参 考 資 料 - 36 - [ 高血圧の 高血圧の保健指導計画 ] 1 保健指導の 保健指導の基本的考え 基本的考え方 高血圧は、脳血管疾患や虚血性心疾患、慢性心不全などあらゆる循環器疾患の危険因子で あり、日本人の循環器疾患の発症や死亡に対して大きな人口寄与危険割合を示し、他の危険 因子と比べるとその影響は大きいものがあります。また、至適血圧と高血圧の間の領域(正 常高値血圧と正常血圧)の循環器疾患発症数への寄与も非常に大きいことが示されています。 血圧測定の意義について、日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン 2009」では、 ①高血圧と診断するには、正しい血圧測定が必要である。診察室血圧は今日なお、高血圧診 療のスタンダードとされているが、さまざまな点で、その臨床的価値に疑問が投げかけら れている。問題は指針に従った血圧測定が、健診や診療の現場でめったに行われないこと にある。そして多くの場合、測定精度は軽視、あるいは無視されている。 ②本邦における家庭血圧測定の普及は著しい。家庭血圧の測定は、患者の治療継続率を改善 するとともに、降圧薬治療による過剰な降圧、あるいは不十分な降圧を評価するのに役立 つ。家庭血圧測定の医療経済効果はきわめて高いことが報告されている。 ③本ガイドラインでは測定者がすべての測定値を記録することを強く推奨する。 高血圧の保健指導において、血圧値を入り口として、 ●脳・心臓・腎臓などの生きていく上で重要な臓器を守るために、血管の中を、血液がある一 定の圧で常に一定量流れているという仕組みが大切であることを理解してもらうこと。 ●血圧の基準値は一人一人違うので、今の自分の値がどの段階にあるかを確認してもらうこ と。 ●血圧の上がる原因は、個々人の生活習慣以外の社会的・遺伝的要因も影響してくることを、 保健指導を実施する保健師・栄養士が正しく理解し、生活習慣改善を押し付けることなく、 対象者主体の保健指導を行うことで、自己管理ができるよう支援し続けること。 を目的とします。そのことが対象者の生活の質の低下を防ぎ、ひいては医療費や介護費の適 正化に寄与すると考えるからです。 2 保健指導の 保健指導の目標設定 「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」の目標は、 「収縮期血圧の 平均値の低下」とありますが、地域、職業、経済力、世帯構成等による健康状態やその要因 となる生活習慣の差(健康格差)があることから、全てを平均した指標を用いるのではなく、 人々が生きがいをもって自らの健康づくりに取り組むことができるよう、「収縮期血圧の平 均値の低下」を改め、 「Ⅱ度高血圧以上(収縮期 160 以上、拡張期 100 以上)の者の減少を目 指す」とします。 3 保健指導の 保健指導の目標達成のための 目標達成のための対象者 のための対象者の 対象者の明確化 (1)健診受診者の 健診受診者の血圧の 血圧の状況を 状況を把握 脳・心血管疾患の減少を目指すために、科学的根拠に基づく課題設定、保健指導対象者の抽 出を行います。 - 37 - 標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)P48「別紙 5 健診検査項目の健診判定値」 、 関連する下記学会のガイドライン ・動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2012 年版 ・脳卒中治療ガイドライン 2009 ・高血圧治療ガイドライン 2009 を基本に保健指導の対象者数を把握します。 (ア)保健指導の 保健指導の対象となる 対象となる人 となる人を血圧の 血圧の状況( 状況(治療・ 治療・未治療別) 未治療別)を把握する 把握する まず、未治療にある高血圧者の課題解決を優先に考えます。未治療者の解決が進み、医療 機関と連携がとれる条件が整っている場合は、次に降圧治療中の血圧コントロール不良者の 解決を考えます。 治療と 未治療の の 状況 治療 と 未治療 正常 血圧測定者 A' 治 療 中 治 療 な し A'/A 保健指導判定値 正常 受診勧奨判定値 正常高値 Ⅰ度 Ⅱ度 Ⅲ度 人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 B B/A C C/A D D/A E E/A F 割合 F/A H20 2,329 22.2% 682 29.3% 660 28.3% 807 34.7% 154 6.6% 26 1.1% H21 2,203 24.3% 741 33.6% 650 29.5% 681 30.9% 116 5.3% 15 0.7% H22 2,322 25.2% 856 36.9% 619 26.7% 708 30.5% 120 5.2% 19 0.8% H23 2,419 26.6% 987 40.8% 687 28.4% 613 25.3% 114 4.7% 18 0.7% H20 8,155 77.8% 4,991 61.2% 1,559 19.1% 1,275 15.6% 263 3.2% 67 0.8% H21 6,859 75.7% 4,634 67.6% 1,158 16.9% 877 12.8% 152 2.2% 38 0.6% H22 6,886 74.8% 4,733 68.7% 1,057 15.3% 895 13.0% 177 2.6% 24 0.3% H23 6,690 73.4% 4,717 70.5% 984 14.7% 808 12.1% 146 2.2% 35 0.5% (イ)優先すべき 優先すべき対象者 すべき対象者を 対象者を明確にする 明確にする 血管を守るために、血圧値だけでなく他のリスクの有無も考慮し、重症化しやすい対象者 を選定していきます。降圧治療のない者について、血圧に基づいた脳心血管リスク層別化を 行い、高血圧治療ガイドライン 2009 を根拠に、リスクに基づく優先順位を考えます。 【血圧以外の心血管病の危険因子】 ⅰ65 歳以上 ⅱ喫煙 ⅲ脂質異常症 低 HDL コレステロール血症(<40mg/dL) 高 LDL コレステロール血症(≧140mg/dL) 高トリグリセライド血症(≧150mg/dL) ⅳ肥満(BMI≧25、または腹囲 男 85cm、女 90cm 以上) ⅴメタボリックシンドローム 予防的な観点から以下のように定義する。正常高値以上の血圧レベルと腹部肥満(男 性 85cm 以上、女性 90cm 以上)に加え、血糖値異常(空腹時血糖 110-125mg/dL、かつ/ - 38 - または糖尿病に至らない耐糖能異常)、あるいは脂質代謝異常のどちらかを有するもの ⅵ糖尿病 糖尿病治療中、空腹時血糖≧126mg/dL または HbA1c6.1 以上 ⅶCKD 蛋白尿、eGFR<60mL/分/1.73m2 グループ ① ② ③ ④ 血圧レベル Ⅱ度高血圧以上 Ⅰ度高血圧 Ⅰ度高血圧 正常高値血圧 Ⅰ度高血圧 正常高値血圧 血圧以外の心血管病の危険因子 糖尿病またはCKD、またはⅰ~ⅴの危険因子3個以上 ⅰ~ⅴの危険因子1~2個 糖尿病またはCKD、またはⅰ~ⅴの危険因子3個以上 ⅰ~ⅴ危険因子なし ⅰ~ⅴの危険因子1~2個 保健指導対象者の明確化と優先順位の決定 血圧に 血圧 に 基 づいた脳心血管 づいた 脳心血管リスク 脳心血管 リスク層別化 リスク 層別化 平成23年度特定健診受診結果より(降圧薬治療者を除く) 至適 血圧 正常 血圧 正常高値 血圧 Ⅰ度 高血圧 Ⅱ度 高血圧 Ⅲ度 高血圧 リスク なし ~119 /~79 120~129 /80~84 130~139 /85~89 140~159 /90~99 160~179 /100~109 180以上 /110以上 2,486 2,115 954 783 145 34 4,674 51 943 849 38.1% 32.5% 14.6% 12.0% 2.2% 0.5% 71.7% 0.8% 14.5% 13.0% 968 575 261 73 51 8 0 909 51 8 0 14.9% 23.1% 12.3% 7.7% 5.5% 0.0% 19.4% 100% 0.8% 0.0% 58 15 2,621 40.0% 44.1% 56.1% 79 19 1,144 54.5% 55.9% 24.5% 血圧分類 (mmHg) 低リスク群 中リスク群 高リスク群 3ヶ月以内の 1ヶ月以内の 指導で 指導で ただちに 140/90以上 140/90以上 降圧薬治療 なら降圧薬治 なら降圧薬治 療 療 リスク層 (血圧以外のリスク因子) リスク第1層 危険因子がない リスク第2層 糖尿病以外の1~2個の危険因子 またはメタボリックシンドローム(*)がある リスク第3層 糖尿病 重 複 あ り 慢性腎臓病(CKD) ) 再 掲 3個以上の危険因子 6,517 4 6.5% 4 396 3 3,629 1,371 1,250 539 55.7% 55.1% 59.1% 56.5% 1,920 540 604 342 29.5% 21.7% 28.6% 35.8% 605 179 196 100 99 23 8 31.5% 33.1% 32.5% 29.2% 29.5% 29.1% 42.1% 698 235 201 118 110 25 9 36.4% 43.5% 33.3% 34.5% 32.7% 31.6% 47.4% 971 218 312 186 198 47 10 50.6% 40.4% 51.7% 54.4% 58.9% 59.5% 52.6% 50.6% 3 336 42.9% 2 1 -- -- 935 73 99.2% 8.6% -- 正常高値血圧の高リスク群では生活習慣の修正 から開始し、目標血圧に達しない場合に降圧薬 治療を考慮する (参考)高血圧治療ガイドライン2009 日本高血圧学会 優先順位別対象者 ① ② ③ ④ 179 2.7% 336 738 590 5.2% 11.3% 9.1% *リスク第2層のメタボリックシンドロームは予防的な観点から以下のように定義する。 正常高値以上の血圧レベルと腹部肥満に加え、血糖値異常(空腹時血糖110~125mg/dl、かつ/または糖尿病に至らない耐糖能異常)あるいは脂質代謝異常のどちらか を有するもの。両者を有する場合はリスク第3層とする。 - 39 - 776 91.4% (2)保健指導対象者名簿( 保健指導対象者名簿(健診結果一覧表) 健診結果一覧表)を作成する 作成する ①②グループの保健指導対象者名簿(健診結果一覧表)を作成します。 誰が最後まで責任を持 レセプト確認時は、 って保健指導を行うか 個人コードで検索 他の検査項目がどの程度基準値を超えているかを確認する を明確にする 特定健診結果 血圧 通し番号 個 ー 人 階層 6-10 6の 名 性 年 コ 化結 フロー 10 前 別 齢 果 チャート ド 1 2 3 4 男 女 男 女 63 情報提供M 71 情報提供M 70 動機づけO 62 情報提供M 糖代謝 尿 酸 脂質代謝 腎臓の 腎臓 の 機能 内臓脂肪 肝機能 収縮期 で 優 空腹 尿 治 優 中性 でき 治 クレアチ 尿蛋 優先 尿潜 き 随時 HbA 優先 LDL HDL 尿酸 eGFR 腹囲 拡張期 血圧分類 治療 時血 先 糖 療 先3 脂肪 れば 療 ニン 白 4 血 れ 血糖 1c 1 2 糖 ば BMI 心 γ電 GOT GPT 喫煙 GTP 図 1 216 205 202 200 104 97 94 90 21.1 19.5 24.8 19.6 88 21 22 21 1 1 3 1 Ⅲ度 Ⅲ度 Ⅲ度 Ⅲ度 1 1 1 1 103 0 94 124 0 5 93 5 0 5 6 2 - - - - 93 451 7 54 43 102 80 77 166 5 98 93 74 143 7.1 4.2 3.5 6.5 56.6 67.6 69.4 76.7 1.04 0.65 0.84 0.6 - ± - - - - - - 76 71 89 72 113 13 16 14 心 電 電 図 図 判 2 定 657 1 12 0 35 0 22 4 保健指導の 保健指導の実施 (1)保健指導の 保健指導の準備 (ア)健診結果・検査結果一覧を作成 (イ)対象者個々に健診結果表等をセットする ①健診経年結果一覧、構造図、動脈硬化のしくみ ②「(A-1)私の成育(妊娠)歴・家族歴・治療歴」 氏名 様 男 性 年齢 健診経年結果一覧 実施年月 H21 H22 H23 空腹 空腹 空腹 H24 16 1.3 16 1.3 1 60.5 H25 健診機関 医療機関 基準値 検査項目 身長 体重 61 .5 60 BMI 18.5~24.9 23 .6 23 .1 腹囲 男 ~85cm未満 女 ~90cm未満 84 .5 78 中性脂肪 空腹 ~149mg/㎗ 食後 ~199mg/㎗ 1 31 83 健 康 43 障 害 21 身体の 大きさ 血 管 へ の 影 響 ( 基 本 的 な 健 診 項 目 HDLコレステロール AST (GOT) ALT (GPT) γ-GT イ 抵ン 抗ス 性リ ン その他の動脈 詳 細 な 項 目 血 管 変 化 23 ~30IU/ℓ 18 1 24 拡張期 85mmHg未満 76 ~6.9g/㎗ 尿酸 血糖 空腹 ~99mg/㎗ 随時 ~139mg/㎗ 23 (狭心症・心筋梗塞) 57 18 16 1 10 3 .4 1 77 1 47 1 65 7 .3 9 - - 尿蛋白 ー - 尿潜血 ー - LDLコレステロール ~119mg/㎗ 1 48 所見 あり 心電図 所見なし 脳 眼底検査 H 0 S 0 ヘマトクリット ~46% 血色素 男 13~18g/㎗ 女 12~16g/㎗ (ヘモグロビン) 0 .7 血 管 85 が 傷 - み - 始 め 1 29る 3 3 脂 質 6 6 基準(-) eGFR eGFR 尿潜 尿潜血 血 基準 60以上 基準(-) 中性 中性脂肪 脂肪 糖代謝 2 2 空腹 空腹時血糖 時血糖 84 尿 酸 3.7 mg/dl 血 圧 57 9 52 基準 40~ 基準 ~5.1 基準 ~84 5 5 肝 臓 AST(G AST(GOT) OT) 脂 質 1 1 LDL LDLコレステロール コレステロール 17 112 基準 ~30 基準 ~119 52 血管 修復を 自の 修復を 妨 げる 覚 物質 症 状 は 血栓 あをとかしに くくする物質 くくする 物質 り ま せ ん cm 内臓脂肪 腹囲 腹囲 79.5 基準 男性~84.9 血管 女性~89.9 を 変化 させる ALT(GPT) ALT(GPT) ==== 18 基準 ~30 LDL コレステロール BMI BMI 22.9 動脈硬化 基準 ~24.9 γ-G γ-GTP TP mmHg 傷つく 79.5 基準(-) 4 4 基準 ~6.9 拡張期 (腹囲 ) 内臓脂肪 ( 腹囲) - 1 12 高血圧 3.7 基準 ~129 拡張 拡張期血圧 期血圧 尿糖 尿糖 15 112 mg/dl 酸化 見暮 つら めし るを 食生活 飲酒 マクロファージ 傷ついた内膜 からしみ込む 酸化LDL 糖化LDL ★ ★ しみ込む ★ ★ くっつく 生活 リズム 血栓 ★ 血 糖 165 mg/dl HbA1c 9% 基準 ~50 仕事 ・ 運動 中膜 傷つく 腎 臓 尿酸 尿酸 高血圧 収縮期 110 mmHg 3.7 110 基準 ~99 ヘモク ヘモグ゙゙゙ロビ ロビ゙゙ン ンA 1cc ロヒ A1 - 内膜 ( (針 の結晶 ) 針の 結晶) 8 8 8 8 収縮 収縮期血圧 期血圧 165 基準 ~149 - 血管壁 - HDL HDLコレステロール コレステロール 酒 潜 在 的 に 進 行 動脈硬化のしくみ 基準 男性~1.0 女性~0.7 血管 の 内膜 を 傷 つける 0 .8 72 .9 生 活 腎臓病 に 影 響 7 7 腎 臓 が で ク 尿蛋 クレアチニ レアチニン ン 尿蛋白 白 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は、なぜ血管を傷めるのでしょう? ま 0.8 す 血管が傷み始める段階です。 生活習慣の改善によって血管変化を予防すること ができます。 3 .7 ± 0 .7 男 歳 人工透析 糖尿病合併症 治療を検討する段階です。 早期の治療と生活習慣の改善によって重症化を予 防することができます。 52 7 .6 85 .4 治療 必要 です。 治療が が必要 早期に医療機関を受診し、医師の診察を受けてく ださい。 15 1 20 血 管 70 の 変 3 .2 化 ー 60~ml/min/1.73㎡ 閉塞性 動脈硬化症 (脳梗塞・脳出血 くも膜下出血) 17 ~5.1% 男 ~1.0mg/㎗ 女 ~0.79mg/㎗ 脳卒中 84 心臓病 尿糖 (糸球体ろ過量) 様 79 .5 HbA1c 心臓 血管の 易血栓化 28 ~50IU/ℓ 130mmHg未満 eGFR 硬化の危険因子 48 ~30IU/ℓ 血圧 血清クレアチニン 腎臓 40~80mg/㎗ 収縮期 (γ-GTP) 内 皮 障 害 ) 動 脈 硬 化 の 危 険 因 子 内 臓 脂 肪 の 蓄 積 59 早世 ( 65歳未満死亡 65歳未満死亡 )、健康障害 )、健康障害の 健康障害の 予防のために 予防のために 22 .9 ★ 食 異 べ 物 よ だ う 食べすぎてブクブク の泡のようにふくれ あがって死ぬ ★ 喫煙 血管壁 が 厚くなると血液 くなると血液の 流 れ が 悪くなり、 つまる 動脈硬化は、●血管内膜の内皮細胞を傷つけるものが多い ●血管壁(内皮細胞の下)に入り込むものが多い ●血栓ができやすい(できた血栓がとけにくい)などの、因子を併せ持つ場合に進行しやすくなります。 これらの因子は、内臓脂肪が蓄積した人に多くみられます。 → メタボリックシンドロームの人は、血管を傷める因子を併せ持っている! - 40 - 校 区 担 当 以 者 外 の 者 生 心電図 活 所見 校 氏 住 担 習 心 区名 所 当 外膜 初回面接 実 施 月 日 初回 未実施の の 理由 未実施 継続事後フォロー 継続事後 フォロー( フォロー ( 予定月) 予定月 ) 継続 フォ ロー実 実 ロー 施日 レ 実 1 1 1 実 セ調 拒 不 5 6 7 89 1 2 3 4 施 施 無プ 整 0 1 2 否 在 月 月 月 月月 月 月 月 月 月 月 月 月 者 ト中 日 有 実 施 者 (ウ)個々の健診結果を読み取る ①遺伝、既往歴・現病歴、体重など他の検査値の変化 ②必要な場合にはレセプトを確認 (エ)個々に合わせた学習教材を準備する 標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)P16「第3章 質(2)対象者に対する健診・保健指導 保健指導実施者が有すべき資 7)学習教材の開発」によると、 生活習慣の改善を支援するためには、保健指導の実施に際して、効果的 効果的な 効果的な学習教材が 学習教材が必 要であり、対象者のライフスタイルや行動変容の準備状態にあわせて適切に活用できる学 習教材の開発が必要である。また、学習教材 学習教材は 学習教材は科学的根拠に 科学的根拠に基づき作成 づき作成する 作成することは することは当然 ことは当然で 当然 あり、常に最新のものに更新していくことが必要である。 具体的には、実際 実際に 実際に健診・ 健診・保健指導を 保健指導を実施した 実施した対象者 した対象者の 対象者の具体的事例をもとに事例検討会 具体的事例 などを実施することが必要であり、地域の実情に応じて保健指導の学習教材等を工夫、作 成する能力が求められる。 と、記載されています。 標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)別冊の「保健指導における学習教材集」の学 習教材を、対象者の具体的事例や科学的根拠(関係学会のガイドライン)を元に地域の実情 に合った教材に修正し、保健指導の実践に使用していきます。 学習教材例 高血圧治療ガイドライン 2009 では、 「初診時に血圧が高くても、通常は日を変えて再度、数回血圧を測定する。その間に、 家庭血圧の測定を指導」注意)180/110mmHg 以上、眼底所見や心電図所見によっては直ち に受診を勧めるとあります。 治療が必要かどうかの判断、家庭血圧測定の必要性やその方法、家庭血圧値の基準など わかる教材を準備します。 ①血圧値の基準はひとり一人違います。自分の基準値を確認しましょう。 ②血圧以外の危険因子等の有無で降圧治療の必要性を判断します。 ③高血圧治療の進め方。 ④家庭血圧測定で自分の血圧値を確認しましょう。 ⑤家庭血圧測定の目的は、ふだんの血圧の状態を正確に知ること。 ⑥高血圧にもタイプがあります。 教材を準備することにより、医療機関受診が必要と判断された場合、 遺伝や生活習慣等の情報、生活習慣の改善に取り組んだ上での受診なのか 家庭血圧測定記録(血圧手帳)を持って受診することで、担当医師に適切な治療の判断をし てもらうことができ、対象者を介した医療機関との連携になります。 - 41 - (2)保健指導の 保健指導の実施 (ア)直ちに治療 ちに治療( 治療(受診) 受診)が必要な 必要な対象者 まずは、治療(受診)の必要性を確認し、受診につながるよう医療機関の情報提供を 行う。対象者によっては同時に生活習慣の改善を考える。 ①学習教材を用いて受診を勧める ②受診につながるよう、医療機関の情報提供を行う ③受診時に持参するもの(健診経年結果、家庭血圧測定記録) ④いつごろ受診できそうか、どこの医療機関にかかる予定かを確認する ⑤受診結果の確認、内服の状況等(レセプトで確認)、降圧目標の達成状況 ⑥治療につながったら、次に必要な生活習慣の改善 (イ)まずは1 まずは1~3ヶ月間の 月間の生活習慣改善で 生活習慣改善で降圧を目指す 目指す対象者 ①準備した学習教材から、「私の血圧が上がる原因(体重、塩分摂取、アルコール、喫 煙、ストレス等)は何か?」を探していく。 ※ただし、遺伝因子が強い場合や生活習慣改善が難しい背景のある場合には、ただ時 期を待つことよりも早めの受診を勧める(対象者の実態に合わせて) ②血圧に関わる生活習慣を対象者自らが振り返り、問題を探り、解決方法を選択する支 援を行う。 ※健診結果から対象者個々の背景にある生活習慣との関連性を読み取り、的を絞ったうえ で、対象者に問いかける。生活リズムや食事量まで幅広く全てを網羅する聞き取りは、住 民との信頼関係を悪くする。 ③1~3ヶ月後、またお会いしましょうと約束する。 ④1~3ヶ月後、家庭血圧測定値の変化、生活習慣改善の状況で受診(治療)の必要性 を判断する。 ⑤降圧目標に達しない場合は、治療(受診)につなげる。 ※二次性高血圧の判断も必要 ⑥家庭血圧測定値で降圧目標を達成できたら、「来年の健診で」と伝える。 (ウ)服薬中の 服薬中の者に対する保健指導 する保健指導 ①降圧治療が開始しても、家庭血圧測定値を見せてもらいながら降圧目標に対して血圧 コントロールを把握する。 ②薬物療法が開始されても血圧コントロールが不良な場合には、生活習慣の改善等を考 える。 ※生活習慣だけでない高血圧(二次性高血圧、睡眠時無呼吸症候群など)を見逃さな いためにも、病態の理解が必要となる。 - 42 - 5 保健指導の 保健指導の記録 遺伝的なこと、環境のことなども含め、保健指導報告書に書いておく。 糖 ・ 腎 保健指導報告書(ハイリスク者: ) 血圧 ・ その他 個人NO. 生 年月 日 フ リガ ナ S ・ H 氏 名 担当者 住 所 (保 ・ 栄) 支援日 平成 年 月 日 実施場所 職 業 かかりつけ医 医療状況 レセプト (有・無) 校 区 ( ) ( 歳 ) ℡( ) 家族歴 (遺伝) 内 服薬 ・高血圧 ・糖尿病 ・心疾患 ・脳血管疾患 ・腎 ・その他 診 断名 健診 結 果の 読 み取 り 伝 え たい 内 容 ( 保健 指導 目標 ) 訪 問時 の 血圧 / 本 人の 反 応 およ び 支 援内 容 ・生活環境 ・仕事の変化 ・経年の健診結果 ・判断対応 など 備 考 6 保健指導の 保健指導の評価 標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)P110「第4章 保健指導の評価」によると、 健診・保健指導事業の最終評価 最終評価は 最終評価は、糖尿病等の 糖尿病等の生活習慣病の 生活習慣病の有病者・ 有病者・予備群の 予備群の数、生活 習慣病関連の 習慣病関連の医療費の 医療費の推移などで 推移などで評価 などで評価されるものであるが、その成果が数値データとし 評価 て現れるのは数年後になることが想定される。そこで、最終評価のみでなく、健診結果 健診結果 や生活習慣の 生活習慣の改善状況などの 改善状況などの短期間 などの短期間で 短期間で 評価ができる 評価ができる事項 ができる事項についても評価を行っていく 事項 ことが必要である。この評価方法としては3つの側面が考えられる。 1点目は、「個人」を対象とした評価方法である。対象者個人を単位とした評価は、肥 満度や検査データの改善度、または行動目標の達成度、生活習慣の改善状況などから評 価が可能である。この個人を単位とした評価は、保健指導方法 保健指導方法をより 保健指導方法をより効果的 をより効果的なものに 効果的なものに改 なものに改 善することや保健指導 することや保健指導の 保健指導の質を向上させることに 向上させることに活用 させることに活用できる 活用できる。 できる とあります。 個への実践を積み重ね続けることで、保健指導方法をより効果的なものに改善し、保健 指導の質を向上させながら 10 年後の第 2 次健康日本21、医療制度改革の目標達成を目 指します。 (1)血圧評価表 「血圧評価表」を用いて、翌年度の以下の項目を把握します。 ①健診受診状況 ②血圧値、その他の検査結果 ③治療継続の状況 - 43 - 血圧評価表 健診 データ 被保険者証 個人 番号 記号 名 前 番号 性 別 年齢 H23 平成 20 ~ 23年度 23年度 のうち 直近 HbA1c LDL GFR 血圧 尿蛋 尿酸 白 H20 治療 有無 収縮 期 H21 拡張 期 治療 有無 1 男 72 5.1 128 84 - 4.6 2 女 51 5.5 128 81.1 - 3.8 3 女 62 4.9 141 76.7 - 6.3 150 90 4 男 68 5.1 117 123.4 ± 5.1 150 74 5 男 57 4.9 49 54.8 + 8.2 6 男 67 7.8 194 74.1 7 女 69 5.1 143 115.9 8 男 67 6.8 113 74.1 9 男 56 5.3 175 78 10 男 59 5.7 98 11 男 58 7 138 12 男 66 6.5 158 13 女 60 8.9 125 77.4 ± 4.4 14 女 63 5.8 117 76.3 - 5.3 15 女 70 6.7 188 74.1 - 4 16 男 61 5.3 17 男 71 8.1 135 64.1 - 6.5 18 女 72 5.4 114 53.6 - 6.2 19 女 68 5.2 166 91.2 ± 5.7 20 女 72 5.7 126 73.5 - 4.2 21 女 74 5.4 147 61.6 - 5.4 22 男 70 5.5 107 84.7 - 5.2 23 女 67 5.9 161 48.1 - 5.3 185 収縮 期 146 校区 H22 拡張 期 治療 有無 92 収縮 期 138 治療 収縮 有無 期 86 拡張 期 治療 収縮 拡張期 有無 期 218 121 208 120 206 110 203 95 200 108 199 107 - 5.9 + 3.4 2+ 4.2 198 120 - 6.3 196 122 77.2 - 6.5 172 100 192 110 77.2 2+ 7 164 86 192 100 52.5 + 190 90 88.1 - 146 76 8.2 168 治療 治療 146 100 130 70 174 98 162 86 86 150 90 154 82 199 治療 治療 170 98 治療 治療 122 84 治療 8.2 治療 154 86 122 80 150 88 152 60 150 86 189 154 84 治療 104 治療 188 94 187 88 186 110 186 174 108 164 97 178 102 165 110 160 94 181 80 90 治療 186 60 治療 184 104 184 100 184 96 184 82 182 120 90 担当保健師 H24 H23 拡張 期 (2)Ⅰ度高血圧以上の 度高血圧以上の経年変化、 経年変化、健診中断者の 健診中断者の実態( 実態(血圧) 血圧) 「Ⅰ度高血圧以上の経年変化」、「健診中断者の実態(血圧)」を用いて、アウトプット(事 業実施量)評価に加え、アウトカム(結果)評価やプロセス(過程)評価を含めた総合的な評価 を行います。 未解決事例等から、さらに保健指導の力量形成を図ります。 ●服薬治療開始しているが、血圧コントロール不良者の服薬、生活習慣等の状況 ●健診未受診者のレセプトとの突合、受診勧奨者として訪問等を行い、実態把握に努める ●医療機関受診継続につながらない対象者の背景な何か(残された課題:経済問題など) このような評価を毎年行うことで、健診・保健指導の事業全体を改善する仕組みをつくる ことができ、また、健診・保健指導のデータとレセプトとの突合が可能になることから、健 康課題を明確にした戦略的な取り組みを実施していきます。 Ⅰ度高血圧以上の経年変化 22・ 22 ・ 23年度 23 年度の 年度 の 比較 9,208 H 23年度 23 年度の 年度 の 結果をみる 結果 をみる H 22年度 22 年度 Ⅰ度高血圧以上 1,943 人 21.1% Ⅰ度 Ⅱ度 Ⅲ度 1,603 297 43 継続受診者 正常高値 以下 Ⅰ度 1122人 57.7% Ⅱ度 Ⅲ度 未受診 改善 (中断) 586 426 91 19 821 30.2% 21.9% 4.7% 1.0% 42.3% 522 358 65 11 647 32.6% 22.3% 4.1% 0.7% 40.4% 61 59 23 4 150 20.5% 19.9% 7.7% 1.3% 50.5% 3 9 3 4 24 7.0% 20.9% 7.0% 9.3% 55.8% - 44 - 合計 Ⅰ度 Ⅱ度 Ⅲ度 変化なし 悪化 未受診 657 385 80 821 33.8% 19.8% 4.1% 42.3% 522 358 76 647 32.6% 22.3% 4.7% 40.4% 120 23 4 150 40.4% 7.7% 1.3% 50.5% 15 4 24 34.9% 9.3% 55.8% 平成23 平成 23年度 23 年度健診中断者 年度 健診中断者の 健診中断者 の 実態 *75歳到達者・国保離脱等も含む 血圧 今年度未受診者 / 前年度受診者 3,474 健 診 37.7% 成人における 成人 における血圧値 における 血圧値 の 分類 (mmHg) 階層化 保健指導対象者の明確化について 「高血圧治療ガイドライン」を判断基準に置く 3疾患治療中 1,234 / 3,305 高血圧治療 高血圧 治療なし 治療 なし ( 糖尿病・ 糖尿病 ・ 脂質異常症 保 健 指 導 対 象 者 の 明 確 化 / 9,208 健診結果 352 / 983 35.8% 882 / 2,322 2,240 / 5,903 37.3% 38.0% 451 / 993 37.9% 収縮期 <130 拡張期 かつ <85 正常高値血圧 130~139 または Ⅰ度高血圧 140~159 または 90~99 Ⅱ度高血圧 160~179 または 100~109 Ⅲ度高血圧 ≧180 または 85~89 ≧110 高血圧治療ガイドライン2009 Ⅰ 度高血圧以上 ( 受診勧奨レベル 受診勧奨 レベル ) 高血圧 治療中 3疾患治療 なし 分類 正常血圧 正常高値血圧以下 45.4% 血圧分類 1,789 / 4,910 36.4% 373 / 872 42.8% 特定保健指導 として実施 1,416 / 4,038 35.1% 特定保健指導以外 の 血圧分類計 保健指導として実施 253 / 709 35.7% 324 / 856 37.9% 正常血圧 232 / 525 44.2% 1,213 / 3,499 34.7% 2,022 / 5,589 36.2% 59 / 171 34.5% 228 / 619 36.8% 正常高値 141 / 347 40.6% 203 / 539 37.7% 631 / 1,676 37.6% 37 / 94 39.4% 266 / 708 37.6% 344 / 801 42.9% Ⅰ度 647 / 1,603 40.4% 3 /8 37.5% 56 / 120 46.7% 91 / 169 53.8% Ⅱ度 150 / 297 50.5% 0 /1 0.0% 8 / 19 42.1% 16 / 23 69.6% Ⅲ度 24 / 43 55.8% 医療 との連携 との 連携 ③ グループ 特定保健指導 ② グループ ① - 1 グループ 特定保健指導以外の 特定保健指導以外 の 保健指導 ① - 2 グループ (3)高血圧の 高血圧の疾病管理台帳 疾病管理台帳の 管理台帳の整備 健診中断者、治療中断者を見逃さないための管理台帳の整備が求められます。平成 25 年 10 月稼動予定の国保データベース(KDB)システムを活用し、その仕組みづくりに取り 組みます。 - 45 -
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