−研究要旨− ホオノキ樹皮中の抗菌成分 森 満範 青山 政和*1 土居 修一*2 Antifungal Constituents in the Bark of Magnolia obovata Thunb. Mitsunori MORI Masakazu AOYAMA Shuichi DOI ホオノキ樹皮のアセトン抽出物は植物病原菌や木材腐朽菌に対して強い抗菌活性を示した。単離・ 同定の結果,その抗菌物質は eudesmol(Ⅰ) ,magnolol(Ⅱ) ,および honokiol(Ⅲ)であった。主 に樹皮精油中に含まれる eudesmol は,すべての供試菌に対して強い抗菌活性を示し,特に担子菌 に対して顕著であった。500μg/mlのeudesmolにより,Trametes versicolor(カワラタケ),Lepista sordida(コムラサキシメジ),Pycnoporus coccineus(ヒイロタケ),Rhizoctonia solani,Serpula lacrymans(ナミダタケ)およびTyphula ishikariensisの成長が完全に阻止された。ビフェニル型 ネオリグナンである magnololと honokiolもまた,カワラタケおよびコムラサキシメジを除く供試 菌に対して強い抗菌活性を示し,両者とも500μg/mlの濃度で,ナミダタケおよびT.ishikariensis の成長を完全に抑えた。 Key word: ホオノキ,樹皮,抗菌活性,木材腐朽菌,植物病原菌 Magnolia obovata Thunb.,bark,antifungal activity,wood destroying fungi,plant pathogenic fungi The acetone extract of the bark of Magnolia obovata Thunb.had potent antifungal activity against plant pathogenic and wood destroying fungi.The active principles were isolated and identified as eudesmol(Ⅰ),magnolol(Ⅱ)and honokiol(Ⅲ).Eudesmol,which is the main component of the volatile bark oil,showed strong antifungal activity against all of the fungi tested,especially basidiomycetes.It completely inhibited the growth of Trametes versicolor,Lepista sordida,Pycnoporus coccineus,Rhizoc− tonia solani,Serpula lacrymans and Typhula ishikariensis at a concentration of 500μg/ml.Two biphenyl−type neolignans,magnolol and honokiol,also exhibited potent antifungal activity against these fungi except against T.versicolor and L.sordida.They completely depressed the growth of S.lacrymans and T.ishikariensis at the same concentration. 1. はじめに ホオノキ(Magnolia obovata Thunb.)は,日本,中 国および朝鮮半島南部に広く分布している 。ホオノ キ材は,家具,工芸品,食器などに利用され ,また その樹皮も,消化器疾患 ,精神神経症に適応する生 薬として用いられている 。薬理学的研究により,こ の生薬に含まれるフェノール成分が ,中枢神経作用 しかん や筋弛緩作用を持つことが証明されている 1−3)。 う 一方では,ホオノキ樹皮のメタノール抽出物が,齶 食(虫歯)を引き起こす細菌である Streptococcus mutans に対して強い抗菌活性を示すことが報告され た 4−6)。著者ら 7)もまた,6 種の植物病原菌と 4 種の木材 腐朽菌に対し,ホオノキ樹皮が強い抗菌活性を示す ことを確認し,真菌類に対して広いスペクトルを持 〔林産試験場報 第14巻 第1号〕 ホオノキ樹皮中の抗菌成分 第1図 ホオノキ樹皮アセトン抽出物の分画 注:カッコ内の数字は収率を表す(%) Fig.1.Fractionation of crude acetone extract of Magnolia obovata bark Note:Values in brackets represent the yield(%)). つ殺菌剤としての可能性を示した。 トリウム,5%水酸化ナトリウム可溶部および中性部 そこで今回,ホオノキ樹皮中の抗菌物質を単離・分 に分画した。 析し,それらの活性について検討した。 2.2 抗菌成分の単離 なお本要旨は,日本防歯防黴学会第26回年次大会 粉砕した樹皮50gを8hr蒸留し,黄色の油状物質を (1999年5月,豊中市)で発表した概要である。 得た(収率0.23%)。シリカゲルを用いたカラムクロ マトグラフィーにより得られた物質は,標準物質で 2. 実 験 方 法 2.1抽 出 樹皮粉末(100g,含水率8.8%)を,1lアセトンで 3回抽出した。ろ過後,その抽出物を濃縮し,n-ヘキ あるβ−eudesmolと比較することにより,既知のセス キテルペンであるeudesmol(Ⅰ)の異性体混合物である ことがわかった(第2図)。 また,粉砕した樹皮254gを,ベンゼンで3時間還流 サンおよび酢酸エチルで逐次抽出した。 し,ろ過,濃縮した後,0.2M水酸化ナトリウム水溶 第1図に示したように,へキサン可溶部はさらに, 液で抽出した。さらにアルカリ抽出物を濃塩酸で酸 5%水酸化ナトリウム可溶部および中性部に分画し 性化し,n−へキサンで抽出した。n−ヘキサンを濃縮 た。一方,酢酸エチル可溶部を濃縮し,エーテルで 後,藤田ら8〉の方法により,酢酸鉛で処理した。それ 抽出した。そのエーテル可溶部をさらに,2%炭酸ナ をn−へキサンーアセトン(9:1)を溶媒としたシリカ 〔J.Hokkaido For.Prod.Res.Inst.Vol.14,No.1,2000〕 ホオ ノキ樹 皮 中 の抗 菌 成 分 ゲル・ カ ラ ム ク ロマ トグラ フ ィー で 分 離 し,2. 74 g の 7 m agnolol ( Ⅱ)と0. 64g のhon okiol (Ⅲ)を得 た (第2 図 ) 。 ( 上 1/ m agnolo lはベ ンゼ ン ーエ ー テ ル 混 合液 で再 結 晶 化 バ; ;H した。 そ の性 状 は以 下 の とお り。 無 色 ,形 状 :板 状 ン/ \ミ さ\ //亡 1 て2 ( 〕H ( ) H Rl 晶,融 点 102 . 5− 10 3. 0 ℃ ,払 102 ℃H’ 。M S m / z:266(M 十 , ⅡR I= O H , R 2= H ⅢR l= H , R 二=O H 1 0 0%) .1H − N M R (C D C 15) :∂3 . 36(4H , d, た 6. 4, H− 7, 7▼ ) , 第2 図 5. 0 5 −5 .1 2 (4 H , 椚, H 19 , 9’ ),5 .3 6 −5 . 3 8 (2 H ,D 20 ),5 . 9 6 (2 H , ホ オ ノ キ樹 皮 抽 出物 か ら単 離 した 抗 菌 物 質 F ig .2 .A n tifu n g a l c o m p o n e n ts is o la te d f「o m 〟り =17. 1,10. 1,6. 4 ,H − 8, 8’ ) ,6 . 96(2H ,dノ =8. 4,H − th e b a「k e x tra ct o f M .0 上) 0 >∂ね . 3 , 3’ ) , 7. 07(2H ,d,J =2 . 0, H− 6, 6り, 7. 14(2H , dd ノ =8. 4, 2 .0 9,9 , H −4 −) , 1 ,4 1 6 ▼) . 1 〕 c . 7 ( C −N − 3 M ,3 R ’) , 1 ( C D C 4 .0 ( 2 l 〕)‥ C − 1 ∂ 3 , 1 ’) 9 .3 , 1 2 ( C 9 .9 − 7 ( ,7 C −) , − 4 1 ,4 1 5 ’) , .8 1 ( C 3 1 地で 培 養 して お い た上 記 の 供試 菌 を ,直径 4m m の コ − ルクポ ー ラで 打 ち抜 き, 各 単 離 物 を 添加 した試 験 培 .3 地に接 種 した。 抗 菌 活 性 は次 の 式 に よ り求 めた 。 ( C − 6 , 6 り,1 3 3 . 2 (C −5 , 5 り,1 3 7 . 5 (C − 8, 8’ ) ,15 1. 0 (C −2 , 2 ’ ). 抗菌活性 (%) = [1− (G t/ G c)] ×100 h onokiolもま たベ ンゼ ンーエ ーテ ル混 合液 で 再結 晶 化した。 そ の性 状 は以 下 の とお り。 無 色 , 形 状 :板 G t :試験 培 地 上 で の 菌 糸成 長 半 径 状晶 , 融 点 8 7. 5− 88 . 0℃ ,的 .87 . 5℃ り ’ .M S m / z :2 66 G c :コン トロー ル培 地 上 で の菌 糸成 長 半 径 ( M 十 , 10 0%) . ’ H− N M R(C D C lj) :∂3 . 35(2 H , d ノ =6. 4,H − 3. 7 ) ,3. 4 6(2H ,dノ =6 . 4,H − 7り,5 . 04− 5. 23(4H , 〝 1, H− 9, 9り, 結 果 と考 察 第1表 に ,抽 出 に よっ て得 られ た 各 両 分 (濃 度 500 5 . 12 & 5. 24(2H , Dコ 0) ,5. 97( 1H , (肋 ノ =17. 0 ,10 . 1, 6. 4, H − 8) ,6 . 04(1H (肋 , ノ =17. 0,10. l,6, 4, H− 8’ ) ,6. 90(lH , 〟g/ m の の供試 菌 に 対す る抗 菌 活 性 を示 した。 〃− ヘ キ サ ン 可溶 部 お よび 酢 酸 エ チ ル 可溶 部 は , カ d ノ =8 . 4,H − 3) ,6. 92(1H ,dノ =8. 4,H − 3’ ) ,7. 02(1H ,d, ノ=2. 0 ,H − 6) ,7 . 05(1H (肘ノ , =8. 4, 2. 0, H− 4) ,7. 2 1(1H , ワラ タケ 以 外 の す べ て の供 試 菌 に対 して 強 い抗 菌 活 d ,ノ=2 . 0,H − 6 り,7. 22(1H ,〟 ノ =8. 4 ,2 . 0,H − 2▼ ) .− う c− 性を示 したが , 水 可溶 部 は どの供 試 菌 に対 して も抗 NMR 11 ( 5 12 C .6 7 D 0 . 7 13 0 . 2 13 7 .8 2. 3 ( ( C ( ( C C C 1 C − − 3 9 1 ) : 3 ) ) − 6 − 8 ) 5 , l , 1 ’) , , 1 . 2 1 5 1 ( 6 8 3 0 1 − .6 . 5 1 .7 C . ( C ( ( 1 7 ’) C C ( − − C − 2 , ) 3 2 − 3 ’) ’) 6 , 9 , 1 , ) 1 .4 1 , 5 3 .9 C 1 6 2 1 3 ( 8 2 ( C − . 9 . 8 . 3 7 ) ( C ( , C ( C − 4 1 − 3 − 4 − 5 1 5 . 5 ) , 1 2 1 2 ) ) , , 1 6 3 ( 6 C − 6 .4 ( 9 . 6 . 0 9 ( ( C ’) C C 菌活 性 を示 さな か っ た。 この結 果 に よ り, 抗 菌物 質 , − 5 − − l 8 が脂 肪 族 親 和 性 の 成 分 中 に存 在 して い る可能 性 が示 ’ ) , ’) , ’ ) , 唆され た。 n− ヘ キサ ン可溶 部 を さ らに酸 性 画 分 (5%N aO H 可 溶部 ) と中性 由分 に 分 画 した。 酸 作 画 分 は , ヒイ ロ ’) . 抗 菌活 性 試 験 タケ , ナ ミダ タケお よび且 ∫OJα如の成 長 を完 全 に阻止 ホオ ノキ樹 皮 か ら得 られ た 抽 出物 お よび 単 離 物 の した が,中性 両分 はナ ミダタ ケ と凡 ∫ OJα如以 外 で は活 抗菌 活 性 を調 べ た。 供 試 菌 と して , 木材 腐 朽 菌 (担 性を示 さな か った 。 酢酸 エ チル 可 溶 部 をエ ー テル 可溶 部 と不 溶 部 に分 子菌 類 ) で あ るオ オ ウズ ラ タケ(爪) 椚′ 叫フ ∫′ ∫p α/ 乙 ′ ∫fr∼ ∫ F F P R I O 5 07 ) , ヒイ ロタケ (アリC〃0クO r㍑∫CO CC加 〟∫ 画し, さ らに エ ー テ ル  ̄ 自 J溶 部 を 強 酸 性 画 分 (2 % F F PR I P slh) ,ナ ミダタケ (ぶ叩 〟/ α/ αC7γ椚α〃∫F FP R l N a2C O 3可溶 部 ),フ ェ ノー ル 両分 (5 %N aO H 可溶 部 ) O 73 9) お よび カ ワラ タ ケ ( 打〟椚e′ e∫Vピタ ′ ∫ 加 わr F FP R l および 中性 画分 に分 画 した。 第 l表 で示 した よ うに, l O3 0) , ま た植 物 病原 菌 で あ る凡 ′ ∫α′ 血 椚 0町 岬 O r〟椚 酢酸 エ チ ル ロ † 溶 部 はア ル カ リ溶 液 で抽 出す る こ とに ( IF O 307 09 一不 完全 菌類 ) , コ ム ラサ キ シ メ ジ(上申 才 ∫ ′ α より, そ の 活性 は強 くな った。 特 に , フ ェ ノー ル 画 ∫O r d 才d α H F P R I 9 0 −3 一担 子 菌 類 ) , P γ才 力∼ 〟椚 分はカワラタケおよびF o岬 Or〟 椚を除いたすべての 甲ゐα〃才 der椚αJ〟椚(IF O 70 30 −卯 菌 類 ) ,尺カたo c加 才 α 供試 菌 の 成長 を完 全 に抑 制 した。これ らの 結 果 か ら, ∫0/ α 如 (IFO 30936一不完全菌類) ,物 力 〃 / α加cα r〃 α Jα (F 脂溶 性 成 分 で あ る強 酸 性 画 分 お よび フ ェ ノー ル 画 分 5 9− l 一担 子菌 類 ) お よび 乃p ゐ〟/ 〟′ ∫如払 わe〃∫∼ ∫ (F 59 − 2 に抗 菌 成 分 が 存在 してい る こ とが推 定 され た。 ホオ ノキ 樹皮 の脂 溶 性 成 分 が 強 い抗 菌 活 惟 を示 し 一手R 子菌 類 ) を用 い た。あ らか じめ シ ャー レの平 面 培 [林 産試 験 場 報 −3 − 第 14巻 第 1号 〕 ホオ ノ キ樹 皮 中 の抗 菌 成 分 第1 表 ホ オ ノ キ樹 皮 抽 出 物 の抗 菌 活 性 伯b le l . A n tifu n g a l a c tiv ity o f v a rio u s 「a f ctio n o f M ∂9 n O / 由 o v o b ∂ね b a「k e ct「a c t・ 抗菌活性 A n ti鮎 n g al a ctiv lty ( %) F O FP LS PA PC RS SL TIN TIS TV アセ トン抽 出物 C ru d e A c e to n e ex tra c t n − ヘ キサ ン可溶部 n − H e x a n e s o lu b le s 酸性部 A c id ic ff a c tio n 中性 部 N e u tra l 仕a c tio n 酢酸 エチル可溶部 E tO A c s o lu b le s エーテル可桁部 E t20 s o lu b le p a rt 酸性部 A c id ic 什a c tio n フェノール性 部 P h en o lic 仕ac tio n 中性部 N eu tra l 丘 ・a C tio n エーテル 不溶 部 E t20 in so lu b le p a rt 水可溶部 W ater so lu b le 8 0 84 6 9 8 8 7 8 8 7 10 0 7 0 5 5 3 4 8 3 9 1 7 2 86 8 8 8 8 9 9 8 6 8 4 3 1 8 4 8 2 5 1 9 6 10 0 10 0 10 0 8 2 7 3 19 1 5 2 0 3 8 2 6 2 1 6 0 2 6 2 7 13 8 2 8 5 7 3 7 7 7 3 8 9 100 7 8 5 6 34 8 1 7 6 6 9 8 6 8 4 9 1 100 7 1 67 13 9 0 9 4 97 10 0 10 0 9 8 10 0 10 0 95 2 4 9 7 10 0 100 10 0 10 0 100 10 0 10 0 100 4 4 5 1 5 8 34 5 7 5 6 77 10 0 6 0 32 16 7 0 6 2 6 1 7 7 6 1 8 3 10 0 6 1 R 1 6 0 0 0 6 8 0 18 6 1 18 12 柱:抽 出物 濃度5 00 〃g/ m ゼで試験 を行 った。 凡例 :F O :ダ.0サ 岬 O r〟椚 ;F P :オ オ ウ ズ ラ タ ケ ;L S ‥コ ム ラサ キ シ メ ジ ; P A :P .甲 カ〟如d er椚α払〝了;P C ‥ヒイ ロ タケ ;R S ‥凡 ▲ 90 Jα〃∼;S L ‥ナ ミ ダ タ ケ;T IN :r ∼ 〃α〃′ 〃αfα ;T IS :r ∼ ∫如んαr才 e 耶∫ ∫;T V :カ ワ ラ タケ N o te :T h e a n ti凡1n g a l a s s a y w a s c o n d u c te d a t a c o n c e n tra tio n o f 5 0 0 〃 g / m ゼ. L eg en d :F O ‥F oサ 甲 O r〃椚 ;F P ‥F・ク〟J㍑∫fr才 ∫;L S ‥上 ・ ∫O rd J血 ;P A ‥P・ 呼 力α〃7d e珊 α′ 〟∽ P C :P . 〔IO C Cわ了 ビ〃∫ ;R S ‥且 ∫O Jα〃∼;S L :ぶ.JαCりノ 椚α′ 了 ∫ ;T IN T IS :r ∼ ∫如んαr7e〃∫才 ∫ ;T V :r ∼ 〃C‘ 才 川 αJα ; :r Veれy∼c()わr たの で , 樹 皮 精 油 につ い て も同様 の試 験 を行 っ た(第 一方 ,樹 皮 の 精 油 の収 量 が 0. 3% 以 下 と極 め て低 い 2 表 )。 精 油 は樹 皮 アセ トン抽 出物 に比 べ て , 担 子菌 ため, 精 油 と比較 して酸 性 お よび フ ェ ノー ル 成 分 が および凡 ∫ OJα如に対 して 強 い抗 菌活性 を示 し,カ ワ ラ より大 き く抗 菌 活 性 に寄 与 して い る と考 え られ た 。 タケ ,ナ ミダ タ ケ ,オ オ ウズ ラタ ケ,コム ラサ キ シメ そこ で,ベ ンゼ ン抽 出物 を0. 2M N aO H で さ らに抽 出 ジお よびr ∼ ∫ 如ノ 払r才 e〃∫才 ∫の成 長 を完 全 に抑 えた。精 油 し,T L C 上 で 現 れ る二つ の フ ェ ノー ル 成分 を含 む 物 をシ リカ ゲル カ ラ ム ク ロマ トグ ラ フ ィー で 分離・ 精 質を得 た 。 そ の フ ラ クシ ョン を シ リカ ゲル カ ラ ム ク 製し,eu desm olを得 た(異性 体 混 合 物 ) 。藤 田 ら10) は, ロマ トグ ラ フ ィー で分 離・ 精製 し,2種 の ビフ ェニル いこ うほ く 和厚朴 (ホオノキ樹皮)の精油にはセ スキテルペ ン を得 た。 M S ,1H − N M R ,15c − N M R デ ー タ とそ れ らの であ るeudesm olが独 占的 (9 5∼ 97% ) に含 まれ て い 文献 値 … っ 】 1 1コ ) を 比 較 す る こ と に よ り, そ れ ら を るこ と を報 告 した。第2 表 に示 した よ うに,eu desm ol m agno lo lお よび honok io lと同定 した。これ ら ビフェ ニ はす べ て の供 試 菌 に対 して 強 い活 性 を示 し, 特 に担 ル型 ネ オ リグナ ンは , ホ オ ノキ属 のみ に特 異 的 に存 子菌 で 顕 著 で あ っ た。 これ らの 結 果 は , ホ オ ノ キ樹 在す る成 分 で あ る… l, 13) 。 m agn Ololお よび hon okiolは 皮の 脂 溶性 成 分 中 に存 在 す る抗 菌物 質 が ,eu desm ol 強い抗 菌 活 性 を示 した が , カ ワラ タ ケ, コ ム ラサ キ であ る こ とを示 して い る。 シメジお よび且 ∫0/ α如に対 して は,eud esm olに比 べ て 〔 J .H o k上aid o F o r.P ro d .R e s.In st.V o l.14 ,N o . l ,2 0 0 0 〕 −4 − ホオ ノキ樹 皮 中の抗 菌 成 分 第2 表 ホ オ ノ キ樹 皮 成 分 の 抗 菌 活 性 丁白b le 2 .A n tifu n g a l a c tiv ity o f M .o b o 帽 ね b a「k c o m p o n e n ts . 抗菌活性 A n ti凡1n g a l a c tiv lty ( %) F O FP LS PA PC RS SL TIN TIS TV アセ トン抽 出物 8 0 84 6 9 88 7 8 R 7 10 0 70 5 5 3 4 7 3 10 0 10 0 88 73 9 5 10 0 89 10 0 10 0 Ⅰ ) 7 3 84 10 0 9 0 M a g n o lo l ( Ⅱ ) 7 9 80 5 6 9 2 C ru d e A c e to n e ex tra c t 精油 V o la tile b a r k −O il 0 0 0 0 5 つ﹁J 0 0 0 0 5 9 4 1 1 0 7 7 ︵リノ 9 5 0 9 3 0 0 7 0 0 0 O ︹XU O X 0 0 0 0入U ﹁ヽ︶ ︵ U H o n o k io l (Ⅲ ) 1 4 0 ︵U ノ l つJ ( 0 o l 0 Eu d e sm 2 注‥抽 出物 濃度5 00 〃g / m ゼで試 験 を行 った。 凡例 :F O :ダ.0叩 岬 Or〟椚 ;F P :オ オ ウ ズ ラ タ ケ ;L S :コ ム ラ サ キ シ メ ジ ; P A ‥P .呼 力α〃∼ d er椚αJ〟椚 ;P C :ヒイ ロ タケ ;R S :凡 ∫0/ α乃∼;S L :ナ ミグ タケ ; T IN :r わ7C(才 r〃αJα ;T IS :r ∼ ∫力Jんαr才 e乃∫g∫;T V :カ ワ ラ タ ケ N o te :T h e an t血 n g al a ssay w as c on d u cted at a co n cen tratio n o f 50 0 〃g/ m ゼ. L e g en d :F O :F .0サ ▲ 甲O r〟椚 ;F P :F . βα/ 〟∫Jr∼ ∫;L S :エ‥ゞ O rd ∼ d α;P A :P .甲 ゐ〟〃gd er椚αJ〃∽ P C :P .co(− C∼ 〃e乙 J∫;R S : 凡∫ 0/ α〃7 ;SL :∫./ αC/ γ椚α〃∫;T IN :r 加 α川α′ α; T IS :r ′ ∫力∼ んαr才 e〃∫∼ Lゞ;T V :r ve和7c()わr 活性 が 低 か っ た。h onok io lは ナ ミダ タ ケ,ヒイ ロ タ ケ −3 0 2 ( 1 9 8 1 ). およびて吻力〃J〟Spp . の成長 を完全に阻 l上した。一方, 5) N a m b a ,T .; T s u n e z u k a ,M .; H a tt o r i, M . :P J α 〃J α 肋d . ,44,10 0− 106(19 82 ) . m agnolo l はナ ミダ タケ お よび r ∼ ∫力紘αr才 e〃∫′ ∫の成 長 を抑 えた だ け で あ る。 これ らの こ とか ら, ビフ ェニ 6 ) N am b a, T .e′α/ ∴ 朗 り′ αん㍑g αん 〟ゐ ∫ ∫ カ∼ , 3 6(3) ,222 ル構 造 に お け るベ ンゼ ン環 上 の 水酸 基 の位 置は , 抗 −2 2 7( 1 9 8 2 ). 菌活性 に影 響 を及 ぼす こ とが推 定 され た 。 7 ) M o ri,M .ef αJ∴ 〃0 た 月0 カー杵セr如 才. ,5 5 ,1 3 0 −13 2 ( 1 9 9 7 ). 4 . ま と め 8 ) 藤 田路 一 ,糸 川 秀 治 ,指 田豊 ‥薬 学雑 誌 ,93(4) , ホオ ノキ樹 皮 中 に は, 植 物 病原 菌や 木 材 腐 朽 菌 に 4 2 2 −4 2 8 ( 1 9 7 3 ). 対して 活性 を示 す 成 分 が 存在 す る。 単離 お よび バ イ オア ッセイの結見 9 ) F tO ita ,M それ らはeudcsm ol,m agnO lolお . ;Ito k a w a ,H .;S a s h id a ,Y .: C 力e 肌 タカαr 肌 β〟/ / . ,2 0 ,2 1 2 −2 1 3 (1 9 7 2 ). 1 0)藤 田路一一 ,糸川秀治,指田豊 ‥ 薬学雑誌 93(4) , よび h o n o k io lで あ る こ と が わ か っ た 。 これ らの成 分 は, 天 然 の 抗 菌物 質 と しての 可 能性 4 1 5 −4 2 1 ( 1 9 7 3 ). を持 つ こ とが示 され た 。 1 1)E l −F era ly ,F .S .;L i,W ∴上/ りノ d∼ α,4 1( 5 ),4 4 2 −4 4 9 ( 1 9 7 8 ). 文献 1 2 )Ito ,K .e ′α/ ∴ C 力e 肌 P ゐαγ椚 .β㍑JJ . ,3 0 (9 ),3 3 4 7 − 1 ) W atanab e,K .eJα/ .:々札 J P ゐαr椚αCO ア リ25,605− 3 3 5 3 ( 1 9 8 2 ). 1 3)藤 田路 一 ,糸 川 秀 治 ,指 田豊 ‥薬 学雑 誌 ,93(4) , 6 0 7( 1 9 7 5 ). 2 ) W a tan a b e ,H . ;W atan ab e ,K .;H ag in o ,K ∴J グムαr771. 4 2 9 −4 3 4 ( 1 9 7 3 ). 叫仇, 6,184 −190(1983) . 3) W a ta n a b e ,K .e J αJ. :P Jα〃fα 凡才e d . ,4 9 ,1 0 3 − 一性 能部 耐朽性能科− −* 1 :きの こ部 主任研究員− −* 2 :秋 田 県立 大 学 1 0 6( 1 9 8 3 ). 4 ) N am ba ,T .eJα/ .: 朗 町 αん〟 g α血/ゐ ∫ ∫力∼ , 3 5(4 ), 29 5 木材 高 度 加 工 研 究 所 − ( 原 稿 受 理 99. 6. 1) 〔 林 荏 試 験場 報 一5 第 14 巻 第 1 号〕
© Copyright 2024 Paperzz