雰囲気を変える言葉を生むこと
ができる今川さんと、データベースという淡々とした作業は一見結びつきにくいかもしれません。しか
し、子ども達の未来のためにエビデンスつくりに殊更に関心があったという今川さんの姿勢の表れであ
ることだと今は確信しています。
当日はここに示した二つのエピソードを示しつつ、理学療法士の考えるべきことに関して今川さん
の果たした役割をお示しできたらと思います。
2日目:特別セッション:故 今川忠男氏 の業績をふりかえる
花井 丈夫(はない
司会
たけお)
所属:横浜療育医療センター
11 月21日 特別セッション:司会
花井 丈夫(はない
たけお)
今年の5月6日に逝去された今川忠男氏は、重症心身障害の理学療法に関わる多くの人の記憶に
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ポイント で 1000 字程度
残る人であったと思います。彼と出会い、彼の話を聞き、彼の書いたもの読み、影響を受けた者は多
いのではないでしょうか。晩年、彼は長く病床にありましたので、直接彼を知らない若者たちも多くいる
かもしれません。しかし、「脳性まひ児の24時間姿勢ケア」という書籍の監訳者として聞いたことはある
に違いありません。
私自身は、東京の心身障害児総合医療療育センターに入職した1年目、彼に出会いました。障害
のある子どもたちとの理学療法士として関わり方を、最初に彼から学んだと思っています。その姿勢に
共感し、未熟であっても彼と共にこの世界を歩いてきた中には、彼を受けとめるだけでなく、違和感を
抱いたことももちろんありました。しかし、彼の障害のある子どもとその家族への情熱を尊敬していま
す。
私達のまだ記憶が新しいうちに、語れるうちに、彼の業績をあらためて振り返り、明日へのヒントにで
きればと思い、私が、このプログラムを企画・発案しました。もう、彼から直接学ぶことはかなわないの
ですが、お互いの記憶を通して、彼から学び直してみましょう。
今回、そのお話をしていただくために、多くの方々の中から代表して、3名の方を指名いたしまし
た。それぞれの立場や観点から、自由にお話しいただくことで、このセッションの目的を果たそうと思っ
ています。
合掌。
第一分科会
姿勢ケア
2日目:第一分科会 「姿勢ケア」
宮本 久志(みやもと
運営進行
ひさし)
所属:みさかえの園総合発達医療福祉センターむつみの家
学歴・職歴
写真は病棟ベランダから見た眼下の諫早湾と対岸の雲仙普賢岳です。施設の側にはゴルフ場があり
高いネットを越えて時々ボールが飛んで来ます。このような自然豊かな環境の職場です。
21日オープンディスカッション 「姿勢ケアの今〜ステイトメント・コミットメントへ向けて〜」がどのような
形となったのか?これを書いている現時点では知る由もないのですが、その流れも参考にした進行を
行いたいと思います。
重
症
心
身
障
害
の
方
た
ち
に
関
2日目:第一分科会 「姿勢ケア」
話題提供 「看護師さんといかに協働するか」
杉浦 眞紀(すぎうら
まき)
所属:東京都立府中療育センター
訓練科
1958 年 3 月高知生まれ。帯広畜産大学畜産環境学科卒業後、栄養
学歴・職歴
専門学校の助手を経て、国立療養所東京病院付属リハビリテーショ
ン学院卒業。板橋ナーシングホーム(特養)、老人医療センターなど
で高齢者医療に 19 年携わり、その間一年間の育児休業 3 回。現職
場は 10 年目になります。療育の現場にきて初めて、「療育の理念」を
考えながら仕事をすることの大切さを学ばせていただきましたが、そ
れは他職種とのチームアプローチなくしては決して具現化されないも
のだということを痛感する日々を過ごしております。さらに療育という
生活の現場にいることで患者さんと長い年月おつきあいいただける
抄録:
ことの楽しさと怖さ両方がやっとわかってきました。いろいろな勉強会
で知り合えた同志が心の支えです。
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で 1000 字程度
府中療育センターは「プライマリーナーシング制度」をとっているので、一番のキーパーソンは主治
医ではなく担当看護師だと思います。医師は病気の時に活躍してくれますが、普段の元気な時をど
のように過ごすか、は担当看護師の看護計画とその継続的な遂行の是非にかかっています。もちろん
我々PT を含む他職種もあらゆる関わりをもちますが、その関わりの成果を生活に活かしてもらえるか
どうかは担当看護師の考え方にかかっています。ケース会議では利用者の療育方針について話し合
い、共通認識の確認をしますが、それぞれの職種がそれぞれにしかできないことを実践して初めてチ
ームアプローチが成立すると考えます。
PT は共通の目標達成のために「何ができるかを示す」ことが責務であり、セラピーで確認できたこ
と、達成できたことの成果をいかに毎日のケアに取り入れてもらえるか、の鍵は「証拠を示して納得し
てもらう」ことにつきると考えます。責任感の強い看護師は揺るぎない信念をもっていて、我々他職種と
議論することもあるけれど、純粋に利用者さんのためを思っている看護師ほど納得してもらえると PT
成果をなんとかケアに取り入れようと努力してくれます。正しいケアを継続して提供するためにはいろ
いろな困難があるのですが、知恵を出し合って一緒に乗り切っていくところに仕事の面白さがありま
す。 療育はチームプレーです。普段から看護師と心が通い合う関係をつくることが基本ですが、一
朝一夕には作れません。誠実な対応を積み上げていくなかで育まれていきます。皆さんは看護師に
「きょうのセラピーはこんな様子でした。」とか「今、何に困っていますか?」などと自分から話しかけて
いますか?特に新人看護師には PT としてどんな問題点にどのようにアプローチしていてその結果は
どうなのかなど分かり易く説明することが大切です。自分から積極的に働きかけていかないとコミュニ
ケーションは改善しません。それから、利用者の日常をよく知る看護師のことばに素直に耳を傾けて
いますか?変なプライドは邪魔以外のなにものでもありません。私は彼女たちからたくさんのことを学
ばせてもらいました。
今回の話題提供は、この四月から担当を始めた病棟での発展途上で七転び八起きの取り組みにつ
いてもご紹介させていただきます。皆様からの忌憚なきご意見を期待しております。
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2日目:第一分科会 「姿勢ケア」
話題提供 「耳介部褥瘡に対する枕の検討」
福原 一郎(ふくはら
いちろう)
所属:社会福祉法人十愛療育会 横浜療育医療センター
1964 年 10 月生まれ。日本福祉大学社会福祉学部入学し、障害児ボラ
学歴・職歴
ンティアサークルでの活動を通して、障害児との関わりに興味を持ち、横
浜療育園(現横浜療育医療センター)指導員として入職。
日常ケアの介助技術の勉強をすすめるうち理学療法に興味を持ち、ケ
ースワーカーをしながら理学療法の道へ進む。
ケースワーカー時代に約 200 件近い家庭訪問と関連機関との交流が財
産です。
横浜療育医療センターで花井さんが理学療法士のスタンダードである
と刷り込まれ、激しく回遊する激流に溺れそうになりながら、ようやく息継
ぎができるようになり、現在にいたる。
「耳介部褥瘡に対する枕の検討」と題して、話題提供させていただきます。。
短期入所利用者や外来担当患者さんで耳介部の褥瘡で困っている方に多く出会った。
11 ポイント
で 1000 字程度
家族や日々関わるスタッフが、いざというときにその場で「パッ」と使える枕がないかと思い、検討し
た過程を紹介します。
共通する特徴的な姿勢として、日常的に頚部が一側に回旋して後屈、後頭側の肩が挙上し胸椎
凸側彎があり、頭部から耳介部、顔面側の肩を床に押し付けている方に耳の褥瘡が多かった。その
方々に試作した枕の使用状況と、褥瘡の改善の様子を観察した。
姿勢保持の仕方として、耳介部を除圧するように肩甲骨から支える。流涎が喀出しやすい頭部の
位置を保持できるように介助した。それにより、頭部の押しつけが軽くなることが多かった。
この姿勢を保持しやすい枕を試作した。高さ約 5~10 センチ、下顎から肩甲骨下角までの長さの三
角ウエッジ。頭部枕は平面にし、自由に位置を変えられ、ベルクロでずれないようにし、顔面側に「く」
の字型に開くようにして、耳介部を逃がし、流涎を流せるようにした。
使用状況は、動きが制限されている方には比較的導入しやすく、耳の位置が視覚的に確認しや
すい。しかし、頸部の動きや反り返りがある方には、2 つの枕の開く角度のセットが難しく、広くすると
頭部が落ちてしまう、床側の眼球周囲に圧がかかりやすいなどの問題も見られた。限定的にしか使
えない結果でした。
枕の形状は、BOTOX アプローチ経験から、胸椎凸側彎頂椎の 1 椎体上部緊張が高く可動制限と
運動痛を伴うことがある方が多かったことをヒントに検討しました。
検討していく過程を紹介しながら、姿勢ケアについて意見交流できるこ
とを期待しています。
第二分科会
呼吸
2日目:第二分科会 「呼吸」
運営進行
中林 美代子(なかばやし
みよこ)
所属:新潟県はまぐみ小児療育センター
1988 年に専門学校社会医学技術学院理学療法学科卒業し、同年より
学歴・職歴
新潟県はまぐみ小児療育センターに勤務し、現在に至る。
井の中の蛙・・・小児療育現場で 27 年目を迎えます。当センターでは
脳性麻痺をはじめ、ダウン症、二分脊椎、筋ジストロフィーなどの小児領
域全般の方々や重症心身障がいの方にも関わらせて頂いております。
入職した頃は子どもたちの年齢層は、乳幼児期から学童期が中心でした
が、成人期以降の方も増え長期的かつ継続的な支援が多くなってきてい
ます。また、地域の療育事業の研修会や施設訪問など療育関連職種の
方への支援もさせていただいております。2009 年から当研究会地域委
抄録:
員、2014 年から日本小児理学療法分科学会運営幹事。
2日目:第二分科会 「呼吸」
話題提供
「重症児の理学療法の実際」
金子 断行(かねこ
たつゆき)
所属:心身障害児総合医療療育センター
学歴・職歴
抄録:
理学療法士の呼吸障害へのアプローチは以下となる。
11 ポイント
で 1000 字程度
①全身の姿勢コントロールの調整を基礎とした胸郭運動の改善による換気・含気改善
②頭部制御機構の治療と並行した顎関節への治療等による上気道通過障害の改善
③下気道感染罹患時の呼吸理学療法・排痰・体位療法。とくに炎症寛解期は、多量の分泌物貯
留により窒息の危険性があるため頻回な排痰が必須
④慢性呼吸障害では、換気に有利な腹臥位中心の姿勢管理が必須。病棟や在宅での呼吸理学
療法や陽圧換気療法の継続
⑤進行過程にある呼吸障害の予防には、運動療法による変形した胸郭及び胸郭周囲の皮膚・筋
肉へのアプローチ
⑥将来的に呼吸障害が予測される乳幼児には、適正な胸郭形状発達の促進
本話題提供では、2012 年 7 月に製作された DVD「重症心身障害児・者の呼吸リハビリテーション
~生活を支援するための実践的呼吸ケア~(㈱アローウィン)」の治療ビデオの一部を紹介し、上
記の①を中心に動画をみながら治療者として今どのように直観的・論理的に考察し、治療を展開し
ているかを簡単に解説してみたい。呼吸ケアは姿勢コントロールの治療が基盤となり実践され、そ
の治療はお子さんや家族に焦点をあてて包括的に実践すべきである。呼吸だけを切り取ってフォ
ーカスすることやある一つの決まった治療法が存在しないと、あらかじめここで強調しておきたい。
2日目:第二分科会 「呼吸」
話題提供 「脳腫瘍のターミナル期における呼吸ケアについて」
川野 琢也(かわの
たくや)
所属:社会福祉法人和歌山つくし会 和歌山つくし医療・福祉センター
1979 年、和歌山県生まれです。2002 年に滋賀医療技術専門学校を
卒業し、同年から重症心身障害児施設「岩出療育園(現在の和歌山つ
くし医療・福祉センター)」に入職し現在に至ります。入職時はほぼ一人
職場で重症児者とどのように関わっていけばいいのか分からず試行錯
誤している状態でした。現在、入所者はもちろん外来児や多機能型福
祉事業所利用者、在宅への訪問リハビリなどで重症児者と関わってい
ます。関わっていく上で彼らの呼吸の大切さに気づき 2013 年に呼吸療
法認定士を取得しました。今回、分科会「呼吸」に参加される皆様と一
緒に彼らの「生きる」について考えを深める機会になればと思います。よ
ろしくお願いします。
今回の話題提供は脳腫瘍(聴神経鞘腫)のターミナル期のケアにおいて、スタッフ間での意見の
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ポイント で 1000 字程度
相違が生じ議論を重ねている一症例についてです。
対象者は先天的知的障害のある 20 歳代前半の女性で、18 歳ごろに歩行障害の出現により左聴
神経鞘腫と診断されました。腫瘍は脳幹部に近く手術不能で保存にて経過観察となっています。
H26 年 6 月に当センターに入所され、腫瘍は 6 ヵ月で直径 1 センチ増大しており中枢への影響が
及んでいることが示唆されます。また、急変時は母親の意向で延命処置はしないことになっていま
す。
現在は意識レベルが低く、呼吸状態も不安定で呼吸リズムも一定でなく、10 秒程度の無呼吸が
みられたり、吸気が二段階になる呼吸もみられます。肺炎になったのをきっかけに PT 発信で腹臥
位療法とカフアシストを導入しました。腹臥位で排痰が促されることが確認でき、呼吸音の改善、
SpO2 値の改善が顕著に認められました。もともと腹臥位に対して懐疑的だった看護スタッフも腹臥
位の有効性を実感でき、SpO2 値が低下した夜間に腹臥位を実施し改善するなどの経験をし、看
護サイドでも腹臥位を実施し始めていました。しかし、しばらくして腹臥位実施中に急変したことをき
っかけにスタッフ間で腹臥位についての賛否が起こり、現在まで議論を重ねている状態です。PT と
しては日常的に臥床時間が長く、背部の呼吸音が弱く、咳嗽反射も低下し、副雑音が日常的に確
認できる状態なので監視下での腹臥位で排痰を促すことが重要と考えていますが、一方で腹臥位
に反対するスタッフもおりカンファレンスを何度も行いました。ただ、いずれのスタッフも残された時
間をより充実して過ごせるように思っていることには変わりはなく、現在も議論を重ねています。
徐々に呼吸機能が低下していることが感じられる現在、何がよりよい方法なのか、またそれには
安全も保障されなければいけません。皆さんの御意見を聞かせて頂ければと思います。
2日目:第二分科会 「呼吸」
話題提供 「呼吸障害に関する機械の導入について」
今川 祐子(いまがわ
ゆうこ)
所属:済生会横浜市東部病院
学歴・職歴
2001 年に理学療法士資格を取得し、成人病院を経て、東京小児
療育病院へ就職。私用により、2 年半で退職。
2007 年より済生会横浜市東部病院へ入職し、併設する重症心身
障害児(者)施設サルビアの立ち上げに参加。
現在は NICU 病棟、急性期の小児科、サルビア利用者、外来と
急性期から生活期の幅広い患者さん達の理学療法に日々奮闘し
ている
抄録:
重症心身障害児(者)の中で気管支炎・肺炎を繰り返す方は少なくないと思います。私達理学療
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ポイント で 1000 字程度
法士は体位排痰を含めた呼吸理学療法を提供し、早期回復を支援していますが、近年では徒手的
な呼吸理学療法に加え、様々な排痰補助機器が導入されてきています。当院でも患者さんの視診・
聴診・触診・血液検査・画像所見等を医師を初めとした多職種で検討し、徒手的な理学療法だけで
なく、機器の使用を併用し、より早い回復を目指しています。
機器には、換気改善のためのIPVや排痰目的のカフアシスト、両方の目的となるRTXなど多様で
す。当院では急性期の排痰では、使用方法が簡易で侵襲の少ない RTX(陽・陰圧体外式人工呼吸
器)を主に使用しています。通常の使用と異なりますが、当院では下側性肺障害に効果的な姿勢で
ある腹臥位で、背部にキュイラスを装着して使用することが多いです。患者さんに嫌がる様子は少な
く、排痰も効果的にされていると考えています。しかし、これまでには分泌物が多い時に使用してし
まうと、溢れた分泌物で気道が閉塞したり、多量に出た分泌物に対して長い吸引が必要となること
で、逆にその後に呼吸そのものが不安定になることも経験しました。使用患者数が少なく、データを
まとめるまでには至りませんが、実際の症例を見て頂きながら当院での報告をさせて頂き、皆様と重
症心身障害児(者)が楽に排痰できる最も効果的な使用条件や方法、使用時期等を検討していきた
いと思います。
また、他の機器に関しても、効果のあった症例が少しずつ出てきていますが、明確な使用基準や
方法は出ていなく、施設毎の経験で使用されていることが多いと思われます。参加者の方から施設
毎の経験を率直に話して頂き、情報を共有して一緒に検討できることを期待しております。
第三分科会
動く
2日目:第三分科会 「動く」
運営進行
高塩 純一(たかしお
じゅんいち)
所属:びわこ学園医療福祉センター草津
1982 年 理学療法士免許取得
学歴・職歴
1982-1985 年 茨城県厚生連 取手協同病院 勤務
1985-1988 年 京都大学医療技術短期大学部 理学療法学科 勤務
1988 年- 社会福祉法人 びわこ学園医療福祉センター草津 勤務
(主な役歴・表彰歴)
関西医療学園専門学校 理学療法学科 講師
同志社大学こころの生涯発達研究センター共同プロジェクト研究員
日本子ども学会理事
抄録:
NPO 法人遊びと環境支援協会代表理事
糸賀一雄記念しが未来賞 Kids Loco Project(2013)
子どもたちに日々向き合うなかで、環境に適応するために必要以上の努力をしていることを思い知
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ポイント で 1000 字程度
らされ参りました。それらは自分の重さや姿勢の不安定さから起こる恐怖心などです。そのため子ども
たちは無自覚的レベルで全身を緊張させ、内部固定(凍結)や外部固定などの力を定位のための情
報源としています。そのような行為が日々の生活のなか幾度ともなく繰り返されるため、筋群間にアン
バランスが生じ、拮抗する筋群は筋力低下を起こします。同時に自己効力感も失われてしまいます。
私たちセラピストは、子どもたちの心理的機能改善を行うことが重要「①安心して活動性を高める。②
やる気(Inner drive)を育む。③環境に対しする Action を引き出す。④自らの力で運動機能を改善す
る。」であるにも関わらず、機能改善優先の治療体系の中で子どもたちのやる気をないがしろにしてき
た歴史的事実があります。
私は、2007 年に TheraSuit Method の講習会を受講し、我が国に紹介してまいりました。その中でも
Spider は、重さを免荷するだけではなく四方から張られたバンジーコードが自由度を制約することで、
凍結から解凍への道筋が容易になると実感しております。J.J Gibson は、私たちは動くために知覚す
るが、知覚するためには動かなければならない。そして、知覚は必ずしも感覚に依存しない。自発的
な探索活動により知覚することが出来る。
私は、その恐怖の原因となっている不安感を自発的な探索活動に変化させることが、セラピーであ
ると確信しております。
本分科会では、3 名の方に話題提供をおこなっていただきます。
1.医療福祉センター聖ヨゼフ園の奥田 憲一さんには、「体重を免荷するということ」
2.四天王寺和らぎ苑の榎勢 道彦さんには、「抱っこから拡がるこどもの経験」
3.和歌山圏域通所事業所 あいらんどの柏山 淳さんには、「環境設定によって見られる動き~spider
を用いて~」3 人とも Spider を用いて日々実践を積み上げておられます。
Spider を用いることで重い障がいのある人たちの笑顔を引き出しやる気を育む実践は、今後の臨
床に大いに役立つと確信しております。皆さまの闊達な意見交換を期待しております。(_ _)
2日目:第三分科会 「動く」
話題提供 「抱っこから拡がるこどもの経験」
榎勢 道彦(えのせ
みちひこ)
所属:四天王寺和らぎ苑
四天王寺和らぎ苑:
学歴・職歴
児童発達支援事業所(主に重心)ひまわり
「ひまわり」の紹介です!
抄録:
こどもは乳児期より母親の「抱っこ」から多くのことを経験してきている。母親はこどもの定
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ポイント で 1000 字程度
頸や体重増加といった発達経過に伴って抱き方を変えたり、また、空腹や眠気などの生理的要求
やコミュニケーションの要求によっても抱き方を変えたり、維持したりする。こどもはその中で、
自らの力で経験できるよりも早い時期に多様な姿勢や動きを経験している。
「抱っこ」は姿勢の維
持と変換を通した母子相互行為であり、発達の源となる。こどもにとって、母親の「抱っこ」は
最も安定した、安心できる「姿勢」であり「動く」ことの基盤となる。
「動く」ことで「感じる」ことができる。
「感じる」ことの豊かさは「経験」の豊かさである。
こどもには豊かな「経験」の中で試行錯誤しながら自らで発達しようとする本来的な要求があ
る。だから、こどもは、本来的によく「動く」。しかし、運動障がいのあるこどもでは、「動く」
ことの制限や偏りがあり、生活空間や生活経験を拡げにくい。発達を保障するために「動く」こ
との支援は療育の基盤となる。
「動く」感覚経験は大人の手「抱っこ」から拡がる。「抱っこ」か
ら器具や身近な道具を柔軟に使えるアイデアを発想する。活動の目的に応じた「抱っこ」
「器具/
道具」をうまく用い、こどもの生活経験/生活空間を拡大する。
「動く」ことは、こどもたちにと
って周りの世界を実感し、その世界を探検し、知る手段。
「動きにくい」こどもほど、
「動く」支援が必要である。
「動く」ことの発達は「あそび」の中にある。
2日目:第三分科会 「動く」
話題提供 「体重を免荷するということ」
奥田 憲一(おくだ
けんいち)
所属: 社会福祉法人 慈愛会 医療福祉センター聖ヨゼフ園 リハビリテーション部
学歴・職歴
抄録:
今から 3 年前の 3 月、高塩さんが勤務する、びわこ学園医療福祉センター草津を初めて訪れた。
11
ポイント
でと安田先生が開発されている電動移動機器の見学であった。前の職場を退職し、現
1000 字程度
目的は
SPIDER
在の職場に移る直前のことである。当時の心境を振り返ると、下腿を下垂させるポジショニングをはじ
め、様々なポジショニングについて考え、実践していた反面、ポジショニングの限界を感じていた時期
でもあった。通常行われている背臥位のポジショニングと下腿を下垂させる方法を比較すると、明らか
に下腿を下垂させる方法が支持面の面積や圧を均等化させることができ、自律神経の評価でも副交
感神経が優位に働いていた。それで体位変換の背臥位の時間に下腿を下垂させる方法を取り入れ
てもらった。しかし長期にわたる経過を見てみると、下腿を下垂させる背臥位姿勢に特徴的な下肢の
硬さが認められるようになってきた。姿勢の多様性が重要であることは十分に理解していたが、とすれ
ば幾つの姿勢を用意すれば良いのか。ポジショニングで変形や拘縮の予防はできるのか、そういう心
境であった。SPIDER を初めて見た時、「なんだこれは」という、言葉にならない感情が芽生えた。新し
い職場での生活にも慣れた頃、イレクターでフレームを作り手製の SPIDER を始めた。50 歳代の人達
が「初めて立った」と大声で喜びを表してくれることに感激すると同時に、四肢の硬さが減弱している
ことに衝撃を覚えた。Fulford & Brown(1976)は、非対称変形の進行要因は”immobility”(不動性)で
あるとした。しかし SPIDER を用いると立位姿勢の中での全身運動が可能となった。自ら動くことの喜
びや楽しさ、自信、自己肯定感といった大きな意義に加えて、”immobility”に対するチャレンジの可
能性を実感できた。今回の話題提供では「体重を免荷するということ」の意義を、過去 2 年間の当園
での取り組みを紹介しながら考えていくと同時に、文献からどのような解釈が可能となるかについても
考えてみたい。分科会に参加される多くの人達とお逢いできることを、心から楽しみにしている。
2日目:第三分科会 「動く」
話題提供 「環境設定によって見られる動き~spider を用いて~」
柏山 淳(かしやま
じゅん)
所属:和歌山県福祉事業団 和歌山圏域通所事業所 あいらんど (生活介護・児童発達
支援・放課後等デイサービス)
1971 年和歌山県生まれ大阪府育ち。
学歴・職歴
1996 年理学療法士免許取得、(社)和歌山県福祉事業団入職、重症心身障
害児施設 南紀療育園(現:南紀医療福祉センター)診療課配属。
2010 年リハビリテーション班長、科長を経て 2012 年、同一法人 福祉型児童
発達支援センターふうか管理者兼課長兼務。
2014 年(平成 26 年)同一法人 和歌山圏域通所事業所 あいらんど(生活介
護事業・児童発達支援事業、放課後等デイサービス事業)異動。(管理者・課
長) 現在に至る。
11 ポイント
で 1000 字程度
本セミナーにおいて“動く”が初めてテーマにされたのは
2011 年第3回(LIFE&MOVE)でした。以
後、主要テーマの一つとして取り上げられながら、中でも spider はびわこ学園医療福祉センター草津
PT 高塩さんにより紹介され、参加者の関心を集めてきました。
2012 年㈱Assist から日本製 spider(ユニバーサルフレーム:UF)が発売され、2013 年には Therasuit
Method 講習会がびわこ学園医療福祉センター草津で開催、全国から参加者が集いました。spider の
実践や運用についての報告は様々な場で行われ、昨年第6回のセミナー分科会“姿勢ケア”や“動く”
でも話題提供され、研究会内外にも認知され関心も高まってきていると感じています。
導入され運用され、報告されている数や場は増えてきていますが、効果や作用、根拠という部分で
の検証や実証はこれからのものであると感じています。
今回 spider による環境設定を通して重症心身障害をもつ人びとの“動き”の変化を見ることができ、
それについて話題提供をさせていただき、(spider を用いて環境設定をすることで)今までに見られなか
った(動きの)変化について会場の皆さんに提供したいと思っております。
機器ありきの話ではなく、環境設定するということについて普段からアプローチされている方法も踏ま
えて参加者の皆さんと話題を展開していければと考えています。
奥田さん、榎勢さんというお馴染みのビッグネームの中での話題提供になりますが、自分の小ささを
思い知る機会として、これから当研究会での発表や積極的参加を考えておられる若いセラピストの
方々の(こんな年食ったおっさんのちっちゃい話題提供が許されているのなら私ならもっといいものが
出せるというような)励みになればと思っています。よろしくお願いします。
第四分科会
在宅支援
2日目: 第四分科会 「在宅支援」
齋藤 大地(さいとう
運営進行
だいち)
所属:株式会社 はこぶね
学歴・職歴
昭和 45 年北海道帯広市に生まれ、稚内市、旭川市で育つ。札幌医
科大学衛生短期大学部理学療法学科を平成7年に卒業し、北海道
立旭川肢体不自由児療育センターに入職。出生出身地を含む道北
部、道東部在住の肢体不自由児の療育に従事し、北海道の小児医
療の現実と課題に悩みながら 12 年勤務。平成 19 年に同施設退職し、
抄録:
抄録
地元の民営訪問看護ステーションに就職し、小児の訪問リハビリ業務
を行う。翌年退職し、株式会社はこぶねを設立、訪問看護ステーショ
ンはこぶねとして事業指定を受け、小児を対象としたより専門性の高
い訪問看護・リハビリテーション業務にて事業を開始。現在理学療法
士は 20 年目、事業経営は 8 年目になる。平成 21 年~当研究会地域
11 ポイント で 1000 字程度
幹事、平成 26 年~小児理学療法分科学会運営幹事。
2日目: 第四分科会 「在宅支援」
話題提供:「寝たきり重症児にしないために(理学療法業務の検討)」
中野 弘陽(なかの
ひろあき)
所属: 医療法人財団はるたか会 訪問看護ステーション そら、あおぞら診療所墨田
学歴・職歴
1982 年4月東京都生まれ。小学生のころから野球をはじめ、高校時代のケ
ガなどから理学療法士を目指す。子どもがすきなこともあり、小児理学療法
に興味を持つ。
2006 年、東京都立保健科学大学を卒業し、東京小児療育病院に入職。肢
体不自由児や重症心身障害児者の病棟をかけもち。
2012 年、訪問看護ステーションそらに入職。在宅支援をしていく中で、看取
りなどにも関わり、理学療法士の関わる幅の広さを体感中。
抄録:
在宅で暮らす重症心身障がい児・者は年々増えてきている。その背景として、①NICU からの退院
11
ポイント で 1000 字程度
、②小児科病棟からの退院、③もともと在宅で暮らしていた重症児・者の重症化などが要因になって
いる。当法人では、脳性まひのお子さんが少なく、18 トリソミーのお子さんや虚血性脳症のお子さん、
医療的ケアを必要としている利用者さんなど重症心身障がい児が多い。また、卒業後、施設に通所し
ながら加齢していく重症心身障がい者と関わることも多い。
在宅支援に関わって4年目を迎えている。理学療法士としては呼吸や姿勢などを中心に関わること
も多い。私個人としては、自己選択、自己決定、自己実現していけるようにお手伝いすることを意識し
ている。また最近、今後を見通すことを取り組み始めている。見通すことで、生活全般の中で理学療法
士としてどのように関わっていけるのか考えるようになってきている。
昨年の第 1 回理学療法学術集会では、「今後、訪問リハビリはどんな受け皿になっていくのか」と課
題を頂いた。理学療法士の中でも、訪問で子どもと関わっている人は極一部である。では 10 年後、在
宅で暮らす重症児・者の生活をサポートするためにはどのように広げていけば良いのだろうか。小児
に訪問できるセラピストを増やすこと、日常を支えてくれている看護師さんやヘルパーさんに協力して
もらうこと、小さいときから好きなことをやれる環境・外出していける環境を提供することなどを考えてい
る現状である。
御本人や家族の夢の実現をサポートできるセラピストを増やしたり、環境を提供していくために必要
なことについて、皆さんと一緒に考えていきたい。
2日目: 第四分科会 「在宅支援」
話題提供:「中核的施設からの退院、在宅生活に向けた取り組みについて」
髙島 朋貴(たかしま
ともき)
所属:北海道立子ども総合医療・療育センター
学歴・職歴
1998 年 4 月日本福祉リハビリテーション学院入学
2002 年 4 月北海道立札幌肢体不自由児総合療育センター入職
2007 年 9 月小児総合保健センターと統合され、北海道立子ども総合医療・療育
センターとなり、現在に至る
抄録:
当センターは、医療・療育を総合的に提供する施設として、医療部門である小児総合保健センターと療
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ポイント で 1000 字程度
育部門である札幌肢体不自由児総合療育センターを統合し、開設された。
当センターの医療部門は、小児医療施設として、内科・外科的な治療を必要とする子どもが、全道域か
ら入院してくる。しかし、入院が長期化する場合も少なくない。入院した子どもや家族が、安心して退院する
ために、PT として何が出来るのか、本症例を通して考えてみたい。
本症例は、当センターに、筋緊張の調整目的で入院したが、親御さんの目標としている状態と病院側の
主張とのすれ違いが生じ、入院が長期化した。
退院に向けた取り組みとしては、第一に、座れる椅子がないとの家族の訴えに対して、本人が安全・快
適に過ごせる椅子を作成した。次に、地域の PT との情報交換を行い、地域のスタッフを含めた在宅支援
会議を開いた。その中では、入院中の身体状況の共有や退院後の福祉サービスの確認などを行った。
それぞれの地域において、退院する際の在宅支援に関して、PT として、どのような点に工夫・考慮して
いるか?などの意見を聞きたいと思っている。
第五分科会
側弯への対応
2日目: 第五分科会 「側わんへの対応」
平井 孝明(ひらい
運営進行
たかあき)
所属:平井こどもリハビリテーションサービス
学歴・職歴
抄録:
(画像は別に添付してください)
側弯症は理学療法士になった当初から、そして今に至るまで、自分にとって大きな課題で
11
ポイント で 1000 字程度
す。進行してしまってからの観血的な対応を待つのでなく、理学療法士として経年的な関わ
りの中でもっと具体的で効果的な取り組みが出来なかったか、反省しきりです。今回は話題
を提供して頂いた報告を土台に会場の皆様と問題解決に向け討議していきたいと思っていま
す。
2日目: 第五分科会 「側わんへの対応」
話題提供:「理学療法士からみたDSB(プレイリーくん)の可能性」
高橋 彰子(たかはし
あきこ)
所属:横浜療育医療センター
静岡医療福祉センター(肢体不自由児施設)に 7 年勤務。その後、横浜
にて戸塚地域療育センター(通園センター、横浜リハビリテーションセン
ター、横浜養護教育総合センター(教育委員会)、平塚通園センター、
若草(通所施設) にて非常勤で勤務。平成 15 年から横浜療育医療セ
ンター勤務、現在に至る。
第 2 回重症心身障害理学療法研究会セミナーにて「症候性側弯にどう立ち向かうか」というテーマ
11
ポイント で 1000 字程度
で、梶浦先生からプレーリーくんという側弯矯正装具が紹介されました。当施設でも翌
4 月より作製を
始め、現在 80 名(述べ 100 名)に提供している。側弯については、整形外科の範疇であり、効果判定
を行っていませんが、それに付随した経験(呼吸・緊張・嘔吐・喘息の改善など)や、作製後の利用者
の変化について提示し、皆さんと意見交換ができればと考えています。具体的に、X-P、装着前後の
姿勢の写真、動画を提示していこうと思います。
また、利用者のご家族に満足度調査をしたので、その結果についてもお話できたらと思います。
2日目: 第五分科会 「側わんへの対応」
話題提供:「側弯の肋骨捻転を伴う短縮側伸長の一方法の提案」
花井 丈夫(はない
たけお)
所属:横浜療育医療センター
私は、数年前まで側弯に対しては決して熱心ではなかった。その理由の一つとして、側弯を、関節
11
ポイント で 1000 字程度
拘縮のような廃用性の要素ではなく、環境に対する適応による変形と捉えていたこと、側弯の起きな
い環境を作ることに集中すべきと考えていたことにある。つまり、起きないように意識を向けることが、
起きてしまったことへの無関心となっていた。もう一つ、数年間を費やしてできてしまった変形を変え
られないと私が諦めていた向きもあるかもしれない。家族を中心に、多くの人が「側弯」に憂慮してい
たにも関わらず、逃げていたのかもしれない。
しかし、第二回の本セミナーで「症候性側弯にどう立ち向かうか」で、梶浦一郎氏の開発された側
弯矯正装具(プレイリーくん)に出会い、職場での処方作成を通じて、「とにかく、側弯の脊柱に対し
てできるだけやってみよう」という覚悟を持てた。理学療法を行い、装具で維持することができれば、
「もしかしたら、改善するかもしれない」という気持ちになれた。
今回、まだ稚拙ではあるが、4症例を紹介しながら、私の行っている肋骨捻転を伴う側弯脊柱の伸張
方法を提案して、参加される皆さんとディスカッションをしていきたい。
事前アンケート
「姿勢ケアで大切に思っていること」
「あなたが姿勢ケアで大切に思っていること」集(セミナー参加者へのアンケート)
意思の尊重がされること。
私が大切に思う姿勢ケアは、臥位であっても活動的であるという点です。活動的である座位というのは、運動能力の促進・日常生活活動遂行の実現・非
対称性姿勢や拘縮の予防の 3 点、全てにつながると考えています。私の考える活動的な姿勢というのは、支持面に適応し、そこから四肢・頭頸部など、そ
の子の持っている運動性が最大限に引き出せるという事です。その為に、姿勢やポジショニングで考えることは、支持面に対しての適応がどうか、どの部分が
抗重力姿勢になっていないか、その子にとって呼吸が入りやすいか、などを留意して姿勢ケアを考えるように心掛けています。
運動能力の促進、非対称性変形や拘縮の予防に寄与し、結果的に日常生活活動遂行が実現できること。何より、姿勢ケアにより本人・ご家族・周りの支
援者のニーズが達成できること。
運動能力の促進:発達に沿った姿勢を提供することで遊びの幅が広がる。日常生活活動遂行の実現:食事や机上課題に沿った座位姿勢のポジショニング?
ですかね。非対称姿勢や拘縮の予防」;随意運動を促して筋の柔軟性を保つこと同一姿勢を長時間とらないことリラックスできる姿勢を模索すること
私が大切に考えている姿勢ケアは、非対称姿勢や拘縮の予防という観点から、多様性を持ってもらうことに重点を置いています。多様な姿勢に適応する
ための環境設定を行う中で、本人の運動能力の促進や日常生活活動遂行の実現につながる機能の発達につながるようかかわっていくようにしています。入
所施設に携わる PT としては、他職種に対してどこまで姿勢ケアの重要性を理解してもらい、実践してもらうかがとても大きな課題だと考えています。
①運動能力の促進→児・者が呼吸も含め安楽な姿勢にあること、その事で児・者に余計な緊張が入らず眼球や頸部、四肢の運動が引き出しやすくなる。
その事で家族とコミュニケーションが取れる。新たな児の要求が引き出されるという正のスパイラル。
②日常生活活動遂行の実現→①による正のスパイラルにより、補装具を使用しながらでも、介助が必要でも最低限出来ることや家族の一員としての役割を
遂行することが出来る。それを家族と共有できる。
③非対称姿勢や拘縮の予防→最低限を目指す。在宅においては安楽・休養を求め、矯正要素は極力入れない。また、家族が日々24 時間実現可能な姿勢ケア
にする。ポジショニングを無理強いしてはいけない
将来を見据えて今の機能を維持するためにも、非対称姿勢・拘縮の予防のために生活の中で活動的な場面・非活動的な場面でもケアが必要と考えていま
す。しかしその時には固定的ではなく、ケアによって呼吸が楽に なり過ごしやすくなったり、動きがまとまり遊びやすくなるとかお子さんにとっての要
求が満たされるように心がけ実施したいと思っています。また親御さんとの関わりの邪魔にもならないようにしたいと思っています。
究極は拘縮の予防とは思いますが、非対称姿勢よりは運動能力の促進の方が、先の目的としてあげたいと考えます。
対象とされる方の能力にもよりますが…。いずれも、その方が健康で、精神的にも安定するにはどうしたらよいかが一番です。
①・重力環境への適応を促し、外部環境に働きかける身体基準が構築されるよう援助。
・目的ある感覚経験や心理社会的な関わりが豊かになるような方法。
②・日常生活における姿勢の多様性を考え、身体を動かす機会を増やす。
・生活経験の幅を拡大し、生活に参加する場面を増やす。
・生活様式の一部となるよう、本人と家族にとって実行可能な提案。
③・将来的な変形、拘縮のリスクについて、家族や日常生活で関わる人と情報を共有し協働で姿勢ケアのニーズを明確にしていく。
・24 時間の活動、環境に則した継続的な支援。
日常生活を快適に過ごす為の基盤であり、姿勢ケアがしっかり行えていれば「~をやりたい」などといった意欲を引き出すことも可能となってくると思
われます。また、適切な姿勢ケアが非対称姿勢や拘縮の予防につながると考えます。
私が思う姿勢ケアとは、多様性と目的の達成と考えます。多様性とは、バリエーションが多いか、それぞれの姿勢に
適応しているかということです。これは、非対称姿勢や拘縮の予防につながると考えています。
目的の達成とは、その姿勢において、何をするのかということです。上肢を動かすのか、ご飯を食べるのか、リラックスするのか、寝るのか、 それぞれ
の姿勢には、目的があるはずであり、このことは、運動能力の促進や日常生活活動遂行の実現につながると考えます。
最後に姿勢ケアとは、”静”だけでなく、”動”であると考えています。つまり、重力との折り合いの中で、成り立つもので、常に変化しうるものである
と考えています。今回、セミナーを通して、姿勢ケアについて、より深く、考えていきたいと思っています。
重力に対して自分の重さを上手く処理できず、適応しようとする代償運動を繰り返しているため、生体力学的コントロールしたり、多様性のない異常な
動きを制限して、良好な運動活動のタイミングや、調整を学習して感覚経験を繰り返してもらう。能動的な動きを繰り返して、運動能力を促通し、それを
日常生活活動遂行にも繋げたい。重力に対して得意とする支持部での支持方法が固定され非対称姿勢が作られてしまいがちです。重心点を変え得意とする
支持部での支持方法を好ましい方法に導く事によって、拘縮関節に関わる筋に良好な影響を与える事ができます。
その人がその人なりの生活を健康に楽しめるための手段として、姿勢ケアがあると考えています。生活を楽しむということには、日常生活活動遂行も含
まれますが、社会参加(ICFでいうところの「参加」)も含まれてくると考えます。
重症心身障害がある方々にとっての「参加」の考え方は、様々あると思いますが、多くの他者との関わりをもつ、ということも彼らにとっての大切な「参
加」になるのではないかと。外出をしてコミュニティへ参加するだけでなく、例えば、訪問してくれたボランティアさんとの関わり(手を握るなどのスキ
ンシップ、会話(非言語でも)を楽しむ、同じ空間で過ごすことを楽しむなど)といったことも立派な「参加」になるのではないかと考えると、そのとき
に、ゆとりをもって関わりを楽しむための姿勢ケア、呼吸が楽にできる、筋緊張を強めずリラックスして過ごせる、その方の運動能力を発揮できる、とい
ったことを実現してもらえるための姿勢ケア、を提供したいと思います。非対称姿勢、拘縮の予防のために、日常の姿勢ケアが大切であることは、基本的
なことだと思います。それを毎日実現させるのは、我々PTには不可能で、生活援助に直接関わるご家族、施設職員になります。この方々といかに良好な
関係を築き、情報交換をするか、専門知識がなくてもわかりやすい方法を提供するか、が、姿勢ケアで大切にしなくてはいけないことなのではないか、と
思います。これらのことを考えながら、なかなか実現ができないことに反省しながら、あきらめずに、施設職員と関係を築く日々です。
1.リラックスできて頑張りすぎない事。
2.変形が助長しない事。
3.止め過ぎず、安定を支援し動ける事を補助できる。
4.呼吸が楽になる。
なによりも、活動性の実現を大切にしたいと思っています。しかし、実際の臨床では、在宅での介護のしやすさ、長期的に楽な呼吸で生活をして頂きた
いといった、予防的な視点を重視してしまいます。
障害の有無や重症度に関わらず、機能的な姿勢は、日常生活を円滑に行なうことが出来るし、運動能力をも高める事が出来ると考える姿勢を左右対称に
整える事、関節の拘縮を起こさない事は、更に、これらの機能的な姿勢を整える為の基本に有ると考える。
PT としての仕事の中で、姿勢のケアを行うにあたって、まず考えている事は、『本人並びに介護する方の困り度に対応していく』言う事であり、本人が、
不適切な姿勢の為に痛みを感じていたり、動きにくかったりすること、また、介助者が身体の拘縮の為に移乗や更衣等で困難を感じている『困り度』が、
少しでも低くなる様にしていきたい。また、それと同時に、現在『困り度』感じていなくても将来的に姿勢の問題から困る事が起こるのではないかと考え
られる方については、起こりうる事に関しての情報を伝える事で、出来るだけ最小限に抑えられるものは押さえる事も大事であると考える。
大切にしたい姿勢ケアは、呼吸状態などの全身状態に配慮し、変形の進行を予防出来るポジショニングが、日々の姿勢ケアには重要だと考えています。
また、安楽に過ごせる環境作りも必要だと思います。
最優先すべきは、日常生活活動遂行の実現であると考える。なぜなら、彼らにとって、(ICF でいう)まず日常生活において活動、参加することで得る
QOL の向上が一番欲しいものなのだと考えるからだ。それを実現するためには日頃の姿勢ケアが大切である。よって、姿勢ケアは目的ではなく、あくまで
彼らがたくさんの喜びを掴むための手段であると考える。
①運動能力の促進…活動的な場面を考えた際、外界への興味や働きかけがないと運動は促進されないため、
まずは本人の興味・関心を妨げず、少しでもそこに向けて動けるような姿勢を考えます。
②日常生活活動遂行の実現…能動的に働きかけた結果が返ってくることがわかりやすい姿勢をつくるように心がけています。
③非対称姿勢や拘縮の予防…一つの姿勢で、活動・休息を担うことはとても難しいと考えます。
よって、子どもが成長・発達する中で、セラピストがとれる姿勢を増やしていくことが重要であると考えます。様々な姿勢をとれるようになることで、非
対称姿勢や拘縮を予防していくことにつながると考えます。
私が考える姿勢ケアとは、日常生活活動を当たり前に過ごすことを実現するものであると考えます。
非対称姿勢や拘縮の予防をするために、支持面・重力など姿勢に影響する所を考え、児が楽に過ごせることが大切だと考えています。それは、成長や重
症化により児が変化するため、その変化を評価し、その都度姿勢ケアも変えていく必要もあると思います。
日常的に姿勢ケアを行うご家族や看護師に、姿勢ケアの重要性を伝え、負担なく実行してもらう方法の提案も大切だと思います。PT は 24 時間関わること
ができないので・・・。
また、非対称姿勢や拘縮を予防することで、取れる姿勢のバリエーションを保つことができるため、運動能力の促進や日常生活活動遂行の実現にも大きく
影響すると考えています。
姿勢ケアにおいて 3 つの視点のうちで私が大切に考えているのは日常生活活動遂行の実現を優先して考えています。その上で非対称姿勢や拘縮の予防、
運動能力の促進について考えています。まず、日常生活において姿勢が実用的であることが必要だと考えています。そのため繰り返し生活場面でのフィー
ドバックを繰り返し受けながら調整し、生活の中で対象者の方が過剰な努力や痛みや不快感なく目的を達成できることで自発的な運動にもつながり、結果
的に運動能力の促進、非対称姿勢や拘縮の予防にもつながっていくと考えています。ただ、この課題は個々の対象者の方の状態や環境によって考え方や優
先することを変える必要があると思いますので、できるだけ柔軟な考えを持っていられるように心がけています。
姿勢ケアに関して難しいと感じるのは、極端に活動性が高く常に反り返ったり不随意 運動を繰り返す子供たちと、逆に活動性の低い子供たちです。活
動性が高すぎて姿勢が安定しない子供への姿勢ケアは今も悩みは大きいのですが、
日常的にやりたいことができるための道具の工夫などを含め本人のもくてぃをやり遂げることを大切にしています。また、活動性の乏しい子供たちは、
年齢とともに運動性がさらに低下していく傾向がありますが、興味のあること好きなことを見つけると意外な能力を発揮することを経 験し、嗜好や自発
性を大切にしています。ポジショニングやストレッチといった passive なものだけでは姿勢ケアは実現できないということと家族とよく話し合いながら進
めることが重要だと思っています。
姿勢ケアは姿勢バリエーションを増やすことだと考えています。それが、姿勢や環境への適応・子供さん自身の潜在能力を引き出すことができ、運動発
達に繋がるのではと思い関わっています。また、小さいときから姿勢バリエーションを増やすことが将来起こりうる変形拘縮などのリスクの軽減にもつな
がると思っています。そして、子どもの生活場面(家庭・保育所・学校など)にキャリーオーバーできるような工夫も必要だと感じています。その姿勢を
とってどんな活動(遊び)をするのかが 1 番大切だと思っています。
快適であること、呼吸が楽であること
日常生活活動遂行の実現
安楽な肢位であること。介護者の苦が無く、設定しやすいものであること。
①運動能力の促進 運動を保証する安定性の提供。安定性をどこに求めるかの評価と治療。運動能力を高めていくための課題の工夫と環境設定。
②日常生活活動遂行の実現
活動内容に応じた座位保持椅子などの姿勢保持具や移動具の選定と調節。
③非対称姿勢や拘縮の予防
対称姿勢を確保しリラクゼーションを図れる工夫。これを家庭や病棟、施設内で簡単に行える方法の提供。様々な姿勢の経験。
【運動能力の促進】
側弯の要因のひとつとして不動や姿勢変換のバリエーション欠如という点が挙げられる。少しでも自分で動ける要素を得ることや色々な姿勢を受け入れ
られるように練習しておくことは、姿勢ケアの観点だけでなく呼吸状態の維持や感覚運動経験としても重要と考える。
【日常生活活動遂行の実現】
私が関わったケースで、側弯の進行により座位保持機能のある椅子でないと座れなくなってきた症例がある。トイレチェアの改善や座位保持機能を取り
付けたことで現在も昼食後にトイレに座って排便するリズムが維持できている。座位保持機能付きトイレチェアは補装具制度では作製できないため、PT
の手作りで対応している。現在の職場ではこういった PT の仕事をあまり評価されないが、私自身は姿勢ケアとして、また ADL 能力の維持や健康状態の維
持として、非常に重要だと考えて対応している。
【非対称姿勢や拘縮の予防】
進行性の疾患や重度のてんかん発作を持つ人の中には、あっという間に側弯や拘縮が進行していき、PT ができる姿勢ケアだけでは対応できないケースが
ある。発作のコントロールやボトックス治療などと併用すれば、結果が異なっていたのではないかと思う事も多い。しかし投薬や注射による治療には拒否
的な保護者も多い。ポジショニングや運動療法で姿勢ケアを実践していくことも重要であるが、様々な治療の選択情報を広めていくことも重要だと考える。
将来的に生じやすい非対称姿勢や関節拘縮の進行を念頭に置きながら、目的とする日常生活活動が行えように配慮した姿勢をとれることが大切であると
考えます。目的とする日常生活活動が楽にできる状態をセッティングした中で運動能力の促進ができればよいと考えます。
姿勢ケアで大切だと思うことは「ご本人の助けになっているかどうか」です。ご本人にとって楽で(呼吸が楽、痛みがない、居心地がよい、安心できる)、
やりたいことをやりやすいように(①運動能力の促通、②日常生活活動の遂行の実現)、いろいろな場面で快適に過ごせる時間を増やしていくことができ
たらと考えます。将来にわたり長期間、快適な生活が持続するように、③非対称姿勢や拘縮の予 防を、でき得る限り実現していくことは大切なことだと
思います。非対称姿勢、変形や拘縮の各個人の機序を考え、身体状況を把握し、シーティングや姿勢ケアの姿勢・運動に関する知識を基に、適切なサポー
ト(重力も利用しつつ、角度や形状を調整する等)を、活動に応じて提案できることが必要と思います。こちらが考える「良い姿勢」を押し付けて、ご本
人やご家族に負担を強いることがないように、ご本人とご家族の24時間、現在~将来の個々の生活を想像して、ご本人の望みを叶え、豊かな生活が送れ
るような姿勢ケアを提案できるようになりたいと思います。
非対称姿勢や拘縮の予防も大切ですが、少しの代償的な動作を入れてでも ADL を上げるほうが本人への達成感や親の希望も叶い、運動能力の促進につな
がると考えます。
重い障害のために動けないことへの本質的身体性問題(動くことと感じることの両義性)への多様な支援のひとつとして姿勢ケアは存在意義があると思
っています。
当院では呼吸状態が不安定な方が多く、日常生活活動遂行を行うためにまず姿勢で呼吸を安定させる事に重きを置きます。その中で可能な範囲で様々な
姿勢を取り入れ、非対称性姿勢や拘縮の予防を行います。運動能力の促進まで考えて介入できたお子さんは少ないように感じています。
姿勢とは、日常の生活(遊び・学習・休息等)がおくりやすくなるための手段と捉えています。その手段が非対称性を配慮しつつ、多様であるとともに、
「個々に合った」ものであるように、子ども達と相談しながら作っていくことを姿勢ケアと考えています。
年代や運動の特徴などその方に合わせた姿勢ケアが必要で個別性が高いことはもちろんですが、日常生活の中で無理なく取り入れられることが継続して
いく上で必要不可欠なんだと感じることが多い。 特に長期入園病棟での交代勤務のスタッフとの連携がうまくとれないこともあり、目的や方法を共有し
て相互の役割を理解しながら姿勢ケアを行なっていくことの難しさを感じているが、そこを丁寧にやっていかないと当たり前の日常に取り入れていけない
と思っています。
姿勢ケアについては、まずは日常生活活動遂行の実現が第一の目的となり、その活動を実現するための、運動能力の促進であったり、非対称姿勢や拘縮
の予防、という視点になるかと思います。何かの活動につながれば、との視点で日々の姿勢ケアを考えていますが、なかなか具体的な活動に結びつかない
方もみえるのが実際です。
対象の児の年齢にもよるが、日常生活活動遂行においての実現性を重きに置きながら、非対称姿勢の拘縮予防や運動能力の促進を考えていく必要がある
と思われる。日常生活を阻害、制限を重きに置いた機能面へのアプローチは児・家族の QOL 低下につながり、訓練ありきの生活になってしまう恐れがある
と思う。ライフステージそれぞれの時期で比重は異なるが「参加」を思い描きながら関わることは重要と考える。
脳性麻痺のアテトーゼ型のように支持面がしっかりしていないと、その方の運動能力が発揮できない場合があります。どんな運動にしてもその方の最大
限の能力が出せるように姿勢を考えています。
日常生活活動遂行の実現
日常生活活動を行うにあたり、必要な部位が例えば上肢などが動きやすいように環境を設定することももちろんですが、その他の部分に関しても、固定
されるなど使用している部位がより使いやすいようにしていく必要があると考えています。
非対称性や拘縮の予防
現在仕事をしていて、一番姿勢ケアとして考えていることだと思います。成人期の重症心身障害児の方に対して理学療法を行うことが多いですが、自ら
動くことが難しい方に、どのようなポジショニングをすることで生命基盤を整え安楽に生活していただけるか、その上でこれから年齢を重ねていくことを
考えると、これ以上非対称性や拘縮が進まないようにしていくことを考えています。そのために、セラピストはもちろん、病棟のスタッフ達とも連携して、
日常的に様々なポジショニングをしやすいような環境や設定が必要であると考えています。
姿勢ケアについて、私は非対称姿勢や変形・拘縮の予防を最優先し、運動能力や日常生活活動が向上するよう支援してきました。
しかし、非対称姿勢や変形・拘縮の予防ばかりに偏り 、運動や活動がうまくいかない場合も多いと感じていました。以前このセミナーでケアは「気をつ
けてみている」という意味があると知りました。それまで以上に気をつけてみてみると、重症児の方がどうしたいか、どう動きたいか、その姿勢はよい、
よくない等について深く考えるようになりました。そして、周囲の支援者とも気をつけてみながら重症児者の方にとって最も良いことは何か、嫌じゃない
ように等をよく考え配慮しながら関わることで、少しずつうまくいく場合も増えてきました。
重症児の方の立場になってよく考える、複数の支援者で考えることを大切にしながら、目的が偏らず重症児者の方にとって良い姿勢ケアが行えるようにし
たいです。
リハビリスタッフとして支援スタッフに姿勢の見方や整え方を伝え、日常の生活の中でいかに姿勢ケアを行なっていけるか。生活場面や生活リズムを見
ながら、どんな場面でどんな姿勢・運動に取り組めるか考えている。
第一に安楽であること。活動のため動作を行うに当たり適した姿勢を選択していると思います。自分ではどうにもならない、どう動いてよいかわからな
い部分をお手伝いして自分で出来るという体験を積み上げて行けるように支援したいと思っています。
出会った子供の中には側臥位や腹臥位、座位をまず体験してみようという子もいます。座位保持装置で手を使って遊べる子であっても支持することや
腹臥位などの姿勢保持が苦手で触られたくない子。(スタートは過敏からなのかもしれません)変形・拘縮が強くなり、とりづらい姿勢ができてくる子も
います。
姿勢保持が安定していく中でわずかな自発的動きが見られたり、自分の意志で反りを使って腹臥位から背臥位へ寝返りしようとしたりする。動くことを感
じ、動かされるダイナミックな遊びも楽しめるようになってくる子がいます。
呼吸管理の必要な子がいろんな姿勢がとれ、日々の呼吸が楽になり、肺炎など生命を脅かすものが軽減されることは生活リズムにつながる部分があると考
えます。簡単なことではありませんが、夜がしっかり眠れ日中の活動が可能な子は遊びや人と接する場が広がりやすいように感じています。生活の場でい
ろんな姿勢がとれることは、側彎や関節拘縮の進行を遅らせることのひとつになるのではないでしょうか。 日常生活では、介助者が介助しやすいこと、
苦痛なく介助を受けられることも大切と思います。いろんな姿勢がとれることから、身体の柔軟性を保っていくこと、動かされることがいやでないこと、
生活を共にする人に気持ちの表現ができることを大切に考えています。
姿勢ケアに関して大切に思うことは 3 つの項目を達成するために、セラピストのみでなく家族や、日常的に児に関わる人々が再現できる方法であるかと
いうことです。 訓練場面での設定で運動能力を引き出すことももちろん大切ですが、それを生活場面で再現できるかどうか、日常生活動作につながるか
どうかを大切にしたいと思っています。 また児が多くの時間を過ごす場面で実践できることが、非対称姿勢や拘縮の予防につながるということを念頭に
おいて、姿勢ケアを考えています。 リハ室にある物品、セラピストの手ではないものでできるものを提供することを大切に考えるよう努めています。
将来像を見据えてのケアは必要。それがセラピストの独断にならないように気をつけています。一番大切にしている事は本人の考えとセラピストの考え
は必ずしも一致しないという認識を持ってすすめていく事だと思います。セラピストの意見だけですすめるのではなく、本人が何を求めているか(動きた
い。自分だけで楽しみたい。等)を理解し、それを実現するためにはどうするか、そしてそれにはどんな事がリスクが予測されるかなど答えはなかなか出
ないので何度も繰り返し検討が必要だと思います。
何かしらの原因で運動に障害を持つ方に対して、①運動能力の促進、②日常生活活動遂行の実現、③非対称姿勢や拘縮の予防などを目的に施行されるも
の。具体的には各姿勢に対して機能的な姿勢(例えば、上肢が遊びに使用できる姿勢)となるように適切な力学的サポート実施し、最終的にはそれが各個人
の QOL の向上につながること。
①呼吸状態の安定 ②活動・参加に向けて ③変形・拘縮・褥瘡の予防
私の職場は医療型障害児入所施設で、埼玉近辺でも特に重症度の高い方の入所施設です。私自身は場面に応じておおまかに、リラックスして安心して過
ごせる環境づくりとしての静的な姿勢(③が主)と、活動に合わせて意欲や動きを引き出しやすい動的な姿勢(①②③)に分けて考えるようにしています。
どちらも共通して重要視することは、ご家族や不特定多数の人などが関わってくる環境の中でいかに分かりやすく目的やポジショニングの提示をしていけ
るかということと、変化することが当たり前の生活の中で、ご本人はもちろん直接介護にあたるご家族や施設スタッフに『この姿勢でなくてはいけない』
と思わせないようにし、『こうしたらもっといいかも』と考える機会を増やしていき、1つ1つの目的における選択肢を増やしていくことが大切だと感じ
ています。
私が考える姿勢ケアとは、重度心身障害をもつ彼らがもつ本来の運動能力(姿勢制御)を発揮できる環境を整える事であり、日常生活において求められ
る活動に適した姿勢を提供できることであると考えます。1G という重力下の世界で、どうにか姿勢を保持しようと過剰に頑張り、活動に結びつけている
状況を、いかに活動に適した環境へ変化させる事ができるのか(オンハンズ、オフハンズであっても)、私たちに求められていることと考えます。
姿勢ケアによって、対象者の活動と参加の機会が拡大することが重要であると考える。機能レベル、ライフステージ、興味関心等…に合わせ、各児の活
動と参加の機会がより充実し、長い期間にわたって保障されるような姿勢ケアができるよう努めたい。
私達は、常に重力下で、それに抗して生活しています。当然のことですが、仰臥位であっても抗重力活動を行っています。「姿勢ケア」と言うと治療的
で特別なものに感じますが、対象者の方たちからわずかばかりかもしれませんが重力の影響を除き、動ける可能性を提供する基本的な設定だと考えます。
動ける可能性の先にある課題を、運動機能や日常生活活動の促進にとどまらず、楽しみを実現できることに設定できることが、私の理想です。
普段注意していることは、指定のあった 3 つの視点は、基本として、心地いい、気持ちいい、楽かなぁ、動きやすいかなぁなどとセッティング後に問い
かけるようにしている。また、マニュアル的にならずに、人として関わることができたか。そして、できれば、その人が動きたいなぁ、遊びたいなぁと思
える設定(テーブルやおもちゃの配置など)まで行えればと考えています。
呼吸器を使用している重症児さんたちのリハを担当させてもらうようになり数ヵ月が経ちました。子どもたちと向き合い,どうして良いか分からず悩み,
あがく毎日が続いています。そんな中,私が姿勢ケアについて子どもたちを前に考えていることは,「丁度いい?」,「いい具合?」,「いい感じ?」か
ということです。姿勢ケアの目的・3 つの視点からと言われると,消極的過ぎるかも知れませんが, 通ずるところもあるかと思いますし,まだまだ十分に
子どもたちの反応を感じ取れていない私にとって,「丁度いいのか?悪いのか?」「いい具合なのか?」「いい感じなのか?」,まずは子どもたちの声を
もっと聞けるようになることが姿勢ケアを提供する上で大切なことではないかと考えています。
安楽に動きやすいこと
私が姿勢を提案する際は、”休息のための姿勢”と”身体機能の維持や向上のためのリハビリ的姿勢”と”その方が、その時必要な運動を最大限に引き
出す事が出来るための活動的姿勢”の3つを基本に考えています。リハビリ的姿勢が①と③、活動的姿勢が②のように思います。それらが日常生活の中で
何度も繰り返されていく過程や、その結果としてどのような変化が起こるのかを追っていくことが大切と思います。
私が大切にしていることは、自発的に効率的な運動を行いやすく、可能な限り抗重力位をとっていくことだと考えています。そのためには、安定性や支
持面の知覚、活動への介入は必要だと考えています。
生活全般を支援者(時には複数の人)に依存している重症心身障害児・者は日常生活をお互いに安全に心地よく過ごすために動きやすい、動かされやす
い体であることが、生活の基盤になると思います。人に触られることが恐怖でなく、痛みでなく、安全で安定していると感じる体であるための姿勢ケアー
をしたいと思います。安全で安定と感じるのは受け手の感覚であり、関節の可動性・運動の方向性触・圧覚などの感覚系のどこを大切に感じているのかを
支援する人たちに
うまく伝えられるようになりたいものです。
姿勢ケアとは日常的に行われることであり、日常的な活動がスムーズに行えることが不可欠であると思います。その上で、お子さんたちにとって安楽で
取りやすいものであることが継続するこ との前提の条件であると思っています。これらを継続できるように調整て行くことで、動くことが促せたり、拘
縮が予防できることが望ましいと考えております。
第一に個人が一番楽しめる姿勢は何か?を考えています。非対称性の姿勢や拘縮の予防も必要とは思いますが、ある一定の代償運動において活動の広が
りがみられるのであれば、必要な大小なのではないかと考えます。それが運動能力の促進にもつながっているのではないかと考えています。
姿勢ケアの目的は安楽、安定した姿勢を、非対称性・変形・拘縮予防として、目的は常に変わらないものと考えていました。しかし、対象年齢によって
目的の優先順位が生じているのではないかと考えられます。重症心身障害者の年齢も高齢化になってきており、変形・拘縮予防として介入していても、そ
の方に対しては日常生活活動が狭小化してしまうことも考えられます。また、反対に、未就学児や学齢児に対しての姿勢ケアは成長、発達も兼ね合うため、
運動を促進する姿勢ケアが必要であり、今後を見据えた目的を持って介入しなければならないと考えます。姿勢ケアとして、個人の全体を捉え、QOL に適
した目的とした姿勢が大切と考えています。また、リハビリテーションスタッフだけでは取り組めない課題なので、看護師を始め、病棟や家族に対しても
理解、協力をもらい連携していくことも大切と考えます。
日常生活の繰り返しの中で生活機能が維持、促進できる運動機能促通
姿勢ケアで大切な事は、その方がその姿勢を楽に保持でき、安心していられる事が大切だと思っています。また、周囲を見渡せる様な視線の位置、呼吸
状態を 管理しながら、その方の楽しめる姿勢を見つけ、動作への意欲に繋げることが運動能力の促進に繋がると考えています。
姿勢ケアで大切なことは、いかに楽に楽しく生活できるかではないかと考えています。玩具で遊ぶ、勉強する、テレビを見る等、楽しく生活する目的は
その方によって異なると思います。理学療法士はその目的を達成するために、変形や拘縮により配慮した姿勢を提供する必要があると思います。また、姿
勢ケアには姿勢の多様性も大切であると考えます。多様性があることで活動の幅が広がったり、変形や拘縮の予防、筋活動の促進につながり、それらが楽
に楽しく生活することにもつながると思います。
姿勢ケアで大切に思うことは、姿勢ケアの方法を変えた後に生じる、即時的な効果だけでなく、長期的な予測とその効果を評価していく事だと思います。
当施設の現状は、姿勢ケアにおける評価が曖昧となっており、その記録も形に残っていない事が多いです。長い月日が経つ中で、現場の職員でさえもなぜ
この姿勢をとっているのかと疑問を持っていることもあります。評価を行なう上で、上記の姿勢ケアの目的をどのように評価していくか、評価結果を残し
ていくのかなど、私自身の課題となっております。今回のセミナーで姿勢ケアのことを含めて、多くのことを吸収できればと思っています。
遊びや活動の動作に関しては、患者さんの気持ちを大事にして満足と経験が得られるように支援しています。その際、非対称の姿勢になってしまう時は、
動作や気持ちを優先しています。 普段のバギーや車椅子など長時間同じ姿勢になる時は、良肢位になるように、また拘縮の予防を考慮して作製するよう
に注意して姿勢ケアに配慮しています。
姿勢ケアで重要に思うことはやりたいことを長く出来るよう 24 時間をいかに管理することかと思います。運動能力を維持するためには動き続けること
が一番と思います。しかし動き続けることで非対称性姿勢や拘縮を急速に進めてしまうなら時間性制限、方法制限が必要になりそれを一緒に考えていくの
がセラピストかと。日常生活活動遂行し続けるのはそこにどれくらい価値を置くのか、それは一人ひとり違ってくると思います。
非対称性や拘縮は無いに越したことはないのですが現実的にはある程度、致命的にならない範囲で許さなければ前に進まないこともあるのでは。度合い、
年齢、もともとの疾患によると思いますしまたそれも患者一人ひとりとご家族の価値観が入ってくるので姿勢ケアは人生そのものと思います。
特に最重度の障害児の姿勢ケアをどうしようか悩んでいます。なので、非対称姿勢や拘縮の予防について考えたいです。
非対称姿勢や変形の進行を予防することを目的に、ベッド上でのポジショニング設定と5~10 分程度の隙間時間で出来る簡単な体操(他動運動)を指導
して、静的なケアだけにならないようにしています。 運動能力の促進については、可能な範囲で座位や立位にすることで骨盤や下肢に荷重する体験を積
み重ね、筋が働きやすいようにし、本人が姿勢を保持することに気付けるように取り組んでいます。たとえ実用的な物にならなくとも、小さいうちからの
様々な姿勢・運動の積み重ねが、将来的な変形予防になっていくと考えています。また姿勢ケアは、まず本人が安楽であることはもちろんですが、主介護
者(在宅であれば主に母親、施設入所であれば直接介護する職員)が実施可能なものでないといけないと考えています。 理学療法士として本人にとって
の理想的な設定やプログラムを考えながら、主介護者が再現可能な設定に落とし込んでいくことも必要になってくると思います。
場面によって異なるとは思いますが、対象者の方にとって楽で自発的な動きが引き出しやすい姿勢をと日々考えています。少しでも実現できれば、子ど
もさんやご家族の笑顔が見られ、日常の出来ることも少しずつ増え、運動発達の促進にも繋がると思っています。
①運動能力の促進・
環境設定を変えてみること
重力から解放される水中とか、床上の二次元から空中の三次元に身体を置くとか、手動から電動機器とか、
②日常生活活動遂行の実現・本人の自己肯定感や満足感を高まること
③非対称姿勢と拘縮の予防
多用多様性の姿勢と能動的動き
目標設定について、生活の様子を聞き取りながらご家族とともに活動に即した目標をたてて姿勢ケアを実践すること。
姿勢のバリエーションをいかに多くしていけるかなどを、ご家族とともに実施していくこと。 定量的な評価を継続して実施し、変化を経時的にみていけ
るようにすること。などです。
姿勢ケアについてご家族や支援スタッフと共有し大切にしている視点は、実現可能性や生活スタイル等を考慮し、完璧を求めず、ご本人の状態と現在で
きることのバランスを保ち最善を目指すことです。運動能力の促進は年々変わる身体状況を考慮し変更に対応できるように、日常生活活動遂行の実現につ
いては他職種と共有できるように、非対称姿勢や拘縮の予防は進行することを前提に今できる最善を目指すこと、以上の視点を大切にし日々関わっていま
す。
普段姿勢について考えていることは、その方が安楽に安心してとることができる姿勢は何なのかという点です。その姿勢をベースにしてよりスムーズな
活動遂行を可能にすることを重視しています。またその中で非対称姿勢や拘縮の予防という要素を入れるように心がけていますが、なかなか難しいと感じ
ています。しかし一番難しいのは関係職種間での共通理解を築くと言うことでしょうか…。
安楽に安心して過ごせるという事に重きを置いて考えています。姿勢ケアの中で、非対称姿勢や拘縮の予防を行う事で運動能力の推進に繋がっていくと
考えていますが、日常生活活動遂行の実現まではまだまだ至っていないです。 姿勢ケアについても様々な考え方があると思いますが、楽しみや変化を感
じてもらえる為の姿勢ケアが必要であると考えています。 また姿勢ケアは毎日の生活に必要な介助も姿勢ケアだと思うので他部署の方との知識や考え方、
思いの共有なども必要不可欠なのだと日々感じています。
日々を楽しく生きる為に体や心が元気でいる為の健康づくりが 姿勢ケアの原点になると思う。障害があるなしに関わらず安心して生きる為に必要な要
素は皆同じかと思う。安定した呼吸(嚥下)、個々に必要な睡眠、心身ともに安定しやすい 身体環境作りに対するアプローチを見つけようとしていく事
が大切だと思う。
運動能力の促進の面から、本人がやりたいことがやりやすい姿勢を考えることは重要だと思います。 介助される機会が多い重症心身障害児者において、
介助のしやすさ、誰でも行いやすい方法で姿勢ケアを検討することは必要だと思います。非対称姿勢や拘縮の予防、健康の維持の面からも、バリエーショ
ンの多さと、生活全体を考慮した姿勢ケアが大事だと思います。
その姿勢はご本人のどのような目的を達成させる為にとるのかが大切だと感じています。運動能力の促進、日常生活活動遂行の実現、非対称姿勢や拘縮
の予防、すべての目的を一つの姿勢で補うことは難しい為、日常生活や運動機能等把握した上でそれぞれの目的を達成できる姿勢を考える必要があると思
っています。
重要なことは 24 時間の姿勢管理だと感じています。本人が受け入れられる範囲で、呼吸や運動、リラックスのしやすさや環境(関わる人)などを考慮
して、姿勢マネジメントの提案をしていかなければならないと考えています。
重度な障がいをお持ちの方々は、発達の中で獲得すべきことが、経験出来ていないことが多く、運動能力を促進する上で、早期より様々な姿勢の経験を
促すことは重要と考えます。日常生活を遂行する上では、生活障害(呼吸、食事、余暇活動など)で解決すべき課題を、姿勢ケア含めて支援する必要があ
ると思います。非対称姿勢については、諸先輩方がずっと立ち向かっている課題であり、無視できないと考えます。10 代以降の姿勢変形は、加速的にすす
み、機能面だけでなく、活動参加等にも大きく影響します。理学療法士として、私自身もこの課題については立ち向かって行きたいと思い意見交換できれ
ばと思います。
本人が安楽であること。本人の発達、興味、生活のリズムに基づいて考えられた姿勢であること。また本人だけでなく、家族の生活のリズムにも基づき、
なるべく自然に姿勢のバリエーションを増やすこと。発達の促進や変形拘縮予防のために、苦手な姿勢にも継続的にチャレンジすること。また、在宅支援
を行っている立場から、家族が必要性や目的を理解し、実施しやすいということもとても重要であると考えています。
一番ラクに一番楽しく過ごせる姿勢をいかに作っていくかということだと思います。 どんな重度な方やお子さんにとっても『活動しやすい』『動きや
すい』設定になるよう体幹の安定性を保った中で本人が『やりたいと思った事が実現できる』『やりたいと思わせる』ような姿勢によって身体面や運動能
力も促進されるのではないかと思います。
本人が持ったモチベーションを目の前で実現できる環境を介助や補装具等を使って提供するという事が大事だなと思っています。
私は未就学児の通園施設に勤務しています。低年齢のうちから将来起こりうる拘縮や変形を予測し保育士・保護者の方々と連携し取り組んでいます。良
姿勢は楽な姿勢、笑顔、意欲、遊びの広がりがあるものと考えています。
運動機能の維持と向上、変形の予防のみではなく、本人の活動を援助し、快適なものであること。
本人が楽な姿勢であり、かつ活動性もあるもの。ただリラックスできるだけでは、発達や成長にはつながらないのではないかと思います。
何を目的とする姿勢作りを行うのかを明確にし、ハンドリング等の評価をもとに、物や道具にあてはめる姿勢でなく個々の姿勢ケアを行っていくことを
基盤に考えています。わたしたち PT が関わるのは、週に数回の 40~50 分程度です。日常で関わるご家族や他職種との意見交換を行い評価を繰り返してい
くことで、個々に応じた良好な姿勢ケアが行っていけると考えます。
介助も含めた 1 日の生活動線を保障した上での姿勢ケア。
「圧を分散させること」を中心に考え、その方の楽な姿勢を考えるようにしています。
関わる人が負担になり過ぎず、でも関係者みんなが「大事にすること」を共通理解していること
姿勢ケアは、その方(患者様や施設の利用者様方)の生活と生命をつなぐものだと考えています。
変形(非対称姿勢)・拘縮の進行は、二次的障害を招きやすく、生活の中でも様々な制限・リスクを負うことにもなります。重力による姿勢・変形へ
の影響の大きさ、短期間ではなく長期間での評価・予測、乳幼児期や受傷後、身体状況に変化があったとき等の、早期からの姿勢ケアはとても大切だと考
えています。しかし、早期からの姿勢ケアについては、その時の体調、医療ケア(治療内容)、入院等で普段の介助者がかかわることができない等、本当
は実施したいのに実施できない場合もあります。そうした際の、情報共有、それぞれのかかわり手の相互理解・協力も大切になってくると感じています。
また、正常な運動発達、理想的な運動パターン・動作等、それらに基づいて考えることは必要ですが、随意・不随意運動、異常運動パターンを含め、
その人ができる範囲での運動、得意とする運動(パターン)も大切に、それらを引き出せる姿勢の提供も大切だと考えています。たとえ、異常パターンで
あっても、自分ひとりでできることが非常に小さいことであっても、少し不格好であっても、活動時の姿勢が座位ではなく臥位姿勢であっても、ご本人様
が楽しめること、求めるもの(遊びや活動、日常生活動作等)の手助けができる姿勢・環境を提供したいと思っています。
24 時間、365 日、何年間、何十年間もの長い期間、様々な場所・環境・人での姿勢ケアは繊細なものだとも思います。重度の重複障害をお持ちの方々
は、その障害は、ひとりひとり、様々です。それと同じように、その方々が持っているもの・できること、求めるものも個性豊かです。周囲と比較したり、
正常と比較するだけではなく、その人ひとりひとりの、生命と生活のための姿勢ケアをしていきたいと考えています。また、姿勢ケアを行っていくご家族
様や介助者にとっても、できるだけ負担が少なく、継続していけること、誰でも行えるものであるということも、必要だと考えています。ご本人様とその
周囲の人達が、一緒になって、同じ気持ちでできる姿勢ケアができればと思います。
その方の状態に合った姿勢を取ることです。
姿勢は目的・状態・状況により変化しうるものと捉え、姿勢ケアもその都度変化が求められると考えています。
目的・状態・状況にあった姿勢であること。
そして、安楽であり、活動的であること。
以上のことは常に忘れないようにしています。
臨床では活動性を高めるために、stability - mobility の関係を意識して促すようにしています。
安楽に過ごすことができ、日常生活に取り入れやすいものだと思います。
姿勢をとるという事は、拘縮予防・対称姿勢・運動や ADL の実現と目的や目標があります。姿勢づくりそのもが大切なのではなく、何のための姿勢かを
考えて運動面だけではなく精神面をも引き出していけるように、一人一人の姿勢ケアを明確にしていく事が大切な事と考えております。
安全で快適であることがまずは絶対条件。呼吸が安楽で余計な緊張を入れずに過ごし、児自らが動きたいときに動きたい範囲での活動が可能。行いたい
活動が実行できた快感を得ることができる。動くことが困難な場合は、同じ部位に特定の負担がかからないよう、圧を分散させ変形の進行を予防できるポ
ジショニングを検討し実施する。必要に応じて、側臥位でも浅め・深め 上半身は浅め・下半身は深めなど、介助者の負担も少ない姿勢変換の提案をして
いる。
嚥下・呼吸・排痰などの問題や筋緊張異常によって、自由に動けない人に対し、姿勢ケアを行うことで、より心地良く楽に過ごすことができるように心
がけている。表情が和らいでいるか確認することも大切。姿勢ケアが肺炎予防や変形拘縮予防など、身体機能の維持に繋がるよう、最善の方法で継続する
ことが大切であると考えている。
目的に応じた姿勢のバリエーションがあることと、介助者側が誰でも一貫性のある姿勢を提供できること
利用者が日常感じている息苦しさや不快感から少しでも解放されて、自分の見た物・聞いた音に対する反応・応答が起こしやすくなること。また日常繰
り返すADLが本人・介助者ともに行いやすくなればいいと思っています。
活動や休息、何をするにも「姿勢」はつきもの。「姿勢ケア」において何を大切にするかは、その人の身体的特徴、感じ方、気持ちなどその人々によっ
て様々であり、またその時の目的、環境などその時々で違うモノだと思います。
患者さんが一番リラックスできる姿勢を提供し、将来を見据えたフォローを行っていくこと。
全身状態の悪化や二次障害を招かないこと
その子が楽でいられたり、活動の時には活動に参加しやすい姿勢を大切にしたいと思っている。
できるだけ苦しさや痛みを感じず、楽だな~と感じてもらいたいし、そこから自発的な動きにつながり、気づきや楽しみを感じてもらいたいです。乳幼
児期の姿勢の特徴がこれから先どうなっていくか予測することや、どんな動きが引き出せるかを考えながら関わることが大切であると思うし、それを家族
と共有できればより良いケアになると感じています。
姿勢ケアには、その人その人によって色々な目的があると思いますが、ご本人が快適であることと、やりたいことができるようにすること、また快適な
生活が続くように姿勢ケアの目的を選定することが大切と思います。
また、姿勢ケアを行うために特別な技術を必要とせずに、ご本人の周囲の人が誰でもできるようなケア方法を考えることも大切と思います。
一般的なことではなく、ある一人の方から考えさせられたことです。車椅子という1つの移動具が、作業所まで車いすのままバスに乗るとなれば車椅子
がバスの座席となり、車椅子で作業をするとなれば作業するための椅子にもならなくてはいけません。ある場面では姿勢保持、ある場面では活動性、それ
を両立させるための微調整は本当に大切であることを教わりました。
またつい姿勢が崩れないようにということをしすぎてしまうと、逆におしりを直してもらうために持ちあげてもらうような機会をなくしてしまったり、ど
こか本人自身の体に負担がくるという反省もその方から教わりました。
姿勢ケアが本当にその方の生活や活動にあったケアになっているのか、丁寧に考えなくてはいけないことを教わったし、今も教わっています。
本人にとってはもちろんですが、ご家族や他、介助者にとっても安心で楽な姿勢ケアを心がけたいと思っています。
日常生活活動や余暇活動が行いやすく、継続して非対称姿勢や拘縮を予防できるよう必要なサポートを行っていくことが姿勢ケアだと考えています。姿
勢ケアによってその方自身が安心して休息や運動が行えることを大事にしています。
ご本人が安楽かつ安心してケアを受けられること。
時間が経過し、姿勢が変化しても快適な状態が維持できること。
誰でも同じポジショニングが行えること。
重力と関われる姿勢・経験となっている課題かどうか。
姿勢・経験が再現しやすい環境となっているか。
時間は状態や体力を考慮したかどうか。
1 時間経過しても皮膚トラブルが起こらないこと。非対称でパターン化した随意運動性を変形・拘縮の原因にせず、いかに安楽なアクティビティ遂行手
段にシフトすることができるか。暑くなく、疲労が少なく、呼吸努力が少なく、家族が無理せずにセッティングできる場面でなくてはならない。固定しす
ぎないこと。
姿勢をとる方、とらせる方、双方が無理なく安楽であることが大切だと思っています
日常生活を安心・安全に送ることができる
非対称姿勢や拘縮の予防としては、バリエーションがあり、本人が楽そうにとれる姿勢であることが大切だと考えています。
利用者の反応を観察すること 利用者の生活に沿うこと
それぞれの日常生活の場面で、その方の持っている能力、動きを引き出せる姿勢設定。また、その設定を関わる人が誰でも同じように、設定できること。
患者様が快適に過ごせて、日常生活活動や自発的な活動が行いやすいようにすること。体をまっすぐ対称的にして変形・拘縮の予防を目指すが本人がし
んどくないと思うようなポジショニング・姿勢の提案・理学療法の介入が大切だと思う。
快適性と機能性に優れた道具を使いながら、健康なからだを維持して、人とつながり、自分を表現できる状態をつくること。
本人の活動性が最大限引き出せるような姿勢ケアが大切だと考えています。
毎日子供たちと一緒に生活しています。一緒に遊び、食事から排泄・着替え・午睡など全てを共に行っています。それぞれの活動において少しでも楽に、
楽しく自分で参加出来る姿勢を考えていますが、その中でいろいろな場面でどんな姿勢があっているのか、今の姿勢で本当に良いのか考えてしまう事も多
いです。
姿勢ケアの中でも座位姿勢の安定が重要になると考える。座位姿勢は心肺機能の改善されることや食事での摂食・嚥下機能の改善・自食が可能となるこ
と、車椅子であれば移動手段となり社会参加しやすくなることや視野が広がることなどの QOL を向上するためのメリットがある。これらのメリットを活か
すためにも、座位訓練の他にも座位保持装置やクッション等の物を利用し座位姿勢を安定させることが必要不可欠にとなると考える。
快適、活動的
その人が一番活動しやすい姿勢、能力が発揮しやすい姿勢、最もリラックスできる姿勢など、一人一人異なるので、その人にあった姿勢がみつけれるよ
うに支援していくことと思います。
活動しやすい姿勢が、たとえ非対称で変形を進めることもあるかもしれません。また、成長に伴う変形の進行は、なかなかとめれないのが現状です。それ
でも、私たちは、いかに最小限にするか、最大の知識と技術で、その方のニーズ、目的にあった姿勢を考えていくことが大切と思っています。
辛さが緩和すること
患者様それぞれのアライメントなどの問題を少しでも改善させることのできるポジショニングや姿勢変換を行う事により、非対称姿勢や拘縮の予防とな
り、これが運動能力の促進、日常生活活動遂行の実現に繋がっていくと考えます。
「安楽にとれる休息肢位」がまず一番必要と感じています。
その上で「日常生活活動遂行の実現」ができればよいと
思います。
不快や苦痛がなくリラックスできたり、活動において異常パターンを誘発せず児が意図する動きを出せるためのケア。
本人が安定した姿勢を保持できること。なるべく呼吸や運動の妨げにならないような姿勢であること。
ポジショニングによる側弯の予防
訪問生(高1)で医療的ケアの必要な重症児の運動機能を行っています。一日の大半を仰臥位で過ごしています。側臥位・座位・腹臥位をとること、胸
郭呼吸運動を行うことなどで、呼吸状態もよくなり健康を維持しています。多様な姿勢を確保することはとても大切だと実感しています。
刺激を受け取って発信することができる自由度の確保と、健康
いかに児が心地よく感じられるか。また理学療法士だけでなく、児に関わる人全てが同じポジショニングをとることができること。
日常生活を楽にするのはもちろん、障がいをもつ人自身がやりたいと思うことを実現するための、一つの方法でありサポートと思っています。
より安楽に、できる限り活動につながりやすい姿勢を大切にしたいと思いながらケアしています。しかし、変形・抗縮があったり、気管切開、呼吸器管
理の必要がある方の姿勢ケアにはとても難渋しています。コメディカルのスタッフやお母さん方など、たくさんの方と連携をとりながら、やりにくさや骨
折のない姿勢も考えていけたらとも日々考えています。
その人にとって安楽な姿勢を探すこと(誤嚥や側彎等の予防の意味も含む)
24 時間の姿勢ケア及びそのエビデンス
重度のお子さんを多く担当しています。非対称姿勢や拘縮 の予防をすることは、呼吸機能、摂食機能、座位姿勢や上肢機能の向上維持に影響してくる
と考えています。
5 年後、10 年後を見据えての姿勢ケアの意識が大切と考えます。
小児科医、特に重症児者医療を専門としていない小児科医の姿勢への意識・理解は低く、できる範囲での啓蒙を行いたいと考えています。
本人にとって快適で、より多くの他者にでも可能な、多様性をもった姿勢援助の方法を基盤としたケア。より持続可能なものが望ましいと思います。
変形拘縮予防を目的と考えてしまいますが、ご本人が安楽にリラックスできる姿勢がとれることが大切かなと思います。
運動能力の推進
本人さんが、安心し安定して過ごせたり、趣味や活動が無理なく実現できるための姿勢を探り提案すること。
患者様自身が楽である姿勢を大切にしたいと思っています。
特に未成年の患者様に対しては、もちろん発達を促せるような姿勢だったり、側弯を予防する姿勢も大切です。しかし、本人が窮屈だと感じるような姿勢
だと、周りに注意を向けれないので、そういったことを大切にしたいです。
ひとりひとりに合った楽と思える姿勢をみつけることだと思います。たとえば、側彎や変形がある方に対しても真っ直ぐなキレイな姿勢を促すのではな
く、活動や食事などを行うにあたっての本人が快適に過ごせる姿勢によって、上肢を動かす範囲が拡大しやすかったり、過剰な筋緊張の抑制(関節拘縮の
進行予防)につながると思います。
呼吸のしやすい姿勢
生活の送りやすい姿勢
ご飯の食べやすい姿勢(ゴエンも起こさない)
など日常生活を送る上での大切な姿勢を、関わる他職種で共有し、実施できるようにすること。
また、生活のなかで自然にその姿勢がとれること(1日 30 分×3回呼吸の体位をします!というよりは日常生活のなかで自然にその体位をとれるようにし
たい)
非対称姿勢や拘縮の予防ができて、日常生活活動を遂行するための運動が可能になること。
子どもたちが楽に過ごせる状態で、活動や遊びなどが少しでも行いやすいことが大切だと思っています。
また、ずーっと続くことであるからこそ、周りのサポートしていただける人たちにも分かりやすく、お互いが楽にできることも大切であると思っています。
主体的かつ目的的な移動(粗大運動)や手指の動き(巧緻性)を引き出すにはいずれも体幹の安定性が求められますが、それには日ごろよりコアを働かせる
身体の取り組みを行うこと、また場面ごとにその方に合ったポジショニングの設定が大切であると考えます。また、変形予防として体位変換を適宜行うこ
とと併せて、小さい頃から色々な姿勢を経験し、受け止められることが肝要であると思います。
成長に伴って、必要な手立てを予測的に行っていくこと。本人が動きたい気持ちを持ち続けることができることは前提。
拘縮予防
非対称性の姿勢や拘縮予防の姿勢を日常生活に取り入れることで、目的の運動を遂行することに繋がる。
生活と一体になっていること。誰もが理解し、ケアできること。
楽に姿勢を保持できること
筋緊張の高い低いにかかわらず、上手に仰向けで寝られるようにフォローすることが大切だと感じます。運動発達の促進や対称性の姿勢を経験する、安
楽な呼吸を得るために体圧を分散し、異常筋緊張を緩和することが必要だと考えます。
心身ともにリラックスした状態。安心して動くことができ、また休めるもの
極力楽な姿勢(無理のない姿勢)を目指したいと思っています.
ただ,姿勢をある程度矯正もしたくなり,矛盾に悩む日々です.
リラックスでき、楽に寝られる姿勢をつくることです。また、褥瘡や誤嚥など二次的障害を起こさない姿勢をつくることです。
側彎や股関節脱臼、変形や拘縮の予防や進行を防止することと同時に、支持面を広げ、利用者の安心・安楽になる姿勢を見つけ出すこと。
姿勢ケアの目的をはっきりさせ、その場面に応じた姿勢ケアを行うことが大切だと思う。楽な姿勢を取らせるため、呼吸を安定させるため、食事をする
ため、目や手を使いやすいように活動的な姿勢を安定させるため・・・等。
つい、いつもと同じ姿勢をとらせがちだが、障害児(者)にとって良い姿勢は1つや2つではなく、場面や目的によって周囲と協力(情報共有)していく
ことも大切だと思う。
変形・拘縮の進行予防に加え、リラックスして過ごすことのできる姿勢。
患者様が安楽で居られること。また、様々な姿勢をとれるように工夫する事。
患者の 24 時間を考え、毎日継続していくこと
私が思う姿勢ケアとは、重症心身障害児・者にとって欠かせないことの 1 つと思います。私達は自身で姿勢を調整できます。しかし、重症心身障害児・者
の方々はその能力の発達が障害されてしまったことで、困難さが目立ってしまいます。姿勢ケアを行うことで周囲への関わりの機会が増えたり、変形進行・
予防もでき、また発達の促しの手伝いが出来るのではないかと思います。
よろしくお願い致します。
その姿勢が、安心・安全・安定・安楽な姿勢であること。そして、どんな目的で、どんな課題を達成するために、どれくらいの時間とっている必要があ
るのかを考えること。また、一日を通して、座位保持装置や立位保持具、歩行器などの支援機器を利用して多様な姿勢を導入すること。快適に体型を維持
できるようにすること。家族が「優しく」「易しく」できるケアであること。今川先生に教わったことばかりで申し訳ないのですが、大切だと感じていま
す。
楽に過ごせる姿勢と活動出来る姿勢を見つけて、様々な事に参加できることが大切だと思います。
本人が安楽であるポジションを、家族がきちんと再現できる環境を整えること。問題点を把握し、それに対した対応になっている。本人、家族、PT の相
互理解が不可欠。
本人が嫌がらずにリラックスした状態で、変形・拘縮の予防、排痰ができる。
子どもさん本人や家族といった当事者、病棟職員などのニードに常に耳を傾け、その利用者さん自身の課題や問題が解決できるよう支援していくこと。
姿勢ケアを実施する上では、これまでの『機能の獲得・改善・発達』という従来の療育理念や目標だけでは利用者さんの本当の課題や問題の解決、生活へ
の介入ができないと考えています。姿勢ケアを実施する上で考えなければならないことはたくさんあり、パラダイムシフトが必要だと思います。そういっ
た点について、是非議論していただきたいと思います。
経験や知識が足りず、まだまだ迷うことばかりですが、姿勢ケアを通して、子どもたちが身体を動かしやすくなったり、日常生活の中で感じている「や
りたい、やってみたい」という気持ちを育てたり、実現するための支援ができればと考えます。
姿勢管理プログラムのすべてが大切であると考えています。その中で、非対称姿勢や拘縮を予防することは機能の獲得・改善のための基本的条件であり、
また本人の能力に合わせた環境と課題の設定を適切にすることは、運動機能の促進・日常生活遂行の実現のために大切であると考えています。
私が大切にしていきたいと考える姿勢ケアは、できるようになる/行いやすくなる姿勢です。姿勢を整えることを始めとした環境設定は、運動や日常生
活活動のできる/できないに影響を及ぼす場合があると思います。姿勢ケアを行うことでできる/できないの結果に変化がなくとも、目的を達成する為の動
作が行いやすくなるのであれば姿勢ケアは積極的に取り組んでいくべきものだと考えています。
毎日継続して取り組みやすい方法の提供
姿勢ケアとは、姿勢能力に影響を与えるすべての因子のことだと思います。姿勢のとり方一つで、四肢の動きや得られる感覚が違ってくると思います。
一番その方が生活の中で必要なこと、何を目的にその姿勢をとるのかを考えた上で、姿勢について考えていくことが大切に思います。理学療法士のみなら
ず、重傷児者にかかわるすべての職種の方々の協力と理解が必要であり、またかかわっているすべての人たちでつくっていくものだと思います。
まずは 24 時間の生活に焦点を当てて、家族または利用者の周囲の人達と一緒に包括的・計画的に行うために、1 つ 1 つの姿勢の目的を明確にすることを
大切にしています。
目的は、快適さの増加、非対称姿勢から生じる変形・拘縮の予防・軽減、目と手を使った活動が行いやすいように…などを、個々に合わせて手段を選び、
環境設定(物だけではなく人も含めて)を行う必要があるものだと思います。そしてそれは、1 つの正しい姿勢があるのではなく、24 時間を通して、目的に
合わせて姿勢のバリエーションを増やしていくことも重要だと思っています。
GMFCS レベルにもよると思うのですが、重症心身障害児・者の方々には必要不可欠なものだと思い、私が担当させていただいている方々に 24 時間姿勢ケア
を必要に合わせて行っていく援助を行っています。
私なりの定量的経年的評価を行ってきていますが、不十分なのではないかと感じています。参加されるみなさんがどのような評価を行い、効果判定をし
ているのか、とても興味がありますので、今回の研修会もとても楽しみにしています。
様々な姿勢の体験
日々の業務の上で、非対称姿勢を発達させないや拘縮の予防を重要と思います。そのためには、多様な姿勢(背臥位・腹臥位・側臥位・座位など)を日
常生活でとること、またこれらの姿勢が保持できる姿勢制御を発達・維持できるようにと考えています。
利用者さんの負担にならず、合目的的であること。
対象としている方が望んでいることに近づけるようにすること。
リラックスして活動(社会)へ参加できる
個人的な考えですが、姿勢ケアとは対象者が日常生活の中(活動時、臥床時など)でとる姿勢のすべてをケアすること(ポジショニングの概念に近いで
すが、対象者本人はもちろん介助者(スタッフ等)、援助者(家族等)にとって有益となるもの)だと考えます。win win の状況を作ることが理想ですが、
なかなかうまくいかないことも多いので、対象者の周囲の環境を考え、関係者と相談しながら落としどころを模索することが大事なのかなと思います。ま
たここには危険行為等に対する抑制も含まれても良いと考えます(あくまで抑制は対象者本人の自由を奪ってしまうという認識の下でですが)。まとめで
すが、対象者本人をとりまく状況(症状や環境など)に適合しやすくなるように援助をすることが姿勢ケアだと思います。
姿勢は日常生活を行う上での基盤となるものであり、生活環境や目的に応じて変化することも当然必要と考えます。よって安楽に過ごすためには呼吸や
筋緊張、変形・拘縮へ配慮したものを考えなくてはならず、もっと動的な食事や排泄、その他活動を行う上ではその人の力を最大限発揮できるよう配慮し
たものになるかと思います。しかし、実用性という部分では介助者などの環境面も踏まえ判断することが必要と考えます。