「子宮頸がんに対する根治目的の放射線治療または同時化学放射線療法

「子宮頸がんに対する根治目的の放射線治療または同時化学放射線療法後の頸部腫
瘍残存例における救済的子宮摘出術の実施状況に関する調査研究」
調査研究のお知らせとお願い
本調査研究の概要を以下に示します。対象に該当すると思われる方で、本調査研究に関するお
問い合わせや調査の対象となることを希望されない場合は、担当医にお申し出ください。
【本調査の目的】
同時化学放射線療法(以下 CCRT)の導入により局所進行子宮頸がんにおける治療成績は改善傾向にはあ
りますが、組織型や腫瘍径によって CCRT にて完治しない症例も一定の頻度で発生しています。本邦で行
われた子宮頸がんの試験では、21%の症例に治療後残存を認めたと報告されています。また海外での解析
では、骨盤内再発、放射線増感剤の既往および 1 年以内の再発、が最も重要な予後不良因子として同定さ
れました。この結果は放射線治療後に腫瘍残存が認められる患者さんが極めて予後不良であることを示唆
しており、標準的に行われる全身化学療法ではコントロール困難な病態と考えられます。一方、現時点で
は根治の可能性のある唯一の治療法として、残存腫瘍を摘出する手術療法が挙げられます。しかし放射線
治療後の子宮摘出術の安全性については、合併症が 16-25%と高率に発生しているという報告もあります。
このように放射線治療後に腫瘍が残存した方への治療法については決まったものがありません。そのため
本研究では子宮頸がんに対する根治目的の放射線治療あるいは同時化学放射線療法後に局所に残存腫瘍
を認めた患者さんに対して行った治療法を網羅的に観察することにより、それらの安全性と有効性を検討
します。この調査研究により、行われた治療法の中で根治治療完遂を目的とした子宮摘出術に適した対象
群を抽出し、子宮摘出術の有用性を検証する前向き研究を計画することの妥当性を評価する予定です。
【対象】
静岡県立静岡がんセンター 婦人科を本研究代表として、当院を含めた研究主旨に賛同した共同研究施
設において、2005 年 1 月より 2014 年 12 月までの 10 年間に根治的(同時化学)放射線治療(外部照射+
腔内照射)を行った子宮頸がん IB 期から IVA 期症例のうち、放射線治療後に子宮頸部に腫瘍の残存が疑
われ、放射線治療終了後 1 年以内に子宮摘出術、化学療法あるいは放射線治療追加のいずれかを行った症
例
【調査項目】
① 症例番号は施設名と連続した通し番号で記入する。カルテ番号、イニシャルなど患者さんを特定でき
る情報は用いない。
② 放射線治療前所見および放射線治療情報
1)組織型 2)FIGO 進行期、3)子宮頸部腫瘍径(MRI にて測定した最大径)、4)骨盤リンパ節転移の有無、
5)傍大動脈節転移の有無、6)傍子宮組織浸潤の有無、7)腟壁浸潤の有無、8)子宮体部浸潤の有無、9)
外部照射(全骨盤照射を含む)の部位と線量、10)密封小線源治療(腔内照射あるいは組織内照射)の有無
と線量、11)化学療法併用の有無、12)併用抗がん剤の種類、13)Boost 照射の有無と線量
④ 残存診断時所見
1)年齢、2)PS、3)子宮頸部残存の診断方法、4)残存腫瘍部位、5)腫瘍マーカー、6)残存腫瘍径、
7)残存腫瘍の傍子宮組織浸潤、8)残存腫瘍の腟壁浸潤、9)骨盤内リンパ節転移残存の残存個数
⑤ 残存腫瘍に対する治療について
1)治療法、2)残存腫瘍の存在を確定してから治療を開始するまでの期間
3)-1 手術療法について i)術式、ii)リンパ節摘出の有無、iii)手術完遂度、iv)摘出標本における病
理所見、v)手術時間、vi)出血量、vii)合併症 早期と晩期、viii)術後全身化学療法の有無
3)-2 化学療法について i)化学療法開始前に、根治的放射線治療後の残存状態と比較して増大があったか
の有無、ii)化学療法レジメン、iii)残存腫瘍に対する治療効果判定、iv)有害事象、v)化学療法後の子宮
摘出術の有無
3)-3 放射線治療追加について i)放射線治療開始前に、根治的放射線治療後の残存状態と比較して増
大があったかの有無、ii)放射線治療の方法、iii) 効果判定、iv) 有害事象、v) 放射線治療追加後の子
宮摘出術の有無
⑥ 転帰について
1)増悪の有無、2)増悪部位、3)死亡の有無
【調査期間】
倫理委員会承認から 1 年間(調査状況により調査期間を延長する可能性があります)
照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
研究施設責任者:名古屋大学医学部附属病院 産科婦人科 吉川 史隆
研究施設担当者:名古屋大学医学部附属病院 産科婦人科 鈴木 史朗
〒 466-8550
名古屋市昭和区鶴舞町 65 名古屋大学医学部産科婦人科医局
TEL:052-744-2261
FAX:052-744-2268
苦情の受付先
:名古屋大学医学部附属病院 総務課
TEL:052-744-2479