防 災 行 政 無 線 に つ い て

防 災 行 政 無 線 に つ い て
■災害と防災行政無線
日本の観測史上最大のマグニチュード 9.0 を記録し、場所によっては津波高 10m以
上、最大溯上高 39.7mという巨大津波を発生させた東北地方大平沖地震。この未曾有
の大震災によって、東北地方の太平洋沿岸部は壊滅的な打撃を受け、さらには深刻な福
島原子力発電所事故へと被害は拡大しました。
さらには、平成 22 年7月 16 日に発生した庄原市ゲリラ豪雨など、多くの災害は予告
なく突然襲ってきます。被災地では情報が錯乱し、住民がパニック状況に陥ることも少
なくありません。
被害を最小限に抑え、二次被害の発生を防ぐのは、正確な災害情報の収集と地域住民
への迅速な情報伝達です。市内全域に一斉に情報を伝達可能な防災行政無線は、過去の
多くの被災経験から、地方公共団体が非常災害時における災害情報の収集・伝達手段の
確保を目的に構築されており、本市においても、行政防災無線の早期全エリア整備に向
けて検討を進めております。
■防災行政無線のメリット
1 住民全員に、一斉に情報提供。
一度に不特定多数の住民に対して、同じ内容の情報を、単時間で提供できます。
電力や通信インフラがダメージを受け、テレビが使えなかったりメールの送受信が困
難な場合でも、確実に情報を伝達できます。
2 遠隔地への、即時情報提供が可能。
無線方式なので、遠距離や起伏に富んだ地形の住民への情報伝達が有効です。
崖崩れ等で道路が寸断され、広報車や救急車両が入っていけない最悪の場合でも、正
確な情報を届けることができます。
■防災行政無線の放送例
災害時の情報伝達
平常時の情報伝達
●危険地域への警報・注意報等発令情報
●火災予防・交通安全の啓蒙
●避難勧告・指示の発令及び誘導情報
●気象情報
●災害状況・救援情報
●盗難・防犯の警戒
●消防団の出動要請
●行政事務などの案内
●救援現場への連絡
●時報のお知らせ
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■防災行政無線のイメージ図
○市役所・各支所から災害情報や、気象情
報一度に不特定多数の住民に対して、同じ
内容の情報を、単時間で提供
市内各地域
市役所・支所
○無線方式なので、遠距離や起伏に富ん
だ地形の住民への情報伝達が有効
山間部
市役所・支所
○ 屋外子局から同時に双方向で会話が
でき意思の疎通が図れます。
市役所・支所
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被災地
■防災行政無線整備に向けて
(1)はじめに
近年わが国は、地震・台風・豪雨そして津波など多くの災害に見舞われています。平成 7 年
の阪神・淡路大震災をはじめ、新潟県中越地震(H16.10)、能登半島地震(H19.3)、新潟県中越
沖地震(H19.7)、そして平成 23 年 3 月に発生し未曾有の被害をもたらした東日本大震災は、今
なお多くの行方不明者が残されたままという状況です。また、本市においても平成 22 年 7 月
には庄原市ゲリラ豪雨災害が発生し、市民の尊い命が失われるなど、自然の猛威はごく身近な
ところにも及んでいます。
今後も、東南海・南海地震、東海大地震、さらには首都直下地震などの大規模地震や近年頻
発するゲリラ豪雨災害など、甚大な被害が想定される自然災害の発生が懸念されています。
こうした突発的な自然災害から住民の生命を守るために行政が第一に執るべき行動は、住民
への迅速で的確な情報の伝達です。万一災害が発生または発生が予測される場合には、災害規
模や被災想定地域の状況を的確に把握し、その情報を速やかに、そして漏れなく関係住民に周
知することが重要となります。
このため、国及び地方公共団体においては、非常災害時における災害情報の収集・伝達手段
の確保を目的として、防災用無線システムが各地で整備されています。
(2)庄原市の現状
庄原市は、平成 17 年 3 月 31 日、庄原市、西城町、東城町、口和町、高野町、比和町、総領
町の1市6町が合併し新しい市として誕生しましたが、災害時における住民への情報告知シス
テムについては、合併協議の中で当面現行体制を継続することとしました。
合併前に旧市町で整備した防災行政無線システム及びその他の通信システムは下表のとお
り、同報系については、アナログ式の防災行政無線が口和、高野、比和、総領地域で、NTT 電
話回線によるオフトーク通信システムが西城、東城地域で整備されていますが、庄原地域にお
いてはいずれも未整備のまま今日に至っています。
また、消防団等が災害現場などで使用する移動系無線については、東城地域は未整備である
とともに、その他の地域においても地域(方面隊)によりそのシステムが異なるため、消防団
全体への情報の一斉伝達や、方面隊相互の通信は不可能な状況です。
・防災行政無線システム及びその他のシステム概要
庄原地域
西城地域
東城地域
口和地域
同報系
(当初)
(改修)
移動系
(当初)
その他
の通信
システ
ム
(当初)
なし
なし
消防無線
150M
150M
(S60.11) 富士通ゼ
沖電気
ネラル
H28.5 停波
なし
オフトー
ク通信シ
ステム
(H10.10)
高野地域
比和地域
総領地域
なし
60M
(H2.3)
(H14.3)
沖電気
なし
400M
400M
400M
400M
オフトー
ク通信シ
ステム
(H4.11)
なし
なし
なし
なし
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60M
60M
60M
(S56.3) (S52.3) (H4.3)
(H9.3) (H5.3) (H14.3)
NEC
松下電器 松下電器
(3)庄原市の防災情報システムの課題
合併時の新市建設計画では、防災情報システムを、全市民を対象とした住民告知システムで
ある高度情報通信網(CATV)整備事業の中で整備することとしておりましが、財政状況等
から平成 19 年 11 月にCATV事業が凍結となり、それに代わる新たな住民告知手法を検討す
る必要がありました。
また、オフトーク通信については、現在システム運営を行っている NTT 西日本が平成 26 年
度末を目途にサービス提供を停止する予定としており、アナログ式の防災行政無線についても、
機器の老朽化が進むとともに、デジタル化が推進される中、保守部品の調達などにも支障をき
たすことが懸念されています。
災害は、その多くが予告なく突然襲ってきます。被災地では情報が錯綜し、人々がパニック
状態に陥ることも少なくありません。被害を最小限に抑え、二次災害の発生を防ぐのは、正確
な災害情報の収集と地域住民への迅速な情報伝達です。市民へ適切かつ迅速に情報を伝達する
システムの構築は、市民の安心と安全を守る行政の急務な課題となっています。
■整備方針
総務省では、電波の効率的運用の視点から防災行政無線のデジタル化を推進しており、自治
体が新たに導入する防災無線システムは同報系、移動系ともにデジタル式に限定されるととも
に、合併した自治体においては1自治体1システム(1市1波)の整備が原則とされています。
(1)デジタル同報系無線システムの整備
アナログ式の防災無線やオフトーク通信に代わる新たな住民告知手法として、光ケーブルを
利用した告知放送やデジタル同報無線システムなどを比較検討した結果、市内全域にデジタル
式防災行政無線による防災情報システムを整備こととします。
(2)デジタル移動系無線システムの整備
市役所(災害対策本部・消防団本部)の統制局と災害現場(職員・団員等)等の移動局を専
用デジタル回線で結ぶことにより、迅速で確実な情報の相互通信を可能とするよう、デジタル
方式による移動系無線システムの整備を行います。
■防災行政無線の事業概要
市内全域を対象とし新規にデジタル式防災行政無線を整備しますが、可能なものについては
備北地区消防組合が整備する消防デジタル無線と、施設・設備の共有を図ります。また、既設
のアナログ式防災行政無線は、同報系・移動系ともに全てデジタル方式に変更を行います。
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