第2章 市民の健康と生活習慣の現状

第2章 市民の健康と生活習慣の現状
1 各種統計からみた市民の状況
(1)人口の動向
年齢 3 区分別人口構成の推移をみると、年少人口(0~14 歳)は平成 7 年以降、生産年齢人口(15~64 歳)
は平成 17 年以降、減少しています。一方、老年人口(65 歳以上)は増加しています。
■年齢 3 区分別人口構成の推移
年 齢3区 分 別 人 口 構 成 の 推 移
( 人)
1 2 0 , 0 0 0
1 0 0 , 0 0 0
8 6 , 9 3 8
7 8 , 1 9 7
8 0 , 0 0 0
9 , 5 4 0
9 2 , 0 5 6 9 4 , 1 4 8 9 5 , 5 0 1
1 8 , 2 8 1 2 1 , 4 7 6
1 2 , 6 1 8 1 5 , 5 5 7
6 0 , 0 0 0
5 8 , 6 2 7 6 1 , 8 2 6 6 2 , 8 3 3 6 0 , 9 9 3
4 0 , 0 0 0 5 2 , 7 4 1
2 0 , 0 0 0
0
1 5 , 3 3 3 1 5 , 6 9 2 1 4 , 3 3 9 1 3 , 0 2 1 1 2 , 8 0 7
H2 年
H7 年
H1 2 年
H1 7 年
H2 2 年
年 少 人 口生 産 年 齢 人 口
老 年 人 口
資料:国勢調査
(2)高齢化率
高齢化率は増加し、国・県と比較すると同程度の割合で推移しています。
■高齢化率の推移
(%)
30.0
22.5 22.3 23.0
20.0
12.2 12.4 12.0
14.5 14.8 14.5
16.9 17.4 17.3
19.4 19.8 20.1
10.0
0.0
H2 年
H7 年
宗像市
H12 年
福岡県
H17 年
H22 年
全国
資料:国勢調査
8
(3)国民健康保険医療費の状況
一人あたりの国民健康保険医療費は毎年増えています。
平成 25 年度の宗像市の一人あたりの国民健康保険医療費は 350,623 円です。
■1人当たり医療費の推移
1人当たり医療費の推移
(円)
360,000
347,145
331,373
340,000
324,430
316,830
320,000
300,000
339,278
336,990
350,623
343,734
329,398
312,054
306,100
308,668
315,858
299,326
宗像市
289,885
280,000
福岡県
281,761
全国
260,000
H20年度
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
H25年度
資料:データヘルス計画(宗像市)
平成 25 年度の国民健康保険の医療費分析結果では、医療費全体に占める生活習慣病の割合は 25.5%で
す。その内訳をみると、高血圧性疾患、糖尿病、脂質異常等が約半数、それらの疾病が重症化して起こる疾
患(動脈硬化、虚血性心疾患、脳梗塞、腎不全など)が約半数です。
■市国民健康保険の医療費の内訳
生活習慣病
25.5%
その他の疾病
74.5%
(生活習慣病の内訳)
高血圧性疾患
20.0%
0%
糖尿病
16.7%
20%
腎不全
脂質異常等
19.2%
40%
9.6%
60%
動脈硬化 虚血性
心疾患
1.1%
10.5%
80%
100%
その他の 脳梗塞 その他の
心疾患 6.2% 脳血管疾患
6.1%
10.5%
資料:データヘルス計画(宗像市)
9
(4)要介護(支援)認定者の推移
要介護(支援)認定者数の推移は増加傾向にあり、平成 25 年度の認定者数は 4,009 人で、要介護(支援)認
定者の割合は 17.0%です。
■要介護(支援)認定者数の推移
(人 )
4,000
3,000
2,000
1,000
0
429
309
405
266
375
402
471
363
408
469
460
471
449
499
563
661
698
671
683
690
745
310
422
541
591
513
441
349
363
H21 年度
H22 年度
要支援1
要支援2
H23 年度
要介護1
454
450
713
774
635
554
H24 年度
要介護2
要介護3
要介護4
H25 年度
要介護5
資料:介護保険課
国民生活基礎調査によると、介護が必要となった主な原因は、脳血管疾患(脳卒中)、認知症、骨折・転倒、
関節疾患です。
■介護を要する人の介護が必要となった主な要因
その他
27.3%
脳血管疾患
(脳卒中)
18.5%
高齢による
衰弱
13.4% 関節疾患
10.9%
脊髄損傷
2.3%
認知症
15.8%
骨折・転倒
11.8%
資料:平成 25 年「国民生活基礎調査」
10
2 本市の健康水準
(1)健康寿命と平均寿命
健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことです。
本市の健康寿命の算定は、「日常生活動作が自立している期間の平均」で算定したものです。
同じ算定方法で出された国・県の健康寿命と比べると、男女とも国・県とほぼ同じです。
■健康寿命と平均寿命
区分
宗像市
男性
単位:年
全国
福岡県
女性
男性
女性
男性
女性
健康寿命
78.96
83.26
78.00
83.38
78.17
83.16
平均寿命
80.34
87.49
79.36
86.49
79.55
86.30
※健康寿命は国・県などと比較できるよう平成 22 年の数値を現状値として使用した。
《参考》
厚生労働科学研究費補助金「健康寿命における将来予測と生活習慣病対策の費用対効果
に関する研究」報告では、健康寿命の指標は、次の 3 つのものが示されており、算定に使う基
礎情報によって異なる数値となります。
単位:年
全国
福岡県
健康寿命の指標
男性
女性
男性
女性
①日常生活に制限のない期間の平均
69.67
72.72
70.42
73.62
②自分が健康であると自覚している期間の平均
68.89
72.14
69.90
73.32
③日常生活動作が自立している期間の平均
78.00
83.38
78.17
83.16
資料:平成 24 年度「福岡県健康増進計画」
11
(2)死亡統計
平成 24 年度の保健統計年報によると、本市の死因は、1 位:悪性新生物、2 位:肺炎、3 位:心疾患、4 位:脳
血管疾患でした。悪性新生物(がん)、心疾患、脳血管疾患の 3 つが死亡原因の多くを占めていますが、近年、
肺炎の死亡率が増えていることが注目されています。
■平成 24 年度 宗像市死亡統計
その他
36.4%
悪性新生物
(がん)
31.8%
心疾患
10.3%
脳血管疾患
9.5%
肺炎
12.0%
資料:平成 24 年度「福岡県保健統計年報」
(3)自殺死亡率
平成 23 年以降、本市の自殺死亡率は国・県とほぼ同じです。
■自殺死亡率(人口10万対)
自殺死亡率
40.0
30.0
20.0
34.8
25.7
24.8
24.0
25.5
24.6
全国
10.0
25.7
23.0
23.4
22.9
23.8
22.0
21.7
21.0
H24年
H25年
16.8
福岡県
宗像市
0.0
H21年
H22年
H23年
資料:内閣府自殺対策推進室提供データ(住居地・自殺日ベース:年率換算した自殺死亡率)
12
(4)悪性新生物(がん)による死亡の現状
がん検診実施の目的は、がんによる死亡者の減少です。
がん対策の総合的な推進の評価指標として、高齢化の影響を除くため、75 歳未満のがんの年齢調整死亡率
をみます。なお、75 歳未満年齢調整死亡率 1 については、市町村単位の数値は人口規模の差が大きく、統計
学的に信頼性が低いため公表されておらず、都道府県の数値のみが公表されています。国・県ともに、がんの
年齢調整死亡率は減少傾向にあります。
■全がんの男女別 75 歳未満年齢調整死亡率の年次推移(全国、福岡県)
年齢調整率
(人口10万人対)
160
全国 男女計
福岡 男女計
全国 男
福岡 男
全国 女
福岡 女
140
120
100
80
60
40
20
0
H14年
H15年
H16年
H17年
H18年
H19年
H20年
H21年
H22年
資料:人口動態統計による都道府県別がん死亡データ(国立がん研究センターがん対策情報センター)
1
年齢調整死亡率:人口構成の異なる地域間の死亡の状況を比較するために用いる指標で、地域ごとの年齢構成を調整した死亡率。
13
(5)特定健康診査の結果からみた生活習慣病の状況
生活習慣病とは、食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症と進行に影響を及ぼす疾
患で、肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病とその合併症、脳卒中、心臓病などがあります。国はこれらの生活習
慣病の発症前の段階であるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した特定健康診査と特定保健指
導を医療保険者に義務化し、市では 40~74 歳の国民健康保険被保険者を対象に実施しています。
市の特定健康診査の結果から、高血圧、脂質異常症、糖尿病を判断する検査値に着目し、疾病の発症予防と
重症化予防のため、保健指導や治療が必要な基準に該当する人の割合をみると次のとおりです。
①保健指導を必要とする血圧値の人の割合
高血圧は、虚血性心疾患や脳血管疾患などあらゆる循環器疾患の危険因子です。
平成 25 年度の特定健康診査の受診者の結果から、保健指導が必要な血圧値(収縮期血圧が 130mmHg
以上、拡張期血圧が 85mmHg以上の人)の人は 29.3%を占め、そのうち重症化しやすいⅡ度高血圧以上の
人は受診者の 2.5%を占めています。
また、Ⅱ度高血圧以上で未治療の人は 70.6%で、未治療者は増加しています。
■特定健康診査受診者のうち保健指導等が必要な血圧値の人の割合
特定健診受診者のうち保健指導等が必要な血圧の人の割合
(%)
40.0
4.0
3.2
30.0
4.0
3.0
3.0
13.8
13.8
15.4
15.6
20.0
15.9
2.5
Ⅱ度高血圧以上
Ⅰ度高血圧
12.6
正常高値
10.0
19.1
14.2
14.4
14.1
14.5
14.2
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
H25年度
0.0
H20年度
資料:宗像市特定健康診査結果
《参考》
血圧値の分類
(mmHg)
180
直ちに食生活改善、医師の指示での薬物治療が必要です。
重症高血圧(Ⅲ度高血圧)
中等度高血圧(Ⅱ度高血圧)
生活習慣改善が必要です。1~3 か月以内に再測定して、
高ければ医師の指示での薬物治療が必要です。
収 160
縮
軽症高血圧(Ⅰ度高血圧)
期 140
血
正常高値血圧
圧 130
120
正常血圧ですが高めです。生活習慣を改善しましょう。
正常血圧
至適血圧
80
85
90
100 110 (mmHg)
拡張期血圧
14
②保健指導を必要とする LDL 値の人の割合
脂質異常症は虚血性心疾患の危険因子です。LDL コレステロール(以下、LDL と示す)の高値は、脂質異
常症の各検査項目の中で重要な指標とされています。
平成 25 年度の特定健康診査の受診者の結果から、保健指導等が必要な LDL 値(120mg/dl以上)の人は
57.2%を占め、そのうち、重症化しやすい(虚血性心疾患の発症リスクが高くなる)LDL 値(160mg/dl 以上)の
人は特定健康診査受診者の 12.3%を占めています。
また、LDL が 160mg/dl 以上の人で未治療の人は 93.4%です。
■特定健康診査受診者のうち保健指導等が必要な
LDL 値の人の割合
特定健診受診者のうち保健指導等が必要なLDL値の人の割合
(%)
60.0
40.0
15.3
15.9
14.4
14.8
13.4
12.3
19.5
18.7
19.4
19.1
18.5
18.2
160以上
140~159
120~139
20.0
26.8
26.9
26.9
26.0
26.5
26.7
H20年度
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
H25年度
0.0
資料:宗像市特定健康診査結果
③保健指導を必要とする HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)値の人の割合
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は血液中の血糖の状態を知る数値のひとつで、過去 1~2 ヶ月の血糖
の状態を推測できる数値です。
平成 25 年度の特定健康診査の受診者の結果から、保健指導が必要な HbA1c 値(5.6%以上)の人は
62.1%を占め、そのうち重症化しやすい HbA1c が 6.5%以上の人は受診者の 8.3%を占めています。
また、HbA1c が 6.5%以上の人で未治療の人は 51.0%です。
■特定健康診査受診者のうち保健指導等が必要な
HbA1c 値の人の割合
特定健診受診者のうち保健指導等が必要なHbA1c値の人の割合
(%)
100.0
80.0
60.0
9.8
10.6
21.0
22.8
8.3
9.2
15.4
16.7
40.0
20.0
8.8
8.3
13.9
15.8
6.5以上
6.0~6.4
5.6~5.9
43.7
44.2
42.2
39.6
37.9
38.0
H20年度
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
H25年度
0.0
資料:宗像市特定健康診査結果
15
④メタボリックシンドロームの該当者と予備群の割合
メタボリックシンドロームは、内臓に脂肪が蓄積し、加えて高血圧、高血糖、脂質異常症のうち 2 つ以上を併
発した状態のことです。そのまま生活習慣を改善せずに経過すると、動脈硬化を引き起こし、虚血性心疾患、
脳血管疾患などの循環器疾患の発症につながります。
平成 25 年度特定健康診査の受診者の結果から、メタボリックシンドローム該当者の割合は 12.2%、予備群
は 10.3%でした。
■特定健診受診者のうち、メタボリックシンドロームの該当者と予備群の割合
特定健診受診者のうち、メタボリックシンドロームの該当者と予備群の割合
(%)
30.0
25.0
20.0
13.4
12.0
15.0
12.4
12.5
12.7
12.2
該当者
予備群
10.0
5.0
10.7
12.4
11.3
10.9
11.5
10.3
H20年度
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
H25年度
0.0
資料:宗像市特定健康診査結果
(6)人工透析患者
1983 年(昭和 58 年)頃の国の新規透析者は年 1 万人程度でしたが、2010 年(平成 22 年)には、約 30 万人
となっています。市の人工透析患者の推移をみると、平成 20 年度から 100 人を超える数で推移しています。平
成 23 年度は 126 人で、うち糖尿病腎症による新規人工透析患者数は 50 人と約 4 割を占めています。
■市の人工透析患者の推移
140
(人)
腎炎ほか
糖尿病性
120
100
80
60
40
20
0
年 度
原
因
腎炎ほか
糖尿病性
合 計
S61 S62 S63 H1
2
0
2
4
0
4
4
0
4
5
0
5
H2
H3
H4
H5
H6
H7
H8
7
0
7
8
0
8
10
1
11
10
1
11
14
1
15
17
1
18
20
1
21
H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23
25
2
27
26
3
29
28
6
34
29
7
36
34
7
41
37
9
46
38
11
49
43
13
56
48
17
65
54
21
75
62 71 85 72 76
27 37 40 47 50
89 108 125 119 126
資料:健康づくり課
16
(7)現在治療中の病気の状況
「宗像市健康づくりと食育に関するアンケート調査」の結果では、現在治療中の病気で多かったのは「高血
圧」(25.8%)、次いで「糖尿病」(8.3%)、「脂質異常症」(7.9%)、「心臓病」(5.3%)、「骨粗しょう症」(4.4%)であ
り、(5)で述べた特定健康診査結果の高血圧、脂質異常症、糖尿病の保健指導の重要性がうかがえます。
■現在治療中の病気
(%)
60.0
40.0
25.8
20.0
8.3
7.9
11.6
5.3
4.4
3.9
2.8
2.0
1.2
1.2
骨粗
しょう症
歯周病
がん
肝臓病
腎臓病
脳卒中
0.0
高血圧
糖尿病 脂質異常症 心臓病
17
その他