INCA V7.1 ツールのパフォーマンス

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ROLLOUT NEW VERSION
INCA V7.1 ツールのパフォーマンス
INCA V7.1 Tool Performance
急速に高まる期待にお応えしました
ハイブリッド化、エネルギー管理、および排気基準の厳格化により、自動車制御に関する需要は急速に増大しています。電子
制御装置の事前適合でますます複雑化する需要に対応していくためには、
ETAS INCA 計測・適合・診断ソフトウェアこそが
最適なツールと考えられます。バージョン 7.1 では、今までよりはるかに高いパフォーマンスとユーザビリティを実現しまし
た。しかも INCA については、今後は 3 カ月ごとに新しい機能が提供されることになりました。
「メモリ不足(Out of memory)」
。こ
エラーが発生しなくなりました。多くの
ザーはデータセット全体を表示するか、
そ
のメッセージに研究エンジニアは苛立ち
ユーザーにこの性能向上は歓迎されるこ
れとも現在選択されている制御変数の値
だけを表示するかを選択できます。
やため息を隠しきれません。そして、電子
とと思います。中には、プロジェクト実行
制御装置(ECU)のアプリケーションで
中にベータ版の INCA V7.1 を使用する
は絶えず起こります。ECU の事前適合を
ように切り替えたユーザーもいました。
行うときには、エンジニアは 数が増える
特に、このオプションのおかげで実験実
行中にすばやく比較を行えるようになっ
一方の制御変数に注意を払いながらも、
プロダクトマネージャーである Kilian
たことは大きな収穫でした。適合エンジ
さらに高精度の計測および比較を行わな
Schnellbacher がこのロールアウトを指
ニアは、計測中に特徴的な計測カーブに
ければなりません。つまり、ソフトウェア
揮しました。お客様の互換性の問題は指
気づいたら直ちに分析に介入することが
システムはますます多くのメモリを消費
摘されていますが、同氏は前向きな見解
できます。Schnellbacher は次のように
することになります。
として
「V7.1 はパフォーマンスが向上し
説明します。
「終始、適合エンジニアは新
ただけでなくユーザビリティも最適化さ
しく最適化されたオシロスコープの表示
「最近、電化および Euro 6 基準対応のた
れたので、ユーザーの皆様からご好評を
を停止したり巻き戻したりして計測値を
めの準備により、必要メモリが爆発的と
いただいています」と話しています。実際
綿密に調べ、それから現在の計測のリア
も言えるほど増大してしまいました」と、
のところ、最適化されたユーザビリティ
ルタイム表示に戻ることができます。」
ETAS のグローバルカスタマーサポート
デ ィ レ ク タ ー で あ る Hans-Juergen
Schmidt-Fürst は報告しています。電子
の多くの部分がパフォーマンス向上に直
新しいオシロスコープの操作性が向上し
接結び付いています。たとえば、それぞれ
たのは、この分析機能についてだけでは
が 18,000 超のラベルからなるデータ
ありません。
「私たちは、
このオシロスコー
制御装置の構成に使用されるラベルの数
セットを最大 14 個比較する例を考えて
プを短時間で設定でき、また直観的に操
はわずか 2 年前には 40,000 でしたが、
みると、一方ではメモリの深さが拡張さ
作できるようにすることに特に力を入れ
今日では 140,000 になり、さらに増加
れたことによりこの種の総合的な比較が
ました」と、Schnellbacher は述べてい
し続けています。こうした状況では、
「メ
可能になり、他方では実験を実行しなが
ます。たとえば、オシロスコープの計測範
モリ不足」のメッセージは何ら驚くこと
らアプリケーションデータセットを比較
囲の拡大/縮小は、従来のバージョンで
ではありません。
することもできるようになりました。
は数値の入力だけでしたが、
このバージョ
何かを起こさなければならず、そして今、
今まで、実験環境と代替データセット比
ります。しかも、ユーザーは計測値に思い
起こしたのです。ETAS が、数カ月前から
較用の INCA モジュールとは切り離され
がけない
「逸れ」が見られた場合に座標軸
INCA 計測・適合・診断ソフトウェアの
バージョン 7.1 のロールアウトを開始し
ました。「メモリの深 さを 4 倍 にし、
Windows リソースの利用を大幅に効率
ていて関連がありませんでした。そのた
が自動的に拡大されるかどうかを事前に
め、過去の実験の適合データを呼び出す
指定することができます。最後になりま
ためには、いったん実験環境を閉じなけ
したが、いくつかある計測信号を別々の
ればなりませんでした。
「INCA V7.1 で
グループに割り当てて計測カーブを明快
化することにより、限界を大いに押し広
は、
ワーキングページとリファレンスペー
に表示しようとする場合には、表示画面
げることができました」と、Schmidt-
ジに現在使用されている変数値を比較す
を分割することもできます。
Fürst は付け加えています。
るために適合データマネージャー
ンにはマウスクリックのオプションがあ
このようにパフォーマンスが向上したお
(CDM)を直接開くことができます」と、
かげで、 ワークフロー内でメモリ関連の
Schnellbacher は説明しています。ユー
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Hans-Juergen Schmidt-Fürst
Kilian Schnellbacher
ETAS
グローバルカスタマーサポート
ETAS
INCA 計測・適合・診断ソフトウェア
ディレクター
プロダクトマネージャー
INCA V7.1 の更に別の機能により、ユー
リースを公開するのと同時に、3 カ月ご
ザーは計測変数と適合変数の両方を色分
とにお客様にサービスパックを提供する
けすることができます。特に、適合変数の
ことになりました。これは INCA V7.1
推移を何カ月にもわたって追跡しなけれ
の機能範囲を徐々に拡大していくもので
ばならない大規模なチームやプロジェク
す。
「このように短期でのバージョンアッ
トのマネージャーは、これにより有効な情
プに対応するためはに、弊社にはまだま
報を詳細に得られるようになります。
つま
だ学習の余地があります」と、
り、すべてのレイヤのソフトウェアにわ
Schnellbacher は認めています。「連続
たって重要な変数にすばやくタグを付け、
的なリリースを行うと、テストおよび標
さらに必要に応じて計測変数と適合変数
準化を行うために弊社に残される時間は
の関係を確立することができます。さら
当然ながら少なくなります。この移行で
に、テスト車両から得られた計測データ
発生する互換性の問題は、非常に忙しい
を、長期間経過してからでも個々の道路
プロジェクトの間には絶対に遭遇したく
区間に論理的に割り当てられるようにす
ないことです。
リリースのサイクルを短く
るために、
ETAS は INCA バージョン 7.1
することは、弊社が克服しなければなら
の計測データ分析モジュールにマップ
ない課題なのです。」 それにもかかわら
ツールを統合しました。
このツールは GPS
ず、お客様からは INCA V7.1 について
データを使 用 して、 OpenStreetMap
マップ内の道路区間および区間のトポロ
の好意的なフィードバックが SchmidtFürst と Schnellbacher に数多く届き
ジをすばやく容易に特定します。
ました。そして、移行も次第に円滑に行わ
ユーザーはこれらの新機能をすぐに活用
とにサービスパックを公開するこのプロ
れるようになってきました。
「3 カ月後ご
しました。Schmidt-Fürst はこの状況に
セス体系こそがお客様の ECU の世界で
喜びながらも憂鬱さを覚え、
「V7.1 がこ
増大し続ける需要に対処する正しい方法
れほどまでに歓迎されたのはもちろん喜
であると弊社は強く確信しています」と、
ばしいことです。しかし、お客様は今、大
Schmidt-Fürst は締めくくりました。
幅に拡張された比較機能さえも使い尽く
してますます多くのラベルを使用するよ
うになっています。このバージョンの限界
に達するのも時間の問題です」と話して
います。とはいえ、INCA V7.1 はマルチ
コア PC の計算能力を限界まで使い切っ
ているのです。
ETAS はこの需要の拡大に対応していき
ます。2∼3 年ごとに新しいメジャーリ