34 班 A04042 東三河食肉流通センターにおける食肉衛生検査 (豊橋市保健所実習) 杉本 菜々子 A04084 森田 華奈子 A03086 森下 真至 ●食肉流通センターの概要 東三河食肉流通センターは、既存の小規模で老朽化した食肉流通センターに替わって平成 5 年 4 月に開設、操業開始した。ここは、最新設備を導入した衛生的で効率的な屠畜解体処理施設、 食肉加工施設を有する、総合的な食肉流通施設である。屠畜場開業に伴い、同センター内に「愛 知県食肉衛生検査所」を整備し衛生検査業務を開始した(豊橋市の中核市移行した際『豊橋市食肉 衛生検査所』となる)。 年度別の屠畜検査頭数は以下のグラフの通りである。 牛・豚の年度別屠畜検査頭数 14,000 12,000 10,000 牛 ・ 8,000 検 査 頭 6,000 数 4,000 2,000 牛 豚 0 220,000 215,000 210,000 205,000 200,000 195,000 190,000 185,000 180,000 175,000 170,000 165,000 160,000 豚 ・ 検 査 頭 数 年度 近年屠畜頭数が増加傾向にあるのは、解体処理施設に食肉加工処理施設が併設されたためであ る。さらに、流通の拠点となる卸売市場施設も有する。 ●屠畜解体ライン 牛解体室 豚解体室 剥皮 → 内臓摘出 → 背割 → 洗浄 → 整形 → 洗浄 → 懸肉 → 冷蔵 → 搬出 → 一次剥皮 → 内臓摘出 → 剥皮 → 背割 → 整形 → 洗浄 → 懸肉 → 冷蔵 → せり売り 包装・販売 → 屠殺・放血 冷蔵・処理 屠殺・放血 → 搬出 → 繋留 → 繋留 → → → 搬入 ︽小動物︾ 搬入 ︽大動物︾ ●食肉の流通経路と関連する法律 消費者 → → 小売店 → → 仲卸 問屋 食肉加工メーカー → → 卸売市場 → → ④食品衛生法 ④食品衛生法 ④食品衛生法 ③屠畜場法 中央卸売市場 地方指定市場 ④食品衛生法 ①家畜伝染病予防法 ②飼料安全法 等 農業団体 食肉センター → → 出荷団体等 → → 生産者 屠畜場 ①家畜伝染病予防法 家畜の伝染性疾病の発生、蔓延を防止するための法律。伝染病などが発生した際の届出や隔離 の義務、輸出入検疫等を定める。 ②飼料の安全性確保及び品質の改善に関する法律 飼料の安全を確保するため、飼料・飼料添加物などの製造方法や保存方法・表示などについて 定める。 ③屠畜場法 公衆衛生の立場から、屠畜場の経営及び食用に供するために行う獣畜の処理の適正を図るため に制定された法律。特に許された例外を除いて、屠畜場以外で食用を目的としたと畜解体は禁 止されている。 ④食品衛生法 食品及び添加物、器具容器包装や営業等についての規制が定められている。食肉については、 抗菌性物質などの残留量を定めた食肉の成分規格や、保存基準、調理基準などがある。 ●汚水処理設備 センター内には汚水処理設備も存在する。屠畜施設は処理頭数の上限が法により定められている が、それは汚水処理設備の能力に依存している。排水は微生物により浄化され、最終的には鯉が 泳げるほどきれいになる。 ● 精密検査 解体工程において現場検査である、生体、解体、枝肉検査で危険と判断されたものは精密検査に かけられる、精密検査には病理、理化学、BSE、微生物検査がある。 ・病理検査 病理検査では、病気が疑われたものの病理組織標本を作製し、細胞の状態を顕微鏡で観察して異 常がないかを調べる。 安全な肉が消費者の手に届くようにというのはもちろんだが、衛生検査所の人の一言で病気の動 物を廃棄させる権利がある。お客さんの大事な財産を預かっているのだから、きちんと調べて裏 づけしてフィードバックすることも重要な仕事だと言っていた。 ・理化学検査 密な空間で家畜を飼う際に、感染などを防ぐためにエサに抗生物質などの薬を混ぜて与えること はごく普通のことだと聞いた。そのような薬を与えた後、出荷されてはいけないという一定期間 が設けられているが、それでも農家の人が誤って出荷したり、守られていても病気に罹患した動 物によっては薬が残留していることがあるという。 そこで全頭検査にはさすがに無理があるため、見るからに病気のもの、弱っているもの、おかし いなと思うものについては使用頻度や体内残留性、毒性の高いものについてサーベイランス検査 を行う。 理化学検査では、有害残留物質対策として分析機器を用いて血液や食肉中の抗菌性物質、農薬、 駆虫薬等の有害物質を検査する。残留があるものについては、廃棄等の措置をとるとともに家畜 保健衛生所と連携をとり、再発防止に努めている。 薬剤等の残留を疑った獣畜の検査 抗生物質 牛 豚 ()内は陽性数 合成抗菌剤 寄生虫剤 合計 実頭数 117(4) 114(5) 128(1) 326(6) 検査件数 114(4) 912(5) 384(1) 1,413(10) 実頭数 1,221(12) 1,117(5) 551(30) 3,373(47) 検査件数 1,221(12) 8,937(5) 1,653(30) 11,811(47) 昨年度は陽性と判定されたもののうち、 ・牛 3 頭(合成抗菌剤 2 頭、寄生虫剤 1 頭) ・豚 19 頭(抗生物質 2 頭、合成抗菌剤 3 頭、寄生虫剤 14 頭) が食品衛生法違反で廃棄命令処分された。 ・食品衛生法(第 11 条第 3 項)に基づく残留動物用医薬品等検査 平成 15 年の食品衛生法改正に基づいて、「ポジティブリスト制度」が今年の 5 月 29 日から施行 されている。ポジティブリスト制度とは、食品中に残留する農薬、試料添加物及び動物医薬品(農 薬等)について、一定の量を超えて農薬等が残留する食品の販売等を禁止するという新しい制度 のことをいう。この制度の導入によって、残留基準が設定されていない無登録農薬が食品から検 出される場合などの従来では規制できなかった場合でも、その食品の販売禁止などの規制の対象 になるようになった。 http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/zanryu2/index.html サーベイランス検査の他にも、市独自、厚生労働省のモニタリング検査、さらに豊橋市の食肉衛 生検査所の残留動物用医薬品検査実施要領による内部精度管理、また、外部精度管理も行われて いる。 疑いをかけたものだけではなく、法に定められている抜き打ち検査などもやることによって、安 全性を確かにしているといえる。 ・ BSE(牛海面状脳症)検査 BSE 対策事業のひとつで、解体され、販売される牛が BSE に罹患していないかを検査する。牛 は一頭一頭検査され、解体業務が終了する昼過ぎより数時間遅くにその日の検査結果をだす。 方法としては危険部位である延髄の「かんぬき」部分を採取し異常プリオンの有無を検査してい く、これはかんぬき部分に異常プリオンがたまりやすいからである。 なお東三河食肉衛生検査所では「豊橋牛海面体状脳症対策事業要領」に基づき BSE 対策の徹底を 図っている。それにより対策事業としては以下のようになった。 ・生体検査の強化 搬入の時点で複数の検査員での実施や、搬入される全ての牛について「と畜牛育成履歴申告書」 を添付や、病牛について、臨床獣医師の「診断書」及び必要に応じて家畜防疫員の「BSE の臨床 症状が無い旨の確認書」の添付の義務づけで、搬入防止している。 ・ 処理工程における対策 合成樹脂製のピッキングワイヤーを使用し、1頭処理する毎に交換したり、脊髄の吸引除去し、 焼却する。また背割のときにのこぎりの刃を洗浄、消毒を徹底する。 そのほか危険部位である回腸末端部2mを焼却除去、頭部の洗浄枝肉の洗浄、検査結果でるまで の衛生的な保管をしている。 ・ BSE 知識の普及 BSE の風評被害を防止するため、一般消費者を対象に講習会、施設見学会を開催し、BSE の正し い知識の普及、啓発に努めている。 これらは牛海綿状脳症対策特別措置法により定められており、この法律第7条よると「と畜場内 で解体された厚生労働省令で定める月齢以上(21 月)の牛の肉、内臓、血液、骨及び皮は、別に 法律又はこれに基づく命令で定めるところにより、都道府県知事又は保健所を設置する市の長の 行う牛海綿状脳症に係る検査を経た後でなければ、と畜場外に持ち出してはならない。」とある。 また危険部位の持ち出しの禁止や解体後の殺菌なども定められている。 (と畜場における牛海綿状脳症に係る検査等) 第7条 と畜場内で解体された厚生労働省令で定める月齢以上の牛の肉、内臓、血液、骨及び皮 は、別に法律又はこれに基づく命令で定めるところにより、都道府県知事又は保健所を 設置する市の長の行う牛海綿状脳症に係る検査を経た後でなければ、と畜場外に持ち出 してはならない。ただし、と畜場法(昭和 28 年法律第 114 号)第 14 条第3項ただし書に 該当するときは、この限りでない。 2 と畜場の設置者又は管理者は、別に法律又はこれに基づく命令で定めるところにより、 牛の脳及びせき髄その他の厚生労働省令で定める牛の部位(次項において「牛の特定部 位」という。 )については、焼却することにより衛生上支障のないように処理しなければ ならない。ただし、学術研究の用に供するため都道府県知事又は保健所を設置する市の 長の許可を受けた場合その他厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。 3 と畜業者その他獣畜のと殺又は解体を行う者は、別に法律又はこれに基づく命令で定め るところにより、と畜場内において牛のと殺又は解体を行う場合には、牛の特定部位に よる牛の枝肉及び食用に供する内臓の汚染を防ぐように処理しなければならない。 http://niah.naro.affrc.go.jp/sat/joseki/Houki/KADENHO/3frame_BSEtaisakuho_all.htm ・ 微生物検査 なにかしらの症状、または感染症があると判断された場合、豚、牛にかかわらず微生物検査に かけられる。 微生物検査は検査対象の組織(脳、内臓)などを用いて、微生物を培養、決定する。比較的よ くでるものとして、敗血症による黄色ブドウ球菌などがある。 以上のような工程により消費者に安全な食肉を届けている。 ● 最後に 色々な公衆衛生により人体への感染また、病状による健康の阻害をふせぐ処置が行われているが、 今回実習(見学)させていただいたこのような食肉衛生検査場においてでさえ、細かな検査、ま た確かな検査を行っている。このことにより日頃何気なく口にしている物が法律の整備と、それ にたずさわる人たちの努力により安全が保たれているかが実感できた。 個人レポート A04042 杉本 菜々子 ・工夫点 食肉流通センターについて:規模を大きくして最新機器を導入することで、衛生的に加工をし ている点。 冷蔵輸送・冷凍輸送の技術が未発達だった頃は、その地域で消費する食肉はその地域で加工す るのが一般的であった。東三河にも、豊橋市・豊川市・渥美町に食肉加工処理施設があったが、 冷蔵車・冷凍車が普及し肉の長距離輸送が可能になると、処理施設を 1 箇所にまとめて大規模化 させた。このような処理施設の統合は国も推進しており、センター設立に当たり補助金も支給さ れた。 ・改善点 東三河食肉流通センターの屠畜施設には、地元産の牛や豚の他にも、これらの名産地である鹿 児島県や宮崎県からも牛・豚が輸送されてきて、ここで解体されている。私がそこで疑問に思っ たのは、屠殺前の生きた状態で動物を輸送するよりも、加工した状態で輸送した方がコストが安 くなるのではないか、ということである。冷凍・冷蔵車を用いることは家畜輸送車よりも割高か も知れないが、解体した枝肉の状態の方が一度にたくさん輸送できる。なぜ生きた状態で家畜を 輸送するのか、加工した状態で消費先に持って来ることはないのか聞いてみた。 コストについては、おそらく両者にはそれほどの差はなく、どちらの方が高くなるかはよく分 からないようである。それではなぜ消費地で解体するのかというと、東三河食肉流通センターの ような大規模な処理施設は非常に衛生的であるので、そこで屠畜・解体することで付加価値が上 がるためである。かつては、例えば神戸牛なら神戸の印鑑が押された物の方が価値が上がったが、 今はそうではないようだ。また、一昔前には生産場所ではなく処理場所・加工場所が産地名とし て流通することが、どのような農作物・畜産物でもあったようだが、今は産地表示に対する社会 の眼が大変厳しいと言う。 更に、解体された肉は同センター内の卸売市場で競りに掛けられるが、加工した状態の肉を持 ってきてそれを競りに掛けるということは一般的でないようである。施設内で屠殺・解体した肉 をそのまま競りに掛ける、というのが普通であるそうだ。 後になって考えてみると、恐らく九州などの遠隔地から牛・豚が運ばれて来ると言っても、一 度に何十頭も輸送されることはないだろうと思う。特に牛は、一頭からかなりの量の食肉が得ら れると予想される。なので、数頭を運ぶのならば家畜輸送車 1 台で十分であり、冷凍・冷蔵車よ りも低コストなのかなと思った。 見学に行った日は、屠殺・解体は午前中に終わっていた。豚 600 頭台ならば午前中に終わらせ てしまい、1000 頭を越すぐらいになると午後も行うようである。解体作業には高温の湯や蒸気を 多用するため、特に高所で作業している人は、蒸気が上昇して来て身体的負担が大きくなると言 う。屠殺・解体施設内はほとんどエアコンが整備されておらず、見学に行った際も少し蒸し暑い 気がした。水や湯を大量に使用するため湿度も高く、夏場はもっと暑いのだろうと思った。従業 員の労働環境や食肉の衛生面も考えると、エアコンや空気清浄機を完備するのが望ましいと思っ た。質問しそびれてしまったが、それは経済的な理由から出来ないのか、その他作業に関わる理 由から出来ないのか、疑問に思った。 個人レポート A04084 森田華奈子 ・工夫点/がんばっていた点/良いと思った点(食肉衛生検査) 労働者への配慮:今回の見学は午後 13:30∼ぐらいで、ちょうど作業がすべて終わった ところであった。作業場は密集しているために色々な熱気で、夏場は特に蒸し暑かったり と快適な状態ではなく、作業時間がなるべく短く済むように考慮しているとのことだった。 衛生面の配慮:食肉衛生検査所なのだから当たり前ではあるが、各ステップごとに次亜 塩素酸で長靴を洗ったり、ナイフを逐一消毒するウォーターバスみたいなのがあったりと 衛生面が徹底していた。私たちが見学をしたときには、作業場がたくさんの動物がと殺さ れていることを思わせないぐらいきれいであった。 フィードバックシステム:よりよいお肉を届けるために、微生物部では作業工程へのフ ィードバックをしていた。手指、機械器具、作業台、前掛けの洗浄や消毒の徹底、また、 剥皮後の枝肉の取り扱いについてなどを細菌検査をもとに衛生管理責任者と作業責任者 が話し合ったりしているとのことだった。さらに、農家のほうへのフィードバックもあっ た。作業中にメモをとったりはできないため、音声で気付いた点を録音してフィードバッ クするシステムをとっていた。 安全性・信頼:病理検査のところでは、様々な病気があって表れる症状も様々と聞いた。 そこで、全部の動物について精密検査をしているわけではないとのことだったので、病気 を見逃してしまったりすることはないのかと尋ねた際に、それは絶対にないと自信をもっ て答えが返ってきたときには安心した。経験的に病気であるかないかはわかり、さらに検 査が何重にも行われているから安全性は絶対だとおっしゃっていた。 さらに、BSE 検査のところでも、平成 17 年 8 月 1 日から 20 ヶ月齢以下の牛は BSE 対 象から除外されたが、不安解消のために 20 ヶ月齢以下の牛でも引き続き検査をしていた。 衛生面、そして BSE、残留農薬、偽装表示などの問題で食の安全や安心に対する消費者 の関心にとても気を配っていると感じられた。さらに、法律でとても細かいところまで厳 しく取り締まられていることがわかった。 ・発見した点(食肉衛生検査) 白衣に着替える女子更衣室にコルセットがおいてあったのを発見。産業医の先生の特別 講義で習ったように、この仕事は重労働であり、それに対してきちんと対策が取られてい るのだと感じた。 ・改善点/もっとこうしたらいいのにと思った点/疑問点(食肉衛生検査) すべてがとても良くオーガナイズされた流れ作業となっていて感心した。ただ、よくわ からなかったのはなぜ現場検査だけでなく、精密検査の方も獣医師が中心となってやって いたのかということ。もちろんこのような仕事は必要だとわかるし、獣医師がやることに 異議はない。しかし、動物が好きで獣医師になった人も多そうなのに、大量に動物がと殺 されているこのような場所でたくさんの獣医師さんが働いていることを不思議に思った。 薬学部を卒業した人ではいけないのか。検査技師のような人ではいけないのか。理化学検 査の方は分析機器をたくさん使っていて、高速液体クロマトグラフィーなどの機械は薬学 部の人の方がよくわかるとも言っていた。 ただ数値を読めばよいという単純な作業のように見えるものであっても、動物と密接に 関係するところがあるのだろうか。 →調べてみると、臨検検査、収去検査、監視指導等を行う食品衛生監視員という仕事は、 技術系公務員であって、保健所に所属する医師、獣医師、薬剤師等認められた人しかなれ ないとのことだった。それでもあの施設において獣医師ばかりじゃなくてもいいのではと 個人的には思ってしまう。(食品衛生法第 30 条) ・驚いた点(保健所業務) 結核への対処について、午前中に管理課の方から説明を頂いた。その際に、治療後も家 庭訪問や管理検診などがあると聞き、住所不特定の人はどうしているのだろうかと私は疑 問に思った。同じ場所にいるとは限らないので追跡するのが難しく、さらに結核への対処 が遅ければ公園などの公共の場で一気に病気が蔓延してしまうのではないかと感じた。 その疑問に一緒にオリエンテーションを受けた研修医の先生が答えてくださった;それ こそジャパニーズドリームだと。住所不特定の人が結核に罹患した場合、公費で住むとこ ろもごはんも提供されるとのこと。確かに結核予防法第 34、35 条適用について教えてい ただいたばかりだった。彼らのためだけではなく、地域全体に蔓延させないためにも、そ のような措置は必要なのだろう。 結核に罹患して隔離されるという措置に「差別」を感じるのとは逆に、住所不特定の人 にとってそれは「優遇」のようであるギャップに私は驚いた。 ・まとめ/感想(全体を通して) 今回は保健所の職務、食肉衛生検査所で食品の安全について学ばせていただいた。同じ 目標に向かって働いている人がたくさんいて、単に病院での診療という形だけでなく、様々 な方法で、たくさんの人々や法律を介して国民の健康は守られていることを実感した。 さらに、獣医師免許=動物病院や動物園、医師免許=病院という私の固定イメージは崩 された。医師=保健所の所長、獣医師=食品衛生監視員だったりと。特別講義の際にも同 じようなことを感じたが、これから自分がどのような道に進むかわからないけど、臨床医 だけではなく色々な可能性があることを頭の片隅に残しておこうと思う。 個人レポート A03086 実習場所 森下真至 豊橋市保健所 食肉衛生検査場 午前中は、保健所でお話をうかがった。大学の講義で聞いた話と同じ話が中心で、少し残 念だった。実家が徒歩 10 分にある身であるが、今まで保健所にお世話になる機会がなかっ た。市民向けの講座も市民への知名度をもっと上げられるとよいだろう。教育委員会など に働きかけて小、中学校などから保健所に親近感を持たせれば、市民向けの健康活動や広 報活動、講座、予防接種等もスムーズに行けるのではないかと思う。 食肉衛生検査場では日頃めったにお目にかからない場所で業務が終了していたのが多少残 念だが、なかなかよかった。ただ法律で決まっているとはいえ、獣医師が検査をしなけれ ばならない場面が多く、話を聞くと「ここに就職してから初めて覚えるものが多い。薬剤 師の人のほうがどっちかっていうと専門分野」といっていた場面もあり、人材の使い方を 多少考慮すべき点があるのかもしれない。確かに病理学検査や微生物検査、BSE 検査など は獣医師などの知識が必要になる場面もあるが、現場にあった人材を入れていくべきだろ う。 実際の工場では外国人労働者が多く就業していて、現在では昔と違い、解体は特殊職では ないため外国人就業者が多いとのことだった。だが外国人就業者ではライン工程で見過ご しがありそうだが、検査場でわかった肉眼的にわかる症状などを実際の工場のラインに指 導して見過ごしがないようにしているとのことだった。このような現場とのフィードバッ クが食肉の安全がまもられているのには感心した。 汚水処理や牛、豚の焼却処理にしても徹底していたこういった衛生面での安全が大事だと 思った。
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