我が国の対中南米外交政策 - ONG Trabras

我が国の対中南米外交政策
1.経済関係の強化 ~巨大市場としての中南米~
~資源・食料供給源としての中南米~
2.国際場裏での連携 ~高まる新興国の発言力~
3.安定的発展に対する支援 ~貧困・格差が不安定要因~
4. 日本的価値の展開 ~親日層の更なる拡大~
中南米概況
人口 5.9億人(11年,ECLAC)
面積 2,042万k㎡
国数 33か国
域内GDP 5.6兆米ドル(11年,IMF)
日系人 約160万人
我が国大使館数 21
在京中南米大使館数 22
平成24年10月 外務省中南米局
1.①経済関係の強化
~巨大市場としての中南米~
★中南米は新興経済地域。経済規模も着実に拡大
GDPはASEANの約2.5倍,一人あたりGDPは中国の
◆GDP(11年,名目値)
出典:IMF World Economic Outlook April,2012
2倍弱
中国
04年以降,約4~6%成長(世界経済危機直後の09年を除く)
債務危機,高インフレは過去のものに
 租税条約(ブラジル,メキシコ,コロンビア(当局間協議中))
 官民合同の協議枠組み(ブラジル,ベネズエラ等)
ASEAN
21,539
18,504
ベネズエラ
アルゼンチン
その他
11,162
10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000
(2)大型インフラ案件の獲得支援
(1)経済連携協定(EPA),投資協定等の経済的枠組みの強化
 社会保障協定(ブラジル)
56135
0
中心とした有望な成長市場
 投資協定(ペルー,コロンビア(署名済み))
メキシコ
中南米
韓国
ブラジル,メキシコ等の新興国を
ブラジル
58,695
ロシア
世界経済危機の影響は比較的軽微
 EPA(メキシコ,チリ,ペルー,コロンビア(交渉開始))
日本
(億米ドル)
過去の経済危機の教訓を踏まえた健全な財政政策
72,981
 鉄道(ブラジル,アルゼンチン,チリ,ベネズエラ)
(3)我が国製造業の中南米への進出の側面支援
 裾野産業育成の支援
 ビジネス環境整備を促進
(メキシコでは近年毎年30-40社ずつ進出日系企業が増加)
(4)太平洋同盟(チリ,コロンビア,メキシコ,ペルー)との関係強化
2012年9月,外相会談実施。
自由貿易主義志向の同同盟と各種レベルの対話を通し関係を強化
していく。
1.②経済関係の強化
~資源・食料供給源としての中南米~
★中南米は資源・食料外交の最前線
○銅生産量シェア(%)
○鉄鋼石生産量シェア(%)
銅,鉄鉱石等のみならず,リチウムなど「新しい」資源も豊富
大豆,とうもろこし,牛肉,鶏肉など主要農産品を生産
3か国計 44%
3か国計 16%
経済における国家の役割強く,資源の国家管理的動きも
官民連携を通じた経済関係の強化
日本の輸入に占めるシェア: チリ31%,ペルー12%
(4)資源・食料の安定確保のための連携強化
資源
○大豆生産量シェア(%)
:安定した調達契約や採掘権確保のための協力関係強化
【レアメタル】日本の輸入シェア
モリブデン: チリ(58%),メキシコ(7%)
リチウム: チリ(58%),アルゼンチン(5%)
 石油・天然ガス(ベネズエラ,ブラジル)
 リチウム(ボリビア,チリ,アルゼンチン)
中南米
48%
 銅(チリ,ペルー)
食料
ブラジル26%,ベネズエラ0.3%
リチウム潜在埋蔵量
ボリビア,チリ,アルゼンチンで
世界の75%超
:公的支援ツールの総合的活用による海外農業投資促進
日本の輸入に占めるシェア: ブラジル17%
出典:USGS Mineral Commodity
Summaries 2012 等
2.国際場裏での連携
33か国,伝統的な友好関係
中
南
米
の
特
徴
新興国の台頭
国連,国際機関等の投票行動や意思決定に大きな影響力
2011年にCELAC(中南米カリブ諸国共同体)創設し,将来的な地域統
合を模索
ブラジル,メキシコ,アルゼンチン
BRICS, IBSA
民主主義,市場経済の基盤共有
経済
今
後
の
主
要
協
力
分
野
気候変動
~高まる新興国の発言力~
G20
経済プレゼンス上昇
国際社会での影響力増大
ほぼすべての国で民主化
多くの国がFTA等を通じて市場開放政策を推進
WTO,G20等で中南米の新興国との協調が重要(メキシコは2012年のG20議長国)
太平洋同盟との関係強化。保護主義問題への対応。
メキシコは2010年のCOP16ホスト国
中南米にはカンクン合意の採択に反対した国も存在(ボリビア)。カリブ島嶼国も交渉上の影響力大。
中南米は世界で最初に非核地帯を設定(1968年,トラテロルコ条約)
核軍縮・不拡散
安保理改革
原子力の平和利用に専念(日豪主導の「核軍縮・不拡散に関する10か国グループ(NPDI)」にメキシコ,
チリが参加)
ブラジルとはG4決議案を推進。多くの中米・カリブ諸国は日本の常任理事国入りを支持。
(アルゼンチン,コロンビア,メキシコは,ブラジルへの対抗意識等からG4決議案に反対)
政 主要国との首脳・外相会合や定期的な政策協議を通じ戦略的パートナーシップを構築
(2012年,チリ,ペルー,パラグアイと首脳会談。太平洋同盟4か国,コロンビア,チリ,ペルー,グアテマラと外相会談を実施
策
(注:10月まで))
ツ
ー
ル 地域共同体(中米,カリブ等)との政策調整の場を活用し効果的に働きかけ
(2010年9月に第2回日・カリコム外相会議を開催/2010年1月に日・中米外相会合(FEALACのマージン)を開催)
3.安定的発展に対する支援
★経済発展の一方で大きな貧富の格差
90年代より
民主主義が定着
政治参加の拡大
~貧困・格差が不安定要因~
◆一人当たりGNI(11年)
◆我が国ODAの地域別実績
(供与総額)
日本
45,180ドル
・伝統的な格差社会
中南米
8,544ドル
中国
4,390ドル 中南米
・自由開放経済政策の限界
816
中東・北アフリカ
3,869ドル 7%
(経済成長を遂げつつも,貧富の差が拡大)
サブサハラ・アフリカ 1,254ドル
欧州
241
2%
アフリカ
3180
26%
出典:世界銀行
★貧困層を支持基盤とする急進的な政権がいくつか
の国で誕生(ベネズエラ,ボリビア,エクアドル等)
・国際経済危機の影響は比較的軽微。他方,貧困層(特に中小国)は打撃
・貧困削減,格差是正,インフラ整備,人材育成,防災,治安改善等が共通の課題
我が国の
取組
(単位:百万ドル)
2006
アジア
6426
52%
中東
1559
13%
経済社会開発や民主制度定着のための支援(ODA等)
・生活水準向上: 教育(算数教育),保健・医療(シャーガス病対策),環境,防災等
・産業インフラ整備: 電力,交通,通信,農村・地方開発等
・キャパシティ・ビルディング: 人材育成(各種研修,専門家派遣等)
・対ハイチ支援: 総額約1億ドルの援助,自衛隊を派遣
中進国と協力しての第三国支援(三角協力)を推進
・メキシコ,ブラジル,アルゼンチン,チリとの途上国支援プログラム
・中進国のドナー化を支援
・ポストMDGsの議論でも協力
欧州
232
2%
中南米
1006
7%
アフリカ
1835
14%
中東
2339
17%
アジア
8106
60%
2010
参考資料(鉱物資源)
銅鉱石
W:16,200千トン
37%
リチウム
W:25,300トン
44%
(チリ34.0%,
ペルー7.9%)
出典:USGS(米国地質調査所)
‘Mineral Commodity Summaries 2011 ’
0% 6%
中南米
(チリ34.8%,
アルゼンチン11.5%,
ブラジル0.7%)
43%
中南米
33%
中国
中国
18%
豪州
米国
5%
7%
7%
インドネシア
その他
その他
亜鉛鉱石
W:12,000千トン
12%
35%
29%
6%
中南米
中国
豪州
インド
その他
鉄鉱石
12%
0%
中南米
8%
17%
(ブラジル15.4%)
37%
中南米
中国
豪州
インド
その他
23%
6%
(ペルー14.6%,
ボリビア6.1%,
ブラジル4.6%)
44%
中国
米国
インドネシア
その他
その他
5%
(チリ52.0%,
ペルー10.4%)
63%
W:234,000トン
7%
24%
40%
中南米
米国
ポーランド
その他
カザフスタン
13%
0%
銀
モリブデン
4%
10%
中南米
豪州
中南米
中国
豪州
その他
W:48,000キログラム
9%
23%
18%
(ブラジル15.2%)
14%
39%
レニウム
12%
21%
中国
W:211,000千トン
18%
17%
34%
ボーキサイト
W:,2400百万トン
11%
11% (ペルー6.8%,
メキシコ4.5%,
ボリビア2.2%)
(ペルー12.7%,
メキシコ4.6%)
32%
スズ
W:261,000トン
鉛鉱石
W:4,100千トン
21%
(チリ16.7%,
25% ペルー5.1%,
メキシコ3.4%)
中南米
中国
カナダ
米国
その他
W:22,200トン
(ペルー18.0%,メキシコ15.8%,チ
リ6.8%,ボリビア6.1%)
49%
29%
0%
8%
14%
中南米
中国
豪州
その他