皮膚科領域の漢方療法

京府医大誌
皮膚科領域の漢方療法
125
(2),135~143,2016.
<特集「漢方療法の最新情報」
>
皮膚科領域の漢方療法
―アトピー性皮膚炎に対する漢方併用療法―
中
井
章
淳*
京都府立医科大学大学院医学研究科皮膚科学
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抄
録
皮膚疾患では,西洋医学的な標準治療法がほぼ確立している.しかし,標準治療通りでは時に難渋す
ることがある.その際に,補助療法としての漢方療法が奏功することをしばしば経験する.漢方製剤を
患者の状態や体質により使いこなすことができれば,治療の選択肢が増え治療に難渋する皮膚疾患への
アプローチの一助になる.皮膚疾患における漢方療法では,皮膚症状への対症療法である標治と,患者
の体質改善を行う本治がある.患者の状態を見極めながら,どちらの治療を優先するか,もしくは同時
に行うかを決める.本稿では,皮膚症状の強い,または慢性で治療に難渋していたアトピー性皮膚炎に
対し,漢方療法を併用することで良好なコントロールが得られた 3症例を報告する.さらにアトピー性
皮膚炎に用いる漢方製剤について概説する.
キーワード:漢方療法,漢方製剤,アトピー性皮膚炎,標治,本治.
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平成28年1月3日受付
*連絡先 中井章淳 〒 6
028566 京都市上京区河原町通広小路上る梶井町465番地
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め
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皮膚疾患では,西洋医学的な標準治療法がほ
ぼ確立している.しかし,標準治療通りでは時
に難渋することがある.その際に,補助療法と
しての漢方療法が奏功することをしばしば経験
する.望診,聞診,問診,切診の四診を基に
「証」
(西洋医学でいう診断)が決定され1),それ
により薬剤が選択される.漢方製剤は,何種類
かの生薬の組合せで構成され,天然物が基礎と
なっており,自然の力を体にもたらし,体に優
しくかつ副作用も少ないため,体質に合えば長
期投与も可能である2).
アトピー性皮膚炎は,増悪・寛解を繰り返す,
瘙痒のある湿疹を主病変とする疾患であり,患
者の多くはアトピー素因を持つ3).アトピー性
皮膚炎の治療の基本は①原因,悪化因子の検索
と対策,②スキンケア,③薬物療法の 3点から
なる.スキンケアとしては,皮膚の清潔を保ち
ながら保湿剤を外用することである.薬物治療
としては,ステロイド外用剤やタクロリムス軟
膏で皮膚の炎症を抑え,痒みに対しては必要に
応じて抗ヒスタミン剤,抗アレルギー剤を併用
する.重症や難治例においては,ランクの高い
ステロイド外用,ステロイド内服,シクロスポ
リン内服,紫外線療法などを行うことがある3).
しかし,これらの治療方法においては副作用の
出現が懸念される.そこで,漢方製剤を患者の
状態や体質により使いこなすことができれば,
治療の選択肢が増え,治療に難渋するアトピー
性皮膚炎へのアプローチの一助になると考え
る.軽症から中等症では早期に皮膚症状を改善
させ,一方,重症や難治例においては,ランク
の高いステロイド外用,ステロイド内服,シク
ロスポリン内服,紫外線療法などを通常の強度
以下で,もしくは使用しなくても皮膚症状のコ
ントロールができる可能性もある.本稿では,
皮膚症状の強い,または慢性で治療に難渋して
いたアトピー性皮膚炎に対し,漢方療法を併用
することで良好なコントロールが得られた 3症
例を報告する.さらにアトピー性皮膚炎に用い
る漢方製剤について概説する.
症
例
14)
64歳,女性.幼少時期にアトピー性皮膚炎と
診断され,以後,時々近医皮膚科を受診しステ
ロイド外用剤を中心とする標準治療が行われて
いた.当科初診の 3か月前より皮疹が悪化し,
強い瘙痒と疼痛により日常生活に支障をきたす
ようになったため当科を受診した.初診時臨床
所見として,略全身に高度の乾燥,紅斑,苔癬
化がみられ,皮膚は浅黒く肌荒れし,渋紙のよ
うに枯燥していた
(図 1A)
.患者は,顔面ののぼ
せ,体幹部のほてり,口渇,睡眠困難,情緒不
安定を訴えた.血液検査で白血球数(13500/
μL;基準値:3400~ 7300/
μL)
,好酸球数(3310
/
μL;基 準 値:0~ 584/
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た.全身の保湿としてヒルドイドソフト遺 軟
膏,体幹と四肢の皮疹部にはマイザー遺 軟膏,
顔面と頚部の皮疹部にはキンダベート遺 軟膏,
頭皮の皮疹部にはアンテベート遺 ローションの
外用を開始し,瘙痒に対してアレグラ遺 錠 120
mg
/
日を開始した.18日後の再診時に,皮疹は
やや改善していたものの,瘙痒は治療開始前と
比べて 7割程度も残存していた.のぼせやほて
り,口渇,睡眠困難,情緒不安定は改善してい
なかった.ツムラ温清飲エキス遺 顆粒 7.
5g/
日
皮膚科領域の漢方療法
の併用を開始した.温清飲開始後 1週間で瘙痒
は消失した.温清飲開始後 9週間で皮疹は寛解
し(図 1B)
,白 血 球 数,好 酸 球 数,LDH値,
TARC値は正常範囲となった.のぼせやほて
り,口渇,睡眠困難,情緒不安定も消失してい
た.温清飲は廃薬とした.
症
例
2
21歳,女性.幼少時期にアトピー性皮膚炎と
診断され,中学生頃には自然寛解していた.当
科初診の 4か月前から顔面,頚部を中心に瘙痒
と乾燥,紅斑が現れた.近医を受診しステロイ
ド外用剤で治療されたが改善しないため当科を
受診した.初診時臨床所見として,頭頚部(図
2A)
,体幹,腋窩,肘窩,膝窩に高度の乾燥と
紅斑がみられた.皮疹部の瘙痒と顔面のほてり
を患者は強く訴えた.血液検査で白血球数
(7700/
μL)
,好酸球数(916/
μL)
,LDH値(332
I
U/
L)
,TARC値
(1523pg
/
mL)
が高値であった.
略全身の保湿にヒルドイドソフト遺 軟膏,頭皮
の保湿にヒルドイド遺 ローション,体幹と四肢
の皮疹部にマイザー遺 軟膏,顔面と頚部の皮疹
部にキンダベート遺 軟膏,眼囲の皮疹部にリン
デロン A遺 軟膏,頭皮の皮疹部にアンテベート遺
ローションの外用を開始した.瘙痒に対して
/
日の内服を開始した.ツ
アレジオン遺 錠 20mg
5g
/
日も同時に開
ムラ黄連解毒湯エキス遺 顆粒7.
始した.治療開始後 10日で瘙痒は消失し,皮疹
はおおむね改善していたため,保湿を継続しな
がら皮疹部への外用剤をステロイド剤からプロ
トピック遺 軟膏へ変更した.治療開始後 31日で
皮疹は寛解し(図 2B)
,白血球数,好酸球数,
LDH値, TARC値とも正常範囲となった.黄
連解毒湯は廃薬とした.
症
例
3
26歳,男性.幼小児期発症のアトピー性皮膚
炎に対し,6年前から当科で治療していた.こ
の半年間は,外用剤としてヒルドイドソフト遺
軟膏,マイザー遺 軟膏,プロトピック遺 軟膏,リ
ドメックス遺 ローション,内服薬としてクラリ
/
日,ニポラジン遺 錠 3mg
/
日で治
チン遺 錠 10mg
137
療していた.しかし,皮疹のコントロールは不
十分であった.漢方治療開始前の臨床所見とし
て,体幹(図 3A)を中心として頭部,肘窩,膝
窩に乾燥と紅斑がみられた.皮膚にほてりはな
く,体力がなく疲れやすいと患者は訴えた.気
虚と判断し,現行の治療を継続しながらツムラ
補中益気湯エキス遺 顆粒 7.
5g/
日を開始した.5
週後には皮疹は改善傾向を示し,12週後には皮
疹の改善に加え,体が疲れにくくなったと患者
は回答した(図 3B)
.このとき患者は尿が近く,
夜間尿が 3回あると訴えた.腎虚と判断し,ツ
ムラ八味地黄丸エキス遺 顆粒 7.
5g/
日に変更し
た.八味地黄丸開始後 2週間で夜間尿がなくな
り,開始後 7か月においても夜間尿なく,皮疹
はさらに改善している(図 3C)
.
皮膚疾患における漢方療法の特徴
漢方療法を行う際の考え方としては,皮膚に
現れている症状(皮疹)を局所の証としてとら
え,症状を改善する治療(標治)を行う.また,
個々の患者の体質を全身の証としてとらえ,体
質改善(本治)を行う.通常は標治の漢方製剤
で皮疹をある程度改善させてから本治を行う
が,症例によっては本治を主体に行う場合,あ
るいは標治と本治を同時に行う場合がある5).
以下に,標治と本治に使用される代表的漢方製
剤(図 4
)について述べる.
標治の代表的漢方製剤
1.黄連解毒湯
黄連,黄 ,黄柏,山梔子からなる6).黄連・
黄 ・黄柏で清熱解毒し,湿熱を取る.さらに
黄柏が虚熱を冷まし,山梔子で清熱涼血すると
同時に利水する7).のぼせ,赤ら顔などの身体
上部の症状を治す一方,精神を鎮静させる作用
が強い6).瘙痒,紅斑,炎症をとるのに適してい
る.炎症の強い湿潤局面に適する8).アトピー
性皮膚炎で瘙痒をとりたい場合の第 1選択薬で
ある8).陽証,実~中間証6).
2.温清飲
清熱作用のある黄連解毒湯に血虚を改善する
四物湯(芍薬,地黄,川芎,当帰)を加えた製
138
中
井
章
淳
図 1 症例 1
(文献 4より転載)A:初診時 B:温清飲開始後 9週間
図 2 症例 2 A:初診時 B:黄連解毒湯開始後 31日
図 3 症例 3 A:補中益気湯開始前 B:補中益気湯開始後 12週 C:八味地黄丸開始後 7か月
皮膚科領域の漢方療法
139
図 4 アトピー性皮膚炎の標治と本治に使用する漢方製剤
剤である6).のぼせなど上半身の熱を冷まし,
血行障害などからくる足の冷えを改善する作用
がある.激しい瘙痒があり,分泌物の少ない慢
性の皮疹を伴う場合に用いる.皮膚は浅黒く肌
荒れし,渋紙のように枯燥しているものに適す
る6).陽証,虚実中間証6).
3.白虎加人参湯
石膏,知母,粳米,甘草,人参からなる6).石
膏と知母により全身の熱を冷まし,口渇を改善
させ,人参や粳米で体力を回復させる6).鮮紅
色紅斑や浸出性紅斑に適する7).アトピー性皮
膚炎の顔面の紅斑の熱感をとることを目標に使
用する8).陽実証6).
4.消風散
石膏,牛蒡子,木通,知母,苦参,蝉退,胡
麻,甘草,荊芥,防風,地黄,蒼朮,当帰から
なる6).石膏,知母,荊芥,防風は清熱作用を有
し,木通と蒼朮は利尿作用を有するため,湿熱
を治す.夏に悪化する皮膚疾患が適応で,熱感
があって分泌物が多く,瘙痒の強い亜急性から
慢性の皮疹に用いる6).陽証,実~中間証6).
5.十味敗毒湯
柴胡,桔梗,茯苓,樸樕,甘草,荊芥,防風,
生姜,独活,川芎からなる6).散発性あるいはび
まん性の紅斑があり,乾燥し,激しい瘙痒を伴
い,化膿を伴うか化膿を繰り返す場合に適する6).
湿疹病変の急性期で治療経過中に毛包炎を合併
している場合にも応用できる8).陽証,実~中
間証6).
6.越婢加朮湯
石膏,甘草,生姜,大棗,蒼朮,麻黄からな
6)
る .麻黄と石膏は皮膚や関節などの浮腫,水
腫,炎症を取り除き,蒼朮の利尿作用により水
滞を改善する6).皮膚に熱感や浮腫,水疱形成,
湿潤傾向を示す病変に用いる8).陽実証6).
7.当帰飲子
芍薬,甘草,黄耆,荊芥,防風, 藜子,地
黄,何首烏,川芎,当帰からなる6).血虚を改善
する四物湯に 6つの生薬を加えたもので,防風
と荊芥は発散薬で,黄耆と何首烏は皮膚の栄養
を高め, 藜子は瘙痒を治すものである.高齢
者や虚弱体質などで,軽度の貧血や四肢冷感が
あり,分泌物は少なく,湿潤なく皮膚が乾燥し,
瘙痒がある場合に用いる6).冷え性タイプのア
トピー性皮膚炎で,紅斑や湿潤傾向の少ない時
の基礎処方として用いられる8).陰虚証6).
本治の代表的漢方製剤
1.補中益気湯
柴胡,升麻,甘草,黄耆,人参,生姜,大棗,
140
中
井
陳皮,当帰,蒼朮からなる6).気虚の代表的製剤
である.全身倦怠感や胃腸虚弱,気力の低下,
言語や眼の光に力がなく,顔色不良を伴う虚弱
体質者の体質改善剤である6).アトピー性皮膚
炎において,好酸球数・血清 I
g
E値減少作用,
Th2優位状態抑制作用,ステロイド・タクロリム
ス外用減量効果が報告されている9).陰虚証6).
2.十全大補湯
芍薬,茯苓,甘草,地黄,黄耆,人参,桂皮,
川芎,蒼朮,当帰からなる6).補血薬の四物湯と
補気薬の四君子湯の合方に黄耆と桂皮を加え,
生姜と大棗を除いたもので,気血がともに衰え
た場合に対して,十種の生薬ですべてを余すと
ころなく大いに補する製剤である6).アトピー
性皮膚炎では,気力・体力が低下して冷え症(末
梢循環不全)になっている場合の体質改善薬と
して用いる9).陰虚証6).
3.八味地黄丸
沢瀉,牡丹皮,山薬,茯苓,山茱萸,地黄,
桂皮,附子からなる6).腎虚に用いる製剤であ
る.胃腸機能が健全で,腰部および下肢の脱力
感・冷え・しびれ,排尿異常(夜間頻尿など)
などを伴うアトピー性皮膚炎に応用できる.陰
証,中間~虚証6).
4.人参湯
甘草,人参,蒼朮,乾姜からなる6).裏寒の代
表的な製剤で,消化器の異常を治す作用があ
る.人参には気を益し心窩部のつかえを取り除
く効果がある6).胃腸虚弱,倦怠感,尿が稀薄で
量が多く,口中に薄い唾液が溜まるなどの症状
を伴い,流涎が激しい乳児アトピー性皮膚炎の
顔面皮膚炎に用いる10).陰虚証6).
5.小建中湯
芍薬,甘草,生姜,桂皮,大棗からなる6).胃
腸が弱く,虚弱で神経質な小児の体質改善薬と
して用いられることが多い6).腹壁が薄く,両
側腹直筋が緊張している場合に適する10).膠飴
(アメ)が加えられており,甘く小児でも服用さ
せやすい.小児アトピー性皮膚炎の虚弱な児
で,登校すると下痢あるいは排便があり,ストレ
スの関与が示唆される場合などに使用される7).
陰虚証6).
章
淳
6.黄耆建中湯
芍薬,甘草,黄耆,生姜,桂皮,大棗からな
6)
る .小建中湯に汗を調節する作用を有する黄
耆を加えた製剤であり,小建中湯証より体力の
衰えた人に適応となる6).膠飴が加えられてお
り,甘く小児でも服用させやすい.軟便・下痢
気味の小児アトピー性皮膚炎の体質改善薬とし
て用いる9).陰虚証6).
7.抑肝散
釣藤鈎,柴胡,茯苓,甘草,川芎,当帰,蒼
朮からなる6).柴胡と釣藤鈎が神経の高ぶりを
鎮め,蒼朮と茯苓が水滞を取り除き,当帰と川
芎が血行をよくする6).小児の夜泣き,疳の虫
といったイライラや精神的興奮を生じやすい小
児のアトピー性皮膚炎やストレスのある成人ア
トピー性皮膚炎に適する9).陽証,中間~虚証6).
8.抑肝散加陳皮半夏
抑肝散に陳皮と半夏を加えた製剤である6).
抑肝散と同様に疳の虫の製剤であるが,抑肝散
に健胃作様をもつ陳皮と制吐作用のある半夏が
加わり,抑肝散よりも体力の低下が慢性化し,
胃腸虚弱な人に適する製剤である6).瘙痒のた
めに入眠障害を訴える小児アトピー性皮膚炎に
有効である11).陽虚証6).
9.柴胡清肝湯
黄連,黄 ,黄柏,山梔子, 楼根,牛蒡子,
柴胡,芍薬,薄荷,連翹,甘草,桔梗,地黄,
川芎,当帰からなる6).黄連解毒湯と四物湯の
合方である温清飲に,消炎・発散作用のある柴
胡,薄荷,連翹と消炎・発散作用のある 楼根,
排膿作用のある桔梗と牛蒡子を加えた体質改善
剤である6).皮膚の色が浅黒く,慢性扁桃炎や
リンパ節炎などの化膿体質を伴った,疳の強い
小児アトピー性皮膚炎に適する9).陽証,虚実
中間証6).
10.荊芥連翹湯
黄連,黄 ,黄柏,山梔子,枳実,柴胡,芍
薬,薄荷,連翹,桔梗,甘草,荊芥,防風,地
黄,川芎,当帰,白芷からなる6).黄連解毒湯と
四物湯の合方である温清飲に薄荷,荊芥,連翹,
防風などの強い発汗剤を加えた製剤である6).
皮膚の色が浅黒く,尋常性ざ瘡,慢性扁桃炎や
皮膚科領域の漢方療法
副鼻腔炎などの化膿体質を伴ったアトピー性皮
膚炎の体質改善剤として使用する8).陽証,虚
実中間証6).
11.桂枝茯苓丸
芍薬,牡丹皮,桃仁,茯苓,桂皮からなる6).
駆瘀血剤である.桃仁と牡丹皮は瘀血を取り除
き,桂皮はのぼせを治し,茯苓は利尿作用,芍
薬は鎮痛・鎮痙作用を示す6).瘀血は,舌下静脈
の怒張と瘀血の圧痛点がサインとなる1).性ホ
ルモンに対する作用,更年期障害に対する作用
などが報告されており,アトピー性皮膚炎で,
のぼせを伴う赤ら顔に適する9).男性でも瘀血
改善目的で使用できる9).陽証,実~中間証6).
12.通導散
大黄,木通,芒硝,枳実,甘草,蘇木,紅花,
厚朴,陳皮,当帰からなる6).桃核承気湯に匹敵
するほどの強い駆瘀血剤である.瘀血と気鬱
(胸満,腹満など)を伴う場合に用いられるが,
のぼせを治す作用は弱い6).体格がよく体力の
ある人で,顔は赤黒く,便秘を伴い,不眠,不
安などの精神神経症状を伴うアトピー性皮膚炎
に応用できる.陽実証6).
13.桃核承気湯
大黄,芒硝,桃仁,甘草,桂皮からなる6).桂
皮が表証を治し,桃仁の駆瘀血作用を,瀉下・消
炎・清熱作用のある大黄と芒硝が助ける.顔が
赤黒く,桂枝茯苓丸よりも瘀血の症状が強く現
れているもので,これが原因で下半身に循環障
害が生じ,冷えのぼせを起こすものに使用され
る6).瀉下作用は通導散より強い12).瘀血の症
状が強く,強い便秘を伴っているアトピー性皮
膚炎に応用できる.陽実証6).
14.加味逍遙散
山梔子,柴胡,芍薬,牡丹皮,薄荷,茯苓,
甘草,生姜,蒼朮,当帰からなる6).気鬱や月経
文
1)花輪壽彦,伊藤 剛,村主明彦.診断・治療 3
.漢
方の診察法.社団法人日本東洋医学会学術教育委員
会編.入門漢方医学.東京:南江堂,2006;6883
.
2)石橋 晃.漢方医学総論 1
.現代医療の中の漢方
医学.社団法人日本東洋医学会学術教育委員会編.
141
前緊張症に適応のある逍遥散に清熱涼血化瘀の
牡丹皮と山梔子が加味された処方である11).ス
トレスの多い女性で,冷えのぼせを伴っているア
トピー性皮膚炎に効果のみられることが多い8).
陽証,中間~虚証6).
15.真武湯
芍薬,茯苓,生姜,蒼朮,附子からなる6).過
剰な水分を取り除く茯苓と蒼朮,痛みを和らげ
る芍薬,健胃の目的で生姜が配合されている6).
附子の強い温熱作用により水分の正常排泄を促
す6).顔色が悪く,四肢の冷えがあり,虚弱体質
者の慢性下痢を伴うアトピー性皮膚炎の体質改
善に応用できる.陰虚証6).
お
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筆者が提唱するアトピー性皮膚炎に対する漢
方療法は,西洋医学的治療に準じた日本皮膚科
学会のガイドラインを遵守しながら,漢方製剤
を併用することで治療効果の底上げをすること
である.漢方療法のみでアトピー性皮膚炎を治
療することではない.また,漢方療法のみで
は,アトピー性皮膚炎のコントロールは不可能
であると筆者は考えている.一方で,アトピー
性皮膚炎に対する西洋医学的治療においては,
体質を改善させる薬剤は見当たらない.証に
合った漢方製剤を併用し,標治に加え,本治を
行うことによって体質を改善させることができ
れば,西洋医学的治療のみと比較して,さらに
良好な疾患コントロールが得られることにな
る.ひいてはステロイド外用剤の使用量を減ら
すことが可能となり,その副作用を軽減させる
ことにつながると考えられる.
開示すべき潜在的利益相反状態はない.
献
入門漢方医学.東京:南江堂,2006;26
.
3)古江増隆,佐伯秀久,古川福実,秀 道広,大槻マ
ミ太郎,片山一朗,佐々木りか子,須藤 一,竹原和
彦.アトピー性皮膚炎診療ガイドライン.日皮会誌
2009;119:15151534
.
142
中
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古江増隆監修.東京:ライフ・サイエンス 2011.
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9)石井正光,夏秋 優,山田秀和.皮膚科漢方 10処
2015;2:2326.
5)夏秋 優.湿疹・蕁麻疹・皮膚瘙痒症.社団法人日
本東洋医学会学術教育委員会編.専門医のための漢
方医学テキスト.東京:南江堂,2009;205208
.
6)森 博美,田中孝治.方剤編 2
.方剤群別からみた
漢方薬.近藤富雄,田内宣生,磯谷正敏,熊田 卓編.
実践漢方ガイド 日常診療に活かすエキス製剤の使
い方.東京:医学書院,2010;207362
.
7)三田哲郎.寒証と熱証.エキス剤を用いた皮膚病漢
方診療第 3版.東京:医歯薬出版,2008;141178
.
方 Pa
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―揺らぎを整える―.古江増隆監修.東京:
ライフ・サイエンス,2011
.
10
)二宮文乃.乳児・幼児・小児期の治療.図解・症例
アトピー性皮膚炎の漢方治療.東京:源草社,2008;
5194.
11
)三田哲郎.気血水の異常.エキス剤を用いた皮膚病
漢方診療第 3版.東京:医歯薬出版,2008;61122.
12
)三田哲郎.皮膚病漢方診療と寒熱気血水の異常.エ
キス剤を用いた皮膚病漢方診療第 3版.東京:医歯薬
出版 2008;4960.
皮膚科領域の漢方療法
143
著者プロフィール
中井
章淳
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所属・職:京都府立医科大学大学院医学研究科皮膚科学・講師
略
歴:1
9
9
9年 3月 宮崎医科大学(現宮崎大学医学部)卒業
1
9
9
9年 4月 京都府立医科大学皮膚科研修医
2
0
0
1年 4月 京都府立医科大学皮膚科修練医
2
0
0
2年 4月 大津市民病院皮膚科医員
2
0
0
3年 4月~ 2
0
0
7年 3月 京都府立医科大学大学院皮膚科学
2
0
0
7年 4月 京都府立医科大学皮膚科後期専攻医
2
0
0
7年 5月 京都府立医科大学皮膚科助教
2
0
0
8年 5月 ドイツ ボン大学臨床薬理学教室博士研究員
2
0
1
0年 4月 京都府立医科大学皮膚科学内講師
2
0
1
4年 2月~現職
専門分野:リンパ腫,膠原病,漢方療法,皮膚アレルギー,皮膚悪性腫瘍
最近の興味あること:皮膚疾患への漢方薬を用いた補助療法・食物アレルギー
主な業績: 1.Na
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