地域とつながる子育て支援プロジェクト ~保育士養成校の

地域とつながる子育て支援プロジェクト
~保育士養成校の学生による取組み~
上智社会福祉専門学校保育士科教員
五十嵐淳子
はじめに
子どもと家庭を取り巻く環境が著しく変容している中で、近年、子育てを巡って様々な
問題が生じ、子育てに困難や不安を抱える親が多くなっている。その大きな原因の一つに
親の育児ストレスがあると言われているが、こうした状況の背景には都市化、核家族化の
進行に伴い、人間関係が希薄になり、子育てが孤立化し、親の子育て不安を一層強くして
いるという状態が見受けられる。そのような現状の中、地域全体で子育てを支援していく
姿勢が問われている。これから保育士資格取得を目指している保育士養成校の学生が主体
となり、保護者に子育てが楽しいと感じられるような機会を提供することを目的とした。
また、乳幼児期は、生涯にわたる生きる力の基礎が培われる時期であり、多様な人との
かかわりや経験が積み重なることにより、豊かな感性とともに好奇心や探究心が養われる
と考えられているが、当プロジェクトに参加することで、異年齢の子どもや様々な年代の
人とかかわる機会を得られると思われる。
さらに、保育士の需要が高まる中、保育士の保護者支援の役割の比重が高くなっている
現状がある。保育士養成校で学ぶ学生は保育実習等を通して、保育現場において子どもの
保育を実践的に学ぶ機会がある。しかし、実習では保護者とのかかわりの実際を学ぶ機会
がないため、保育士になった際に、どのように保護者支援を行っていけばよいのかわから
ず、困惑している保育士も見受けられる。そのため、実際の現場では、保護者との関係性
に悩みを抱えて離職していく保育士も少なくない。
このようなことから、保育士養成校に在籍する学生のうちから子育て支援の実践を通し
て、保護者とのかかわりを学ぶ機会を持ち、他者と協働して子育て支援プロジェクトに取
り組むことが、質の高い保育士の育成に繋がっていくと考える。そこで、保育士養成校で
ある利点を活かし、本校において子育て支援を学生が主体となって行うことを考えた。
1. 千代田区との関係性
千代田区での子育て支援を調査した結果、千代田区内の保育士養成校で子育て支援を実
施しているところは見られなかった。千代田区は東京都心の中央部分に位置しており、地
域のつながりを感じる機会が少ない状況で子育てをしている家庭もある。子育てにおいて
気軽に相談ができ、身構えずに参加できる子育て支援のセンター的役割の場を提供するこ
とで、地域のつながりを感じられることができると考えている。
本学の保育士科は外国人の学生をはじめ、様々な年代とバックグラウンドを持つ学生が
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多数在籍している。そのため、千代田区に在住している外国の方や子育て中の保護者にお
いても母親だけでなく、父親も参加しやすいものに配慮した。
また、千代田区の子育て支援内容としても現代の「親子で楽しめる英語」等の活動を行
った。千代田区に在住している家庭は、英語教育にも興味・関心を持っている保護者も見
られるため、親子で英語に親しむことができるように、英語の手遊びや紙芝居などの英語
活動も取り入れた。
さらに、子育て支援では千代田区にゆかりのある作曲家や作詞家の童謡の合唱やピアノ
演奏などを取り入れ、ウェルカムコンサートを行い、リラックスできる時間を提供し、保
護者のストレス緩和に繋げた。抜群のアクセスの利便性を誇る千代田区四ツ谷駅に位置す
る上智大学のキャンパスの中に身を置くことにより、保護者が気軽に身近にある子育て支
援に参加することができるように、子育てに追われる日常とは違った環境を提供すること
も、保育士養成校での子育て支援の魅力だと考えている。
上記のような子育て支援内容を学生自らが主体的に取り組み、実施することで、参加す
る保護者や子どもだけでなく、保育士を目指す学生にとっても、子育て支援の現場を体験
することができる重要な場となると考えられる。したがって、質の高い保育者の育成に繋
がるだけでなく、千代田区に在住する保護者や子ども達に還元していくことに繋がってい
くため、
「千代田学」の意義に結びつくのではないかと考えた。
2.調査・研究の手法
・学生が主体となり、千代田区及び千代田区以外の地域の子育て支援や保育士養成校での
実施状況及び実施内容を調査する。
・学生が主体となり、他校の保育士養成校で実施されている子育て支援の実際を見学し、
フィールドワーク調査を行う。
・学生が主体となり、子育て支援を実施し、参加された保護者へのアンケート調査・分析
を行い、より充実した子育て支援の内容にできるようにし、子育て中の保護者のニーズ
を踏まえた子育て支援のあり方を検討する。
3. 事業実施時期
平成 27 年 10 月から 3 月までの 6 か月間の期間で子育て支援プロジェクトを実施した。
10 月から事前準備として各自学生が主体的にフィールドワーク調査を行った。フィールド
ワーク調査としては以下のとおりである。
(1)フィールドワーク調査場所
①愛国学園保育専門学校(江戸川区)
②埼玉県南埼玉郡宮代町子育てひろば
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(2)子育て支援実施場所
①上智社会福祉専門学校(上智大学四谷キャンパス内)
(3)子育て支援プロジェクト実施日時
子育て支援実施日時に関しては、できるだけ土日の午前中に開催するようにし、仕事を
持っている子育て中の保護者の方が参加できるように配慮した。子育て支援実施日時は以
下のとおりである。
・第 1 回子育て支援プロジェクト 平成 27 年 11 月 2 日、3 日(ソフィア祭との同時開催)
午前 10 時~午後 15 時
・第 2 回子育て支援プロジェクト 平成 27 年 12 月 12 日 午前 10 時半~午前 12 時
・第 3 回子育て支援プロジェクト 平成 28 年 3 月 27 日 午前 10 時半~午前 12 時
4. フィールドワーク調査
実際に保育士養成校や自治体で行われた子育て支援を考察することによって、地域にお
ける子育て支援の役割を明らかにすることを目指すものである。保護者支援については、
保育園や幼稚園だけではなく、自治体や保育者養成校でも積極的に行われている。筆者が
実際に講師として開催された自治体における子育て支援の取り組みや視察した保育士養成
校において、子育て支援の参加によるアンケート調査を分析し、今後の子育て支援のあり
方に繋げるものである。
(1)行政の子育て支援におけるフィールドワーク調査
1)調査方法
①調査実施場所:宮代町子育てひろば(埼玉県南埼玉郡)
②調査対象:子育て支援サークルの参加者 計 12 名
③調査時期:2015 年 9 月
④回答数:11 名(回収率:11 枚:92%)
⑤自治体で開催された子育てサークルに参加した親に質問紙法を用いてアンケート調査を
実施し、分析及び考察を行った。アンケート項目は①「子育て支援講座を知ったきっか
け」
、②「子育て支援講座はどうだったか」、③「講師はどうだったか」④「開催時期は
どうだったか」⑤「この講座に参加して子育てに対する気持ちの変化はありましたか」
⑥「参加後は子育てに積極的に関わりたいですか」⑦「今後の子育て支援講座で開講し
てほしいこと」の 7 項目である。
調査によって得た回答の中で複数回答や自由記述の箇所については、整理は小項目にす
る方法をとった。なお、本研究は保育者養成校に対するアンケート調査を考察したもので
あり、本研究に基づく趣旨説明を行った。さらに、本研究に必要な情報開示、資料提示に
ついて協力の同意を得ている。
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2)結果
子育て支援内容としては、
「子どもとのかかわりにおいて大切なこと」をテーマに褒め方
と叱り方のポイントを紹介し、子育てを楽しむには親自身が楽しくなれば子どもも楽しく
ないということを視点に置き、ベビーマッサージ(顔のマッサージ)、英語の手遊び、子ど
もが喜ぶおもちゃ作りとして、
「だまし絵」と「くるくるペープサート」を行い、所要時間
は 90 分であった。アンケート項目②の「子育て支援講座はどうだったか」については、
「と
ても良い」と回答した人が 9 人で一番多い結果となった。
良かった内容としては、
「叱り方と褒め方」の講話や製作があげられた。子どもを叱って
ばかりいることに悩んでいる親が多いため、子どもの褒め方や叱り方の講話を行ったこと
は、親のニーズに合致していたことが読み取れる。アンケート項目⑤の「この講座に参加
して子育てに対する気持ちの変化はありましたか」については、11 人全員が「はい」と回
答した。
また、⑥「参加後は子育てに積極的に関わりたいですか」については、
「積極的に関わり
たい」と回答した人が 7 人で一番多く、今回の子育て支援サークルの参加者全員が子育て
に関して気持ちの変化を感じていることがわかった。製作については、親自身が「楽しい」
と感じる時間になるよう、家にある身近な素材で費用もかからず、手軽にできかつ子ども
が喜ぶおもちゃ作りを行ったことが、子育てに積極的に関わりたいと思う気持ちに繋がっ
たのではないかと推測する。参加者からは「楽しかった。」という声が多く、子育て支援内
容としてはやはり「楽しめる」ということに重点を置いていかなければならないことが明
らかになった。
(2)保育士養成校における子育て支援についてのフィールドワーク調査
1)調査方法
①調査実施場所:愛国学園保育専門学校(東京都江戸川区)
②調査対象:子育て支援に参加した保護者及び保育者養成校の学生 合計 34 名
③調査時期:2015 年 5 月~12 月
④回答数:34 名(回収率:34 枚:100%)内訳(保護者 26 人、学生 8 人)
⑤保育者養成校で開催した子育て支援講座に参加した保護者と学生に質問紙法を用いてア
ンケート調査を実施し、分析及び考察を行った。アンケート項目は①「子育て支援講座
はどのように知ったか」
、②「子育て支援講座で良かったこと」、③「今後の子育て支援
講座で開講してほしいこと」の 3 項目である。調査によって得た回答の中で複数回答や
自由記述の箇所については、整理は小項目にする方法をとった。なお、本研究は保育者
養成校の子育て支援講座に対するアンケート調査を考察したものであり、本研究に基づ
く趣旨説明を行った。さらに、本研究に必要な情報開示、資料提示について協力の同意
を得ている。
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2)結果
アンケート項目である①「子育て支援講座はどのように知ったか」については、
「知人の
紹介」と回答した人が 16 人で一番多かった。毎回参加している親子も多く、参加した人
の口コミで広がっていっている傾向があることがわかった。次に多かったのは、
「地域の掲
示版」で 14 人であった。具体的には保育者養成校の前や交番前、自治体の子育て支援セ
ンターにおいてポスターを見たということがあげられた。ホームページにおいても告知を
行ったが、子育てに追われている保護者はホームページなどのインターネットから情報を
得る余裕がなく、散歩中や通りがかりに掲示板を目にすることが推察される。
アンケート結果
①子育て支援講座はどのように知ったか
子育て支援講座を知った場所
知人の紹介
地域の掲示板のポスター
子育て支援講座を実施する
保育者養成校
病院小児科でのチラシ
ホームページ
人数
16人
14人
2人
1人
1人
次に②「子育て支援講座で良かったこと」の項目については、
「ベビーマッサージ」と回
答した人が 13 人で一番多かった。2 番目に多かった回答としては 8 人が「製作すること」
で、3 番目には 7 人が「ウェルカムコンサート」をあげていた。
結果 ②子育て支援講座で
良かった内容
子育て支援講座で
良かったこと
人数
ベビーマッサージ
製作
ウェルカムコンサート
手遊び
紙芝居
エプロンシアター
13人
8人
7人
3人
2人
1人
また、③「今後の子育て支援講座で開講してほしいこと」の項目については、無回答で
あった人数が一番多い結果となった。次に多かったのは「体を動かす体操」であり、親子
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で一緒にできるストレッチなど取り入れてほしいとの要望も出た。その他の回答としては
「ベビーサイン」や「子育てに役立つこと」、
「家ですぐに作れるものや取り組めること」
などの意見があげられた。
3)考察
子育て支援講座で良かった内容としては、
「ベビーマッサージ」と回答した保護者が一番
多いという結果となった。
ベビーマッサージはただ単にマッサージだけを行うのではなく、
歌を歌いながらのベビーマッサージであるため、子どもだけでなく保護者もリラックスで
きる雰囲気を醸し出しているため、一番人気があるのではないかと推察する。また、子育
て支援講座の対象者は未就学児の子どもとその保護者としているが、乳幼児の子どもがい
る保護者の参加が多く見られるため、乳児を対象としたベビーマッサージに人気が集中し
たことが読み取れる。
ベビーマッサージの様子
・歌を歌いながらのベビーマッサージ
・子どもだけでなく保護者もリラックスできる雰囲気
次に回答が多かった製作については、どの家庭にでもある身近な物で簡単にかつ短時間
で作成できるものを提供していた。参加した保護者同士がコミュニケーションを取る機会
にもなり、保育者養成校の教員との会話を楽しみながらリラックスした雰囲気でとのかか
わりも生まれていた。
製作の様子
・家にある身近なものを使って簡単ですぐにできる
・お土産として持ち帰り、家に帰ってから子どもと一緒に遊べる
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3 番目に回答が多かった内容としては、ウェルカムコンサートがあげられた。音楽では
ピアノ演奏だけでなく、ハンドベルやサックス等の様々な楽器を取り入れ、歌に合わせた
合奏では、親子が一緒に参加し、歌を歌ったり楽器を触ったりできる場面があった。子育
てに追われて、実際に演奏会などに出かけることが難しい保護者に、少しでも音楽に触れ
る機会を提供したことが子育て支援の良かった内容として二番目にあげられた要因である
と考えられる。
ウェルカムコンサートについては、ピアノやカノン、サックス、歌などを披露し、参加
者が一人でも来校した時点で始めるようにしている。そのため、参加者全員が集まり、子
育支援講座がスタートするまでの時間も退屈するような時間にならないようにし、音楽を
聴きながらアンケート等も記入できように配慮されていた。
[ウェルカムコンサートの様子]
今後の子育て支援講座で開催してほしい内容としては、30 人中 21 人が無回答であった。
無回答の人数が多かった理由としては、子育て支援プログラムにどのようなものがあるの
かをわからないということや今までの子育て支援講座に満足していることが推測される。
結果
③今後の子育て支援講座で開講希望内容
今後の子育て支援講座で
開講してほしいこと
人数
23人
無回答
体を動かす体操
ベビーサイン
3人
2人
家で簡単に作れてすぐに取り組めるもの
2人
手遊び
親子が触れ合えるわらべ歌
2人
12
2人
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保育士養成校側が配慮することは、毎回参加する保護者と子ども達がいるため、具体的
な内容としては様々なレパートリーの中から、毎回違うことを実施するようにしているが、
これは、日々子育てに追われている参加者は、実際に演奏会などに出かけることが難しい
ため、少しでも音楽に触れる機会を提供しようとたことが参加者に受け入れられ、効果が
見られたのではないかと思われる。
また、参加した学生からは、
「初めての子育て支援を目のあたりにして感動の連続であっ
た。
」等の意見があげられ、子育て支援についての座学の学びと実際のイメージが結びつい
ていないことが改めて明らかになった。以下は子育て支援講座に参加した保護者と学生の
感想である。
[表 1 子育て支援講座に参加した保護者の感想]
・保育専門学校の学生さんが主として行ってほしい
・学生さんと子ども達との触れ合いがあると楽しいのではないか
・小さい子どもを抱えながらの入浴剤作りは大変である
・抱っこしながらの製作が辛かった
・机と椅子の間隔が狭すぎる。抱っこしながら座れる幅にしてほしい
・子どもが喜ぶおもちゃがなかったので残念だった
・アンケート用紙とペンをセットで渡してほしい
・製作の際にはオルゴールやクラシックなど、常にバックグランドミュージックを流して
ほしい
・歌に合わせたベビーマッサージが良かった
・持ち帰りができてその後も家でも遊べるようなおもちゃの製作がとても嬉しかった
・また参加したい
・大変勉強になりました
・保護者向けの言葉掛けを意識して聞くことができた
・製作も楽しく遊べるもので、子どもが嬉しそうだった
・素晴らしかった
・とても楽しむことができた
[表 2 子育て支援講座における参加学生からの感想]
・ 今まで想像していた子育て支援のイメージと全然違っていて驚きました
・ 現場でも働いていた元幼稚園の先生の子ども達との関わり方や紙芝居の読み聞かせの
仕方などがとても勉強になりました
・ 子育て支援開催校の学生が製作した作品も見せて頂きもっと丁寧に作ろうと思った
・ 非常に先生の質が高く、アットホームでとても素晴らしかった
・ 導入から子どもと触れ合いつつ、保護者も安心できる環境を作が素晴らしいと感じた
・ 子どもに対して話しかける時と保護者に対して話しかける時でと分けていたので集中
しやすかった
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・ おもちゃを使う時に危険がないように注意をしていたところは見習いたいです
・ 子育て支援については知らないことばかりなので、もっと学びたいです
・ ベビーマッサージを最初から始めるのではなく、まず歌を歌って雰囲気を作ることが良
かったと思います
・ 活動の前の導入も、初めて来たお母さん達が馴染めるように配慮していて勉強になるこ
とばかりでした
・ 歌の場面では、必ず子どもとアイコンタクトを取る方法が非常に勉強になりました。
・ 初めての子育て支援を目のあたりにして感動の連続でした
・ 子どもとどのようにかかわるのか、どういう遊びでかかわっていくか細やかなアドバイ
スをしていて本当に感銘を受けました
・ 保護者にアドバイスをする際に、どうしてそうすることがよいのかという理由とどのよ
うな良い影響があるのかという配慮ができていて感動しました
・ おもちゃ作りでは、保護者の方も熱中していて製作している姿が見られ、子どもだけで
なく、保護者の方も楽しめるものであると思いました
・ 製作については、全てにおいて見本を提示しており、保護者の方が簡単にできるように
工夫されていると感じた
・ 子育て支援に参加するお母さんを見ると、赤ちゃんを抱きながら、大きな荷物を抱えて
参加している姿があり、子育ての大変さを感じました
・ 将来は子育て支援に携わり、お母さんやお父さんと子どものコミュニケーションの取り
方などを支援していきたいです
子育て支援終了後には、学生の学びのために、保育者養成校教員による「子どもが喜ぶ
おもちゃの製作」について講義が行われた。実際に子育て支援で行ったことを振り返りな
がら、どのような点に配慮が必要なのかについて説明を受けることができ、学生の学びを
深めることに繋がった。
子育て支援講座終了後におもちゃの製作の
作り方を学ぶ学生の様子
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今回フィールドワーク調査先であった保育士養成校における子育て支援を踏まえ、本校で
行う子育て支援の課題としては以下のことが明らかになった。
参加した保護者の意見
〇学生による子育て支援をしてほしい
〇学生と子ども達の交流があると楽しい
今までの保育者養成校における子育て支援講座
↓
主に保育者養成校教員が中心
↓
〇学生が子育て支援講座内容の立案及び実施
〇今回のアンケート調査の結果を今後の子育て支援の
内容に反映し、地域と繋がる子育て支援にしていきたい
参加した保護者の要望としては、
「製作の際にはオルゴールやクラシックなど、常にバッ
クグランドミュージックを流してほしい」、「アンケート用紙とペンをセットで渡してほし
い」という意見が出ていたので、本校で行う子育て支援においては、この点に配慮しなが
ら行うことにした。また、出来るだけ学生主体の子育て支援のプログラムを構成し、学生
と参加した親子の触れ合いをできるだけ多く増やすように学生の配置を考えた。
5. 子育て支援実施内容
(1)第 1 回子育て支援
開催日時:平成 27 年 11 月 2 日、3 日 午前 10 時〜午後 15 時
開催場所:上智社会福祉専門学校 (上智大学四谷キャンパス内)
第 1 回の子育て支援プロジェクトは平成 27 年 11 月 2 日、3 日の二日間に渡り、上智社
会福祉専門学校で行った。この 2 日間は上智大学の学園祭であり、上智社会福祉専門学校
も学園祭に参加するため、家族連れの来校者も多く見込まれる。そこで、子育て支援プロ
ジェクトの第一回目は、学生にとっては初めてのことなので、学園祭の中で第二回目の子
育て支援プロジェクトのリハーサルとして、第一回の子育て支援プロジェクトを行うこと
で円滑に第二回の開催に取り組めるようにという意図があった。第一回目の子育て支援の
内容としては以下のことを行った。
①折り紙でサンタさんを作ろう
折り紙については、学生から子育て支援で折り紙をやりたいという要望が出たため、折
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り紙を取り入れることにした。そこで、子ども達と一緒に折り紙を楽しむためにはどのよ
うな方法が良いのかの指導を行った。
指導方法としては、折り紙については、実習生が一斉活動を行った際の折り紙の場面の
実際を映像で見て、子ども達の反応などを確認した。映像の中で、実習生が行った折り紙
の活動に関しては、折り紙は「キツネ」の製作で、空中で折り方を伝えていた。そのため、
子ども達は理解ができず、困惑していた姿が見られた。
そこで、折り紙の折り方を空中で伝えることは、保育方法としては間違っていることを
伝え、視覚で見てわかるように必ず面の上で伝えていくことの大切さを指導した。学生に
は模造紙を使用し、折り紙の折り方を順番に貼っていくことを指示した。子ども達が視覚
で理解することができるように配慮することが、子どもと一緒に折り紙を楽しむポイント
になることが自分がわからない箇所に自ら気づくことができることを伝えた。
[サンタクロースの折り紙の製作の様子]
さらに、子ども自らが主体的に折り紙を折ってみたいと思うようになるような環境構成
が非常に大切であることも指導を行った。そのため、学生には保育の授業の際に、実際に
折り紙の製作を行い、
「サンタさんの折り紙」を作成し、画用紙に貼り付け、壁面に飾れる
ようにした。 実際に、教室には子ども達が楽しくなるような飾り付けを施し、
「サンタさ
んの折り紙」や「ハロウィーンの折り紙」など季節感を感じる環境を構成した。
【ハロウィーンの製作の様子】
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[ハロウィーンの飾り付け]
②子どもの喜ぶおもちゃ作り
子どもの喜ぶおもちゃ作りとして、「だまし絵」と「くるくるペープサート」を行った。
題材としては、今まで作ったことがなく、誰でも簡単に作れるものを意識した。保育教材
としても人気のあるものであるが、現場の保育所や幼稚園教諭も知らないことが多く、実
習においても現場で喜ばれることが多い。
実際に、保育の授業で「だまし絵」と「くるくるペープサート」を製作し、学生が保育
者になって、どのように子ども達と遊ぶのかをロールプレイした。学生には保育教材は製
作して終了ではなく、
製作してからどのように子どもと遊ぶのかが大切であると指導した。
製作の仕方は以下のとおりである。
③だまし絵
・八つ切り画用紙1枚を半分に切り、2 枚にする。
・半分に切った画用紙を半分に折る。(2 枚とも同じようにする。)
・さらに半分に折る。(2 枚とも同じようにする。)
・折り目のついた画用紙を 1 枚取り出し、山折りにする。
・おおよそ 3 等分になるように切り込みを入れる。
・もう 1 枚の画用紙は折り目を切り、短冊にする。(2 枚の短冊を用意する。)
・1 枚の切り込みを入れた画用紙に1枚の短冊を後ろから前になるように編み込む。
・もう 1 枚の短冊も切り込みに差し込みますが前から通して後ろから出すように編み込む。
(2 枚の短冊がジグザグになるように画用紙に差し込む。)
・編み込んだ 2 枚の短冊の真ん中を開いてみる。(開かないように見えるが開く。)
⑩開いたところに絵を書く。(写真はクリスマスツリーの絵を書いている。)
⑪画用紙の両脇を引っ張ると画用紙がさらに開く。
⑫開いた画用紙にもう一つ絵を書く。
(写真は飾りつけをしたクリスマスツリーを書いている。)
⑬絵が完成したら出来上がりである。
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【だまし絵】
③くるくるペープサート
ペープサートをくるくるした時に絵が完成するようにすることがポイントとなる。その
ため、下記の写真のようにペープサートの表(クリスマスツリー)と裏(クリスマスツリーの
飾りつけの部分のみ)の両方で絵が完成するようにそれぞれに絵を描くことがコツになる。
【くるくるペープサート(クリスマスバージョン)】
今回の取組みでは、親子で一緒に作れるということと来場される子どもの年齢が幅広い
ということに視点を置き、幼児から小学生でも作れるもの、また簡単に家でも作れるとい
うことを見据え、下記の内容を選定し実施した。本校の保育士科 1 年生が「ヨーヨー釣り」
を行い、同じ教室で、親子で一緒に作れるおもちゃとして「だまし絵」
「くるくるペープサ
ート」
「サンタクロースの折り紙」
「にょろにょろお化け」の製作を行った。本校の聖歌隊
が合唱を披露してくれたこともあり、文化祭に来て下さった地域の方や子ども達と一緒に
歌を歌う場面も見られた。学生達は子育て支援の実施のために、様々な準備を行い、学生
同士の輪やコミュニケーションがさらに広がり、実践的に保育の学びを深める機会にもな
ったようだ。
[事前準備にあたる学生の様子]
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遊びに来てくれた保護者や子ども達は、最初は恥ずかしがっていた様子も見られたが、
学生と一緒におもちゃの製作を行い、学生達とのコミュニケーションを通して、おもちゃ
が完成してとても嬉しそうであった。また、保護者の方も学生との交流を図りながら、お
もちゃ作りにも楽しみながら参加しており、子育ての楽しさを知る機会を少しでも提供で
きたのではないかと感じることができた。
(2) 第 2 回子育て支援
開催日時:平成 27 年 12 月 12 日 午前 10 時〜午前 12 時
開催場所:上智社会福祉専門学校 (上智大学四谷キャンパス内)
① ウェルカムコンサート(合唱やピアノ演奏等)
季節感を感じる曲を演奏し、演奏に関しては、音楽の教員と学生の演奏だけでなく、子
どもも参加できるように、楽器や音が出る手作りおもちゃを提供し、親子で一緒に参加で
きるようなものにした。
[ウェルカムコンサートの様子]
② 親子で楽しめる英語の手遊び
英語の手遊びについては、学生にはマザーグース(Mother Goose)の説明をおこな
った。マザー・グースとは、英国圏に広く伝わり愛唱されている伝承のわらべ歌の
ことであり、欧米を中心に子ども達に親しまれている英語の伝承童謡である。Goose
はガチョウの意味であり、ガチョウは民話や童話によく出てくる動物である。昔は
お母さんがガチョウのお世話をしていることが多く、伝承童話や童謡の担い手であ
ったため、マザー・グースと呼ばれるようになったと言われている。今回は、マザ
ー・グースから手遊びとしても活用できる童謡を 2 つ紹介することにした。
・This little piggy
この手遊びは、もともとは、赤ちゃんの沐浴の際に、足の親指から優しくマッサ
ージしながら歌うものである。手遊びとしても簡単で覚えやすく、英語の手遊びと
してはやりやすい手遊びであることから乳児のお子さんがいる保護者も楽しめる手
遊びである。
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【手遊び1
This little piggy】
This little piggy went to market,
このこぶたちゃんはマーケットへ行って
This little piggy stayed home.
このこぶたちゃんは家にいて
This little piggy had roast beef,
このこぶたちゃんはローストビーフを食べて
This little piggy had none,
このこぶたちやんは何もなくて
This little piggy had cried,
このこぶたちゃんはワーワー泣いて
Wee, wee,wee,wee,wee,wee,
All the way home.
家に帰りました。
・The eency weency spider
この手遊びは、欧米で非常に有名な手遊びである。手遊びだけでなく、体全体を使って
行うこともできるため、子ども達が飽きてきた時や集中力がなくなってきた時に、気分転
換に行っても良い。
【手遊び 2
The eency weency spider】
The eency weency spider, climbed up the water spout,
Down came the rain and washed the spider out.
Out came the sun and dried up all the rain,
And the eency weency spider climbed up the spout again.
ちっちゃいクモさん雨どいを登ったよ、
雨が降ってきて、クモさんは流されたよ。
おてんとう様がでてきて雨を乾かしたよ、
だからぐにゃぐにゃクモさんはまた雨どいを登ったよ。
③ 英語の紙芝居
子ども達と英語の紙芝居をぜひ楽しんでもらいたいという思いから、画用紙でオリジナ
ルの紙芝居を実演した。紙芝居は、子ども達の好きな食べ物の話であり、次から次へとお
いしい食べ物が出てくるが、絵を見れば何の食べ物かが分かるように工夫した。この紙芝
居の最大の魅力は音にある。全編を通じ同じ音の“Yummy, Yummy”(おいしい、おいし
い)がこれでもかというくらい繰り返されるため、子ども達は音の面白さに引き込まれす
ぐに言葉を覚えている様子であった。
[英語の手遊びの様子]
[英語の紙芝居の様子]
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最後に“Yummy”の反対語の“Yucky、Yucky”(まずい、まずい)で話が終わったが、
本校保育士科のフランス人の学生がフランス語で「おいしい」と「まずい」の言葉を教え
てくれるコーナーを取り入れた。すぐに日常に使いたくなる英語の言葉を覚えられる楽し
い紙芝居であるため、発音を気にせずに、身振り手振りで役になりきることで、あくまで
も子ども達と楽しい英語活動を繰り広げることに視点をあてた。
[ 紙芝居 英語の紙芝居“Yummy, Yummy”]
I like honey. Yummy, yummy.
I like carrots. Yummy, yummy.
僕(熊)ははちみつが好き。おいしい、おいしい
私(ウサギ)はニンジンが好き。おいしい、おいしい
I like bones. Yummy, yummy.
僕(犬)は骨が好き。おいしい、おいしい
I like fish. Yummy, yummy
私(猫)は魚が好き。おいしい、おいしい、
I like bamboo grass. Yummy, yummy. 僕(パンダ)は笹の葉が好き。おいしい、おいしい
I like ice cream. Yummy, yummy. 私(女の子)はアイスクリームが好き。おいしい、おいしい
I like chocolate. Yummy, yummy 僕(男の子)はチョコレートが好き。おいしい、おいしい.
I don’t like garlic. Yucky, yucky.
わし(吸血鬼)はにんにくが嫌い。まずい、まずい
④ 製作コーナー
簡単で手軽にできる子どもが喜ぶもの作るということで、「だまし絵」
「くるくるペープ
サート」
、
「英字新聞で作るクリスマスリース」を製作した。家にある身近な素材を使用し、
簡単で短時間でできる製作物を準備した。参加した保護者には、親子が一緒に遊ぶことが
子どもにとっての学びに繋がっていくことを伝えるようにした。
[親子での製作の様子]
⑤ 参加証書及びスタンプカード
フィールドワーク調査からは、参加証書を作成しているところは他校の養成校や子育て
広場では行われていなかった。そこで、子育て支援に参加した方々には、記念として参加
証書を渡すことを考えた。参加証書は子ども向けのものではなく、地域の方や保護者など
の大人の方がもらっても喜ばれるものを考え作成した。また、参加証書にはスタンプを押
すスペースをとり、子ども達がスタンプを押して持って帰れるように工夫したところ、ス
タンプコーナーは大変好評であった。スタンプは消しゴムで作った物で、その場で要望を
聞きながらスタンプを製作することもできるようにした。
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(3) 第 3 回子育て支援講座
開催日時:平成 28 年 3 月 27 日 午前 10 時 30〜午前 12 時
開催場所:上智社会福祉専門学校 (上智大学四谷キャンパス内)
①ウェルカムコンサート
ウェルカムコンサートについては、子どもや保護者が保育士養成の学生と一緒に歌った
り、
リズムをとったりすることで、
親子が触れ合える時間を共有することができると考え、
子育て支援の導入と行った。
[ウェルカムコンサートの練習風景]
次に、世界の挨拶の歌として人気がある“Hello Song”の紹介を行った。10 人のインデ
ィアンのメロディに合わせて歌い、インド挨拶である「ナマステ」の言葉では、手を前に
合わせ、日本の挨拶である「こんにちは」では参加者みんなでお辞儀をすることで楽しい
雰囲気となった。本校の保育士科に在籍するフランス人の学生がフランス語での挨拶をす
るコーナーを作り、実際に子ども達が異文化理解を体験できるように配慮した。
保育所保育指針の保育内容の領域「人間関係」の内容の 14 項目目には「外国人など、
自分とは異なる文化を持った人に親しみを持つ。」ということが示されている。保育所保育
指針解説書には、
「保育所の生活の中で、様々な国の遊びや歌などを取り入れたり、地球儀
や世界地図を置いたり、簡単な外国語の言葉を紹介していくことも、子どもが様々な文化
に親しむ上で大切なことです。異なる文化を持つ人との関わりを深めていくことは子ども
だけでなく保育士等にとっても重要であり、多文化共生の保育を子どもや保護者と共に実
践していきたいものです。
」と述べられている。異文化理解を行う上で、母国語とは異なる
言葉に触れ、外国語を通して異文化理解へと繋げていくことは、人間形成の基礎を培う乳
幼児期に必要な体験であると言える。
小学校学習指導要領においては、外国語活動の目標として「外国語を通じて、言語や文
化について、体験的に理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育
成を図り、外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませながら、コミュニケーション能力
の素地を養う。
」ということを掲げている。英語活動の実践では、子どもに英語を流暢に話
させようということではなく、英語活動は子ども達が日本語以外にも違う言語の世界があ
るということを知り、世界には様々な国や言語、文化がある事に対して、興味や関心を持
つことが非常に大切である。
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②エッグハント
第三回目となる子育て支援は 3 月 27 日に実施したため、今年(平成 28 年)はイースター
と重なった。そこで、実際にイースターエッグの製作を行い、エッグハントを体験しても
らうことを考案した。エッグハントは実施する場所など環境が重要であると考え、上智大
学キャンパス内にある SJ ハウス(修道院)の使用許可をいただき実施することができた。
様々な木や草花に溢れる庭園で、自然と触れ合いながらエッグハントを通し、親子で触れ
合う機会を図った。
[エッグハントを行った庭園]
6. まとめと今後の課題
今回の子育て支援プロジェクトを通して、子育て支援プログラムを実際に学生が企
画し実施する子育て支援が、学生にとっても参加した子育て中の保護者においても相
互に効果があったことが明らかになった。本校で行ったアンケート結果においても、
参加者の感想として、
「学生ともっと会話できたら嬉しいです」、
「季節ごとに季節のも
のを楽しむイベントだと身近に感じられてよいのかなと思いました。壁の装飾等、季
節感にあふれるものばかりで、子ども達も喜んでいたので、とても素敵でした」、「子
どもと一緒に参加できるプログラムが良かったと思います」などの意見から、子育て
支援の参加者が楽しんでもらったことが読み取れる。
また、千代田区は他の地域と比較し外国の方が在住している人数が多く見られるが、
外国の参加者の方から“Our son enjoyed singing with gestures. I hope we can have
more of these in the next events.”との感想があり、子育て中の保護者においても母親
だけでなく、外国の方も参加しやすいものになったのではないかと思われる。
本校の子育て支援プロジェクトの取組みでは、保育士養成校の学生における学びと
して、本校の学生だけが参加するのではなく、白鷗大学、埼玉学園大学、愛国学園保
育専門学校の学生が協働して主体的に取り組むことができた。当初は、戸惑っている
学生の姿も多く見られ、教員が立案したプログラムをこなしていくこともあったが、
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第三回目の子育て支援の実施に関しては、企画・立案・実施まで学生が主体的にかか
わることができるようになり、学生の学びの吸収力に大変驚いた。そこには、保育の
学びに限定することだけでなく、企画力やコミュニケーション能力など、保育士の資
質として非常に重要な部分である人間性における学びについても成長を感じることが
できた。このような背景には、大学や専門学校における校種の枠を超えて、様々なバ
ックグラウンドで学んでいる学生同士が意欲的なかかわりを通じながら、お互いが刺
激し合い、高め合うことで保育の学びが深まり、結果的に保育士の資質向上に結び付
いたことが示唆できる。
まとめ
保育士養成校における子育て支援講座
利点→学生が参加することができる
今回の取り組みで明らかになったこと
・参加学生は子育て支援のイメージを具体化
↓
・理論と実践の統合により学びを深める
本校で行った本プロジェクトの取組みは独自のものであり、残念ながら保育士養成
課程の既存の教育課程には見ることができない。学生が主体的に取り組むということ
を一番に考えていたため、強制的に学生を参加することや保育の学びを強要すること
はなかったと考えている。したがって、本プロジェクトに参加の有無により、学生の
保育の学びに差異が出ていることは否めない。この点は今後の保育士養成カリキュラ
ム改訂の課題一つであるとも言えるだろう。
次年度(平成 28 年度)から子育て支援事業を定期的に開催する上では、学生の参加人
数が数人でもできるようなプログラムを立案していくことも必要となるため、本校で
実施したアンケート結果の分析・考察を深めることを通し、次の子育て支援に繋げて
いきたい。また、保育士養成校の学生だけでなく、子育て支援に携わりたいと思って
いる主婦の方や地域の方にも地域の子育て支援を学べる場所となるようなプログラム
も立案していく必要があると思われる。今後は、本校の保育士科が地域の子育て支援
のセンター的役割を担っていく上でも、今回の千代田学事業から学び反映したことを
活かし、地域とつながる子育て支援ができるように努めていきたい。
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千代田学事業「地域とつながる子育て支援プロジェクト
~保育士養成校の学生による取組み~」に関する報告書
上智社会福祉専門学校保育士科 岡村泰敬
山口稜弘
千代田学事業「地域とつながる子育て支援プロジェクト~保育士養成校の学生による取
組み~」について報告する。
1、千代田区以外の地域や保育士養成校の子育て支援の調査の考察
千代田区以外の地域や保育士養成校の子育て支援の調査として、各自フィールドワーク
調査を行った。その中で10月24日に埼玉県宮代町での子育て支援と11月28日に行
われた愛国学園保育専門学校の子育て支援について考察した。
・宮代町子育て支援
日時 平成27年10月24日
場所
埼玉県宮代町
実施団体 埼玉県宮代町
講師
共栄大学学生
参加者
お父さんと子どもが4組
テーマ
「子育てパパ大学」
内容
親子でマドレーヌ作り
ハロウィンカード作り
お父さんの子育て相談会
この宮代町の子育て支援に来ていたお父さんは4人である。みなさんが共通していたこ
とは
「普段は子どもとの時間は作れないが、
休みの日などは子どもとの時間を大切しよう」
ということであった。そのうちあるお父さんにインタビューを行った。インタビューを行
ったお父さんは子どもが2人いる。子どもが生まれるたびに「男性の育児休暇」を取った
とのことであった。一番初めの時は会社内で初めて「男性の育児休暇」であった為、なか
なか仕事との調整ができなかったそうだが、会社内でも1人育児休暇を取ったことにより、
社内で男性の育休を取る人が増えていったそうだ。その為、2人目が生まれたときはスム
ーズに育児休暇が取れたそうだ。なぜ、育児休暇を取ったのか聞いたところ、
「仕事より子
どもとの時間を大切にしたいと思っています。しかし、育児休暇を取ったことにより、出
世コースからは外れてしまいましたけどね」と話していました。
「出世コースから外れてし
まった」とのことから、考察できるのが、育児休暇を取ったことにより、出世できないと
いうことは、育児休暇を男性が形上はとれるようになったが、まだ理解が低いということ
ではないだろうか。
この子育て支援はお父さんたちと子どもがコミュニケーションを取りやすかったと感じ
た。マドレーヌをお母さんにプレゼントしたいなどの共通の目的があるため、マドレーヌ
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作り中に会話が生まれ、コミュニケーションが生まれていたと考える。子育て支援にて、
保護者の悩み相談や保護者同士の交流の場以外にも子育て支援には親子のコミュニケーシ
ョンを取る場としての機能もあるのだと考えることができた。
日時 平成27年11月28日(土)
場所 愛国学園保育専門学校
実施団体 愛国学園保育専門学校
講師
愛国学園保育専門学校教員及び学生
参加者
親子3組(子ども4人。年齢不明)
内容 ピアノ演奏
クリスマス演奏~星の王子様(ピアノ・サックス)、ジングルベル(ハンドベル)~
ベビーマッサージ
おもちゃ作り
エプロンシアター~大きなたいこ・食いしん坊のゴリラ~
愛国学園保育専門学校の子育て支援は教員中心で行われていた。愛国学園保育専門学校
の子育て支援で重要視されていたのは、環境作りであった。大きく分けて2つの環境があ
り、
「人的環境」と「物的環境」である。まず人的環境として、教員中心であったが、学生
が楽器でクリスマス演奏をしていた。絵本の読み方、話しかけ方が子ども聞きやすい声の
トーンであったと思う。また、教員及び学生のスタッフの人数や動き方も整っていたと思
う。人数が少ないと子どもへのサポートや保護者へのサポートが行き届かなく、安心して
参加することができないであろう。また、スタッフの人数が多すぎても、会場の雰囲気が
落ち着かなく、こちらも安心して子育て支援に参加することはできないであろう。その意
味で愛国学園保育専門学校の子育て支援においては、適格な人数で行っており、活動を主
になって行うことを教員が行っており、その補助や会場案内は学生スタッフが行っており、
環境を悪くする配置もなく、スムーズに次の活動に移ることができる。それが安心して参
加できる環境の1つであると思う。次に物的環境である。部屋の飾りつけやベビーマッサ
ージや工作などの活動をするさいの使用する道具の環境である。注目したのは、工作をす
るスペースにはマットをひき、マットの上に机を置き、そこで親子で工作を行っていた。
このマットをひくことにより、工作スペースをはっきりすることでそのスペースで行うと
意識するのか、工作に集中し、子どもたちも工作を楽しんでいた。また、工作スペースが
部屋の中心ではなかったが、部屋の壁面とは離れており、圧迫感がなく、解放的であった。
このことも主活動に集中する一つの理由であり、物的環境ではないかと考える。
このように愛国学園保育専門学校の子育て支援から、子育て支援を実施するには、参加
される保護者や子どもが安心することが重要であり、その為には「人的環境」と「物的環
境」の2つが備わった、環境作りが必要であると考えた。
この埼玉県・宮代町と愛国学園保育専門学校で行われている子育て支援から、子育て支
援には保護者の悩み相談や保護者同士の交流だけでなく、保護者と子どものコミュニケー
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ションを取るという機能もあり、子育て支援をこのような場にするには、物的環境と人的
環境を整えることが必要であると考察した。これらを踏まえ、私たちは、12月12日に
千代田区内の上智大学キャンパスにおいて子育て支援を実施し、3月27日にも実施する
予定である。
2、上智社会福祉専門学校で行った子育て支援の内容
本校では第一回子育て支援を11月2・3日の学園祭の中でブースを用意し、工作作り
を実施しアンケート調査を行った。第二回子育て支援を12月12日に本校で行った。第
三回目は3月27日を予定している。
◎第一回子育て支援
○日時
平成27年11月2・3日
実施場所
上智大学四谷キャンパス
実施時間
10時~15時半
○実施内容
親子で作れるということと、来場される子どもの年齢も不透明だった為、幼児から小学
生まで幅広く作れるもの、また簡単に家でも作れるということに重点を置き、下記の4つ
を選定し実施した。
・サンタクロースの折り紙、くるくるペープサート、だまし絵、にょろにょろお化け
○アンケート調査
参加された保護者の方にアンケートを配布し調査を行った。自由記述のアンケートであ
った為、回収率等は記録してない。また、何歳児の子どもの保護者等も記録していない。
アンケートの質問は「子育ての悩みなど、ママやパパ自身が困っていることや、お子さん
とのかかわりについて悩んでいることや困っていることなどありましたら書いていただけ
ればと思います。上記以外のことについても、何かありましたら何でも遠慮なく書いてい
ただければと思います。質問でも結構です。
(ぜひ気楽な気持ちで遠慮なく書いてもらって
大丈夫です。
)
」にて行った。回答してくださった方は15名であった。下記に第一、二回
子育て支援にて行ったアンケート調査の回答をまとめた。
〇第一回子育て支援
日時
2015年11月2・3日 10時~15時半
場所
上智大学四谷キャンパス
本校学園祭時に子育て支援のコーナーを設置し来場者にアンケートを配布し、実施した。
回答者数(15名)自由記述のアンケート内容であったこと、学園祭での実施であった為、
アンケート用紙の配布数を把握していない為、回答率は不明である。
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〇質問内容
子育ての悩みなど、ママやパパ自身が困っていることや、お子さんとのかかわりについ
て悩んでいることや困っていることなどありましたら書いていただければと思います。上
記以外のことについても、何かありましたら何でも遠慮なく書いていただければと思いま
す。質問でも結構です。
(ぜひ気楽な気持ちで遠慮なく書いてもらって大丈夫です。)
〇回答内容
最近、親の言う事をきかない。一度や二度じゃまったくで、毎朝、何度も同じ事を言わ
ないと動いてくれない。どうしたものか?
食事の時に途中で座ったり、立ったりを繰り返す。そのままの野菜を食べない。
(カレー
やドレッシングをかけると食べる)言葉でどもりがある。あー、あああ、・・・・・(話
そうとしてもでてこない)など
子どもが考えて答えを出すような機会が少なく(先に答えを教えてしまう、覚えさせる
等)自分答えを出せる様に教育したいがなかなかできないのが悩みです。
通学路が安全であるように願っています。
早寝早起きの習慣がつかない。食事の好き嫌いが多い。
小さい時ですがおとなしく人見知りしたので集団生活になじめなく苦労しました。
書いたり作ったりする工作は大好きなので楽しく体験しました。子供は年をとっていっ
てもその年ならではの悩みがあって、個性によってもそれは違うので、いつまでたって
も正解がないと感じています。日々、子供と共に成長しないとです。
仕事をしていて、子供の話をゆっくりときいてあげる時間が少ない。小学校3年生、学
童保育にいれているが、学童で宿題をする時間がなく、家に帰宅してから行っている。
子供も親もへろへろになってしまうなど。本日は、子供と一緒に楽しい時間を過ごすこ
とできました。ありがとうございました。
集中力を保たせることが難しい。工作とても楽しかったです。
子供がワガママを言った時にストレスを感じてしまう。普段は問題ないが、自分が仕事
で疲れている時等は少しのことでイライラしてしまうことがある。本日は劇など子供は
楽しんでいました。ありがとうございました。
最初の子はものすごく手がかかっていましたが、今 3 人になって遊ぶようになったので、
だいぶ楽になった。もっと一緒に遊んであげたいのになかなか時間や余裕がない。
勉強が嫌いでやらせるのが大変で疲れてしまう。進んでやってくれる方法が知りたい。
子供の工作の企画はとても楽しんでやっていました。始めて見る工作だったので、次回
は下の子も連れて来たいと思いました。
離乳食の食べさせ方や卒乳に向けてどうしていけば良いか等を教えてくれる講師等が増
えるといいなと思います。
(できれば個別相談も)
大学祭で子供向けの企画があるとは知らなかったです。今日は甥っ子1人だけしか連れ
て来なかったので来年は3人を連れて遊びにきたいです。
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○考察
親子で作れるという工作であったので、親子で絵を書くということや一緒になって工作
をするのかと思っていたが、実際は比較的、子どもだけが工作をしていて親の方々はアン
ケートの答えたあとは、子どもが作っているのを見ていて一緒に工作をすることはなかな
かなかった。ただ、絵を書いている子どもに少し助言をするといった事は多々見ることが
できた。しかし今回は比較的、子どもの年齢層が高く、4~6歳の年長の年頃や小学生低
学年であり、幼稚園・保育所や小学校で工作を行っている為、子どもだけで工作すること
が可能だったのだと考えている。
次にアンケート結果から現在の母親または父親が子育てにてどのような悩みや問題を抱
えているか考察する。アンケートの回答で一番多かったのは、日々の生活の中での問題で
ある。
「早寝早起きの習慣がない」
「食事の好き嫌いが多い」
「親の言うことを聞かない。毎
朝同じことを言わないと動いてくれない」
「食事の時に途中で立ったり座ったりを繰り返す」
「集中力を保させることが難しい」
「勉強が嫌いでやらせるのが大変。進んでやってくれる
方法を知りたい」
「子供がワガママを言った時にストレスを感じてしまう。普段は問題ない
が、自分が仕事で疲れている時等は少しのことでイライラしてしまう事がある」これから
の問題は家庭の日々の生活で改善するだけでなく、学校や幼稚園・保育所での生活も改善
する余地がある問題であると思う。
『仕事で疲れている』
などは子どもには何の責任もなく、
むしろ親の勝手な事情でないかと思う。
これらとは対照的なアンケートの回答があった。
「子どもが考えて答えをだすような機会
が少なく、自分で答えを出せるよう教育したいが、なかなか出来ないのが悩みである」と
いった回答である。このような教育をするのはなかなか難しいことであると思う。だが、
この回答は無視することができない。現在の幼稚園。保育所でも子どもの主体性を育てる
ことを掲げているところは沢山ある。このような時代だからこそ悩むことではないかと思
う。このような悩みを抱える方が今後増えるのではないかと予想できる。そのため、それ
に関しても私たちはアドバイスできるようにならなければいけないと思える回答であった。
また2名の方が「一緒の遊んであげたいのになかなか時間に余裕がない」
「仕事をしてい
て、
子どもの話をゆっくりと聞いてあげる時間が少ない」
といった回答をしてくださった。
他の地域で行われている子育て支援に参加されていた方々も同じようなことを言っていた。
この悩みは今後増えるというのではなく現段階でかなりの人がこの悩みを抱えているので
はないか。だからこそ、企業は『育休』の実施を進めているのだと考えられる。この問題
は家庭の生活や学校または幼稚園・保育所で解決できることではなく、親の方々の勤め先
及び会社が大きく関わってくることになる。よってこの悩みを解決するには、時間はかか
るが、勤め先の会社と話しをしていくしかないであろう。しかし世論は少しずつ男性の『育
休』を認め始めているので、いずれはこのような悩みが少なくなるかもしれないと考える
こともできる。
今回実施した工作について14名中6名が「工作とても楽しかったです」
「子どもの工作
の企画はとても楽しんでやっていました。始めて見る工作だったので次回は下の子も連れ
て来たいと思いました」
「本日は子どもと一緒に楽しい時間を過ごすことができました」
「今
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日は甥っ子一人だけしか連れて来なかったので来年は3人連れて遊びに」きたいです」
「書
いたり作ったりする工作は大好きなのでとても楽しく体験できました」といった回答があ
った。先述に子どもと過ごす時間が少ないといった悩みもこのような機会で少しは改善さ
れるのではないかと考えることができる。時間がないから一緒に過ごせない・遊べないと
いうより、機会がないだけではないだろうか。このような機会があれば参加し、ない時間
の中で子どもと一緒に過ごす為の1つの『方法』として利用できるのではないかと考える
ことができると思う。そして定期的に行うことが必要であると感じた。
◎第二回子育て支援
実施日時
実施場所
平成27年12月12日 10時半~12時
上智大学四谷キャンパス
○実施内容
第一回子育て支援のアンケート結果にて15名中6名が「工作は楽しかった」
「子どもと
コミュニケーションがとれた」という回答があったため、実施内容に工作を入れ、継続し
た。前回とは違い、学園祭の一ブースでの実施ではなく、単独での実施できた為、工作の
紹介のみでなく、愛国学園保育専門学校や埼玉県・宮代町の子育て支援のような親子で参
加し、保護者同士及び親子でコミュニケーションがとれることを重視し、下記の内容で実
施した。
10時半 ・教員及び学生メンバーの紹介、ディズニーの手遊びを紹介、
・ウェルカムコンサート「きよしこの夜」英語と日本語両方の歌詞で歌う。
「あわてんぼう
のサンタクロース」は、太鼓等楽器を用意し、希望した子どもたちに演奏してもらい、そ
れ以外の子どもと保護者には鈴を渡し、音楽に合わせて楽器を鳴らし、合唱した。
・英語の紙芝居「Yummy,Yummy」
英語で好きな食べ物を紹介するといった内容であり、1 枚ごとに『Yummy,Yummy』と
参加者と掛け声をする。
・英語で手遊び「Little piggy」
「Eency Weency spider」
上記の2つの手遊びを参加者と実演しながら、紹介した。
・おもちゃ作り
クリスマスリース、くるくるペープサート、だまし絵の制作を実施した。クリスマスリ
ースは子ども向けの簡易的なものと大人向けのものの 2 種類を用意した。
・参加賞とスタンプ
おもちゃ作りの工作が終わり次第流れ解散となったが、入場時に配布した参加賞に消し
ゴムで作ったオリジナルスタンプを押してもらい解散となった。
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〇アンケート調査
前回同様、アンケート調査を実施した。自由記述だけでなく、該当するものにチェック
してもらう形式を使用した。
一人 1 枚配布し両親で参加されたかたには1枚ずつ配布した。
12人回答し、回答率は100%であった。質問内容は下記の通りである。
1、今回の子育て支援はどちらでお知りになりましたか。
① インターネット ②チラシ ③家族や友人等からの紹介 ④学園祭 ⑤その他
2、 何回目の参加ですか。
① 初めて ②二回目
3、参加した理由についてお聞かせください。
4、 回答者の年代を教えてください。
➀10代 ②20代 ③30代 ④40代 ⑤その他
5、お子さんの年齢は何歳ですか。
➀6ヶ月未満 ②12ヶ月未満 ③1歳 ④2歳 ⑤3歳 ⑥4歳 ⑦5 歳
⑧ 6 歳 ⑦7歳以上
6、本日の内容はいかがでしたでしょうか。楽しかった事やお気付きの点などありました
らお聞かせください。
7、次回に開講してほしいことなど、その他、感想や質問等をお気軽にご記入ください。
〇第二回子育て支援
実施日時 12月12日10時半~12時
実施場所 上智大学四谷キャンパス
子育て支援は前回の様に学園祭等に付随した形ではなく、子育て支援プロジェクトとし
て、上智社会福祉専門学校で独立して実施した。自由記述だけでなく、該当するものにチ
ェックしてもらう形式を使用した。一人 1 枚配布し両親で参加されたかたには1枚ずつ配
布した。
アンケート内容と結果は以下のとおりである。回答者数 12名
(回答率100%、
)
アンケート結果
1、今回の子育て支援はどちらでお知りになりましたか。
家族や友人等からの紹介
4人
チラシ
3人
インターネット
0人
学園祭
0人
その他
5人
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2、何回目の参加ですか。
①初めて
12人
②二回目
0人
3、参加した理由についてお聞かせください。
保育園でチラシをみて、クリスマスやサンタクロースに興味をもちはじめていたのでたのし
めるかなと思い参加しました。
親子の時間を楽しみたかったので。なかなか工作する時間をもてません。学生さんを始め、
いろんな方と子供に交流してもらいたいため。
子どもが楽しめそうな内容だったので。保育の学生さん達がどんな事をしてくださるのか興
味もありました。
先生にお声をかけていただいたので。
休みの日だったので。いつもと違う遊び(家での遊び)とは違うことができると良いと思っ
て。
歌や手遊び、工作など、内容が子供が喜びそうな内容だったので参加しました。
「地域と繋がる子育て支援」のとりくみに興味がありました。図書館に関する仕事をしてい
るので、参考にできると思いました。
先生の紹介で参加しました。
これからの勉強になると思ったから。
子供がワークショップに興味がある為。来場するお子さん方がどのように参加するのか見学
したかったため。
4、回答者の年代を教えてください。
10代
1名
20代
1名
30代
6名
40代
3名
50代
1名
5、お子さんの年齢はいくつですか。
6ヶ月未満
0名
12ヶ月未満
1名
1歳
1名
2歳
1名
3歳
2名
32
4歳
1名
5歳
2名
6歳
1名
7歳以上
1名
6.本日の内容はいかがでしたでしょうか。楽しかった事やお気付きの点などありました
らお聞かせください。
優しいお兄さん、お姉さんに遊んでもらい楽しい時間を過ごすことができました。
歌などは忘れないように頑張って下さい。
途中からの参加でしたが、いろいろな年齢の子が楽しめる催し物ばかりで、子どもたち
が楽しんでいる姿が印象的でした。スタッフの人数もちょうどいい感じだったのでてあ
つく遊べてよかったと思います。
手遊びや工作など内容が盛り沢山で面白かったです。
手遊びが家庭でもできそうなのでやってみたいなと思いました。これからの家での遊び
が参考にしたいです。
お絵描きが色々できて楽しそうでした。
英語のあそび歌や紙しばいに喜んでいた。
全てとても楽しかったです。音楽から制作まで色々盛りだくさんで来て良かったです。
皆さんとても親切で子ども安心して楽しめました。ありがとうございます。
だまし絵、くるくるペープサート等、子どもたちが生き生きと参加している様子がとて
も良かったです。保護者も参加しているのが良かったかな。
人見知りがつよいため、工作ができず残念でした。コンサートを楽しめて良かったです。
最初の音楽から工作まで、お子さん達があきずに楽しそうにしていて良かったと思いま
す。プログラムの長さや種類の選び方は素晴らしかったと思います。
7.次回に開講してほしいことなど、その他、感想や質問等をお気軽にご記入ください。
お子さんと親御さんが一緒に参加できる今回のようなプログラム良かったと思います。
サンタさんの格好した人がいたりするともっともりあがったりよろこぶかなと思いま
す。
学生さん方ともっと会話できたら嬉しいです。
また来たいので案内、お待ちしております。
学生のみなさんが一生懸命、優しく息子に接してくれて息子も楽しそうでした。
Our son enjoyed singing with gestures. I hope we can have more of these in the next
events.
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絵の具を使った遊び(同じ位の子供達と一緒にできると楽しそうです)
できればくつをぬいで遊べる環境が良いです。オムツ替えスペースもあると嬉しいです。
季節ごとに季節のものを楽しむイベントだと、身近に感じられていいのかなと思いまし
た。今回も、壁のそうしょく等、季節感あふれるものばかりで、子どもたちも「サンタ
さん」
「キラキラ」とよろこんでいたので、とてもすてきでした。おつかれさまでした。
〇考察
今回は実施する内容が多かった為、愛国学園保育専門学校の子育て支援を参考にし、物
的環境と的環境を踏まえた環境作りを重視した。まず、物的環境については、クリスマス
の歌の紹介及び合唱では、ただ、歌を歌って終わりだと幼児の子どもたちにとって物足り
ないのではないかと考え、楽器を用いることにした。用意した楽器はタンバリン・太鼓・
鈴である。タンバリンと太鼓は子どもに「やってみたい人は手を上げて」と声をかけたと
ころ、考えていた通り、4・5歳の子どもが手をあげてくれて楽器の演奏をしてくれた。
それ以外の子どもと保護者の方には鈴を配布し、合唱をした。結果的に楽器を用いたこと
は良かったと考える。アンケートの結果で「音楽(歌)が楽しかった」という回答が4人
いた。楽器についての回答はなかったが、歌を学生メンバーが歌うだけでは、このような
回答はなかったのではないかと考える。楽器を使い、参加型であったからこそ、印象に残
ったのではないだろうか。
英語の手遊びにも工夫を入れてみた。英語の手遊びをフィールドワークから調査するこ
とができなかった為、本校の教員と学生同士で何度か実演してみたところ、
「はじめての人
には歌詞や意味がわからないのではないか」という考えになった。その為、今回は歌詞を
大きめの画用紙に書き、手遊びの時に張り出した。また、それだけでは、子どもに参加し
てもらえない可能性があった為、歌詞にあるスパイダーや太陽の人形や絵を用意し、手遊
びに合わせて使用した。しかし、英語の手遊びに関してはアンケートだと、
「英語の遊び歌
や紙しばいに喜んでいた」という回答1名だけであった。
「すべて楽しかった」という回答
が2名いたがその回答をいれると12名中3名であった。(「手遊びが楽しかった」という
回答があったが、学生紹介においてディズニーの手遊びを紹介しているため、英語かどう
かわからなかった為、
数に含んでいない)全く楽しんでいただけなかったわけではないが、
子どもの興味がわくようなところまで持っていけなかったことは反省するところである。
また、英語の手遊びが楽しかったとの回答をして下さった方のお子様は12ヶ月未満で
あった為、子どもの雰囲気で楽しんでいたとみていることから、子どもより保護者が楽し
かったのではないかと考える。そう考えると今回の英語の手遊びは子どもより大人が興味
を示す内容だったかと考察している。子育て支援として親子で楽しめる英語遊びとして内
容を再度改めること必要であると考えている。
工作に関しては、5名が「楽しかった」と回答している。
(「すべて楽しかった」という
回答を含む)やはり一番印象に残ったようである。そして、違った意味で、工作を楽しみ
にされていた回答があった。2 歳児の保護者は「人見知りが強いため、工作ができず残念
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でした」との回答だ。残念がってもらえるほど、楽しそうに見えたと考えることができる。
アンケートの結果から工作は親子のコミュニケーションをとることができるのではないか
と考察できる。
次に人的環境であるが、今回、スタッフとして参加した学生は21名いた。手遊びや歌
の紹介をするのに対し、数人が前に立ち実演したが、子どもや保護者により参加していた
だけるよう、なるべく参加者のまわりに学生を配置した。また、工作でも、工作している
参加者のまわりに10数名を配置し、工作の手伝いや保護者が工作していた場合には、子
どもを見れるようにと考えた。また、工作が終わった参加者がすぐにスタンプカードにス
タンプを押せるよう、スタンプコーナーを設置し、3名ほど配置した。結果、常に安全に
そしてすべての活動に親子で参加しやすい環境を整えることができたと考えている。アン
ケートにも「スタッフの人数もちょうどいいかんじだったので、てあつく遊べてよかった
とおもいました」という回答があった。3月の子育て支援のさいも学生の人数及び配置を
内容にそって考えることが必要であると考えている。
保護者の中に、子どもが工作を学生と行っているのを離れた場所でみていた方がいた。
別の学生が声をかけ、保護者の方も子どもは別に工作をしていたが、子どもが工作を終え
ると保護者も急いで仕上げてしまい、すぐに子どものところに行ってしまった。この光景
から「子どものために参加したのだから、自分が主体となって楽しんではいけない」とい
ったことを感じる光景であった。子育て支援を実施するのに対し、子育て支援は誰に対し
ての支援なのかも伝えることが必要なのではないかと考えている。
また、物的環境の反省になるが、ベビーカーの保管場所とおむつ交換の場所を用意でき
なかった。アンケートにおいても指摘されていたので、3月には用意する予定である。
◎第三回子育て支援
第三回子育て支援に関してのアンケート調査結果及びアンケートと実施後の考察に関し
ては、次年度報告することとする。その為、第三回に関しては、実施予定の内容と実施予
定のアンケート調査にて報告する。
実施日時
実施場所
平成28年3月27日10時半~12時
上智大学四谷キャンパス
○実施内容
千代田区教育長様からも「親子で楽しめる内容を」と御指摘いただきましたことも踏ま
え、主活動にエッグハントを行った。本校の SJ ハウスの中庭を解放し、自然が多い中で
行えば、親子でのコミュニケーションが取れるのではないか。と考えた。また、宮代町で
のフィールドワークから、親子でコミュニケーションが取れる=親子で楽しめるではない
かと考えていた。下記の内容を実施する予定である。
35
・教員及び学生メンバーの紹介
・ウェルカムコンサート、
「ちょうちょ」
、
「お花が笑った」、ペットボトルなどを使った手
作り楽器で演奏し合唱。大型絵本、世界の挨拶は何か国かのあいさつを歌にして合唱。
・エッグハント用の籠作り、エッグハント
参加者は SJ ハウスの中庭に移動しエッグハントを行った。イースターエッグはプラス
チックのタマゴで事前に用意する。タマゴの中には、完全密封されているお菓子を入れて
おく予定である。
・参加賞とスタンプ
前回同様に入場時に参加賞を配布した。消しゴムで作ったオリジナルスタンプを参加賞
に押したら解散とする。
○考察
エッグハントを通じて、親子のコミュニケーションに着目し、その為の環境作りを重視
した。人的環境が特に重要であった。エッグハントは本校の SJ ハウスの中庭で行うのだ
が、室外ということやエッグハント用のタマゴの中に完全密封されたお菓子を入れたこと
もあり、タマゴを隠すタイミング、隠したタマゴに異物が入らないようにと常に注意をす
るため、中庭には数名配置する予定である。
また、実際にエッグハントを始めたときには、配置する人数を増やし、参加者への案内
や誘導を行う。この SJ ハウスの中庭は何日も前から視察し、危険個所等の確認をし、エ
ッグハントで使用する箇所を決めた。物的環境は雨が降った場合に備えたものが多かった。
エッグハントは雨が降ると中庭での実施が不可能な為、室内でもエッグハントを通じて親
子でコミュニケーションをとって頂けるような室内の環境にすることが必要である。その
為に、段ボール等で、木や草の装飾を作り、室内でも自然風の環境作りを目指した。自然
風の環境にせずともエッグハントを行うことができるが、何の装飾もない教室で行うより、
親子でコミュニケーションをとるには、自然風の環境にしたほうが良いではないかと考え
たからだ。
さらに、雨が降っても降らなくても、同じような環境や雰囲気で行うことで自然の中で
エッグハントを通じて親子コミュニケーションがとれるかという趣旨を変更したくなかっ
たからである。その上でアンケート調査を行う。アンケートには特にエッグハントに関す
る内容の問いはいれていない。自由記述の問いにエッグハントについてどう回答があるか
どうかで判断する予定である。
第三回目でのアンケートを集計及び考察し、次年度の子育て支援の参考とする。今年度
の子育て支援にて「環境作り」という視点に着目し、子育て支援を実施したが、次年度は
第三回のアンケート回答の考察結果を踏まえ、
「親子のコミュニケーション」に着目し、内
容構成し、子育て支援を実施していく予定である。
36
第三回目の実施中の写真を掲載することはできない為、準備段階の写真を掲載する。
手遊び用の手袋作成
エッグハントにて学生スタッフの被り物
手遊び用の手袋
エッグハント実施の上智大学 SJ ハウス中庭
毎回の子育て支援にて用意したスタンプカード
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3、おわりに
今年度から千代田学として本校にて学生が主体となり子育て支援を行うこととなり、子
育て支援を見たことがなかった私たちはまず、他校や自治体の子育て支援を見に行くこと
にした。本稿で述べた、愛国学園保育専門学校や埼玉県・宮代町の子育てパパ大学以外に
も各自フィールドワーク調査を行った。
そこで、子育て支援の意味や内容といった事を学ぶことができ、その学んだことを踏ま
え、11月・12月・3月に本校にて子育て支援を行うことができた。実施する内容や構
成は、フィールドワーク調査で学んだ「環境作り」を重点におき、メンバーで何度もミー
ティングを開き話し合った。ミーティングで話し合った内容を本校の教員に伝え、最終的
に教員も交え、内容と構成を決めた。内容が決まると、準備をするが、導入方法や安全面
のことなど考えることがたくさんあることが分かった。しかし、1つ1つミーティングで
解決策を出し合っていくうちに、本校の3年生や卒業生はいろいろな引き出しを持ってお
り、1年生はその都度、良い勉強の場となった。
実際に子育て支援を行うと意外にも「学生さんと話してみたい」
「学生さんが行う子育て
支援はどんな感じか興味があった」といった保護者の方々がいらした。その為、保護者の
方とお話をする機会があり、また保護者の方と一緒に工作することができ、実習では体験
することのできない”保護者の方とのかかわり”を持つことができた。この体験は貴重であ
り、保護者の方がどのようなことに悩んでいるのか、どのような思いで子育てをしている
のか等、直接聞くことができ、現場に出たときに保護者の方とどうかかわっていくべきか
という部分の参考になった。これは学生が子育て支援を行ったからこそ体験できたことだ
と考えている。
しかし、課題も見つかった。子育て支援中間発表として千代田区役所で行わさせて頂い
た報告にて教育長様から「楽しいだけではなく、親子のコミュニケーションがとれて楽し
い内容に」と御指摘を頂いた。その事を踏まえ、第三回子育て支援を実施したが、そのア
ンケート結果などを考察し、
「楽しい」から「親子で楽しい」へと内容を考えることが次年
度求められていると思う。埼玉県・宮代町の子育て支援や愛国学園保育専門学校の子育て
支援を見学し、実感したように、本校の子育て支援が保護者の方や親子にとって、1つの
「方法」
になるには次年度、
フィールドワーク調査やアンケート調査に関しても工夫をし、
本校で行う実施内容も保護者の方や子どもたちのニーズにあったものにすることが必要で
ある。次年度は本年度、経験し学んだ事と見つかった課題の克服に努め、子育て支援を実
施し、私たちも成長していきたいと考えている。
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千代田学
子育て支援に関する報告書
上智社会福祉専門学校保育士科 吉本康子
実 施 企 画
第 2 回千代田学 子育て支援講座
日
時
2015 年 12 月 12 日 午前 10 時半~12 時
場
所
上智大学
千代田学単独では初めての実施となる子育て支援。上智といえば語学という印象がある
ということで、英語の手遊びと紙芝居を中心に、実施時期が 12 月なので、クリスマスに
向かうワクワクした気持ちを共有しようと考え、工作にクリスマスリース、ウェルカムコ
ンサートにはクリスマスソングを取り入れることにした。
当日は9組の親子が参加して下さった。子どもの年齢は以下のとおりである。
・0 歳~1 歳が 2 名
・2 歳~3 歳が 3 名
・4 歳~5 歳が 3 名
・6 歳と 9 歳が各 1 名
ウェルカムコンサートの「あわてんぼうのサンタクロース」では、希望する子ども達に
前に出てもらって、歌詞に合わせて打楽器演奏で参加してもらったり、自席で指につけた
鈴を鳴らして参加してもらったりしたことで、教室全体が一体となることが出来たと思う。
1 年生は不慣れなことや照れくささもあり、練習時には先生から褒めていただくことな
く本番を迎えたが、コンサートでの一体感により手遊びや紙芝居での子ども達の反応がと
てもよく、演じている私が嬉しくなって楽しくのびのびと出来た。当日参加されるお子さ
んの年齢等の把握が事前に出来なかったことや、お子さんがどれくらい親元から離れるこ
とが出来るかなどの予想がつかなかったことから、工作は 4 種類用意し、保護者が興味の
ある物に取り組んでいただけるようにした。
新聞を使ったリースについては、お子さんが親元を離れないことを想定して、刃物を使
用せずに製作できるキットを 1 種類、予め作ることにした。工作については、保護者を対
象にと考えていたが、6 歳 9 歳と一人で製作できるお子さんもおり、3 歳 4 歳のお子さん
と親子での共同制作も見られ、テーブルが賑わっていた。ウェルカムコンサートを参加型
にしたことや、数種類の工作に挑戦する方もいらっしゃって、終了予定としていた 12 時
までに収めることは出来なかったが、参加された家族が笑顔で帰られたことは大きな喜び
だった。
6 歳のお子さんを連れてこられた保護者(母親)は、子供が学生に囲まれて楽しそうに
工作する様子を少し離れた場所から見つめていた。クリスマスリースの製作を勧めたとこ
ろ、遠慮されたが「組み立てるだけなら……。
」と子どもの斜め前の場所で制作に参加され
た。しばらくは私とおしゃべりをしながら、初めは子供の様子を見ながら手を動かしてい
たが、だんだんと言葉数が少なくなって作業に集中。完成間近になってリースを持ち上げ
39
た時にお子さんが居ないのに気づかれたので、隣のテーブルの島に移って別の製作に取り
組んでいることを伝えると、急いでリースを仕上げてしまった。まるで子供が移動したこ
とに気づかなかったこと、自分の時間を持ったことがいけないことだったかのように。
子供のために参加したのに、自分が主体となって楽しむことはいけないことだと感じて
いるかのように私には見えた。そう考えると、子育て支援という中で、これは誰に対して
の支援なのかを伝えてもらうことを必要とする参加者もいるかもしれない。
以前見学に行った宮代町のハンドマッサージは、毎日酷使している母親の手へのご褒美
だとその日のテーマがはっきりとしていた。子供たちとは離れておしゃべりに花が咲いて
いた。楽しそうな笑い声があちこちから聞こえていた。
私たちも、工作は保護者向けと考えていたのだから、それをもっと大きな声で、伝える
べきだったのかもしれない。
「工作を用意しています」と言うだけでは、弱かった。特に学
齢期に近い子供を持つ保護者にとっては工作をする対象が自分とは考えにくくなっている
ことを想像しておく必要があったと反省した。当日に何名の参加があるか予想がつかない
中、キット作りや英語での手遊びなど、授業開始前の時間を使っての練習や制作を負担に
感じるメンバーの声もあった。この点は申し込み制にして参加希望者の事前把握をするこ
とで制作準備の負担については軽減でき、その分を練習に移せるので次回に活かしたい。
また、卒業レポートに取り組んでいる最中にも関わらず、アイデアの提供だけでなく準
備・当日の参加と全面的に支えてくださった3年生。授業や実習を経た先の頼もしい姿を
間近で見せていただけたことは、授業では交流の機会がない 1 年生にとっては得がたい経
験だった。
今回の取り組みをするにあたって、使用する教室の環境が整わず、事業申請時に考えて
いたベビーマッサージが実施できなかったことは残念に思っている。準備段階では、その
時に使用できる環境の中で安全且つ満足度の高いレクリエーションを企画することのむつ
かしさや持ち札を増やす必要を。実施後、アクシデント対応に必要なのは経験数の必要性
であること、そしてその積み重ねによって得られる自信と度胸なのだと痛感した。
千代田学で子育て支援に取り組むにあたり、実際に子育て支援がどのように行われてい
るか知るため、JR小岩駅から徒歩 10 分。江戸川区西小岩にある愛国学園保育専門学校
で行われている子育て支援を見学させていただいた。愛国学園は年に 2 回、先生主体で子
育て支援講座を開いていて、季節に応じた活動をした後、子どもが喜ぶおもちゃ作り・子
育てに関する個別相談・ベビーマッサージの主活動のなかから一つを保護者が選んで参加
する方法が採られ、全行程 1 時間半程度で終了するように企画されている。
当日は、開始時刻になり参加者が着席するまで、ウェルカムコンサートという形で、ク
リスマスソングのピアノ演奏がされた。校長・副校長の挨拶で始まり、補助に入る学生が
自己紹介をし、学生による楽器演奏と、学生の伴奏で参加者がクリスマスソングを合唱。
和室のある別室に移動して、和室では布団の上でベビーマッサージを行い、フローリン
グのスペースに置かれた座卓で、アンパンマンを模った「でんでん太鼓」が作成された。
再び教室に戻ると、エプロンに付けられたゴリラと、そのエプロンを付けた先生との掛け
合いで進行し、時々参加者も巻き込む楽しいパネルシアターが熱演された。パネルシアタ
40
ーの終了で本講座は終了したが、学校のご厚意で学生に向けてクリスマスリースと、講座
中に見学していた「でんでん太鼓」の作り方を教えてくださった。
今回の見学は、学校主催ということで 12 月 12 日の千代田学で参考に出来ることが多い
と考え期待して見学に臨んだが、
設備の在り方が全く違いそのことに目が行ってしまった。
先ず、学校内は上履きであること。上智社会福祉専門学校(社専)は上智大学と教室を共
用しているので、もちろん上履きに履き替えることはない。もちろん掃除は丁寧になされ
ているが、子ども達がハイハイできることは前提になっていない。
次に、社専ではピアノは音楽室に集められており、教室での音楽演奏となると移動が簡
単な打楽器やキーボードになってしまう。それならば音楽室でと考えるが、一番広い音楽
室にはピアノが 4 台入っていたりドラムセットが置いてあったりで、子ども達が集中し辛
い環境だ。私たちのピアノの腕の問題もあるが、ここは選曲時に、聞かせる演奏よりも楽
しむ演奏にする工夫が必要と考えた。
ベビーマッサージと工作が行われた場所についても、低い位置での作業なので、子ども
が少々姿勢を崩して動き回っても危険が少ないと思われる。マッサージを受けて、気持ち
が良くなりじっとしている子どもばかりではないので、千代田学でベビーマッサージを取
り入れるとなると、実施する場所の選択と環境づくりには十分な配慮を要すると考えた。
また、工作で太鼓を打つ紐を付けた球を本体に取り付ける際、キリを使用する場面があ
った。もちろん、使用にあたっては、充分な配慮がなされていたが、千代田学で使用する
ことは出来れば避けたいと感じた。
パネルシアターを演じられたのは、愛国学園で教鞭を執っていらっしゃる先生だったの
で、動きも声の大きさも迫力も素晴らしく、終盤にはケーキの焼けたいい匂いを、バニラ
エッセンスで演出される工夫もあって、とても楽しむことが出来た。何よりも演じていら
っしゃる先生が楽しそうだったことが印象深かった。参加している子ども達も、場所に慣
れたこともあったと思うが、保護者の膝から乗り出して見入っている様子や、席でお尻が
弾んでいる子、お母さんに自分の驚きを伝えて微笑み合っている親子など、楽しさの表し
方を様々に見ることが出来た。
今回の見学で特に印象に残ったのは、パネルシアターを演じられた先生と、子ども達の
様々な歓びの表し方だった。授業の発表時にもたびたび指摘を受けてきたことだが、自分
が楽しめないものは、見ている側も楽しくない。本番の千代田学に向けて、どう表現した
ら?どうしたら楽しく演じられるか?という視点を持って作り上げたい。そして参加され
た方が「楽しかった、参加して良かった」と少しで感じてもらえれば、それこそが私たち
にとっての成功といえるのだろう。
同じものを見て一緒に楽しんだり、笑い合ったり、自分が思いを伝えたくてお母さんを
見たら、お母さんも自分を見てくれていた何とも言えない嬉しかったことを参加して下さ
った方それぞれに積み重ねてもらえるよう 12 日の千代田学に向けて準備をしたいと思っ
た。
41
埼玉県宮代町「子育てひろば」の視察に関する報告書
上智社会福祉専門学校保育士科 クレルブ・サミュエル
職員:6-7 人、見学者:3 人、4 組(お父さん+娘)
環境:落ち着く広い台所で大きい木のテーブルの上を使用した。
目標:普段一緒にやらないかも知れない、お父さんにも子どもにもいい思い出になるよう
にお父さんと娘一緒にクッキングをし、お父さんがお互い話し合って、困る自分が一人じ
ゃないことを気づくことと自分の見方を広げるため。
1.マドレーヌ作り
最初から職人と見学の人含めて、ちょっとした、自己紹介してから、始めた。一人の職
人がメインになり、ホワイトボードに書いておいたようにステップを流れで説明していた。
うまく進むために、すぐ捨てるようにごみ袋がテーブルのあたりにセットしておいて、
もう測っておいた材料の袋を準備しておいた。ステップに沿って、やり方(混ぜ方とか)
を説明し、組に材料を配って、お父さんと娘一緒にやらせていた。お父さんも子どもも喜
んで、作っていた姿を見てきた。たまに一組ではお父さんの方が夢中になって、やりたが
って手を伸ばしていた子どもを気づかなかったが、大体皆子供と一緒にうまく出来ました。
オーブンに入れる前に、組の名前を書いてから入れた。その時、お父さんの方が出て、違
う部屋に移動されて、子供が職人と私と残って、ハロウィンカードを作った。
2.ハロウィンカード作り
レシピを進んでいながら一人の職員が写真を撮っていて、すぐ印刷した。一人に写真三
枚の中に一枚を選んでカードに張って、ハロウィンの絵も書こうという企画だった。子ど
もと一緒にやってと誘われて、子どもの隣に座って、話そうとしていたが恥ずかしがって
いたので、頷いただけだった。最初は何を描くか困ってたから、ホワイトボードにあった
絵を参考したら、どうって言ったら、始まった。途中でさっきのマドレーヌが出来上がっ
たので、皆で様子を見に行った。準備されたパッケージングを選んで、お父さんが戻って、
子どもと一緒に包んだ。帰る時間になって、職員が皆に家でも出来るように今日のレシピ
を渡した。さようならの挨拶したら、バイバイと初めて声を出して、手を繋いで出口まで
連れた。感動した。
42
五十嵐淳子ゼミナール
埼玉県宮代町の子育て支援に参加して
白鴎大学教育学部 田中宏佳
はじめに
私は 11 月 14 日(土)に宮代町の行政が行う子育て支援に参加した。参加しようと思った
理由は、学生のうちでしか参加するのが難しいので自由な時間が多い間に参加し、子育て
支援の実態を知りたいと思った。また、以前参加した大学が行う子育て支援と何が異なる
のか双方のプラス面、マイナス面を比較したいと考えたからである。
概要
・開始
平成 27 年 6 月
町内の子育て支援センターと児童館が閉鎖に伴い、合併した。
・日時
平日、土日、祝日(年中無休) / 9:00~17:00 ( 12:00~13:00 飲食可能)
・利用者 乳幼児から中学生まで (異年齢保育)
・職員は5~6名でそのうちの2名が出勤。体調が悪い時など交代することが出来る。
・内容
予約不要。参加費無料。日によって保育行事の対象年齢を変えている。
子育て支援の内容
「秋を染めよう」
今回は小学生を対象とした製作活動でペイント、カード・バッグ作り、フラワー作りが
主な活動内容である。作り方が具体的に分かっている製作の紹介をする。
○ペイント
①障子紙を半分に折り、好きな色を付ける。
②広げて乾かす。完成。
○ カード・バッグ
①固めの画用紙で作られた型(ツリー、リース)とカード・バッグを子どもが選ぶ。
②保育者は子どもが選んだカードやバッグに鉛筆でかたどる。
③絵の具で色つけたもの(障子紙、コーヒーペーパー、キチンペーパー)を
切ったりちぎったりして型の中にのりで貼る。
④シールを貼る。完成。
43
カードとバッグ
プラス面とマイナス面(大学が行う子育て支援と比較して)
行政(宮代町)
プラス面
マイナス面
玩具が多く。年齢別に対応が
玩具が散らかりやすく、元の場所に戻
十分にできる。
すのが大変で、子どもが踏んづけてし
まい怪我をしやすい。
年中無休なのでいつでも
家事をだらけてしまう。
来やすい。
頼んで交代することができ、 1人1人の責任感が薄れる。
緊急時も安心できる。
気軽に来やすく保護者同士
トラブル時の対応が困難。(通園ではな
が仲良くなりやすい。
いため、来てくれないとわだかまりを
解消しづらい)
大学(愛国学園保育専門学
校)
保育経験者が多く、保育の質
それぞれ長年培ってきた自分の保育感
が高い。
があるので意見が割れやすい。
玩具がオリジナルなものが
個数に限りがある。
多く、面白い。
数か月前から行う日程やス
行う回数が少なく、行きたい時に行け
ケジュールが決まっている
ない。
ため予定を立てやすい。
学生と交流ができ、フレッシ
学生の言葉遣いなど至らぬところに不
ュな気持ちになれる。
信感を感じる。
学生が考えた新しい保育を
体験できる。
保護者同士の新しい出会い
保護者同士の交流に継続性がないため
がある。
親密になりにくい。
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関わり方 (保育者視点)
・子どもに対して・・・子どもが主体性を持って行動できるような声掛けが多かった。
カードかバッグで迷っている子に対して「どれがいいかな。
」
バッグにしなよ、と他児から言われている子に対して「○○ちゃ
んが決めていいんだよ。
」など。
・親に対して・・・・・保護者同士が交流できるような声掛けを心掛けているそうだ。
保護者の方に積極的に話しかけている姿が見られ、天気や体調な
ど他愛もない話から会話を進めていた。
感想
行政と言ってもアットホームな雰囲気で思っていたのとは違かった。職員の方の中には
保育士歴 15 年の大ベテランの方もいて環境設定や声掛けや援助に配慮がみられた。例え
ば乳児のおもちゃコーナーはハイハイで子どもがどこかへ行ってしまわぬように小さな緩
やかな囲いが設置されていて安全面に配慮されていた。他に子どもが危ないところへ登っ
た際には、びっくりさせて落ちないよう名前を優しく呼び、ゆっくり歩み寄って「高いと
ころ好き?でもこれは登るところかな?」と抱き上げておろしていた。子ども自身に考え
を促す声掛けがあった。
今回、宮代町の子育て支援に参加して、行政の子育て支援の実際について知ることが出
来ただけでなく、熟練保育者と保護者との関わり方、子どもの発達年齢に合わせた配慮の
仕方など保育の専門的なことまで学ぶことができた。先生方の職務を見て、保育者として
もっと身を引き締めなければならないと強く感じた。
このような子育て支援に参加することで子育て支援の在り方を模索する手掛かりを発見
できるので、これからも積極的に多くの子育て支援の現場を見ていきたいと思った。
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五十嵐淳子ゼミナール
愛国学園保育専門学校子育て支援の視察に関する報告書
白鷗大学教育学部 高橋佑莉
○ウェルカムコンサート
始めて 5 年・・・
子どもと触れ合うことが少なくなっている今日、子育てが
楽しいと思ってもらえるような機会を提供しようと思い、開
かれたことを伝える。
・クリスマス演奏
ピアノとサックスによる演奏
とてもリラックスとした雰囲気を作っていた。
・ハンドベル演奏
『ジングルベル』
事前に歌詞カードを配布し、参加者に歌って
もらっていた。
○ベビーマッサージ
畳の部屋に布団が敷いてある。まず、絵本『くっついた』を読み、その後手遊び「くっ
ついた」を人形を使って行っていた。最初に絵本の読み聞かせや手遊びをして、赤ちゃん
が落ち着けるような環境を作っていた。
今回は、童謡「ぞうさん」に合わせてベビーマッサージをした。歌詞の 1 番では、脇の
下から手の先をさすり、2 番では、胸にハートを描くようにマッサージするよう伝える。
赤ちゃんは、とても気持ちよさそうで落ち着いた様子であった。歌詞の「かあさん」の部
分を子どもの名前「○○ちゃん、△△くん」と呼んであげるよう声を掛けていた。
また、
「大きなくりの木の下で」の音楽に合わせても行っていた。膝の上に赤ちゃんを乗
せて、足の裏を揉んであげる。
無理なく行い、やりすぎると疲れてしまうため10~15分を目安にすることを伝えて
いた。子どもが喜び、眠くなってくるそうだ。
○手作りおもちゃ(アンパンマンのでんでんだいこ)
子どもが喜ぶおもちゃとは、音が出るもの、キャラクターのものであることを話してい
た。製作に入る前に、アンパンマンのぬいぐるみを使って挨拶をしていた。子どもたちは
馴染みのあるキャラクターを目にして、とても楽しそうな表情をしていた。
アンパンマンの顔のパーツは元々作ってあり、好きな顔(目、口)が書けるようにして
あった。鼻のテカテカの部分は修正テープを引く。体のにこちゃんマークは黄色のドット
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シールに顔を書く。ひもを通したり、セロハンテープで固定したりするなどの作業はお母
さんたちが行っていた。また、テープをとってお母さんに渡す子どもの姿が見られた。片
手で鳴らすと鳴らしやすいことを伝えていた。
○エンディングセレモニー
エプロンシアター「食いしん坊のゴリラ」を行う。バナナやりんご、みかん、卵、クリ
スマスケーキなどが出てくる。多くの仕掛けに参加者は楽しんでいる様子であった。
また、作ったでんでんだいこを出してもらって「おおきなたいこ」を歌った。ゆっくり、
はやいなど速さを変えて行っていた。替え歌も紹介していた。
子どもたちは、嬉しそうな表情をしていた。
○クリスマスリース作り(学生たちのみ)
まず、クリスマスの由来について話していた。リースは、永遠の愛や命という意味を持
っている。たくさんの飾りが用意されており、ほとんどが 100 円ショップで手に入るそう
だ。リースの作り方は、英字新聞 1 枚をくるくると丸めてねじりながら円を作るという短
時間でできるものであった。そこにリボンや飾りをつけてそれぞれが思い思いのものを完
成させた。
○子育て支援講座に参加しての感想
今回が2回目の参加であった。前回と同様、落ち着いた雰囲気を作っていたのが印象的
であった。参加した親子たちも和んでいる様子であった。支援者の雰囲気によって場の雰
囲気が変わることを改めて実感した。そして、保育者を目指すものとして子育て支援の重
要性を再確認した。リラックスできる時間を提供し、保護者のストレス緩和につなげるこ
とは大切なことだと学んだ。
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五十嵐淳子ゼミナール
愛国学園保育専門学校と上智社会福祉専門学校での子育て支援講座について
白鷗大学教育学部
藤田玲那
私は、昨年子育て支援講座に 2 回参加した。最初に参加した子育て支援講座は 5 月
23 日に愛国学園で行われたものだ。その内容として、ウェルカムコンサートで「あな
たのお名前は?」の歌を愛国学園の先生が歌いながら保護者に子どもの名前を聞いて
回ったりエプロンシアターで「くいしんぼうのゴリラ」をしたりした。紙芝居は「お
おきくおおきくおおきくなあれ」を読んだ。これは、タイトルが話の中で呪文のよう
なセリフになっており子どもが参加しやすいものだった。
そして、主活動では、ベビーマッサージとおもちゃ作りが行われた。ベビーマッサ
ージは、手遊び歌の「やまごやいっけん」「ミックスジュース」「だいこんいっぽん」
が取り入れられ、
「ミックスジュース」は顔のマッサージで表情筋を鍛えることができ、
「だいこんいっぽん」はおむつ替えのときやお風呂上りに行うといいとされている。
このベビーマッサージは、15 分を目安に乳児に行うのが理想的だ。
おもちゃ作りでは、保護者が子育てなどで忙しい中でも自宅で簡単に作れて子ども
と楽しめるようなものが考慮されてキューピー人形の絵付けをした。これは、キュー
ピー人形に自由に色を付けたりリボンを巻いて作るというものだ。保護者がこの活動
をしているときに子どもが飽きないよう私達学生が子どもの相手をしていた。子育て
支援講座終了後、ウェルカムコンサートを担当していた先生の作った作品を見せて頂
いたが、どれも自分が思いつかなかったものばかりでとても新鮮で刺激を受けた。
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以下は先生が作った作品の写真である。
次に、2 回目は上智社会福祉専門学校で 12 月 12 日に行われた子育て支援講座に参
加した。これは、保育士養成校に通っている私達学生が主体となって行うもので最初
は保護者や子どもたちに楽しんでもらえるか不安が大きかったが、実際にやってみた
ら保護者も子どもも楽しんでいたようで自分たちも楽しむことが出来た。
内容は、ウェルカムコンサートでディズニーの手遊び・This Little Piggy・Eency
Weensy Spider を行い、きよしこのよる英語と日本語で歌い、ジングルベル・あわて
んぼうのサンタクロースは子どもに楽器を使って参加してもらい一緒に歌った。その
後紙芝居「Yummy Yummy」を学生が数人で役を分担し演じた。
紙芝居のあとだまし絵・くるくるペープサートの実演、クリスマスリースの紹介を
した。主活動では、紹介しただまし絵・くるくるペープサート・クリスマスリースを
作れるようそれぞれのコーナーを設置し、保護者と子どもが作りたいもののコーナー
へ移動し作っていた。このときに、学生がそれぞれのコーナーで作り方を説明したり
保護者と子どもと一緒に作りながら交流をしたりしていた。
この場で保護者と子どもと関わる中で自然と保護者と子どもとの関わり方を学ぶこ
とができ、普段はあまり体験できないような貴重な体験をすることが出来たと感じる。
以下は子育て支援が行われている様子の写真である。
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五十嵐淳子ゼミナール
愛国学園保育専門学校の子育て支援講座を見学して
白鷗大学教育学部 森山怜奈
見学日時:平成 27 年 11 月 28 日(土)
見学場所:愛国学園保育専門学校
◯ピアノ演奏
保護者と子どもが部屋に集まるまで、専門学校の先生がクラシックのような優雅な曲を
ピアノで弾いていた。部屋に集まった親子は、リラックスしている様子だった。演奏後に
1 歳ぐらいの女の子が、声をあげて喜んでいたのが印象に残っている。
◯クリスマス演奏
最初に、専門学校の学生 4 人が前に出て自己紹介をした。そして、そのまま学生 4 人で
ハンドベルの演奏をしていた。参加者には、ジングルベルの歌詞カードが配られ、一緒に
歌えるようにしていた。その時の声かけは、
「よかったら一緒に歌ってみて下さい」という
ような言い方で無理強いはせず、
柔らかく温かい雰囲気だった。次の星の王子様の演奏は、
学生 2 名がピアノとサックスで演奏していた。星の王子様は非常にゆったりとしている曲
で、その場にいた全員が穏やかな表情で聴いていた。ピアノ、サックス共にレベルが高く、
聴き入ってしまうぐらいの演奏であった。演奏中、周りの学生や先生方は柔らかな表情で
参加者を見守っていた。
◯ベビーマッサージ
最初に導入で『くっついた』の絵本を読んでいた。その絵本は、名前の通り色々なもの
がくっついていく内容で、アヒルとアヒル、ぞうとぞう、最後にはお父さんとお母さんと
子どもの頬がくっつくという絵本である。
その後、絵本と関連付けてくっついたの手遊びをしていた。くっついたの手遊びは、♪
このゆび このゆび ほっぺたがすき くっついちゃった くっついちゃった もうとれない
♪ と言いながら、お母さんやお父さんが子どものことを触るというものであった。ほっぺ
たの部分を、おでこやお腹に変えていて、スキンシップを図っていた。また、この手遊び
50
をすることで、先生の声に赤ちゃんが慣れてもらえるようにしていると先生はおっしゃっ
ていた。
絵本と手遊びで赤ちゃんがリラックスしたところで、ベビーマッサージを始めていた。
ベビーマッサージは、ぞうさんと大きなくりの木の歌に合わせて、赤ちゃんを仰向けにし
て行った。ベビーマッサージを始めるにあたって、先生は「マッサージを嫌がる場合は無
理やりやらなくていいです」と保護者の方にアドバイスしていた。まな、仰向けを嫌がる
場合は、無理をさせずに背中をマッサージしたり、足をマッサージしたりするように言っ
ていた。
ぞうさんの 1 番は、脇の下から手の先に向かってゆっくり撫でるようにマッサージし、
2 番は胸にハートを描くように優しく撫でてマッサージしていた。そして、ぞうさんの 2
番の♪あのね かあさんも すきなのよ♪ のところのかあさんを子どもの名前に変えてマ
ッサージするように言っていた。赤ちゃんは非常にリラックスしている様子で、保護者も
笑顔を浮かべて楽しそうにマッサージしていた。
大きなくりの木では、足の裏をすり合わることと足の裏をトントントンと優しく合わせ
ることを繰り返し行っていた。この時に、
「赤ちゃんの目をしっかり見て、気持ちを通じあ
わせることが大切ですよ」とアドバイスをしていた。マッサージが気持ち良くて、眠くな
ってきている赤ちゃんもいた。また、ベビーマッサージは 10~15 分がちょうど良いと言
っていた。先生はこまめに「上手ですよ」
「赤ちゃん、喜んでいますね」などと保護者を褒
めているのがとても良いと思った。
◯おもちゃ作り
おもちゃ作りでは、アンパンマンのでんでん太鼓を製作していた。子どもたちに人気が
あるアンパンマンの音が出るおもちゃということで、子どもは嬉しそうにワクワクして、
「アンパンマンだー!」
「やった!」などと喜びの声をあげていた。でんでん太鼓の土台と
なるトイレットペーパーの芯と菜箸は、あらかじめくっ付けて用意してあった。アンパン
マンの手のビーズの色を選ぶことやアンパンマンの顔を描くことなどの比較的安易にでき
ることは、子どもがやっていて、トイレットペーパーの芯の穴にめうちで紐を入れること
やそれを内側からセロテープで止めることなどを保護者がやっていた。
このように、
製作の中で難易度が異なっていたので、
親子で楽しめる製作になっていた。
製作中、
「にっこりのお顔、いいね」
「早く描きたいね」などと先生から声かけがあった。
また、兄弟と母親で来ていた家庭があり、弟が泣いてしまったときにお兄ちゃんが慰めて
いたのを見て、
「さすがお兄ちゃんだね」と褒めていた。
◯歌・エプロンシアター
歌は『大きなたいこ』という歌を歌った。その歌は、♪おおきなたいこ ドーンドーン ち
いさなたいこ トントントン♪ というように強弱が付けられた歌で、おもちゃ作りで作っ
たアンパンマンのでんでん太鼓を使って、参加者が楽しめるようになっていた。大きなた
いこの時は思いっきりでんでん太鼓をまわし、小さなたいこの時は静かにまわしていた。
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「ワー」
「そーれ!」などと、親子共に声をあげて楽しんでいた。
次に、
『大きなたいこ』の替え歌で、♪かわいいえがお ニッコニコ かわいいおはな か
わいい◯◯ちゃん だいすき◯◯ちゃん ギューギュー ギュッギュッギュッ♪ と親子でス
キンシップがとれるような歌にしていた。◯◯の部分は子どもの名前で、ギューギューギ
ュッギュッギュッの部分はハグをしていた。このように少しの工夫で、スキンシップがと
れる歌になるのは本当にすごいと思った。勉強になった。
エプロンシアターは『食いしんぼうのゴリラ』を先生が演じていた。このエプロンシア
ターは、
舞台がエプロンだけにとどまらず、
ゴリラの食べ物が様々な場所に隠されていた。
例えば、ピアノの下から音がすると思ったら鈴が入ったエンドウ豆が隠れていたり、バニ
ラエッセンスの甘い匂いがしてきてケーキが出てきたりと細かい演出が盛りだくさんだっ
た。子どもたちも保護者も私たち学生も目を輝かせて夢中になっていた。食べ物が出てく
るたびに歓声があがるほど盛り上がっていて、とても楽しい時間だった。
◯感想
私は初めて子育て支援講座に参加して、子育て支援の場の温かさに驚いた。少しはアッ
トホームな雰囲気なのだろうなと思っていたが、少しどころか愛国学園専門学校全体が開
けた場所になっていて本当に温かい場所だった。それは、専門学校の先生や学生の皆さん
が笑顔を絶やさず、保護者と子どもにしっかりと寄り添うという気持ちを持っているから
こそ、そのような環境を作り出せるのだと考えた。ここは安心していい場所なんだと保護
者と子どもに思ってもらえるように、支援者は配慮や工夫をする必要があると感じた。
また、愛国学園専門学校の子育て支援講座は、おもちゃや壁面構成、ぬいぐるみなどが
たくさんあり、保育園の保育室に環境が似ていると感じた。保育室のように雰囲気が明る
くて落ち着けるような環境だからこそ、保護者と子どもはリラックスして参加できている
のだと思った。つまり、子育て支援を実践するときは人的環境だけでなく、物的環境も整
えることが重要だと考えた。
愛国学園専門学校の子育て支援講座は、人的環境・物的環境共に整えられていて、心か
らホッと落ち着けるような温かい場所であった。私もこのような温かい子育て支援を行い
たいと心底思った。これからも様々な子育て支援に参加して、そこで勉強したことを自分
たちが子育て支援を行うときに活かしていきたい。
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五十嵐淳子ゼミナール
千代田学事業「地域と繋がる子育て支援プロジェクト
保育士養成の学生による取り組み~」に参加して
白鷗大学教育学部
1. 第 2 回
小池さくら
地域と繋がる子育て支援プロジェクト~保育士養成の学生による取り組
み~に参加して
○日時:平成 27 年 12 月 12 日(土)10:30~12:00
○場所:上智社会福祉専門学校
○参加資格:乳幼児の子どもと保護者
○参加費:無料
○.パンフレットに記載してあるこの活動の 3 つのコンセプト
・英語の紙芝居や手遊び
・子どもが喜ぶおもちゃ作り
・子育て不安や悩みを気軽にご相談
○タイムスケジュールと内容
10:30 上智社会福祉専門学校高山校長先生による挨拶
上智大学早下学長先生による挨拶
教員紹介及び千代田学メンバー紹介
(上智大学保育士科 3 年生 1 年生、埼玉学園大学生、白鴎大学
生)
白鴎大学生によるディズニーの手遊び
10:45 ウエルカムコンサート
・きよしこの夜…一番は英語で、二番は日本語で歌う
・ジングルベル…指に付けられる鈴を用意し、サビの所で鳴らす
・あわてんぼうのサンタクロース…太鼓、タンバリン、鈴を用意し、子ど
もに前に出てきてもらい、1~4 番の曲
に合わせて楽器を鳴らす
手遊び
「This little piggy」
「The weency eency spider」
→ホワイトボードに歌詞を貼っておく。
蜘蛛のパペットを使って曲に合わせて動かす。
紙芝居
『Yammy Yammy』
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→登場人物になりきって話す。
紙芝居に続いて皆で「Yammy Yammy」と繰り返す。
11:00 白鴎大学生によるペープサート、だまし絵の紹介・実演
クリスマスリースの紹介
主活動(好きな活動を自由に行う)
・クリスマスリース作り
・ペープサート作り
・だまし絵作り
・子育て相談(個別)
2.感想
今回、実際に子育て支援に参加して、保育士を目指す者として保護者とのかかわり
や保護者への支援が保育にとって欠かせないとても大切なものだと改めて実感しまし
た。現在の保育を取り巻く環境は、地域との繋がりが希薄化し、地域の人々との繋が
りはもちろん、保護者同士や保育者との繋がりも減少してきています。千代田区では、
地域とのかかわりをとても大切にしており、保護者が気軽に参加できる子育て支援に
なるように、様々な工夫をしていました。パンフレット作りや周囲の園への呼びかけ、
プログラム作りなど、子どもと保護者に楽しんでもらえるようにたくさんの時間と苦
労をかけて準備を行っていました。実際に子育て支援の現場を体験して人と人との温
かい繋がりを感じました。
子育て支援に参加すると、子どもと一緒に楽しみながら過ごせることはもちろん、
子育ての不安や悩みを相談できるだけでなく、保護者同士で交流して不安や悩みを分
かち合うことができ、保育園や幼稚園では持てないかかわりを持つことができるので
はないかと感じました。実際に子どもと保護者の前でペープサートやだまし絵を使っ
て実演をしたり、紙芝居を読んだり、歌を歌ったりして、私たち自身も参加してくだ
さった方々や学生との繋がりを感じることができました。
アンケートで保護者の意見を見ることができ、地域の人や学生とかかわることがで
きて楽しかった、リラックスできた、また参加したいなど良い意見をたくさんいただ
いていました。保護者にとっても、保育士資格所得を目指す学生にとっても学ぶこと
や、感じることがたくさんあり、とても良い子育て支援になったと感じました。また
機会があれば、次は私たちも準備やリハーサルに参加し、意見を出し合ったり交換し
あったりしながら、積極的に子育て支援を行い、実践力を身に着けていきたいと思い
ました。
54
五十嵐淳子ゼミナール
東京都千代田区における保育士の卵による子育て支援
白鷗大学教育学部 冨山愛美
私は、平成 27 年 12 月 12 日(土)に上智社会福祉専門学校で開催された「地域と繋が
る子育て支援プロジェクト~保育士養成校の学生による取り組み~」という子育て支援活
動に参加をした。今回のレポートは、東京都千代田区の保育士の卵による子育て支援事業
の目的や内容、子育て支援活動の体験談などを記載する。
〈活動目的〉
保育士の需要が高まる中で、より一層、質の高い保育士が求められている。保育士の役割
を大別すると、子どもを保育することと、保護者の支援が挙げられる。専門性を生かした
子育て支援の役割は非常に重要であり、保育士の保護者支援の役割の比重が高くなってい
る現状がある。しかし、保育士不足などの現状もあり、保護者支援プログラムを展開出来
ないことも課題である。そこで、保育士資格取得を目指している保育士養成校の学生が、
保護者に子育てが楽しいと感じられるような機会を提供することが必要となっていること
から、このような活動を行う。
〈活動内容〉
合唱やピアノ演奏などを取り入れ、季節感を感じるようなウェルカムコンサートを行い、
リラックス出来る時間を提供し、保護者のストレス緩和に繋げる。また、簡単に作ること
が出来る子どもが喜ぶおもちゃ作りや子育て相談も行う。
〈子育て支援活動の具体的内容〉
「地域とつながる子育て支援プロジェクト~保育士養成校の学生による取り組み~」
・実施日時 平成 27 年 12 月 12 日(土)10:30~12:00
・場所
上智社会福祉専門学校
・参加資格 乳幼児のお子さんと保護者の方
・参加費
無料
① ウェルカムコンサート
ウェルカムコンサートでは、ピアノの伴奏に合わせて「きよしこのよる」を合唱した。
日本語や英語で「きよしこのよる」を数回歌う度に、子どもたちや保護者もリラックス出
来た様子であった。その後、鈴やタンバリン、太鼓などを使い「ジングルベル」
「あわてん
ぼうのサンタクロース」を演奏した。支援者と参加者の距離が深まったように感じた。参
加者には歌詞カードなどを用意し、全員で歌を歌うことが出来るような工夫がされていた。
〈ウェルカムコンサートの様子〉
支援者は様々な色のエプロンを身に着け、温かい雰囲気を醸し出している。部屋の壁に
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は季節を取り入れた壁面装飾を行った。壁面のおかげで、部屋の雰囲気も明るくなった。
② 手遊び
ママのパパも一緒に手遊びを楽しみましょう!ということで、普段保育園などでは行わ
れない英語の手遊び「This little piggy」
「The eency weency spider」を行った。子どもた
ちや保護者にとって難しい手の動きなどは、支援者のお手本を見たり聞いたりしながら手
遊びを楽しむことが出来ていた。
この写真は、手遊び「This little piggy」を参加者の前で披露している姿である。保護者の
方や子どもたちが分かりやすいように手を高く挙げて大きな動作で行うことを心掛けた。
③紙芝居
今回の活動で行った紙芝居は、英語の紙芝居「Yummy Yummy」である。子どもたちの
好きな食べ物のお話で、次から次へとおいしい食べ物が出てくる。この紙芝居の最大の魅
力は音にある。全編を通じ同じ音の“Yummy Yummy”(おいしい おいしい)が繰り返
され、子どもは音の面白さに引き込まれ、すぐに言葉を覚えてしまう。すぐに日常で使い
たくなる英語の言葉を覚えられるとても楽しい紙芝居である。子どもたちは言葉をすぐに
覚えて楽しそうに言葉を繰り返す姿が見られた。今回は子どもたちと英語の紙芝居を楽し
みたいと思い、画用紙でオリジナルの紙芝居を作った。手作りの紙芝居によって、温かみ
のある時間になったのではないかと感じる。
④クリスマスリース作り
季節に合わせた製作活動ということで、身近な素材である新聞紙やモール、リボン、綿
などを使いクリスマスリースを作るコーナーを設けた。支援者が予め作ったリースを手本
に、保護者と子どもは思い思いのクリスマスリースを作ることができた。自宅の玄関に実
際に飾りたいという保護者の方もおり、熱中している姿もあった。その際支援者が、子ど
もたちのお世話をすることによって、保護者の方もリラックスしながらクリスマスリース
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作りを楽しめるということに気付いた。子どもたちも保護者の方と一緒になって製作を楽
しんでいた。
⑤ 子どもの喜ぶおもちゃ作り
今回は、簡単で短時間で完成するものを用意し、それぞれのコーナーを設けて製作を楽
しんだ。保護者や子どもたちは作りたいものを選び、参加してもらう。早く作り終わった
方には、次に作りたい製作に移動してもらい、支援者がその都度作り方を教える。保護者
が製作に集中したい場合は、子どもたちとは支援者が遊ぶようにする。
1)だまし絵
これは、
画用紙 2 枚で作ることが出来る、
一瞬にして絵が変わる不思議なおもちゃである。
クリスマスリースと同様に予め支援者が作製しておいただまし絵カードを手本に製作を進
めている姿があった。ここでは、はさみを使用するため、はさみを多く用意をすること、
子どもたちがはさみを使う際には注意を払うことを徹底した。だまし絵カード作りでは絵
を描くため、保護者と子どもが一緒になって楽しく取り組んでいる様子があった。また、
子どものために楽しいだまし絵を作ろうと保護者の方が様々な面白いだまし絵を作ってい
る姿も見られた。
2)くるくるペープサート
これは、ペープサートをくるくると回した時に絵が完成するように作るしかけペープサ
ートである。ペープサートの持ち手は、子どもがペープサートを回しやすいように、丸い
割り箸や菜箸を用意した。支援者が予め作っておいたペープサートを真似て製作を進めて
いる様子だった。くるくるペープサートの仕組みに興味を持ち、参加していたお父さんも
積極的に製作に取り組んでいた。
〈支援者が作ったくるくるペープサート〉
(表)
(裏)
ポイントはペープサートをくるくると回した時に絵が完成するようにすることである。
そのため、上記のようにペープサートの表(オラフの体)と裏(オラフの顔)の両方で絵
が完成するようにそれぞれに絵を描くことがコツになる。
57
子育て支援活動に参加しての感想
今回の子育て支援活動の実施は、私にとってとても貴重な体験となった。保育士養成校
の学生による取り組みということで、装飾等の準備や環境構成、スケジュール構成などか
ら経験することができ、子育て支援の具体的な知識を身に着けることができたのではない
かと感じる。ウェルカムコンサートや手遊び、紙芝居の時間では、親子の会話や参加者同
士の言葉のやり取りやスキンシップが生まれており、和やかな雰囲気が見られた。私が製
作活動に参加し、保護者の方や子どもたちが製作に取り組む場面のサポートをした際、保
護者の方も子どももとても楽しそうに取り組んでいる姿を見ることが出来た。
また、今回はお父さんの参加も多く、家族で楽しんでおられた。お母さん方とお話しを
していた中で最も印象的だった言葉がある。
「子どもはワークショップや物づくりにとても
興味があり、保育園での製作などにも楽しんで取り組むにも関わらず、自宅では材料をそ
ろえるのも大変だし、私(お母さん)自身の知識だけでは様々な製作は出来ない。身近な
地域の中にも製作活動ができる環境はないので、今回の子育て支援活動はとても貴重な機
会です。
」この言葉を聞いた時、子育てをする保護者の方やその子どもたちは子育て支援活
動を必要としているということに気付いた。保育者はその専門性を生かし、子育て支援を
行わなければならないと強く感じた。
今回は、保育士養成校の学生、保育士の卵による子育て支援だったが、実際に現場で働
く保育士だけでなく、私たち学生の立場でも子育てをする保護者の方や子どもたちの役に
立つことが出来るということが分かり、活動に参加して本当に良かったと感じた。活動終
了後、保護者の方にアンケートに答えていただいた。その結果を基に、子育てをする保護
者や子どものニーズに合わせた子育て支援活動を行っていきたいと考えている。
〈クリスマスリースを作っている様子〉
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五十嵐淳子ゼミナール
千代田学事業「地域と繋がる子育て支援プロジェクト
~保育士養成校の学生による取り組み~」参加報告書
白鷗大学教育学部 小林陽香里
Ⅰ、地域と繋がる子育て支援プロジェクトについて
千代田区の保育士養成校上智社会福祉専門学校に通う保育士の卵たちが、子育て支援を
企画運営し、千代田区の子育て家庭を支援していこうとするもの。
Ⅱ、上智社会福祉専門学校の特色の反映
上智社会福祉専門学校の保育士科には外国人の学生をはじめ、様々な年代とバックグラ
ウンドを持つ学生が多数在籍している。
→外国の方も参加しやすい雰囲気を子育て支援に反映することが出来る。
Ⅲ、地域特性の反映
千代田区は東京都心の中央部分に位置しており、地域のつながりを感じる機会が少ない
状況で子育てをしている家庭もある。
→子育てのことを気軽に相談でき、身構えずに参加できる子育て支援の場を提供すること
で地域のつながりを感じられる場所に。
上智社会福祉専門学校が地域貢献の一端を担うことができる。
Ⅳ、内容
前期 2 回、後期 2 回の計 4 回の子育て支援講座を行う。
・ウェルカムコンサート
合唱やピアノを取り入れ、季節感を感じられるようなコンサートを行い、リラックスで
きる時間を提供し、保護者のトレス緩和に繋げる。
・簡単にできる子どもが喜ぶおもちゃ作り
・子育て相談
第二回 地域と繋がる子育て支援プロジェクト
千代田区に在住している家庭は、教育熱心な保護者も多く、英語教育にも興味・関心を
持っている保護者もみられる。そのため第2回目の子育て支援では、親子で英語を楽しむ
ことができるように、英語の手遊びや紙芝居などの英語活動も取り入れることになった。
日時 平成27年12月12日土曜日 10時半~12時
場所 上智社会福祉専門学校 上智キャンパス内
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○タイムスケジュール
・10時30分から説明、教員紹介、学生紹介
白鴎大学の紹介では、全員でディズニーの手遊びを行った。
・10時45分からウェルカムコンサート
保護者、子どもたちと一緒に歌い、きよしこの夜(英語と日本語で)は全員が参加しやす
いようにした。ジングルベルは鈴やタンバリンなどを渡した。あわてんぼうのサンタクロ
ースは、リンリンリン(鈴)チャチャチャ(タンバリン)ドンドンドン(太鼓)、シャランラン
(面なしタンバリン)の四つのグループに分かれて楽器を鳴らしながら歌う。
・英語の手遊び (This little piggy と
The weency eency spider)
上智社会福祉専門学校の学生サミュエルさんを中心に行う。歌詞を書いた模造紙を用意
し、歌に合わせてペープサートや蜘蛛の人形を動かす。蜘蛛の手遊びを知っている保護者
もいて楽しそうに参加していた。
・英語の紙芝居 『Yammy Yammy』
サミュエルさんを中心に白鴎大学生が行う。学生が描いた手作り大型紙芝居を役になり
きって読む。学生が「Yammy Yammy」と言った後に、参加者も続いて「Yammy Yammy」と声
をそろえる。英語で読んだ後、サミュエルさんに、フランス語で「おいしい」
「まずい」を
教えてもらった。
・製作
親子で楽しむ製作として、だまし絵・くるくるペープサート・クリスマスリースを作った。
Ⅴ、まとめ
今回初めて子育て支援を経験し、
実際の親子を前に戸惑いもあったがとても有意義な時間
を過ごすことが出来た。来てくれた多くの保護者はアンケートに、普段子どもと一緒に工
作をしたり合奏をしたりする機会がないため、一緒にできて楽しかった、また来たいと記
入してくれていた。保護者に少しでも子育ての楽しさを感じてもらえたのではないかと実
感し充実感があった。 大学で子どもの発達や保育実践を学んでいても、実際の保護者と
のかかわりを学ぶ機会は少なく、経験してみないと分からないことも多いことを、今回の
子育て支援で痛感した。
しかし就職して保育士になると、今まで経験がなくても、すぐに当たり前のように保護
者支援をしていかなければならないため、学生のうちから子育て支援を通して、保護者と
のかかわりを学ぶ機会をもち、主体的に子育て支援に取り組むことはとても大切なことだ
と感じた。また、ただ学生の勉強になるだけではなく、保護者がかまえることなく気軽に
楽しく参加でき、地域や人とのつながりを感じることができることが、保育士養成校での
子育て支援の魅力であることを身を持って体験することができた。今後もこのプロジェク
トに積極的に参加していきたいと思う。
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五十嵐淳子ゼミナール
子育て支援報告書
白鷗大学教育学部 渕岡大起
愛国学園保育専門学校による子育て支援
1.オープニングセレモニー
オープニングセレモニーでは、手遊び「食いしん坊のゴリラ」を行いました。親子の緊
張をほぐすために、声色をいろいろ変えたり、楽器を使ったりと、工夫しながら手遊びを
していました。演技に幅があり、親子共々楽しそうに、手遊びに見入っている様子でした。
また手遊び中、子どもたちに「好きな食べ物はなに~?」などと声かけしたり、親御さん
には、子どもたちの調子など聞いたりと、どんどん親子とコミュニケーションをとって関
わっていく様子が印象的でした。
制作
今回は、学生たちが補助をしながら、親子で「アンパンマンの太鼓」と「クリスマスリ
ース」を制作しました。アンパンマンの太鼓は、愛国学園側であらかじめ用意してあった
アンパンマンの素材に、画用紙を貼り付けて、紐やビーズなどで装飾をしました。また、
クリスマスリースは、英字新聞をわっかにして基の骨組みを作り、テープやモール等で装
飾をしました。今回制作に使用したキャラクターが、誰もが知っているアンパンマンだっ
たので、親子ともに作りやすそうで、楽し見ながら作っていたようでした。また、装飾品
の種類もたくさん用意したので、おのおの工夫が凝らされた作品が出来ていて、とても満
足そうに見えました。
3.感想
親子一緒に参加のイベントでしたが、子どもだけでなく、親子一緒になって楽しんだり
喜んでいる様子が伺えたので嬉しかったです。まだまだ、子育て支援の場は少ないと考え
られるので、このような場をどんどん増やしていき、親と子ども一緒に関わっていくこと
で、親御さんたちの育児への不安を減らしたり、また、親同士の交流の場をつくることが
大切だと思いました。
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上智社会福祉専門学校による子育て支援
1.オープニングセレモニー
オープニングセレモニーでは、あわてん坊のサンタクロース、きよしこの夜、ジングル
ベルの、クリスマスソングを上智大学の方々が歌いました。
希望する子にはタンバリン、鈴、たいこ、トライアングルの簡単な楽器を渡し、歌詞に合
わせて鳴らしてもらいました。渡された楽器によって、おのおの鳴らすタイミングが異な
ってくるので、少し緊張しながらも、楽しそうに演奏しているように見えました。皆で合
奏することで、一体感が出て、より楽しさが増したように感じました。普段はそこまで楽
器に触れる機会はないと思うので、歌と一緒に楽器に触れることで、音楽の楽しさに、よ
り深く触れるきっかけになれていたらいいなと思います。
2.白鷗セレモニー
今回は紙芝居で「 yummy yummy 」、手遊びで「 the wency spider」
、
「this little
piggy 」と、それぞれ英語が使われているものを用意しました。どちらも食べ物や生き物
がメインとなっており、子どもたちには親しみやすくなっていたので、言葉は普段聞きな
れない英語でも集中して見てくれました。時折、親御さんに英単語を繰り返し聞いてみた
りする姿も見られました。
また子どもたちにとって初めて聞く単語もあったと思いますが、
今回使われていた英単語を、少しでも覚えていてくれたら嬉しいです。
3.製作
製作では、学生たちが補助しながら、クリスマスリースと、変わり絵を親子で作成して
もらいました。普段の工作やお絵かきとは少し違ってくるため、時より、子どもたちだけ
でなく、親御さんたちも、迷っている姿が見受けられました。難しい作業などは、学生や
親が手伝いながら、それぞれの親子が個性的な作品を作り上げていました。親子で一緒に
工作などを協力して作る機会は、案外ありそうでないことが多く、苦労しながら親子で協
力して完成させた作品を見ている姿が、親子ともにとても嬉しそうだったのがとても印象
的でした。
4.感想
子育て支援ということで、
今回は子どもだけでなく、親子一緒のイベントであったため、
実習などとはまた違っていて新鮮でした。なかなかこのようなイベントにかかわれる機会
も少ないと思うので、とてもためになりました。今回の経験が今後、何かしらで生かせた
ら良いなと思います。
62
千代田学事業
「地域とつながる子育て支援プロジェクト
~保育士養成校の学生による取組み~」から学んだこと
埼玉学園大学人間学部 牛垣耀
二つの大学の子育て支援活動に参加させていただいた結果、いままで自分の大学では学
ぶことのできなかった多くのことを学ぶことができました。上智社会福祉専門学校の活動
は、英語の歌、手遊びの発表、クリスマスの歌や工作に親子で参加していただくというも
のでした。学生が主体になって行う活動は初めてで、どのような活動を行うか想像がつき
ませんでしたが、手遊びの導入、季節に合わせた歌などを子どもたちが楽しそうに見てい
る姿をみて、保育士ではなくてもこのような形で子どもたちを笑顔にできる素晴らしい活
動なのだと感じました。また、参加している学生も楽しく、やりがいをもって参加してい
ることもわかりました。工作では、園ではやったことのない。との声も聞こえてくる場面
もありました。
今回、子ども主体で行うことが多い活動でしたが、親にもわかりやすい講座、先生方と
生徒が共同でできる個人的な子育て相談などを行い、解答を出すだけではなく、お互いに
学びの場とし考えあい、1つのコミュニケーションの場を設けることもできるのではない
だろうか。と活動に参加させていただいた中で感じたことです。そのためには、親が保育
士ではなく、学生、教授に求めることを明快にし、実行するためにはどのようにしたらよ
いか、ニーズにこたえるには自分たちはなにができるのかを話し合う必要があると感じま
した。愛国学園専門学校では、コンサート、ベビーマッサージ、工作活動を行い、少ない
人数ではありましたがいままで見たこと体験したことのない活動でした。工作を先生方か
ら教えていただき、より実践的、保育的な活動を行いました。自分が主体、企画する立場
になったらどのようなことをやろう、どのような親子のニーズに応えるのかを考えました。
また、休みの親を参加したい、行ってみたいと思わせる工夫、アイディアもあるのではな
いかと思いました。
白鴎大学教育学部 冨山愛美
今回の子育て支援活動の実施は、私にとってとても貴重な体験となった。保育士養成校
の学生による取り組みということで、装飾等の準備や環境構成、スケジュール構成などか
ら経験することができ、子育て支援の具体的な知識を身に着けることができたのではない
かと感じる。ウェルカムコンサートや手遊び、紙芝居の時間では、親子の会話や参加者同
士の言葉のやり取りやスキンシップが生まれており、和やかな雰囲気が見られた。私が製
作活動に参加し、保護者の方や子どもたちが製作に取り組む場面のサポートをした際、保
護者の方も子どももとても楽しそうに取り組んでいる姿を見ることが出来た。
また、今回はお父さんの参加も多く、家族で楽しんでおられた。お母さん方とお話しを
していた中で最も印象的だった言葉がある。
「子どもはワークショップや物づくりにとても
興味があり、保育園での製作などにも楽しんで取り組むにも関わらず、自宅では材料をそ
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ろえるのも大変だし、私(お母さん)自身の知識だけでは様々な製作は出来ない。身近な
地域の中にも製作活動ができる環境はないので、今回の子育て支援活動はとても貴重な機
会です。
」この言葉を聞いた時、子育てをする保護者の方やその子どもたちは子育て支援活
動を必要としているということに気付いた。保育者はその専門性を生かし、子育て支援を
行わなければならないと強く感じた。
今回は、保育士養成校の学生、保育士の卵による子育て支援だったが、実際に現場で働
く保育士だけでなく、私たち学生の立場でも子育てをする保護者の方や子どもたちの役に
立つことが出来るということが分かり、活動に参加して本当に良かったと感じた。活動終
了後、保護者の方にアンケートに答えていただいた。その結果を基に、子育てをする保護
者や子どものニーズに合わせた子育て支援活動を行っていきたいと考えている。
上智社会福祉専門学校保育士科 甲賀光紀
千代田学子育て支援をやるにあたって、生徒が集まり内容を決め、準備をする楽しさや
授業だけでは学べない事を先輩や仲間に教えられとても良い経験が出来たと感じています。
そして、子育て支援に来てくださった、親と子どもの楽しそうな笑顔を見たりする事で嬉
しい気持ちになりました。そして、千代田区役所に、子育て支援中間報告として発表する
機会を頂きとても良い経験になりました。ありがとうございます。これからも子育て支援
に関わり、保護者や子どもに対する支援の仕方を学び、親子が楽しい時間が過ごせる事を
大切にして、これからも関わっていきたいです。
上智社会福祉専門学校保育士科 下野隆征
宮代町子育てパパ大学を見学した。テーマは父親と子どもがマドレーヌを作り、母親へ
日ごろの感謝をこめてプレゼントするというものであった。当日、4 組の親子が参加した。
子どもはすべて女子だった。講師は「いとおかし」というサークルで、共栄大学の学生 4
名であった。学生達は講師、親子のサポート、材料の準備、提供などを役割分担していた。
そのほか宮代町の職員 3 名が写真を撮ったり全体のサポートをしたりしていた。
親子でマドレーヌを作ったあと焼き上がりまでの時間を利用して父と子どもに別れ、父
親は別室にて日ごろの育児の感想や地域の小学校などを語り合った。事前に司会・進行役
に指名されていた父親は地元小学校の PTA の役員をしている方で、話が上手かったので初
対面だったがリラックスして話がすすんだ。30 分ほど話したあと再度調理室で子どもと合
流しマドレーヌを袋詰めした。そこに母親へのメッセージと宮代町の職員が撮った親子の
写真をつけて仕上がりとなった。
父親向けの子育て支援まだ 2 回目ということもあり、母親向けの講座に比べたら参加者
が少ないように感じた。告知はホームページなどでしているので、参加者が少ないのは父
親の意識の問題だろうか。地元大学生に講師を依頼し、父親との語りの場で事前に司会を
指名するなど地域交流の密接さがうかがえた。
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上智社会福祉専門学校保育士科 中島淳
千代田学に参加する機会が与えられ、学生生活だけでは得られない多くの気づきと学び
と課題を知ることができた。最終学年でありながらこのような経験は、現場に出る前の貴
重な体験であった。また、私が千代田学に参加できたのも、1 年生の継続的な活動があっ
てこそ可能であったので、初めての試験や実習がある中での活動に心からの感謝をこの場
を借りて伝えたい。当日、参加者に楽しんでもらえるのかと想像しながら準備するのは、
楽しくもありまた苦しくもあり、終えてみるともっとできたのではないかという思いもあ
った。1 回限りのものではないので、次回その反省が生かせるのも千代田学の良いところ
だろう。構成を皆で考えるときに、私たち 3 年生が提案をしたが、それらの提案を 1 年生
が興味を持ってくれた。授業や実習などで学んだことの提案だったが、それらが 1 年生に
とって新鮮で、興味深いものであることを知り、学生生活で後輩に私自身が学んだことを
伝えることができる体験もこの千代田学がなかったらできないことだった。卒業してしま
うがこの千代田学は続くので、現場で得た知識を紹介したり、参加したり普段学べないこ
とを学び体験する機会となるのはとても楽しみだ。
上智社会福祉専門学校保育士科 田村まりあ 中澤文香
保育士を目指す学生として、どうしても学校では、子どもを中心とした学びが多い中、
「子育て支援」というテーマで、保護者方向けの活動が就職前に経験できたことは、大変
貴重だと感じた。実際千代田学に参加してくださった保護者に目を向けて見ると、子ども
と同じように、
色々な保護者の方がいることを感じた。子どもと一緒に過ごして楽しむ方、
子どもと距離を置いて見守る方、中には少し控え目で黙々と工作を行う方もいた。そのよ
うな方々を見ていて、保育者として、どのような声かけをしていけばいいか、考えさせら
れた。天気や、作っている物の話、子どもと話しながら保護者の方とも会話をするなど、
他愛もない話の中で少しでもリラックスしたり、楽しんだりする時間になっていただける
ことが、子育て支援の意味の1つなのだろうと実感することができた。
普段の授業や実習と違い、自分達で企画、運営して考えていくことに、楽しさがある反
面、準備段階で計画的に進めていくことの大切さも感じた。夜間の学生で昼間は仕事をし
ている人が多く、集まる時間も中々取れない中、1 年生を中心に今回は実施することがで
きた。しかし、これを継続していくには、必要な人数、係分担、計画的な準備等体制を整
えていくことが必要だと考える。学生の間にこのような機会はとても必要だ。やらされて
るのではなく、学生が主体となって進めていくことに社専の良さが出てくると思う。
学校で千代田学の存在が大きくなり、当たり前に行う活動として続けていけるよう、振
り返り、
次への改善策等考える時間も必要だと考える。年間計画は今年の動きを叩き台に、
いつから準備するか等おおまかに流れを決める。係分担はリーダー、会計、企画代表等、
全体の係を分け、子育て支援 1 回毎の係(コンサート係、工作係等)は、その都度別で決め
ていく。関わっている人全員が情報の共有ができるようにし、話し合いでの進捗状況の報
告、LINE等でのやりとり等する。毎回の振り返りの実施し、保護者からのアンケート
等フィードバックを皆で共有することで、次へのモチベーションにも繋がると思う。
65
上智社会福祉専門学校保育士科 山口稜弘
子育て支援事業は私を成長させてくれた。友人も私が一年間の中で、良い方向に変わっ
たと言ってくれた。もちろん上智社会福祉専門学校での学びや日常生活で成長もあるとい
えるが、最も私が変われるきっかけになったのはこの千代田学事業の子育て支援事業では
ないかと考えている。千代田区に子育て支援を申し出る以前から、保育士科の希望者で話
し合いを重ねていた。千代田区役所の方々に許可をいただき、子育て支援を実現し、2回
やらせていただき、中間発表をやらせていただくという、非常に良い機会をたくさんいた
だいた。
その中で、保育士科の友人や先輩、先生と協力し、世の中の保護者の支えに少しでもな
りたい、子どもを楽しませたい、よりよい保育者に成長したい、させたいという同じ目標
に向かっていくことは、彼らから多くを学び、自分からも学ぶことができた。保育士科の
方々には自己主張、受容的態度、親子の関係を深める方法、親からの視点、子どもからの
視点など、人との関わり合い、話し合いにおいて重要なこと、保育に対しての姿勢を学ぶ
ことができた。そしてより保育が好きになり、積極的に行動することを身につけられた。
子育て支援当日での親子の方々と交流では、子育てでの問題を知ることや、親子の時間の
大切さを知ることができた。
この子育て支援事業は、授業の延長線上にあり、授業の座学で学んだことを実感する機
会もあった。直接話させていただくことのできなかった親御さんの意見もアンケートから
確認でき、次の子育て支援はもっと、親子での愛情を深めてもらえるような、楽しんでい
ただける支援をしようというやる気につながった。そして人のために実施内容を考えるこ
とは、私に幸せと喜びを与えてくれた。またより良い保育士になりたいという向上心につ
ながった。
千代田区役所でさせていただいた中間報告は、保育士科の方々との話し合いを重ね、千
代田区役所の方々に私たちが子育てをする親子の力になりたいという気持ちと、学生とし
て成長する機会を与えてくださった事の感謝を伝えることのできた中間報告ができたので
はないかと思った。親子の絆を深める活動を行ってほしいというご意見をいただき、子育
て支援、保育の目的を再確認することができた。また、初対面の大勢の前で自分たちが自
信を持ってやってきたことを発表することは、人前での発表が苦手な私にとって大きな刺
激になり、人前で自分の考えを述べることに自信がついた。
この子育て支援事業で私自身が最も成長できた部分は、自己主張と責任感だ。今までの
私は責任をさけ、自己を表現することを抑えていた。しかし、よりよい支援にしようと話
し合いを重ねる中で、人の意見を受容しながらも自分の意見をしっかり話すということが
できるようになった。これは保育士になるうえでも非常に重要なことである。
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おわりに
今回、上智社会福祉専門学校の学生を主体として千代田学事業子育て支援プロジェクト
に参加させていただき感じたことを一言述べたいと思います。
地域での人間関係が希薄化し、子育ての閉寒化が呼ばれて久しい中、子育て支援の社会
的意味を考えながら「千代田区」という地域に合った支援の社会的意味を考えながら「千
代田区」という地域に合った支援のあり方を模索し、学生自らが現代の親や子ども達の可
能性や笑顔を広げ、地域社会に溶け込むためのプロジェクトを計画、実践して行こうと主
体的に活動している姿はとても頼もしく心強く感じました。
様々な親子とリアルに触れ合う経験を積む機会は保護者へと成長していくための重要な
ステップであると同時に養成校ならではのこれからの時代に合った支援を提供してくこと
ができることを確信した次第です。今後の学生の皆さんが質の高い保育者になられ活躍さ
れることを心から応援しております。
愛国学園保育専門学校副校長
船田鈴子
幼稚園勤務経験者という立場から学生の皆さんと数回の授業を共にさせていただき、皆
さんがいつも明るく積極的に意見を述べて、授業に取り組む姿を通して私自身とても刺激
になり、かつ頼もしいと感じました。皆さんの前向きで何事にも真摯に取り組む姿勢が、
きっと今後様々な事にプラスに働くと思います。このまま自信を持って前進して下さい。
日本ウェルネススポーツ専門学校教員
小林恵
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謝辞
本プロジェクトである子育て支援の開催につきましては、東京都千代田区と上智社会福
祉専門学校の連携により実施することができました。上智学院理事長髙祖敏明先生はじめ
上智社会福祉専門学校事務センター、上智大学研究推進センター、千代田区の職員の皆様
のご協力をいただきましたことに深く感謝しております。
子育て支援開催の際には、大変お忙しい中で上智大学長早下隆士先生、上智社会福祉専
門学校長髙山貞美先生にご覧いただきましてご挨拶を賜りましたことに厚く御礼申し上げ
ます。また、本研究に関しましては、上智大学生命倫理研究所の有江文栄先生にご助言を
いただき、子育て支援のフィールドワーク研究や準備につきましては、愛国学園保育専門
学校副校長船田鈴子先生、日本ウェルネススポーツ専門学校小林恵先生、埼玉県宮代町森
山洋子先生をはじめ職員の皆様方に多くのご指導やご助言を賜りましたことに重ねて感謝
申し上げます。
千代田学事業として採択されてから、約 6 カ月という短い間での活動でありましたが、
地域子育て支援という新しい役割を担うことができる質の高い保育士の育成を目指し、保
育士養成課程の学生が主体となり子育て支援の企画立案と実施に励んでまいりました。本
報告書からは学生の成長した姿が見られるのではないかと思っております。
本校保育士科の平成 27 年度千代田学事業「地域とつながる子育て支援プロジェクト~
保育士養成校の学生による取組み~」に携わっていただいた全ての皆様方に多くのご支援
とご協力をいただきましたことを心から感謝申し上げます。
平成 28 年 3 月 31 日
上智社会福祉専門学校保育士科教員
江藤久良良 樋口成樹 五十嵐淳子
本校に子育て支援を行う機会を提供してくださった千代田区役所及び関係者の方々、フ
ィールドワーク調査に協力してくださった埼玉県宮代町の森山洋子先生はじめ役場の方々、
フィールドワーク調査や子育て支援に関する御指導をしてくださった愛国学園保育専門学
校の船田鈴子先生及び学校関係者の方々、教室の装飾等の御指導をしてくださった日本ウ
ェルネススポーツ専門学校の小林恵先生、本校にて子育て支援を開催するために尽力して
下さいました上智学院理事長髙祖敏明先生、上智大学学早下隆士先生、上智社会福祉専門
学校長髙山貞美先生、本校 SJ ハウスの中庭を使用させて下さった神父様の方々、この活
動を行うのにあたり事務的にサポートしてくださった上智社会福祉専門学校事務センター
の方々、音楽系の内容の御指導等してくださった江藤久良良先生とパワーポイントや発表
の御指導をしてくださった樋口成樹先生、最後に千代田学事業実施にあたり子育て支援に
関する内容や構成を御指導してくださった五十嵐淳子先生に謝意を表します。
平成 28 年 3 月 31 日
上智社会福祉専門学校保育士科学生一同
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「千代田学」事業
平成 27 年度「千代田学」採択
地域とつながる子育て支援プロジェクト~保育士養成校の学生による取組み~
参加者一覧
上智大学長 早下隆士先生
上智社会福祉専門学校長 髙山貞美先生
指導教員
○上智社会福祉専門学校保育士科
・江藤久良良、樋口成樹、五十嵐淳子
○愛国学園保育専門学校副校長
・船田鈴子
○日本ウェルネススポーツ専門学校
・小林恵
学生参加メンバー
○上智社会福祉専門学校 保育士科
3年生
・田村まりあ、土屋淳、中澤文香、佐藤俊太郎、中島淳、赤沼竜太、長谷川佳世
2年生
・沢田奈緒、龍山英王、土方美穂
1年生
・岡村泰敬、吉本康子、下野隆征、山口稜弘、甲賀光希、CLERBOUT SAMUEL
美輪祐穂
○白鴎大学
4年生
・馬越菜美、加藤綾、斎藤真実子、相羽沙千江
3年生
・池田菜摘、小池さくら、小林陽香里、高橋祐莉、田中宏佳、富山愛実、藤田玲那、
淵岡大起、森山怜奈
1年生
・木本夏美、小川夕貴、若松瑞穂、菅沼実穂
○埼玉学園大学
2年生 牛垣燿
○日本ウェルネススポーツ専門学校
3年生 稲葉凪沙
69
「千代田学」事業
平成 27 年度「千代田学」採択
地域とつながる子育て支援プロジェクト~保育士養成校の学生による取組み~
執筆者一覧
編著者
五十嵐 淳子(上智社会福祉専門学校 保育士科教員)
・教員
江藤 久良良(上智社会福祉専門学校 保育士科教員)
樋口 成樹(上智社会福祉専門学校 保育士科教員)
船田 鈴子(愛国学園保育専門学校副校長)
小林 恵(日本ウェルネススポーツ専門学校教員)
・学生
岡村 泰敬(上智社会福祉専門学校)
クレルブ・サミュエル(上智社会福祉専門学校)
甲賀 光紀(上智社会福祉専門学校)
下野 隆征(上智社会福祉専門学校)
中島 淳(上智社会福祉専門学校)
中澤 文香(上智社会福祉専門学校)
田村 まりあ(上智社会福祉専門学校)
山口 稜弘(上智社会福祉専門学校)
吉本 康子(上智社会福祉専門学校)
小池 さくら(白鴎大学)
小林 陽香里(白鴎大学)
高橋 佑莉(白鴎大学)
田中 広佳(白鴎大学)
富山 愛美(白鴎大学)
藤田 玲那(白鴎大学)
淵岡 大起(白鴎大学)
森山 玲奈(白鴎大学)
牛垣 曜(埼玉学園大学)
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