2輪型倒立振子車 「2WV」の開発 "LabVIEWを 用いることにより、 データ測定、車体情 報のグラフ表示、プ ログラムの値(サン プリング時間やゲイ ン値)を容易に変更 できるシステムを作 ることができまし た。" - 高橋 貴大 氏, 神奈川工科大 学 創造工学部 自 動車システム開発工 学科 石濱研究室 課題: 以下の条件を含む2 輪型倒立振子車 (2WV)を制作す る。 本体の構想、設計、 製作を8ヵ月間、制 御プログラム開発を 約2ヶ月間で完成さ せる 走行実験等における 各種データの取り出 し(保存)や、試走 後に制御ゲインの チューニングを容易 に行える 稼働中の車体の情報 をリアルタイムにグ ラフ表示でき、稼働 状態によってサンプ リング時間やゲイン 値をリアルタイムに 変更できる アスファルト地面で の走行でも制御シス テムの安全性を確保 する ソリューション: 制御システムの開発 には、直観的なイン タフェース(グラ フィカル)でシステ ムを構築でき、 し かも実機がなくても 開発が可能な LabVIEWを、 また、実機をコント ロールする段階で は、開発したシステ ムをそのまま2WV へ実装可能であり、 スタンドアロンで動 作する CompactRIO を用いて、2WV制 御システムのマシン インターフェイス、 データ測定、制御プ ログラムを開発しま した。 ユーザ事例の続きを 読む お客様名: 高橋 貴大 氏 - 神奈川工科大 学 創造工学部 自 動車システム開発工 学科 石濱研究室 1.背景 大学3年次に履修し たプロジェクト授業 において、人が乗車 可能な移動体を製作 するという課題が与 えられました。私た ちはこの課題につい て議論を行い、2輪 型倒立振子車(以 下、2WVと称しま す)を製作すること に決定しました。 2WVは人の体重移 動による車体の角度 変化等をセンサーで 検出、倒立振子の原 理を用いて操作量を 算出し、左右のモー ターをコントロール することにより移動 することができま す。2WVは不安定 で制御システムが必 須ですが、制御回路 を製作する知識や技 能も特になく、限ら れた期間内で、車両 本体の設計製作と制 御システムの開発等 をすべて行わなけれ ばならなりませんで した。そこで、制御 システムの開発で は、直観的なインタ フェース(グラフィ カル)でシステムを 構築でき、しかも実 機がなくても開発が 可能な LabVIEWを用 いることにしまし た。また、実機をコ ントロールする段階 では、開発したシス テムをそのまま 2WVへ実装可能で あり、スタンドアロ ンで動作する CompactRIO を用いることにしま した。 これらを用いて 2WV制御システム のマシンインター フェイス、データ測 定、制御プログラム を開発しました。 2.課題 2WVを制作するう えで、課題として次 の5点が挙げられま した。 (1) 本体の構想 (コンセプト)、設 計、製作が8ヵ月 間、制御プログラム 開発約2ヶ月間とい う期間で完成させな くてはならなかっ た。 (2) 従来、制 御プログラムを開発 する際、PICマイ コン等を使った複雑 な制御回路を開発し なくてはならなかっ たため多くの時間と 専門的な知識が必要 だった。また実機の モデルをPICに組 み込むことが容易に 行えないと推測され た。 (3) 走行実験 等における各種デー タの取り出し(保 存)や、試走後に制 御ゲインのチューニ ングを容易に行え る。 (4) 稼働中の 車体の情報をリアル タイムにグラフ表示 でき、稼働状態に よってサンプリング 時間やゲイン値をリ アルタイムに変更で きる。 (5) 坂道を除 くアスファルト地面 での走行でも制御シ ステムの安全性を確 保する。 3.ソリューション 3-1 システム構 成 システム構成を Fig.2に示しま す。2WVの制御シ ステムは CompactRIO+C モジュールを用いる ことにより非常にシ ンプルなものとなり ました。車体の情報 を得るためのセン サーとしてジャイロ センサー1個、傾斜 角センサー1個の計 2個を搭載していま す。これらのセン サーはアナログ電圧 で情報を出力するた めNI 9215を 介してNI cRIO-9014 に取り込みます。 NI cRIO- 9014ではセン サーからの入力と姿 勢の目標値から制御 ゲインを算出し、指 令電圧をNI 9263を介して モータードライバに 出力します。NI cRIO-9014 はボルトによる完全 固定はせず、本体と マジックテープで固 定しました。システ ムが不安定になった 場合の対策として、 ハンドル付近に制御 プログラムの緊急停 止スイッチも設置し ています。このス イッチは制御プログ ラムの指令電圧の ON/OFFを切り 替えるスイッチ (VI)と接続され ているのでデータ計 測中でもcRIOの 電源を切ることなく モーターを停止させ ることができます。 Fig.1 2WV Fig.2 システ ム構成 1/8 www.ni.com Fig.3 2WV制御部拡大 3-2 ソフトウェ ア構成 Fig.4にフロン トパネルに示しま す。フロントパネル では角度、オフセッ ト後の角度、角速度 の表示グラフが3 個、左右モーターへ の指令電圧の表示グ ラフが2個ありま す。姿勢センサーの キャリブレーション をプログラム起動時 にいつも行うことで 常に正しい角度で制 御を実行することが できます。そして キャリブレーション (初期姿勢校正)中 であるかを確認でき るよう、LEDが2 個設置してありま す。使用したモー タードライバが 0V~5Vの指令電 圧であったため、計 算した操作量を変換 するVIを作りまし た。 Fig.4 フロン トパネル 3-3 結果 ・課題(1)(2) プログラムの予定 開発期間2ヶ月の間 で完成し、走行テス トを行うことができ ました。本体が完成 する前にFig. 6 で示す実験機を NI cRIO9014と接続して 使うことで、倒立振 子のシミュレーショ ンや実際にプログラ ムを使った制御実験 を行い、大まかな挙 動やゲインを取得し ておくことができま した。その結果、本 体の製作と制御プロ グラムの製作を同時 進行で行うことで開 発期間を短縮するこ とができたと思いま す。 ・課題(3)(4) 同様に、 LabVIEWを用 いることにより、 データ測定、車体情 報のグラフ表示、プ ログラムの値(サン プリング時間やゲイ ン値)を容易に変更 できるシステムを作 ることができまし た。 ・課題(5) NI cRIO- 9014を本体内部 に固定し実装するこ とで、坂道を除くア スファルト地面での 走行でも制御システ ムの安全性を確保す ることができまし た。スタンドアロン での制御における安 全性に関しても、緊 急停止スイッチをプ ログラムに組み込む ことで確保すること ができました。 Fig.5 走行 風景 走行風景のビデオは こちら Fig.6 実験機 2/8 www.ni.com Fig.6 実験機 3/8 www.ni.com Fig.1 2WV 4/8 www.ni.com Fig.2 シス テム構成 Fig.3 2WV制御部拡大 5/8 www.ni.com Fig.4 フロン トパネル 6/8 www.ni.com Fig.5 走行 風景 7/8 www.ni.com Fig.6 実験 機 法律関連事項 このユーザ事例(こ の「ユーザ事例」) はナショナルインス ツルメンツ (「NI」)の顧客 によって作成された ものです。このユー ザ事例は「現状のま ま」提供され、一切 の保証を伴いませ ん。また、このユー ザ事例の使用につい ては、本サイトの使 用条件でより具体的 に記載されていると おり、一定の制限を 受けます。 8/8 www.ni.com
© Copyright 2025 Paperzz