9102-13610001 1級建築士 No. 1 解説 宿題 計画 第1回 解答 正答──2 片廊下型住戸では、一般に、各戸のプライバシーを確保するため共用廊下側には小さ な開口部を設け、玄関・浴室・便所・子供室等を配置し、居間や食事室はバルコニー側 に置くことが多いが、リビングアクセス型は住棟内のコミュニティ形成を意図して、共 用廊下側に居間や食事室を設けて各戸の表情を積極的に表に出し、居住者同士の交流を 期待するものである。 No. 2 解説 正答──1 モビリティハウスとは、車椅子使用者、歩行困難者などを対象に、アクセスが可能、 通路幅の必要寸法の確保、段差の解消などの基本条件を満した住宅で、イギリスの公的 住宅で実施されている。記述は、アジャスタブルハウスについてのもので、車椅子使用 者の個々の障害の特性の違いに対応し、可変間仕切や上下可動の衛生器具等を備え可動 性・可変性を持つ住宅である。 No. 3 解説 正答──2 二段階供給方式とは、最 初、柱、梁、スラブ等の構造 体、階段・廊下などの共用 部分までを建設主体が設計 し、入居者側が間取り・内 装・設備等を決定する方式。 「スケルトン」は第一段階 の構造体部分をいい、第二 段階の間仕切りや内装部分 は一般に「インフィル」と いわれる。 No. 4 解説 正答──1 シェアードハウスとは、複数の住戸・住室に共用の台所・浴室・便所などを併設した 集合住宅のことであり、記述はコレクティブハウスを指している。 No. 5 解説 正答──1 テラスハウスは、各戸が地面に接して専用のテラスと庭をもち、壁を介して連続させ た低層の集合住宅である。 H25・1S・計① 解-1 日建学院(禁無断複製) No. 6 解説 正答──3 1. 車いす使用者のための台所の流し台の高さは、75cm程度とし、流し台の下はフット .. レスト(足のせ台)が入るよう高さ65cm程度を開放とする。 2. 車いすの幅は、65~70cm程度であり、大便器に移乗するための手すり間隔75cmは適 当である。 3. 高齢者や身体障害者の利用する便所の手洗い器は、便座に腰掛けた位置で使用でき るようにすることが望ましく、手洗い付きロータンクは使いにくく不適当である。 4. 車いす使用者が利用する部分には極力段差を設けないようにする。玄関の上がり かまち 框 などの止むを得ない小さな段差については、すりつけ勾配(段差6cmまでは1/ 3以下)を設けるなどの配慮を行う。 5. No. 7 出入口の有効幅員は、75cm以上とする。 解説 1. 正答──1 片廊下型の集合住宅は、各住戸の日照、採光、通風、眺望などの条件を同一にでき るが、住民の通行する共用廊下に面する居室のプライバシーが確保しにくい。 2. 中高層の集合住宅におけるツインコリドール型は、中廊下型の居住性を片廊下型と 同様にして改善した方式。採光・換気等の条件は向上するが、一般に、通路の面積 は大きくなる。 3. 階段室型は、住戸両面に開口部を持ち、採光や通風を確保できるが、階段室に対し ては出入口を設けるだけで閉鎖的になりやすい。 4. スキップフロア型は、共用廊下から直接出入りせず、専用階段によりアクセスする 階を設けることができるので、これらの階では共用廊下を介さずに2面開口が可能 になる。 5. 中廊下型の住棟は、廊下を挟む各住戸の日照条件を均等にするため、原則として廊 下を南北軸として配置する。 No. 8 解説 1. 正答──3 転落のおそれがあるバルコニーの手すりは、高さ110cm以上とし、手すり子の間隔 は乳幼児の頭がすり抜ける事故のないよう、11cm以下(内法寸法)とする。 [補足] 支柱間のさんは縦ざんとし、格子状や横ざんとしてはならない。 2. ライトウェル(light well:光井戸)と呼ばれる吹抜けは、間口が狭く、奥行が長い 住戸の通風と採光の補助手段として、低・中層住宅の計画に有効である。 [補足] 高層住宅の計画では、ライトウェルを通して下階部分の採光を得ることが 難しく、有効とはいえない。 3. 分譲集合住宅のバルコニーは、一般に、共用部分とみなされ、その変更には集会の 決議が必要である。したがって、各区分所有者の判断や隣接住戸の了解によって、 温室や物置等を増築することはできない。 4. 非常用エレベーターは、利用効率を考えて、平常時には一般乗用エレベーターとの 連動運転を行っても差し支えない。 H25・1S・計① 解-2 日建学院(禁無断複製) 5. RC造の集合住宅では、躯体の耐用年数よりも給排水管の耐用年数のほうが短いの で、当初の設計段階から配管の交換のしやすさを考慮すべきである。 [補足] さや管ヘッダ方式はその一例である。 No. 9 解説 1. 正答──2 シュレーダー邸(G.T.リートフェルト)は、明確な幾何学形態や空間を実現しよう とする造形運動「デ・ステイル」の代表作品である。無彩色と青・赤・黄の三原色 で鮮やかに彩色された面と線の要素が組合わされ、それぞれの要素は壁面や建具と して独立したものであることが強調されている。 2. 「まつかわぼっくす」(宮脇檀)は、三方向を建物で囲み、一方は壁でふさいだ準コ ートハウス形式の住宅であり、2階からの視線をあえて遮ることにより、中庭の求 心性を保っている。RC造の内側に木構造を収めた形式は、その構造的な対比によ って混構造住宅の典型となっている。なお、設問の記述には「夫婦屋根の家」(山 下和正)が該当する。 3. ロビー邸(F.L.ライト)は、プレーリーハウス(草原住宅)と呼ばれる一連の住宅作 品の典型とされ、低く長く伸ばした軒の水平線と、中央の煙突の垂直線との対比が 表現されている。室内は連続した天井の下に、暖炉によって居間と食堂が分けられ ている。 4. 「正面のない家(N氏邸)」(坂倉建築研究 所)は、敷地の周囲を壁(塀)で囲い込むこ とで、敷地全体を内部化しようとする意識 と、道路に対する閉鎖性とが強く現れたコ ートハウスである。四つに分かれた庭が各 室に採光と広がりとを与えている。 5. 「斉藤助教授の家」 (清家清)は、天井まで 達する高さの障子、ガラス戸、雨戸を左右 に引込むことで、テラス、廊下、居間・食 堂を連続した開放的な空間としている。室 しつらえ 内は、 状況に応じて空間を「舗設」るという 設計者の持論にもとづき、可動な家具の配 置換えによって空間構成を変更することができる。 H25・1S・計① 解-3 日建学院(禁無断複製) No. 10 解説 1. 正答──4 ハーレン・ジードルンクは、湖に面する南斜面の敷地に、階段状に計画された低層 の連続住宅(テラスハウス)である。1~3階建てのRC造の住戸群をコンパクトに 集約することで周辺の豊かな樹木を残し、巧みな断面構成によってプライバシーと 眺望を確保している。 2. ユーコートは、大都市郊外のニュータウンに建設されたコーポラティブハウス(居 住者が入居前に設計・企画に参加する形式の集合住宅)。U字型の住棟に囲まれた 共用緑地と広場からアクセスするコモンアクセス形式の住戸配置計画である。通り 抜け通路、つづきバルコニー等を設け、住戸間のコミュニケーションを実現してい る。 3. 世田谷区深沢環境共生住宅は、老朽化した木造平家の住宅団地の建替えとして建設 され、従前の居住者の計画への参加を前提とし、敷地周辺の住民・環境に対する調 査・分析を基に「地域に開いた環境共生」と「高齢者等への対応」の2つをテーマ として計画された。 4. シーランチ・コンドミニアムは、海岸に建てられた10戸の週末住居群からなる木造 2階建(一部3階建)の低層集合住宅である。各住居は、一辺が7.3mの立方体ユニ ットで、海の眺望を考慮し、敷地の勾配に沿って中庭を囲むように配置されており、 住居群を覆う一枚の大きな屋根が架けられている。設問の記述に該当する例にはユ ニテ・ダビタシオン(マルセイユ)が挙げられる。 5. NEXT21は、スケルトン(躯体)とインフィル(内装)とが明確に分離された構法の もとで、18戸すべてが異なったプランの住戸として計画されている。各住戸は新た な生活提案型プランとなっており、その一部の住戸は一定の居住期間を経たうえで、 戸境壁、外壁、開口部等の位置変更を可能とした住戸規模可変システムによる増改 築が行われている。 No. 11 解説 正答──1 小学校では学年による教室利用の形態の差が大きいので(低学年は総合教室型、高学 年は特別教室型など)高低の学年の生活の場を分離したほうがよい。 No. 12 解説 正答──2 小学校の普通教室の床面積は1.5m2/人程度が標準。 No. 13 解説 正答──2 幼稚園において、3歳児の保育室の一人当たりの面積は、4、5歳児に比べ、集団行 動が未熟である関係上、大きく設定するのが通常である。 [補足] 一般に、同一面積の保育室でクラス定員を少なくして対応していることが多い。 H25・1S・計① 解-4 日建学院(禁無断複製) No. 14 解説 1. 正答──5 図Aの形式では低学年部分を総合教室型としているので、移動が少なく、心理的に 安定できる。 2. 図Bの形式では教科を限定しない学習スペースに学習センターを付置するなど、オ ープンスペース型の利点である児童の能力や関心に応じた多様な学習集団の編成が 可能である。 3. 図Cの形式は従来の標準的な運営方式である特別教室型で、教室の利用率は低いが、 ホームルーム 各クラス専用の教室( H R )を確保できる。 4. 図Dの形式は、各教室に教科の特性に応じた設備と雰囲気をもつことができる教科 教室型で、生徒の移動は多くなるが、教室の利用率が高い。 5. 図Eの形式は図Dの特徴をもつ教科教室型をさらに系列別にブロック分けしたもの で、教室の利用率は高い。なお、系列ごとの学習センターにより融通性のある学習 スペースも確保できる。 No. 15 解説 正答──2 図書館の書庫で、移動式書架を用いて収蔵量を増やした集密書庫(コンパクトスタッ ク)では400冊/m2以上の収容力をもつことができる。 No. 16 解説 正答──2 美術館の絵画展示壁面の照度基準は、日本画200lx 程度、洋画(油絵)500lx 程度であ る。 No. 17 解説 1. 正答──4 美術館の展示室の動線計画には、接室巡路型、廊下接続型、中央ホール型などがあ るが、展示室の数があまり多くない中規模館においては、ホールから目的の展示室 に入る中央ホール型が適している。(図参照)。 2. 展示ケースの前面ガラスの反射グレアを防止するため、ケース内の照明をやや明る くしたり、ガラスを傾斜させたりすることがある。 3. 美術品収蔵庫には、火災時冠水による美術品の損傷を防ぐため、不活性ガス消火設 備が適している。 4. 美術館の照明方式は、最近人工照明を利用しての多様な照明法の採用が増えてきた が、省エネルギー的観点から見て、展示形式により、自然採光方式や併用方式を採 用することは差し支えない。 H25・1S・計① 解-5 日建学院(禁無断複製) No. 18 解説 正答──1 総合病院において病棟部の占める面積は、一般的に延べ面積の40%程度である。 No. 19 解説 正答──2 病室の出入口は、ストレッチャー(患者用運搬車)や各種医療器具の出入りに支障のな いよう有効幅を120cm以上とする。 No. 20 解説 1. 正答──5 医療機器の更新に伴う増改築の多い診療部門では、病棟など他部門から受ける制約 の少ない多翼型平面が多く採用される。多翼型は、部門ごとの設計の自由度が高い が、十分な敷地面積を確保する必要がある。 2. 特定の感染症に対応した病室は、隔離病棟ではなく一般病棟の中に個室として設置 されることが多くなっている。感染症室は、病原菌が外部へ漏出する災害(バイオ ハザードという)を避けるため、バイオハザード用バイオクリーンルームとし、一 般のクリーンルームとは逆に、周囲よりも負圧に保つ必要がある。 3. 病院内では、医療機器や薬品など(医療物品)のほか、リネンや看護用品など(看 護物品)が使用される。これらの物品を一元化して、総合的に管理するのがSPD (Supply Proccessing Distribution)方式で、物品管理の徹底、搬送方法の体系 化、院内動線の整理、使用部門の労力節減などを目的としている。 4. 病棟の平面構成を決める上で、看護動線の短縮と病室の観察の容易さの確保は大き な要因となる。そのため病棟部で規模の大きな階には、中央のナースステーション のほかに、ナースコーナーが各所に分散して配置される。 5. 外来部門は、主要な出入口からの動線や診療部門との連絡は重要だが、病棟部門と の関連は少ない。一般に、診療部門が外来部門と病棟部門との間に配置される。 H25・1S・計① 解-6 日建学院(禁無断複製) No. 21 解説 正答──2 認知症高齢者グループホームは、介護が必要な中期程度の認知症の高齢者を対象とし、 小規模で家庭的な生活の場(定員5人以上9人以下)において、生活援助員とともに、食 事の支度、掃除、洗濯などを含め、一日中共同して家庭生活を行う施設である。 No. 22 解説 正答──1 在宅介護支援センターは、市町村の窓口に行かなくても、身近なところで専門家によ る介護の相談・指導などの必要なサービスが受けられる施設である。 No. 23 解説 正答──1 介護老人保健施設は、病状安定期にあり入院治療の必要はないが、リハビリテーショ ン(機能訓練)や看護・介護を中心とした医療ケアを必要とする要介護高齢者に対して、 医療ケアと介護福祉サービスを合わせて提供し、その家庭復帰を促進する施設である。 記述はケアハウス(介護利用型軽費老人ホーム)に関するものである。 No. 24 解説 1. 正答──3 幼稚園の遊戯室(プレイルーム)は幼児の様々な要求に応えられる重要な空間である が、小規模な園などでやむ得ない場合には、保育室の2室開放や大面積の保育室の 設置などで兼用してもよい。 2. 病院における1看護単位当たりの病床数は、内科、外科(40~50床)に比べて特殊な 配慮を要する産科や小児科(30床程度)のほうを少なくし、看護が行き渡るようにす る。 3. 地域図書館は貸出による利用を主とするため、気軽に本を選べる開架式とする。 4. ナトリウム灯は、効率は高いが演色性が悪いので美術館の展示室の光源には不向き である。 5. 近年、小学校の計画において、数クラス分の生徒を数人の教師が教えるチームティ ーチングなどの弾力的な学習方式を実施するため、クラスルームに隣接してオープ ンスペースを設ける例が増えている。オープンスペースには、総合的な学習や主体 的な学習を進める環境が求められ、図書などの教材や、情報ネットワークを活用す るためのコンピューターを含めた視聴覚機器などが配置される。 H25・1S・計① 解-7 日建学院(禁無断複製) No. 25 解説 1. 正答──4 病院の病室の床面積は6.4m2/床以上、小児病室(2床室以上)の床面積は6.4m2/床 ×2/3以上とする。 6床×6.4m2×2/3=25.6m2<27.5m2=5.0m×5.5m したがって、適当。 2. 総合病院における物品搬送は多種多量にわたるが、この時の機械による搬送動線は、 一般に、水平方向よりエレベーター等による垂直方向のほうが短縮されやすい。 したがって、同程度の延べ面積であれば高層化した計画のほうが、物品搬送の動線 距離は、一般に短くなる。 3. 収蔵庫の空調では、四季を通じて一定の温湿度を保つことが必要であり、そのため には、室内を直接空調するのではなく、外側の躯体と縁を切った内壁を設け、この 間の空気層を空調する方法が多い。 4. 図書館の開架室における書架の心々間隔(通路幅+書架幅45cm)は、車いす使用者 が自由に通り抜けられるためには165cm(通路幅120cm)以上確保する必要があり、 225cm(通路幅180cm)以上であれば車いす使用者どうしのすれ違いが可能になる。 5. 地域図書館の児童室は、幼児・小学校低学年・高学年等さまざまな年齢の子供が利 用するので、年齢層に対応してスペースを分ける(一般に、幼児・小学校低学年・ 高学年に分ける)とともに、それぞれのスペースにおいては、書架の近くに閲覧机 を配置するのが望ましい。 H25・1S・計① 解-8 日建学院(禁無断複製)
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