SEN抜粋 - NPO法人ワーカーズ・コレクティブ協会

■WNJ 全国会議報
WNJ
全国会議が開催されました
2015/12/5・6
テーマとして協同組合の役割についての報告であり
ながら、本分科会の議論の本質は、「協同労働法、ワー
2015・9・3
カーズ・コレクティブの法制化を目指す動きとそれを目
指すことへの道筋をどうつけて行くのか?」となった。
まず、関英昭氏(青山学院大学)による法学者としての
立場からドイツの法学者ギールケの「協同組合の概念」
についての解説から始まった。「協同組合とは?利己的
第12回ワーカーズ・コレクティブ全国会議 in 東京
側面、利他的な側面両方を兼ね備え、それはまるで人間
が 12 月 5 日(土)6 日(日)と 2 日間にわたり開催
そのものだ。バランスを取ることが大切であり、非常に
され、初日の全体会には北海道から九州までワーカー
難しい。」という言葉が印象的であった。日本における
ズ・コレクティブ 600 名が参加しました。
協同労働法、ワーカーズ・コレクティブの法制化の壁と
全体会のテーマは「ワーカーズ・コレクティブはまち
のコーディネーター」。
なっている民法における「雇用」の壁をどう乗り越える
基調講演は西国分寺で多世代
のか?そのためにも協同組合間連携が重要と報告され
型カフェ「クルミドコーヒー」を経営している影山知明
た。続いて、原田晃樹氏(立教大学)より日本の社会的
氏。その後の報告は東京の福祉のワーカーズ・コレクテ
企業の実態とその活動を支える制度的、政策的基盤条件
ィブの中間支援組織のACTと生活クラブ生協の協働
をイギリスにおける支援機能の事例と比較しながら報
事業の「ほっとスペース・まちの縁がわ」、はっぴい&
告となった。そして、最後に日本労働者協同組合連合会
キャリー、居場所事業から地元の商店街活性化に取り組
事務局長田嶋康利氏よりワーカーズ・コープでの歴史を
んでいる千葉の事例、津波で大きな被害を受けた宮城県
現場について報告があった。特に困窮者自立支援の運動
女川で居場所と雇用をつくりだした「コミュニティスペ
と事業の取り組みを推進していることとともに、協同労
ース
働の協同組合法の制定への働きを進めて行きたいとの
うみねこ」
。
コーディネーターの協同組合学会前会長の柳沢敏勝
報告があった。
明治大学教授は、上記の報告者の人たちが行っているだ
3つの報告を通じて、協同組合間の連携の強化と中間
れも排除しない仕組みは社会的連帯経済とよばれ、日本
支援組織によるネットワーク、社会的企業の社会的な価
での認知度は低いが、ワーカーズ・コレクティブやこれ
値を評価可能にする手法の導入をすることの提言があ
を行っている団体がネットワーク・連携することで日本
った。イタリア、韓国、イギリスにおける協同組合法の
でも定着していくと話されました。事業性をどのように
制定の動きの中には有機的に機能する中間支援組織が
担保しているのかの問いかけに、影山氏は「クルミドコ
あり、日本でもその機能を発揮していけるかどうかが法
ーヒーのコーヒーは 1 杯 600 円。高いけれどそれを払
制化への大きな鍵になるとのこと。法制度への動きは、
えるグループ層があるなら、払ってもらおうと思ってい
中間支援組織の役割であり、継続してゆく必要があると
る。価格はスタッフの給料にも反映するので、価格につ
感じました。
(うえだ
ゆうこ)
いて議論ができるといいと思っている」と。ワーカー
ズ・コレクティブはコミュニティ価格を掲げているので
議論を深められるとよかったと思いました。
(まつかわゆみ)
第6分科会に参加しました
第 7 分科会に参加しました
テーマ:求められる中間支援組織とは
始めに、コーディネーターの市民セクター政策機構理
事長白井和宏さんより、ワーカーズ・コレクティブにと
テーマ:ワーカーズ・コレクティブや協同組合が格差社会で果た
っては追い風の時代状況にあり期待する所だが、外部か
す役割と活性化に必要な社会的基盤整備について
らの追い風を受けとめられる中間支援組織の役割は何
か、①必要か②どういう機能か③必要とするなら設立の
議論を深める力を得た分科会でした。
決意④WNJ との関係性をどうするかとの問題提起があ
(なかむら
りました。基調講演では「連帯経済」を紡ぎだす社会的
第8分科会に参加しました
企業~中間支援組織の意味に注目して~と題して立教
テーマ:
「働きにくさを抱えた人の就労と
大学の藤井敦史教授より、社会的企業とは一体なにか、
社会的企業が発展していくためには何が必要なのかを
実証研究の中から事例を含めて報告されました。
ひさこ)
ワーカーズ・コレクティブ」
基調講演はNHK解説委員の後藤千恵氏。報告者は協
会にもご縁のある松山市の障害のある子どもを持つ親
続いて、北海道ワーカーズ・コレクティブ連絡協議会
が中心でつくったワーカーズ・コレクティブピース、障
代表理事の嶋明美さん、埼玉ワーカーズ・コレクティブ
害だけでなく困難を抱える人とともに働く東京のNP
連合会事務局長浅草秀子さん、神奈川ワーカーズ・コレ
O法人コンチェルティーノ、障害者の職業訓練を行って
クティブ連合会専務理事折原佐知子さんから現状報告、 いる都立永福学園の元教諭。後藤さんは今年 4 月から施
WNJ 代表の元川ひとみさんからは「中間支援機能検討
行となった生活困窮者自立支援制度の中で就労支援が
PJ」の中間報告がありました。報告者からは内部的支
一番重要だと訴えて、協同労働の可能性について問いか
援はできていても外へ向けた活動を拡げることには課
けていました。ともすればワーカーズ・コレクティブは
題がある、現場をかかえながら中間組織の理事を担い、 サービスの提供者として支える側になりがちですが、
事務局態勢もオーバーワークになることや、会場からは
「支えられることの居心地の悪さと、必要とされること
中間支援組織の役割が単体ワーカーズ・コレクティブメ
の快感」ということから、障害があっても年をとっても
ンバーに落ちていないのではないか、なぜこんなに会費
働けることが重要と強調されました。会場からは「介護
を取られるのかの声になる現実がある、法制化への動き
予防とされた人でも、実はいろいろな力を持っていて支
をどうつくるかなどの質問が出されました。
える側になれる部分もある。分配金などの対価を柔軟に
藤井先生が紹介された和歌山の麦の郷の事例では、社
すれば、いろいろな人が一緒に働くことができるのでは
会的企業の本質はどこにあるのかを考え、阪神淡路大震
ないか。生活がかかっている人には手厚く、そうでない
災後に東灘地域助け合いネットワークから派生した CS
人には少なくするなどワーカーズ・コレクティブなら柔
神戸が、多様な事業を展開しながら 2007 年までに約
軟に対応できる、うちはそれを実践しているという発言
120 団体を支援し起業に結び付けてきた成功事例から、 もありました。後藤さんの講演の中で同じく協同労働を
中間支援組織に求められることを学びました。英国東ロ
しているワーカーズコープの話が多く出てきました。ワ
ンドンのアカウント 3 を軸としたネットワークのあり
ーカーズコープは生活困窮者自立支援法を自分たちの
方も示唆に富んだものでした。
存在を示し、ワーカーズを増やす絶好のチャンスと捉え
社会的起業とは、社会問題を解決し、社会を変えて行
ています。グリーンコープや生活クラブ風の村など生協
くために、コミュニティの力も市場(ビジネス)の力も、
や社会福祉法人は積極的に取り組んでいますが、働くこ
制度(政府)の力も、うまく組み合わせて用いながら、 とのオルタナティブを訴えてきたワーカーズ・コレクテ
持続可能で自律的な経営を確保し、新しい問題解決のあ
ィブこそ生活困窮者自立支援制度に積極的に絡んでい
り方(イノベーション)を生み出すための仕組みや戦略
くべきではないかと思いました。
(まつかわ
ゆみ)
と示されました。このような組織体をつくり連帯的経済
の「連帯」をつくる中間
第 9 分科会
支援組織が、人口減少社
テーマ:ワーカーズ・コレクティブのガバナンス
会を拓く鍵になります。
(働き方・運営・共育)調査結果から見えた成果と課題
神奈川の二つの中間支援
岡田百合子専務理事が講師を努め、田中妙子理事が参
組織のあり方についての
加しました。