真愛園光寮 - 福岡県社会福祉協議会

第三者評価結果の公表事項(母子生活支援施設)
①第三者評価機関名
公益社団法人 福岡県社会福祉士会
②施設名等
名 称: 真愛園光寮
種 別: 母子生活支援施設
施設長氏名: 岩橋 一比古
定 員: 15世帯
所 在 地: 福岡県朝倉市甘木1696-1
T E L : 0946-22-9240
③実施調査日
平成 27 年 2 月 9 日(月)・ 2 月 13 日(金)
④総評
◇特に評価が高い点
1.母親と子どもの意向や主体性を尊重した支援
●支援にかかわる職員の姿勢として、日ごろから母親と子どもの課題に真摯に向き合い、母
親と子どもを理解・尊重した支援が行われています。
●母親たちの話し合いの場(「母の会」―月1回)や子どもたちの話し合いの場(「子ども
会」―長期休暇中の前に開催)により、母親や子どもの意向を把握し(会の進行は担当を決
め母親や子ども各々で持ち回り)、母親や子どもの実態に沿った支援につなげられていま
す。
●母親および子どもとそれぞれ一人ずつ少なくとも年3回面談の機会を持ち、一人ひとりの
ニーズに即した支援が行われています。
2.母親と子どもの状況に配慮したきめ細やかな支援
●DVによる入所(広域対応)の事例が多く、職員は母親と子どもの不安・心配の解消を図る
ために、まず母親と子どもに寄り添い、支持的態度で支援にかかわっています。
●母親と子どもの身の安全確保の見通しが立つまでの間、生活用品の買い物や離婚調停の手
続きなど職員による手厚い同行支援が行われています。
1
◇改善が求められる点
1.自立支援計画と記録
●年度途中においてアセスメントを行い、自立支援計画の見直しが行われていますが、見直
しの手順や時期等が不明確です。適切な支援を行うためには、職員間の共通認識と一定の水
準の保持が必要であり、相応の整備が求められます。
2.事故防止と安全対策
●リスク管理についてはハード面や連絡体制については十分に図られていますが、対応すべ
き手順やマニュアル等の整備が不十分です。母親と子どもの安全を確保するためには、ハー
ド面の整備のみならず、緊急時に適切に対応できるための手順・マニュアル等の整備と職員
への周知が求められます。また、ヒヤリハット事例の収集・分析・検証などを通して事故の
未然防止策の策定・実践が求められます。
3.中・長期的なビジョンと計画の策定
●寮(法人)として現実に困っている母親と子どもの保護と生活の安定への支援が最優先さ
れていますが、具体的な運営展開としての中・長期ビジョンは未整備の状況です。運営理念
や基本方針の実現に向けた将来像や目標(ビジョン)を明確にし、現状分析とともにハー
ド・ソフト面、さらには組織体制の整備等を含めた中・長期計画の策定が求められます。
●事業計画は事業活動として具体的内容が明示されていますが、前年度の実施状況の課題の
把握や分析・評価が反映されているか明確でありません。また、中・長期計画が策定されて
いないため、事業効果や達成度が確認できにくい状況にあります。効果的な事業運営のため
には、中・長期計画や各年度における事業内容とリンクした事業計画の策定が求められま
す。
4.標準的な実施方法の確立
●マニュアルや手順書の類はほとんど未整備の状況です。マニュアルや手順書を整備し見直
しを行うことにより、支援の質に関する職員の共通意識を育てるとともに、PDCAのサイクル
によって、質に関する検討を継続的に行い、支援の質の向上を常に図る必要があります。
5.職員の資質向上と人事管理の体制整備
●職員の意識改革を促進し専門性を高めるため、事業計画に各種研修会への参加を位置づけ
ていますが、基本方針を受け中・長期的な展開として職員が必要とする専門性や資格など、
具体的な計画が明示されておりません。寮が求める職員への期待感・人物像・専門性等を基
本方針に位置づけ、長期展望のもとに寮としての目的意識を明確にされることが求められま
す。
●外部研修は職員一人ひとりの必要性に応じた受講を主体としていますが、寮の基本姿勢に
沿った計画的な教育・研修計画に基づくものとしての位置づけとはなっておりません。ま
た、教育・研修計画は職員の経験や専門性を把握し、各自のキャリアデザインにいかされた
ものとしては作成されておりません。職員の資質向上を継続的に図るためには、職員の実態
や意向を把握するとともに、寮が求める職員の資質・スキル・知識についての人材育成の仕
組みが求められます。
⑤第三者評価結果に対する施設のコメント
第三者評価を受けるにあたり、施設として今まで利用者の方々にどれだけ満足できる生活
を提供する事ができていたのか職員として振り返りの期間や見直す機会を与えて頂いたと感
じております。
施設に対してご指摘頂いた課題を検討して、改善していきたいと考えています。
2
⑥第三者評価結果(別紙)
(別紙)
第三者評価結果(母子生活支援施設)
1 支援
(1)
第三者
評価結果
支援の基本
①
母親と子どもそれぞれの個別の課題に対応して、専門的支援を行って
いる。
b
(2) 入所初期の支援
①
入所に当たり、母親と子どもそれぞれの生活課題・ニーズを把握し、
生活の安定に向けた支援を行っている。
b
②
新しい生活環境に適応できるよう、精神的な安定をもたらす支援を
行っている。
b
◇特に評価が高い点
●DVによる入所(広域対応)の事例が多く、職員は母親と子どもの不安・心配の解消を図る
ために、まず母親と子どもに寄り添い、支持的態度で支援にかかわっています。
●母親と子どもの身の安全確保の見通しが立つまでの間、生活用品の買い物や離婚調停の手
続きなど職員による手厚い同行支援が行われています。
◇改善が求められる点
●居住棟は2DK1棟(4階建)ですが、エレベーター等の設置はありません。建物のユニバーサ
ルデザイン仕様が求められている現況下、肢体不自由等の母親や子どもが寮内の移動に支障
を生じないようなエレベーターの設置等、中・長期計画の改築計画に取り入れられることを
望みます。
第三者
評価結果
(3) 母親への日常生活支援
①
②
③
母親が、安定した家庭生活を営むために必要な支援を行っている。
母親の子育てのニーズに対応するとともに、子どもとの適切なかかわ
りができるよう支援している。
母親が安定した対人関係を築くための支援を行っている。
b
b
b
(4) 子どもへの支援
①
②
③
④
健やかな子どもの育ちを保障するために、養育・保育に関する支援を
行っている。
子どもが自立に必要な力を身につけるために、学習や進路、悩み等へ
の相談支援を行っている。
子どもに安らぎと心地よさを与えられるおとなとのかかわりや、子ど
もどうしのつきあいに配慮して、人と人との関係づくりについて支援
している。
子どもの年齢・発達段階に応じて、性についての正しい知識を得る機
会を設け、思いやりの心を育む支援を行っている。
3
b
b
b
c
◇特に評価が高い点
●母親のリフレッシュのため、母親の状況に応じて子どもを預かり、寮内保育が行われてい
ます。
●母親の勤務の継続を確保するため、残業時や子どもの体調不良時の学童保育・保育所のお
迎えの代行が、母親からの依頼・了解のもとに行われています。
●「母の会」(寮内自治組織)の活動を通して、母親や子ども同士の関係性の調整・改善の
支援が行われています。
●毎月1回、各世帯のリクエストによる料理教室が催されています。
●寮内の子ども会で長期休暇の前に休暇中の生活ルールなどについて、子どもの司会による
話し合いを持ち、その内容を子どもが記録、子どもの自主性の育成につとめられています。
●不登校(気味)の子どもには、母親の了解のもと、学校と連携を図り、職員による登下校
介助が行われています。
◇改善が求められる点
●学習支援ボランティアの受け入れが行われておりません。子どもの社会性の育成や多様性
への適応力を増すために、ボランティアとの出会いの機会をより図ることが求められます。
●相談はできるだけ同性の職員が対応するような態勢がとられていますが、個別対応の範囲
にとどまっており、性についての具体的な取り組みが十分とは認められません。性教育は生
命の尊厳や自己尊重の観点から、職員も十分に理解したうえで、外部の専門家による実施を
含め子どもの成長・発達過程に応じた効果的な実施が求められます。
第三者
評価結果
(5) DV被害からの回避・回復
①
母親と子どもの緊急利用に適切に対応する体制を整備している。
②
母親と子どもの安全確保のために、DV防止法に基づく保護命令や支
援措置が必要な場合は、適切な情報提供と支援を行っている。
母親と子どもの安全確保を適切に行うために、必要な体制を整備して
いる。
心理的ケア等を実施し、DVの影響からの回復を支援している。
③
④
b
b
b
b
(6) 子どもの虐待状況への対応
①
被虐待児に対しては虐待に関する専門性を持ってかかわり、虐待体験
からの回復を支援している。
b
② 子どもの権利擁護を図るために、関係機関との連携を行っている。
b
◇特に評価が高い点
●母親と子どもの身の安全確保の見通しが立つまでの間、生活用品の買い物や離婚調停の手
続きなど職員による手厚い同行支援が行われています。
●ケースによっては、児童相談所(以下、児相という)、措置機関(福祉事務所)、保育所
等との要支援児童ケース会議を開催し、問題の解決を図っています。
●支援が必要な子どもについては、児相や心療内科(精神科)等と連携し、職員が同行する
ことで、母親や子どもの精神的な安定や負担軽減を図っています。
4
第三者評
価結果
(7) 家族関係への支援
①
母親や子どもの家族関係の悩みや不安に対する相談・支援を行ってい
る。
b
(8) 特別な配慮の必要な母親、子どもへの支援
①
障害や精神疾患のある母親や子ども、その他の配慮が必要な母親と子
a
どもに対する支援を適切に行い、必要に応じて関係機関と連携してい
る。
◇特に評価が高い点
●母親と子どもの悩みや不安を受け止めるため、職員は即時対応をもって相談に応じるとと
もに、精神疾患等特別な配慮が必要な母親と子どもについては、細やかで手厚い同行支援が
行われています。
第三者
評価結果
(9) 主体性を尊重した日常生活
①
②
日常生活への支援は、母親や子どもの主体性を尊重して行っている。
行事などのプログラムは、母親や子どもが参画しやすいように工夫
し、計画・実施している。
b
b
(10) 就労支援
①
②
母親の職業能力開発や就労支援を適切に行っている。
就労継続が困難な母親への支援を行い、必要に応じて職場等との関係
調整を行っている。
b
b
◇特に評価が高い点
●母親と子どもに寄り添いながら定期的に面談を行うことにより、ニーズや課題を把握し、
適切な支援につなげられています。
●「母の会」(寮内自治組織)や「子ども会」活動を通して母親や子どもの意向を把握し、
母親や子どもが行事などに積極的に参加できるように、さまざまな工夫が行われています。
●職員は母親の就労希望を丁寧に聴き取り、ハローワーク等から積極的に求職情報を収集し
母親に提供するとともに、必要に応じてハローワークへの同行や就労先との連絡・調整役を
担っています。
第三者
評価結果
(11)支援の継続性とアフターケア
①
施設の変更又は変更による受入れを行うに当たり、継続性に配慮した
対応を行っている。
b
②
母親と子どもが安定した生活を送ることができるよう、退所後の支援
を行っている。
b
◇特に評価が高い点
●施設の変更や移行先からの受け入れにあたっては、母親や子どもの不安をできるだけ解消
し、安心・安全の生活が継続できるように施設間で連携を図り、円滑な移行に取り組まれて
います。
●退所後であっても、子どもが不登校気味である場合などフォローが必要な場合には、登下
校の際に同行支援が行われています。
5
2 自立支援計画、記録
(1) アセスメントの実施と自立支援計画の策定
①
②
③
母親と子どもの心身の状況や、生活状況を把握するため、手順を定め
てアセスメントを行い、母親と子どもの個々の課題を具体的に明示し
ている。
アセスメントに基づいて子ども一人一人の自立支援計画を策定するた
めの体制を確立し、実際に機能させている。
自立支援計画について、定期的に実施状況の振り返りや評価と計画の
見直しを行う手順を施設として定め、実施している。
第三者
評価結果
c
b
c
(2) 記録の作成と適正な管理
①
母親と子ども一人一人の支援の実施状況を適切に記録している。
b
②
母親と子ども等に関する記録の管理について、規程を定めるなど管理
体制を確立し、適切に管理を行っている。
b
③
母親と子ども等の状況等に関する情報を職員が共有するための具体的
な取組を行っている。
b
④
日々の業務について支援内容を適切に記録し、支援の分析・検証や職
b
員間の情報共有に活用するとともに、説明責任を果たす取組を行って
いる。
◇特に評価が高い点
●職員間の情報共有の手段として、業務日誌、各会議録、ケース記録のほか、職員の引き継
ぎを兼ねた「連絡帳」を活用し、即時的・横断的に寮内の情報が的確に届く方法がとられて
おり、職員間で情報共有が図られるとともに、母親と子どもへの効果的な支援につなげられ
ています。
◇改善が求められる点
●年度途中においてアセスメントを行い、自立支援計画の見直しが行われていますが、見直
しの手順や時期等が不明確です。適切な支援を行うためには、職員間の共通認識と一定の水
準の保持が必要であり、相応の整備が求められます。
●「個人情報管理規程」を設け、規程に沿った体制がひととおり整備されていますが、開示
を求められることを想定して、円滑な対応が行えるよう手順等の整備も求められます。
6
3 権利擁護
(1) 母親と子どもの尊重と最善の利益の考慮
第三者
評価結果
①
母親と子どもを尊重した支援についての基本姿勢を明示し、職員が共
通の理解を持つための取組を行っている。
b
②
社会的養護が、母親と子どもの最善の利益を目指して行われることを
職員が共通して理解し、日々の支援において実践している。
a
③
母親と子どものプライバシー保護に関する規程・マニュアル等を整備
し、職員に周知するための取組を行っている。
母親と子どもの思想や信教の自由を保障している。
④
c
c
(2) 母親と子どもの意向や主体性の配慮
①
②
③
母親と子どもの意向を把握する具体的な仕組みを整備し、その結果を
踏まえて、支援の内容の改善に向けた取組を行っている。
母親や子どもが、自分たちの生活全般について自主的に考える活動
(施設内の自治活動等)を推進し、施設における生活改善に向けて積
極的に取り組んでいる。
施設が行う支援について事前に説明し、母親と子どもそれぞれが主体
的に選択(自己決定)できるよう支援している。
b
b
a
◇特に評価が高い点
●支援にかかわる職員の姿勢として、日ごろから母親と子どもの課題に真摯に向き合い、母
親と子どもを理解・尊重した支援が行われています。
●母親たちの話し合いの場(「母の会」―月1回)や子どもたちの話し合いの場(「子ども
会」―長期休暇中の前に開催)により、母親や子どもの意向を把握し(会の進行は担当を決
め母親や子ども各々で持ち回り)、母親や子どもの実態に沿った支援につなげられていま
す。
●母親および子どもとそれぞれ一人ずつ少なくとも年3回面談の機会を持ち、一人ひとりの
ニーズに即した支援が行われています。
◇改善が求められる点
●母親と子どものプライバシー保護に関し職員の具体的な配慮は十分に感じられますが、職
員間の申し合わせ事項として入所者のプライバシーを侵害しないような取り決めがなされて
いる程度で明文化されたものがなく、規程・マニュアル等の整備が不十分です。母親と子ど
もが寮においてより安心して生活をするためには、プライバシー保護に関する規程・マニュ
アル等を作成し、職員に周知することが求められます。
●寮のパンフレットや入所者のしおりには思想や信教の自由の保障が明示されておりませ
ん。個人の尊厳と基本的人権の尊重という理念の確立という視点からも、明確に明示するこ
とが求められます。
7
第三者
評価結果
(3) 入所時の説明等
①
②
母親と子ども等に対して、支援の内容を正しく理解できるような工夫
を行い、情報の提供を行っている。
入所時に、施設で定めた様式に基づき支援の内容や施設での約束ごと
について母親と子ども等にわかりやすく説明している。
b
b
(4) 母親や子どもが意見や苦情を述べやすい環境
①
②
③
母親と子どもが相談したり意見を述べたい時に相談方法や相談相手を
選択できる環境を整備し、母親と子どもに伝えるための取組を行って
いる。
苦情解決の仕組みを確立し、母親と子ども等に周知する取組を行うと
ともに、苦情解決の仕組みを機能させている。
母親と子ども等からの意見や苦情等に対して対応マニュアルを整備
し、迅速に対応している。
b
b
c
(5) 権利侵害への対応
①
②
いかなる場合においても、職員等による暴力や脅かし、人格的辱め、
心理的虐待、セクシャルハラスメントなどの不適切なかかわりが起こ
らないよう権利侵害を防止している。
c
いかなる場合においても、母親や子どもが、暴力や脅かし、人格を辱
めるような不適切な行為を行わないよう徹底している。
b
③
子どもに対する暴力や脅かし、人格を辱めるような不適切なかかわり
b
の防止と早期発見に取り組んでいる。
◇特に評価が高い点
●入所時の説明は「入所者のしおり」により、寮の生活全般や火災予防・避難の手順等を含
み分かりやすく説明されています。
●あらゆる機会に母親や子どもの訴えやサインを見逃さないように、母親と子どもの生活全
般への目配り、気配りに職員全員が日頃から留意することにより、不適切な行為が生じない
ように配慮されています。
◇改善が求められる点
●苦情解決については「要望等解決に関する規程」を設け、対応が図られていますが、苦情
といった形で表面化することが見られないこともあり、関係書類等がほとんど未整備の状況
です。規程制定の趣旨をいかして、意見・要望等の収集方法やフィードバックについて、よ
り積極的な取り組みを望みます。
●体罰の禁止や権利侵害の防止および職員から母親や子どもへの暴力やセクシャルハラスメ
ント等の不適切なかかわりの防止に関し、就業規則等に明示がなく、対応マニュアル等は整
備されておりません。職員による母親や子どもへの不適切なかかわりによる権利侵害を生じ
ないように、その防止策を規定し、併せて対応マニュアルを整備するとともに職員への周知
が求められます。
8
4 事故防止と安全対策
第三者
評価結果
①
事故、感染症の発生時など緊急時の母親と子どもの安全確保のため
に、組織として体制を整備し、機能させている。
②
③
災害時に対する母親と子どもの安全確保のための取組を行っている。
母親と子どもの安全を脅かす事例を組織として収集し、要因分析と対
応策の検討を行い、母親と子どもの安全確保のためにリスクを把握し
対策を実施している。
c
b
c
④ 十分な夜間管理の体制を整備している。
b
◇特に評価が高い点
●警備用機器として、防犯カメラ(敷地内8、居室前の廊下6)、玄関に人感センサー付照
明、警備会社通報システムを導入されています。
◇改善が求められる点
●リスク管理についてはハード面や連絡体制については十分に図られていますが、対応すべ
き手順やマニュアル等の整備が不十分です。母親と子どもの安全を確保するためには、ハー
ド面の整備のみならず、緊急時に適切に対応できるための手順・マニュアル等の整備と職員
への周知が求められます。また、ヒヤリハット事例の収集・分析・検証などを通して事故の
未然防止策の策定・実践が求められます。
5 関係機関連携・地域支援
第三者
評価結果
(1) 関係機関との連携
①
②
施設の役割や機能を達成するために必要となる社会資源を明確にし、
児童相談所など関係機関・団体の機能や連絡方法を体系的に明示し、
その情報を職員間で共有している。
児童相談所等の関係機関等との連携を適切に行い、定期的な連携の機
会を確保し、具体的な取組や事例検討を行っている。
b
b
(2) 地域社会への参加、交流の促進
①
②
③
母親と子どもと地域との交流を大切にし、交流を広げるための地域へ
の働きかけを行っている。
施設が有する機能を地域に開放・提供する取組を積極的に行ってい
る。
ボランティア受入れに対する基本姿勢を明確にし、受入れについての
体制を整備している。
b
b
b
(3) 地域支援
①
②
地域の具体的な福祉ニーズを把握するための取組を積極的に行ってい
る。
地域の福祉ニーズに基づき、施設の機能を活かして地域の子育てを支
援する事業や活動を行っている。
9
c
c
◇特に評価が高い点
●年度末の子どもの進級・卒業祝いの際に、小中学校長、地域の民生委員等を招待し、子ど
もの生活の実情や母子生活支援の役割についての理解を得る機会とされています。
●町内会には寮単位で加入、寮周りの清掃や不燃物回収の際の整理回収の当番活動が行われ
ています。子どもは地域の子ども会に加入、地域行事などに参加しています。
●寮の納涼会(夏祭り)には、職員が手づくりの案内文を町内に配布し、招待するととも
に、地域の行事には子どもを中心に積極的な参加が行われています。
◇改善が求められる点
●より積極的なボランティア受け入れのための工夫が必要です。ボランティア活動は地域社
会との交流を図り、母親と子どもにとっても多様な経験を重ねることにより、自立支援や自
己実現につながることが期待できます。種々のボランティア受け入れを念頭に置いた一層の
充実が求められます。
●学習室を民生委員や町内の会合等に提供することを通じて、意見交換、交流がすすめられ
ていますが、地域の福祉ニーズの把握までには至っておりません。また、寮の機能が地域に
提供されるような仕組みが講じられておりません。寮の役割として地域における福祉力の向
上等への貢献も含まれることから、福祉ニーズを把握するための積極的な取り組みが求めら
れるとともに、寮の機能や情報を効果的に地域に提供する仕組みの構築が求められます。
6 職員の資質向上
第三者
評価結果
①
②
③
④
組織として職員の教育・研修に関する基本姿勢が明示されている。
職員一人一人について、基本姿勢に沿った教育・研修計画が策定され
計画に基づいて具体的な取組が行われている。
定期的に個別の教育・研修計画の評価・見直しを行い、次の研修計画
に反映させている。
スーパービジョンの体制をつくり、施設全体の支援の質を管理し、職
員の援助技術の向上を図っている。
c
c
c
b
◇改善が求められる点
●職員の意識改革を促進し専門性を高めるため、事業計画に各種研修会への参加を位置づけ
ていますが、基本方針を受け中・長期的な展開として職員が必要とする専門性や資格など、
具体的な計画が明示されておりません。寮が求める職員への期待感・人物像・専門性等を基
本方針に位置づけ、長期展望のもとに寮としての目的意識を明確にされることが求められま
す。
●外部研修は職員一人ひとりの必要性に応じた受講を主体としていますが、寮の基本姿勢に
沿った計画的な教育・研修計画に基づくものとしての位置づけとはなっておりません。ま
た、教育・研修計画は職員の経験や専門性を把握し、各自のキャリアデザインにいかされた
ものとしては作成されておりません。職員の資質向上を継続的に図るためには、職員の実態
や意向を把握するとともに、寮が求める職員の資質・スキル・知識についての人材育成の仕
組みが求められます。
●研修終了後は復命書を作成、職員会議等で伝達研修が行われていますが、研修結果の評
価・分析は行われておりません。研修の成果について評価・分析を行い、内容を検証するこ
とによって、次回研修へ反映されるような取り組みが求められます。
10
7 施設運営
第三者
評価結果
(1) 運営理念、基本方針の確立と周知
①
②
③
④
法人や施設の運営理念を明文化し、法人と施設の使命や役割が反映さ
れている。
法人や施設の運営理念に基づき、適切な内容の基本方針が明文化され
ている。
運営理念や基本方針を職員に配布するとともに、十分な理解を促すた
めの取組を行っている。
運営理念や基本方針を母親と子ども等に配布するとともに、十分な理
解を促すための取組を行っている。
b
b
b
b
(2) 中・長期的なビジョンと計画の策定
①
②
③
④
⑤
施設の運営理念や基本方針の実現に向けた施設の中・長期計画が策定
されている。
各年度の事業計画は、中・長期計画の内容を反映して策定されてい
る。
事業計画を、職員等の参画のもとで策定されるとともに、実施状況の
把握や評価・見直しが組織的に行われている。
事業計画を職員に配布するとともに、十分な理解を促すための取組を
行っている。
事業計画を母親と子ども等に配布するとともに、十分な理解を促すた
めの取組を行っている。
c
c
c
b
c
◇改善が求められる点
●法人の理念を事務室に掲示、基本方針は入所者用掲示板に掲示、事業計画に記載され、寮
の使命や目指す方向性や考え方が明示されていますが、母親と子どもへの周知の面からは不
十分と見受けられます。パンフレットや入所者のしおり等母親と子どもへの周知を図り、理
解を深める取り組みが求められます。
●寮(法人)として現実に困っている母親と子どもの保護と生活の安定への支援が最優先さ
れていますが、具体的な運営展開としての中・長期ビジョンは未整備の状況です。運営理念
や基本方針の実現に向けた将来像や目標(ビジョン)を明確にし、現状分析とともにハー
ド・ソフト面、さらには組織体制の整備等を含めた中・長期計画の策定が求められます。
●事業計画は事業活動として具体的内容が明示されていますが、前年度の実施状況の課題の
把握や分析・評価が反映されているか明確でありません。また、中・長期計画が策定されて
いないため、事業効果や達成度が確認できにくい状況にあります。効果的な事業運営のため
には、中・長期計画や各年度における事業内容とリンクした事業計画の策定が求められま
す。
●年度途中および年度終了時における事業計画の見直しは行われていますが、その記録が十
分とは認められず、評価結果が確認できる状況にはありません。事業計画の策定、実施状況
の把握・評価・見直しの手順を含めて、次年度事業計画へ反映させる明確な仕組みの構築が
求められます。
●母親と子どもに対しては年度初めの母の会等で主なサービス内容や行事予定が周知されて
いますが、寮の計画を円滑にすすめるには、母親や子どもの理解も必要であり、母親や子ど
も向け用として、分かりやすい事業計画の提示・説明が求められます。
11
第三者
評価結果
(3) 施設長の責任とリーダーシップ
①
②
③
④
施設長は、自らの役割と責任を職員に対して明らかにし、専門性に裏
打ちされた信念と組織内での信頼をもとにリーダーシップを発揮して
いる。
施設長自ら、遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行い、
組織全体をリードしている。
施設長は、支援の質の向上に意欲を持ち、組織としての取組に十分な
指導力を発揮している。
施設長は、経営や業務の効率化と改善に向けた取組に十分な指導力を
発揮している。
b
b
b
b
(4) 経営状況の把握
①
②
③
施設運営をとりまく環境を的確に把握するための取組を行っている。
運営状況を分析して課題を発見するとともに、改善に向けた取組を
行っている。
外部監査(外部の専門家による監査)を実施し、その結果に基づいた
運営改善が実施されている。
c
c
c
◇改善が求められる点
●管理規程および就業規則に定める職務以外に寮長の役割について文書化されたものは認められ
ません。リーダーシップを発揮する主な方法として、役割と責任について文書化するとともに内外に明
らかにする必要も認められます。
●寮長は積極的に研修会に出席し、遵守すべき法令等を把握するとともに、職員会議を通じて職員
に周知を図り法令遵守に取り組まれていますが、法令等のリスト化については、不十分な状況です。
法令遵守は寮運営上の社会的責務として必須であり、正しい理解に向けた遵守のための具体的な
取り組みが求められます。
●社会的養護の動向については、インターネットや福祉新聞、関係官庁刊行の年報、国・県・関係団
体等の研修会などに参加することによって把握されていますが、地域における福祉ニーズの把握が
十分ではありません。地域の福祉ニーズに的確に対応する事業・活動をすすめるには、ニーズ・デー
タ等の収集・分析が求められます。
●定期的な養育・支援のコスト分析等は行われていますが、さらに、寮運営のあり方を組織として明
確にし、中・長期計画を視野に入れた課題の改善へ向けた取り組みが求められます。
●外部監査は行われておりませんが、監事である公認会計士による経理・経営状況の監査が行わ
れています。本評価基準では、外部監査は運営の透明性の確保に有意義であり、業務改善にも資す
るものとして、外部監査の実施が求められます。
第三者
評価結果
(5) 人事管理の体制整備
①
②
③
④
施設が目標とする支援の質を確保するため、必要な人材や人員体制に
関する具体的なプランが確立しており、それに基づいた人事管理が実
施されている。
客観的な基準に基づき、定期的な人事考課が行われている。
職員の就業状況や意向を定期的に把握し、必要があれば改善に取り組
む仕組みが構築されている。
職員処遇の充実を図るため、福利厚生や健康を維持するための取組を
積極的に行っている。
c
c
c
b
(6) 実習生の受入れ
①
実習生の受入れと育成について、基本的な姿勢を明確にした体制を整
備し、効果的なプログラムを用意する等積極的な取組をしている。
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c
◇改善が求められる点
●人材育成計画は策定されておりません。寮の運営理念や基本方針の実現に向けた将来像や
目標(ビジョン)により必要な人材育成の方向を明確にし、計画的な人事管理体制の構築が
求められます。
●職員から仕事に関する意見の聴き取りを行い業務改善等に反映されていますが、現時点で
は人事考課は行われておりません。将来的には人事考課の導入が予定されています。人事考
課は職員の能力の把握やモチベーションの高揚に効果的であり、運営理念や基本方針の考え
方に沿った寮としての人材育成のあり方を検討し、職員の育成計画に反映されることを望み
ます。
●定期的ではないものの、寮長が職員と面談を行い相談を受ける場が設けられていますが、
意向・意見等を求め、その結果を分析・検討する仕組みは整備されておりません。改善に向
けた取り組みを人材育成や人員体制に関する具体的なプランに反映した上で進めていくよう
な仕組みの構築が求められます。
●実習全般に対する説明や実習生の心構えについての文書が作成され、実習の際に活用され
ていますが、実習マニュアル等は整備されておりません。職員誰もが実習についての理解を
継続的に深め、実習をより適切に受け入れるために、マニュアル等の作成・周知が求められ
ます。
第三者
評価結果
(7) 標準的な実施方法の確立
①
②
支援について標準的な実施方法を文書化し、職員が共通の認識を持っ
て支援を行っている。
標準的な実施方法について、定期的に検証し、必要な見直しを組織的
に実施できるよう仕組みを定め、検証・見直しを行っている。
c
c
(8) 評価と改善の取組
①
施設運営や支援の内容について、自己評価、第三者評価等、定期的に
評価を行う体制を整備し、機能させている。
c
②
評価の結果を分析し、施設として取り組むべき課題を明確にし、改善
策や改善実施計画を立て実施している。
c
◇改善が求められる点
●マニュアルや手順書の類はほとんど未整備の状況です。マニュアルや手順書を整備し見直
しを行うことにより、支援の質に関する職員の共通意識を育てるとともに、PDCAのサイクル
によって、質に関する検討を継続的に行い、支援の質の向上を常に図る必要があります。
●第三者評価に関する自己評価および第三者評価への取り組みは今回が初めてです。これを
機に、母子生活支援施設の将来展望を見据え、さらなるサービスの質の向上に向けた取り組
みを望みます。
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