Q56 所得税の源泉徴収義務者として、給与及び報酬等を支払う際に、源泉所得 税を徴収し納付しています。復興特別所得税が施行されると、源泉徴収税額 はどのように変わりますか? A: 源泉徴収税額=支払金額等×合計税率(所得税率×102.1%)として 算出します。2.1%分が「復興のため」の増税となります。 平成 25 年 1 月 1 日以後に生ずる所得より適用されます。 1.復興増税が成立 平成 23 年 12 月 2 日に「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な 財源の確保に関する特別措置法」(復興財源確保法)が公布されました。これにより増税と なる税目や時期などは以下のとおりです。(詳細は Q47 をご参照下さい) 税目 開始時期 期間 税率 所得税 2013.1.1 以降 25 年間 2.1%上乗せ 個人住民税 2014.6 月以降 10 年間 一律 1,000 円 法人税 2012.4 月開始事業年度以降 3 年間 10%上乗せ ※法人税は、同時期より 4.5%(中小企業の特例では 3%)税率の引き下げが施行されます。 これは国際競争力の強化を目的とした引き下げです。 2. 復興特別所得税(源泉徴収関係) 復興特別所得税については、上表のとおり、2013(H25)年 1 月 1 日以後に生ずる所得 について課されますので、源泉徴収義務者は、源泉所得税の徴収の際に復興特別所得税 (2.1%)を併せて徴収し、その合計額を 1 枚の納付書により納付する義務があります。 源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の額は、以下により算出します。 支払金額等×合計税率%(所得税率%×102.1%)=源泉徴収税額(円未満切捨) 3.報酬の源泉徴収税額の具体的計算方法 (1)講演料 105,000 円(消費税込)を支払う場合の支払金額 ①施行前 105,000−(100,000×10%=10,000)=95,000 ②施行後 105,000−(100,000×10%×102.1%=10,210)=94,790 1 Copyright 2012 MinatoTax&Consulting Firm (2)講演料 100,000 円(消費税・源泉所得税控除後)を支払う場合のグロスアップの計算 ①施行前 100,000÷95%(105%−10%)=105,263 105,263×105%=110,526 110,526−(105,263×10%=10,526(円未満切捨) )=100,000 ②施行後 100,000÷94.79%(105%−10%×102.1%)=105,496 105,496×105%=110,771 110,771−(105,496×10%×102.1%=10,771(円未満切捨) )=100,000 (3)原稿料 1,333,333 円(消費税抜)を支払う場合 ①施行前 1,333,333−(1,000,000×10%+333,333×20%=166,666(円未満切捨) ) =1,166,667 ②施行後 1,333,333−(1,000,000×10%×102.1%+333,333×20%×102.1%= 170,166(円未満切捨))=1,163,167 4. 報酬を支払うときの留意点 取引先からの請求書において、源泉所得税の計算が復興特別所得税が上乗せされている 徴収となっているかどうか、確認が必要となります。 復興特別所得税は平成 25 年 1 月 1 日以後に生ずる所得より適用となるため、平成 24 年 12 月分の請求書を平成 25 年になってから支払う際に、復興特別所得税は徴収する必要はあ りません。 5.給与の源泉徴収税額 「平成 25 年分 源泉徴収税額表」は復興特別所得税を含んだ税額表となっているため、 この表を使用して給与の源泉所得税を計算されている場合には、平成 25 年分を使用するよ うに注意が必要です。 また、給与の締切日が、例えば月末〆で翌月 10 日に支払いとされている場合、H24 年 12 月分は H25 年 1 月 10 日に支給となります。この場合、支給日がその給与の収入すべき 時期とされているため、復興特別所得税を源泉徴収する必要があります。 6.租税条約に基づく限度税率の適用を受ける場合 租税条約の規定により、国内法(所得税及び租税特別措置法)に規定する税率以下の限 度税率が適用される場合には、復興特別所得税は課されません。 2 Copyright 2012 MinatoTax&Consulting Firm
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