流通倉庫のための AIB 統合基準 © Copyright 1956, 1978, 1985, 1991, 1995, 2002 by American Institute of Baking ISBN 1-880877-51-1 All rights reserved. No part of the work covered by the copyright may be excerpted, reproduced, copied, or duplicated by any method whatsoever unless specifically approved by the copyright owner. This prohibition includes, but is not limited to, recording, taping, and entering into electronic storage and retrieval systems. 目 次 AIB の 基 準 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 1 守秘義務………………………………………………………………… 2 自主検査への本基準の使用:検査チーム…………………………… 2 自主検査の種類………………………………………………………… 3 自主検査の実施………………………………………………………… 3 検査の準備……………………………………………………………… 4 検査記録………………………………………………………………… 4 用語の定義……………………………………………………………… 5 AIB 食 品 安 全 評 価 法 : 採 点 法 の 利 用 … … … … … … … … … … … … … 5 カテゴリー評価分類…………………………………………………… 6 施設評価分類…………………………………………………………… 6 検査報告と改善計画…………………………………………………… 7 公開評価………………………………………………………………… 7 第1部 食品安全衛生プログラムの妥当性……………………… 8 第2部 有 害 生 物 防 除 … … … … … … … … … … … … … … … … … … 13 第3部 作 業 方 法 と 従 業 員 規 範 … … … … … … … … … … … … … … 18 第4部 食 品 安 全 の た め の メ ン テ ナ ン ス … … … … … … … … … … 23 第5部 清 掃 活 動 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 28 不 十 分 と 評 価 さ れ る 状 況 … … … … … … … … … … … … … … … … … … 31 付 録 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 33 評価分析概括書 マスタークリーニングスケジュール 搬入原料検査記録 冷蔵庫/冷凍庫管理記録 殺虫剤使用記録 制限付き殺虫剤の購入記録 食品流通倉庫の文書審査用の必要文書 ( 08/12/2002) 流通倉庫のための AIB 統合基準 AIB 基準 食品流通倉庫のための AIB 統合基準 は、食品流通倉庫施設に携わる業者が業務範囲内の食 品安全に関するリスクを評価すること、および基準の遵守レベルを判断することを可能に する手段として発行されたものである。この基準には、工場の評価を数値的に表すための 基準や評点法が含まれている。これらの基準は、以下に示す適正管理原則に基づいたもの である:米国連邦食品・医薬品・化粧品法(FDCA;1938 年)、連邦規則(CFR)第 21 編第 110 部の適正製造規範(GMP;1986 年)、米国軍隊衛生基準、米国連邦殺虫剤・殺菌剤・殺 鼠剤法、EC 指令(93/43/EEC)、英国食品安全(一般食品衛生)規則 1995(1995/1763)、英 国食品安全(温度管理)規則 1995、コーデックス食品衛生委員会-基 礎テキス ト(1999)。 本書および評価手順は、食品流通倉庫経営陣が AIB の基準をどの程度遵守しているかを自 己評価するために用いるべきである。また、評価規定は、工場の検査結果を数値的に表し、 食品安全プログラムの全般的な有効性を評価するために用いるべきである。 第Ⅰ部 食品安全プログラムの妥当性 本項では、効果的な食品安全プログラムを確立して維持するために、必要な公式の文書化 されたプログラムに対する経営者の責任について概説する。これらのプログラムの詳細は、 本書の第Ⅱ部から第Ⅴ部に載っている。これらのプログラムを首尾良く履行すれば、工場 における食品汚染の可能性が低下する。食品安全プログラムの効果は、食品安全のために 必要なプログラムの維持と継続的改善について記した改善活動記録と自主検査により評価 される。 第Ⅱ部 有害生物防除 本項では、本統合基準に適合するために、必要な公式の文書化した食品汚染を防止するプ ログラムの構成要素について述べる。ここでは、数種のプログラムについて記述し、必要 な記録をリストアップし、有害生物、有害生物の痕跡または有害生物駆除剤による食品へ の汚染を防止するための具体的な手順を示す。 -1- 第Ⅲ部 作業方法と従業員規範 本項では、保管中の不純物混入から食品を守るために、必要なプログラムや技術について 記載する。ここでは、原料や最終製品の受入と保管;作業方法;および作業・配送・従業 員に関する規範について述べる。 第Ⅳ部 食品安全のためのメンテナンス 本項では、施設に要求する衛生設計基準、すなわち、予防保全プログラムの確立と実施; 文書化された保全作業依頼システム;建物、設備、器具に由来する汚染の防止について述 べる。 第Ⅴ部 清掃活動 本項では、流通倉庫の従業員のための建物や敷地のスケジュール化された清掃、清掃のた めの薬剤使用、毎日の清掃と詳細な清掃の定義、具体的な清掃基準の概要に関する要件を 述べる。 守秘義務 食品流通倉庫施設の検査を通じて AIB インターナショナル(AIBI)が得たすべての情報は、 AIBI と検査依頼者との間の機密事項として扱われる。検査報告書は AIBI コードナンバー を割り当て、依頼者に提供される。法律により要求される場合を除き、AIBI は検査依頼者 からの許諾文書がない限り、検査から得た情報や報告書を第三者には公開しない。 本基準の自主検査での利用:検査チーム 施設の管理者は、少なくとも月に一回は流通倉庫全体の検査を行うべきである。観察結果 を基に、正式な報告書が作成されなければならない。この検査を遂行するために、検査チ ームが組織されるべきである。チームで活動する目的は、教育、経験、責任の度合いの異 なる各担当者が、検査中に食品安全に関する事柄に焦点を置いて共に作業を行うためであ る。これには、次のようないくつかの利点がある: 1. チームで活動することにより、食品安全に対する経営陣のコミットメントを目に 見える形で表すことができる。この活動は重要な活動であり、優れた製品保管プ -2- ログラムを整えるために、各部署の責任を統合する機能を有していることが強調 される。 2. 様々な訓練を受けたメンバーがチームを組むことにより、食品安全の課題の探索 と対応が容易になる。また、管理システム、流通倉庫の方針、従業員の教育訓練 が、どのように食品安全システムに影響し得るか、そして実際に影響を及ぼすか に焦点をあてることに役立つ。 自主検査の種類 自主検査には 2 種類ある。一つは、例えば各監督者が各担当区域で行なう日常的な検査で ある。発見された欠陥箇所については、必要に応じてその後すぐに確認できるように、短 いリストとして記録すべきである。もう一つの検査は、多分野からなる管理者チーム、監 督者および担当区域の従業員が定期的に行なうべき正式な施設検査である。 検査時間は短くし、その最大限の効果を得ることに主眼を置くべきである。チームメンバ ーの他の仕事を妨げ、集中力や関心を削ぐ原因にもなる長時間を要する検査よりも、一つ の区域に重点を置く2時間程度の検査の方が望ましい。前述したように、検査チームには その区域の責任監督者を含めるべきである。また、検査は、従業員に食品安全のための適 切な手順と規範を教育訓練するための手段としても用いられるべきである。検査結果は記 録し、発見された欠陥箇所を列挙しなければならない。各欠陥箇所に対し、必要な改善措 置の計画、責任者、改善活動の予定日、実際の完了日を明らかにする。検査でプログラム の不履行や市場での食品安全上のリスクをもたらすような箇所が発見された場合には、上 部経営陣がそれらを改善するために検討し資源を提供する責任がある。 自主検査の実施 検査チームは、流通倉庫の自主検査を少なくとも月一回行なうべきである。施設が小さい 場合は、一回の検査で施設全体の検査を完結すべきである。施設が大きい場合は、2~4 箇所の範囲に分けて検査を実施することが必要かもしれない。毎週一つの区域を検査する と、施設全体の検査は2~4週間で終了する。施設をいくつかのセクションに分ける場合 は、施設の各区域を明確に定め、論理的な方法で一緒に検査が行なわれるようにする。例 として:受入区域;乾燥保管;冷蔵保管;冷凍保管;屋外や屋根と分ける方法、または管 理責任範囲ごとに区域を分ける方法が挙げられる。これは検査で発見された食品安全上の 危害を、検査範囲および責任者と関連付ける上で役立つ。 -3- 検査の準備 自主検査チームのメンバーは、本基準に定められた要件を綿密に検討し、以前の検査報告 書を調査することにより、予め検査の準備をすべきである。この活動は妨害されるべきで はない。チームのメンバーは検査実施中は検査に専念すべきである。施設の規模が大きい 場合は、検査は選択した区域に焦点を当てて、その区域を徹底的に検査すべきである。検 査チームは AIB 統合基準を用いて、徹底的な検査を実施することが重要である。 チームのメンバーは、懐中電灯、へら、機器を分解するために必要な工具、テープレコー ダーまたはメモ用紙、安全装備等を含む適切な検査用装備を携帯し、会社で定められたユ ニフォームを身に付けること。また、メンバーは、施設が定めたすべての方針に従うべき である。 検査記録 検査チームの中の一人を検査記録係とすべきである。本文書ではこれ以降、この者を記録 係と呼ぶ。検査は系統的に行なうべきである。受入区域などの部門から検査を開始し、そ の後、施設区域ごとに移動するなど論理的な順序で行なう。検査を実施した場所がわかる ように記録を取るべきである。こうすることにより、これらの記録を用いて食品安全性に 最も大きなリスクをもたらす可能性のある施設内の箇所や作業に、管理者チームが焦点を 当てることが可能になる。 記録係が、検査チームの行なったすべての観察の記録を取ることが重要である。すべての メンバーが、観察された危害や必要な改善作業について、また問題や危害の再発を防止す るために管理システムにどのような変更を行えばよいかについて理解できるように、検査 チーム内で観察された事柄を討議すべきである。記録された観察事項には、AIB のカテゴ リーに該当する下記のようなコードを付記する: 1. (AP) 食品安全プログラムの妥当性 2. (PC) 有害生物防除 3. (OP) 作業方法と従業員規範 4. (MS) 食品安全のためのメンテナンス 5. (CP) 清掃活動 6. (COM) コメント-欠陥ではなく、通常、事実の陳述、いかなる対応も必要とし ない -4- 記録係は、検査により観察された事項が AIB の統合基準に定められた定義に当てはまる場 合には、“Unsatisfactory” “Serious” “Improvement Needed”という指定用語も各々 の観察事項に付記する。 用語の定義 Unsatisfactory: 差し迫った食品安全への危害、プログラムの不履行ま たは適正製造規範からの逸脱。 Serious: 重要な潜在的な食品安全性に関するリスクまたはプ ログラム不履行のリスク。 Improvement Needed: 潜在的な危害、部分的なプログラム遺漏、適正製造規 範(GMPs)に合致しない食品安全上の所見。この危害、 遺漏、所見が改善されない場合は、プログラム不履行 に至る可能性がある。 しなければならない: AIB 統合基準に則った要求事項 すべきである: AIB 統合基準に則った推奨事項 食品流通倉庫での AIB 評価法:採点法の利用 検査が完了したら、記録係はすべての検査観察結果に番号を付け、AIB 評価分析総括書(付 録参照)に、その番号(報告項目番号)を書き写すべきである。項目番号は、総括書中の 適切なカテゴリー欄に記入すべきである。“Serious”または“Unsatisfactory”と指摘さ れた項目は、該当する指摘の分類枠内に記入すべきである。 記録係と検査チームは、総括書に記入した観察結果を読み直して、カテゴリーと分類が正 しいことを確認すべきである。このようにすることにより、記録係と検査チームが AIB 統 合基準の内容に従って検査記録を分析し、それらを数値化することが可能になる。 次に記録係は、以下の項に記述したカテゴリー評価分類に示された範囲内で、各カテゴリ ーに点数を付けるべきである。この点数は、各カテゴリーにおける最も危害が大きい食品 安全項目によって決定すべきである。例えば、検査記録に基づいて、ある危害は -5- “Unsatisfactory”、“Serious”、“Improvement Needed”、または“Minor Improvement”と いう項目に分類することができる。 総項目数と最も危害が大きい項目の危険度が、カテゴリースコアが各カテゴリーのスコア 範囲内で上の方にあるのか下の方にあるのかを決定づける。カテゴリースコアは5点単位 とする。もし、あるカテゴリー項目が“Serious”または“Unsatisfactory”と分類される 場合には、そのカテゴリーに付ける点数は、その範囲内になければならない。 「食品安全プログラムの妥当性」のカテゴリーのスコアは、他の4つのカテゴリーで記録 された観察および分析の評価基準、結果および点数に見合っていなければならない。検査 中に観察された欠陥の原因となっているプログラムや活動の客観的分析を可能にするため、 これは重要である。流通倉庫の検査総合スコアは、すべてのカテゴリーのスコアの合計で ある。 カテゴリー評価分類 以下に示した記述に沿って、カテゴリースコアを割り当てる: Minor improvements needed(一部改良の必要があるが、汚染の可能性がない) 180 – 200 Improvement needed(潜在的危害が認められる)…………… 160 – 175 Serious(定義を参照)……………………………………………… 140 – 155 Unsatisfactory(定義を参照)………………………………………… < 140 Unsatisfactory の項目が認められた場合、定義により管理プログラムが Unsatisfactory であった場合、またはスコアが 140 点未満のカテゴリーがひとつでもある場合には、総合 スコア分類は、合計点に関わらず“Unsatisfactory”とされる。 流通倉庫の評価分類 食品流通倉庫施設の総合スコアは、以下の数値範囲内に分類される。: Superior ……………………………… 900 – 1000 Excellent ……………………………… 800 – 895 Satisfactory …………………………… 700 – 795 Unsatisfactory ……………………… < 700 -6- 検査報告と改善計画 スコアが付けられ、報告書の内容が検討された後は、食品安全に関するリスクを低減する 計画を実施すべきである。この計画は、欠陥項目を改善するだけでなく、欠陥の再発を防 止するために管理システムを改善することにも焦点を置くべきである。 公式評価 食品流通倉庫のための AIB 食品安全統合基準 に述べられている基準や評価システムに従 って、検査結果が“Superior”または“Excellent”と評価された場合は、各検査に対して 達成証書(Certificate of Achievement)が発行される。 AIB の基準や評価法に従って、“Satisfactory”に達していると評価された工場に対して、 参加証書(Certificate of Participation)が発行される。 -7- I. 食品安全プログラムの妥当性 A. 連邦、州、行政および/または他の適切な規制法やガイドラインの遵守を確実に する責任および権限は、適格な管理職級の 1 名または複数名の者に明確に割り当 てられていなければならず、職能組織図が保管されていなければならない。適格 な管理職級の者は、すべての従業員が彼らの責任を認識し、彼らの作業の有効性 を監視する機構が適切に設けられていることを確認しなければならない。 B. 流通倉庫の食品安全プログラムの実施を担当する部門は、作業マニュアルや手順 書内において、各部門の従業員の具体的責任、職務内容や職務の概略を記載して、 管理しなければならない。その手順書には、安全に製品を維持する責務を負うと いう会社の意思を示す方針が含まれていなければならない。 C. 食品流通倉庫施設は、公式な食品安全委員会を確立しなければならない。この委 員会は多くの専門分野にわたるメンバーで構成され、予め決められた頻度で活動 し、施設全体の完全な検査が少なくとも 1 カ月に一度、確実に行われるようにす べきである。各検査の記録は、本要件の肝要な部分であり、個々の指摘事項を是 正するための割り当てと実際の実施結果を記載した文書を保存しなければならな い。項目の改善がなされているか否かを確認するために、フォローアップ検査を 行なうべきである。 D. 食品安全の遂行に直接関連する流通倉庫のすべての部門は、適切な予算を設定し、 適切な器具、材料、設備、モニタリング機器、化学薬剤、殺虫剤や教育を適切か つ適時に購入、実施できるように支援しなければならない。 E. 定期的な清掃を割当てのためのマスタークリーニングスケジュールならびに毎日 のクリーニングスケジュールは、正式に文書化された計画として作成されなけれ ばならない。クリーニングスケジュールには、頻度、責任者および清掃後の評価 を明記すべきであり、最新のものに更新しなければならない。このスケジュール には、外部の敷地、建物、排水設備、器具、冷蔵設備を含む設備が含まれるべき である。毎日のクリーニングスケジュールは、製品の零れや日常的に発生する汚 れを速やかに清掃することが出来るように作成すべきである。 清掃作業は3つの一般的な部分に分け、適切なスケジュールに含めるべきである。 作業の種類 該当スケジュール 毎日は行わない定期的な"本格的清掃“作業 マスタークリーニングスケジュール メンテナンス清掃 マスタークリーニングスケジュール 毎日の”通常清掃“作業 通常クリーニングスケジュール -8- F. 流通倉庫の従業員の教育訓練と設備の衛生レベル維持のために、詳細な清掃手順 書が作成されなければならない。この清掃手順書は、食品の保管に使用される全 設備および建物全域ならびに屋外の敷地の清掃に関して作成され、利用されなけ ればならない。 G. 搬入品の検査と文書: 1. 適切な部門が入庫製品の検査手順書を保存しなければならない。 2. 製品の完全性を保証するため、訓練を受けた人員が適切な設備を利用して、 すべての搬入品および搬入用車両を検査しなければならない。 3. これらの搬入品の検査には、有害生物の存在や他の好ましくない物質の有 無の点検を含めなければならない。 4. 受領日、搬入者、シール(封印)番号、量、製品の状態および有害生物や 好ましくない物質のいかなる痕跡をも示した受領記録が保管されなけれ ばならな い。 トレーラーや搬送容器上に封印がある場合は、そのシール 番号を送付伝票の番号と一致しているか否かを確認すべきである。必要な らば、製品回収を容易にするためにロット番号や保存期限、製造日もしく は製品を識別する方法を記録しなければならない。 5. 冷凍や冷蔵輸送のためのトレーラー温度は記録しなければならない 。 製 品の状態を確かめるために、あるいは顧客の要求に応じて製品温度を測定 すべきである。 H. すべての流通倉庫は、保存されている、または倉庫から搬送される品目固有の危 害分析を実施すべきである。保管されている全ての製品について、以下の1-7 のステップに従うべきである。 シーフード、食用魚もしくはアメリカ国内で法規されている製品を取り扱う、 またはシーフード、食用魚もしくは法規制下の製品をアメリカ国内へ輸出する各 流通倉庫は、HACCP(危害分析重要管理点)プログラムを確立しなければならない。 HACCP プログラムには上位経営陣のコミットメントがなければならない。多くの 専門分野にわたるチームを設置しなければなら ない。そのチームリーダーは、シ ーフード、食用魚もしくは法規制されている製品の HACCP について特に訓練を受 けなければならない。HACCP チームメンバーは、十分な訓練を受け、十分な経験 を有していなければならない。 HACCP 計画の作成前の段階では、各流通倉庫は既に前提条件プログラムを文書 -9- 化し、実施していなければならず、自主検査プログラムを通してその効果を検証 しなければならない。これらのプログラムには、清掃・衛生、適正製造規範と従 業員規範、有害生物防除、予防保全、化学薬剤の管理、食品安全性に関する消費 者の苦情への対応、製品回収とトレーサビリティーの確保、供給業者からの規格 書とその管理、および受領・保管・出荷などが含まれるが、これらに限定される わけではない。 作業手順を示したフローチャートは正確なものとして保管され、検証されなけ ればならない。 HACCP システムは、作業内容に関して確認された危害の管理において、実施内 容に対して具体的で、実施に際して実用的であり、効果的でなければならない。 このシステムを通して、会社は実施されている全ての作業が効果的に管理されて いることを実証できなければならない。以下の要点から成る HACCP の7つの原則 が遵守されなければならない。 1. 各保管品目の用途を記述し、保管および出荷される当該品目に固有の危害 (生物学的/化学的/物理的)を特定する。リスク評価を実施しなければ ならず、危害が発生する可能性が高いか否かを特定しなければならない。 リスク評価には、特定された危害を避ける、排除する、あるいは許容でき るレベルまで減じるために必要な工程の特定を盛り込まなければならな い。下記は危害分析を行なう際、可能な限り考慮しなければならない事柄 である: a. 危害の起こりうる可能性と健康への影響の重篤性 b. 生物学的、化学的、および/または物理的危害の有無に関する定 性的および/または定量的評価 c. 懸念される微生物の残存と増殖 d. 上記の項目をもたらすあらゆる状態 食品安全上のすべての危害および関連リスクの特定と評価を行うために、 シーフード、食用魚もしくは法規制されている製品に対しては、新製品、 旧製品を問わず、すべての製品に対して見直しのための概要を示した要 約シートが用意されなければならない 。危害分析管理の責任は、組織図 において明確に特定されなければならない。 2. 重要管理点(CCP)を決定し、危害を管理するための手順を確立する。 -10- 3. 特定された各危害を管理するために必要な各重要管理点に関連するクリ ティカルリミットを設定する。作業に関連して特定された重要管理点は、 予め設定された科学的根拠に基づくクリティカルリミットで管理および 監視されなければならない。 4. モニタリング頻度、あらかじめ設定された必要な是正措置、および重要管 理点をチェックする責任者、重要管理点の記録を検証する責任者を具体的 に定めて、文書化して管理しなければならない。 5. 逸脱時の手順、製品廃棄の記録方法およびこれらの処置の責任者を定めて 文書化する。 6. 検証および妥当性の確認の手順を確立して文書 化する。HACCP の監査や HACCP の文書管理に必要な検証や妥当性の確認には、是正措置、CCP のモ ニタリング記録、逸脱報告書、第三者機関による科学的な検査、顧客の苦 情管理、および HACCP 計画に対する法規制への遵守が含まれるが、これら に限定されるわけではない。 7. 手順書、適合記録および不適合に対する有効な是正処置の結果に関する文 書を保存する。 すべてのシーフード、魚類もしくは法規制されている製品に対しては、 HACCP システムを導入しなければならない。そして、HACCP 計画は、適宜 見直されなければならない 。この見直しは少なくとも年一回行わなけれ ばならない。 I. 適格な責任者は、新規採用従業員を含む全従業員に対し食品安全教育訓練を施す ために具体的な手順書を作成し、教育訓練の実施記録を保管しなければならない。 この教育訓練には、会社で制定された文書化された従業員規則も含めるべきであ る。再教育訓練は、年 1 回実施されるべきである。業務に就く前に、一時雇用者 および契約雇用者は適切に教育訓練されていなければならず、雇用期間中を通し て適切に監督されなければならない。 J. 顧客の苦情を評価するための正式な文書化されたプログラムを確立するべきであ る。苦情の情報は、適宜、再発防止と製品安全の継続的改善を進めるために活用 されるべきである。 K. 正式な製品回収プログラムが文書化されていなければならない。この手順は文書 化されなければならず、定期的に見直され、必要に応じて最新のものへ更新しな -11- ければならない。特定のロットの回収や分別を容易にするために、最初の配送先 が特定できるように配送記録は保存されなければならない。製品回収プログラム は、6ヶ月毎にテストし、実施されたテストについて記録を残すべきである。 L. 損傷した、または返品の管理について明確な手順書が設けられていなければなら ず、任に当たる従業員全員にその手順が理解されていなければならない。すべて の損傷した、または返品された製品は、問題の性質および/または顧客の具体的 な要求に応じて取り扱われるか、または処分されなければならない。実施された 活動について記述した適切な文書が保管されていなければならない。また、損傷 または破損品の製品在庫記録を適切に調整し、数量を正確に計上しなければなら ない。 M. 各流通倉庫業者は、政府または規制当局の検査官および第三者の監査人への対応 手順を確立しなければならない。この対応手順には以下の項目が含まれるべきで ある: N. 1. すべての検査官に同行するように指名された 1 人または複数名の選任者 2. 写真撮影に関する会社の方針 3. 記録とサンプルに関する会社の方針 ガラスの取扱い方針は文書化され、実施されなければならない。取扱い方針には、 ガラスは、絶対に必要な場合もしくは即座に除去できない場合を除いて、流通倉 庫の作業場において使用してはいけないということが明言されなければならない。 また、取扱い方針には、施設内の持ち込まれるガラスは、販売目的のガラス製品 のみであり、従業員の私物としてガラス製品が持ち込まれてはいけないことも記 載されていなければならない。この取扱い方針には、保管されているガラス製品 を含めて施設内で破損したあらゆるガラスの取扱い手順が、盛り込まれなければ ならない。高い場所へ設置した電灯などの絶対に必要なガラスがある場合、それ らのガラスの登録リストを保管しなければならず、偶発的な破損や損傷が発見で きるように、登録されたガラスを定期的に点検しなければならない。 O. 食品への汚染を起こす可能性があるとして特定された建物や設備の保全上の問題 要素に優先順位をつけるために、正式な予防保全プログラムおよび作業依頼シス テムが利用されていなければならない。会社は、保全作業を実施している間、保 管製品が適切に保護されていることを確実にしなければならない。 -12- II. 有害生物防除 A. 流通倉庫は、正式な予防的有害生物防除プログラムを保持しなければならない。 この有害生物防除プログラムは、訓練を受けた社内の者が実行するか、または外 部の有害生物防除請負業者によって提供されるだろう。流通倉庫は、有害生物の 活動により、製品が汚染される可能性を低減するためのプログラムの要件、また は有害生物の活動を防除することを目的とした物資および/または手順の使用に ついて概説した手順書を保持しなければならない。有害生物防除活動は、そのよ うな手順を規制する当局の規制要件に完全に従って行なわれなければならない。 さらに、個々のプログラムや手順は、最低限下記に示したものを含む。: 1. 流通倉庫内部および/または施設外周の敷地への有害生物駆除剤の使用 は、政府の規制により免許規定がある場合は、免許を有する請負業者、ま たは免許を持つか適切に訓練された社内の人員によって行なわれる。免許 規定がない場合で政府の規制により必要とされる場合には、使用者は認定 された講習会への参加により有害生物防除用の薬剤の適正かつ安全な使 用法の適切な訓練を受けたこと、または訓練記録と免許を有する使用者の 監督下にあることを証明しなければならない。“制限付き使用”と指定さ れている有害生物駆除剤は、政府の規制により免許が必要な場合は、訓練 を受けて免許を有する有害生物防除剤使用者のみによって使用されなけ ればならない。 2. 社内の人員(1 名または複数名の免許保有者または訓練受講者)が有害生 物防除を行なう流通倉庫は、以下のことを行なわなければならない。: a. 使用する各有害生物駆除剤に関して、サンプルラベルと化学物質 安全データ情報のファイルを保管し、有害生物駆除剤使用記録と 使用した安全防護装備の保全記録を保管しなければならない。 b. すべての有害生物駆除剤についての使用手順書の保管と実施。 c. 以下の 3.d.項に示すような、有害生物駆除剤使用の正確な記録 の保管。 3. 免許を保有する有害生物駆除業者に委託する流通倉庫では、下記の書類を 保管しなければならない。: a. 使用する薬剤、使用方法、注意事項、政府の規制により求められ -13- る化学物質安全データ情報を含む、提供される具体的業務内容を 記述した契約書。 b. 使用したすべての有害生物駆除剤のサンプルラベル。サンプルラ ベルはファイルして、規制法で指定されている期間保管しなけれ ばならない。 c. 有害生物活動の現在のレベルと、有害生物の活動を許している状 況の改善に必要な取り組みに関する推奨事項を記述した、正確か つ完全な業務報告書。 d. 施設内および周辺で使用された、殺鼠剤を含むすべての有害生物 駆除剤に関する正確な文書。文書は規制法に従って保管しなけれ ばな らず 、少 なく とも 以 下の こと が記 され てい なけ れば ならな い。: e. i. 使用した薬剤 ii. 対象となる生物 iii. 薬剤の使用量 iv. 有害生物駆除剤を使用した具体的な場所 v. 使用方法 vi. 使用率または用量 vii. 使用した日時 viii. 使用者の署名 最新の責任保険の写しと、免許が必要な場合は使用者の最新の免 許の証拠となるもの。 B. すべての流通倉庫は、有害生物活動を排除するための有効な予防プログラムを確 立しなければならない。プログラムの有効性は、有害生物活動およびその痕跡の 観察結果によって判断される。具体的な手順は以下のことを含むが、これらの事 項だけには限定されない。: 1. ネズミを防除するための屋外の毒餌箱の設置。これらの毒餌箱は、いたず らされない構造にすべきで、適切な場所に動かないように設置し、施錠し、 -14- 法的要求事項に従った表示を行なわなければな らない。この毒餌箱は、 流通倉庫の建物の外壁に沿って 15~30m 間隔で設置しなければならない。 地方条例により認められている場合は、業界の最善規範に従って、敷地外 周のフェンスに沿っても設置するべきである。法規制で認められている場 合は、適切に保全された機械式のネズミ防除装置を使用してもよい。 毒餌箱の蓋は、製造メーカーが提供または推奨する装置で施錠しなければ ならない 。再使用可能なプラスチックのひもや、その他の容易に切断や いたずらされる材質は使用してはならない。 使用する餌は、認可され、登録されたブロック状の殺鼠剤または、(無毒 の)モニタリング用のブロック餌でなければならない。 モニタリング装置の保守作業は、毒餌箱でのネズミの活動状況に応じて行 なわなければならない。しかし、すべての毒餌箱は 1 ヶ月に一度以上は 点検しなければならない 。各点検作業とその結果は、各毒餌箱または装 置ごとに記録し、ファイルに保管する。 2. 屋内の対策は法規制に準拠しなければならない 。規制要件で禁止されて いない限り、屋内の防除プログラムは機械式トラップ、バネ式トラップ、 または粘着板を使用しなければならない が、いかなる種類の餌も使用す べきではない。 機械式トラップおよび/または粘着板の使用が法律で禁止されている国 や地域では、ネズミの活動を監視する目的で、無毒の餌を使った屋内の餌 箱を使用することが可能である。この餌箱は、使用する餌に表示された使 用指示に従った方法で、保管中の食品や材料の汚染の可能性を最小限に抑 えるようにしながら用いなければならない 。近い過去にネズミの痕跡が 認められていない場合は、餌箱には無毒の餌のみを使用しなければなら ない。ネズミの活動が認められた場合は、その活動がなくなるまで有毒 の餌を使用できる。その後は、ネズミの活動を日常監視するために、再度、 無毒の餌を使用すべきである。 この餌箱は、硬質プラスチックなどの丈夫な素材でできている物を使用し、 施錠し安全な状態に保つべきである。取られる対応は、実際のネズミの活 -15- 動レベルに即すべきである。 日常監視目的で使用する屋内の装置は、6.5~13m 間隔に外壁に沿って設 置することが推奨される。可能な場合は、ネズミ防除装置は屋外に通じる ドアや従業員の出入り口の両側や、ネズミが施設内に侵入する可能性があ る箇所に設置すべきである。施設内の原料庫などのように、ネズミが活動 する可能性があるすべての箇所では、ネズミ防除装置を外壁に沿って設置 すべきである。ネズミ防除請負業者や施設内の担当者は、少なくとも 1 週間に一度はそれらの装置の点検と清掃を行わなければならない。 3. ネズミ防除装置の設置箇所を示す地図または略図を保管し、常に最新の状 態にしておかなければならない 。各ネズミ防除装置に、その保全と清掃 の記録が残されなければならない 。保全作業の文書記録には、ネズミ防 除装置の点検によって見つかった発見物を含めるべきである。 4. 流通倉庫の屋内および屋外のネズミの巣穴、ネズミの通路およびネズミや その他の有害生物を誘引するような、いかなる状況も除去しなければな らない。 5. 飛翔昆虫の電気式モニタリング装置は、施設内への侵入を確認するために 必要に応じて使用すべきである。装置は、昆虫を屋外から誘引しないよう に設置すべきである。その装置は、露出した製品から 3m 以内に設置する べきではない。すべての装置は、昆虫活動のピーク期には、毎週清掃する ようにマスタークリーニングスケジュールに記載すべきである。昆虫活動 のオフピーク期には、清掃頻度を月に1回にすることも可能である。その 設置と使用法は、その地方の規制に従わなければならない。蛍光管は毎年 交換すべきであり、交換の記録を保管すべきである。 6. 鳥類は、法的に認められている場合は、防鳥ネット、遮蔽、機械式トラッ プ、殺鳥剤により防除しなければならない 。流通倉庫の屋内では殺鳥剤 の使用を認めない。 7. すべての有害生物駆除剤の容器と使用器具は、内容が確認できるように適 切な表示がなされなければならない 。殺虫剤や除草剤は、使用する際に 各々別個の器具を必要とする。有害生物駆除剤に使用するすべての器具は、 いつでも使用できるように適切な状態に維持管理しなければならない。 8. 流通倉庫内で保管する有害生物駆除剤は、施錠され囲われた場所で、望ま -16- しくは保管区域とは別の外部の建物内で保管しなければならない 。内容 物や立ち入り制限に関する分かりやすい警告標識を、保管場所の外部入り 口に掲示しなければならない 。保管場所は適切な大きさと構造で、よく 換気がされていなければならない 。保管場所には有害生物駆除剤のこぼ れや漏出に備えた資材を準備し、作業員の被害を回避するために必要な器 具を置かなければならない。 9. 有害生物駆除剤やその容器、有害生物駆除剤の残りは、規制ガイドライン に合致した方法で処分しなければならず 、その方法は薬剤にラベル表示 されている内容と合致していなければならない。 C. 有害生物の活動の監視を継続し、有害生物とその活動の可能性を排除するための 有効な防除プログラムを計画するために、有害生物のモニタリング装置と効果的 な IPM 戦略(総合的な有害生物管理戦略)を適切に用いるべきである。 -17- III. 作業方法と従業員規範 A. 原料の受領・保管・取り扱いに関する手順を、適正製造規範に則って確立しなけ ればならない。手順には以下の基準を含まなければならない。 1. 原料の受領と保管: a. 損傷および/またはひどい汚れ、害虫の侵入のある容器を受け取 るべきでない。もし、それらを受け取らなければならない場合は、 廃棄予定品として即座に廃品保管場に移動すべきである。 b. 損傷があったり、汚れていたり、害虫が侵入している車両で搬入 された原料は、受領を拒否しなければならない。また、その問題 点や 拒絶 理由 を明 記し た 適切 な文 書記 録を 保存 して おか なけれ ばならない。 c. すべ ての 受領 日を パレ ッ トの 最下 段に 置か れた もの また は個々 の容器に記し、容易に読み取れるようにしなければならない。ラ ップ上に受領日を記載することは避けるべきである。出荷の製品 を特 定す る選 定リ スト を 管理 する コン ピュ ータ ーを 使用 したバ ーコードシステムでも、この要求を満たす。 d. 保管手順は保管品に適した方法で行わなければならない。原料、 最終製品、包材、その他の品目は床に直置きせず、壁と天井から 少なくとも 50cm 離さなければならない。床に直置きしないため に、パレット、スリップシート、架台を用いることができる。保 管製 品の 列と 列の 間に は 清掃 を行 える スペ ース を取 らな ければ ならない。各パレット列間の推奨される間隔は 40cm である。床 上に保管する品物のために、保管用の溝や車線も引くべきである。 通路幅やフォークリフトの回転半径のために 50cm の空間が確保 できない時には、壁に付けて棚を設置してもよい。この場合は、 パレットを床に直置きしないように棚の最下段を床から 50cm 離 して設置しなければならない。これにより清掃・点検・有害生物 の監視が可能になる。 e. 腐敗し易い物質は4℃以下で保管しなければならない。冷凍製品 は、保管中では-18℃以下に保たなければな らない。冷凍庫や 冷蔵庫は、温度を維持するためにビニールカーテンの付いたドア -18- や自動に閉じるドアを装備すべきである。 f. すべての原料、包材、貯蔵品、その他の物品が適切に回転するよ う、 「先入れ先出し」 (FIFO)を原則とするか、保管品の回転度合 いを検証できるその他の方法を用いなければならない。 g. 保存期間の超過や昆虫の侵入を避けるために、在庫は合理的で適 切な量に維持されるべきである。保管後 4 週間以上経過した物品 はすべて点検して清掃し、必要に応じて荷を移し替えなければな らない。そして、その点検日を元の受領日の近くに書き添えてお かなければならない。 h. パレットやすのこは、清潔かつ手入れの行き届いた状態にしてお かなければならない。パレットやその他の木製の表面を洗浄した 時は、使用前に適切に乾燥させるべきである。パレットによる原 料の損傷を防ぐために、パレットと原料袋の間、および2段重に するパレットの荷積みの間にスリップシー トを 使うべきであ る。 i. すべ ての 洗浄 剤や 保全 活 動に 使用 する 化学 薬剤 など の毒 性の化 学物質や、部品・設備のような製品外のものに関連する資材は、 食品原料や包装材と完全に隔離しなければならない。 j. 氷が 溶解 する 製品 を類 似 品も しく は違 う製 品の 上に 保管 する場 合は、溶解した氷水で下に保管された製品を汚染しないように、 予防措置を講じなければならない。溶解した氷水を集めるために、 氷が 溶解 する 製品 の下 に 十分 な受 け皿 や他 の物 品を 使用 できる であろう。 B. 原材料の移動および取扱い: 1. 作業者はいかなる時でもこぼれ、漏れ、ごみ、フォークリフトで損傷を 受けた保管品を速やかに除去すべきである。 2. 出荷予定の保管品および出荷目的で一時保管している製品は、出荷前に 検査すべきである。 3. くず、ごみ、食用に適さない廃棄物は適切な覆いの付いた表示付きの容 器に入れ、最低 1 日 1 回空にしなくてはならない。くずや食用に適さない 廃棄物を移動させる場合は、保管品と接しないようにしなければならない。 -19- 廃棄物の処分は法律に従わなければならない。 4. 他の移動用器材と同様、手押し車、手動ジャッキやフォークリフトは清 浄な状態に維持すべきである。 5. ドック(搬入出口)の環境温度が4℃を上回らないように維持されてい る場合、冷凍食品をドック内に30分以上放置すべきではない。もし、ド ックが冷蔵管理されていない場合は、冷凍食品をドック内に15分以上放 置すべきではない。 6. 損傷した保管品や排除製品のために決められた回収品置き場および/ま たは廃棄物置き場を設けねばならず 、汚染の可能性を避けるために、使 用できる在庫品と完全に隔離しなければならな い。回収品の再包装は毎 週、または保管量を最小限に留める頻度で行わなければならない 。再包 装品は、追跡可能な状況を維持できるように明確化されなければなら な い。損傷を受けた、汚染された資材は、それらが市場へ出荷される事を 防ぐ方法で処分すべきである。 C. 作業規範: 1. すべてのトイレ、シャワー、ロッカールームは衛生的に、虫、ネズミ、 カビの発生がないようにしなければならない 。衛生管理のために、会社 所有の従業員ロッカーは、毎月点検すべきである。ロッカー内に、開封し た食品や飲料を保管することは厳禁しなければならない 。すべてのトイ レ、食堂、喫煙所には、「手洗励行」という表示を適切に掲げなければな らない。また、適宜、シンクの上や保管現場への通路にも同様の表示を 行なわなければならない 。温水・冷水の供給、石鹸、ハンドドライヤー もしくは手拭タオル(紙製でも布製のローラータオルでも良い)を手洗い 場所に備えなければならない。 2. 使い捨て容器を再使用してはならず、 空になったり無用になった後は適 切に廃棄しなければならない。 D. 配送作業: 1. 法規制に従って、最初の配送先が特定できるように配送記録を保存しな ければならない。 2. すべての製品は不純物混入が起きないようにまたはその可能性を防ぐ方 -20- 法で取り扱い、輸送しなければならない。 洗剤や非食品薬剤は輸送中に 食品から分離することを推奨する。 3. すべての配送車両は荷積み前に、清浄性と、製品の完全性を損ねるよう な構造的欠陥について点検しなければならない 。問題が見つかった場合 は、その点検記録を残さなければならない 。食品の搬送に使う会社所有 の車両は、製品の不純物混入を防ぐために目視検査・清掃・メンテナンス を行わなければならない。すべての小口配送用車両は、有害生物および/ または異物による汚染を起こす可能性のある原因を特定するために、最低 週 1 回、内部点検と清掃を行なわなければならないならない。一般配送 業者および取引先には、それぞれの配送車両を衛生的かつ適度に整備され た状態に維持するよう求めるべきである。 4. すべての腐敗しやすい製品および/または冷凍製品は、事前に冷却され た指定された配送車へ積み込み、その車両は配送中に要求される温度を保 持するように整備されていなければならない 。積み込み前のトラックの 車両温度は、荷積み前に測定しなければならな い。この温度は、製品の 安全確保の補足手段として記録されるべきである。腐敗し易いおよび/ま たは冷凍製品の荷積み時の温度は、必要に応じて、もしくは顧客の要求に 従って測定され、記録されなければならない 。輸送中の事故に備えて、 適宜、手順を設けなければならない。この手順は製品の安全性、合法性、 品質を保証するものでなければならない 。可能ならば、配送車両の冷蔵 装置には記録装置を装備すべきであり、荷積みや荷降ろしが行われていな い間は記録装置を作動させ、扉を閉めておくべきである。 5. 冷蔵・冷凍輸送の間には、すべての搬送物に対して適切な自由な空気の 循環が必要である。適切な空気循環を可能にするためにパレットあるいは 他の用具を使用する場合は、これらにはスリップシートを使用すべきであ る。車両の床に適切な溝が付いている場合は、空気循環を維持するために パレットを使用する必要はない。 6. 冷凍食品用には、搬送車輌の冷却装置のサーモスタットは、環境温度を -18℃以下に維持するように設定すべきである。 E. 作業員規範: 1. 従業員には、良好な衛生習慣を常に実践するように求めなければならな い。 -21- 2. 飲食、ガム、タバコ製品の使用は、保管している食品から離れた指定区 域のみに制限しなければならない。 3. 従業員の弁当および/または私物を在庫品の保管場所に保管したり、置 いたりしてはならない 。例としては、セーター、ジャケット、靴、喫煙 具などがある。私物はすべて会社経営陣が指定した場所に保管すべきであ る。全従業員に対して、適切かつ十分な休憩施設を提供すべきである。 4. 全従業員の健康カードは常に更新し、地方法や国法によって要求された 場合は掲示しなければならない。 5. 社外の者には、倉庫の従業員に適用するのと同じく、その会社の食品安 全/衛生に関する方針および適正製造規範(GMP)に従うことを要求しなけ ればならな い 。社外者には、訪問者、規制当局の監査員、外部の契約業 者、見学者、従業員の家族・友人が含まれるが、これらに限定されない。 -22- IV. 食品安全のためのメンテナンス A. 汚染を防止し、また安全で合法的に製品を保管できるように、用地を設定し、維 持しなければならない。有害な影響を及ぼす可能性のある周辺の状況を考慮し、 製品の汚染を防ぐ対策を取るべきである。用地の境界は明確に定めるべきである。 潜在的汚染物質から製品を守るために必要な対策を設け、その有効性が確実に維 持されるように定期的に見直すべきである。 B. 建物: 1. 流通倉庫の周りの敷地は、食品への不純物混入の可能性をおこさないよ うな方法で維持されなければならない 。適切な敷地の保全方法には以下 の事項が含まれるが、これらだけに限定はされない。 a. 設備は、有害生物の潜伏を防ぎ、また点検もしやすいように壁や 地面から離して適切に保管する。屋外での保管は最低限に留める べきである。パレットを屋外に保管する場合、有害生物の棲家を 作らないように地面から最低 50cm 上げ、また建物から離して保 管すべきである。 b. 建物の直近から、がらくた・ごみ、雑草、背の高い草を取り除く。 c. 塵、よどんだ水や他の潜在的汚染物質を取り除くように、道 路・ 構内・駐車場のメンテナンスを行なう。 d. 敷地・屋根等の排水設備を適切に設ける。 e. 屋外 に湿 めっ たお よび / また は乾 燥し たく ずや スク ラッ プ用の コンパクターやモジュール、ダンプスターなどのごみ収集器を設 備し、保全することにより、漏出を最小限にしたり封じ込めたり、 容器を容易に移動できて周囲の清掃が行えるようにする。屋外の ごみ収集用容器とコンパクターは開口部を閉じ、および/または 覆いをすべきであり、手入れが行き届いた状態を維持すべきある。 また、有害生物の誘引や棲息を招かないように、これらをコンク リートパッドか同様の設備の上に設置すべきである。 f. 2. 用地の警備を確保するために適切な手段を講じるべきである。 流通倉庫の構造やデザインは、食品の保管のための保全作業や衛生管理 -23- 作業を容易にできるように、大きさ、レイアウトおよび/または区分けを 適切に設計しなければならない。 3. 設備の設置や物品の保管のための充分なスペースが確保されるべきであ る。適切な清掃ができるように、設備同士および/または構造物との間に 適切な通路や作業空間を維持しなければならない。 4. 床・壁・天井は、十分に清掃が可能で手入れが行き届いた状態に保てる ような構造でなければならない。 以下の項目は、この内容を補助する更 なるガイドラインである。 a. 壁は、汚れの蓄積を防ぎ、結露とカビの生育を抑制し、清掃を容 易にするように設計・建造・仕上げ・維持が行われるべきである。 b. 壁と床の継ぎ目や、角の部分は、清掃しやすいように連続した曲 面にすべきである。壁・床の表面の穴は、くずが溜まったり有害 生物が潜伏したりすることを防ぐために埋めるべきである。 c. 床は、そこで実施される作業に求められる条件に見合うように、 また洗浄剤や洗浄法に耐えられるように設計すべきである。床は 非浸透性で、手入れの行き届いた状態に維持されるべきである。 製造作業が行われる冷蔵庫内の床は、水や廃液が適切な排水路へ 流れるように適切な傾斜を持たせるべきである。 d. 水を使用するすべての保管場所では、格子蓋のついた適切な排水 設備を設置し、維持し、常時機能する状態にしなければならない。 清掃と検査ができるように、排水設備のすべての格子蓋は容易に 取り外せるものでなければならない。排水溝は容易に清掃できる 構造とすべきであり、畜肉、乳製品や製造現場に設置された排水 溝は定期的に殺菌すべきである。 e. 中空の天井や吊り天井が使用されている場合は、清掃、メンテナ ンス、有害生物活動の点検が容易なように、その空間へ十分に立 ち入れるようになっていなければならない。天井や頭上部分は、 汚れの蓄積を防ぎ、結露とカビの生育を抑制し、清掃を容易にす るように、設計・建造・仕上げ・維持が行われるべきである。 f. 屋根からの水漏れは、速やかに特定し修理 しな ければな らない 。 -24- 5. 据え付け品・ダクト・配管を含むパイプは、良好な状態を維持し、ドリ ップや結露が保管している製品を汚染しないように設置しなければなら ない。 6. 保管現場や作業現場で適切な観察が行えるように、施設全般で適切な照 明設備の設置を行なうべきである。電球・据え付け品・窓・鏡・天窓・保 管現場の頭上に設置されている他のガラス製品は、安全な種類のものにす るか、あるいは破損に対する防護策がとられたものとする事を強く推奨す る。製造作業が行われる保管場所、再生品製造場所やそれらに似た場所な どのように、露出した製品が存在するあらゆる場所の頭上に設置されてい る電球・据え付け品・窓・鏡・天窓・他のガラス製品は、安全な種類のも のにするか、あるいは破損に対する防護策を取らなければならない 。 非 常灯やフォークリフトのヘッドライト、その他の照明やゲージについても 保護するべきである。完全な保護策を講じる事ができない場合は、ガラス 方針はこれらのガラスの登録や定期的な点検を考慮に入れたものでなけ ればならない。 7. 製品の保管現場では、臭気・煙霧・蒸気を最小限に留めるために、十分 な換気を行なうべきである。空気洗浄装置には清潔なフィルターを取り付 け、カビや藻類が発生しないように維持しなければならない。 a. 暖房・空調設備や空気洗浄装置の空気循環ダクトには、清掃や点 検のためのハッチが設置されていなければならない。カビ・虫の 発生や異物の蓄積を防ぐために、ファン・送風装置・フィルター・ キャビネット・通風口は、予防保全スケジュールに組み込まなけ ればならない。 b. 窓や天窓は開閉できないようにすべきである。換気のために窓や ドアを開けたままにしなくてはならない所では、有害生物が侵入 することを防ぐために、網戸を設置しなくてはならない。 8. 有害生物の活動の探知を促進するために、流通倉庫の保管現場の外周の 壁に沿って、また内部の仕切り壁に沿って、壁と床の継ぎ目に 50cm 幅の 点検ラインを塗装すべきである。 9. 建物には、鳥類・動物・害獣・昆虫に対する効果的な防護策として必要 なバリアーを設置し、維持しなければならない 。また、保全を担当する 部門は、ひび割れおよび割れ目、その他の昆虫・ネズミの潜伏場所の除去 -25- に責任を持たなければならない 。製品の保管場所から屋外に通じるドア を開け放しにしなくてはならない場合は、有害生物の侵入を防止するため、 適切な予防措置を講じなければならない 。これらの場所のドアは隙間が ないか、または十分に侵入防止策をとらなければならな い 。ネズミが壁 を登ってドック(搬出入口)へ上がることを防ぐために、ドックレベラーピ ットの下の壁やドックレベラープレート周辺に適切な資材を設置すべき である。 C. 設備: 1. 流通倉庫のすべての設備は、適切な清掃が行なえるように設計され、清 掃し易い材質と仕上がりのものでなければなら ず、適切に維持管理され なくてはならない。 2. 穴が開いていたり、粗悪な修理を施こされていたりするいかなる自社所 有の輸送機は、修理をするか、または修理が完了するまで“一次保留”の サインを掲示しなければならない 。最低基準を満たしていない一般の運 搬設備は排除しなければならない 。輸送機のドアの密閉性は完全でなけ ればならず、ドームライトは損傷から保護されていなければならない。 3. 腐敗し易いまたは冷凍食品を、保管するもしくは扱うすべての部屋や区 域において、連続温度記録計もしくは表示温度計を使用しなければなら ない。連続温度記録システムを利用した機械式のモニタリングシステム を推奨する。機械式のモニタリングシステムを装備した冷凍庫や冷蔵庫に は、限界温度を超えたときにアラームが作動する温度アラームシステムを 備えなければならない 。表示温度計を使用する場合、安全な保管を保証 するために十分な頻度で監視しなければならない。適切な記憶を保管し、 容易に見られるようにしておかなければならない。 すべての装置に装備されている冷蔵、冷凍保管区域の温度を管理するた めの記録制御機器、温度計もしくは他の温度測定機器類は、定期的に校正 しなければならない 。この校正は、国際標準温度計とのトレースが確保 されるべきである。 4. 手動ジャッキ、フォークリフトや他の輸送機材は、良好な状態に維持す べきであり、搬送する製品への汚染を防ぐ方法で管理すべきである。 5. 部品保管区域には、清浄な部品や設備のみを保管すべきである。 -26- D. 公共設備: 1. すべての施設には、認可された水源を使用した飲料水設備を設置しなく てはならな い 。地下水に関しては、地方保健機関や法規制に合致する頻 度で水のサンプリングを行わなければならない 。それに関する適切な文 書記録をすぐに閲覧できるようにしておかなければならない。 2. すべての水道設備は、吸い上げ作用および/または逆流を防止するよう に作られ、維持されなければならない。 3. 汚水処理設備は、その工程にとって十分かつ適切なもので、食品の直接 的または間接的汚染を防止するように維持されなければならない。 4. すべてのトイレ、手洗い用シンク、およびロッカールームでは、温水と 冷水がすぐ使用できるようになっていなければならない 。また、水温調 節ができるように温水・冷水の混合バルブも備わっていなければなら な い。露出した製品が保管される可能性のある場所に向かって、トイレの ドアが直接的に開かない構造にしなければなら ない。トイレは良い状態 に手入れされた状態に維持すべきである。 -27- V. 清掃活動 A. 清掃作業は、資材や製品の汚染を起こさないような方法で行なわなければならな い。照明器具やガラスの清掃や交換は、製品の汚染の可能性を最小限に留めるよ うな方法により行わなければならない。 B. 一般目的の洗剤は、食品への汚染を避ける方法で使用しなければならない。 C. 使用していない時は、すべての洗浄剤・殺菌剤には適切な表示を行って、食品保 管現場から離れた場所の、施錠した部屋に保管しなくてはならない。 D. 清掃設備や用具は、補給して、すぐに使用できる状態にしておかなければならな い。すべての清掃設備は、保管されている製品を汚染しないように清浄に維持し て保管しなければならない。倉庫外で使用する清掃用具や補給品は、倉庫内で使 用する清掃用具や補給品とは区別しなければな らず、保管時も分別しなければな らない。 E. 清掃に関する定義: 1. “本格的清掃” a. “本格的清掃(Deep Cleaning)”は適切な部門に割り当てられ、 マスタークリーニングスケジュール(Master Cleaning Schedule) またはそれと同等のものに従って達成されなければならない。 b. 設備の“本格的清掃”の例として以下が挙げられる。 i. 頭上の構造物は、昆虫や汚れが保管している食品へ汚染 する事を防ぐために十分な頻度で清掃しなければなら ない。 ii. ドック内(搬出入口)にある高さ調節機は、過剰な汚れ やゴミが堆積しないように十分な頻度で清掃しなけれ ばならない。 iii. ラックや保管棚は、こぼれや汚れの堆積を取り除くため に、また有害生物の繁殖の予防を確実にするために十分 な頻度で清掃しなければならない。 iv. 壁際に沿って塗装した床の点検ラインは毎月、もしくは -28- 必要に応じて更に頻繁に清掃、モップがけをしなければ ならない。 v. 再加工もしくは回収品置場は、昆虫やカビの発生を防ぎ、 また、有害生 物を誘引し ないことを 確実にす る ために、 計画された十分な頻度で清掃しなければならない。再加 工品の保管容器は毎週もしくは必要に応じて更に頻繁 に洗浄すべきである。 2. 毎日の“通常清掃または表面清掃( Housekeeping or Cosmetic Cleaning )” は適切な部門に割り当てられ、通常の業務時間中に作業場や関連施設が手 入れされた状態に維持されるように実施さればならない 。このような作 業はすべて、汚染を防止するような方法で行われなければならない 。通 常清掃の例には以下が含まれる: a. 床、壁および天井は、食品のカスを除去したり表面の見た目を維 持したりするために定期的に、そして必要であれば頻繁に清掃し なければならない。 b. トイレ、ロッカールームや従業員の休憩場所は、適切な衛生状態 を保ち、有害生物の発生を許さないために、必要に応じて清掃し なけばならない。 3. メンテナンス清掃: a. 密閉されていない電気パネル・ボックスは、定期的に清掃および /または点検すべきである。 b. 修理や改造中に生じたメンテナンスに関わるゴミやくずは、速や かに除去されなければならない。 c. グリースの汚れや過剰な潤滑剤は、速やかにフォークリフト、設 備や床から取り除くべきである。 d. フォークリフト、手動ジャッキや類似の設備は、予防保全や予防 清掃に組み込むべきである。 e. メンテナンスに関わる用具の保管場は、清浄な状態を保ち、整理 整頓して、床に直置きされた部品や物質がないようにすべきであ る。 -29- 4. 屋外清掃: a. 屋外はくずやゴミの無い状態を維持しなければならない。 b. ダンプスターやゴミ容器は、ハエの発生を防ぐために必要に応じ て清掃しなければならない。ゴミ容器は適切な清掃ができるよう な設計にすべきである。これらが有害生物の誘引物や隠れ家とな らないことを確実にするために、これらには覆いを設置したり、 コンクリートや同様の防護パッド上に設置 した りすべきであ る。 c. トラックの格納庫や駐車場は、有害生物の活動を誘引したり助長 する事を防ぐために清浄な状態に維持しなければならない。 -30- Unsatisfactory と評価される状況 監査中に、以下の種類の違反を示す 1 つまたは複数の項目が認められた場合は、AIB 基準により、Unsatisfactory という評価が与えられる: I. 差し迫った食品安全上の危害が存在する。 II. 食品安全プログラムが存在しない、あるいは GMP(適正製造規範)に従っ ていないという欠陥がある。 以下のような食品への不純物混入が存在する: III. a. 食品が、有毒・有害物質を帯びる、または含む。 b. 食品の全体または一部が、不潔、腐敗、変質物から成るか、それ以外の理 由で食品としての使用に適さない。 c. 食品が非衛生的な条件下で製造、包装、保管され、それにより、不潔物で 汚染された可能性があるか、または健康に有害となった可能性がある。 IV. 差し迫った食品安全リスクとなる GMP 違反が認められる。 V. 地方または国の有害生物駆除剤規制に関して、大きく逸脱する違反、また は差し迫った食品安全リスクを生じるような違反がある。 Unsatisfactory と評価される、最もよく見られるいくつかの状況の例を以下に示す。 下記は、unsatisfactory という評価が与えられる状況を例示するだけであり、決し てすべてを包括しているわけではない。特に記していない同様の項目は、存在する 状況に鑑みて監査員が判断し、常に AIB インターナショナルの本部職員の審査を受 ける。 1. 効果的なサニテーションプログラムもしくは有害生物防除プログラムが 存在しない。 2. 流通倉庫の屋内での鳥の営巣や、保管品上の鳥の糞の痕跡。 3. 保管製品の表面や内部の多量の昆虫の繁殖 4. 生きたネズミの存在、保管製品上のネズミのかじり跡、保管品のパレット 上のネズミの痕跡。 5. 規制当局が乗り出す、あるいは製品が汚染される可能性があるほどの、流 -31- 通倉庫内でのゴキブリの繁殖。 6. 有害生物駆除剤やモーターオイルなどの毒性や危険性のある化学薬品に 汚染された保管製品。 7. 床と壁の継ぎ目に沿った空間や保管現場に検査用の空間が全く確保され ておらず、清掃、点検や有害生物防除プログラムの実施の妨げとなってい る。 8. 屋内のネズミ防除プログラムが存在しない。例えば、機械式トラップ、ば ね式トラップ、粘着板が存在しない。トラップ上に腐敗したネズミが存在 する。もしくは不十分なトラップの数。 9. 流通倉庫の保管現場内の定期的なモニタリング用に、殺鼠剤を入れた餌置 場を使用している。 10. ドック(搬出入口)や通用口のドアがネズミの侵入を防除できる構造とな っておらず、流通倉庫の屋内でネズミの活動の痕跡が見受けられる。 11. 保管製品を汚染している可能性のある雨漏り 12. 昆虫やネズミが棲息している輸送用車輌 13. 温度計を装備していない冷凍庫や冷蔵庫。出し入れが著しい時間帯や霜取 りの時間帯を除いて、要求された温度を超えている冷凍庫や冷蔵庫。 14. 指定区域以外での飲食や喫煙等の欠陥のある従業員規範 15. ラベル(使用説明書や注意書)に従っていない有害生物駆除剤の使用 16. 物理的に分離されている場合を除いて、食品原材料や製品を毒性のある化 学薬品と同じトレイラーや列車で輸送している場合。この分離は、零れや 漏れが輸送トレイラー内で保管品を汚染しないように、パーティションや 場所の区分けを設けることにより達成されるであろう。 17. 他の製品上部での氷が溶けて滴っている製品の保管 18. シーフードや水産加工品に求められているような、法的 HACCP の遵守の欠 如 -32- 評価分析概括書 報告書番号: 審査者: 場所: 日付: A. B. C. D. E. カテゴリ ー 項目番号を付記した欠陥報告 (140~155) Serious 項目 (160~175)** (<140) Unsatisfactory 項目 AP PC OP MS CP AP:食品安全衛生プログラムの妥当性 **潜在的危害/Improvement Needed 項目 PC:有害生物防除 OP:作業方法と従業員規範 MS:食品安全のためのメンテナンス CP:清掃活動 -33- 総スコア 審査者のスコア マスタークリーニングスケジュール (毎日は行わない作業) 日付(日付、週の番号、または期間を記入する。) 業務内容の記述 頻度 担当 -34- 搬入原料検査記録 日付 車両/運搬機 番号 製品 ロット番号 数量 破損袋数 -35- 運搬機内の虫 鼠排泄物の存 体数 在 運搬機の 温度 注釈 冷蔵庫/冷凍庫管理記録 固定温度計の温度記録 (警報機の点検) (保冷車ユニットを含む) 記録用の温度計の記録 (警報機の点検) ユニット番号 -36- 検査時間 検査者の署名 殺虫剤使用記録 年 購入した“制限付き使用”に指定された全殺虫剤の商品名と EPA 登録番号を裏面に記載する。 認定使用名 住所 認定証番号 使用した全殺虫剤を以下に別々に記載する。 使用殺虫剤名と EPA 登録番号 使用データ 標的生物 使用量 殺虫剤を 使用した場所 -37- 方法 使用率または 用量 使用日 使用者名 流通倉庫の文書審査用の必要文書 1. 現行の組織図:食品安全に対する責任の所在が明らかにされているもの (要求事項) (AP 関連:I.A に記載) 2. 職務分掌:製造、安全な食品を維持に対するコミットメント(要求事項) (AP 関連:I.B に記載) 3. 食品安全委員会:自主検査記録、内部監査手順(要求事項) (AP 関連:I.C に記載) 4. マスタークリーニングスケジュール:建物、設備、器具、メンテナンス清 掃(要求事項) (AP 関連:I.E に記載) 5. 文書化された建物と設備の清掃手順書(要求事項) (AP 関連:I.F 記載) 6. 原料/材料の受入手順書と検査記録(要求事項) (AP 関連:I.G 記載) 7. 文書化された危害分析重要管理点(HACCP)プログラム(シーフード、魚類 を扱う倉庫のみ要求事項) (要求事項) (AP 関連:I.H 記載) 8. 文書化された倉庫の方針:従業員に課せられる食品安全/適正製造規範の 規則、適正製造規範の教育訓練、記録と毎年の訓練(要求事項) (AP 関連: I.I 記載) 9. 文書化された顧客の苦情対応手順書(推奨事項) (AP 関連:I.J 記載) 10. 文書化された製品追跡(トレース)/回収プログラム(要求事項)模擬回 収(推奨事項) (AP 関連:I.K 記載) 11. 破損、回収管理の手順書(要求事項) (AP 関連:I.L 記載) 12. 取り締まり検査の取扱い手順書(要求事項) (AP 関連:I.M 記載) 13. 文書化されたガラスと硬質プラスティックに対する方針:手順、記録と点 検(適用時) (要求事項) (AP 関連:I.N 記載) 14. 文書化された予防的保全管理プログラム、優先順位付き作業依頼書システ ム(要求事項) (AP 関連:I.O 記載) -38- 15. 文書化された有害生物防除プログラム:手順、使用記録、トラップ記録、 向上見取り図上のトラップ配置図、免許、ラベル、製品安全データシート (MSDS)など(要求事項) (PC 関連:Ⅱ.A&B 記載) 16. 配送記録(要求事項) (OP 関連:Ⅲ.D.1 記載) 17. 配送車の検査手順と検査記録(OP 関連:Ⅲ.D.3 記載) 18. 腐敗し易い/冷凍製品の積載記録/積込前のトレーラーの冷却温度記録を 含む文書。配送中の事故発生時の文書化された対応手順書(OP 関連:Ⅲ.D.4 記載) 19. 調整および記録装置、温度計または他の温度測定装置の校正記録、もし必 要ならば温度管理装置のモニタリング(要求事項) (MS 関連:Ⅳ.C.3 記載) 20. 飲料水に関する文書(要求事項) (MS 関連:Ⅳ.D.1&2 記載) AP=食品安全衛生プログラムの妥当性 PC=有害生物防除 OP=作業方法と従業員規範 MS=食品安全のためのメンテナンス CP=清掃活動 (邦訳第二版)平成 17 年 10 月 -39-
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