近年、 優れた新医薬品の地球規模での研究開発の促進と、 患者への

`
〔
1
ill口 llil'′
薬 食 審 査 発 1023第 1号
21年 10月 23日
平成
各都コ 有職
主管部
(局
)長
殿
厚生労働省医薬食品局審査管理課
非抗 不整脈薬 にお けるQT/QTC間 隔 の延長 と
催 不整脈作用の潜在的 可能性 に関す る臨床 的評価 につ いて
│
近年 、優れ た新医薬品 の地球規模 で の研 究開発 の促進 と、患者 へ の迅速 な提供 を図 るため、
承認審査 資料 の国際的ハ ーモ ナ イゼ■ シ ョン推進 の必 要性 が指摘 されて い ます 。 このよ うな要
請に応 え るため、日米EU医 薬 品規制調和国際会議 (以 下 「ICH」 とぃ ぅ。)が 組織 され 、品質、
有効性 及 び安全性 を含 む各 分野 で 、ハ ーモ ナイゼ ー シ ョンの促進 を図 るための活動 が行 われ て
い るところです。
今般 、lCHの 合意に基 づ き、新たに 「非抗不整脈薬にお けるQT/QTC間 隔 の延 長 と催 不整脈作
用 の潜 在的可能性 に 関す る臨床 的評価 J(以 下 「本 ガイ ドライ ンJと い う。 )を 別添 の とお り
定めま したので、下記事項 を御 丁知 の 上 、貴管 内関係業者等 に対 し周知方御配慮願 い ま す。
記
1
本 ガイ ドライ ンの要点
本ガイ ドライ ンは 、不整脈 の発生 し易 さと関連 した 、薬物 による心室 の再分極遅延 の 可能性
を評価す るための臨床試 験 の デザイ ン、実施 、解析 、解釈 に関す るもの である。 心室の 再分極
遅延 は 、心電図におけるQT間 隔 の延長 として計測 され る ことか ら、評価 にお いては、心血管系
の有害事象 とともにQT/oTC間 隔に及ぼす作用 を調 査す るべ きである。
2
本ガイ ドライ ンの取 り扱 い
本 ガイ ドライ ンは、概 ね全身に影響 を及ぼす新医薬品に対 して適用 され る。 医薬 品の開発は
薬斉Jの 特性や事前 に得 られた非臨床及び臨床試験結 果 によ つて異 なるものであ り、科学的 に合
理的な根拠があれば、本 ガイ ドライ ン と異な った方法等を用 い る ことも可能である。薬物によ
る心室の再分極遅延 の可能性 を評価す ることを 目的 とした海外臨床試験デー タ等 の利用可能性
につい ては、薬剤 の特性によ り個別 に判断 され ることか ら、独 立行政法人医薬品医療機器総合
機構 (以 下 「機構」 とい う。 )に よる治験相談にお いて相談されたい。
21.lo29
3
本 ガイ ドライ ンの実施時期
平成 22年 11月 1日 以後 に 申請 され るE■l薬 品に添付 され る資料 は 、本 ガイ ドライ ンに基づい
た もので あること。平成 22年 11月 1日 以前 に 申請 され る医薬品について、心室の再分極遅延
の可能性 を評価す るために必要なデー タに関 してはt機 構 による治験相談において個別 に相談
されたい。
非抗不整脈薬 にお ける QT/QTC間 隔 の延長 と
催 不整 脈作用 の潜在的可能性 に関す る臨床 的評価
目次
1.序 文
1.1背 景.… .… …
・…
・
・
・……
■2目 的 .… … ・
・
・
・…
・
・¨
..・
1.3適 用範 囲
2.臨 床試 験
21 QT/QTC間 隔へ の薬剤 の作用 の評価方法 の概要
2.1.1被 験者 の登録
2.1.2安 全性 モ ニ タ リング及 び 中止 基 準 ...… … ..… Ⅲ
・… ……… …・… … ……
・… ……・… …
・…3
…・
2.2 QT/QTC評 価試験
・…・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・……・
・
・3
4
22.2 QT/QTC評 価試験 にお ける用量―
効果 と時 間経過 の 関係
ヽ
2.2.l QT/QTC評 価試験 のデ ザイ ン
5 ミ
22.3 QT/QTC評 価試験 にお ける心電図検査 の 実施時期
2.24 QT/QTC評 価試験 の解釈 .¨
2.2.5 QT/QTc間 隔に対する作用を評価するための代替方法.… …………………・……6
3 4 5
2 2 2
QT/QTc評 価 試験後 の 臨床試 験 の評価 .… … … ¨… ……… … …
QT/QTc評 価 試験 が健康な志願者において実施不可能な場合の臨床開発 .… ………………7
心電 図デ ー タの収集 、評価及 び提 出 … … … … …
2.■
.
1標 準 12誘 導心電図デ ー タの収集及び評価 ■.… … ……
2.5.2ホ ル ター 心 電 図
2.5.3間
(ambulatOw ECG)モ ニ タ リング
隔及び波形データの提出
.
・
・……… 7
・
・
・
・
・
・…・
・
・……… 8
8
3.臨 床試験における心電図デー タの解析
8
3.l QT間 隔の補 正式 .… …………………
9
3.1.1集 団デー タに基づ く補正方法
3.1.2同 一被験者 内デ ータに基 づ く補正方法 .¨ … …
3.2 QT/QTC間 隔デー タの解析
●
9
0
10
3.2.1中 心傾 向 (centrd tendenw)の 解析 .…
10
3.2.2カ テ ゴ リカル解析 (categottal analysis)
10
3.2.3薬 剤曝露量 と QT/QTc間 隔 の変化 との関係 の解析
3.3心 電図波形 の形態的解析
4.有 害事象
4.1臨 床試験 にお ける有害事象
4.2早 期 中止 また は減 量
4.3薬 理遺伝学的 (pharmacOgenedc)考 察
44市 販後有害事象報告
5.薬 事規制 へ の影響、添付文書 の記載及 び リス ク管理法
13
5.l QT/QTC間 隔延長作用 と承認 プ ロセス との 関連性
5.2 QT/QTc間 隔 を延長す る医薬 品 の添付 文 書 の記載
5.3 QT/QTC間 隔 を延長す る医薬品における市販後の リスク管理
14
非抗不整 脈薬 における QT/QTC間 隔 の延長 と
催 不整脈作用 の潜在的可能性 に関す る臨床的評価
1.序
1.1背 景
非抗不整脈薬 の 中には、心室再分極 を遅延 させ るとい う好 ま しくな い特性 をもつ ものがあ り、そ
(ECG)に おけ る QT間 隔 の延長 として計測 され る。QT間 隔 とは、心室の脱分
極 か らそれに続 く再分極 までの時間であ り、QRS波 の始めか ら T波 の終 わ りまでの 間隔 として計測
の作 用は体表 心電図
され る。 再分極 が遅延す ると、不整脈 が発生 し易 い電気生理学的な環境 が生 じる。 そ の最 も顕著な
さ室性頻脈性不整脈
例 は トル サー ド・ ド・ ポワンツ (torsades de pdntes,以 下 TdP)で あるが 、他 の′
が発生す る可能性 もある。TdPは 多 形性 の心室性頻脈性不整脈 であ り、心電図上には、等電位 の基
線を中心 とした QRS波 を構成す る心起電カベ ク トルの連続的 なね じれ として現れ る。TdPの 特徴 の
一つ は、TdPに 先行す る上室性心拍 における QT間 隔が明 らかに延長す るこ とである。TdPは 心室細
動に移行 し、突然死に至る可能性 がある。
QTの 延長度 は、催不整脈 リスクの不完全なバ イオマー カーの一つ と認識 され てい るが、一般的 に
QT'延 長 と TdPの リス クとの 間には 、特 に QT間 隔を相当に延長 させ る薬剤 にお いて、定性的な関連
が ある。QT間 隔 は心拍数 と負 の相関が あるため、通常、計測 された QT間 隔は、様 々な式によつて
QTc間 隔 として知 られてい るよ うな ,い 拍数 の影響 を抑 えた値 に補正 され る。 しか し、不整脈 の発生
とより密 接 に関係す るのが QT間 隔 の絶対値 の延長 であるか、QTcの 延長 であるかは明 らかではない。
TdPを 引き起 こ した ことのあ る薬剤 のほ とん どは 、QTの 絶対値及 び QTc(以 下、QT7QTC)の いず
れ をも明 らかに延長 させ る。薬剤 の使用に関連 した TdP(致 死性及び非致死性 )の 症例 が報告 され
た結果 として、市場 か らの撤退、または二次選択薬 へ の格下げが行われ た薬剤 もある。QT/QTC間 隔
の延長 は これ らの 不整脈 の発 生 し易 さの増加 と関連 した′
い電図所見であ り、承認前 に行 う適切な新
薬 の安全性に関す る評価 にお いて 、QT/QTC間 隔へ の効果 についての性質を厳密に明 らかに してお く
べ きである。
1.2目 的
本 ガイ ドライ ンは、薬物による心室の再分極遅延 の可能性 を評価す る臨床試験 について 、そ のデ
ザイ ン、実施 、解析、解釈 に関 し治験依頼者 に勧告す るもの である。 そ の評価 にお いては、心血管
系の有害事象 の収集 とともに 、新規薬物 の QT/QTC間 隔 に及 ぼす作用 を調査す べ きである。個 々の
薬剤 にかか る評価方法につい ては 、予定 され る臨床使用法 と同様 に、薬力学的、薬物動態学的、安
全性上 の特性 に応 じて個別 に決定 され るべ きである。
薬剤 の心 室再 分極 に及ぼす 影響 の評価 は、現在、活発 に研究 され てい るテーマ である。今後 、追
加デ ー タ (臨 床及び非臨床デ ー タ)が 蓄積 され た場合、本 ガイ ドライ ンは再評価 され、改訂 され る
可能性 が ある。
1.3適 用 範 囲
本 ガイ ドライ ンの勧告 は、概 ね全身 に影響 を及ぼす新医薬品 に対 して適用 されるが 、体 内分布 が
非常 に限定的な医薬品、局所的に投与 され 、吸収 されない 医薬品 には適用 されない場合 がある。抗
不整脈薬はその臨床 効果 の作用機序 の一部 として QT/QTC間 隔を延長す る場合 が あることか ら、本
ガイ ドライ ンでは不整脈 の治療以外 の 目的 で開発 され る薬剤 を中心に述べ る。本 ガイ ドライ ンは第
一 義的 には新規薬物 の開発 に関す るものであるが、曝露量 (最 高血 中濃度 (Cmax)あ るい は血 中濃
度時間曲線 下面積 (AUC))力 `
著 しく高 くな るよ うな新用量、も しくは新投与経路 を開発す る場合
に も適用 され る こ とが ある。 また効能 を追加す る場合や適用患者 を追加す る場合に も、心電図のデ
ー タを追加す る こ とは適 切 であろ う。 また、当該 薬剤 または当該薬斉1の 化学的、薬理学的分類上 の
類薬 が、市販後調 査にお い て QT/QTC延 長、TdPあ るいは心臓 突然 死に関連 していたな らば、その薬
剤 の QT間 隔へ の影響 を評価することも重要 と考 えられ る。
2.臨 床 試 験
2.l QT/QTC間
隔 へ の 薬 剤 の 作 用 の 評 価 方 法 の概 要
薬剤 は、臨床 開発 の早期に心電図 を用 い た臨床評価 を受 ける ことが必要 であ る。 一般的にはその
評価 に は 、薬剤 に よ る心室 の 再分極 へ の 影 響 を評価 す る こ とを 目的 と した 単独 の 試 験 で あ る
「QT/QTC評 価試験 (thbrough QT7QTC Su")Jが 含まれ る。健康 な志願者 も しくは患者 におい て試
験 が 実施不可能 である場合 、薬剤 の試験方法お よび使 用方法 (例 えば、継続的なモ ニ タ リン グ下で
投与す る場合 )、 あるい は非臨床試 験 の成績な どによっては、この種 の試験 を行 う必要性 は軽減 さ
れ る可能性がある。
2.1.1被 験 者 の 登 録
治験 へ の被験者 の登録 は 、心室の再分極 に対す る当該薬剤 の作用 に関 して、既に得 られ てい る臨
床的及び非臨床的情報に影響 され るであろ う。 当該薬剤 の QT/QTC間 隔 へ の作 用が特徴付 けられ る
までは次のよ うな除外基準 が提案 され る
:
・ 試験前に、QT/QTC間 隔 の著明な延長 がある者
る者)
(例
・ TdPに 対す るそ の他 の危険因子 の既往歴 が ある者
症候群 の家族歴 )
えば、QTC間 隔 >450msが 繰 り返 し認 め られ
(例
えば、心不全、低カ リウム血症 、QT延 長
・ QT/Q■ 間隔 を延長す る薬 を併用 してい る者
初期 の臨床試験で得 られた QT/QTC間 隔デー タによ り支持 された場合 には、後期 の臨床試験では
被験者 の選択基準 を拡大 し、承認後 に当該薬剤 が投与 され る可能性 の 高い広範 な患者集団を含める
こ とが可能 となる。
2.1.2安 全 性 モ ニ タ リ ン グ及 び 中止 基 準
臨床試験 の 実施計画書 には 、TdPを 示 唆す る有害事象が患者 に発 生 した場合 に従 う手順 を記述 し
てお くべ きである。
被験薬 を用いた治療 中に QT/QTC間 隔 の著明な延長 がみ られ、特 にそれが,い 電図上で 2回 以上認
め られ た場合 には 、その被験者 の 臨床試験 の 中止を検討す べ きである。 QT/QTC間 隔 の 500msを 超 え
る延長 も しくはベ ース ライ ンか らの 60msを 超える延長 が、試験 中止 を検討す るための一般的な基準
として用 い られ るが、個別 の試験 における厳密な判断基準は、当該適応症及び当該患者群につい て
適切 と考 え られ る リス クと思容性 の レベル によつて決 まるであろ う。
2.2 QT/QTC評 価 試 験
QT/QTc評 価試 験 の 目的 は、被験薬に心室再分極に対する一 定の大 きさ以上の薬理作用があるか否
か を決定す ることであ り、その値 は QT/QTC間 隔の延長 として検出 され る。規制 当局が関心をもつ
基準値 レベ ノ
ンについては後述す るが、QTc間 隔へ の作 用の平均値 としてお よそ 5msで あ り、95%信
頼区間の上 限 を 10msと す るものである。 この試 験 は通常 、健康な志願者
(不 整脈 の危険性 が高い集
団 ではな く)を 対象 に実施 され 、医薬 品開発 の 後期 に 、 日標 とす る患者集 国 にお い て当該薬剤 の
QT/QTc延 長作用 を入念 に調 べ る必要性 が あるか否かを決定す るために用い られる。 この試験は、薬
剤 に催不整脈性 があることを示す こ とを 目的 とは して いな い。民族差 についてのデー タは限 られ て
い るが、民族 的要因は Q7QTC評 価試験 の成績に影響す ることはない と考 えられて い る。
QηQTc評 価試験は後期 の臨床試験における最大の指針 となるため、正確 な実施時期は、開発 中の
薬剤 の特性 に よ り異なるものの 、一般的に臨床 開発 の 早期 に実施 され る。 この試 験 のデザイン及び
実施 には、忍容性及び薬物動態 を含 めた基礎的 な臨床 デー タが重要であるため、 この試験は通常は
最初 の試験 には な らない と考 えられ る。薬剤 の 中には、忍容性 に関 わ る問題 があ り、健康な志願者
にお ける試験 に適 さない ものが ある
(例
えば、抗精神病薬、化学療法薬 )。
QT/Q■ 評価試験 の結果 によ り、開発 の後期段階 において収集 され るべ き情報量が異なる
:
Ⅲ QT/QTc評 価試験 において陰性 であった場合 、通常そ の後 の 医薬 品 の開発段階 において十分 な
評価 を行 うために、各診療分野 の通常診療における心電図を収集す ることで容認 される (第 23
節参照)。
・
QT/QTc評 価試験にお いて陽性 であつた場合 、通常そ の後の 医薬 品の開発段階 において、心電
図を用 い たよ り詳細な安全1生 評価 が要求 され る (第 23節 参照)。
稀に、QT/QTC評 価試験が陰性であるにもかかわらず、非臨床デ‐ 夕が強い陽性を示していること
がある (例 えば、低濃度の薬剤における hERG試 験の陽性成績、ア
″ッ
ア
″ 動物試験における強い陽性
の成績 )。
この よ うな矛盾 が他 の デ ー タに よ つ て説明 できず 、 かつ 当該 薬剤 が薬 理学 的に懸念 され
る分類 に属 す る薬剤 であ る場合 には 、そ の後 の 医薬品 の段 階 にお い て心電図 を用 い た よ り詳細な安
全性評価 を行 うこ とが適 切 であろ う (第
23節 参照 )。
2.2.l QT/QTC評 価 試 験 の デ ザ イ ン
QT/QTc評 価試験は、無作為化、適切 な盲検化、プラセボ対照群 の 同時設定 といった潜在的なバイ
アス に対処す るための方策 が取 られ 、適切 かつ よ く管理 され た試験でなければな らない。 この試験
は、そ の後 の医薬 品 の開発段 階 にお けるデ ー タ収集 の程度 を決定す る上で決定的な役割 があるため、
臨床 的 に 意 味 の あ る差 を検 出 し得 る高 い 信頼性 を有す る こ とが重 要 で あ る。 分析感 度
sensliv")を 確立す るための陽性対照群
(assay
(薬 理学的、 も しくは非薬理学的)を 同時に用い る こ とに
よ り、試験 にお ける QT/QTC延 長 の検 出能力 の信頼性 を大 い に高め ることができる。陽性 対照は
qK「 c間 隔の平均値をお よそ 5ms変 化 させ る効果 を示す必要がある (即 ち、規制当局 が関心をもつ
基準値 である QT7Q■ 間隔を 5ms程 度変化 させ る作用 に近 い作用)。 陽性対照 の作用 が検出 できれ
ば、被験薬 につい て もそ の試 験 で同様 の 作用を検 出す る能力が証明 され る ことに なる。陽性 対照 を
用 い な い場合 には 、その妥当性 を明 らかに し、分析感度 (assay senjJvity)を 確 立す る別1の 方法を示
す必要 があ る。
被験薬 が QT/oTC延 長を示 している化学的 も しくは薬理学的分類 に属す る場合 には、QT/QTC延 長
作用 の 大 き さの比 較を、できれば等力価 の治療用量間で実施す ることを可能 とす るため、そ の分類
に属す る別 の薬剤 をplvt対 照 と して選択す る こ とを検討すド きである。
QT/QTc間 隔延長 を引き起 こす薬剤 の可能性 を評価す る試験 には、ク ロスオーバ ー試験または並行
群間比較試験 のデザイ ンが適 してい るであろ う。 ク ロスオー バ ー試験 には、少な くとも二 つ の利点
がある
:
・ ク ロスオーバ ー試験では被験者 自らが対照 ともなるため、個体間変動に関連す る差 のバ ラツキ
が少 な く、一般的に並行群間比較試験 より少人数 の被験者 で実施 で きる。
・ ク ロスオーバ ー試 験 では、被験者 ごとのデ ー タに基 づ く心拍数 での補 正が し易 い場合がある。
並行群間比較試験は、ある状況下では好 ましい場合 がある
:
・ 消失半減期が長 く、定常状態 あるい は完全 な消失を達成す るのに長 い時間間隔が必 要な薬物 の
場合
・ 持 ち越 し効果 が他 の理 由によ り顕著な場合 、例えば非可逆的な受容体 へ の結合 、 または活性 代
謝物 の半減期が長 いな どの理 由による場合
・ 複数用量群または多 くの治療群 を比較する場合
QT/QTc間 隔の測定における重要な問題点は、個体内変動である。 この変動 は、 f動 レベ ル 、姿勢
の変化 、24時 間周期 のパ ター ン (circadlan patems)、 食物摂取な どの多 くの要因に起因す る。 この
l‐
個体 内変動 への対処は QT/QTC評 価試験 を実施する上で不可欠である。そ の方法は幾つ かあるが、
観察期及 び試験期間 にお いて多数回の心電図デー タを収集することはそ の一つで ある。
2.2.2 QT/QTC評 価 試 験 に お け る用 量 ―
効 果 と時 間 経 過 の 関係
医薬品 の適切 な開発計画にお いては 、予想臨床用量投与時 の血 中濃度 より高 い血 中濃度 につい て
の調査 も含 め、QT/QTC間 隔延長に関す る用量―
反応及 び一般的には薬物濃度‐
反 応 関係 が明 らかに さ
れて い ることを確認す る必要 がある。 この評価 には,い 電図を評価 した前 後 にお ける血 中薬物濃度デ
ー タが役 立つ であろ う。 も し冨1作 用 に関 しての安 全性や忍容性 を検討 した上で不可能 でなけれ ば、
治療にお い て予 想 され る最大曝露量 の相 当倍 までを使用 してその薬物 を検査す るべ きである。 別 の
方法 と して 、 も し代謝酵素 (例 えば 、CYP3A4、
CYP2D6)や
トランスポー ター (例 えば、P糖 蛋
自)が 関与す る薬物間相互作用又は薬物 ・食物間 の相 互作用 によ り薬剤 の血 中濃度 が上昇 し得 るな
らば、 これ らを最大 限阻害 した条件 下での検討 も可能 であろ う。 この方法を用 い るためには、親イ
ヒ
合物及 び ヒ トでの重要 な代謝物 につ いて、薬物動態学的及び薬力学的な特性 を理解 してい る必要が
ある。 一般的 に 、適切 な濃度 での薬物及びそ の活性代謝物 の作用を特徴付けるためには 、十分 な投
与期間や用法用量を用 いるべ きである。
2.2.3 QT/QTC評 価 試 験 にお け る 心 電 図 検 査 の 時期
Q7QTc評 価試験における心電図検査 の時 期及 び試 験デザイ ン
えば、単回投 与、反復投与、投
与期間)は 、 当該薬剤 の薬物動態特性に関す る利 用可能な情報 に基 づい て決定 され るべ きである。
(例
半減期 が短 く活性代謝物 のな い薬物 では 、単回投与試験 で十分 である場合が あ る。 試験では投与 間
隔の全体にわた って、薬物が QT/QTC間 隔 に及ぼす作用を調 べ る必要 がある。 血中濃度が最高 とな
る時に QT/QTC間 隔へ の作用が最大 となるとは限 らないが 、最高血 中濃度 (CmⅨ )と なる周辺 の時点
で心 電 図 を記 録 す る よ う注意 す べ き で あ る。 陽性 対 照 を置 く 目的 の一 つ は 分 析感 度 (¨ sγ
sensltlv● )を 確 立す ることであるので 、新薬 の反復投与試験では、陽性対照は そ の予想 され る効果
が出現す るまでの十分 な期間使用 されればよい。
2.2.4 QT/QTC評 価 試 験 の 解 釈
の QT71QTC間 隔の平均値 に対す る作用 が どの程度小 さい と影響 が ないか を判断す るの は困難
薬斉」
である。 しか し、QT7Q■ 間隔 の平均値 を延長す る作用 が約 5msま たはそれ以下である薬剤 は 、TdP
を引き起 こ してい な い よ うである。 そ うした前提 の上 で、陽性対照
(薬 理学的 、 も しくは非 薬理学
的)に は、そ の特徴が明 らかにされてお り、規制 当局 が関心を もつ基準値
(5ms、
第
22節 参照)付
近 の QT/QTC間 隔 の変化 を常に示す ものを使用す るべ きである。
同様 の考え方 に基 づ き、QT/QTC評 価試験 が陰性 とは、そ の薬剤 の
QTc間 隔 へ の時間を一致 させ
た平均効果 の最大値 に対する 95%片 側信 頼 区間の上限が 1 01nsを 下回 る場合を指す。 この定義は、
被験薬 の QT/QTC間 隔への作用 の平均がお よそ 5msを 超えないこ とを合理的に保証す るために選択
されて い る。 時間 を一致 させ た差 の最大値 がこの基準値 を超 える場合 、試験 結果 は陽性 とされ る。
試験結果が陽性 であれば、その後の医薬 品 の開発段階 にお ける評価方法には影響 を与 えるが、 この
試験結果はそ の薬剤 が催不整脈性 であることを意味す るものではない。
他 のデー タ と同様 、外れ値 (oultr)の 有無について も探索す るべ きである (第
322節 参照)。
2.2.5 QT/QTC間 隔 に対 す る 作 用 を評 価 す るた め の 代 替 方 法
Qlソ
QTc評 価試験 の代替 となる方法 の研究 は現在、活発に行われてい る。 例えば、早期 の臨床試験
で収集 されたデ ー タに基 づ き、薬物濃度 と QTρ ■ 間隔へ の作用 との 関連 を評価す ること、あるい
はよ り徹底的な心電図評価 を行 うことな どである。
2.3 QT/QTC評 価 試 験 後 の 臨床 試 験 の 評 価
QT/QTc評 価試験 が陰性 の場合 (第 22節 参照 )に は、各治療分野の 現行 の臨床試験にお ける検査
基準に従 い 、観察期及 び治療期に定期的な,い 電図検査 を行 えば、その後 の Ekl薬 品の開発段階におけ
る評価 として十分 で ある場合 がほとん どである。
が陽性 の場合には、そ の後 の 臨床試験にお い て付加的な評価 を実施す べ きであ
る。 この評価 の 目的の一つ は、治療対象 とな る患者群 における薬剤 の QT/QTd間 隔 へ の作用 を、用
QT′
QTc評 価試験
量、濃度 との関係 に特 に注意 して十分に明 らかにす ることである。考 えられ る最大用量まで曝露 し
た患者、及び
TdPの 付加的な危険因子 をもつ患者 を この評価に含める ことは重要 である。通常、分
析 の 中心 となるのは外れ値及 び QT/QTC間 隔 の平均値 の変化 である。Q7QTC評 価試験で認 められた
作用 の大 きさに よっては、TdPに ついての付加 的な危険因子 をもつ 患者 に対 し、よ り集 中的なモ ニ
タ リングが必要 となる ことが ある。
それ らを達成 す る適切 な,き 電図評価 の方法は十分 に確 立 されてはい ないが、1後 期 の臨床試験 にお
いて追加的な心 電図デ ー タを多数の 患者か ら適 切 に収集す ることによ り、必要な情報は得 られ るで
あろ う。その場合 、QT/QTC評 価試験及び対象患者集団 の薬物動態学的情報 に基づ き、薬剤 の作用 が
最大にな ると予測 され る時点で心電図デー タをl10集 す ることが重要であろ う。
この評価 にお けるも う一つの 目的は、QT/QTC評 価試験 で陽性を示 した薬剤 につい て、そ の後 の試
験で発生す る有害事象に関す る情報 を収集す る ことで ある。 それ には 、著 しい QT/QTC延 長 (例 え
ば、 >500ms)を 示 した患者 、あるい は不整脈 (例 えば 、TdP)を 示唆す る重篤 な′
心血管系 の有害事
象 を経験 した患者 についての情報な どが含 まれ る。 その よ うな患者 については、そ の事象 に関与 し
た可能性 の ある危険 因子 について詳 しく評価すべ きである (例 えば、QT延 長症侯群の遺伝子解析 な
ど。第 43節 参照)。
QT/QTc評 価 試 験 が 陽性 の場合には、次 の よ うな患者 の部分集団か ら得 られる心電図及び有害事象
デー タの解析 は特に重要 で ある
:
・ 電解質異常 の患者 (例 えば、低 カ リウム血症
oう っ血性心不全の患者
)
・ 薬物代謝能 または ク リアランス に障害 の ある患者
作用 が認 め られ る場合)
・ 女性 の患者
(例
えば、腎臓 または肝臓 の障害、薬物相互
・ 年齢が 16歳 未満 の患者及び 65歳 を超 えた患者
た とえ Qη QTC評 価試験が陰性 で も、その後 の試験 の患者集団 において 、何 らかの作用 (例 えば、
著 しい QT/QTC延 長、TdP)を 示す証拠がみ られた場合 は、追加の試験 が必要 となるであろ う。
2.4 QT/QTC評 価 試 験
が 健 康 な 志 願 者 に お い て 実 施 不 可 能 な場 合 の 臨床 開発
薬剤 の 中には、安全性 あるい は忍容性 の懸念 のた め、健 康な志願者 にお いて試 験 を実施できな い
ものがある (例 えば、細胞毒性 を有す る抗がん薬)。 その場合、Q7QTC評 価試験 を患者集団 にお い
て行 うことが しば しばあ り得 る。それ が不可能な場合 には、 この安仝性 リス クの検出 と軽減は重要
な問題であるので、QT/QTC間 隔へ の作用を検出す る他 の方法を開発す るこ とが必要 となる。その方
法 と しては 、開発 の早期に広範囲 の用量を用 いて 、厳密 な管理下 における′
き電図デ ー タを複数時点
で収集す る こ とな どが考 え られ る。
2.5心 電 図 デ ー タ の 収 集 、評 価 及 び提 出
以下 の勧告 は 、QT/QTC評 価試験 を実施す る場合、心室再分極 へ の作用 があることが判明 してい る
薬剤 を調べ る試験 を実施す る場 合、及 び QT/QTC評 価試験 が実施 で きない場合な どに最 も関連 があ
る。
2.5.1標 準 12誘 導 心電 図 デ ー タ の 収 集 及 び 評 価
臨床 にお ける心電図のデー タベ ースは、ホル ター心電図法 も将 来用 い られ る可能性 もあるが、典
型的には 12誘 導 の体表 ′
き電図検査か ら得 られたデー タを基 に して い る (第 252節 参照)。 心電図
デ ー タベ ー スの質は、デ ジタル信号処理 が可能な最新機器 を使用す るか否 かに依存す る。機器 は検
査前に点検 され、調整 されてい る必要 がある。機器 の調整記録及 び性能デ ー タは フ ァイル に保存 さ
れ なければな らない。多施設共同試験 の場合 、測定者 の技術
(例
えば、皮膚 の前処 置、電極
(リ
ー
ド)の 配置 、患者 の体位 )及 び実際 のデー タ測定方法 の一貫性を保 つ ため、研修 を実施す ることが
望ま しい。
臨床試験で用 い られてい る心電図 の 間隔 の測定方法 は幾つ か あるので 、治験依頼者はそ の試験 に
つい て、選択 した方法で の QT/QTC間 隔測定の正確性 (accuracy)及 び精度 (predζ on)を 記述す る
べ き で ある。 検 査方 法 は 、そ の 試験 で適切 とされ る精度 の レベ ル に応 じて 決 め られ る。例 えば
QT/QTc評 価試験 の場合には、間隔 の測定に特に注意が払われた ことを保証す る ことが必要であろ
う。現在 、そ の場合に通常行 われ るのは、 (コ ンピュー タによる補助 の有無にかかわ らず )少 数 の
熟練 した判読者 による中央 心電図検 査室での演J定 で あろ う。 も し完 全 自動化技術 の使用を保証す る
十分 に明 らかなデ ー タが入手可能 になれば、心電図の間隔測定に関す る本 ガイ ドライ ンの勧告は修
正 され る可能性 がある。 心電図 の判読者 は、記録時間、治療法 (処 置 )及 び被験者 の識別情報につ
いて 盲検下に置かれ るべ きであ り、1人 の被験者 の心電図デー タは 1人 の判読者 がその全て を判読す
るべ きである。 同一の判読者 内及び複数 の判読者 間におけるバ ラツキの程度は、評価者が盲検 下で
デー タの一部 (正 常、異常 の両方 )を 再度判読す ることで判断 され るべ きである。
初期 の臨床試験で問題 が認 め られ ない場合には、心電図 の機械 による判断 がJさ 電図に基 づ く迅速
な安全性評 価 に役 立つ。治験依頼者 は、心電図診断及び有害事象 の決定 の基準 を事前に定めてお く
べ きである。
QT間 隔 を損1定 す るのに最 も適 当な誘導及び測定方法 は確 立 されてい ないが、胸部誘導及び第 Ⅱ誘
導が しば しば用い られ る。同一の試験では同一の測定法を用 い るべ きである。
■ U波 群では形態 の変化 が起 こ り得 る。T及 び
U波 の形態 の変化に関 して も情報 を記載すべ きで
ある (第 33節 参照)。 離れ た U波 は、QT/QTC間 隔測定 か らは除外 され るべ きであ る。
o2.5.2ホ ル タ ー 心 電 図 (ambulatOw ECG)モ ニ タ リ ン グ
ホル ター ,い 電図モ ニ タ リングは、QT/QTC間 隔 の主要な評価方法 としてこれまでに十分に検証 され
た とは考 え られ て いな いが 、新 しい方法に よって体表 心電図に近 い多誘導 のデ ー タ記録 が 可能 とな
れ ば、間隔 デ ニ タの収集 に使用できる可能性がある。 さらに、 ホル ター ′
い電図 モニ ター を用 い るこ
とに よ り、一 日の うちで稀に起 ころ QT/QTC間 隔の極端な変化、及び無症候性 の不整 脈 の検出が可
能 となるであろ う。 また、ホル ター ′
b電 図モ ニ タ リン グか ら得 られ る
QTRRデ ー タが、個人別 の
QT補 正 を計算す る上で有用 で ある こ とがある。 しか し、 ホル ター,さ 電図モ ニ タ リン グによ り測定 さ
れた Qη QTC間 隔 は、標準的な体表心電図 のデー タと定量的に対応 しない場合 があるため、 この二
つの方法か ら得 られたデー タを関連す る同一の基準値 を用 いて 、直接的に比較、集積 、解釈す るこ
とは適 当ではない と思われ る。
2.5.3間 隔 及 び 波 形 デ ー タの 提 出
心電図上 の間隔デ ー タ及び総合評価 の提 出に関す る情報につい ては 、地域 ごとに指 導 を求めるベ
きである。
3.臨 床 試 験 に お け る心 電 図 デ ー タ の 解 析
薬物 による心電図 上の間隔及び波形 へ の影響 の評価 は 、全 ての新医薬品申請にお い て 、安全性デ
ー タベー スを構成す る基本的な要素 と考 え られ る。
心電図
QT/QTc評 価試験 の結果 にかかわ らず 、全 ての試験 について 、有害事象 として記録 され た′
の変化は解析 のために集積す べ きである。QT/QTC評 価試験 か ら得 た′
い電図の間隔 のデー タは、心電
図 のデー タの収集 と分析 に関 して 同様 の厳密 さを有す るそ の後 の試験デー タに限 り、併せ て集積す
るべ きであ るが、厳密 さに劣 る心電図検査 のデー タとは併 せて集積 してはならない。 一つの臨床試
験計画内にお いて類 似 した試験 がある場合 には、心電図デー タの収集法を標準化す ることにより、
集積 したデー タの解析 が容易になるであろ う。
3.l QT間 隔 の 補 正 式
QT間 隔 は心拍数 と負 の相関を有す るので、ベース ライ ン と比較 して延長 したか否 かを決定す るた
め 、測定 され た QT間 隔は一般 的 に心拍数 で補 正 され る。提案 され て い る様 々 な補 正式の うち、
denda法 の補 正式が最 も広 く用 い られている。新薬 の QT/QTC間 隔へ の作用 を健康な
志願者 において評価す る初期 の試験で、比較的小 さい作用
lえ ば 、5ms)の 検出 を 目的 としてい る
Bazet法 や
F甫
(17‐
場合には、利用 で きる最 も正確 な補正法を使用す ることが重要である。
RR間 隔 の未補
正データ、心拍数 のデー タ並びに 3azet補 正法及 び F百 denda補 正法を用 いて補正 した QT間 隔デ ー
タを提 出す る とともに、また他 の式 を用い て補正 した QT間 隔デ ー タがあればそれ も提出 しなけれ
ばな らな い。 新 しい補 正法 (例 えば 、被験者別 の補 正 法 )を 用 い る場合 は、そ の補 正式 に よ り
最適 な補正法については意見 が分 かれてい るため、全ての 申請にお いて、QT及 び
QT/QTc間 隔に関連す る作用を適切 に検出す ることが可能であるこ とを示すため、同時 に陽性対照群
を設 けることが強 く勧め られる。
3.1.1集 団 デ ー タ に基 づ く補 正 方 法
補正 法 の例を以下 に示す
l)F‖ derた la補 正法
:
:QTc=QT/RR033
2)Bazet補 正法 :QTc=QηRR05
補正法 は、診療及び医学文献において しば しば用い られる。 しか し Bazet補 正法 は一般 に 、
心拍数 では過大な補正 、毎分 60拍 を下回る心拍数 では過小な補正 となることか ら、理想的
増加 した′
Baze■
な方法ではない。 Fndenda補 正法は、その よ うに心拍数 が変化す る被験者においては
3aze■
補正法
より正確 であ る。
3)線 形回帰法 に基づ く補正
プラセ ボ群または観察期 の試 験集団 の
QT/RRデ ー タをプ ロッ トし、線形回帰法を適用す ることに
よ り、傾斜 (Jope)(b)が 推定 で きる。 この傾斜は、被験薬群 と対照群双方 のデ ー タを毎分 60拍
とい う心拍数 で正規化 し、それ に対す る標準値 を示す の に用 い る こ とができ、│そ の際使 われ る方程
式は
QT=a+b(l RR)で ある。Fralninghamの 補正法 [QTc=QT+0154(l RR)]は 、線形回
帰 に より導 かれ る補正 の一例である。
4)大 規模デー タベースか ら集積 されたデー タに基づ く線形 または非線形 の回帰モ デル を用い る補正
3.1.2同 一 被 験 者 内デ ー タに基 づ く補 正 方 法
個別 の被験者 デー タを用 いた心拍数補正法が開発 されて い る。 それ らの方法では、治療前 の あ る
範囲 の心拍数における被験者 ごとの QT及 び RR間 隔 のデー タに対 して 回帰分析法を適用 し、その上
で治療時 の
QT間 隔 の値 に対 してこの補正を適用す る。QT/QTC評 価試 験及 び早期 の臨床試験 では、
広範囲 の心拍数 についての QT間 隔測定値 が被験者別 に多 く得 られ るため、この方法が最 も適 して
い ると考 え られ る。心拍数 が変化 して も
QT/QTC間 隔は瞬 間的には対応 しない とい う QT/RRヒ ステ
リシス効果 が あ るため、心拍数 が急 に変 わ る時点 にお い て収 集 され た心電図記録 は除外す るよ う注
意す べ きであ る。
3.2 QT/QTC間 隔 デ ー タ の 解 析
QT/QTc間 隔 のベ ー ス ライ ンに比 しての延長 は注意す べ き徴候であるが、それ らは平均値 へ の回
帰や極端な値 を選択 したためな ど薬物療法 に無関係 な要因 による変化である可能性 があるので 、
QT/QTc間 隔 のベ ース ライ ン との差 の解釈 は複雑 である。平均値 へ の回帰 とは、高 いベース ライ ン
値 を もつ被験者 では後 の時点で値 が低 下す る傾 向がある一方、低 いベース ライ ン値 をもつ被験者 で
は値 の増加す る傾 向が ある こ とを指す 。回帰 の方向は、試験開始時 の選択基準によ つて異なる (例
えば、QT/QTC間 隔 のベ ース ライ ン値 が高 い被験者 が試験 か ら除外 されれば、試験期間中に記録 さ
れ る値はベ ース ライ ン値 に比 し上昇す る傾向があるであろ う)。 また多 くの観測値 の うち最大の値
を選択すれば 、 どのベースライ ン値 か ら見て もほとん ど常に明白な変化 を示す ことになるであろ う。
この現象 は、被験薬群及びプラセボ群 の双方にお いてみ られ る。
QT/QTc間 隔デ ー タは 、中心傾向
(ccntral tendency)の 解析 (例 えば、平均値 、中央値)及 びカ
テ ゴ リカル解析 の両方 の形で示す べ きである。 どち らの解析 も、臨床 上の リス クを評価す る際 の適
切な情報 とな り得 る。
3.2.1中 心 傾 向 (centnitendency)の 解 析
被験薬 が QT/QTC間 隔へ 与 える作用 の解析 は 、最 も一般的 には、時間を一致 させた被験薬群 とプ
ラセ ボ群 の平均値 の差 (ベ ー ス ライ ン値 による調整 後 )の 、収集 の全期間を通 じた最大値 を用 い て
行われ る。 また中心傾 向の追加的な評価法 として 、各被験者 の最高血 中濃度 (Cmax)付 近で生 じる
変化 を解析す る こ とも含まれ る。被験薬 の吸収率あるいは代謝率におい て被験者 間での変動 が大 き
い場合 は 、後者 の解析方法 は特に重要 となろ う。
3.2.2カ テ ゴ リカ ル 解 析 (categoncal analysお )
Q7QTc間 隔デ ー タのカテ ゴ リカル解析 には、あ らか じめ設定 した何 らかの上 限値 に一致す るか、
あるいはそれ以上を示 した被験者 の数及 び百分率を用 い る。臨床的 に注 目すべ き QT/QTc間 隔 の変
化は、QT/QTC間 隔の絶対値、あるいはベー ス ライ ンか らの変化値 として定義 され るであろ う。
ベース ライ ンにお いて QT/QTC間 隔 が正常な被験者群 と延長 している被験者群は、分けて解析す る
べ きである。他 の QT/QTC間 隔 の解析 と同様 に、基準を超 えた所見 の割合 を被験薬群及 び対照群 で
比較す ることが可能な場合 には、カテ ゴ リカル解析 は非常に有益 である。
QT/QTc間 隔 の絶対値 の上限値及 びベース ライ ンか らの変化 の上限値 の選択 に関 しては、一致 した
見解 はない。 上限値 を下げれ ば偽陽性率 が 高 くな り、上限値 を上げれば、懸念す べ き徴候 を検 出で
きない リス クが増加す る。臨床試験 では、治療期間中の 500msを 超 える QTcの 延長は特に懸念すべ
10
│
き基準値 とされて い る。 この不確実性 に対す る一つの合理的な対処方法は 、異なる上限値 を用 いて
複数 の解析 を行 うことで あ り、異なる上限値 としては以下の ものがあ る
・ QTc間 隔絶対値 の延長
:
:
・ QlR間 隔 >450
0 QTc間 隔 >480
・ QTc間 隔 >500
0 QTc間 隔 のベー ス ライ ンか らの変化
:
・ ベ ー スライ ンか らの Q■ 間隔 の増加 >30
・ ベ ースライ ンか らの QTc間 隔の増加 >60
3.2.3薬 剤 曝 露 量 と QT/QTC間 隔 の 変 化 と の 関係 の 解 析
薬剤濃度 と QT/QTC間 隔 の変化 との関係 が確 立 されれ ば、心室再 分極 を評価す る試験 の計画及び
解釈 に役 立つ情報 が さらに得 られ るであろ う。 この領域 では、現在活発に研究 が行われてい る。
3.3心 電 図 波 形 の 形 態 的 解 析
U波 の 出現な ど心電図 上にみ られ る波形 の変化 の予測的な価値 は確 立 されて いな いが 、波形 の異
常は記述 され るべ きであ り、デー タの 中に、ベ ース ライ ンか ら変化が認 め られた、 つ ま り波形異常
の 出現 、 または悪化 を示 した各被験薬群 にお ける被験者数及び百分率を示す必要がある。 これ らの
デ ー タは、通常 Qη QTc評 価試験 の結果の一部 として得 られ る。
4.有 害 事 象
心 電図上 の間隔変化 の デー タの他 、有害事象 のデ ー タか ら催不整 脈 の可能性 につ いての情報 が得
られ ることがあ り、それ には以下の情報 が含まれ る
:
・ 臨床試験中の早期中止例及び用量変更例
・ 入手可能であれ ば、市販後 の有害事象報告
4.1臨 床 試 験 に お け る有 害 事 象
薬剤 により誘発 され る QT/QTC間 隔延長 は通 常は無症候性 であるが、被験薬 を服用 している被験
者 にお いてある種の有害事象 の発生率が増加す ることは、潜在的な催不整脈作用 を示唆 してい る可
能性 がある。特 に Qη QTc間 隔に作用す る根拠 がある場合 には、被験薬群及び 対照群 の被験者 にお
ける次の よ うな臨床的事象 の発生率を比較す る必要 がある
●TdP
:
・ 突然 死
・ 心室性頻脈
・ 心室細 動及び心室粗動
o失 神
・ てんかん発作
11
TdPが 臨床 の デ ー タベ ー ス にお い て捉 え られ る のは非常 に稀 で あ り、それは重大 な催不整脈性 の
作用 を有 してい る こ とが知 られ て い る薬剤 にお い て も同様 で ある。 そ の 事実 か らみ る と、心電図や
他 の 臨床デ ー タか ら催不整脈 リス クが 疑 われ る薬物 の場合 には 、 申請デ ー タベ ース にお いて
TdPの
発症 が観 察 され なか った ことをも つて 、そ の潜在的 な リス クを否定す る十 分 な根拠 とみなす ことは
できな い。 TdP以 外 の上記の 有害事象 は 、心室の再分極 との因果関係 は
TdPほ ど特 異的 ではな い も
のの 、臨床試 験 では よ リー 般的 に認 め られ るもので あ り、試 験群 間 でそれ らの発 生頻度に差 がある
場合 には 、そ の被験薬 の催 不整脈作用の可能性 を示す シ グナ ル とな り得 る。年 齢、性別、既住 の心
疾患 、電解 質異常 、併用薬 とい う点 につい て部 分集団解 析 を実施す るべ きである。 死亡率 を死 因別
に比 較す るこ とは困 難 であ るが、総 死亡 の うち 「突然 死 」 とされ る害1合 に差 がある場合 も、そ の差
を潜在的 な催 不整脈作用を示す一 つの 指標 とす る ことが提案 されて い る。
重篤 な心臓 の 有 害事象全て につい て 、息者 か らの詳細 な情報 は報告 され なければ な らな いが 、そ
れ は い か な る重 篤 な事 象 、 ま たは試 験 中 止 に至 った 事 象 の 場 合 に`
も同様 で あ る。 薬剤誘 発性 の
QT7QTc間 隔延長 とその事象 との間で考え得 る因果関係 を評価す る際には、時間的関係及びそ の事象
の発生時点で記録 された,さ 電図所見に注意す べ きである。QT/QTC間 隔は大幅に変動 しやす いため、
有害事象が起 きる前やその付近で治療中に記録 された,き 電図 が正常であ ったか らといつて 、そ の薬
剤 が QT/QTC間 隔延長に関与 してい る可能性 を否定す べ きではない。適切 な副作用報告以外に も、
顕著な
QT/QTC延 長を示 した 、または TdPを 発症 した患者か らの情報 は リス ク管理 のために有益 で
あろ う。そ のため、そ うした例にお いて患者が特定 され る場合 には、他 の危険因子 について も詳細
に検 査す るべ きである (例 えば、遺伝的素因な ど。第 43節 参照)。 適切なモニ ター 下で被験薬 を再
投与す る試験 を行 うことで、用量反応関係及 び濃度反応 関係 に関す る有益な情報 が得 られ る可能性
がある。
新薬剤 の 安 全性デ ー タベ ー ス を評価す るにあた り、試験対象患者 の選択基準及び除外基準が 、
QT/QTc間 隔延長及び関連す る有害事象の リス クに関 し、試験集団にどの程度影響 を与えたかを検討
の併用
す べ きである (例 えば、心臓 の合併症 あるいは腎臓/肝 臓 障害を もつた患者 の除外 、利尿斉」
禁 止 )。 理想的 には、主要な臨床試験 には 、そ の薬剤 の使用 が予想 され る患者集団 に典型的にみ ら
れ る合併症 を有す る患者及び併用薬 を使用 してい る患者 、 さらには女性及び高齢 の 患者について も
適切 な例数を含めるべ きである。
患者 が 臨床試験 期間中に不整脈 を示唆す る症状、または心電図所見を示 した場合 には、そ の患者
を治療 し、そ の療法 の継続 /再 開を検討す るために、心臓 の 専門医による迅速な評価 を行 うことが
勧 め られ る。
4.2早 期 の 中 止 ま た は用 量 の 減 量
QT/QTc間 隔延長 のため臨床試験 を中止 した被験者 に対 しては、特別な注意を払 う必要 がある。早
期 に試 験 を 中止 した被験者 については、そ の理由
(例
えば 、試験 の実施計画書で規定 された上限を
超 えた QT/QTC間 隔 の値、不整脈 のェ状 を伴 う QT/QTC間 隔 の延長 の 出現)の 他、治療用量及び投 与
期間、可能であれば血中濃度 、人 口統計学的特性 、不整脈 リス ク因子 の有無 につい て情報 を提 出す
るべ きである。
また 、QT/QTC間 隔延長 によ り用量を減量 した場合には、それ も記録す るべ きである。
4.3薬 理 遺 伝 学 的 (pharmacOgenetた )考 察
現在、QT延 長症候群 の病型 の多 くが、心臓 のイオンチャネルの蛋 白質を コニ ドす る遺伝子の突然
変異 に 関連 していることが知 られて い る。 不完全 浸透 とい う現象 のため 、心電図 ス ク リー ニ ン グ検
査を行 つて も、変異 した イ オンチ ャネル 遺伝子 の保持者全てが QT/Q恥 間隔の延長を示す ことはな
いで あろ う。遺伝子多型 はイオンチ ャネル に影響 を与え、再分極 に影響す る薬剤 へ の感受性 を高め
る可能性がある。薬物療法中に、QT/QTC間 隔 の顕著な延長、または TdPを 示 した被験者については、
遺伝子型 の特定を検討す るべ きである。
4.4市 販 後 有 害 事 象 報 告
TdPの 症例報告 は、Q7QTCを 延長す る薬斉Jに お いて も比較的稀 であるため、市販後に多数 の患者
が投与 を受 けるよ うになるまで報告 されな い ことが しば しばある。市販後 の有害事象のデ ー タで利
用可能なもの について │す 、QT/QTC間 隔 の延長及び TdPの 証拠を調 べ るとともに、心停止 、心臓突然
死 、心室性不整脈 (例 えば 、心室性頻脈 、心室細動 )な ど QT/QTC間 隔延長 との関連 が考 えられ る
有害事象 も調査す べ きである。TdPの 特徴的な症例は薬物使用に関連 してい る可能性が高 いが 、よ
り普通に報告 され るそ の他 の事象について も、 リス クの低 い集団 にお い て発生 した ことが報告 され
た場合 には (例 えば、若 い男性における突然死 )、 特に注意す べ きであろ う。
5.薬 事 規 制 へ の 影 響 、添 付 文 書 の 記 載 及 び リス ク 管 理 法
5.l QT/QTC間 隔 延 長 作 用 と承 認 プ ロセ ス と の 関連 性
QηQTc間 隔 が著明な延長 を示す場合には、不整脈が実際に記録 されたか否かにかかわ らず、薬剤
の不承認 、あるい は臨床 開発 の 中止の根拠 とな り得 る。特 にその薬斉1に お いて、既 に利用可能 な治
療法 を上回 る明確 な利 点がな く、かつ既存 の治療法がほ とん どの 患者 の必 要性 を満 た している場合
はそ うである。薬剤 の QT/QTC間 隔延長 の可能性 に関 して適切な臨床評価 を行 っていない場合 も同
様 に、製造販売承認 が 遅れ た り、拒否 され た りす る正 当な理 由とな り得 る。非抗不整脈薬 の場合 、
ベ ネ フ ィッ ト評価に影響す る要素は、QT/QTC間 隔延長作用の大きさ、それ がほ と
一般的に リス クー
ん どの患者 で発 生す るのか 、ある限定 され た例外的な患者 に のみ発生す るのか とい う点、そ の薬剤
の総合的な有益性 、 リス ク管理手段 の利便性や実行可能性 であろ う。 も し臨床 の現場 にお いて勧告
内容が実施 され る見込みがない と判断 され る場合 には 、注意事項 を記載す ることは必ず しも適切な
リス ク管理の方策 とは考え られないで あろ う。
13
当該 の治療分野に属す る他 の 医薬 品にも QT/QTC間 隔延長 とい う特徴 がある場合 には、それ らを
陽性対照群 と して用いて QT/QTC間 隔延長作用 の大き さと発生率を比較す ることがその新薬 の評価
においては有益であろ う。
QT/QTc間 隔 の平均値への作用 が小 さい場合 に 、その影響 が重要でないか ど うかを判断す るのは困
難 であるが、不整脈 の り不クは QT/QTC延 長 の程度 とともに増大す るよ うで ある。平均 QT/QTC間 隔
の延長 が 5ms前 後、あるいはそれ未満の薬剤 は、TdPを 引き起 こさない よ うである。それは薬物 の
リス クが増大 しな いためなのか 、あ るい は リス クは増大す るが非常に小 さくて検出 できない ためな
のかは不明である。QT/QTC間 隔 の平均 への延長作用 が 5ms程 度か ら 20ms未 満までの薬斉1に ついて
は結論 は出て いな いが、中には催不整脈 リス ク との関連 を示 してい るもの もある。 QT/QTC間 隔 の
平均値 へ の延長作用 が 20msを 超 える薬剤 は、催 不整脈 リス クがある可能性が実質的に高く、医薬品
開発 期間中に不整 脈 の事象が臨床的に認 め られ る可能性 が ある。
薬剤 の開発や承認 の決定は、QT/QTC間 隔延長作用の程度にかかわ らず、その疾患や障害が治療 さ
れなか った場合 の罹病率及び 死 亡率並びにその薬剤 に ついて実証 された臨床上 の有用性によ り判断
され るものであ り、特にそれ らを他 の使用可能 な薬剤 と比較 した結 果 が問題 とされ るであろ う。 そ
れ以外 に臨床 的に考慮す べ き事項は 、同 じ疾患 を対象 とす る既承認 の薬剤 に治療抵抗性 を示す患者 、
あるい は忍容性 の ない患者、あるい は既 承認 の薬剤 の 添付文書に表示 された禁忌 をもつ患者 におい
てその薬剤 の有益性 が実証 され た場合であ り、 この よ うな息者へ の適応 に限定 され る場合 には、そ
の薬剤 の承認 の正 当な理由 とな り得 る。
QT/QTc間 隔延長 の リス クを修 飾 し得 るい くつかの 条件 が提案 され てい る。例 えば、増量 に よ り
QT/QTc間 隔を 「プ ラ トー」値 まで延長 させ るが、それ 以上には用量依存的な延長 を示 さない薬 があ
ることが示 唆 され てい る。 ただ しそれは 、現在 の ところ適切 に実証 されてい るわけではな い。 また 、
催不整脈 リス クが他の薬理学的作用
(例
えば、他 のチ ャネル の作用)の 影響 を受けて い る可能性 も
示唆 されてい る。 いずれ に しろ、 リス ク評価 の 中で QT7QTCへ の作用 が示 され た薬剤 については 、
「最悪条件 下 の設定」 (す なわち、対象患者集 団 にお いて 、作用 が最大の時点、かつ治療 中に到達
し得 る最大血 中濃度にお いて測定 された QT/QTC間 隔)を 確認することは重要である。
5.2 QT/QTC間 隔 を延 長 す る 医 薬 品 の 添 付 文 書 の 記 載
添付文書へ の記載事項 が地域 によ り異なることは認 め られ てい る。 しか し、以下 の事項に配慮す
ることが望ま しい
:
・ QT/QTC間 隔を延長す る リス クに関す る警告/注 意事項
・ QT/QTC間 隔 へ の作用 が示 され なかった場合 も含 め 、それ を検討 した試験のデザィン及び成績 の
記述
・ 推奨用量
い不全、QT
・ 催 不整脈 リス クを増大 させ るこ とが知 られ てい る病態 の リス ト (例 えば 、 うっ血性 ′
延長症候群、低 カ リウム血症 )
14
・
Q7QTc間 隔延長作用をもつ 2つ 以上 の医薬品の併用及び リス クを増大 させ る他 の相 互作用に関
す る注意事項
・ 患者 モ ニ タ リング (,き 電図及び電解質)及 び QT/QTC間 隔 の延長 が ある患者、または不整脈 の徴
候 を示す患者 の管理 に関す る推 奨事項
5.3 QT/QTC間 隔 を 延 長 す る医 薬 品 に お け る市 販 後 の リス ク管 理
抗不整脈薬 の投与 を受けてい る入院患者 においては 、治療開始後 の用量調節によ り、TdPの リス
クを実質的 に軽減できるよ うであ るが、他 の治療分野に属す る医薬品については 、 この点に関 して
利用可能なデー タはない。 QT′い 。間隔を延長 させ る既承認薬について 、その使用 に伴 う不整脈 の発
生を最小限 とす るための危険防止策 は、医療従事者及び患者 への教育が 中心 となる。
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