校長室より - 稲沢市の小中学校へ

「日脚伸ぶ(ひあしのぶ)」
~近づく春の足音~
H29.2.1(水)
寒さが一段と身に染みる冬のピークを迎えていますが、暦の上では「大寒の終末」
です。この冬は「平年より暖かい」と言われていたのに、日本列島は先週まで、この
冬一番の寒気に覆われ、北海道では-30℃以下を記録しました。また、日本海側を
中心に各地で大雪となり、交通網が大打撃を受けたり、集落が孤立したりしました。
歳 時 記 を 見 る と 、「 雪 見 」「 雪 掻 ( ゆ き か き )」「 雪 卸 ( ゆ き お ろ し )」 な ど 雪 に 関 す る
季語が多いようですが、雪国の人々の苦労とともに美しい雪景色も目に浮かびます。
中でも、雪とは「水蒸気を多量に含んだ空気が上昇し、上空で冷却され、昇華し、結
晶 と な り 、雪 と な っ て 降 っ て く る 。雪 の 結 晶 は 六 角 形 に 凍 る の で『 六 花( む つ の は な )』
とも言う」とあり、日本語の美しい表現に魅力を感じます。
さて、2月1日の日没時刻は17時21分です。冬至の頃に比べ、50分程度夕刻
の 「 日 脚 ( ひ あ し )」 が 伸 び て き ま し た 。 始 業 式 以 来 、 イ ン フ ル エ ン ザ の 流 行 に 気 遣
いながらも、持久走大会が無事実施できたことを喜んでいる内に、1月はあっと言う
間 に 過 ぎ て い っ て し ま い ま し た 。し か し 、そ の 間 に 日 暮 れ は 少 し ず つ 遅 く な っ て お り 、
ふと忙しさから我に返った時、日が長くなってきたことに気づかされます。部屋の奥
まで射し込んでいた陽射しが、太陽の高度が高くなるに連れ段々後退して行く様子を
昔の人は「一日に畳の目一つずつ日が伸びる」と言いました。つまり、春の始めは、
ま ず 陽 光 に よ っ て 知 ら さ れ る と い う こ と で し ょ う 。 間 も な く 立 春 、「 伸 び た 日 脚 」 に
春の予兆を感じます。
「日脚伸ぶ
夕空紺を
とりもどし」
皆吉 爽雨(みなよし そうう)作
この句は、夕空の色が徐々に明るくなり「紺」を取り戻
していく様子を詠んでいます。夕刻、西の空を仰ぐと、久
し ぶ り の 紺 色 に「 宵 の 明 星
金 星 」が 燦 然 と 輝 い て い ま す 。
まさに「春近し」が色彩としても鮮やかに感じられます。
一方、スポーツ界においてはプロ野球がキャンプイン、
併せて選抜高校野球の出場校も決まり、いよいよ「球春」
です。学校では、子どもたちが寒さの中でも元気に走り回
っています。
「校庭に
ボール呼ぶ声
日脚伸ぶ」
【 宵の明星 金星:中央上部 】
平 成 2 9 年 「 丁 酉 ( ひ の と と り )」 の ス タ ー ト
~「早起き鳥」をめざして~
H29.1.6(金)
2 0 1 7 年 の 干 支 は 「 丁 酉 ( ひ の と と り )」 で す 。 そ も そ も 干 支 と は 、 古 代 中 国 で 年
や 日 な ど を 表 す た め に 使 わ れ て い た 「 干 支 ( か ん し )」 に 由 来 し 、 日 本 で は 「 干 支 ( え
と )」 と し て 十 二 支 の 動 物 を 指 し ま す 。 そ し て 、 子 、 丑 、 寅 、 卯 … と 続 く 動 物 の 順 番
には諸説あり、具合が悪くなったお釈迦様を見舞いに行った順だという寓話が有名で
すが、お釈迦様が新年にあいさつに来た順から12匹(頭)に、一年ずつその年を守
ってもらうとした説もあります。
ま た 、「 犬 猿 の 仲 」 と い う こ と わ ざ に あ る よ う に 、 サ ル と イ ヌ の け ん か の 仲 裁 に 入
っ た の が ト リ だ っ た の で 、猿 、酉 、犬 の 順 番 に な っ た と も 言 わ れ て い ま す 。
そして、
この「酉」はスズメやハト、カラスではなくニワトリです。なぜなら「時告げ鳥」で
あるニワトリは、太陽が昇ると鳴くことから太陽の神を呼ぶ力があると信じられ、神
聖なものとして存在していたのです。
さ て 、「 酉 」 と い う 漢 字 の 由 来 に つ い て 調 べ て み る と 、「 酉 」 は 象 形 文 字 で 、 収 穫
した果実などを醗酵させて酒を造る器、つまり「酒つぼ」を意味しています。古代よ
り 収 獲 の 喜 び や 実 り の 感 謝 を 神 に 捧 げ る た め に 酒 を 醸 し て い た こ と か ら 、「 酉 」 は 神
聖なものとされていました。
で は 、な ぜ 酒 つ ぼ を 意 味 す る「 酉 」が 、ニ ワ ト リ の「 と り 」と な っ た の で し ょ う か 。
こ れ は 、 酒 を 飲 む 時 間 が 「 酉 の 刻 ( と り の こ く )」( 現 在 の 1 8 時 前 後 ) だ っ た り 、 庶 民 に
も 分 か り や す い よ う に 、身 近 な 動 物 の 名 前 を 無 理 や り 当 て は め た と い う 説 が あ り ま す 。
毎 年 1 1 月 に 行 わ れ て い る お 祭 り に 「 酉 の 市 ( と り の い ち )」 が あ り 、 商 売 の 神 様 を
祀るものとされています。浅草鷲神社(東京都)を始め、全国の鷲神社では縁起熊手
を 買 い 求 め て 商 売 繁 盛 を 願 う 人 た ち が 集 ま り ま す 。 ま た 、 漢 字 だ け で な く 、「 と り は
とりこむ」と言われ、お客さんを一人でも多
く取り込みたい商人などにとっては、酉年は
縁起のいい年だとされてきました。
一 方 、「 早 起 き 鳥 は 、 餌 ( エ サ ) に あ り つ け
る 」 と い う こ と わ ざ が あ り ま す 。「 早 期 の 活 動
開始こそが秋の豊かな収穫をもたらす」とい
う意味です。まさに、三学期は「一年のまと
め の 学 期 」 で も あ り 、「 四 月 か ら の 新 学 年 へ の
準備期間」でもあります。短い三学期だから
こそ、中身の濃い時間にしたいものです。
【 新学期
友達を見つけて走り出す姿 】
「『 つ む じ 風 』 に 飛 ば さ れ な い よ う に ! 」
H28.12.1(木)
西尾張中央道や南大通り線等、市内の至る所で見られた美しい紅葉のトウカエデが
「つむじ風」に葉を落とし、本格的な冬仕様になりました。
い よ い よ 「 師 走 」。 澄 ん だ 冷 た い 空 気 に 心 地 よ さ を 感 じ な が ら も 、 何 か と 気 ぜ わ し
い季節です。振り返ってみると、平成28年も残りわずかとなりましたが、4月に発
生した熊本地震や9月に列島各地を襲った台風など、自然災害への不安が大きく高ま
った年でもありました。
一方、リオデジャネイロで開催されたオリンピック・パラリンピックにおける日本
をはじめとする各国代表選手たちの雄姿に励まされた年でもありました。学校でも、
これらの様々な出来事を話材源として取り上げ、時に教訓として、時に夢と希望を得
ながら教育活動を展開してきました。しかし、教育界においては、学習指導要領改訂
という一つの大きな転換期を迎えています。2017年だけを見るのではなく、長い
その先を見据えて展開していく必要性を強く感じています。
さ て 、「 つ む じ 風 」 と は 「 旋 風 」・「 辻 風 」 と も 言 わ れ 、「 一 過 性 の 流 行 や 突 発 的 な
社会現象」を指す時にも使われます。例えば、○○旋風、○○現象、○○ブーム、○
○フィーバーというような表現で、文化・スポーツのジャンルにとどまらず、世界的
には各国の政治的指導者の名前まで使われています。
そんな中にあって印象に残ったのは、プロ野球セ・リーグで広島カープが25年ぶ
り の 優 勝 を 飾 っ た こ と で す 。か つ て 、
「 赤 ヘ ル 旋 風 」と 呼 ば れ た 時 期 も あ り ま し た が 、
久 し く 優 勝 か ら 遠 ざ か っ て い ま し た 。そ ん な 広 島 カ ー プ で す が 、選 手 の 育 成 方 法 は「 原
石を見いだしては磨き上げ、立派な宝石にする」とよく言われます。まだ素質が開花
していない選手を適切な指導で鍛え、一軍で活躍できるように育て上げるものです。
特 に 、「 大 き な 目 、 大 き な 耳 、 小 さ な 口 」 を 選 手 の 指 導 の 基 本 に 据 え て い る と い う
コ ー チ の 言 葉 が 耳 に 残 っ て い ま す 。「 し っ か り
選手を見て、しっかり選手の話を聞くが、必
要以上には口を出さない」ということです。
つまり、相手をしっかり観察した上で、アド
バイスの時機を選ぶ「待つこと」こそが肝要
だと言っているのでしょう。学校も「一過性
のつむじ風」に吹き飛ばされないように、心
掛けていきたいものです。
【
パンジーの植え替え
】
「 ハ ロ ウ ィ ン ( 英 語 週 間 )」
H28.11.1(火)
校庭のプラタナスの葉が黄色く色づき、落ち葉が舞い散る季節となりました。そん
な中、昨日10月31日は「ハロウィン」でした。渋谷の喧騒に象徴されるように全
国各地でイベントが催されたようです。
本校においては、今年初めて取り組むことにし
た 「 英 語 週 間 ( 10/24 ~ 31)」 に お い て 、 英 語 部 会
の先生方やALT、そして保護者の英語ボランテ
ィアさんたちのお手伝いによって楽しい活動が展
開されました。イングリッシュソング、英語絵本
の読み聞かせ、ハロウィン塗り絵、カルタ、ジャ
ック・オー・ランタン作りなど、子どもたちにと
【 ジャック・オ・ランタン作りを楽しむ子どもたち 】
っては楽しい活動が満載でした。
さ て 、 こ の 「 ハ ロ ウ ィ ン 」 で す が 、「 自 分 の 若 い 頃 は 、 聞 い た こ と が な か っ た 」 と
い う 世 代 と の 会 話 の 中 で 、「 ハ ロ ウ ィ ン 」 が 「 バ レ ン タ イ ン デ ー 」 と と も に 急 速 に 広
まったのは、お菓子メーカーの戦略に乗せられたという向きもあります。一方、以前
から密かなブームであったコスプレがこれで表舞台に浮上し、変身グッズ市場が一気
に拡大したという見方もあるようです。なるほど商業ベースに乗せられた感は否めま
せんが、新しいことや楽しいことへの適応となれば、若者や子どもたちの最も得意と
するところでしょう。
世の中がグローバル化していく中で、学校教育におけるコミュニケーション能力の
育成や異文化交流等の重要性が声高に唱えられ、いよいよ小学校英語の導入が目前に
迫って参りました。しかし、何と言っても「楽しさ」こそが、子どもたちを積極的に
動かす原動力となります。
本日、11月1日は子どもたちが準備を重ね、とても楽しみにしている「稲東まつ
り」を行います。自分たちが中心となって、相手に楽しんでもらう側の楽しみも味わ
っ て も ら い た い も の で す 。 ま た 、 5 日 ( 土 ) に は 、「 CBC 子 ど も 音 楽 コ ン ク ー ル 中 部
日本決勝大会」に合唱部が出場します。上位大会でしか味わえない緊張感の中で、実
力を遺憾なく発揮してほしいものです。そして、17日(木)には「観劇会」が予定
されています。
「 文 化 の 日 」 や 「 勤 労 感 謝 の 日 」 の 意 義 も 確 認 し な が ら 、「 文 化 の 秋 」 を 充 実 さ せ
ていきたいと思います。
「彩り鮮やかな秋」を求めて
H28.10.1(土)
「台風のエサは、暖かく湿った海水」と言われますが、今年はお盆過ぎから立て続
けに台風が発生し、各地に大きな被害を引き起こしました。これは海水温の上昇が原
因で、太平洋高気圧の位置と偏西風の関係から進路が迷走し、秋雨前線に向かって台
風が進むと大雨が続いてしまいます。
そんな雨模様の続く「ススキ梅雨」の合間に、無事運動会を終えることができまし
た。午後の部で、高学年の騎馬戦がいよいよ大将戦に入ろうとした時、突然の降雨に
見 舞 わ れ ま し た が 、「 や ~ め ! や ~ め ! 」 と い う 子 ど も た ち の 精 一 杯 の 声 の お 陰 で 雨
が上がり、予定通り進めることができました。グリーンサンドの運動場と熱中症対策
のテントに感謝したいと思います。
さて、花や木が秋の気配を感じ取るのは、外気温の変化よりも昼間の時間が短くな
るためと言われていますが、人間が秋を感じるのは、風の音や花の香り、木の葉や果
物の色、空の高さや雲の形など様々です。子どもたちには、ぜひ五感をフルに働かせ
て、季節の変化を体感してほしいものです。
雪 に 囲 ま れ て 生 き て き た 人 は 、「 雪 の よ う に 白 い 」 と 言 い ま す が 、 海 の 波 を イ メ ー
ジ し た 人 は 、「 波 の よ う に 白 い 」 と 言 う か も 知 れ ま せ ん 。 心 で 感 じ る も の を ど う 表 現
するかは、それまでどんな環境でどう過ごしてきたかで大きく違ってくるものだそう
です。
少し時季が遅れましたが、新美南吉の「ごんぎつね」
を 学 習 す る 4 年 生 が 運 動 場 南 の 法 面 ( の り め ん )で 真 っ 赤 に
咲 い て い る「 曼 珠 沙 華 (彼 岸 花 )」の 観 察 を し て い ま し た 。
きっと情緒豊かな読み取りにつながってくれることでし
ょう。
いよいよ10月、新しい児童会のメンバーや学級役員が中心となって後期のスター
トを切ります。運動会に続き、1~5年生の遠足や6年生の修学旅行が予定されてい
ます。天高く、何をやるにもいい上に、美味しい物がたくさん出回る季節でもありま
す 。 子 ど も た ち 一 人 一 人 が 自 分 の 色 や 持 ち 味 を 十 分 発 揮 し 、「 実 り 多 き 、 彩 り 鮮 や か
な秋」にしていきたいと思います。
2学期始業式
「チームジャパンに学ぶ」
~実り多き2学期に~
H28.9.1(木)
厳しい暑さの中、青々と育った田んぼの稲に近づいて
みると、つぼみが開いて中から出ているのは小さな白い
「稲の花」です。別名「富草の花」とも言い、花穂に綿
毛 の よ う な 花 を 付 け ま す 。 調 べ て み る と 、「 開 花 は 通 常
10~12時、終わった花が田の水面に浮遊するのは風
情があり、農耕民族にとって、稲の花は米の出来高と直
結することであり、祈りをもってみつめる花である」と
5年生がキャンプで集めたエビフライ
(リ ス が 食 べ た 松 ぼ っ く り )
ありました。
「稲の花
大の男の
隠れけり」
一茶
なるほど、毎日変化する自然は、その時その時の一番美しい姿を見せてくれます。
「稲の花」が咲き、やがて稲がしっかりと結実すると田の水を抜き、干された土で実
りを育て始めます。頼りなかった早苗の頃から見守ってきた農家の人々にとって、こ
れから台風等で倒れないよう、刈り入れの時まであと少し頑張ってと心から願ってい
るに違いありません。
さて、この夏、リオデジャネイロオリンピックは私たちにたくさんの感動を残して
くれました。中でも、体操男子団体総合での金メダルは、特に印象的でした。5人の
選手の持ち味を最大限に生かしたチーム編成で、日頃はライバルであろう選手たちが
演技の合間に声を掛け合い、笑顔で迎えたりする様子が他国のチームに比べて、抜き
ん出て輝いていました。一人一人の高い技術力はもちろんのこと、チームとして一緒
に戦う気持ちが、仲間を励まし、一体感を生んだと選手たちが口々に言うところにそ
の源があるのでしょう。
教育の世界においても、学校に「チーム力」が強く求められています。教職員の異
な る 立 場 と 専 門 性 を 生 か し 、学 校 全 体 の 教 育 力 向 上 を め ざ す の が「 チ ー ム 学 校 」で す 。
体操男子チームに習って、高みをめざしながらも、細心の注意を払い、互いにミスを
カバーし合える「チーム稲東小」にしたいものです。
一方、メダルラッシュに加熱するオリンピック関連の報道の中で、とても印象に残
った言葉がいくつかありました。
あるアナウンサーが「世界の共通語は、英語ではなく、笑顔である」と言っていま
した。小学校英語が間もなく本格実施されますが、的を射た言葉でしょう。そして、
メ ダ リ ス ト た ち の 共 通 語 は 、「 た ゆ ま ぬ 努 力 と 支 え て く れ た 人 々 へ の 感 謝 」 で し た 。
ま さ に 、「 実 る ほ ど
頭を垂れる
稲穂かな」です。
「ヒマワリのパワー」
H28.8.1(月)
ヒ マ ワ リ と 言 え ば 夏 の 代 名 詞 で 、「 太 陽 の よ う な 形 を し た 草 丈 の 高 い 黄 色 い 花 」 と
い う イ メ ー ジ で す 。草 丈 は 2 m に 達 し 、直 径 2 0 cm の 大 輪 を 咲 か せ る 豪 快 な も の や 、
ゴッホやマティスの絵画に見られるような繊細な花弁のヒマワリがギラギラと照りつ
ける太陽の下で咲き誇っています。その種類は100を超えるそうで、最近の日本で
は「園芸用」の低い丈の可憐なヒマワリが多く見られるようになりました。
ヒ マ ワ リ は キ ク 科 の 一 年 草 で 、「 太 陽 」 と 「 花 」 と い う 意 味 を 持 つ 2 つ の 言 葉 か ら
できていて、英名は「サンフラワー」です。一方、和名では「向日葵(ヒュウガアオ
イ )」「 日 輪 草 ( ニ チ リ ン ソ ウ )」「 日 車 ( ヒ グ ル マ )」 な ど と 呼 ば れ 、 ど の 名 前 も 太 陽
に 由 来 し て い ま す 。 中 で も 、 和 名 の 由 来 に つ い て は 、「 太 陽 の 動 き に 合 わ せ て そ の 方
向を追うように花首が回るから」と、子どもの頃からよく聞きましたが、実際はどう
なのでしょうか。
ある学説によると、この動きは生長に伴うもので、実際に太陽を追って動くのは生
長 が 盛 ん な 若 い 時 期 だ け だ そ う で す 。「 花 首 の 柔 ら か い 、 つ ぼ み の と き だ け 昼 間 に 太
陽の方向を向き、夜になると向きを戻し、生長して花が咲いてからは東を向く」とい
う の が ど う も 実 際 の よ う で す 。 と は 言 え 、「 太 陽 を 追 っ か け て 、 く る く る 回 る 」 と い
う話は分かりやすくて、とてもおもしろい説だと思います。
さて、そんなヒマワリですが、種子が「食用」になることは周知の通りで、パンの
飾りつけやおつまみ、そして鳥やハムスターなどの餌にもなったりします。さらに、
種子を乾燥させて抽出するヒマワリ油はリノール酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸
を多く含み、健康によいとのことで、需要が大きく伸びています。
一 方 、「 油 料 用 植 物 」 と し て ヒ マ ワ リ の 種 子 生 産 量 は 、 大 豆 、 菜 種 、 綿 実 に 次 ぐ 生
産量を誇り、バイオエタノールに転用する研究も進められているそうです。特に、原
油価格高騰の折には、サトウキビから作られたバイオエタノールで車を走らせるニュ
ースが大きく報道されたのを憶えています。バイオエタノールが優れている点は、何
と言っても地球に優しいエコエネルギーで、二酸化炭素の排出量を抑え、地球温暖化
を 防 ぐ 役 目 を 果 た し て く れ そ う で す 。い つ か は 枯 渇 す る と 言 わ れ る 天 然 資 源 に 対 し て 、
ヒマワリの持つパワーには期待が持てそうです。
その他、ヒマワリは原発事故で放射能汚染された
土 壌 か ら 放 射 性 セ シ ウ ム を 除 去 す る こ と が で き る「 除
染効果」の話もありました。
畑一面に広がる黄色いヒマワリの花、ギュッと詰
まったたくさんの種子が私たちの未来を支えてくれ
るのかと思うと、なんだか頼もしく思えてきます。
【震災ヒマワリ】
向日葵の
ゆさりともせぬ
重たさよ
北原白秋
「今年の夏は『平年並み』?」
-「雨にも負けず」に心を寄せて-
H 2 8 . 7 . 1 (金 )
宮 沢 賢 治 の 有 名 な 詩 「 雨 に も 負 け ず 」 に 、「 日 照 り の 時 は 涙 を 流 し 、 寒 さ の 夏 は お
ろおろ歩き」というフレーズがあります。寒さの夏とは「やませ」による東北地方の
冷夏のことですが、平成5年の大冷害では、外国からお米が緊急輸入されました。こ
の時、国産米のおいしさや農家のご苦労に心から感謝したことを思い出します。
翻って、翌平成6年は日照りの夏で、全国的に深刻な水不足となり、毎日のように
水源であるダムの貯水量が報道されていました。水道の蛇口から出る水は絞られ、プ
ー ル が 閉 鎖 さ れ て い た こ と も あ り 、「 水 の あ り が た み 」 を 改 め て 感 じ た 年 で し た 。
さて、今年はどんな夏になるのでしょうか?
天 気 予 報 や 気 象 情 報 で 、「 平 年 よ り 雨 量 が 多 い と か 、 気 温 が 高 い 」 な ど の 解 説 が よ
く 出 て き ま す が 、「 平 年 」 と は ど う い う 意 味 で 、「 平 年 並 み 」 と は ど う い う 基 準 で 決
め て い る の か を 調 べ て み ま し た 。「 平 年 」 と は 過 去 3 0 年 の 平 均 で 、 1 0 年 に 1 回 更
新されています。これは、西暦年の1位の数字が1になる10年ごとに更新している
そうですから、2016年の「平年」とは、1981年~2010年までの30年の
データを使用していることになります。
で は 、「 今 年 の 夏 は 『 平 年 並 み 』、『 冷 夏 』、『 暑 夏 』」 と い う 場 合 に 、 ど ん な 基 準 で
決めているのでしょうか。気象庁では、気温や雨量を「低い(少ない)→平年並み→
高 い ( 多 い )」 と い う 3 つ の 階 級 に 分 け て 表 現 し て い ま す 。 そ し て 、 こ の 3 つ の 階 級
に 分 け る 区 分 値 は 、3 0 年 間 の 観 測 値( 例 え ば 夏 の 平 均 気 温 等 )を 小 さ い 順 に 並 べ て 、
小 さ い 方 か ら 1 0 番 目 ま で ( 全 体 の 3 3 % ) が 「 低 い ( 少 な い )」、 1 1 ~ 2 0 番 目
( 同 3 3 % ) が 「 平 年 並 」、 そ れ 以 上 を 「 高 い ( 多 い )」 と し 、 各 階 級 の 出 現 率 が 等
し く 3 3 %( 1 0 年 )と な る よ う に 決 め て い る の だ そ う で す 。つ ま り 、「 冷 夏 」と は 、
夏 ( 6 ~ 8 月 ) の 平 均 気 温 が 3 階 級 表 現 で 「 低 い 」 場 合 で 、 反 対 に 高 い 場 合 は 、「 暑
夏」となります。
ところが、最近では「猛暑」という用語が頻繁に使われます。世界気象機関の定義
では「最高気温の平年値を、連続5日間以上、5℃以上上回ること」としています。
日本では、2007年以降、1日の最高気温が35℃以上の日のことを「猛暑日」と
言っているそうです。
7 月 に 入 り 、 そ ろ そ ろ 夏 休 み の 計 画 を 立 て 始 め る 頃 か も し れ ま せ ん が 、「 梅 雨 の 末
期 の 集 中 豪 雨 」 が 心 配 で す 。「 カ ラ 梅 雨 」 と 呼 ば れ る よ う な 年 で も 、 梅 雨 が 明 け る 7
月末までの時期に、狭い範囲に集中して大量の雨が降ることがよくあります。台風や
低気圧ならば、西から東へと上空の偏西風に乗って日本列島を2日ほどかけて縦断し
ていきます。一方、梅雨前線は北の空気と南の空気のぶつかり合いなので、動きがさ
ほど速くありません。前線の動きが遅いため、同じ地域に南から大量に湿度を含んだ
強風が長時間吹きつけます。その風が山の斜面を強制的に
上昇するために集中豪雨が発生し、住宅地では床上・床下
浸水、山地では土砂崩れ、あるいは河川の氾濫など、大惨
事となります。これは、決して他人事ではありません。
暦の上では、今年の「半夏生」は7月1日です。暦の通
り に 生 長 す る 植 物 の 姿 を 見 る と 、 改 め て 、「 平 年 並 み 」 と
いう言葉の重みを感じます。
「 紫 陽 花 (アジサイ)」・「 で ん で ん 虫 」・「 て る て る 坊 主 」
-「梅雨」を楽しむ-
H 2 8 .6 .1 ( 水 )
夏山
蒼 翠 (そ う す い ) に し て
滴 (し た た ) る が 如 し
心地よかった新緑の時期はあっという間に過ぎ、毎日毎日シトシトと空から雨が滴
り 落 ち て く る 、「 梅 雨 」 が 間 も な く や っ て き ま す 。
6月のカレンダーを見ると、アジサイ寺として有名な北鎌倉の「明月院」が掲載さ
れ て い ま す 。 満 開 時 に は 約 2,500 株 の ヒ メ ア ジ サ イ で 境 内 が 染 ま り 、 そ の 淡 い 青 色 の
花は「明月院ブルー」と呼ばれています。稲沢市においても、大塚性海寺歴史公園・
性海寺を舞台に毎年恒例の『稲沢あじさいまつり』が本日から開催されます。ガクア
ジ サ イ を は じ め 、 ヤ マ ア ジ サ イ 、 西 洋 の ア ジ サ イ な ど 約 90 種 1 万 株 が 植 栽 さ れ 、 園
内一帯にアジサイが咲き誇り、私たちの目を楽しませてくれます。
この華麗に咲くアジサイですが、土壌の酸性が強いと青く、アルカリ性が強いと赤
くなる傾向があるそうです。明月院の庭の土壌は、酸性が強いということなのでしょ
うか、調べてみてもおもしろいですね。ただ、葉っぱについては、人間が食べると中
毒症状を起こす場合があるようなので、注意が必要です。
ところで、アジサイのイラストなどを見ると、葉っぱにカタツムリがいるものが多
いことに気づきます。そんなカタツムリの語源は、巻き貝の殻が笠に見えるので「笠
つ ぶ り 」 と か 、 角 を 降 り な が ら 這 っ て い る の で 「 片 角 降 り ( か た つ の ふ り )」 な ど の 説
があります。また、カタツムリに「蝸牛」という字を当てたのは、そのゆっくりとし
た動作や頭に角があることから牛を連想したためと言われています。童謡では、有名
なフレーズ「♪でんでん、むしむし、かたつむり♪」と歌います。その別名の「でん
でん虫」とは、一度殻の中に入ってしまうとなかなか出てこないので、子どもたちが
「出ろ出ろ」とはやしたてた様子から「出ん出ん虫」となったんだそうです。名前の
いわれに子どもたちの遊びが関係していると、何とも楽しい呼び名になります。
一 方 、「 水 」 は 私 た ち の 生 活 に 欠 か せ な い も の で 「 恵 み の 雨 」 と 言 い ま す が 、 や は
り「何事も過ぎたるは及ばざるが如し」で、あまり長雨になると農作物の発育にも良
く あ り ま せ ん 。そ こ で 、太 陽 に 顔 を 出 し て も ら え る よ う に 、先 人 た ち が 願 い を 込 め て 、
軒 先 に 吊 る し た も の が 、「 て る て る 坊 主 」 で す 。「 照 る 照 る 坊 主 」 と か 「 照 る 坊 主 」
と言われ、平安時代に中国から伝わってきました。当時は箒(ほうき)を持った女の
子を模した紙人形で、雨雲を箒で払ってくれると信じ
られていました。やがて、僧侶の魔力を信じ、女の子
からお坊さんに変わっていきました。現在では、最初
から可愛らしい顔を描くようですが、ダルマ同様「左
目を描かない」ことが正しいルールだそうです。間違
っ て 逆 さ に つ る す と 、「 雨 雨 坊 主 」、「 降 れ 降 れ 坊 主 」
になるそうです。
いよいよ子どもたちが楽しみにしているプールの開
始 で す 。み ん な で「 ♪ 明 日 天 気 に し て お く れ ♪ 」と「 晴
6/10(金 ) 時 の 記 念 日
れ乞い」をしたいと思います。
「 甍 (いらか)の 波 」 と 「 登 竜 門 」
-歌に込められた先人の思い-
H 2 8 .5 .1( 日 )
5月に欠かせないもの、それは「陽光」です。光の滴をまき散らす、さざ波のよう
な木の葉、その間から差し込む光は、私たちをとても元気にしてくれます。命あると
こ ろ に 緑 が あ る か ら で し ょ う か 。「 美 し い 木 漏 れ 日 」 が さ わ や か で す 。
さ て 、 5 月 4 日 は 「 み ど り の 日 」 で す 。「 緑 」 と 言 え ば 、「 嬰 児 (み ど り ご )」 と 言
う 言 葉 を 連 想 し ま す 。 こ れ は 、 3 歳 ぐ ら い ま で の 幼 児 の こ と で 、「 新 芽 や 若 葉 の よ う
に若々しい児」という意味です。
そ し て 、 5 月 5 日 は 「 こ ど も の 日 」、 暦 の 上 で は 「 立 夏 」 で す 。 五 月 晴 れ の 空 に 、
鯉 の ぼ り が 気 持 ち よ さ そ う に 泳 ぎ 、 街 中 で は 懐 か し い メ ロ デ ィ ー (文 部 省 唱 歌 「 鯉 の
ぼ り 」 )が 流 れ て い ま す 。 最 近 は 、「 屋 根 よ り 高 い 鯉 の ぼ り 」 で 始 ま る 曲 の 方 が 馴
染 み が あ る か も 知 れ ま せ ん が 、「 い ら か の 波 と 雲 の 波 」 で 始 ま る 曲 も 先 人 の 思 い が
込められており、味わい深いものがあります。
「鯉のぼり」
作曲:弘田龍太郎
1 甍 (い ら か )の 波 と 雲 の 波
重 な る 波 の 中 空 (な か ぞ ら )を
橘 (た ち ば な )か お る 朝 風 に
高く泳ぐや 鯉のぼり
2
3
開ける広き 其の口に
舟 を も 呑 (の )ま ん 様 (さ ま )見 え て
ゆ た か に 振 (ふ る )う 尾 鰭 (お ひ れ )に は
物に動ぜぬ 姿あり
百 瀬 (も も せ )の 滝 を 登 り な ば
忽 (た ち ま )ち 竜 に な り ぬ べ き
わ が 身 に 似 よ や 男 子 (お の こ ご )と
空に躍るや 鯉のぼり
作詞:不詳
瓦の屋根と雲との間の大空を
橘 (た ち ば な )の 花 の 香 り が す る 。
朝の風を受けて
高く泳いでいる鯉のぼり。
大きく開いた口は、船さえも飲み込んで
しまいそうに見える。
堂々と大きく揺れる尾びれは、
何事にも動じない姿がある。
大きな滝を登れば
竜にかわった私のように育つんだよ
男子たちよ、と言っているかのように
空に躍っている鯉のぼり。
甍 (い ら か )と は 、 瓦 ぶ き の 屋 根 の 頂 上 部 分 を 指 し 、 瓦 の 重 な り を 波 に 見 立 て て い ま
す。さらに、雲の重なりも波に見立て、甍の波と雲の波の2つの間にある大空を中空
とし、悠然と泳ぐ鯉の姿から子どもたちの将来に思い
を馳せています。
「 鯉 の 滝 登 り 」、「 登 竜 門 ( と う り ゅ う も ん )」 と 言 う
ことわざは、立身出世のための関門を中国黄河の上流
にある急流「竜門」とし、ここを登り切った鯉は竜に
なるという伝説になぞらえたものです。つまり、先人
たちは、子どもたちに「志高く、堂々と元気いっぱい
活躍していってほしい」と鯉のぼりに願いを込めてき
たのでしょう。
平成28年度
入学式
式辞
H28.4.6(水)
「故郷や どちらをみても 山笑う」
正岡子規
桜が満開で、すがすがしい季節となりました。本日、この春の佳き日に、平成28
年度稲沢東小学校入学式が挙行できますことを心よりうれしく思っております。
まずもって、117名の新入生のみなさん、入学おめでとう。
先生たちは、みなさんと会えることをとても楽しみに待っていました。今、こうし
てみなさんの様子を見ていますと、背筋がぴんと伸びていて、話がきちんと聞けてい
る姿は、もう立派な小学生です。
そこで、今日は新入生のみなさんに、明るい毎日を送るための大切なお話をプレゼ
ントします。
実は、平成28年度を表す漢字は、気持ちの「気」です。
「気」の付く言葉はたくさんありますが、
ま ず 、「 や る 気 」 で す 。( 知 )
勉 強 も 運 動 も お 手 伝 い も 、自 分 か ら「 や る 気 」で 取 り 組 み ま し ょ う 。き っ と 一 年 で 、
たくさんのことができるようになるでしょう。
次 に 、「 勇 気 」 で す 。( 徳 )
「 一 緒 に 遊 ぼ う ! 」「 仲 間 に 入 れ て ! 」「 ど う し た の 大 丈 夫 ? 」
自 分 か ら 、 友 達 や 先 生 に 声 を か け る よ う に し ま し ょ う 。「 勇 気 」 を 出 せ ば 、 き っ と
仲のよい友達がたくさんできるはずです。
3 つ め は 、「 元 気 」 で す 。( 体 )
早寝・早起き・朝ご飯にトイレ!元気いっぱいの「稲東健児」になってください。
元気に過ごせば、やる気と勇気も出てきます。
「 や る 気 」、「 勇 気 」、「 元 気 」。 3 つ の 「 気 」 を し っ か り お ぼ え て く だ さ い ね 。
次に、新6年生のみなさんにお願いです。
登下校を始め、学校生活すべてにわたり、みなさんが稲沢東小学校の良き伝統を受
け継ぎ、新たな歴史を作っていくリーダーです。みなさんも 1 年生の時には、6年生
に随分お世話になりました。今度は、お返しをする番です。
リ ー ダ ー と し て「 そ の 気 」に な っ て 、新 入 生 の み な さ ん を よ ろ し く お 願 い し ま す ね 。
後になりましたが、保護者の皆様、本日はお子さんのご入学、誠におめでとうござ
います。心からお祝い申し上げます。生まれた日のことを思うと、本日の晴れ姿に喜
びもひとしおのことと思います。
そこで、保護者の皆様にも、子どもたちの健やかな成長のためにお願いがございま
す 。気 が 多 い の は い け ま せ ん の で 、「 根 気 」と い う 一 つ の「 気 」だ け を お 願 い し ま す 。
子どもの個性や成長のスピードは一人一人全く違いますし、内に秘めている種も違
い ま す 。む や み に 他 の 子 ど も と 比 較 す る こ と な く 、ど う か 根 気 強 く 、子 ど も た ち の「 や
る 気 」・「 勇 気 」・「 元 気 」 を 引 き 出 し 、 自 分 色 の 花 を 咲 か せ て や り た い も の で す 。
私ども職員一同、保護者の皆様とともに、かけがえのない子どもたちを大切に育て
てまいる所存です。ご理解とご協力をいただきますようお願いいたします。
結びに当たり、新入生にとってこの稲沢東小学校が「心の故郷」になりますことを
を祈念して、式辞といたします。
平成28年4月6日
稲沢市立稲沢東小学校長 清水 茂
<式後の保護者向け挨拶>
変えられるものは、変える勇気を!
変えられないものは、受け入れる謙虚さ
を!
そして、それを見分ける知恵を!
本年度の新規事業を説明した後、基本的
な構えを示さしていただきました。
「出藍の誉れ」
~ 春 蕾 (し ゅ ん ら い )に 希 望 を 見 つ け て ~
H28.3.1(火)
「青春」=春の色で青
「朱夏」=夏の色で赤
「白秋」=秋の色で白
「玄冬」=冬の色で黒
五 行 説 で は 、四 色 で「 季 節 」を 表 し 、東 西 南 北 の 四 方 位 を 表 す 象 徴 的 聖 獣 を「 四 神 」
と言います。
「 青 竜 」は 東 方 を 守 護 す る 青 い 竜 、「 朱 雀 」は 南 方 を 守 護 す る 赤 い 鳥 、「 白
虎 」 は 西 方 を 守 護 す る 白 い 虎 、「 玄 武 」 は 北 方 を 守 護 す る 亀 と 蛇 の 合 体 し た 神 獣 だ そ
うです。
論 語 に よ る と 、「 青 春 」 と は 「 緑 の 時 期 」 で あ り 、 未 熟 さ を 意 味 す る 一 方 、「 志 学 」
(=学を志す)の時期としています。家族や周りの人たちの援助を受けて勉学にいそ
しみ、社会に出ていき、やがて新しい自分の家族を起していきます。つまり、人間と
して一人立ちをするための準備を進める年代と言えます。ただ、希望に胸を膨らませ
る一方、挫折感に打ちひしがれながら自分の生きる道を試行錯誤する年代とも言われ
ます。
さて、この「青」にまつわる諺で、一番思い出されるのは、
『 出 藍 の 誉 れ 』( =「 青 は 藍 よ り 出 で て 、藍 よ り 青 し 」)で す 。「 青 は 藍 よ り と り て 、
藍よりも青く、氷は水よりつくりて水よりも冷たし」とも言われます。
弟子が師匠の学識や技量を超えることの例えとして引用されますが、学問は奥深く
終 わ り の な い も の で 、勉 強 を 怠 ら ず 、励 む こ と が 大 切 だ と 言 っ て い る の だ と 思 い ま す 。
一 方 、 教 育 に 携 わ る 立 場 か ら 言 え ば 、「 若 い 世 代 が 古 い 世 代 に よ っ て 教 育 さ れ 、 そ
の結果、その若い世代が古い世代を凌駕して立派に成長していく姿を見て、教えた側
の古い世代がそれを自らの名誉とする」と言うことです。これは、前途有望な若い世
代が古い世代の言うがままに育つと言うことではなく、古い世代を乗り越えて一層優
れた人になる自由や能力を認め育むことこそ「教育」の根本的な姿であると先人たち
が明言しているのでしょう。
本校の「あおぞら学級」では、ブロッコリーやカリ
フラワーを育てています。小さな畑の中にあって、大
きく葉を広げ、びっしりつまった無数の
蕾 を 包 み 込 ん で い る 姿 を 見 る と 、「 や が て
開花するエネルギーや生命力」が満ちあ
ふれているように感じることができます。
【春蕾】
「春を告げる梅一輪」
~「新たな挑戦と目標の修正」~
H28.2.1(月)
まだまだ寒い日が続きますが、立春は暦の上では春の始まりに当たります。木々が
芽吹き、動物が冬眠から覚め始めるこの時期は、人間にとっても新しいことを始める
のにふさわしい季節と言えます。
一 方 、 元 旦 に 立 て た 今 年 の 目 標 の 進 捗 状 況 は 、 ど う な っ て い る の で し ょ う か 。「 今
年は◯◯するぞ!」と宣言したものの、三日坊主に終わらせているのではなく、気持
ちを新たにしてまた挑戦していきたいものです。ただ、目標が高過ぎたり難し過ぎて
い た と し た ら 、 少 し 下 げ て み た り 易 し く し て み た り す る な ど 、「 目 標 の 修 正 」 を 図 る
ことも必要でしょう。
立春の
朝陽を浴びて
深呼吸
一 説 に よ る と 、「 立 春 の 朝 日 を 浴 び る と 金 運 が 上 昇 す る 」「 立 春 に 何 か 新 し い 物 を
使い始めると運気が上昇する」と言われます。春は金運にとっても大切な季節だそう
ですが、春分の日は少し早起きし、東に向かって大きく深呼吸をして、太陽のパワー
を吸収したいものです。さらに、靴下でも鉛筆でもいいようですが、何か新しい物を
使い始めると気分がリフレッシュしてワクワク感が湧いてくるそうです。
さて、身近な「春の到来」と言えば、梅の花です。小さくて可愛らしい梅の花を見
ていると気持ちが和みます。
梅一輪
一輪ほどの
暖かさ
江 戸 時 代 の 俳 人 服 部 嵐 雪 の 作 品 で 、 有 名 な 句 で す 。「 ほ ど の 」 と い う 言 葉 の 解 釈 が
難 し い と こ ろ で す が 、「 厳 し い 寒 さ の 中 で 梅 が 一 輪 咲 き 、 そ れ を 見 る と ほ ん の わ ず か
ではあるが、一輪ほどの暖かさが感じられる」との解説が掲載されており、梅の花の
けなげさと春への期待感を感じることができます。
ところで、梅の木は、成長は早いけれども大木に
はなりません。そのことから、にわか仕込みで不確
実な学問のことを「梅木学問」と言うそうです。一
方、楠は成長は遅いけれども大木に育つことから、
少しずつ着実に積み重ねた学問のことを「楠学問」
と言うそうです。なるほど、校庭には楠が植えられ
ていて、子どもたち一人一人がじっくり育つように
見守っているのでしょう。
平 成 2 8 年 「 丙 申 (ひ の え の さ る )」 の ス タ ー ト
~「三猿の教え」から~
H28.1.4(月)
今 年 の 年 賀 状 に は 、「 三 猿 像 」 が た く さ ん 登 場 し て い ま し た 。 三 匹 の 可 愛 い 猿 が 、
それぞれ両手で目・耳・口をおさえています。三猿像で、まず思いつくのが日光東照
宮の神厩(神の使いの馬がいる馬小屋)の壁面にある「猿の生涯」を描いた8面の彫
刻 で す 。 そ の 2 面 目 が こ の 三 猿 で 、「 見 ざ る ・ 聞 か ざ る ・ 言 わ ざ る 」 を 表 し て い る と
言われます。
これは、漢語の不見、不聞、不言の和訳で、猿とは直接関係ないそうですが、否定
の “ 不 ”( ざ る ) を 猿 に か け て 、「 見 猿 、 聞 猿 、 言 猿 」 の 三 匹 の 猿 が 作 ら れ 、 三 え ん 、
三ざるの名で親しまれてきました。子どもの猿が目をふさぎ、耳をふさぎ、口をふさ
い で い ま す 。 こ れ は 、「 幼 年 期 に 悪 い こ と を 見 た り 、 言 っ た り 、 聞 い た り し な い で 、
素直なままに育ちなさいという教育論」だと言われています。8面の絵は、その後、
猿が成長し、伴侶を得て、結婚、子どもに恵まれて、また一面に戻る形となっていま
す。猿の生涯を表現していますが、これは人に共通する教えで、人が一生を正しく平
和 に 生 き る た め に は 、ど う す れ ば よ い か を 示 し て い る そ う で す 。つ ま り 、こ の 教 え は 、
子 ど も の 頃 だ け で な く 、 大 人 に な っ て か ら も 通 用 す る も の が あ り 、「 人 の 欠 点 や 悪 い
所を見ない、聞かない、言わない」という教えにつながります。
さ て 、「 見 ざ る ・ 聞 か ざ る ・ 言 わ ざ る 」 の 三 猿 の 教 え は 、 日 本 語 の 猿 と 「 ざ る 」 の
語呂がいいので、てっきり、日本のオリジナルかと思っていたのですが、同じものが
中国や朝鮮半島だけでなく、インドやエジプトなど世界各地にあり、三猿像のルーツ
は、シルク・ロードを経由して、古代オリエント(エジブト)に遡るのだそうです。
そして、原点の三猿像の教えは「見ろ、聞け、ただし、口はつつしめ」と解釈され、
世界では広く通用しているようです。
一方、この解釈についてはいろいろな説があり、目の前に不正や問題があっても、
「見ないふりをして、声を上げず、耳をふさぐ」という処世術の1つで、上手に物事
をやり過ごす知恵というように聞いたことがありまし
た。
し か し 、教 育 現 場 に お い て は 、
「 不 の 発 想 」で は な く 、
「人の善い行いや良いところをよく見る、人の話をよ
く聞く、そして、人が聞いて気持ちがよくなる言葉を
使う」という「可」の方向で進んでいきたいものです。
稲東から見える日の出
「翡翠(ひすい)色の銀杏」
ー人権週間(12/4~10)に寄せてー
H27.12.1(火)
晩 秋 か ら 初 冬 に か け て 、サ ザ ン カ の 咲 く 時 期 に 続 く 長 雨 を「 山 茶 花( サザンカ)梅 雨 」
と 言 い ま す 。 そ ん な 中 、「 そ ぶ え イ チ ョ ウ 黄 葉 ま つ り 」 が 1 1 月 2 1 ~ 2 3 日 に 、 祖
父 江 町 の 山 崎 周 辺 で 開 か れ ま し た 。 銀 杏 ( ギンナン) の 生 産 量 日 本 一 を 誇 る 稲 沢 市 に お
いて、祖父江町一帯は、まさに黄葉の真っ盛りです。幸い、小春日和に恵まれ、大勢
の人々が晩秋のひとときを楽しまれたようです。
さて、植物学の世界では「生きた化石」と言われるイチョウの木は、脂分が多く、
水はけがよいと言われます。その上、腐りにくく抗菌作用があるため、高級なまな板
に使われます。さらに、水分の多い葉も火に強い性質があるため、徳川家康が城下町
の「火除け地」に防火林として多く植えさせたとも言われています。また、街路樹と
しても日本各地に植えられ、この時期のイチョウ並木は、晩秋から初冬の風物詩とも
言われます。
イ チ ョ ウ に は 雄 と 雌 の 木 が あ り 、雌 の 木 に 銀 杏 の 実 が つ き ま す 。
葉の切れ込みが深く、半ズボンをはいているのが雄木で、切れ込
みが浅く、スカートをはいているのが雌木だと地元の方に教えて
いただきました。
銀杏はデンプンを豊富に含み、モチモチとした食感と独特の歯
ご た え が あ り 、茶 碗 蒸 し の 具 材 な ど に よ く 用 い ら れ ま す 。し か し 、
種子である銀杏はおいしいのですが、果肉は嫌われ者です。同じ
果肉でも、サクランボや梅とは違って、独特の悪臭に加え、熟し
た実の果汁に触れると皮膚炎を起こしてしまう場合があるそうで
す。最近では、その独特の臭いやスリップの原因になる等の理由
で、イチョウの雌株は敬遠され、街路樹などで銀杏が落ちているのを見かけることが
一頃より少なくなりました。でも、公園や神社、昔からある街路樹などでは、今でも
銀杏拾いの人を見かけます。秋の採れたての頃は、きれいな翡翠色ですが、年を越す
辺りから黄色になってくるようです。
いよいよ12月、師走に入りました。4日から10日までは、人権週間です。イチ
ョウの実は動物から身を守るために臭い匂いを放ちますが、たくさんの魅力的な持ち
味 が あ る 上 、そ の 固 い 殻 の 中 に は「 翡 翠 色 の 宝 石 」の よ う な 美 し い 実 を 隠 し て い ま す 。
どうか子どもたちには、外見ではなく、相手の美しい心を見るようにしてほしいと思
います。
宮沢賢治の「いてふの実」という作品を思い出しました。
「木枯らし吹く頃」
H27.11.2(月)
関東や近畿地方では、先週の初めに「木枯らし1号」が吹いたというニュースが流
れました。季節が晩秋から初冬へと変わる時期に、初めて吹く北寄りの強い風(毎秒
8m以上)を「木枯らし1号」と言います。ユーラシア大陸から日本列島に向かって
吹いてくる冬の季節風が日本海を渡る時に、暖流の対馬海流から水分をたっぷりと含
み ま す 。 そ し て 、 列 島 中 央 部 の 3 0 0 0 m 級 の 連 山 を 越 え る た め に 上 昇 す る 際 、「 時
雨 ( し ぐ れ )」 と な っ て 雨 や 雪 を 降 ら せ 、 水 分 を 失 い ま す 。 そ の 結 果 、 太 平 洋 側 に は
カラカラに乾燥した空気が吹き抜けることになります。
木の葉を吹き落とす強い風は、あたかも「木を枯らす
風 」 と い う 意 味 で 、「 凩 」 と も 書 か れ ま す 。
濃尾平野一帯では、伊吹山から吹き下ろす冬の季節
風のことを「伊吹おろし」と呼んでいて、たくさんの
学校で校歌の一節につかわれています。
さて、秋の全国火災予防運動が11月9日から11月15日までの1週間に行われ
ます。また、消防の日は「119番」の語呂合わせで11月9日です。
本校では、一足早く「木枯らし吹く頃」に合わせて、火災を想定した校内避難訓練
を 実 施 し ま し た 。「 命 に 関 わ る こ と は 真 剣 に ! 」 を 合 い 言 葉 に 、 低 学 年 は 煙 道 訓 練 、
高学年は初期消火訓練に取り組みました。
「ちょっとした小さな火が大火事になる!ちょっとした小さなことが大事に至る!
みな、始まりは小さなこと!」
一方、低気圧の通過による秋雨によって、大気中のチリが落とされ、その後にやっ
てくる高気圧によって、澄み切った秋晴れの天気が続きます。特に、木枯らしが吹い
た日に夜空を見上げると、月が煌々と照っています。月光がシャワーのように降り注
ぎ 、「 満 月 の 夜 」 は 「 光 で 濡 れ る 」 と 言 わ れ る よ う に 、 家 々 の 屋 根 が 美 し く 輝 き 、 木
々は青白くほのかに光って見えます。
近年、
「 読 書 の 秋 」は「 食 欲 の 秋 」や「 ス ポ ー ツ の 秋 」
ほどの勢いがないように思われます。秋の夜長、美し
い夕焼け空や月光に心躍らせながら、読書に親しむ時
間をもちたいものです。
下校後の西空に美しい夕焼けが見られました。
後半戦のスタート!
「出会いに学ぶ」
H27.10.1(木)
キンモクセイの芳香がどこからともなく漂う秋空の
下 、「 団 結 力 」 を キ ー ワ ー ド に 展 開 し た 運 動 会 が 無 事 終
了しました。
開 会 式 で は 、「 少 し 大 変 だ っ た け れ ど 、 ち ょ っ と 苦 労
したけれど、精一杯やってみたら楽しかった」と言え
る運動会にしようと呼びかけました。ゴールまで精一
杯駆け抜ける姿や歯を食いしばって表現した組み立て体操などは、観る人たちを十分
感動させるものでした。一人一人の児童が自分なりに精一杯取り組み、そして、仲間
と息を合わせて取り組むことで、思わぬ大きな力を発揮できるという達成感や成就感
を味わうことができたと思います。
閉会式では、子どもたち一人一人の頑張りを讃えるとともに、今後の「実りの秋」
を 目 指 し て 、「 中 秋 の 名 月 」 や 「 ス ー パ ー ム ー ン 」 を ぜ ひ 観 よ う と 話 し ま し た 。 代 休
開けの朝礼では、ほとんどの子どもたちが名月を観賞していたことが分かりました。
そして、自身の好きな言葉「出会いに学ぶ」を紹介しました。
「出会いに学ぶ」
出来事に出会って、出来事に学ぶ
本に出会って、本に学ぶ
人に出会って、人に学ぶ
スーパームーンに出会って、自然科学の不思議や無限に広がる宇宙観に思いを寄せ
ることができました。秋の夜長、いい本に出会うと、時が過ぎるのを忘れて読みふけ
ることの楽しさを味わうことができます。そして、3名の教育実習生を迎え入れまし
たが、若い彼らとの出会いから、自分の夢に向かって頑張る「素敵な生き方」を学ぶ
ことができるはずです。
いよいよ後半戦のスタートです。新しい児童会や委員会、学級役員や係活動など、
新しいメンバーによる豊かな活動が予定されています。新たなメンバーや活動内容と
出会い、自分の中に隠れていた才能や友達のすばらしい一面を発見できるよう、充実
した日々を送っていってほしいと思います。
2学期始業式
「先人と風神の戒め」
~子どもたちの活力みなぎる2学期に~
H27.9.1(月)
日中の暑さは、9月いっぱい相変わらず続くのでし
ょうが、子どもたちの歓声が響いたプールの静寂さと
朝晩に吹く風の涼しさに秋の訪れを実感するようにな
りました。虫の声も、主役は木々の上から足下の草む
らへと変わり、食卓にも実り秋を感じさせる果物など
の食材が上るようになりました。
一方、空を見上げると夏から秋に移る頃の「暑気」
と「冷気」が行き合う「行合の空」が見られます。入
ひと夏の成長
道雲がわき上がっている傍らに、鰯雲や巻雲が見え、ゆく季節と訪れる季節が一つに
なった風情を感じます。
さて、9月1日は「防災の日」です。1923年9月1日の「関東大震災」の教訓
から1960年に制定されています。また、暦の上では「二百十日」といい、2月4
日の立春から数えて210日で台風が襲来する確率の高い日という先人からの言い伝
えもありました。戦前の物理学者、寺田寅彦は「天災は忘れた頃にやってくる」とい
う言葉をのこしています。忘れてはならない痛みや繰り返してはいけないことを「教
訓」として後世に言い伝えておくべきだと言っているのでしょう。
しかし、最近の自然災害は「天災」ではなく「人災」だと主張する学者がたくさん
い ま す 。古 来 、日 本 各 地 で 言 い 伝 え ら れ て き た「 風 神 」の い わ れ で 、「 風 の 神 は 邪 気 。
風 に 乗 っ て あ ち こ ち を さ ま よ い 、も の の 隙 間 や 暖 か さ と 寒 さ の 隙 間 を 狙 っ て 入 り 込 み 、
人を見れば口から黄色い息を吹きかける」という話は、まさに「人災は、心の隙間に
やってくる」と言っているのではないでしょうか。
2学期のスタートに当たり、教職員が改めて3つの「あ」を心に留め、隙間をつく
らないように一致団結していきたいと思います。
「焦らず!
慌てず!
諦めず!」
一夜漬けで覚えた事柄をはじめ、すぐに点数となって現れるような学力は、すぐに
剥がれ落ちてしまうと言われます。本当に育った学力は、ずっと先になってから「生
きる力」となって現れるてくるものでしょう。また、チャンスは、時にピンチの顔を
し て や っ て く る と 言 わ れ ま す 。「 心 の 隙 間 」 を 生 ま な い よ う に 、 教 訓 を 大 切 に し な が
ら、子どもたちの活力みなぎる2学期にしたいと思います。
「 着 衣 水 泳 ( 着 衣 泳 )」
~水の事故から身を守る~
H27.8.5(水)
水しぶきが踊るまばゆいばかりの夏空が広がってい
ます。太陽の光が強ければ強いほど、くっきりと深い
緑陰をつくってくれますが、花壇の花たちや野菜は、
一雨ほしいところでしょう。
さて、夏休みは、海や山などに遊びに出かけるご家
庭も多いかと思います。警察庁のデータによると、中
学生以下の子どもの水難事故で、溺れて死亡したり行
方不明になったりしている状況は、水泳中が8.2%
で、あとは服を着たまま水に落ちて溺れるというケー
ス(水遊びや釣り、サッカーボールなどを取りに行って水に落ちた事故など)が多い
ことがわかります。事故の場所については、プールは3.3%に過ぎず、多くは川や
海で起きています。そして、毎年6月から8月にかけて水の事故が増え、年間の事故
の49.3%がこの期間ですから、まさに今、特に注意が必要な時期です。
そ こ で 、 本 年 度 よ り 4 年 生 を 対 象 に 「 着 衣 水 泳 ( 着 衣 泳 )」 を 実 施 す る こ と に し ま
した。もしも不意に海や川に落ちた時のため、靴をはいたまま、服を着たままで水に
浮いて救助を待つ着衣水泳を体験し、水の事故から自分の命を守る技術を身につけて
ほしいと考えました。
<助かるための心がまえ~「浮いて待て!」>
水の事故にあった時の対処方法を指導している水難
学会によると、あわてない、体力を温存して救助を待
つということが基本で、服を着たまま無理に泳ごうと
す る 必 要 は な く 、「 浮 い て 待 て 」 が キ ー ワ ー ド だ そ う で
す。昔と違って、今は靴も衣類も素材革命が進んで材
質が軽くなり、浮きやすくなっているのだそうです。
服を着たまま水に落ちると、服が体にはりついて動き
が制限されるのであわててしまいますが、人の身体は
コツをつかめば必ず浮くのだそうです。
一番大切なことは、ラッコのように大の字で仰向け
の姿勢になり、体の力を抜いて「背浮き」の姿勢をと
ることです。東日本大震災の時、宮城県で津波にのま
れそうになった小学生が訓練で習ったことを実践し、
ラッコの姿勢をとって浮き上がり、あわてずに仰向け
で背浮きの姿勢のまま浮いて呼吸を確保し、体力の消
耗を防いで救助を待ち助かったという例が実際にある
そうです。
もちろん自然条件や人によって体力が異なりますから、全てにこの方法がベストで
あ る と は 限 り ま せ ん が 、い ず れ に し て も 子 ど も た ち は 着 衣 水 泳 を 体 験 す る こ と に よ り 、
着衣時の動きにくさ、濡れた服の重さを感じとり、いざというときの心構えができる
ものと思います。さらに、子どもたちだけで水辺で遊ぶことは危険であり、大人と一
緒に出かけることの大切さも自覚してほしいものです。
「七変化と梅雨将軍」
H27.7.1(水)
雨 は 恵 み と 災 害 の 「 両 刃 の 剣 」 と 言 わ れ ま す 。「 空 梅 雨 (か ら つ ゆ ) 」 で は 水 不 足 、 多
すぎると「豪雨」となります。特に、梅雨の末期の集中豪雨は、日本の各地に大きな
災害を引き起こします。そんな中、梅雨の日の楽しみと言えば、紫陽花を見ることで
す。
紫陽花や
藪を小庭の
別座敷
芭蕉
紫陽花の花がしっとりと咲く藪には趣きがあり、そこには風流な小庭の座敷がある
ようだと詠まれた句です。降る雨が染めたかのように紫陽花が色づく梅雨の日々、庭
先に様々な色の紫陽花が咲いている様子は心を和ませるものがあります。そんな紫陽
花は、少しずつ花の色を変えていきます。
「咲き始めの青、それが白みがかったかと思うと、紫碧色(しへきいろ)に変わり、
雨に濡れていくと青から紅へ、そして、青黄から茶褐色になって枯れていく」これが
紫陽花の七変化だそうです。
なるほど、紫陽花の花言葉は「変わりやすい心」です。
紫陽花や
きのふの誠
けふの嘘
子規
さ て 、「 冬 将 軍 」 な ら ぬ 「 梅 雨 将 軍 」 と 言 え ば 、 織 田 信 長 が 有 名 で す 。
梅雨末期の「桶狭間の戦い」において、梅雨のことを知り尽くしていた信長は、土
砂 降 り の 激 し い 雨 を 隠 れ 蓑 に し て 今 川 軍 の ス キ を つ い た と 言 わ れ て い ま す 。「 機 こ そ
勝敗の鍵、雨があがった瞬間、敵はほっとして気をゆるめるであろう。そこを狙うの
だ」という指示を出したそうです。
ま た 、「 長 篠 の 戦 い 」 で は 、 最 強 の 騎 馬 軍 団 の 武 田 軍 に 対 し て 、 火 縄 銃 の 鉄 砲 隊 に
頼る信長軍には、やはり梅雨の晴れ間が味方をしたと言われています。この戦いにお
いても、天候の変化を味方に付ける臨機応変の姿が見られます。そして、この2つの
勝利が信長を天下人へとつき進ませました。
し か し 、 い い こ と ば か り で は あ り ま せ ん 。 1582 年 に 起 き た 「 本 能 寺 の 変 」 も 、 や
はり梅雨の時期でした。秀吉が梅雨で増水した川をせき止め、備中高松城を水攻めに
していた時に起きています。つまり、人生の大きなタ
ーニングポイントが梅雨の時期だった信長は、どちら
に し て も「 雨 男 」だ っ た と い う こ と で し ょ う か 。た だ 、
「梅雨」という概念は、江戸時代に中国から伝わった
と さ れ て い ま す の で 、「 梅 雨 将 軍
信長」とは歴史小説
の話なのかもしれません。
最近は気象の変化が激しく、梅雨の末期には、突然
の大雨やヒョウが降ることがあります。紫陽花のような「天気の七変化」かもしれま
せんが、子どもたちの安全な登下校を確保するために、気象状況の変化に細心の注意
を払っていきたいと思います。
「 麦 秋 (ば く し ゅ う ) の 候 」
H27.6.1(月)
「拝啓 麦秋の候 草木の色も日に日に深くなっている今日このごろですが お元
気でお過ごしでしょうか」
「麦秋」とは、かつて日本映画全盛期に小津安二郎監督の映画のタイトルにも使わ
れ て い ま し た 。 特 に 、「 秋 」 と い う 文 字 が 使 わ れ て い ま す の で 、 い わ れ を よ く 考 え な
いと使う時期を間違ってしまう可能性があります。
この時期、濃尾平野の南部地域や祖父江から岐阜県側の海津へ木曽川を越えると、
黄色く色づいた田園風景を観ることができます。車を止めて、その一帯をよく観察す
ると、麦の穂が実り、辺り一面が金色に輝き、風に心地よさそうにそよいでいます。
そんな風景は、まさに「麦秋の候」という季語にぴったりで、6月の季節は初夏な
の で す が 、 麦 に と っ て は 「 収 穫 の 秋 」、「 実 り の 秋 」 と な る わ け で す 。 何 だ か 、 日 本
人と自然との密接な関係がよく表現されているように思われ、感慨深いものを感じま
す 。 さ ら に 、「 実 り の 秋 」 と い う こ と で 、「 繁 栄 」 を イ メ ー ジ さ せ る 縁 起 の い い 挨 拶
とも言われます。
このように植物の種をまく時期は、春ばかりではなく、麦のように前年度の秋のも
のがたくさんあります。麦は新芽を出してしばらくすると、立派に大きく育てるため
に、敢えて試練が与えられます。寒い寒い冬の時期に行われる「麦踏み」です。現在
は、昔とは違い、機械化が進んでいるそうで、農家の人が一つずつ丁寧に踏みつけて
歩くことはないそうです。
学校生活においても、すべてのスタートが春ではなく、先を見越して、その時期に
合った種まきをすることが肝要です。そして、少々の困難や苦労を乗り越えて、より
たくましく育つように支援していくことも大切なことです。
一方、梅雨入りを控え、刈り取る時期を間違うと、せっかく育てた麦が台無しにな
ってしまうそうです。たわわに実った麦が雨に当たり続け、水につかったりしたら、
大変です。天気予報をにらみながら、梅雨入り前にいかにタイミングよく刈り入れる
かが難しいそうです。何事も情報を正確につかみ、タイミングよく判断することが肝
要だと言うことでしょう。
さて、先週は30度を超えるような暑い日が続き、熱中症が心配されるところです
が、今週は、市内バスケットボール・サッカー大会が行われます。昨年の秋以来、授
業 後 、一 生 懸 命 取 り 組 ん で き た 練 習 の 成 果 を 十 分 に 発 揮 し て ほ し い と 応 援 し て い ま す 。
頑張れ 稲東健児!
「なでしこジャパン」にちなみ、今年は縁起の良い紅白の「ナデシコの鉢植え」を
用意しました。
「藤の花とホトトギス」
H27.5.1(金)
初夏を思わせる陽気の中、運動場の南東にある藤棚
では、淡い紫や紅の花弁が甘い香りを周辺に漂わせて
います。今年の開花は例年より早く、20日ごろから
咲き始め、間もなく満開になりそうです。この辺りで
は、江南市の曼荼羅寺や津島市の天王川公園の藤がと
っても有名ですが、校庭にある藤も季節の移り変わり
をダイレクトに感じさせてくれて、なかなかいいもの
で す 。 藤 棚 の 近 く に 寄 っ て 行 く と 、「 ブ ー ン 、 ブ ー ン 」
と結構大きな羽音を立ててクマバチがたくさん飛んで
います。ミツバチの雄ではありませんが、今話題のドローンの名前の由来を彷彿させ
ます。
春 と 夏 の 境 に 咲 く 藤 の 花 に は 、「 二 季 草 ( ふ た き ぐ さ )」 と い
う別名もあるそうで、藤のあの紫の色は春と夏の色、青と赤が
混ざり合った色だと言われています。一方、西門前の花壇で咲
いているルピナス(一昨年に地域の方から種をいただきました)は、
花穂が約70センチと長く、藤の花を逆さにしたような外見か
ら 別 名 「 ノ ボ リ フ ジ 」 と も 呼 ば れ て い ま す 。「 こ ど も の 日 」 が
近づくこの季節、鯉のぼり同様、子どもたちが大きく成長する
ようにと見守ってくれています。
ところで、藤といえば、つきものなのがホトトギスです。ホ
トトギスといえば、安土桃山時代に天下統一をもくろんだ、3
人の武将になぞらえた川柳が有名です。鳴かないホトトギスに
対して、3人がどう対応するのか、その手法から性格の違いを後世の人がうまく言い
表したものです。
「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス 」
織田信長の強引さと気難しさを表現していると言われます。
「鳴かぬなら 鳴かせてみよう ホトトギス」
豊臣秀吉のしたたかさと積極性を表現していると言われます。
「鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス」
徳川家康の機が熟すまで待つという忍耐強さを表していると言われます。
それぞれの生い立ちや歴史的な背景、そしてその時その時の置かれた状況によって
戦略や戦術は異なりますが、3人 の持ち味や魅力にもなっています。
こ れ ら の 句 に 対 し て 、 現 パ ナ ソ ニ ッ ク の 創 業 者 で あ る 松 下 幸 之 助 氏 は 、 生 前 、「 鳴
か ぬ な ら そ れ も ま た 良 し ホ ト ト ギ ス 」 と 詠 ん だ こ と で 知 ら れ ま す 。「 あ る が ま ま 、
自然のままがよい」と言っているのでしょうか。
さて、27日には今年初めての授業参観と平成27年度のPTA総会が開かれまし
た 。 そ の 後 、 昨 年 度 ま で の 「 学 級 懇 談 会 」 か ら 変 更 し 、「 学 年 懇 談 会 」 を 実 施 し ま し
た 。 教 職 員 一 人 一 人 の 持 ち 味 と 専 門 性 を 生 か す べ く 、「 教 科 担 任 制 」 を 一 部 導 入 す る
ことにしました。学年がチームとなって教育活動に当たるようにするため、学級単位
ではなく学年での懇談会とさせていただきました。よろしくお願いします。
「 3 つ の ” あ ”」 ~ 平 成 2 7 年 度 入 学 式 の 式 辞 か ら ~
H 2 7 .4 .6( 月 )
百花繚乱の春の佳き日に、平成27年度稲沢東小学校入学式が挙行できますことを
心より嬉しく思っております。
まずもって、新入生のみなさん、入学おめでとう。先生たち
は、みなさんと会えることをとても楽しみに待っていました。
今、こうしてみなさんの様子を見ていますと、背筋がぴんと伸
びて、目を大きく開いて、耳を澄ましてお話が聞けています。
もう立派な小学生に見えますよ。
さあ、今日はみなさんに、明るく元気に学校生活を送るため
の 「 3 つ の ” あ ”」 の お 話 し を し ま す 。
1 つ 目 の ” あ ” は 、「 あ い さ つ 」 で す 。
「おはよう!おやすみなさい!」おはようから元気いっぱ
いの一日が始まり、お やすみなさいでゆっくり休みます。お
は よ う か ら お や す み な さ い ま で 、気 持 ち の 良 い 挨 拶 を す る と 、
おうちの人も友達もみんな元気になります。
2 つ 目 の ” あ ” は 、「 安 全 」 で す 。
「行ってきます」といって、おうちから集合場所へ行き、学校へ来ます。一日元
気よく生活をして、元気よく「ただいま」と帰ってくるのをおうちの人たちは心待
ちにしています。飛び出しをしないように、交通安全に気を付けてくださいね。
3 つ 目 の ” あ ” は 、「 あ り が と う 」 で す 。
おうちの人だけでなく、先生方や地域の方、そして後ろの席にいる6年生のみな
さんにも大変世話になります。いつもありがとうの気持ちを大切にしましょう。
笑顔たっぷりのありがとうは、幸せを呼ぶ言葉です。いつも笑顔でありがとうと
言っていると、いいことがきっと向こうからやってきます。
「 あ い さ つ 」、「 安 全 」、「 あ り が と う 」 3 つ の ” あ ”
よくおぼえておいてくださいね。
次に、新6年生のみなさんにお願いです。
登下校を始め、学校生活すべてにわたり、みなさんが稲沢東小学校の良き伝統を受
け継ぐリーダーになります。みんなで、新しい歴史を作っていってください。
振り返ってみれば、みなさんもかつては1年生でした。どうか新入生のみなさんの
お世話をよろしくお願いします。
後になりましたが、保護者の皆様、本日はお子さんのご入学、誠におめでとうござ
います。心からお祝い申し上げます。小学校の入学に当たり、保護者の皆様にも、お
子さんの健やかな成長のためにお願いがございます。
1 つ 目 は 、 大 人 の 「 3 つ の ” あ ”」 で す 。「 あ せ ら ず 、 慌 て ず 、 あ き ら め ず 」 で す 。
子どもたちの持ち味や成長のスピードは、一人一人全く違います。他の子と比べて
あせったり、少しのつまずきで慌てたり、すぐにあきらめたりしないようにしたいも
のです。教育の成果は20年から30年先になって初めて分かるものです。つまり、
お父さんやお母さんの年齢になって分かってくるものだと思います。どうか「3つの
” あ ”」 の 心 構 え を 大 切 に し て 、 子 ど も た ち を あ た た か く 見 守 っ て い た だ き た い と 思
います。
2つ目は、基本的な生活習慣を身に付けられるよう、ご支援をお願いしたいという
こ と で す 。「 早 寝 ・ 早 起 き ・ 朝 ご は ん に ト イ レ 」 な ど の 生 活 習 慣 こ そ が 、 確 か な 学 力
や体力、豊かな心など、生きる力の「根っこ」となります。
「 食 べ る 」 と い う 漢 字 は 、「 人 を 良 く す る 」 と 書 き ま す 。
私ども職員一同、保護者の皆様とともに、かけがえのない子どもたちを大切に育て
てまいる所存です。ご理解とご協力をいただきますようお願いいたします。
結 び に 当 た り 、新 入 生 1 2 4 名 の 健 や か な 成 長 を 祈 念 申 し 上 げ 、式 辞 と い た し ま す 。