次亜塩素酸ナトリウムを用いた 洗浄・殺菌操作の理論と実際

Vol 16 NO.1(2010)
最近 の技術
次 亜塩 素酸 ナ トリウム を用 い た
洗浄 ・殺菌操作 の理 論 と実際
福
1.
崎
智
司・
有 して い る こ とであ る。洗 浄剤 と しての使用 で
は じめ に
は ,次 亜塩 素酸 ナ トリウムは ,他 の アルカ リ剤
,
現在 ,食 品 の 製造現場 では次亜塩 素酸 ナ トリ
界面活性剤 ,イ オ ン封鎖 剤等 の洗 浄力要素 との
ウム (NaOCl)を 用 い た洗浄 ・殺菌操作が頻繁
組 み 合 わせ が 容 易 な こ と も汎 用 され る理 由であ
に行 われてい る.次 亜塩 素酸 ナ トリウムは,酸
る。 一 方 ,次 亜 塩 素 酸 ナ トリ ウ ム は強 力 な洗
化作 用 を有す るア ル カ リ性 の溶液 であ り,1950
浄 ・殺 菌作用 を有す るが ゆえ に不利益 を与 える
年 に殺 菌料 と して食 品添加物 に指定 された こ と
事 項 も有 して い る.し か し, これ らの留 意点 を
か ら,食 品 (原 材料 ,製 品)へ の 適用が可能 で
十分 に認識 して使用 しさえす れ ば,次 亜塩 素酸
あ る。 また ,設 備 や機器 に対 して は,有 効範 囲
ナ トリウムの長所 を有効 に活 用す ることがで き
内で は制限無 く使 用す る ことが で きる薬剤 で あ
る。
1)に ,次 亜塩 素酸 ナ トリウムの 長所
実際 の製造現場 で は,次 亜塩 素酸 ナ トリウム
と短 所 を まとめ た。次亜 塩素酸 ナ トリウムの 利
を利用 して有機物 汚 れの除去 (洗 浄 )と 微生物
便性 は,理 想的 な殺 菌剤 の要件 を数多 く満 た し
制御 (殺 菌 )を 単 一 の工 程 で 実施 す る場合 も少
ていることに加 えて ,洗 浄 ,漂 白,脱 臭作 用 を
な くな い。 しか し,次 亜塩 素酸 ナ トリウム に よ
る。 (図
る洗浄 と殺 菌 の作 用機序 は本 来異 なる もので あ
り,個 々の メカニズム を正 し く理解 して い なけ
れば,不 適 当 な使 用が な され た り,過 剰 な効果
粘膜 へ の刺激
有機物存在 下での効果の低下
広い抗菌スペ クトル と速効 性
有効塩素 の 自己分解
影響 )
を期待 され た りす る危 険性 が あ る。 昨今 で は
トリハ ロメタンの生成
希 薄 な食塩水 や塩 酸 を電気 分解 して製造す る次
(UV熱 ,pH.NaCIの
塩 素 イオ ン (無 毒 )に 遺 元
水 易溶・安価で使 い易し
金属腐食性
低毒性 不燃性 .無 色
臭 気 (凛 厚液 )
漂 白 ,脱 奥
洗浄作用
(組 合せ が容 易 )
表面張 力が大きし
,
亜塩素酸 水 (強 酸性 ・微酸性 電解 水 )や 電解次
亜水 ,そ して次亜塩 素酸 ナ トリウム と酸性溶液
を水道水 に混合 希釈 して製造す る弱酸性 の次亜
塩 素酸水 溶液 (弱 酸性次亜 水 )の 使用が普及 し
図1
殺菌剤 としての次亜塩素酸ナ トリウムの長所
と短所
始 めて い る.こ れ らの次亜塩 素 酸含有水溶液 の
主 たる洗浄 因子 または殺 菌 因子 は いずれ も次亜
*Satoshi Fukuzaki:岡 山県工業技術センター 研究開発部化学 ・新素材 グループ長,〒 701-1296岡 山市北区芳賀5301,
TEL 086(286)9612
-1-
調理食品 と技術
2
塩 素酸 であ る。 単純 に考 えれば ,作 用 因子 とな
分解 が促進 され るため ,冷 暗所 での保管が必要
る化学種 とその ile度 が 同一 であれば洗 浄 ・殺菌
であ る。
作 用 も同等 とな るはず であ る。 ところが ,実 際
に は各水 溶 液 の pHの 違 ぃ に よ り洗 浄 と殺 菌 の
3.次 亜 塩 索 酸 の化 学 的特 性
効力 は大 き く異 なる。 それ ゆえ,次 亜塩素酸 ナ
トリウムの化学 的性 質 と洗 浄 。殺菌機序 を十分
3.1 酸化作用
に理解 して い なけれ ば本 来 の洗 浄・ 殺菌作 用 を
作用 を示す ことである。次亜塩素酸は,水 分子
有効 に引 き出す こ とはで きな い。
(HOH)の 1つ の水素 (H)が 塩素 (Cl)に 置
次亜塩素酸 (HOCl)の 第 一の特性 は,酸 化
本稿 で は,次 亜塩 素酸 ナ トリウムの主成分 で
換 された物質で あ る。HOCl分 子 中の塩 素原子
(HOCl)と 水 酸化 ナ トリウ ム
の酸化数 は+1で あ り,Cl+と して強い求電子種
あ る次亜塩 素 酸
す なわち ,Cl+は C=C,
(NaOH)を 基 盤 とす る洗 浄 メ カニ ズ ム お よび
として作用す る
殺菌 メカニ ズ ムの理論 につ いて解説す る ととも
C=N,C― N(ペ プチ ド結合 を含む),一 NH2,
に,次 亜塩素酸水 な らびに弱酸性次 亜水 の 有効
等 の電子密度の 高 い結合部位
な利用方法 につ い て触 れてみ た い。
に攻撃す ることになる。そ の結果 ,Cl+は 他 の
2.次 亜 塩 素 酸 ナ
1・
2)。
物質か ら 2個 の電子
トリウ ム の 製 造 方 法 と
主成分
(δ
SH
)を 選択的
(2e)を 奪 い,自 らCl
と
なる過程で殺菌 ,洗 浄,漂 白,脱 臭な どの作用
を示す (図
2).こ の電子 を引 き抜 く反応が酸
次亜塩素酸 ナ トリウムは,工 業的 には水酸化
化 であ り,そ の強さが いわゆる酸化力 と呼ばれ
ナ トリウム溶液 に塩素 ガスを吸収させる連続発
る もので あ る.HOClと OCl の 標準還元電位
熱反応方式 (工 業用次亜塩素酸ナ トリウム)ま
(EO)は ,各 々1.48V(2式 )と 0.81V(3式 )で
たは冷却反応方式 (精 製次亜塩素酸 ナ トリウム)
ある3).
により製造 されて いる
.
2NaOH+C12→ NaOCl+NaCl+H20 (1)
一般 に,市 販品の次亜塩素酸 ナ トリウム液は
,
HOCltt H++2e
→
OCl+H20+2e‐
―
HoClと
OCl・
Cl 十 H20(2)
Cl +20H (3)
の求電子性 は,オ ゾン等 の酸化
FAC)
剤 の特性 と同 じである。オ ゾ ンともっとも異な
濃度 5∼ 12%,pH12.5∼ 13.5の 強 アルカ リ性溶
る点は,HOClと OCl 分 子 は相対的に安定 であ
液である。次亜塩素酸ナ トリウム溶液の主成分
るため,反 応種 としての持続性 に優れ ることで
は,次 亜塩素酸 と水酸化 ナ トリウムであ り,い
ある。
遊離有効塩素 (Free available chlo五
ず れも解離型
(イ
nα
オ ン型 )と して存在する。医
薬品や食品添加物 に使用 される次亜塩素酸 ナ ト
リウム は,(1)式 で副生す るNaClや 微量 の不
純物 を除去 した後に,商 品化 されている。青果
物 や食器 ・調理器具類 の消毒 には,FACile度
が50∼ 200ppm(pH 8∼ 10)と なる ように希釈
された次亜塩 素酸 ナ トリウム液が使用 されてい
る。遊離有効塩素 は,紫 外線や温度 により自己
Vol. 16 No l(2010)
3
飛散 して消失 す る速 度 が速 く不安定 なため ,洗
3.2 解 離 特 性
次亜塩素酸 の 第二の特性 は,弱 酸 であ り (解
浄 ・殺 菌操作 はHOClと OCl が 主体 となるpH領
離定数 pκ a=7.5,25℃ )4),溶 波 のpHに 依存
域 で実施 され てい る.こ のpHに 依存 したHOCl
してOCl と H+に 解離す ることであるも
とOClの 存 在 比 率 が ,洗 浄 お よび殺 菌効 果 を
HOCl← → OCl +H+ (4)
(図
支配 して い る
3)に ,非 解離型次亜塩素酸 (HOCl)の 存
在 比率 と溶液 のpHの 関係 を示す。た とえば
2).
4.次 亜 塩 素酸 ナ トリウム の殺菌 特性
,
4.1 膜透過性 と殺菌活性
通常 の使用濃度 に希釈 された次亜塩素酸ナ トリ
次 亜 塩 素 酸 ナ トリ ウ ム の 希 薄 水 溶 液
ウム溶液 は弱 アルカリ性 (pH8∼ 10)で あるた
め,次 亜塩素酸 は主 としてOCl と して存在す
(pH7.5∼ 10)お よび弱酸性水溶液 (pH5∼ 6.5)
る。 pHが アル 為 り性 か ら酸性 側 に傾 く と
OCl は 徐 々 にプ ロ トン化 して非解離型 となる
の殺菌効果は,全 遊離有効塩素濃度ではな く非
解離型HOClの 濃度に強 く依存す る
次亜塩素酸 の pKaは 7.5で ある ことか らpH 7.5
は,微 生物細胞内部へ のHOClの 透過性 と密接
においてHOClと OCl の 比率は 1:1と なる。弱
に関係 してい る。
,
=
酸性領域 (pH4∼ 6)で は,非 解離型 のHOClが
(図
4)に ,細 菌
5-7)。
これ
(原 核細胞)に おけるHOCl
_
高比率 で存在す る。 さらにpHが 酸性側 に傾 く
の膜透過性 と殺菌機構 のモデル図を示す
と,HOClの 一部 は溶存塩素 (C12)に 変化す る。
般 に,細 胞 の最外部 の周囲 には細胞壁があ り
HOCl+H+十 Cl ―C12+H20
2)。
,
(5)
その内側 に形質膜 と呼ばれる生体膜がある。細
HOClの 解離平衡成分 であるHOCl,OCl ,C12
胞壁は厚 く丈夫な構造体 で あるが,イ オ ンや低
はいずれも殺菌効力 を有 してお り,こ れ らを総
分子量 の親水性分子 を容易に透過 させ る。一方
称 して遊離有効塩素
形質膜はリン脂質二重層
(FAC)と い う。 これ に
,
(内 部 に脂肪酸の疎水
対 して ,遊 離有効塩素が ア ンモ ニ アや有機 ア
性層を形成)を 基本構造 としてお り,イ オ ンや
ミ ン と反 応 して 生 成 した モ ノ ク ロ ラ ミ ン
低分子量分子 の透過 を妨 げ る。そのため,イ
(NH2Cl)の よ うに,酸 化力 を有す る塩素化窒
オ ン化 したOClは この形質膜 にある脂質 二 重
素化合物 を総称 して結合有効塩素
(あ
層 を透過することがで きない。OClは
るいは結
合残留塩素 )と い う。FAC成 分 の うち,C12は
形質膜
︵
じ 薔 ヨ 担や Ooエ
%〒
H°
α〒 鉗
ヽ
234567891011
pH
図 4
図3
遊離有効塩素 の化学平衡 とpHの 関係
3
HOClの 膜透過性 と殺菌機構 の概念図
(文 献 2を 一部改変)
,細 胞
調理食品 と技術
4
0
壁や形質膜 の外 側か ら酸化作 用 を及ぼ し損傷 を
1
・
与 える こ とにな る。 また ,結 核 菌 の よ うに細胞
6
・
HOClは ,小 さい 分 子 サ イズ と電 気 的 中性 の性
pH 57
7
・
質か ら,受 動拡 散 に よ り容易 に細 胞壁 と形 質膜
を透 過す る。細 胞 の 内 部 に進 入 した HOClは
形 質膜 で の 膜輸 送 系 をは じめ ,細 胞 質 (解 糖
TCAサ
(DNA,RNA)な
0
20
40
60
,
AC r(mを
80
100
・min/ノ
120
140
)
`卜
,
イ ク ル )お よび形 質 膜 (電 子伝 達 系 )
に存 在す る酵 素 系 ,核 酸
pH 76
5
・
素酸 に対 して耐 性 を示 す 。 一 方 ,非 解 離 型 の
。\
P
4
・
は ,細 胞壁 もOCl の 進 入 を妨 げ るた め次 亜塩
3
・
コー ル酸 )を 有す る種属
2
・
(ミ
ピミ ヽp
︵
壁 内 に長鎖脂肪酸
pH 93
%Sの
ttε ι
図 5 次亜塩素酸ナ トリウムによるP′ ″ο
FAC濃
pHの
度)
(CFAC:全
ぼす
影響
殺菌に及
ど
の必 須組織 に対 して酸化作 用 を及 ぼす ことにな
は ,適 合 パ ラ メー タを用 い て Cnと 表 され る こ
る.そ の 結果 ,OCl と 比 較 して ,HOClに よる
とが あ るが ,実 験 室 レベ ルの 殺 菌 試験 で はn=
生細胞お よび芽 胞 の 殺菌速 度お よび効果 は著 し
1と なる こ とが多 く,log(V/No)vs
く大 きくな る
ラフは直線 関係 (疑 似 一次 反応 )で 表 され る こ
.
CTの
グ
また ,HOClの 細 胞 内 へ の透 過 (受 動拡 散 )
とが多 い.こ の 図か ら,初 発生 菌数 を一 定割合
は細 胞 質 内 で の 解 離 に よるH+濃 度 の増 加 (pH
(99∼ 9999%)減 少 させ るの に必 要 なCT値 や
の低下 )を もた らす。細 菌細胞 は,細 胞質内外
力値 を求 め る こ とが で きる。 これ らの CT値 や
の ZlpHを 維 持 す る た め ,ATPの 加 水 分 解 を
力値 の概 念 は,殺 菌効 力 の 指 標 と して用 い られ
伴 っ てH・ を細 胞 外 へ 排 出す るが ,こ れ に よ り
て い る。
細胞 の生 育 や代 謝 に必要 なATPが 浪 費 され る
そ の 結果 ,弱 酸 で あ るHOClは ZlpHや 酸 化 的
FAC
′θzθ παsノ θ″Sι ι
"Sを
“
“
ile度 2.5ppm,pH 5.7,7.6,9.3に 調整 した次亜塩
リ ン酸化 の ア ンカプ ラー と して働 き,増 殖 阻害
素 酸 ナ トリ ウ ム 水 溶 液 で 処 理 した と きの log
(静 菌効果 )を 示 す作用 も予 測 され て い る
.
2).
(図
5)に ,
Psθ
(N/Ⅳ o)vs CFAC Tの 関係 を示 す
7)。
ここで
,
CFACは ,全 遊 離有効塩 素濃 度 で あ る。 いずれ の
pHに 対 して も,(6)式 に 従 つて直線 的 な生 残
4.2 殺菌 活性 の 指標
一 般 に,消 毒 剤 に よる微 生物 の不活化 にお い
曲線 が 得 られ て お り,pHが 弱 ア ル カ リ性 か ら
ては,消 毒剤 の濃 度 と作 用 時 間が不活化効率 を
弱酸性 に低 下す るほ ど,不 活化 速 度が大 きい こ
決め る主要 な変 数 となる.不 活化過程 を速度論
とが わか る。 この 図か ら,pH 7.6に お いて生菌
的 に解析 す る た め の モ デ ル と して ,Chick一
数 を 3桁 (3 1og)減 少 させ るの に必要 なCT値
WatsOnの 法則 89)が 最 も一 般 的 に用 い られ て
は ,pH 5.6の 場合 のCT値 の 約 2.2倍 大 きい値 と
いる
なる
.
:
log(ル/Ⅳ o)=― 力CT
(6)
(図
6)は ,(図 5)の 各pHに お け る非解 離型
こ こで ,NOは 微 生 物 の 初 発 生 菌 数 ,Nは 時 間
HOCl濃 度 (CHocl)を 算 出 し,生 残 率 をεHocITの
rに お ける生菌数 ,Cは 消毒 剤 のile度 ,力 は 一次
関数 と して整 理 し直 した結 果 で あ る
不活化速 度定数 で あ る。消毒剤 のiin度 の項 (C)
こ とに ,異 な るpHで 得 られ た生 残 率 は ,一 本
7,.面 白 い
Vol.16 No.1(2010)
5
0
き くなる こ とが わか る。各温 度 で得 られた一 次
1
・
不 活化 速 度定 数 力値 はArrhenius型 の 温 度依存
も
性 を示 し,見 掛 け の 活 性 化 エ ネ ル ギ ー
3
・
●
O
4
・
5
・
ル値 は 約 22倍 増 加 す る と 概 算 さ れ る 11)。
。
rilぉ
い ヽθbα ″滋″ Spp.(pH 7)121ゃ 3“ 捌溶 s“ う
“
)に
spore(pH6,11)・ “ 対 す る力値 もArrhenius
型 の 温度依存性 に従 う こ と力`
知 られてお り,得
6
・
7
・
0
5
10
15
20
25
30
%。 cl「 (mg・ min/Jl
図6
Ca)
は約 60 kJ/mol,殺 菌温 度が 10℃ 上昇 す る毎 に
o°
● ピ ゝヽ
︵
︶¨⊇
2
・
0
られ たEa値 (45∼ 80 kJ/m01)は
2ノ
ο/aS“ ″Sの 殺 菌 におけ るHOCl濃 度依存性
“
(CH∝ :非 解離 HOCl濃 度)
,お お よそ化
学 反応 の 熱依存性 に相 当す る値 で あ る。 この こ
とか ら,HOClの 細 胞 内 へ の透 過 (拡 散 過 程 )
の直線上 に載 る こ とが わか る。 す なわち,殺 菌
は,相 対 的 に速やか に起 こ り,そ の後 の細胞 内
作用 に及 ぼ す pHの 影響 は ,HOClの 存在比 率 に
での酸化 反応 に よる損傷 過程 が殺菌機構 の律速
及 ぼ す pHの 影 響 と等 価 で あ る こ とを示 して い
とな って い る もの と推 測 され る。 お そ ら くは
る.同 様 な結 果 はBα θJ′ ′
%s属 の芽胞 に対 して も
細胞 内で の抗 酸化性物 質 に よる防御作用 の存在
得 られて い る
5,動
が ,HOClに よる致死 効 果 を遅 らせて い る と考
.
HOClの 殺 菌効 果 は ,温 度 の上 昇 とと もに著
しく増加 す る。 (図
,
え られ る。
7)に ,pH5.7に 調整 した次
(FAC濃 度 :2.5
亜 塩 素 酸 ナ トリ ウ ム 水 溶 液
4、
ppm)を 用 い て 15∼ 40℃ でP′
3
次亜 塩素酸 によ る損傷
細胞 内で は,求 核性 部位 を有す る分子 であ る
″賀θ
ι
πSを 殺菌
“
処理 した時 の生 残 曲線 を示 す 。いず れの温 度 に
ポ ル フ ィ リ ン,ヘ ム,フ ェ レ ドキ シ ン様 の鉄 ―
お い て も,(6)式 で 表 され る擬 似 一 次 反応 に
硫黄 中心 ,プ リ ンお よび ピ リ ミジ ンの塩 基 ,ア
従 って 直線 的 な生残 曲線が得 られて い る。また
ミン,ア ミノ基 ,ス ル フ ヒ ドリル (―
,
SH)基 等
が HOClや OCl の 求電子 (酸 化 )攻 撃 を受 けや
す い 。.例 え ば ,大 腸 菌 に対 す るHOClの 酸化
温度が増加す る と ともに不活化速度 は顕 者 に大
ス トレス にお いて は , 一SH酵 素 の触 媒 活性 の
﹁
低下 や グル タチ オ ンの よ うな抗 酸化性物 質 の減
2
・
b 0.― sH基
C
少が殺菌作用 の結果 と して起 こる
3
・
は , タ ンパ ク 質 の シス テ イ ン残 基 に存 在 し
,
20°
4
・
ピミ ヽ 2
︵
15。
5
・
30°
C
タ ンパ ク質構 造 の 維持 ,酸 化 還 元電位 の調 節
C
酵素活性 等 の役 割 を担 って い る .呼 吸系酵素群
6
・
0
20
40
60
80
には 一SH酵 素 が 多 い た め ,細 胞 内 に進 入 した
100
HOCIは 一sH基 を酸化 して酵素活性 を失活 させ
年AC r ttg.mh/′ )
図 7
,
る .HOClに よる 阻害 は ,酸 化 的 リ ン酸 化 13),
次亜塩素酸 ナ トリウム (pH 57)│こ よる
P′ %ο ″Sι ι
%Sの 殺菌における温度の影響
ATP生 成 /利 用が 関与 す る代 謝経路 D,そ の他
の膜 関連 機能 20に お い て起 こる。 また ,HOCl
(CHOc i非 解離HOCl濃 度)
5
調理食品と技術
6
はヌク レオチ ド塩 基 の塩 素化誘導体 を生成 して
る (図 4参 照 ).
DNAの 損 傷 を引 き起 こす 20.以 上 の 阻害 機
構 を総 合 す る と,HOClの 主 要 な殺 菌作 用 は
H202+Fe2+→ ・OH+OH+Fe3+(8)
また ,好 中球 で は 非解離 HOClが Fe2+と 反応 し
①必須酵素 や抗酸化性物質の 一SH基 の酸化 と
て ・OHを 生 じる反応 も報告 され て い る
・OH+Cl +Fe3+(9)
HOCl tt Fe2+→
lα
,
2●
.
,
② DNA合 成 における致命的損傷が単独 あるい
(8)式 と (9)式 で生 成 した Fe3+は ,02に よ
は複合 して起 こる結果 であると要約 される。
り再 び Fe2+に 還元 され る (Haber‐ Weiss反 応 )
こ とが 真核細胞 で 見 出 され て い る。この ように
4.4 活性酸素種 の寄与
HOClの 殺菌作 用 は ,HOClの 酸 化反応
HOClに よる酸化 ス トレスにお いて,細 胞内
(・
(一 次損
・
傷 )に 加 え,副 生 成 す る OHの 酸化 反応 (二
で発生す る過酸化水素や (H202)や ヒ ドロキ
シラジカル
,
次損傷 )に も起 因す る と推 定 され てい る
OH)が 殺菌 メカニ ズムに関与
2)。
り
してい ることが示唆 されてい る嗜 。たとえば
,
45
電子伝達系 による酸化的 リ ン酸化 では,02が
濃厚 溶液 の殺菌作 用
次亜塩 素酸 ナ トリウ ムの 濃厚 液 (pH>12.5)
1電 子還元 を受ける過程 で種 々の活性酸素種 が
と OCl の 相加 ・ 相 乗作 用 に よ り殺
菌作 用 を示す (こ のpH領 域 で は,FACrin度 >
で は ,OH
生成する。
°
02→ 02 → H202→ OH→ H20(7)
10,000ppm)。 高 7in度 の OHは
(7)式 の 反 応 は ,原 核 細 胞 で は形 質 膜 で行
,細 胞 壁 や形 質
膜 を構 成す る物質 ,例 えば ム コ多糖 ,タ ンパ ク
わ れ る (真 核 細 胞 で は ミ トコ ン ドリア 内膜 )。
生 成 した02 は
,ス パ ー オキ シ ドジ ス ム ター
質 ,リ ン脂質 ,不 飽和 脂肪酸等 を局所 的 に分解
(SOD)に
よ りH202に 変 換 され , さ らに
し,細 胞構造 に変化 を与 え る.そ して,細 胞 内
H202は カ タラ ー ゼ あ る い はペ ルオ キ シ ダー ゼ
に進入 しやす くな った OCl は ,必 須酵素 のSH
ゼ
に よ りH20に 変換 され る。 (7)式 で はH202が
°
H20に 変換 され る過 程 で OHが 生 成す る こ と
基 や ア ミノ基 を酸化 して触 媒機 能 を阻害す る も
になって い るが ,通 常 は カタラーゼ とペ ル オキ
・
シダー ゼ の 触 媒作 用 に よ り OHの 蓄積 を抑 制
(1.5∼
の 併用 に よる芽胞 の殺 菌処 理 で は,OH
して い る。 しか し,こ れ らの抗酸化酵素 の 活性
パ ク質で構 成 され る芽胞 コー トを溶解す る こと
が HOClに よ り阻害 を受 け る と,02と H202が
に よ り,OClの 透 過 を促 進 させ ,ま た 自己分
蓄積 す る こ とに なる .02は 生体膜 の 透過性 は
解 を誘発 させ るな ど,各 薬 品 の 単独使用時 よ り
が
も速やか な殺 菌効果 を得 る こ とがで きる
の と考 え られ る25)。
ほ とん どな い と言 わ れ て い るが ,H202は 形 質
また ,水 酸 化 ナ トリウ ム
4%)と 次亜塩素酸 ナ トリウ ム (200ppm)
が タン
.
膜 を容 易 に通 過 す るため ,蓄 積 したH202は 細
5.次 亜 塩 素 酸 ナ
胞 質 に も放 出 され る.一 方 ,HOClは 膜 内在 の
トリ ウ ム の 洗 浄 特 性
電子伝 達体 で あ る鉄 含有 ヘ ム・ 非 ヘ ム タ ンパ ク
次亜塩 素酸 ナ トリウ ムの 7in厚 溶液 (pH>12)
).遊 離 し
の洗浄作 用 は,共 存 す る水酸 化物 イオ ン (OH)
質 を攻撃 し,Fe2+の 遊離 を もた らす“
°
の 溶 解 力 に依 存 す る とこ ろが 大 き い。 一 方
たFe2+は H202と 反応 して反応性 の 高 い OHを
°
生 じる (8式 :Fenton反 応 ).こ の OHが
OH の 洗 浄 効 果 が 期 待 で き な い 希 薄 水 溶 液
DNAや 酵 素 ,そ の 他 の細 胞 組織 を直接 攻 撃 す
(pH75∼ 10)の 洗 浄作 用 は ,解 離型 OCl の 濃
,
6
,
Vol 16 No l(2010)
度 に強 く依 存す る初
.
れお よび固体 表 面 に吸着 して汚 れ ―固体 間 の 吸
一 1
・
固液 界面 での 洗剤 の役割 は ,洗 剤 成分 が ,汚
0
︵
劇 偉 銀 ︶ニ
5.1 水酸化 物 イオ ンの洗浄効 果
着力 を最小 にす るこ とで あ り,洗 剤 成分 が汚 れ
と置 き換 わ って 固体 表面 に吸着す る置換 反応が
0
20
主要 な洗浄 メ カニ ズ ムの一つ であ る と考 え られ
(OH)は ,タ
ンパ ク質,多 糖類
60
80
100
120
洗 浄時間 (min)
て い る".次 亜塩 素酸 ナ トリウム に含 まれ る水
酸化物 イォ ン
40
図9
,
ステンレス鋼か らの タ ンパ ク質の離脱速度に
及ぼす水酸化ナ トリウム濃度の影響 (40℃ )
油脂類等 の広範囲の有機性汚れに対 して優 れた
溶解力 を示す こと,さ らに付着物質ならびにス
と もに 除 去 率 は わ ず か に 増 加 す る傾 向 を示 す
テ ンレス鋼表面 に吸着 して大 きな負電荷 を帯電
が ,OH
させ吸着相互作用 を減少 させることか ら,次 亜
ま た ,強 酸 性 溶 液
塩素酸ナ トリウムの基本的な洗浄力 となってい
タンパ ク質 の 変性 。凝集 が起 こ り除去 しに くい
る
状態 に変化す る場合 が あ る
2)。
の 効 果 と比 較 す る と洗 浄 効 率 は低 い 。
(pH l)で の 洗 浄 で は
,
.
残存 した種 々の タンパ ク質 を対象 に一定時間ア
9)に ,タ ンパ ク 質 (牛 血 清 ア ル プ
ミン :BSA)が 不 可 逆 吸 着 した ス テ ン レス 鋼
ルカ リ洗浄 を行 った ときの ,洗 浄液 のp耳 と除
を種 々の 濃 度 のNaOH溶 液 で 洗 浄 (40℃
)し た
去率 の 関係 (平 衡論 )を 示す 2,29)。
ときの離 脱 曲線 (速 度論 )を 示 す鋤.OH
濃度
(図
8)に ,水 洗浄後 にス テ ンレス鋼表面に
(図
ぃず れの
タンパ ク質 に対 して も,pHと 除去率 の 関係 は
の増加 とともに,洗 浄速 度 な らびに洗 浄効率 は
同様な傾向 を示 してお り,ア ルカリ性 のpH領
著 し く増 加 す る .た と え ば ,NaOH濃 度 が
域 ,特 にpHH∼ pH13.5の 範囲にお いてpHの 増
001Mか ら0:3Mに 増加 す る と,洗 浄初期 にお け
加 (OH 濃 度 の増加)と ともに洗浄性は著 しく
るBSAの 離 脱 速 度 は約
向上す る.一 方 ,強 酸性溶液 ではpHの 減少 と
にお いて は約 8倍 増加 す る と概 算 され る。
2倍 増 加 し,洗 浄 後期
水 酸 化 物 イ オ ン と熱 の 併 用 は ,汚 れ層 の膨
潤 。溶解 と加水 分解 を促 進 させ て相乗 的 に洗浄
O牛 血清アルプミン
S 掛 =饉
ロ
◇
▽
一
0
△ 。
。 口 。
△
β―ラクトグロプリン
ゼラチン
カゼイン
卵自アルフミン
に及 ぼす温 度 の影響 (速 度論 )を 示す 30.温 度 の
増 加 と と もに ,BSAの 離 脱 速 度 は著 し く増 加
ロ
し,よ り短時 間 で平衡残存量 に達 して い る こ と
△′
:1
,BSAが 不可逆吸着 し
たステ ンレス鋼 の アル カ リ洗 浄 (0.lM NaOH)
0
ロ
。
速度 を高 め る。(図 10)に
がわか る。 タンパ ク質汚 れが吸着 した ス テ ンレ
pH
図 8
ス鋼 を対象 と した実験 室規模 の ア ル カリ洗浄実
ステ ンレス鋼 に不可逆吸着 した タンパ ク質 の
験 で 得 られ た 一 次離脱 速 度 定 数 は,Arrhenius
除去 に及 ぼす 洗 浄液 のpHの 影響 (40℃
型 の温度依存性 を示す こ とが 知 られてお り,洗
)
7
‖
‖J‖ 山品 たIL術 '
0
して再 プ ロ ッ トす る と,I(な る│,IIJiよ
0
Ю
濃 度 で 得 られ た タ ンパ ク費 σ)‖ 11ノ キ中(は ,()t:│
濃 度 に対 して 一本 のFil卜 に集F・Jさ れ るllll泉 とな
1
・
る (図 1lB).こ θ)関
1
・
ウムの洗 浄 力 が 角
イ‖1彎 10Cl υ)臓 1彙 に lllく 依存
5
0 5 5 0 ・
︵
劇 仕 銀 ︶ニ
■
υ,1円 数 と
プ、'1く を0(.l濃
し, タンパ ク質 σ)晰 ミ
-20
lflは
,次
│‖
1'格
it
rナ
│「
∧c
紫職 ナ トリ
す る こ とを示 す結 果で あ る
,
o
10
20
30
40
50
60
タンパ ク質お よび餓ヤト争精 lrIの 離 llt出 1鯉 (速
洗 浄 時 間 (min)
サして指 軟 的 に増 加│す
度論 )は ,OCl濃 度 に 彙
図 10 ステ ンレス鋼か らの タ ンパ ク質の離脱速度 に
及ぼす ア ル カ リ洗 浄温 度 の影響 (01M NaOH)
′
ることも確 かめ られて い ど '`{□ 12)に
タ ンパ ク質
│‖
ll橿
お戯 ナ トリウム
水溶液 (FAC:1,000 ppm)で 洗浄 (4()1:)し
つX V
oo
の 作用
のみでは付着 汚 れの 除去 が ほ とん ど起 こ らな い
ロロ 。
︵
じ 掛= 儀
有機物 汚 れ に対 す る洗 浄 力 が解 離型 OCl の
N● 001(mg/′ 〉
ハ
υ
A
5.2 次亜塩素酸 イオ ンの洗浄効 果
濃度 に強 く依存 す る とい う事実 は,OH
(BSA)が 吸 着 した縄水ヤ‖セ ラ
ミックスを種 々のpllの 次
浄温 度が 10℃ 上昇す る ご とに洗 浄速 度定数 は約
。
L32.
14∼ 1.6倍 増加 す る と概 算 され ている
,
実験 系 (pH領 域 )に お いて ,汚 れ の 除去 率 を
OCl ile度 の 関数 と して整理す る と明 白にな る
.
(図 11)に
, タ ンパ ク質 (BSA)が 不可逆 吸
4 0 8 10 12 141
着 した ス テ ン レス 鋼 を ,種 々 の pH(4∼ 11)
pH
及 びFAC濃 度 lCXl∼ 1,000ppm)に 調整 した次亜
11 100 1000
00F(mc PAO/′
)
llfttЩ 唐した タンパタ質の
ステンレス鋼にイ`
鮮植の添
除去に及ぼす次11鳳 紫餞 トリ
│,1{)1)
plll史
の
影響
加効果と
図 11
│り
'ツ
塩素酸ナ トリウ ム水溶 液 で 洗浄 した ときの除去
す
率 (平 衡 論 )を 示・
`、
.水 酸化 ナ トリウム溶 液
(OH の 作 用 )単 一 の 洗 浄 と比 較 す る と,次 亜
塩素酸 ナ トリウ ムの 存在 に よ り,比 較 的低 い ア
次亜 塩素 酸 ナ トリウムの 効果 は
,
0・
1,000ppmと 高濃 度 で 存 在 して も,弱 酸性 のpH
―10 0
溶液 であれば次亜塩 素 酸 ナ トリウムの洗浄効 果
(図 1lA)に お い て OH
ほ ど顕 著 に 現 れ る 。 一 方 で ,FAC 7in度 が
は期 待 で きな い こ とが 理 解 で きる。 こ こで
0
有効塩素 濃 度 が 高 い ほ ど, また pHが 高 くな る
0 る (図 1lA)。
︵
劇 性 饉 ︶三
ル カ リ性 pH領 域 にお い て高 い 除去 率 が得 られ
20
40
00
00
100
1摯
0
140
100
洗 il晴 聞 いln)
(「
,
図12 rll水 1■ セラ ミツクスか r,:′ ,ク .11サ ΨIプ '‖ lllt
1杵 llly)
速,■ に及ぼす:欠 `r,1車 耐 り │り '"ノ 、
`
pHの ‖多
制:(10て
の 作 用 の み で は タ ンパ
ク質 除去 が起 こ らな いpH 4∼ 10の 領 域 に着 目
)
8
Vol 16 No.1(2010)
9
︵
劇 性 饉 ︶E
15
存 在す る と,20∼ 60℃ の 範 囲 にお いて,温 度 の
A
増加 とともに離脱が起 こ り始 め る まで の誘導期
20,40.60° C
10
間 の短 縮 な らび に離 脱 速 度 の 顕 著 な増 加 が 見
15
一次離脱速度定数 は
ら れ る (図 13B)。
,
Arrhenius型 の 温 度依存 性 を示 し,Ea値 は30.4
10
20°
︵
劇 社 銀 ︶ニ
05
30°
C
k」
/m01,洗 浄 温 度 が 10℃ 上 昇 す る ご とに離 脱
速 度定 数 は約 1.4倍 増 加 す る と概算 され る。 一
C
方 ,60℃ を超 え る過 剰 な加 温 は ,逆 にOCl の
洗 浄作 用 を減 少 させ る とい う結 果 も得 られ て
いる11).
OClの 洗 浄 力 は ,有 機 物 汚 れ に対 す る酸 化
分解作 用 に起 因す る と考 え られ る。一方 ,ベ ク
0
10
20
30
40
50
チ ンや微 生物 の場合 ,そ の 分子鎖 や細胞組織 に
60
顕 著 な酸 化分 解 が起 こ らな くて も,OCl
洗浄時間 (mh)
の ile
度 に依存 して脱着 は進行す る こ とも示 されて い
図13 弱 アル カ リ性次亜塩 素酸 ナ トリウム水溶液 を
用 い た洗浄 にお ける ステ ンレス鋼 か らの タン
る '2つ 。 おそ ら く,OClは 分解 作 用 を発揮 す る
パ ク質 の離 脱速 度 に及ぼす温度 の影響
一 方 で ,固 液界面 で はOH
(A)NaOH溶 液 (pH 9);
の 作 用 と同様 に吸着
置換 作用 に よって吸 着物 質 を脱 着 させ て い るの
(B)NaOCI水 溶液 (pH 9,aXlppm)
で はないか と考 え られ る。
た と き1の 離 脱 曲線 を示 す 3●
.pHが
10.3と 増 加 す る こ とは ,OCl
タ ンパ ク質 汚 れ が加 熱 に よって熱 変性 す る
5.2,7.5,
と,OH
濃 度 が約 5,500,
の 洗 浄作 用 だけで は除去 しに くい 固着
1,000 ppmと 増 加 す る こ とを意 味 してお り,pH
汚 れ とな る。 この よ うな熱 変性 タンパ ク質 の 除
の 増加 ,す な わ ちOCl lin度 の増加 とと もに洗
去 を促進 す る手段 として ,次 亜塩 素酸 ナ トリウ
浄速度 な らび に洗 浄効率 は著 しく増加 して いる
ム (NaOCl)の 酸化分解作 用 を利用す る方法 が
こ とが わか る.さ らに ,溶 液 のpHを 12と す る
有効 で あ る。 (図 14)に
と,OCl
,熱 変性 BSAが 吸 着 し
濃 度 は 1,000 ppmの ま まで あ るが
OH と OCrが 相 乗 的 に作 用 して洗 浄 速 度 は著
,
001M NaOH
(図
13)は ,OH
(BSA)が 吸 着 した ス テ ン レス 鋼 を対 象 に
(400ppm)
,
-1 5
OCl(6∞ ppm)の 洗 浄効果 に及ぼす温 度 の影響
日).pH 90の
(速 度論 )を 検 討 した結 果 で あ る
-2 0
0
20
40
60
80
100
120
洗浄時間 (min)
NaOH洗 浄 の 場 合 (20,40,60℃ を例 示 ),
BSAの 離 脱 は きわ め て 緩 慢 で あ り,温 度 の 効
果 もきわめ て小 さ い (図 13A).一 方 ,OCl
NaOC!添 加
︲
一
(pH 90)に お い て , タ ンパ ク質
カ リ性 領 域
の 洗 浄効 果 が小 さい弱 アル
0 一
︵
劇 性 銀 ︶f
しく増加す る。
図 14 ス テ ンレス鋼に吸着 した熱変性 タンパ ク質の
ア ルカリ洗浄除去に及ぼす次亜塩素酸ナ トリ
が
ウ ムの添加効果 (40℃
9
)
lll理
10
たステ ンレス鋼 の アル カ リ洗浄 (001M NaOH)
のである
にお け るNaOCl(400ppm)の 添加 効果 (速 度
論 )を 示 す
34)。
食品 と技術
.
6.次 亜 塩素酸 ナ トリウ ム と次亜塩素酸 水
NaOH溶 液 に よる洗 浄 で は ,熱
違 い は何 か
変性 BSAは ほ とん ど除去 され てお らず ,除 去
次亜塩素酸ナ トリウムの希釈水溶液
率 は13%に 止 まって い る。一方 ,NaOClを 添加
(お
よび
よび弱酸
した場 合 ,洗 浄 初 期 にOCl の 拡散 律 速 の 影響
電解次亜水 )と 酸性次亜塩素酸水
は あ る もの の ,熱 変性 BSAの 速 や か な離 脱 が
性次亜水)と の化学的性状 の違いをひと言で表
起 こってお り,除 去 率 は95%に 増加 して い る。
す と,“ pHが 異 なる次亜塩素酸含有水溶液 "と
で は,OH
言 える.(図
(pH>125)と NaOClの 併用
強 ア ル カ リ性 溶液
(お
3)か らわか るよ うに,次 亜塩素
酸ナ トリウムの希釈液 (pH8∼ 10)や 電解次亜
と OCl の 相乗 効 果 に よ り洗 浄 速 度
洗 浄剤 は,牛 乳 や飲 料 の殺 菌 工 程 の 熱交換 機 の
(pH>75)の pH領 域では,次 亜塩素酸 は主
に解離型 のOCl と して存在す る。 一 方 ,強 酸
伝 熱板 に付着 した熱変性 タンパ ク質汚 れの除去
性 (pH≦ 2.7)お よび微 酸 性 次 亜塩 素酸 水
は著 し く増大 す る。 この よ うな塩素化 ア ル カ リ
に適用 され て い る
35)。
水
また ,強 ア ル カ リ性 の
(pH5.0∼
65)の pH領 域 では,非 解離型 のHOCl
NaOCl溶 液 は ,OH に よる微 生物細胞 の溶菌作
として存在する比率が著 しく高 くなる.こ の次
用 と相 乗 的 に強 い 殺 菌 効 果 を発揮 す る こ とか
亜塩素酸 の解離状態 の違 いが ,上 述の洗浄・殺
ら,洗 浄 と同時 に機 器表面 の殺 菌 を兼ね る こ と
菌効果 に加 え,FACの 安定性 ,有 機物 との反
も操作 上の利点 の一 つ で あ る
応性 ,安 全性 ,金 属腐食性 に大 きく影響す る。
5.3 次亜塩素酸 イオ ンの洗浄作用 メカニズム
6.1 次亜塩素酸水 と弱酸性次亜水の製造方法
.
と特徴
次亜塩素酸 が タ ンパ ク質分子 を酸化分解 す る
機構 につ いて は ,生 体系 で研 究 され た報告 が多
強酸性お よび微酸性電解水 は,希 薄食塩水 お
く,タ ンパ ク質分 子鎖 の ア ミノ酸残基 (一 NH3+)
よび希塩酸の電気分解 で発生 した次亜塩素酸
とHOC1/OClの 反 応 に由来す るク ロ ラ ミン と
(HOCl)を 殺菌因子 としてい る。
C12+H20→ HOCl+H++Cl
窒素中心 ラ ジカル種 の 形成が分子鎖 の酸化分解
.初
の 開始 に寄与 して い る と報告 されて い る“
R―
CH2 NH3+→
R―
CH2 NH2+
―
R一
(11)
現在 では,電 解水 は「次亜塩素酸水」 の名称 で
.
殺菌料 として食品添加物に指定 されている。電
CH2 NH2+ Cl→
R― CH2 NH (10)
解槽 は,陽 極 と陰極が隔膜 で仕切 られた多室型
また,強 ア ル カ リ性 条件下 で は, タンパ ク質分
電解槽 (二 室型が一般的)と 隔膜 のない一室型
NH一 CO― )に 関与す
電解槽 に大別 される。酸性次亜塩素酸水 は非解
る窒素 原子 の 脱 プ ロ トン化 が誘発 されて窒素 原
離型 HOClの 存在比率 が大 きいため ,同 一の
子鎖 の ペ プチ ド結合
子 が負
(δ
(一
)に 分極 す るため
(一
N 一 CO―
FAC濃 度 であれば,各 酸性次 亜塩素酸水 の殺
),
Cl+に よるペ プチ ド結 合 の 酸 化 分解 が著 し く促
菌効果 は次亜塩素酸ナ トリウム希釈水溶液 より
進 され る.強 ア ル カ リ性洗剤 に次亜塩素酸 ナ ト
も大 きい
リ ウム を添 加 した塩 素 化 ア ル カ リ洗 浄 剤 は
(図
5参 照 ).
次 亜塩 素酸 ナ トリウム水溶液 のpHを 強酸性
,
お よび微酸性次 亜塩素酸水 と同等 のpHに 調整
OH と OClの 洗 浄作 用 を相乗 的 に利用 した も
-10-
11
Vol. 16 No l(2010)
する と,FAC濃 度が同 じであれば,い ずれ も
に,次 亜塩素酸ナ トリウム と塩酸を混合 して調
各酸性次亜塩 素酸水 と同等 の殺菌力 を示す。そ
製 したpH2∼ 7の 疑似酸性次亜塩素酸水 のFAC
こで,電 解技術 を用 い ないで,次 亜塩素酸ナ ト
濃度 の経時変化 を示す 40.溶 液 のpHが 低 いほ
リウム と酸性溶液 を水道水に混合希釈 して製造
ど,FAC濃 度 の減少が速 い ことがわか る。特
する弱酸性次亜水 の連続供給装置 が普及 し始め
に,強 酸性次 亜塩 素酸水 のpH領 域 (pHく 3)
てい る。pH調 整剤 には,主 として塩酸や酢酸
ではAC濃 度 の減少が著 しい。 これは,水 溶液
が使用 されて い る3a39.殺 菌効果 はHOClが 高
中に存在す る溶存 C12の 一 部が飛散す るためで
比率で存在する pH4∼ 6の 弱酸性領域 で最 も高
あ る (図 3参 照)。
くなるが,同 時に金属材料 に対する腐食性 も増
飛散 しやす い傾向があ るため,pH4∼ 7に お い
加す る。 したがって,弱 酸性次亜水 を使用 した
て もFAC濃 度は徐 々 に減少す る。一方,pHを
食材や機器 の殺菌 では,一 般 にFAC7in度 50∼
10に 調整 した次亜塩素酸ナ トリウム希釈水溶液
21Xlppm,pH6∼ 7の 条件 で 1∼ 2分 間の接触条
(FAC:20ppm)を
件が適用 されて い る。.弱 酸性次 亜水は,有 効
の研究では,40日 経過後 で も90%以 上のFACが
塩素濃度 や pHの 規 定 は な く,電 極 の メ ンテ
残存す ることを確認 して いる。 このように,酸
ナ ンス も不要であることか ら,簡 便かつ適用範
性 の次亜塩素酸水溶液 は もとも とFAC濃 度が
囲の広 い弱酸性次亜水供給 システム とい える。
低 い うえに不安定であることか ら,連 続給水 し
また ,非 解離型 のHOClも
同 じ条件で保存 した筆者 ら
て使用す る方が望 ましいが ,保 存 (貯 留)使 用
する場合 はFAC濃 度 の管理が必要である。
6.2 FACの 消失 とpHの 関係
酸性次亜塩素酸水や次亜塩素酸ナ トリウム溶
次亜塩素酸水 のFAC温 度 は,水 溶液中 に窒
液中 のFAC濃 度は,貯 蔵 日数 とともに経時的
素含有化合物 や フェノ ール類縁体が存在す る
に減少 す る。水溶液中で のFACの 安定性 の序
と,酸 化反応 を起 こして経時的に減少す る
列 はOCl>HOCl>C12で あるため ,FAC濃 度
,pHの 異 なる次亜塩素酸ナ トリウム
溶液に タンパ ク質 (BSA)を 添加 し,室 温 に
の減少 は酸 性 の溶液 ほ ど顕著である.(図 15)
4".
(図 16)に
◆ pH 7
5
2
x pH6
▲ pH 4
。
益
l
5
1
I1
e
×
pH3
6
■
1
0
・
②
■
じ 掛 性 銀 凛雲 森苺
︵
0
2
5
0
︵
ヽ oEE︶側 褻 鵬 野 壊 樽
称食 X貧
▲
0 ■
。
pH 2
0
0
10
20
30
40
50
pH
時 間 (day)
図 15 疑似酸性電解 水 の有効塩素 ill度 の 減少 に及ぼ
す pHの 影響 (25℃
)
図 16
タ ンパ ク質存 在下 にお け る遊 離有効塩素濃度
の 減少 とpHの 関係
調理食品と技術
12
て 4時 間静 置 した と きの FAC濃 度 の残 存 率 を
の残留塩 素 lit度 もきわめ て低 く, リ ンス水 の使
FAC残 存 率 は ,pH4∼ 5の 範 囲 で もっ
用量 も少 な くてす む。 また ,生 肉や野菜 を微 酸
示す
43)。
とも大 き く,94%程 度 を維 持 して い る。 一 方
性 電解水 で殺 菌処理 した際 に生成す るク ロロホ
,
pHが 中性 か ら弱 ア ル カ リ性 に増加 す る と と も
ルム量 は ,次 亜塩 素酸 ナ トリウムの使用時 よ り
にFAC残 存 率 は 減少 し,pH9.5付 近 で極小 値 を
4●
も大 幅 に低 減 され て い る 。 さ らに,酸 溶液 と
与 え る.こ れ は ,解 離 型 OCl と プ ロ トン化 し
しての緩 衝能 は低 く,排 出残留塩 素濃 度 も低 い
NH3+)と の 反応 に起 因す
ため,廃 水処 理槽 や環境 に対す る負荷 も微弱 と
て い るア ミノ基
(一
考 え られ る。
る もの と考 え られ る。す なわ ち,ク ロ ラ ミンが
生成 して い るこ とを意 味す る。実際 に大量 調理
施設で使用 され て い るlC10∼ 2∞ ppmの 次亜塩素
酸 ナ トリ ウ ム 溶 液 の pHは
6.4 金属 材料 に対 す る腐食性
pH9∼ 10で あ り
金属 の腐 食 は,水 と酸素 が あれば容易 に進行
,
FAC濃 度 の 消 失 が大 きいpH領 域 と一 致 す る。
す るが , さ らにpH(H+), 酸化 剤
一 方 ,殺 菌効 力 が大 き くな るpH4∼ 61こ 調 整 さ
等 の存在 や温 度 に よって も促 進 され る。腐 食 に
れ た水 溶 液 で は ,FACile度 は共存 タ ンパ ク質
対 す るpHの 影 響 は ,金 属 の 種 類 に よって異 な
の影響 を最 も受 けに くい とい う利 点 を有す る こ
る。 水 中 で の 鉄 の 腐 食 を例 に挙 げ る と,4<
とが わか る。 ただ し,共 存有機物 に よる酸性 次
pH<10の 範 囲 で あれ ば溶 存 酸 素 が鉄 の イオ ン
亜塩 素酸 水 の FAC濃 度 の 減少 は ,低 FAC濃 度
化 (Fe→
(FAC),Cl
Fe2++2e)で 放 出 され る電子 の受
容体 とな り錆 の形成 を伴 って腐食す るが ,鉄 表
ゆえの留意事項 で ある。
そ の 他 ,原 水 申 の鉄 イオ ン (Fe2+)ゃ マ ン
面 へ の酸 素 の拡散 が律 速 となるため,腐 食速度
(Mn2+)の 存在 に よって もFAC濃
は徐 々 に減 少 して ほぼ 一 定 とな る.pH>10の
ガ ンイオ ン
範 囲 では ,OH
が 鉄 イオ ンと不溶性 の水酸化物
を形成 して不動態化す るため ,腐 食速度 は減少
す る。 一 方 ,pH<3の 酸性 範 囲 では ,H+が 電
度 は減 少す るの で注意が必要 であ る。
NaOCl+2Fe2++5H20 → 2Fe(OH)3+
NaCl+4H+ (12)
H20+
NaOCl+Mn2++2H20‐
NaCl+2H+ (13)
→ Mn02・
子受容体 とな り水素発生型 の腐 食 が起 こるため
錆 の皮膜 は形 成 されず ,大 きい速度 で腐食 が進
行す る。 これ に対 して ,ア ル ミニ ウムや亜塩 の
ように,中 性 域 で は腐食速 度 は小 さいが,酸 性
6.3 安全性 と環 境 負荷
お よび ア ル カ リ性 領域 で pHの 変化 と ともに腐
次亜塩 素 酸 水 お よび弱 酸性 次亜 水 は ,FAC
tin度 が低
く穏 や か な酸性 であ るため ,次 亜塩素
食速度が急増 す る金 属が あ る
.
酸 ナ トリウ ム に比 べ て 皮膚 へ の刺 激 が少 な く
強酸性 次亜塩 素酸 水 は ,低 pHで FACと 電解
人体 に対す る安 全性 (急 性毒性 ,粘 膜刺 激性
質 のNaClを 含 有 し, さ らにDO濃 度が 高 い こ と
,
,
変異原性 等 )も 高 い
444,.最 近 で は,有 人化 に
か ら,金 属 の 腐 食 を起 こ しやす いので ,使 用後
お いて環境 空 間 に浮遊 ・付 着 して い る微 生物 や
は十分 な水洗浄が必要 で あ る。 これは,微 酸性
ウイルスの不活化 を 目的 として,微 酸性 次亜塩
次亜塩素 酸水 で も同様 で あ る。 一 方 ,ア ル カ リ
素酸水 や弱 酸性 次亜水 を環境 中に噴霧す る殺 菌
性 で使用 す る次亜塩 素酸 ナ トリウムや電解次亜
手法が導入 され始 め て い る.ま た,食 材 洗浄後
水 の場合 ,OH
-12-
は Cl
お よびOCl と 拮抗 して腐
Vol 16 No l(2010)
13
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40,次 亜
食作 用 を抑 制 す る 効 果 を持 つ こ とか ら
塩 素 酸 に よ る 金 属 腐 食 作 用 は ア ル カ リ性 領 域
(OH 共 存 下 )に お い て顕 著 に低 減 す る
.
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次亜塩 素酸 を含 有す る各種水溶液 を有効 に利
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あム,68,1025-1032(2XX12).
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用す るため には,次 亜塩 素酸 の 基礎 的 な化学 的
Page,M.A=University of 11linois,Thesis
特性 を熟知 して ,各 々の優 れた機能 を的確 に活
(2∞ 3).
Sagripanti, J‐ L, and Bonifacino,
用す る こ とが 必 要 で あ る。非解 離型 HOClを 高
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ら
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ο′,62,545-551
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比 率 で 合 有 す る次 亜 塩 素 酸 水 と弱 酸性 次 亜 水
Aibrich,」
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M,MCCarthy,C_A,and Hurst,J=
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は,有 効塩 素濃 度 あた りの殺菌効果 は大 き くな
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L:App′
aS4,78,210214(1981).
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.,178,
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Dukan,S,and Touati,D=I Bα ι′
るため ,殺 菌操作 に使用す る有効塩素濃 度 を大
6145‐ 6150
(1996).
幅 に低減 す る こ とが可能であ る.一 方 ,弱 ∼ 強
Thomas,E Lif″診σ′ f″ ″″″.,25,110-116
アル カ リ性 の次亜塩 素酸 ナ トリウム溶液や電解
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次亜水 は,水 洗浄 で は除去 で きな い有機物汚 れ
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19)Barrette.WC」
に対 して優 れ た洗 浄力 を有す る。次亜塩素酸 ナ
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W.D.,and Hurst,」 .K=β あ ′
η,28,9172‐
トリウム や次亜塩 素酸水 ,弱 酸性 次亜水 を万 能
“
9178 (1989).
的に使用 す るので はな く,使 用 目的が殺菌 であ
20)Champer,A.K,and McFeters,G A=ス タρ′
るのか洗 浄 で あ るのか を明確 に して使用す る こ
21)McKenna,SM"and Da宙 es,K」
.
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J""M′ σゅみあ1,37,633641(1979).
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とが重 要 で あ る。
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