ダイエタリーサプリメン卜に使用される大豆抽出物とエチニル エストラジオールの複合エストロゲン活性 誌名 食品衛生学雑誌 ISSN 00156426 川添, 禎浩 那賀, 和奈 著者 石橋, 弘志 小原, 智未 有薗, 幸司 橋本, 香織 北篠, 康司 鈴木, 隆 巻/号 51巻3号 掲載ページ p. 101-109 発行年月 2010年6月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波事務所 Tsukuba Office, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat J u n e2 0 1 0 1 0 1 報文 ダイエタリーサプリメントに使用される大豆抽出物と エチニルエストラジオールの複合エストロゲン活性 (平成 2 1年 9月 1 4日受理) 川 添 禎 浩1 . * 有 薗 幸 司2 那 賀 和 奈l 橋 本 香 織l 石 橋 弘 志2 北 僚 康 司1 小 原 智 未2 鈴 木 隆l CombinedEstrogenicActivityo fSoybeanExtractUsedi na DietarySupplementandEthinylE s t r a d i o l . ,KazunaNAKA1,H i r o s h iI S H I B A S H I2,TomomiOBARA2, S a d a h i r oKAWAZOE1* K o j iARIZON02,K a o r iHASHIMOT01,Y a s u j iHOJo1andTakashiSUZUKl1 epartmento fFoodS c i e n c e sandN u t r i t i o n a lH e a l t h,KyotoP r e f e c t u r a lU n i v e r s i t y : 1D a p a n ; 1 5Shimogamo,Kyoto606-8522,J F a c u l t yo fEnvironmentalandSymbioticS c i e n c e s,P r e f e c t u r a lU n i v e r s i t yo fKumamoto: a p a n ; 3-1-100Tsukide,Kumamoto862-8502,J * Correspondinga u t h o r 2 Weexaminedt h ecombinede s t r o g e n i ca c t i v i t yo fsoybeane x t r a c tusedi nad i e t a r ys u p p l e mentande t h i n y le s t r a d i o l( E E )c o n t a i n e di nano r a lc o n t r a c e p t i v e .O l i v eo i l( c o n t r o l ),soybean e x t r a c t( 0 . 0 0 3 6o r0 . 3 6g/kgc o r r e s p o n d i n gt od o s e so ft o t a li s o f l a v o n eo f0 . 8 3o r83mg/kg r e s p e c t i v e l y ),EE( 1o r10μg/kg),andsoybeane x t r a c t +EEwerea d m i n i s t e r e dt oo v a r i e c t o m i z e d CD-1micebyo r a lgavagef o r4c o n s e c u t i v ed a y s . Soybeane x t r a c t( 0 . 0 0 3 6o r0 . 3 6g / k g )andEE ( 1μ g/kg)d i dn o ti n c r e a s et h er e l a t i v eu t e r i n eweight . Ther e l a t i v eu t e r i n eweighto ft h esoybean 10 μg/kg)groupwass i g n i f i c a n t l yh i g h e rthant h a to ft h e e x t r a c t( 0 . 0 0 3 6o r0 . 3 6g / k g )+EE( .Ther e l a t i v eu t e r i n eweighto ft h esoybeane x t r a c t( 0 . 3 6g / k g )+EE( 10μ g/kg)groupwas c o n t r ol a l s os i g n i f i c a n t l yh i g h e rthant h a to ft h eEE( 1 0μg/kg)g r o u p .Soybeane x t r a c tshowede s t r o g e n i c s .Coadministrationo fEEwithsoybeane x t r a c t a c t i v i t yf o rhumane s t r o g e nr e c e p t o r( h E R )ーαands . i n c r e a s e dt h ee s t r o g e n i ca c t i v i t yf o rhER-αand( R e c e i v e dSeptember1 4,2 0 0 9 ) x t r a c t ; ダイエタリーサプリメント d i e t a r ys u p p l e m e n t ; エチニル Keyw o r d s : 大豆抽出物 soybeane t h i n y le s t r a d i o l ; エストロゲン活性 e s t r o g e n i ca c t i v i t y エストラジオール e 緒 宅 三T E司 近年,生活習慣病に対する不安や健康管理の高まりなど から,数多くの健康食品が新聞・雑誌等の広告で宣伝さ しょう症予防や更年期障害の緩和を目的として,それを抽 出錠剤化した, I 健康食品」のいわゆるダイエタリーサプ D S )がある.また,これとは別に,大豆イソフ リメント ( れ,またドラッグストアの庖頭に並べられている.一方, ラボンを関与成分とし,骨の健康に役立つと示唆されてい 健康食品の有用性に関する情報は多いものの,安全性に関 る「特定保健用食品J(清涼飲料水,豆乳飲料)などにも する情報は極めて少ない状況にある.特に,健康食品の過 ) 内閣府食品安全委員会は, I 特定保健 応用されている 3 剰摂取と長期摂取,医薬品との併用に関する情報は少な く,これらについての関連情報が必須とされる 1) 用食品」で大豆イソフラボンが過剰に摂取される可能性を 大豆成分のイソフラボンはエストロゲン活性を示す植物 の大豆イソフラボンのアグリコンの摂取を 1日 30mgと 性エストロゲンである 2) イソフラボンについては,骨粗 設定し,乳幼児等のハイリスクグループに対しては摂取を 勧めていない * 1 *連絡先 京都府立大学食保健学科:干 6 0 6 8 5 2 2京都市左京区下鴨半 木町 1 5 2 熊本県立大学環境共生学部:干 8 6 2 8 5 0 2熊本市月出 3 1 l 1 0 0 考慮し,閉経前の女性に対しては「特定保健用食品」から 一方,植物性エストロゲンを含む DSに関して,ホルモ ン剤や経口避妊薬(ピル)との併用による相互作用の可能 *'食品安全委員会大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の 安全性評価の基本的な考え方 2 0 0 6年 5月. P'~ 1 0 2 食衛誌 性が指摘されている 4) これより,エストロゲン活性を持 Vol .5 , 1N O.3 mmoljLリン酸緩衝液, pH2 . 5( 2 0: 8 0 )を,ゲニスチン, つ大豆イソフラボンの DSと,同様の活性を持つピルとの ダイゼイン,グリシティン,ゲニステインの分離に対して 併用による影響が懸念される. は,アセトニトリル 20mmol/Lリン酸緩衝液, pH2 . 5 そこで,大豆イソフラボンの DSに使用される大豆抽出 E E )の複合エ 物とピルの成分エチニルエストラジオール ( ストロゲン活性を検討した. まず,市販の大豆イソフラボンの DSに含まれるイソフ ( 2 5 :7 5 )を用いた.流速はl.0mL/min,検出波長を 254 nm,試料注入量を 10μLとした. 上記の条件で,市販の DSおよび大豆抽出物に含まれる イソフラボン類のダイジン,グリシチン,ゲニスチン,ダ ラボンの量を調べ,その結果から i nv i v oで検討を行う際 イゼイン,グリシテイン,ゲニステインを,標準溶液の検 の大豆抽出物の投与量を決定した. 抽出物と EEの複合エストロゲン活性の検討を行った.以 y=12585.104X,r=l .000,グリシチン: y=11844.707X ,r=0.996,ゲニスチン y=1 9 2 0 4 . 1 9 3 X,r=0.997,ダイゼイン Y=38324.288X,r=l .000,グ リシティン Y=1 7 2 7 5 . 7 8 7X,r=0 . 9 9 8,ゲニステイン: Y=34305.641X ,r =0.999) を用いて分離定量し,総イソ 下に,詳細を報告する. フラボン量を求めた. 次に大豆抽出物と EEの複合エストロゲン活性を卵巣摘 出マウスを用いる子宮肥大試験で検討した. さらに,酵母 t wo-hybrid法による i nv i t r o試験で大豆 量線(ダイジン 3 . 卵巣摘出マウスを用いた子宮肥大試験 実験方法 動物実験は京都府立大学動物実験委員会の承認を受け 1 . 材料と試薬 h a r l e sR i v e rJapan社 た. 7週齢の CD-1雌性マウスを C 1特定保健用食品」で 市販の大豆イソフラボンの DS ( より購入した.マウスはアノレミニウム製のケージに入れ はない)は,すべて京都市内で購入した. DSに使用され (1ケージ 4~5 匹),床敷 (White る大豆抽出物(大豆イソフラボン含有素材,大豆旺芽抽出 製を用いた.オリーブオイル, EE,ゲニステイン,グリシ 2時間周期の明暗サイクルの下, Japan社製)を敷き, 1 室内 ( 2 3: t2C )において飼育した.床敷は 3,4日に一度 交換した.飼料は卵巣摘出手術まで固形飼料(船橋 F 2, ティン,グリシチンは和光純薬工業(株)製,ゲニスチン, 船橋農場)を与え,飲料水は蒸留水を自由摂取させた. ダイゼイン,ダイジンはフジッコ(株)製を用いた.その他 DSに使用される大豆抽出物に含まれるイソフラボン類 の分析結果から,市販の DSのイソフラボンのヒトの 1日 摂取目安量 ( 5 0mg/60kg当 0 . 8 3mg/kg)に相当する量の 物,イソフラボン 20%含む粉末)はタマ生化学工業(株) の試薬は特級試薬または高速液体クロマトグラフィー用を 和光純薬工業(株)より購入した. 2 . HPLCによるイソフラボン類の分析 市販の大豆イソフラボンの DSおよび DSに使用される Flake,C h a r l e sR i v e r 0 総イソフラボンを含む大豆抽出物の量を算出し,それをマ ウスへの低濃度 ( 0 . 0 0 3 6g/kg,総イソフラボン 0 . 8 3mg 大豆抽出物のイソフラボン類(イソフラボン配糖体とイソ を含む)の投与量とした.また, 1日摂取目安量の 1 00 フラボンアグリコン)を菊池らの方法5 ) で抽出し HPLC 倍に相当する量の総イソフラボンを含む大豆抽出物をマウ 試験溶液を調製した.粉砕した試料 2gに 80%メタノー スへの高濃度 ( 0 . 3 6g/kg,総イソフラボン 83mgを含 ル溶液 50mLを加え,ホモジナイザーで十分に撹祥 ( 5 0 む)の投与量とした.なお, DSのイソフラボンのヒトの rpm,3min)し,ろ紙(アドパンテック東洋(株)製 NO.5 1日摂取目安量 50mgは,今回,イソフラボン類の分析 に用いた市販の DSのパッケージの表示の中で,最も高い 量(イソフラボン配糟体とイソフラボンアグリコンの割合 は表示されていなし、)である. A) でろ過した.なお,溶液の混濁が著しい場合は高速遠 1 5, 000rpm,1 5min,25C ) を行った.残直に 心分離 ( 0 80%メタノール溶液 50mLを加え,撹梓し以下同様の操 作を繰り返した.ろ j夜は 40 C 以下で 2~3mL になるまで 0 EEの投与量について,未成熟ラット(経口投与)や卵 エパポレーターで減圧濃縮し, 80%メタノール溶液で 1 0 巣摘出ラット(皮下投与)を用いた EEのエストロゲン様 mL定容とした.それをメンブランフィルター ( 0. 45μm) でろ過したものを HPLC試験溶液とした.イソフラボン )および EEのマウスへの影響を 作用の評価に関する実験 6 標準溶液は,ダイジン,グリシチン,ゲニスチン,ダイゼ μg/kg/day前後の量が用いられている.これらを参考に して本実験における EEの投与量は 1μg/kg/dayを基準 1 0 μ とした.よって, EE低濃度 (1μg/kg),EE高濃度 ( g/kg)を投与量とした. 7週齢の CD-1マウスの卵巣を摘出した.術後は植物性 P h y t o e s エストロゲンを極力少なくした NIH-07PLD( t r o g e nLowD i e t ) (オリエンタル酵母工業(株)製)に イン,グリシティン,ゲニステインのそれぞれをメタノー ルに溶解し 5~300μg/mL に調製したものを用いた. HPLCの装置は(株)島津製作所製の LC-6A型高速液体 クロマトグラフ, SPD-6A型 UVスペクトロフォトメト ugai(株)製の リック検出器, C-R6Aクロマトパック, S U-62050型カラムヒーターを用いた.カラムは GLS c i n i s i lQ C18(5μm,4 . 6m mi . d .X 250mm) e n c e s社製の U を用いた.カラム温度を 40Cに設定した.移動相はダイ ジン,グリシチンの分離に対しては,アセトニトリルー20 0 ), 8 ) においては 調べた実験 7 1μg/kg/day前後および 1 0 よって飼育した.卵巣が確実に摘出できたかどうかを,腫 0日で発情休止が続いて スメアを採取して判断し,術後 1 産誌!した .11日1 &から,オリーブオイル(コ いることを E J u n e2 0 1 0 大豆抽出物とエチニルエストラジオールの複合エストロゲン活性 1 0 3 ントロー jレ),大豆抽出物低濃度,大豆抽出物高濃度, EE 酵母細胞壁融解酵素 ( zymolyase20T,生化学工業(株) 低濃度,大豆抽出物低濃度と EE低濃度の併用,大豆抽出 製)を 物高濃度と EE 低濃度の併用の 6 群(1群 4~6 匹)を設 NaH2 P04 ,1 0mmoljLKC ,l 1mmoljLMgS0 )で溶解し 4 定し,それぞれ 4日間連続経口投与した.また, EEを高 た溶液と βーガラクトシダーゼ測定用化学発光用キット Zbu仔e r( 6 0 mmoljL Na2HP04,40 mmoljL 濃度にして同様に 6群を設定し,それぞれ 4日間連続経 (AuroraGal-XEk i t,ICN社製)の反応試薬を 5:3で混 口投与する実験も行った.最終投与の翌日に屠殺, 合した溶液 80μLを添加し,静置培養 ( 3 7C,1h r )した. Thigpenらの方法的に従って子宮を摘出し,内液除去後 の子宮重量 ( b l o t t e dw e i g h t )を測定した.体重に対する 子宮重量の比として相対子宮重量を求めた.エストロゲン i o その後,プレートを発光測定装置 (AB2100,ATTOB Instrument社製)にセットして,化学発光用キットの発 AuroraGal-XEk i t,ICN社製)を添加 光促進液 50μL( 活性は,子宮肥大に伴う相対子宮重量の増大を指標とし -ガラクトシダーゼ量を測 しながら,発光強度を計測し ,s f こ . 4 . 酵母 two-hybrid法によるエス卜ロゲン活性試験 DSに使用される大豆抽出物からイソフラボンを菊地ら )で抽出し,さらに βーグルクロニダーゼで酵素処理 の方法5 定した.エストロゲン活性の強さは,大豆抽出物から得ら し,エーテル抽出を行い,酵母 t wo-hybrid法によるエス 0 れた試験溶液および EEの濃度ごとに化学発光強度を求 T j B )として算出した. め,対照に対する化学発光強度比 ( 5 . 統計処理 卵巣摘出マウスを用いた子宮肥大試験のデータは平均値 t a tView5 . 0(SASI n s t i t u t eI n c . ) ±標準誤差で示し, S トロゲン活性試験のため試験溶液を調製した. 試料 2gに 80%メタノール溶液 50mLを加え,ホモジ を用いて統計処理を行った.相対子宮重量に関する多群の ナイザーで撹伴 ( 5 0rpm,3m i n )し,ろ紙でろ過した.残 比較において,一元配置分散分析を行い有意差が認められ 漬に 80%メタノール溶液 50mLを加え,撹梓し以下同様 た場合 Tukey-Kramer検定を行った.危険率 5%で有意 00 の操作を繰り返した.ろ液は 80%メタノール溶液で 1 mL定容とした.その 2mLを取り,窒素気流下で濃縮乾 -グルクロニ 固し,超純水 200μLに溶解した.それを,s 差ありとした. 酵母 t wo-hybrid法によるエストロゲン活性試験のデー イオテスト研究所(株)製) 1mLで酵素処理 ( 3 7C,24h r ) タは平均値±標準偏差で示し, P rism5 . 0b(GraphPad n c,)を用いて統計処理を行った.用量反応曲 Software,I 線から各試験溶液の 50%有効濃度 (EC 5 0値)を算出し 後,ジエチルエーテル 5mLで抽出し,遠心分離 ( 3, 000 た. ダーゼ含有の酢酸緩衝液(グルファターゼセット,日本バ 0 rpm,3~5 m i n )した.ジエチルエーテル画分を窒素気流 下で濃縮乾固し, DMSO200μLに溶解し,試験溶液とし 結 た. 1 . 市販の大豆イソフラボンの DSおよび DSに使用さ 酵母 t wo-hybrid法によるエストロゲン活性試験は, Nishikawaら1 0 )によって作製され,白石ら 11)から分与さ h E R α あるいは れたヒトエス卜ロゲンレセプター ( hER-s) 導入酵母 Y190株を用いて,既報に従って行っ た11), 1 2 ) . hER導 入 酵 母 Y190株では, h E R α あるいは hER-sと酵母転写因子 GAL4の DNA結合領域の融合タ ンパク質, GAL4転 写 活 性 化 領 域 と コ ア ク チ ベ ー タ ー 果 れる大豆抽出物のイソフラボン類含有量 イソフラボン類の標準溶液,市販の大豆イソフラボンの DSおよび DSに使用される大立抽出物から調製された試 ig,1に示した. 験溶液の HPLCクロマトグラムを F また, DSと大豆抽出物のイソフラボン類の含有量を Table1に示した. DSのイソフラボン類の含有量は, 4製品についてダイ TIF2の融合タンパク質がそれぞれ発現している.これら ジン の融合タンパク質は,エストロゲンの存在下のみで相互作 0.514~2.17 ,夕、、イゼイン 用することが知られているため, レポーター遺伝子である 0 , 025~0.664,ゲニステイン β ガラクトシダーゼの発現量を測定することによりエスト て総イソフラボンは 4 , 99~15.0 mgjgであった.総イソ 2 .4 6~5.77 ,グリシチン1. 97~7.95 ,ゲニスチン: 0.015~0.099 ,グリシティン: 0.003~0.016 mgjg ,そし フラボン量は,各 DSのパッケージの表示にあるイソフラ ロゲン活性を評価できる. 実験は,まず,凍結保存していた酵母をトリプトファン 3 0C, およびロイシンを除いた培地に接種後,振とう培養 ( 0 ボン量(1錠当りのイソフラボン量など)から換算したイ ソフラボン量 (mgjg)とほぼ一致していた. 1 7h)し,対数増殖期のものを試験用酵母液とした.試験 用酵母液は,分光光度計で濁度 (OD595nm)を測定し, 量を調べたところ,ダイジン 一定濃度になるように調整した.次に,発光測定用黒色 ニスチン 大豆抽出物に含まれる 6種類のイソフラボン類の含有 122,グリシチン 6 0 . 6,ゲ 3 8 . 3,ダイゼ、イン: 2 . 0 4,グリシテイン 6 . 3 0, 0 . 2 4 0mgjg,そして総イソフラボンは 230 96ウェルプレート(スミロン, SumitomoB a k e l i t eネ 土 ゲニステイン 製)に,大豆抽出物から得られた試験溶液と EE(hER-a: mgjgであった. 3 1~500 pmoljL,hER-s:156~2 ,500 pmoljL)を 20μL ず、つ単独あるいは併用添加した.さらに,試験用酵母液 60μLを 添 加 し , 混 合 後 , 静 置 培 養 ( 3 0C,4h r )した. 0 2 . DSに使用される大豆抽出物と EEの併用投与が卵 巣摘出マウスの相対子宮重量に及ぼす影響 卵巣摘出マウスに, DSに使用される大豆抽出物(低濃 F 縄開 104 食衛誌 J X O O Vol .5 , 1 NO.3 I s o f 1 a v o n es t a n 伽 d s 也i n D a i o 5 l O D a i d z e i n O e n i s t e i n 0 5 l O 1 5 2 0 25 3 0 R e t e n t i o nt i m e( m i n ) D i e t a r ys u p p l 叩 1 四 G回 i s t i n t D a i d z i n O l y c i 住3 O e n i s 旬i n 。 ↓ 0 5 Re t e n t i o nt i m e( m i n ) 5 l O l O 1 5 2 0 25 3 0 S o y も 阻 岡 田d ー -Oenistin D a i d z i n O l y c i t i n 旬並 O e n i s o 5 。 ↓ 5 1 0 伺 t i o nt i m e( m i n ) R e t l lO 1 5 2 0 25 3 0 F i g .1 . HPLCchromatogramso i e t a r ysupplementandsoybeane x t r a c t fi s o f l a v o n es t a n d a r d s,d HPLCc o n d i t i o n sa r ed e s c r i b e di nt h emethodss e c t i o n . Table1 . I s o f l a v o n ec o n c e n t r a t i o n si nd i e t a r ysupplementsandsoybeane x t r a c t I s o f l a v o n ec o n t e n t(mg/g) Sampl巴 D a i d z i n ヴ 4 ヴ FDnb tFO A q t 32542 qL I ヴ Soybeane x t r a c t 1i 円 4 q O A告 11 D i e t a r ysupplements No. G l y c i t i n G e n i s t i n D a i d z e i n 4 . 7 1 1 .97 3 . 6 2 7 . 9 5 6 0 . 6 1 . 12 0 . 5 1 4 1 .6 1 2 . 1 7 3 8 . 3 0 . 0 2 8 0 . 0 1 5 0 . 0 5 1 0 . 0 9 9 2 . 0 4 T o t a li s o f l a v o n e c o n t e n t ( m g / g ) G l y c i t e i n G e n i s t e i n 0 . 6 6 4 0 . 0 2 5 0 . 3 6 5 0 . 0 6 1 6 . 3 0 0 . 0 0 5 0 . 0 0 3 0 . 0 1 5 0 . 0 1 6 0 . 2 4 0 9 . 6 7 4 . 9 9 11 .4 1 5 . 0 230 Valuesa r emeanso ft h r e et r i a l s 度( 0 . 0 0 3 6gjkg),高濃度 ( 0 . 3 6gjkg)) と EE低濃度(1μ 投与は,コントロールに対して相対子宮重量が,それぞれ gjkg)を,単独あるいは併用で投与した実験と,大立抽出 1 . 1 倍 , 1 .3倍増加した.よって,相対子宮重量は大豆抽 物(低濃度,高濃度)と EE高濃度(10 μ gjkg)を,単独 出物の濃度増加に伴い増加する傾向があった. あるいは併用で投与した実験の相対子宮重量を Fig.2に 示した. Fig.2Aの EE低濃度の場合,大豆抽出物低濃度,高濃 Fig.2Bの EE高濃度の単独投与は,コントロールに対 して相対子宮重量が1.4倍増加し,有意な増加であった. また,大豆抽出物低濃度と EE高濃度,大豆抽出物高濃度 度あるいは EE低濃度の単独投与は,コントロールに対し と EE高濃度の併用投与も,コントロールに対して相対子 て相対子宮重量が増加しなかった. しかし,大豆抽出物低 , 1 .9倍増加し,どちらも有意 宮重量が,それぞれ1.5倍 濃度と EE低濃度,大豆抽出物高濃度と EE低濃度の併用 な増加であった.さらに,大豆抽出物高濃度と EE高濃度 大豆抽出物とエチニルエストラジオールの複合エストロゲン活性 June2010 1 . 4 1 . 2 2202H20ML 0. 4 0 . 2 o ( 8 ) EE( 1 0 μg / k g ) 0 . 8 一﹄ OH202H50区 0 . 8 0 . 6 1 . 8 642 一﹄ 3BE}Ego-poz 。u a u sBE)Eazsoz ( A ) EE(1μg/kg) 0 . 6 0. 4 0 . 2 。Con!rol SoybeanSoybean o y b e a nS o y b e a n C o n ! r o lS o y b e a nS o y b e a n E E S E x t r a c t E x t r a c t E x ! r a c ! E x ! r a c ! 0 . 0 0 3 6 3 6 0 . 0 0 3 6 0 . 3 6 g/kg g/kg +E E o y b e a nS o y b e a n E E S E x ! r a c ! E x ! r a c ! 0 . 0 0 3 6 0 . 3 6 E x ! r a c ! E x ! r a c ! 0 . 0 0 3 6 0 . 3 6 目 g/kg 105 g/kg g/kg +E E g/kg g/kg +E E g/kg +E E f f e c to fsoybeane x t r a c tande t h i n y le s t r a d i o l( E E )onr e l a t i v eu t e r i n eweighto fovariectomizedmice F i g . 2 . E ( A ) :R e s u l to fa d m i n i s t r a t i o no fsoybeane x t r a c t+EE1μg/kg. ( B ) :R e s u l to fa d m i n i s t r a t i o no fsoybeane x t r a c t+ EE lOl 1g /kg. Valuesa r e means: tSEfrom4-6mice.* :Significant 1y d i f f e r e n tfrom c o n t r o l (p<0 . 0 5 ) .非 S i g n i f i cant 1yd i 妊e r e n tfromEEa l o n eω<0.05) 4 0 1 2 0 ・ 一 司 EE63pmol/L+SE 一 合 一 ーE E1 2 5p m o l / L+S E 喝d 6 0 -<トー E E2 5 0p m o l / L+S E -・一一 E E5 0 0p m o l / L+S E J O 4 内 Z Z ー一合一 E E3 1p m o l / L+S E 4 内 E 80 ( 8 )hER-s O 内 S o y b e a nE x ! r a c !( S E ) -->e 。 帥 O 内 } b FbnuRunu 豊100 (A)hER・α ( 白 戸) EggEZJQ恥。。一刃包 { 1 5 ち 4 0 0 1 0 喝 ・4 帽 0 0 : : 2 ・ -EE3 1 3p m o l / LS E ー → ーE E6 2 5p m o l / LS E + + a ー ーE E1 2 5 0p m o l / L+S E -→ーー E E2 5 0 0p m o l / L+S E F 5 0 0 1 . E 0 6 S o y b e a nE x ! r a c !( S E ) -->e 一 一 合 一 ーE E1 5 6p m o l / L+S E 1 . E 0 5 1 . E 0 4 1 . E 0 3 Logc o n c e n t r a t i o n ( D i l u t i o nr a t eo fsoybeane x t r a c t ) 1 . E 0 6 心5 1 . E ・ 0 4 1 . E Logc o n c e n t r a t i o n ( D i l u t i o nr a t eo fsoybeane x t r a c t ) 1 . E 0 3 F i g . 3 . E s t r o g e n i ca c t i v i t i e so fmixtureso fsoybeane x t r a c tande t h i n y le s t r a d i o l( E E )onhumane s t r o g e nr e c e p t o r( h E R ) αandsusingt h ey e a s ttwo-hybridassay ( A ) :R e s u l t sf o rhERα(B):R e s u l t sf o rhER-s. Valuesa r ep r e s e n t e da st h er a t i oo fchemiluminescence(CLN) i n t e n s i t y(T/ B )ofβgalactosidase. Valuesa r emeans: tSDfromthreeorfourindependentexperimentswitheach determinationmadei nt r i p l i c a t e . の併用投与は, EE高濃度に対しでも相対子宮重量が1.3 倍増加し,有意な増加であった. 3 . DSに使用される大豆抽出物と EEの併用が hER-α あるいは hER-.β のエス卜ロゲン活性に及ぼす影響 EE単独の用量反応曲線は示していないが,同様に EE の EC5 0値を算出したところ ,hER-α では 630pmoljL, hER-sでは 3600pmoljLであった. EEは hER-sよりも hER-α に対して, 5 . 7倍強いエストロゲン活性を示した. DSに使用される大豆抽出物から得られた試験溶液と これらを併用添加した場合, hER-α(Fig.3A)および EEを , hER-α あるいは hER-sを組み込んだ酵母を用い hER-s( F i g .3B)ともに, EEの各濃度において併用添加 て , two-hybrid法によりエストロゲン活性を測定した. した大豆抽出物の濃度増加に伴い TjBは増加した. EE 各処理濃度で単独・併用添加した際の TjBの変化を Fig. の各濃度における大豆抽出物の併用添加の EC5 0値を算出 3に示した. 用量反応曲線から,大豆抽出物単独の EC5 0値を算出し ,hER-s たところ ,hER-α(Fig.3A)では希釈率 3.6X10-4 5 (Fig.3B)では1.6X 10- であった.大豆抽出物は hER-α よりも hER-sに対して, 23倍強いエストロゲン活性を示 した. したところ ,hER-α では, EE31pmoljLにおける大豆 抽出物の併用添加の場合を除き, 1 .8X 1O -4~2.1 X 10-4 の範囲にあり,大豆抽出物を単独添加した場合の EC50値 ( 3 . 6X 10-4)より低値を示した.一方,hER-sでは1. 2X 1O -5~ 1 .5X 10-5の範囲にあり,大豆抽出物を単独添加 )より低値を示した. した場合の EC5 1 .6X 10-5 0値 ( F ' - 1 0 6 食衛誌 Vo. l5 , 1N o.3 考 察 ンの合計量)を算出してみると, 3 5 . 9,4 3 . 9,1 4 . 9mgjg 乳ガンや前立腺ガンは代表的なホルモン依存性ガンであ となり,本研究で調べた市販の DS中の総イソフラボン量 る14) これらのことから,エストロゲン活'性を持つ物質を 3製品の表示の 1日摂取目安量は,イソフラボンとして 50mg (錠剤 ), 60mg (錠剤 1g ),50mg (錠斉Ij2g ) である 1 .26g とされおり,本研究の DSの表示の 1日摂取目安量 50 mgに近いため,イソフラボンを摂取する量に関しては, 摂取するにあたって,摂取方法によっては乳ガン等のリス 両者は大きな違いはないと考えられる. り,それぞれエストロゲンやアンドロゲンに依存して増殖 することが知られている 13) また,乳ガンについてはエス トロゲンが結合する核内レセプターであるエストロゲンレ セプターの遺伝子の発現が充進していることが知られてい クを高める可能性があると推論される. よりも約 1~9 倍高い値となる.ただし, また, 3製品の表示に基づくイソフラボン量を算出する そこで,本研究はエストロゲン活性に焦点を絞った検討 5 0mgj錠剤1.26g ),60mgjg ( 6 0mgj錠 と 40mgjg ( を行った.研究で用いた EEはエストロゲンアゴニストで ), 25mgjg ( 5 0mgj錠剤 2g ) となり,分析に基 剤 1g ) また,イ あり,子宮肥大試験で子宮重量を増加させる 6 づく総イソフラボンに比べて,それぞれ1.1, 1 .4,1 .7倍高 ソフラボンもエストロゲン活性を示し 2),食品安全委員会 い. しかし,極端に大きな差ではないので,少なくとも分 の「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性の考 析に基づく 6種類のイソフラボン類の含有量の合計は製 え方」の報告においても,イソフラボンは生体内でエスト 品のイソフラボン量として反映していると思われ,本研究 ロゲンレセプターに結合し,生体作用を発揮することか の結果と大きな違いはないと考えられる. ら,安全性の評価はエストロゲンレセプターを介する作用 1 を指標として検討されている * 大豆抽出物に含まれる 6種類のイソフラボン類を分析 して含有量を調べたところ,総イソフラボン量は 230 なお,厚生労働省は食品安全委員会の報告を受けて, mgjgであった ( T a b l e1 ) .そこで,この結果を用いて,大 「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品等の取扱いに関 豆抽出物と EEの複合エストロゲン活性を i nv i v oの卵巣 する指針」によって, I 特定保健用食品」および「いわゆ 摘出マウスを用いる子宮肥大試験で検討したところ,相対 る健康食品」からの大豆イソフラボンの適切な摂取量を, 子宮重量は,大豆抽出物(低濃度,高濃度)あるいは EE イソフラボンのアグリコンとして 1日 30mgを超えない 低濃度の単独によって増加しなかったが,大豆抽出物(低 ように設定するよう指導することを通知している * 2 濃度,高濃度)と EE低濃度を併用したところ増加する傾 一方,イソフラボンの有効性については, ヒトの成人に 向を示した ( F i g . 2 A ) .EEが高濃度の場合,大豆抽出物の おいて骨粗しょう症,更年期障害,循環器疾患,ガン(乳 濃度に依存して有意に増加し,大豆抽出物と EEの両方が ガン,子宮体ガン,前立腺ガン)などに対して改善や予防 高 濃 度 の 場 合 は EE高 濃 度 に 対 し で も 有 意 に 増 加 し た 5 ) また,大豆食品などを常食する 効果が期待されている 1 ( F i g . 2 B ) .これらのことから,大豆抽出物と EEを併用し 日本人は乳ガンなどが少ないことを,欧米に比べイソフラ た場合の複合エストロゲン活性は,大豆抽出物の濃度増加 ボンの摂取量が多いことに関連づけて報告されている 16) に伴って増加するものと考えられた. 大豆製品・イソフラボンの摂取と乳ガン発生率の減少の関 なお,今回の実験で用いた大豆抽出物の濃度は,低濃度 係を示す厚生労働省多目的コホート研究を用いた世界初の p o s i t i v ed a t aも発表されている 17) イソフラボンについ (0.0036gjkg)と高濃度 ( 0 . 3 6gjkg)であり,経口投与の 期間は 4日間である.この実験条件下, EEとの複合エス ては生体影響に関する相反する知見がある中で総合的な評 トロゲン活性は大亘抽出物の濃度増加に伴って増加した 価が必要とされている. が,大豆抽出物の低濃度と高濃度は 100倍の違いがある. 市販の大豆イソフラボンの DS含まれるイソフラボン類 EEについても,実験では EE低濃度(1μgjkg)と EE高 の含有量を調べたところ,合計した総イソフラボン量は 4 1 0 μ gjkg)を用いており, EE低濃度から大豆抽出 濃度 ( ( T a b l e1 ),各 DS のパッケージの表示のイソフラボン量とほぼ一致してい 物との複合エストロゲン活性が増加する傾向にあるが, 製品で 4.99~15.0 mgjgの範囲であり EE低濃度と EE高濃度は 1 0倍の違いがある.したがっ た.よって,測定した 6種類のイソフラボン類の含有量 て,その聞の濃度増加に伴う反応の増加状況が不明であ の合計は DSのイソフラボン量に反映できると考えられ る.さらに,投与期聞を延長した場合の反応の変化も不明 た. 石見ら 18)は,国内の市販の健康食品の大豆イソフラボン である.今後, これらの点を検討する必要性があると考え られる. の分析を行い, DSに相当する錠剤型の大豆イソフラボン 一方,大豆抽出物と EEとの併用の影響を子宮肥大試験 加工食品については 3製品を調査報告している.その結 によって検討した報告はないが, Shmidtら19) は,卵巣摘 果から, 3製品の総イソフラボン量(ダイジン,グリシチ ン,ケ、ニスチン,夕、、イゼイン,グリシティン,ゲニステイ EE(30μgjkgjday)を単独あるいは併用で 3日間経口投 * 2厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知“大豆イソフラボン を含む特定保健用食品等の取扱いに関する指針について"平 成 1 8年 8月 2 3日,食安発第 0 8 2 3 0 0 1号 ( 2 0 0 6 ) . 出ラットを用いて,ゲニステイン ( 1 0 0mgjkgjday)と 与し,子宮重量などのホルモン活性を調べている.相対子 宮重量の結果を見てみると,コントロールに対してゲニス テインは約1.5倍 , EEは約 2倍の増加となり,単独投与 J u n e2 0 1 0 大豆抽出物とエチニルエストラジオールの複合エストロゲン活性 1 0 7 によってどちらも有意な増加が認められ,それらを併用し 投与によって子宮や腫で αおよび βが発現し, αおよび P た場合は 3倍以上の増加となり, EE単独よりも有意な増 の発現の低下が,子宮や睦の形質の変化に関連しているこ 加が認められている. Shmidtらはゲニステインと EEの とが報告されている 22) すなわち,エストロゲン活性を持 併用投与は明らかに相加的な作用をもたらすと考察してい つ物質について,i nv i t r oでエストロゲンレセプターのサ ブタイプに対する作用を調べれば,i nv i v oでの作用をレ る. その際の投与条件であるゲニステインの投与量(100 mgjkg),EEの投与量 ( 3 0 μ gjkg)および 3日間投与は, 今回の実験の大豆抽出物高濃度の投与量 ( 0 . 3 6gjkg,総 セプターレベルで説明できる. そのため本研究では,酵母 t wo-hybrid法を用いて,エ ストロゲンレセプターの αおよび β に対する大豆抽出物 イソフラボン 83mgを含む)中のゲニステイン量, EE と EEおよびそれらの併用影響を評価した.なお,酵母 高濃度の投与量(10 μ gjkg)および 4日間投与より,量が two-hybrid法は,エストロゲン依存的なエストロゲンレ 多い.そのため,ゲニステインと EEの単独投与によって セプターとコアクチベーターの相互作用をみており,作用 も今回の実験の結果(大豆抽出物高濃度単独は増加なし, 機序は生体反応の一部を反映していることから ,i nv i v o EE高濃度単独で1.4倍増加)以上に増加が認められたも のと推測される.さらに,ゲニステインと EEを併用投与 有用な方法である. の実験によって得られた生体反応の結果を説明するための することでも,今回の実験の結果(大豆抽出物高濃度と 酵母 t wo-hybrid法 ( h E R α ,hER-s)において大豆抽出 EE高濃度の併用で1.9倍増加)以上に明らかな増加が見 られたものと考えられる. したがって, Shmidtらの実験 物と EEの併用添加の影響を検討したところ, EEの各濃 度において大豆抽出物の濃度増加に伴い TjBは増加した は,投与量,実験動物などの違いはあるが,本実験で大豆 ( F i g .3A,F i g .3 B ) . また, EEの各濃度における大豆抽出 抽出物と EEを併用すると複合エストロゲン活性が増加し 物の併用添加の EC 0値を算出したところ, h E R α および 5 たことと同様の結果であると示唆される. hER-sともに,大豆抽出物を単独添加した場合の EC 50値 また,片山らは,幼若雌性ラットを用いて,イソフラボ より低値を示したことから,大豆抽出物と EEを併用する 0 . 3 μ gjkg)を単独 ンのゲニステイン ( 10mgjkg)と EE( とエストロゲン活性が増加することが明らかとなった. こ あるいは混合で単回経口投与して,子宮重量などの変化を nv i t r oの結果は,大豆抽出物と EEの併用による複合 のi 調べている *3 その結果,単独投与では明瞭な影響は認め エストロゲン活性は大豆抽出物の濃度増加に伴って増加す られないが,混合すると明瞭な子宮肥大反応が認められ, るという i nv i v oの結果を裏づけるものとなった.また, さらに,混合による複合効果はエストロゲンレセプターの 大豆抽出物の単独添加では,hER-sにおける EC 50値は アンタゴ、ニストとの混合投与によりキャンセルされたこと h E R α より 23倍低い値を示し,大豆抽出物は hER-sに を報告している. 対して強いエストロゲン活性を有していることが明らかと 1 0mgj 片山らの実験におけるゲニステインの投与量 ( なった. これらの結果は,ゲニステインやダイゼインなど k g )は,今回の実験で用いた大豆抽出物低濃度 ( 0 . 0 0 3 6 の植物性エストロゲンは αよりも β に対して強い結合活 gjkg,総イソフラボン 0 . 8 3mgを含む)と高濃度 ( 0 . 3 6 性および遺伝子転写活性化能を示した Kuiperらの報告 21) gjkg,総イソフラボン 83mgを含む)の間にあり,また を反映していると考えられる. EEの投与量 ( 0 . 3 μ gjkg)は , EE低濃度 ( 1 μ gjkg)より少 ゲニステインと EEを併用投与すると,子宮重量が相加 なく,それぞれ 1回投与であるが,混合することで明ら 的に増加することを認めた前述の Shmidtらの報告 19) に かな反応が見られている.このことも,本実験で大豆抽出 おいて,ゲニステインはエストロゲンレセプター α と非1 物と EEを併用すると複合エストロゲン活性が増加したこ 常に弱し、相互作用を持ち, EEのエストロゲンレセプター とと一致する. αとの結合において競合しないと考えられている. した がってゲニステインはエストロゲンレセプター αの弱い アゴ、ニストになる 23)と示唆されている. イソフラボンや EEはエストロゲンレセプターに結合 し,生体作用を発揮するが,レセプターには αとβ の 2 つのサブタイプがあり,ラットを用いた研究では, αは子 この考え方からすると,今回の i nv i t r oの実験におい 宮,精巣,下垂体,卵巣,腎臓,精巣上体,副腎,sは前 て,大豆抽出物と EEを併用するとエストロゲン活性が増 立腺,卵巣,肺,腸脱,脳,子宮,精巣で発現しているこ とが明らかになっている 20) また,イソフラボンなどは, 加するという結果は, h E R α あるいは hER-sで EEの強 αよりも β に対して強い結合活性および遺伝子転写活性化 能を示すことが報告されている 21). EEについても,その の作用が総合的に影響し,エストロゲン活性が増加したた * 3片山誠一,芦沢幸二,永井賢司,山本由徳,大保真由美,秋 山賢之介,山下保志.幼若雌性ラットの子宮におけるエスト ロジェン応答遺伝子の発現に及ぼす巴t h y n y le s t r a d i o l,g 巴 n i s t e i n,m e t h o x y c h l o rおよび 1 C 11 8 2,7 8 0の複合効果.第 3 1回日本トキシコロジー学会学術年会プログラム・要旨集, p .3 0 3( 2 0 0 4 ) いエストロゲン活性と大豆抽出物の弱いアゴニストとして めであると推測され, αとβ の両レセプターを介した活性 が,i nv i v oの実験における大豆抽出物と EEを併用する と子宮重量が増加する結果に反映されると説明できる.た だし, EEの単独は hER-sよりも h E R α に対して 5 . 7倍 強いエストロゲン活性を示したが,大豆抽出物は hER-s に対して強いエストロゲン活性を示していることを含め, ,..-~胸 108 食衛誌 子宮で αとβ の両レセプターのどちらがどの程度関与す Vol .5 1,NO.3 絵子,川角祐介の両氏に深く感謝いたします. るのかは不明である. ところで,i nv i v oにおける大亘抽出物と EE併用によ 文 献 nv i t r oのレセプ る複合エストロゲン活性の増加の理由を i 1 ) Kawazoe ,S .,Naka,K . , Hojo,Y . , Suzuki,T .S t u d i e son ターレベルのみならず, EEの体内動態に及ぼす大豆抽出 s a f e t yi s s u e so fh e a l t hf o o d s :P a r t2Thinkingo ft h e h e a l t hf o o di n f o r m a t i o nf o rprosumersbyh e a l t hp r o f e s s i o n a l s from a v i e w p o i n to fs a f e t ys t u d i e s . Shyakai Yakugaku( Jp n .J .S o c .P h a r m . ),24 ,2 5-34( 2 0 0 5 ) 2 ) F a r m a k a l i d i s, E ., Hathcock, J .N ., Murphy, P .A .O e s t r o g巴n i c potency o fg e n i s t i n and d a i d z i ni nm i c e . Fd Chem.T o x i c .,23,7 4 1ー 745( 1 9 8 5 ) . 3 ) 清水俊雄編著.改訂増補版機能性食品素材便覧.東京, 薬事日報社, 2006,p .3 7 5 3 7 8 .(ISBN4 8 4 0 8 0 9 2 5 9 ) , 物の影響という視点から考察してみる. Kishidaら24) は 大豆イソフラボンを含む飼料 (0~300 mgjkg飼料)を 4 週間雄および雌ラットに与えた実験で,肝薬物代謝酵素の チトクローム P450のアイソザイムの mRNA量を調べた ところ,影響がなかったことから,イソフラボンは転写段 階の調節または転写後の mRNA安定化によるチトクロー ム P450の誘導を引き起こさないと考察している. しか し,窪田ら 25) は,大豆イソフラボン類(イソフラボン類 を 20%を含む大豆抽出物)を餌に 1%添加し,それを雄 ラットに 4週間摂取させたところ肝重量の増加を認め, 別の研究でイチョウ葉エキスが肝重量を増加し肝薬物代謝 酵素を誘導したこと 26) も考え合わせ,大豆イソフラボン 類によっても肝薬物代謝酵素の誘導と併用する医薬品の代 謝の変化が起きる可能性を推察している.なお,ラットは . 6 5gjkgjdayを摂取しており,イソフラ 大豆抽出物約 0 ボンの摂取は約 130mgjkgjdayと算出され,雄ラット に 300mgjkg飼料を与えた前述の Kishidaらの実験より 約 8倍多いと推定される. そこで,結果には示していないが,今回の実験におい て,コントロールに対する大豆抽出物の単独あるいは EE との併用による肝重量の変化を同時に調べてみた. しか し肝重量の増加は認められなかった.よって,肝薬物代 謝酵素の誘導を肝重量のみを指標とした場合,大立抽出物 は EEの代謝に影響を与えていないと推測されるが,窪田 らの実験と比較すると,今回の実験はイソフラボンの投与 量が少なく期間が短いこともあり,長期大量投与の場合は どうなのか興味がもたれる. 今回の DSに使用される大豆抽出物とピルの成分 EEの 複合エス卜ロゲン活性について,安全性の観点から考察す る.実験に用いた大豆抽出物は,市販の DSのイソフラボ ンのヒ卜の 1日摂取目安量 50mgに相当する量の総イソ フラボンを含むように調製し,マウスに経口投与した.ま た 実 験 に は EEの経口投与量として l μ gjkgを用いた. これはヒ卜の体重(女性)で換算すると 50μ gj50kgと なり, ピル 1日 l錠の服用において含まれる EE30~40 μg,( 4 0 μ gj50kg=0.8μ g j k g ) 2 7 )に近い用量である.大豆 抽出物と EEの併用による複合エストロゲン活性は大豆抽 出物の濃度増加に伴って増加するという結果に加えて, DSが過剰摂取や長期摂取される可能性があることを考え ると,大豆イソフラボンの DSと EEを含むピルの併用は エストロゲン活性を増強するという観点から注意を要する と思われる. 謝 辞 本研究を行うにあたり,実験にご協力いただいた川合美 4 ) Smolinske,S .C .D i e t a r ysupplement-drugi n t e r a c t i o n s . JAMWA, 54,1 9ト 192,195( 19 9 9 ) . .,Shimamura,Y .,H irokado,M.,Yasuda,K . , 5 ) Kikuchi,Y N i s h i j i m a,M. Q u a n t i t a t i v巴 a n a l y s i so fd a i d z i n,d a i d z e i n,g e n i s t i nandg e n i s t e i ni nv a r i o u sf o o d sbyHPLC. ShokuhinE i s e i g a k uZ a s s h i( J .FoodH yg.S o c .J a p a n ), 40,444-454( 1 9 9 9 ) . 6 ) Kanno,, . J Onyon,, . 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B Lebetkin,E .H ., Jameson,C .W.Themous 巴 b i o a s s a yf o rt h ed e t e c t i o n o fe s t r o g e n i ca c t i v i t yi nr o d e n td i e t s :1 .A s t a n d a r d i z e d method f o rc o n d u c t i n gt h e mouse b i o a s s a y .L a b . Anim.S c i .,37,596-601( 1 9 8 7 ) 1 0 ) Nishikawa, , . JS a i t o, K . , Goto, J ., Dakeyama, F ., Matsuo, M.,N i s h i h a r a,T .News c r e e n i n gmethodsf o rchemi c a l swithhormonala c t i v i t i e su s i n gi n t e r a c t i o no fn u c l e a r hormone r e c e p t o r with c o a c t i v a t o r . Toxco. l App. lPharmaco , . l 154 ,7 6 8 3( 1 9 9 9 ) .,S h i r a i s h i,H .,Nishikawa, , . JN i s h i h a r a,T ., 1 1 ) S h i r a i s h i,F M o r i t a, M. Development o fs i m p l eo p e r a t i o n a le s t r o g e n i c i t ya s s a ysystemu s i n gt h ey e a s tt w o h y b r i d s y s t 巴m .J .Env.Chem.,1 0,57-64( 2 0 0 0 ) . 1 2 ) Miyahara,M . , I s h i b a s h i,H .,Inudo,M.,N i s h i j i m a,H ., I g u c h i, T ., G u i l l e t t e, J r ., L .J ., Arizono, K .E s t r o g e n i ca c t i v i t yo fad i e tt oe s t r o g e nr e c e p t o r sαandsi nane x penm巴n t a lanimal .J .H e a l t hSc , . i49, 481-491( 2 0 0 3 ) . .C ancer,s t e r o i dhormone,andn u c l e a rr e c e p 1 3 ) Ogata,E .M o l e c u l a rM e d i c i n e,37,1 108-1111( 2 0 0 0 t or June2010 大豆抽出物とエチニルエストラジオールの複合エストロゲン活性 1 6 ) A d l e r c r e u t z, H ., Honjo,H . , H i g a s h i, A ., F o t s i s,T ., Hamalainen,E .,Hasegawa,T .,Okada,H .U r i n a r ye x c r e t i o no fl i g n a n sandi s o f i a v o n o i dp h y t o e s t r o g e n si nJ a p a n e s emenandwomenconsumingat r a d i t i o n a lJ a p a n e s ed i et .Am.].C l i n .Nut , . r 54 ,1093-1100( 19 9 1 ) . 1 7 ) Yamamoto,S .,Sobue,T .,Kobayashi,M . ,S a s a k i,S .,Tsu ー gane,S . ;JapanP u b l i cH e a l t hC e n t e r B a s e dP r o s p e c t i v 巴 StudyonCancerC a r d i o v a s c u l a rD i s e a s e sG r o u p .Soy, i s o f i a v o n e s,and b r e a s tc a n c e rr i s ki nJ a p a n .] .Natl . CancerI n s , . t 95 ,9 06-913( 2 0 0 3 ) . 1 8 ) I s h i m i,Y . , Takano ,F .,Yamauchi,J . . Taku ,K . , Umeg a k i,K . , Hosokawa ,Y .,Watanabe,S . Studyonf o o d l a b e l i n g and t h ec o n t e n to f soybean i s o f i a v o n e si n h e a l t hf o o d s .EiyogakuZ a s s h i( Jp n .J .Nut r .D i et . ) , 6 7, 49-57( 2 0 0 9 ) . 1 9 ) Schmidt,S .,Degen,G .H .,S e i b e , lJ . .H巴r t r a m p f ,T .,V o l l mer,G .,D i e l,P .Hormonala c t i v i t yo fc o m b i n a t i o n so f g e n i s t e i n,b i s p h e n o lA and1 7 β e s t r a d i o li nt h ef e m a l e W i s t a rr at .A r c h .Toxico , . l 80 ,8 39-845( 2 0 0 6 ) . 2 0 ) Kuiper,G .G .] .M.,C a r l s s o n,B .,Grandien,K . , Enmark , E .,Haggblad,, . ]N i l s s o n,S .,G u s t a f s s o n,J . A .Comparison o ft h el i g a n db i n d i n gs p e c i f i c i t y and t r a n s c r i p t t i s s u ed i s t r i b u t i o no fe s t r o g e nr e c e p t o r sαandβ .Endoc r i n o l o g y,138 ,8 63-870( 1 9 9 7 ) . 2 1 ) Kuiper ,G .G .] .M.,Lemmen,] .G .,C a r l s s o n,B .,Corton, J .C .,S a f e,S .H .,vand e rSaag,P .T .,vand e rBurg,B ., G u s t a f s s o n,J . A .I n t e r a c t i o no fe s t r o g e n i cc h e m i c a l s andp h y t o e s t r o g e n swithe s t r o g e nr e c e p t o rβ .E n d o c r i nology,139,4252-4263( 19 9 8 ) 2 2 ) Kang,J .S .,Lee,B .J .,Ahn,B .,Kim,D .J . .Nam,S .Y . , 2 3 ) 2 4 ) 2 5 ) 2 6 ) 2 7 ) 109 Yun,Y .W.,Nam,K.T .,Choi,M.,Kim,H .S .,Jang,D .D ., Lee,Y.S .,Yang,K.H .E x p r e s s i o no fe s t r o g e nr e c e p t o r αandsi nt h eu t e r u sand vaginao fimmature r a t s t r e a t e dwith1 7e t h i n y le s t r a d i ol .] .Ve t .M ed.S c i .,65, 1293-1297( 2 0 0 3 ) . D i el . P ., Smolnikar, K . , S c h u l z, T ., LaudenbachLeschowski,U .,Michna,H . , V ollmer,G .P h y t o e s t r o g巴n sand c a r c i n o g e n e s i s d i f f e r e n t i a le 百e c t so fg e n i s t 巴i ni ne x p e r i m e n t a lmodelso fnormalandmalignant r a tendometrium.Hum.R e p r o d .,1 6,997-1006( 2 0 0 1 ) . K i s h i d a,T .,Nagamoto,M.,Ohtsu,Y . , Watakabe ,M . , Oh shima,D .,N a s h i k i,K . , M izushige,T .,Izumi,T .,Obata, A . , E b i h a r a,K.Lacko fani n d u c i b l ee 妊e c to fd i e t a r y s o yi s o f i a v o n e sont h emRNAabundanceo fh e p a t i cc y tochrome P 4 5 0 isozymes i nr a t s .B i o s c i .B i o t e c h n ol . B i o c h e m .,68,508-515( 2 0 0 4 ) . Kubota,Y .,Umegaki,K . , Tanaka ,N .,Mizuno,H .,Nakamura,K . , Kunitomo ,M. ,S hinozuka,K.E f f e c to fv a r i ousd i e t a r ysupplementsont h ec a r d i o v a s c u l a rf u n c t i o n so fr a t s . Nippon Shokuhin Kagaku G a k k a i s h i ( Jp n .] .FoodC h e m . ),8,1 4 9ー 154( 2 0 0 1 ) . Umegaki,K . ,Y oshimura,M.,Higuch . iM.,E s a s h i .T .,S h i n o z u k a .K.I n f i u e n c eo fGinkgob i l o b ae x t r a c tf e e d i n g onb l o o dp r e s s u r e,h e a r tr a t e,b l o o dg l u c o s e,andv a r i oush e p a t i cp a r a m e t e r si ns p o n t a n e o u s l yh y p e r t e n s i v巴 r a t s . Shokuhin E i s e i g a k uZ a s s h i( J . Food H yg. Soc J a p a n . ),3,171-177( 2 0 0 0 ) . 低用量ピル ( OC)医師向け情報提供資料 服用者向け情報 提供資料.東京,薬事日報社, 1 999,p .3 5 .(ISBN4 8 4 0 8 0 5 8 1 4 ) マルチプレックス PCR法による遺伝子組換えトウモロコ ダイエタリーサプリメン卜に使用される大豆抽出物とエチ シ DAS-59122-7,MIR604 ,MON863,MON88017系統の ニルエストラジオールの複合エストロゲン活性(報文) 一斉定性分析法の開発(報文・英文) 川添禎浩中那賀和奈石橋弘志小原智未 小口太一大西真理真野潤ー穐山浩 手島玲子布藤聡古井聡橘田和美* 有薗幸司橋本香織北篠康司鈴木隆 食衛誌 5 1 ( 3 ),92~100 ( 2 0 1 0 ) 食衛誌 5 1 ( 3 ),101~109 ( 2 0 1 0 ) 食品衛生法に基づく厚生労働省による安全性審査におい て,食品としての利用が承認されている遺伝子組換え ダイエタリーサプリメントに使用される大豆抽出物とピ (GM) ト ウ モ ロ コ シ 4系 統 (DAS-59122-7,MIR604, E E )の複合エストロ MON88017および MON863系統)を分析対象とした新 ルの成分エチニルエストラジオール ( 規定性マルチプレックス PCR法を開発した.室内試験に ゲン活性を検討した.大豆抽出物(総イソフラボン 0 . 8 3 よる本分析法の検出限界を非組換えトウモロコシ由来 DNA及び GM トウモロコシ由来 DNAを混合した試料を mgを含む 0.0036gjkg,総イソフラボン 83mgを含む 用いて評価したところ, MON863,MIR604,MON8801 7 0 1 0 μgjkg)を併用で卵巣摘出マウスに . 3 6gjkg) と EE( の 3系統に関しては 0.16%,DAS-59122-7系統に関して は 0.078%であった.我々は既に GM トウモロコシ 8系統 4日間経口投与したところ,相対子宮重量は有意に増加 ( Bt 11 ,Even t 176,GA21,恥lON810,MON863,NK603, し,大豆抽出物 ( 0 . 3 6gjkg)と EE( 1 0 μ gjkg)の併用は T25,TC1507)を分析対象とする定性マルチプレックス PCR分析法を開発しており,今回開発した方法と組み合 EE( 10 μ gjkg)単独より有意に増加した.大豆抽出物はヒ わせることで,現在,商業利用が予想される GM トウモ トエストロゲンレセプター αおよび sに夫すしてエストロ ロコシの主要 1 1系統すべてを対象とした定性検知をする ことが可能となる. また,今後流通量の増加が予想される ゲン活性を有し, EEの併用によって活性の増加が認めら スタック品種に対する検査法としての利用も期待される. れた. *独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構食品総 *京都府立大学食保健学科 合研究所 リアルタイム PCR法によるスケトウダラ卵加工品中のマ スケトウダラ卵加工品 64検体からは使用表示どおりにそ 固相抽出 エキシマー蛍光誘導体化 HPLC法による食品 中不揮発性アミン類の分析(報文) 坂本智徳*赤木浩一樋脇弘 1 ( 3 ),115~121 ( 2 0 1 0 ) 食衛誌 5 固相抽出およびエキシマー誘導体化を用いた食品中不揮 発性アミン類(プトレシン,カダペリン, ヒスタミン,チ ラミンおよびスペルミジン)の分析法を検討した.固体試 料は 3%トリクロロ酢酸を用いて,液体試料は水を用いて 抽出した.抽出液をポリマ一系強カチオン交換ミニカラム . 8 )および水で に負荷し, 25mmoljLリン酸緩衝液 (pH6 00mmoljL炭酸カリウム溶液で溶出した. 洗浄したのち 1 溶出液を 6mmoljL1 -ピレンブチリルクロリド溶液と混 合し誘導体化した.不揮発性アミン類誘導体を LC-FLD で測定し, 確認試験は誘導体化せずに LC-MSjMSで測定 した. 検出限界 (SjNミ3 )は 0 . 0 4 μ gjg,定量限界 (SjN孟 1 0 )は 0 . 1μgjgであった.魚肉,味噌,醤油および赤ワ れぞれの種が検出された. インでの回収率は 80 .4 ~111% であった. ダラおよびカラフ卜シシャモの検出(報文) 鶴田小百合*坂本智徳赤木浩一樋脇弘 食衛誌 5 1 ( 3 ),110~114 ( 2 0 1 0 ) スケトウダラ卵加工品中のマダラ卵およびカラフトシ シャモ卵を検出するリアルタイム PCR法を開発した.ス ケトウダラ, マダラおよびカラフトシシャモに特異的なプ ライマーと TaqManMGBプローブを cytochromeb領 域において設計した.本法は,他種との交差反応は認めら れず,検出下限が DNA濃度 0 . 0 0 2n g ! . μ Lであり,検量 2 線の r .000であった. また,本法を用いた試験では, は1 スケトウダラ卵に 0.1%の割合で添加したマダラ卵または カラフトシシャモ卵を検出することが可能であり,市販の *福岡市保健環境研究所 *福岡市保健環境研究所 母子の原中 1-Hydroxypyreneから見た小児の化学物質曝 露と食事との関連(ノート) メタミドホスおよびオメ卜エー卜の分析(報文) 鈴木慧*溝井美穂安達修一 上野英二*大野春香棚橋高志大島晴美 森拓哉吉永淳河原純子 三上栄一根本了松田りえ子 食衛誌 5 1 ( 3 ),128~132 ( 2 0 1 0 ) 食衛誌 5 1 ( 3 ),122~127 ( 2 0 1 0 ) 小児における多環芳香族炭化水素 ( p o l y c y c l i ca r o m a t i c 畜水産物およびはちみつ中のアセフェート, メタミドホ hydrocarbon:PAH)曝露状況を, PAHの代謝物である尿 スおよびオメトエートを定量するための同時分析法を検討 中の 1 -hydroxypyrene( 1 0 H P )を指標として調査し,食 2種類の試料 事 と の 関 連 性 を 解 析 し た . 尿 中 1-0HP濃 度 [μmolj した.牛筋肉,豚ギョーザ, はちみつなど 1 (5~10 g )から,無水硫酸ナトリウムで脱水しながら酢酸 m , 平均が小児 0 . 0 8 3,母親 0 . 0 4 6となり, 小児 o l c r e ]は の曝露量は母親の約1. 8 倍であることが確認されるととも エチルで抽出し, GPCおよび PSAカラムクロマトグラ フィーにより脱脂・精製したのち, カラムスイッチング付 に,母子聞で有意な正の相関が見られた.尿採取前日の食 事内容では,肉・魚摂取量と尿中 1-0HP濃度は正の関連 き ESI-SIMモード LC-MSで測定した.回収率 ( 2併行× が認められ,調理方法では高温調理により強い関連が認め 5 日)は,はちみつを除いて 7 1.4~98.4% (併行精度三五 られた.食事メニューを母子聞の一致性にて解析した結 12.5%,室内精度孟 14.1%) と良好であった.なお,はち 果,一致性が高い群ほど,母子聞の尿中 1-0HP濃度に高 みつに高純度のサロゲート物質を用いる内標準法を適用し い相関が認められ,曝露要因として食事の寄与が大きいこ たところ,回収率が 97.6~98.6% と大きく改善された. とが示唆された. *愛知県衛生研究所 *相模女子大学大学院公衆衛生学研究室 LC-MSによる畜水産物およびはちみつ中アセフェート,
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