02410

4.科学療法
アブストラクトフォーム
対象疾患
肝癌
文献 ID
LF01616
採択
採択
情報源
PubMed
情報源 ID
7657122
書籍事項
Castells A, Bruix J, Bru C, Ayuso C, Roca M, Boix L, et al. Treatment of
hepatocellular carcinoma with tamoxifen: a double-blind placebo-controlled trial
in 120 patients. Gastroenterology 1995; 109 (3): 917-22.
研究デザイン
4 RCT (Randomized Controlled Trial)
亜分類
(4) 対象 100 人以上 200 人未満、追跡期間 5 年未満、脱落率 10%未満
目的
肝細胞癌患者へのタモキシフェン経口投与の生存期間への影響、身体状況、腫瘍進展
における影響について検討する。
研究施設
バルセロナ大学、
スペイン
研究期間
1992 年 4 月∼1994 年 6 月(治療期間)
対象疾患
外科的切除、
エタノール注入療法、TAE の治療適応外の肝細胞癌患者 120 例
症例数
120
追跡期間
エビデンスレベル
Level 1b
脱落率(%)
(中央値)209 日 /(平均) /(範囲)13∼840 日
介入
タモキシフェン 20mg/ 日経口投与群(n=58)とプラセボ群(n=62)に無作為に割り付け
た。
主要評価項目とそれ
に用いた統計方法
少なくとも 3 ヶ月毎の診察、血液検査、USG を施行し、6 ヶ月毎に CT にて検討した。
抗腫瘍効果
(腫瘍サイズ)
は WHO の基準に基づき、PR は 50%以上の腫瘍縮小、NC
は 50%以下の腫瘍縮小または 25%以下の腫瘍増大、PD は 25%以上の腫瘍増大と定
義した。
AFPと副作用と生存率についても検討した。統計学的手法は Student's t 検定、
U Mann-Whitney's 検定、χ2 乗検定、Kaplan-Meier 法、Mantel-Cox 検定を用いた。
結果
副作用はほとんどみられなかった。抗腫瘍効果はコントロール群の 1 例で 6 ヵ月後に
PR がみられた。タモキシフェン群の 5 例、コントロール群の 2 例で腫瘍の縮小は認め
られないものの AFP の著明な低下がみられた。腫瘍進展は 1 年でタモキシフェン群
82%、コントロール群 74%で有意差はみられなかった(p=0.46)。1 年生存率はタモキシ
フェン群で 51%、コントロール群で 43%、2 年生存率はそれぞれ 27%と 29%であり有
意 差 は 認 め な か った(p=0.75)。さらに 経 過 観 察 中 の 腫 瘍 進 展(p=0.46)、
performance status(p=0.93)は両群に有意差は認めなかった。
結論
進行肝細胞癌に対してタモキシフェンは有用ではない。
コメント
少数例の肝細胞癌症例に対するタモキシフェンによる生存期間の延長が 2 報報告され
ていたが、今回多数例での初めての二重盲無作為試験での検討である。
備考
Double-blind placebo-controlled study
作成者
山下竜也