東レの研究・技術開発戦略及び知財戦略

2012年12月8日
(社)日本知財学会 第10回年次学術研究発表会 シンポジウム
東レの研究・技術開発戦略及び知財戦略
東レ株式会社 専務取締役
技術センター所長(CTO)
知的財産部門・情報システム部門・地球環境事業戦略推進室統括
阿部晃一※
※JAXA(
JAXA(独立行政法人宇宙航空研究開発機構)
独立行政法人宇宙航空研究開発機構)
国際宇宙ステーション・きぼう
利用推進委員会委員
国際宇宙ステーション・きぼう利用推進委員会委員
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1
Ⅰ.日本の製造業は大丈夫か?
-「ものづくり」の次は何か?-
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2
日本の貿易収支(2011年度)
2011
2010
2009
2008
2007
2006
品目別貿易収支
(年度)
31年ぶり
の赤字
(兆円)
2005
15
10
5
0.7
3.6
2.7
0
-5
-10
-0.4
-5.5 -4.3
-15
-20
その他
輸送用機器
電気機器
一般機械
-5 0 5 10 15
貿易収支 (兆円)
原料別製品
2001
化学製品
2002
-20.6
鉱物性燃料
2003
原料品
-25
食料品及び動物
2004
12.3
8.8
データ出所:財務省「貿易統計」 2011年度(確定値)等より東レ作成
国土が狭く資源に乏しいわが国は、国際競争力の高い製造業の輸出によって外貨を獲得し、生活に
国土が狭く資源に乏しいわが国は、国際競争力の高い製造業の輸出によって外貨を獲得し、生活に
欠かせない食料や燃料、原材料などで年間約30兆円も輸入する貿易立国が基本構造である。
欠かせない食料や燃料、原材料などで年間約30兆円も輸入する貿易立国が基本構造である。
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3
日本の貿易収支(2011年度)
2011
2010
2009日本の製造業
2008
2007
2006
2005
5
0.7
3.6
2.7
0
-5
-10
-0.4
-5.5 -4.3
その他
輸送用機器
電気機器
一般機械
原料別製品
6重苦(円高、高い法人税、貿易自由化の遅れ、労働規制、
-15
(兆円)
温室効果ガス抑制策、電力不足)
-20
-20.6
-25
天災(東日本大震災、タイの洪水・・・)
→サプライチェーンの断絶、設備被害
化学製品
2001
10
鉱物性燃料
2002
12.3
8.8
原料品
2003
15
食料品及び動物
2004
・厳しい経営環境
品目別貿易収支
(年度)
31年ぶり
の赤字
・組み立て産業:すり合わせの「デジタル化」
-5 0 5→新興国の追撃が容易
10 15
貿易収支 (兆円)
データ出所:財務省「貿易統計」 2011年度(確定値)等より東レ作成
・素材産業:継続的な先端材料の創出がポイント
国土が狭く資源に乏しいわが国は、国際競争力の高い製造業の輸出によって外貨を獲得し、生活に
国土が狭く資源に乏しいわが国は、国際競争力の高い製造業の輸出によって外貨を獲得し、生活に
出所:日本経済新聞記事(2012年3月12日夕刊)をベースに東レ作成
欠かせない食料や燃料、原材料などで年間約30兆円も輸入する貿易立国が基本構造である。
欠かせない食料や燃料、原材料などで年間約30兆円も輸入する貿易立国が基本構造である。
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4
次世代の産業の創造
大学発ベンチャーの設立及び廃業等の推移
データ出所:平成23年度版科学技術白書(文部科学省)より東レ作成
300
(社)
252
250
200
廃業等
設立
231
230
188
181
162
国内ベンチャーキャピタルの投融資の推移
データ出所:「2011年ベンチャーキャピタル等投資動向調査」
(ベンチャーエンタープライズセンター)より東レ作成
3000
(億)
(社)
投融資額
投融資社数
3000
2500
2500
2000
2000
1500
1500
1000
1000
150
94
100
63
47
50
4
12
9
54
15
500
0
1
2
3
4
5
6
7
’02 ’03 ’04 ’05 ’06 ’07 ’08
(年度)
500
’05 ’06
’07 ’08 ’09 ’10
(年度)
シリコンバレーの真似をしても上手くはいかない。
シリコンバレーの真似をしても上手くはいかない。
産業界が明確な国家感を踏まえて牽引することが必要。
産業界が明確な国家感を踏まえて牽引することが必要。
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5
我が国主要産業の国際競争ポジション
-日本には技術があり、特に素材・部品が強い (「ジャパン・インサイド」)-
1000兆
1000
【 電子機器 】
(22%
22%、25兆円)
25兆円)
【医薬】
医薬】
(11%
11%、8.9兆円)
8.9兆円)
【自動車】
自動車】
(32%
%
32 、54兆円)
54兆円)
主要先端製品・部材の売上高と
世界シェア(2007年)
【電子部品・デバイス】
電子部品・デバイス】
(29%
29%、19兆円)
19兆円)
100兆
最終製品
世界市場規模
【電子部品】
電子部品】
(43%
43%、9.4兆円)
9.4兆円)
10兆
成長
【半導体】
半導体】
(22%
22%、6.4兆円)
6.4兆円)
素材・部品
【偏光板】
偏光板】
(64%
%
64 、4,730億円)
4,730億円)
1兆
(円)
【リチウムイオン電池/
リチウムイオン電池/正極・負極材】
正極・負極材】
(78%
78%、1378億円)
1378億円)
環境・エネルギー分野
(素材・部品)
1000億
【水処理分離膜】
(60%、1000億円) 【炭素繊維】
(81%、1250億円)
・バブルの大きさ:日系企業の売上額の大きさ
【化合物半導体】
化合物半導体】
(84%
84%、497億円)
497億円)
・数字:日本企業の世界シェア・、売上額
100億
0%
20%
40%
60%
80%
100%
日本企業の世界シェア
データ出所:経済産業省・平成20年度産業技術調査委託調査費「日本企業の国際競争ポジションの定量的調査事業」調査結果(委託先:
キメラ総研)、JEITA「電子情報産業の世界生産見通し」等より東レ作成。
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6
世界の先端産業を支える日本の部品・部材
- 携帯電話の事例 -
携帯電話の世界シェア
携帯電話の世界シェア
携帯電話に使われる電子部品・部材の世界シェア
携帯電話に使われる電子部品・部材の世界シェア
2012年1-3月期
三星電子
その他
ノキア
LG電子 ZTE Apple
日本
50%
中小型液晶ディスプレー
日本
86%
セラミックコンデンサー
その他7%
日本
77%
出所:米調査会社Gartner社公表データより東レ作成
リチウムイオン電池
中国
18%
韓国
日本
40%
68%
日本
35%
水晶部品 *
2011年度
*テクノ・リサーチ発表
出所:電子部品:日経新聞2008.1.1
データより東レ作成
米ディスプレイサーチより東レ作成
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7
世界の先端産業を支える日本の部品・部材
-海水淡水化プラントの事例 -
海水淡水化プラントの世界シェア
海水淡水化プラントの世界シェア
Others
Doosan
海水淡水化プラント
に使われる
海水淡水化プラントに使われる
部品・部材の世界シェア
部品・部材の世界シェア
Veolia
IDE
ACS
GE
Biwater
海水淡水化用逆浸透膜
Hyflux
Abengoa
日本
70%
Suez
Acciona
出所:
出所: IDA Desalination Yearbook 20092009-2010
Desal Data com
日本
40%
海水淡水化用高圧ポンプ
出所:
出所: AMST Survey 2010
Daiwa Security Capital Markets
写真提供:Hyflux社
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8
先端材料が先端産業を創出する
金属 無機材料
~19世紀
天然物
鉄・鋼
20世紀
新材料の創出と発展
ステンレス鋼
アルミ
21世紀
先端材料
高張力鋼
ジュラルミン
ガラス
無アルカリガラス
半導体
ゲルマニウム シリコン 化合物半導体
炭素材料
CFRP
ナノカーボン C60
有機・無機ハイブリッド材料
樹木、天然繊維
有機材料
合成ポリマー
合成繊維
エンジニアリングプラスチック
光学機能材料
CNT
非石化ポリマー
精密高分子
光機能材料
光画像性有機材料
生体適合性材料
エレクトロニクス
自動車・航空機
真空管
航空機
トランジスタ
合成ゴムタイヤ
ライフサイエンス
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LSI
LCD PDP
電子ペーパー
ハイブリッドカー
燃料電池車
次世代航空機
コンタクトレンズ 人工腎臓 カテーテル DDS バイオツール
9
継続的な研究・開発が競争力の源泉
-基礎研究が世界を変えた(炭素繊維)-
炭素繊維本格研究開始(1961)
(千トン/年) 1961年
100
大工試*・進藤博士がPAN系
炭素繊維製造の基本原理を発表
1970年
炭
東レ、大工試・進藤博士の
80
素
特許実施許諾を取得
繊
維
の
世
界
市
場
*大阪工業試験所(現産業技術総合研究所関西センター)
炭素繊維使用量:7トン/機
(東レ推定)
ボーイング 777
ボーイング777一次構造材
の認定(1990)
60
炭素繊維使用量:30トン/機
(東レ推定)
オール
コンポジット
ボーイング787
ボーイング787プロジェクト
開始(2003)
ボーイング737二次構造材の採用(1975)
40
20
本格商業生産開始(大工試法)(1971)
釣り竿の採用(1972)
ゴルフクラブの採用(1973)
産業
航空宇宙
スポーツ
0
1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 (年)
東レは炭素繊維の世界シェアの約40%を占める(2010年度:当社推定)。
東レは炭素繊維の世界シェアの約40%を占める(2010年度:当社推定)。
日本メーカー(東レ・東邦テナックス・三菱レイヨン)で世界シェアの約70%を占める(同上)。
日本メーカー(東レ・東邦テナックス・三菱レイヨン)で世界シェアの約70%を占める(同上)。
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10
Vision & Work Hard
10
現在でも
最高強度
ナノスケール表面像(STM)
「強さ」
8
ナノ
サイズ欠陥
6
4
GPa
2
サブミクロン
サイズ欠陥
ミクロン
サイズ欠陥
0
1970
1980
nm
1990
2000
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2010
11
「世界有力企業が夢に挑戦」→「日本企業が世界を制覇」
<PAN系レギュラートゥ*・タイプ>
炭素繊維メーカー
炭素繊維メーカー
の消長
の消長
参入企業
1970年
1975
1980
1985
1990
1995
東レ
東レ
日 東邦レーヨン
本 三菱レイヨン
東邦テナックス
三菱レイヨン
日本カーボン/旭化成
X
Hercules(米)
その他
東レ
台湾プラスチック
Cytec
Hexcel
三菱レイヨン
東邦テナックス
<高性能炭素繊維市場>
日本メーカー:シェア70%
(2010年度:東レ推定)
現社名
2000
Hexcel(米)
▼
Great Lakers/Akzo(米)
X
X
Celanese(米)/BASF(独)
欧 UCC/BP Amoco(米)
米 Grafil(米)
X
Courtaulds(英)
X
▼
Sigri/Hoechst(独)
Enka(独)/Akzo(蘭)
▼
Cytec(米)
SGL Carbon(独)
X
▼ :買収による規模縮小
X :撤退または売却
*単糸が24,000本以下の糸束(トゥ)のこと。
日本企業が世界を
日本企業が世界を
制覇した理由
制覇した理由
1.欧米企業は技術革新競争で脱落
-航空機メーカーの高度な性能向上要求への対応-
2.長期間に亘る研究・技術開発投資を継続
-経営の強固な意志-
3.日本政府からの継続的な支援
-20年以上に渡る研究・技術開発支援-
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12
炭素繊維に長年開発投資を行えた理由
1.素材価値を見抜く力と研究・技術開発を継続する経営の強固な意志
→市場創出を仕掛けた積極的な先行投資
2.アクリル原糸から複合材料まで垂直統合した研究・技術開発と生産技術
→原糸、焼成、樹脂、プリプレグ、成形の一貫した技術競争力(コスト、品位)
3.航空機メーカーの高度な性能向上要求へのタイムリーな対応
→参入障壁の高い航空機構造材分野での新技術による認定取得
4.研究・技術開発に対する日本政府からの継続的な支援
→大阪工業試験所の基礎研究、NEDO等の国家プロジェクトによる基礎技術確立
787
A380
TAK(韓)
[’12.12稼動予定]
CFE(仏)
[’85.10稼動]
TCA(米)
[’94.5稼動]
東レ(日)
[’71.8稼動]
CFA(米)
[’99.4稼動]
世界4極(日・米・仏・韓)で炭素繊維・プリプレグを生産
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継続的な研究・開発が競争力の源泉
-基礎研究が世界を変えた(逆浸透膜:RO膜)-
水量換算年間出荷量(
世界市場)
(万トン/日)
4000
4000
東レ自製膜でレーヨン排水処理開始(1933)
3000
3000
RO膜のコンセプト発表[米国](1953)
故ケネディ米大統領
スピーチ*(1960)
スレビア(クウェート)
その他
下廃水再利用
RO膜モジュール 写真提供:GE-Ionics社(米国) 超純水 など
研究開始(1968)
世界最大の下水再利用
プラントへ納入 (2004)
本格生産開始(超純水プラント)(1980)
2000
2000
大型かん水淡水化
プラントへ納入 (1996)
1000
1000
大型海水淡水化
プラントへ納入 (2001)
00
かん水
淡水化
海水
淡水化
(年)
1930 1935 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010
かん水:塩分を含んだ地下水など
*1960年、J.F.ケネディ上院議員(当時)が演説
(翌1961年、海水淡水化に国家事業として取り組む法案に、大統領として署名)
東レ・東洋紡・日東電工でRO膜世界シェア~65%
東レ・東洋紡・日東電工でRO膜世界シェア~65%
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14
東レのRO膜事業のグローバル展開
海水淡水化
RO膜
<トリニダード>
<アルジェリア>
<トリニダード>
<アルジェリア>
3
136,000
136,000 m
m3/日
/日 200,000
200,000 m
m33/日
/日
<アルジェリア>
<アルジェリア>
500,000m
500,000m33/日
/日
<KSA>
<KSA>
150,000m
150,000m33/日
/日
<UAE
<クエート>
<UAE >>
<クエート>
3
3
136,000
m
/日
136,000
136,000 m /日 136,000 m
m33/日
/日
<バーレーン>
<シンガポール>
<バーレーン>
<シンガポール>
3
3
218,000m
319,000
/日
319,000 m
m3/日
/日 218,000m3/日
下廃水再利用
RO膜
●
●
●
●
●
●
● ●
●
●●
●
●
●
●●
● ● ● ●● ●
●
●●
● ●●
●
●●●
●
かん水淡水化
RO膜
<韓国>
<韓国>
126,000
126,000 m
m33/日
/日
●
●
●●
●
●
●●
●
●
●
●
●
●
●
<クウェート>
<クウェート>
320,000
320,000 m
m33/日
/日
<シンガポール>
<シンガポール>
228,000
228,000 33/日
/日
●
●
<中国
<中国 >>
78,000
78,000 m
m33/日
/日
●
<KSA>
<イラン>
<イラン>
<KSA>
3
3
3
120,000
m
/日
120,000 m /日 100,000
100,000 m
m3//日
日
受注プラント代表例
受注プラント代表例
【2012年3月末出荷ベース】
【2012年3月末出荷ベース】
RO膜の全出荷量(水量換算):2,570
RO膜の全出荷量(水量換算):2,570 万m
万m33/日(10,300万人の生活用水)
/日(10,300万人の生活用水)
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持続的成長を可能にするサイクル
長 用創出)
成
的
持続 事業創出・雇
・新
大
拡
事業
存
既
(
研究・技術開発
先端材料
研究・技術開発
先端材料
利益
コモディティ化
研究・技術開発
利益
先端材料 利益
コモディティ化
国内
コモディティ化
海外
(グローバル・オペレーション)
現在
5年後
10年後
研究・技術開発(科学技術力)で創出した先端材料は国内(マザー工場)で生産/輸出
研究・技術開発(科学技術力)で創出した先端材料は国内(マザー工場)で生産/輸出
コモディティ化した製品は海外で生産(グローバル・オペレーション)、日本に投資
コモディティ化した製品は海外で生産(グローバル・オペレーション)、日本に投資
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16
「ものづくり」の次は新「ものづくり」
新「日本力」の創出
日本流
フロンティア開拓
政府が意識すべきポイント
1.日本の高コスト構造の是正:法人税、支援策導入
2.プロアクティブな為替政策
3.戦略的な通商政策:EU・日中韓FTA、TPP参加
4.電力問題:エネルギー基本政策
5.日本の科学技術力の強化
東レの考える方向性
・第4期科学技術基本計画(25兆円=GDP比1%規模)
・研究・技術開発促進税制
・時流に迎合しない継続的支援
1.既存産業の「内なる」フロンティア開拓
(1)長期視点の研究・技術開発を軸にした経営(基礎研究・創造的研究)
(2)次世代コア技術
(3)自由裁量(アングラ研究)・加点主義・専門職処遇、「深は新なり」=「極限追求」
(4)異分野・異文化融合の組織
2.バトンゾーン:公的研究機関をハブとしたコンソーシアム形成
3.グローバル知財戦略(他社参入障壁の構築)
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R&D
研究開発
東レグループは科学技術に立脚した基礎素材メーカーとして、
独創性の高い先端材料・先端技術の研究開発に
取り組んでいます。
Ⅱ.東レの研究・技術開発戦略
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東レグループの概要
“有機合成化学”、“高分子化学”
“有機合成化学”、“高分子化学” 、、 “バイオテクノロジー”、“ナノテクノロジー”、
“バイオテクノロジー”、“ナノテクノロジー”、
をコア技術にして
をコア技術にして “先端材料”を開発し、グローバルに事業展開する総合化学企業
“先端材料”を開発し、グローバルに事業展開する総合化学企業
連結売上高:1兆5,886億円
連結売上高:1兆5,886億円
連結営業利益:1,077億円
連結営業利益:1,077億円
重点育成・拡大事業
(2012年3月期実績)
(2012年3月期実績)
ライフサイエンスその他 4%
環境・エンニアリング 11%
基幹事業
繊維 40%
戦略的拡大事業
創立:1926年4月16日
創立:1926年4月16日
連結:世界23の国・地域で事業
連結:世界23の国・地域で事業
展開、従業員約4万人
展開、従業員約4万人
研究・技術開発資源
研究・技術開発資源: :
要員数:約3,500名
要員数:約3,500名
研究・技術開発費:約560億円
研究・技術開発費:約560億円
プラスチック・ケミカル 25%
炭素繊維複合材料 4%
情報通信材料・機器 15%
連結売上高
連結売上高
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先端融合研究所
(設立:2003年5月)
19
東レの研究・技術開発組織(技術センター)
技術センター
電子情報機材事業本部
関連事業本部
海外統括会社
エンジニアリング部門
水処理・環境事業本部
A&Aセンター ・開発センター(
2部署)
医薬・医療事業本部
新事業開発部門(事業化推進PJ)
経営企画室
本社スタッフ
複合材料事業本部
研究本部
経営戦略会議
常務会
フィルム事業本部
技術関係部署
会長
社長
副社長
樹脂・ケミカル事業本部
生産本部
生産関係部署
取締役会
繊維事業本部
研究・技術開発の全社的戦略や重要プロジェクトの立案を担う技術センター
研究・技術開発の全社的戦略や重要プロジェクトの立案を担う技術センター
を核とする
を核とする 「分断されていない研究・技術開発体制」
「分断されていない研究・技術開発体制」 で推進。
で推進。
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20
技術センターの組織
事
業
本
部
工
場
生
産
部
生
産
課
生
産
本
部
工
場
製
造
部
生
産
課
技
術
部
技術室(課)
スタッフ部署
技術室(課)
:本部・部門
:部・課・室
技術センターの権限が及ぶ範囲
技
術
部
技 術 セ ン タ ー 企 画 室
E
直
轄
部
署
技 術 セ ン タ ー
&
E
セ
ン
タ
ー
環 境 エ ネ ル ギ ー 開 発 セ ン タ ー
フィルム加工製品開発センター
G
P
開
発
室
技
術
開
発
推 進 室
アドバンストコンポジットセンター(ACC)
A
&
A
セ
ン
オートモーティブセンター(AMC)
タ
ー
新 事 業 開 発 部 門
エンジニアリング部門
研
究
本
部
工務1・2部、エンジニアリング開発C、E管理室
繊維研、F研、化成品研、複材研、電情材研、地球環境研、
医薬研、先端融合研、先端材料研、研開企画部
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(2012年12月1日現在)
21
研究・技術開発費/要員の推移(連結)
515
500
500
500
458
462 466
423
400
400
397
300
300
200
200
100
100
00
研究・
技術開発要員(人 )
研究・
技術開発費(
億円)
600
600
4000
4000
3500
3500
3000
3000
2500
2500
2000
2000
1500
1500
1000
1000
500
500
’05
’06
1
2 ’07
3 ’08
4 ’09
5 ’10
6 ’117
年度
00
1
2
3
4
5
6
7
’05
’06
’07
’08
’09
’10
’11
年度
2012年度計画:研究・技術開発費560億円
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グローバル事業展開とグローバル研究・技術開発拠点
TTEL
TIUK
ACE
EACC
TIEU
TCEP
TTCE
TFE
CFE
AK PEN
TMBD
TITP
<タイ>
TMEU
ALCANTARA
TIIT
<中国(華南)>
TSCH
THK Apparel
TPCH(TPSZ)
RKH(RKZ)
TFH(TFZ)
THK
TAFK
TTH
TTTM
TTS
LUCKYTEX
TPRC
TIID
<マレーシア>
TML
PENFIBRE
PENFABRIC
TPM
TBPR
東レグループ (2012/3末現在)
海外拠点数
海外連結対象会社
TAK
STECO
STEMCO
DPC
22カ国・地域
131社
海外売上高
7,124億円
海外従業員数
22,948名
VTF
TISP
<インドネシア>
TIN
ITS
OST
ISTEM
ACTEM
CENTEX
EASTERNTEX
TPJ
PNR
TIIN
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海外研究・技術開発拠点(13拠点)
TREC
TFA
CFA
<中国(華東)>
TCH
TFNL
TSD
TPN
TFRC
TJQ
TFCC
YTP
TBMC
TMQ
TICH
TARC
TPA
TCA
TAM
(西海岸)
TMUS
TIAM
TAM
TCAM
TORUS
繊維
樹脂・ケミカル
TMB
フィルム
電子情報材料
炭素繊維・複合材料
商事
医薬・医療
その他
水処理
地域統括会社
(2012
2012年3月末主要会社のみ)
23
グローバル研究体制の構築
欧州
欧州
複合材料
韓国
韓国
IT用フィルム
電情材 など
複材研究拠点
複材研究拠点
尖端材料研究センター
尖端材料研究センター
(AMRC)
(AMRC)
・エアバス、自動
車メーカー向け
研究・開発
2008年7月設立、TAK内
2008年7月設立、TAK内
・三星、LG 向け研究・開発
・先端材料研究
・研究初期からの有力顧客との連携
・各国の優秀研究者の活用
・異分野・異文化融合による新たな発想
日本
日本
ソウル圏・亀尾
中国
中国
繊維、樹脂・ケミカル、
フィルム、複材、電情材、
水処理 など
南通・上海
TFRC
TFRC
2002年
2002年 3月南通に設立
3月南通に設立
2004年10月上海に設立
2004年10月上海に設立
TARC
TARC
2011年
2011年 1月上海に設立
1月上海に設立
・繊維研究・開発
・先端材料研究所とのリンク
・中国ニーズを考慮した研究
・中国研究者との共同研究
シアトル
サンフランシスコ
(西海岸拠点)
東レ
(研究本部)
米国
米国
シンガポール
複合材料、
先端技術調査・研究 など
複材研分所
複材研分所
2007年10月設立
2007年10月設立 TCA内
TCA内
シンガポール
シンガポール
水処理技術
・ボーイング向け研究・開発
・米国研究者との連携
地球環境研分所(TSWRC)
地球環境研分所(TSWRC)
2009年9月設立
2009年9月設立 TISP内
TISP内
・水処理研究・開発インフラ
の活用、共同研究
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米国情報拠点
米国情報拠点
TAM内
TAM内
・成長分野 ベンチャー技術の
発掘、研究・ビジネス提携
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東レの研究・技術開発の特徴・強み
1.革新技術を生み出す土壌・歴史 : 基礎研究の重視
2.先端材料・極限追求への長期に亘る粘り強い取り組み
3.多くの分野の専門家集団
4.分断されていない研究・技術開発組織
技術融合
5.産官学連携研究の積極的取り組み
6.業界リーダーとの戦略的パートナーシップ
7.高い分析・解析力 : TRC
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基礎研究の重視・粘り強い取り組み
極限の追求によるイノベーション
社会の要請
““深は新なり”
深は新なり”
技術の極限追求
科学技術的
価値の創造
高強度化 微細化
高耐熱性 高感度化
革新性
普遍性
汎用性
新分野創設
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など
新技術・
新商品の事業化
環境問題
食糧不足
エネルギー枯渇
健康・医療
イノベーション
イノベーション
社会的
価値の増大
経済的
価値の増大
フィードバック
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基礎研究の重視・粘り強い取り組み
極限追求 (フィルム)
100nm
10nm
1nm
ナノ積層フィルム
フィルムの表面形成
高精度多層積層技術
5nm
記録テープ用フィルム
表面粗度制御
(10~20nm)
新技術
新技術
300nm
300nm
10~20nm
断面写真
厚
み
方
向
ナノレベルの多層積層技術
PET
共重合PET
革新フィルム創出・用途拡大
走行性・記録特性両立
高屈折率ポリマー
高性能反射フィルム
低屈折率ポリマー
オレフィンを
超微分散化
オレフィンをPET中に
PET中に超微分散化
耐引裂強度向上
LCD用
反射フィルム
傾斜多層積層
世界最高レベル
の輝度実現
2μm
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ガラス保護フィルム
金属光沢調フィルム
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技術融合の重要性
先端融合研究所:「融合研究」の拠点
設立:2003年5月
基本方針:
基本方針:
(1)新たな「価値創造領域」創出のための
(1)新たな「価値創造領域」創出のための
本質的・先導的研究
本質的・先導的研究
(2)外部との連携による研究の視野拡大
(2)外部との連携による研究の視野拡大
(異分野融合と自前主義脱却)
(異分野融合と自前主義脱却)
(3)自由な発想での研究推進
(3)自由な発想での研究推進
先端融合研究所(鎌倉)
要素技術の融合
PT
専門分野の融合
工学系
生物系
化学系
物理系
居室の融合
大部屋化による研究者の交流促進
大部屋化による研究者の交流促進
(ポリマー)
BT
NT
(バイオ)
IT
(ナノ)
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技術融合の重要性
膜利用バイオプロセス
バイオ技術 + 水処理膜技術 → Innovation
バイオマス
(セルロース)
バイオケミカルズ
糖
R
合成・重合・ポリマー加工
H O - (CH2)n - O H
糖化
H
2
N -(CH2)n- N H
2
膜利用発酵プロセス
膜利用糖化プロセス
糖精製・濃縮、酵素回収
高品質な糖の提供
菌体分離
生産性向上
糖
糖化酵素
UF膜 RO膜
発酵液
発酵液
MF膜
膜利用精製プロセス
不純物除去・物質濃縮
高純度化・省エネルギー
微生物
糖
MF膜
COOH
精製
発酵
バイオマス
繊維、フィルム、樹脂
ケミ
カル
NF膜
RO膜
不純物
水
バイオマス由来のポリマー原料製造に膜利用バイオプロセスを適用できる。
バイオマス由来のポリマー原料製造に膜利用バイオプロセスを適用できる。
従来方に比べ、発酵効果の飛躍的向上(長期連続発酵と発酵速度アップ)
従来方に比べ、発酵効果の飛躍的向上(長期連続発酵と発酵速度アップ)
および精製エネルギー節減(不純物除去および濃縮プロセス)を実現。
および精製エネルギー節減(不純物除去および濃縮プロセス)を実現。
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技術融合の重要性
分断されていない研究・技術開発組織
事業ネットワーク
基礎化学素材
・そのための技術
研究本部
革新ポリマー
繊維
ナノアロイ®
ナノアロイ®
樹脂・ケミカル
新事業開発部門
開発センター
エンジニアリング部門
生産本部/技術部
フィルム
コア技術
ナノ構造制御
有機合成化学
有機合成化学
高純度CNT
電情材
高分子化学
高分子化学
炭素繊維複合材料
医薬・医療
バイオテクノロジー
バイオテクノロジー
膜利用バイオプロセス
ナノテクノロジー
ナノテクノロジー
・
・
・
複合材料
水処理・環境
環境・
水・
エネルギー
ライフサイエンス
自動車・
航空機
情報・
通信・
エレクトロニクス
技術センター
関連
など
分断されていない研究・技術開発組織からは、技術の融合による新技術が
分断されていない研究・技術開発組織からは、技術の融合による新技術が
生まれやすい。→脳のヒラメキの回路と類似
生まれやすい。→脳のヒラメキの回路と類似
さまざまな固有技術、基礎化学素材(もともとは他の分野のために創られた
さまざまな固有技術、基礎化学素材(もともとは他の分野のために創られた
ものも含めて)が、複数の事業に大いに貢献する。
ものも含めて)が、複数の事業に大いに貢献する。
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技術融合の重要性
ひらめきの科学
・
・
・
・
ひらめき脳 -茂木健一郎氏-
学習→側頭葉に記憶や体験のアーカイヴ
側頭葉での記憶の編集←→前頭葉 ・・・→ひらめき
「記憶すること」「学習すること」と「創造的であること」は逆のベクトルではない
(=無からひらめきは生まれない)
・ 私のことー高校の物理・化学の授業(ほとんどが実験)
・ Chance Favors the Prepared Mind
・ 脳のひらめきの仕組みを、東レは1箇所に集めた
R&D組織(=技術センター)が担っている
・ 多くの専門家(知識)集団が1パッケージ
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産官学連携研究
公的研究機関をハブとした重要施策の推進
(狙い)
(狙い)
公的研究機関をハブとし、企業を含む研究ネットワークを組織
公的研究機関をハブとし、企業を含む研究ネットワークを組織
日本としての国際貢献を目に見える形で示せる重要課題を推進
日本としての国際貢献を目に見える形で示せる重要課題を推進
(内容)
(内容) 1.アカデミア、企業(垂直連携)をネットワーク化し、日本として
1.アカデミア、企業(垂直連携)をネットワーク化し、日本として
の強みを作るための研究を推進[例:環境・水]
の強みを作るための研究を推進[例:環境・水]
2.公的研究機関がハブとなって全体をオーガナイズ、テーマや
2.公的研究機関がハブとなって全体をオーガナイズ、テーマや
参加組織の入れ替えを行い、成果の最大化を図る
参加組織の入れ替えを行い、成果の最大化を図る
3.テーマ評価制度
3.テーマ評価制度
企業A
公的研究機関
大学A
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ハブ拠点
大学B
企業B
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戦略的パートナーシップ
ユニクロ×東レの「戦略的パートナーシップ」①
第1回パートナーシップ締結 : 2006年6月
屋外の防寒と
技術コンセプト
技術コンセプト 暖房の効いた屋内に移動した時の
発汗によるべたつき感を抑える
第2回パートナーシップ締結 : 2010年7月
発熱・保温・吸汗速乾
超目玉商品(フリース、ヒートテック® 、ウルトラライトダウン
®等)を開発し、新市場、新顧客を創出する。
[単位:万枚]
高
「ヒートテック®」製品枚数
「ヒートテック®」製品枚数
機能
汗
吸汗速乾
12500
10000
8,000万枚
7500
5000
2500
5,000万枚
衣服内温度
1億枚
暖かい
水蒸気
2,800万枚
2,000万枚
1,200万枚
450万枚
暑い、
ムレ感
屋内
(暖房)
吸湿発熱
+
保温
寒い
屋外
0
'05年 '06年 '07年 '08年 '09年 '10年 '11年
Copyright 2012 Toray Industries, Inc. All Rights Reserved
低
ヒートテック®、ウルトラライトダウン®は株式会社ファーストリティニング社の商標です。
33
戦略的パートナーシップ
ユニクロ×東レの「戦略的パートナーシップ」②
「発熱・保温・吸汗速乾」 機能を支える技術
保温機能
発熱機能
水蒸気吸着→
吸汗速乾機能
発熱
レーヨン
異型断面ポリエステル
肌
レーヨン繊維が体から蒸発する水蒸気を
官能基で吸着し、水分子の運動エネルギー
を熱エネルギーに変換し発熱(湿潤熱)
マイクロアクリルのエアポケット
星型繊維で表面積増、水分を吸収、
拡散し、肌面の不快なべとつき感を軽減
短繊維の混合体
ポリウレタン弾性繊維
ヒートテック®の編地構造
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高い分析・解析力
東レリサーチセンター(TRC)
企業理念:
企業理念:高度
高度の
の技術
技術で社会に貢献する
で社会に貢献する
モットー
モットー :: 信頼性の高い技術
信頼性の高い技術を提供させていただくこと
を提供させていただくこと
機密保持
機密保持を厳守すること
を厳守すること
((Technology
Technology&&Trust
Trust))
業務内容:
業務内容:分析・物性評価の受託、試験研究受託、
分析・物性評価の受託、試験研究受託、
調査研究、研究開発受託
調査研究、研究開発受託
設立:
設立:
1978
1978年
年66月(要員数:416名(
月(要員数:416名(2012.3末
2012.3末))
))
研究・開発・生産を
支援するTRCの総合力
構造解析
表面分析 形態観察
材料物性
有機分析 無機分析
医薬・ライフサイエンス
環境・エネルギー 研究開発受託
調査研究/出版
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Toray’s IP Strategy
Ⅲ.東レの知的財産活動と戦略
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36
国内・海外特許保有件数*(2011年度概要)
2012年3月末国内特許保有件数
*東レ単体と国内・海外関連会社40社の合計。
※実施中が1,808件(41.5%)、将来実施予定が1,879件。
2012年3月末海外特許保有件数
※フィルム、炭素繊維複合材料、ライフサイエンスの比率が国内保有特許件数と比較して相対的に
高いことは、これら事業分野のグローバルな事業拡大を目指していることの表れである。
Copyright 2012 Toray Industries, Inc. All Rights Reserved
(データ出所:東レ知的財産報告書2011) 37
国内・海外特許出願件数*(2011年度概要)
2011年度国内特許出願件数
*東レ単体と国内・海外関連会社40社の合計。
※フィルム、炭素繊維複合材料、ライフサイエンス、水処理の比率が国内特許保有件数と比較して
相対的に高いことは、東レグループが戦略的拡大・育成事業分野への積極的な出願の表れである。
2011年度海外特許出願件数
※ライフサイエンス、水処理の比率が国内特許出願件数と比較して相対的に高いことは、これら事
業分野のグローバルな事業拡大を目指していることの表れである。
Copyright 2012 Toray Industries, Inc. All Rights Reserved
(データ出所:東レ知的財産報告書2011) 38
東レの事業本部・部門と組織図
技術センター
社長直轄
知的財産部門
グローバル研究拠点
知的財産部
(株)東レ知的財産センター
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39
知的財産の取得・管理、営業秘密管理および
技術流出防止に関する方針
「特許管理規程」 「特許管理規準」
「商号・社章・営業登録商標管理規程」
「商標管理規程」 「商標管理規準」
「特許会議」 「ブランド会議」
「秘密情報管理規程」
「電子セキュリティ規準」
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40
出願戦略・防衛戦略・権利活用戦略の連動
実現のための
実現のための
方策と戦略
方策と戦略
基本方針
特許表彰制度
防衛戦略
出願戦略
権利活用戦略
特許補償制度
Aランクプロジェクト
基盤強化(OA化)
質の向上
特許ポジションの正確な把握
質の向上策
調査機能・能力の向上
特許知識の習得
知財教育の充実
特許マインドの向上
特許マインドの向上
知財戦略会議等
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41
出願の質・数の両立(特許の質の向上)
特許の質の向上策と質の評価スキーム
発明
発明相談メモ
発明相談メモ
先行技術との対比表
先行技術との対比表
出願
出願の質の評価
出願の質の評価
国内優先権チェックリスト
国内優先権チェックリスト
審査請求要否判断基準
審査請求要否判断基準
審査
質の
の評
評価
価
質
質の
の向
向上
上策
策
質
質の向上チェックリスト
質の向上チェックリスト
補正・分割の活用
補正・分割の活用
特許
権利維持・放棄判断基準
権利維持・放棄判断基準
実績補償査定基準
実績補償査定基準
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重点化(Aランクプロジェクト)
Aランクプロジェクト
選択と集中を図る重点化施策として、特許実務上の最重要課題をAランクプロ
選択と集中を図る重点化施策として、特許実務上の最重要課題をAランクプロ
ジェクトに認定し、リーダーと担当役員を設定し、技術系役員会において定期的に
ジェクトに認定し、リーダーと担当役員を設定し、技術系役員会において定期的に
フォロー。先端材料に代表される重要な分野においては、多くのテーマが、いずれか
フォロー。先端材料に代表される重要な分野においては、多くのテーマが、いずれか
のAランクプロジェクトに設定。
のAランクプロジェクトに設定。
Aランク権利化プロジェクト
新規の技術及びその周辺技術に関する特許網を、出願行為及び権利化のための行
新規の技術及びその周辺技術に関する特許網を、出願行為及び権利化のための行
為を通じて構築。
為を通じて構築。
Aランク防衛プロジェクト
重要な研究・技術開発について他社権利との関係を早期に明確化するとともに、
重要な研究・技術開発について他社権利との関係を早期に明確化するとともに、
重要な影響を持つ他社特許に対しては、その対応策を早期に明確化
重要な影響を持つ他社特許に対しては、その対応策を早期に明確化。
。
Aランク権利活用プロジェクト
当社権利に対する他社の侵害に対して正当に当社権利を主張し、他社を牽制し、他
当社権利に対する他社の侵害に対して正当に当社権利を主張し、他社を牽制し、他
社の当社権利の実施に対しては正当な対価を取得し、当社事業に大きく貢献。
社の当社権利の実施に対しては正当な対価を取得し、当社事業に大きく貢献。
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特許グローバル戦略(ケーススタディ)
技術内容
<1992年> 磁気テープ用ベースフィルムとして事業化。
<1996年> 大河内記念生産特賞 受賞。
PETフィルム
不
良
従来技術
0.4
↑ 摩
走 擦
行 係 0.3
性 数
新技術
300nm
10~20nm
↓
新技術
従来技術
0.2
良
10
15
20
25
表面粗度 (nm)
良 ← 記録特性 → 不良
SEM 写真(フィルム断面)
表面粗度を10~20nmのオーダーで制御
「走行性」と「記録特性」のトレードオフを解決
展開 ・東レフィルムの標準タイプとして全世界で生産・販売中。
磁気記録媒体
磁気記録媒体
セラミック離型
セラミック離型
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偏光板離型
偏光板離型
44
特許グローバル戦略(ケーススタディ)
表層に粒子偏在
突起高さ均一
t:積層厚さ
d:粒子径
必然的な特徴
+用途限定
+必須条件
積層厚さ均一
薄膜積層
3層積層
中間層に粒子
各種用途
基本登録特許
+構成要件
(t≦3μm)
t/d≦10
+品質達成要件
表層に特定粒子
突起個数、強度等
全世界で強い特許網を構築
全世界で強い特許網を構築
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技術革新による先端材料の持続的創出
グローバル知財戦略
グローバル知財戦略
新技術
極限追求
ユニークな特性
組み合せ
先端材料の創出
現場・現物
具体論
Innovation
Innovation
新しい価値の創造
新しい価値の創造
人財
顧客満足度
ビジネスモデル
マーケットニーズ
社会の要請
ストーリー性
垂直連携
材料の革新なくしては本質的なソリューション・魅力ある新製品は生まれてこない
材料の革新なくしては本質的なソリューション・魅力ある新製品は生まれてこない
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46
Copyright 2012 Toray Industries, Inc. All Rights Reserved
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