PDF/ 251KB - 三菱電線工業株式会社

自
動
車
2004年4月
三 菱 電 線 工 業 時 報
第101号
自動車用新構造防水コネクタの開発
Development of New Sealed Connectors
*
平 出 弘
*
町 田 幸 文
H. Hiraide
Y. Machida
*
田 中 義 和
*
山 口 真 二
S. Yamaguchi
*
宗 安 一 豪
Y. Tanaka
K. Muneyasu
要 約
自動車の機能性向上を目的としたエレクトロニクス化が進む中,自動車用ワイヤハーネスの回路数は増加の一途を
辿っている。特に,その中でも最重要部品と位置付けられているコネクタの使用数は,更に増加する傾向にある。しか
しながら,ワイヤハーネスは労働集約的要素が強く,コネクタの取扱い性も品質を左右する重要な要素の一つとなって
いる。また,ますます電子化が進む中で,今後も回路数の増加が予想されており,細線化を前提にコネクタの更なる小
型・軽量化を推し進め,消費電力の低減などを図ることにより更なる環境対策の推進を目指す必要性がある。
なお,自動車用コネクタの小型・軽量化を図る上で課題となる取扱い性や電気接続信頼性については,従来構造
に対し,もう一段の工夫が求められている状況にある。
また,近年急速に普及している高圧洗浄機を使用した洗車サービスにおいては,電線が露出した状態で車両へ配
策されていた場合,電線被覆が亀裂・剥離する不具合が発生するなどの事例がある。その結果,コネクタ内部に水
が浸入し,接続不具合に発展するユーザークレームが発生している。更に,小動物に電線などが噛まれた結果発生
する被覆剥離や断線により同様なる水浸入が原因での接続不具合についても発生した事例の報告がある。
今回,新たに開発した防水コネクタは,コネクタハウジングの本体にフロントホルダをプリセットする新しい考
え方に基づく端子係止構造を導入すると共に,リアプロテクタをオプションとして装着可能な構造を採用した。そ
の結果,作業性・メンテナンス性を格段に向上させることが可能となり,従来コネクタの問題点を大幅に改善した
構造となっている。また,高圧洗浄機の普及により,新たに発生している防水コネクタへの水浸入不具合問題に対
しても極めて効果的な構造となっている。
キーワード: コネクタ,ワイヤハーネス,フロントホルダ,軽量・小型化,メンテナンス性,高圧洗浄,小動物
Summary
In the trend of advance of car electronics required for additional application of electronic requirements, wireharness volume has been increasingly enlarged. Within automobile wire-harness, most crucial component is apparently
connectors and their required quantity becomes more and more. However wire-harness is still a labor-intensive
product and therefore handling of connectors plays an important role in its quality and performance. Keeping up
with the progress of car electronics, it is essentially required to achieve possible reduction in environmental issues as
a result of decrease in power consumption by way of further miniaturization and lighter weight of connectors, based
on application of smaller size of wires.
For such problems as its handling and electrically stable contact function in case of adoption of further
miniaturization and lighter weight of connectors, it is absolutely expected to consider substantial countermeasures.
On the other hand, it has been occurred in case of wire-harness being installed without protection that there have
been occurred crack and/or separation of wire covering at the time of car washing using highly pressurized water,
resulted in the problem of ingress of water into the connector and subsequently occurrence of electrical contact
failure. Moreover, it has been reported that the same problems have been also happened by bite of small animal.
In comparison with the conventional type of connectors, our newly developed “Sealed Connector” has much
improved design constitution composed of the front holder to be pre-set in the connector and the rear protector
possibly to be equipped optionally, bringing success in achieving labor-saving and easy maintenance. It goes without
* 菱星電装株式会社
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自動車用新構造防水コネクタの開発
saying that our newly developed connector is remarkably effective against possible contact failure caused by ingress
of water(, resulted from popularization of the highly pressurized water washing machine for cars) into the connector.
Key words:Connector, Wire-harness, Front holder, Weight reduction and compact designing, Maintenance, Highly
pressurized water washing, Small animal
1.まえがき
車両用ワイヤハーネスの課題は,同一車種の中にあって
グレードごとに専用部番が設定されるなど,製品の種類が
多い点にある。種類を示すハーネス部品番号は,同一車種
で1000種類を越すケースもある。また,使用されるコネク
タについても,一段の軽量・小型化が求められており,そ
正常品
の結果,ワイヤハーネスの組立て作業の中で,誤配線時の
メンテナンス作業として実施されるコネクタからの端子
Fig. 1
離型不具合
The instance of the defective connector removed
from mold die
取外し作業がますます難しい作業となりつつある。
コネクタの離形不具合事例
なお,自動車メーカーのライン作業の中における不具合と
しては,コネクタの嵌合不具合が最も高い順位となっている。
特に,近年では高圧洗浄機の普及からコネクタの気密不具合
に関するクレームが顕在化しつつある状況となっている。
また,年間数十件ではあるが,ワイヤハーネスが車両配
策上露出しているケースにおいては,小動物にワイヤハー
ネスを構成する電線が噛まれ,水浸入や断線による接続不
具合が発生した事例がある。
Fig. 2
このような品質上の問題を改善すべく,従来コネクタの
Short shot of defectively injected mold resin
樹脂流動不具合(ショートショット)
構造を抜本的に改良することが必要であると判断し,新しい
構想に基づいた新構造の自動車用防水コネクタを開発した。
2.従来構造品の不具合と対策の方向
コネクタの製造から実際に車載される迄の工程および
製品の流れは,以下のようになっている。
Fig. 3
コネクタ製造
Flash of defectively injected mold resin
樹脂流動不具合(バリ)
↓
ハーネスメーカーおよび電装部品メーカーへの出荷
以上の状況下にあって,品質維持を前提に原価低減を実
↓
現させるためには,成形工程における製品の離形性を更に
ハーネス製造段階での組付および電装部品への組付
向上させる必要があった。現在,国内で商流中の従来コネ
↓
クタは,製造ロット刻印(Fig. 4)がない製品が多く,品質
自動車・建機メーカーなどへの納入
不具合が発生した際にロットを特定するのに時間を要す
↓
ることが多いなどの問題があり,製造ロットの特定を目的
ハーネスおよび電装部品の車両組付
とした製品へのロット刻印を実施する点も課題であった。
今回の開発では,コネクタの生産性向上およびハーネス
また,更なるハイサイクル成形を目指し,コネクタの設
製造工程における不具合の発生あるいは完成車両におけ
計および金型構造・樹脂材料についても大幅な見直しを実
る課題などを調査し,構造の改良に取組んだ。
施した。
2.1 コネクタ製造工程における不具合
2.2 ハーネス生産工程に於ける不具合発生状況
ハーネス製造上での不具合は,端子変形端子係止は
コネクタ製造段階における不具合の発生状況としては,
離形不具合(Fig. 1) 樹脂流動不具合であるショート
ずれ 端子逆挿入 端子不完全挿入の順となっている。
ショット(Fig. 2) バリ(Fig. 3) 金型破損となって
なお,最も多い不具合現象の端子変形については,その
いる。
主要因が端子誤挿入の際に行う端子取りはずし作業が原
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三 菱 電 線 工 業 時 報
第101号
Fig. 4
Manufacturing lot mark
製造ロット刻印
Extraction work of conventional terminal
Fig. 6
因であることがわかっている。
従来コネクタの端子抜き作業
Fig. 5 にハーネスメーカーでの現象別不具合発生率を下
記に取りまとめた。
ざるを得なくなり,結果として作業ミスを誘発する原因と
なっている。
2.3 自動車メーカーでのコネクタ嵌合不具合
24%
自動車メーカーにおけるコネクタが原因での不具合の
44%
中で,発生件数が最も多い事例としては,コネクタ嵌合不
16%
具合が挙げられる。
8% 8%
この対策として,既に非防水コネクタで商品化されてい
端子変形
端子係止はずれ
る当社開発のケースランスレス構造を採用することが有
端子逆挿入
アッシー未嵌合
効であると考え,新防水コネクタにも,ケースランスレス
その他 (’
98∼’
00当社データより)
Fig. 5
構造で得られるオス端子受け入れガイド部の構造の単純
Percentage of defects occurred through harness
化を実施することとした。
assembling process
2.4 完成車両での課題
ハーネスメーカーでのライン不具合率
近年の高圧洗浄機の普及から,高圧洗浄が原因での気密
コネクタの端子係止構造に関しては,歴史的変遷として
不具合による接触不具合問題が顕在化しつつある。
も,端子自体に係止爪を有したターミナルランス構造か
この原因は,高圧洗浄機を用いた車体洗浄の際,露出され
ら,ハウジング内に同様の係止爪を有したケースランス構
ていたワイヤハーネスに直接水圧が加わり,構成部品である
造へと進化し,更に現在は,ほとんどのコネクタで採用さ
電線被覆部に絶縁剥離が発生し,コネクタ内部に水が浸入す
れているケースランスでの係止を補完するためのホルダ
る現象が発生,そのことが不具合問題の発生原因となってい
を有した二重係止構造へと進化して来ている。1980年代初
る。
頭から本格採用が開始された二重係止構造のコネクタは,
高圧洗浄時のノズルからの各距離で評価した結果,コネ
その狙いであった端子抜け不具合対策について格段の効
クタは外観においても大きな損傷はなかったが,電線は
果があり,本構造を採用することにより端子抜け不具合は
100 mm と 150 mm で被覆剥離が生じた(Fig. 7)。
概ね解消された状況となった。
ノズルからの距離
100 mm
150 mm
200 mm
しかしながら,ハウジングより端子を取外す作業が,コ
ネクタの電気的機能として最も重要な部位の端子接触部
コネクタ
近傍に治具を挿入し,ハウジングランスを作用させての作
(PBT)
業となるため,Fig. 6 に示すように,端子接触子の変形,メ
ス端子外観部分の変形,端子圧着部の曲がりおよび折れが
発生するなど,多くの問題も共有する結果となった。
電線
このような不具合を解消すべく,ハーネスメーカーでは
(CAVS1.25)
端子誤挿入の際の端子取りはずし作業を専任の端子取り
はずし作業認定者がコネクタごとの専用治具を用いて作
Fig. 7
業する方式を採っている。
Test results of high pressured water washing
高圧洗浄試験結果
しかしながら,ワイヤーハーネスに使用されている各コ
ネクタの専用治具全てを,規定されている製品として準備
また,電線が露出されているワイヤハーネスにおいては,
した場合,その種類の多さや調達性・価格に大きな課題が
鼠やイタチといった小動物にワイヤハーネスが噛まれ,電
あるため,現場では標準作業と異なる治具での対応となら
線被覆剥離や切断により接続不具合が発生する事例も報告
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自動車用新構造防水コネクタの開発
されている(Fig. 8)
。
正常品
Fig. 8
電線被覆剥離状態
Separation of wire coating by biting of rats
鼠による電線被覆剥離
特に,鼠の被害については多くの例が報告されており,
Fig.10 Connecting face of female housing of new sealed
鼠が嫌う味覚材料として唐辛子の辛み成分をワイヤハー
connector
ネス外装部品に混入させて,対策した例もある。
新防水コネクタのメスハウジング嵌合間口
3.新たに開発した新防水コネクタ構造の特徴
にオス端子がプラグピンに干渉する問題や,コネクタ嵌合
の際に,コネクタ内の空気圧縮に伴って発生する空気圧力
新防水コネクタの構造は,端子をハウジング内に係止さ
によってプラグピンが脱落する不具合が発生している。
せるためのランスと,端子自体を収納するためのキャビティ
今回の新構造防水コネクタの開発に際しては,上記課題
を分割する構造とした点に最大の特徴がある。この構造は,
を改善すべく吸盤機構を採用した新プラグピンも同時に
非防水コネクタで既に商品化済みの当社コンセプトである
開発した(Fig.11)。
ケースランスレス構造を基本的に踏襲したものであり,その
現行型プラグピン A 現行型プラグピン B 吸盤タイププラグピン
目的および効果は,非防水コネクタと同様なレベルにある。
全体的な構造の概要としては,メスハウジングにフロン
外 観
トホルダをプリセットさせることにより,既に商品化済み
の当社製非防水コネクタとほぼ同様の機能が得られる構造
としている。更に,高圧洗浄対策としてリアプロテクタをオ
内圧性能
○
△
◎
オスタブとの干渉
△
○
○
プション装着できる構造とした点も特徴である。
Fig.11 Function of sucker type plug pin
吸盤タイププラグピン機能
3.1 コネクタ嵌合性の向上
コネクタの嵌合不具合が誘発される原因として,従来型コ
ネクタの場合,嵌合に際し最も重要な嵌合ガイド機能につい
3.2 端子取りはずし作業時における端子変形の撲滅
て,メスハウジング側に構成するオス端子挿入ガイド部形状
の単純化を金型構造上,構成できない点にあった(Fig. 9)
。
Fig.12 に示すように,端子取りはずし作業をコネクタの
斜め側面から実施できる構造としたため,端子取りはずし
作業の際に発生すると懸念されている接触不良の要因の
メス端子接触子片の変形を防止することが可能となった。
Fig. 9
Connecting face of female housing of conventional
従来構造
sealed connector
従来防水コネクタのメスハウジング嵌合間口
新構造
Fig.12 Terminal extraction work
端子取りはずし作業
今回開発した新構造では,Fig.10 のようにハウジング本
体にフロントホルダを装着させると伴に,挿入ガイド部の
ほぼ全周に C 面を構成させることが可能となり,コネクタ
3.3 端子専用とりはずし治具の廃止
の嵌合不具合・接触不具合を防止できる構造が実現できた。
従来コネクタでは,コネクタごとに専用の端子取りはず
また,その他の改良点の一つとして,従来型コネクタの
し治具を設定すると共に,ハーネスメーカーにおいては,
場合,防水コネクタの空き回路には,埋栓用としてプラグ
コネクタからの端子取りはずし作業を専任化するための
ピンが採用されているが,従来構造品ではコネクタ嵌合時
認定者制度なども採用している。
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三 菱 電 線 工 業 時 報
第101号
しかし,専用治具は高価であること,また,入手の容易
性,種類の多さなどに課題があり,コネクタごとに専用治
具の使用を徹底させることは,困難な状況にあった。
新構造防水コネクタでは,安価である汎用市販ドライ
バーなどを使用することが可能となり,専用治具を廃止
することが可能となった(Fig.13)。
従来構造
新構造
Fig.14 Improvement of appearance of engine room
エンジンルームの見栄え向上
とから金型についても複雑でかつ高精度が要求される。そ
の結果,成形時に離形不具合や金型ピンの破損が発生し,
専用抜き治具
汎用市販ドライバー
ハイサイクル成形が難しい製品となっていた。
今回,開発した新構造防水コネクタでは,ハイサイクル成
Fig.13 Terminal extraction jig
形を実現すべく,金型構造および樹脂材料の各項目につい
端子抜き治具
て,大幅な見直しを実施した結果,従来品に対して約 20%
のハイサイクル成形を達成することが可能となった。
3.4 フレッティング・コロージョンの抑制
コネクタ性能問題のひとつに,フレッティング・コロー
4.性能評価
ジョンの発生問題がある。
フレッティング・コロージョンとは,端子がハウジング
今回開発した新構造防水コネクタの高圧洗浄試験結果
本体の端子収納キャビティ内で動くことが原因で端子接
を報告する。なお,高圧洗浄試験方法および組合せ試験の
触面が摺動し,端子接触部表面部のメッキが削れ導体金属
試験方法を以下に示す。
が露出されることで,接触面に酸化銅や亜酸化銅が生成さ
れ,結果として接触不具合となってしまう現象を言う。
4.1 高圧洗浄試験方法
この不具合への対策として一般的に実施されている対
ISO 試験
ノズルから噴射する水は80±5℃,流水量14∼16 L/min,
応策は,端子の前後方向の動きを抑制することである。
新防水コネクタでは,メスハウジング本体とフロントホ
水圧 8 ∼ 10 MPa で取付台にサンプルを取り付け,毎分
ルダで端子を挟み込む構造としているため,端子の前後方
5±1回転の速度で回転させ,Fig.15に示す噴射位置1か
向の動きを,0.2 mm程度に抑制することが可能となり,フ
ら噴射位置4までの各位置で,30秒間高圧水を噴射する。
レッティング・コロージョンの抑制に対しても効果的な構
造となっている。
噴射位置1
噴射位置2
3.5 高圧洗浄対策と見栄え向上
リアプロテクタをオプションで装着可能とすることに
より,ワイヤハーネスが露出されている部位の高圧洗浄や
90°
100 mm ∼150 mm
60°
小動物による電線剥離・切断に伴う接続不具合を解消する
噴射位置3
噴射位置4
ことが可能となった。
30°
なお,鼠対策としてコルゲートや電線に辛み成分を含ま
せた対応策を取った場合には,更に効果的である。また,自
動車のエンジンルームに多く採用される防水コネクタで
は,電線部が露出していることにより,見栄えの悪い場合
があり,この点にも効果的である(Fig.14)。
更に,不定形な部品である電線の場合,振動による他の
0°
取付台
A点
(0°
, 30°
, 60°
, 90°
)
回転軸
Fig.15 ISO test method
部位との干渉や振動疲労により断線も懸念されているが,
ISO 試験方法
リアプロテクタを装着することにより定型部品としての
洗車場試験
改良効果が期待できる製品となった。
Fig.16 に示すようコネクタを嵌合した状態で垂直に固
定し,吐出圧力 10 MPa,水温 70℃の温水を 400 mm
3.6 ハイサイクル成形による原価低減
自動車用コネクタは,偏肉および複雑な構造品であるこ
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離れた距離からコネクタに対し垂直に 1 分間噴射する。
自動車用新構造防水コネクタの開発
また,400 mm より 50 mm 間隔で距離を短縮させ,水
浸入限界値まで確認する。
ノズル
コネクタ
ステンレスパイプ
300 mm
オスコネクタ
メスコネクタ
Fig.17 NMWP series
温度計 圧力計
NMWP Ⅱシリーズ
高圧ホース
内径:φ10
Fig.16 Method of washrack test
洗車場試験方法
4.2 評価結果
オスコネクタ
Table 1 に洗車場試験による絶縁抵抗と外観の結果を示
す。
メスコネクタ
Fig.18 NMWP32 (LIF) type
Table 1
NMWP32(LIF)タイプ
Results of washrack test
洗車場試験結果
評価項目
絶縁抵抗
端子相互間
端子 HSG 間
外観
規格
100 MΩ 以上
として挙げた, コネクタ嵌合性能の安定化, コネクタ
No. 1
No. 2
No. 3
判定
∞
∞
∞
OK
∞
∞
∞
OK
有害な亀裂,キズ,変形などなきこと
取扱い性の改善, 高圧洗浄性能の向上, 原価低減の 4
項目について今回の開発品である新防水コネクタ構造
は,全ての項目を満足できるコンセプトであることが確
OK
認できた。
限界値まで確認した結果,リアプロテクタ未装着品は,
なお,今後の計画として他サイズについても本コンセプ
300 mmで水浸入が発生したが,装着品は,距離を100 mm
トをベースとした商品化を計画中であり,将来的にはさら
短縮した 200 mm での水浸入であった。
に適用範囲を広げ,コネクタ全般の信頼性向上,およびコ
スト低減を目指す計画である。
5.新防水コネクタの応用例
謝 辞
今回,開発した新防水コネクタは,現在,国際標準化活
本開発にあたり,樹脂材料を中心とした成形技術の全般
動の一環として進められている自動車用コネクタの国際
にわたり三菱エンジニアリングプラスチックス 殿,三協
規格(ISO)と整合性を持たせることを前提に,その対象サ
化成産業 殿および金型を中心とした製造技術の全般にわ
イズを ISO 規格の中心サイズである 090(タブ幅 2.3 mm)
たり,ご協力をいただいた アザミ精工殿に深く感謝申し
とすべく商品開発を実施した。本品は,汎用防水コネクタ
上げます。
として従来から商流中であった NMWP シリーズの改良型
と位置付けた,1∼12極のNMWPⅡシリーズと,LIF(Low
Insertion Force)構造を用いた32極タイプ(Fig.17,Fig.18)
の商品化を目標に開発を推進したものである。
6.む す び
自動車の電子化動向に合いまって,ますます高くなるワ
イヤリングシステムへの信頼性向上要請に応えるべく,
キー部品としてのコネクタにスポットを当て,そのコネ
クタの取扱い性,および性能向上に向けた改善策として,
構造面の改良を実施した。
本報ではその具体的対応内容について述べた。開発方針
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三 菱 電 線 工 業 時 報
第101号
平出 弘(ひらいで ひろし)
菱星電装株式会社 コネクタ開発部
ハーネス部品全般の金型設計・成形技術に従事
町田幸文(まちだ ゆきふみ)
菱星電装株式会社 コネクタ開発部
ハーネス汎用部品全般の企画・開発に従事
山口真二(やまぐち しんじ)
菱星電装株式会社 コネクタ開発部 開発一課
コネクタの開発・設計に従事
田中義和(たなか よしかず)
菱星電装株式会社 コネクタ開発部 商品開発企画課
ハーネス汎用部品全般の企画・開発に従事
宗安一豪(むねやす かずひで)
菱星電装株式会社 コネクタ開発部 開発一課
コネクタの開発・設計に従事
− 50 −
2004年4月