平成 28 年 10 月 18 日 経済産業大臣 世耕 弘成 様 日本生活協同組合

平成 28 年 10 月 18 日
経済産業大臣
世耕
弘成
様
日本生活協同組合連合会 専務理事 和田 寿昭
(総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会委員)
家庭用LPガスの料金透明化等に関わる要望書
家庭用 LP ガスの料金透明化等に関わり、総合資源エネルギー調査会
の消費者代表委員として、要望を申し上げます。
資源・燃料分科会
本年 4 月に家庭用電気小売が自由化され、来年 4 月には家庭用都市ガス小売も自由化さ
れることにより、家庭用エネルギーのすべてが自由化される中、あらためて、もともと自由
市場・自由料金だった家庭用 LP ガス小売のあり方が問われています。このため、本年春に
「資源・燃料分科会 石油・天然ガス小委員会」の下に「液化石油ガス流通ワーキンググル
ープ」が設置され、報告書がとりまとめられました。そこでは、
「LP ガスが消費者から選択
されるためには、LP ガスの小売価格の透明性の確保・向上を早急に進める」ことが必要で
あるなど、家庭用 LP ガス小売事業のあり方に関わって、多くの提言が述べられています。
消費者団体では、この報告書を踏まえて、この間、様々な調査を実施してきました。
日本生協連では、「わが家の電気・ガス料金しらべ」を「5 月分」に引き続き、「8 月分」
について実施し、その結果を報告書にまとめました。(別冊資料)
また、日本の主要な消費者団体で構成されている全国消費者団体連絡会(全国消団連)は、
9 月 30 日に「LP ガス販売における情報開示に関するアンケート調査結果報告」をまとめて
発表しました。
(ホームページ URL: http://www.shodanren.gr.jp/Annai/518.htm)さらに、
日本生協連では、全国消団連の調査結果をもとに、未回答の LP ガス事業者のホームページ
も独自に調査して、ホームページにおける LP ガス料金の情報開示状況を整理しました。
これらの調査から明らかになったことは、主に以下の 3 点です。
①日本生協連の調査では、LP ガス料金(8 月)は、都市ガスの料金よりも月平均で約 1,160
円ほど高く、都市ガス会社から 3 大都市ガス会社(東京ガス、大阪ガス、東邦ガス)を除い
た比較でも、LP ガスの方が 799 円高くなっています。LP ガスの料金は、家庭によって大
きくバラツキがあります。また、LP ガスの料金の中でも、集合住宅の方が戸建の方より、
月平均で 1,215 円も高くなっています。
この現状を放置したまま、都市ガスを自由化した場合、LP ガスの競争力はより一層衰え
る可能性があると同時に、逆に経過措置料金規制が課されない都市ガス事業者が、高い LP
ガス料金まで値上げすることが危惧されます。とりわけ、現実的に選択の自由のない集合住
宅にお住いの方は、きわめて不利な立場におかれており、不当に高いガス料金を払わなけれ
ばならない事態が広がる可能性があります。
②全国消団連の調査では、回答した 45 都道府県の LP ガス協会のすべてが、全国 LP ガス
協会が策定した「LP ガス販売指針」について、何らかの方法で「周知活動をしている」と
回答しています。ところが、加盟事業者の遵守状況については、1 つの協会以外は、「確認
していない」あるいは「無回答」でした。
③LP ガス販売の大手 100 事業者に対する「家庭用 LP ガスの標準的な料金メニュー(料金
表)のホームページでの公表状況」では、約 40 事業者程度が情報開示をはじめたものの、
LP ガス販売事業者が全国に約 2 万事業者あることを踏まえると、きわめて少ないのが現状
です。政府がしっかりと指針(ガイドライン)を示した上で、全国 2 万社を視野において、
実態を定期的に調査し、進捗状況を確認していくことが必要です。
これらの調査結果を踏まえて、あらためて、消費者の立場から、以下の 3 点を要望いたし
ます。
1.
「液化石油ガス流通ワーキンググループ」報告書の内容に沿った「家庭用 LP ガスの小売
営業に関する指針(ガイドライン)」を、早急にまとめて、公表すること。できれば「都市
ガスの小売営業に関する指針」と同時期に、おそくとも平成 28 年度内には、公表すること。
一般の消費者にとって、家庭用の都市ガスと LP ガスの用途はほぼ同じであり、「家庭用
ガス」として認識されています。このため、現在検討をしている「都市ガスの小売営業に関
する指針」と同時期に「家庭用 LP ガスの小売営業に関する指針(ガイドライン)」が公表
されることが、もっともわかりやすく、また、ガス間の競争の公平性の観点からも望ましい
と考えます。「液化石油ガス流通ワーキンググループ」報告書の内容に沿った「家庭用 LP
ガスの小売営業に関する指針(ガイドライン)」を、
「都市ガスの小売営業に関する指針」と
同時期にまとめて、公表することを要望いたします。検討に時間を要して、間に合わない場
合でも、平成 28 年度内には取りまとめ、公表するようお願いいたします。
2.政府の指針(ガイドライン)をまとめた後に、すべての家庭用LPガス販売事業者を対
象に、定期的に指針の遵守状況を調査すること。
全国消団連の調査では、全国 LP ガス協会策定の「LP ガス販売指針」について、LP ガス
の都道府県協会が、1協会を除いて、指針の項目の遵守状況を確認しておらず、家庭用 LP
ガス販売事業者が「LP ガス販売指針」で示された項目が遵守されているかどうかといった
現状を、まったく把握できていない現状が明らかになりました。
政府の指針においては、このようなことにならないように、定期的に LP ガス販売事業者
の状況を調査し、PDCA サイクルをまわしていくことが大切と考えます。指針が「絵に描
いた餅」にならないようにするために、事業者に対する定期的な調査の実施を要望いたしま
す。
3.全国規模の電気・ガス(都市ガス・LPガス)・灯油の料金に関する消費者モニター調
査制度をつくり、毎月の家庭用エネルギー料金の動向を把握・分析し、公表すること。
家庭用エネルギーは、公共性の高い生活必需品です。これまで、政府は消費者(需要家)
利益をひとつの大きな目的として、電気・都市ガスの全面的に自由化を進めてきましたが、
そうである以上、家庭用エネルギーの料金動向全体を正確に把握・分析し、監視していくこ
とが政府の責任と考えます。今後の各エネルギーシステムの見直しを検討していく際にも、
消費者段階での情報は必要です。政府として全国規模の消費者モニター調査制度をつくり、
監視と今後の制度改善に活かしていくことを要望いたします。
(別冊資料)
「わが家の電気・ガス料金しらべ(8月分)」報告書
以上