第4章 eラーニング前史

■■■
eLF テキスト
(技術的検討)
サンプル
第4章 eラーニング前史
(これまでと何が同じで何が違うか)
学習目標:e ラーニングに至るまでのメディアの教育利用について、
eラーニングとの差に言及しながら説明できる
eラーニング事例について、遠隔教育を支えてきた理論をあ
てはめて分析できる
e ラーニングの特徴について、ある事例を取り上げて、e ラー
ニング以前と比較して分析できる
本章の概要
●eラーニングのメリットは様々に指摘されている。しかし、eラーニ
ング登場で初めて可能になったのは、遠隔地にいる学習者との協調的・
共同的学習が可能になったことと、教材などの更新の簡便性が高まった
ことにまとめられる。それ以外はeラーニング以前からもあったことと
言える。
●eラーニングでは、「eラーニングでなければできないことしかやっ
てはいけない」わけではない。これまでの教育で蓄えられたノウハウを
eラーニングに生かすことができる。eラーニングは、様々な手法の長
所を組み合わせて学習環境を整備する統合プラットフォームとなる。
●eラーニングに至るまでの教育メディア利用の系譜には、プログラム
学習とティーチングマシン、CBT、マルチメディア化、WBTがあっ
た。インタラクティブ性の実現がキーワードであった。CAI時代には、
プログラム学習の 5 原則やメーガーの 3 つの質問など、シンプルでパワ
フルなIDの基礎が成立した。
●eラーニングに至るまでの遠隔教育の系譜は、自主自律理論、産業主
義理論、双方向性コミュニケーション理論に支えられて発展した。技術
的進展で同価値理論が提唱されている一方で、非同期でしか実現できな
い協調学習があるとの主張もある。
■■■
c2004 鈴木克明
■■■
eLF テキスト
(技術的検討)
サンプル
第5章 eラーニングを支える技術と標準化
ゲスト講師:仲林
清(NTT―X)
学習目標:技術標準化の意味とメリットについて説明できる。
e ラーニングコンテンツの標準規格(SCORM)について、
その動向を説明できる
e ラーニング標準化の今後の動向について、説明できる。
本章の概要
●技術標準化の例としては、USBポートやWWW関連規格がある。装
置の性能や機能を限定せずに、共有化やコストダウンのメリットがある。
●eラーニングでは、「学習者情報」、「コンピテンシ情報」、「コンテン
ツ情報」が基本的な情報であり、プラットフォーム間でやりとりされる。
SCORM(Sharable Content Object Reference Model)は、eラー
ニングコンテンツの相互運用性を確保する標準規格として、2000 年 1
月にADL(Advanced Distributed Learning)が策定した。クライア
ント側に表示するコンテンツ(SCO)の動作環境をサーバ側のコース構
造とプラットフォームの環境で規定している。
●SCORM は階層構造に対応し、IDプロセスの中でLOM(Learning
Object Metadata)が付与できるため再利用が可能になる。
●eラーニング標準化の今後の流れは、より高度・高機能な規格への流
れと、より広範囲な規格への流れがある。教材の流れを制御できるよう
にするための教材実行時動作の記述や、知的所有権保護のための権利記
述言語などが試みられている。
■■■
c2004 仲林清
鈴木克明
■■■
eLF テキスト
(技術的検討)
サンプル
第6章 eラーニングの構成要素
(何がデザインできるか)
学習目標:e ラーニングを成功に導くためには、4 つのレベルでのデザ
インが必要(あるいは可能)であることについて、eラー
ニング事例にあてはめて説明できる。
eラーニング事例について、職責(職務範囲)とデザインし
うる要素との関係について分析できる。
本章の概要
●eラーニングは組織の変革と組織を構成する人間の学習に対する考
え方の変革を迫る。eラーニングを成功に導くためには、さまざまなレ
ベルでIDを活用することが求められている。
●カルチャーレベルでは、学習そのものを全社員がかかわるべき重要な
活動として受け入れる環境をデザインする。
●システムレベルの構成要素には、トレーニングの他に、広義の e ラー
ニングを構成するKMSやPSSなどがある。研修への依存を軽減する
方向でデザインすることが肝要になる。IDのシステムレベルでの応用
が近年、重要視されるようになってきている。
●コースレベルのデザインは、旧来からIDが受け持ってきた様々な研
修プログラム設計が行われる。
●ユーザビリティデザインでは、快適で理解が容易な画面レイアウトや
ナビゲーションデザイン、配色や適切なメディアの活用、アクセス時間
などを設計する。
●各レベルのデザインに必要なツールについては、ホートンの見取り図
が明快なイメージを提供している。
●新旧のシステムを入れ替えるときには、イノベーション普及過程を踏
まえて、そのプロセスをデザインすることが必要である。
■■■
c2004 鈴木克明