支部報133号 - 国立病院臨床検査技師協会近畿支部

No.133 号 September 2015
Contents
支部長就任(再任)挨拶 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
平成 27 年度第 42 回国立病院臨床検査技師協会近畿支部総会・学会 総括・・・・・・・2
平成 27 年度近畿支部総会議事録(要旨)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
平成 27 年度近畿支部総会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
平成 27 年度近畿支部座談会
魅力ある職場作りのために伝えたい「働くことの幸せ」
姫路医療センター 臨床検査科長 嶋崎明美 ・・ 7
座談会「魅力ある組織」を終えて
臨床検査専門職 渡邉清司・・10
平成 27 年度近畿支部学会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
第7回基礎研修会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
第二期 一般・血液研修会報告 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
<特集>ISO 取得に向けて 1(全 4 回)
・・・国立循環器病研究センター 浅田高至 ・・19
<地方だより>
カニ王国へご招待 (NHO 敦賀医療センター) ・・・・・・・・・・・・21
メーカーニュース(シスメックス株式会社)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
RA だより 11・総合 ・・・・・・・・・・・・・・・大阪医療センター 奈須正人・・24
事務局便り ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
人事異動 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
こくりんごカフェ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
編集後記 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
第 133 号
国立病院臨床検査技師協会近畿支部報
平成 27 年 9 月
事務局 京都府京都市伏見区深草向畑町 1-1
NHO 京都医療センター 臨床検査科内
発行者 樋口 冨士夫
URL
http://nhmtkinki.org
「会員の皆様へ」
近畿支部 支部長 樋口 冨士夫
新年度を迎え、3か月以上があっという間に過ぎ、月日の経つのが何とも早く感じる今
日この頃です。今春3月の役員選挙に支部長として立候補し、信任投票を経て第42回国
臨協近畿支部総会において再任されました。多くの会員の方々より信任を得ることができ、
身の引き締まる思いがいたします。諸先輩方が築き上げたものと過去2年間の支部長とし
ての経験と反省を生かし、会員の身になる身近な国臨協となるような支部運営に精進した
いと思います。
支部活動(事業)は支部規約に基づき、人材育成、機関誌等の発行、本部との交流、会
員の交流、待遇・地位向上を中心に進められています。新執行部としては、地区理事はも
とより常任理事の半数が入れ替わりました。新しく頼もしい人たちを理事に迎え、心機一
転新たな気持ちで臨んでまいります。事業遂行のために、主に学術、広報の二本柱を構成
し、それぞれが理事会で活発に議論を行い、研修会や支部ホームページ、近畿支部メーリ
ングリスト、支部報発行等が会員に有益になるように、役員ひとりひとりが役割と責務を担い運用に臨んでいきたいと考えて
おります。
特に人材育成に関しては専門的な知識・技術も含め、ここ数年来の重要課題にもなっています。その一環として、例年行わ
れている主に若手技師対象の基礎研修会、検査データの保障となり基本である精度管理調査・研修会を継続して行います。実
技を取り入れた超音波講習会も行う予定です。近畿技師長協議会との連携の細胞検査士研修会は認定技師育成にも大きく寄与
していると思われます。今後も国臨協本部、技師長協議会、近畿ブロック専門職と連携しながら人材育成事業は進めてまいり
ます。また、指導者的な立場になる人材の育成を目的として、一般・血液研修会を2年間行いました。この研修会は、ただ講
習を受けるだけではなく次の世代へと伝えていくことに加え、ネットワーク構築を考慮し、教え教わることにより機構におけ
る自分の役割を認識するようになり、組織への愛着が生まれるのではと考えています。事実、この一般、血液研修会のメンバ
ーから、国臨協とは別に分科会・研究会のようなものが発足し、活動していくと聞いています。
支部会員メーリングリストは身近な情報交換・意見交換の場と位置づけ、医療や学術的に情報共有のできる一つの手段とし
て、1 年前より新たにサイボウズを利用し立ち上げました。その企画としてルーチンアドバイザーのご協力により「今月の RA」
も続けています。しかしながら、うまく運用できているかは疑問で今後の検討課題とします。支部ホームページは作成ソフト
を購入し、リニューアルすることにより広報としての役目を充実させていきたく考えています。今号より総会号以外の支部報
は電子化することが総会で決定され、IT 環境により PC、スマートフォンなどで閲覧できるようになりました。印刷費を気に
せず、紙面拡充が図ることができ、読みたくなるような紙面づくりを目指していきたいと思います。
平成26年の国立病院機構の第3期中期計画において、
『国民に対して提供するサービスその他業務の質の向上に関する目
標を達成するためにとるべき措置』として患者の目線に立った医療の提供、安心・安全・質の高い医療の提供、質の高い医療
従事者の育成・確保、医療政策の貢献、地域医療への貢献等が掲示されています。それは検査相談、標準化、人材育成などへ
と結びついていくと考えますので、近畿支部としても前述のように事業目標に挙げ、引き続き取り組んでいきます。
『業務運
営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置』としては、業務運営の見直しや効率化による収支改善があり、調達
の効率化のためコストパフォーマンスの高い取組を推進するとなっています。いわゆる使用医薬品の標準化を進め、共同購入
を引き続き実施し、材料費率の増加の抑制を図ることとしています。当会本部の臨床検査試薬共同購入の協力体制、標準化事
業にも大きく関与しており、近畿支部からも委員として参加しています。
総会時には座談会「魅力ある組織」を開催しました。事前のアンケートより制度、職場環境、キャリアアップなど様々な要
因が問題提議され、お二人の会員と姫路医療センター検査科長嶋崎先生からお話をいただきました。たいへん身に沁みて共感
し、今後の取り組みのきっかけになればと考えます。
機構の中で希望を持って働けるような環境づくりも国臨協の大きな役目と考えています。そのためには会員一人一人が活動
に参画してこそ成り立ち、見いだせるものがあると確信します。皆さん、共に考え、共に学び、共に創っていきましょう。
~1~
第 133 号
国立病院臨床検査技師協会近畿支部報
平成 27 年 9 月
平成 27 年度 第 42 回 国立病院臨床検査技師協会近畿支部定期総会学会開催される
平成 27 年 第 42 回国立病院臨床検査技師協会 近畿支部定期総会・学会 総括
副支部長 河野 明
平成27年6月6日(土)から7日(日)にかけて、兵庫県神戸市須磨のシーパル須磨(神
戸市立国民宿舎須磨荘)にて、第42回国立病院臨床検査技師協会近畿支部定期総会・学会
が開催されました。参加者は、総会 137 名、学会 113 名でした。
例年この時期は梅雨時で、蒸し暑くなって来る中での総会となりますが、今年は6月初旬
と少し早めの開催となったせいか、例年のこの季節からすれば涼しげな体感での開催となり
ました。前日の雨も上がり雲の隙間から日差しが漏れる中、駅から爽やかな海風を感じなが
ら来られた方、また浜辺を散歩された方も多かったのではないでしょうか。
さて、前置きが長くなりましたが、今年は1泊2日の日程での開催年で、6日は総会から
特別講演Ⅰ、座談会、懇親会へと続き、7 日には特別講演Ⅱと学会が行われました。また、
総会前・学会後には、今年もメーカー6社に協力をいただきランチョンセミナーを開催する
ことができました。内容は次の通りです。初日は12時から、ランチョンセミナー①:アボ
ットジャパン株式会社 学術情報室 青木和雄先生に「どのようにして甲状腺疾患は診断されるか?」
(座長:国立循環器病研
究センター 浅田高至主任)、②:東芝メディカル株式会社 超音波装置担当主任 西島康弘先生に「東芝超音波の最新技術と
その臨床応用」
(座長:大阪医療センター 幸山佳津美主任)、③:こちらは技師長・副技師長を対象として、株式会社エイア
ンドティー 営業推進グループリーダー 黒崎大輔先生が「リスク管理から品質保証へ」
(座長:姫路医療センター 佐野隆弘技
師長)と題して、翌日の学会終了後は、ランチョンセミナー④:フクダ電子株式会社 血管予防営業部 塚原千枝先生で
「CAVI/ABI 検査の測定法と最新トピックス紹介」
(座長:舞鶴医療センター 小原伸之副技師長)、⑤:ベックマン・コールタ
ー株式会社 顧問 臨床検査 QMS コンサルタント 清水義秋先生に「品質マネジメントの改善ポイント」と題して(座長:大阪
医療センター 森脇貴美副技師長)、⑥:積水メディカル株式会社 カスタマーサポートセンター 学術グループの金田幸枝先
生に「汎用機で測れるようになった尿中 L-FABP の有用性」
(座長:近畿中央胸部疾患センター 若林和彦主任)についてご講
演をいただきました。中には東京方面からわざわざお越しいただいた先生もおられ、土日にもかかわらず多くの社員の方々
にお越しいただき、各社の我々近畿支部ひいては会員皆に対する温かい協力の思いを強く感じました。この紙面をお借りし
て、各企業のご協力に対し改めて深く御礼申し上げます。
総会の議事内容詳細については議事録を参照していただきたいと思いますが、今年は大きな2つの議案がありました。1
つは、長年運用されて来た支部規約等の全面的な見直しです。事務局会計の実務的なところで、ゆうちょ銀行で口座を作る
に当たり、近畿支部としての所在地が必要となることから、大阪医療センター臨床検査科内にすることを了承いただきまし
た。その他支部運営規程や選挙規約など従来のものでは表現があいまいであったり、不十分な部分を修正して、より現実に
明確な運用ができる形に構成し直しました。2つ目は、支部報の電子化です。これまでは年 4 回発行し、みなさんにお配りを
させていただきましたが、総会号以外のタブレット版(3 回分)を電子化し、支部ホームページや会員 ML へ配信することを考
えました。紙面を拡充して盛り沢山な会報にしようとすると、それに伴う印刷費増加が懸念されます。昨今の IT 環境の充実
化により、機は熟したと判断し提案しましたが、規約改正案共に出席者の大多数のご理解のもと、賛成多数で可決いただき
ありがとうございました。その他、事業方針・予算についても賛成多数で採択されました。
今年は役員改選の年でもありました。三役では事務局長が新しくなり、理事のメンバーも大幅に入れ替わりました。その
新体制で、議案審議の中でいただきましたご意見・要望につきまして、今後理事会で討議しご期待に添えるよう取り組んで
いく所存です。よろしくお願いいたします。また、会員皆様のご支援とご協力をお願い申し上げます。
総会後の特別講演Ⅰでは、新しく機構本部の専門職になられた国立病院機構本部 医療部
医療課 上條敏夫臨床検査専門職をお迎えし「国立病院機構本部における臨床検査部門の取
り組みと今後について」と題して、機構本部の概要と沿革・歴史から検査技師を取り巻く環
境・現状と課題等々分かり易くご講演をいただきました。
また、今総会・学会の目玉として、事前にアンケート調査を実施し開催した座談会「魅力
ある組織」では、3名のパネリスト(国立循環器病研究センター 幸高真美技師、刀根山病院
小森法子主任、姫路医療センター 嶋崎明美検査科長)の方々に討議をいただき、検査技師と
しての自分のヒストリー、取り組んできたことや現況、そして事前アンケートの集計結果か
ら考えられること等を、嶋崎科長におかれましては検査に対する熱い思いとその魅力をアン
ケートに寄せられた意見に対して熱く語っていただきました。パネリストの皆様ありがとう
ございました。魅力ある組織の姿がはっきりと見えるまでには至りませんでしたが、近畿一 上條 敏夫 臨床検査専門職
円に渡る大きな組織としての問題もあり、今後どう取り組んでいけば良いかが課題として浮き彫りになりました。司会をお
引き受けいただきました渡邉専門職お疲れ様でした。
懇親会は立食パーティー風に行われ 96 名が参加しました。ご講演いただきました上條臨床検査専門職ならびに翌日の特別
講演Ⅱでお話をいただく松林国臨協会長、科長会からは大阪医療センターの眞能臨床検査診断部長と嶋崎姫路医療センター
検査科長にもご参加いただき盛大に執り行われました。途中、今年新しく採用された新人の皆さんが壇上に上がり、一人一
人が挨拶する恒例の新人紹介も行われました。今年は、天婦羅と鯛しゃぶの実演屋台もあり、出来立てを食べることができ
満足された方も多かったのではないでしょうか。また、引き続き席を移して行われた二次会(意見交換会)にも多くの方が参
加され、用意した大量のビールが無くなるまで飲み、そして真剣に熱のこもった話をされていたのが印象的でした。遅くま
でお疲れ様でした。
~2~
第 133 号
松林 守 会長
国立病院臨床検査技師協会近畿支部報
平成 27 年 9 月
翌日2日目(6/7 日)は、特別講演Ⅱとして国臨協本部 松林守会長に「臨床検査部門の
現状と今後の方向性について」と題して、国臨協本部アンケート調査の報告、本部事業とそ
の対応としての検査相談コーナー(室)の設置推進・標準化・チーム医療・共同入札の協力
体制・標準化事業の再検証等について説明いただきました。最後に「業務の先に我々技師の
価値をいかに見出すかが重要」と言われた言葉は、会員の皆さん全員に是非お伝えしたいと
思いました。
学会は各部門から11演題が集まり、それぞれ興味のある内容で、新人の方も堂々と発表
されていました。発表時間も練習の成果からか大幅に越えることも無く、順調に進行できま
した。各セッションの座長をお努めいただきました皆様方お疲れ様でした。ご協力ありがと
うございました。
今回も多くの会員の方に参加いただき、国臨協の存在が会員個々の参加によって成り立っ
ているということを改めて認識しています。会員の皆様には、今後とも国臨協活動にご理解
とご支援、ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
最後に、皆様方のご健勝を心より祈念いたします。
『平成 27 年度近畿支部総会議事録(要旨)
』
日時:平成 27 年 6 月 6 日(土曜日)
13 時 00 分~15 時 00 分
場所:シーパル須磨 神戸市立国民宿舎須磨荘
○議長選出・書記任命
議長:木下 幸保(南京都病院 副臨床検査技師長)
書記:荒木 優利香(南京都病院)
【総会成立状況】
議長)支部会員総数は 275 名、総会出席者数114 名、委任状提出者数
153 名、計 267 名、以上の通り出席者数が会員総数の過半数を超えて
おり、規約6 章第15 条の要件を満たしておりますので、本総会は有効
に成立していることを報告いたします。
○議案審議
1、 平成 26 年度経過報告(小松副支部長)
詳細は支部報 132 号 3 から 6 ページ。
【一般経過報告】
組織状況:平成 26 年度会員数 286 名。
理事会は 6 回開催しております。
会報の発行は No.129 号から No.132 号(総会号)の 4 回です。
平成 26 年度支部定期総会・学会は 6 月 21 日(土)於 大阪コロナホテ
ルで開催されました。
ランチョンセミナーは3 社にお願いし、参加者は 160 名でした。支部総
会参加者は 135 名。支部学会演題数は 8 題でした。支部学会の参加
総数は 142 名で例年を上回る参加率でした。特別講演は天理医療大
学医療学部教授の山西八郎先生に「技師として知っておきたい統計
学」についてご講演いただきました。事務局取扱い事項につきまして
は支部報 No.129 号から総会号(No.132)に記載しておりますので省略
させていただきます。
【平成 26 年度事業経過報告】
① 臨床検査精度管理
近畿支部コントロールサーベイは生化学、血液について実施しまし
た。
平成 26 年 8 月 30 日(土)に京都医療センターで行われた精度管理研
修会は参加者 74 名です。
学術講演としまして、天理医療大学臨床検査学科特任講師の山本慶
和先生に「精度管理・精度保証を見直すおよび標準化の動向」、シスメ
ックス株式会社学術本部認証サポートセンターの小口雅子先生に
「ISO15189 要求事項とその対応:精度管理」というテーマで講演してい
ただきました。
② 学術研修会
微生物研修会(参加者 41 名)を平成 26 年 7 月 12 日(土)に大阪医療
センター緊急災害医療棟2 階研修室で行い、「趣旨・方向性(アンケー
ト集計をもとに)」、「どうしてますか?(一般細菌検査全般・抗酸菌検査
法全般・薬剤感受性検査法全般)」について講演していただきました。
細胞検査士育成研修会を技師長協議会と共催で、9 月 13 日(土)参加
者 4 名、10 月 4 日(土)参加者 5 名、11 月 23 日(日)に 2 次対策として
参加者7 名と 3 日間にわたり総会号(No.132)に記載されている内容で
行いました。学術研修会として 10 月 25 日(土)に参加者 61 名で大阪
医療センター旧社会保険事務所にて「こんな時どうしてますか?」また
「ISO15189 を取得して日常検査がどう変わったか」をテーマに総会号
(No.132)に記載されている先生方に講演をしていただきました。エコ
ー実技講習会(参加者17名)では「超音波の基礎・基本(正しい基本断
面と確実な描出の習得)」という内容で 12 月 13 日(土)大阪医療センタ
ー生理検査室で心臓・腹部・頸部の分野について行いました。疾患に
立ち向かう検査(技師)シリーズを平成27 年1 月31 日(土)大阪医療セ
ンター地域医療研修センターにて2 部構成で行いました。第一部では
「これからの検査室を担う人たちへ」(参加者71名)、第二部では「疾患
に立ち向かう臨床検査シリーズ⑧‐消化器疾患:消化管出血‐」(参加
者 79 名)をテーマに総会号(No.132)に記載されている先生方に講演
をしていただきました。一般・血液研修会としては京都医療センターに
て指導できる人材の育成を目的として、一般検査参加者 4 名、血液検
査参加者 3 名で各 5 回、総会号(No.132)に記載されている内容で行
いました。基礎研修会は参加総数45 名、実習参加数29 名で 5 月9 日
(土)に大阪医療センターで行いました。
③ 本部活動との連携
本部事業と臨床検査部門の標準化、ISO15189 に伴う近畿支部
ISO15189 取得施設における ISO に関する研修会や「なるほど・ザ・検
査ミニ知識」について情報発信を行いました。
④ 近畿グループ事務所、技師長協議会等との連携
細胞検査士育成研修会や退職者を囲む会など各種研修会への参加
等に協力していただきました。
平成27 年4 月11 日(土)大阪医療センター検査科カンファレンス室に
て「臨床検査専門職・技師長協議会会長・国臨協近畿支部長 三者懇
談会」を行いました。
⑤ 支部 HP アクセス数
平成 26 年 5 月 1 日から平成 27 年 4 月 30 日までに 3786 件のアクセ
スがありました。サイボウズライブではルーチンアドバイザーによる本
日の RA が連載されました。
⑥ 慶弔規定による打電:9 件(弔電 6 件、祝電 3 件)
⑦ 平成27 年近畿グループ退職者を囲む会ですが、平成27 年2 月
28 日(土)大阪弥生会館で行われ、退職者 1 名を含め 61 名の方に参
加していただきました。
⑧ 地区活動報告
京都地区では平成 26 年 11 月 1 日(土)に参加者 21 名でサントリービ
ール工場の見学・合同懇親会、兵庫地区では平成 26 年 11 月 29 日
(土)に参加者 21 名で PSG 検査についての講演・懇親会、滋賀・福井
地区では平成 26 年 12 月 5・6(金・土)に参加者 21 名で合同懇親会、
大阪、奈良・和歌山地区では平成 26 年 12 月 6 日(土)に NST につい
ての研修会参加 32 名、懇親会参加 19 名とすべての地区で地区活動
が行われました。
≪質疑応答≫
益田技師長)⑥の電報について祝電 3 件の内容は何でしょうか。結婚
とかでしょうか。
竹立事務局長)結婚です。
益田技師長)会員全員の結婚について電報を打つべきではないでし
ょうか。3 件だと少ないように思われます。
竹立事務局長)申し出のあった方だけにお送りしております。
樋口支部長)昨年も報告したのですが、慶弔規定による打電をするた
めにぜひ申し出て欲しいとお願いしていますが、3 件しか報告があり
ませんでした。技師長または施設連絡者を通じて連絡していただけた
らと思っております。
議長)平成 26 年度経過報告について採決に入りたいと思います。
挙手多数ということで、平成 26 年度事業は承認されました。
2、 平成 26 年度会計決算報告(竹立事務局長)
詳細は支部報 132 号、7 ページ。
3、 会計監査(山本会計監査)
平成27 年 5 月 9 日、平成26 年度会計について帳簿、領収書、ならび
に貯金通帳を監査しましたが、全て異常はなく正しく運営されているこ
とを確認しましたので報告します。
≪質疑応答≫
益田技師長)会計監査にお聞きしたいのですが、地区活動費の領収
書もしくは通帳で各地区理事に振り込まれたかの記載があったかを確
認されていますか。
竹立事務局長)会計監査に代わってお答えします。地区活動費では1
万円の決まった領収書はなく、地区活動を行った地区に1万円を支払
~3~
第 133 号
国立病院臨床検査技師協会近畿支部報
うことになっております。会場費や懇親会費などの領収書は提出して
いただいていますが、1万円と合わない場合があります。
益田技師長)意味はわかりますが、金額が合わないというのは会計上
おかしいのではないでしょうか。補助費として出しているなら各地区理
事から1万円の補助費を受け取ったという領収書をもらうべきだと思い
ます。
使途不明金になり、会計報告が成り立たなくなりませんか。
竹立事務局長)次回から地区理事より1万円の補助費を受け取ったと
いう領収書をもらうようにします。
議長)平成 26 年度会計決算報告について採決に入りたいと思いま
す。
挙手多数ということで、平成 26 年度決算は承認されました。
4、 第 1 号議案 平成 27 年度事業方針案(樋口支部長)
詳細は支部報 132 号 8 ページ。
未来を担う若い世代の人たちに良きものを継承し、発展をしたく考え
ております。
①医療面での質向上
1)精度管理の充実
検査データの保証となり基本である精度管理について調査、研修会を
継続して行います。
2)臨床検査標準化推進
ISO15189 に関することを発信していきます。
3)チーム医療と業務拡大の推進
4 月に法改正があり、診療補助の幅が広がり新たなチーム医療の参画
が求められる可能性として、そのような内容に関して情報発信を行っ
ていきたいと考えております。
②人材育成と確保
人材育成は最重要課題ですが、加えて人材確保も重要なことと考えて
おります。
1)若手技師に向けた基礎研修会の充実を行っていきます。
2)指導者を育成する目的で行われた一般・血液研修会を今年度も引
き続き行いたいと思います。
この研修会はただ講習を受けるだけでなく次の講習会を担っていく指
導者の訓練を含めて行っております。ネットワーク形成ができることが
大切で教え教わることにより、自分の役割を認識するようになり組織へ
の愛着が生まれるのではないかと考えております。事実、この一般・血
液研修会メンバーから国臨協とは別に分科会や研究会等が発足し活
動していくと聞いております。形態学ですので研修会において顕微鏡
等の関係で施設をお借りすることもあるかと思いますが、ご協力よろし
くお願い致します。
3)臨地実習施設等の情報共有ということで、実習施設で学生のうちか
ら本機構の良いところをみて興味を持ってもらい良い人材を引っ張る
ために、各施設の実習カリキュラム等を情報共有し、良いところ取りを
していけたらと考えております。
③本部活動との連携
本部事業に則り、より情報の共有をはかっていきたいと思います。
④近畿グループ医療担当臨床検査専門職、技師長協議会との連携
三者がしっかり連携し、各種研修会の共催、情報の共有化をはかって
いきます。
⑤情報発信の推進
1)支部会員 ML の有効利用
1 年前より新たなコミュニケーションツールとしてサイボウズで国臨協
近畿支部MLを立ち上げました。身近な国臨協をモットーに色々なこ
とが話し合える環境作りとして企画した今月の RA も続けていきたいと
思います。
2)支部 HP もリニューアルしていきます。
3)学術委員・RA 活動の推進
4)臨床検査相談コーナー(室)の推進として、各施設間の情報共有を
行い、よいところ取りをしていけたらと思っております。各施設の情報
提供のご協力をよろしくお願い致します。
≪質疑応答≫
岡部技師長)精度管理の充実ということで、以前より、医師会サーベイ
のプレサーベイという意味で生化学・血液・免疫とやってきて、今現在
、検体検査の方は大方そろってきたのではないかと思います。今後、
医師会のサーベイではない項目、細胞診や細菌検査等の日臨技で
やっているような項目についても国臨協で取り組んでいって欲しいと
思います。というのも検体検査以外の分野の精度管理が少し遅れてい
るような気がしますので検討をお願いします。
樋口支部長)情報発信の推進のところからもホームページの利用等、
課題もありますので総括的に考えていきたいと思います。
生理機能や画像診断もサーベイをするのは簡単ですが、構築があり
ませんので、一度理事会で検討させて下さい。
原技師長)要望です。ホームページにルーチンアドバイザーの質疑
回答で診療報酬について記載があるのですが、日付がないため診療
報酬改訂前のことなのか後かがわからないので、記録に関して日付を
入れていただきたいと思います。
もう一つ、先日アンケートで組織に対して皆さんがどのように思ってい
るのか興味深く拝見しましたが、回答率が 50%と半数しかないので、
100%を目指してもう一度行っていただきたいと思います。非常に良い
ことだと思います、アンケート結果を分析すれば良い組織を作るため
の資料になると思うので、強制力を持たしてでも全員が回答するように
して欲しい。アンケートの自由記述の意見は何人の人がそのように思
平成 27 年 9 月
っているのかがわからないので、もう少し分析しやすいようにしてもう
一度行って欲しいと思います。
樋口支部長)今後のルーチンアドバイザーの回答は、日付を入れた
いと思います。ご指摘ありがとうございました。アンケートの件ですが、
一度きりではなく検証的な意味で今後も行っていくつもりです。アンケ
ートの自由記述の意見についてですが、配布したアンケート結果の斜
体で書かれた意見は上から多い順になっております。斜体でないもの
は少数だと思って下さい。
益田技師長)精度管理というか学術というかお願いですが、各施設の
院内実施している項目の基準値を調べていただきたいと思います。検
査方法が変わっているにもかかわらず、以前から設定されている基準
値を用いているという事例もありましたので、自施設の検査方法と基準
値が一致しているかをこの機会に一度調べて欲しいと思います。
樋口支部長)標準化という内容とも合致しますので、学術を通じて検討
していきたいと思います。
佐野技師長)業務関連で触れられていたように、検体採取のことが検
査技師の法令に組み込まれたのですが、資格取得に対して温度差が
感じられます。施設によって、または個人によって取ったらいいのか
取らなくいいのか、場合によっては「その検査に携わらないなら取らな
くいいよ」と言っているところもあるようですが、これから検体採取が検
査技師の業務に導入されていく可能性もあるので、特に若い人には
受けられるように周囲から情報提供をしていくべきだと思うのですが、
国臨協でも方向性が明確ではないので、どのよう考えておられるのか
お聞きしたいです。
樋口支部長)春の国臨協本部のアンケートにも検体採取の講義の受
講についての質問があったと思います。その集計結果も含めて情報
提供できたらよいのですが、未知であるので各施設の技師長もどのよ
うに宣伝していくのか悩んでおられると思います。国臨協本部も情報
を収集して多くの情報を提供していきたいと思います。
新井技師長)事業方針で経営的な面がほとんど触れられていない。中
堅や若手に今の医療情勢がどのようになっているのかという正確な情
報と今後どのように動いていくのかを知っていく機会を国臨協として作
っていかないといけないと思います。今、国臨協のみならず日臨技を
含めて臨床検査技師の方向性、課題として挙げられているのは、検査
説明をする技師、病棟に出て行って検査をする技師、訪問する検査技
師の三点であると伺っています。
また検体採取の問題に関しては、何故そのようなものが出てきたかと
いった背景を知ることが非常に大切です。昨年の国病学会のオープ
ニングリマークで NHO 理事長が中長期にわたり重要課題として述べ
たのは介護分野への参画です。私自身、以前から介護の方に検査技
師が関わっていく機会が無いものかと考えていましたが、なかなか切
り口がありませんでした。これまで検査技師の検体採取については法
的障壁がありましたが、今回の法的措置により検査技師が検体採取を
行えるようになった、また検体採取については院内のみならず外向き
に対しても考慮すべきことで、将来的に検査技師が介護を含めた分野
に参画し、訪問して検体採取が出来るような基盤が出来てきたと言うこ
とです。この様な、何故こういった取り組みを行っているのかといった
ことを若手の技師の方々に説明する責任というか、情報を集めてちゃ
んと啓発活動をしていくことは国臨協の役割だと思いますのでよろしく
お願いします。
樋口支部長)まさしくその通りなので、情報を収集して発信していきた
いと思います。
新井技師長)毎年お願いしていることですが、本総会は若手が多く出
てきている会なのでその方々に将来どのように進んでいくのかをしっ
かり示すためにも年度目標ではなく中長期にわたる計画・方針を立て
公開するべきと常々申し上げてきました。
また現在検査技師の抱える大きな問題は 2 点あり、まず 1 つは単独で
お金を稼げない。依頼がないと検査ができない。そのためにも患者指
導などを実施して検査技師自身がフィーを獲得出来るような活動を進
めていくということ、もう 1 つは、検査技師は医療法で守られていない
職種であるということを認識し将来的に院内必置義務などを獲得する
ためのプレゼンスを検査技師自身が積み重ねていかなければならな
いということです。
その様な観点で近畿支部としての軸をぶらさないためにも中長期にわ
たる計画・目標を示すことが大切です。我々がやるべきことは道を示
すことではなく、目標を示すこと。やはりこれが大事だと考えます。将
来にわたってこれを目指すのだということを強く訴えていただき、若手
にしっかりと伝授していく活動を進めていただきたいと思います。
樋口支部長)中長期の目標を言われていたのですが申し訳ありませ
ん。次回は示すようにしたいと思います。
今井技師)アンケートにも関連しますが、生化学検査を担当し2年目の
自分と新卒の 2 人で生化学検査を回しているという現状があり、機構よ
り人(増員・人材)を回していただきたい。ルーチン以外の仕事があれ
ばそちらに手を取られるということもあるので、もう少し人の配分を考慮
してもらえたらと思います。
樋口支部長)人材育成はすぐに手助けはできるのですが、国臨協とし
て人事は難しくすぐにどうこうできないというのは理解していただきた
いです。アンケートの件に関しても問題提起されていくことが大切で、
浮き彫りにされたことが重要だと思うので専門職、技師長協議会と話し
ていきたいと思います。
議長)採決に入りたいと思います。
第1 号議案、27 年度事業方針案について、保留0 名、反対0 名、賛成
~4~
第 133 号
国立病院臨床検査技師協会近畿支部報
多数ということで採択されました。
5、 第 2 号議案 規約等改正案(小松副技師長)
詳細は支部報 132 号 9 ページから 16 ページ。
現在国立病院臨床検査技師協会近畿支部規約が施行され42年の歳
月が経ち、その間幾度となく一部改正がされてきましたが、規約の中
に規程があり、また何のための規約かわかりにくくなっている点も含め、
全面的に規約等の改正が必要と考えました。
一般に規約・規程といった用語はかなり混同して用いられ、その意味
するところも必ずしも同一でない場合が多く、実際には規程とすべきも
のを規約としたり、規約とすべきものを規程としたりしていることが多く
見受けられるようです。
今回の改正案として、現在ある国立病院臨床検査技師協会近畿支部
規約について
『規約とは』:会の運営及び事務執行に関し、会員間を規律する自治
規範をいい、その改廃には総会の議決を必要とする。『規程とは』:会
の事務執行上に必要な関係を規律するものであって直接会員の権利
義務に影響を及ぼすことのない事項に関する内規として、その改廃に
ついては理事会の決議を経て行い、支部長が総会または支部報にて
報告を行う。
上記に則り用語を統一し、『近畿支部規約(案)』『近畿支部選挙規約
(案)』『近畿支部運営規程(案)』の 3 つに分けて改正案を策定いたし
ました。
4 月 20 日に配信させていただいた規約等改正案に対していただきま
したご質問につきまして協議を行い、説明不足の部分や誤解を招く表
現の修正、文言の統一を行い修正したものを総会特集号に掲載させ
ていただきました。
≪質疑応答≫
益田技師長)配信していただいた規約案以外の部分についての質問
は当日ということだったのですが、案以外の部分を質問しようと思った
ら資料がない。今回のように事前に質問をするような体制をとるなら、
すべての事業案等を事前に提示してもらわないと質問できない。次年
度からどうしていくのかをうかがいたい。
樋口支部長)支部報が配送されるのが遅いということでしょうか。これ
は会計監査等の都合で精一杯の早さになります。
規約に関しては事前に配布していたのですが、それ以外に関しては
支部報がこれ以上早くできないので難しいかと思います。
古田技師長)規約等改正WGのリーダーです。改正案に関して当日質
問されてもなかなかその場では答えにくいので、今回は事前に質問を
してもらう形をとらせていただき、特別な対応と私は考えております。ワ
ーキングとしては、事前に質問していただいて改正を行い、本日の総
会に臨んで承認を得るという流れを想定して今回のような形をとらせて
いただきました。
樋口支部長)規約に関しては今回大きく変わるということで、総会の時
間内にすべてを説明するのはおそらく難しいと考え今回のような形を
とらせていただきました。
議長)採決に入りたいと思います。
第 2 号議案、規約等改正案について、保留 0 名、反対 0 名、賛成多数
ということで採択されました。
6、 第 3 号議案 支部報(総会号以外)の電子化案(樋口支部長)
詳細は支部報 132 号 17 ページ。
より多くの情報を提供するために支部報の拡充を考えております。そ
のため紙面の増加に伴う印刷費の増加も懸念されます。そこで総会号
以外の支部報に記載されている内容をホームページや会員 ML に配
信したいと思います。1 つ目は紙面の拡充をしたい。2 つ目は配送料
や紙面の増加に伴う印刷費の増加が懸念されること。3 つ目として電
子化は幾度となく問題提起され IT 環境の充実が待たれていたが、タ
ブレット・スマートフォンも充実し、機は熟されたと判断しました。
議長)採決に入りたいと思います。
第 3 号議案、支部報電子化案について、保留 0 名、反対 0 名、賛成多
数ということで採択されました。
7、 第 4 号議案 平成 27 年度予算案(竹立事務局長)
詳細は支部報 132 号 18 ページ。
≪質疑応答≫
佐野技師長)総会費や研修会費に関係することですが、大阪弥生会
館が使用できなくなり、他施設を探さなくてはならないためコストが上
がると考えられます。そのことについては加味して予算をたてられて
いるのでしょうか。
竹立事務局長)27 年度の予算案では今回の須磨での総会分になりま
すので、次年度から考えていかなければならないのですが、会員数
平成 27 年 9 月
も増えているため会費収入も増えていますし、少しくらいなら高くなっ
ても大丈夫ではないかと考えております。いずれにしても 1 日で行う
総会費は高くなるのではと覚悟しております。
益田技師長)地区活動費についてですが、各地区1万円で 5 地区ある
ので 5 万円となっておりますが、各地区それぞれ1万円というのは平
等でしょうか。平等にというのであれば各地区の人員数を考慮して5万
円を各地区に分けるべきだと思うのですがいかがでしょうか。
竹立事務局長)近年では今回初めて 5 つの地区すべてで地区活動を
実施しました。今回実施した活動をみてみると、どの地区も参加人数
は同じくらいでした。地区によって会員数は違うので一律というのもど
うかとは思うのですが、頭割にするのも難しいかなと思います。これか
らも地区活動を定期的に実施しながら検討していってはどうかと思っ
ております。
原技師長)国臨協の研修会等が大阪を中心に開催されており、福井や
和歌山、奈良等、研修会の参加に地域的に不利なところがある。地区
活動であれば、そのような不利なところほど少し優遇するくらいで良い
と思います。人数に応じた配分が必ずしも良いとは思いません。
樋口支部長)行っていくことが大切だと思うので、続けて地区活動を行
っていただいて補助費については理事会で検討していきたいと思い
ます。
岡部技師長)総合医学会の積立金についてですが、今年 10 万円する
が来年はどうなるかわからないということだったのですが、4 年間する
のであれば均等割でやっていけば良いと思うのですが、どうでしょう
か。
竹立事務局長)はっきりといくら必要とは答えられないのですが、およ
その目標としては 40 万円として積み立てていきたいので毎年 10 万円
を積み立て予算としたいと考えております。
樋口支部長)毎年決裁をとる必要があり、今回は来年度の予算を決め
ることができないので、紙面上は来年以降の予算を未定としておりま
すが、10 万円を予定しております。
益田技師長)次年度の繰越金と、今回承認された支部報の電子化に
伴う印刷費で余る分があるので、国臨協でプロジェクターを購入して
はどうかと提案したいと思います。
樋口支部長)理事会で検討していきたいと思います。ご助言ありがとう
ございます。
大江技師長)支部報の電子化に伴い印刷費は削減されるのではない
のですか。
竹立事務局長)予算案ですので、今回の議案である電子化について
は承認されて運営されるまでは今まで通りの予算で案を出しておりま
す。今回、支部報の電子化が承認されましたので変更になった分は
次回の決算で報告させていただきたいと思います。
議長)採決に入りたいと思います。
第4号議案、平成27 年度予算案について、保留0 名、反対0 名、賛成
多数ということで採択されました。
議長)その他何かありましたら挙手をお願いします。
樋口支部長)総会号の最後のページにルーチンアドバイザー名簿と
学術委員名簿があるのですが、学術委員を1名追加していただきたい
と思います。国立循環器病研究センターの新井技師長が本部の臨床
検査部門の運営に関わる検討委員会に関与すると聞いていますので
、標準化という部門で学術委員になっていただけるようにお願いしまし
たところ快く引き受けてくださったので追加をお願いします。
○役員改選
議長)選挙管理委員会から報告をお願いします。
今井選挙管理委員長)選挙規程第5条におきまして支部長および事務
局長の候補があり信任投票を行いました。開票の結果、支部長は樋口
冨士夫氏、事務局長は池田俊彦氏に投票数の過半数の信任があり、
信任されましたことを報告致します。尚、今回は支部長および事務局
長の立候補がありましたので役員推薦委員会の召集を行いませんで
した。
議長)支部長より新役員の紹介をしていただきました。
議長)役員・理事の選出については、総会での承認が必要となります
ので採決に入りたいと思います。保留 0 名、反対 0 名、賛成多数という
ことで、次期役員ならびに理事の方が決定いたしました。
旧役員の方お疲れ様でした。新役員の方よろしくお願いいたします。
議長)これをもちまして平成 27年度第 42 回国立病院臨床検査におけ
る定期総会を終了いたします。これで議長と書記を解任させていただ
きます。ありがとうございました。
~5~
第 133 号
平成 27 年 9 月
国立病院臨床検査技師協会近畿支部報
国臨協定期総会に初めて参加して
近畿中央胸部疾患センター
青木 悠真
今回、国臨協近畿支部定期総会に初めて参加してまず思ったことが、こんなにたくさんの人
が同じ国立病院機構の近畿グループにいることを改めて実感しました。同じ機構で働く人がこ
んなにもいて心強く感じました。また、定期総会で多くの人が自分の意見や要望を述べていて、
しっかり自分の意見を言い合える環境がすごいことだなと新人ながらに思いました。そうやっ
て活発に意見の交換をしてより良い国臨協を目指していることが強く伝わりました。また印象
に残っているのが、座談会での話です。信頼できる仲間がいるから仕事を続けられるという言
葉に共感しました。自分もこの4月から生理検査室で働かせてもらっていて、分からないこと
が多く、先輩に迷惑ばかりかけていますが、助けてもらいながら日々仕事をしています。信頼
できる人がいるこの環境がとてもありがたいです。これからは人に頼るのではなく、信頼され
るような臨床検査技師になれるよう日々仕事に励みたいと思います。
第42回 国臨協近畿支部総会に参加して
京都医療センター
里部 美咲
平成 27 年 6 月 6 日~6 月 7 日にシーパル須磨 神戸市立国民宿舎須磨荘にて、第 42 回国
臨協近畿支部総会が開催されました。
初日は、
「国立病院機構本部における臨床検査部門の取り組みと今後について」と題して上
條臨床検査専門職にお話を頂き、また「魅力ある組織」をテーマに 3 人の先生方にご講演い
ただきました。機構での臨床検査の現状と「魅力ある組織」アンケート結果をふまえた上で、
先輩方の経験談とご見解を聴くことができました。環境に頼るばかりでなく、自身の意欲を
もって仕事をすることが重要であるという言葉が、特に心に残っています。
2 日目は、松林本部会長に「臨床検査部門の現状と今後の方向性について-国立病院臨床検
査技師協会の取り組み-」と題して、職員のキャリアや認定資格の取得状況などについてお話
を頂いたほか、支部学会が開催されました。演題の分野は多岐にわたっており、今回のよう
に多部門の検討や稀な症例について学べるのも、特色ある病院を有する国立病院機構ならで
はだと思います。
4 月に就職したばかりですが、この機構で長く働きたいと改めて感じました。この度の総会での貴重なお話を心に留め、日々
の業務に臨みたいと思います。ご講演いただいた講師の先生方、ありがとうございました。
~6~
第 133 号
国立病院臨床検査技師協会近畿支部報
平成 27 年 9 月
<座談会の風景>
魅力ある職場作りのために伝えたい「働くことの幸せ」
姫路医療センター 臨床検査科長 嶋崎明美
1.魅力ある職場とは
座談会の資料とするために実施されたアンケート結果から、①コミュニケーションがとれて
働きやすい(労務管理・人間関係)環境である、②適切に業務が評価されてキャリアアップが
明確化されている、③協力しあえる仲間がいる、④上司に力量があってハラスメントが無いこ
と、を魅力ある職場の条件としていると推察され、座談会会場で挙手による賛同を得た。私自
身も賛成するが、これらの表現では、業務の評価、キャリアアップの明確化、上司の力量など、
自分以外の誰かに頼っている印象を受ける。また、ハラスメントが無いという否定的な表現は、
目標に向かおうとする力を弱くする。つまり、得ようとする望ましい状態を、自分でコントロ
ールができる範囲で肯定的に表現することが大切なのである。
そこで、私にとっての魅力ある職場の条件を、①人の役に立つ仕事だと思える、②興味・好
奇心を持ち、自分で努力できる環境がある、③仲間だと思える人が 1 人以上いる、④上司に相
談ができる、と表現する。これなら、④の条件も、上司の力量を期待しつつ、相談するかどう
かは自分で選択できる。以下、これらの条件について述べ、具体的な改善提案をしたい。
2.人の役に立つ仕事
検査科の仕事はチーム医療に必須であり、患者・医療者に役立っていることを私は知っている。検体採取状況・機器精度管
理・形態目視要否判断・検査結果チェック・報告確認など多くの段階で、信頼できる検査結果を報告するためには、臨床検査
~7~
第 133 号
国立病院臨床検査技師協会近畿支部報
平成 27 年 9 月
技師というプロの働きが必須である。技師は人の役に立つ仕事をするやりがいのある職業だと私は思うが、アンケートでは、
技師としてのやりがいを感じていたのは回答者の 80.3%であった。
技師としてのやりがい、担当業務へのやりがいを感じていない共通の理由は「希望分野でない」ことであり、希望する業務
を担当していないと回答した人は、2 年未満から 30 年以上のすべての経験年数層に分布していた。私は、2 年未満の回答者の
存在をとても残念に思った。その人たちに伝えたい。
「仕事」とは「仕える事」だと。
『
「働く意味」がわからない君へ』1)には、
「与えられた仕事にどう関わるかによって、自分が成長できるか否か大きく左右される。自分のしたいことは何もできないよ
うに思える苦境にあってなお、そこでできることを見つけて、自分の可能性を発揮しようとし続けた人にしか、仕事で成功す
るチャンスは与えられない。
」とある。
『デイズニー白熱教室』2)にも、
「選ぶのではなく中に入る」こと、
「まずは自分がその
一部という存在になりきるのがスタート」だと。どのような仕事においても最初から希望どおりの分野に就けることなど稀で
ある。与えられた仕事とどう取り組むのか、すべての人に選択が与えられている。
3.興味・好奇心と努力
臨床研究とは何も難しいことではなく、面白いと思うことを見つけて興味を感じ、なぜこうなのかと疑問を持つことによっ
て、業務の中で新しい発見に出会うことである。1990 年以降 25 年間の私の業績(共同発表含む)では、論文 55 の 30.9%、
学会発表 130 の 33.1%、講演・研究会発表 51 の 21.6%が検査に関する内容だった。つまり、検査科業務の中には不思議なこ
とがあふれており、検査科の現場で臨床研究はできるのである。
昨年、第 68 回国立病院総合医学会で、姫路医療センター独自の「臨床検査技師採血技術認定制度」が、QC 活動全国最優秀
賞を受賞した。この活動は、3 年前の外来採血患者アンケートで、自由記載された「上手に採血してほしい」という希望に対
応したものであった。点数化による客観的評価、接遇を含むプロセス評価などを導入し、技師の採血業務へのモチベーション
向上の結果として採血時間・採血待ち時間・TAT 短縮の成果も得られた。これは、新しい行動を取ることが成果を得ることに
つながる一つの例である。対象を自分がどうとらえるかで、業務を作業にするのか、仕事にするのか違ってくるのだと伝えた
い。
4. 仲間だと思える人
仲間とは、挨拶を交わすことができ、話し相手になってくれ、苦労を分かち合いサポートし合える人である。少なくとも 1
人は同じ職場に仲間が欲しい。そして、検査科員全員を仲間だと思える人こそがリーダーであり、検査科員から仲間だと思わ
れてこそリーダー冥利に尽きるのではないだろうか。人はそれぞれ優先順位が違うし、同じ人でも立場が違うようになるとそ
の立場で発言しなければならなくなることも理解し合い、認め合うことが職場を活性化する。
『なぜ人と組織は変われないのか』3)に、組織内で信頼関係を築くために、①その人物の役割を重要と理解して尊重する、
②その人物が責任を果たせるだけの能力と技量を持っていると信じる、③同僚として一人の人間としてその人物を気遣う、④
自分の発言と矛盾した行動を取らない、ことをせよとある。これらはすべて、我々が自分でできることであるから、実践して
信頼しあえる組織を構築したいと思う。
5. 相談できるリーダー
リーダーは、集団の感情形成に決定的役割を果たすので 4)、この人となら一緒に苦労しても良いと思える上司に出会いたい
ものである。リーダーには Emotional Quotient(EQ)リーダーシップ 4)、つまり、自分の感情を認識し、自分の感情をコント
ロールするとともに他者の気持ちを認識して、人間関係を適切に管理することが求められる。EQ は学習によって修得しうる能
力であるとされるので、リーダーはこの能力を身につける努力をすべきである。以下に、各役職(リーダー)についての私の
考えを述べる。
1)主任になること
主任は ISO15189 のシニア・アドバイザーに相当する。経験を重ねるだけで主任になれるわけではなく、検査技術能力に加
えて、担当領域の管理能力・人材育成能力・研究能力が求められる。では、主任に必要なマネジメント力をどう得るのか?『デ
イズニー白熱教室』2)には、意識すればリーダーシップを鍛える場所はいくらでもあるとある。検査科幹事、NST、ICT、DM 教
室、採血当番、当直、ゴミ当番、休憩室の清掃などあらゆることで工夫をし、マネジメント力を身につけるのである。私的に
は、検査業務が人並み以上にでき、会議で発言でき、学会等の発表を経験することを、主任になる要件に加えたい。主任試験
の実施は好ましいことだと思う。
2)副技師長になること
副技師長とは検査科全体の責任者の一人である。つまり、検査科全体の運営・人材育成・対外交渉を担う人であるから、主
任とは明らかに違う能力が必要である。100 歩譲って、主任はその役割に就いてから管理能力や業績を磨いても良いとしても、
副技師長は管理能力のない人間がなってはならない。
『不幸は人生の財産』5)に、
「あまりにも資質の無い人がその任に就くと
いうのは、当人にも周囲にも不幸なことだと思う」とあり、そのとおりだと思う。副技師長試験があってもよく、少なくとも、
副技師長昇任基準の明確化が必要だと考える。
3)技師長になること
技師長は、知識・識見、企画立案・構想力、意思決定・判断力、行動・実行力、折衝・調整力、統率力、指導・育成力、職
場規律維持、患者満足行動、リスクマネジメントの各項目を評価される役職である。検査科の代表者であるだけでなく、もっ
と大きな組織、例えば国臨協近畿支部の運営・人材育成を担う人でもあるので、優秀な副技師長から選出すべきである。
『ド
ラッカー―人・思想・実践―』6)には、リーダーには「修羅場の経験」がなくてはならないとある。確かに、毎日のように職
場で発生する対応を求められる課題に向き合える力が、技師長には必要である。これを身につけるのに役立つ方法の一つが転
勤だと、私は考える。
~8~
第 133 号
国立病院臨床検査技師協会近畿支部報
平成 27 年 9 月
6. 転勤についての提案
アンケート結果では、66.9%が転勤は必要であると回答し、長期勤務から生じる悪しきことの防止、適正のあった施設やキ
ャリアアップのチャンス、人心一新による組織の活性化などの利点があげられていた。私も自身の経験を踏まえて転勤には賛
成であり、規模・機能の異なる施設を複数経験できるのは国立病院機構に勤務している最大のメリットだと考えている。
『星の王子さま、禅を語る』7)には、
「生まれ育った所を一度離れ、様々な体験を通してその良さを再認識するのは、人間の
成長や成熟にとって不可欠な必然的過程」
、
「身近なものほど正しく評価するのは難しい。正確な判断をするにはどうしても一
度、対象から離れ、適当な距離をおくことが必要」とある。
「所変われば品変わる」という経験は人格に柔軟性をもたらし、
「修
羅場の経験」が管理職に就く資質を身につけると考える。
アンケート結果には、適材適所・転勤理由の明確化、公平性、自宅から通える範囲、内部昇格の採用など、運用に関する希
望が記載されていた。これを踏まえて、私は、新人を技師 10 人以上の施設に 3 年以上配置し、その後 10 人未満の施設に異動
して、3 年以内に 10 人以上の施設に戻るという施設ローテーションコースの設定を提案する。今後女性技師が半数以上を占め
るようになると、育児等で転勤が困難となる事態が想定されるので、主任昇格については、3 施設以上の経験者であれば内部
昇格を可能にする検討も必要と考える。
7. キャリアアップについての提案
私は、3 年を単位として 1 領域のアドバイス・スタッフになれるように育てた後、その領域の業務に週何日か就きながら、
新しい領域を学ぶ人材育成をしたいと考えている。各人が複数領域のスペシャリストとなれば、私の理想とする業務のフリー
シフト制を実現しうる。しかしながら、途中退職や業務に就ける人材不足で、時間をかけて育成することが困難な現実がある。
そこで、技師数が多い(20 人くらい以上)施設が中心になってローテーションによる人材育成を継続し、近畿全体で各領域
の必要技師数を育成することをお願いしたい。スペシャリテイーをもつ技師が異動しても、業務を補い得る技師を配置できる
ようになることが、魅力ある職場作りを推進する。その実現方法として、各種資格認定制度を活用して、各人が複数領域のス
ペシャリストになれるような人材育成コースの設立を提案する。当院独自の採血技術認定制度でみられたように、自分のキャ
リアアップが明確になれば、自ずとモチベーションや責任感が向上すると考えられる。コースの枝分かれとして、管理者コー
スのようなものがあっても良いと思う。
8. 働くことの幸せ
人は現状維持という行動を取り易いので、目標への前進を妨げている自己防衛のメカニズムを変えてはじめて変革はうまく
いくとされる 3)。つまり、考え方を変えて、新しい行動をとらなければ変化は生み出せないのである。新しい行動の一つに
ISO15189 の認定取得がある。これは、
「信頼性が高い検査室であること」の条件を満たすことが求められているのであって、
「信頼される検査科」の理念を知ることで、仕事の意味が見えてくる。また、皆がルールを守ることで仲間として信頼しあえ
る意味もある。形から入ることも必要だと思う。
「あなたはどんな人ですか?」という質問に、あなたはどう答えるだろう。職業や役職で答える、趣味や能力・信念を伝え
るなど、答え方はいろいろある。あなたが、魅力ある職場を自分たちで作ろうとする人、改善への一歩を踏み出す行動を取る
人であると答えることを、私は願う。
「理不尽や不条理があって当たり前の世の中を、いつかそうでない世界にするために、
私たちは生きている」のだから 8)。
「人の幸せは愛され、ほめられ、役に立ち、必要とされること。働くことで少なくとも 3 つは手に入る」
。誰の言葉だった
か失念してしまったが、私の大好きな言葉である。
「働くことの幸せ」をかみしめつつ、魅力ある職場作りを継続していこう。
謝辞:講演の機会を与えて下さった関係諸氏に深謝致します。
参考書
1)諸富祥彦:
「働く意味」がわからない君へ、ビクトール・フランクルが教
えてくれる大切なこと。日本実業出版 2014
2)NPO 法人 WIL デイズニー国際カレッジ・プログラム運営事務局:デイズ
ニー白熱教室「仕事で大切なこと」を知る授業。三笠書房 2013
3)ロバート・ギーガン、リサ・ラスコウ・レイヒー:なぜ人と組織は変われ
ないのか、ハーバード流自己変革の理論と実践。英治出版 2013
4)ダニエル・ゴールマン、リチャード・ボヤツイス、アニー・マッキー:EQ
リーダーシップ、成功する人の「こころの知能指数」の活かし方。日本経
済新聞出版 2002
5)曽野綾子:不幸は人生の財産。 小学館 2013
6)三浦一郎、井坂康志:ドラッカー ―人・思想・実践―。文眞堂 2014
7)重松宗育:星の王子さま、禅を語る。筑摩書房 2013
8)伊集院靜:それでも前へ進む。講談社 2014
~9~
第 133 号
国立病院臨床検査技師協会近畿支部報
平成 27 年 9 月
座談会「魅力ある組織」を終えて
臨床検査専門職 渡邉清司
1. はじめに
平成 27 年 6 月 6 日から 2 日間にわたって、第 42 回国臨協近畿支部総会・学会が開催さ
れ、
「魅力ある組織」について座談会が行われた。本稿では先行して実施されたアンケート
調査から浮かび上がった課題に対して、第一歩を踏み出すためのアイデアを提案するとと
もに、今後の手続きや、残された課題について考えてみたい。
2. アンケート調査から浮かび上がる課題
アンケート調査は回答者によるバイアスを考慮しなければならないが、全体の総意はあ
る程度反映されていると思う。詳細な分析は割愛するが、浮かび上がった課題の中から「ハ
ラスメント」
、
「転勤制度」
、
「キャリアアップ」
、
「上司の資質」の 4 点について現実的な解
決策を考えてみたい。
① ハラスメント
各設問をまたいでハラスメントに関連する回答が多く寄せられた。ハラスメントについては議論の余地はなく、ハラ
スメントは絶対に許さないという姿勢を、職場全体で貫くことが大切である。ただ、難しいのは、ハラスメントの加害
者には自覚がない場合もあり、また自覚していたとしても第三者に気づかれない所で発生していることがある。そのた
め被害者は孤立無援となり、言いようのない孤独感に苛まれる羽目に陥ってしまう。職場の上司に直接相談できない状
況であれば、とにかく味方になってくれる人に打ち明けてほしい。機構のしくみとしては各施設の管理課長(もしくは
庶務班長)が相談窓口となるので、どうか勇気を出して声をあげてほしい。
「習慣性のあるハラスメントは、懲戒もやむ
なし」という明確なルール化を望んでやまない。
② 転勤制度
アンケートでは、67%が転勤の必要性を感じており、過半数が転勤しても良いと回答している。
「若いうちは色々経験
したい」
、
「施設の標準化のために転勤は必要」といった声もあった。転勤制度そのものは理解され、また、ある程度受
け入れられているようである。
その一方で、
「転勤は未知で不安」
、
「希望する業務ができない可能性がある(キャリアの非連続性)
」等の理由から、
転勤不要を主張する意見もあった。本当に転勤は不要なのか?私の率直な感想である。仮に転勤のない職場に就職した
と仮定しよう。転勤がないから長期間にわたって同じ環境下で働くことができ、安心感をもって着実にキャリアを形成
していけるはずだし、多くの医療施設ではこの形態をとっている。果たして現実はどうか。ここでしっかり洞察してほ
しい。どの形態の組織に属していても、また、どのような環境下であっても、やる人はやるし、やらない人はやらない
という、ごく単純明快な事実ではないか。
転勤に対する不安は実のところ、将来に対する自らの立ち位置を見通せないという不安感だと思う。いま自分の置か
れている状況がいつまで続くのか、来年なのか 10 年先なのか、あるいはまた、その時にどこで生活しているのか。不透
明な状況下では、モチベーションを維持し続けること自体難しいと思う。たとえ今の仕事にやりがいを感じていて、1
日の終わりに心地よい充実感を味わえても、もしかするとこのまま埋もれていくのではないかという、将来に対する漠
然とした不安は誰もが感じていることではないだろうか。出口の見えないトンネルの中は、いたずらに時を浪費してい
るだけのように感じ、気持ちの焦りから空回りになりがちで、ふと気がつけば、なんとなく 10 年が過ぎていたというこ
とにもなりかねない。逆に達成に相当な努力を要する高い目標を掲げていたとしても、ごく小さな一歩であっても日々
確実に前進していることが実感できれば、困難はやがてやり甲斐に変わっていくだろう。同じトンネルの中でも、出口
が見えるか見えないかで、将来に対する不安感は大きく変わる。
これを具現化する方策として、概ね 3 年を目処に異動してはどうか。3 年なら 3 年という一区切りを明確にすること。
その間にパワーを集中して、手堅くひと仕事を成し遂げていく。3 年間は異動がないという安定感、決して片道切符で
はないという安心感、定期的に異動するという規則性が約束されていれば、将来を見越したライフプランも今よりは立
てやすくなると思う。ひと仕事を 3 年で完結して、その都度キャリアアップを図っていくというスタイルは受け入れら
れないものだろうか。
そもそも私たちは循環器病研究センターも含めて独立行政法人という大きな組織に就職したのであって、個別の施設
に就職したわけではないという大前提を確認しておきたい。その上で転勤制度による組織のダイナミズムを維持してい
くためには、個人ができる範囲で、みんなが等しく負担していくことだと思う。折角、小規模施設から大規模施設まで、
また、自然豊かな地方からカオスのような都会まで、バリエーション豊富な施設環境にあるのだから、就職後の早い時
期に一通り経験する方が、物事を見る視点に多様性が生まれ、これからキャリアを積み上げていくうえで選択肢が広が
ると感じている。
ただ、結婚・育児・介護といったライフイベントに伴う制約条件に縛られ、異動したくてもできない人達がいること
も、よく理解している。その場合は、概ね 3 年というサイクルを少し長めにして、制約条件が緩和された段階で異動す
ればよいではないか。
~ 10 ~
第 133 号
国立病院臨床検査技師協会近畿支部報
平成 27 年 9 月
③ キャリアアップ
単にキャリアアップの問題にとどまらず、そこには転勤制度が背景に絡んでいることは先に述べた。ここでは概ね 3
年サイクルの転勤を例に考えてみたい。
最初のステップは、新規採用後、時間外緊急検査全般に対応でき、かつ、特定の分野においては、時に相談を必要と
しながらも独り立ちできる水準にもっていく。具体的には、この時期に緊急臨床検査士や各分野の 2 級臨床検査士の取
得をめざす。次のステップで小規模施設と大規模施設との間でローテーション(人事異動)を行う。この際、研修医が
研修施設を選定するのにマッチングシステムを用いているが、これを応用して、ある枠内で希望施設を認める形で異動
できるようにすれば、個人のモチベーションを損なわず、また、施設側も業務に対するダメージを少しでも回避できる
のではないか。この第 2 ステップで、コアとなる専門性を身につけて専門資格を取得するとともに、主任登用試験にも
目を向けていく。
このしくみに不可欠なのが、個人の技能に対して全施設・全技師共通の達成度評価リスト(スキルマップ)である。
すでに ISO を取得している施設では、技術水準を担保するのに活用しているし、技師長協議会からは社会人としてのス
キルマップも出されているので、作成・導入・活用は比較的容易だと思う。
④ 上司の資質
部下のキャリア形成や将来に影響を与えかねない上司の判断や言動には、それなりの徳が求められていることは言を
待たない。それを反映するかのように、アンケートの自由記載欄には、
「人望のある上司、指導力のある上司。マネジメ
ントのできる技師長」や「人間関係で無用な苦労をしない環境、ハラスメントのない職場」を望む声が寄せられ、上司
の評価に対する不公平感や、上司の資質・指導力に対する疑念や不満が垣間見えた。当然のことが出来ていない不遇な
環境に、日常的に身を置かねばならないことは、部下にとっては甚だ迷惑であり、上司本人にとっても不幸であること
は、嶋崎先生の講演にもあった。
解決策の 1 つとして、360°評価の導入はどうだろう。360°評価とは、上司・同僚・部下がそれぞれの立場から被評
価者を評価するものである。民間企業では 3 回続けて芳しくない評価が出た被評価者は降格人事もあり得るという。た
とえその時は降格であっても、次に向けて奮闘努力すれば再び昇任する可能性もある。このような柔軟性のある人事の
運用が今後必要ではないか。自らを律し、謙虚に、かつ、真摯に物事に取り組んでいくのが技師長であるならば、まず
技師長が率先垂範して 360°評価を受けてはどうか。ただ、360°評価を実施するには、公正公平に評価・判断できる第
三者が必要である。これが、最大の壁だと思う。
また、研修制度の見直しも必要であろう。近畿グループが主催する現在の研修は、技能の伝承を重きに置いており、
どちらかといえば経験の浅い技師を対象としている。ボトムアップには重要な研修であるが、一方で管理監督者となる
ための研修はごく限られている。主任、副技師長、技師長への昇任時でもよいし、採用後 5 年、10 年、20 年、30 年と
勤続年数で区切っても構わないが、それぞれの役割・役職に応じた研修を導入すべきと考える。あるいは研修を修了す
ることが昇任の条件であっても良いと思う。
3. 正当性を確保するための手続き
今回の企画のように、アンケートから現存する課題を抽出し、アイデアを提示したとしても、必ずしも事態が改善さ
れる訳ではない。いくら議論を重ねたところで、組織全体のコンセンサスが形成され、改善策に対する正当性が確保さ
れなければ、実際に運用することは叶わない。そこでコンセンサスを形成する方法を探ってみたい。1 つの方法は、た
たき台となるプランを作成・公表した上で、パブリックコメントを求めていく方法があるだろう。このほか、ワーキン
ググループをつくって課題解決に向けて広く意見を集めて、それを取り纏めて答申の形で合意形成を図る方法もあると
思う。いずれにせよ、今よりもやり甲斐のある職場を作ろうという熱い思い無くして、実行はおぼつかない。ネット環
境を上手に利用すれば、それほど困難なことではないようにも思えるが、その一方で、そんなに簡単なことでないよう
にも思える。
4. 残された課題(論点整理)
① キャリアアップと転勤制度の摺り合せ
近畿グループ全体で専門性を有する人材を計画的に育成していくことの重要性が叫ばれているが、具体的にどのよう
な手段が有効なのか。教育担当施設を設定し、そこで育成した人材を他の施設に回す案もあるが、増員が望めない環境
下にあって、教育担当者をどうやって確保し、育成していくのか。転勤制度とキャリアアップとの整合性をとりつつ、
現実的な運用法を探っていけるのか。
また、ジェネラリストかスペシャリストかという古くて新しい課題も残されている。転勤志向型と地域密着型といっ
た極めて現実的な選択肢と人事制度との摺り合わせも課題となろう。具体的には内部昇任の是非、およびその運用に関
する諸問題である。現行の転勤制度との摺り合わせは困難と思うが、果敢に議論する価値はあると思う。
② 管理者登用の明確化(公平さ)
一昨年前から主任任用選考試験が始まったことで、主任として求められている資質は、ある程度担保されるようにな
った。しかし、年功序列が主たる理由で主任になれた時代とでは、求められる資質に大きな差が生じている。このギャ
ップをどのように克服していくか。これは主任に限らず副技師長や技師長にも通じることであるが、どうやって適切に
評価して、適材適所に配置していくか。現時点では定期的に行う業績評価が最も近い制度かもしれないが、業績評価制
度は一定期間という限られた期間内での業績に対する評価であるため、長期にわたる人物評価という点では、正しく反
映されているとは限らない。これを補うにはどんな方策が必要か。
~ 11 ~
第 133 号
国立病院臨床検査技師協会近畿支部報
平成 27 年 9 月
5. おわりに
今回、
「魅力ある組織」について考える機会をもった。いささか抽象的なテーマであったにもかかわらず、多くの人た
ちから寄せられた意見は、より魅力ある組織に脱皮するための期待感にあふれていた。個と全体、あるいは個人と組織
は二律背反するものではなく、それぞれが互いに相補的な関係にある以上、両者のバランスを保ちつつ、全体として最
大限のパフォーマンスを引き出すにはどうすればよいか。常に問い続けていかねばならないテーマであるが、基本的な
ことはそれほど難しくはないはずだ。転勤制度を例にすれば、誰かが単身赴任に身を投じてくれるからこそ、今、自分
はここにいられるという謙虚さ、自分にその役割が回ってきたら厭わずに引き受ける公正さ、負担は皆で少しずつ負う
という公平さ、そして何より与えられた状況下で精一杯努力する誠実さなどは、誰もが持ち合わせていると信じている
からだ。これらは何も転勤制度に限らず、社会生活を営む上で、ごく当然のことだと思う。
「フリーライダー」という言葉がある。
「ただ乗り・無賃乗車をする人」を意味するが、フリーライダーは、少なくと
も自分は他人と比較して要領よく生きていると自覚しているようだが、果たして本当にそうだろうか。確かに近視眼的
にはそうかもしれない。しかし、周囲との関係性があって初めて社会が成り立ち、社会の営みの中でこそ、私たちの存
在が一層輝けることを思えば、フリーライダーに心当たりがある人は、そろそろ目を覚まして欲しい。多くの仲間が精
一杯カバーし合っているのに、それに無頓着であり続ける一部のフリーライダーのために疲弊が生じ、結果として組織
全体の魅力を削いでいる光景を時々目にする。とても残念な光景だ。しかし、ここでもう少し掘り下げて考えてみると、
もしかすると無意識のうちに自分もフリーライダーになっているかもしれない。私を含め、自分は完璧にフリーライダ
ーではないと言い切れる人がどれだけいるだろうか。そうであるならば、せめて自己の意識が届く範囲ぐらいは、与え
られた責務を全うしていきたいものだ。今回の企画を通じて、そんなことを感じると同時に、フリーライドを許してき
た暗黙のルールや慣習を、多少なりとも是正していくことが専門職の役割であると再認識した。稚拙な行動は控えなけ
ればならないが、現状でもできるアクションがあり、たとえ小さくても、とにかく一歩踏み出していきたい。これには
皆さんとコンセンサスの形成が絶対不可欠である。是非とも皆さんの声を結集し、力を貸していただきたい。
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国立病院臨床検査技師協会近畿支部報
<懇親会の風景>
検査部長・科長の先生方、お忙しい中ありがとうございました
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平成 27 年度 期待の新人の皆さん
<二次会の風景>
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第 133 号
平成 27 年 9 月
国立病院臨床検査技師協会近畿支部報
第 42 回 国臨協近畿支部学会で発表して
東近江総合医療センター
齊藤 健太
平成 27 年 6 月 6 日~6 月 7 日にシーパル須磨にて第 42 回国臨協支部総会・学会が開催さ
れ、支部学会にて「異常ヘモグロビン症(HbC ヘテロ接合体)の 1 症例」を発表させて頂きま
した。
私にとって学会発表は初めての経験だったため、限られた時間の中で内容をわかりやすく
表現することの難しさを身をもって知ることができました。また「どんな質問をされるか」
、
「どのようにしたら簡潔に説明できるか」発表直前までとても不安でした。しかしそれらの
不安が勉強する糧となり、HbA1c(HPLC 法)の利点や欠点、また臨床側の望んでいる情報や血
糖コントロール指標の選択の仕方など、普段触れる機会が少ない分野のことも学ぶことがで
きました。
学会当日は、他施設の演者の発表を聞いて、スライドの作り方や発表の仕方、質問の受け
答え、内容など学ぶことがたくさんあり、多くの刺激を頂きました。今回の発表の反省点、
改善点を次の学会に生かし、今後さらなるスキルアップをしていきたいと思います。
最後になりますが、今回の学会発表に際してご指導して頂いた方々、及び、支部学会を企画運営して頂いた国臨協近畿支部
役員の皆様に深く御礼申し上げます。
第 42 回 国臨協近畿支部学会での発表を終えて
神戸医療センター
木下 裕美子
神戸医療センターから数キロ南へ下ると、白浜青松が美しい須磨海岸がひらけています。昭
和 20 年の空爆によって焼失した住友別邸を整備し現在の海浜公園ができたそうです。そんな旧
住友別邸の面影が残る、シーパル須磨にて開催されました第 42 回国臨協近畿支部学会に参加さ
せていただきました。昨年に引き続き発表は二回目になりますが、今回も他の先生方の発表は
非常に興味深いものでした。他の施設の検査環境についても知ることができ、自施設の検査に
ついて考える良い機会となりました。また、身振りや話し方についても、自分の未熟さを痛感
することとなり、大変勉強になりました。
私は自施設で今年、生化学装置を更新したことをきっかけとして、ロシュ・Cobas8000 の使
用経験について発表させていただきました。経験豊富な当科主任に様々なことを教えていただ
き、発表関連の資料の作成にも大いに御協力いただきました。私はルーチンにおいては、午後
は生化学とは別の業務に携わっていることもあり、生化学機器や業務に関する知識が未熟なた
め、お聞き苦しい所が多かったと思いますが、今回の発表に際して新旧機器の比較検証するこ
とで、学ぶ良い機会となりました。
末筆ながら、今回このような機会を作っていただいた運営の先生方、またご清聴いただいた参加者の皆様に心より御礼申し
上げます。
演者、座長の皆様、お疲れ様でした
~ 15 ~
第 133 号
国立病院臨床検査技師協会近畿支部報
平成 27 年 9 月
【第 7 回基礎研修会開催】
2015 年 5 月 9 日に大阪医療センターにおいて、平成 27 年度 基礎研修会が開催されました。
基礎研修会の感想
京都医療センター
丸野
大輝
本日は国立病院臨床検査技師協会が主催する基礎研修会に参加させていただきました。
その中でも私は大きく二つの講習を受講しました。まず初めに受講したピペッティング
技術の講習ですが、ピペット販売も行っているザルトリウス・ジャパンの方々が直接教
えてくださいました。講習内容はフォワードピペッティングやリバースピペッティング
それぞれの特徴や使い分け、また室温や操作角度による分注量の誤差など非常に興味深
い話ばかりでした。
次に輸血検査の講習を受講し、クロスマッチや ABO 血液型検査をさせていただきまし
た。学生時代では特に注目してこなかったミックスフィールドの検体を扱ったり、また D
陰性確認試験もさせていただき、その一つ一つの操作原理の意味を捉える事が大切であ
るということを教えていただきました。
講習後には他施設の技師の方々との一時間程の懇親会にも参加し、交流を深めること
ができ、大変楽しい時間を過ごさせていただきました。
国立病院臨床検査技師協会近畿支部
基礎研修会
南和歌山医療センター
久保
槙也
山田
翔子
このたびの基礎研修会に参加させていただいてとても勉強になりました。
ピペッティングの技術の講習では、今まで間違ったピペットの使い方をしていたなと
再確認できました。また、ザルトリウス・ジャパン株式会社の方に電動ピペットの使
用方法を教えていただき、見ることも、触ることも初めてだったのでとても良い経験
が出来たと実感しました。また、実技講習会ではルーチン業務として一般検査を担当
していますので、就職してから今まで先輩方に教えていただいたことの復習、自分の
知らなかった知識の新たな発見にもなりましたのでとても勉強になりました。
まだまだ私は臨床検査技師としてスタートしたばかりの未熟者ですが今回のような
基礎研修会や勉強会等に積極的に参加し、自身の能力を向上させていけるように頑張
っていきたいと思いました。
基礎研修会を受講して
奈良医療センター
今回の研修で私が1番印象に残っているのは、午後から行われた緊急検査についての
講習です。主に血液と生化学の結果から、なぜこのような結果が出たのか討論形式で考
えていきました。普段の業務が生理部門、検体検査はブランチということもあり原因の
詮索が難しかったのですが、1つの結果について様々な意見が出ることで、新たな視点
を持つことが出来ました。また焦っている緊急時だからこそ起こり得ることも教えて頂
き、迅速かつ正確に結果を返すためにはどうすれば良いか日頃から考えておくことも大
切だと思いました。
このような講習会に参加することで、同期や他病院の方と関わることが出来、とても
有意義な1日になりました。
<基礎研修会の風景>
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国立病院臨床検査技師協会近畿支部報
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平成 27 年 9 月
【第二期 一般・血液研修会】
国臨協では、人材育成に関し、数年来より重点をおいて運営してまいりました。H25 年度からは、指導できる人
材の育成を目的に、血液検査、一般検査に関して長期的な研修を行っており、第二期 一般・血液研修会が、成功
裏に終了しました。
国臨協近畿支部主催
一般・血液研修会を開催して
東近江総合医療センター
佐伯
仁志
2014 年 11 月~2015 年 3 月に京都医療センターの病理検査室をお借りして、国臨協近
畿支部主催 一般・血液研修会を全 5 回シリーズで開催しました。
今回は第 2 期目の開催ということで、講師の RA 以外にも第 1 期生が応援に駆け付けて
いただき、第 1 期生も「お約束」で第 2 期生に講義をしてもらう事にしていましたので、
私も非常に心強く開催することができました。
第 1 回と第 2 回は穿刺液・髄液検査をテーマに講義とメイギムザ標本の鏡検を行いま
した。メイギムザ標本は、見てほしい箇所をディスカッション用顕微鏡で参加者と細胞
形態を共有してから自由に鏡検してもらう方法を取ったので、あまり迷うことなく目的
の細胞を理解することができたようです。これも少人数受講生の研修会ならではのメリ
ットであると思います。
第 3 回と第 4 回は尿沈渣に関する実習と講義を行いました。尿沈渣の分野は「尿沈渣
検査法 2010」のおかげで、成分形態の判定に関しては標準化の進んでいる検査と言えます。ですので、参加者自身
の鏡検レベルを確認してもらう成分標本を鏡検していただいてから、症例標本を鏡検することで医師などから検査
結果に対して疑義や質問があった時の答え方などを説明しました。
第 5 回は、総まとめで今までの講義や実習で不足していた部分を補う講義と、一問一答のスライド模擬試験を行
いました。全 5 回の過程が終了した後は、私と第 1 期生、受講生とで意見交換会を行いました。たくさん飲んで、
たくさん食べて、とても楽しいひと時を過ごすことが出来ました。
今回の研修会をきっかけに有志勉強会開催や、わからないことを聞きあえる仲間を作るきっかけとなれば幸いで
す。私自身も今回の研修会を通して人のつながりを作れたこと、そして何より一般検査の面白みを伝えられたこと
(私がうまく伝えられたか?は別として)に感謝しております。
末筆になりましたが、今回の研修会を全面的に支援していただいた国臨協近畿支部の役員の皆様に深くお礼申し
上げます。
血液研修会に参加して
国立循環器病研究センター
城之内 芳枝
国臨協近畿支部血液研修会に参加しましたので、報告いたします。
血液研修会は、第 1 期・第 2 期合わせて11回開催されました。第 1 期は、形態・
染色・疾患などの血液検査における基礎知識や、血液標本の見方、疾患へのアプロー
チ法などを講義と実習で教えていただきました。第2期は、事前に配布された 3 症例
分の末梢血と骨髄標本から、形態学的所見、臨床への報告例、予想される疾患、検査
所見、他の疾患との鑑別点などをまとめて、研修者が発表する形式で行われました。
今回の研修では、日常検査のように生化学、染色体検査などの検査データや臨床情
報は全く無いので、標本のみから考える必要がありました。まず、細胞数を推測する
ことから始まり、細胞分類は正常か、異常な細胞が出ていないか、末梢血像と骨髄像
をどう繋げるか、段階を踏んで考えていきました。疾患を考えることも難しかったで
すが、分かりやすく伝わるような発表の構成を考えることにも苦労しました。また、
資料を作る中で自分の中で曖昧になっていることが多くあることを痛感し、知識を整
理するきっかけにもなりました。
血液研修会に参加する前までは、骨髄標本の見方に自信が無く苦手意識を持っていましたが、研修会を通して標
本の見方・考え方を一から実践的に学ぶことができたので、以前よりも色々な視点で鏡検できるようになりました。
また、研修会を通して近畿支部の他施設の方とのつながりができ、業務で困ったことがあった際に相談しやすくな
ったこともありがたく思っています。
最後になりましたが、研修会を開催していただきました講師の先生方、研修場所を提供して
いただきました京都医療センターの皆様に深く感謝申し上げます。
*なお、過去の血液研修生においては3名が二級臨床検査士(血液学)認定を取得しました。
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国立病院臨床検査技師協会近畿支部報
平成 27 年 9 月
【<特集>ISO15189 とは何であるのか。~国循における3年間の経験から~】
国立循環器病研究センター
臨床検査部
総合検査室 浅田高至
今回より 4 回にわたり、われわれが国立循環器病研究センターで得た 3 年間の経験か
ら ISO 15189 とはどのようなものかをより現場に近い目線で解説しようという企画です。
年数が多いから良く理解していると言う訳ではないのですが、たくさん無駄な事もしま
したし、痛い思いもしましたので、そういった事を記述してみなさまの参考にして頂け
ると良いな、と思っております。
私は国臨協の研修会等で ISO に関するお話をさせて頂く機会が何度かありましたの
で、
「あいつは ISO 推進派だ」と思われている方も多いかと思いますが、決してそうで
はありません。前任施設でもそのように発言しておりましたのに、「まさか自分がやる
羽目になるとは」と今でも困惑しているほどです。そんな私がこのような企画で文章を
書かせて頂いて良いのかどうかわかりませんが、より皆様の感覚に近い所でお話する事
が出来るかも知れません。面倒くさくならないように、さっくり書いて行きたいと思います。
なお、今回の企画は全 4 回とお聞きしております。第 1 回は ISO15189 の概要についての気楽なお話とさせて頂き、
第 2 回は 5 章についての解説、第 3 回は 4 章についての解説、第 4 回で全体のまとめをする、そういった流れで書
いていきたいと思います。
まず、ISO15189 は臨床検査室のために設けられた国際規格であり、技術面とマネジメント面の評価・認定を行っ
ています。いきなりわかりにくいですよね。要するに「よその人(第三者)が認めてくれる技術審査がある認定試
験」ですよ、とまあそういう事です。細胞診の試験みたいなものですね。ただ、認めてくれる所にずいぶんと権威
がありまして、なんと全世界でご理解いただける、とまあそう言う試験であります。
国立病院機構では奈良医療センターが 2007 年に始めて認定取得(全国でも 22 番目という非常に早い認定取得で
した)http://www.jab.or.jp/files/items/1896/File/2009021800-3.pdf(5 枚目のスライド左側下段)されました
が、その後経済上の理由により認定維持が出来なくなり、認定辞退となりました。その後は認定取得に動く施設が
なかなか無く、2012 の国立がん研究センター中央病院と国立循環器病研究センターの同時認定(残念ながら申請は
がん研の方が早かったので認定番号はガン 69、国循 70 です。キリ番だったのでむしろよかったと負け惜しみを言
っております)となりました。その後、姫路医療センター、がん研東病院、大阪病院、名古屋医療センターと続い
ております。
こうしてみると関西支部の認定取得率はズバ抜けておりますね。
さて、その ISO15189 の内容は大きく分けて二つの領域にわかれます。一つは管理層における組織マネジメントの
仕組みと文書管理に関する第 4 章、そして現場の作業に関連する第 5 章です。
ISO 15189 の審査は 3 点セットで確認が行われます。つまり、①認定施設における ISO151589 規格要求事項に対
する取り決めがあるか否か、②その取り決めを記述した文書があるか否か(さらに承認された最新版が利用されて
いるか否か)、③ルールが運用されている事を示す記録の有無とその内容、が確認されます。ですので、まずは
ISO15189 では何が要求されているのかを熟知する必要があります。その要求事項を記載してある文書こそが
ISO15189 規格書なのです。
ISO15189 に興味があっても(そんな奇特な方がおられるのかどうかわかりませんが)一般的に規格書は購入しな
いと読む事が出来ません。これが結構高い。
http://www.webstore.jsa.or.jp/webstore/ISO/FlowControl.jsp
2 万 4 千円位ですかね。なかなか買う気になれません。そんな時はココをご利用下さい。
JAB チェックリストの掲載ページ 下段の申請用チェックリスト(ISO 15189:2012 用) [JAB RFM35 REV.3](WORD
1.62MB)をダウンロードして下さい。
http://www.jab.or.jp/service/clinical_examination/#application
(直リンク)http://www.jab.or.jp/files/items/54/File/JAB_RFM35-REV3.doc
注意:直リンクは結構重いです(ダウンロードがうまく終了しない時はキャンセルして下さい)
。
2015 年 7 月 31 日現在
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国立病院臨床検査技師協会近畿支部報
平成 27 年 9 月
実はコレ、認定申請時のチェックリストなのですが、ISO 規格日本語対訳版の文章そのままがデジタルで掲載さ
れているのです。さあ、これでこころおきなく冷やかしが出来ます。是非一度見てやって下さい。
日臨技では平成 22 年度から平成 27 年度までの事業計画に ISO15189 の文字は出て参りませんのであまり興味無し、
と言った所でしょうか。
国臨協はと言うと、本部 HP のどうしようもなく行きにくい場所にありましたよ。臨床検査部門標準化推進委員会
が SOP と文書体系を作成しておりました。一応 2012 年版へも更新されているようですね。
http://kokurinkyo.jp/kaiinsenyou/renewhp/member/kakushuiinkai/src/hyoujun.html
※国臨協本部 HP。ユーザー名とパスワードを要求されます。各施設の技師長にお聞き下さい。
SOP、うまく作られていると思いますが、文書中で機器間差について「ばらつき」と表現している事(機器間差は
偏りです)
、検体保管温度が-20℃となっている事(DNA 保管等では-30℃以下が推奨されており、-20℃では冷蔵よ
りもむしろ劣化が早いと言われております)
、フィッシュボーンダイアグラムの腕が 4 本(正しくは 5 本)な所がち
ょっと残念な所でしょうか。
文書の体系図も雰囲気を知るには良いかもしれませんが、これではむしろ恐れをなしてやる気が失せるのでは無
いかと危惧いたします。私としましては、自施設の文書をあの体系図にはめる努力をするぐらいなら、自施設の文
書に合わせた体系図を作成する方を推奨したいと思います。
さて、雑多な事を書き連ねて参りましたが、もし、ISO15189 取得を本当に推進したいと思うのなら、まず「規格
書を読みなさい」、
「読んで、理解してから言いなさい」という事を特に強調しておきたいと思います。実際の所、
なんとなく雰囲気で ISO を推進されている方が多いように感じてならないのでこのような事を書く訳です。
ISO15189 は明確な目的を持って活動しないと有意義な活動になりません。その運営に責任を持つ上層部は本当に大
変ですよ。むしろスタッフの方が着実に文書化・事業活動・記録を確実にこなして行く事は間違いなしです。それ
ら記録や内部監査を有意義に活用し、データに基づいた事業改善計画を策定し、文書に反映させて活動を活発化さ
せる事が検査室管理主体の役目です。そういった事について明文化し、その人物が持てる資格・力量までを規定し
評価するのが ISO15189 だと思って下さい。自信の無い方はおやめになった方が良いと思います。そういう事が解っ
て来ると当事者達、特に管理層にとっては大変なプレッシャーでして、通常は一生懸命勉強しますので人材育成ツ
ールとしては使えるのではないかと最近思っております。
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平成 27 年 9 月
カニ王国へご招待
NHO 敦賀医療センター 鶴田康倫・三浦舞子
(改名式典)
本年度の第一歩として、病院名が福井病院から敦賀医療センターに改名されました。
敦賀医療センターは、敦賀湾に面し野坂岳を見上げる日本の原風景が残る自然豊かな環境に立地しています。冬
には、年に数回程度朝に腰を抜かすほどの雪が降り積もり、一面の銀世界をみることができる近畿エリアで数少な
い施設です。名物は、何と言ってもカニに若狭ふぐ、一度食べたらやみつきのソースかつ丼に越前そば、魚介類も
野菜も新鮮で美味しい。とにかく空気が綺麗なので、体が生き返るような感覚をうけます。夏は海水浴やキャンプ、
冬はスキーや温泉とレジャーに困ることはありま
せん。遠いイメージがあるかもしれませんが、新快
速で大阪から2時間、京都から1時間半と意外に近
いです。新幹線がやってくるのもそう遠くない話で
す。残業もないので、案外通勤圏内かもしれません
よ?
当院は患者数が少なく症例数に乏しい施設では
ありますが、検査科内での各部門間コミュニケーシ
ョンが取りづらい規模の大きい施設に比べて、病院
全体を通してコミュニケーションに優れている施
設です。院長や事務部長をはじめ、幹部職員とは
日々廊下であいさつを交わし、時には雑談をする機
会に恵まれています。役職に関係なく若手技師も委
員会に出席し、検査科や病院の運営にかかわることができ、卒後初期から主任クラスの運営能力とノウハウを実践
で身に着けることができる素晴らしい施設です。他職種との合同勉強会も開催され、検査の枠を超えた知識を勉強
できるのも当院の魅力です。他職種との横のつながりを広げることは自身の人望につながります。転勤した際にも、
「以前、○○病院で一緒でしたね!」なんて会話ができると転勤後も安心感が持てます。
検査科のスタッフは個性豊かな 10 人で構成されており、仲よ
く楽しくやっています。ほとんどが県外からの転勤者で、色々
な地域から来た人の集まりです。業務の基本的な担当はあるも
のの、一人一人の業務の幅を広くもち、担当業務以外でも柔軟
に対応できるようにしています。そのため、働き始めて数年の
技師でも細胞検査士の資格取得を目指しながら、超音波検査の
業務につくなど複数同時に経験でき、総合力を高めることがで
きます。また、若手技師に人気の超音波検査は、患者数が少な
い時間帯には認定技師から実践形式での直接指導を受けること
ができるのでメキメキ上達しています。やりたいことが実現で
きるとてもやりがいのある職場です。
みなさん、私たちと一緒に働いてみませんか?
検査科長・放射線科など他職種スタッフを交えた納涼会
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国立病院臨床検査技師協会近畿支部報
平成 27 年 9 月
【メーカーニュース】
「個別化医療の現状と展望」
シスメックス株式会社 LS ビジネスユニット
ライフサイエンスプロダクトエンジニアリング本部
市場開発部 濱村 将史
がん治療の分野では、患者さん一人ひとりに最適な医療を提供する個別化医療の実現・普及が望まれており、医
薬品の効果や副作用を投薬前に予測する「コンパニオン診断薬」への期待が高まっています。EGFR 遺伝子検査を代
表例とする固形腫瘍関連遺伝子検査は、平成 25 年には、約 96,000 件となり、4 年間で 3 倍以上となっています。(1)
また、大腸がん患者における RAS 遺伝子(KRAS/NRAS 遺伝子)変異の測定に関するガイダンスが昨年 4 月に改訂さ
れるなど、従来の検査では調べられなかった遺伝子変異型の患者さんに対しても適切な治療を選択することが可能
となり、より精度の高い個別化医療が実現されてきています。
シスメックスは、コンパニオン診断薬の研究開発を加速するために、新たな開発および受託アッセイサービス拠
点を神戸・ポートアイランド内に開設し、高感度 Digital PCR 法「BEAMing 法」を用いた受託アッセイサービスを
予定しています。今回は、その BEAMing 法の原理説明から、将来に期待される臨床有用性や起こりうる検査の変化
について紹介します。
BEAMing 法は、米国 Johns Hopkins 大学で確立された高感度 Digital PCR 法で、Bead, Emulsion, Amplification,
and Magnetics の各単語の頭文字を並べて命名されたものです。
大きく 3 つの STEP ①血漿から分離された DNA を増幅する Pre-Amplification. ②油適中に磁気ビーズと DNA 一分
子が封入された油滴エマルジョンの中でがん遺伝子を増幅する Emulsion PCR.③油滴エマルジョンを破砕して放出
された磁気ビーズ上のがん遺伝子変異を蛍光プローブと Hybridize させた後、フローサイトメーター法で解析、か
らなっています(図 1)。
この手法の特徴は従来のリアルタイム PCR 法であれば、野生型数万分子に 1 分子しか変異型 DNA が含まれない場
合、相対蛍光量として読み取るとノイズと見分ける事ができなかったのと比較して、1分子ずつ PCR 増幅し、デジ
タルカウントする事により稀な変異型 DNA も確実に検出できる事にあります。結果として、0.01%と通常のリアル
タイム PCR よりも約 10-100 倍の高感度で標的遺伝子の変異を検出することが可能となりました。
この高感度検出技術 BEAMing 法を用いて、血液中に微量流れているがん由来の変異型遺伝子 Circulating Tumor
DNA (ctDNA)を検出する研究が盛んに行われています。近年、これらは血液などの液状検体を用いる事から Liquid
Biopsy と言われています。Liquid Biopsy が注目されている理由として、1) 通常の組織検体と比較して採取が容易
な事、2)繰り返し採取も可能な事、が上げられます。
図 1 BEAMing 法による ctDNA 遺伝子変異検査フロー
対象サンプルを無数の油滴存在下、1 油滴当たり 1 分子になるように分配し、
個別に PCR を行うことでリアルタイム PCR をはるかに超える高感度を実現しています。
~ 22 ~
第 133 号
国立病院臨床検査技師協会近畿支部報
平成 27 年 9 月
現時点で有効性の高い分子標的約の投薬の判断基準として検査が保険適応されているがんの遺伝子検査項目には、
EGFR、ALK、RAS、BRAF 等があります。これらは主に腫瘍組織検体を検査対象としていますが例えば EGFR 遺伝子変
異検査の対象となる肺癌では腫瘍の部位により、組織採取の為の生検が困難なケースがあり、EGFR 遺伝子変異検査
さらには分子標的薬による治療の機会を逸している患者様がいらっしゃいます。そのような患者様に対して、血液
を対象として EGFR 遺伝子変異検査が可能になれば、患者様にとってのメリットは大きいと考えられます。
また、分子標的薬による治療を受けた患者様で分子標的治療薬に対して遺伝子変異による獲得耐性の問題が報告
されています。耐性見極めの為の繰り返し生検および遺伝子検査が望まれますが、侵襲性の高い生検を繰り返し行
う事は容易ではありません。その際に血液を対象として BEAMing 法で遺伝子変異をモニタリングする事ができれば、
より容易に検査を実施できる可能性があります。
(図 2)。
BEAMing 法は、測定の煩雑さや所要時間の長さにより、ラボアッセイからのサービスとなりますが、将来は、簡
略化、自動化を実現し、病院や検査センターでも使用できる事を目的としていきます。今後もシスメックスは、が
ん治療における新たな検査技術の創出に取り組み、患者さん一人ひとりに最適な医療を提供する個別化医療の発展
に貢献していきたいと思います。
図 2 BEAMing 技術に期待される臨床的意義
BEAMing 技術で ctDNA を測定する事により、コンパニオン診断薬は現状使用されている
①抗がん剤選択 用途だけでなく、②抗がん剤投与後の獲得耐性のモニタリングや
③再発予測 ④手術前段階でのスクリーニング などへの応用も期待されています。
*参考資料
1)
「第 7 回遺伝子・染色体検査アンケート調査報告書」
平成 26 年 3 月 日本衛生検査所協会 遺伝子検査受託倫理審査委員会
~ 23 ~
第 133 号
平成 27 年 9 月
国立病院臨床検査技師協会近畿支部報
<第 11 回『RA だより 11・総合』>
「倫理指針」
大阪医療センター
奈須
正人
臨床検査での研究検討に係る倫理指針についてお話します。
臨床検査の検討研究に、患者さんの残検体を試料とするときは、ご存じのように「 臨床検査を終了した検体の業
務,教育,研究のための使用について-日本臨床検査医学会の見解- 」に従って実施されています。その見解で言
及されている「 臨床研究に関する倫理指針 」についてです。
この「臨床研究に関する倫理指針」は、いまは廃止されています。2015 年 4 月に 文部科学省及び厚生労働省か
ら「統合指針」と呼ばれる「 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針 」が告示され施行されました。これは、
従来からある「疫学研究に関する倫理指針」と「臨床研究に関する倫理指針」が、研究内容が重なり合っており、
どちらの指針にも適用する研究があり、諸外国の状況にも合わせて統一されたものです。よって、「 疫学研究に関
する倫理指針 」も廃止されています。薬事承認以外の目的で人の健康に関してのすべての医学の研究を対象にした
ものです。本指針に定義されている「 試料・情報 」は、検体検査、生体試料が含まれています。また、他の倫理
指針( ヒトゲノムや遺伝子に関係するもの )に従って行う研究でも、
「 統合指針 」にしか記載がない場合は「 統
合指針 」に従う必要が生じてきます。ですから、今後のためには、
「 統合指針 」を把握しておく必要があります。
いまは、医薬品の臨床試験の実施の基準のように法的規制はありません。しかしながら、世間からは、当然のよ
うに倫理委員会の承認があるかが問われます。研究計画書を作成するときは、各施設の倫理委員会に確認しておく
必要があります。研究の内容によって該当する場合は申請が必要となり、この申請の準備だけでほぼ終わってしま
うような非常なエネルギーを使います。また、研究に関係するすべての要員は、しかるべきセミナーを受講してお
かなければなりません。現在は、e-ラーニング(CITI Japan など)での講習も公開されて
おり、定期的な受講が推奨されています。他にも、信頼性の確保ということで、利益相反
も従来どおり記載されています。特に、モニタリング・監査、情報の保管が新たに加わっ
てより厳しくなっています。
詳細は、各省庁の HP に告示されていますので、ご参照ください。
<事務局便り>
近畿支部事務局取扱事項
(平成 27 年 5 月から平成 27 年 6 月)
平成 27 年 5 月 7 日(木) 国臨協 東海北陸支部 支部会
報 No.88 受領
平成 27 年 5 月 9 日(土) 平成 26 年度基礎研修会(大阪
医療センター 45 名参加、
うち実習輸血 8 名、
一般 15 名、
緊急 6 名)
平成 27 年 5 月 13 日(水) 平成 27 年 国臨協・技師長協
議会 合同アンケート調査依頼配信
平成 27 年 5 月 19 日(火) 国臨協 中国四国支部ニュー
ス第 9 号 受領(メール配信)
平成 27 年 5 月 25 日(月) 国臨協 北海道支部ニュース
211 号受領(メール配信)
平成 27 年 6 月 6 日(土) ランチョンセミナー132 名参加
第 42 回近畿支部定期総会 ホテルシーパル須磨 神戸市
立国民宿舎須磨荘 会員 275 名(委任状 153 名)
、非会員
20 名(入会予定者) 近畿支部懇親会 96 名参加、
(会員
75 名、入会予定 17 名、非常勤 0 名、検査科部長、科長 2
名参加、講師の先生 2 名参加)
平成 27 年 6 月 7 日(日) 近畿支部学会 113 名参加 ラ
ンチョンセミナー 105 名参加
平成 27 年 6 月 12 日(金) 国臨協近畿支部 会費納入のお
知らせ発信
平成 27 年 6 月 27 日(土) 第6回国立病院臨床検査技師協
会全国支部長会議(国立国際医療研究センター病院)参加
(樋口支部長)
< 人 事 異 動>
退職 平成27年4月30日付
新施設名
氏名
新職名
高尾 千寿
旧施設名
旧職名
大阪南医療センター
非常勤
旧施設名
旧職名
旧施設名
旧職名
京都医療センター
非常勤
採用 平成27年5月1日付
新施設名
氏名
新職名
大阪南医療センター
上高家 紀美江
非常勤
氏名
新職名
退職 平成27年6月15日付
新施設名
小山 可織
育休復帰 平成27年7月1日付
新施設名
氏名
新職名
旧施設名
旧職名
兵庫中央病院
三石智恵子
技師
育児休暇(兵庫中央病院)
技師
(平成 27 年 4 月 2 日~平成 27 年 7 月 1 日付)
~ 24 ~
第 133 号
国立病院臨床検査技師協会近畿支部報
平成 27 年 9 月
こくりんごカフェ
私は小椋家三代目柴犬「みぶき」といいます。
滋賀県生まれの滋賀県育ち、6歳です。
顔は少々黒いですが、女の子です。
家の中に住んでいて、全然怒りません、吠えません、
噛みません。だから、番犬としては失格ですが、
癒しになっているようでいつも家族の中心にいます!
冬の雪遊びが大好き!
東近江総合医療センター
小椋 由紀
「こくりんごカフェ」書き込み募集のお知らせ!
会員の皆様の憩いのコーナー「こくりんごカフェ」では、会員の皆様の趣味の紹介やペットに関するエピソードな
どを募集しています。応募いただける方は、国臨協近畿事務局まで原稿と写真をお送りください。多数の応募お待
ちしております。
「こくりんごカフェ」ロゴ募集のお知らせ!
「こくりんごカフェ」のロゴを募集しております。応募いただける方は、11/30(月)までに国臨協近畿事務局ま
でお送りください。採用者には記念品を贈らせていただきます。
編集後記
今年も無事、支部総会・学会が終了しました。参加された皆様にとりましては、とても有意義な時間を過ごされ
たことと存じます。ほかにはない機構ならではの集いで、来年も皆様の元気なお顔を拝見できることを楽しみにし
ております。
さて 6 月 6 日(土)の総会におきまして、印刷コストの削減、紙面の充実を目的としました支部報(総会号以外)の
電子化案が承認されました。会員の皆様のお役に立てるような支部報の作成に向け、理事会やメールで議論を重ね
てまいりましたが、記念すべき第 1 号が完成いたしました。特集、会員書き込みコーナー、メーカーニュース、地
方だより、などを新たに増設しました。まだまだ不十分だとは思いますが、今後も会員の皆様にご指導いただきな
がら、よりよい支部報を皆様にお届けできるよう頑張ってまいります。
これからの季節、朝夕冷え込んでまいりますので、体調管理には充分ご注意くださいませ。
(F.K)
*総会・学会・研修会の写真、理事会議事録等は、近畿支部ホームページをご覧ください
© 2015 Japanese Association for National Hospital Medical Technologists,Kinki Branch.
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