ビタミンC−多様な働きから所要量まで

ビタミンC−多様な働きから所要量まで
近畿大学
農学部
食品栄養学科
重岡成,武田徹,村上恵
ビタミンCの歴史・・・
■ 壊血病
・・・粘膜や歯肉から出血する病気
・大航海時代には多くの船員が壊血病で死亡。
(バスコ・ダ・ガマのインド航路発見の際には、
160人の乗組員のうち100人が「壊血病」で死亡)
・18世紀半ばイギリスの海軍医リンドがオレンジやレモンなどの柑橘類を食べる
ことで壊血病を予防できることを発見。
・1928年 セントージェルジ博士がウシ副腎から新しい糖類似物質を結晶状に
分離し、へキスロン酸と命名した。
・ほとんど同じ時期にキング博士らによってレモンから分離され
ビタミンCと確認された。
ビタミンCの名前の由来・・・
アスコルビン酸 ascorbic acid
a (anti) = 抗、
scorbic (scorbutic) = 壊血病の、
acid = 酸 (因子)
つまり「壊血病を防ぐ因子」
ビタミンCは何色・・・?
レモン色?
白色粉末
ビタミンCの構造・・・
O
C
H
C
O
HO
C
H
C
OH
HO
C
HO
C
H
H
C
H
C
OH
HO
C
H
C
OH
O
H
CH2OH
L-アスコルビン酸
(AsA)
CH2OH
D-グルコース
ビタミンCの異性体・・・
・L(+)-AsA(ビタミンC)
・D(+)-AsA
自然界には存在しない。
・L(-)-AsA
・D(-)-AsA(エリソルビン酸)
アスコルビン酸と同程度の抗酸化性を示すが、
生理活性はアスコルビン酸の1/20程度。
自然界にビタミンCの異性体は存在しない。
天然のビタミンCと合成ビタミンCは構造も機能も
全く同じ!!
ビタミンCの酸化還元サイクル・・・
A: 活性酸素 (O2-, OH・, 1O2, H2O2)
金属イオン (Fe3+, Cu2+)
ferri-cyt c, b5
酸化型α-トコフェロール
CH2OH
HCOH
AsA
A
O
CH2OH
HCOH
AH
O
O
O
NAD(P)+
OH
NAD(P)H
OH
OH
不均化
GSSG
ferri-cyt c, b5
GSH
アスコルビン酸
(AsA: 還元型)
ferro-cyt c, b5
CH2OH
HCOH
O・
モノデヒドロ
アスコルビン酸
(MDAsA)
DAsA
O
O
デヒドロアスコルビン酸
(DAsA:酸化型)
O
O
ビタミンCの生合成経路・・・
D -ガ ラ ク ト ー ス
D -グ ルク ロ ン 酸-1 リ ン 酸
U D P-D -ガ ラ ク ト ー ス
U D P-D -グ ルク ロ ン 酸
D -グ ルク ロ ン 酸
U D P-D -グ ルコ ー ス
L -グ ロ ン 酸
D -グ ルク ロ ノ ラ ク ト ン
L -グ ロ ノ -1 , 4 -ラ ク ト ン
D -グ ルク ロ ン 酸-1 リ ン 酸
D -グ ルコ ー ス -1 リ ン 酸
3 -ケ ト -L -グ ロ ン 酸
L -ア ス コ ルビ ン 酸
L -キ シ ロ ー ス
デ ヒ ド ロ ア ス コ ルビ ン 酸
ウ ロ ン 酸回路
D -グ ルコ ー ス -6 リ ン 酸
D -グ ルコ ー ス
ペン ト ース リ ン 酸回路
キシ リ ト ール
2 , 3 -ジ ケ ト -グ ロ ン 酸
D -キ シ ルロ ー ス
D -キ シ ルロ ー ス -5 リ ン 酸
尿酸、 酒石酸
霊長類はビタミンCを合成できない・・・
ヒト、霊長類、モルモット、高等な鳥類などはブドウ糖から
ビタミンCへの変換過程に関与する酵素を持っていない。
ヒトにはL-グロノ-1,4-ラクトン酸化酵素の遺伝子は存在するが、
多くの変異があり、酵素タンパク質を作ることが出来ない。
D-グルコース
L-グロノ-γ-ラクトン
L-グロノ-1,4-ラクトン酸化酵素
L-アスコルビン酸
動物のビタミンCの生合成能力・・・
肝臓における1日当たりの生合成量
ラット 150 mg/kg体重/日
ウサギ 275 mg/kg体重/日
マウス
ビタミンCの生理機能・・・
抗酸化作用:
コラーゲンの形成:
生体異物の代謝:
O2-, OH・, H2O2, 1O2などの活性酸素種の消去剤として機能する。
ヒトの総たんぱく質の約30%を占めるコラーゲンの合成に関与する。
体内に進入したさまざまな異物を解毒/代謝するシトクロームP450
の活性化を維持する。
コレステロール:
/脂肪酸の代謝
脂肪酸の分解に関与するカルニチンがリジンから生合成される過程の
2つの水酸化酵素のコファクターとなる。
コレステロールから胆汁酸が合成される過程に必要である。
アミノ酸:
ホルモンの代謝
その他:
副腎髄質や神経組織でチロシンからノルアドレナリンが生成される過程に
含まれるドーパミンヒドロキシラーゼに必要である。
鉄イオンを2価に保つことで吸収を促進する。
消化管内での発がん物質の一つであるニトロソアミンの生成を抑制する。
ビタミンEラジカルを還元してビタミンEを再生する。
ビタミンCの生理機能・・・
還元作用
コラーゲンの生成と維持
カルニチンの生成に関与
発がん物質ニトロソアミン
の生成抑制
抗酸化作用
副腎皮質ホルモンやカテ
コールアミンの生成と維持
鉄の吸収促進
血液のフィブリン溶解活性
を高める
インスリン様の血糖降下
作用
カルシウムの吸収と代謝
に関係
金属キレート作用
プロスタグランジンの生成
と調節
アミノ酸の代謝に関与
抗ヒスタミン作用
糖の代謝に関与
環状ヌクレオチドの生成と
調節
チロシンからのメラニン生
成を抑制
コレステロールの代謝に
関与
薬物代謝系に関与
水酸化反応に関与
葉酸代謝に関与
尿酸低下作用
インターフェロンの産生促
進
ビタミンEラジカルを還元し
てビタミンEを再生
コラーゲンの生合成・・・
プロトコラーゲンの
プロリン/リシン残基の水酸化
三重らせん構造の形成
両端のペプチド鎖の切断
骨、軟骨、腱、
靭帯、血管など
成熟型コラーゲン
H
CH2
H2C
C
H2C
N+
H3
COOH
H3
CH2
C
COO-
N+
プロリン
リシン
C
H2C
CH2
CH2
C
N+
H3
H
CH2
OH
プロリル-4-ヒドロキシラーゼ
プロリル-3-ヒドロキシラーゼ
リシルヒドロキシラーゼ
COO-
ヒドロキシ
プロリン
COOH
H3N+
C
H
CH2
ヒドロキシ
CH2
リシン
HO
C H
CH2
CH2
N+H3
N+H3
「酸 素:それは諸刃の剣」
CO2
O2
図1.1 外呼吸と内呼吸
糖
CO2
脂肪
CO2
Krebsサイクル
脂肪酸酸化系
ミトコンドリア
FADH
NAD
Fe+ + +
Fe+ + +
Fe+ + +
c1
b
c
Fe++
Fe++
Fe++
NADH FAD
O2
Hb O2
解糖系
2H
ATP
ATP
Fe+ + +
a + a3
Fe++
ATP
図1.2 内呼吸。b, c1 ,c, a, a3 はすべてチトクロムの種類を指す
1/2O2
H2O
活性酸素とは・・・
スーパーオキシドラジカル (O2-)
ミトコンドリアが酸素を利用してエネルギーを作るときや、
免疫細胞が体内に侵入してきた病原菌を殺すときなどに発生する。
一重項酸素 (1O2)
放射線や紫外線に被爆すると大量に発生し、皮膚ガンをはじめとする様々なガンを引き起こす。
過酸化水素 (H2O2)
「オキシドール」と呼ばれ、消毒剤として有名。 O2-に比べるとその酸化力は比較的弱い。
ヒドロキシルラジカル (OH・)
放射線や紫外線を受けたときや、 H2O2が細胞中の金属イオンと反応して生成する。最も酸化力が強い。
3O
2
O2
H2 O 2
e-
Fe 2 + ( Cu + )
hυ
1O
e-
+
- 2H
2
OH ・ + OH e-
H+
H2 O
活性酸素の生成
オゾン層
オゾンホール
NO
NO2
HO・
紫外線
光
タバコ
食物
薬剤
1O
2
ストレス
O2O2
酸素・金属イオン
虚血/再灌流
O2H2O2
・OH
活性酸素消去系
活性酸素産生系
SOD
カタラーゼ
GSHPx
ビタミンC、ビタミンE
グルタチオン ほか
電子伝達系
多形核白血球
酸化酵素(キサンチン 酸化酵素など)
タバコ、薬剤
放射線、 紫外線 ほか
活性酸素・フリーラジカル
血管内皮障害
過酸化脂質
膜障害
防御因子減弱
血管透過性亢進
攻撃因子
各種疾患
活性酸素・フリーラジカルと病体・疾患
活性酸素が原因とされる疾病・病態・・・
アルツハイマー型
痴呆
虚血性心疾患
ショック
凍傷
白内障
ガン
虚血性腸炎
腎炎
糖尿病
浮腫
ガン転移
クローン病
心筋梗塞
動脈硬化
放射線障害
潰瘍性大腸炎
血管透過性
の亢進
ストレス性潰瘍
脳卒中
未熟児網膜症
肩こり
高血圧
成人呼吸窮迫症
候群(ARDS)
パーキンソン病
薬剤性肝障害
肝炎
紫外線障害
DIC(播種性血管
内血液凝固)
肺気腫
リウマチ
急性膵炎
自己免疫疾患
テンカン発作
白血病
老化
過酸化水素、過酸化脂質
金属、タバコなど
ラジカルの生成を抑制
予防的抗酸化物
フリーラジカル
連鎖開始反応を抑制
ラジカル捕捉型抗酸化物
標的分子 : 脂質、タンパク質、糖、核酸など
連鎖成長反応を抑制
連鎖反応
修復・再生機能
傷害
疾病、発癌、老化
生体の活性酸素・フリーラジカルに対する防御システム
ラジカル
ビリルビン
水相
膜
リポ蛋白
尿酸
アルブミン
ビタミンC
脂質
ユビキノール
ビタミンE
蛋白質
カロテノイド
生体内ラジカル捕捉型抗酸化物
ヒト血漿中の主な抗酸化物質の濃度
抗酸化物質
尿酸
血漿濃度(µM)
160
〜 450
ビタミンC
30
〜 150
ビリルビン
5
〜 20
ビタミンE
15
〜 40
ユビキノール
0.4 〜 1.0
β‑カロテン
0.3 〜 0.6
150
100
抗酸化剤(%)
100
60
40
50
脂質ヒドロペルオキシド(µM)
80
ビタミンC(初濃度 72µ M)
尿酸(225µ M)
SH基(425µ M)
ビタミンE(32µ M)
ビリルビン(18µ M)
20
リン脂質ヒドロペルオキシド
0
0
0
60
120
180
240
300
トリグリアシルセリドヒドロ
ペルオキシド
コレステロールエステルヒド
ロペルオキシド
ヒト血漿を水溶性ラジカル発生在に曝露した場合の脂質過酸化と抗酸化剤の減少
Frei B. et al. Proc. Natl. Acad. Sci., U.S.A., 85, 9748-9752, 1988より改変して引用
生体膜の脂質二重層
活性酸素
X•
LH
UH2
UH•
MDAsA
AsA
LO2•
O2
Toc
XH
L•
TocOOL
LO2•
UQH2
LOOH
Toc•
LOOH
Toc
Toc・
UQH•
UQH2
UQH•
LH
膜の脂質過酸化におけるビタミンC(AsA)、ビタミンE(Toc)、尿酸(UH2)および
ユビキノール(UQH2)の相乗的抗酸化作用
(mg/100 ml)
1.6
1.4
1.2
血
漿
ビ
タ
ミ
ン
C
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
0
<10
10˜19
20˜39
喫煙本数/日
喫煙とビタミンC濃度
>= 40
ビタミンCは、活性酸素種を効果的に消去する!
タンパク質の損傷
環境ストレス
タバコ、食物
活性酸素種の消去
など
生体膜、DNAの損傷
ビタミンC
O2-
O2
電子
・OH
SOD
O2
H2O2
栄養所要量の変遷
第六次改定でビタミンCの栄養所要量は、
100mg/日(成人)になりました!
100
ビタミンC (mg/日)
80
60
40
20
0
昭和50年
昭和54年
昭和59年
平成元年
平成6年
平成12年
今までのビタミンC所要量 (50mg/日)
の決定基準
ヒトにおけるビタミンCの体内貯蔵量は1.5gで
あり、代謝回転率は3%である。
したがって、45mg/日 が代謝されるとして、
このプールサイズの減少を補うために、
安全率を見込んで 50mg/日とした。
必要量とは?
食事として食べ物を摂取した場合に、消化されて吸収され
る栄養素の最小量で、一定の栄養状態を維持するために、
必要な量。
すなわち、この量は必ず食物から摂らなければいけない
量のこと。
問題点
しかし、ビタミンCでは、その必要量が
わかっていません。
★では、ビタミンCの栄養所要量はどのように決められ
たのでしょうか?
諸外国の栄養所要量は?
40〜100mg/日まで様々。
栄養所要量に対する考え方の違いや食糧の
需給量と供給量の違いなどによる。
100
ビタミンC所要量 (mg/日)
80
60
男性
女性
40
20
0
日本
アメリカ
イギリス
参考文献;健康・栄養情報研究会
オーストラリア ドイツ
インドネシア
韓国
中国
「第六次改定 日本人の栄養所要量ー食事摂取基準」1999
90
5
70
リンパ球
アスコルビン酸量( mM)
血漿アスコルビン酸量( µM)
80
60
50
40
30
20
4
血小板
3
単核白血球
2
好中球
1
10
0
0
500
1500
2000
アスコルビン酸投与量(mg/日)
アスコルビン酸投与が血漿中アスコルビン酸量
に及ぼす影響
2500
0
0
1000
2000
3000
アスコルビン酸投与量(mg/日)
アスコルビン酸投与が血液中細胞内のアスコルビン酸量
に及ぼす影響
Levine M. et al. Proc. Natl. Acad. Sci., U.S.A., 98, 9842-9846, 2001より改変して引用
アメリカのビタミンC栄養所要量(食事摂取基準)
の策定方法
推定平均必要量(成人)を男性75mg/日、女性60mg/日
とし、栄養所要量はその120%とした。
栄養所要量(RDA)= 推定平均必要量(EAR)× 1.2
男性 :75×1.2 = 90 mg/日
女性 :60×1.2 ≒ 75 mg/日
許容上限摂取量(UL)が設定されている: 2000 mg/日
(日本では設定なし)
食事摂取基準
1.0
1.0
A
欠
乏
の
危 0.5
険
度
0
B
摂取安全域
B’
C
0.5
低
栄養素の摂取レベル
高
過
剰
の
危
険
度
0
A:平均必要量 (ERA:Estimated Average Requirement 推定平均必要量)
B:栄養所要量(平均必要量が算定されている場合)
(RDA: Recommended Dietary Allowance 推奨栄養所要量)
B’:栄養所要量(平均必要量が算定されていない場合) (AI: Adequate Intake 適性摂取量)
特定の集団においてある一定の栄養状態を維持するのに十分な一日の摂取量
C:許容上限摂取量 (UL: Tolerable upper Intake Level)
ビタミンCの栄養所要量
所要量 1日 100mg(成人)
「第六次改定日本人の栄養所要量」より
「食事摂取基準」の概念が導入
栄養所要量=「平均必要量(EAR)+標準偏差の2倍(2SD)」
適正摂取量(AI): 特定の集団においてある一定の栄養状態を維持するのに十分な
1日の摂取量
「血漿中のビタミンC濃度の基準値(0.7mg/dL)を維持する程度の
摂取量」
必要量算定の根拠となる科学的知見が不足
海外の文献に依存
ビタミンCの栄養所要量
(食事摂取基準)
これまでの栄養調査の結果を
参考に、血漿ビタミンC濃度を
0.7mg/dL以上維持する摂取量
を所要量とした。
しかし、この栄養調査は
ほとんど海外で行われたもの。
問題点
日本人のデータが少ない!
年齢区分
栄養所要量
(mg/日)
0-(月)
6-(月)
40
40
1-2歳
3-5歳
6-8歳
9-11歳
12-14歳
15-17歳
18-29歳
30-49歳
50-69歳
70歳以上
45
50
60
70
80
90
100
100
100
100
妊婦
授乳婦
+10
+40
厚生科学研究費補助金
(21世紀型医療開拓推進研究事業)
研究課題名:日本人の水溶性ビタミン必要量に関する基礎的研究
研究期間:2001〜2003年
主任研究者:柴田 克己(滋賀県立大学)
研究目的:
第六次改定日本人の栄養所要量 ‑食事摂取基準‑ に示された水溶性ビタミンの食事摂取基準
の4つの数値(1. 平均必要量(EAR=estimated average requirement)、2. 所要量(RDA=
recommended dietary allowance)、3. 所要量(AI=adequate intake)、4. 許容上限摂取量(UL=
tolerable upper limit intake))の指標として使用された項目の妥当性と指標の数値を設定
するために使用された測定方法の精度を高める。
分担研究者:橋詰 直孝(東邦大学)、渡辺 敏明(山形大学)、西牟田 守(国立健康・栄養研究所)
戸谷 誠之(昭和女子大学)
研究協力者:ビタミンB1(木村 美恵子:タケダライフサイエンスリサーチセンター)
ビタミンB2(大石 誠子:応用生化学研究所)
ビタミンB6(柘植 治人:岐阜大学)
ビタミンB12(渡辺 文雄:高知女子大学)
ナイアシン(柴田 克己:滋賀県立大学)
パントテン酸(柴田 克己:滋賀県立大学)
ビオチン(渡辺 敏明:山形大学)
葉酸(渡辺 敏明:山形大学)
ビタミンC(重岡 成:近畿大学)
実験方法
被験者 : 18〜23才 男女 各10名
実施期間 : 2002年8月26日〜9月3日(男子)
2002年2月28日〜3月8日(女子)
※上記期間中は、合宿を行い、食事を含む生活
すべてを同一条件にして行った。
ビタミンC摂取量:100mg/日
試 料 : 血漿、尿(24時間蓄尿)および分割尿
定量法: 血漿;HPLC-UV法
尿 ; HPLC-UV法 および
ジニトロフェニルヒドラジン法
結 果①(血漿中)
総アスコルビン酸量(mg/dL)
男子
女子
2.00
2.00
1.50
1.50
1.18
1.09
1.00
1.00
0.70
0.50
0.50
0.50
0.00
0.00
3日目
8日目
3日目
8日目
結 果②(尿中)
24時間蓄尿
女子
男子
女子
30
30
70
70
25
25
60
60
20
20
50
50
40
40
30
30
20
20
10
10
0
0
総アスコルビン酸量
(mol/mol creatinine)
総アスコルビン酸量
(mmol/mol creatinine)
男子
分割尿
15
15
10
10
5
5
0
0
0 1 2 3 4 5 6 7 8
実施期間(日)
0 1 2 3 4 5 6 7 8
実施期間(日)
0 5 10 15 20 25 30 35
0 5 10 15 20 25 30 35
時間(h)
時間(h)
実験方法・150mg摂取
被験者 : 18〜22才 女子 10名
実施期間 : 2003年3月4日〜3月11日
※上記期間中は、合宿を行い、食事を含む生活
すべてを同一条件にして行った。
ビタミンC摂取量:150mg/日
試 料 : 血漿および尿(24時間蓄尿)
定量法: 血漿;HPLC-UV法
尿 ; HPLC-UV法 および
ジニトロフェニルヒドラジン法
総アスコルビン酸量(mg/dL)
結 果(150mg摂取・血漿)
2.00
1.49
1.50
1.11
1.00
1.27
0.68
0.50
0.00
1日目
3日目
5日目
8日目
総アスコルビン酸量 (mmol/mol creatinine)
結 果(150mg摂取・尿)
30
25
20
15
10
5
0
0
1
2
3
4
実施期間(日)
5
6
7
8
わが国のビタミンC摂取量の年次推移
〜国民栄養調査結果より〜
200
173
150
123
100
50
128
120
101
76
123
135
128
96
78
75
0
1940
1945
1950
1955
1960
1965
1970
1975
年次
1980
1985
1990
1995
2000
2005
ビタミンC摂取量(1人世帯)
〜平成12年度国民栄養調査結果より〜
20〜30歳台の1人暮し男性は、所要量(100mg/日)
を下回っています!
197
200
女性
160
ビタミンC摂取量(mg/日)
168
男性
180
145
140
120
99
96
100
80
131
125
68
101 101
100
78
60
40
20
0
20〜29
30〜39
40〜49
50〜59
年齢区分(歳)
60〜69
70以上
ビタミンC摂取量
〜平成13年度国民栄養調査結果より〜
★20〜30歳代は、男女とも所要量(100mg/日)を下回って
います!
ビタミンC摂取量(mg/日)
180
160
男性
140
女性
144
120
102
100
80
75
82
77
84
153
139
128133
116
90
60
40
20
0
20〜29
30〜39
40〜49
50〜59
年齢区分(歳)
60〜69
70以上
ビタミンCが多く含まれる食品①
(いも類・野菜編)
赤ピーマン
黄ピーマン
和種なばな
ブロッコリー
パセリ
カリフラワー
青ピーマン
にがうり
レッドキャベツ
しし唐辛子
大根葉
れんこん
キャベツ
小松菜
じゃがいも
ミニトマト
さつまいも
0
170
150
130
120
120
81
76
76
68
57
53
48
41
39
35
32
29
50
100
150
200
ビタミンC含量(mg/100g可食部)
参考文献:五訂日本標準食品成分表 科学技術庁資源調査会編 2000
ビタミンCが多く含まれる食品②
(果実類編)
グアバ
220
レモン
100
70
かき
キーウイフルーツ
69
いちご
62
ネーブル
60
タンゴール
53
パパイア
50
バレンシアオレンジ
40
36
グレープフルーツ
0
100
200
300
ビタミンC含量(mg/100g可食部)
参考文献:五訂日本標準食品成分表 科学技術庁資源調査会編 2000
調理によるビタミンCの損失①(ゆでた場合)
ゆでると水溶性のビタミンCは減少します。煮物や蒸し物
のように煮汁と一緒に食べる工夫をしましょう。
和種なばな
130
44
120
54
カリフラワー
53
53
21
れんこん
小松菜
21
0
生
ゆで
48
18
17
81
41
39
50
100
150
ビタミンC含量
(mg/100g可食部)
参考文献:五訂日本標準食品成分表 科学技術庁資源調査会編 2000
調理によるビタミンCの損失②(炒めた場合)
油いためでは、ビタミンCはほとんど損失していません。
しかし、油の摂り過ぎには注意して。
170
180
赤ピーマン
150
160
黄ピーマン
青ピーマン
76
79
にがうり
76
75
生
油いため
57
49
しし唐辛子
0
50
100
150
200
ビタミンC含量(mg/100g可食部)
参考文献:五訂日本標準食品成分表 科学技術庁資源調査会編 2000
いつも食べる量で考えてみましょう。
1人分(g)
ビタミンC含量(mg)
備 考
にがうり(油炒め)
50
38
ブロッコリー(ゆで)
50
27
青ピーマン(油炒め)
30
24
和種なばな(ゆで)
50
22
浸し
さつまいも(焼き)
80
18
焼きいも
赤ピーマン(生)
10
17
サラダ
小松菜(ゆで)
60
13
浸し
いちご
80
50
小8粒
柿
70
49
中1/2コ
ネーブル
80
48
小1コ
キーウイフルーツ
60
41
中1コ
グレープフルーツ
100
36
中1/2コ
うんしゅうみかん
80
28
中1コ
付け合せ
参考文献:五訂日本標準食品成分表 科学技術庁資源調査会編 2000
ビタミンCの薬理機能・・・
骨代謝や骨芽細胞の
分化・増殖に関与
抗動脈硬化作用
鎮痛作用
抗炎症作用に関係
善玉HDLコレステロールを
増加
血圧上昇抑制
ウイルスの不活性化
悪玉LDLコレステロールを
減少
抗ヒスタミン作用
殺菌作用
中性脂肪減少
白内障予防
ガン原性を不活性化
免疫能の増強
慢性疲労症候群の緩和
抗腫瘍作用
利尿作用
脳の機能に関与
(ボケ防止)
薬理効果は 500〜1000mg (最大2000mg まで)
現代人は想像以上にVCを消費している
現代社会がVCを減らすファクターである
ビタミンCをもっと必要とする人?
風邪かな
疲労しやすい
激しい運動・労働をしたとき
ストレスを受けやすい
喫煙
妊娠、授乳期
など
栄養補助食品(サプリメント)について
様々な調査より、ビタミンCの利用の多いこと
が報告されています。
最近、保健機能食品制度の制定によって、
栄養機能食品としてスーパーやコンビニ
で販売され、手軽に購入できるようになり
ました。
栄養機能食品には1日あたりの摂取目安量に含まれ
る栄養成分量の上・下限量が設定されています。
ビタミンCでは、上限値 1000mg、
下限値 35mg
『特定機能食品(栄養機能食品) 』と表示のあるのものは必
ず、上記範囲に入っている。
表示のないものは、いわゆる「健康食品」であり、上・下限値
の設定はされていない。
〜平成13年度国民栄養調査結果より〜
ビタミン・ミネラルから、摂ることを目的とする栄養素
総数
男性
ビタミンB1
ビタミンB2
ビタミンC
35.0%
29.8%
29.5%
年齢階級別 15〜49歳
50歳以上
女性
ビタミンC
ビタミンE
ビタミンB1
36.6%
32.9%
29.6%
男女とも ビタミンC
男 ビタミンB1
女 ビタミンE・カルシウム
ビタミンC摂取の3ヶ条
1) 空腹時(食間)ではなく、食後が望ましい
満腹時の方が、VCは継続して吸収される
2) 朝食後はさらによい
尿中VCの排泄量は、午前中が午後に比べて
高いという日内変動がある
3) 一度に摂取するのではなく、食後毎に摂取がよい
血中のVC濃度が高い水準を維持する
サプリメントは、あくまで栄養摂取が不足
気味のときに『補助的』に使うものです。
栄養は食事からを基本にしましょう
ビタミンCの栄養所要は、100mg/日(成人)
健康の維持増進、生活習慣病の予防のための
真の必要量
・摂取量の違いによる変化
・年齢の違い ・性差
・季節差
・喫煙
・環境ストレス
etc.