東レのフィルム事業戦略について

<第2回東レIRセミナー>
東レのフィルム事業戦略について
2002年12月13日
東レ株式会社
フィルム事業部門長 折戸 祐輔
1
2
目次
1.フィルム事業概況
2.主力製品 ルミラー の事業展開
3.今後の ルミラー 事業展開方針
中期経営課題 H15−H17
3
フィルム事業概況
4
フィルム事業部門の組織
樹脂事業部門
滋賀工場
岐阜工場
三島工場
フィルム事業部門
土浦工場
工業材料事業第1部
フィルム技術部
工業材料事業第2部
高機能フィルム技術部
記録材料事業部
F加工製品開発C
フィルム貿易部
国内・海外関係会社
フィルム研究所
生産本部
プラスチック事業本部
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フィルム製品
商標
商品
ポリエステルフィルム(PET)
トレファン
TORAYFAN
ポリプロピレンフィルム(PP)
トレリナ
TORELINA
ポリフェニレン・サルフィドフィルム(PPS)
ミクトロン
MICTRON
アラミドフィルム
タフトップ
TUFTOP
表面高硬度ポリエステルフィルム
ハイビーム HIGHBEAM
金属化ポリエステルフィルム
AC/MC
コンデンサ用金属フィルム
AC/MC LUMIRROR
AC/MC TORAYFAN
フィルム加工品
LUMIRROR
フ ィ ル ム
ルミラー
フィルム製品の特長と用途
製品名
特長
ルミラー 強靭性、透明性、耐薬品性
主な用途
一般工業、包装、
磁気材料、コンデンサ
トレファン 軽量、抗張力、電気特性、機械 一般工業、プリントラミ、
的性質、耐薬品性、防湿性
包装材料、コンデンサ
コンデンサ 、電気絶縁、
湿度寸法安定性、クリープ安定性 電子部品、OA機器
ミクトロン 高剛性、耐熱性、低吸湿性、表 磁気記録媒体
面性、ガスバリア性
トレリナ 耐熱性、難燃性、耐薬品性、
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国内のフィルム生産拠点
東レ(株)
三島、滋賀、岐阜工場
土浦工場
東洋メタライジング㈱
三島、福島工場
東レ合成フィルム㈱
高槻、中津川工場
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海外のフィルム生産拠点
TPEU社(Toray Plastics Europe S.A.)
8
YTP社(Yihua Toray Polyester Film Co.,Ltd.)
China
France
TSI社(Toray Saehan Inc.)
Korea
東レ
Japan
3TP社(3TM Plastics Co.,Ltd.)
Thailand
TPA社(Toray Plastics (America) ,Inc.)
U.S.A.
TFZ社(Toray Film Products (Zhongshan)
Ltd.).
China
PFR社(Penfibre Sdn. Berhad)
Malaysia
フィルム生産工場
フィルム蒸着加工場
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主力製品 ルミラー の事業展開
ルミラー の用途
包装用途
磁気材料用途
HV
磁気テープ
DLT
LTO
工業材料用途
電子部品
離型紙、工程紙
ラベル、カード
受容紙、ICカード
光学用(液晶ディスプレイ、PDP)
コンデンサ
10
11
これまでの事業展開
東レ単体 ルミラー販売量推移
海外生産強化
高成長
日本国内の
設備増強
0
1963
66
69
72
ルミラー
1985〜
1990
1990〜
2000
75
78
81
84
87
90
93
PETフィルム業界のトップ
HV中心に急拡大
工材用途(コンデンサ、リボン等)の拡
大
対応策
世界NO.1メーカーを目指した
円高
GLOBALIZATION
顧客の海外生産シフト
世界6極体制
の構築
96
12
ルミラー 世界6極体制の構築
生産能力(千t/年)
300
YTP社 01/7
TSI社
99/12
250
PFR社 F2 99/5
PFR社 F1 98/8
200
TPEU社 V3
TPEU社
150
TPA社 L3
TPA社 L2
100
TPA社 L1
TSI社
99/4
PFR社
96/4
97/4
TPEU社
93/12
TPA社
91/1
50
TORAY
0
'60
'70
'80
'90
'00
13
現在の ルミラー の生産能力
単位:1万t/年
9.0
5.0
TPEU社
FRANCE
3.0
9.0
TSI社
1.5 KOREA
0.6
東レ
YTP社 JAPAN
TPA社
U.S.A.
CHINA
PFR社
MALAYSIA
3.0
既存設備
今後増設
YTP社2号機2004年前半稼働予定
ホームビデオ用ベースフィルムの
世界需要推移
千t/年
250
世界需要が減少する中、韓国
が世界の生産基地へ
日本
北米
欧州
200
韓国
150
100
50
0
1996
1998
2000
2001
2002
14
15
汎用PETフィルムの価格推移
(1996年を100とした指数)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
ホームビデオ
工材厚物
包工材薄物
1996
1998
2000
2001
16
前世紀末の変化に対する対応策
環境変化
包工材用途汎用品市場
の競争激化
当社の対応策
低コスト供給基地としての
PFR社(マレーシア)の設立
1998年〜
ホームビデオ用途の
TSI社(韓国)の設立 1999年
韓国市場へのシフト
日本及びTPA社(米)での
需要低下
磁材→工材への転換
拡大する中国市場対応
YTP社(中国)の設立 2001年
17
今後の ルミラー 事業展開方針
中期経営課題 H15−H17
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今後のフィルム事業展開方針
事業環境
市場の成長鈍化(+4.4%/年)
需給のインバランス
基本方針
価格の底打ち(反発)
グローバルオペレーション
の深化による収益体質強
化と事業拡大
日米欧市場構造変化
フィルム加工事業の拡大
(設備能力150万t/年、需要120万t/年)
特品用途拡大
包装用途競争激化
中国市場の拡大
“New Value Creator”
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グローバリゼーションの深化(進化)による
収益体質強化と事業拡大
欧州向け付加価値
HV用途グローバル生産拠点
包工材用途の拡大
包工材用途 韓国内シェア拡大
北米向け付加価値
包工材用途の拡大
中国市場対応
2号機の立上げ
TPEU社
TSI社
設備増強
Toray
YTP社
PFR社
高付加価値・戦略用途の拡大
汎用品グローバル生産拠点
準汎用分野への転換
TPA社
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現在のグローバルオペレーション図
TPA社⇒TPEu社
品種補完
TPEu社⇒TPA社
TTR
DFR
包材
工材厚物
汎用品供給
TPEu社
TSI社⇒TPEu社
TSI社⇒東レ
包材
汎用品供給
TSI社⇒TPA社
HV
包材
TSI社
HV
包材
東レ
YTP社
汎用品供給
東レ⇒TPA社
工材厚物
中国市場 汎用品供給
汎用品供給
PFR社⇒TPEu社
工材他
汎用品供給
PFR社
PFR社⇒東レ
包材
工材厚物
工材薄物
PFR社⇒TPA社
包材
工材厚物
TPA社
東レ(日本)における
高付加価値・戦略用途の拡大
磁気材料用途
工材用途
コンピュータ・データ・ストレージ(SDLT、LTO)
デジタル・ビデオ・カセット
情報技術関連用途
(液晶関連部材、DFR、工程離型紙)
コンデンサ用薄物、極薄品の拡大
包装用途
付加価値新製品の拡大(APT、NOA)
新規フィルム
新規フィルム
日本を開発センターにする
高機能フィルム技術部設置
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フィルム事業でのIT関連用途
情報処理
電子部品、セラミックコンデンサ離型、
DFR(ドライフィルムフォトレジスト)、
フィルムコンデンサ、回路材料、OA機器
情報表示
光学用(液晶ディスプレイ、PDP)
デジタルビデオ、データ記録用テープ、
情報記録
リボン、孔版、受容紙、ホームビデオ
ICカード
22
23
戦略的拡大分野
1) IT市場の拡大
2002年
2005年
IT用途売上高
非IT関連
非IT関連
41%
IT関連
34%
IT関連
59%
66%
2) 地球環境保護市場の拡大
「省エネ」「長寿命」「環境安全」「ゴミ減量」需要拡大
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液晶ディスプレイ用フィルム
液晶ディスプレイ
パネル構成
(ハードコート易接着)
ARフィルム:PETフィルム
タッチパネル:PETフィルム
偏光板
液晶ディスプレイ
偏光板
ガラス
液晶層
粘着層
偏光板離型フィルム:PETフィルム
(配向角 小)
ガラス
視野角拡大フィルム
プリズムフィルム
光拡散フィルム :PETフィルム
反射型偏光板
冷陰極管
(超透明,キズ無し)
導光板:アクリル板
光反射板:PETフィルム
(白色,高輝度)
革新設備による
ルミラー 超高品位グレードの創出
導入工場
: 三島工場(静岡県三島市)
生産能力
: 2,500t/年(4ミクロン換算)
生産開始時期
: 平成14年末〜
設備の特長
: 強度・寸法安定性に優れ、超平滑かつ
欠点のない表面を有する超高品質グレー
ドが生産可能
対象用途
: 高機能デジタル記録用途
極薄工業材料用途(コンデンサ)
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包装用途 付加価値新製品 NOA、APT
NOA Nano-Order Alloy Controlled PET film
ナイロンのもつ強靱性+PETの持つ加工安定性
APT Amorphous-controlled PET film
耐熱・耐寒性向上
成型性良
+環境安全性
+易滑性付与
フィルム加工品事業の拡大
1) 包装用蒸着事業の拡大
27
レトルト、パウチなどハイバリア軟包装需要の拡大
とアルミフォイル代替の進展 =環境の要請=
グローバルオペレーション活用による拡大と高収益確保
東レ合成フィルム/東洋メタライジング、3TP社(タイ)、TSI社(韓国)
新規ベースフィルム(NOA、PBTなど)加工品需要の開拓
2) 工業用フィルム加工品事業の拡大
情報関連、ディスプレイ関連需要の進化拡大
スパッタリング、コーティング技術を駆使、IT関連・環境・医療等の分野での拡大
東洋メタライジング、協力工場
TSI社での設備増強と韓国市場の開拓
3) コンデンサ蒸着事業の再構築
日米汎用需要のシフトと新規需要の拡大
TFZ社(中国)の拡大
日本での新規高機能需要の開発 IT関連と自動車関連
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東洋メタラインジング社概況
主な事業内容
包材蒸着で日本一
1.真空蒸着加工品の製造・販売
2.フィルム加工品の製造・販売
本社 中央区日本橋
工場 三島、福島
工業材料 : ラベル、ルミエース、SP、セラピール
包装材料 : 一般包材、バリアロックス
コンデンサ 、 AR 、 メタロイヤル
メタロイヤル は、接着剤を使用せずメッキ
法によりポリイミドフィルム上に銅層を形成し
た2層FPC基板材料。
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東レ合成フィルム社概況
主な事業内容
各種合成樹脂フィルムの製造・加工・販売
本社 大阪府高槻市
工場 高槻、中津川
商標
商品
トレファンNO
無延伸PPフィルム
CFフィルム
ピーラブルフィルム
トレテック
表面保護フィルム
レイファンNO
ナイロンフィルム
トヨフロン
フッ素フィルム
LLフィルム
直鎖状低密度ポリエチレン
トレパロイ
特殊ポリエステル系アロイフィルム
コンデンサ用フィルム市場と当社の位置づけ
1.コンデンサ用フィルムの流れ
原反メーカー
東レG
(PET,OPP,PPS)
蒸着コンバーター
コンデンサメーカー
東レG
コンデンサ
専業メーカー
フィルム&蒸着兼業メーカー
蒸着&コンデンサ
兼業メーカー
フィルム専業
メーカー
計 3,590t/月
(43,080t/年)
蒸着専業メーカー
計 2,500t/月
(30,000t/年)
箔巻 10,000t/年
計 2,500t/月
(30,000t/年)
30
コンデンサ用フィルム事業の素材別戦略
フィルムコンデンサ市場をめぐる環境変化
1.電子部品業界は世界的に回復の兆しを見せている。
2.他種コンデンサとの競合激化。 ==> 価格下落。
3.生産基地の移転加速(日、米、欧から中国他のアジアへ)
当社の戦略
1.日本での新製品開発強化
2.需要地に合わせた生産体制の再構築
素材
現状生産拠点
新規開発(日本)
再構築戦略
ルミラー
日本(滋賀、三島)
高機能超極薄フィルムの開発
汎用品の韓国(TSI社)、中国(YTP社)への生産移管
(PET)
韓国(TSI社)
耐熱性向上フィルムの開発
日本での生産体制の再構築
トレファン
日本(土浦)
ハイブリッド車用極薄フィルムの開発
高機能用途に集中
日本(岐阜)
超極薄(サブミクロン)フィルムの開発
日本(東メタ、加古川)
ハイブリッド車用特殊蒸着フィルム
中国新蒸着会社(TFZ社)の早期立上げ
米国(TPA社)
の開発
蒸着事業見極め
(OPP)
トレリナ
(PPS)
蒸着品
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ハイブリッドカー用高機能コンデンサの開発
台/年
X社のハイブリットカー販売実績推移
60000
アルミ電解コンデンサ
タイプC
50000
タイプB
40000
30000
タイプA
20000
10000
0
1997
1998
1999
2000
2001
2002
発電器
インバーターの高電圧化により
ハイブリッドカー用コンデンサは
フィルムコンデンサが品質的に優位
インバータ
バッテリー
エンジン
モーター
トランスミッション
ハイブリットカーの市場予測 2005年30万台/年
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フィルム事業戦略のまとめ
ルミラー
世界一のメーカーで有り続ける。
グローバルオペレーションの深化による収益性改善。
6極の役割と位置づけ。
トレファン
工材・包材はniche、コンデンサで世界一。
トレリナ
世界唯一の供給メーカーとして拡大。
ミクトロン
高機能フィルムとして、次世代デジタルストレージ用途、
工業用途の拡大。
フィルム
加工品
新規フィルム加工事業の拡大
総合フィルムメーカーとして世界をリード
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本資料中の業績予想、見通し及び事
業計画についての記述は、
現時点における将来の経済環境予想
等の仮定に基づいています。
本資料において当社の将来の業績を
保証するものではありません。