第三者評価結果の公表事項(児童養護施設) ①第三者評価機関名 公益社団法人 福岡県社会福祉士会 ②施設名等 名 称: 若松児童ホーム 種 別: 児童養護施設 施設長氏名: 中島 哲郎 定 員: 64人 所 在 地: 福岡県北九州市若松区大池町1-1 T E L : 093-761-3096 ③実施調査日 平成 26年 3月 20日(木)~ 3月 21日(金) ④総評 ◇特に評価が高い点 1 学習・進学支援、進路支援等 居室や学習室のスペースを有効に活用し、学習環境が整えられています。 子どもの適性を勘案し、学校と連携のうえ、自動車運転免許やクレーン、ボイラー、ガス溶接、危険物取扱主任、ヘルパー等の資格 取得の支援が行われています。また、子どもの職場実習やアルバイト先の開拓が積極的に行われています。 ◇改善が求められる点 1 運営理念、基本方針の確立と周知および中・長期的なビジョンと計画の策定 基本方針の中には明文化され、児童・職員・地域福祉に関し施設が目指すべき方向性が示されていますが、指導指針とともに用語の 整理が必要かと思われます。また、基本方針が掲載された文書等が限定され、基本方針等の見直しの事蹟が確認できません。時代の変 遷により基本方針の変更の必要性が認められることも生じます。基本方針は中・長期計画と密接な関連性があり、年次計画ともつなが るものですから、職員に十分に周知・浸透されることが必要かと思われます。 中・長期計画の構想はありますが、明文化され職員等に周知されておりません。また、計画の策定に当たっては職員全員の参画に よって進められておりません。中・長期計画は施設の運営理念・方針の具現化の方向性を示すものですから、直接子どもの支援にかか わる職員に十分に周知・理解される必要があります。そのためには、中・長期計画の策定の段階から職員が参画し、共通認識を持った うえで職員自身が施設の将来像や目標を考える姿勢を醸成する取り組みが求められます。 2 子どもの意向への配慮 子どもの意向を把握する具体的な仕組みの整備に至っておりません。日課のほとんどについて職員主導の内容となっているようで す。子ども主体のより良いサービス提供のためには、養育・支援に関して子どもの意向が採り入れられる必要があります。あらゆる場 面において、もっと子どもの意向が尊重されるように子どもの意向に配慮するとともに、定期的に子どもの意向を汲み取る調査を行 い、内容を分析・検討のうえ実態に沿った改善や改革に反映される取り組みが求められます。 3 子どもが意見や苦情を述べやすい環境および被措置児虐待対応 子どもたちが相談したいときの職員以外の相談者・機関については施設内に明示されたものがなく、子どもに周知されているとは受 け取れません。権利ノートの活用や相談機関・相談方法等を子どもが見やすい箇所に掲示するなど、子どもが相談や意見を述べやすい 環境の設定が求められます。 苦情解決の体制については、「苦情解決委員会設置規則」により解決の仕組みが整備されていますが、今までの苦情解決の記録が整 備されておらず、実際に機能するものか疑問があります。苦情にまで至らない案件についても、真摯に受け止められ、記録の保管・保 存とその活用に努められるよう望みます。 被措置児童等虐待の届出・通告制度についての職員への研修等は行われていますが、対応マニュアル等は整備されておりません。届 出者・通告者が不利益を受けないような配慮について就業規則や運営規程に定めるとともに、虐待や不適切なかかわりのへの迅速な対 応を行うための対応マニュアルの整備・職員への周知が求められます。 4 職員の資質向上 運営の基本方針に職員の研修の必要性と自己研さんを求める内容が明記されていますが、中・長期計画が明文化されていないことも あり、施設が求める職員像が分かりにくくなっています。施設の将来像を見据えた中・長期計画に職員育成に関する内容を含めた研修 計画を位置づけるなど、職員のモチベーションを高める取り組みが求められます。 職員は外部・内部の研修を種々受講していますが、施設の基本姿勢に沿った教育・研修計画が策定されておらず、双方の求めと必要 性に応じた教育・研修計画であるものか明確でありません。現状の研修計画は内部研修のテーマが事前に決まっていないという状況に あり、研修の成果を上げる仕組みが整っておりません。また、職員の研修履歴や自己研さんの履歴が把握されておらず、有効な研修計 画を立案できる状況にありません。研修計画の策定にあっては、職員の希望の採用や職員の研修履歴・自己研さん履歴等を把握し、職 員育成計画に沿った研修を実施するとともに、研修の結果を活かすために評価・分析を行い、次回以降の研修に反映されるような研修 体制の整備が求められます。 5 標準的な実施方法の確立 養育・支援についての標準的な実施方法はマニュアルや手順書により示されていますが、部分的であり、見直しの方法や時期につい ても明示されておりません。養育・支援にかかる一定の水準を維持するためには、標準的な実施方法のマニュアル化等とその活用が求 められます。 1 ⑤第三者評価結果に対する施設のコメント 若松児童ホームは、今回の「第三者評価の結果」を真摯に受け止め、主観になりがちな施設の評価を第三者委員の方々に客観的に評 価していただく事で、施設としての課題を実感すると共に、施設の特性を把握することができました。 日々過ごしていますと、段々うやむやになって行き、今さら言えない事や、言いだし辛い事もあります。それを第三者の立場の方か らきちんとご指導・ご指摘され、文章化された事はとても有りがたいと思っています。中・長期計画の作成や様々なマニュアルの策定 等課題も多くありますが、先ずは、「子どもが安全・安心に生活ができる、よりよい施設づくり」を目指し、職員一同更に尽力してい こうと思います。このような機会を与えて頂き本当にありがとうございました。 2 ⑥第三者評価結果(別紙) 第三者評価結果(児童養護施設) 1 養育・支援 第三者 評価結果 (1)養育・支援の基本 ① 子どもの存在そのものを認め、子どもが表出する感情や言動をしっかり受け止め、子どもを理解している。 ② 基本的欲求の充足が、子どもと共に日常生活を構築することを通してなされるよう養育・支援している。 ③ 子どもの力を信じて見守るという姿勢を大切にし、子どもが自ら判断し行動することを保障している。 ④ 発達段階に応じた学びや遊びの場を保障している。 ⑤ b b c b c 秩序ある生活を通して、基本的生活習慣を確立するとともに、社会常識及び社会規範、様々な生活技術が習 得できるよう養育・支援している。 <特に評価が高い点> ●隣接する小学校の学童クラブと連携が図られ、学びや遊びに関する情報交換が行われています。 ●小学生は、市民センター主催の『いきいきキッズクラブ』(遊び・ものづくり・スポーツ等)に参加し、地域の子どもたちとの交流 や社会性を育てる取り組みが行われています。 ●小学生については、ボランティアの協力を得て、情緒安定の場として「お話広場」(読み聞かせ)や情操的な環境設定の場として 「お花の展示」が行われています。 ●子どもたちの特技や個性の伸長の場として、「絵画教室」、「フラワーアレンジメント教室」、「茶道教室」が行われています。 ●施設内の要所に回収ボックスを設置し、資源リサイクルの習慣づけや物を大切にするという意識を高める取り組みが行われていま す。 ●子どもの社会自立の支援に資するため、職員が司法書士等から法律上のトラブル解決を中心とした内容を学び、それを受けて、高校 生を対象とした研修が実施されています。 ●高校生には、社会自立に備えるため、役所などでの手続きを体験する機会が設けられています。 <改善が求められる点> ●職員は子ども一人一人の欲求に沿った関係性の構築に努められていますが、子どもたちの日課は大舎制という制約や安全確保もあっ て、柔軟な取り扱いや職員の裁量権には一定の限界があり、その範囲は限定的なものとなっています。ハード面の課題を含め、子ども たちの生活実態の把握に努められるとともに、職員配置や対応について改善策の検討が求められます。 ●朝・夕は短時間に一斉に子どもたちが行動しなければならず、十分に子どもに関わる時間の確保が難しい状況にあります。また、日 課の達成や職員がかかわる子どもの人数の関係で時間的にあまり余裕がなく、どうしても指示的になってしまうことがあります。時間 的に限られる生活状況の中にあっても、時間の活用の仕方を工夫されるなど、できるだけ子どもと向き合う時間を確保されるよう望み ます。 ●生活上のルールの決定について、子どもたちが主体的にかかわる仕組みが採り入れられておりません。子どもたちが自ら考え行動で きるように子どもたちの意向が反映されるような取り組みが求められます。 第三者 評価結果 (2)食生活 ① 食事は、団らんの場でもあり、おいしく楽しみながら食事ができるよう工夫している。 ② 子どもの嗜好や健康状態に配慮した食事を提供している。 ③ 子どもの発達段階に応じて食習慣を身につけることができるよう食育を推進している。 b b b (3)衣生活 ① 衣服は清潔で、体に合い、季節に合ったものを提供している。 ② 子どもの衣習慣を習得し、衣服を通じて適切に自己表現できるように支援している。 b b (4)住生活 ① 居室等施設全体がきれいに整美されている。 ② 子ども一人一人の居場所が確保され、安全、安心を感じる場所となるようにしている。 b b <特に評価が高い点> ●児童相談所からの引き継ぎ書類や保護者からの書面により、児童のアレルギーの有無の確認を行い、食物アレルギー対応食は、食材 によってはアレルゲン混入防止のため別作りでの対応が行われています。また、容器にはラップを掛け、児童の氏名等を記入するなど 配膳ミス防止対策が施されています。 ●子どもたちの社会性を育成する意味合いも含めて、食への関心を高めるため、市民センター主催のお菓子作り体験への参加を奨励さ れています。 ●中学生の女児には、衛生上細菌検査のうえ、お菓子作りの機会が設けられています。また、男児を含めて調理実習の機会が設けられ ています。 <改善が求められる点> ●年2回、子どもの嗜好調査が行われ、毎食の残菜調査も行われていますが、子どもの満足度の向上には直接結び付いていないように 見受けられます(第三者評価における子どもへのアンケート調査結果により)。残菜を少なくするような検討がなされているようです が、子どもの視点に立った嗜好調査のあり方を見直される等子どもの意向の汲み取り方法の工夫が必要かと思われます。 ●保育室のトイレ、洗面所の高さや鏡の位置は幼児向けに造られていますが、トイレのドアは指はさみの可能性があります。子どもの 行動を想定した安全性への配慮が必要かと思われます。 3 (5) 健康と安全 第三者 評価結果 ① 発達段階に応じ、身体の健康(清潔、病気、事故等)について自己管理ができるよう支援している。 ② 医療機関と連携して一人一人の子どもに対する心身の健康を管理するとともに、異常がある場合は適切に対 応している。 b b (6) 性に関する教育 ① 子どもの年齢・発達段階に応じて、異性を尊重し思いやりの心を育てるよう、性についての正しい知識を得 る機会を設けている。 <特に評価が高い点> ●幼児の健康状態は、保育室のホワイトボードにどの職員でもわかるように、一元的に管理されています。また、朝食・夕食前に幼児 の検温が行われ、幼児の3か月ごとの発達状況が、写真付きで個別に保育室に掲示されています。 ●保育室では毎日、リビングチェック表により、居室の安全点検が行われています。 ●児童の健康・安全への意識の高揚を図るため、児童から健康・安全に関するポスターや標語を募集し、入賞作品は施設内に掲示され ています。 ●嘔吐物の処理については、処理キットが事務室に配備されています。 c <改善が求められる点> ●施設内外の危険箇所の点検は行われていますが、その点検結果や処理状況が記録されておりません。事故の未然防止の観点から、明 文化による結果等の職員への周知が求められます。 ●服薬管理は、幼児にあっては保育室の一角、当日分は1mほどの高さの壁際にぶら下げ式で個別に保管、残りは鍵付きのケースに保 管、職員複数でチェック、さらに看護師が残数確認を毎日実施。小学生以上は、各指導員室において個別管理、管理簿は幼児同様活用 されていますが、薬は鍵付きのケースに保管の状況ではありません。より確実な事故防止策が求めらます。 ●医療的マニュアルが整備されていますが、感染症に関する内容は含まれておりません。関連するマニュアルの整備と職員への周知が 求められます。 (7) 自己領域の確保 ① でき得る限り他児との共有の物をなくし、個人所有とするようにしている。 ② 成長の記録(アルバム)が整理され、成長の過程を振り返ることができるようにしている。 第三者 評価結果 c b (8)主体性、自律性を尊重した日常生活 ① 日常生活のあり方について、子ども自身が自分たちの問題として主体的に考えるよう支援している ② 主体的に余暇を過ごすことができるよう支援している。 ③ 子どもの発達段階に応じて、金銭の管理や使い方など経済観念が身につくよう支援している。 c b b <特に評価が高い点> ●個人の貴重品については、個別に鍵付きのロッカーが整備されています。 ●行事は子ども参加型を基本に、地域の行事への参加や地域へボランティア(高齢者宅への訪問)として出向く等自主性の育成に取り 組まれています。 ●小遣いの管理は「預かり金取り扱い規程」により、適正な対応がなされ、小遣い帳は1か月単位で、子どもと職員がチェックするよ うにされています。また、子どもの小遣い帳とは別に職員管理用として金銭出納帳が記帳されています。 <改善が求められる点> ●幼児の絵本・おもちゃ等は個別化されておりません。また、幼児以外のマグカップは個別化されていますが、箸・茶碗類については 個別化されておらず、シャンプー等の日用品のすべてについても個別化には対応できておりません。子どもの自己領域を確保する点か らも個別化への配慮が求められます。 ●子どもの意見が行事等の企画や運営に反映されるような仕組みが整備されておりません。子どもの社会化を進めるための主体性や自 主性を育てる取り組みが求められます。 第三者 評価結果 (9) 学習・進学支援、進路支援等 ① 学習環境の整備を行い、学力等に応じた学習支援を行っている。 ② 「最善の利益」にかなった進路の自己決定ができるよう支援している。 ③ 職場実習や職場体験等の機会を通して、社会経験の拡大に取り組んでいる。 b b b <特に評価が高い点> ●小学生については、学習準備帳を用い、忘れ物等がないように子ども自身がチェックするよう配慮されています。 ●大舎制でありながらも、居室や学習室のスペースを有効に活用し、学習環境が整えられています。 ●子どもの適性を勘案し、学校と連携のうえ、自動車運転免許やクレーン、ボイラー、ガス溶接、危険物取扱主任、ヘルパー等の資格 取得の支援が行われています。また、子どもの職場実習やアルバイト先の開拓が行われています。 <改善が求められる点> ●子どもの状況によっては、本体とは別制度で運営の自立援助ホームにつなぐことも行われていますが、自立支援援助ホーム「アリ ス」の就業支援策のノウハウが本施設でも活用できるような効果的な取り組みを望みます。 4 第三者 評価結果 (10) 行動上の問題及び問題状況への対応 ① 子どもが暴力・不適応行動などの問題行動をとった場合に、行動上の問題及び問題状況に適切に対応してい る。 ② 施設内で子ども間の暴力、いじめ、差別などが生じないよう施設全体で取り組んでいる。 ③ 虐待を受けた子ども等、保護者からの強引な引き取りの可能性がある場合、施設内で安全が確保されるよう 努めている。 c c c (11) 心理的ケア ① 心理的ケアが必要な子どもに対して心理的な支援を行っている。 b <特に評価が高い点> ●3人の心理職(月60時間、40時間、20時間の計120時間勤務)が配置され、ケースカンファレンスや職員の研修にかかわ り、日々の個別相談に対応されています。また、職員のコンサルテーションの役割を担っています。 ●心理職は月1回、4時間、心理職会議を持ち、情報交換や個別ケースの共通認識に努められています。 <改善が求められる点> ●問題行動対応マニュアルが整備されていますが、保護者への連絡の遅れなどで対応が後手に回った事例があり、実際の問題発生の場 合の具体的解決策へ十分に機能するものであるかの検証が求められます。 ●今のところ「強引な引き取り」を求める保護者等はいないとのことですが、強引な引き取りに対応できるマニュアル等を整備のう え、実際の場合を想定して訓練等を実施されるなど、児童相談所や警察等との協力体制を構築・強化されることが求められます。 第三者 評価結果 (12) 養育の継続性とアフターケア ① 措置変更又は受入れに当たり継続性に配慮した対応を行っている。 ② 家庭引き取りに当たって、子どもが家庭で安定した生活が送ることができるよう家庭復帰後の支援を行って いる。 できる限り公平な社会へのスタートが切れるように、措置継続や措置延長を積極的に利用して継続して支援 している。 ③ ④ 子どもが安定した社会生活を送ることができるよう退所後の支援に積極的に取り組んでいる。 c c c c <改善が求められる点> ●措置変更や退所後の対応にあっては、あらかじめ手だてされた体制が整備されておらず、措置変更や退所後の相談は職員の個人的対 応にとどまり限定的で記録も整備されていない状況にあり、アフターケアが十分に行われておりません。子どもが新しい生活環境にス ムーズに移行していくための支援体制やアフターケアの充実が求められます。 2 家族への支援 第三者 評価結果 (1) 家族とのつながり ① 児童相談所や家族の住む市町村と連携し、子どもと家族との関係調整を図ったり、家族からの相談に応じる 体制づくりを行っている。 ② 子どもと家族の関係づくりのために、面会、外出、一時帰宅などを積極的に行っている。 c b (2) 家族に対する支援 ① 親子関係の再構築等のために家族への支援に積極的に取り組んでいる。 c <改善が求められる点> ●日頃の業務に追われ、保護者との関係性構築のために事前に手だてを図るなどの対応に困難がともない、保護者との話し合いが計画 どおりに進められない傾向にあります。また、親子関係の再構築にあたっては児童相談所に委ねる場合が多くなっています。子どもと 家族との関係性づくりのため、家庭支援専門相談の機能強化や児童相談所との連携をより深め、家族への支援体制の充実が求められま す。 5 3 自立支援計画、記録 第三者 評価結果 (1) アセスメントの実施と自立支援計画の策定 ① ② ③ 子どもの心身の状況や、生活状況を把握するため、手順を定めてアセスメントを行い、子どもの個々の課題 を具体的に明示している。 アセスメントに基づいて子ども一人一人の自立支援計画を策定するための体制を確立し、実際に機能させて いる。 自立支援計画について、定期的に実施状況の振り返りや評価と計画の見直しを行う手順を施設として定め、 実施している。 c c c (2) 子どもの養育・支援に関する適切な記録 ① 子ども一人一人の養育・支援の実施状況を適切に記録している。 ② 子どもや保護者等に関する記録の管理について、規程を定めるなど管理体制を確立し、適切に管理を行って いる。 ③ 子どもや保護者等の状況等に関する情報を職員が共有するための具体的な取組を行っている。 b c c <改善が求められる点> ●自立支援計画書は、県統一様式を用い児童相談所からの引き継ぎ書類や保護者からの書面により、入所後1か月後を目安に作成され ていますが、アセスメントシートが作成されておらず、その過程をアセスメントに携わった職員以外の職員が確認・共有化しづらい状 況にあります。また、自立支援計画作成後の見直しは行われていますが、見直しの手順や方法等が明記されておらず、具体的な支援に どのようにつなげるのか、また支援内容の検証結果が次の支援にどのように活かされているのか分かりづらい面があります。より効果 的に支援を進めるためのアセスメント方法の確立や支援計画作成後の見直しの手順等職員間の情報の共有化とその周知を含めたプロセ ス整備への取り組みが求められます。 ●サービス記録管理システムの導入により記録管理がなされていますが、その機能が十分に活かされていない点が見受けられます。課 題の抽出や整理についても工夫され、職員の記録時間の省力化や負担軽減に取り組まれるよう望みます。 ●記録の保管はなされていますが、記録管理にかかる責任の所在が明示されておらず、また、関係する規程等の定めがありません。記 録の管理の重要性の職員への研修や周知にとどまらず、適切な記録の管理を進めるには運営主体として要求される個人情報保護や情報 開示を含め、記録の廃棄に関する事項についても規程等に定め職員への周知を図るなど、組織としての取り組みが求められます。 ●施設内での職員間の情報の共有については、部分的に取り組まれて工夫されているところも見受けられますが、情報の管理面を含め 職員間で統一されたものとはなっていないようです。子どもや保護者に安心感をもたらし、より効果的な支援が図られるような仕組み の構築が求められます。 4 権利擁護 第三者 評価結果 (1) 子どもの尊重と最善の利益の考慮 ① ② ③ ④ ⑤ 子どもを尊重した養育・支援についての基本姿勢を明示し、施設内で共通の理解を持つための取組を行って いる。 社会的養護が子どもの最善の利益を目指して行われることを職員が共通して理解し、日々の養育・支援にお いて実践している。 子どもの発達に応じて、子ども自身の出生や生い立ち、家族の状況について、子どもに適切に知らせてい る。 子どものプライバシー保護に関する規程・マニュアル等を整備し、職員に周知するための取組を行ってい る。 子どもや保護者の思想や信教の自由を保障している。 c b b c c (2) 子どもの意向への配慮 ① 子どもの意向を把握する具体的な仕組みを整備し、その結果を踏まえて、養育・支援の内容の改善に向けた 取組を行っている。 ② 職員と子どもが共生の意識を持ち、子どもの意向を尊重しながら生活全般について共に考え、生活改善に向 けて積極的に取り組む。 <改善が求められる点> ●児童憲章の一部を抜粋して理念とされていますが、その位置づけが明示されておらず、関係者以外には分かりにくいものとなってい ます。施設の理念や基本方針は、施設での養育への取り組みの基本姿勢を外部に表明するとともに職員の業務に対する意識向上や子ど もたちの安心感にもつながるものですから、明確な明文化とその周知が求められます。 ●大舎制という物理的な構造上の制約の中で、間仕切りやカーテン等の設置の工夫により子どもたちへのプライバシーの配慮は見受け られ、職員間でも子どものプライバシー保護に関して申し合わせ事項は設けられていますが、プライバシー保護に関する規程・マニュ アル等は整備されておりません。子どもが安心して生活の営みを続けられるためのプライバシー保護に関する規定・マニュアル等の整 備や職員への周知に向けた取り組みが求められます。 ●聴き取りでは子どもや保護者の思想や信教の自由を尊重し配慮できているとの説明を受けましたが、施設の基本方針や事業計画書、 入所に当たっての保護者説明文書その他施設内掲示物にも思想や信教の自由を保障する内容を明示した文面が見受けられません。外国 籍の子どもや保護者とのかかわりの可能性があることでもあり、広く多文化理解という視点からも、日頃からの姿勢と備えが求められ ます。 ●以前、建物への侵入という事件があり、防犯上の措置として監視カメラが建物周辺のみならず建物内の要所にも設置されています。 防犯という視点だけでなく、子どものプライバシー保護の観点を含めた、より子どもとの信頼関係を高める等による解決の方法につい て施設全体として検討されることを望みます。 ●子どもの意向を把握する具体的な仕組みの整備に至っておりません。子ども主体のより良いサービス提供のためには、養育・支援に 関して子どもの意向が採り入れられる必要があります。あらゆる場面において、子どもの意向に配慮するとともに、定期的に子どもの 意向を汲み取る調査を行い、内容を分析・検討のうえ実態に沿った改善や改革に反映される取り組みが求められます。 ●日課のほとんどについて職員主導の内容となっているようです。生活の主体者は子どもですから、話し合いの場等を確保し、もっと 子どもの意向が尊重されるような取り組みが必要かと思われます。 c c 6 第三者 評価結果 (3) 入所時の説明等 ① ② ③ 子どもや保護者等に対して、養育・支援の内容を正しく理解できるような工夫を行い、情報の提供を行って いる。 入所時に、施設で定めた様式に基づき養育・支援の内容や施設での約束ごとについて子どもや保護者等にわ かりやすく説明している。 子どものそれまでの生活とのつながりを重視し、そこから分離されることに伴う不安を理解し受けとめ、不 安の解消を図っている。 c c b (4) 権利についての説明 ① 子どもに対し、権利について正しく理解できるよう、わかりやすく説明している。 c (5) 子どもが意見や苦情を述べやすい環境 ① ② ③ 子どもが相談したり意見を述べたりしたい時に相談方法や相談相手を選択できる環境を整備し、子どもに伝 えるための取組を行っている。 苦情解決の仕組みを確立し、子どもや保護者等に周知する取組を行うとともに、苦情解決の仕組みを機能さ せている。 子ども等からの意見や苦情等に対する対応マニュアルを整備し、迅速に対応している。 c c c (6) 被措置児童等虐待対応 ① いかなる場合においても体罰や子どもの人格を辱めるような行為を行わないよう徹底している。 ② 子どもに対する暴力、言葉による脅かし等の不適切なかかわりの防止と早期発見に取り組んでいる。 ③ 被措置児童等虐待の届出・通告に対する対応を整備し、迅速かつ誠実に対応している。 c b c (7) 他者の尊重 ① 様々な生活体験や多くの人たちとのふれあいを通して、他者への心づかいや他者の立場に配慮する心が育ま れるよう支援している。 <特に評価が高い点> ●広報紙「若松児童ホーム」(年1~2回)を作成し、関係機関・賛助者等に配布されています。 ●管理規程第6条第2号において、具体例を示し体罰等の禁止が明記されています。また、その場合、就業規則第47条により、制裁 の対象となる旨規定され、体罰の禁止については、研修や職員会議において職員に周知されています。 ●管理規程第6条第5号において、不適切な関わりを発見した場合の報告・連絡等の適切な対応の方法について明記されています。ま た、その場合、就業規則第47条により、制裁の対象となる旨規定され、不適切な関わりの禁止については、研修や職員会議において 職員に周知されています。 ●地域の行事への参加や職場実習体験、児童養護施設間の交流事業等で子どもの生活体験の多様化を図り、人間性の育成に努められて います。 b <改善が求められる点> ●施設のホームページは以前、ボランティアにより開設されましたが、その後更新されず開設当初のままとなっています。施設情報は 最新のものが提供される必要があり、更新されない情報は誤解を招く要因ともなりかねませんので、新たに開設されるか閉鎖されるこ とが望まれます。 ●施設入所に当たっての説明書は分かりやすい説明に努められ一応の基準を保っていると思われますが、特段見やすく分かりやすいよ うには受け取れません。用語の選択や記述に配慮が求められる箇所があります。用語は施設の入所受け入れに対する姿勢を表すもので あり、子どもや保護者を主体とした丁寧な説明がなされたものに改善の必要があるかと思われます。 ●子どもたちが相談したいときの職員以外の相談者・機関については施設内に明示されたものがなく、子どもに周知されているとは受 け取れません。権利ノートの活用や相談機関・相談方法等を子どもが見やすい箇所に掲示するなど、子どもが相談や意見を述べやすい 環境の設定が求められます。 ●苦情解決の体制については、「苦情解決委員会設置規則」により解決の仕組みが整備されていますが、今までの苦情解決の記録が整 備されておらず、実際に機能するものか疑問があります。苦情にまで至らない案件についても、真摯に受け止められ、記録の保管・保 存とその活用に努められるよう望みます。 ●被措置児童等虐待の届出・通告制度についての職員への研修等は行われていますが、対応マニュアル等は整備されておりません。届 出者・通告者が不利益を受けないような配慮について就業規則や運営規程に定めるとともに、虐待や不適切なかかわりのへの迅速な対 応を行うための対応マニュアルの整備・職員への周知が求められます。 7 5 事故防止と安全対策 第三者 評価結果 ① 事故、感染症の発生時など緊急時の子どもの安全確保のために、組織として体制を整備し、機能させてい る。 ② 災害時に対する子どもの安全確保のための取組を行っている。 ③ b c c 子どもの安全を脅かす事例を組織として収集し、要因分析と対応策の検討を行い、子どもの安全確保のため にリスクを把握し対策を実施している。 <特に評価が高い点> ●事故や食中毒等が発生した場合の食料調達については、北九州市の養護施設間で相互に補完し合う体制が整備されています。 ●施設長と副施設長が地区まちづくり協議会(月1回開催)の構成メンバーとなり、警察から街頭犯罪発生件数等の情報を得て、子ど もたちの犯罪被害の未然防止に活用されています。 ●職員の負担軽減と夜間警備の充実のため、警備員(2人で毎日23時~翌日7時勤務)が配置されています。 <改善が求められる点> ●施設周辺は北九州市が作成した防災マップでの急斜面崩壊危険箇所に指定されており、地域を含めた具体的な避難計画等の策定が求 められます。 ●施設のにおけるヒヤリハット事例の集積・分析が行われておりません。事故を未然に防止するうえから、常日頃からリスクに対する 目配り・気配りの意識を養う取り組みが求められます。また、施設内外の危険箇所の点検は行われていますが、その点検結果や処理状 況が記録されておりません。事故の未然防止や早期対応の観点から、明文化による結果等の職員への周知が求められます。 ●子どもの外出の際に、身元が分かるような手だてがなされておりません。不測の事態に備えた対応が必要かと思われます。 6 関係機関連携・地域支援 第三者 評価結果 (1) 関係機関等の連携 ① ② ③ 施設の役割や機能を達成するために必要となる社会資源を明確にし、児童相談所など関係機関・団体の機能 や連絡方法を体系的に明示し、その情報を職員間で共有している。 児童相談所等の関係機関等との連携を適切に行い、定期的な連携の機会を確保し、具体的な取組や事例検討 を行っている。 幼稚園、小・中学校、高等学校、特別支援学校など子どもが通う学校と連携を密にしている。 b b b (2) 地域との交流 ① 子どもと地域との交流を大切にし、交流を広げるための地域への働きかけを行っている。 ② 施設が有する機能を地域に開放・提供する取組を積極的に行っている。 ③ ボランティア受入れに対する基本姿勢を明確にし、受入れについての体制を整備している。 b c c (3) 地域支援 ① 地域の具体的な福祉ニーズを把握するための取組を積極的に行っている。 ② 地域の福祉ニーズに基づき、施設の機能を活かして地域の子育てを支援する事業や活動を行っている。 c c <特に評価が高い点> ●関係機関との連携については、一覧表が整備(事務室および各指導員室に掲示)され、職員会議にて職員に周知されています。 ●施設長と副施設長が地区まちづくり協議会(月1開催)の構成メンバーとなり、地域の行事の立案や地域の情報の収集に当たられ、 子どもたちの行事参加も積極的に勧められています。また、子どもたちには社会経験の機会をできるだけ設けるために、地域の行事や お祭り(火まつり、ソーメン流し、グランドゴルフ等)に積極的に参加する取り組みが行われています。 <改善が求められる点> ●北九州市の子育て支援短期利用事業(ショートステイ、トワイライトステイ)や子育て地域支援事業を受託されていますが、施設主 導での福祉ニーズの把握、そのニーズに基づいた具体的な活動や新たな事業展開への取り組みが行われておりません。子育て支援短期 利用事業の有効的な活用を図るための、施設独自の福祉ニーズの把握やそれに基づく発展的な事業展開への取り組みを望みます。 ●施設のノウハウや資源を地域に提供する仕組みが設けられておりません。地域の福祉力の向上や施設のさまざまな取り組みへの理解 を求め協力を得るためにも施設のノウハウや資源の提供が望まれます。 ●ボランティアの受入れについては、「ボランティア内規」により行われていますが、受け入れマニュアルとしては事前説明や研修に 関する事項が規定されておらず不十分です。ボランティアのより効果的な活用のためには、ボランティアの活動に関するマニュアル等 の整備が求められます。 8 7 職員の資質向上 第三者 評価結果 ① 組織として職員の教育・研修に関する基本姿勢が明示されている。 ② 職員一人一人について、基本姿勢に沿った教育・研修計画が策定され計画に基づいて具体的な取組が行われ ている。 ③ 定期的に個別の教育・研修計画の評価・見直しを行い、次の研修計画に反映させている。 ④ スーパービジョンの体制を確立し、施設全体として職員一人一人の援助技術の向上を支援している。 c c c c <特に評価が高い点> ●子どもの社会自立の支援に資するため、職員が司法書士等から法律上のトラブル解決を中心とした内容を学び、それを受けて、高校 生を対象とした研修が実施されています。 <改善が求められる点> ●運営の基本方針に職員の研修の必要性と自己研さんを求める内容が明記されていますが、中・長期計画が明文化されていないことも あり、施設が求める職員像が分かりにくくなっています。施設の将来像を見据えた中・長期計画に職員育成に関する内容を含めた研修 計画を位置づけるなど、職員のモチベーションを高める取り組みが求められます。 ●職員は外部・内部の研修を種々受講していますが、施設の基本姿勢に沿った教育・研修計画が策定されておらず、双方の求めと必要 性に応じた教育・研修計画であるものか明確でありません。現状の研修計画はスケジュール的で、内部研修のテーマが事前に決まって いないという状況にあり、研修の成果を上げる仕組みが整っておりません。また、職員の研修履歴や自己研さんの履歴が把握されてお らず、有効な研修計画を立案できる状況にありません。研修計画の策定にあっては、職員の希望の採用や職員の研修履歴・自己研さん 履歴等を把握し、職員育成計画に沿った研修を実施するとともに、研修の結果を活かすために評価・分析を行い、次回以降の研修に反 映されるような研修体制の整備が求められます。 8 施設の運営 第三者 評価結果 (1) 運営理念、基本方針の確立と周知 ① 法人や施設の運営理念を明文化し、法人と施設の使命や役割が反映されている。 ② 法人や施設の運営理念に基づき、適切な内容の基本方針が明文化されている。 ③ 運営理念や基本方針を職員に配布するとともに、十分な理解を促すための取組を行っている。 ④ 運営理念や基本方針を子どもや保護者等に配布するとともに、十分な理解を促すための取組を行っている。 c c c c (2) 中・長期的なビジョンと計画の策定 ① 施設の運営理念や基本方針の実現に向けた施設の中・長期計画が策定されている。 ② 各年度の事業計画は、中・長期計画の内容を反映して策定されている。 ③ 事業計画を、職員等の参画のもとで策定されるとともに、実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ ている。 ④ 事業計画を職員に配布するとともに、十分な理解を促すための取組を行っている。 ⑤ 事業計画を子ども等に配布するとともに、十分な理解を促すための取組を行っている。 c c c b c <改善が求められる点> ●基本方針は明文化され、児童・職員・地域福祉に関し施設が目指すべき方向性が示されていますが、指導指針とともに用語の整理が 必要かと思われます。また、基本方針が掲載された文書等が限定され、基本方針等の見直しの事蹟が確認できません。時代の変遷によ り基本方針の変更の必要性が認められることも生じます。基本方針は中・長期計画と密接な関連性があり、年次計画ともつながるもの ですから、職員に十分に周知・浸透されることが必要かと思われます。 ●運営理念や基本方針を職員に会議や研修で説明されていますが、実践テーマの設定や継続的な取り組みには至っておりません。運営 理念や基本方針を職員に周知し理解を求めるには、具体的な実践テーマの設定や継続的な取り組みが求められます。 ●中・長期計画の構想はありますが、明文化され職員等に周知されておりません。また、計画の策定に当たっては職員全員の参画に よって進められておりません。中・長期計画は施設の理念・方針の具現化の方向性を示すものですから、直接子どもの支援にかかわる 職員に十分に周知・理解される必要があります。そのためには、中・長期計画の策定の段階から職員が参画し、共通認識を持ったうえ で職員自身が施設の将来像や目標を考える姿勢を醸成する取り組みが求められます。 ●事業計画書・事業報告書は作成過程と思われるもので、計画・報告書の体を成しておらず、事業計画の見直しは、年末の全職員参画 による職員会議で行われていますが、見直しの時期や手順が明示されておりません。また、事業計画書は子どもや保護者には配布され ておりません。個人情報提示のあり方をも含めて、年次事業計画・報告書の体裁や意図するところの表現について工夫が求められま す。 9 第三者 評価結果 (3) 施設長の責任とリーダーシップ ① 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して明らかにし、専門性に裏打ちされた信念と組織内での信頼をも とにリーダーシップを発揮している。 ② 施設長自ら、遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行い、組織全体をリードしている。 ③ 施設長は、養育・支援の質の向上に意欲を持ち、組織としての取組に十分な指導力を発揮している。 ④ 施設長は、経営や業務の効率化と改善に向けた取組に十分な指導力を発揮している。 b c c c (4) 経営状況の把握 ① 施設運営をとりまく環境を的確に把握するための取組を行っている。 ② 運営状況を分析して課題を発見するとともに、改善に向けた取組を行っている。 ③ 外部監査(外部の専門家による監査)を実施し、その結果に基づいた運営改善が実施されている。 c b c <特に評価が高い点> ●当法人の監事の税理士から年2回、コスト分析等の支援を受けています。 <改善が求められる点> ●施設長は、法令遵守の観点で施設経営に関する研修や勉強会等に参加し、幅広い分野について遵守すべき法令等を把握されています が、リスト化し、職員に周知するまでの取り組みは行われておりません。法令遵守は職員の職務に関するもののみならず私生活におい ても広く求められるものであり、その意識は日頃から重要です。社会生活を営む中でどのような法令等が関係しているのか洗い出し、 体系化するとともに正しい理解と遵守の姿勢、職員への周知が求められます。 ●地域の子どもの数や子どもの状況および養育・支援のニーズは、施設長の学童クラブの委員長の立場や子育て支援事業等から福祉 ニーズの動向や子どもの状況の変化、ニーズ等を把握されていますが、中・長期計画に反映できておりません。今後の経営の見通しが 難しい状況の中、容易に判断できかねるところがあるかと思われますが、課題解決に向けた積極的な取り組みを望みます。 ●本基準による外部監査は行われておりません。外部監査は法人運営の透明性の確保に資することを目的とするものであり、適正な施 設の運営管理のうえからも、定期的な外部監査の実施が求められます。 第三者 評価結果 (5) 人事管理の体制整備 ① 施設が目標とする養育・支援の質を確保するため、必要な人材や人員体制に関する具体的なプランが確立し ており、それに基づいた人事管理が実施されている。 ② 客観的な基準に基づき、定期的な人事考課が行われている。 ③ 職員の就業状況や意向を定期的に把握し、必要があれば改善に取り組む仕組みが構築されている。 ④ 職員処遇の充実を図るため、福利厚生や健康を維持するための取組を積極的に行っている。 c c c b (6) 実習生の受入れ ① 実習生の受入れと育成について、基本的な姿勢を明確にした体制を整備し、効果的なプログラムを用意する 等積極的な取組をしている。 <特に評価が高い点> ●平成24年度に「モラルサーベイ」(職員満足度・意識調査)が行われています(25年度は未実施、26年度実施予定)。また、 上記調査結果をもとに、職員の勤務形態を含め、職員が一人で課題を抱え込まないような仕組みを確立し、職員の負担軽減を図る取り 組みを検討中(4週5休→4週6休)です。 c <改善が求められる点> ●施設の取り組みとしては、①職員の質の向上、②優秀な人材の確保、③適正な職員配置を重要事項と位置づけていますが、現時点で は職員の育成計画は明文化されておらず、専門職の配置についてもまだ構想の段階にあります。また、人材育成の必要性は認識されて ありますが、人事考課の仕組みが採り入れられておりません。養育・支援の内容充実のためには、職員の資質の向上と環境の整備が求 められます。一方、人事考課は職員の自己評価に基づき一人一人の職員の適性や能力、意欲を把握し、将来の人材育成につなげていく ものです。職員への研修計画と併せて、組織としての明確な位置づけが求められます。 ●実習生の受け入れに関する目的は明示されていますが、意義・方針は明文化されておらず、受け入れに当たって、覚書等による実習 における学校側との責任体制が明確でないものがあります。実習生の効果的な受け入れのためのマニュアル等の整備が求められるとと もに、実習依頼先・実習生との無用なトラブル防止のためにも実習に伴う責任の所在について覚書等で明確にすべきものと思われま す。 10 第三者 評価結果 (7) 標準的な実施方法の確立 ① 養育・支援について標準的な実施方法を文書化し、職員が共通の認識を持って行っている。 ② 標準的な実施方法について、定期的に検証し、必要な見直しを施設全体で実施できるよう仕組みを定め、検 証・見直しを行っている。 c c (8) 評価と改善の取組 ① 施設運営や養育・支援の内容について、自己評価、第三者評価等、定期的に評価を行う体制を整備し、機能 させている。 ② 評価の結果を分析し、施設として取り組むべき課題を明確にし、改善策や改善実施計画を立て実施してい る。 <改善が求められる点> ●養育・支援についての標準的な実施方法はマニュアルや手順書により示されていますが、部分的であり、見直しの方法や時期につい ても明示されておりません。養育・支援にかかる一定の水準を維持するためには、標準的な実施方法のマニュアル化等とその活用が求 められます。 c c 11
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