2 Part 1 電気関係法規をマスタする 1 電気事業法は電気関係法規の親分! 電気事業法の目的 電気の使用者の利益 を保護しまーす! 電気事業の健全な 発達を図りまーす! 公共の安全を 保護しまーす! 環境の保全を 図りまーす! 電気事業法 (電気関係法規の親分) 電気事業法は電気関係法規の中心をなすもので,その目的は「電気事業の運営を 適正かつ合理的ならしめることによって,電気の使用者の利益を保護し,および電 気事業の健全な発達を図るとともに,電気工作物の工事,維持および運用を規制す ることによって,公共の安全を確保し,および環境の保全を図ること」としています. 1 事業規制 電気を供給する電気事業を国が直接監督することによって,電気事業法の目的を 達成しようとするものが事業規制です.具体的には,次のようなものがあります. ⑴ 電気事業の許可などに関する規制 や 電気事業を創めたものの,途中で “止 ーめた!” なんてことになったら,契約し ていた人たちにとっては大変なことになります.そこで,電気事業を営もうとする 場合や電気事業を休止および廃止する場合は経済産業大臣の許可を受けなければな りません. ⑵ 電気事業の供給に関する規制 電気事業者は,正当な理由がないかぎり,公平に電気を供給しなければなりませ ん.また,電気料金などの条件を定めた供給約款を作成し,経済産業大臣の認可を 受けなければなりません. 供給する電気の質については,その電気を供給する場所において,電圧および周 3 電圧や周波数が こんなに変動したら 仕事にならないよ 機械が 止まったよー! 公平で安い電気を 供給してよー 波数を次のように維持するように定められています. ・標準電圧が100 V では101±6 V,200 V では202±20 V を超えない値. ・周波数は標準周波数の50および60 Hz. 2.保安規制 電気事業法の目的の「電気工作物の工事,維持および運用を規制することによっ て」の部分が保安規制に該当します. 自分たちの電気工作物は自分たちで守るという自主保安体制と,それを補完する国 の直接監督による保安体制の両面から保安を確保しようとするものです. 事業用電気工作物の自主保安体制の具体的なものとしては,電気設備技術基準への 適合義務,保安規程の作成・遵守,電気主任技術者の選任があります. 国の直接監督としては,電気事業用電気工作物の工事計画における認可または届 出,検査,使用開始届出,事故その他の報告義務や立入検査・改善命令などがあります. 2 つの土台が しっかりして いるから安心! 電気工作物の保安 自 主 保 安 体 制 国 の 直 接 監 督 4 Part 1 電気関係法規をマスタする この問題を解いてみよう 1 自家用電気工作物に関する電気事業法の規定のうち,自主保安体制に関係 A 1 工事計画の事前届出 ⑵ 主任技術者の選任 問題 ないものは,次のうちどれか. ⑶ 保安規程の作成 ⑷ 保安規程の遵守 ⑸ 技術基準に適合するよう電気工作物を維持 解説 電気事業法は,事業用電気工作物の設置者の自主保安体制の確立 を尊重しています.国の直接監督部分は必要最小限にとどめて,国 の直接監督部分と自主保安体制部分で行うものを明確に分けていま す. ⑴の工事計画の事前届出は,国の直接監督です. (答)⑴ 2 電気事業法は,電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによっ A と も に, 電 気 工 作 物 の 工 事, 維 持 及 び s を 規 制 す る こ と に よ っ て, 公 問題 て, 電 気 の 使 用 者 の a を 保 護 し, 及 び 電 気 事 業 の 健 全 な 発 達 を 図 る と 共の安全を確保し,及び d の保全を図ることを目的とする. 上記の記述中の空白箇所ア,イ及びウに記入する字句として,正しいもの を組み合わせたのは次のうちどれか. ⑴ ア 利 益 イ 運 用 ウ 電気工作物 ⑵ ア 利 益 イ 使 用 ウ 環 境 ⑶ ア 利 益 イ 運 用 ウ 環 境 ⑷ ア 電気工作物 イ 使 用 ウ 施 設 ⑸ ア 電気工作物 イ 運 用 ウ 施 設 解説 電気事業法第1条で,電気事業法の目的は, 「電気の使用者の利益 の保護及び電気事業の健全な発達を図るとともに,電気工作物の工 事,維持及び運用を規制することによって,公共の安全の確保と環 境の保全を図ること」と定めています. (答)⑶ 5 3 電気事業者は,その供給する電気の電圧の値を経済産業省令で定める値に A しいものを組み合わせたのは次のうちどれか. 維持しなければならないが,その値を示した下表に当てはまる数値として正 問題 標準電圧 維持すべき値 100 V 101 V の上下 a V を超えない値 200 V 202 V の上下 s V を超えない値 ⑴ ア 4 イ 10 ⑵ ア 5 イ 10 ⑶ ア 6 イ 15 ⑷ ア 6 イ 20 ⑸ ア 7 イ 20 解説 電気事業法第26条で,「電気事業者は,その供給する電気の電圧 及び周波数の値を経済産業省令で定める値に維持するよう努めなけ ればならない.」と規定しています.その具体的な値は,電気事業 法施行規則第44条で,次のように示されています. 電気を供給する場所において,維持すべき電圧は, 標準電圧100 V では,101±6 V を超えない値 標準電圧200 V では,202±20 V を超えない値 周波数の値については,電気事業者が供給する電気の標準周波数 の50 Hz,60 Hz に等しい値としています. (答)⑷ ○電気事業とは? 電気を売ることを事業としている者をいい,次の4つの電気事業が規 定されています. ①一般電気事業:一般の需要に応じて電気を供給する事業(一般に電力会社と 呼ばれている各地域の電力会社) ②卸電気事業:一般電気事業者にその一般電気事業の用に供するための電気を 供給するための電気を供給する事業(具体的には,電源開発㈱,日本原子力発電㈱) ③特定電気事業:特定の供給地点における需要に応じ電気を供給する事業(電 気と熱を同時に供給する熱電併給事業として行われる場合が多い) ④特定規模電気事業:一定規模の需要家に一般電気事業者の電線路を用いて電 気を供給する電気事業で,電気事業の自由化の一環として,平成12年3月から実 施されています.
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