ISSN 0919-8253 TAKUSHOKU UNIVERSITY HEAD OFFICE : 3-4-14 KOHINATA BUNKYO-KU, TOKYO, JAPAN RESEARCH INSTITUTE OF SCIENCE AND ENGINEERING 815-1, TATEMACHI, HACHIOJI TOKYO, JAPAN ISSN 0919-8253 BULLETIN OF SCIENCE AND ENGINEERING TAKUSHOKU UNIVERSITY CONTENTS REVIEWS FULL PAPERS SHORT NOTES 3 7 11 17 27 37 47 55 61 71 79 83 85 89 91 93 95 97 99 V OL . 10 NO. 2 OC T. 2 0 0 8 ABSTRACTS PROFILES AND WORKS OF RETIRING PROFESSORS When I put down the sign “Educational Information Engineering” ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ Makoto Takeya Possibility of the designer participation to product development based on user needs collection on the Internet ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ Toshiaki Takesue Yoma Isakawa Non-destructive Testing for Composite Material Structures ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ Shinichi Koshide Unsteady Aerodynamic Characteristics of Transonic Compressor Cascade in Pitching Oscillation Mode (Case of Incompressible Flow Region) ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ Takanori Hirano Ichiro Fujimoto Unsteady Aerodynamic Characteristics of Transonic Compressor Cascade in Pitching Oscillation Mode (Case of Subsonic Flow Region) ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ Takanori Hirano Ichiro Fujimoto Unsteady Aerodynamic Characteristics of Transonic Compressor Cascade in Pitching Oscillation Mode (Case of Transonic Flow Region) ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ Takanori Hirano Ichiro Fujimoto Characteristic analysis of Takeya’s rank correlation coefficient ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ Makoto Takeya Prospects for micro-area analysis in SIMS ÷÷÷÷÷ Setsuko Seki Hifumi Tamura Development of data analysis program for imaging riometer by using MATLAB (Sequel) ÷÷÷÷÷ Yoshimasa Tanaka Kazuo Makita Masanori Nishino Takashi Ookawa New photometer installed at Okinawa and its preliminary observation results ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ Kazuo Makita Mitsuo Hoshino Motoharu Takano Kohei Masuda Development of Flexible Cold Roll Forming Machine ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ Hiroshi Ona Rihou Shou Takuo Nagamachi Kiyomasa Hoshi On Discrimination of Motions from Myoelectric Signal ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ Yoshio Nishikawa Yoshihito Kagawa Shape Measurement of LSI Leads with High Density by Using a 2D Laser Displacement Meter ÷÷÷÷÷÷÷÷ Chong Chen Hajime Kanada Takehiko Ogawa Toward the Biocomputer ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ Akio Kawana Analysis of HTS Striplines using the Time-Dependent GL Equation ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ Shigeru Yoshimori Takehito Shimizu Atsushi Uchida A Bit Error Rate Worst Pattern of Waveform Discrimination Using 2-7 Code Neural Networks ÷÷÷÷÷÷ Kouta Miyazato Takehiko Ogawa Hajime Kanada Shigeru Yoshizawa Inverse Estimation of Joint Angles of Robot Arm by Network Inversion ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ Nanae Sekiguchi Takehiko Ogawa Hajime Kanada Generating the Well-Formed Formulas from Natural Language Sentences and the Inference Scheme ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ Tsutomu Ishikawa Ethylene is involved in vascular cavity formation in pea (Pisum sativum) primary roots ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ Daniel. K. Gladish Teruo Niki BULLE TI N O F S CI E N CE A ND E NGI NE E R I N G TA KUS HO K U U NI V E RS IT Y Vol.10 No.2 Oct. 2008 拓 殖 大 学 理 工 学 研 究 報 告 拓殖大学 理工学研究報告 Vol.10 No.2 Oct. 2008 目次 留学報告 定年退職教員のご挨拶と略歴等 3 「教育情報工学」の看板を下ろすに当たって ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 竹谷 誠 インターネット上でのユーザニーズ収集に基づく 商品開発へのデザイナー参画の可能性 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 竹末俊昭 率川陽馬 7 複合材料構造の非破壊試験 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 越出愼一 11 ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常空力特性(非圧縮領域の場合) ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 平野孝典 藤本一郎 17 ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常空力特性(亜音速領域の場合) ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 平野孝典 藤本一郎 27 ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常空力特性(遷音速領域の場合) ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 平野孝典 藤本一郎 37 Characteristic analysis of Takeya’s rank correlation coefficient ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 竹谷 誠 47 SIMSの極微小部分析に向けて ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 関 節子 田村一二三 55 イメージングリオメータのデータ解析プログラムの開発(続編) ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 田中良昌 巻田和男 西野正徳 大川隆志 61 沖縄に設置したフォトメータとその観測結果 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 巻田和男 星野光男 高野元春 増田耕平 71 フレキシブル冷間ロール成形機械の開発 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 小奈 弘 蒋 昊 長町拓夫 星 清政 79 筋電信号を用いた動作識別に関する研究 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 西川佳男 香川美仁 83 2次元レーザ変位計を用いた高密度のLSIリードの形状計測 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 陳ツォン 金田 一 小川毅彦 85 バイオコンピュータ ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 川名明夫 89 時間依存のGL方程式を用いた高Tc超伝導マイクロストリップ線路の解析 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 吉森 茂 清水健仙 内田淳史 91 2-7符号を用いた磁気記録波形弁別における誤差率ワーストパターンの推定 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 宮里航太 小川毅彦 金田 一 吉澤 滋 93 ネットワークインバージョンによるロボットアーム関節角の逆推定 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 関口七重 小川毅彦 金田 一 95 自然言語文からの論理式生成 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 石川 勉 97 エンドウ種子主根中心柱における空隙形成とエチレン ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ ダニエル K. グラデイッシュ 仁木輝緒 99 モントリオール(カナダ)における研究と生活 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 長谷川淳 103 研究所員及び研究課題一覧 研究活動一覧・他 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 111 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 119 展望・解説 論文 研究速報 抄録 REPORTS Report on my Sabbatical Year in Montreal CA÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ Jun Hasegawa 103 RESEARCHERS & TITLES ACADEMIC REPORTS & SOCIAL ACTIVITIES ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 111 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 119 定年退職教員の略歴と著作 PROFILES AND WORKS OF RETIRING PROFESSORS 定年退職教員のご挨拶と略歴等 「教育情報工学」の看板を下ろすに当たって* ゆきえ 竹谷 誠(靱負)** ご 挨 拶 今年11月67歳、拓殖大学の定年を迎えます。NEC・拓殖大学在職中、永 きに亘りご厚誼を賜り心より御礼申し上げます。特に拓大の教職員各位には 心温まるご支援賜わりました。茲に衷心より御礼申し上げます。 研究仲間の諸氏や学生諸子にも恵まれ、また科研費助成にも恵まれました ことは、望外の喜びでした。お蔭様で半生を「教育情報工学」の看板を掲げ て、仁義を尊び、教育研究に励むことができました。偏に皆様方のご支援の 賜物と感謝申し上げます。 その間、3人の若き研究者―中村直人君(現千葉工大)松居辰則君(現早 大)佐々木整君(現拓大)―との研究討議は刺激的で楽しい思い出です。3 人の学位取得に微力を尽くせたのを、大変嬉しく思います。また夫々が小職 の微意を継承発展してくれていることは、喜びの極みです。 また竹谷研究室出身の精鋭五人―佐々木整君(工学部)小林政尚君(商学 部)岡本慎一郎君(電算室)高木真一君(主事室)川戸貴博君(電算室)― を拓大に推挙しました。夫々が活躍してくれていることは、誠に喜ばしい限 りです。「拓大よ、永遠なれ!」と祈念するばかりです。小職退職後も、引 き続き同君等をご指導ご鞭撻賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。 「教育情報工学」の看板を下ろしましても、玉響の命ではありますが、小 論(S-P表の特性解析法、項目関連構造(IRS)分析法、意味構造(SS)分析 法、戦略的課題系列化(STS)法、ロジカルフローテスト(LFT)法等)は下 記の10の辞書・事典類でご高覧に供することができます。諸先生方によるご 執筆、或いはご推薦により、小論の紹介という光栄に浴しました。茲に明記 させて頂いた先生お一人おひとりに対しまして、衷心より御礼申し上げます。 ・情報処理ハンドブック(情報処理学会)大槻説乎先生ご執筆(1767-9頁) ・電子情報通信ハンドブック(オーム社)岡本敏雄先生ご推薦(157-8頁) ・電子情報通信用語辞典(コロナ社)伊藤紘二先生ご推薦(171頁他) ・電子情報通信知識ベース(電子情報通信学会)永岡慶三先生ご推薦 (近刊) ・アルゴリズム辞典(共立出版)有澤誠先生ご推薦(422-3頁) ・現代教育評価辞典(金子書房)野嶋栄一郎先生ご執筆(232-3頁) ・教育工学事典(実教出版)清水康敬先生ご推薦(351-2頁)・松居辰則先生 ご執筆(230-1頁) ・多変量解析ハンドブック(朝倉書店)柳井晴夫先生ご推薦(735-45頁) ・新教育学大事典(第一法規出版)西之園晴夫先生ご推薦(5巻447-8頁) ・CAIハンドブック(フジテクノ)岡本敏雄先生ご推薦(206-11頁) これらは、斯学において多くの碩学に邂逅した幸運によります。まず恩師 の大照完先生、洲之内治夫先生、寺田文行先生、藤野喜一先生には、早大卒 業後のNEC時代においてもご指導を賜りました。また電子情報通信学会で は清水康敬先生、情報処理学会では有山正孝先生、日本教育工学会では坂元 昴先生、日本科学教育学会では下沢隆先生、日本行動計量学会では池田央先 生に、夫々大所高所からご指導賜り、お引き立て頂きました。この他に、お * 原稿受付 平成20年9月11日 ** 工学部情報工学科 3 略 歴 1941年生まれ 1968年 早大理工修士修了, NEC入社 1981年 理学博士号取得 1987年 NEC退社 拓大勤務 2002-3年 イリノイ大教育学部客員研究員 2009年 拓大定年退職 主要な著書 1991年 新・テスト理論, 早大出版部 1999年 Structure Analysis Method, Takushoku University 1998年 富士山の精神史, 青山社 2006年 富士山の祭神論, 岩田書院 主要な受賞 1975年 学術奨励賞, 電子通信学会 1989年 優秀賞, 日本行動計量学会 1996年 論文賞, 日本教育工学会 1999年 工学教育賞, 日本工業教育協会 論 文(『電子情報通信学会論文誌』よ り抜粋) CMIにおける得点一覧表の特性解析, D, 60-D, 11, 1977 教育評価に利用するテストの項目関連構 造分析, 62-D, 7, 1979 項目関連構造分析を応用したテストの特 性解析, 62-D, 11, 1979 選択肢回答のアンケート項目の順序特 性, J72-A, 5, 1989 選択肢回答の分布特性の定量的分析, J74-A, 1, 1991 意味構造グラフの2次元配置法, J75-A, 2, 1992 アンケート調査のための程度量表現用語 の意味構造分析, J75-A, 2, 1992 ハイパーメディアを用いた問題解決方略 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 世話になった先生は枚挙に遑がありませんが、フランク・B・ベーカー先 生、山下元先生、佐藤隆博先生、米澤宣義先生、赤堀侃司先生、デルウィ ン・L・ハーニッシュ先生他との研究討議も思い出深いものです。茲に各 先生に対しまして、衷心より深謝申し上げます。 更に研究協力の労を惜しまず教育現場で小論を活用して下さった小中 高・高専の先生方にも恵まれました。加藤好郎先生、岡田裕先生、菅野俊 郎先生、鎌田弘先生、中嶋信彰先生他、多数の先生方に衷心より御礼申し 上げます。 この他特筆すべきは、海外の研究者の福運にも恵まれたことです。韓国 の養英デジタル高校長丁潤聲先生、全北大学許仁順先生、台湾台中教育大 学の許天維先生・胡 先生です。夫々御国にて小論の普及活動に貢献し て下さいました。ここに謹んで感謝申し上げます。本年11月吉日の台中教 育大学における「国際研究集会」への招待講演が海外講演の掉尾を飾れま したのも、拓大創設時の台湾協会に思いを馳せますと、奇しき縁と申せま しょう。 以上、お蔭様をもちまして、平成二十一年三月吉旦に「教育情報工学」 の看板を下ろすことができます。 閑話休題。今後は日本文化の象徴―富士山―の研究に専念すべく、新し き看板「富士山文化研究」を掲げて参ります。余事故、これまで靱負の名 で『富士山の精神史―なぜ富士山を三峰に描くのか』と『富士山の祭神論』 の2冊を上梓したに過ぎません。今後不如意なことが多く、研究をどの程 度深めていけるか判りませんが、余生を天から授かりし「富士山文化研究」 に捧げる所存です。 歩む道は異なることになりますが、今後共旧来と変わりませずご厚誼の 程、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。 主要な 科学研究費 助成研究 1989-91年度 一般研究(C)研究代表者(竹谷誠) 「数学における問題解決モデルの構築と学習支援システムへの応用」 1991-93年度 試験研究(B)研究代表者(竹谷誠) 「科学教育のための自由探索型マルチメディアCAIシステムの開発」 1994-95年度 一般研究(C)研究代表者(竹谷誠) 「認知構造分析に基づく学習理論の開発」 1996-97年度 基盤研究(C)研究代表者(竹谷誠) 「合意形成支援のための認知構造の表現・解析技術の研究」 1998-99年度 基盤研究(C)研究代表者(竹谷誠) 「認知マップの到達度評価への応用に関する研究」 1999-2001年度 基盤研究(B)研究代表者(竹谷誠) 「バーチャル・スクールシステムの開発に関する研究」 2002-03年度 基盤研究(C)研究代表者(竹谷誠) 「認知マップテストの意味論的計量化法の研究」 2004-05年度 基盤研究(C)研究代表者(竹谷誠) 「分散共有仮想空間利用の学習環境と教材の共有化に関する研究」 2007-08年度 基盤研究(C)研究代表者(竹谷誠) 「Web教材のナビゲーション・アルゴリズムと学習プロセスの評価法の研究」 4 に基づく探索学習システム, J75-A,2, 1992 課題系列化のための教授方略の特性解 析, J75-A, 2, 1992 関連測度をもつ課題の系列化法, J75-A, 3, 1992 区間評定データの順序構造分析, J77-A, 12, 1994 学習者描画の認知マップによる理解度評 価法, J80-D-Ⅱ, 1, 1997 マルチレベルグラフの図解的描画アルゴ リズム, J80-A, 1, 1997 バーチャルリアリティ技術を用いた遠隔 教育システムの開発と適用, J83-D, 6, 2000 対戦型ゲームを利用した論理的思考能力 育成教材の開発, J83-D-Ⅰ, 6, 2000 分散共有仮想空間を利用した教材作成の ためのフレームワーク, J86-D-1, 6, 2003 学習課題の関連構造を評価するための差 異度, J89-D-Ⅰ, 5, 2006 戦略的課題系列化法に則った課題系列の 戦略推定法, J90-D-Ⅰ, 6, 2007 論 文(『富士山文化研究』より抜粋) お札博士スタールの富士登山記, 2号, 2001 白川伯家の富士山御師への教導活動―学 頭森顕胤を中心にして, 3号, 2002 『道歌心写画』所載の「心字富士」とそ の系譜に関する一考察, 4号, 2003 古伝の「富士山縁起」に見る富士山祭神 の諸相, 6号, 2005 富士山に纏わる赫夜姫譚の系譜と淵源の 推考, 7号, 2006 主要な講演等(富士山関連) 鼎談(大岡信・大山行男・竹谷靱負) 「日本人の心の風景−富士山」銀座百 点, 2004.10.22 招待講演「富士山と日本人の精神文 化」, 21世紀富士山日本文化フォーラ ム・シンポジウム, 富士吉田市, 2004.3.28 招待講演「お江戸と富士山」及び富士山 フォーラム(女優富士真奈美・竹谷靱負 他パネル討論),毎日新聞社,2005.2.23 基調講演「日本人のアイデンティティ― 富士山―」富士学会, 2006.10.7 講義「なぜ富士山の祭神は女神なのか」 富士市市民歴史講座, 富士市, 2008.6.4 展望・解説 REVIEWS インターネット上でのユーザニーズ収集に基づく商品開発へのデザイナー参画の可能性 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 竹末俊昭 率川陽馬 7 複合材料構造の非破壊試験 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 越出 愼一 11 ■展望・解説 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 インターネット上でのユーザニーズ収集に基づく商品開発へのデザイナー参画の可能性* Possibility of the designer participation to product development based on user needs collection on the Internet 竹末 俊昭 Toshiaki TAKESUE** 率川 陽馬 Yoma ISAKAWA*** Abstract Conventionally, product development follows the process of mass production and mass marketing. However, as consumers have become more diverse and unique in purchasing goods, their needs to “possess things different from those possessed by other people” have increased, thereby leading to the customization of goods. In such a business environment, research on a new framework for product development was launched by gathering a certain quantity of information about user needs, designers plan product development and develop a product by contacting the manufacturer. This is the “Cuusoo.com” (virtual life). In this approach, the designers collected users’ complaints and requests through the Internet and developed a new product by analyzing the potential needs. In addition, a mediator between the designer and the manufacturer successfully set up a manufacturing base and a system for marketing the product. This is a system which reduces the number of stock to almost zero by identifying a certain number of consumers and calculating recommended retail prices based on their voting before starting manufacturing. In addition, this paper aims to analyze a new framework for product development and clarify the difference in designer involvement in development between the new and the conventional systems by comparing the two different systems. Keywords:Product design, Internet marketing, Design management, User needs, Design to Order, CrowdSourcing 1.はじめに デアの展開方法、Webサイトでの運営上の問題把握などが可 従来、商品開発とは「企画→開発→製造→販売」という過 能であると考えた。 程を経て大量生産・販売されてきた。しかし、消費者(以下、 本研究では、これらの新しい商品企画構造を明らかにした ユーザ)の個性化指向が強まり「他人と違ったモノを持ちた 上で従来の構造と比較し、デザイナーのかかわり方の違いお い」というニーズが増加し、商品のカスタマイズ指向が高ま よびそれに付随するコンセンサス・コミュニティの形成につ ってきた。 いて考察する。 [1] そのような状況の中で、ユーザのニーズを一定量集める ことによって、デザイナーが企画し、製造拠点とコンタク 3.研究方法 トを執りながら商品開発する取り組みが始まった(「空想生 a 活」 [2] [3] )。ネット上でユーザの不満や要望を収集し、その潜 エレファントデザイン㈱におけるWebサイト「空想生活」 の取り組みについての文献調査 在ニーズを分析しながら新しい商品開発をし、さらにその仲 s 商品開発構造の編成についての考察 介役によって製造拠点の設定や企画販売する、というシステ d クラウドソーシングについての調査 ムで、予約販売でユーザを特定することにより希望小売価格 f 商品開発構造の変遷に伴うデザイナーの関わりについて を最適化し、その後製造を開始するため、基本的には在庫を の考察 ゼロに近づかせるものである。 4.「空想生活」についての調査 2.背景と目的 4.1 「空想生活」の発足 前項で述べた背景のもと、インターネット上でのユーザニ 1992年に始めたカバンのオーダーメイドでビジネスを開始 ーズ収集の方法や商品企画の新しい構造について模索してい するものの、なかなか伸びない売り上げ体験を基に、5年後 るエレファントデザイン㈱(西山浩平・代表取締役)による の1997年には「1つのデザインに対して100人のオーダーが Webサイト「空想生活」の運営に着目した。 集まってから作ろう」と思い立ち、「インターネットで事前 さらに2007年2月に㈱良品計画の協力で運営を開始した に予約を集めてから製造を開始する」という事業を始めた Webサイト「空想無印」は、現状では試行段階ではあるが、 (1998年エレファントデザイン㈱発足)。1999年に「空想家電」 それらの運営状況を観察するとともに、筆者らの所属する大 サイトの運営を開始し、2000年には「空想家電」を「空想生 学の学生が、エレファントデザイン㈱の運営する「空想スク 活」と改め、開発対象製品を生活全全般に広げた。 ール」に参画することによって、アイデアの発想方法やアイ 4.2 Design To Orderの仕組み エレファントデザイン㈱が構築しているシステムである 「空想生活」は、Design To Order (DTO) というビジネスモ * ** *** 原稿受付 平成20年6月11日 工学部工業デザイン学科 大学院工学研究科工業デザイン専攻 デルを核にしたユーザ起点の商品開発を支援するシステムを 運用している。[2] 7 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 Design To Orderはユーザの 5.商品開発構造の変遷 エレファントデザイン㈱の事業展開のように、ICT 要望をデザイン化し、採算が合 うまで購入予約を集めてから製 (Information and Communication Technology) 造販売する、という「売ってか 取り組みが出てきたことで商品開発の構造も従来とは異なっ らつくる」を可能にするビジネ た形態が生まれ、多様化が始まった。[6] [7] [8]よって商品が市場 スモデルである(図1)。在庫 に出回る際に経る過程の整理を行った。その結果、大きく分 リスクを軽減するために、販売 けて3つの体系を構成していることがわかる。これらは全て、 の過程を前倒しにしている点が 段階的に推移しながら並列して存在している。 [4] [5] を活用した まずビジネスモデルの変遷については、既存の順番通りに 大きな特徴となっており、商品 「販売」が一番後に位置するもの、 「販売」をしてから「製造」 開発前に精度の高い需要予測が するもの、「販売」をしてから「開発」をするもの、という 可能となる。 Design To Orderは、これま ようになっている。 で満たされていなかった需要を それらはそれぞれ、レディメイド市場を意味する「Build 顕在化し、新しい市場を開拓す To Stock」、パソコンの直販に代表されるようなカスタムメ ることを目指している。 図1 システムの流れ イド市場を意味する「Build To Order」、そして「空想生活」 のシステムである「Design To Order」というように名付け 4.3 「空想無印」の発足 2001年になると「無印良品」を展開している㈱良品計画と られている。 在庫の形態に関しては、大量生産・大量販売の形態では在 提携し、2007年2月に「空想無印」を立ち上げた。 庫は増大する。多品種少量生産の形態では、製品ではなくそ (http://www.cuusoo.jp/muji) これは、過去に販売していたものも含む無印良品の商品を れを構成する部品の在庫が増大するようになる。そして インターネット上に掲載し、既存商品の改善提案または新た 「Design To Order」ではユーザの購入意思を確認して生産す るため、在庫の軽減が可能になる。 な商品提案を投稿してもらい、他の参加者からコメントをも それぞれの段階でのデザイナーの役割は、モノのデザイン、 らいながらアイデアを展開して行くシステムである。提案の 概要には、商品の詳細(想定価格など)を提示し、プレゼン コトやサービスのデザイン、ソリューションのデザイン、と テーションすることで、そのアイデアの賛同者に投票をして いうように枠組みに合わせて変化、拡大をしてきている。 このようにICTが広く普及し、ユーザの情報収集力の向上 もらい、得票数の多いものから製品化に向けて動き出す、と いう取り組みである。 図2 商品開発構造の変遷 8 竹末俊昭 率川陽馬 インターネット上でのユーザニーズ収集に基づく商品開発へのデザイナー参画の可能性 だけではなくSNS (Social Networking Service) やWeblogなど 外的存在によって示される環境下にあり、デザイナーはその の普及によりユーザは情報発信の能力まで兼ね備えるように 課題を解くことを仕事としていた。 なり、自らのニーズを発信できるようになった。それに呼応 しかし、いわゆる市場成熟期に入り、上流工程(開発や研 するように商品開発を行う際の手法が拡張され、よりユーザ 究)段階からデザイナーが参画するようになってくると、デ に近い商品開発とユーザのニーズの多様化が始まった。つま ザイナーは研究者や開発設計のメンバーとコラボレーション り、商品開発を推進する上でのコーディネータ(仲介をして をするようになり、コンセプトの段階から参画するようにな 企画を取りまとめる役割)として、「企業」と「ユーザ」を った。 取り持つデザイナーの役割と必要性がより一層重要になった 一方、生産工程より下流の販売部門とのコラボレーション と考えられる。 も重要となり、上流工程から下流工程までの一気通貫に関与 する、いわゆる総合的視点に立つようになり、広義のブラン 6.クラウドソーシングの台頭 ド戦略までを担うようになってきた。 7.2 デザイナーの発想と「ソリューションデザイン」 一方、米国では2006年6月に、米国Wired誌の寄稿編集者 であるジェフ・ハウ(Jeff Howe)が同誌に掲載した「The 次に、デザイナーが課題解決に際し、どのような発想法で Rise of CrowdSourcing」において、写真素材提供サイト 物事を決めていくのかのプロセスについても言及しておく。 「iStockphoto」によってプロカメラマンによる写真素材集ビ まず、デザイナーがデザインに取り組む際に行うのが「仮 ジネスが立ち行かなくなるという事例や、科学課題解決コミ 説構築」である。この仮説構築の段階では、デザインサーベ ュニティサイト「InnoCentive」が大企業の研究開発に役立 イなどを行い、ユーザや対象物を漠然と観察し、それに対す っている事例を取り上げた。それ以降このような現象をクラ る課題を見つける、ということを取り組む。 ウドソーシングと名付けている。[9] 次に、デザインサーベイや、得られた課題から構築した仮 ここでは、企業などがインターネットを通じて,不特定多 説を基に「コンセプトを策定」する。つまり、コンセプトを 数の“群集”(crowd:クラウド)にアウトソーシングを行 策定するために仮説を成就させるための与条件をチェックし うこととされているが、アウトソーシングの場合、社外では ていく。ここでの与条件とは、ユーザニーズ、ライフスタイ あるもののプロと呼ばれる人たちを雇うというケースが多い ル、仕様、機構、安全性、生産性、材料、仕上げ、使い勝手、 ことに対して、クラウドソーシングは低賃金もしくは無償で 分かりやすさ、インタフェース、コスト、価格、流通、知的 プロジェクトに参加してくれる人を集めたり、アイデアを収 所有権、瑕疵問題などといった多岐に渡るものである。そこ 集したりすることと定義している。この意味から、アウトソ には審美性の要素はもちろん、快適性や感動、喜び、嬉しさ ーシングはプロへの委託、クラウドソーシングはアマチュア など定量的な把握がしづらい感性的な要素を加味しながらバ の参画と言える。 ランスを採っているのである。 Web2.0と呼ばれるSNSで米国にてクラウドソーシングを コンセプトが策定され、すべての与条件をうまく解決でき 実践している例としては「Cambrian House」が挙げられ るケースであれば、そのままデザインを展開していくことが る。[10] できるが、複雑で多岐に渡る与条件が全て満足できないこと これはまさにアマチュアのアイデアをインターネット上で が往々にして生じてくる。 集めたり、批判しあったりしながらゲーム感覚でイメージを この場面において、デザイナーがとる行為が「発想の転換」 共同制作していく「『場』の提供」と言える。 である。すべての与条件を均等に満足させることは不可能で 一方、日本における「空想生活」は4.1項に示すように、 あることから、ある要件は諦めたり、別なモノやコトで課題 少なくとも1997年からこういった取り組みを実践しており、 解決したり、というようにデザイナー自身の個性をいかした アイデアやニーズを集める段階は上記のようなアマチュア参 方法論を採る。 画の形態を採っているが、企画を取りまとめる領域にはプロ 実は、この「発想の転換」という段階が非常に重要で、た の参画を要請しているところが大きな違いであろう。 だ理論を順序よく展開するだけではなく、発想のジャンプや 置き換えが普遍的に起こっている。 7.商品開発とデザインの関わり 発想のジャンプや置き換えの源は何か、というと、それは 7.1 デザイン依頼の過程の変遷 デザイナー自身の経験によるものであったり、デザイナー自 ここで、商品開発とデザインの関わりについて整理をして 身が持つ知識によるものであったり、または取り組んでいる おく。 物事とは直接は関係ない事柄から得られるものであったり 高度成長期においては、商品開発担当者(あるいはクライ と、デザイナー自身がどれだけ多くの「引き出し」を持って アント)が別に存在し、デザイン分野は課題解決の方向性が いるか、ということになる。 9 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 引用文献 このように、デザイナーが「発想の転換」を活用し、様々 な諸問題を理知的に解決していくことを、筆者らは「ソリュ [1] One-to-one Marketing, FUJITSU.52, 1, pp.26-30, 2001 ーションデザイン」と定義している。 [2] 7.3 「クラウドソーシング」と「ソリューションデザイン」 [3] エレファントデザイン㈱会社案内 EOYアントレプレナー 西山浩平氏, 2002 http://www.eoy.ne.jp/entrepreneur/2002/nishiyama.html デザインの対象が「モノ」から「コト」、そして「サービ [4] ス」にまで領域展開するに従い、目に見えない課題をも取扱 HITACHI電子行政用語集 - ICTとは, 2004 http://www.hitachi.co.jp/Div/jkk/glossary/0056.html うようになった。 [5] 従来のデザイナーはユーザニーズの整理をし、そこから見 NTT Com - ICTソリューションポータル, 2006 http://www.ntt.com/ict/concept/index.html えてくる方向性を提示してきた。さらに、技術などをどのよ [6] MIT Sloan Management Review「Reducing the Risks of うに活用するか、プロセスを楽しむユーザに対してどのよう なサービスを提示するか、といった各々の要件を総合化し、 New Product Development」, 小川進 Frank T. Piller, 目に見える形で提示してきた。 2006 [7] 2002年度Wide大学「情報技術による価値創造」資料よ そしてさらに、経験知の編集やユーザシナリオを描いてイ メージを伝達するペルソナ手法[11]などの表現手段を存分に活 り生産・消費の構造が変わる, 國領二郎 [8] 一橋ビジネスレビュー「消費者参加型の商品開発ビジ 用し、コンセプトを外在化させる方法をとるようになった。 ネスモデルの可能性」, 山下裕子 古川一郎, 2002 今後、「空想生活」サイトに代表される「クラウドソーシ [9] クラウドソーシングとは, 2006 ング」のような不特定多数の意見を収集し、対話を進めなが http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/crowdsourcing.html ら商品開発していくような仕組みが増えていく可能性は、 [10] Cambrian House, 2006 ICTの発展とともにますます高くなっていくであろう。 http://www.cambrianhouse.com/ そういった時代に向けて、デザイナーは「モノ」「コト」 [11] ペルソナ手法, 山崎和彦, 2008 「サービス」などを対象にしながら、より価値の高い課題の http://www.personadesign.net/ 提示と、その課題解決(「ソリューションデザイン」)に参画 していけるものと考えている。 参考文献 ・田坂広志, THE21「ウェブ2.0革命」論,pp.68-71, 2006 8.おわりに ICTの発展により、インターネットや携帯電話の普及と高 ・西山浩平, 特技懇No.227「消費者起動型の商品開発プロセ スが企業活動に与える影響」, pp.7-20, 2003 機能化、コモディティ化が進む中、商品開発の仕組みも5項 ・小川進, 神戸大経済経営学会 国民経済雑誌 第185巻 第5号 で示すように多様化し、一般ユーザも声を直接聴きながら商 「ユーザー起動型ビジネスモデル」, pp.65-76, 2002 品開発が進められるような時代を迎えるようになってきた。 「クラウドソーシング」という言葉が使われはじめてまだ ・濱岡豊 田中秀樹, JAPAN MARKETING JOURNAL 104 日は浅く、明確に定義された概念ではないが、多様化するユ 「創造/発信する人々の動機と能力」,Vol.26 No.4, pp.52-65, 2007 ーザニーズに応える手段としては、十分に期待できるもので ・Eric von Hippel,日経ジャーナル2006年1月号 ある。 「Democratizing Innovation」, 2006 それだけに、単にユーザの声を「ギャザリング」するだけ の手段に留めるのではなく、そこにより高い価値を付加して ・竹末俊昭 率川陽馬, インターネット上でのユーザニーズ収 くためにも、商品開発のプロセスの中にデザイナーの参画 集に基づく商品開発システム構造へのアプローチ, 日本感 性工学会 第9回大会,CD-ROM-H74, 2007 (つまり、「デザイン」で培った発想法と課題解決法を存分に ・Toshiaki TAKESUE, Yoma ISAKAWA, Approach to 活用すること)が必要であろうと考えている。 product development system construction by collecting 本稿の提起ではまだ必要性を語るには不十分ではあるが、 user needs on the Internet, International Conference on 今後もさらなる調査と実践を継続していきたい。 Kansei Engineering and Emotion Research 2007, CDROM-F-25, 2007 謝辞 本研究を進めるにあたり、エレファントデザイン㈱の西山 ・率川陽馬, インターネット上でのコンセンサス・コミュニ 浩平代表取締役ほか伊藤宗方氏、谷岡拡氏、村井卓哉氏には ティ形成の研究 <空想生活を事例として>,八王子産学公 資料提供や空想スクール運営にご協力いただきました。ここ 連携機構 第7回 研究成果発表講演会,pp.140-141, 2007 に関係各位に対し謝意を表します。 10 ■展望・解説 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 複合材料構造の非破壊試験* Non-destructive Testing for Composite Material Structures 越出 愼一 Shinichi KOSHIDE** Abstract Polymer-matrix fiber-reinforced composite material as a CFRP is high strength-to-weight ratio and high rigidity-toweight ratio. The materials constitute now a important structural fraction of the commercial aircraft. However, the defects like porosity, delamination and damage are produced in the fraction of composite materials. Detection of the defects by non-destructive testing technique is very important for the fractions. This paper reviews the non-destructive testing techniques for the fraction of composite material. Keywords:Non-destructive testing, Composite material structures, X-ray radiography, Ultrasonic testing, Thermography, Holographic interferometry 1.まえがき 結合では穿孔による孔縁の損傷などが生じる。このような成 連続繊維と樹脂で構成された有機系先進複合材料、ここで 形や製作過程で入る不完全部を非破壊試験により正確に検出 は単に複合材料と称するが、この材料は重さに対する強度、 する必要がある。一方、微視的にみると気泡の存在などの避 すなわち比強度が優れていることで、とくに構造の軽量化が けられない不完全部があっても、使用条件によってはほとん 厳しく要求される航空機や宇宙構造物の有効な材料として注 ど無害と思われる場合もある。 目されている。ただ、初期のころのガラスやアラミド繊維の さらに、構造物としての稼動時には静的、動的な荷重を受 材料は重さに対する剛性、すなわち比剛性が十分でなく、こ けて損傷あるいは破損が生じるが、複合材料構造ではこの損 のため航空機構造の場合は内装材料あるいは主翼のフラップ 傷や破損も特異なものになる。構造表面に垂直な方向から受 のような二次構造部材に適用が限られていた。その後、連続 けた比較的小さい衝撃でも層間はく離が生じ、これが面内の 炭素繊維と樹脂による複合材料(CFRP)が開発された。こ 圧縮強度を急激に低下させるような例もある。また、面内の の材料は比強度のみでなく比剛性も優れており、さらに繊維 繰り返し荷重による疲労損傷は従来の金属材料のような疲労 の配向を変えることにより強度特性を制御して空力学的に最 き裂が進展するのとは違い、層間はく離が生じ、このはく離 適な設計ができる材料とも言われている。このため、航空機 が進展して行く形になり、進展の状態も複雑になる。したが の主構造材料へも適用されるようになった。 って、非破壊試験法も場合によって適切な方法を選ばなけれ 一方、複合材料は金属材料のような等方性・均質な材料と ばならず、不完全部や損傷を定性的に検出するだけでなく、 は違い、異方性・不均質材料である。また、製造過程で不完 定量的、すなわち形状や大きさをできるだけ正確に求めて、 全性が入る可能性があり、負荷による損傷や破損の状態も特 強度が評価できるようにしなければならない。 異なものになる。このため、構造部材への使用にあたっては 3.複合材料に対する非破壊試験法 強度的な信頼性に問題があり、とくに大型民間航空機への使 用がなかなか進まなかった。したがって、複合材料にとって 前述のように複合材料の強度を評価するためには、定量的 は、材料や構造の内部状態を破壊せずに調べる非破壊試験が に高精度で不完全部や損傷を検出する非破壊試験法が必要に 非常に重要になっている。そこで、ここでは複合材料の非破 なる。Table 1はこれまでに複合材料あるいはこの構造部材 壊試験法と筆者が長年携わってきた航空機用材料あるいは構 Table 1 Non-destructive testing techniques for composite material and structural fraction 造部材への適用例について紹介させていただく。 2.複合材料構造の不完全性と損傷 複合材料構造では、まず材料の成形過程で内部に入る不完 全性が問題になる。とくに積層材料では繊維と樹脂で構成さ れたプリプレグと言われている布状のものを要求された枚数 重ね高温・高圧で成形される。この過程では樹脂内に気泡が 混入したり、層間が十分接着されないはく離部分が生じる。 また、複合材料の強度は繊維配向に支配され、繊維の方向が 設定どおりになっていないと強度が変化してしまう。さらに、 複合材料構造には接着あるいはボルトやリベットによる機械 的な結合が適用されている。接着構造では接着不良、機械的 * ** 原稿受付 平成20年6月11日 理工学総合研究所客員研究員 11 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 への適用が試みられた非破壊試験法を示してある。 この表でも判るようにX線などの放射線や熱、光などの電 磁波による非破壊試験法、音響あるいは超音波などの弾性波 による非破壊試験法の適用が試みられているが、複合材料の 不完全部や損傷はかなり複雑なので、一つの方法では十分で なく、種々な方法を適用する必要がある。 4.複合材料及びこの構造部材の非破壊試験の例 各種の非破壊試験法が複合材料あるいはこの構造部材の不 完全部や損傷の検出法として試みられているが、このうちX 線透過試験法及び超音波探傷試験法は有効な方法として広く Fig.2 適用されている。この他、熱を利用したサーモグラフィ法、 Rial-time X-ray imageing system 光を利用したホログラフィ干渉法なども場合によっては適用 可能な方法であることも確認されている。ここでは、これら る場合には非常に有効な方法になる。その例としてFig.2に の方法の原理並びに複合材料への応用例を示す。 示すような航空機の尾翼のような大型の構造部材へ適用でき 4.1 放射線透過試験法 るようなX線透過試験法の装置が開発されている。 X線などの放射線を利用した透過試験法の基本的な原理を この装置は集束させたX線を試験体前面にわたり走査さ Fig.1に示す。 せ、このときの影像を直接観察するシステムであり、航空機 この方法はX線などの放射線を試料に入射し、この透過影 の尾翼に使用される複合材料サンドイッチ部材に適用して内 像をフィルム上に感光させて内部の状況を観察する方法であ 部の異物検出などに利用されている。 る。しかし、複合材料の場合はX線の透過特性が金属材料よ このようにX線透過試験法は有効な方法であることが確認 りも人体に近いこともあるので、医療用の場合と同じ軟X線、 されていて、すでにこの方法の適用に関する日本工業規格 すなわち波長の比較的長いX線が使用される。また、この方 (JIS)も制定されている。 法は材料や部材内部の不完全部や損傷の検出に有効である この他、中性子線による透過試験法の適用も試みられてい が、気泡や層間はく離のような空気の層はX線の透過特性が る。しかし、中性子線は水素原子のある物体は非常に透過し 複合材料とほぼ同じなので、この層に造影剤を浸透させない 難くなる特性があるので、有機系複合材料への適用は必ずし と検出ができなくなってしまう弱点がる。 も有効であるとは言えない。 4.2 超音波探傷試験法 一方、異物の混入やハニカム・サンドイッチ構造のように 異なった材料が組み合わされている部材の不完全部を検出す これまでも超音波探傷試験法はいろいろな分野の非破壊試 験法として広く応用されているが、複合材料あるいはこの部 材の不完全部や損傷の検出に対して有効であり、現在ではこ の試験法の適用に関しても日本工業規格(JIS)が制定され ている。Fig.3にはこの試験法の基本的な原理を示す。 この方法では図のように試料表面から超音波を入射すると 表示部で底面から反射してきた波が観察できる。一方、試料 内部に不完全部や損傷があると底面からの反射波だけでなく 不完全部あるいは損傷からの反射波も観察される。このよう にして不完全部や損傷が検出できる。 さらに、発信された超音波を集束して走査させ、面全体の Fig.3の表示部のような波形の記録から、不完全部や損傷の 領域あるいは形状を示す二次元的な影像を精度よく検出する ことができる。しかし、航空機の構造部材などは薄い板と補 強材で構成されている。このような板状の部材へ適用する場 合には検出分解能を高くしなければならず、これには使用す る超音波の周波数を高くする必要がある。一方、周波数の高 Fig.1 Principle of X-ray radiography い超音波を複合材料に適用すると減衰が大きくなってしま 12 越出愼一 複合材料構造の非破壊試験 Fig.5 Local immersion method of ultrasonic testing も適用できるようになっている。さらに、大型構造部材用の ロボット式超音波探傷試験装置と称される反射法、透過法、 全水浸法、局部水浸法いずれも可能な装置も開発されてい Fig.3 Principle of ultrasonic testing る。 4.3 熱を利用した非破壊試験法 う。この二つの条件から、実用的には5から25MHzの超音 熱を利用した方法、一般にはサーモグラフィ法とも称され 波が使用されている。ところが、この周波数領域の超音波は ているが、Fig.6はこの非破壊試験法の原理を示している。 空気中を伝播しない。このため、水浸法、すなわち試料を水 中に置き、水を介して超音波を伝播させる方法がとられてい る。Fig.4は超音波探傷水浸法により、面に垂直な方向から 衝撃をうけたCFRP板の層間はく離を検出した例である。こ の例では菱形状になった層間はく離部とこの大きさを明確に 検出できることが示されている。 なお、大型構造部材へこの水浸法を適用する場合には大き な水槽が必要になる。このような場合に対してはFig.5のよ うな局部水浸法と称されている装置が開発されている。この 装置は先に述べた反射波を観測する方法ではなく、透過法、 すなわち試験体を透過してきた超音波を観察する方法がとら Fig.6 れている。また、試験体全体を水に入れるのではなく、超音 Detection of defect by thermography 波が伝播する部分のみに水柱を構成させる方法で、図のよう に発信と受信部を同期させて走査することにより大型部材へ 試験体を表面から熱すると、これを通ってきた熱流により 裏面の温度が上昇する。もし試験体内部に不完全部や損傷が あると、この部分で熱流がわずかに変化し、これによって裏 面の温度分布も変化する。したがって、この温度分布を観察 すれば内部状態を判別することができる。しかし、微小な温 度変化を観察しなければならず、非破壊試験法として必ずし も有効な方法ではなかったが、最近では非常に高精度で微小 な温度分布の測定ができるサーモグラフィ装置が開発され、 また複合材料では熱容量が大きく、熱流の伝播が比較的遅い ので適用することが可能になった。Fig.7はサーモグラフィ 法でCFRP板の層間はく離を検出した例である。 この例からもわかるように、本方法でも5mm程度の大き さまで不完全部の存在を判定することはできる。しかし、形 Fig.4 Detection of deramination in CFRP 状などを正確に求めることはできず、強度評価に必要な定量 13 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 れる。Fig.8はCFRP外板とアルミ・ハニカム心材により構成 されたサンドイッチ部材で観察されたしま模様である。 このしま模様は温度変化により外板がわずかに面外変形し たことを表している。とくに左側の像の細かいしま模様は変 形が多少大きくなり、接着不良であることを示している。こ のようにホログラフィ干渉法のしま模様を観察することによ り、部材の不完全部や損傷を定性的に検出することはできる。 しかし、本方法も不完全部や損傷の評価ができるような定量 的な検出にまで適用するのには無理な面がある。 5.あとがき Fig.7 Detection of deraminaton by thermography ここでは、主に航空機構造用に使用する有機系複合材料の 非破壊試験の現状についての紹介をした。とくにCFRPは比 的な検出ができるまでには至っていない。 強度、比剛性ともに優れた材料であり、構造の軽量化には非 4.4 光を利用した非破壊試験法 常に有効であることから、今後さらに航空機の構造部材への 構造物のき裂などを拡大鏡、ファイバスコープなどで検出 使用範囲が広がって行くと予想されている。最近就航したエ する目視による方法も光を利用した方法と言えるが、ここで アーバスA380あるいは現在開発中のボーイングB787などで はとくにレーザ光によるホログラフィ干渉法の複合材料部材 は構造部材の約50%が複合材料化されている。さらに、将来 への適用例を紹介する。 の超音速大型民間航空機(SST)では耐熱性の複合材料の使 レーザ光のような可干渉光を二つに分け、一方の光で物体 用も予定されている。 を照射し、この反射光あるいは透過光を写真用感光板に露光 一方、航空機構造では軽量化のみでなく経済性の面からも させる。もう一方の光は参照光としてそのまま同じ感光板に 損傷許容設計が取り入れられている。これは稼動中の構造に 露光させ、この二つの光で物体の像に関する情報を感光板に 損傷を生じてもこれを正確に検出して強度的な評価をすれば 記録させる。さらに、この情報が記録された感光板を参照光 安全が保たれると言う概念の設計である。このようなことか のみで構成された光学系に入れると、再生像として物体の像 らも、複合材料構造の強度的な信頼性を高める上で非破壊試 を観察することができる。これがホログラフィの原理である。 験法は必須の技術になっていると思われる。 とくに、微小変形前後の物体に照射した光を二重露光させた 最後に、非破壊試験法が複合材料構造にとって非常に重要 感光板で再生像を観察すると、変位に関係した干渉じまが現 な技術であることを知って頂くのに本解説が役に立てば幸い である。 参考文献 1)金原 勲(編),高分子系複合材料の非破壊試験・評価 ハンドブック,日本規格協会,p.25∼42,1955 2)土門 齊,越出愼一,やさしい非破壊検査技術,工業調 査会,p.162∼165,1996 3)JIS K 7091,炭素繊維強化プラスチック板のX線透過試 験方法,日本規格協会,1996 4)JIS K 7090,炭素繊維強化プラスチック板の超音波探傷 試験方法,日本規格協会,1996 Fig.8 Detection of un-bond in sandowich fraction 14 論 文 FULL PAPERS ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常空力特性(非圧縮領域の場合)÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 平野孝典 藤本一郎 17 ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常空力特性(亜音速領域の場合)÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 平野孝典 藤本一郎 27 ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常空力特性(遷音速領域の場合)÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 平野孝典 藤本一郎 37 Characteristic analysis of Takeya’s rank correlation coefficient÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 竹谷 誠 47 SIMSの極微小部分析に向けて ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 関 節子 田村一二三 55 イメージングリオメータのデータ解析プログラムの開発(続編)÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 田中良昌 巻田和男 西野正徳 大川隆志 61 沖縄に設置したフォトメータとその観測結果 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 巻田和男 星野光男 高野元春 増田耕平 71 ■論文 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常空力特性(非圧縮領域の場合)* Unsteady Aerodynamic Characteristics of Transonic Compressor Cascade in Pitching Oscillation Mode (Case of Incompressible Flow Region) 平野 孝典 Takanori HIRANO** 藤本 一郎 Ichiro FUJIMOTO** Abstract To clarify the unsteady aerodynamic characteristics of the transonic compressor cascade, we constructed the experimental apparatus and measuring system using the one-blade vibration method in which only one blade in the cascade is subjected to pitching oscillation. Experimental analyses were carried out in the case of incompressible flow region. It was observed that the No.0th blade contributed to aerodynamically stability, and the No.-1 blade located upstream side (pressure side) of the vibrating blade had a dominant contribution to the aerodynamic instability. Keywords:incompressible flow,unsteady flow, internal flow, compressor cascade, flutter, one-blade oscillation method 1.序 論 x : 翼弦方向座標 G : 食違い角 ジェットエンジンなどターボ機械では、性能向上のために、 流入速度の高速化や翼列翼の長大化ならびに薄翼化がなされ S : 翼間ピッチ ており、結果として翼列翼に作用する流体力が増加し、振動 σ 等の構造的不安定性が増す傾向にある。遷音速領域ではフラ U∞ : 翼列流入速度 ッタ発生速度の急激な低下が起こるためa、遷音速領域での p∞ : 翼列上流静圧 非定常空力特性を解明する研究s−dがなされてきている。本 p0 研究では、圧縮性や翼間衝撃波変動が、ねじり振動モードの p : 静圧あるいは翼面圧力 : 弦節比(ソリディティ)(=c/S) : 翼列上流全圧 翼列の非定常空力特性に及ぼす影響について調べることを目 f : 翼振動数 的として実験的解析を行うが、本報では実験装置、実験手法 ω 及び非圧縮領域における結果について報告し、その他の結果 k : 無次元振動数(cω/U∞) については、続報で報告する。 M : 翼列上流 : 角振動数(=2πf ) マッハ数 非圧縮領域における非失速翼列および失速翼列の翼列フラ ッタに関する研究は、古くから行われてきたf−j。非圧縮領 域の実験では、流速が低いので、比較的低い翼振動数で高い κ : 比熱比(空気:κ=1.4) 無次元振動数が得られるため、任意の翼間位相差で全翼を振 α : 迎角 動させる全翼振動時の実験(全翼振動法)が可能であり、非 α0 : 角振幅 失速翼列フラッタおよび失速翼列フラッタ共に、フラッタ発 β 生限界について理論と良く一致する結果が得られている。し A : 圧力振幅 : 翼間位相差(背面側位相進みを正) : モーメントの腕長さ かし、遷音速翼列では流速が大きいので、高い無次元振動数 l の範囲まで実験を行うためには翼振動数を高くする必要があ ⊿s : 翼面要素長 り、全翼振動法による実験は非常に困難である。 φ : 翼振動変位に対する位相差 Cp : 圧力係数(=(p−p∞)/(p0−p∞)) 本研究では、非圧縮領域から遷音速領域までの広い流速範 囲について実験を行うために、実験装置が比較的簡便にでき CM : 非定常モーメント係数 る一翼振動法gを用いた。これは翼列中1枚の翼のみを振動 W : 翼間位相差βにおける全翼振動時の無次元非定常空 させた場合に誘起される各翼の非定常空気力を求めておき、 力仕事 一翼振動法により任意の翼間位相差を持たせて重ね合わせる Wm : m番翼から0番翼への無次元非定常空力仕事の寄与分 ことにより全翼振動時の非定常空力特性を求める解析手法で E : 無次元局所エネルギ ある。本報告では、前述したように、非圧縮領域における一 ||: 絶対値あるいは振幅 翼振動時の各翼の非定常空力特性及び全翼振動時の非定常空 3.実験装置および方法 力特性について報告する。 3.1 風洞、翼列および供試翼 2.おもな記号 本実験で用いた遷音速風洞を図1に示す。本風洞は、作動 c : 翼弦長 流体に空気を使用する全長10.24mの密閉回流式風洞で連続 運転が可能である。測定部は矩形断面で、幅は100mm、高 さは100mm∼200mmの範囲内で可変となっている。測定部 * ** 原稿受付 平成20年年6月11日 機械システム工学科 におけるマッハ数は0.1∼1.2の範囲内で設定可能である。測 17 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 定部の一方の側面にはシュリーレンガラスが、他方にはシュ リーレン反射鏡が設置されている。 図2に本実験で使用した供試翼列模式図と翼列条件を示 す。翼列は9枚の翼で構成された直線圧縮機翼列であり、図 1の遷音速風洞測定部内に設置されている。翼列条件は、食 い違い角G =30゜、翼間ピッチS =40mm、弦節比σ=1.68であ る。 Fig.3 Fig.1 Test blade Transonic wind tunnel 供試翼として実機で一般的に用いられる二重円弧翼を用い た。図3に圧力測定翼を示す。翼幅99mm、翼弦長67.25mm、 厚み比8%、転向角10゜である。圧力測定翼の翼面上には直 径0.6mmの圧力孔が、翼背面側に13個、翼腹面側に11個設け てある。各圧力孔は、内径0.8mmの圧力導管により、翼支持 部を通して独立に外部へ通じており、シリコンゴムチューブ を介してスキャニングバルブの圧力ポートに接続される。上 流側(前縁側)の圧力孔による影響を避けるために、圧力孔 は下流側に向かい、翼幅方向にずらせて配置してある。0番 振動翼は、剛性を高めるためにチタニウム合金で製作した。 その他の翼はアルミ合金製である。圧力測定翼のうち、0番 振動翼の上流側(腹面側)に位置する−1番翼の背面側3箇 所(x/c = 0.203(③)、0.5(⑦)、0.797(⑪))の圧力孔と Fig.2 Test cascade 同じ位置に、図4に示すように超小型圧力変換器(kulite社 製、XCS-062-15SG)が埋め込まれており、翼面上の非定常 翼列への流入角度は、風洞測定部のターンテーブルにより 圧力が直接測定される。この超小型圧力変換器で測定した非 設定される。本研究では流れの入射角を0° (迎角5°)とし 定常圧力は、同じ翼弦方向位置の圧力孔から圧力伝達経路を た。これら9枚の翼のうち、中央に位置する0番翼(図中 通して測定される非定常圧力の校正圧力の参照圧力として用 No.0)のみが振動翼であり、それ以外の8枚の翼は静止固 いた。 定翼である。0番翼の翼支持部は、測定部外部に設置された 高速ねじり加振装置に取り付けられており、その反対側は、 翼弦中心に固定されたピンとシュリーレンガラス中心に穿っ た小孔内のマイクロベアリングによって支持されている。0 番翼には、翼弦中心をねじり中心として角振幅2゜の正弦的 ねじり振動が与えられる。0番翼を除く全ての翼(No.±1、 No.±2、No.±3及びダミー翼)は、測定部内に片持ちで 固定支持される。9枚の翼のうち、0番翼(No.0)とその 上下4枚(No.−2、No.−1、No.+1、No.+2)の計5枚 Fig.4 の翼が、非定常翼面圧力計測用の圧力測定翼となっている。 18 Detail of pressure transducer 平野孝典 藤本一郎 ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常空力特性(非圧縮領域の場合) 表1に、図3に示した圧力測定翼面上の圧力測定孔およ 孔から内径0.8mm、長さ180mmの中空銅管及び長さ100mm び−1番翼背面に埋め込まれた超小型圧力変換器設置位置の のシリコンチューブを介して3台の48ポートのスキャニング 座標を示す。 バルブ(Scanivalve Corporation、48J9)に接続される。ス キャニングバルブ内には拡散型半導体圧力変換器の一端に連 Table 1 結されており、角振幅2°のねじり振動が加えられる。出力 Location of pressure taps(%) 軸の他端にはダミー翼が取り付けられており、その振動変位 を渦電流式非接触変位計(Kaman、KD-2300-5SU)を用い て計測することにより、振動翼の変位が計測される。加振装 置は内部の円筒ドラムの円周上に8周期分の正弦波状の溝が 設けてあり、溝をスライドするカムフォロワーによって駆動 軸にねじり振動を与える機構となっている。この加振装置の 駆動軸の一端には図6に示す2種類のスリットを有するパル ス円板が取り付けられており、光電センサ(オムロン、ファ イバアンプE3X-F21+ファイバユニットE32-T21L)との組 み合わせにより、一つのスリットでは振動翼の迎角増加時の 平均迎角時にスタートトリガ用パルスが出力され、他の種類 のスリットでは翼振動一周期を32等分した位相ごとにサンプ 3.2 翼面圧力計測システム 図5に翼面非定常圧力計測システムを示す。測定部に設置 された直線翼列を構成する9枚の翼の内、5枚が圧力測定翼 となっている。これら5枚の圧力測定翼の圧力は、翼面圧力 Fig.6 Table 2 Fig.5 Data acquisition system 19 Schematic of pulse disk initial phase shift of disk slit 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 リングトリガ用パルスが出力される。表2にスリットの初期 以上のことから、翼振動数が低い場合、振動翼の影響は振 位相(オフセット値)を示す。計測データは、翼面圧力、振 動翼に面する隣接翼面には及ぶが、それ以上離れた翼面には 動翼変位であり、スタートトリガで計測を開始し、サンプリ ほとんど及ばないことが分る。翼振動数の高いk = 0.613の ングトリガ入力時のデータがコンピュータに取り込まれる。 場合についても同様に、各翼の圧力分布の時間変化を調べた 各圧力測定翼の圧力孔からスキャニングバルブ内の圧力変換 が、一翼振動が隣接翼に及ぼす影響範囲は、翼振動数が高く 器までの圧力導管部の長さは、圧力伝達特性を同一にするた なっても、振動翼に面する隣接翼面にほぼ限定されることが めにすべて同じ長さにしてある。あらかじめ静圧、流速(マ 分った。ただし、翼振動数が高い場合、圧力変動振幅は翼振 ッハ数)および変動圧力振幅を考慮して求めた圧力伝達特性 動数の低い場合とほとんど差がないが、翼振動変位に対して を用いて計測した翼面圧力の校正を行った。 圧力変動に位相遅れが生じることから、位相遅れがフラッタ 特性に影響を及ぼす要因であると考えられる。 4.実験結果および考察 非圧縮領域(流入マッハ数M =0.15)における結果として、 一翼振動時の各翼の非定常空力特性および一翼振動法による 重ね合わせを用いて求めた全翼振動時の非定常空力特性につ いて示す。 4.1 一翼振動時の非定常空力特性 a 非定常翼面圧力 図7a∼eに、0番翼がα=α0 sinωt(α0:角振幅)で ねじり振動する場合の、各々a0番翼、b−1番翼、c−2 番翼、d+1番翼およびe+2番翼の翼振動一周期中の瞬時 圧力分布を、無次元振動数 k の小さい場合の例として、 k = 0.074(f = 8.8Hz)について示す。横軸は無次元翼弦方向座 標x/c、縦軸は圧力係数Cpを示す。図の下方(ωt = 0)か ら上方(ωt = 2π)に向かって、翼振動位相を等間隔でず らせて表示してある。圧力係数Cpは式aで定義した。 a ここで、pは翼面圧力、p∞は上流静圧、p0は上流全圧であ る。また、無次元振動数kは翼弦長cを代表長さに取ってお り、次式で与えられる。 s 図を見ると、0番翼(図7a)の背面では、翼振動に伴う 圧力分布の時間変化が翼全体にわたり観察される。0番翼腹 面では、翼前縁付近で圧力分布の時間変化が観察されるが、 翼後縁付近では背面ほど顕著ではない。振動翼上流側(腹面 側)に位置する−1番翼(図7b)については、背面では後 縁付近で圧力分布に時間変化が見られるが、腹面ではほとん ど見られない。さらに上流側に位置する−2番翼(図7c) では、翼背面と、翼腹面共に圧力分布の時間変化はほとんど ない。次に、振動翼下流側(背面側)に位置する+1番翼 (図7d)では、翼背面ではほとんど圧力分布の時間変化は 見られないが、翼腹面ではx/c < 0.5の翼前縁側領域におい て若干の変化が見られる。+2番翼(図7e)では、翼背面、 翼腹面ともに、翼弦全体にわたり圧力分布の時間変化は見ら Fig.7 れない。 20 Pressure distribution of each blade (k=0.074) 平野孝典 藤本一郎 ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常空力特性(非圧縮領域の場合) 上げを正とするモーメントの腕の長さ 添字i:圧力孔番号 ただし、モーメントの腕の長さ l は、圧力孔位置が翼背面 側か腹面側かの別、及びねじり軸より前縁側か後縁側かの位 置関係により、次のように符号を付して考える。 背面 腹面 ねじり軸より前縁側 − + ねじり軸より後縁側 + − A 非定常翼面圧力の振幅・位相特性 一翼(0番翼)振動時に、各翼に誘起される非定常翼面圧 力の振動一次成分の振幅と振動翼変位に対する位相の翼弦方 向分布を図8a、bに示す。ak = 0.074とbk = 0.613を比 較すると、無次元振動数の変化は、概して圧力変動振幅には あまり影響を及ぼさず、位相特性に影響を及ぼすようであ る。 まず0番振動翼の振幅を見ると、いずれの k においても、 翼背面、翼腹面共に、翼前縁から翼後縁方向に単調減少して おり、翼振動により翼前縁側ほど大きな圧力変動が生じるこ おり、翼振動により翼前縁側ほど大きな圧力変動が生じるこ とが分かる。そのため翼弦中心まわりのモーメントは大きな 値となる(図9参照)。振動翼下流側(背面側)隣接翼の+ 1番翼では、翼背面の変動振幅は前縁付近(x/c = 0.1)で Fig.7(continued) Pressure distribution of each blade (k=0.074) は0.025程度の振幅があるが、それ以外では翼弦全体にわた り非常に小さい。翼腹面では0番翼と同様に、翼前縁から後 s 非定常空力特性 縁方向に単調に減少する。そのため、モーメントは翼腹面の ここでは一翼振動によって各翼に誘起されるA非定常圧力 影響により図9に示すように0番翼に次いで大きくなる。+ の基本振動数成分の振幅、位相特性およびB非定常モーメン 2番翼は、翼背面、翼腹面共に振幅は非常に小さい。振動翼 トについて考察する。翼の迎角がα=α0 sinωtで翼がねじり 上流側(腹面側)に位置する−1番翼の翼背面では、圧力変 振動する時、翼に誘起される非定常モーメントは、単純調和 動振幅は翼前縁からx/c = 0.5にかけて単調に増加し、その 振動ではなく、多種の高調波成分を含んでいるが、エネルギ 後方(x/c > 0.5)では若干小さくなるもののほぼ一定とな に寄与するのはその基本振動数成分のみである。そこで、非 っている。翼腹面については、振幅は翼弦全体にわたり非常 定常圧力についてもその基本振動数成分を考えればよい。 に小さい。圧力振幅は背面では大きいが、ねじり軸位置が翼 今、式aで与えられる非定常翼面圧力係数Cpの基本振動数 ~ ~ 成分をC pで表すと、C pは下式のように表される。 弦中心であるために、ねじり軸前後でほぼ相殺されるため、 モーメントとしては非常に小さくなる。−2番翼では、翼背 面、翼腹面共に振幅は翼弦全体にわたり小さいままであるが、 d 翼背面では+1番翼と+2番翼に比べると若干大きめの値と ~ ここで、C p:振幅 なっている。しかしねじり軸前後でほぼ対称であるため非定 φ:0番翼の振動に対する圧力変動の基本振動 常モーメント振幅は小さい。 位相をみると、0番振動翼では、k = 0.074の場合、x/c 数成分の位相差 > 0.9を除く範囲では、翼背面でほぼ180°、翼腹面でほぼ また、単位翼スパン及び単位角振幅あたりの非定常モーメ 0°と、π[rad]の位相で変動することが分かる。 k が高くな ント係数を下式のように定義する。 ると、翼背面では若干位相差は小さくなり、翼腹面では翼前 縁の0°からx/c = 0.6の45°まで単調増加し、それ以後はほ f ぼ45°一定となっている。+1番翼の翼背面では、k = 0.074 ここで、⊿s:翼面要素長 の場合、0 < x/c <0.3の範囲で0°から約140°まで単調に増 加し、x/c > 0.3の範囲ではほぼ170°一定となっている。+ l:翼面圧力がねじり軸まわりに作り出す、頭 21 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 Fig.8 Chordwise distribution of amplitude and phase angle of unsteady pressure of each blade 22 平野孝典 藤本一郎 ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常空力特性(非圧縮領域の場合) 1番翼腹面では全体にわたりほぼ180°で一定である。kが高 定常空力仕事に加える。他の翼についても同様である。 くなると、+1番翼背面ではx/c < 0.4の範囲で位相は小さ 今、翼間位相差β(背面側位相進みを正とする)で全翼が くなり、翼腹面ではわずかながら位相は減少する。+2番翼 角振幅α0、角振動数ωのねじり振動をする時、着目する翼 では、翼背面、翼腹面共に、どちらのkにおいても+1番翼 (0番翼)に働く無次元の非定常空力仕事W は、翼振動1サ とほぼ同じ変化傾向を示す。振動翼上流側に位置する−1番 イクル毎に流体によって0番翼に作用する仕事として、式g 翼と−2番翼については、位相はほほ0[rad]付近にあってk のように各翼からの寄与の和で与えられる。ここで、W > 0 の影響はほとんどない。 の領域が不安定領域を示す。 B 非定常モーメント 次に、非定常翼面圧力から各翼に誘起される翼弦中心まわ g りの非定常モーメントを計算した。図9に、ak = 0.074及 びbk = 0.613における各翼の非定常モーメント係数の振幅 ~ C Mと振動翼変位に対する位相差φを示す。いずれのkにお 身がなす仕事を表し、 W m はm番翼から0番翼への仕事の寄 いても、前述したように、振動翼上流側(腹面側)に位置す 与を表す。また、着目翼の、単位角振幅あたりの無次元翼面 る−1番翼と−2番翼および振動翼下流側(背面側)に位置 する+2番翼の振幅は、他の翼に比べると非常に小さい。k 局所エネルギEを下式のように定義する。Aは圧力変動の基 ~ 本振動数成分C pの振幅、φは翼振動変位に対する位相差を表 が増加すると、全ての翼について非定常モーメントの振幅は し、l は符号を考慮したモーメントの腕の長さを表す。 ただし、 W 0 は着目する翼(0番翼)に対して、その翼自 少し小さくなるようであるが、ほとんど変化は見られない。 位相差については、kが大きくなると0番翼の位相差と−2 番翼の位相差は若干大きくなり、+2番翼では若干小さくな h るが大きな相違は見られず、kの影響は非常に小さいと言える。 ここで、添字UとLは、各々翼の背面と腹面を示す。無次 元非定常空力仕事Wと無次元局所エネルギEとの関係は、下 式のとおりである。ただし、 s は翼面に沿う長さを表し、 i は翼表面の圧力孔番号である。 j 図10に、無次元振動数kをパラメータとして、着目翼(0 番翼)の全翼振動時の非定常空力仕事Wを翼間位相差β(背 面側翼位相進みを正)に対して示す。翼振動数が低い k = 0.074の場合、翼間位相差が15°<β<170°の範囲内に不安定 領域が存在する。最も危険な翼間位相差βは70°付近である。 kを増すと不安定領域の範囲は狭まり、k = 0.455とk = 0.613 Fig.9 Amplitude and phase of unsteady moment of each blade の間で安定となり、それ以上のkの範囲では、全てのβに対 してWは負となり安定である。 4.2 全翼振動時の非定常空力特性 ここで図11に、着目翼(0番翼)の非定常空力仕事に及ぼ 全翼振動時の非定常空力仕事は、一翼振動時の非定常空力 す各翼の寄与W m を、翼間位相差βに対して、a k = 0.074、 仕事の線形重ね合わせにより求めることができる。例えば、 bk = 0.302及びck = 0.613について示す。縦軸は各翼(m番 一翼振動時において、0番翼の振動により+1番翼に誘起さ 翼)から着目翼(0番翼)への非定常空力仕事の寄与Wm を れる非定常空力仕事は、全翼振動時においては、−1番翼か 示しており、図中の記号mは翼番号を示している。0番翼に ら0番翼に誘起される非定常空力仕事として0番翼自身の非 ついては、β=0°の値をβの全範囲に対して図示してある。 23 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 Fig.10 No.2,2008 Aerodynamic work at all-blade oscillation 振動数の低いak = 0.074の場合、0番振動翼自身の寄与は Wm < 0で安定側にあるがその絶対値が小さく、振動翼上流 側(腹面側)に位置する−1番翼から0番翼への寄与が大き いため、合成した場合には15°<β< 170°の範囲で不安定に なる。+1番翼はβ< 180°の範囲で安定、β> 180°の範囲で は不安定に寄与するが、寄与の大きさは小さい。振動翼から 離れた+2番翼と−2番翼の寄与も0°<β<90°の範囲では Wm > 0となり、若干ではあるが空力的不安定に寄与している。 次に、全翼振動時にWのピーク値がk = 0.074の場合より低 いbk = 0.302の場合は、30°<β<120°の範囲で不安定とな っている。−1番翼から0番翼への寄与はk = 0.074の場合 とほぼ同程度であり、+2番翼の寄与は若干小さくなってい るが、負である0番振動翼の寄与の絶対値が大きくなってい るため、重ね合わせた場合にWの大きさが減少することにな る。−2番翼の寄与はほとんど変わっていない。さらにkが 増加してk = 0.613となった場合、0番振動翼の非定常空力 仕事は k = 0.302の場合に比べてさらに負値が大きくなり、 Fig.11 その他の翼の寄与はほとんど変わらないことから、合成する Contribution of aerodynamic work of each blade to 0th blade とWは負となって安定となる。さらにkが高くなっても、ほ ぼ0番振動翼と−1番翼の関係だけで安定・不安定が決ま 布を示す。上図はエネルギ分布E、下図は圧力変動振幅Aと る。 位相φを示し、添え字のUとLは各々翼背面と翼腹面を示す。 ak = 0.074の場合を見ると、AUは前縁から後縁にかけて概 ここで、最も不安定となる翼間位相差(β≒70°)におけ る全翼振動時の翼面局所エネルギ分布を見てみる。局所エネ ねなだらかに減少する傾向を呈し、φUは後縁付近を除き前 ルギEは、翼面要素に対して翼振動1サイクルごとに流体か 縁から後縁方向に180°から120°へなだらかに変化している。 ら振動翼に流入する単位角振幅あたりのエネルギを表し、局 ねじり軸(x/c = 0.5)前後で腕の長さの符号が変わるため、 所的に安定、不安定に寄与する部位を調べるために有効であ ねじり軸より前縁側では安定(EU < 0)、後縁側では不安定 (EU > 0)に寄与することになる。翼腹面側では、ALの分布 る。 図12に ak = 0.074、b0.302およびc0.613の場合のWがピ はAUとほぼ同様な分布傾向を呈しており、φLは前縁から後 ークとなる危険位相差(β≒70°)における局所エネルギ分 縁方向に40°∼90°の範囲で単調増加している。そのため、ね 24 平野孝典 藤本一郎 ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常空力特性(非圧縮領域の場合) じり軸より前縁側の不安定(EL > 0)から後縁側の安定(EL < 0)へと単調に変化している。全非定常空力仕事Wを考え る時、EUはねじり軸より前縁側と後縁側でほぼ相殺するが、 ELは前縁側の不安定さが後縁側の安定さより大きいため、翼 全体としては不安定を呈する。つまり、翼前縁付近の腹面側 が大きな不安定要因となって、全体としては前縁付近が不安 定に寄与することになる。kが増加してbk = 0.302になると、 EUとELは翼全体にわたりk = 0.074の場合よりも若干小さく なるが、分布傾向は変わらない。しかし、ELはねじり軸より 前縁側の方が後縁側よりkの増加による減少の程度が大きい ために、全体としてELの不安定さは減少する。さらにkが高 いck = 0.613の場合では、ELはねじり軸前後でほぼ対称と なってエネルギ的にほぼ中立となるが、 E U はねじり軸から 前縁方向に単調減少し、kの低い場合に見られたように前縁 で0にはなっていない。これは、非定常圧力振幅はほとんど 変化していないが、位相が180°より小さくなっているためで ある。また、翼後縁付近でも負値が大きくなっており、翼全 体ではEUは安定に寄与することになり、非定常仕事Wは安定 を示すことになる。 5.おわりに 遷音速圧縮機翼列の非定常空力特性を調べるために、実験 装置と計測システムを構築し、実験および解析を行った。非 圧縮領域において以下の結論が得られた。 1)一翼振動の影響は、振動翼に面する隣接翼翼面上で大き く現れるが、それ以外の翼面では非常に小さい。 2)無次元振動数の増加は、概して圧力変動振幅にはあまり 影響を及ぼさず、位相特性に影響を及ぼすことから、位 相遅れがフラッタ特性に影響を及ぼす要因であると考え られる。 3)各翼に誘起される翼弦中心をねじり軸とする非定常モー メントは、振動翼上流側(腹面側)に位置する−1番翼 と、振動翼下流側(背面側)に位置する+2番翼の振幅 は、他の翼に比べると小さい。−1番翼の非定常モーメ ントが小さいのは、−1番翼背面の非定常圧力振幅は0 番振動翼に次いで大きいものの、その最大値が翼弦中心 付近にあり、分布形状がねじり軸前後でほぼ対称に近い ため、モーメントへの寄与が小さくなるためである。無 次元振動数の増加による非定常空力特性への影響は小さ い。 4)非圧縮領域では、無次元振動数k = 0.613以上で安定と なる。この場合、空力的不安定に大きな影響を与えるの は腹面側隣接翼(−1番翼)で、0番翼自身は空力的安 定に寄与する。 5)局所エネルギ分布から、翼背面側はねじり軸より前縁側 Fig.12 は安定、後縁側は不安定に寄与し、翼腹面側はねじり軸 Local energy distribution at all-blade oscillation 25 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 d より前縁側で不安定、後縁側で安定に寄与する。また、 翼前縁付近の腹面側が大きな不安定要因となって、全体 小林,振動する遷音速環状翼列の非定常空力特性の研究 (第3報,低背圧での圧縮機超音速翼列フラッタ),機論, 52-480,B (1986), pp.2920-2929. 的には翼前縁付近が不安定に寄与している。kが増加し f ても局所エネルギの分布傾向は変わらないが、腹面側の 花村・田中,翼列における2自由度連性フラッタ(第1 局所エネルギが、ねじり軸より前縁側で後縁側より減少 報:非定常空気力の計算と実験),機論,32-244 (1966), の程度が大きいために、全体として不安定さは減少す pp.1823-1841. g る。 花村・田中・山口,振動翼列における非定常流体力測定 に関する一実験法,機論,45-398,B (1979), pp.1399-1407. h 参考文献 a Yashima, S. and Tanaka, H., Torsional Flutter in Stalled Kielb, R. E. and Ramsey, J. K., Flutter of a Fan Blade in Flutter in Stalled Cascade, J. Eng. For Power, Trans. ASME, 100-2 (1978), pp.317-325. Supersonic Axial Flow, Transaction of the ASME, Journal j of Turbomachinenery, Vol.111 (1989), pp.462-467. s Shaw, L.M., et al., Unsteady Pressure Measurements on Bendiksen, O. O. and Friedmann, P. P., The Effect of Bending-Torsion Coupling on Fan and Compressor Blade Flutter, ASME Paper, 81-GT-163 (1981). a Biconvex Airfoil in a Transonic Oscillating Cascades, ASME Paper, 85-GT-212 (1985). 26 ■論文 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常空力特性(亜音速領域の場合)* Unsteady Aerodynamic Characteristics of Transonic Compressor Cascade in Pitching Oscillation Mode (Case of Subsonic Flow Region) 平野 孝典 Takanori HIRANO** 藤本 一郎 Ichiro FUJIMOTO** Abstract This paper shows the unsteady aerodynamic characteristics of the transonic compressor cascade in pitching oscillation mode in subsonic flow region (M=0.45). In this study, the one-blade vibration method was used. As a result, it was revealed that the compressibility minimizes the pressure fluctuation on both a vibrating blade and neighboring stationary blades. Furthermore, analytic studies show that the compressibility increases the aerodynamic instability. Keywords:subsonic flow,unsteady flow, compressible flow, internal flow, compressor cascade, flutter, one-blade oscillation method, oscillating linear cascade 1.序 論 動時の各翼の非定常空力特性および一翼振動法を用いた重ね 本研究では、ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常空 合わせによる全翼振動時の非定常空力特性について、前報a 力特性に及ぼす圧縮性や衝撃波変動の影響を調べることを目 で報告した非圧縮領域における結果と比較し、圧縮性の影響 a 的とした実験的研究を行い、前報 で非圧縮領域における一 について報告する。 翼振動時の各翼の非定常空力特性および全翼振動時の非定常 空力特性について報告した。本報では非圧縮領域と亜音速領 2.おもな記号 域との比較を行い、圧縮性がねじり振動する遷音速圧縮機翼 c : 翼弦長 列に及ぼす影響について報告する。 x : 翼弦方向座標 G : 食違い角 従来、翼列フラッタの実験的解析では、全翼を任意の翼間 位相差を持たせて同振幅で振動させる強制振動法によりフラ S :翼間ピッチ ッタ発生速度を予測する実験的解析が行われているが、遷音 σ 速翼列では流速が速いために翼振動数を高くする必要があ U∞ : 翼列流入速度 り、全翼振動法による実験は非常に困難である。そこで本研 p∞ : 翼列上流静圧 究では、翼列中1枚の翼のみを振動させた場合に誘起される p0 s : 弦節比(ソリディティ)(=c/S) : 翼列上流全圧 各翼の非定常空気力を求めておき、一翼振動法 により任意 p : 静圧あるいは翼面圧力 の翼間位相差を持たせて重ね合わせ、全翼振動時の非定常空 f : 翼振動数 力特性を求める解析手法を用いた。 ω : 角振動数(=2πf ) k : 無次元振動数(cω/U∞) 亜音速領域の場合については、古くから翼列フラッタにつ いて解析がなされてきたd−k。例えば、梶らdは準アクチュエ M : 翼列上流 ータディスク理論を用い、スペーシングの小さい翼列を対象 マッハ数 に純曲げ振動時の非定常空気力を求め、フラッタ速度に対す るマッハ数、定常転向角、食違い角等の影響を明らかにして κ : 比熱比(空気:κ=1.4) いる。Whiteheadgは、二次元平板翼列が定常転向角零で作 α : 迎角 動する場合について、翼の振動及び入口のガスト状擾乱によ α0 : 角振幅 る非定常空気力と後流渦分布を求め、併せて翼列へ入射する β 音波の通過と反射を求める理論を示した。また数値計算によ A : 圧力振幅 り、ねじりフラッタに対して圧縮性の影響は大きいこと、マ l ッハ数の増加につれて最もフラッタを起しやすいねじり軸位 ⊿s : 翼面要素長 l : 翼間位相差(背面側位相進みを正) : モーメントの腕長さ 置が翼前縁側へ移動することを示した。Kielbら による φ NASAの試験用超音速単段軸流ファンについてのパラメトリ Cp : 圧力係数(=(p−p∞)/(p0−p∞)) ックスタディの結果では、圧縮性は圧縮機翼列のフラッタ速 CM : 非定常モーメント係数 度を高くするつまり安定化させるように作用することが示さ W : 翼間位相差βにおける全翼振動時の無次元非定常空 : 翼振動変位に対する位相差 力仕事 れている。 Wm : m番翼から0番翼への無次元非定常空力仕事の寄与分 本研究では、一翼振動法による実験的解析を行い、一翼振 E : 無次元局所エネルギ ||: 絶対値あるいは振幅 * ** 原稿受付 平成20年6月11日 機械システム工学科 27 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 3.実験装置および方法 3.1 風洞および供試翼 図1に本実験で用いた遷音速風洞を、また、図2に本実験 で使用した供試翼列模式図と翼列条件を示す。 翼列は9枚の翼で構成された直線圧縮機翼列であり、図1 の遷音速風洞測定部内に設置されている。翼列条件は、食い 違い角30゜、翼間ピッチ40mm、弦節比1.68、流れの入射角は 0°(迎角5°)である。これら9枚の翼のうち、中央に位置 する0番翼(図中No.0)のみが振動翼であり、それ以外の 8枚の翼は静止固定翼である。0番翼は翼弦中心をねじり中 心として角振幅2゜の正弦的ねじり振動をする。9枚の翼の うち、0番翼(No.0)とその上下4枚(No.−2、No.−1、 No.+1、No.+2)の計5枚の翼が、非定常翼面圧力測定翼 である。 Fig.3 Fig.1 Test blade Linear cascade and test blade Fig.2 Test cascade Fig.4 図3に供試翼を示す。供試翼は二重円弧翼で、翼幅99mm、 Data acquisition system 翼弦長67.25mm、厚み比8%、転向角10゜である。圧力測定 翼の翼面上には直径0.6mmの圧力孔が、翼背面側に13個、翼 ニングバルブ内に設置された拡散型半導体圧力変換器(豊田 腹面側に11個設けてある。詳細については前報aを参照され 工機、PD104K-100F)により圧力が測定される。翼列中央 たい. に位置する0番翼は高速ねじり加振装置の出力軸の一端に連 3.2 翼面圧力計測システム 結されており、角振幅2°のねじり振動が加えられ、渦電流 図4に翼面非定常圧力計測システムを示す。5枚の圧力測 式非接触変位計(Kaman、KD-2300-5SU)を用いて振動翼 定翼の圧力は、3台の48ポートのスキャニングバルブ 変位が測定される。計測方法の詳細については前報aを参照 (Scanivalve Corporation、48J9)に接続されており、スキャ されたい。 28 平野孝典 藤本一郎 ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常空力特性(亜音速領域の場合) 4.実験結果および考察 亜音速領域(流入マッハ数M =0.45)における結果として、 無次元振動数k = 0.127∼0.699の範囲について、一翼振動時 の各翼の非定常空力特性および一翼振動法による重ね合わせ を用いて求めた全翼振動時の非定常空力特性について示す。 この場合、翼間に衝撃波は存在していない。 4.1 一翼振動時の非定常空力特性 a 非定常翼面圧力 0番翼がα=α0 sinωt(α0:角振幅)でねじり振動する 場合の翼面上の瞬時圧力分布について、一例として、無次元 振動数kの小さい場合(k = 0.127)における翼振動一周期中 の瞬時圧力分布を、図5a∼cに0番振動翼と振動翼の影響 を受ける±1番翼について示す。横軸は無次元翼弦方向座標 x/c、縦軸は圧力係数Cpで、図の下方(ωt = 0)から上方 (ωt = 2π)に向かって、翼振動位相を等間隔でずらせて表 示してある。圧力係数Cpは式aで定義した。 a ここで、pは翼面圧力、p∞は上流静圧、p0は上流全圧であ る。また、無次元振動数 k は翼弦長 c を代表長さに取ってお り、次式で与えられる。 s 図5をみると、振動翼(0番翼)の背腹面(図5a)では 翼弦全体にわたり圧力分布の時間変化が見られる。図5bの 振動翼上流側隣接翼(−1番翼)では、翼背面後縁付近でわ ずかに圧力分布の時間変化が見られるが、翼腹面では見られ ない。図5cの振動翼下流側隣接翼(+1番翼)腹面では、 Fig.5 前縁付近でわずかに圧力分布に時間変化があることを確認で Pressure distribution of each blade (M=0.45,k=0.127) きるが、翼背面では見られない。このように圧力分布の時間 変化は見られるが、前報aの非圧縮領域で見られた変化ほど 外の翼面ではほとんど見られない。 ははっきりしていない。他の静止翼面上では、非圧縮の場合 s と同様、圧力分布の時間変化は確認できなかった。 非定常空力特性 一翼振動によって各翼に誘起されるA非定常翼面圧力の基 次に、翼振動数の高い場合の例として、k = 0.418におけ 本振動数成分の振幅と位相特性、およびB非定常モーメント る翼面圧力分布を図6a∼cに示す。図に示すとおり、翼振 について考察する。α=α0sinωtで翼がねじり振動する時、 動数が高くなっても、圧力分布にkの低い場合(図5)との 翼に誘起される非定常モーメントの基本振動数成分のみがエ 違いはほとんど見られない。わずかに位相が遅れていること ネルギに寄与する。そこで、非定常圧力についてもその基本 が読み取れる。 振動数成分を考えればよい。ここで、非定常翼面圧力係数Cp ~ の基本振動数成分C pと単位翼スパン及び単位角振幅あたりの ~ 非定常モーメント係数C Mを下式のように定義する。 以上のように、翼面圧力分布で見る限り、圧縮性があると、 静止翼はもちろん振動翼自体の翼面圧力も、前報aで報告し た非圧縮の場合に比べて、翼振動の影響の程度は小さくなる d ようにみえる。また、非圧縮の場合と同様に、振動翼の影響 範囲は振動翼に面する隣接翼面にほぼ限られており、それ以 29 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 ねじり軸より後縁側 + − A 非定常翼面圧力の振幅・位相特性 一翼(0番翼)振動時に、各翼に誘起される非定常翼面圧 力の振動一次成分の振幅と振動翼変位に対する位相の翼弦方 向分布を図7a、bに示す。ak = 0.127とbk = 0.418を比較 すると、無次元振動数の変化は、概して圧力変動振幅にはあ まり影響を及ぼさず、位相特性への影響が大きいようである。 まず0番振動翼の振幅を見ると、いずれの k においても、 翼背面及び翼腹面共に、翼前縁から翼後縁方向に単調減少し ており、翼振動により翼前縁側ほど大きな圧力変動が生じる ことが分かる。振動翼下流側(背面側)隣接翼の+1番翼で は、翼背面の変動振幅は翼弦全体にわたり小さいが、翼腹面 では0番翼と同様に、翼前縁から後縁方向に単調に減少する。 +2番翼は、翼背面、翼腹面共に振幅は非常に小さいが、圧 縮性の影響により、背面では前縁から後縁にかけてわずかな がら単調増加し、腹面では前縁から後縁にかけて単調減少し ている。振動翼上流側(腹面側)に位置する−1番翼の翼背 面では、圧力変動振幅は翼前縁からx/c = 0.5にかけて単調 に増加し、その後方(x/c > 0.5)では後縁方向に単調に減 少しており、ねじり軸前後でほぼ対称な分布となっている。 翼腹面の圧力変動振幅は翼弦全体にわたり小さく一定であ る。−2番翼は、翼背面、翼腹面共に振幅は翼弦全体にわた り小さいままであるが、翼背面では+1番翼と+2番翼に比 べると若干大きめの値となっている。 位相についてみると、0番翼では翼背面と翼腹面でπの位 相差となっており、k = 0.127の場合、共にx/c < 0.7ではほ ぼ一定でありx/c > 0.7で急激に変化しているが、k = 0.418 では前縁から後縁にかけてなだらかに変化する傾向を示して いる。+1番翼背面はk = 0.127の場合、前縁でほぼφ= 0で あるが、x/cが0.1∼0.3の範囲で急激に増加し、それ以降は Fig.6 Pressure distribution of each blade (M=0.45,k=0.418) 漸増する。kが増加すると、変化傾向はほぼ同じであるが、 急激な変化を示すx/cの範囲は少し下流の0.2∼0.4の範囲へ ~ ここで、C p:振幅 移っている。翼腹面では、k = 0.127の場合、位相遅れはほ ぼ180°で一定であるが、kが増加すると位相遅れは後縁方向 φ:基本振動数成分の0番翼の振動に対する位相差 に小さくなる(φ=−180°→ −135°)傾きを持った分布とな っている。+2番翼背面では、 k = 0.418と k が増加すると、 f 0.15 < x/c < 0.45の範囲で位相にばらつきが見られるが、 ここで、⊿s:翼面要素長 平均的な分布については腹面側ともに k の影響は見られな い。−1番翼と−2番翼では、翼背面腹面共にkが増加する l :翼面圧力がねじり軸まわりに作り出す、頭 と位相の翼弦方向分布に若干の傾きが見られるようになる 上げを正とするモーメントの腕の長さ 添字i:圧力孔番号 が、kの影響はほとんどないようである。 非圧縮の場合と比較すると、kの違いによらず、振幅につ ただし、モーメントの腕の長さ l は、圧力孔位置が翼背面 側か腹面側かの別、及びねじり軸より前縁側か後縁側かの位 いては各翼ともに分布傾向にほとんど差異はないと言える。 置関係により、次のように符号を付して考える。 このことは、モーメントについても非圧縮の場合とあまり違 いがないことを意味している。但し、0番振動翼においては、 背面 腹面 翼背腹面ともにx/c > 0.5の範囲でkの増加による振幅の増 ねじり軸より前縁側 − + 30 平野孝典 藤本一郎 ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常空力特性(亜音速領域の場合) Fig.7 Chordwise distribution of amplitude and phase angle of unsteady pressure of each blade at M=0.45 31 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 大が見られることが非圧縮の場合とは異なっている。位相に ついては、0番翼の背面と腹面の両方で、x/c > 0.7におい て位相φが急激に変化することは非圧縮の場合と大きく異な j る点であるが、それ以外では非圧縮の場合との相違は少ない。 また、kの増加による位相の変化傾向は非圧縮の場合に似通 っており、圧縮性の影響は小さい。 B ただし、sは翼面に沿う長さを表し、iは翼表面の圧力孔番 非定常モーメント ~ 図8に各翼の非定常モーメント係数の振幅C M と翼振動 号である。 位相に対する位相差φを示す。比較のために、同じkの値で はないが、非圧縮の場合の結果を図9に再掲する。図8と図 9を比較すると、kの低い場合、M=0.45では非圧縮(M= 0.15)の場合と比べると、振幅については、0番翼では約1.3 倍、+1番翼では約2倍に大きくなっているが、それ以外の 翼の振幅は非圧縮の場合とさほど変わらない。kが増加する と0番翼の振幅は約5%減少するが、これは非圧縮の場合と 同程度である。しかし、+1番翼の振幅は、非圧縮の場合と は異なり、k = 0.418の方がk = 0.127の約1.2倍に増加してい る。位相については、−1番翼と−2番翼ではkが増加する と位相差が増し、+2番翼では小さくなる傾向を示す。非圧 縮の場合と比較すると、同じ k の値ではないが、低い k の場 合は−1番翼の位相は約90°の違い、高いkの場合は約50°の 違いがあるが、他の翼ではさほどの相違はない。 4.2 全翼振動時の非定常空力特性 翼間位相差β(背面側位相進みを正とする)で全翼が角振 幅α0 、角振動数ωのねじり振動をする時、着目する翼(0 番翼)に働く無次元の非定常空力仕事Wは、翼振動1サイク Fig.8 ル毎に流体によって0番翼に作用する仕事として、式gのよ Amplitude and phase of unsteady moment of each blade at M=0.45 うに各翼からの寄与の和で与えられる。ここで、W > 0の領 域が不安定領域を示す。 g ただし、W0 は着目する翼(0番翼)に対して、その翼自 身がなす仕事を表し、Wmはm番翼からの仕事の寄与を表す。 また、着目翼の、単位角振幅あたりの無次元翼面局所エネル ギEを下式のように定義する。 h ~ Aは圧力変動の基本振動数成分C pの振幅、φは着目翼の翼 振動に対する位相差を表し、l は符号を考慮したモーメント の腕の長さを表す。また、添字UとLは、各々翼の背面と腹 面を示す。無次元非定常空力仕事Wと無次元局所エネルギE Fig.9 Amplitude and phase of unsteady moment of each blade at M=0.15(1) との関係は下式となる。 32 平野孝典 藤本一郎 ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常空力特性(亜音速領域の場合) 図10は全翼振動時の翼間位相差βに対する非定常空力仕事 ついては、−2番翼と+1番翼の寄与がわずかに大きくなっ Wを、無次元振動数k = 0.127∼0.699について示している。k ているが、+2番翼の寄与はbk = 0.277の場合とほぼ変わら = 0.127では30°<β< 130°の範囲で空力不安定領域が見ら ない。つまり、k = 0.418で不安定傾向が強まるのは、背面 れる。kが増加してk = 0.277になると、Wの値が減少して不 側に位置する−1番翼の不安定への寄与が大きくなるためで 安定領域は45°<β< 100°の範囲に狭まるが、本実験では全 ある。 次に、図12に、a k = 0.127、b k = 0.277およびc k = てのkの範囲で不安定であった。 ここで、翼間位相差に対する各翼の非定常空力仕事の寄与 0.418の場合について、W がピークとなる危険位相差(β= Wmを、ak = 0.127、bk = 0.277およびck = 0.418の場合に 70°)における局所エネルギ分布を示す。上図はエネルギ分 ついて図11に示す。振動数の低いak = 0.127を見ると、0 布E、下図は圧力変動振幅Aと位相φを示し、添え字のUとL 番振動翼の寄与は安定側にありWm = −0.008程度の値となっ は各々翼背面と翼腹面を示す。ak = 0.127の場合、AUとAL ている。しかし、例えばβ=90°では、振動翼上流側(腹面 の分布傾向は非圧縮(M = 0.15)aの場合とほぼ同じである。 側)に位置する−1番翼からの寄与はおよそWm = 0.013で、 それ以外の翼からの寄与は非常に小さいために、−1番翼の 寄与が不安定要因となって合成結果は不安定(W > 0)とな る。+2番翼と−2番翼については、非圧縮(M=0. 147)の 場合と同様、0°<β<90°の範囲ではWm > 0となり、若干で はあるが空力的不安定に寄与している。さらにbk = 0.277 とkが高くなった場合、−1番翼の寄与はk = 0.127の場合と ほぼ同じ約0.013となっているが、0番翼自身の安定化への 寄与が−0.011程度と大きくなっているため、これら2枚の 翼からの寄与としては不安定傾向が弱まることになる。−2 番翼の寄与はk = 0.127の場合とほぼ同じで、β< 70°の範囲 では空力的不安定を助長するように作用するが、影響は小さ い。+2番翼の寄与はk = 0.127の場合より若干小さくなって いる。ck = 0.418では、0番翼自身の安定としての寄与は ほとんど変わらないが、−1番翼の不安定としての寄与が 0.015とkの低い場合に比べて増加している。それ以外の翼に Fig.10 Aerodynamic work at all-blade oscillation at M=0.45 Fig.11 33 Contribution of aerodynamic work of each blade to 0th blade 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 Fig.12(continue) Local energy distribution with all-blades oscillation at M=0.45 > 0.6の範囲で非圧縮の場合とは分布傾向が異なっている。 φLについては、後縁付近で90°以上になることを除き、非圧 縮の場合と同様の分布傾向となっている。そのためELについ ては、非圧縮の場合と同様、ねじり軸より前縁側の不安定 (EL > 0)から後縁側の安定(EL < 0)へと単調に変化して いる。しかし E U については、ねじり軸より前縁側では非圧 縮の場合とあまり変わらない分布となるが、φUが後縁付近 で負にならないため、非圧縮の場合とは違って不安定のまま となっている。 このことから、翼背面後縁付近の剥離の影響も考えられる ため明確ではないが、圧縮性の影響は後縁付近の翼背面に対 して大きいと推察される。kが増加すると、x/c = 0.85付近 でφUが0に近づくため、非圧縮の場合のようにEU < 0とな ることはないが E U は0に近づき、ねじり軸より後縁側では 全体として安定化への寄与が強まる。しかし前縁側での局所 エネルギ分布をみると、kの増加により、翼背面側ではほと んど変わらないのに対し、翼腹面側では不安定の程度が増し ている。つまり、翼振動の影響は、前縁側の翼腹面と後縁側 Fig.12 Local energy distribution with all-blades oscillation at M=0.45 の翼背面に対して大きい。このことは、非圧縮の場合と同様 に、食違い角が付いているために、背面側隣接翼の振動の影 φUは前縁から後縁にかけてほぼ単調に減少し、x/c < 0.6の 響は背面側後縁付近に、また、腹面側隣接翼の影響は腹面側 範囲では非圧縮の場合と同様の傾向を示しているが、 x / c 前縁付近に及びやすいためであると考えられる。 34 平野孝典 藤本一郎 ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常空力特性(亜音速領域の場合) > 0.6の範囲で非圧縮の場合とは分布傾向が異なり、後 5.おわりに 遷音速圧縮機翼列の亜音速領域における非定常空力特性を 縁付近で負にならないため、非圧縮の場合とは違って不 調べるために、一翼振動法による実験手法を用いた実験およ 安定となる。このことから、翼背面後縁付近の剥離の影 び解析を行ない以下の結論が得られた。 響も考えられるため明確ではないが、圧縮性の影響は後 1)亜音速領域でも非圧縮領域と同様に、一翼振動の影響は 縁付近の翼背面に対して大きいと推察される。 振動翼に面する隣接翼翼面上で大きく現れ、それ以外の 翼面ではほとんど見られない。しかし、非定常翼面圧力 参考文献 の時間変化は、非圧縮の場合に比べると小さい。 a 2)翼振動数増加による一翼振動の各翼の翼面圧力への影響 平野・藤本,ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常 空力特性(非圧縮領域の場合),拓殖大学理工学研究報告, 10-2 (2008). は非常に小さいが、若干の位相遅れを生じさせる。また、 s 圧縮性があると、静止翼はもちろん振動翼自体の翼面圧 花村・田中・山口,振動翼列における非定常流体力測定 に関する一実験法,機論,45-398, B (1979), pp.1399-1407. 力も、非圧縮の場合に比べて、翼振動の影響の程度は小 d さくなる傾向にある。 梶・岡崎,圧縮性流れにおける軸流機翼のフラッタ,機 論,35- 273 (1972), pp.1023-1033. 3)各翼に誘起される翼弦中心をねじり軸とする非定常モー f メントは、非圧縮の場合と比べると、振動翼と下流側隣 西山・小林,圧縮性流れにおける非定常翼列の特性解析 接翼では大きくなるが、それ以外の翼の振幅は非圧縮の ならびにそのフラッタへの応用,機論,39-324, B (1973), 場合とさほど変わらない。また、kの増加による非定常 pp.2381-2398. g モーメント振幅への影響は非圧縮の場合と同程度である Whitehead D. S., The effect of Compressibility on Unstalled Torsional Flutter, ARC R&M, Vol.3754 (1974). が、振動翼背面側隣接翼(+1番翼)の振幅については、 h 非圧縮の場合と異なり増加する。位相については、振動 翼上流側隣接翼(−1番翼と−2番翼)ではkが増加す Jones, W. P. and Moore, J. A., Aerodynamic Theory for a Cascade of Oscillating Airfoils in Subsonic Flow, AIAA Journal, Vol.14, No.5 (1976), pp.601-605. ると位相差が増し、振動翼下流側隣接翼(+2番翼)で j は小さくなる傾向を示す。圧縮性は−1番翼の位相に影 橋本,圧縮性流れ中の翼列翼の後流励振力と曲げ振動空 気力に関する理論的研究(音響共鳴点近傍の特性につい 響を及ぼす。 4)亜音速領域では、無次元振動数が低い(k = 0.127)場 て),機論,50-450, B (1984), pp.306-315. 合、30°<β< 130°の範囲が空力不安定領域となる。kが k 小林・生沼,曲げ振動する遷音速圧縮機環状翼列に作用 増加すると、 W の値が減少して不安定領域は45°<β< する非定常空気力の測定(第2報),ガスタービン学会誌, 100°の範囲に狭まる。また、非圧縮の場合ではkが高く 19-75 (1991), pp.50-57. l なると空力的に安定となるが、亜音速の場合は本実験範 囲の全てのkで不安定であった。 Kielb, R. E. and Ramsey, J. K., Flutter of a Fan Blade in Supersonic Axial Flow, Transaction of the ASME, Journal of Turbomachinenery, Vol.111 (1989), pp.462-467. 5)危険位相差における局所エネルギ分布は、振幅は非圧縮 の場合と同様の分布傾向を示すが、位相は翼背面 x / c 35 ■論文 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常空力特性(遷音速領域の場合)* Unsteady Aerodynamic Characteristics of Transonic Compressor Cascade in Pitching Oscillation Mode (Case of Transonic Flow Region) 平野 孝典 Takanori HIRANO** 藤本 一郎 Ichiro FUJIMOTO** Abstract We performed the experimental analyses on the unsteady aerodynamic characteristics of the transonic compressor cascade oscillating in pitch using the one-blade vibration method at M=0..815. As a result, it was found that the unsteady pressure fluctuation on the blade due to the shock wave movement increases rapidly around the shock wave position, and from the aerodynamic analysis, the shock wave movement stabilizes the flutter. Keywords:shock wave, transonic flow,unsteady flow, compressible flow, internal flow, compressor cascade, flutter, oneblade oscillation method, oscillating linear cascade 1.序 論 振動時の擾乱伝播モードとしての定式化と影響係数(一翼振 ジェットエンジンやガスタービンなどの遷音速圧縮機翼列 動法)を用いた定式化が数学的に同一であることを示してい の非定常空力特性について調べるために、一翼振動法aによ る。また、実験的には、Schlaefli¡7は、タービン翼列で亜音 s d 速と超音速流出条件の双方において、1次曲げモードで中央 における結果について報告した。本報では遷音速領域におけ の翼1枚が振動する時に7枚の翼の影響を合成した場合、20 る圧縮機翼列の非定常空力特性について述べる。 枚の翼で構成される環状翼列で得られたデータと同じ結果が る実験的解析を行い、既報で非圧縮領域 および亜音速領域 遷音速領域では、一般に翼間衝撃波が存在し、翼が振動す 得られたことを示している。さらに、Fransson¡8は上記の実 ると翼間衝撃波も振動するため、衝撃波前後の大きな圧力差 験的検証に基づき、一翼振動法により遷・超音速領域での1次 が翼面上で変動することになるので、翼列の非定常空力特性 曲げモードのタービン翼列実験を行い、線形重ね合わせによ に及ぼす翼間衝撃波変動の影響は非常に大きいと言える。こ る全翼振動時の安定性の見積りを行っている。このように圧 のような遷音速領域での作動状態で翼間衝撃波が存在する場 縮性や衝撃波が存在する場合についても、一翼振動法による 合の翼列フラッタ特性は非常に重要な問題であるが、十分明 解析は少なくとも翼振動振幅が微小であることを前提とする らかにされているとは言えない。 限り有効であると考えられる。 これまでに行われた遷音速領域における研究 f−¡5 の中で、 例えばWhiteheadらgは、50%弦長点まわりにねじり振動す 2.おもな記号 る16枚の翼で構成された環状翼列を用いて翼に作用する非定 c : 翼弦長 常空力モーメントを測定し、遷音速領域では翼間位相差 x : 翼弦方向座標 180°で振動する場合に空力的安定であることを示している。 G : 食違い角 また、Shawらj、Buffumらkはbiconvex翼を用いた直線翼列 S : 翼間ピッチ についてねじりモードの実験を行い、翼間振動位相差が翼背 σ 面非定常圧力分布に大きな影響を与えることを示している。 U∞ : 翼列流入速度 従来の研究では、全翼を任意の翼間位相差を持たせて同振 p∞ : 翼列上流静圧 : 節弦比(ソリディティ)(=c/S) 幅で振動させる強制振動法(全翼振動法)による実験的解析 p0 が行われている。しかし、遷音速翼列ではフラッタ発生速度 p : 静圧あるいは翼面圧力 が低下するので翼振動数を高くする必要があり、全翼振動法 f : 翼振動数 による実験は非常に困難であるため、本研究では一翼振動法 ω を用いた。一翼振動法は、翼が微小振動することを仮定し、 k : 無次元振動数(cω/U∞) 翼列中1枚の翼のみを振動させた場合に誘起される各翼の非 M : 翼列上流 : 翼列上流全圧 : 角振動数(=2πf ) マッハ数 定常空気力を求めておき、任意の翼間位相差で重ね合わせて 全翼振動時の非定常空力特性を求める解析手法であるが、圧 縮性や衝撃波が存在する非線形な流れ場での線形重ね合わせ κ : 比熱比(空気:κ=1.4) の妥当性については理論的には現在のところ十分明らかでは α : 迎角 ¡6 ない。これに関して、Crawleyら はミスチューニングによ α0 : 角振幅 るフラッタ抑制に関する研究で、空力弾性的定式化は、全翼 β : 翼間位相差(背面側位相進みを正) A : 圧力振幅 l * ** 原稿受付 平成20年6月11日 機械システム工学科 : モーメントの腕長さ ⊿s : 翼面要素長 37 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 φ No.2,2008 aで定義した。 : 翼振動変位に対する位相差 Cp : 圧力係数(=(p−p∞)/(p0−p∞)) a CM : 非定常モーメント係数 ここで、pは翼面圧力、p∞は上流静圧、p0 は上流全圧である。 W : 翼間位相差βにおける全翼振動時の無次元非定常空 また、無次元振動数 k は翼弦長 c を代表長さに取っており式 力仕事 sで与えられる。 Wm : m番翼から0番翼への無次元非定常空力仕事の寄与分 E : 無次元局所エネルギ s ||: 絶対値あるいは振幅 3.実験装置および方法 4.1 翼間衝撃波変動 翼間衝撃波変動の様子を示すために、一例として、M = 0.8、 図1に、本実験で用いた供試翼列を示す。翼列は回流式遷 k = 0.00198(f = 1.25Hz)において撮影した翼振動1周期中 音速風洞測定部内に設置してあり、9枚の翼で構成された直 線圧縮機翼列である。翼列条件は、食い違い角30゜、翼間ピ の翼間衝撃波の瞬時画像を、a迎角増加時の平均迎角 ッチ40mm、弦節比1.68、流れの入射角0° (迎角5°)である。 (ωt = 0)、b最大迎角(ωt =π/2)、c迎角減少時の平均 これら9枚の翼のうち、中央に位置する0番翼(図中No.0) 迎角(ωt =π)、d最小迎角(ωt = 3π/2)およびe 迎角 のみが振動翼で、翼弦中心をねじり中心としてα=α0 sinωt 増加時の平均迎角(ωt = 2π)について図2に示す。上側 (α0:角振幅2°)の正弦的ねじり振動をする。他の翼は静 の翼は固定翼、下側の翼は振動翼である。図中に翼面に貼付 止固定翼である。0番翼(No.0)とその上下4枚(No.−2、 した圧力センサ位置を示す。図から、振動翼背面側の衝撃波 No.−1、No.+1、No.+2)の計5枚の翼が、非定常翼面 は、振動翼の迎角増加時には翼間流路が狭まる上流側へ、ま 圧力計測用の圧力測定翼である。供試翼は翼幅99mm、翼弦 た迎角減少時には後縁側へ移動し、振動翼の迎角変化に伴っ 長67.25mm、厚み比8%、転向角10゜の二重円弧翼を用いた。 て、翼面圧力センサ上を通過していることが分る。 圧力測定翼の翼面上には直径0.6mmの圧力孔が、翼背面側に 4.2 一翼振動時の非定常空力特性 13個、翼腹面側に11個設けてある。計測方法の詳細について は既報 翼列中1枚の翼(0番翼)がねじり振動する場合の各翼の sd を参照されたい。 非定常空力特性について以下に示す。 a 非定常翼面圧力 図3に、a0番翼とb−1番翼の0番翼ねじり振動一周 期中の瞬時圧力分布を、無次元振動数kの小さい場合の例と して、k = 0.015(f = 9.32Hz)について示す。横軸は無次元 翼弦方向座標 x / c 、縦軸は圧力係数 C p を示す。図の下方 (ωt = 0)から上方(ωt = 2π)に向かって、翼振動位相を 等間隔でずらせて表示してある。また、図中の破線は各時刻 の圧力分布から推測した衝撃波位置を示す。 図3aの0番翼の図で、たとえばωt = 0の背面圧力分布 を見ると、翼前縁よりx/c = 0.7付近まで負圧が上昇し、そ こを負圧のピークとしてその下流側では急激に圧力が上昇し ている。シュリーレン報による可視化では、この付近に翼間 衝撃波(垂直衝撃波)が観察されており、負圧のピーク直後 Fig.1 Test cascade の圧力上昇は、この翼間衝撃波によるものである。この負圧 のピークは、翼振動変位に伴い正弦的に変動している。これ 4.実験結果および考察 は図中に破線で示した衝撃波変動によるもので、衝撃波が翼 遷音速領域における非定常翼面圧力測定の結果として、流 振動変位に伴い正弦的に変動していることを示している。ま 入マッハ数 M =0.815および無次元振動数 k =0.015∼0.402の た、翼腹面側においても、翼背面側ほど明白ではないが、 範囲について、一翼振動時の各翼の非定常空力特性および一 x/c = 0.55付近に存在する衝撃波の変動による正弦的な圧 翼振動法による重ね合わせを用いて求めた全翼振動時の非定 力変動が見られる。これら翼面上の負圧ピークの変動、言い 常空力特性について示す。この場合、翼間衝撃波が存在し、 換えれば衝撃波変動は、翼振動変位に対して位相差はない。 翼振動に伴い周期的変動をしている。なお、圧力係数Cpは式 図3bの振動翼上流側(振動翼腹面側)に位置する隣接 38 平野孝典 藤本一郎 ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常空力特性(遷音速領域の場合) Fig.2 Instantaneous pictures of shock wave in one cycle of blade oscillation at M=0.8 and k=0.00198 静止翼(−1番翼)では、振動翼腹面に面した翼背面の圧力 んどないことが確認された。 分布に時間的変化が見られ、0番振動翼ほどではないが正弦 次に、翼振動数の高いk = 0.325の場合も、k = 0.015の場 的な衝撃波変動があることが分る。しかし、翼腹面側の圧力 合と同様に、0番振動翼の翼背面及び翼腹面、0番振動翼に 分布はほとんど変化がなく、衝撃波はほとんど変動していな 接する翼間流路に面した0番翼上流側隣接翼の−1番翼背面 いと言える。また、振動翼下流側(振動翼背面側)に位置す 及び0番翼下流側隣接翼の+1番翼腹面において圧力分布に る隣接静止翼(+1番翼)でも、振動翼背面に面した翼腹面 時間的変化が見られたが、それ以外の翼面では圧力分布の時 の圧力分布は−1番翼と同様のほぼ正弦的な衝撃波変動が見 間的変化は見られず、圧力分布形状にもほとんど違いは見ら られた。振動翼から離れている+2番翼と−2番翼では、翼 れなかった。しかし、0番翼背面の圧力分布は、翼振動数が 背面及び翼腹面共に圧力分布に時間的変化、即ち0番翼振動 高い場合には、圧力分布の時間変化(すなわち衝撃波変動) による影響はほとんど見られなかった。 に、振動翼変位に対する位相遅れが見られた。振動翼の影響 を受ける隣接翼の翼面でも、衝撃波変動の翼振動変位に対す 以上のことから、翼振動数が非常に低い場合は、振動翼に る位相遅れは、kが増加するほど大きくなる傾向が見られた。 隣接する翼間流路に面する翼面上では、翼振動に伴い、翼振 動変位に対して位相差のない正弦的な衝撃波変動による圧力 以上のことから、翼間衝撃波を伴う遷音速領域では、衝撃 変動が生じるが、それ以外の翼面上では振動翼の影響はほと 波変動位置付近に大きな圧力変動が生じることが、非圧縮領 Fig.3 Pressure distribution of each blade (M=0.815,k=0.015) 39 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 域や亜音速領域とは大きく異なる特徴であり、衝撃波変動の 増加し、衝撃波位置の下流側では急激に減少する。−2番翼 影響がフラッタ特性に大きな影響を及ぼすと推察できる。 では、翼背面の圧力変動振幅はx/c < 0.5の領域ではかなり s 小さい。しかし衝撃波位置(x/c = 0.75付近)に向い急激 非定常空力特性 ここでは一翼振動によって各翼に誘起されるA非定常圧 に増加した後、急速に減少する。翼腹面の圧力変動振幅は前 力の基本振動数成分の振幅、位相特性およびB非定常モー 縁からx/c = 0.45のピークまで増加した後減少し、x/c > メントについて考察する。 0.6の範囲では翼背面に比べて小さくなっている。以上のこ 式aで与えられる非定常翼面圧力係数Cpの基本振動数成分 ~ C pは下式のように表される。 とから、翼面非定常圧力の変動振幅は、概して衝撃波上流で 大きく、下流で小さくなると言える。非圧縮sおよび亜音速 領域dでは、0番翼では前縁から後縁方向に圧力振幅は単調 d に減少する傾向を示していることを述べたが、遷音速領域で ~ ここで、C p:振幅 は衝撃波変動の影響により、非常に異なる分布を呈すること φ:0番翼の振動に対する圧力変動の基本振動数成 が分った。 分の位相差 位相については、振動翼に接する翼間流路に面した翼面で また、単位翼スパン及び単位角振幅あたりの非定常モーメ は衝撃波前後で大きく変化し、ほぼ180°の位相差となってい る。このような位相の変化は、非圧縮sおよび亜音速領域dと ント係数を下式のように定義する。 はかなり異なっており、非定常空力特性に大きく影響を及ぼ すと考えられる。 f B 非定常モーメント 図5に、ak = 0.015及びbk = 0.325における各翼の非定 ここで、⊿s:翼面要素長 l :翼面圧力がねじり軸まわりに作り出す、頭 常モーメント係数の振幅と振動翼変位に対する位相差を示 す。いずれのkにおいても、振動翼上流側(腹面側)に位置 上げを正とするモーメントの腕の長さ 添字i:圧力孔番号 する−1番翼と、振動翼下流側(背面側)に位置する+2番 ただし、モーメントの腕の長さlは、圧力孔位置が翼背面 翼の振幅は、他の翼に比べると小さい。kが増加すると、0 側か腹面側かの別、及びねじり軸より前縁側か後縁側かの位 番振動翼の振幅は小さくなり、振動翼背面の+1番翼の振幅 置関係により、次のように符号を付して考える。即ち、 は若干増加しているが、それ以外の翼の振幅はほとんど変化 しておらず、kの影響は0番翼と+1番翼以外の翼に対して 背面 腹面 A ねじり軸より前縁側 − + は小さいと言える。−1番翼は0番振動翼に隣接しているに ねじり軸より後縁側 + − も関わらず、いずれのkにおいても非定常モーメントの振幅 非定常翼面圧力の振幅・位相特性 は、−2番翼よりも小さい。 翼間衝撃波変動が各翼の非定常空力仕事に及ぼす影響を調 ここで、非定常モーメント振幅と図4に示した非定常圧力 べるために、非定常翼面圧力の振幅と振動翼変位に対する位 振幅との関係について考察する。0番振動翼では、翼背面の 相の翼弦方向分布を図4a、bに示す。上述したように、翼 非定常圧力振幅分布は、ねじり軸前後でほぼ対称に近いので、 間衝撃波は翼背面ではほぼ翼弦75%付近に、また翼腹面では モーメントへの寄与は小さいが、腹面側ではねじり軸前後で で示す)。ak = 0.015 非定常圧力振幅が大きく違うため、モーメントは大きくな 翼弦55%付近に存在する(図中に とbk = 0.325を比較すると、無次元振動数の変化は、概し る。−1番翼では、非定常圧力振幅は翼弦中央付近で大きく、 て圧力変動振幅への影響は小さく、位相特性への影響が大き その大きさは翼背面と腹面でほぼ同程度である。そのため、 いようである。 翼弦中心まわりのモーメントは翼背面、腹面側共に、ねじり まず0番振動翼の振幅を見ると、いずれの k においても、 軸前後でほぼ相殺されて、結果的に非常に小さくなる。それ に対して、−2番翼では、腹面の非定常圧力振幅はx / c = 背面及び腹面共に、衝撃波が存在する付近で変動振幅は大き く変化している。振動翼下流側隣接翼の+1番翼では、翼背 0.4付近でピークを取り、前縁側と後縁側でほぼ同程度の大 面の変動振幅は前縁付近を除いて小さく、衝撃波の影響はほ きさとなっているので、モーメントはねじり軸前後でほぼ相 とんど見られない。しかし、翼腹面ではx/c < 0.55の範囲 殺されることになるが、背面では前縁側のx/c < 0.6の範囲 で変動振幅は大きく、衝撃波変動位置の下流側で小さくなる。 では非定常圧力振幅は小さく、x/c > 0.6の範囲で大きくな +2番翼では翼背腹面ともに全体にわたり変動振幅は非常に って衝撃波位置付近で最大になる。その結果、翼弦中心まわ 小さい。振動翼上流側隣接翼の−1番翼では、翼背面及び翼 りの非定常モーメントは大きくなる。つまり、ねじり軸位置 腹面共に、圧力変動振幅は翼前縁から衝撃波位置の直前まで が翼弦中心にある場合には、振動翼上流側に位置する−2番 40 平野孝典 藤本一郎 ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常空力特性(遷音速領域の場合) Fig.4 Chordwise distribution of amplitude and phase angle of unsteady moment of each blade at M=0.815 41 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 g ここで、 W 0 は着目する翼(0番翼)に対してその翼自身 がなす仕事、 W m はm番翼からの仕事の寄与を表す。また、 着目翼の単位角振幅あたりの無次元翼面局所エネルギEを下 式のように定義する。 h ~ Aは圧力変動の基本振動数成分C pの振幅、φは着目翼の翼 振動に対する位相差を表し、l は符号を考慮したモーメント の腕の長さを表す。また、添字UとLは、各々翼の背面と腹 面を示す。無次元非定常空力仕事Wと無次元局所エネルギE との関係は下式となる。ただし、s は翼面に沿う長さを表し、 Fig.5 Amplitude and phase of unsteady moment of each blade at M=0.815 i は翼表面の圧力孔番号である。 図6に、M = 0.815、k = 0.015∼0.402の範囲について、全 翼の非定常モーメントにも0番翼の振動の影響が及ぶことに 翼振動時の非定常空力仕事Wを翼間位相差βに対して示す。 なる。このように、振動翼腹面側隣接翼(−1番翼、−2番 20°<β< 120°の範囲に不安定領域が存在する。 翼)に対して翼振動の影響が遠くまで及ぶことは、非圧縮領 ここで図7に、翼間位相差βに対する各翼の非定常空力仕 域や亜音速領域とは大きく異なっており、衝撃波変動が存在 事の寄与 W m を、a k = 0.015、b k = 0.161、およびc k = する場合の特徴であると言える。また、非定常空力特性に及 0.325の場合について示す。振動数の低いak = 0.015を見る ぼすねじり軸位置の影響が大きいことを示唆している。kが と、0番振動翼はWm = −0.006と安定側に寄与しているが、 高い場合に0番翼の非定常モーメントの振幅が小さくなるの +2番翼の寄与は、ピーク値が0番翼の値とほぼ同程度とな は、図5abを見ると、kの高い方が非定常圧力振幅は全体 っており、例えばβ<90°の範囲では不安定として寄与する 的に小さくなることから説明できる。 が、β=60°付近では0番翼と+2番翼だけでもWmの合計は 位相については、kが大きくなると、−1番翼以外の翼で ほとんど0になる。さらに−1番翼からの不安定さが加わる は翼振動変位に対する位相差は若干大きくなるものの、kの ために、大きな不安定さが生じることになる。次に、bk = 影響は非常に小さいと言える。−1番翼では、k = 0.015の 0.161の場合を見ると、−1番翼と+2番翼の寄与は k = 場合位相差は約−30°であるのに対し、k = 0.325の場合は約 113°の位相差となっており、非定常モーメントの位相に及ぼ すkの影響は大きい。 4.3 全翼振動時の非定常空力特性 全翼振動時の非定常空力仕事は、一翼振動時の非定常空力 仕事の線形重ね合わせにより求められる。例えば、一翼振動 時に、0番翼の振動により+1番翼に誘起される非定常空力 仕事は、全翼振動時においては、−1番翼から0番翼に誘起 される非定常空力仕事として0番翼自身の非定常空力仕事に 加える。他の翼についても同様の操作を行う。 今、翼間位相差β(背面側位相進みを正とする)で全翼が 角振幅α0 、角振動数ωのねじり振動をする時、着目する翼 (0番翼)に働く無次元の非定常空力仕事Wは、式gのよう に各翼からの寄与の和で与えられる。ここで、W > 0の領域 Fig.6 Aerodynamic work at all-blade oscillation at M=0.815 が不安定領域を示す。 42 平野孝典 藤本一郎 ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常空力特性(遷音速領域の場合) 0.015の場合より小さくなっており、0番翼の安定傾向が強 次に、翼弦方向の局所エネルギ分布を、a k = 0.015、 まるので、結果的に図13で見られるように、不安定の程度は b0.161およびc0.325の場合について図8に示す。図中の矢 小さくなる。さらにkが増してck = 0.325となった場合、0 印は衝撃波変動の範囲を示す。全ての場合について特徴的な 番翼の W m の値はほとんど変化していないが、−1番翼と+ 分布が翼背面側の局所エネルギ分布に見られる。つまり 2番翼のWmは増加しているため、合成すると不安定傾向が x/c = 0.65付近からx/c = 0.85付近までの範囲で、非圧縮 強まることになる。 領域と亜音速領域では見られなかった E U の落ち込みが現れ 以上のように、遷音速領域では、非定常空力仕事への寄与 ている。これは局所的な超音速流れの発生と衝撃波変動の影 としては、非圧縮や亜音速領域の場合と同様に、0番翼と− 響と考えられる。この落ち込みは、圧力変動の位相分布を見 1番翼の寄与が支配的であるが、それに加えて+2番翼の寄 ると、翼背面側でx/c = 0.65付近の位相とx/c = 0.8付近の 与が大きく影響していることは、非圧縮や亜音速領域の場合 位相では90°(k = 0.015)から180°(k = 0.325)の間の位相 と大きく異なる点である。これは、4.2で述べたように、翼 差があることから、衝撃波前後で圧力変動の位相特性が大き 振動の影響が振動翼腹面側に対して遠くまで及ぶことに起因 く変わることがエネルギ分布の大きな変化を生じさせる主要 するためで、遷音速領域における特徴的な点であるといえる。 因であるといえる。 非圧縮領域あるいは亜音速領域と比較すると、a k = 0.015の場合、ねじり軸より前縁側では、AUの値は非圧縮と 亜音速領域の値より全体的に小さくx/c = 0.3付近で落ち込 む分布となっており、後縁側では、衝撃波変動位置付近で変 動が見られ、さらに非圧縮と亜音速領域の場合とは逆に、後 縁方向に増加する傾向を示す。 A L については、非圧縮と亜 音速領域の場合とは分布が大きく異なっており、x/c = 0.3 からx/c = 0.5にかけて増加し、x/c > 0.5で急激に減少す る。これは図4で示したように、非定常圧力振幅が腹面側で は衝撃波付近でピークとなることに対応している。 位相についてみると、φUは0.7 < x/c <0.8、φLは0.5 < x/c < 0.6を除く範囲で亜音速領域の場合とほとんど同じ分 布傾向を示しており、衝撃波変動位置付近を除いてマッハ数 (あるいは圧縮性の強さ)の違いが非定常圧力の位相に及ぼ す影響はほとんどない。上述したように、衝撃波前後で位相 がほぼ90°変化していることは、非圧縮や亜音速領域との大 きな相違点である。 以上のような非定常圧力の振幅、位相分布に対応して、局 所エネルギ分布にも非圧縮や亜音速領域との違いが現れてい る。 E U を見ると、ねじり軸より前縁側では安定の程度が弱 くなり、x/c = 0.8でφU = −30°となるために、衝撃波後方 では安定に寄与している。それより後縁付近では約φ U = 90°となるので再び不安定に寄与する。ELについては、ALと φ L は x / c = 0.5付近で大きく変化するものの、ねじり軸が x/c = 0.5であるため局所エネルギには影響せず、分布傾向 は亜音速の場合と変わらない。x/c = 0.5付近を除き、φLの 分布傾向は亜音速の場合とほとんど変わらないので、腹面側 局所エネルギには A L の違いが影響していることが判る。こ の局所エネルギ分布から、衝撃波前方では亜音速と同様の寄 与があること、衝撃波変動は安定側に作用すること、翼背面 側の後縁付近では不安定として強く作用することが判る。 次に、 k の影響を見てみる。b k = 0.161の場合はa k = Fig.7 Contribution of aerodynamic work of each blade to 0th blade 0.015の場合とほとんど相違が見られず、kの影響は見られな 43 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 Fig.8 Local energy distribution with all-blades oscillation at M=0.815 い。さらにkが高いck = 0.325の場合、AU、ALともに大きく さらに、低振動数ではほとんど圧力変動が生じていない なるが、位相分布はほとんど変わらず、EUについてはkの影 翼面上においても周期的な圧力変動が生じる。 響は見られない。また、ELはねじり軸前後でkの低い場合よ 2)衝撃波変動位置付近で非定常圧力振幅は急激に大きくな り絶対値は大きくなるが、翼全体としては相殺し、エネルギ り、非圧縮や亜音速領域とは異なる分布傾向を呈する。 的に中立である。 位相については、衝撃波前後で大きく変化しており、翼 以上のことから、衝撃波が存在する場合は、衝撃波変動位 列の非定常空力特性に大きな影響を及ぼすと考えられる。 置付近の非定常圧力振幅と位相が大きく変化し、背面側局所 3)マッハ数の違いや無次元振動数の違いに依らず、振動翼 エネルギにも大きな影響を与えるが、腹面側では衝撃波の影 上流側(腹面側)に位置する−1番翼と、振動翼下流側 響は翼弦中心付近で強いため、ねじり軸が翼弦中心にあるこ (背面側)に位置する+2番翼の振幅は、他の翼に比べ とから局所エネルギへ及ぼす衝撃波変動の影響はほとんど現 ると小さい。−1番翼の非定常モーメントが小さいの れないことが明らかになった。また、無次元振動数が増加す は、−1番翼背面の非定常圧力振幅は0番振動翼に次い ると、翼背面、腹面側共に局所エネルギの分布傾向は変わら で大きいものの、その最大値が翼弦中心付近にあり、分 ないが絶対値が大きくなることも明らかになった。 布形状がねじり軸前後でほぼ対称に近いため、モーメン トへの寄与が小さくなるためである。無次元振動数の増 5.おわりに 加による影響は、振動翼の非定常モーメントを若干減少 遷音速圧縮機翼列の非定常空力特性を調べるために、一翼 させ、振動翼下流側の+1番翼の振幅を若干増加させる 振動法による実験手法を用いた実験および解析を行い、翼間 が、それ以外の翼に対してはほとんど影響しない。 衝撃波変動を伴う遷音速領域において以下の結論が得られ 4)振動翼腹面側(上流側)に位置する−2番翼の非定常モ た。 ーメントは、振動翼に隣接する−1番翼よりも大きい。 まず、一翼振動時の各翼の非定常空力特性について、 これは、非定常翼面圧力振幅は−1番翼より小さいが、 1)翼振動の影響による圧力変動は、振動翼下流側(背面 翼背面側の衝撃波変動位置で非定常圧力振幅が大きくな 側)に位置する翼面では振動翼に面する隣接翼腹面に生 り、ねじり軸前後で非対称となるためである。このこと じるが、それ以上離れた翼面では生じない。しかし振動 から、ねじり軸位置が非定常空力特性に大きな影響を及 翼上流側(腹面側)では、振動翼に面する隣接翼背面に ぼす可能性があると推察される。 正弦波的な圧力変動が生じるだけでなく、それ以上離れ 次に、全翼振動時の非定常空力特性について、 た翼の翼面上においても生じており、翼振動の影響は振 5)本実験における無次元振動数の全ての範囲にわたり不安 動翼上流側(腹面側)に対して遠くまで及ぶ。また、無 定であった。非圧縮領域と亜音速領域同様に、0番翼 次元振動数が増加すると、圧力変動に位相遅れが生じる。 (振動翼)は空力的安定に寄与する。空力的不安定に大 44 平野孝典 藤本一郎 ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常空力特性(遷音速領域の場合) Paper, No.89-GT-271, 1989. きく寄与するのは腹面側隣接翼(−1番翼)であり、衝 l 撃波の影響により、背面側に位置する+2番翼からの寄 Fleeter, S., Novick, A. S., Riffel, R. E. and Caruthers, J. E., An Experimental Determination of the Unsteady 与も大きくなる。 Aerodynamics in a Controlled Oscillating Cascade, ASME 6)衝撃波変動位置付近を除いて、非定常圧力の位相特性に Paper No.76-GT-17 (1976), 1-9. 及ぼすマッハ数(あるいは圧縮性の強さ)の影響は小さ ¡0 い。しかし、衝撃波前後で位相がほぼ90°変化している ことは、非圧縮や亜音速領域との大きな相違点である。 梶・岡崎,圧縮性流れにおける軸流機翼のフラッタ,機 論,35-273(昭47-5),1023-1033. ¡1 7)非定常圧力の振幅と位相分布が、特に衝撃波位置付近で Shiratori, T. and Tanida, Y., Aerodynamic Characteristics 大きく変化するのに対応して、局所エネルギ分布にも衝 of an Airfoil Oscillating in Transonic Flow between 撃波位置付近で非圧縮や亜音速領域との違いが顕著に現 Parallel Walls, Proc. 1983 TOKYO Int. Gas Turbine Congress (1984), 659-666. れる。 ¡2 8)衝撃波変動は空力的に安定側に作用する。 Hirano, T., Tanaka, H. and Fujimoto, I., Relation between Unsteady Aerodynamic Characteristics and 参考文献 Shock Wave Motion of Transonic Compressor Cascades in a Pitching Oscillation Mode, Unsteady aerodynamics 花村・田中・山口,振動翼列における非定常流体力測定 に関する一実験法,機論,45-398, B (1979), pp.1399-1407. s aeroacoustics and aeroelasticity of turbomachines (2000), 468-481. 平野・藤本,ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常 ¡3 空力特性(非圧縮領域の場合),拓殖大学理工学研究報告, Yamamoto, K. and TANIDA, Y., Self-Excited Oscillation 10-2 (2008). d of Transonic Flow Around an Airfoil in Two-Dimensional Channel, ASME Paper, No.89-GT-58 (1989). 平野・藤本,ねじり振動する遷音速圧縮機翼列の非定常 ¡4 空力特性(亜音速領域の場合),拓殖大学理工学研究報告, 10-2 (2008). Gallus, H. E., Broichhausen, K. -D. and Henne, J. M., f Experimental 51-12),3871-3880. g Layer He, L., An Euler Solution for Unsteady Flows Around Grant, R. J., An Experiment to Measure Moment Oscillating Blades, ASME Paper, No.89-GT-279 (1989). ¡6 Coefficients for Airfoils Oscillating in Cascade, RFM Crawley E. F. and Hall K. C., Optimization and (1976), 123-134. Mechanisms of Mistuning in Cascades, ASME Paper, Kobayashi, H., Effects of Shock Wave on Aerodynamic No.84-GT-196 (1984). ¡7 Instability of Annular Cascade Oscillation in a Transonic Schlaefli, D., Experimentelle Untersuchung der Flow, Trans. ASME, J. Turbomachinery, Vol.111 (1989), Instationären Strämung in Oszillierenden Ringgittern, 222-230. Ph.D.Thesis, Ecole Polytechnique Fédérale de Lausanne j Shaw, L.M., Boldman, D.R., Buggele, A.E. and Buffum, (1985). ¡8 D.H., Unsteady Pressure Measurements on a Biconvex k Shock-Boundary ASME Paper, No.86-GT-218 (1986). ¡5 Whitehead, D. S., Watson, P. J., Nagashima, T. and h Unsteady Interaction at Single Blades and in Linear Cascades, 斎藤・谷田,チョーキングフラッタ,機論,42-364(昭 Fransson, T. H., Analysis of Experimental Time- Airfoil in a Transonic Oscillating Cascades, ASME Paper, Dependent Blade Surface Pressure from an Oscillating No,85-GT-212 (1985). Turbine Cascade with the Influence-Coefficient Buffum, D.H. and Foeeter, S., The Aerodynamics of an Technique, ASME Paper No.90-GT-225 (1990),1-11. Oscillating Cascade in a Compressible Flow Field, ASME 45 ■論文 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 竹谷の順位相関係数の特性解析* Characteristic analysis of Takeya’s rank correlation coefficient 竹谷 誠 Makoto TAKEYA** Abstract The traditional paper tests used in school education have been able mainly to measure the degree of individuals’ understanding of knowledge. However, it is difficult to measure the internal connections among bits of knowledge for formative evaluation. The author has proposed a testing method, the Logical Flow Test (LFT) method, as a formative evaluation tool. In the LFT method, he has presented the similarity coefficient between a pair of transition digraphs (Logical Flow Graph, shortened by LFG). Moreover, he has developed Takeya’s rank correlation coefficient. This paper will consider the characteristics of the similarity coefficient between a pair of transition digraphs. It will focus on the pair of vertices on the LFGs. Then it will measure the degree to which the vertices going along the path of vertices corresponds to the ordered pairs of vertices. Using this method, he will show Takeya’s rank correlation coefficient from the similarity index defined here as an expansion of the existing Goodman and Kruskal’s rank correlation coefficient γ. Finally, he will show that the suggested similarity index coefficient will be effective as a similarity index coefficient for partially ordered data structure from both the logical side and the practical side. Keywords:logical flow graph, logical flow test, rank correlation coefficient, similarity index characteristics of ψ and with an expanded form of the 1. Introduction Takeya and Yasuki (2004) have presented the similarity existing rank correlation coefficients. He will provide index between a pair of the transition digraphs. This supportive evidence for this to also be applicable to partial definition does not directly take into account the existence or ordering data. non-existence of ordered relationship (directed edges). This 2. Similarity index focused on order configuration and its ordered relationship (directed edges) is for example, a type of causal or inclusive relationship, and for the LFG it take into basic characteristics 2.1 Basic definitions related to a transition digraph account only the ordered relationship of the vertices An acyclic digraph G is defined by n vertices νj ( j = 1, 2,…, (Takeya, 1999). In other words, the vertices on the path are ordered (directed edges), and the ranking on the path is set. n) and m ordered relationships, i.e. directed edges ek (k = 1, 2, For this reason, it is assumed that in this quantitative …, m). A set of vertices and a set of edges is represented by method the digraph satisfies the transitive law. Satisfying V={v1, v2,…, vn} and E ={e1, e2,…, em}, respectively. That is, G is the transitive law means that for any vertices a, b, and c, described as an acyclic digraph G = (V, E ). It shows vertex when a→b and b→c for the ordered relationship (directed (vi , vj ) with the directed edge from vertex vi to vertex vj . Two edge), then a→c will always be satisfied. It focuses on acyclic digraph are shown by GT = (VT , ET) and GS = (VS , ES ) . It difference of ordering of the ordered pairs of the vertices is assumed that VT =VS =V. Also generally speaking, the that exist on the paths on a pair of the transition digraphs. number of vertices in the set will be an absolute figure. That The degree of similarity defined in this method involves a is, VT = VS = V = n . discussion of taking of a linear transformation and the The similarity indices discussed in this paper involve the coefficient of an expanded Takeya’s rank correlation index degree of similarity of the objects to be measured, the will be defined. Specifically, in Chapter 2, first he will break vertices and the directed edges (ordered relationships), with down the basic definition and degree of similarity of the the included paths used as a standard of measurement. The digraphs. Next, he will offer the degree of similarity SV sets related to the paths are defined as follows: for graph between a pair of transition graphs and investigate the basic GZ ( Z = T, S), V〈→ vj〉Z : a set of vertices included in sets of paths whose characteristics of the degree of similarity. Following this in Chapter 3 in order to more deeply consider the end vertex is vj characteristics of SV , he will do a linear transformation of V〈vj→〉Z : a set of vertices included in sets of paths whose ψ = 2SV −1, and compare the existing rank correlation beginning vertex is vj In addition, in each case the standard that includes the coefficients. He will then derive the rank correlation object itself is not included. In other words, these are true * ** vj ∉V〈→ vj〉Z, vj ∉V〈vj→〉Z. 原稿受付 平成20年9月11日 工学部情報工学科 47 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 2.2 Definition and basic properties of similarity index are satisfied so that the next equation for SV (GS , GT ) can be The similarity index for GS and GT is defined by using the simplified as follows: element numbers of both the reachability and antecedent sets of vertices common to any vertex vj ( j = 1, 2, …, n) on GS and GT and the maximum numbers of the both reachability and antecedent set being normalized. For any vertex vj ( j = 1, 2, …, n) , common vertices for the reachability set and common vertices for the antecedent set can be expressed as j follows: V〈→ v j 〉T ∩ V〈→ v j 〉S and V〈v j →〉T ∩ V〈v j →〉S , respectively. In other words, the similarity index for GS and Here, GT is defined as follows. k a Then Here, s l is satisfied so that 2.3 Forward- direction and backward-direction The concept of rank correlation shown by Yasuda and Unno (1977) applies to the transition digraphs. First when they do not have the same order, i.e. say the two digraphs GZ = (V, EZ) (Z = S, T ) are linear digraphs. GL , shown in Fig.1, is d an example of a linear graph. Generally speaking, the order Z for vertices vj (∈V ) of GZ = (V, EZ) will be rj respectively with Therefore, f And so, similarity index SV (GS , GT ) is shown by the following Eq. g. g Also, h Fig.1 48 Graphic expression of totally ordered data 竹谷 誠 竹谷の順位相関係数の特性解析 ¡0 Now the author will arrange SV (GS , GT ) according to the concept of forward- and backward-directed. First he will make the vertices SV (GS , GT ) of Eq. g equal to Σ X. ¡1 In the right side of Eq. ¡1 , V → v j T ∩ V → vj S , when he focuses on any vj for both GS and GT , the number of forwardFig.2 Graphic expression of partially ordered data directed vertices for vertices preceding to vj . On the other T hand, V v j → ∇V v j → ( j=1, 2,…,n). Each of rjZ will take on the value of {1, 2, …, n} S is the number of forward-directed with no duplication ( j = 1, 2, …, n). At this point, for GZ = (V, vertices for vertices reachable to vj . ΣX is the quantity of EZ ) when, (vi , v j ) ∈ E Z , rjZ = ri Z + 1 ( j = 1, 2,L, n − 1) is satisfied combined pairs of j . Therefore, it is possible to associate ΣP, with (Z = S, T ). In this way, for the set of vertices {v1 , v2 ,…,vn } the concept of forward-direction used in the rank-correlation and the order set {1, 2,…, n} corresponds one to one, the coefficient, with ΣX . Now from Eq. h, ordered data {v1, v2,…, vn} is called totally ordered data. The ¡2 digraph GL shown in Fig. 1 is an example of totally ordered data. The digraph GM in Fig. 1 is not totally ordered data, but is satisfied. Z it contains concurrent data. Any rj ( j = 1, 2, L, n) takes on Next, this paper will introduce the new concept ΣY , which one of these values {1, 2, … , n}, but when there is is different from the heretofore backward-directed concept duplication, it is called semi-totally ordered data. Also, data ΣQ . ΣY can be defined as follows: that is not totally ordered data is called partially ordered data . Semi-totally ordered data is included in partially ¡3 ordered data. The two examples of non-linear graphs shown in Fig. 2 are examples of partially ordered data. From the sets of vertices, the specific partial sets possess properties of Then ¡4 ordered data, but this is a case when the entire set does not. Next, the terms forward-direction and backward-direction Therefore, used in rank correlation are defined as on GS , GT . In the past, totally ordered data and semi-totally ordered data were S S defined as follows. Focusing on any two vertices vi , vj , ri < rj ¡5 and rjT < rjT or when riS > rjS and rjT > rjT works, the pairs {vi , vj } are forward-directed. On the other hand, when riS < rjS and rjT S rjS rjT T In the right side of Eq. ¡5, V → v j works, the pairs {vi , < or when ri > and > vj } are backward- directed. At this time, the summation of rjT rjT ∇V → v j S , focusing on any vj for both GS and GT , even if vertices preceding vj have forward-directed pairs {vi , vj }(i ≠ j) is ΣP, and the summation an ordered relationship on one graph, represents the of backward-directed pairs {vi , vj }(i ≠ j) is ΣQ. number of corresponding vertices on the other graph that This paper has expanded the concept of forward-directed are not forward-directed. In the same manner, in the right and backward-directed to partially ordered data. In other side of Eq. ¡5 , V → v j words, 49 T ∇V → v j S , focusing on any v j for 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 both GS and GT , even if there are reachable vertices to any vj ™0 on at least one graph, represents the number of vertices on 2) Kendall’s rank correlation coefficient: τ ( = τ a) and τ b the other graph that are not forward-directed. ΣY is the quantity of combined pairs of j. As a result, the following ™1 relationship can be obtained: 【Property 1】 ¡6 ™2 (Proof) Here, ¡7 Therefore, ™3 tS and tT show the size of same rank between rank variates S and T . By totaling the number of pieces gained by combining ¡8 these, TS and TT is obtained. 3) Somers’ index of association:d Somers’ index is non-symmetrical as follows: Therefore, ™4 the denominator of Eq. g ™5 ¡9 Here the relationship So the given equation can be obtained. ™6 (End of proof) As a result, it is possible to explain the ratio requested when is satisfied. forward-direction was accomplished for at least one 3. Character analysis of Takeya’s rank correlation coefficient directional relationship among the vertices in either GS or GT for SV(GS , GT ). ψ 2.4 Existing rank correlation coefficients 3.1 Takeya’s rank correlation coefficient ψ To help with later discussion, this paper shows the To give more consideration to the properties of SV (GS, GT) , relationship of the rank correlation coefficients shown in this paper will create a linear transformation and define Ikeda (1976). Basically, focusing on the order between Takeya’s rank correlation coefficient ψ as follows. vertices, rank correlation can be discussed by the forward- ™7 and backward-direction concept. By taking one of the First, from a comparison of Goodman and Kruskal’s rank variates as a base, the difference (ΣP−ΣQ) between the total sum of forward-directed pairs ΣP, and the total sum of coefficient of association γ = backward-directed pairs ΣP is defined as the normalized ΣP − ΣQ (Eq. ™0), formalizing ΣP + ΣQ the ψ coefficient in the same way, the following related amount. A concrete definition follows: 1) Goodman and Kruskal’s rank coefficient of association : γ property can be obtained. 【Property 2】 Heretofore this coefficient is quantified by the rank correlation found in data in the cross table for rank ™8 characteristics, but it can also be used as the rank (Proof) This is clear from Eq. ™3 and Eq. ™7. correlation coefficient between two ranked variates. 50 (End of proof) 竹谷 誠 竹谷の順位相関係数の特性解析 By necessity, ™9 £9 is true. Now, ψ (GS , GT ) (hereafter ψ ) will be discussed by using the rank correlation coefficient between two transition ¢0 digraphs. Before that, however, this paper will briefly examine the relationship between ranking data and the Hence digraphs a bit more. First let’s define the set of pairs {vi , vj} (i, j = 1, 2, …, n) of any vertices for set V and V for the Cartesian product V × V . ¢1 £0 Similarly, for ΣW : Therefore, the sum total of distinct vertex pairs becomes: ¢2 £1 With vj as a base, within pairs {vi , vj} (i = 1, 2, …, n;i ≠ j ) , the sum total of forward-directed pairs ΣP and the sum total of ¢3 backward-directed pairs ΣQ can be found in Eq. ¡0. Also, the relationship between Σ X and ΣP, can be shown by Σ X = 2ΣP (Eq. 12). Now, ΣY will be focused. Yj ( j = 1, 2, …, n) is defined in the next equation. ¢4 £2 Moreover, ΣR becomes: If for GS , the set of vi made up only of ranking pairs for vj and ¢5 for GT , the set of vi made up only of ranking pairs for vj , will At this point, ΣR can be converted as follows: be defined by Uj and Wj , respectively, £3 ¢6 £4 In addition, for both GS and GT , set Rj of vj , which doesn’t make ranking pairs becomes, ¢7 £5 It follows that ΣR is the summation of vertex pairs where Then rank cannot be determined on both graphs GS and GT . And £6 finally, £7 Also, ΣU , the sum total of ranking pairs that work only for ¢8 GS , and ΣW, the sum total of ranking pairs that work only for GT are represented by the following: £8 51 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 ∞7 Hence, γ ≥ ψ. ∞8 Meanwhile, the equal sign can be used when ΣU+ΣW = 0 and when ΣP = 0 . ¢9 (End of proof) In other words, γ = ψ is satisfied only when there is no ordered pairs on only one of GS or GT , because the ΣU on GS is the sum total of vertex pairs and ΣW on GT is the sum total of Hence, the following relation is satisfied. vertex pairs. Also the equal sign is satisfied if forward- ∞0 directed vertex pairs do not exist for either graph, in which case γ = ψ = − 1 . ∞1 【Property 5】 For totally ordered data, ∞2 ∞9 ∞3 (Proof) For totally ordered data(linear graph), all of the vertex 【Property 3】 pairs must have a forward-directed or a backward-directed relationship. In other words, ∞4 §0 will always be satisfied. Consequently, the following equation ∞5 is satisfied. (Proof) Omitted. §1 ΣP − ( ΣQ + ΣU + ΣW ) can be thought of this With Eq. ∞5, ψ = ΣP + ( ΣQ + ΣU + ΣW ) For totally ordered data, γ =τa = τb = dyx= dxy is true (Ikeda, 1976). way, so if compared with the defining formula for the γ As a result the given Eq. ∞8 is also satisfied. coefficient, for the ΣQ of the γ coefficient, the ψ coefficient (End of proof) Next let’s show the relationship between the ψ coefficient corresponds to ΣQ+ΣU+ΣW. As a result, for partially and the γ coefficient in a model example. Here, the γ ordered data, you can understand that the product can be coefficient is applied to all kinds of ordered data according to found. In other words, on the one hand the paired its definition described in Eq. ™0. In Fig.1 and Fig.2, the rank relationship is satisfied, and on the other hand, it can be correlation coefficients between GL , GM , GV , GW are calculated interpreted for the γ coefficient where the paired as shown in Table 1. Let’s consider the relationship of relationship is not satisfied. coefficients between GW and GL with totally ordered data, 3.2 Relationship between ψ coefficient and γ coefficient between GW and GM with semi-totally ordered data, and Considering the relationship between the ψ coefficient and between GW and GV with partially ordered data. γ (G V , the existing γ coefficient, this paper will discuss the G W ) = 1.00, but on the other hand, the rank correlation significance of the ψ coefficient. The following relationship coefficient for this presentation is ψ (GV , GW) = − 0.20. On GV , will be satisfied between the ψ coefficient and the γ vertices (d, a) , (e, a) , ( f, a) , (e, c) , ( f, c) exist, but on GW , they coefficient. 【Property 4】γ ≥ ψ do not exist. On the other hand, on GW , vertices (c, d ) , (e, d ) , ∞6 ( f, e) exist, but they do not exist on GV . That is, where I had (Proof) From Eq. ¡1 related to γ and Eq. ™8 related to ψ , assumed that the γ coefficient was always a rank correlation 52 竹谷 誠 竹谷の順位相関係数の特性解析 Table 1 ψ coefficients and γ coefficients for digraph models shown in Fig. 1 and Fig. 2. and non-linear graph constructions. In the past, when you compared two groups of ordered data, computing the rank correlation coefficient, you could use only semi-totally ordered data or the totally ordered data. In other words, the rank correlation coefficient could be defined only between totally ordered data or semi-totally ordered data. However, in today’s society, the great majority of ordered data is partially-ordered data. Generally speaking, up until now the rank correlation coefficient between two partially-ordered data was non-existent. Applying prior rank correlation coefficients to partially-ordered data was unreasonable. The fact that the ψ coefficient of this proposal can be applied to rank correlation for partially-ordered data, is its greatest feature. 4. Conclusions In this paper, what the author found was that the ψ coefficient made up of only totally ordered data, the above coefficient has rank correlation, and in the case of totally noted difference had not been considered at all. In the ordered data, the ψ coefficient and the γ coefficient are in meantime, this difference is included in the definition of the accord with each other, whereas with the existing rank ψ coefficient. Consequently, the ψ coefficient is a rank correlation coefficient it was not applicable, but now with correlation coefficient that can be applied to partially- partially-ordered data, it can be applied. It shows that the ψ ordered data. For totally ordered data and semi-totally coefficient is an expansion of the prior rank correlation ordered data from the past, the γ coefficient could be applied, coefficient. but it has become clear that expanding the definition to use with partially ordered data is not possible. References Ikeda, Hiroshi (1976) Basic Statistical Methods I , Previously, Takeya, Yasuki and Tomita (2007) have considered the relationship between the ψ coefficient and Shinyosha, pp.133-144. (in Japanese) the γ coefficient by using the implementation results. There Takeya, Makoto (1999) Structure Analysis methods for were 117 trial subjects in the first group and 41 in the latter Instruction: Theory and Practice of Instructional group. In all cases, the LFGs from all trial subjects had Architecture, Design and Evaluation, Research Institute of partially ordered data structures. In the former example, the Science and Engineering, Takushoku University Press, ψ coefficient ranged from -0.5 to 1, but the γ coefficient went pp.137-151. only from 0.6 to 1. Furthermore, 95% or more were at least Takeya, Makoto and Yasuki, Nobuaki (2004) Classification 0.8 or higher. In the latter example, the ψ coefficient ranged and characteristic analysis of difference indices between a from -0.3 to 1, but the γ coefficient went only from 0.5 to 1, pair of logical flow graphs. ET2004-39 . pp.15-20. (in but 90% or more were at or above 0.8. This is because the γ Japanese) coefficient is assumed to be a coefficient for totally ordered Takeya, Makoto, Yasuki, Nobuaki and Tomita, Satoshi (2007) data. This leads to the conclusion that the ψ coefficient is the Characteristic analysis of a similarity indicx between a only rank correlation coefficient that can be applied to pair of graphs in the logical flow test method. partially ordered data. That is to say, the ψ coefficient can be Behaviometrics. 34, 1, pp.49-66. (in Japanese) Yasuda, Saburo and Unno, Michiro (1977) Social Statistics. used as a rank correlation coefficient not only between linear Maruzen, pp. 38-45. (in Japanese) graphs, but also between linear graph and non-linear graphs, 53 ■論文 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 SIMSの極微小部分析に向けて* Prospects for micro-area analysis in SIMS 関 節子 Setsuko SEKI** 田村一二三 Hifumi TAMURA*** Abstract The depth resolution in SIMS depth analysis was remarkably improved by a surroundings-free sample preparation method of forming a mesa-structure projection. Using the mesa-structure preparation method we intended to achieve depth analysis for a very small sample of micrometer size with a good depth resolution. The depth profiles of boron implanted into silicon were studied for the mesa samples of various sizes by controlling the several factors such as, raster area, detecting area, gate area ratio and the primary beam size. As a result, even if the sample was as small as the size of 4 μm×8μm, the depth profiles with good depth resolution and sensitivity was successfully obtained by adjusting the above factors relevantly. Keywords:SIMS, depth profile, mesa structure, surroundings-free sample preparation, gate area ratio 1.はじめに いわゆるメサ構造を作製するという試料の加工が必要であっ 近年半導体分野ではデバイスの高集積化、高密度化によっ た4、5)。以上の観点から、本研究では、メサ構造化によるマ て、デバイスの微小部分、極浅層のチャラクタリゼーション イクロメートルオーダーの極微小試料の高感度測定に焦点を がますます重要になってきている。二次イオン質量分析法 当てた。極微小サイズを対象にしたときの問題点を、装置の (Secondary ion mass spectrometry, SIMS、以下SIMSと記 機種による測定条件の違いによる比較とともに検討した。 す。)は、高感度検出という特長を有する。そのため最近で は10nm以下の極浅領域や、数十μm2の微小領域のより精確 2.実験 試料はシリコンウエハに、BF2をエネルギー35keV、ドー なキャラクタリゼーションが望まれている。浅い領域の SIMS測定には、一次イオンの低エネルギー化が重要であり、 ズ量6.0×1015 ions/cm2でイオン注入した試料を用いた。メサ 近年では500eV以下の超低エネルギーイオン源も開発され使 構造の作製にはフォトリソグラフィ技術を用いた。ここで、 われている1)。一方、微小領域の測定には細く収束されたビ フォトリソグラフィとはウエハ上にフォトレジストという感 ームが有効であるが、低エネルギー化にするとビームの細束 光性有機物質を塗布しフォトマスクに描かれたパターンを露 化が困難になるという問題がある。筆者らはこれまで、上記 光し、現像、エッチング等緒過程を経て任意の凹凸のパター のような特殊な極低エネルギーイオン源等を具備しない装置 ンを得る技術である。このフォトレジストを利用すると、シ において、いかにして極微小領域のSIMS測定を高感度に行 リコンウエハ上に、小さな突起を残してその周辺部を除去し うかということを目指してきた。そのひとつの方法として、 たパターンを作製でき、このような突起状の構造をメサ構造 SIMSに特有な現象であるクレータエッジ効果を除去するこ という5)。メササイズは、100μm×200μm、71μm×142μ 。そ m、50μm×100μm、35μm×70μm、25μm×50μm、18 のためには、試料上に微小な突起を残しその周囲を除去する μm×36μm、12μm×24μm、9μm×18μm、6μm×12μ とにより深さ方向分解能を向上できることを示した Table 1 * ** *** 2、3) Comparison of analyzing conditions between two instruments 原稿受付 平成20年6月20日 基礎教育系列 拓殖大学理工学総合研究所客員研究員 55 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 m、4μm×8μm、3μm×6μm、2μm×4μmで、高さ約 測定した。走査領域は、メササイズやビームサイズ等状況に 420nmの突起を作製した。 より、200μm×400μmから10μm×10μmの範囲で変えた。 SIMS測定は、次項に述べる四重極型質量分析計(QMS) 走査領域に対する検出領域の面積比のことをゲート比という を有するPHI-6650及び二重収束型質量分析計を有する が、本実験ではゲート比を、5、10、15、20、25、30、35、 Cameca IMS-6f、7fを用いた。注入されたBイオンのシリコ 40、50、60、70、80、90、100%と変化させて(B+Si)−イオ ン中における分布を調べるために、一次イオンはCs を用い、 ンを検出した。測定条件の比較を表1に示す。 + 二次イオンは負イオンの(B+Si)(m/z:39)強度を検出 − した。これより、横軸に表面からの深さをとり、縦軸に二次 3.結果及び検討 イオン強度をとったプロファイル(デプスプロファイル)を 3.1 四重極型装置による測定 四重極型質量分析計(QMS)は、4本の円柱状の電極か ら成り電極方向の軸上に入射イオンを走らせる。電極には直 流と高周波交流を重ね合わせた電圧を印加すると、特定の電 荷/質量比をもつイオンだけが安定な振動をして電極間を通 り抜けて検出される。QMSの特徴は、通常試料台電位をア ースにとり100eV程度の低い引き出し電圧を用いていること である。そのため、一次イオンの加速エネルギーを低く (1.5keV程度)することができる。 一次イオンにCsイオンを用い、エネルギー1.5keV、電流 を約50nAで測定した(B+Si)−イオン強度のデプスプロファ イルを図1に示す。ここで、通常のフラット試料の場合、走 査領域が200μm×400μmでゲート比を5%∼100%まで変え たときのデプスプロファイルを図1a)に示す。フラット試 料では、ゲート比を高くするにつれて、バックグランドレベ ルが次第に高くなってプロファイルが歪みそれに伴いダイナ ミックレンジは小さくなっていく。これは、SIMS測定では Fig.1a) ゲート比が大きくなるにつれ、クレータエッジからの妨害イ オンの取り込み(クレータエッジ効果という)が大きくなる Fig.1b) Fig.1c) Fig. 1 Layers of depth profiles of BSi- ion for a) a flat sample and b) a mesa structure sample with the gate area ratio changed from 5% to 100%. c) Illustration of the beam size in comparison with the mesa area, raster area and gate area ratio. Measurement was performed by PHI-6650 with the Cs energy of 1.5 keV. 56 関節子 田村一二三 SIMSの極微小部分析に向けて Fig.2a) Fig.2b) Fig. 2 a) Depth profiles of BSi- ion for mesa structure with small mesa sizes of 35×70, 18×36, 12×24, 9×18, 4×8 and 2μm×4μm were measured at a gate area ratio of 70 %. b) Illustration of the beam size in comparison with the mesa size, raster area and detecting area. Measurement was performed by PHI-6650 with the Cs energy of 1.5 keV. Fig.3a) Fig.3b) Fig. 3 a) Layers of depth profiles of BSi- ion for a) a flat sample and b) a mesa sample with a size of 25μm×50μm with the gate area ratio changed from 5% to 100%. c) Illustration of the beam size in comparison with the mesa area (rectangular), raster area (square) and gate area ratio. The energy of Cs ion was 5 keV. Measurement was performed by Cameca IMS-6f with the Cs energy of 5 keV. ことを示している。このため、このクレータエッジ効果をお さえるために通常ゲート比を5∼15%程度と低くしている。 いっぽう、図1b)は、100μm×200μmのメサを用いた場 合のデプスプロファイルである。メサ試料では、ゲート比を 80%程度に高くしてもバックグランドが極端に高くなったり Fig.3c) 57 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 Fig.4a) Fig.4b) Fig. 4 a) Depth profiles of BSi- ion for a mesa sample with a size of 4μm×8μm in case of time integrated for 2.2 s, 5.0 s and 10.0 s. b) Illustration of the beam size in comparison with the mesa area, raster area and gate area ratio. Measurement was performed by Cameca IMS-6f with the Cs energy of 14.5 keV. することもなく歪みのないほぼ一定の良好なプロファイルを イオンを高電界をかけて引き出して電場、磁場をかけて質 保っている。これらの比較より、メサ構造化することによっ 量/電荷比に分けて検出する。この場合、若干のエネルギー てゲート比を高くしても、深さ方向分解能が高い良好なデプ のばらつきや走行方向のばらつきがあっても、質量/電荷比 スプロファイルが得られることがわかった。ゲート比を大き が同じであれば、それらのイオン群を1点に集めることがで くできることは微小試料測定の場合には有利である。なぜな きるため、高感度高分解能という特徴をもつ。しかし、試料 らば、検出領域と同程度の微小な領域を走査して、感度及び 台が高電位であるため負イオン検出の時には低エネルギーの 深さ分解能ともに良好な深さ情報を得られことになるので、 一次イオンビームを使用できない。 微小部測定にとって有利となるからである。ただしこの場合、 まずCsビーム5keVで、走査領域125μm×125μmで、ゲ エネルギーを1.5keVに下げるとビーム径がおよそ40μm× ート比5∼100%で測定した。フラット試料の場合のデプス 80μmの楕円形に広がってしまう。この場合の、ビームサイ プロファイルを図3a)に、メササイズ25μm×50μmの場 ズとメササイズ、走査領域及びゲート比との関係を図1c) 合を図3b)に示す。この場合、ビーム径はおよそ50μmの に示す。 径のほぼ円状であり、メササイズ、走査領域、ゲート比との そこで、試料をメサ構造化することにより微小試料の 関係とともに図3c)に示す。 SIMS測定がどこまで可能になるかを調べた。試料は、71μ 一方、メサをμmオーダーに小さくすると上述したように、 m×142μmから2μm×4μmの各種サイズのメサ試料を測定 メササイズに対してビーム径が非常に大きくなるため、走査 した。Csイオンは1.5keV、20nAの低加速、低スパッタ速度 領域を小さくすることができなくなる。そこで、ビーム径を の条件を用いた。この場合、ビームが大きく広がっているの 絞るためエネルギーを14.5keVと高くした。このときビーム で、μmオーダーの微小エリアの測定は不可能のように思え 径はおよそ1∼2μmと絞ることができた。微小メサとして、 る。しかし走査領域と検出領域をビームサイズに比べてじゅ 4μm×8μmを用い、走査領域は10μm×10μmとしてゲー うぶんに大きく選ぶことにより、可能にすることができた。 ト比を変えて測定した。ゲート比が5%のとき、取り込み時 その結果を図2a)に示す。この場合の測定はすべて、走査 間を2.2s、5.0s、10.0sと変えてデプスプロファイルを図4a) 領域は100μm×200μm、ゲート比は70%と固定して行った。 に示す。またこのときのビームサイズとメササイズ、走査領 この場合のビームサイズとメササイズ、走査領域及び検出領 域及びゲート比との関係を図4b)に示す。取り込み時間を 域との関係を図2b)に示す。 大きくすると、バックグランドの変動は小さくなるが同時に 3.2 磁場型装置による測定 レベルが上がってくることが分かる。これは、装置内に付着 別のタイプの質量分析計として二重収束磁場型装置があ したイオンの再スパッタや散乱の影響が考えられる。しかし、 る。これは、通常試料台を高電位(±4.5keV)にして、二次 ダイナミックレンジは、約1桁向上することがわかった。こ 58 関節子 田村一二三 SIMSの極微小部分析に向けて れより、取り込み時間をかけて積算することにより、ダイナ がったビームであっても分析可能になる。しかも、ゲート比 ミックレンジを広くとることができ、感度を高くすることが を50%以上と大きくしても感度、分解能ともに良好なデプス わかった。 プロファイルが得られる。 一次イオンのエネルギーを高くしたときには、たしかにビ しかし、極微小部測定という本来の目標実現のためには、 ーム径を細く絞ることができ、微小試料測定には有利になる。 最終的には走査領域、検出領域ともにメササイズと同程度の しかし、新たにノックオン効果の懸念が浮上する。ノックオ 微小であることが望ましい。 ン効果とは、一次イオンが試料中に入射すると試料原子との 5.結言 衝突により試料原子に運動エネルギーが与えられ、原子が結 晶格子点からはじき出される現象を言う。この現象は、イオ 試料をメサ構造化することにより、深さ方向分解能及び感 ンのエネルギーが高いほど顕著になり格子位置の原子をより 度が良好な極微小部分析が可能になる。その場合、いくつか 深い方向に押し込む効果を生じる。そのため。デプスプロフ の適した測定条件が考えられる。 ァイルにおいて、ピーク位置が深い方向にシフトしたり、プ 1)一次イオンのエネルギーを2keV以下の低エネルギーに ロファイルの幅が深い方向に広くなったりすることが知られ した場合、ビーム径がメササイズと同等かそれ以上の場 ている。本測定の場合、加速エネルギー5keVでは、1.5keV 合には、走査領域を大きくすると、ゲート比を80%程度 の場合(図1参照)と比べると、プロファイルの幅が若干広 大きくしても比較的良好なプロファイルが得られる。 がっているので若干ノックオン効果がみられるといえる。 2)一次イオンのエネルギーが10keV以上と高く、ビーム径 また、QMS装置の場合には、試料台上におけるビーム走 がメササイズに比べてかなり小さいときには、走査領域 査形状は辺の長さが1:2の長方形になるため、それに合わ がメササイズより若干大きい程度であっても、良好なプ せてメサの形状を長方形にしている。しかし、磁場型装置の ロファイルが得られる。 場合には、ビーム走査形状は正方形である。したがって、メ 3)メササイズが、μmオーダーの場合には、取込み時間を サの形状を装置固有の走査形状に合わせた方が感度の点から 大きくして積算をすることにより、ダイナミックレンジ 有利といえる。 を大きくすることが出来る。 4.考察 6.謝辞 メサ構造の微小試料の深さ方向分析を正確に行うには次の 本研究は拓殖大学理工学総合研究所平成19年度個人研究助 要因を考える必要がある。 成を受けて行いました。ここに研究助成を受けたことを感謝 1)一次イオンの加速エネルギー 申し上げます。 2)メササイズ 3)メサ形状 引用文献 3)ビームサイズ 1)W. Vandervost, T. Janssens, B. Brijs, T. Conard, C. 4)走査領域 Huyghebaret, J. Fruhauf, A. Bergmaier, G. Dollinger, T. 5)ゲート比 Buyuklimanli, J. A. VandenBerg and K. Kimura, Appl. Aurf. Sci., 231-232 (2004) pp. 618-631. 高感度、高分解能のデプスプロファイルを得るには次のよ 2)H. Sumiya, K. Mutoh, H. Tamura and S. Seki, J. Surf. うに考えられる。まず、メサの形状を用いる装置の走査形状 Sci. Soc. Jpn., 17, 154 (1996). に合わせる必要がある。つぎに、一次イオンのビームの条件 は、細く絞った低エネルギーのビームが望ましい。一方、細 3)R. V. Criegern and I. Weitzel, Secondary Ion Mass く絞るためには高エネルギーにする必要があり、そのためノ Spectrometry SIMS IV, Springer-Verlag, Osaka, p. 308 (1984). ックオン効果等デプスプロファイル劣化要因を排除するのは 4)S. Seki, H. Tamura, Y. Wada and S. Ootomo, Appl. Aurf. 難しい。しかし次善の策として、低エネルギーで広いビーム Sci., in press. を用いざるを得ない場合でも、走査領域、検出領域ともにメ サに比べてじゅうぶんに広くとることによって良好なデプス 5)関 節 子 , 田 村 一 二 三 , 拓 殖 大 学 理 工 学 研 究 報 告 , vol.10, No.1 pp.41-46 (2007). プロファイルが得られる。すなわち、μmオーダーの極微小 な分析対象領域を残してその周辺を大きく除去できれば、広 59 ■論文 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 イメージングリオメータのデータ解析プログラムの開発(続編)* 田中 良昌** 巻田 和男*** 西野 正徳**** 大川 隆志***** Abstract Program for analyging Cosmic Noise Absorption (CNA) was newly developed for observed imaging riometer data. This program runs under PC/AT compatible computer by using MATLAB software. Quiet day curve (QDC) of cosmic radio noise was determined by selecting one most quiet day among analyzing several days. We compared calculated CNA with that obtained by the previous program developed by Sato and confirmed that these results were similar to each other. We also made WEB site for publicity of imaging riometer data. Keywords:cosmic noise absorption, imaging riometer, MATLAB, quiet day curve 1.はじめに が必要不可欠である。しかしながら、低緯度・赤道域では、 イメージングリオメータ・データの解析プログラムの開発 電離圏電子密度の日々変動が非常に大きく、それに伴って宇 に関しては、昨年度の理工学研究報告1)にその概要を報告し 宙電波強度も大きく変動するため、QDCを計算することが た。しかし、その時点では宇宙雑音吸収(Cosmic Noise 難しい。そこで、今回の解析では、1ヶ月の中で最も静穏と Absorption:CNA)の吸収画像を求めるプログラムは完成 思われる1日を選定し、その日の宇宙電波強度の日変化を していなかった。それ以後、吸収画像を求めるプログラム開 QDCとみなすことにより、CNAの計算を試みた。CNAは、 発を続け、ほぼ完成に至ったのでここに報告する。 以下の式で計算される。 一般に吸収画像を求める際には、静穏時の宇宙雑音強度を .(1) もとに各日の吸収量を決める。そのため、いかに静穏時の強 度レベルを決めるかが大変重要となる。これまで、佐藤等2) ここで、PQDCは静穏時の宇宙雑音強度、Pは電波吸収があ が開発したCNAプログラムにおいては、静穏時と思われる 宇宙雑音強度の日を3日以上選び、その平均値をスムージン る時の宇宙雑音強度である。 グし、静穏時日の曲線(Quiet Day Curve:QDC)とした。 以下では、2006年12月6日を例にして、解析プログラムを このQDCを用いた解析結果は、オーロラ現象等との比較か 説明する。Fig.1の青線は、ブラジルの南部宇宙観測所 ら妥当なものと判断され、これまでイメージングリオメータ (SSO;Lat.29.6°S, Long.53.8°W)のイメージングリオメー のデータ解析に使用されてきた。 タで取得された2006年12月6日の受信電波強度の日変化をビ ところで、極地域の電離層に比べて、中低緯度の電離層は ーム毎に表示したものである。それぞれのパネルは上が北側 電子密度の日々変動が大きいため、宇宙雑音強度もそれに伴 のビーム、左が東側のビームを示しており、横軸は世界時 い変動し静穏時のQDCを決めるのが容易でない場合が多い。 (UT)、縦軸は受信機の出力値(V)を示している。 今回開発した解析プログラムでは、解析期間中(例えば、1 赤線は、この月の中で地磁気的に静穏であった12月27日の ヶ月前後の宇宙雑音電波の観測データ)のデータから静穏時 宇宙雑音強度を示しており、地球の公転に伴う時間のずれは と思われる1日分のデータを抽出し、それをもとに吸収量を 補正してある。12月27日のKP指数(地磁気活動を表す指数) 求める方法を採用した。このような方法でQDCを決めるこ の1日合計値は4であり、非常に静穏であった。Fig.1より、 とが適切であるか模索中であり、今後、吸収量の値を正確に 12月6日の宇宙雑音強度(青線)は静穏時のもの(赤線)と、 反映するQDCを求める方法を確立したいと考えている。 良く一致していることがわかる。18h30mUT頃(15hLT頃) 以下に、宇宙雑音吸収(Cosmic Noise Absorption:CNA) に、鋭いスパイク状の電波強度増加が見られるが、これは静 の解析プログラムの概要とデータ公開用ホームページ及び初 止軌道上の気象衛星GOESで捉えられたX6.5クラスの大規模 期的な解析結果について報告する。 な太陽フレアによるものである。同様の電波強度増加は、チ 2.吸収画像の解析プログラム 宇宙雑音吸収(CNA)を計算するためには、宇宙雑音強 度の静穏時の日変化(Quiet Day Curve:QDC)を知ること * ** *** **** ***** 原稿受付 平成20年6月11日 極地研究所・プロジェクト研究員 拓殖大学 名大太陽地球環境研究所・研究員 気象庁・地磁気観測所 Fig.1 61 Imaging riometer data at Southern Space Observatory (SSO) 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 リのコンセプシオン(COP;緯度36.8°S、経度73.0°W)で リオメータのビームは、実際には4×4しか存在しないが、 も観測されており、局所的な現象ではないことがわかる。 ここでは、見やすくするために16×16に2次元線形補間して Fig.2は、式aにより計算された12月6日18∼20hUTの いる。上が北方向、左が東方向であり、電離圏を上空から見 SSOにおけるCNAである。図のフォーマットはFig.1と似て 下ろしたようなフォーマットになっている。図の色はCNA いるが、縦軸はCNAの単位であるデシベル(dB)で表示し 強度を示しており、カラースケールはFig.4の横に表示され ている。18hの時点でCNAは全てのビームでほぼ0dBである ている。この図を見ると、18h41mUT頃から西側でCNAが減 が、18h40mUT頃に急激に減少し負の値になり、その後 少(太陽電波強度が増加)し、約10分間にわたり全域で 19hUT頃から増加に転じ正の値となる。前半のCNAの減少 CNAが負の値になっている。その後、18h56mUT頃から東側 は前述の太陽フレアによる電波強度増加が原因であり、式a でCNAが始まり、徐々に西側に移動していく。このCNAイ の分母のPの増加によって引き起こされる。一方、後半の ベントは19h30mUT頃まで継続した。 CNAの増加は、電離圏による宇宙雑音の吸収を示している。 これは、太陽フレアによって放出された紫外線やX線により 電離圏D、E領域の電子密度が急激に増加し、宇宙雑音の電 離圏吸収が起こったと解釈できる。 Fig.2 Cosmic Noise Absorption at SSO for 18h to20h on 6 Dec.2006. Fig.4 Fig.3の上下2つのパネルは、Fig.2のプロットのうち北か 2 dimensional CNA images from 18h38m to 19h11m on 6 Dec.2006 以上のように、QDCを特定の静穏な1日の宇宙雑音強度 ら2番目の東西に並んだ4つのビーム(N2E1∼N2E4)と、 で代用するという方法は、太陽フレアに伴うような比較的振 東から2番目の南北に並んだ4つのビーム(N1E2∼N4E2) 幅の大きなCNA現象の解析には使用可能であることがわか を、それぞれ5dBずつずらして重ねて表示したものである。 った。しかし、この方法は、ブラジル磁気異常帯特有の粒子 上側のパネルを見ると、まず最も西側のビーム(E4)が初 降り込みに伴う比較的振幅の小さいCNA現象を解析するた めに減少し、それが東に向かって移動していることがわかる。 めには、精度が不十分であると思われる。 これは、この時刻(15hLT)には、太陽が西の空に位置して そこで、電波強度の変動幅の大きな低緯度・赤道域でも適 いることが原因かもしれない。逆に、後半のCNAの増加は、 用可能なQDC作成方法として、我々は次のような方法を考 最も東側のビーム(E1)から始まり、西に向かって移動し えている。まず、これまでと同様に、ある期間(1ヶ月以内) ているのがわかる。 の宇宙雑音強度のデータを地方恒星時に変換し、1分毎の Fig.4は、CNAの2次元強度分布を18h38m∼19h11mUTの binに分割する。次に、太陽フレアによる電波強度増加や電 期間について3分間隔に表示したものである。イメージング 離圏シンチレーションの影響を取り除くために、1分毎の宇 宙雑音強度の平均値μと標準偏差σを計算し、μ−3σ∼ μ+3σの区間から外れるデータを取り除く。宇宙電波強度 が正規分布に従うと仮定すると、これにより99.74%のデー タが残され、極端な電波強度の増加や減少は取り除かれるは ずである。この作業をμ−3σ∼μ+3σから外れるデータが 無くなるまで繰り返す。最後に、残ったデータの中から大き い方から適当な値(例えば、大きい方から20%の値)を抽出 Fig.3 Upper panel shows CNA for 4 beams aligned from east to west (N2E1∼N2E4)and lower Panel shows CNA for 4 beams from north to south(N1E2∼N4E2) し、時間方向に移動平均を計算することによりQDCを得る。 62 田中良昌 巻田和男 西野正徳 大川隆志 イメージングリオメータのデータ解析プログラムの開発(続編) プページの「Quick Look」をクリックする。すると、Fig.7 3.南米リオメータネットワークのホームページ 南米リオメータネットワーク(South America Riometer のような年月のリストが表示されるので、見たい年月を指定 Network: SARINET)3)によってこれまでに取得された宇宙 すれば、カレンダー形式のデータリストが表示される 雑音データをインターネットを通じて一般に公開する目的 (Fig.8)。データリストには、宇宙雑音の生データと吸収 で、ホームページを作成した。今のところ、大量に蓄積され (CNA)データの両方を表示する予定であるが、前述のよう たリオメータデータの解析処理作業が終了していないため、 に、現段階では静穏時の宇宙雑音日変化(QDC)を求める 一般公開には至っていない。しかし、ホームページの骨組み 計算方法が確立していないため、CNAデータは作成されて はほぼ完成したので、本章では、その概要について簡単に解 いない。 Fig.8の表「Monthly Plot」の「1-31」をクリックすると、 説する。 Fig.5は、SARINETのトップページである。トップページ Fig.9で示されるような宇宙雑音強度の1ヶ月時系列プロッ では、南米リオメータ観測の目的と意義が述べられている。 トが表示される。これは、リオメータ観測装置のヘルスチェ メニューの中の「Stations List and Maps」をクリックする ックや宇宙雑音強度の長期変動の調査を目的としている。さ と、4×4アンテナ素子イメージングリオメータと単一ビー らに、Fig.8のカレンダーの日付をクリックすると、その日 ムリオメータが設置されている観測点の情報が表示される の宇宙雑音強度の時系列スタックプロット、4×4ビーム全 (Fig.6)。表中には、DGRF/IGRF地磁気モデルにより計算さ ての時系列プロット、0h∼23hUT間の1時間毎の2次元画 れた2005年における観測点の磁気緯度・経度とL値が示され 像、の計3種類のプロットが表示される。これらのプロット ている。また、観測点の名前をクリックすることにより、観 は、MATLABバージョン7.1.0の解析プログラム1)で作成さ 測点の地図や写真が表示される。 れ、GIF形式の画像として保存されている。また、この解析 プログラムは、一つのディレクトリにデータファイルを複数 リオメータデータのクイックルックを見るためには、トッ Fig.5 Fig.7 SARINET home page Fig.6 Fig.8 Quick look of Riometer data 63 Stations list and maps Data list for each stations 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 Fig.9 No.2,2008 Monthly plot data at SSO Fig.10b CNA images obtained in this study 置き、プログラムを実行させることで、大量の画像を自動的 に作成することが可能である。 以上のように、一般公開用のSARINETホームページの骨 に見られるが、大筋で画像中の吸収領域は両者で一致してい 組みはほぼ完成した。今後、早急にCNA解析プログラムを る。従って、今回開発した解析プログラムによる解析結果は 完成させ、CNA画像の公開を行いたい。また、将来的には、 従来のプログラムの結果と同様に信頼できる解析プログラム 南米から準リアルタイムで転送されてくる単一ビームリオメ であると言える。 ータの準リアルタイム表示も行いたいと考えている。 次に、今回開発したプログラムを使用して2007年7月20日 06h16mUTに発生した磁気嵐時に、南米3点と柿岡で観測さ 4.解析結果 今回開発したプログラムの解析結果が妥当であるか判断す るため、佐藤等 2) れたイメージングリオメータ・データを調べてみた。ここで のNEC-PC98による解析プログラムを使用 はその初期結果について報告する。 Fig.11は2007年7月20日6h16mに発生した磁気嵐時の柿岡 した結果との比較を行った。Fig.10a、bは2007年11月20日 23h以降に柿岡で得られた2次元吸収画像を示している。 における地磁気3成分データを示している。この期間南米3 Fig.10aは23h03m55sから23h33m47sまでのデータを佐藤等の 点と柿岡でのイメージングリオメータ・データは連続的に収 プログラムを用いて解析した吸収画像(2分8秒毎)を示し 集されていた。ただ、ブラジルの観測所では7月20日のデー ている。他方、Fig.10bは23h04m00s∼23h31m30sまでのデー タを、今回開発したプログラムを用いて解析した吸収画像 (2分30秒毎)を示している。 この解析にあたり、QDC作成に使用した静穏日は両者と も2007年11月1日のデータをもとにした。また、吸収量の表 示範囲を0dBから1.5dBと2つの画像間で一致させてある。 Fig.11 この2つの解析画像の結果を見ると表示の色や濃淡の違い Magneto-gram at Kakioka during magnetic storm on July 20, 2007 あるいは表示した画像時刻の違いにより、異なる画像が一部 タは欠測であった。 イメージングリオメータ・データの解析をするために、磁 気嵐が発生した前後で静穏日を選びQDCを作成した。Fig.12 は4つの観測点で抽出した静穏時の受信強度曲線(Quiet Day Curve:QDC)を示している。それぞれのQDCはブラ ジルでは2007/07/24、コンセプシオンでは2007/07/25、プン タアレナスでは2007/07/29、柿岡では2007/07/25である。こ の図を見るとブラジル・コンセプシオン・柿岡のQDCはノ イズも少なく静穏日として良いように思われるが、プンタア レナスのデータには多くのノイズが見られる。しかし、この 前後10日間程のプンタアレナス・データを調べたが、いずれ Fig.10a CNA images calculated by Satho’s program もそれ以上に強いノイズが見られた。このため、この日を静 64 田中良昌 巻田和男 西野正徳 大川隆志 イメージングリオメータのデータ解析プログラムの開発(続編) 穏日として採用した。 電波強度レベルを示している。このデータによると7月21日 Fig.13a、13bはブラジル宇宙観測所(SSO)における7月 にはほとんど吸収現象が見られない。7月22日は雷雲に伴う 21日と22日の宇宙雑音電波強度をそれぞれ示している。赤線 強い放射があるが、弱い吸収も見られる。 は7月24日の静穏時(QDC)、青線は解析した21日と22日の Fig.12. Selected QDC at SSO, Concepcion, Punta Arenas and Kakioka stations Fig.13a QDC and 21 July data Fig13b QDC and 22 July data 65 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 Fig.14は7月22日08h∼20hの10分毎の2次元吸収画像デー 見られる。これが入射粒子に伴うものか今のところ解析が進 タである。これによると10h∼13h頃と16h∼20h頃に吸収が んでいない。今後衛星データ等との比較を行っていきたい。 Fig.14 CNA images on 22 July at SSO, Brazil Fig.15a、15b、15cはコンセプシオンにおける7月20日、 じような吸収が7月22日の04h頃から14hにも見られること 21日、22日の宇宙雑音電波強度をそれぞれ示している。赤線 から入射粒子の降り込みとは考えにくい。この吸収はF層擾 は7月25日の静穏時(QDC)、青線は解析した20日、21日、 乱に伴う定常的な現象と思われる。一般にコンセプシオンで 22日の電波強度レベルを示している。2007年7月20日は顕著 は昼間の電離層密度が大きく変動し、それに伴う宇宙電波の な吸収が見られなかった。 Fig.16は7月21日06h∼12hにお 吸収量の日々変動が大きい。他方、夜間は電離層が比較的安 けるコンセプシオンの2次元吸収画像データ(06hから30分 定しているため吸収量の日々変動が少ない。従って、この夜 毎)である。この前後の2次元吸収画像も調べたところ、7 間帯の吸収現象に着目して調べることも必要であろう。 月21日04h∼14hにかけて強い吸収が見られる。しかし、同 Fig.15a QDC and 20 July data Fig.15b QDC and 21 July data 66 Fig.15c QDC and 22 July data 田中良昌 巻田和男 西野正徳 大川隆志 イメージングリオメータのデータ解析プログラムの開発(続編) Fig.16 2 dimensional CNA images on 21 July at Concepcion Fig.17a、17b、17cにはプンタアレナスにおける7月20日、 元吸収画像(18hから30分毎のデータ)に示したような強い 21日、22日の宇宙雑音電波強度をそれぞれ示している。赤線 吸収が見られている。翌日の7月22日18h∼24hにかけて弱 は7月29日の静穏時(QDC)、青線は解析した20日、21日、 い吸収が見られるが、Fig.18のように強くはない。このこと 22日の電波強度レベルを示している。7月20日は顕著な吸収 から7月21日20h∼21hにかけての吸収は特異的な現象の可 は見られないが、7月21日18h∼24hにかけて Fig.18の2次 能性がある。今後、入射粒子との関連等を調べていきたい。 Fig.17a QDC and 20 July data Fig.17b QDC and 21 July data Fig.18 2 dimensional CNA images on 21 July at Punta Arenas 67 Fig17c QDC and 22 July data 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 Fig.19a、19b、19cは柿岡における7月20日、21日、22日 ∼02hと05h∼23hに吸収が見られる。Fig.20には特に吸収の の宇宙雑音電波強度をそれぞれ示している。赤線は7月25日 大きかった7月20日18h∼24hの吸収画像を示してある。こ の静穏時(QDC)、青線は解析した20日、21日、22日の電波 のように数日にわたり連続して吸収現象が見られるのが、電 強度レベルを示している。これによると7月20日05h30m頃 離層F層の電子密度変動に対応しているのかどうかイオノグ から夜中まで、7月21日はほぼ終日、また、7月22日は00h ラム等のデータと比較しながら調べていきたい。 Fig.19a QDC and 20 July data Fig.19b QDC and 21 July data Fig.20 Fig19c QDC and 22 July data 2 dimensional CNA images on 20 July at Kakioka 5.まとめ 求める方法を見つけていく必要があろう。その他、受信デー 磁気異常帯及びその関連域で、高エネルギー粒子の入射特 タに混入する人工ノイズ(周辺部の雑音や放送波)がQDC 性や電離層擾乱を明らかにするため、ブラジル・チリ・日本 作成や吸収量を求める際に障害となる。各観測点で混入する の4ヶ所でイメージングリオメータによる宇宙電波雑音吸収 人工ノイズは出現時刻や継続時間がほぼ同じである場合が多 を測定してきた。しかしながら、これまで収集されたデータ いため、このような人工ノイズを自動的に除去するような工 の解析が十分行われてこなかった。この1つの原因として、 夫も必要かと思われる。 が開発したイメージングリオメータ・データの解析 現在、解析結果を表現する画像フレームを任意の期間、任 プログラムがNEC PC98専用に作られており、PC/AT互換機 意サンプリングで連続的に切り出し、それを繋ぎ合わせてア では使用できないという制約があったことがあげられる。 ニメーション化するプログラムを作成中である。これにより、 佐藤等 2) 今回、PC/AT互換機で解析できるプログラムを完成させ 2次元吸収画像の時系列データを視覚的によりリアルな形で たため、イメージングリオメータ・データ解析が容易になっ 表現することが可能となる。また、MATLABはping、bmp、 た。また、この新たに開発したプログラムの解析結果は以前 jpeg、tiff等多くの画像ファイルタイプに対応しており、既 の解析プログラムと同一結果を示すことも確認した。ただ、 存の画像解析アプリケーションの入力ファイルタイプに変換 今回開発したプログラムには、QDCが適切かどうかという することも容易に行える。従って、これまで筆者らが使用し 問題がある。今後、より現実を反映している適切なQDCを てきた画像解析プログラムの資産がこのプログラムにより有 68 田中良昌 巻田和男 西野正徳 大川隆志 イメージングリオメータのデータ解析プログラムの開発(続編) 参考文献 効活用できるものと思われる。 他方、これらプログラム開発と平行して、リオメータ・デ 1)田中良昌,巻田和男,西野正徳,大川隆志,イメージン ータを多くの方々に利用していただくため、データ公開用ホ グリオメータのデータ解析プログラムの開発,Vol.10, No.1, 61-66, 2007 ームページの作成を進めている。現在のところ、データ編集 や解析を始めたばかりで、公開までいましばらく時間がかか 2)佐藤貢,山岸久雄,加藤泰男,西野正徳,イメージング リオメータ吸収画像QLシステム開発,南極資料, るが、なるべく早い時期に公開するように努めたい。 Vol.36, No.2, 31-36, 1992 謝辞 3)巻田和男,地磁気ホールの研究 −地球磁場変動に伴う 本研究は2007年度拓殖大学理工学研究所・個人研究A助成 環境変動− 拓殖大学研究選書(自然科学)7,1- 167, 2007. を受けて行いました。お世話いただいた関係各位にお礼申し 上げます。また、佐藤貢氏には本プログラム開発に当たり、 貴重なご意見をいただきました。心より感謝申し上げます。 69 ■論文 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 沖縄に設置したフォトメータとその観測結果* 巻田 和男** 星野 光男** 高野 元春*** 増田 耕平**** Abstract Airglow observations are continuously carried out at geomagnetic anomaly region (Geomagnetic Hole) in Brazil since 1997. In order to compare these airglow phenomena with other region, We have installed CCD imager and photometer at Oogimi observatory at Okinawa in 2002. However, its photometer was unexpectedly broken in 2005. Therefore, we have constructed and installed new one at the observatory in 2008. Newly constructed photometer and the obtained data were described in this paper. Keywords:airglow, photometer, CCD imager, geomagnetic anomaly region. 1.はじめに ォトメータ装置全体をアルミのケースに格納し、図2のよう ブラジル磁気異常帯域での光学観測データと比較するため に観測所の側壁に設置した。 に、2002年12月に沖縄の情報通信研究機構・大宜味電離層観 測施設(26.7°N, 128.0°E)において光学観測を開始した1)。 それ以来、CCDカメラによる全天撮像観測とフォトメータ による絶対輝度観測を継続して行ってきた。しかしながら、 2005年春にフォトメータが故障したため、それ以降、絶対輝 度観測が出来ない状態が続いていた。そこで手持ちのフォト マルや故障したフォトメータの部品の一部を使い、新たにフ ォトメータを製作した。そして、2008年1月に現地に赴き、 フォトメータを設置し観測を開始した。なお、今回製作した フォトメータは630nm波長のみを観測するフォトメータであ る。今後、他の波長域のフォトメータも製作し、比較観測を 行いたいと考えている。本論文では製作したフォトメータの 概要やキャリブレーション結果および初期的な観測結果につ いて報告する。 2.フォトメータ装置の概要 A Fig. 1 フォトメータ装置 630nm Photometer system 中緯度の沖縄ではプラズマバブルや大気重力波動のような 可視域の大気光現象が観測される。このため、これら可視域 の現象が測定できるフォトマル( 波長域160nm-930nm、最 高感度300-700nm、加圧電圧は1250V、 ヘッドオン型94023:浜松フォトニクス社) を使用してフォトメータの製作を 行った。製作したフォトメータの構造を簡単に説明すると、 まず、測定光を受光する部分に600nm以下の波長域をカット するための色ガラスフィルタ(50.8×50.8mm、OG590:エ ドモンド社)を取りつけ、そのあとに集光用凸レンズ(直径 64mm、焦点距離360mm)を置いた。この集光用凸レンズか ら360mmはなして中心波長632nmのバンドパス・フィルタ (43158H:エドモンド社)とフォトマルを取り付けた。図1 Fig. 2 にフォトメータ装置の概観と寸法を示してある。これらのフ Photometer Installed at building ここで使用したフォトマル用高圧電源は東和計測のKT* ** *** **** 原稿受付 平成20年6月11日 拓殖大学工学部 拓殖大学非常勤講師 情報通信研究機構・嘱託 1000(DC15V駆動)である。また、この高圧電源を駆動す るためのDC15Vは観測室の電源装置から供給した。他方、 フォトメータからのシグナルは3C-2Vケーブルにより観測 71 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 室に導き、フォトンカウンターでデジタル計測され、100R カウンタを用いた。フィルタとレンズを装着した状態で得た が1Vに対応する出力になるように調整(増幅)したのち、 出力Iをフィルタとレンズを外した状態で得られた出力I 0 で データロガー(データバードAIM2500;岩田電業)へ送り、 割ることでフォトメータの透過率( I / I0 )を求めた。 Fig.4a、bはバンドパスフィルタに色ガラスフィルタを加 そこからRS232C経由でパソコンに送られハードデイスクに えたフォトメータの絶対透過率を示している。Fig.4aはリニ 記録した。 ところで、沖縄は亜熱帯気候のため、1年を通して高温多 アスケール、Fig.4bは片対数スケールで表わした透過率のグ 湿でありカビが発生しやすい。以前に設置したフォトメータ ラフである。Fig.4bにおいて中心波長より短波長域では色ガ は観測器内にカビが繁茂し、トラブルが発生して故障した。 ラスフィルタのカットオフ効果で透過率が指数関数的に減少 このため、今回はフォトメータ内の湿気を除去するため除湿 するのが分かる。問題となるHg(546.1nm)の強度は10-7以 器を併設し、カビの発生を防ぐことを試みた。Fig.3は星野 下であるため、晴天である限りこの種の地上光は避けられる が製作した除湿器で、ペルチェ素子とエアーポンプから構成 ものと考えられる。なお、585nmより短波長域では分光器の されている。その構造を簡単に説明すると、フォトメータ内 迷光のため真の透過率を示さない。他方、670nmより長波長 の湿気を帯びた空気をポンプ(赤文字の湿気吸引排出ポンプ) 域では透過率が10-6以下にならない。これは使用した干渉フ で吸引し、ペルチェ素子の冷気側にあてて除湿する。この除 ィルタの特性と思われる。この長波長域での人工光の散乱強 湿された空気をペルチェ素子の熱気側に導き暖める。その暖 度は大きくないので街路灯からの混入はない。Fig.4a、bに められた空気をポンプ(青文字の乾燥暖気送風ポンプ)で吸 示していないが、900nmまで測定した限りでは干渉フィルタ 引し、再びフォトメータ内へ送風するという構造である。な のサイドバンドのピークは見られなかった。なお、これらの お、除湿時に出た水分はチューブを通して外部へ排水してい 測定は平行光束を用いているため、実際の大気光観測時には る。この除湿器がその機能を十分発揮するか否かがカビの発 視野角の広がりの効果でフィルタの透過曲線が約0.1nm程度 生に関係するため、今後注意深く見守っていきたい。 短波長域にずれる。 Fig.3 B Dehumidify system using Peltier device Fig.4a Transmission rate of Photometer in linear scale graph フォトメータの透過率 一般に、夜間大気光OI(630nm)の強度は80R程度である。 他方、街路灯Hg(546.1nm)の大気散乱光強度は快晴であっ てもOI(630nm)強度のおよそ百倍もある。更にこれに蛍光 灯の連続光成分が加わる。これら地上光の混入は大気レイ リ−散乱により、バンドパスフィルタの中心波長より短波長 域で顕著になる。そこでこのような短波長側の混入をカット する必要があるため、前面に色ガラスフィルタをとりつけた。 フォトメータの透過率測定に際して、C-T型ダブルモノク ロメータ(f = 800mm)を使用し、迷光を少なくするためス リット幅を0.1mm(Δλ= 0.05nm)に設定した。また透過 Fig.4b 率のダイナミックレンジを広くするためフォトマルの加圧電 圧を変えた。測定には電流計(ピコアンメータ)とフォトン 72 Transmission rate of Photometer in semi logarithm graph 巻田和男 星野光男 高野元春 増田耕平 沖縄に設置したフォトメータとその観測結果 C キャリブレーション 黒体放射光で較正された標準光源 ジタル計測する を用いてフォトメータ 2) ⑦フォトメータ:Fig.1参照 のキャリブレーションをおこなった。Fig.5に使用した装置 ⑧定電圧電源2:フォトメータ高圧電源に15Vを供給する を示す。 Table 1 Band width and calibration value 精密抵抗に電流が流れると抵抗間に電位差が生じるが、そ の電位差を一定値に保つことで標準光源の輝度が保たれる。 標準光源の拡散面をフォトメータの最前面の色ガラスフィル タに接着させ暗幕で外部からの光りを遮蔽する。標準光源の 出力が安定した後、フォトンカウンタのパルスハイトを選別 3.観測結果 する電圧を変え、出力を記録した。なおフォトマル電圧は 1250Vに固定してあるので、入射光量が不変の場合、フォト 2008年1月からフォトメータ観測を開始したが、冬から春 ンカウンタの値を変えるパラメータはパルスハイトを選別す にかけての沖縄は天候が不安定で曇りの日が多かった。この る電圧だけである。測定を繰り返した結果、パルスハイトを ため、光学観測を実施した新月期間において晴天夜は大変少 選別する電圧を0.70Vに設定することにした。その結果、光 なく、フォトメータ観測を開始した1月から5月までの5ヶ 量が100Rのとき、フォトンカウンタは10万counts/10sの出 月間(延べ50日間)において、数時間以上にわたり星が視認 力を示した。 できる状況下でフォトメータ観測を実施できたのは数日間に Fig.4のフォトメータの透過率から連続大気光、星の光、 過ぎない。従って、これまで顕著な大気光現象を確認するま OHマイネルバンド、OI(630nm)の透過光量を80Rと見積 でに至っていない。ここではフォトメータが正常に動作して もった。この光量はフォトンカウンタで8万counts/10sの値 いるか否かについて、得られたデータを調べ検討を行った。 となる。他方フォトマルのダークカウントは数百couns/10s A 2008年5月4日11h-20hUT この期間のフォトメ-タ-データと全天CCDカメラ・データ であったので、フォトマルのダークノイズは問題ない。 Table 1に測定結果をまとめてある。フォトメータのバン を図6に示してある。これによると、630nmの強度は50Rか ド幅(透過率100%換算)は4.11nm、輝度100Rが1.0V出力に ら200Rの間で激しく変動している。他方、全天CCDカメ 対応する。 ラ・データを見ると、絶え間なく雲が出現しては移動すると いう状況が繰り返されていた。このことから、フォトメータ の激しい輝度変動は周辺の町の光が雲に反射されて起きたと 考えられる。 全天CCDカメラ・データによると、星が時々見え隠れし ており雲はそれほど厚くなかった。このため反射光もそれほ ど強くなく630nm強度は200R以下にとどまっていた。しか し、他の日のデータにおいては、しばしば630nm強度がサチ レーション・レベル(最大強度1kR)に達している例があ る。そのような日には全天が厚い雲に覆われていた。すなわ Fig.5 Equipments for the calibration of photometer ①標準光源:豆電球の光はオパールグラスで拡散され、面光源になる ②コントロールボックス:内部にある精密抵抗の電位差を、可変抵 抗で調節する ③標準電池:ボルタ電池。マルチメータの較正に用いる ④マルチメータ:精密抵抗間の電位差を測定する ⑤定電圧電源1:標準光源のランプに電力を供給する Fig.6 ⑥フォトンカウンタ:フォトメータに装着したプリアンプ出力をデ 73 Photometer and all-sky ccd camera data obtained on 04 May 2008 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 ち、周辺光が厚い雲で反射される場合の輝度は1kRを超え 否か不安であった。しかし、最新の5月のデータで正常に動 ていると推定される。 作していることがわかり一安心した。 2008年5月8日11h-20hUT B 現在のところ、十分なデータが収集されていないため、顕 図7はこの期間に観測されたフォトメータ・データと全天 著な大気光現象を捕らえるに至っていない。今後データ収集 CCDカメラ・データを示している。この日は一晩中、快晴 を継続し、沖縄での大気光現象を調べながら、ブラジル磁気 の状態が続いていた。フォトメータの輝度変化を見ると、日 異常帯の大気光現象と比較を行っていきたい。ところで、今 没後徐々に輝度が減少していき、13時UT過ぎには50R程度 回フォトメータの製作や設置後の観測を行うなかで、いくつ となり、それ以降もゆっくり減少を続け16時UT過ぎには最 かの問題点が浮かび上ってきた。以下にその問題点について 低レベルの40R程度になった。 述べる。 a 他方、1時間おきの全天CCDカメラ・データを見ると、 フォトメータを設置している観測施設には、電離層の電 13時UTから18時UTまでの時間にわたりほぼ快晴であったこ 子密度を調べるボトム・サウンデイング装置(数MHzか とがわかる。従って、この期間には雲からの反射はほとんど ら数十MHzの強い電波を15分おきに打ち上げている)が ないと考えられ、630nmの40R程度の輝度はこの観測点での 常時作動している。このため15分おきにそのノイズがフォ 背景夜の輝度(バックグラウンド輝度)に対応していると考 トメータ・データに混入していた。生データには15分おき によると、プラズマ のノイズが見られていたため、本文ではノイズの除去処理 バブル通過時の輝度変動は100Rから300R程度であることか をした結果を表示している。この解決策として計測機器の ら、このフォトメータでプラズマバブル現象を捕らえること アースをとることを試みたが解消しなかった。今後の対応 が可能であることがわかった。 として、どの計測器でノイズを拾っているか調べることで えられる。また、これまでの観測結果 3) なお、12時40分UTから50分UTにかけてスパイク的に輝度 あるが、フォトカウンタは外部パルスに敏感なため、これ が減少し、及び17時55分UTから19時UT過ぎにかけて、輝度 が一番疑わしい。このパルス混入を解決するためにはフォ がスパイク的に増加しているが、その原因は不明である。 トンカウンタを使用する現在の観測システムを再検討しな ければならないかも知れない。 s 今回製作したフォトメータは630nmの1波長しか測定し ていないため、地上光の影響を差し引くことができない。 この点を解決するためには、630nmの近傍で異なる波長域 のバンドパスフィルタ(例えば、ブラジルのフォトメータ 観測では630nm と627nmの2波長で測定している3))を用 いた同時測定を行う必要がある。この2つのバンドパスフ ィルタ出力の差分をとることにより、地上光の影響を消去 することができる。このような測定方式により大気光現象 が的確に捕らえられ、その強度を正確に算出することが可 能となる。今後そのような、マルチバンドフィルタを備え たフォトメータ装置の開発に取り組む必要がある。 d Fig.7 Photometer and all-sky ccd camera data obtained on 08 May 2008 カビの発生等を防ぐため、今回除湿器を併設したフォト メータを製作した。しかし、フォトメータシステム装置が 大きいことや、全体のケースが密閉されていないこと等か 4.まとめ ら、除湿が効果的になされるか不安がある。測定器内部の 沖縄に設置したフォトメータが2年前に故障したため、そ 湿度を効率的に下げるには、内部の空気量を少なくし、密 れ以降、絶対輝度観測が中断されていた。しかし、新たにフ 閉型の構造にする必要がある。このためにはフォトメータ ォトメータを購入するだけの予算がなく、観測を再開できな を小型化することが重要である。しかし、現在のフォトマ い状態が続いていた。今般、手持ちの部品を寄せ集めそれを ルを使用した観測装置ではどうしても大型化してしまう。 組み立ててフォトメータを新たに製作することが出来た。製 他方、最近の技術の進歩によりフォトダイオードによる高 作したフォトメータは学内で夜間のテスト観測をしたのち、 感度測光が可能になってきた。フォトダイオードは大変小 2008年1月に現地に持ち込み設置した。しかし、前述したよ さく、これに増幅部を加えても小型化することができる。 うに沖縄は天気が良くないため、設置後、快晴夜のデータが ただ、大気光観測を行う上で十分な感度があるか問題とな なかなか収集できず、フォトメータが正常に動作しているか る。今後、フォトダイオードを利用した新たなフォトメー 74 巻田和男 星野光男 高野元春 増田耕平 沖縄に設置したフォトメータとその観測結果 参考文献 タ開発にチャレンジすることも必要と思われる。 1)Makita, K., M.Hoshino, Y.Masuda and K.Shiokawa, Optical obuservation at Okinawa, Bullitin of Sci. and おわりに Eng., Takushoku Univ.9 (1), 19-26, 2004. 本研究は拓殖大学理工学研究所・個人研究A助成を受けて 2)Sutoh, M., Y.Morioka and M.Nakamura, Absolute rate 行いました。お世話いただいた関係各位にお礼申し上げます。 constant for the chemiluminecscent reaction of atomic また、沖縄の光学観測に利用させていただいている情報通信 oxygen with nitric oxide, J.Chem.Phys., 72, 20-24, 1980. 研究機構・大宜味電離層観測施設を運営している宇宙環境計 3)巻田和男,地磁気ホールの研究 −地球磁場変動に伴う 測グループに対し心より感謝の意を表します。 環境変動−拓殖大学研究選書(自然科学)7, p1- p167, 2007. 75 研究速報 SHORT NOTES フレキシブル冷間ロール成形機械の開発 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 小奈 弘 蒋 昊 長町拓夫 星 清政 79 筋電信号を用いた動作識別に関する研究 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 西川佳男 香川美仁 83 2次元レーザ変位計を用いた高密度のLSIリードの形状計測 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 陳ツォン 金田 一 小川毅彦 85 ■研究速報 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 フレキシブル冷間ロール成形機械の開発* Development of Flexible Cold Roll Forming Machine 小奈 弘 Hiroshi ONA** 蒋 昊 Rihou SHOU*** 長町 拓夫 Takuo NAGAMACHI**** 星 清政 Kiyomasa HOSHI***** Abstract The roll forming process is one of the most established methods for producing profiles with uniform cross-section. The major contribution of this paper is to introduce what we call an intelligent roll forming technology, a new roll forming concept developed at Takushoku University in Japan. By using the intelligent roll forming technology, it is possible to produce profiles with variable cross section along the longitudinal direction. Keywords:Flexible Cold Roll Forming Machine, variable cross sections 1.まえがき の三相誘導モータ、dは冷間ロールスタンド、および、冷間 プレス機械と冷間ロール成形機械とで成形される製品の断 ロールスタンドの向きを変化させるサーボモータdを搭載さ 面形状を比較すると、プレス成形品は多種多様な断面形状で せるための台f、gはfの台を移動させるためのサーボモー あり、小物・中間的大きさの製品が主であるが、ロール成形 タである。kは素板のブランク材である。 品は断面形状が均一で、且つ長尺の製品であることが特徴と して挙げられる。著者らは、近年著しく発展しているNC (数値制御)、CNC(コンピュータ数値制御)技術を冷間ロ ール成形機械にとりいれて断面幅が変化する不均一長尺断面 の製品を成形する技術開発を行なっている。 まず、断面幅が変化する不均一長尺断面の製品を成形する には、各冷間ロール成形スタンドの位置や姿勢を成形対象の ブランク材の形状に追従させること、しかも、タンデムのス タンドのそれぞれを時間差(タイムラグ)をもって同じ動き をすれば可能であると考えた。この技術が開発されれば、ロ ールの位置・姿勢を制御するのみでいろいろな断面形状の製 図1 フレキシブル冷間ロール成形機械の概略図 品の成形が可能になる。しかも、長尺製品の成形が可能にな る。このことは、従来のプレス機械成形では製品形状ごとに 金型を用意しなければならない、また、長尺製品の成形には 限界があるなどの問題も解決できるものである。冷間ロール 成形機械にシーケンス制御技術を導入したフレキシブル冷間 ロール成形機械はプレス機械が不得意とする成形領域、金型 コストの減少を実現できるなどの利点を有している。 本報告は、タンデム冷間ロール成形機械をシーケンス制御 で操作する機構、本機械による成形品の精度と形状欠陥、有 限要素法による残留応力・ひずみ分布、形状欠陥対策方法な どについて記している。 図2 片もち支持の冷間ロール成形機械 2.フレキシブル冷間ロール成形機械の機構 a フレキシブル冷間ロール成形機械の構想 図2は図1の上下ロールを取り付ける片もち支持の冷間ロ 図1はフレキシブル冷間ロール成形機械を構成する各機械 ール成形機械である。図示のように上下ロールの曲げ点bは 要素である。aは片もち支持の冷間ロールスタンドに取り付 冷間ロール成形機械の向きを変える回転中心軸上になるよう けられた上下ロールである。sは上下ロールを駆動するため に設計されている。実験は図2のスタンドを串指し状(タン デム)に3台並べて行なった。各スタンドには20゜ 、40゜ 、60゜ の成形ロールが組み込まれている。 * 原稿受付 平成20年6月15日 ** 拓殖大学 *** 機械システム工学専攻 **** 徳島大学工学部 *****(株) 山陽精機 s シーケンス制御 図3はレーザ切断で製作したブランク材の一例である。実 験では各種形状のブランク材を成形したが、これらは図3の 79 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 ように凹凸傾斜部の角度θはθ=5゜ 、10゜ 、15゜ 、20゜ 、フラン はx軸方向の移動量10パルス(1パルス=0.33mm)に対する ジ幅FはF=8、15、25mm、板厚t=0.5、0.8mmである。本実 y軸方向変化量からtanθの角度θを求め、これの角度にスタ 験は図示のブランク材の凹凸側の板縁を一定幅Fに曲げ起こ ンドの向きを変えるという方法をとった。図5はスタンドの した。なお、実験ではブランク材の直線側はプレスブレーキ y方向、向きθを変化できる3段タンデム冷間ロール成形機 で予め直角に折り曲げ、これをガイドバーに通して材料が左 械である。 右にぶれるのを止めた。 ブランク材の凹凸側板縁を一定幅で曲げるために冷間ロー ル成形機の位置・姿勢制御はシーケンス制御で行った。シー ケンス制御の身近な例としては、缶ジュースの自動販売機 (コイン投入から缶ジュースが出てくるまでの一連の動作) がこれに相当する。すなわち、コイン投入、目的の缶ジュー ス選択、おつりのボタンを押し、などの入力信号を確認しな がら順次、動作が進行するようになっている。本実験装置も これと同じ原理である。すなわち、図4において、ブランク 材が左側に移動すると基線A-Aとリニアエンコーダjの距離 図5 3段タンデム冷間ロール成形機械 (図ではXn)は増大するが、このXnの値がL 1 と同じ値にな ったらNo.1スタンドはh、jで検出した座標位置に移動す 3.製品形状精度と欠陥対策 るよう指示命令をうけて移動を開始する。No.2スタンドも 同様にXnの値がL 2 と一致したらh、jで検出した座標位置 図6は本機械によって成形された製品である。図示のよう に移動せよという指示命令で移動を開始するようになってい にフランジ幅一定の製品が得られた。しかし、図の上側2番 る。すなわち、No.1スタンド、No.2スタンドは時間差を 目の製品のように製品平坦部(ウエブ)は光の反射具合によ もって同じ動作をするためにNo.1スタンドでのロールで折 って平坦でないことがわかる。また、製品によってはフラン り曲げた線上をNo.2スタンドロールがなぞることになる。 ジの凸部分に座屈変形を生じることもある。 このような形状欠陥の発生とブランク材の凹凸形状との関 係を調べた。まず、ウエブ平坦度の測定は次のようである。 測定器は図7のように4個の変位計をセットして、これを製 品長手方向に細いワイヤー(モータ駆動)で引張った。変位 計は折り曲げ線から10、30、50、70mmの位置を保つように ゴム紐でレール側に引き寄せている。 図3 ブランク材の形状(板厚0.5mm) 図6 製品例 図4 シーケンス方式による制御 図8s∼hの測定結果は、図8aの[A-A]線∼[E-E] なお、各スタンドのロール軸はブランク材の板縁と直角を 線のそれぞれについて、床からの持ち上がり量を凹凸曲線か 保ちながら成形しなければならない。このため、ブランク材 ら10、30、50、70mmの位置で計ったものである。s、dは 板縁が傾斜している部分ではスタンドが向きを変える必要が 傾斜角度θの影響を見たものである。図示のようにθ大の方 ある(図2のスタンド回転機能はこのためである)。実験で が膨らみ変形は大きい。また、断面が広いA-A、B-Bでは膨 80 小奈弘 蒋 昊 長町拓夫 星清政 フレキシブル冷間ロール成形機械の開発 f ウエブ膨らみ量(板厚0.5mm、θ=20゚) 図7 ウエブ平坦度測定 g a h s ウエブ膨らみ量(板厚0.5mm、θの影響) ウエブ膨らみ量測定位置 ウエブ膨らみ量(板厚0.8mm、θ=5゜) ウエブ膨らみ量(板厚0.5mm、フランジ幅の影響) 図8 各種ブランク材形状とウエブ平坦度 これはブランク材の凸部のみに生じる、フランジ幅/板厚 =F/t=50での座屈発生率は約30%である。 4.考察 4−1 形状欠陥の発生 ウエブの平坦度はブランク材の凹凸部分を曲げ起こす際に 生じるひずみに影響されると考えられるから、ひずみの分布 状態を有限要素によって検討した。まず、凹凸が左右対称に d ウエブ膨らみ量(板厚0.8mm、θ=20゜) あるブランク材を成形するものとして、この材料中央から右 側半分を解析の対象とした。 らみが大きいが、狭くなるD-D、E-Eでは少ない。dとfの 図9は曲げ角度20° の場合についてのロール成形工程のシ 比較で板厚の影響がわかる。板厚の厚い方が膨らみは少ない。 ミュレーションを示している。シミュレーションはDEFORM-3D gは傾斜部角度のみの影響を調べたものである。角度が増加 Ver. 6.0を使用した弾塑性静的陰解法によるものであり、図 すると膨らみは増大する。hはフランジ幅が増大すると膨ら 9aにロール成形された加工材の上側層に生じる長手方向ひ みが増えることを示している。フランジの座屈に関しては、 ずみεlの分布を示している。εlは凹部のフランジで伸びひず 81 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 み、凸部のフランジで縮みひずみとなる。加工材の下側層に が座屈として現れると考察される。 生じるεlも上側層のそれと同様な結果が得られている。s、 4−2 形状欠陥対策 およびdにそれぞれロール成形された加工材に生じる上側 ウエブの平坦度を高めるには、フランジの凹部近傍(図10 層、下側層の長手方向の残留応力εlの分布を示してしいる。 の(Ⅰ)の[A])の圧延、および凸部近傍(図10の(Ⅱ) ロール成形された加工材に生じるεl は、ロールによる長手 [B]、図の三角形部分)のウエブ部の圧延が必要である。こ 方向の曲げおよび曲げ戻し変形により、上側層のフランジで のような軽圧延はPLC制御で可能である。図11は冷間ロール は圧縮応力となり下側層のフランジでは引張応力となってい スタンドの圧下スクリューをサーボモータで駆動することで る。結局、このようなひずみ分布を基に膨らみ変形、座屈変 上ロールの上下動が得られるように改造したものである。実 形の発生を考察すると図10のようである。 験ではNo.1∼No.3スタンドにこれを適用した。現在、実 験中であるがウエブの膨らみ変形を消去する適正圧延率を実 験とFEM解析で求める予定である。 図11 PLC軽圧延冷間ロールスタンド 5.結言と展望 曲線板縁を一定幅で曲げ起こす成形はプレス機械でしかで きなかった。しかし、PLC制御で冷間ロール成形機械の位 置・姿勢をコントロールすればこのようなブランク材の成形 図9 有限要素解析によるひずみ、残留応力分布 も可能になることが確認できた。この成形技術が確立されれ ば高さが変化する異形角パイプ、あるいはテーパポール、幅 弧[a-a]を板縁として、弧[b-b]を折り曲げ線とする成 が変化する溝形鋼などの成形が可能になる。更には航空機機 形(Ⅰ)を行うには、弧[c-b]分だけ伸ばさなければなら 体のように長尺、かつ胴体が細くなる内部副構造物機材など ない。しかし、成形では伸びが不十分であるために弧の両端 の成形、また自動車車体主構造部材に対する成形も可能にな 部分のフランジは弧側に引き寄せられる。ブランク材の形状、 る。このように長尺・異形断面材のニーズは高く本機械の実 曲げ線の影響などで、引き寄せがウエブに膨らみの変形を生 用機に向けての開発が急がれる。 じさせる。一方、弧[b-b]を板縁、弧[a-a]を折り曲げ線 本開発研究を行なっているのは拓殖大学とドイツ・Corus とする成形(Ⅱ)では、弧[c-b]分だけ余分となる。これ 社のみである。両者ともウエブ部分の膨らみ変形除去が最大 の課題である1)、2)。 謝辞 本研究を行なうに際して、本学研究支援課理工学研究所か ら研究助成を受けた。ここに記して深く感謝の意を表します。 参考文献 1)西村 尚:サーボプレスの現状と将来の可能性,塑性と 加工,(2008),Vol,49,No.565,P1-2. 図10 伸びフランジ(Ⅰ)、縮みフランジ(Ⅱ) 2)小奈 弘:軽量形鋼成形技術,(2005),コロナ社 82 ■研究速報 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 筋電信号を用いた動作識別に関する研究* On Discrimination of Motions from Myoelectric Signal 西川 佳男 Yoshio NISHIKAWA** 香川 美仁 Yoshihito KAGAWA** Abstract This paper describes a motion identification method for a robot controlled by myoelectric signal. For simple system, it is issue to reduce measurement points of myoelectric signal without an incorrect action on identification engine. From this point of view, in this paper, an identification method based on the myoelectric signal measured by only one set of electrodes was proposed, which is based on neural-network and frequency domain signal processing. The effectiveness was exemplified and then causes to reduce the accuracy of estimation of motion were discussed. Keywords:EMG, Myoelectric signal, Neural-network 1.緒 言 筋電信号とは筋肉を収縮させるときに発生する微弱な電気 信号といわれている。これを用いた研究には代用発声システ ムの開発1)、義手操作システムの開発2)3)、食事支援ロボッ トの開発などが多数あり、筋電信号を取得する場所も様々で ある。また、これらの研究では筋電信号を取得するために6 ∼8個の電極を用いており、扱いが容易ではない。そこで、 Fig.2 本研究では、右手前腕に3個の電極を貼付し、複数の動作を Electrodes position on the arm 識別可能なシステムを構築する。 3.筋電信号による動作識別 2.筋電信号取得位置 筋は信号を受信後、約100ms後に収縮し始めると言われて 本報では、Fig.1に示すような、前腕および手の動きであ いる。従って、ほぼ実時間で処理するため、筋電信号発生か る「手を握る動作」「手首を屈曲する動作」 「腕を回内する動 ら80msまでの信号を解析に用いる。なお、筋電信号をサン 作」の計3動作を識別対象とする。筋電信号を測定する部位 プリング周期1kHz、増幅率2500倍で取得した。 に2つの電極を貼付し、アース用の電極を筋電信号の発生が 3.1 周波数特性に着目した動作識別(第一段階) 少ない部位に貼付することで相対的な信号を測定する双極誘 筋電信号は、動作が違えば異なり、同じ動作であっても電 導法を用いる。電極を貼付する位置は、Fig.2に示すように 極貼付位置、力の入れ具合や運動の速さ等でも変化する。そ 「手を握る」「手首を屈曲する」「腕を回内する」の3動作を のため、信号の大きさに関する情報を排除する処理により、 行うときに伸縮する筋近傍の皮膚表面の2箇所、ノイズ軽減 実際の動作を特徴付ける信号を抽出する。そこで、まず、取 のために筋肉のない上腕二頭筋の停止部分の1箇所とした。 得した筋電信号の大きさの最大値で信号を除すことで正規化 測定用電極を貼付している位置の真下には「手首を屈曲する」 し、次に、この正規化した信号を周波数解析した。周波数分 動作時に収縮する筋のうち、橈側手根屈筋が存在し、近傍に 解能は12.5[Hz]である。更に、求めたパワースペクトルをそ は「腕を回内する」動作を行うときに収縮する円回内筋が存 の最大値で除して正規化した後、1∼3番目に大きいピーク 在する。また、これらの筋の内側には「手を握る」動作を行 値が存在する周波数を取り出す。最後に、a式より周波数ご うときに収縮する浅指屈筋が存在する。 とに各ピークが存在する場合に与える値b(i,f)(動作番号:i = 1, 2, 3, 周波数:f = 0, 12.5, …, 500)を計算し、データベース とする。a式中で、a(i,f)はピークの出現回数である。Table 1 に一例を示す。 …a 識別時には、周波数特性から1∼3番目に大きいピークが 存在する周波数を求め、Table 1と同様なデータベースより Fig.1 Motions to be identified 各動作の値を取り出す。そして、ピークごとに得られた各動 作3つの値の和が大きい2つの動作を選択する。こうして選 択した2動作を入力した筋電信号から推定した動作候補と し、次の識別アルゴリズムに渡す。 3.2 時間領域に着目した動作識別(第二段階) * ** 原稿受付 平成20年6月11日受付 機械システム工学科 第一段階で候補となった2動作を3層型のニューラルネッ 83 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 Table 1 トワークを用いて時間領域の筋電信号を識別し、動作を決定 Example of b(i, f) する。 3.2.1 入力信号 ニューラルネットへ入力する筋電信号は、1ms間隔でサ ンプリングされた5つ毎の平均値である。従って、このニュ ーラルネットへの入力信号は16個のデータである。 3.2.2 ニューラルネットワークの学習 対象とする3動作を2動作で1組とした計3組のグループ に分ける。そして、グループ毎に誤差逆伝播法で学習させ、 2動作から1動作を選択できるように重み係数が調整された 3個のニューラルネットワークを作製する。なお、学習には、 各動作30回分の平均化した筋電信号を入力した。従って、学 Table 2 Probability of correct estimation of motions by frequency domain analysis 習させるための教師信号は、1個のニューラルネットワーク につき、組となった動作の入力信号を用いるため、計60回分 の筋電信号である。 3.2.3 識別方法 第一段階で絞り込んだ2動作のみを識別できるニューラル ネットへ入力信号を入れることで2動作の出力値が得られ る。この出力値が大きい方を推定した動作とする。 4.識別結果と取得位置の関係 Table 3 Estimated motion by neural network 4.1 第一段階における識別結果 各動作30回分の筋電信号を識別システムへ入力し、第一段 階で推定した動作候補の結果をTable 2に示す。ここで、行 は識別システムへ入力した筋電データの動作を示しており、 列は候補に挙がった確率を示している。この段階では、全3 動作中、2動作を動作候補として挙げており、各動作は30回 候補に挙がると確率が100%となるため、行ごとの確率の合 計は200%となる。Table 2より、 「手を握る」 「腕を回内する」 の筋電信号を入力した場合は97%(30回中29回)、「手首を屈 動作」 「手首を屈曲する動作」「腕を回内する動作」の3動作 曲する」の筋電信号を入力した場合は90%(30回中27回)で を識別するシステムを構築し、その有用性について検討した。 入力した信号と同じ動作を候補に挙げている。このことから、 a 80msまでの生筋電位から、周波数特性の3つのピーク 非常に高い確率で正しい動作を候補として挙げていることが 周波数と3層型ニューラルネットワークを組み合わせ、こ わかる。 れら3動作を識別する方法を提案した。 s 4.2 第二段階における識別結果 第一段階の結果を入力として最終的に得た識別結果を 周波数領域と時間領域における解析を組み合わせて筋電 信号を識別する方法により、「手を握る動作」については Table 3に示す。ここで、行は入力した筋電データの動作を, 90%の高確率で識別できた。 列は最終的に識別した動作確率を示す。 Table 3より、「手を握る動作」については90%という高い 参考文献 確率で識別できているが、「手首を屈曲する動作」「腕を回内 1)福田ほか:EMG信号を利用した代用発声システム,電 する動作」は誤識別が多い。ほとんどの場合、互いの動作に 子情報通信,Vol.J88-D-1 No.1, pp.105-112(2005) 誤識別していたことから、複数の筋からの電位の混入が原因 2)辻ほか:EMG信号に基づく前腕動力義手のバイオメティ ック制御,機論C編,Vol.66-648, pp.294-301(2000) であると考える。 3)塚本ほか:動作の立ち上がり時に着目した非定常EMG による筋電義手制御,電子情報通信,Vol.105, No.577, 5.結 言 pp.41-44(2006) 前腕皮膚表面の1箇所で取得した筋電信号から、 「手を握る 84 ■研究速報 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 2次元レーザ変位計を用いた高密度のLSIリードの形状計測* Shape Measurement of LSI Leads with High Density by Using a 2D Laser Displacement Meter 陳 ツォン Chong CHEN** 金田 一 Hajime KANADA** 小川 毅彦 Takehiko OGAWA** Abstract In this paper, we consider the inspection of LSI connection leads on printed circuit boards with high density by using a 2dimensional laser displacement meter. The dispersion of the obtained data is caused by the affection of measuring surface. We successfully measured the shape of the many leads and made a 3-dimensional graph of the shape. The results show the possibilities to inspect the shape of LSI leads on the circuit boards. Keywords:mounting test, shape measurement, circuit boards, laser displacement meter 1.序論 電子機器のプリント配線板の製造技術の微細化、高密度化 が進むにつれて、プリント配線板上のLSIのリードの幅やリ ードの間隔の微小化が進んでいる。このため、LSIのリード の並び、形状の不良の検査をすること、またLSIのリードの 寸法を高精度(例えば、分解能1μmの精度)で計測するこ とが求められる。 一方、レーザ光は容易にビームを絞ることが可能なため、 非接触、高精度の計測が期待できる。しかし、いずれの原理 のものも測定面の影響を受けやすく、このことがレーザ応用 センサや計測器の普及の障害となっている。本研究で用いる Fig.1 レーザ変位計は、三角測量法の原理に基づいてレーザ光によ 測定対象物の外観写真 り非接触で物体の距離、寸法、形状などを計測するものであ る1)。これまで著者らは、1次元(スポット光)のレーザ変 位計を用いて、LSIパッケージのリードや多層回路基板製造 工程におけるビアホール(配線の層間接続するための穴) の外観検査にレーザ変位計を用いる方法の研究を行なって きた 2)−4)。しかし、スポット光を測定面上で走査する必要 があり、著者の例4)では精度の向上のため10mmの走査に10 秒かけていた。このように測定に非常に時間がかかることが 実用上の課題である。 そこで本研究では、2次元のレーザ変位計を用いてプリン ト配線板上にあるLSIについて、高さが約100μm、幅が約 200μmのリード部分の形状計測を行う。得られた測定デー Fig.2 実験装置の外観写真 タから高密度のプリント配線板実装検査への適用の可能性を 検討する。 る。2軸制御装置はコントローラと2軸パルスステージで構 成されている。レーザ変位計のセンサヘッド部は2軸ステー 2.測定対象物と実験装置 ジに取り付けられ、高さを一定に固定され、2軸制御装置を 本研究の測定対象物は携帯電話のプリント配線板上のLSI 介してコンピュータで制御される。併せてレーザ変位計の設 リードである。測定対象物の外観写真を図1に示す。同図に 定及びデータ入出力制御もコンピュータで行う。 おいて、プリント配線板の全体の外観写真をaに示し、黄色 3.2次元レーザ変位計 線で囲んだLSIの外観写真をbに示す。またbの黄色線で示 した計測箇所の拡大図をcに示す。 2次元レーザ変位計による形状計測では、キーエンス㈱製 実験装置の外観写真を図2に示す。実験装置は、レーザ変 LJ-G015形のレーザ変位計を用いた。センサヘッドは2次元 位計、2軸制御装置、コンピュータの3つから構成されてい 三角測距法に基ついて構成されている。LJ-G015形の測定面 上のレーザ光は、約32μm×12mmの線形である。測定面ま * ** での基準距離は15mmであり、±2.6mmの調節ができる。1 原稿受付 平成20年6月11日 電子情報工学専攻 ラインのデータ数は800個で、1ライン16.4msecの間隔でデ 85 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 Fig.5 Fig.3 2本のリードの3次元グラフ(データ数:81×34個) 2次元3角測量法の測定原理 ータを取り込むことができる。 2次元レーザ変位計の測定原理を図3に示す。2次元3角 測量法は、半導体レーザからレーザ光を照射され、シリンド リカルレンズにより線状に広げられ、レーザ光が対象物の表 面で拡散反射する。その反射光の一部を受光レンズによって 受光素子(E3-CMOS)の面上に結像させ、変位、形状を検 出する。 Fig.6 1ラインのデータ(Y=0.001mm) (Y=0.001mm)のデータを抽出した2次元グラフを図6に示 す。図6では、図4のX=2mmをX=0として表示してい る。 5.あとがき 2次元のレーザ変位計を用いることで、LSIリードの計測 時間を大幅に短縮できることを実験で確認した。現在、取得 したデータについてスムージング処理を行い、リードの高さ と幅を算出し、測定データのばらつきや測定精度を調べてい Fig.4 3次元グラフ(データ数:551×34個) る。さらに、1次元(スポット光)のレーザ変位計で得られ たデータと比較検討することが今後の課題である。 4.実験結果 参考文献 計測手順は幅12mmのレーザ光がX軸方向に1ラインを照 射しデータを取得する。取得したデータをコンピュータに送 1)馬場 充,“レーザ光を用いた3次元計測の最近の動向” 計測と制御,Vol.45, No.4, pp. 359-364, 2006 る。Y軸方向に0.1μmに移動する。この手順を34回繰り返す。 1ライン(X軸方向)におけるデータ間隔は15μm(=12 2)岡部,金田,“レーザ式変位計によるプリント基板のIC実 mm/800)である。リード幅算出のためには、1ラインのデ 装検査”,計測自動制御学会論文集,vol.34, No.9, pp. 1127-1132, 1998 ータ数が十分でない。これまでに述べた実験装置と計測手順 で、実験を実施した。 3)宮下宏明,金田一,小川毅彦,“多層回路版製造工程に 得られた測定データから異常データを除去し、X軸2mm おけるビアホールの3次元形状計測”,エレクトロニク ス実装学会誌技術論文,Vol.7, No.4, pp. 333-338, 2004 ∼7.4mmの範囲を抜粋した3次元グラフを図4に示す。デー タ数は551×34個である。この3次元グラフから2本リード 4)岡田,陳,金田,小川「レーザ変位計による高密度フレ (X軸2.1mm∼2.9mm)のデータを抽出した3次元グラフを キシブル配線板外観検査の研究」,拓殖大学理工学研究 報告,Vol.10, No.1, pp.21-26, 2007 図5に示す。また、図4の3次元グラフから1本ライン 86 抄 録 ABSTRACTS バイオコンピュータ ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 川名明夫 89 時間依存のGL方程式を用いた高Tc超伝導マイクロストリップ線路の解析 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 吉森 茂 清水健仙 内田淳史 91 2-7符号を用いた磁気記録波形弁別における誤差率ワーストパターンの推定 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 宮里航太 小川毅彦 金田 一 吉澤 滋 93 ネットワークインバージョンによるロボットアーム関節角の逆推定 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 関口七重 小川毅彦 金田 一 95 自然言語文からの論理式生成 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 石川 勉 97 エンドウ種子主根中心柱における空隙形成とエチレン ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ ダニエル K. グラデイッシュ 仁木輝緒 99 ■抄録 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 バイオコンピュータ* Toward the Biocomputer 川名 明夫 Akio KAWANA** Abstract The biocomputer is defined as information processing systems based on the function of biological systems. There have remained a lot of problems to be solved for it to become feasible. As recent development of neuroscience and computer technology shed light on the mechanisms of signal processing in neuronal networks, the biocomputer seems feasible and may become a next generation of computing systems. Keywords:biocomputer, neuronal networks, information processing 1.はじめに ている。 バイオコンピュータという言葉の定義は必ずしも明確では 視覚系では、網膜で得られた情報は順次高次の視覚中枢に ない。ここでは、『生物の情報処理の機能を直接、またはそ 受け渡されていく。この経路に従って、神経結合があること れらを模倣したものを利用して情報処理・制御を行なう装 は実験的に確かめられていた。そのため、視覚の理論では、 置』と言うように定義し話を進める。 網膜から入った情報は高次の領野へ直線的に処理されていく バイオコンピュータに関連する研究が最も盛んだったの ものとして検討されていた。しかし、このような一方向に向 は、1980年代の初頭から1990年代の半ばにかけてであったが、 かう直線的な処理では、複雑な視覚信号の処理は困難であり、 21世紀に入るとすっかり下火になってしまった。その理由は、 高次の領野からの信号のフィードバックにより初めて複雑な 神経科学など関連する分野で着実な進展はあったものの、バ 視覚信号の処理も可能であることが理論的に示された。最近 イオコンピュータ実現に向けてのブレイクスルーとなるよう の実験神経科学の成果により、高次の領野から逆向きにも神 な発明や、発見が現れなかったためである。 経結合のあることが分かってきた。このような実験的に得ら しかし、最近の神経科学の進展により、脳における情報処 れた逆方向への神経結合を通して、理論的に示された情報の 理機構の解明に向け一筋の灯りが見えてきた。そのため、バ フィードバックがなされ、複雑な視覚信号の処理が可能にな イオコンピュータの実現もあながち夢物語とは言えなくなっ っているものと考えられる。将来のバイオコンピュータを考 てきている。 える上でも、このようなフィードバック系の存在が重要な鍵 を握るものと予想される。 2.神経科学の進展とバイオコンピュータ また、最近の測定技術の進歩により、非侵襲で脳の各部位 脳の情報処理を担っているものは神経回路である。この神 の機能を見ることができるようになってきた。脳の静的な機 経回路がどのように情報を処理しているかを示唆する多くの 能を非侵襲で見ることができる方法の一つが、ポジトロン 結果が視覚系の研究から生れてきている。 CT(Positron Emission computed Tomography, PET)であ 視覚系では、外部からの光の入力が網膜において電気的な る。この方法は体内に投与した放射線核種の分布を画像化し 信号に変換され、後頭部にある視覚野と呼ばれる部位に運ば たものである。健常な人が、本を読んだり音を聞いている時 れる。視覚野で処理された信号は、脳の中で二手に分かれる。 に、視覚野、聴覚野がそれぞれ活性化されることを、この方 一つの流れは側頭葉と呼ばれる側頭部にある部位に向かい、 法により可視化することができた。 他の流れは頭頂部にある頭頂葉と呼ばれる部位に向かう。側 また、機能的核磁気共鳴法(functional Magnetic Resonance 頭葉では特定の人の顔に反応する、顔細胞と呼ばれる細胞が Imaging, f-MRI )では、脳内の血流の変化を動的に画像化 見つかっている。この部位では、顔だけでなく色々な物に反 することができるため、脳機能の時間的変化をとらえること 応する細胞も報告されている。また、頭頂葉に向かう細胞の が可能である。最近、空間分解能、時間分解能がmm, sec 以 中には、物の動きに反応する細胞、物の色に反応する細胞が 下となってきたため、脳における情報処理の過程を脳活動の 存在する。視覚情報系では、視野の各部分の特徴を抽出し、 時空間的変化としてとらえることができるようになってきた。 それらを逐次統合することによって複雑な形態や運動を認知 さらに最近では、赤外光を用いて脳内の血流変化の画像化 するような仕組みとなっていることがわかってきた。 が可能となってきた。そのため、より簡易な装置で脳の情報 神経回路における情報処理の機構を明らかにするために 処理の過程を研究することができるようになってきた。 は、神経科学的方法だけでなく、工学的手法も取り入れるこ このような方法を用いて、脳における情報処理の機構が解 とが重要である。特に、上で述べた視覚系や、運動系の制御 明されると、より脳の情報処理に近いアルゴリズム、アーキ に関しては、工学的手法を取り入れた研究が盛んに進められ テクチャを持った情報処理装置の実現が可能となってくるも のと考えられる。 * ** 原稿受付 平成20年6月11日 機能材料 Vol.28 No.8 pp.5-12 電子システム工学科 3.神経回路とコンピュータのインターフェイス 最近の脳神経科学の分野では、神経回路を構成する細胞電 89 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 気活動の時空間パターンが情報を表現していると考えられて に変化するかを知ることができるものと期待できる。特に、 いる。そのため、脳における情報処理の機構を知るためには、 これまでの学習の研究においては細胞レベルではシナプスの 個々の細胞の電気活動の振る舞いを調べるだけでなく、神経 可塑性、個体レベルでは行動の変化を見ることによって行わ 回路を構成する多数の細胞の電気活動を多点同時に測定する れていた。これに対して、上で述べたシステムは学習の過程 ことが重要である。最近になってin vivo, in vitroで多数の細 を神経回路電気活動パターンの時空間的変化として見ること 胞からの電気活動を同時に測定する方法の開発が進められて ができるため、今後の発展が期待される。 きた。 さらに最近になって、動物の脳に多点電極を埋め込み課題 1970年代後半に、グロスやパインによって微小電極アレイ をさせながら、脳内の神経細胞の電気活動を多点同時に観測 基板が開発された1)2)。これは、ガラスの基板上に導電性の することが試みられている。これによって、その行動を引き ガラス(ITO:Indium Tin Oxide)の電極パターンをフォト 起こしている神経回路の電気活動パターンが明らかになるも リソグラフィーを用いて形成し、その上に絶縁膜を堆積した のと期待される。 ものである。この基板上に神経細胞を培養し、その電気活動 実際、ニコライエス達のグループは、ラットを使って隙間 を微小電極を通して観測する。グロスやパイン達は、この電 の間隔を見分ける課題を行わせた。隙間の間隔を探っている 極の上にラットの神経細胞を培養し、神経細胞の電気活動を 状態の皮質の神経細胞の電気活動を多点同時に観測すること 多点同時に観測することが可能であることを示した。微小電 により、その活動の状態からラットが課題を実現できるかど 極アレイ基板を用いた電気活動測定法は、低侵襲な測定法で うかを予測することを可能とした7)。これは、ラットの行動 あるため長期間の測定が可能である。我々のグループでは、 を神経細胞の電気活動パターンから予測できることを示して その特徴を生かして培養神経回路の発達に伴う電気活動の変 おり、脳の中で情報がどのように神経細胞の電気活動パター 化を測定した。バラバラにした神経細胞が突起をのばして神 ンとしてコードされているかを明らかにするためへの大きな 経回路を形成していくに従い、その電気活動が大きく変化す 一歩であると考えられる。 ることを明らかにした3)。また、この神経回路に微小電極を 4.バイオコンピュータ実現へ向けての展望 通して外部から強い電気的な刺激を与えると、その電気活動 パターンが長時間にわたって変化することが判った4)。これ これまで述べてきたように、最近の脳神経科学や神経工学 は、神経回路が電気的な刺激によりその活動の時空間パター の研究によりバイオコンピュータ実現のためのブレイクスル ンを変化させたものであり、学習、記憶が神経回路の電気活 ーが見えてきたという状態ではない。脳の研究に関しては世 動パターンの変化として捕らえられる可能性を示したものと 界各国が力を入れ研究を進めてきたが、未だ脳の機能の一部 考えられる。 を理解できたと言うに過ぎない。 イスラエルのマーロム達のグループでは、上で述べたと同 しかし、最近の神経細胞電気活動の多点測定技術の進歩に 様のシステムを用いて2カ所の電極から異なる周波数の刺激 より、脳の中に於ける情報のコーディングを知るための手が を培養神経回路に与えることにより、培養神経回路が選択的 かりが得られてきている。これらの実験データと脳の情報処 5) 適応性を示すことを確認した 。即ち、片方の電極からは頻 理に関する理論との組み合わせによって、近い将来、新しい 度の高い刺激を与え、もう一方の電極からは周波数の低い刺 バイオコンピュータの概念が生まれてくることを期待した 激を与えると、低い周波数で刺激した電極からの刺激に対し い。 ての神経回路の応答特性が大きくなることが報告されてい る。これも培養神経回路に於ける学習の可能性を示したもの 文献 として注目される。 1)G.W. Gross, IEEE Trans. BME, 26, 273 (1979) 2)J. Pine, J. Neurosci. Meth., 2, 19 (1980) 最近、米国のポッター たちによって、微小電極アレイ基 板上に形成した神経細胞の電気活動により、ロボットの動作 3)H. Kamioka et al, Neurosci. Lett., 206, 109 (1996) を制御すると同時に、ロボットから培養神経回路にロボット 4)Y. Jimbo et al., IEEE trans. BME, 1297 (1998) のおかれた環境に応じてフィードバック信号を返すシステム 5)D. Tal et al, Neurosci. Lett., 300, 21 (2001) が報告されている6)。このシステムは、培養神経回路を脳、 6)T. B. DeMarse et al, Autonomus Robots, 11, 305 (2001) ロボットを感覚器とする人工的な生物システムであり、長時 7)D. Gervasaoni et al, J. of Neurosci. 24, 11137 (2004) 間異なる環境におかれた培養神経回路の電気活動がどのよう 90 ■抄録 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 時間依存のGL方程式を用いた高Tc超伝導マイクロストリップ線路の解析* Analysis of HTS Striplines using the Time-Dependent GL Equation * 吉森 茂 Shigeru YOSHIMORI** 清水 健仙 Takehito SHIMIZU*** 内田 淳史 Atsushi UCHIDA**** Abstract Using the two dimensional time-dependent Ginzburg-Landau (TDGL) equation, we analyzed the relationship between the propagation powers and the attenuations of HTS-SiO2-HTS and HTS-MgO-HTS structure superconducting striplines. The attenuation of the superconducting stripline was expressed by using the solution of the TDGL equation. The attenuation increased at frequencies more than 100GHz. In the low frequency region (<100GHz), the attenuation was almost independent of the frequency and small enough to apply the HTS stripline to the analogue filter in the microwave and millimeter wave regions. Keywords:superconducting stripline, HTS, TDGL equation 1.まえがき 近年、YBa2Cu3O7-δ(YBCO)のような高TC超伝導体が移動 体通信基地局用のアナログフィルタへ応用されようとしてい るが、超伝導マイクロストリップ線路(Superconducting Strip Line)は、高TC超伝導体のマイクロ波領域における応 用にとって重要な要素である[1]。 MegahedとEl-Ghazalyは、Gizburg-Landau理論を用いて 20GHz以下の周波数領域における高Tc超伝導マイクロスト リップ線路の伝搬電力と線路損失の関係について明らかにし ているが[2]、高Tc超伝導体をさらに高い周波数帯である Fig.1 ミリ波帯やテラヘルツ領域に応用する場合、Ginzburg- Superconducting stripline and coordinate system Landau方程式を用いた解析はできなくなる。それは、超伝 導体のエネルギーギャップと電磁波のエネルギーがほぼ同程 波のベクトルポテンシャル、超伝導体の秩序パラメータ(時 度になり、超伝導体を非定常状態として解析を行う必要があ 空間座標の関数となるエネルギーギャップ)、電磁波が存在 るからである。この場合、時間依存のGL方程式を用いるこ しない場合の超伝導体の秩序パラメータ、超伝導電子対の緩 とになる。 和時間、伝搬する電磁波のスカラーポテンシャルである。 超伝導マイクロストリップ線路の構造図及び解析に用いる この論文では、2次元の時間依存のGL(2D-TDGL)方程 式を用いて高Tc超伝導マイクロストリップ線路の伝搬損失 座標系をFig.1に示す。ここで、da、db、s、Wはそれぞれ、 の周波数特性及び伝搬電力依存性について解析した結果につ ストリップ導体の厚さ、基板(グランドプレーン)の厚さ、 いて述べる。解析した周波数領域は、マイクロ波からミリ波、 誘電体の厚さ、ストリップ線路の幅である。伝搬モードは テラヘルツ領域までであり、使用温度は77Kと仮定した。 TEMモードを仮定した。この場合、秩序パラメータはy方向 77Kは液体窒素の温度である。 には変化せず、TDGL方程式は2次元で良いことになる。 2.2D-TDGL方程式の解 逐次近似法で解を求めると、次のようになる。 =ΔoΨ (x, z, t) exp [iφ (x, z, t)]を代入し、 式aにΔ (x, z, t) 解析に用いた2D-TDGL方程式を式aに示す。 …a …s - 、A、Δ、Δ 、τとVは、それぞれ、超伝 ここで、ξ、e、h 0 導体のコヒーレンス長、電子電荷の絶対値、ディラックのh ここで、κ=λ/ξはGLパラメータ、H0 = A0ω/cμ0は (すなわちhをプランク定数として、h/2π)、伝搬する電磁 磁界振幅である。 * ** *** **** 11th International Superconductive Electronics Conference (June.2007,USA) 工学部電子システム工学科 工学研究科電子情報工学専攻 現在、埼玉大学工学部情報システム工学科 3.結果と考察 式sの解を用いて、高Tc超伝導マイクロストリップ線路 損失の周波数特性及び伝搬電力依存性を解析した。誘電体と 91 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 しては比誘電率が11のSiO 2 と8のMgOを仮定し、線路イン ピーダンスが50Ωになるようにストリップ線路の幅や誘電体 の厚さを設定した。 Fig.2a−dに解析結果を示す。これらの解析結果から次 のようなことが明らかになった。 1)伝搬損失は周波数に依存し、高周波になるほど損失は増 加する。100GHz以下の周波数領域では損失は小さいが、 500GHz以上になると急激に損失は増加する。 Fig.2(a) Attenuation as functions of frequency and width of stripline at 77K for YBCO-SiO2-YBCO. ●:W=100nm, ■:W=140nm, ▲:W=190nm 2)ストリップ線路の幅が広くなると損失は減少する。 3)比誘電率の小さい誘電体を用いると損失は減少する。 500GHz以上の高周波で損失が増加するのは、熱的に生成 される準粒子が急激に増加するためである。 4.まとめ 2次元の時間依存のGL方程式を用いて、高Tc超伝導マイ クロストリップ線路の伝搬損失を解析した。 その結果、液体窒素温度である77Kで使用する場合、 100GHz以下の比較的低い周波数領域では伝搬損失は小さく、 かつ、周波数依存性も小さい。一方、準粒子の熱的励起に依 Fig.2(b) Attenuation as functions of frequency and thickness of dielectrics at 77K for YBCO-SiO2-YBCO. ●:s=100nm, ■:s=140nm, ▲:s=190nm り、500GHz以上の周波数領域では損失が急激に増加し、テ ラヘルツ領域では損失が大きすぎて応用には適さないことが 分かる。 テラヘルツ領域で高温超伝導マイクロストリップ線路を応 用しようとする場合は、液体ヘリウムを用いて4.2Kまで冷却 する必要があると言える。 参考文献 [1]Ma Z, Wu H., Polakos P, Zhang D, Liang G and Ono R, 1997 Superconducting front-ends for PCS basestation application, Extended Abstracts of the 6th Int. Superconducting Electronics Conference. (Berlin), 1, Fig.2(c) Attenuation as functions of frequency and width of stripline at 77K for YBCO-MgO-YBCO. ●:W=100nm, ■:W=150nm, ▲:W=200nm pp.128-30. [2]Megahed M A and El-Ghazaly S M, IEEE trans. MTT, 43, pp.2590-2599 (1995). [3]Gor’kov L P and Eliashberg G M, Sov. Phy.-JETP, 29, pp.698-700 (1969). [4]Yoshimori S, Terashima T and Kawamura M, Infrared Phys. Technol., 39, pp-41-45 (1998). Fig.2(d) Attenuation as functions of frequency and thickness ofdielectrics at 77K for YBCO-MgO-YBCO. ●:s=100nm, ■:s=150nm, ▲:s=200nm 92 093-094-小川毅彦.qxd 08.12.17 14:11 ページ 93 ■抄録 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 2-7符号を用いた磁気記録波形弁別における誤差率ワーストパターンの推定* A Bit Error Rate Worst Pattern of Waveform Discrimination Using 2-7 Code Neural Networks 宮里 航太 Kouta MIYAZATO** *** 小川 毅彦 Takehiko OGAWA**** 金田 一 Hajime KANADA**** 吉澤 滋 Shigeru YOSHIZAWA**** Abstract An amplitude discrimination method of a reproduced signal is used in a current hard disk. The neural network based waveform discrimination is expected to recognize a high-density signal. By a conventional study, we obtained an error rate characteristic. In this study, we extracted a worst pattern of an error rate characteristic. As a result, under the condition; a first-order differential waveform and normalized linear density K=4.0, the form of a BER curve of all patterns almost accorded with the mean of bad pattern BER. According to this result, it is considered that the error rate evaluation time becomes shorter. Keywords:waveform discrimination, neural networks, bit error rate, worst pattern. 1.まえがき 3.2-7符号変調方式 現在のハードディスクの再生信号弁別方式には、振幅の高 2-7符号とは、表1に示すように2、3、4ビットのデ さによって“1”、“0”を判別する振幅弁別方式が用いられて ータをそれぞれ4、6、8ビットデータに変換して得られる いる。この方法では、ヘッドが発する熱雑音によりSNRが 可変長符号である。そして、符号列中の“0”の連続する個数 低下し、その結果波形干渉を起こし高密度化した信号を正確 が最小2個、最大7個という特徴を持っている。2-7符号 に認識できない場合がある。本研究で用いるニューラルネッ で表したビット列をNRZIの変調規則で変換したものを、2- ト波形弁別は、波形の特徴で“1”、“0”を判定するので、高 7符号変調方式と呼ぶ。変換法則を表1に示す。この変調方 密度の信号を正確に認識することが可能になると期待でき 式は最小磁化反転間隔が長くなるというメリットを持ち、密 る。これまでに2-7符号ニューラルネット波形弁別のエラ 度比DR=1.5となる。すなわち、主流のMFM変調方式に比 ーレート特性が求められた1)2)。本手法を用いてエラーレー べてDRが1.5倍となり、高密度化が可能になる。 ト特性を求める時間効率を上げるためには、弁別の際に最も Table 1 2-7 code conversion lists エラーとなり易いワーストパターンの解析が必要である。本 研究では2-7符号変調方式を13ビットで表した全157パター ンを対象として、全パターンでのエラーレートと個々の再生 波形を比較し、ワーストパターンを発見して時間効率を上げ ることを目標とする。 2.ニューラルネット波形弁別 複数のビット列からなる波形データをニューラルネットに 入力して波形の特徴を学習し、そのネットワークを用いて波 3.1 エラーレート特性 形を認識する方法をニューラルネット波形弁別と呼ぶ。ニュ ーラルネット波形弁別は、波形の特徴を学習することで波形 弁別処理が実用可能か判別する手段として、エラーレート 干渉の影響を少なくできるため、高密度化に適している。 の算出が用いられる。まず信号振幅と雑音振幅の割合を決め 波形弁別法を評価する手順としては、まず弁別すべき入力 て、再生信号に似ている・似ていないという状況を数値で再 波形の規格化線密度Kで作成した波形をニューラルネットに 現し、各場合でのエラーの割合を計る。まず、弁別テストす − る全てのnビット波形の自乗平均値を S 、弁別テストする全 − てのランダム雑音nビット波形の自乗平均値をN として求め、 − − これらを用いてS/N = S /N としてS/N比を計算する。その時 入力して学習させ、その後認識テストを行い規格化線密度限 界Kmを得る。さらに、指定した規格化線密度で、波形に雑 音を載せてエラーレートの特性を計測する。 の全ての雑音波形を信号波形の各々に加えて、エラー数 E N を調べる。すなわち、テスト数TNはTN = NS+NNであり、エ ラーレートERはER = EN/TNとなる。 3.2 有効ビット削減 * 原稿受付 平成20年6月20日 SICE Annual Conference 2007 で発表 ** 電子情報工学専攻 *** 現在三菱電機ビルテクノサービス (株) **** 電子システム工学科 エラーレートを試算する際、ランダム雑音を加えた波形を 弁別する。その際、小数部の有効ビットが多いほどランダム 雑音の総数が増えてしまう。従来のMFM方式では、小数部 93 093-094-小川毅彦.qxd 08.12.17 14:11 ページ 94 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 を23ビットから6ビットまで削減してもKmの値を落とさず のビットエラーレート算出が可能であることがわかる。 すむことが判明している。そこで、波形弁別でも削減が可能 Table 3 The “bad” patterns and their numbers of “bad”. か検討した。その結果、演算ビット数は最低でも6ビット必 要であることがわかった。 4.エラーレートワーストパターン ニューラルネットを用いて波形弁別を行う場合、エラーレ ート特性を試算する際に認識させる波形を指定するが、波形 には弁別しやすい波形と、弁別しにくい波形がある。これら を一つ一つ検討し、最もエラーしやすい信号波形を導き出す。 このワーストパターンを抽出できれば、その波形データだけ でエラーレート評価を行えるようになり、評価を行う時間を 短縮することができる。信号のエラーレートを求める場合、 二次微分波形を用いる方が一次微分波形より良いエラーレー トを算出することができる。ネットワーク学習値は13-7-1 学習法でのエラーレート測定時に用いた値とする。同じ条件 で実験を行い、個々のパターンの計測結果と全パターンでの 計測結果を比べることで、ワーストパターンの判断を行う。 表2にエラーレート測定条件を示す。 Table 2 Error rate measurement condition. Fig.1 Mean BER of a bad pattern and BER of all patterns. 6.むすび 本研究では、エラーレート特性のワーストパターンを抽出 した。その結果、信号波形にはそれぞれの特徴があり、再生 し易さ・し難さがあると判明した。特に、エラーレートが悪 いものにはデータビットとして入力する中央ビットが“1”の ものが多いことがわかった。また、一次微分波形、4サンプ リング、中間層数が8個および6個、K=4.0のとき、badパ 5.全パターンによるエラーレートとの比較 ターンビットエラーレートの平均値と全パターンのビットエ 全157パターンのうち、badパターンに多く選ばれたパタ ラーレートの曲線の形がほぼ一致した。すなわち、bad平均 ーンを表3に示す。badは全パターン時のエラーレートより 値のビットエラーレート曲線を下げれば全パターンのビット ビットエラーレート(BER)が高い波形の該当数である。 エラーレートが得られる。これにより信号のエラーレート評 badが10以上のパターンをbadパターンと呼ぶ。結果よりbad 価時間の短縮が可能と考えられる。 パターンが一番多い148番目のパターンがワーストパターン である。また、154番目以外のパターンでは、データビット 参考文献 として入力する中央ビットが“1”になっており、エラーレー 1)J. Hatano, S. Yoshizawa, H. Maeda, A. Goto, M. Kaneko トを悪くする要因として考えられる。次にbadパターンのビ and T. Miyashita, “An Error Rate Characteristic of ットエラーレート平均値と全パターンでのエラーレートの比 Waveform Discrimination Using 2-7 Code Neural 較を図1に示す。一次微分波形、4サンプリング、中間層数 Networks”, IEICE Society Conference, C-7-7, 2004. が8個および6個、K=4.0のときに2つの波形の曲線の形状 2)J. Hatano, S. Yoshizawa and A. Goto,“An Error Rate がほぼ一致している。bad平均値のビットエラーレートを全 Characteristic of Waveform Discrimination Using 2-7 体的に下げると全パターンのビットエラーレートと重ねるこ Code Neural Networks the Second Mark Differential とができる。つまり、ワーストパターン抽出から全パターン Calculus Wave”, IEICE Society Conference, C-7-10, 2005. 94 ■抄録 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 ネットワークインバージョンによるロボットアーム関節角の逆推定* Inverse Estimation of Joint Angles of Robot Arm by Network Inversion 関口 七重 Nanae SEKIGUCHI** 小川 毅彦 Takehiko OGAWA*** 金田 一 Hajime KANADA*** Abstract The inverse kinematics problem is an inverse problem to estimate the joint angles from the provided end effector’s coodinates. The network inversion solves inverse problems using a multilayer neural network. In this study, the network inversion is applied to the inverse kinematics of the three degrees of freedom robot arm. In the ill-posed inverse problems, the existence or uniqueness of the solution are not guaranteed. In this study, the regularization method is examined to solve the ill-posedness problem. Keywords:inverse kinematics, network inversion, robot arm, ill-posedness, regularization. 1. まえがき 3.ネットワークインバージョン 近年、科学技術の分野で逆問題の解法の必要性が高まって ネットワークインバージョンとは、学習済みの多層型ネッ いる。多自由度のロボットアームの制御において、目標の手 トワークを用いて逆問題を解く手法である。実際には、学習 先位置を実現するための関節角を求める問題は逆運動学と呼 による順方向モデル化と、順方向モデルを逆に用いる逆推定 ばれ逆問題の1つである1)。ニューラルネットワークを用い の2段階の処理を行う。学習時には通常の多層型ネットワー た逆問題の解法としては、ネットワークインバージョンが提 クの場合と同様に、出力誤差の発生原因が荷重の誤りによる 案されている2)。この方法では、学習済みのネットワークを ものとして、誤差を最小化する方向へ荷重の更新を行い、そ 用いて、与えた出力から入力の推定を行う。本研究では、多 の結果として順方向モデルを得る。逆推定時にはその順方向 自由度ロボットアームの逆運動学の問題にネットワークイン モデルを用い、ネットワークの出力側から入力側を推定して バージョンを適用するための検討を行う。具体的には、3自 逆問題を解く。具体的には、学習時に得られた順方向モデル 由度ロボットアームの逆運動学を対象として、適切な学習セ を固定した状態でランダム入力および出力を与え、出力誤差 ットと初期入力値に関する検討を行った。 の発生原因が入力の誤りによるものとして、誤差を最小化す る方向へ入力の繰り返し修正を行い、その結果として入力分 2.ロボットアーム関節角の逆推定 布を得る。学習と逆推定の原理を図2に示す。 ロボットアームの関節角から先端座標を求める順運動学に 対し、その逆問題として先端座標からアームの関節角を逆推 定するのが逆運動学である。本研究では、図1aに示す3自 由度ロボットアームを考える。順運動学では関節角と先端座 標の関係が1対1で決まるのに対し、逆運動学では先端座標 と関節角の関係が図1bのように1対多となる。そのため、 先端座標の値のみから関節角を逆推定すると、先端座標を実 現する関節角の組合せが複数存在するため、推定が困難にな る可能性がある。 Fig.2 Principles of leanring and inverse estimation, (a) backpropagation learning (b) network inversion. Fig.1 Forward and Inverse kinematics problem of 3-DOF robot arm, (a) forward kinematics (b) inverse kinematics. 4.シミュレーション * ** *** 原稿受付 平成20年6月20日 SICE Annual Conference 2007 で発表 電子情報工学専攻 電子システム工学科 図3および表1に示す3層型ネットワークによるネットワ ークインバージョンにより、3自由度ロボットアームの先端 95 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 座標から関節角の逆推定を行う。入力は3つの関節角(θ 1 , るよりも、他の推定結果を初期入力として用いる方が、計算 θ2, θ3)、出力はアームの先端座標(x, y)である。中間層は試 時間だけでなく推定精度に関してもよい結果が得られた。 行錯誤的に60個に決定した。関節角および座標の値は、それ ぞれの最大値で正規化してネットワークに与える。 本研究では、学習セットと初期入力値の設定による推定結 果への影響を調べるために、学習データ数を3通り、初期入 力値を2通り設定してシミュレーションを行った。 Table 1 Network parameters Fig.4 Poses of robot arm that are expressed by estimated joint angles for three kinds of training data set. Fig.3 Network architecture 4.1 学習セット数の影響 関節角の作動範囲と間隔を変更することで、3種類の学習 セットを用意した。最初の学習セットは3つの関節角をそれ ぞれθ1 = (0°, 10°, …, 90°)、θ2 = (0°, 15°, …, 180°)、θ3 = (0°, 30°, …, 180°)と設定することで910組のデータを得た。2 つ目の学習セットは関節角をθ1 = (0°, 10°, …, 90°)、θ2 = (0°, 15°, …, 345°)、θ3 = (0°, 30°, …, 330°)と設定して2880組 Fig.5 Poses of robot arm that are expressed by estimated joint angles for two initial conditions of input. のデータを得た。3つ目の学習セットは関節角をθ1 = (0°, 5°, …, 90°)、θ 2 = (0°, 10°, …, 180°)、θ 3 = (0°, 15°, …, 180°)と設定して4693組のデータを得た。 5.むすび シミュレーション結果を図4に示す。結果によると、 先 本研究では、ロボットアームの先端座標から関節角の逆推 端座標は3つの学習セットとも目標とほぼ一致しているが、 定を行う逆運動学の問題にネットワークインバージョンを適 詳細に見ると2880組の学習セットの推定結果が最も一致して 用する場合の、学習セット数および初期値設定による推定結 いることがわかる。2880組の場合は推定された関節角が他の 果への影響を調べた。今後の課題として、不良設定性を解決 場合と異なるが、これはネットワークが複数の解の中から異 するための正則化法3)の効果の確認と、さらに多自由度のロ なる解を選択したものと考えられる。結果から、学習セット ボットアーム関節角の逆推定の検討が挙げられる。 の設定により、推定精度および結果に影響があることが分か る。 参考文献 4.2 初期値の設定の影響 1)C. W. Groetsch, “Inverse Problems in the Mathematical Sciences”, Friedr. Vieweg and Sohn Verlags. mbH, 1993. ネットワークインバージョンでは、初期入力値から繰り返 し修正によって入力を求める。そこで本研究では、特定の値 2)A. Linden and J. Kindermann, “Inversion of Multilayer を初期入力として用いる方法と、他の推定結果を初期入力と Nets”, Proc. Int. Joint Conf. on Neural Networks, pp.425- して用いる方法の2通りを試みた。 430, 1989. 3)A. N. Tikhonov and V. Y. Arsenin, “Solutions of Ill-posed シミュレーション結果を図5に示す。結果によると、 他 Problems”, Winstion and Sons, 1977. の推定結果を初期入力として用いた方が、目標によく一致し ていることがわかる。また、特定の値を初期入力として用い 96 ■抄録 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 自然言語文からの論理式生成* Generating the Well-Formed Formulas from Natural Language Sentences and the Inference Scheme 石川 勉 Tsutomu ISHIKAWA** Abstract It is a difficult problem to deduce the sound conclusions based on natural language sentences with many kinds of ambiguity. This paper introduces some previous studies including knowledge representation, parsing and resolution to the problem, e.g. DPL (Dynamic Predicate Logic), PFO(Predicate logic with Flexibly binding Operators), L-LILOG, ACE(Attempto Controlled English) and MLN(Markov Logic Networks). Our study, being one of the extended order-sorted logic, is also outlined. It can deal with structured sort symbols consisting of multiple ordinary words like noun phrases and execute the resolution process semantically interpreting the sort symbols word by word. Keywords:natural language, predicate logic, well-formed formula, knowledge representation, inference 1.はじめに になるが、文の構成に従い素直に表現するとii)のようにな インターネット情報の爆発的増加に伴いWeb検索技術には ってしまう。このため、構成論的に扱えかつ元の文の意味を 目覚しい進歩が見られるが、まだユーザが欲しい情報が直ち 保てる論理が研究され、論理式に従来とは異なる動的な解釈 に得られるというレベルには至っていない。また、MUCや を与えるDPL(Dynamic Predicate Logic)等が提案されて TREC等における質問応答技術についても、パターンマッチ いる。これは、文の意味はその真偽にあるのではなく、読み の域を脱したとは言い難い。これは主に自然言語文に対する 手の情報を変化させる(文を受け取ると我々はある情報の状 意味的な扱いが不十分なためである。すなわち、電子化文書 態から他の状態に変化する) 仕方にある、との考え方に基 の有効利用およびその高度化には、意味理解やある程度深い づく論理である。 レベルでの推論が必須となり、このためにはまず文を何らか 実用的視点からは、Fuchsらによる語彙や文型を限定した 制限英語ACE(Attempto Controlled English)の研究等があ の知識表現形式に変換する必要がある。 知識表現に関しては、フレーム、意味ネット、述語論理等 る。ACEは、論理に精通していない人でも知識を有効に活 が代表的であるが、最近はオントロジーとの整合性から記述 用できるように、知識を普通の文で表現しそれを用いて推論 論理が注目されてきている。また、Web情報の国際的利用を し問題解決できる枠組みを提供することを目指している。 目指した表現法も研究されている。しかし、これらは知識利 ACEで書かれたテキストは、Kampらにより開発された談話 用の容易化や共通化に重きを置いており、高度な推論という 表示理論に基づきDRSと呼ばれる表現に変換された後、一 視点からは今なお述語論理ベースの知識表現が有力と言え 階述語論理に変換される。 る。 また、著者らは名詞句の意味解析の難しさを避けるため、 このような背景から本論文では、自然言語文から如何に論 知識表現上はこれを一纏りとして扱い、推論時にこの構造を 理式を生成しそれを使って推論するかについて解説した。以 考慮する、順序ソート論理を用いた枠組みを提案している1)。 下、著者らが提案している手法を含めその概要を述べる。 この枠組みは既存の自然言語処理ツールの活用による全自動 を意識したもので、基本的に一つの文は単文、複文共に一つ 2.自然言語文の論理式表現 の素式で表される(複文の場合には主節が素式の基本を構成 し、従属節はその述語部あるいは引数部に埋め込まれる)。 自然言語文からの論理式生成では、全体の意味はその構成 要素の意味の合成により定まる(フレーゲの構成性原理)と 例えば、「花子は太郎が経営している会社の社員である」と する形式意味論的な立場に立つことになる。しかし、現実に いう文は、“[c 1 :会社]{経営する(agt:太郎:Τ、obj: はよく知られている以下のロバ文で例示されるように構成性 #)} の社員(inst:花子:Τ)”と表される(agt等は深層格 原理が成立しない場合が頻出する。 のラベル、#は被修飾概念に対する格関係の存在、Τは最上 [ロバ文] Every farmer who owns a donkey beats it. 位ソート)。この知識表現への変換は、既存ツールによる形 i)∀x∀y [[farmer (x) ∧ donkey (y) ∧ own (x, y)] 態素解析、構文解析の結果およびEDR電子化辞書等を用い → beat (x, y)] た意味解析により行われる2)。 ii)∀x [[farmer (x) ∧ ∃y [donkey (y) ∧ own (x, y)]] → beat (x, y)] 3.推論法 この文は、その全体の意味を正確に表現するとi)のよう 推論処理では周知のように知識の規模の増加に伴う探索空 間の爆発という問題がある。また、自然言語への応用という 視点からは、その曖昧性から知識の完全性は望めないことを * ** 原稿受付 平成20年6月20日 人工知能学会誌,Vol.22,No.5,pp.613-620,2007 情報工学科 考慮する必要がある。従って、不完全な知識(事実知識や問 題知識)から如何に有効性のある結論を導くかが課題となる。 97 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 また、これら知識はその構成要素として基本的に単語を用い 一方、統計的手法あるいはそれと論理の結合に関しては、 ることになるため、語彙を中心とする言語的知識との結合も これまでベイジアンネットと各種論理との結合に関する研究 重要となる。すなわち、i)処理の高速化、ii)不完全知識へ が盛んであったが、最近、サイクリックな依存性を表現でき の対処、iii)公理的知識と言語的知識の結合といった課題が るマルコフネットを用いたMLN(Markov Logic Networks) 重要となり、これらの視点からの研究が活発である。具体的 が提案されている 4 )。MLNは、確率と述語論理を結合し、 には、これまでの融合処理をベースとする論理的手法の他に、 不確実な知識の下での推論を実現しようとするものであり、 最近はベイジアンネット等による統計処理的手法さらには前 知識ベース中の論理式を対象とする世界に対する制限とみな 者との統合を目指した研究も注目されてきている。 し、その世界で成立しない論理式が少なければ少ない程その 論理的手法としては、先の視点の他にオントロジーの利用 世界の確からしさは高いとの考えに基づいている。具体的な との適合性から、順序ソート論理が再び注目されてきている。 推論は、対象とする知識ベースの下で目的とする論理式が充 これは基本的には一階述語論理であり、推論は一般に融合処 足される確率を計算することにより行われる。この計算は極 理により行われる。すなわち、2つの親節¬A ∨ BとA´ ∨ めて小さなドメインを除いて膨大となるため、ベイズ統計で C から、ある代入σによりA とA´ が単一化可能ならば導出 よく使われるマルコフ連鎖モンテカルロ法を用いて近似的に 節σ(B ∨ C ) を導く。Beierleらは、それまでこの代入が下 求められる。MLNは推論から学習までを含む包括的な枠組 位ソート側からその上位ソート側に対するものに限定されて みであり、将来必須になろう常識推論に対する一つのアプロ いたのに対し、その制限を外した論理を提案した3)。この論 ーチと言えよう。 理ではさらにソート述語(述語部がソートの素式) を導入し、 4.むすび ソート宣言による語彙知識と論理式による知識の密な結合を 実現している。具体的には、以下に示す3つの推論規則を導 自然言語文から論理式を生成する方法およびそれを用いた 入し、前述の制限に反する代入においても、導出節にその代 推論法について紹介した。自然言語文が本質的に持っている 入が適切になる条件と言える節(SL(σ))を加え、推論を進 曖昧性は人間でも解消が難しい。従って、その完璧な論理式 められるようにしている。 表現は現状では不可能であり、具体的な応用を目指したとき これにどのように対処するかが重要になる。このアプローチ には、正確に変換できる文だけを利用して厳密に推論すると いう方向とある程度誤りを許容し推論結果についてもその完 全性は求めないという方向に大別されよう。従来主流であっ た前者に対し、今後は後者のアプローチが重要となろう。 参考文献 1)Kitano, M., Nishita, S. and Ishikawa, T.: Inference / sort (x), ここで、SL (σ) = ∧{Si (σ(x)) | sort (σ(x)) ⊆ Scheme for Order-Sorted Logic Using Noun Phrases where x ∈ dom (σ), Si = sort (x)} with Variables as Sorts, Proc. 5th Mexican Int. Conf. on EOS は、述語部が同一の素式 L 1 と L 2 を含む親節間におけ Artificial Intelligence, Springer-Verlag LNAI 4293, pp.49-58 (2006) る推論規則であり、融合における最も基本的な規則である。 SUBSは、単一化する部分S1とS2が共にソート述語の場合の 2)永田拓, 石川勉:副詞的使用に着目した「名詞+に」の 規則であり、 S 2 が S 1 の下位ソートの場合に適用される。ER 深層格識別法,第69回情報処理学会全国大会 6Q-1 は、代入処理後のソート述語を消去するための規則であり、 (2007) 代入を行った結果のソートが述語部のソートの下位ソートの 3)Beierle, C., Hedtstuck, U., Pletat, U., Schmitt, P. H., 場合に適用される。また、SL (σ) (以下、SL節と呼ぶ) は端 Siekmann, J.: An order-sorted logic for knowledge 的に言えば処理の繰り延べ項として機能する節であり、代入 representation systems, Artificial Intelligence, Vol.55, される変数xのソートsort (x) が代入結果のソートsort (σ(x)) pp.149-191 (1992) の上位ソートでない場合に、ソート述語の連言の形で生成さ 4)Singla, P. and Domingos, P.: Discriminative Training of れる。著者らはこれら推論規則を、さらに名詞句のような構 Markov Logic Networks, Proc. AAAI-05, pp.868-873 造を持ったソート扱えるように拡張している。 (2005) 98 ■抄録 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 エンドウ種子主根中心柱における空隙形成とエチレン* Ethylene is involved in vascular cavity formation in pea (Pisum sativum) primary roots** ダニエル K. グラデイッシュ Daniel. K. GLADISH** 仁木 輝緒 Teruo NIKI*** Abstract Pea (Pisum sativum) primary roots form cavity in their vascular cylinders in response to sudden flooding. This is thought to be a form of aerenchyma. Ethylene has been know to mediate inducible aerenchyma in maize, therefore the role of ethylene in the formation of cavities in pea roots was investigated. Pea seeds were germinated and grown for 4 d. These were then exposed to various concentrations of ethylene for 1 d, or they were flooded and endogenous ethylene was measured periodically by gas chromatography. All three inhibitors of ethylene suppressed cavity formation in flooded roots. Exogenous ethylene exposure caused cavities to frequently form in a dose-dependent manner in unflooded roots and caused an increase in mean cortical cell size and number. Flooding increased the rate of ethylene release into the air space above the medium surface. These results indicate ethylene mediates vascular cavity formation and add to the evidence that vascular cavities may function as a type of aerenchyma. Keywords:aerenchyma, ethylene, flooding, pea (Pisum sativum L.), vascular cavity synthesis inhibitor; and 20, 50, and 85 mM ethyleneglycolbis Introduction At first it was thought cavity formation was strictly a (beta-aminoethyl ether)-N,N,N',N'- tetraacetic acid (EGTA), a temperature-dependent response, but further study revealed Ca+2 chelator. The beakers were then recovered with foil and that these are caused by hypoxia at warm temperatures, and placed back in the growth chamber. Some treatment the phenomenon is possibly a type of flooding-induced concentrations were duplicated. 24 h later the seedlings were aerenchyma (Gladish and Niki 2000, Niki and Gladish 2001). removed from the beakers, and each primary root was In this sense, vascular cavity formation appears to function examined for the presence of vascular cavities at 1 cm and 3 similarly to the well-studied inducible cortical aerenchyma cm from the tip by free-hand transverse sectioning. For observed in roots of Zea mays. application of exogenous ethylene, 1 quart (960 ml) glass It is known that ethylene is part of the signal canning jars containing 0.8 L of vermiculite moistened with transduction pathway in the Zea aerenchyma induction 300 ml of DW replaced so as to maintain sterile conditions system (Drew et al. 1997). Therefore, it was hypothesized but allow air exchange, then the containers were placed in a that ethylene might be involved in the initiation of the growth chamber at 25℃. After four days the foil covers were vascular cavity response in pea primary roots. In the current removed and replaced with neoprene stoppers perforated study the role of ethylene in vascular cavities was with two gas-exchange nipples (canning jars). The canning investigated by adding ethylene and synthesis inhibitors to jars were then taken to a specialized walk-in, controlled- water used to flood pea seedling roots, and by measuring the temperature (25℃) chamber where they were perfused with concentrations of ethylene in the air above flooded pea root air or air-ethylene mixtures at various concentrations at the rate of 25 ml/min for 24 h. These containers were exposed to systems. each exogenous ethylene concentration. Then the seedlings were removed from the containers, and the primary roots Materials and Methods Seeds (Pisum sativum cv. ‘Alaska’) were germinated and were examined for the presence of vascular cavities by free- grown for each experiment as described below. Root growth hand transverse sectioning. was determined for the exogenous ethylene experiment after Endogenous ethylene trials prior to sectioning.The beakers were placed in a To measure endogenous ethylene production, pea growth chamber in darkness at 25℃ for four days. Beakers seedlings were grown for 4 d in foil-covered canning jars were then flooded with DW or inhibitor solutions (various prepared with seedlings grown as described immediately treatments and concentrations, below) up to the cotyledons above. Once in the walk-in chamber they were then flooded or left unflooded. Treatment solutions included 1, 4, 8, and 10 or not as treatment and positive controls, respectively. Once mM silver thiosulphate (STS), an ethylene action inhibitor; 1, the treatment jars were flooded, all jars were capped with 5, and 10 mM aminooxyacetic acid (AOA), an ethylene neoprene stoppers perforated by a loop of tubing for sample extraction. Starting immediately, gas samples were * ** *** 原稿受付 平成20年6月30日 Plant Root 2: 38-45. 2008 マイアミ大学 植物学科 基礎教育系列 extracted from the headspace of the sealed jars with a syringe at 1 h intervals. After this first 3 h measuring period, 99 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 the headspace was flushed with air for an hour and root cortex. additional samples were taken hourly for an additional 4 h. Endogenous ethylene During the first 3 h of the experiment, flooding caused Results and Discussion the pea seedlings to release ethylene into the container Ethylene inhibitors headspace at a rate that was three to four-fold greater than When moistening of the medium was 375 ml/L of seedlings in the unflooded containers. The rate of ethylene vermiculite, vascular cavities were very infrequent. By production was greatest in the period 1-2 h following comparison to the flooded controls, which had very high flooding. The approximately two-fold higher ethylene rates of frequencies of vascular cavities in the primary root concentration increase in the flooded jars measured in the populations, AOA reduced the frequency of vascular cavity second and third runs may have been mainly due to the formation in populations of flooded pea roots in a dose- difference in gas space between flooded and unflooded jars, dependent manner except at the highest concentration. though the differences after 3 h were greater than 5 μl/L in Likewise, STS did the same with 8 mM producing roughly both cases. the same frequency of cavity formation as the negative controls. EGTA reduced the frequency of vascular cavities, Conclusion but not to the same degree as AOA or STS probably because The evidence shows that ethylene biosynthesis is a key it works indirectly by chelating Ca outside of cells. element in the signal transduction pathway between flooding 2+ and the process of vascular cavity formation and that it is Exogenous ethylene Exogenously-applied ethylene increased the frequency involved in other anatomical responses that enhance survival of cavity formation in a dose-dependent manner up to 10 μ in hypoxic conditions, such as flooding. l/L concentration. Growth was suppressed significantly by each ethylene treatment compared to its control group (p < References 0.01). Among the ethylene treated seedlings, root growth was Drew MC Oxygen deficiency and root metabolism: most suppressed by 10 μl/L ethylene but least suppressed at injury and acclimation under hypoxia and anoxia. Ann. Rev. the highest concentration (p < 0.05). Growth rate reduction Plant Physiol.48: 223-250. 1997 due to exposure to exogenous ethylene was as great or Gladish DK, and Niki, T Factors inducing cavity greater than that caused by flooding. Growth was typically formation in the vascular cylinders of pea roots ( Pisum abolished by flooding, but ethylene treatment resulted in sativum L., cv. ‘Alaska’). Env. Exp. Bot. 43:1-9. 2000 increased root diameter, which suggests a change from Niki,T and Gladish DK. Changes in Growth and longitudinal to radial growth. Though vascular cylinder Structure of Pea Primary Roots (Pisum sativum L.cv.Alaska) diameter was increased significantly, radial diameter as a result of Sudden Flooding. Plant and Cell Physiolgy, 42:7, increase due to ethylene exposure occurred mainly in the 697-702. 2001 100 留学報告 REPORTS モントリオール(カナダ)における研究と生活 ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 長谷川淳 103 ■留学報告 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 モントリオール(カナダ)における研究と生活* Report on my Sabbatical Year in Montreal CA 長谷川 淳 Jun HASEGAWA** 2006年の8月から1年間にわたり、モントリオールのIRCMへ長期留学させていただいた。文化や習慣の違いに戸惑わ せられ続けの1年間であったが、色々な意味で貴重な体験の毎日であった。この報告は、モントリオールでの1年間の研 究と生活をまとめたものである。 1.はじめに モントリオールはカナダの西部、五大湖から流れ出すセン トローレンス川とオタワ川の合流する中州にあり、ニューヨ ーク・ボストンの北に位置していてアメリカ合衆国との国境 にも近い。その緯度は日本最北端の宗谷岬とほぼ同じ北緯45 度30分であり、その面積は東京23区の6割程度である。人口 160万人はトロントに次いでカナダ第2位であり、またパリ に次いで世界第2位の規模の仏語圏の都市でもあるが、ダウ ンタウンでもさほど混み合っているという印象はない。 このダウンタウンからさほど遠くないところに私が1年間 お 世 話 に な っ た 研 究 所 IRCM( Institut de Recherches Cliniques de Montreal)がある。冬が長くて最低気温はマイ ナス30度にもなるという情報に、本当に1年間やっていける のかとの不安も留学前には抱いていた。しかし実際に住んで みると寒さにもすぐに慣れて、実に快適に暮らすことができ た。モントリオールの人々は総じて親切で暖かく、研究所で も私生活でも実にフレンドリーな雰囲気のなかで過ごせた し、また気分転換に少し散歩するだけで、「北米のパリ」と も称される町並みや、市の中心部に位置し町の名前の語源と もなっているロワイヤル山(王の山:モン・ロワイヤル)か Fig.2 らのすばらしい景色などを堪能することができた。 モン・ロワイヤルとその展望台から望むダウンタウン さらに、「人生楽しく」をモットーとするモントリオール っ子による数々のイベントはそれこそ一年中を通して催され ていたので、1年間ではモントリオールにかろうじて慣れる だけで精一杯で、とても語るところまではいかないなという 思いを抱きながら帰国してきたのである。 ところで、モントリオールでの研究生活と暮らしをまとめ Fig.3 ジャズフェスティバルなど、街中でのイベント るに当たってはモントリオールという町の特殊な背景につい て触れておかざるをえない。そこで、この報告ではまずモン トリオールの歴史的背景や風土・教育などについて簡単にま とめた後にIRCMでの研究や暮らしについて述べようと思 う。 Fig.1 モントリオールの町並み(北米のパリ) 2.モントリオールの歴史的背景・風土 歴史的背景: モントリオールが属するケベック州は仏語圏の州としてよ * ** 原稿受付 平成20年6月11日 電子システム工学科 く知られており、9割近くの住民が仏語のネイティブスピー 103 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 表1 モントリオール関連の歴史 カーである。この背景にはカナダの歴史が深く関わっている が、主にモントリオールに関わる歴史的出来事を表1にまと めておく。 最初に植民を行ったのはフランスで、現在のケベック州の うちセントローレンス川沿いの地域に移り住んだ。(奥地は あまりに厳しい自然条件のため、開発されたのはかなり後の ことになる。)その後七年戦争に敗れて英国の植民地となっ たが、英国はケベック法を制定して仏系住民の権利を容認し たため、その後もケベック人(ケベコワ)は独自の文化伝統 を守り続けることになる。一方、独立戦争後に王党派のアメ リカ人がノバスコシアやセントローレンス川上流(現在のオ ンタリオ州)に移住し、英国系住民の人口も増加した。英国 系はトロント、仏系はモントリオールを中心にそれぞれ発展 したが両者の確執は続く。モントリオールは一時英領カナダ 州の首都にもなったが、暴徒による議事堂の焼き討ちにより トロントに首都を明け渡し、最終的にはヴィクトリア女王の 裁定で両者の中間に位置する比較的新しい町オタワに恒久的 首都が定められた。モントリオールは経済的発展を遂げ、カ ナダ第1の都市として経済活動の中心となっていく。しかし、 支配階級としての英国系住民と被支配階級である仏系住民と いう構図ははっきりしており、現在でもモントリオール市街 は主に英国系住民の住む西側の高級住宅街と主に仏系住民の 住む東側の地区とにはっきりと分かれている。ちなみにパリ を彷彿とさせる町並みはこの東側の地区に多い。また、モン 風土: トリオールにバイリンガルが多いのもこのような事情による モントリオールの季節は「冬と冬の準備期間」しか無い、 ものと思われる。 と現地の人々は言う。確かに出発する前には、寒い、雪と氷、 ケベコワの間では独立志向が根強く続いており、ケベック 吹雪というような印象しか無かったが、実際に暮らしてみる 州 の 車 の ナ ン バ ー プ レ ー ト に 「 私 は 忘 れ な い ( Je me となんとイメージとは異なることか。冬場はむしろ青々とし souviens)」と書かれている事も象徴的である。1970年頃に た晴天の日が多かった。雪の季節は10∼5月で雪の舞う日は はケベック解放戦線によるテロ等もあったが、1976年にケベ 多かったが、本当の吹雪と呼べるものは数えるほどしかなか ック分離主義政党が州政府の政権を握ったことでモントリオ った。確かに気温は低くて真冬では最低気温が−25∼−30℃ ールに転機が訪れる。仏語をケベック州唯一の公用語と定め になる日もあった。また、カナダでは気温の他に体感気温に るBill 101が制定されたことにより、多くの企業が拠点をモ 相当するWind Chillも発表されるが、こちらの方は−40℃に ントリオールから撤退させるに至った。結果的にモントリオ 達することさえあった。しかし冬の準備期間とは良く言った ールはカナダ第1の都市という位置をトロントに明け渡すこ もので、カナダに渡った後に現地で調達した防寒具一式(日 とになる。しかし、全てのケベコワがケベック州の国家とし 本から持って行っても意味がないだろうと考えたため)の助 ての独立を目指してはいないのも事実である。2度にわたる けがあったとはいえ、徐々に下がっていく気温に身体が自然 住民投票で、僅差ではあるがケベック分離問題が否決された に順応していくのが感じられた。また、基本的に建物は全館 のであるから。私が滞在していた2006年11月に、ハーパー首 暖房、バス・地下鉄などの交通機関や地下街の発達(ダウン 相がケベックは「統一したカナダの中の国家」とする動議を タウンでは総延長30kmにもおよび、マラソン大会さえ開催 可決させて議論をよんでいたが、これは一方ではケベコワの される)により、さほど寒さが苦になることは無かった。ひ 独立運動を牽制しつつ、ケベックの特殊性を認めて配慮する とたび吹雪が来ると街は厚い雪で覆われるが、すぐに除雪作 ものであった。実際、ケベック州は様々な面で独特の文化圏 業が入り、歩道まで小型の除雪車がきれいにしてくれるため を構築していると共に、ある意味では独立国家並みの独自の 生活への支障は少ない。(Fig.4)もっとも、1回の除雪に2 自治権を勝ち得ているようであり、その部分で良しとしてい 億円ほどかかるということで、それが市の財政を少なからず るケベコワも多いようである。 圧迫していることも事実ではあるが。 104 長谷川淳 モントリオール(カナダ)における研究と生活 は通常3年であるが、工学部などは4年間なので日本より1 年長い計算となる。州外からの学生には、CEGEPの2年目 に相当する1年間の予備教育がUniv.で準備されている。 公立学校に通う場合CEGEPまでは無料で、Univ.は公立し か無く学費は2,000 Canada$/year程度とかなり安い。その ため留学生もかなり多く、モントリオールは人口あたりの学 生数が北米で最大である。学校は英語系・仏語系に分かれて おり、教育委員会さえも別々であるところがケベックの特殊 性を象徴している。 モントリオールには4つの大学があり、英語系がマギル大 Fig.4 小型除雪車と除雪された街並み 学とコンコルディア大学、仏語系がモントリオール大学とケ ベック大学モントリオール校である。州政府の予算は仏語系 冬場は4時頃には暗くなってしまうのに対し、夏場は日の に優先的におりるようで設備面では仏語系の方が充実してい 出5時、日の入り9時頃と昼が長く、最高気温も20∼25℃と るが、英語系は世界中から優秀な学生・研究者を集められる 快適である。仕事帰りでもまだ日が高いこの季節は、街中の のでレベルが高いという噂であった。ここにも英仏の確執が カフェ・レストラン・ビヤホールなどが「人生楽しく」を地 見え隠れしているが、一方では人的交流・研究面での協力な でいくモントリオールっ子であふれかえり、短い夏を楽しん ども盛んなようで、両者の関係は一言では言い表せないよう でいる。 な複雑なものであるらしい。 モントリオールはセントローレンス川沿いにケベックシテ ちなみに、北米最古の病院が建設されたという歴史的背景 ィまで続く日本でも有名な「メープル街道」の途中に位置し からか、今でもモントリオールには医学で世界的に有名な研 ており、市の北部に広がるローレンシャン地方は紅葉とスキ 究機関が多く、日本からの留学・ポスドクも圧倒的に医療・ ー場で有名である。ケベック州ではメープルシロップ・クラ バイオの分野が多いように思われた。もっとも、Bill 101制 ンベリー・カボチャ・ジャガイモなどの農業とともに、水量 定以降は日本企業が撤退しただけでなく日本からの留学生も 豊かな川での水力発電が盛んである。私の場合、電気料金も 激減したようで、日本人のコミュニティは小さなものになっ アパートの家賃に含まれていたので実感はないが、モントリ てしまっているようである。 オールでの電気代はただ同然だとも言われている。また、ニ 表2 ケベック州の教育制度 ューヨークはケベックの電力でもっているという話も聞いた ことがある。 Fig.5 ローレンシャン地方 3.教育システム 4.IRCM (Institut de Recherches Cliniques de Montreal) カナダでは州ごとに教育制度が異なっており、ケベック州 私が留学したIRCMは2007年に創立40周年を迎えたが、そ も独自の教育制度(表2)を持っている。Secondary school の名前が示す通り研究(Recherches)と診療(Cliniques) とUniversityの間にCEGEPと呼ばれる独特の段階が設けられ の2本を創立以来の柱としている。公立ではないが、非営利 ており、Universityへ進学するにはSecondary school卒業後 団体で予算は主に州政府の補助と各種助成金でまかなってい CEGEPのUniv. courseに2年間行かなければならない。 る。併設されているクリニックは心臓血管系が専門で、現在 Universityには入学試験は無く、CEGEPでの成績で進学が決 では高血圧症の治療が多いとのことである。研究所でもかつ まる。また、CEGEPのTechnician courseは、日本で言えば ては循環器系を中心とした研究が盛んであったが、現在では 高専または専門学校といった位置付けになっている。Univ. 90%以上のテーマがバイオ関連である。競争的資金に依存し 105 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 ていることから少数精鋭主義を採っており、総勢37名の研究 IRCMでの1年間を、以下に簡単にまとめておく。振り返 者は世界中から厳選してスカウトしている。現在の研究所長 ってみると、限られた時間の中でかなりあわただしい1年で も最近研究室ごとドイツからスカウトされた。専用の動物実 はあった。 験施設やHIV専用の研究施設など、先端の施設を数多く有す 8∼9月:相互の状況把握および研究計画の立案 るが、それらも助成金を獲得しては建設してきたものである。 10∼11月:実験用機器の検討・購入等 また、モントリオール大学およびマギル大学と提携関係にあ 11 月 末 :ハワイでの国際会議に出席 り、ポスドクを含む学生は200名以上在籍していて研究の原 12∼1月:計測用機器・ソフトウェアの開発 動力となっている。 (学位そのものは各大学から授与される。) 2∼3月:シミュレータの調整・分析ソフトの開発 しかし、各種動物実験や実験機器の試作補修などは専門の技 4∼5月:再現性を向上するためのシミュレータの改良 師を雇っているので、彼らはほぼ純粋に研究に没頭できる。 6∼7月:シミュレーション実験 私がお世話になったDr. Louis-Gilles Durand (ルイジラ・ 7∼8月:分析結果の検討評価および診断用指標の検討 デュラン)はIRCMの医工学研究所長であると同時にIRCM のActing Presidentでもあり、現在のIRCM所長が着任する までの期間は所長代行も務めていた。総務や設備購入の責任 者でありきわめて多忙である。彼と知り合ったのは以前に出 席した国際会議での私の発表がきっかけで、その時彼のグル ープのメンバーから質問を受けて議論をしたのであった。彼 の研究所では人工弁の試験を行うのに最適な循環系シミュレ Fig.6 ータを開発して所有しており、我々のノウハウと併せれば新 IRCMの外観と筆者のデスク たな研究が可能であると考えて共同研究を申し入れ、留学を 引き受けてもらったのである。私のIRCMでの立場は Visiting Professorであり、そのためWork permissionを取得 してから出発した。(カナダで収入を得るわけではないにも かかわらず、要求された!) ところで、IRCMは仏語系の研究所である。そのため各種 掲示や機器のガイダンス表示など、全て仏語であり、慣れる Fig.7 まで電子辞書は手放せない状態であった。また、事務から来 Dr. Durandと筆者、および医工学研究所のメンバー るメールも当然仏語であり、Yahooの翻訳サイトにはずいぶ んとお世話になった。 5.研究生活 IRCMでの研究テーマは「音響法による非侵襲的機能診断 法の研究」で、機械人工弁の超音波領域閉鎖音による診断を 目的としたシミュレーション実験である。Dr. Durandが多忙 であるため、実際の研究パートナーはDr. Lyes Kademとな Fig.8 った。彼は医工学研究所のポスドクで循環系シミュレータを 循環系シミュレータと人工弁 使用した実験のプロフェッショナルであったが、私がIRCM に着いた直後の9月にコンコルディア大学で助教授として採 ここでは研究成果の詳細は省略するが、ほぼ期待通りの実 用された。そのため、一時は共同研究の拠点をコンコルディ 験結果が得られた。実験装置が使えるIRCM滞在中にできる ア大学に移すことも検討したが、実験スペース確保の問題と、 限り多くの測定データを集めて持ち帰り、論文としてまとめ 私のWork permissionの許可条件変更手続きの煩雑さとから るために現在詳細な分析と評価を継続中である。 IRCMで続行することになった。もっとも、私個人としては IRCMでの研究生活を通して感じたのは、彼らのメリハリ コンコルディア大学へ移動していた方が幸せだったかもしれ の付け方である。あえて言うならば、徹底したいい加減さと ない。後日コンコルディア大学を訪問した際、目に入る掲示 すばらしい集中力というところだろうか。モントリオール滞 や周囲の会話など全てが英語であった事に心からほっとした 在中に「カナダ時間」という言葉をよく聞いた。何事でも時 のだから。 間通りに進むことはまずあり得ない。列車の到着が一時間近 106 長谷川淳 モントリオール(カナダ)における研究と生活 く遅れるのも当たり前である。皆で待ち合わせをしたときも、 がら地下街につながっている。(残念ながら、ダウンタウン メンバーがようやく集まり始めるのは30分後、それから買い のアンダーグラウンドシティにはつながっていないが。)ス 出しなどに出かけ始めていざ出発となるのは1時間以上たっ ーパー・百均(1$ショップ)・郵便局・薬局・床屋・電気 てからである。かなり忙しい状況のはずなのに、仲間がやっ 屋・レストラン・ジャンクフードなどなど、およそ生活に必 てくるとおしゃべりを始め、延々と続く。挙げ句の果てはじ 要なものは全て揃っているため、たとえ吹雪でも停電しない ゃあ明日とくる。一度Lyesとよその研究所に測定機器をと 限りは安心である。光熱費やケーブルTV、インターネット どける事になった時、案の定Lyesは出発予定の時間に遅れ も家賃に含まれていて、なおかつ日本では考えられないほど てやってきた。それから準備を始めようとするので、「用意 安い。ただ、インターネットだけは回線速度に不安があった しておいたよ。」と伝えると、 「おまえは本当に日本人だなあ。」 ので、サービス会社に電話してオプションで高速化してもら と言われてしまった。ケセラセラ(なるようになるさ)を体 った。というのも、日本に残してきた家族や研究室の学生と 現しているような彼らの日常である。しかしそんな彼らが、 の連絡は、全てインターネット(Skype)を利用するつもり いざというときには私などとても真似できない集中力を発揮 だったからである。 して、結果的には間に合わせてしまうのである。物をつくる モントリオールについて1ヶ月もたたないうちに、立て続 ときや実験でもかなりいいかげんで手を抜いているように見 けに事件があった。まず、近くの公園での殺人事件、次いで える。しかし、ここだけはというポイントは決してはずさな 日本でも大きく報道された(らしい?)collegeでの銃乱射 いし成功させる。全部ではないにしろ、見習うべき点が多々 事件、さらに隣接する市での高速道路上の橋脚落下事件など あると思わされた。 である。さすがに、何というところだ、と身構えてしまった。 また、研究所で感じたことの一つに、カナダ人には日本び とにかくまずは情報収集ということで領事館に出向き、窓口 いきが多いのではなかろうかということがある。Dr. Durand で色々と聞いてみた。すると、最近の出来事は例外中の例外 自体かなりの日本通で、自宅には日本の石灯籠や日本画が数 で非常に安全だとのこと。2カ所ほど雰囲気の悪い地区もあ 多くあるし、寿司や鍋などを自分で作っているという。他の るが、夜中でなければ問題ないという。過去の海外長期滞在 人達も、芸術家のご子息が日本にあこがれている、兄弟が日 は会社勤めのころのロサンゼルス郊外、折り紙付きの治安の 本に住んでいる、ご主人が日本でビジネスを展開したいと考 悪い環境だけであり、同じ北米大陸でもあるので半信半疑で えている、息子さんが日本のアニメやゲームにはまっていて 帰ってきた。はじめの頃は、歩き回るのも、公共交通機関を 少しなら日本語を話せる、夏期休暇を利用して東北大に短期 利用するのにも極度の緊張を強いられた。というのも、それ 留学してきた、などなど。医工学研究所メンバーの多数が日 らはロスでの経験によるとかなり無謀なことだったからであ 本との接点を持っていた。また、Lyesをはじめ何人かは る。しかし暮らしが長くなるにつれ、モントリオールは安全 「折り紙」にはまっていて、日本から取り寄せた千代紙や解 だとの実感が徐々にわいてきた。最初は安全も考えて自家用 説書を喜んでくれたし、鶴の折り方を教えるとマスターしよ 車の利用も考えていた(アメリカならば常識:)のだが、結 うと頑張っていた。(You Tubeで折り方を調べている学生が 局やめることにした。モントリオールではバス・地下鉄のネ いたのには驚いた。時代だな、と。)そういえば、たまたま ットワークが発達していて月63カナダ$のカードを購入すれ カナダで開催されていたためTV中継を観ることができたサ ば両方乗り放題であり、また単身赴任の身では特に必要性を ッカーU20の大会で、解説者が日本に対して非常に好意的な 感じなかったからである。そのうちに、夜中のイベントでも 雰囲気で話しているのに意外だなと思わされたことがあっ 平気で外出するようになり、現地で知り合った留学生仲間と た。TVでは日本のアニメが数多く放送されているし、日本 帰国間際に話した結論は、モントリオールは日本より安全で を扱った旅番組も何度か目にしたことがある。日本の温州蜜 あるというものであった。 柑がTVオレンジとしてカナダで流行ったのは20年くらい前 もっとも、橋の崩落事故の件は最後まで見過ごすことがで であったろうか?カナダ人は日本びいきなのかもな、と勝手 きなかった。カナダ時間に象徴されるアバウトな性格は、随 に納得して何となくよい気分になっている。 所に現れていたように思われる。安全に対する意識も日本と は隔絶の感があった。例えば、アパートのエレベータでドア 6.モントリオールでの暮らし・英語 が開いた後にケージが激しく上下に振動しているのを目撃し モントリオールでは家具付きのアパートに1年間暮らし たことがある。すると掃除のおばさんがドアの部分を押さえ た。Dr. Durandにお願いして最初の1ヶ月間だけ予約しても つけ、その隙に何人もの住人が乗り込んでいく。また、アパ らったのだが、IRCMにも近く、何より便利で快適なため、 ート地下のエスカレータは、乗っているうちに手すりがずれ 部屋を移動しただけで住み続けることにした。モントリオー て20cmほど後退する。スーパーには消費期限切れの商品が ルオリンピックの頃に建設された高層アパートで、小規模な 平気で置いてある、などなど。終いには日本があまりにも安 107 拓殖大学理工学研究報告 Vol.10 No.2,2008 全管理に神経質すぎるのではという気持ちになってきた。い 仏語もどちらも中途半端になってしまった感がある。 ずれにしても、安全管理・危機管理は自己責任という世界標 街中はというと、看板・商品の表示名などは仏語が基本で 準を垣間見る経験が多々あった。 あり仏語のメニューしか置いていないレストランも多い。さ モントリオールは新旧の混在するめずらしい街である。そ らに少しダウンタウンをはずれると、英語が通じない場合も れは単に古いものが残っている(Fig.9)というだけでなく、 ある。唯一英語を鍛えられたと思うのは、隣接するニューヨ 積極的に残そうとしている。Fig.10の左は、古い教会を残し ークなどのTV放送が多かったことである。したがって、英 たまま地下街建設を進めている現場である。実際、この教会 語の語学留学には不向きといわざるを得ず、あまりお勧めす の前に立ってみると、その地下に広大なアンダーグラウンド ることはできない。 シティが広がっているとは想像しがたい。ただ、背景には近 7.おわりに 代的な高層ビルが建っており、モントリオールでも代表的な 新旧の混在する場所である。しかし、これらの古い建物にも つい色々と細かいことを書いてしまったが、それは私がモ 危機があったそうである。オリンピックの頃、モントリオー ントリオールという街から多くの刺激を受けたためであろ ルでは再開発が急激に進む気配がみられた。危機感を抱いた う。研究のみでなく、そこの人々の持つ文化や歴史的背景な 人々は、歴史的な建物については表の壁を残さねばならない どからも。それでも実はまだ書き足りないくらいなのである。 とする法律を成立させた。Fig.10の右は、この法律のために 本当に一年間貴重な体験をさせていただいた。この場をお借 壁だけが残されている建物である。ある意味滑稽にもみえる りして、多大な御迷惑をおかけした諸先生方や関係各位に心 が、ここまでしないと古き良きものを守ることができないと から感謝申し上げます。 いう見本でもあるかもしれない。 語学研修という意味では、少し外れであったかもしれない。 バイリンガルの街ということで、仏語まではともかく英語く らいはせめてという意気込みで留学したのであるが、非常に 苦労させられた。まず、英語は仏語なまりが強くて聞きとり にくい。かなり上手なバイリンガルでも固有名詞は苦手で英 語の中に仏語の単語が混じることもしばしばである。例えば モントリオール自体「モレアル」としか聞こえない。日本語 表記の地図を二つ見比べると、カトリーヌ通りとキャサリン 通りがある。いずれもRue Ste Catherineのことだと気づく のに、少し時間がかかってしまった。あるとき、Lyesが実 験中に「サイナル」という言葉を繰り返す。sine(正弦波) に形容詞形などあったかなと思いつつ聞いてみると、なんと Fig.9 英語でも仏語でもスペルが同じsignal(スィニャル)のこと。 代表的な歴史的建造物 どうしても発音できないという。また、あるとき郵便局で手 紙を出そうとしたが、係員の説明の中である単語だけどうし ても分からない。とりあえずその場は何とかなったが、帰っ て調べてみるとその単語だけ仏語であった。 基本的に仏語系住民が多いので、普段の会話は仏語となり、 メンバーによっては会議も仏語になってしまう。しかし彼ら は私に話しかけるときにはすぐに英語に切り替える。ただし、 Fig.10 発音も名詞も怪しいことが多い。そのようなわけで、英語も 108 古き良き文化を残す取り組み 理工学総合研究所員及び研究課題一覧 RESEARCHERS & TITLES (平成20年度) 理工学総合研究所員及び研究課題一覧 機械システム工学科 機械工作 小奈 弘 教 授 工学博士 ¡ ¡ 長尺異形断面材のロール成形 サーボ冷間ロール成形機械の開発 材料力学 笠野 英秋 越出 慎一 教 授 工学博士 客員研究員 工学博士 ¡ ¡ ¡ 高分子系及びセラミックス系複合材料の高速衝撃破壊に関する研究 熱可塑性プラスチックの破壊挙動/特性に関する研究 光ファイバセンサによる構造ヘルスモニタリングに関する研究 接着、設計 杉林 俊雄 木原幸一郎 ロボット制御 香川 美仁 熱物性 松永 直樹 流体工学 藤本 一郎 平野 孝典 ¡ 教 授 工学博士 准教授 博士(工学) ¡ ¡ 色彩とマティエールのトレサビリティに関する研究 接着接合の構造物への応用 衝撃負荷を受ける接着接合体に関する研究 准教授 博士(工学) ¡ ¡ ¡ 筋電位を用いたロボットの遠隔操作の研究 管内移動作業ロボットの研究 ロボット・セラピーの研究 教 授 工学博士 ガスクロマトグラフ法(テイラー法)による気体の拡散係数の測定 蒸発管法(ステファン法)による気体の拡散係数の測定 NOXの水への吸収に関する研究 ¡ ¡ ¡ 教 授 工学博士 ¡ 助 教 博士(工学) ¡ ¡ ¡ ジェットエンジンのエアロダイナミックスに関する研究 遷音速翼列の非定常空力特性に関する研究 風車、送風機の性能向上に関する研究 電気自動車の普及と高効率化に関する研究 教 授 博士(工学) ¡ ¡ 圧電素子やSMAを利用した機械構造物の振動抑制方法に関する研究 弾性ロータの釣合せに関する研究 振動、計測 道村 晴一 准教授 工学博士 ¡ ¡ 倒立振子の安定化制御に関する研究 弾性ロータの振動制御に関する研究 計算力学 吉田 勉 教 授 工学博士 ¡ ¡ ¡ 最適設計に関する研究 材料物性測定に関する研究 AI手法の応用に関する研究 機械力学 鈴木 保之 機能性材料とアクチュエータ 森 きよみ 助 教 博士(工学) ¡ ¡ ¡ 計測制御 池田 修 准教授 工学博士 ¡ ¡ アクチュエータ用機能性材料の開発 耐熱性新素材の開発と高温物性の評価 子育て環境支援のためのユビキタスシステムの開発 マルチモーダル検出認識 人工知能機械システム 111 電子システム工学科 超伝導・レーザー・カオス 吉森 茂 教 授 工学博士 ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ 超伝導エレクトロニクスの実用化(カオス発生デバイスの開発) 超伝導マイクロストリップ線路の研究 高臨界温度超伝導薄膜作製技術の開発 レーザーカオスを利用した光秘匿通信応用 超高速レーザーカオスを用いた暗号鍵発生方式 非線形システムにおけるカオス同期現象の解析 非線形回路・非線形システム 三堀 邦彦 准教授 博士(工学) ¡ ¡ 電子回路のカオスの解析とその応用に関する研究 強化学習アルゴリズムとその応用に関する研究 通信・ネットワーク 前山 利幸 准教授 博士(工学) ¡ ¡ ¡ ¡ 人体通信に関する研究 ユビキタス・ワイヤレス・ネットワークに関する研究 携帯電話の無線性能に関する研究 無線中継器に関する研究 ニューロ・光センシング 金田 一 教 授 工学博士 小川 毅彦 准教授 博士(工学) ¡ ¡ ¡ ディジタル信号処理 杉本 公弘 教 授 工学博士 林 誠治 ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ 准教授 博士(工学) ¡ ¡ ¡ 生体情報システム ¡ 川名 明夫 教 授 工学博士 渡邊 修 助 教 博士(工学) ¡ ¡ ¡ 医用電子・医用信号の情報処理 小林 健二 教 授 工学博士 長谷川 淳 超音波工学 渡辺 裕二 ¡ ¡ ¡ 光による非接触3次元センシングに関する研究 ニューラルネットを用いた時系列予測に関する研究 逆問題解法のためのニューラルネットワークの研究 ニューラルネットワークによるロボットアーム逆運動学解法の研究 複素ネットワークインバージョン法に関する研究 ディジタル音声および画像の処理技法に関する研究 ディジタル音声の広帯域化技法に関する研究 障害者支援システム実現に関する研究 ディジタル音声における背景雑音除去、広帯域化に関する研究 リアルタイム動画像処理システム、静止画像の画質補正に関する研究 Webカメラを用いたPC室の自動監視システムに関する研究 生体電気活動測定法の研究 生体信号解析法の研究 神経回路ダイナミクスの研究 高効率画像符号化法の研究 生体用音響センサおよび校正装置に関する研究 鶏胚を用いた発生期の心拍数変動とその要因に関する研究 視覚障害者用赤外線センサに関する研究 准教授 博士(工学) ¡ ¡ ¡ ¡ 脳血管障害診断装置の開発に関する研究 音響的方法による人工弁機能診断に関する研究 高空間分解能振動センサの開発に関する研究 振動型マイクロインジェクション法に関する研究 教 授 工学博士 超音波発生用振動体に関する研究 超音波の応用に関する研究 圧電素子の応用に関する研究 ¡ ¡ ¡ 112 情報工学科 人工知能 石川 勉 教 授 工学博士 プログラミング言語処理 岩澤 京子 教 授 博士(工学) 環境電磁工学 澁谷 昇 作左部剛視 教育情報工学 竹谷 誠 佐々木 整 教 授 理学博士 助 手 工学修士 ¡ ¡ ¡ 柔らかな処理のための人工知能の研究 常識知識ベースの研究 自由対話システムの研究 ¡ ¡ ¡ コンパイラの最適化技術の研究 プログラミング言語と環境の研究 自動並列化コンパイラの開発 ¡ ¡ ¡ 電磁ノイズを考慮した設計支援技術に関する研究 カメラを用いた入力インターフェースに関する研究 自律型ロボットに関する研究 ¡ 教 授 理学博士 准教授 博士(工学) ¡ ¡ ¡ オープンソースソフトウェアの教育利用に関する研究 ロジカルフローグラフに基づく理解度評価法に関する研究 ユビキタス学習環境に関する研究 3次元ディスクトップ環境の教育利用に関する研究 計算機支援設計 高橋 丈博 教 授 博士(工学) ¡ ¡ ¡ コンピュータを用いた回路実装設計支援技術に関する研究 電磁ノイズ発生メカニズムと低減技術の研究 画像を用いたロボット制御 数理情報工学 原田 紀夫 音響信号処理 幹 康 教 授 工学博士 教 授 工学博士 高信頼性システム工学 蓑原 隆 教 授 工学博士 ¡ ¡ 数理的システム理論の構築とその応用の研究(システムの超調和理論、統計 力学的配置理論、並列処理の平均膨張率理論) 調和グラフによる情報表現とその応用理論 人間の目的行為の数理 ¡ ¡ ¡ ¡ ヒルベルト変換を利用した遅延時間ならびに音響特性推定法 粒状多孔質材料の音響特性 時間圧縮法、時間伸長法による異常診断 カオスを利用した不快音シンセサイザ ¡ ¡ ワンタイムアドレスを利用したIPv6通信のプライバシー向上 ¡ 仮想ネットワークを利用したスケーラブルなハニーポットファームの実現 ¡ 競合学習型ニューラルネットワークの耐故障化 計算機システム工学 早川 栄一 准教授 博士(工学) ¡ 画像工学 諸角 建 准教授 工学博士 ¡ ¡ 組込みシステムを対象とした高信頼オペレーティングシステムとシステムソ フトウェア環境 システムプログラミング教育支援環境境 次世代コミュニケーション支援システム ¡ ¡ ¡ 不可視情報の可視化 映像の持つ潜在的情報の抽出とそれを利用した認識 運動解析ソフトウェアの開発と各種動作解析 113 計算機言語 西田 誠幸 知識処理 水野 一徳 助 教 博士(工学) ¡ ¡ ¡ プログラム解析を利用したソフトウェアの脆弱性検出法 安全なWebアプリケーションの開発支援環境 計算機アーキテクチャの導入教育支援環境 助 教 博士(工学) ¡ ¡ ¡ 知的推論のための組合せ探索アルゴリズムの開発と効率評価 制約充足パラダイムによる知識処理と問題解決支援 マルチエージェントによる複雑現象シミュレーション 114 工業デザイン学科 感性情報デザイン分野 色彩・造形 木嶋 彰 感性デザイン 岡h 章 教 授 芸術学修士 ¡ ¡ ¡ ポストモダン以降の視覚芸術の諸動向の調査・研究と制作 絵画材料の定量的測定と技法への応用の検討 物質の表面性状と印象評価の測定と検討 教 授 博士 (感性工学) ¡ ¡ デザインにおける感性の働きに関する研究 チャイルドライフ・デザインに関する研究 デザイン情報論 工藤 芳彰 助 教 博士(工学) ¡ ¡ デザイン・メディアとその編集者に関する研究 デザインによる地域教育と地域振興に関する研究 生活デザイン分野 視覚造形 戸塚 泰幸 用品設計 阿部 眞理 室内設計 白石 照美 教 授 ¡ ¡ ¡ 考案した印刷技法を応用した銅版画の制作 質表現を中心とする陶作品の制作 造形表現材の特性研究とデザインへの応用 准教授 博士(工学) ¡ ¡ スギ圧縮材およびその突き板単板による製品開発 環境配慮材料の特性研究と用途開発 准教授 博士(工学) ¡ ¡ 景観および室内空間形態の知覚に関する研究 内装用材の特性研究とデザイン開発 デザインシステム分野 システム計画 竹末 俊昭 製品計画 古屋 繁 教 授 ¡ ¡ 教 授 博士(工学) ¡ ¡ ¡ シビックデザイン 永見 豊 助 教 工学修士 ¡ ¡ デザインプロセスにおける問題発見メカニズムの研究 異業種、異分野人材との情報交換によるデザインマネジメント事例研究 工業製品に対する類似性の判定構造 製品ラインナップの形成のためのデザイン方法論 ユーザ特性に基づいたインターラクティブシステムのデザイン方法論 橋梁デザインにおける機能性、経済性、優美性に関する研究 道路内部空間におけるシークエンス景観に関する研究 コミュニケーションデザイン分野 視覚デザイン 小出 昌二 准教授 ¡ ¡ ディジタルメディア 菊池 司 助 教 博士(工学) ¡ ¡ プリントメディアによるコミュニケーション表現に関する研究 印刷加工を応用した平面構成の研究と制作 ビジュアルシミュレーションのための3次元モデルの開発に関する研究 マルチメディアを用いた情報デザインによる人間のコミュニケーション支援 に関する研究 115 情報表現 畑中 朋子 ¡ ¡ コンテンツ人材育成における造形技術とデジタル技術の融合についての研究 情報表現的観点からのコンテンツデザイン・マネジメントの実践的研究 ユニタリ表現論 青木 茂 教 授 理学博士 ¡ 半単純対称空間上の調和解析 解析学 織田 寛 ¡ Chevalley制限定理の拡張とその応用 助 教 基礎教育系列・その他 准教授 博士 (数理科学) 偏微分方程式論 木内 博文 准教授 博士(理学) ¡ 不動点理論及び変分法を用いた非線形微分方程式の解に関する研究 表面科学 関 節子 田村一二三 教 授 理学博士 客員研究員 工学博士 ¡ ¡ イオン及び電子ビームを用いた表面計測の研究 マルチイオン源エミッタの開発 超高層大気物理学 巻田 和男 教 授 理学博士 ¡ ブラジル磁気異常帯と日本との銀河電波吸収の比較 理論物理学 鈴木 康夫 准教授 理学博士 ¡ ソフトマターおよび物理教育の研究 生物工学 仁木 輝緒 教 授 理学博士 ¡ ¡ ¡ 植物根組織細胞の生理・形態学的研究 生物(細胞)死の研究 微生物等の殺菌法システムの開発 工業科教育 山下 省蔵 教 授 ¡ ¡ ¡ 工業技術教育の研究 普通教科「情報」の指導法の研究 教育方法と技術の研究 ¡ ¡ 自然言語処理を用いた情報伝達とイメージ連係に関する基礎研究 仮想社会の文化的側面に関する基礎研究 ¡ ¡ 熱帯雨林の保全と開発に関する調査研究 「地理学」学校教科書の国際比較研究 ¡ ¡ ¡ 色彩情報を利用した交通標識の画像認識システムの開発 視覚情報を認知する自動運転支援システムの開発 GPSを利用した自動航法システムの開発 ¡ ¡ 水稲紫黒糯品種の育成 イネ葯の浮遊培養 情報科学・生産工学(高学部) 金山 茂雄 教 授 地理学(政経学部) 平戸 幹夫 教 授 理学修士 画像解析(外国語学部) 日比 哲也 准教授 工学修士 作物学・育種学 (拓殖大学北海道短期大学) 石村 櫻 教 授 農学博士 蔬菜園芸学 ¡ (拓殖大学北海道短期大学) 小山 初枝 准教授 博士(農学) ¡ ¡ 栽培条件と野菜中の栄養成分に関する研究 ハウス内における有機質肥料の連年施用に関する研究 北海道の施設導入に関する低コスト化に関する研究 116 理工学系専任教員研究活動一覧・他 ACADEMIC REPORTS & SOCIAL ACTIVITIES (2007年4月∼2008年3月含前年度未掲載分) 【研究業績および研究活動区分】 原稿及び翻訳=著書 学位論文=学論 学術論文=論文 学会等の受賞=受賞 学会誌掲載の展望・論説等=展望または論説 調査報告書=調査 新聞・専門誌への寄稿等=寄稿 技術等解説=解説 招待講演=招待 国際会議・海外・国内シンポジウム等での発表(審査付)=討論 大会口頭発表・学会研究会=口頭 学会等の運営=運営 学会誌及び各種の審査=審査 団体または企業よりの依頼製作=依頼 コンペ・団体展公募=公募 招待出品及び指名設計、依頼出品=作品 団体・個人展覧会=展示 機械システム工学科 著 者 氏 名 区分 著書,学術論文,作品等の名称 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 発行・発表 年 月 巻号ページ 分担・担当等 小 劉 奈 継 弘 英 著書 冷弯成型技術 化学工業出版社 2007-09 pp.236 小 星 奈 清 弘 政 口頭 フレキシブル冷間ロール成形機 械の開発 平成19年度塑性加工春季 講演会講演論文集,日本 塑性加工学会 2007-05 pp.127-P128 笠 野 英 秋 解説 接着メカニズムと応力解析 技術情報協会セミナー 2007-05 講師 笠 野 英 秋 吉 田 勉 解説 接着接合部の強度設計入門 日本テクノセンタセミナー 2007-11 講師 笠 野 英 秋 解説 基礎から学ぶ材料力学 NTSセミナー 2007-11 講師 H. KASANO O. HASEGAWA N. KONISHI 討論 Chipping Failure of Automotive Coated Film Layers at Low Temperatures Proc. 16th Int. Conference on Composite Materials 2007-07 CD-ROM (4 pages) H. KASANO O. HASEGAWA 討論 Ballistic Impact Behavior and Properties of Carbon/Carbon Composites C/C Composite Technical Exchange Meeting 2007-07 CD-ROM 笠 野 英 秋 長谷川 脩 口頭 熱可塑性プラスチックとCFRP の衝撃破壊挙動/特性の比較 第32回複合材料シンポジ ウム講演要旨集 2007-10 pp.37-38 笠 運営 理事会 日本複合材料学会 2007 理事 運営 理事会 強化プラスチック協会 2007 理事 運営 技術調査委員会 強化プラスチック協会 2007 委員長 運営 運営会議 強化プラスチック協会 2007 委員 運営 応力ひずみ測定分科会 日本非破壊検査協会 2007 幹事 運営 Advisory Committee Local Executive Committee 16th Int. CCM 2007 Member 運営 Scientific Committee 6th Asian-Australasian CCM 2007 Member 運営 宇宙工学委員会 JAXA宇宙科学研究本部 2007 研究班員 審査 FRP評定委員会 日本建築センター 2007 評定委員 審査 甲・乙種化学/機械講習・検定 分科会 高圧ガス保安協会 2007 講師・専門委員 審査 日本工業標準調査会(JISC) 経済産業省 2007 専門委員 川 邉 和 宏 米 原 牧 子 木 原 幸一郎 磯 野 宏 秋 木 嶋 彰 杉 林 俊 雄 論文 洋白C7541の表面粗さが光沢度 銅と銅合金,日本伸銅協 会 と表面色に及ぼす影響 2007-01 Vol.46, No.1, pp. 248252 杉 林 俊 雄 受賞 20周年記念功績賞 財団法人 天田金属加工 2007-12 機械技術振興財団 米 熊 杉 原 井 林 牧 真 俊 子 次 雄 解説 金属材料表面のテクスチャ−表 面の凹凸と色との関係− 熱処理,日本熱処理技術 2007-02 協会 杉 林 俊 雄 運営 日本接着学会 運営 接着剤・接着評価技術研 2004-04∼ 究会 野 英 秋 119 2004-04∼ Vol.47, No.1, pp.1-2 評議委員 副会長 著 者 氏 名 区分 著書,学術論文,作品等の名称 形状記憶合金アクチュエータを 用いた片持ち梁のテンドン振動 制御 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 発行・発表 年 月 巻号ページ 分担・担当等 日本機械学会論文集C編 2008 74巻,pp.1454-1458 運営 電気自動車研究会 2001∼ 幹事 運営 人と環境にやさしい交通 2007∼ をめざす協議会 幹事 鈴 木 保 之 論文 藤 本 一 郎 運営 Executive Committee 2007年国際ガスタービン 会議東京大会 2007-01∼12 委員 運営 実行委員会 第2回「人と環境にやさ 2007-04∼09 しい交通をめざす全国大 会」in京都・実行委員会 委員 松 堀 長 永 島 直 守 樹 雄 昭 論文 プロパンおよびプロピレンの空 気,窒素および酸素に対する拡 散係数 熱物性 2007-08 第21巻,第3号, pp.143-148 松 堀 永 直 守 樹 雄 口頭 Stefan法によるジエチルエーテ ル蒸気の空気に対する拡散係数 の測定(第二報) 第28回日本熱物性シンポ ジウム講演論文集 2007-10 pp.4-6 松 堀 永 直 守 樹 雄 口頭 水 ス ク ラ バ に よ る N O お よ び 第45回燃焼シンポジウム NO 2 の吸収に関する基礎研究 講演論文集 (第5報) 2007-12 pp.152-153 堀 松 永 守 直 雄 樹 口頭 ジメチルエーテルの低温酸化反 応とNO−NO2変換の研究 第45回燃焼シンポジウム 講演論文集 2007-12 pp.336-337 山 川 雅 美 三 好 明 久保内 昌 敏 斉 藤 剛 山 岡 龍 介 吉 田 勉 解説 高圧ガス保安製造責任者講習会 (材料力学担当) 高圧ガス保安協会 2007-05, 2008-02 甲種講師,乙種講師 吉 田 他多数 勉 解説 高圧ガス保安製造責任者講習会 テキスト改訂(材料力学担当) 高圧ガス保安協会 2007-12 甲種,乙種,丙種テキ スト 笠 吉 野 田 英 秋 勉 解説 接着接合部の強度設計入門 日本テクノセンター 2007-11 有限要素法の基礎理論 の説明を担当 吉 櫻 田 田 邦 勉 彦 口頭 衝撃音を用いる硬貨の真贋判別 日本機械学会2007年度年 次大会 2007-09 講演論文集Vol.1, pp.75-76 西 安 森 倉 香 川 達 田 林 川 佳 哲 哲 美 男 弘 史 準 仁 口頭 筋電位の取得位置が動作識別確 率に及ぼす影響 日本IFTOM会議シンポ 2007-07 ジウム前刷集 pp.103-106 口頭 生筋電位を用いた動作識別法に 関する研究 日本リハビリテーション 2007-12 ネットワーク研究会第7 回学術集会講演抄録集 JS-5 佐久間 隼 人 鴨 下 大 輝 香 川 美 仁 口頭 ロボット介在活動のためのロボ ット動作選択法 計測自動制御学会ロボッ 2008-03 ト・セラピー部会第3回 学生研究発表会講演論文 集 S3-6 平 運営 編集委員会 ターボ機械協会 2007-06∼ 委員 運営 総務委員会 日本ガスタービン学会 2006-06∼ 委員 運営 学術講演会委員会 日本ガスタービン学会 2006-06∼ 委員 野 孝 典 120 著 者 氏 名 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 発行・発表 年 月 巻号ページ 分担・担当等 区分 著書,学術論文,作品等の名称 Kiyomi Mori Muhd Azimin Masashi Tanaka and Takashi Ikeda 討論 Strength Properties of Adhesive Metal Joints at Elevated Temperature International Conference on Advanced Technology in Experimental Mechanics 2007 2007-09 Kiyomi Mori Toshiaki Kitazawa and Hiroji Nagata 討論 Evaluation of Physical Properties of Inorganic-based Composite Filled with Aluminum Particles 2nd International Symposium on Fluid/Solid Science and Technology in Experimental Mechanics 2007 2007-09 成 瀬 健 悟 森 きよみ 渡 辺 裕 二 口頭 2.5MHzの弾性表面波素子によ 電子情報通信学会 る超音波プラスチック溶着 Technical Report 2007-12 US2007-87, pp.29-34 森 きよみ 田 中 研 治 口頭 RFIDを利用した学童保育所支 援システムの提案 教育システム情報学会 研 究報告 2008-01 Vol.22, No.5, pp.35-38 森 きよみ 運営 多分野交流分科会 日本実験力学会 2005-02∼ 主査 運営 日本実験力学会 2006-03∼ 特任理事 運営 International Conference on Advanced Technology in Experimental Mechanics 2007 2007-09 副座長 運営 2nd International Symposium on Fluid/Solid Science and Technology in Experimental Mechanics 2007 2007-09 座長 pp.12-16 木 原 幸一郎 杉 林 俊 雄 口頭 衝撃負荷に対する接着剤の破壊 平成19年度第1回研究会 エネルギーの測定方法 (接着剤・接着評価技術 研究会) 2007-10 木 原 幸一郎 運営 技能五輪全国大会 中央職業能力開発協会 2004-04∼ 運営 CADトレース技能審査 中央職業能力開発協会 2002-06∼ 121 「機械製図」職種 競技 委員 中央試験委員 情報工学科 著 者 氏 名 区分 著書,学術論文,作品等の名称 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 発行・発表 年 月 2007.9 石 川 勉 依 頼 自然言語文からの論理式生成と 推論 人工知能学会誌 永 石 田 川 拓 口 頭 動詞「ある」を含む自然言語文 の述語知識変換法 勉 電子情報通信学会全国大 2008.3 会 巻号ページ 分担・担当等 Vol.22 No.5 pp.613-620 D-5-1 T. Watanabe M. Sassa T. Fujise K. iwasawa I. Nakata 討 論 Design assists for embedded systems in the COINS Compiler Infrastructure Postproceedings of Third IEEE International Information Assurance Workshop 2007 K. Iwasawa A. Mycroft 論 文 Choosing Method of the Most Effective Nested Loop Shearing for Parallelism Proceedings The Eight International Conference on Parallel and Distributed Computing Applications and Technologies (PDCAT’07) 2007 pp.267-276 Takehiro Takahashi Noboru Schibuya 討 論 Evaluation of Falling Time Restriction of ESD Immunity Test Current Waveform:-The Resut of IEC 61000-4-2 Round Robin Test in Japan- Proc. of IEEE International Symposium on Electromagnetic Compatibility 2007 2007-07 WE-PM-4-1 月刊EMC 2007-01 pp.9-11 高 渋 橋 谷 丈 博 解 説 実践!モデリングとシミュレー ション 昇 澁 谷 昇 その他 技術諮問委員会ACECの現状と IEC上層委員会報告会, 2007-03 今後の課題 (財)日本規格協会,IEC 活動推進会議 澁 谷 昇 解説 TC77 シドニー会議報告 澁 谷 昇 解 説 これからのEMC pp. 33-44 月刊EMC(ミマツ) 2007-12 No.236 pp.106-122 月刊EMC(ミマツ) 2008-01 No.237 p.34 樋 口 永 寿 口 頭 e-Learningシステムにおける多 八王子産学公連携第7回 2007-12 角形の作図問題の作成 高 橋 丈 博 研究成果発表講演会要旨 作左部 剛 視 集 澁 谷 昇 pp.136-137 黒 澤 大 樹 口 頭 イミュニティ試験における不確 かさに関する研究 高 橋 丈 博 作左部 剛 視 澁 谷 昇 八王子産学公連携第7回 2007-12 研究成果発表講演会要旨 集 pp.140-141 大久保 義 和 口 頭 電子機器内の近傍放射とノイズ 耐力の比較 高 橋 丈 博 作左部 剛 視 澁 谷 昇 八王子産学公連携第7回 2007-12 研究成果発表講演会要旨 集 pp.144-145 箱 田 剛 史 口 頭 抵抗付デカップリングキャパシ タの効果的なノイズ低減法の検 高 橋 丈 博 討 作左部 剛 視 澁 谷 昇 平成20年度電気学会全国 大会 2008-03 3-S15-5 (16∼19) 電気学会 2007 幹事 澁 谷 昇 運 営 IEC/TC77国内委員会 運 営 IEC/TC77/SC77B国内委員会 委員長 電気学会 運営 JIS_C_61000-4-5原案作成委員会 電気学会 2007 委員長 運営 IEC/ACEC活動推進会議 規格協会IEC-APC 2007 委員長 運営 IEC/ACEC会議 IEC 2007 委員 運営 IEC/TC65/SC65A/WG4国内委 員会 日本電気計測器工業会 2007 主査 122 著 者 氏 名 澁 谷 T. Takahashi H. Okaniwa T. Sakusabe N. Schibuya 高 橋 丈 区分 著書,学術論文,作品等の名称 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 発行・発表 年 月 巻号ページ 分担・担当等 電磁特性委員会 エレクトロニクス実装学 2007 会 委員 運営 EMCモデリング研究会 エレクトロニクス実装学 2007 会 主査 運営 EMC-JAPAN運営委員会 日本能率協会 2007 委員 論文 A Study on Performance Degradation of Digital Equipment under Electromagnetic Disturbance IEICE Trans. Commun. 2007-06 Vol.E90-B, No.6, pp.1338-1343 実践!役に立つEMCの基礎 月刊EMC(ミマツ) 2007-02 pp.13-22 低周波ループモデルとメモリー モジュールモデル 月刊EMC(ミマツ) 2007-06 pp.12-15, 53-56 昇 運営 博 解説 解説 柳 澤 保 智 口頭 高 橋 丈 博 作左部 剛 視 澁 谷 昇 ICタグを用いた商品購入支援 八王子産学公連携第7回 2007-12 研究成果発表講演会要旨 システム 集 太 田 雅 之 口頭 高 橋 丈 博 作左部 剛 視 澁 谷 昇 FPCで接続された基板間の電磁 干渉 八王子産学公連携第7回 2007-12 研究成果発表講演会要旨 集 箱 田 剛 史 口頭 高 橋 丈 博 作左部 剛 視 澁 谷 昇 抵抗付デカップリングキャパシ タの効果的なノイズ低減法の検 討 第22回エレクトロニクス 実装学会講演大会 2008-03 pp.97-98 瀬 高 夫 口頭 博 電子機器の電源デカップリング キャパシタの効果の検討 平成20年度電気学会全国 大会 2008-03 pp.3-S15 (12) - (15) 大久保 義 和 口 頭 高 橋 丈 博 作左部 剛 視 澁 谷 昇 電子機器内部の近傍放射とノイ ズ耐力の比較 平成20年度電気学会全国 大会 2008-03 pp.3-S15 (20) - (23) 高 高周波イミュニティWG IEC/TC77/SC77B国内委 2007 員会 主査 運営 電子回路の低ノイズ設計技術調 査専門委員会 電気学会 2007 幹事 運営 電磁特性技術委員会 エレクトロニクス実装学会 2007 委員 運営 広報小委員会 EMC’09/Kyoto運営委員 会 2007 委員長 運営 論文誌 電子情報通信学会 2007 査読委員 運営 学会誌 エレクトロニクス実装学会 2007 査読委員 運営 学術講演大会 エレクトロニクス実装学会 2008-03 座長 運営 全国大会 電気学会 2008-03 シンポジウム企画,座 長 戦略的課題系列化法にのっとっ た課題系列の戦略推定法 電子情報通信学会論文誌 2007年6月 Vol.J90-D, No.6, pp.1509-1520 A navigation method dependent on individual e-learning strategies IADIS International Conference e-Learning 2007 2007年7月 Vol. 2, pp.17-21 竹 船 中 戸 橋 橋 谷 橋 内 通 丈 丈 芳 辰 M. Takeya M. Kobayashi T. Nakauchi I. Kitagaki K. Nagaoka 博 運営 誠 論文 雄 哉 口頭 123 pp.94-95 pp.136-137 著 者 氏 名 区分 著書,学術論文,作品等の名称 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 発行・発表 年 月 巻号ページ 分担・担当等 S. Tomita M. Takeya 口 頭 The modification algorithm for bugs in learner’s structural knowledge to make use coaching SITE International Conference Book 2008年3月 pp.1281-1286 T. Nakauch M. Takeya 口 頭 A fuzzy decision-making of the SITE International individual learning strategies Conference Book based on their e-learning sequence records 2008年3月 pp.1233-1239 富 磯 杉 竹 田 野 林 谷 宏 俊 聡 口 頭 学習指導に役立てる学習者の理 解構造のバグ修正アルゴリズム 秋 (Ⅲ)新提案のアルゴリズムと 雄 既存のアルゴリズムの比較考察 誠 電子情報通信学会技術研 2007年7月 究報告 ET2007-19, pp.19-23 中 近 竹 内 藤 谷 辰 秀 哉 口 頭 学習順序情報に基づく学習戦略 のファジィ推定法(Ⅱ)学習戦 文 略の変遷過程推定アルゴリズム 誠 電子情報通信学会技術研 2007年7月 究報告 ET2007-19,pp.13-18 中 近 竹 内 藤 谷 辰 秀 哉 口 頭 学習者の学習履歴情報に基づく 学習戦略のファジィ意思決定法 文 誠 第23回ファジィシステム シンポジウム講演論文集 中 近 竹 内 藤 谷 辰 秀 哉 口 頭 学習戦略のファジィ推定法 文 誠 電子情報通信学会2007年 2007年7月 ソサイエティ大会(基 礎・境界講演論文集) A-13-7,pp.198 富 近 竹 田 藤 谷 秀 聡 口 頭 学習者の理解構造における誤理 解の修正法 文 誠 電子情報通信学会2008年 2007年7月 ソサイエティ大会(基 礎・境界講演論文集) A-13-6 pp.197 富 近 竹 田 藤 谷 秀 聡 口 頭 ロジカルフローテスト法から得 られた学習者の理解構造の修正 文 法 誠 日本行動計量学第35回大 会発表論文抄録集 2007年9月 pp.149-152 富 田 聡 口 頭 機械設計授業におけるバグ修正 アルゴリズムの有効性の検証 植 田 光 中 川 麻衣子 小 倉 智 幸 木 原 幸一郎 磯 野 宏 秋 杉 林 俊 雄 近 藤 秀 文 竹 谷 誠 電子情報通信学会2008年 総合大会講演論文集 2008年3月 D-15-21 pp.215 中 内 辰 哉 口 頭 学習者の寸法算出順序に基づく 図面の理解構造の分析・評価 武 井 敏 裕 宮 本 聡 大 塚 修 司 木 原 幸一郎 磯 野 宏 秋 杉 林 俊 雄 近 藤 秀 文 竹 谷 誠 電子情報通信学会2009年 総合大会講演論文集 2008年3月 D-15-8, pp.202 2007年8月 学際連載シリーズ:グリ 2007年11月 フォンの尻尾∼コンピュ ータの次は何か∼ FA3-3,pp.649-654 NO.20, pp95∼104(共 著) 原 篠 高 大 田 原 橋 橋 紀 義 亮 弘 夫 解 説 コンピュータ100馬鹿 幸 一 忠 原 田 紀 夫 WEB 高密度集積回路(LSI)の新し 電気のディジタル博物館 2008年3月 (国立情報学研究所と電 公 開 い配置理論と配線収容性予測 (解説) 気情報5学会,http:// www.dbjet.jp) 当該資料提供ほか WEB 計算機の並列処理性能を表す指 電気のディジタル博物館 2008年3月 公開 標 (国立情報学研究所と電 (解説) 気情報5学会,http:// www.dbjet.jp) 当該資料提供ほか 124 著 者 氏 名 区分 著書,学術論文,作品等の名称 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 情報処理学会第70回全国 大会講演論文集 発行・発表 年 月 2008年3月 幹 荒 井 幹 康 口頭 哉 リアルタイム時間圧縮再生シス テムの開発 桜 蓑 佐 井 原 藤 敦 良 史 討論 隆 太 IPv6における着信側のプライ 第8回インターネットテ 2007年6月 バシー向上のためのワンタイム クノロジーワークショッ アドレスの実現 プ(WIT2008)論文集, 日本ソフトウェア学会 Sakurai, A. Minohara, T. Sato, R. Mizutani, K. 佐 桜 水 蓑 藤 井 谷 原 良 敦 圭 Sakurai, A. Minohara, T. Sato, R. Mizutani, K. 討論 太 口頭 史 祐 隆 口頭 巻号ページ 分担・担当等 pp.427-428 pp.30-35 One-Time Receiver Address in IPv6 for Protecting Unlinkability Advances in Computer Science - ASIAN 2007. Computer and Network Security (Springer LNCS 4846) 2007年12月 ワンタイムアドレスを利用した IPv6通信のプライバシー向上 第57回FTC研究会 2007年7月 One-Time Receiver Address in IPv6 for Protecting Privacy against Eavesdroppers 9th Symposium of Engineering of NCUT and Takushoku University 2007年9月 pp.11-16 pp.240-246 椚 蓑 田 原 博 之 口頭 隆 分散ハッシュテーブルにおける N-gramを用いた部分一致検索 の効率化 第70回情報処理学会全国 大会 2008年3月 1Z-8 佐 蓑 桜 水 藤 原 井 谷 良 敦 圭 太 口頭 隆 史 祐 IPv6通信の関連付け防止のた 第70回情報処理学会全国 めの受信者アドレスのワンタイ 大会 ム化 2008年3月 1ZB-6 水 蓑 桜 佐 谷 原 井 藤 圭 敦 良 祐 口頭 隆 史 太 IPv6ワンタイムアドレスにお 第70回情報処理学会全国 ける関連付け対策時のMACア 大会 ドレス変換 2008年3月 1ZB-5 蓑 原 隆 審査 査読 Neurocomputing, Elsevier 審査 査読 電子情報通信学会論文誌 石 野 将 教 論文 佐々木 整 KNOPPIXを利用したIT教育実 日本教育工学会論文誌 践 2007年 30 (4) 323-331 佐々木 整 論 文 石 野 将 教 教 育 利 用 を 目 的 と し た KNOPPIXカスタマイズシステ ムの開発 電子情報通信学会論文誌D 2007年 J90-D, No.5 1229-1237 斉 藤 朋 樹 口頭 牧 田 裕 喜 佐々木 整 3D電子単語帳の開発 教育システム情報学会第 2008年1月 5回研究会 佐々木 整 口 頭 河 野 悠 太 竹 川 真 人 牧 田 裕 喜 志子田 有 光 小テストガジェットの開発と Web教材への組込み 電子情報通信学会2008年 総合大会論文集 竹 川 真 人 口頭 荒 川 雄 介 加 藤 和 夫 佐々木 整 志子田 有 光 ウェブアクセスログを利用した 工学実験習熟度評価システムの 開発 教育システム情報学会第 2007年9月 32回全国大会講演論文集 125 2008年3月 vol.22, no.5 D-15-40 著 者 氏 名 区分 著書,学術論文,作品等の名称 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 発行・発表 年 月 巻号ページ 分担・担当等 情報科学技術フォーラム 2007年 (FIT) 佐々木 整 運 営 論文査読委員 佐々木 整 運 営 Local Organizing Committees IEEE International Conference on Advanced Learning Technologies 2007 2007年 運営 Steering Committees IEEE International Conference on Advanced Learning Technologies 2007 2007年 運営 編集委員会 幹事 教育システム情報学会 2007年 運営 企画委員会 幹事 教育システム情報学会 2007年 運営 SNS・新技術創造委員会 副委 教育システム情報学会 員長 2007年 運営 教育工学研究会 専門委員 電子情報通信学会 2007年 運営 編集委員会委員 日本教育工学会 2007年 運営 中央試験委員(PCドライビン グ部門) 中央職業能力開発協会 2007年 拓殖大学理工学研究報告 2007年10月 Vol.10 No.1,pp.33-40 HCI International 2007 2007年7月 No.97 2007年9月 早 西 田 川 幸 青 川 野 中 口 坂 山 栄 洋 裕 貴 誠 一 論 文 ロボットを用いた組込みオペレ ーティングシステム学習環境の 介 開発と評価 樹 弘 晋 一 Eiichi Hayakawa Yosuke Nishino Yuki Tanaka Takahiro Kawaguchi Shin Kousaka Seiichi Aoyama 討 論 Minato : Visualization based eLearning System for Embedded Systems 青 八 早 山 巻 川 誠 和 栄 一 口 頭 組込みシステムを指向した仮想 磨 マシンマネージャの開発 一 SWEST9 青 山 誠 一 口 頭 組込みシステム学習環境を対象 とした仮想マシンマネージャの 開発 組込みシステムシンポジ 2007年10月 ウム2007 黒 井 崇 史 口 頭 実験基盤を用いたスケジューラ によるOSのリアルタイム性向上 2007年10月 谷 早 田 川 貝 栄 純 口 頭 動的再構成可能な組込みシステ 一 ム向け分散オブジェクトシステ ムの開発 情報処理学会組込みシス 2007年12月 テム研究会 小 河 賢太郎 口 頭 シンクライアントにおけるネッ トワークブートの高速化に関す る検討 八王子産学公連携機構成 2007年12月 果発表会 川 青 西 早 口 山 野 川 貴 誠 洋 栄 弘 口 頭 ロボットを用いた組込みシステ 一 ム学習環境「港 ver.R」におけ 介 るシミュレータの開発 一 情報処理学会コンピュー 2007年12月 タと教育研究会 西 川 青 早 野 口 山 川 洋 貴 誠 栄 介 口 頭 ロボットによる組込みシステム 弘 学習環境の1CD化と導入コス 一 トに関する一考察 一 2008年2月 126 Vol.2007 No.121, pp.27-32 Vol.2007 No.123, pp.73-80 Vol.2008 No.124 著 者 氏 名 鈴 早 木 川 政 栄 区分 著書,学術論文,作品等の名称 親 口頭 一 ソーシャルネットワーキングを 指向したWebカレンダの開発 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 発行・発表 年 月 情報処理学会グループウ 2008年3月 ェアとネットワークサー ビス研究会 早 川 研 究 室 展示 諏訪圏工業メッセ(拓殖 大学ブース) 2008年10月 展示 ET2007 ユニバーシテ ィブース 2008年11月 展示 八王子産学公連携機構成 2008年12月 果発表会 巻号ページ 分担・担当等 Vol.2008 No.31 小 河 賢太郎 口 頭 シンクライアントにおけるP2P 第70回情報処理学会全国 を用いたネットワークブートの 大会 早 川 栄 一 高速化 青 山 誠 一 2008年3月 3P-6 坂 西 青 川 早 本 野 山 口 川 祐 洋 誠 貴 栄 紀 口 頭 OS学習支援環境「港」の学習 第70回情報処理学会全国 教材におけるユーザインタフェ 大会 介 ースに関する検討 一 弘 一 2008年3月 4ZF-1 黒 早 井 川 崇 栄 史 口 頭 リアルタイムスケジューラ実験 第70回情報処理学会全国 基盤を用いたOSの実時間性の 大会 一 向上 2008年3月 5N-4 郡 早 司 川 雅 栄 彦 口頭 一 組込みシステム向け性能監視シ ステムの開発 第70回情報処理学会全国 大会 2008年3月 5N-5 青 早 山 川 誠 栄 一 口頭 一 組込みシステム学習環境を対象 とした仮想マシンマネージャの 開発 第70回情報処理学会全国 大会 2008年3月 5N-6 本 早 西 橋 川 野 大 栄 洋 樹 口頭 一 介 学習支援環境「港」における Nachosを用いたOS可視化ツー ルの開発 第70回情報処理学会全国 大会 2008年3月 6ZG-4 早 川 栄 一 運営 須 諸 藤 角 義 行 口頭 建 情報処理学会オペレーテ 2008年6月 ィングシステムとシステ ムソフトウェア研究会運 営委員 列車ダイヤグラムの自動作成プ ログラムの開発 電子情報通信学会 平成19 年度東京支部研究発表会 2008年3月 A-17 諸 角 建 特許 住友ゴム工業㈱ Automatic tracking method for UNITED KINGDOM golf swing 2005年6月 Mizuno, K. Nishihara, S. 論文 Constructive generation of very Discrete Applied hard 3-colorability instances Mathmatics, Elsevier 2008-1 Vol. 156, Issue 2, pp. 218-229 討論 Distributed Constraint Satisfaction for Urban Traffic Signal Control The 2nd International Conference on Knowledge Science, Engineering and Management (KSEM2008) 2007-11 pp. 73-84 討論 Urban Traffic Signal Control Based on Distributed Constraint Satisfaction The 41st Hawaii International Conference on System Sciences (HICSS-41) 2008-1 CD-ROM 仮想都市空間における都市と交 通の相互作用シミュレーション の実現 NICOGRAPH Spring Festival in TAF, CG Animation Conference (CGAC2008) 2008-3 CD-ROM Mizuno, K. Fukui, Y. Nishihara, S. 宮 水 三 福 西 永 野 谷 井 原 裕 一 幸 清 介 討論 徳 純 男 一 127 著 者 氏 名 区分 著書,学術論文,作品等の名称 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 発行・発表 年 月 巻号ページ 分担・担当等 2008-3 Poster, CD-ROM 第70回全国大会,情報処 理学会 2008-3 5C-4 第70回全国大会,情報処 理学会 2008-3 6C-7 久 口頭 徳 一 蟻の集団を用いたBinary CSP 第70回全国大会,情報処 の解法 理学会 2008-3 1V-5 佑 口頭 徳 一 マルチエージェント型交通シミ ュレータと歩行者エージェント の導入 第70回全国大会,情報処 理学会 2008-3 3V-1 千喜良 祐 一 口 頭 水 野 一 徳 西 原 清 一 制約充足に基づく図面理解シス テムのGUI開発 第70回全国大会,情報処 理学会 2008-3 1ZE-4 Azrul Amri bin Jamal T. Sakusabe T. Takahashi N. Schibuya Development of SIP based Contents Enabled Call Center Abstract of MJISAT (Malaysia-Japan International Symposium on Advanced Technology) 2007 2007-11 MJISAT-76, p.183 箱 田 剛 史 口頭 高 橋 丈 博 作左部 剛 視 澁 谷 昇 抵抗付デカップリングキャパシ タによる効果的な電源ノイズ低 減法の検討 八王子産学公連携第7回 2007-12 研究成果発表講演会要旨 集 pp.26-27 山 h 健 口頭 高 橋 丈 博 作左部 剛 視 澁 谷 昇 紙面上にある単語の辞書引きシ ステムの開発 八王子産学公連携第7回 2007-12 研究成果発表講演会要旨 集 pp.106-107 黒 澤 大 樹 口頭 高 橋 丈 博 作左部 剛 視 澁 谷 昇 イミュニティ試験における不確 かさに関する研究 平成20年度電気学会全国 大会講演論文集 2008-3 pp.3-S15-7(pp.24-27) 太 田 雅 之 口頭 高 橋 丈 博 作左部 剛 視 澁 谷 昇 FPCで接続された基板間の電磁 干渉 第22回エレクトロニクス 実装学会講演大会 2008-3 pp.25-26 高 橋 丈 博 解説 作左部 剛 視 渋 谷 昇 基板近傍でのEMC 月刊EMC 2007-4 pp.38-45 作左部 剛 視 運 営 IEC/SC77B国内委員会 電気学会 2007 幹事補佐 〃 2007 幹事 水 藤 福 西 野 島 井 原 一 康 幸 清 徳 口頭 佑 男 一 仮想都市空間における交通流・ 人流の可視化とシミュレーション 今 西 水 三 福 佐 原 野 谷 井 和 清 一 幸 子 口頭 一 徳 純 男 セルオートマトンを用いた仮想 都市空間内における土地利用変 化シミュレーション 大 水 宮 三 福 西 塚 野 永 谷 井 原 友 一 祐 幸 清 樹 口頭 徳 介 純 男 一 仮想都市における交通シミュレ ーションによる動的経路選択の 有効性の検証 西 水 西 野 野 原 斉 一 清 藤 水 西 島 野 原 康 一 清 討論 運営 JIS_C_61000 4-5原案作成委員会 NICOGRAPH Spring Festival in TAF, CG Animation Conference (CGAC2008) 128 電子システム工学科 著 者 氏 名 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 発行・発表 年 月 巻号ページ 分担・担当等 区分 著書,学術論文,作品等の名称 岡 田 卓 也 陳 ツオン 金 田 一 小 川 毅 彦 論文 レーザ変位計による高密度フレ キシブル配線板外観検査の研究 拓殖大学理工学研究報告 陳 ツォン 金 田 一 小 川 毅 彦 口頭 レーザ変位計による高密度フレ キシブル配線板の外観検査の研 究 電子情報通信学会研究発 2008-03 表会 No.138 金 運営 IEC/TC65/SC65A国内対策委 員会 日本電気計測器工業会 2007-04 委員長 運営 IEC/SC65A/MT61512国内対策 委員会 日本電気計測器工業会 2007-04 主査 運営 IEC/SC65E/WG1&2国内対策 日本電気計測器工業会 委員会 2007-04 主査 運営 政策科学研究所科学技術専門家 ネットワーク 2002-04∼ 専門委員 審査 NEDO外部評価委員 2002-04∼ 外部評価委員 杉 本 匡 長谷川 淳 小 林 健 二 口頭 高空間分解能振動分布測定シス テムの開発と応用 日本音響学会秋季研究発 2007-09 表会論文集 pp.665-668 松 本 光 義 長谷川 淳 小 林 健 二 宮 脇 富士夫 口頭 振動型マイクロインジェクショ ン法の超音波振動子の開発 日本音響学会秋季研究発 2007-09 表会論文集 pp.681-682 口頭 振動型マイクロインジェクショ ン法用振動子の開発 The 4th IEEE Tokyo Young Researchers Workshop 関 口 和 彦 小 林 健 二 長谷川 淳 口頭 生体表面を考慮した医用メカノ センサ校正装置 日本音響学会春季研究発 2008-03 表会論文集 pp.819-820 小 運営 応用音響研究会 電子情報通信学会 専門委員 運営 編集委員会 日本音響学会 1999-08∼ 編集委員 ライフサポート学会 1998∼ 評議員 2007-06 Vol.E90-D, No.6, pp.998-1001 川 田 名 林 明 健 一 夫 二 運営 S. Hayashi M. Suguimoto 文部科学省 (独)新エネルギー・産業 技術開発機構 論文 Single Channel Speech Enhancement Based on Perceptual Frequencyweighting IEICE Transactions on Information and Systems 2007-10 Vol.10, No.1, pp.21-26 2007-12 水 杉 林 竹 島 本 本 陽 公 誠 一 弘 治 茂 口頭 視覚障害者の利用を前提とした スキャナコントロールプログラム 八 王 子 産 学 公 連 携 機 構 2007-12 第7回研究成果発表講演 会 p.102-103 三 杉 林 竹 宅 本 本 昭 公 誠 徳 弘 治 茂 口頭 情景画像における標識領域の抽 出 八 王 子 産 学 公 連 携 機 構 2007-12 第7回研究成果発表講演 会 p.108-109 垣 林 杉 竹 實 本 本 誠 公 洋 治 弘 茂 口頭 多重解像度解析を利用した電話 音声の広帯域化に関する研究 八 王 子 産 学 公 連 携 機 構 2007-12 第7回研究成果発表講演 会 p.160-161 129 著 者 氏 名 区分 著書,学術論文,作品等の名称 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 発行・発表 年 月 巻号ページ 分担・担当等 植 林 杉 竹 月 本 本 龍 誠 公 興 治 弘 茂 口頭 音声の調波構造およびスペクト ル包絡情報を用いた音声強調に よる雑音除去 八 王 子 産 学 公 連 携 機 構 2007-12 第7回研究成果発表講演 会 p.164-165 犬 林 杉 竹 飼 本 本 裕 誠 公 介 治 弘 茂 口頭 聴覚スケーリング関数を用いた 雑音除去における線形予測次数 の調査 八 王 子 産 学 公 連 携 機 構 2007-12 第7回研究成果発表講演 会 p.286-287 吉 杉 林 竹 田 本 本 公 誠 貢 弘 治 茂 口頭 線形予測法を用いた電話音声の 帯域拡張 八 王 子 産 学 公 連 携 機 構 2007-12 第7回研究成果発表講演 会 p.218-219 山 杉 林 竹 口 本 本 正 公 誠 和 弘 治 茂 口頭 多色刷り背景をもつ文書からの レイヤ処理を導入した文字領域 の抽出 八 王 子 産 学 公 連 携 機 構 2007-12 第7回研究成果発表講演 会 p.224-225 犬 林 杉 竹 飼 本 本 裕 誠 公 介 治 弘 茂 口頭 聴覚スケーリング関数を用いた 非線形スペクトルサブトラクシ ョン法による雑音除去 電子情報通信学会 2008年 総合大会 2008-03 (A-4-22) p.112 山 杉 林 竹 口 本 本 正 公 誠 和 弘 治 茂 口頭 ニューラルネットワークによる 多色刷り背景文書からの文字領 域判別 電子情報通信学会 東京支 部学生会研究発表会 2008-03 p.172 三 杉 林 竹 宅 本 本 昭 公 誠 徳 弘 治 茂 口頭 情景画像からの交通標識の抽出 に関わる予備実験 電子情報通信学会 東京支 部学生会研究発表会 2008-03 p.173 水 杉 林 竹 島 本 本 陽 公 誠 一 弘 治 茂 口頭 視覚障害者の利用を前提とした スキャナコントロールプログラム 電子情報通信学会 東京支 部学生会研究発表会 2008-03 p.179 吉 杉 林 竹 田 本 本 公 誠 貢 弘 治 茂 口頭 ホルマント特性を尺度とする極 位置補正を導入した電話音声の 帯域拡張 電子情報通信学会 東京支 部学生会研究発表会 2008-03 p.180 T. Yamamoto I. Oowada H. Yip A. Uchida S. Yoshimori K. Yoshimura J. Muramatsu S. Goto P. Davis, 論文 Common-chaotic-signal induced synchronization in semiconductor lasers Optics Express 2007-07 Vol.15, No.7 pp.3974-3980 K. Amano D. Narimatsu S. Sotome S. Tashiro A. Uchida S. Yoshimori 論文 Fractal dimenstion of chaotic light scattering in regular polyhedral mirror ball structure Physical Review E 2007-10 Vol.76 pp.(046213)1-6 T. Shimizu A. Uchida S. Yoshimori 討論 Analysis of HTS Striplines using the Time-Dependent GL Equation International Superconductive Electronics Conference 2007 2007-06 130 著 者 氏 名 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 発行・発表 年 月 巻号ページ 分担・担当等 区分 著書,学術論文,作品等の名称 I. Oowada T. Yamamoto H. Yip A. Uchida S. Yoshimori K. Yoshimura J. Muramatsu S. Goto P. Davis 討論 Synchronization in semiconductor lasers subject to a common chaotic drive signal The 15th IEEE International Workshop on Nonlinear Dynamics of Electronic Systems (NDES 2007) 大和田 功 山 本 徹 葉 海 鵬 内 田 淳 史 吉 森 茂 吉 村 和 之 村 松 純 後 藤 振一郎 ピーター ディ ビス 口頭 共通カオス信号により駆動され た半導体レーザカオス同期実験 電子情報通信学会 非線 2007-08 形問題研究会 大和田 功 有 泉 宏 紀 李 茂 内 田 淳 史 吉 森 茂 吉 村 和 之 ピーター ディ ビス 口頭 戻り光を有する半導体レーザに おける共通カオス信号入力同期 第55回応用物理学関係連 合講演会 2008-03 吉 茂 運営 超伝導エレクトロニクス研究専 門委員会 電子情報通信学会 2007-05∼ 2008-04 渡 辺 裕 二 中 村 健太郎 山 森 春 男 解説 講師「強力超音波の基礎と応用」 日本音響学会 第98回技術 講習会 2007-07 渡 解説 超音波プラスチック溶着用振動 「化学工業」化学工業社 系の高周波化 −19kHz縦振動か ら1.2MHz弾性表面波まで− 2007-08 Vol.58 No.8 pp.15ー20 解説 弾性表面波の超音波接合への応 「超音波TECHNO」日本 用 工業出版 2007-12 第19巻 第6号 pp.1-5 解説 強力超音波発生用振動系の開発 動向とその上手な使い方 ISS産業科学システムズ 技術講習会 2008-03 K. Naruse K. Mori Y. Watanabe 口頭 Ultrasonic Joining of Au foil using a Surface Acoustic Wave Device Proc. The 28th Symposium on ULTRASONIC ELECTRONICS 2007-11 成 瀬 健 悟 森 きよみ 渡 辺 裕 二 口頭 2.5MHzの弾性表面波素子によ 電子情報通信学会技術報 2007-12 る超音波プラスチック溶着 告 渡 運営 超音波応用加工分科会委員 日本塑性加工学会 2004-7∼ 運営 超音波専門委員 電子情報通信学会 2005-06∼ 審査 閲読 日本音響学会誌 2007-07 審査 閲読4編 Japanese Journal of Applied Physics 2007-12∼ 2008-02 討論 Inverse Estimation of Joint Angles of Robot Arm by Network Inversion SICE Annual Conference 2007 2007-09 森 辺 辺 裕 裕 N. Sekiguchi T. Ogawa H. Kanada 二 二 131 2007-07 委員 Vol. 28, pp.345-346 US2007-87 pp.29-34 pp.991-995 著 者 氏 名 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 発行・発表 年 月 巻号ページ 分担・担当等 区分 著書,学術論文,作品等の名称 K. Okubo T. Ogawa H. Kanada 討論 Impact Perforation Image Processing using a SelfOrganizing Map SICE Annual Conference 2007-09 2007 pp.1099-1103 K. Miyazato T. Ogawa H. Kanada S. Yoshizawa 討論 A BER Worst Pattern of Waveform Discrimination Using 2-7 Code Neural Networks SICE Annual Conference 2007-09 2007 pp.1104-1107 深 見 斉 正 小 川 毅 彦 金 田 一 口頭 複素ネットワークインバージョ ンにおける正則化 電子情報通信学会 総合大 会 2008-03 前 招待 人体通信技術に関する研究開発 状況 横浜国大医療ICTセンター 2007-06 招待 人体と電磁波 電子情報通信学会東京支 2007-09 部シンポジウム 討論 High-Speed Human Body Communication System ISAP2007 2007-08 Toshiyuki Maeyama Toru Kitayabu 討論 MULTI-SYSTEM OPTIMIZATION OF RF FRONT END WITH RELAXATION OF REQUIREMENTS SDR Forum 2007 2007-09 前 山 利 幸 口頭 人体を伝送路とする高速通信方 式 電子情報通信学会MICT 2007-04 医療情報通信技術時限研 究会 2007年度第一回MICT 研究会 木 北 前 白 村 藪 山 井 和 利 紀 透 幸 宏 口頭 2信号同時受信におけるサンプ リング周波数選択方法 電子情報通信学会ソサエ 2007-09 ティ大会 B-17-16 北 前 藪 山 利 透 幸 口頭 マルチシステムRFフロントエ 電子情報通信学会ソサエ 2007-09 ンドの設計コンセプトの一提案 ティ大会 B-17-14 池 山 前 武 田 崎 山 内 裕 浩 利 良 司 輔 幸 男 口頭 SDRプロセッサを対象とした 電子情報通信学会DC研 ソフトウェア自動最適化手法の 究会 提案 2007-10 DC2007-98 木 北 前 白 村 藪 山 井 和 利 紀 透 幸 宏 口頭 システムクロックを考慮した複 数信号同時受信時におけるサン プリング周波数選択方法 電子情報通信学会SR研究 会 2007-11 SR2007-50 前 山 利 幸 口頭 アンテナ・伝播・システム 電子情報通信学会総合大 2008-03 会 中 前 井 野 山 上 雅 利 之 幸 隆 口頭 800MHz帯セルラリピータ用ア 電子情報通信学会総合大 2008-03 ンテナのアイソレーション特性 会 山 前 武 崎 山 内 浩 利 良 輔 幸 男 口頭 ソフトウェア無線技術を用いた 通信機器主導型通信モード変更 方法の提案 電子情報通信学会総合大 2008-03 会 B-17-2 北 前 武 藪 山 内 利 良 透 幸 男 口頭 能動素子を共用化したマルチモ ードRFフロントエンドの試作 電子情報通信学会総合大 2008-03 会 B-17-3 池 山 前 武 田 崎 山 内 裕 浩 利 良 司 輔 幸 男 口頭 SDR用ソフトウェア自動最適 電子情報通信学会総合大 2008-03 化手法の提案 会 B-17-9 山 利 幸 132 D-2-11 B-1-1 B-1-203 著 者 氏 名 前 山 利 区分 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 発行・発表 年 月 巻号ページ 分担・担当等 第3の通信手段,人体通信 TV東京ワールドビジネ スサテライト 2007-09 運営 アンテナ・伝播研究会専門委員 電子情報通信学会 2006-05∼ 2008-05 委員 運営 和文論文誌編集委員 電子情報通信学会 2007-05∼ 委員 運営 和文論文誌特集号編集委員 電子情報通信学会 2007-05 委員 運営 アンテナ・伝播における設計・ 解析手法ワークショップ実行委 員会 電子情報通信学会 2007-05 委員 審査 和文論文誌査読委員 電子情報通信学会 2005-05∼ 委員 審査 総合大会編集委員 電子情報通信学会 2008-03 委員 討論 Fuzzy ARTMAP with Explicit and Implicit Weights Proc. International Conference on Neural Information Processing (ICONIP) 2007 電子情報通信学会ソサイ 2007 エティ大会 講演論文集 幸 T. Kamio K. Mori K. Mitsubori C. J. Ahn H. Fujisaka K. Haeiwa 著書,学術論文,作品等の名称 神 森 三 藤 生 尾 堀 坂 岩 武 賢 邦 尚 量 司 児 彦 登 久 口頭 陽・陰荷重をもつFuzzy ARTMAPの性能評価 神 三 安 藤 生 尾 堀 坂 岩 武 邦 昌 尚 量 司 彦 俊 登 久 口頭 ファジィARTMAPにおけるカ 電子情報通信学会非線形 2008 テゴリの拡大と縮小に関する一 問題研究会 考察 三 佐 大 堀 藤 柴 邦 彦 充 央 口頭 市松模様を初期パターンとする 簡素なセルオートマトンの動的 振る舞いについて 電気学会 電子・情報・シ ステム部門大会 講演論文 集 2007 三 堀 邦 彦 運営 回路とシステム軽井沢ワークシ ョップ 実行委員 電子情報通信学会 2001∼ 渡 福 貴 邊 原 家 隆 仁 修 浩 志 口頭 デジタルシネマ向けJPEG 2000 符号化画像のためのビットスト リームレベル画像検索法 電子情報通信学会 総合 2008-03 大会 渡 邊 修 運営 財務理事 画像電子学会 依頼 DAPDNA-IMSプロセッサを用 日本システム開発株式会 2007-07∼ いた画像処理アルゴリズムの性 社 能評価 133 2007-04∼ pp.38 NLP2007-171 pp.468-473 No.D-11-121 工業デザイン学科 著 者 氏 名 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 発行・発表 年 月 区分 著書,学術論文,作品等の名称 浩 起 章 受賞 司 東 入院患児のための手術用プレパ レーション 2007年度グッドデザイン 賞(中小企業庁長官 特別 賞) K. Ito A. Okazaki S. Naito Y. Kikkawa 討論 Development and Effectiveness of a “Preparation Tool” in relation to Pediatric Bone Marrow Puncture, International Conference 2007.10 on Kansei Engineering and Emotion Research 2007 第54回研究発表大会概要 集 岡 恩 呉 崎 田 2007.10 2007.6 巻号ページ 分担・担当等 ディレクション No.43(CD-ROM) B15 伊 岡 内 吉 藤 崎 藤 川 弘 茂 佳 樹 口頭 章 幸 孝 看護師支援用プリパレーショ ン・ツールの開発と効果日本デ ザイン学会 内 油 吉 岡 藤 谷 川 崎 茂 和 佳 幸 口頭 子 孝 章 パーソナルコンピュータを用い 第17回日本小児看護学会 た術前プレパレーションツール の開発 −動作解析による評価 を中心に− 伊 岡 内 吉 藤 崎 藤 川 弘 茂 佳 樹 口頭 章 幸 孝 小児骨髄穿刺におけるプレパレ ーション・ツールの開発と効果 第9回感性工学会予稿集 2007.8 2007 岡 伊 内 吉 崎 藤 藤 川 弘 茂 佳 章 受賞 樹 幸 孝 入院患児に対する術前プレパレ ーション・ツール“Smile” 医療の質・安全学会 ベ 2007.11 ストプラクティス優秀賞 岡 崎 章 寄稿 チャイルドライフ・デザイン 小児看護,カラーグラフ, 2007.9 へるす出版 岡 崎 章 招待 痛みを伴う検査・処置をうける 子どもの心理的準備 東京医科歯科大学大学院 2007.2 衛生学研究科,思春期看 護研究会 岡 崎 章 運営 日本デザイン学会・評議委員 岡 崎 章 運営 KEER2007 論文査読委員 岡 崎 章 運営 CG-ARTS協会 委員 木 嶋 彰 共著 金属表面性状が感性評価に及ぼ 『高級感』を演出するた 2007-09 す影響 めの質感・素材感表現と 色・光沢の使い方,技術 情報協会 pp.57-68 木 嶋 彰 寄稿 薬効を視覚化した表示法とPTP 包装の表示例の提案 2007-07 pp.13-15 S. Kono A. Okazaki K. Ito A. Kijima 討論 2007.7 H64(CD-ROM) 1360-1369 2007.7 包装技術7 Measurement and Verification International Conference 2007-10 of Painter’s Eye Movements on kansei Engineering when Appreciating a Painting and Emotion Research 河 伊 岡 木 野 藤 崎 嶋 真 弘 哉 口頭 樹 章 彰 絵画鑑賞時における画家の視線 運動の測定と検証 第9回日本感性工学会大 2007-08 会 木 嶋 彰 運営 理事 NPO法人アート農園 木 嶋 彰 運営 評議員 日本デザイン学会 134 No.114(CD-ROM) C03(CD-ROM) 著 者 氏 名 竹 西 朝 末 澤 霧 俊 明 重 A.Kijima 区分 昭 論文 洋 治 作品 著書,学術論文,作品等の名称 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 発行・発表 年 月 プ レ ミ ア ム ビ ー ル ブ ラ ン ド 作品集デザイン学研究13 2008-03 COEDO 号2007, 日本デザイン学 会 巻号ページ 分担・担当等 pp.40∼45 International Tsai-Mo Totem Art Exhibition The 6th Tsai-Mo Art Festival in Taichung, Taichung City Cultural Affairs Bureau, Da dun Gallery 2007-09 Approach to product development system construction by collecting user needs on the Internet KEER2007 (International Conference on Kansei Engineering & Emotion Research 2007) 2007-10 CD-ROM, F-25 竹 率 末 川 俊 陽 昭 討論 馬 竹 率 末 川 俊 陽 昭 口頭 「インターネット上でのユーザ ニーズ収集に基づく商品開発シ 馬 ステム構造へのアプローチ」 日本感性工学会第9回研 2007-08 究発表会 CD-ROM, H-74 田 竹 崎 末 慎 俊 也 口頭 昭 サービス・コンテンツから提案 する携帯端末 八王子産学連携機構第7 2007-12 回研究成果発表会 pp.104-105 率 竹 川 末 陽 俊 馬 口頭 昭 インターネット上でのコンセン サス・コミュニティ形成の研究 <空想生活を事例として> 八王子産学連携機構第7 2007-12 回研究成果発表会 pp.140-141 石 竹 渡 末 龍 俊 太 口頭 昭 非常灯と可変誘導システムの提 案 八王子産学連携機構第7 2007-12 回研究成果発表会 pp.198-199 今 竹 井 末 俊 愛 口頭 “贈り物”感動サポートサービ スの提案 昭 八王子産学連携機構第7 2007-12 回研究成果発表会 pp.214-215 竹 率 末 川 俊 陽 昭 口頭 馬 インターネット上でのユーザニ 理工学研究所・研究発表 2008-12 ーズ収集に基づく 商品開発シ 会 ステムの構築 竹 末 俊 昭 運営 TAMAコーディネータ・若者 (社)首都圏産業活性化協 と中小企業とのネットワーク事 会(TAMA産業活性化協 業推進委員 会) 2007-04∼ 理事 竹 末 俊 昭 運営 JSKE 編集委員会 日本感性工学会 2006-04∼ 委員 戸 塚 泰 幸 展示 陶作品 −びん− ギャラリー現 2007-11 個展 戸 阿 白 塚 部 石 泰 眞 照 幸 展示 理 美 拓殖大学工学部工業デザイン学 科生活デザイン分野授業作品展 示 Japan Home & Building Show 2007(東京ビッグ サイト) 2007-11 戸 阿 白 塚 部 石 泰 眞 照 幸 展示 理 美 紙でつくるあかり展Ⅱ 戸 阿 白 塚 部 石 泰 眞 照 幸 展示 理 美 岐阜県美濃市「第14回美濃和紙 あかりアート展」出品をとおし た地域交流 八王子産学研究成果発表 2007-12 講演会概要 Relationship Between Stationary Factor And Variational Factor For Generating Moods In Drive Kansei Engineering International,日本感性 工学会 2006-12 Vol. 6 No.3,pp.1-6 Y. Kudo Y. Abe S. Furuya 論文 成果報告 (財)八王子市学園都市文 2007-09 化ふれあい財団ギャラリ ーホール 湯 工 古 本 藤 屋 徹 芳 朗 口頭 彰 繁 スポーツにおける見どころとコ ンテンツの関係 第54回研究発表大会概要 集,デザイン学研究 2007-06 pp.168-169 篠 工 古 崎 藤 屋 広 芳 和 口頭 彰 繁 デジタルオーディオプレーヤに おける典型的製品との判定構造 第54回研究発表大会概要 集,デザイン学研究 2007-06 pp.172-173 135 区分 著書,学術論文,作品等の名称 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 吾 口頭 之 彰 繁 メディアとしてのロボットの特 性とデザイン要件 第54回研究発表大会概要 集,デザイン学研究 2007-06 pp.174-175 A. A. B. Jamal 口頭 Y. Kudo S. Furuya 2D design to 3D computer data for redesign change 第54回研究発表大会概要 集,デザイン学研究 2007-06 pp.292-293 篠 工 古 崎 藤 屋 広 芳 和 口頭 彰 繁 デザイン認識にみるデジタルオ ーディオプレーヤの在り方 第54回研究発表大会概要 集,デザイン学研究 2007-06 pp.294-295 檜 有 工 古 林 賀 藤 屋 勇 義 芳 吾 口頭 之 彰 繁 メディアとしてのロボットの用 途提案 第54回研究発表大会概要 集,デザイン学研究 2007-06 pp.296-297 佐々布 裕季 口頭 工 藤 芳 彰 古 屋 繁 キャラクタから発想する『理系 女子』デザイン 第54回研究発表大会概要 集,デザイン学研究 2007-06 pp.298-299 湯 工 古 竹 小 菊 永 小 本 藤 屋 末 出 池 見 幡 徹 芳 俊 昌 真 朗 口頭 彰 繁 昭 二 司 豊 也 無線LAN及びネットワークス トレージを利用したサービス 第54回研究発表大会概要 集,デザイン学研究 2007-06 pp.300-301 古 工 篠 屋 藤 崎 芳 広 繁 口頭 彰 和 ラフ集合によるユーザグループ の特定 第5回ラフ集合ワークシ 2007-06 ョップ,日本知能情報フ ァジィ学会・日本感性工 学会 pp.19-22 有 工 古 賀 藤 屋 義 芳 之 口頭 彰 繁 CSデータにもとづく製品開発 のための要求仕様の構築 第9回日本感性工学会大 2007-08 会予稿集2007,日本感性 工学会 CD-ROM 著 者 氏 名 檜 有 工 古 林 賀 藤 屋 勇 義 芳 発行・発表 年 月 巻号ページ 分担・担当等 A. A. B. Jamal Y. Kudo S. Furuya 口頭 2D designs to 3D computer 第9回日本感性工学会大 2007-08 data for re-edit design change 会予稿集2007,日本感性 工学会 CD-ROM T. Yumoto Y. Kudo S. Furuya 討論 A CONNECTION BETWEEN HIGHLIGHT AND CONTENTS ON SPORTS International Association 2007-11 of Societies of Design Researche 2007 CD-ROM Y. Ariga Y. Kudo S. Furuya 討論 Construction of Required Specifications for Product Development Based on CS Data International Conference 2007-10 on Kansei Engineering and Emotion Research 2007 CD-ROM A. A. B. Jamal Y. Kudo S. Furuya 討論 2D Designs to 3D computer International Conference 2007-10 data for re-edit design change on Kansei Engineering and Emotion Research 2007 CD-ROM 澄 受賞 彰 繁 第54回研究発表大会グッドプレ ゼンテーション賞,日本デザイ ン学会 第54回研究発表大会,日 2007-06 本デザイン学会 クチコミサイトによる 情報編集の分析−デザ イン・メディアとその 編集者に関する研究 (3) 有 賀 義 之 受賞 工 藤 芳 彰 古 屋 繁 SPSS Directions Japan 参加者 特別賞 SPSS 2007-11 CSデータにもとづく製 品開発のための要求仕 様の抽出 鈴 工 古 木 藤 屋 香 芳 136 著 者 氏 名 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 発行・発表 年 月 巻号ページ 分担・担当等 区分 著書,学術論文,作品等の名称 理 論文 美 幸 自然素材によるシート状内装材 の力学的・物理的性質と製品へ の応用 日本デザイン学会デザイ 2007-11 ン学研究論文集 宇都木 望 討論 孫 イ ゼ ン 阿 部 眞 理 白 石 照 美 Visual Character of BoardFormed Environmental Consideration Materials International Association 2007-11 of Societies of Design Research 2007 宮 阿 白 下 部 石 健 眞 照 児 討論 理 美 Visual character of the Sugi International Association 2007-11 from Tokyo classified into the of Societies of Design growth area and grade Research 2007 野 阿 白 本 部 石 健 眞 照 司 口頭 理 美 自然素材によるボード状材料の 塗膜の機械的性質 日本デザイン学会デザイ 2007-06 ン学研究第54回研究発表 大会概要集 pp.30-31 宮 阿 白 下 部 石 健 眞 照 児 口頭 理 美 東京都多摩産材の活用の取り組 みと今後の展開 日本デザイン学会デザイ 2007-06 ン学研究第54回研究発表 大会概要集 pp.28-29 宇都木 望 口頭 阿 部 眞 理 自然素材を主材とした環境配慮 材料の感覚評価 日本デザイン学会デザイ 2007-06 ン学研究第54回研究発表 大会概要集 pp.32-33 阿 部 眞 理 運営 日本デザイン学会 理事 阿 部 眞 理 依頼 木のものたち 編集長 日本デザイン学会特集号 小 出 昌 二 論文 平面構成作品 日本基礎造形学会 論文 2007-03 集・作品集2007 基礎造 形016 小 寺 竹 古 菊 永 畑 小 出 澤 末 屋 池 見 中 幡 昌 俊 朋 真 二 解説 勉 昭 繁 司 豊 子 也 PC周辺機器の新しい使い方と 販促方法株式会社バッファロー との横断型産学協同プロジェク ト2006 拓殖大学理工学研究報告 小 出 昌 二 討論 平面構成作品 2007 KSBDA (Korean 2007-11 Society of Basic Design & Art) International Fall ExhibitionChungbuk National University, Korea 概要集 p.178 小 出 昌 二 討論 平面構成作品 2007 KSBDA (Korean Society of Basic Design & Art) International Spring Exhibition Kookmin University, Korea 概要集 2007-05 p.138 小 出 昌 二 討論 平面構成作品 2007アジア基礎造形連合 2007-08 学会筑波大会 筑波大学 総合交流会館 概要集 p.402 江 福 小 寺 竹 古 菊 永 畑 小 幡 本 出 澤 末 屋 池 見 中 幡 千 昌 俊 朋 真 夏 口頭 愛 二 勉 昭 繁 司 豊 子 也 PC周辺機器の新しい使い方と 販促方法 日本デザイン学会 平成 2007-09 19年度 秋季企画大会学生 プロポジション 阿 白 戸 部 石 塚 眞 照 泰 184号 pp.65-72 2007-04∼ 2008-03 137 2007-07 2007-10 15巻2号 pp.52-53 Vol.10 No.1, pp.13-17 著 者 氏 名 区分 著書,学術論文,作品等の名称 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 発行・発表 年 月 巻号ページ 分担・担当等 島 小 寺 竹 古 永 畑 村 出 澤 末 屋 見 中 大 昌 俊 朋 祐 口頭 二 勉 昭 繁 豊 子 ユーザを考慮した無線LAN製 八 王 子 産 学 公 連 携 機 構 2007-12 品のパッケージデザイン株式会 第7回研究成果発表講演 社バッファローとの横断型産学 会概要集 協同プロジェクト2007-3 pp.348-349 宇 小 野 出 恵 昌 輔 口頭 二 ピンクリボン運動のためのキャ ンペーンアイテムの制作 八 王 子 産 学 公 連 携 機 構 2007-12 第7回研究成果発表講演 会概要集 pp.204-205 園 田 麻衣人 口頭 小 出 昌 二 東京都における絶滅に瀕した野 生生物のポスター制作 八 王 子 産 学 公 連 携 機 構 2007-12 第7回研究成果発表講演 会概要集 pp.208-209 江 小 幡 出 千 昌 夏 口頭 二 四葉のクローバーによる日めく りカレンダー 八 王 子 産 学 公 連 携 機 構 2007-12 第7回研究成果発表講演 会概要集 pp.280-281 福 小 本 出 昌 愛 口頭 二 女性をターゲットにしたキャラ クターブランド 八 王 子 産 学 公 連 携 機 構 2007-12 第7回研究成果発表講演 会概要集 pp.282-283 小 出 昌 二 運営 評議員会 日本デザイン学会 2005-01∼ 評議員 小 出 昌 二 運営 2007アジア基礎造形連合学会筑 波大会実行委員会 2007アジア基礎造形連合 学会筑波大会 2006-12∼ 2007-09 実行委員 小 出 昌 二 運営 日本デザイン学会選挙管理委員 会 日本デザイン学会 2007∼ 選挙管理委員 小 出 昌 二 公募 平面構成作品 モ ダ ン ア ー ト 協 会 主 催 2007-04 第57回モダンアート展 デザイン部門入選 東京 都美術館 作品集 p.80 小 出 昌 二 展示 東京ミッドタウン・デザインハ ブ第7回企画展 「POST切手」 日本グラフィックデザイ 2007-12∼ ナー協会企画・運営 東 2008-02 京ミッドタウン・デザイ ンハブ主催 作品集 p.53 白 阿 戸 石 部 塚 照 眞 泰 美 論文 理 幸 ボードおよびシート形状を持つ 内装用材の感覚評価 デザイン学研究 2007-11 54巻4号,pp.57-64 白 石 照 美 寄稿 木の壁−スギ材の壁面構成とイ メージ 日本デザイン学会特集号 2007-07 第15巻2号,pp.16-17 山 白 阿 田 石 部 美 照 眞 鈴 口頭 美 理 スギ材を用いた壁面構成が空間 の見えの大きさと心理的イメー ジに与える影響 日本デザイン学会第54回 2007-06 研究発表大会概要集 白 石 照 美 運営 理事 日本デザイン学会 2006-04∼ 2008-03 白 石 照 美 運営 日本デザイン学会 2006-04∼ 2008-03 白 石 照 美 運営 関東支部 幹事 日本インテリア学会 2005-05∼ 伊 菊 藤 池 達 也 受賞 司 第3回いわてビジネスグランプ 第3回いわてビジネスグ リ イノベーション部門 グラ ランプリ ンプリ 菊 池 司 運営 芸術科学会評議委員 菊 池 司 運営 映像情報メディア学会論文査読 委員 学会誌編集・出版委員会 幹事 (会報担当) pp.34-35 2006-11 イノベーション部門 グランプリ 芸術科学会 2002-06∼ 評議委員 映像情報メディア学会 2003-04∼ 論文査読委員 138 著 者 氏 名 区分 著書,学術論文,作品等の名称 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 発行・発表 年 月 巻号ページ 分担・担当等 菊 池 司 運営 映像情報メディア学会論文部門 委員 映像情報メディア学会 2008-06∼ 論文部門委員 菊 池 司 運営 日本デザイン学会評議委員 日本デザイン学会 2004-04∼ 評議委員 菊 池 司 運営 アート&テクノロジー研究会サ ポート幹事 アート&テクノロジー研 2005-07∼ 究会 サポート幹事 坪 郷 英 彦 調査 伊 藤 真奈美 工 藤 芳 彰 八王子市指定有形文化財山車調 査年次報告書 八王子市指定有形文化財 2008-03 山車調査団,八王子市教 育委員会 実測・作図・報告書作 成 佐 々 布裕季 口頭 鈴 木 香 澄 工 藤 芳 彰 古 屋 繁 地域教育のための物語創作の枠 組みづくり 日本デザイン学会第54回 研究発表大会概要集 2007-06 pp.170-171 鈴 木 香 澄 口頭 佐 々 布裕季 工 藤 芳 彰 古 屋 繁 クチコミサイトによる情報編集 の分析−デザイン・メディアと その編集者に関する研究(3) 日本デザイン学会第54回 研究発表大会概要集 2007-06 pp.166-167 工 理事 日本デザイン学会 2007.04~ 春期研究発表大会概要 集編集委員会 A CASE STUDY ABOUT IMPROVING THE CIVIL ENGINEERS’ ABILITY OF AESTHETIC DESIGN International Association 2007-11 of Societies of Design Research 2007 pp.1-17(CD-ROM) 藤 芳 Y. Nagami Y. Kubota 彰 運営 討論 永 見 豊 論説 景観法の概要 日本デザイン学会誌デザ 2007-05 イン学研究特集号,第15 巻1号 pp.50-53 永 見 豊 論説 景観法の活用に向けての提案 日本デザイン学会誌デザ 2007-05 イン学研究特集号,第15 巻1号 pp.34-35 齊 藤 展 生 口頭 永 見 豊 井 上 信 夫 久保田 善 明 熱 海 晋 木 本 智 美 下路式桁橋のデザイン改善に関 する考察(その2) 土木学会第62回年次学術 講演会概要集 2007-09 永 見 豊 招待 防犯と景観に優れたまちづくり 八王子市第14回都市景観 セミナー 2008-03 永 見 豊 運営 評議委員 日本デザイン学会 2005-01∼ 永 見 豊 運営 部会長 鋼橋技術研究会 橋梁デ ザインにおける3E研究 部会(2) 2006-11∼ 永 見 豊 運営 委員 八王子市総合評価審査委 2007-04∼ 員会 畑 中 朋 子 論文 視覚文化的視点でみる美術史の 『 美 術 教 育 学 』 第 2 9 号 , 2008-03 教育−デジタルコミュニケーシ 美術科教育学会 ョン実践者のための授業展開よ り 第29号 pp.459-471 畑 中 朋 子 口頭 Integrating Digital Art Practice SIGGRAPH 2007 and Art History Studies Educators Program ACM SIGGRAPH 2007 Proceedings DVD 139 2007-08 Ⅳ-196, pp.391-392 著 者 氏 名 区分 著書,学術論文,作品等の名称 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 発行・発表 年 月 畑 中 朋 子 口頭 「参加者」 と「提供者」の境界 第 9 回 日 本 感 性 工 学 会 2007-08 苅 宿 俊 文 を越えて∼実践共同体としての 大会・総会,一般セッシ 高 尾 美沙子 キッズワークショップのデザイ ョン(デザイン) 吉 田 裕 典 ン 巻号ページ 分担・担当等 CD-ROM 苅 宿 俊 文 口頭 高 尾 美沙子 畑 中 朋 子 吉 田 裕 典 ワークショップスタッフの成長 と正統的周辺参加(調査に基づ くインタラクションのデザイ ン,コミュニティ活動のデザイ ン) 2007-06 pp.100-101 清 水 智 美 口頭 平 澤 亮太郎 土 屋 翔 太 渡 邉 涼 介 伊 藤 里 菜 松 本 亜由美 畑 中 朋 子 小 出 昌 二 寺 澤 勉 竹 末 俊 昭 古 屋 繁 永 見 豊 株式会社バッファローとの横断 八王子産学公連携機構 第 2007-09 型産学協同プロジェクト2007-4 7回研究成果等発表講演 無線LAN製品の選択及び購買 会要旨集 を支援する動画コンテンツデザ イン pp.350-351 畑 渡 岡 中 邉 田 朋 英 智 子 依頼 「Media Art in the World」(世 徳 界のメディアアートフェスティ 博 バル) 日本デザイン学会第54回 研究発表大会概要集 第11回文化庁メディア芸 2008-02 術祭(国立新美術館展 示),『文化庁メディア芸 術プラザ』(オンライン) 文化庁/財団法人画像情 報教育振興協会 140 展示解説パネル/Web リンク集・マップの調 査・執筆・制作 基礎教育系列 著 者 氏 名 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 発行・発表 年 月 巻号ページ 分担・担当等 区分 著書,学術論文,作品等の名称 男 著書 地磁気ホールの研究 関 節 子 田 村 一二三 論文 SIMSの微小部深さ方向分析に 拓殖大学理工学研究報告 おけるドーパント濃度決定法 2007-10 Vol.10, No.1, pp.41-46 仁 木 輝 緒 ダニエル K.グ ラディッシュ 論文 マメ科植物種子根(主根)の先 端切除による側根維管束の異型 形成能 拓殖大学理工学研究報告 2007-10 Vol.10, No.1, pp.47-52 巻 論文 南北両半球の中低緯度における 多点イメージングリオメータ観 測 拓殖大学理工学研究報告 2007-10 Vol.10, No.1, pp.53-60 論文 イメージングリオメータのデー タ解析プログラム 拓殖大学理工学研究報告 2007-10 Vol.10, No.1, pp.61-66 Hiroshi Oda 論文 Dunkl operators, Cherednik operators, and radial parts of non-symmetric elements 2007年度表現論シンポジ ウム講演集 2007-11 pp.37-48 Hidetsugu Seki Yasuo Suzuki Henri Orland 論文 Self-Consistent Field Study of Polyelectrolyte Brushes Journal of the Physical Society of Japan 2007 Vol.76 104601 関 秀 嗣 鈴 木 康 夫 Henri Orland 論文 表面に植えつけられた高分子電 解質とその対イオンの振る舞い について 拓殖大学理工学研究報告 2007-10 Vol.10, No.1, 67-76 山 下 省 蔵 論説 教育再生の動向と専門学科の対 応 産業と教育 2008-1 PP.12-17 巻 田 和 男 調査 南米における超高層大気研究 ブラジル:ブラジル南部 2007-08∼09 宇宙観測所,サンパウロ 大学,ナタール大学 チリ:マゼラン大学,コ ンセプシオン大学 調査 南米における超高層大気観測 ブラジル:ブラジル南部 2008-02∼03 宇宙観測所,サンパウロ 大学,ナタール大学 アルゼンチン:ラプラタ 大学,トレレウ地磁気観 測所 S. Seki H. Tamura Y. wada K. Tsutsui. S. Ootomo 討論 Micro-area analysis in SIMS depth profiling by mesastructure preparation The 16th International Conference on Secondary Ion Mass Spectrometry 2007-10 pp.119 関 節 子 田 村 一二三 口頭 微小メサ試料のSIMS深さ分析 における濃度決定 応用物理学会講演会 2008-3 pp.713 仁 口頭 湛水処理によるベニバナインゲ ンの成長と根の組織構造変化 第26回 根研究集会 2007-5 Gladish DK Sarkar P Sreekanta S and Niki T 口頭 Physiology of vascular cavity formation due to hypoxia in pea (Pisum sayivum) primary roots 9th Conference of the International Society for Plant Anaerobiosis ; ISPA 2007-11 高 橋 三 男 仁 木 輝 緒 D. K. Gladish 口頭 マイクロ酸素センサーを使った 湛水条件下での根の表面酸素濃 度の測定 第27回 根研究集会 2007-11 山 口頭 新学習指導要領改訂の方向性に ついて 東北地区教材開発研究会 2007-12 巻 田 田 木 下 和 和 輝 省 男 緒 蔵 拓殖大学研究叢書(自然 2007-9 科学) 141 7号pp.1-167 講師 著 者 氏 名 掲載誌,発行所,学会, 講演会,展覧会等の名称 発行・発表 年 月 巻号ページ 分担・担当等 区分 著書,学術論文,作品等の名称 口頭 これからの専門高校の望ましい 在り方 茨城県総合教育センター 2007-8 講師 口頭 Cherednik operators and radial parts of non-symmetric elements Sapporo Lectures on Representations in Lie Theory - An introduction and the beyond - (北海 道大学) 2007-8 3回連続講演 口頭 Spectral correspondence in the generalized Chevalley restriction theorem 日露共同研究ワークショ 2007-9 ップ (Tambov大学) 口頭 既約エルミート対称空間の間の 包含関係 2007年度表現論ワークシ ョップ (名古屋大学) 口頭 A complex analogue of the 日露ワークショップ Oshima compactification Harmonic Analysis on Homogeneous Spaces and Quantization 2008-2 寛 口頭 エルミート対称空間上の同変線 2008年度日本数学会年会 束に対する動径成分公式の一般 (函数解析学) 化 2008-3 関 秀 嗣 鈴 木 康 夫 Henri Orland 口頭 グラフトされた高分子電解質の 場の理論3 日本物理学会春季大会講 2007-3 演概要集 鈴 夫 口頭 物理分野における基礎学力評価 とリメディアル教育 日本リメディアル教育学 2007-9 会第2回全国大会 鈴 木 康 夫 Henri Orland 口頭 非対称クーロン系と高分子電解 質1 日本物理学会第62回年次 大会講演概要集 青 運営 Deformation Quantization & Representation Theory 山 下 省 蔵 Hiroshi Oda 織 田 寛 Hiroshi Oda 織 田 木 木 康 茂 S. Seki pp.370 2008-1 企画・座長 2007-10 chair 実行委員 日本顕微鏡学会 2001∼ 認定委員 日本顕微鏡学会 2005∼ 評議員 子 運営 仁 木 輝 緒 運営 電子顕微鏡技術者認定委員会 運営 蔵 2007-9 ALC/SIMS16合同拡大実 2008-2 行委員会 節 省 pp.338 The 16th International Conference on Secondary Ion Mass Spectrometry 下 アブストラクト pp.1314 運営 関 山 理工研数学講演会 (講師:Pevzer教授) 2008-12 運営 学習指導要領改訂協力者 文部科学省 2006-4∼ 副主査 運営 目指せスペシャリスト企画評価 会議協力者 文部科学省 2006-4∼ 主査 運営 研究指定校企画委員 国立教育施策研究所 2006-4∼ 委員 運営 理事会委員 日本工業技術教育学会 2006-4∼ 副会長 142 理工学総合研究所 運営委員 ○渋谷 昇 巻田 和男 木原幸一郎 三堀 邦彦 諸角 健 古屋 繁 理工学研究報告 編集委員 ○古屋 繁 藤本 一郎 長谷川 淳 加藤 正道 工藤 芳彰 古藤 薫 表紙デザイン 石田 光男 鳥井 貴彦 拓殖大学理工学研究報告 第10巻 第2号 平成20年12月10日 印 刷 平成20年12月10日 発 行 兼発行人 渋谷 昇 発 行 所 拓殖大学理工学総合研究所 東京都文京区小日向3−4−14 電話 03−3947−7597 (学務部 研究支援課) 印 刷 所 大東印刷工業株式会社
© Copyright 2024 Paperzz