PDFファイル - AgriKnowledge

ダイエタリーサプリメン卜に使用される大豆抽出物とエチニル
エストラジオールの複合エストロゲン活性
誌名
食品衛生学雑誌
ISSN
00156426
川添, 禎浩
那賀, 和奈
著者
石橋, 弘志
小原, 智未
有薗, 幸司
橋本, 香織
北篠, 康司
鈴木, 隆
巻/号
51巻3号
掲載ページ
p. 101-109
発行年月
2010年6月
農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波事務所
Tsukuba Office, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat
J
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n
e2
0
1
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1
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1
報文
ダイエタリーサプリメントに使用される大豆抽出物と
エチニルエストラジオールの複合エストロゲン活性
(平成 2
1年 9月 1
4日受理)
川 添 禎 浩1
.
*
有 薗 幸 司2
那 賀 和 奈l
橋 本 香 織l
石 橋 弘 志2
北 僚 康 司1
小 原 智 未2
鈴 木 隆l
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エストラジオール e
緒
宅
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近年,生活習慣病に対する不安や健康管理の高まりなど
から,数多くの健康食品が新聞・雑誌等の広告で宣伝さ
しょう症予防や更年期障害の緩和を目的として,それを抽
出錠剤化した,
I
健康食品」のいわゆるダイエタリーサプ
D
S
)がある.また,これとは別に,大豆イソフ
リメント (
れ,またドラッグストアの庖頭に並べられている.一方,
ラボンを関与成分とし,骨の健康に役立つと示唆されてい
健康食品の有用性に関する情報は多いものの,安全性に関
る「特定保健用食品J(清涼飲料水,豆乳飲料)などにも
する情報は極めて少ない状況にある.特に,健康食品の過
) 内閣府食品安全委員会は, I
特定保健
応用されている 3
剰摂取と長期摂取,医薬品との併用に関する情報は少な
く,これらについての関連情報が必須とされる 1)
用食品」で大豆イソフラボンが過剰に摂取される可能性を
大豆成分のイソフラボンはエストロゲン活性を示す植物
の大豆イソフラボンのアグリコンの摂取を 1日 30mgと
性エストロゲンである 2) イソフラボンについては,骨粗
設定し,乳幼児等のハイリスクグループに対しては摂取を
勧めていない *
1
*連絡先
京都府立大学食保健学科:干 6
0
6
8
5
2
2京都市左京区下鴨半
木町 1
5
2 熊本県立大学環境共生学部:干 8
6
2
8
5
0
2熊本市月出 3
1
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1
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0
考慮し,閉経前の女性に対しては「特定保健用食品」から
一方,植物性エストロゲンを含む DSに関して,ホルモ
ン剤や経口避妊薬(ピル)との併用による相互作用の可能
*'食品安全委員会大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の
安全性評価の基本的な考え方 2
0
0
6年 5月.
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1
0
2
食衛誌
性が指摘されている 4) これより,エストロゲン活性を持
Vol
.5
,
1N
O.3
mmoljLリン酸緩衝液, pH2
.
5(
2
0:
8
0
)を,ゲニスチン,
つ大豆イソフラボンの DSと,同様の活性を持つピルとの
ダイゼイン,グリシティン,ゲニステインの分離に対して
併用による影響が懸念される.
は,アセトニトリル 20mmol/Lリン酸緩衝液, pH2
.
5
そこで,大豆イソフラボンの DSに使用される大豆抽出
E
E
)の複合エ
物とピルの成分エチニルエストラジオール (
ストロゲン活性を検討した.
まず,市販の大豆イソフラボンの DSに含まれるイソフ
(
2
5
:7
5
)を用いた.流速はl.0mL/min,検出波長を 254
nm,試料注入量を 10μLとした.
上記の条件で,市販の DSおよび大豆抽出物に含まれる
イソフラボン類のダイジン,グリシチン,ゲニスチン,ダ
ラボンの量を調べ,その結果から i
nv
i
v
oで検討を行う際
イゼイン,グリシテイン,ゲニステインを,標準溶液の検
の大豆抽出物の投与量を決定した.
抽出物と EEの複合エストロゲン活性の検討を行った.以
y=12585.104X,r=l
.000,グリシチン:
y=11844.707X
,r=0.996,ゲニスチン y=1
9
2
0
4
.
1
9
3
X,r=0.997,ダイゼイン Y=38324.288X,r=l
.000,グ
リシティン Y=1
7
2
7
5
.
7
8
7X,r=0
.
9
9
8,ゲニステイン:
Y=34305.641X
,r
=0.999) を用いて分離定量し,総イソ
下に,詳細を報告する.
フラボン量を求めた.
次に大豆抽出物と EEの複合エストロゲン活性を卵巣摘
出マウスを用いる子宮肥大試験で検討した.
さらに,酵母 t
wo-hybrid法による i
nv
i
t
r
o試験で大豆
量線(ダイジン
3
. 卵巣摘出マウスを用いた子宮肥大試験
実験方法
動物実験は京都府立大学動物実験委員会の承認を受け
1
. 材料と試薬
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rJapan社
た. 7週齢の CD-1雌性マウスを C
1特定保健用食品」で
市販の大豆イソフラボンの DS (
より購入した.マウスはアノレミニウム製のケージに入れ
はない)は,すべて京都市内で購入した. DSに使用され
(1ケージ 4~5 匹),床敷 (White
る大豆抽出物(大豆イソフラボン含有素材,大豆旺芽抽出
製を用いた.オリーブオイル, EE,ゲニステイン,グリシ
2時間周期の明暗サイクルの下,
Japan社製)を敷き, 1
室内 (
2
3:
t2C
)において飼育した.床敷は 3,4日に一度
交換した.飼料は卵巣摘出手術まで固形飼料(船橋 F
2,
ティン,グリシチンは和光純薬工業(株)製,ゲニスチン,
船橋農場)を与え,飲料水は蒸留水を自由摂取させた.
ダイゼイン,ダイジンはフジッコ(株)製を用いた.その他
DSに使用される大豆抽出物に含まれるイソフラボン類
の分析結果から,市販の DSのイソフラボンのヒトの 1日
摂取目安量 (
5
0mg/60kg当 0
.
8
3mg/kg)に相当する量の
物,イソフラボン 20%含む粉末)はタマ生化学工業(株)
の試薬は特級試薬または高速液体クロマトグラフィー用を
和光純薬工業(株)より購入した.
2
. HPLCによるイソフラボン類の分析
市販の大豆イソフラボンの DSおよび DSに使用される
Flake,C
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0
総イソフラボンを含む大豆抽出物の量を算出し,それをマ
ウスへの低濃度 (
0
.
0
0
3
6g/kg,総イソフラボン 0
.
8
3mg
大豆抽出物のイソフラボン類(イソフラボン配糖体とイソ
を含む)の投与量とした.また, 1日摂取目安量の 1
00
フラボンアグリコン)を菊池らの方法5
) で抽出し HPLC
倍に相当する量の総イソフラボンを含む大豆抽出物をマウ
試験溶液を調製した.粉砕した試料 2gに 80%メタノー
スへの高濃度 (
0
.
3
6g/kg,総イソフラボン 83mgを含
ル溶液 50mLを加え,ホモジナイザーで十分に撹祥 (
5
0
む)の投与量とした.なお, DSのイソフラボンのヒトの
rpm,3min)し,ろ紙(アドパンテック東洋(株)製 NO.5
1日摂取目安量 50mgは,今回,イソフラボン類の分析
に用いた市販の DSのパッケージの表示の中で,最も高い
量(イソフラボン配糟体とイソフラボンアグリコンの割合
は表示されていなし、)である.
A) でろ過した.なお,溶液の混濁が著しい場合は高速遠
1
5,
000rpm,1
5min,25C
) を行った.残直に
心分離 (
0
80%メタノール溶液 50mLを加え,撹梓し以下同様の操
作を繰り返した.ろ j夜は 40 C 以下で 2~3mL になるまで
0
EEの投与量について,未成熟ラット(経口投与)や卵
エパポレーターで減圧濃縮し, 80%メタノール溶液で 1
0
巣摘出ラット(皮下投与)を用いた EEのエストロゲン様
mL定容とした.それをメンブランフィルター (
0.
45μm)
でろ過したものを HPLC試験溶液とした.イソフラボン
)および EEのマウスへの影響を
作用の評価に関する実験 6
標準溶液は,ダイジン,グリシチン,ゲニスチン,ダイゼ
μg/kg/day前後の量が用いられている.これらを参考に
して本実験における EEの投与量は 1μg/kg/dayを基準
1
0
μ
とした.よって, EE低濃度 (1μg/kg),EE高濃度 (
g/kg)を投与量とした.
7週齢の CD-1マウスの卵巣を摘出した.術後は植物性
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エストロゲンを極力少なくした NIH-07PLD(
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nLowD
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) (オリエンタル酵母工業(株)製)に
イン,グリシティン,ゲニステインのそれぞれをメタノー
ルに溶解し 5~300μg/mL に調製したものを用いた.
HPLCの装置は(株)島津製作所製の LC-6A型高速液体
クロマトグラフ, SPD-6A型 UVスペクトロフォトメト
ugai(株)製の
リック検出器, C-R6Aクロマトパック, S
U-62050型カラムヒーターを用いた.カラムは GLS
c
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lQ C18(5μm,4
.
6m mi
.
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.X 250mm)
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c
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s社製の U
を用いた.カラム温度を 40Cに設定した.移動相はダイ
ジン,グリシチンの分離に対しては,アセトニトリルー20
0
),
8
) においては
調べた実験 7
1μg/kg/day前後および 1
0
よって飼育した.卵巣が確実に摘出できたかどうかを,腫
0日で発情休止が続いて
スメアを採取して判断し,術後 1
産誌!した .11日1
&から,オリーブオイル(コ
いることを E
J
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0
1
0
大豆抽出物とエチニルエストラジオールの複合エストロゲン活性
1
0
3
ントロー jレ),大豆抽出物低濃度,大豆抽出物高濃度, EE
酵母細胞壁融解酵素 (
zymolyase20T,生化学工業(株)
低濃度,大豆抽出物低濃度と EE低濃度の併用,大豆抽出
製)を
物高濃度と EE 低濃度の併用の 6 群(1群 4~6 匹)を設
NaH2
P04
,1
0mmoljLKC
,l 1mmoljLMgS0
)で溶解し
4
定し,それぞれ 4日間連続経口投与した.また, EEを高
た溶液と βーガラクトシダーゼ測定用化学発光用キット
Zbu仔e
r(
6
0 mmoljL Na2HP04,40 mmoljL
濃度にして同様に 6群を設定し,それぞれ 4日間連続経
(AuroraGal-XEk
i
t,ICN社製)の反応試薬を 5:3で混
口投与する実験も行った.最終投与の翌日に屠殺,
合した溶液 80μLを添加し,静置培養 (
3
7C,1h
r
)した.
Thigpenらの方法的に従って子宮を摘出し,内液除去後
の子宮重量 (
b
l
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t
t
e
dw
e
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g
h
t
)を測定した.体重に対する
子宮重量の比として相対子宮重量を求めた.エストロゲン
i
o
その後,プレートを発光測定装置 (AB2100,ATTOB
Instrument社製)にセットして,化学発光用キットの発
AuroraGal-XEk
i
t,ICN社製)を添加
光促進液 50μL(
活性は,子宮肥大に伴う相対子宮重量の増大を指標とし
-ガラクトシダーゼ量を測
しながら,発光強度を計測し ,s
f
こ
.
4
. 酵母 two-hybrid法によるエス卜ロゲン活性試験
DSに使用される大豆抽出物からイソフラボンを菊地ら
)で抽出し,さらに βーグルクロニダーゼで酵素処理
の方法5
定した.エストロゲン活性の強さは,大豆抽出物から得ら
し,エーテル抽出を行い,酵母 t
wo-hybrid法によるエス
0
れた試験溶液および EEの濃度ごとに化学発光強度を求
T
j
B
)として算出した.
め,対照に対する化学発光強度比 (
5
. 統計処理
卵巣摘出マウスを用いた子宮肥大試験のデータは平均値
t
a
tView5
.
0(SASI
n
s
t
i
t
u
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eI
n
c
.
)
±標準誤差で示し, S
トロゲン活性試験のため試験溶液を調製した.
試料 2gに 80%メタノール溶液 50mLを加え,ホモジ
を用いて統計処理を行った.相対子宮重量に関する多群の
ナイザーで撹伴 (
5
0rpm,3m
i
n
)し,ろ紙でろ過した.残
比較において,一元配置分散分析を行い有意差が認められ
漬に 80%メタノール溶液 50mLを加え,撹梓し以下同様
た場合 Tukey-Kramer検定を行った.危険率 5%で有意
00
の操作を繰り返した.ろ液は 80%メタノール溶液で 1
mL定容とした.その 2mLを取り,窒素気流下で濃縮乾
-グルクロニ
固し,超純水 200μLに溶解した.それを,s
差ありとした.
酵母 t
wo-hybrid法によるエストロゲン活性試験のデー
イオテスト研究所(株)製) 1mLで酵素処理 (
3
7C,24h
r
)
タは平均値±標準偏差で示し, P
rism5
.
0b(GraphPad
n
c,)を用いて統計処理を行った.用量反応曲
Software,I
線から各試験溶液の 50%有効濃度 (EC
5
0値)を算出し
後,ジエチルエーテル 5mLで抽出し,遠心分離 (
3,
000
た.
ダーゼ含有の酢酸緩衝液(グルファターゼセット,日本バ
0
rpm,3~5 m
i
n
)した.ジエチルエーテル画分を窒素気流
下で濃縮乾固し, DMSO200μLに溶解し,試験溶液とし
結
た.
1
. 市販の大豆イソフラボンの DSおよび DSに使用さ
酵母 t
wo-hybrid法によるエストロゲン活性試験は,
Nishikawaら1
0
)によって作製され,白石ら 11)から分与さ
h
E
R
α あるいは
れたヒトエス卜ロゲンレセプター (
hER-s) 導入酵母 Y190株を用いて,既報に従って行っ
た11),
1
2
)
. hER導 入 酵 母 Y190株では, h
E
R
α あるいは
hER-sと酵母転写因子 GAL4の DNA結合領域の融合タ
ンパク質, GAL4転 写 活 性 化 領 域 と コ ア ク チ ベ ー タ ー
果
れる大豆抽出物のイソフラボン類含有量
イソフラボン類の標準溶液,市販の大豆イソフラボンの
DSおよび DSに使用される大立抽出物から調製された試
ig,1に示した.
験溶液の HPLCクロマトグラムを F
また, DSと大豆抽出物のイソフラボン類の含有量を
Table1に示した.
DSのイソフラボン類の含有量は, 4製品についてダイ
TIF2の融合タンパク質がそれぞれ発現している.これら
ジン
の融合タンパク質は,エストロゲンの存在下のみで相互作
0.514~2.17 ,夕、、イゼイン
用することが知られているため, レポーター遺伝子である
0 , 025~0.664,ゲニステイン
β ガラクトシダーゼの発現量を測定することによりエスト
て総イソフラボンは 4 , 99~15.0 mgjgであった.総イソ
2 .4 6~5.77 ,グリシチン1. 97~7.95 ,ゲニスチン:
0.015~0.099 ,グリシティン:
0.003~0.016 mgjg
,そし
フラボン量は,各 DSのパッケージの表示にあるイソフラ
ロゲン活性を評価できる.
実験は,まず,凍結保存していた酵母をトリプトファン
3
0C,
およびロイシンを除いた培地に接種後,振とう培養 (
0
ボン量(1錠当りのイソフラボン量など)から換算したイ
ソフラボン量 (mgjg)とほぼ一致していた.
1
7h)し,対数増殖期のものを試験用酵母液とした.試験
用酵母液は,分光光度計で濁度 (OD595nm)を測定し,
量を調べたところ,ダイジン
一定濃度になるように調整した.次に,発光測定用黒色
ニスチン
大豆抽出物に含まれる 6種類のイソフラボン類の含有
122,グリシチン 6
0
.
6,ゲ
3
8
.
3,ダイゼ、イン: 2
.
0
4,グリシテイン 6
.
3
0,
0
.
2
4
0mgjg,そして総イソフラボンは 230
96ウェルプレート(スミロン, SumitomoB
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製)に,大豆抽出物から得られた試験溶液と EE(hER-a:
mgjgであった.
3
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ず、つ単独あるいは併用添加した.さらに,試験用酵母液
60μLを 添 加 し , 混 合 後 , 静 置 培 養 (
3
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)した.
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. DSに使用される大豆抽出物と EEの併用投与が卵
巣摘出マウスの相対子宮重量に及ぼす影響
卵巣摘出マウスに, DSに使用される大豆抽出物(低濃
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投与は,コントロールに対して相対子宮重量が,それぞれ
gjkg)を,単独あるいは併用で投与した実験と,大立抽出
1
.
1
倍
, 1
.3倍増加した.よって,相対子宮重量は大豆抽
物(低濃度,高濃度)と EE高濃度(10
μ gjkg)を,単独
出物の濃度増加に伴い増加する傾向があった.
あるいは併用で投与した実験の相対子宮重量を Fig.2に
示した.
Fig.2Aの EE低濃度の場合,大豆抽出物低濃度,高濃
Fig.2Bの EE高濃度の単独投与は,コントロールに対
して相対子宮重量が1.4倍増加し,有意な増加であった.
また,大豆抽出物低濃度と EE高濃度,大豆抽出物高濃度
度あるいは EE低濃度の単独投与は,コントロールに対し
と EE高濃度の併用投与も,コントロールに対して相対子
て相対子宮重量が増加しなかった. しかし,大豆抽出物低
, 1
.9倍増加し,どちらも有意
宮重量が,それぞれ1.5倍
濃度と EE低濃度,大豆抽出物高濃度と EE低濃度の併用
な増加であった.さらに,大豆抽出物高濃度と EE高濃度
大豆抽出物とエチニルエストラジオールの複合エストロゲン活性
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倍増加し,有意な増加であった.
3
. DSに使用される大豆抽出物と EEの併用が hER-α
あるいは hER-.β のエス卜ロゲン活性に及ぼす影響
EE単独の用量反応曲線は示していないが,同様に EE
の EC5
0値を算出したところ ,hER-α では 630pmoljL,
hER-sでは 3600pmoljLであった. EEは hER-sよりも
hER-α に対して, 5
.
7倍強いエストロゲン活性を示した.
DSに使用される大豆抽出物から得られた試験溶液と
これらを併用添加した場合, hER-α(Fig.3A)および
EEを
, hER-α あるいは hER-sを組み込んだ酵母を用い
hER-s(
F
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g
.3B)ともに, EEの各濃度において併用添加
て
, two-hybrid法によりエストロゲン活性を測定した.
した大豆抽出物の濃度増加に伴い TjBは増加した. EE
各処理濃度で単独・併用添加した際の TjBの変化を Fig.
の各濃度における大豆抽出物の併用添加の EC5
0値を算出
3に示した.
用量反応曲線から,大豆抽出物単独の EC5
0値を算出し
,hER-s
たところ ,hER-α(Fig.3A)では希釈率 3.6X10-4
5
(Fig.3B)では1.6X 10- であった.大豆抽出物は hER-α
よりも hER-sに対して, 23倍強いエストロゲン活性を示
した.
したところ ,hER-α では, EE31pmoljLにおける大豆
抽出物の併用添加の場合を除き, 1
.8X 1O -4~2.1 X 10-4
の範囲にあり,大豆抽出物を単独添加した場合の EC50値
(
3
.
6X 10-4)より低値を示した.一方,hER-sでは1.
2X
1O -5~ 1
.5X 10-5の範囲にあり,大豆抽出物を単独添加
)より低値を示した.
した場合の EC5
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.6X 10-5
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4
.
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乳ガンや前立腺ガンは代表的なホルモン依存性ガンであ
となり,本研究で調べた市販の DS中の総イソフラボン量
る14) これらのことから,エストロゲン活'性を持つ物質を
3製品の表示の
1日摂取目安量は,イソフラボンとして 50mg (錠剤
), 60mg (錠剤 1g
),50mg (錠斉Ij2g
) である
1
.26g
とされおり,本研究の DSの表示の 1日摂取目安量 50
mgに近いため,イソフラボンを摂取する量に関しては,
摂取するにあたって,摂取方法によっては乳ガン等のリス
両者は大きな違いはないと考えられる.
り,それぞれエストロゲンやアンドロゲンに依存して増殖
することが知られている 13) また,乳ガンについてはエス
トロゲンが結合する核内レセプターであるエストロゲンレ
セプターの遺伝子の発現が充進していることが知られてい
クを高める可能性があると推論される.
よりも約 1~9 倍高い値となる.ただし,
また, 3製品の表示に基づくイソフラボン量を算出する
そこで,本研究はエストロゲン活性に焦点を絞った検討
5
0mgj錠剤1.26g
),60mgjg (
6
0mgj錠
と 40mgjg (
を行った.研究で用いた EEはエストロゲンアゴニストで
), 25mgjg (
5
0mgj錠剤 2g
) となり,分析に基
剤 1g
) また,イ
あり,子宮肥大試験で子宮重量を増加させる 6
づく総イソフラボンに比べて,それぞれ1.1, 1
.4,1
.7倍高
ソフラボンもエストロゲン活性を示し 2),食品安全委員会
い. しかし,極端に大きな差ではないので,少なくとも分
の「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性の考
析に基づく 6種類のイソフラボン類の含有量の合計は製
え方」の報告においても,イソフラボンは生体内でエスト
品のイソフラボン量として反映していると思われ,本研究
ロゲンレセプターに結合し,生体作用を発揮することか
の結果と大きな違いはないと考えられる.
ら,安全性の評価はエストロゲンレセプターを介する作用
1
を指標として検討されている *
大豆抽出物に含まれる 6種類のイソフラボン類を分析
して含有量を調べたところ,総イソフラボン量は 230
なお,厚生労働省は食品安全委員会の報告を受けて,
mgjgであった (
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)
.そこで,この結果を用いて,大
「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品等の取扱いに関
豆抽出物と EEの複合エストロゲン活性を i
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する指針」によって, I
特定保健用食品」および「いわゆ
摘出マウスを用いる子宮肥大試験で検討したところ,相対
る健康食品」からの大豆イソフラボンの適切な摂取量を,
子宮重量は,大豆抽出物(低濃度,高濃度)あるいは EE
イソフラボンのアグリコンとして 1日 30mgを超えない
低濃度の単独によって増加しなかったが,大豆抽出物(低
ように設定するよう指導することを通知している *
2
濃度,高濃度)と EE低濃度を併用したところ増加する傾
一方,イソフラボンの有効性については, ヒトの成人に
向を示した (
F
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g
.
2
A
)
.EEが高濃度の場合,大豆抽出物の
おいて骨粗しょう症,更年期障害,循環器疾患,ガン(乳
濃度に依存して有意に増加し,大豆抽出物と EEの両方が
ガン,子宮体ガン,前立腺ガン)などに対して改善や予防
高 濃 度 の 場 合 は EE高 濃 度 に 対 し で も 有 意 に 増 加 し た
5
) また,大豆食品などを常食する
効果が期待されている 1
(
F
i
g
.
2
B
)
.これらのことから,大豆抽出物と EEを併用し
日本人は乳ガンなどが少ないことを,欧米に比べイソフラ
た場合の複合エストロゲン活性は,大豆抽出物の濃度増加
ボンの摂取量が多いことに関連づけて報告されている 16)
に伴って増加するものと考えられた.
大豆製品・イソフラボンの摂取と乳ガン発生率の減少の関
なお,今回の実験で用いた大豆抽出物の濃度は,低濃度
係を示す厚生労働省多目的コホート研究を用いた世界初の
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aも発表されている 17) イソフラボンについ
(0.0036gjkg)と高濃度 (
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.
3
6gjkg)であり,経口投与の
期間は 4日間である.この実験条件下, EEとの複合エス
ては生体影響に関する相反する知見がある中で総合的な評
トロゲン活性は大亘抽出物の濃度増加に伴って増加した
価が必要とされている.
が,大豆抽出物の低濃度と高濃度は 100倍の違いがある.
市販の大豆イソフラボンの DS含まれるイソフラボン類
EEについても,実験では EE低濃度(1μgjkg)と EE高
の含有量を調べたところ,合計した総イソフラボン量は 4
1
0
μ gjkg)を用いており, EE低濃度から大豆抽出
濃度 (
(
T
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),各 DS
のパッケージの表示のイソフラボン量とほぼ一致してい
物との複合エストロゲン活性が増加する傾向にあるが,
製品で 4.99~15.0 mgjgの範囲であり
EE低濃度と EE高濃度は 1
0倍の違いがある.したがっ
た.よって,測定した 6種類のイソフラボン類の含有量
て,その聞の濃度増加に伴う反応の増加状況が不明であ
の合計は DSのイソフラボン量に反映できると考えられ
る.さらに,投与期聞を延長した場合の反応の変化も不明
た.
石見ら 18)は,国内の市販の健康食品の大豆イソフラボン
である.今後, これらの点を検討する必要性があると考え
られる.
の分析を行い, DSに相当する錠剤型の大豆イソフラボン
一方,大豆抽出物と EEとの併用の影響を子宮肥大試験
加工食品については 3製品を調査報告している.その結
によって検討した報告はないが, Shmidtら19) は,卵巣摘
果から, 3製品の総イソフラボン量(ダイジン,グリシチ
ン,ケ、ニスチン,夕、、イゼイン,グリシティン,ゲニステイ
EE(30μgjkgjday)を単独あるいは併用で 3日間経口投
*
2厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知“大豆イソフラボン
を含む特定保健用食品等の取扱いに関する指針について"平
成 1
8年 8月 2
3日,食安発第 0
8
2
3
0
0
1号 (
2
0
0
6
)
.
出ラットを用いて,ゲニステイン (
1
0
0mgjkgjday)と
与し,子宮重量などのホルモン活性を調べている.相対子
宮重量の結果を見てみると,コントロールに対してゲニス
テインは約1.5倍
, EEは約 2倍の増加となり,単独投与
J
u
n
e2
0
1
0
大豆抽出物とエチニルエストラジオールの複合エストロゲン活性
1
0
7
によってどちらも有意な増加が認められ,それらを併用し
投与によって子宮や腫で αおよび βが発現し, αおよび P
た場合は 3倍以上の増加となり, EE単独よりも有意な増
の発現の低下が,子宮や睦の形質の変化に関連しているこ
加が認められている. Shmidtらはゲニステインと EEの
とが報告されている 22) すなわち,エストロゲン活性を持
併用投与は明らかに相加的な作用をもたらすと考察してい
つ物質について,i
nv
i
t
r
oでエストロゲンレセプターのサ
ブタイプに対する作用を調べれば,i
nv
i
v
oでの作用をレ
る.
その際の投与条件であるゲニステインの投与量(100
mgjkg),EEの投与量 (
3
0
μ gjkg)および 3日間投与は,
今回の実験の大豆抽出物高濃度の投与量 (
0
.
3
6gjkg,総
セプターレベルで説明できる.
そのため本研究では,酵母 t
wo-hybrid法を用いて,エ
ストロゲンレセプターの αおよび β に対する大豆抽出物
イソフラボン 83mgを含む)中のゲニステイン量, EE
と EEおよびそれらの併用影響を評価した.なお,酵母
高濃度の投与量(10
μ gjkg)および 4日間投与より,量が
two-hybrid法は,エストロゲン依存的なエストロゲンレ
多い.そのため,ゲニステインと EEの単独投与によって
セプターとコアクチベーターの相互作用をみており,作用
も今回の実験の結果(大豆抽出物高濃度単独は増加なし,
機序は生体反応の一部を反映していることから ,i
nv
i
v
o
EE高濃度単独で1.4倍増加)以上に増加が認められたも
のと推測される.さらに,ゲニステインと EEを併用投与
有用な方法である.
の実験によって得られた生体反応の結果を説明するための
することでも,今回の実験の結果(大豆抽出物高濃度と
酵母 t
wo-hybrid法 (
h
E
R
α ,hER-s)において大豆抽出
EE高濃度の併用で1.9倍増加)以上に明らかな増加が見
られたものと考えられる. したがって, Shmidtらの実験
物と EEの併用添加の影響を検討したところ, EEの各濃
度において大豆抽出物の濃度増加に伴い TjBは増加した
は,投与量,実験動物などの違いはあるが,本実験で大豆
(
F
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g
.3A,F
i
g
.3
B
)
. また, EEの各濃度における大豆抽出
抽出物と EEを併用すると複合エストロゲン活性が増加し
物の併用添加の EC
0値を算出したところ, h
E
R
α および
5
たことと同様の結果であると示唆される.
hER-sともに,大豆抽出物を単独添加した場合の EC
50値
また,片山らは,幼若雌性ラットを用いて,イソフラボ
より低値を示したことから,大豆抽出物と EEを併用する
0
.
3
μ gjkg)を単独
ンのゲニステイン (
10mgjkg)と EE(
とエストロゲン活性が増加することが明らかとなった. こ
あるいは混合で単回経口投与して,子宮重量などの変化を
nv
i
t
r
oの結果は,大豆抽出物と EEの併用による複合
のi
調べている *3 その結果,単独投与では明瞭な影響は認め
エストロゲン活性は大豆抽出物の濃度増加に伴って増加す
られないが,混合すると明瞭な子宮肥大反応が認められ,
るという i
nv
i
v
oの結果を裏づけるものとなった.また,
さらに,混合による複合効果はエストロゲンレセプターの
大豆抽出物の単独添加では,hER-sにおける EC
50値は
アンタゴ、ニストとの混合投与によりキャンセルされたこと
h
E
R
α より 23倍低い値を示し,大豆抽出物は hER-sに
を報告している.
対して強いエストロゲン活性を有していることが明らかと
1
0mgj
片山らの実験におけるゲニステインの投与量 (
なった. これらの結果は,ゲニステインやダイゼインなど
k
g
)は,今回の実験で用いた大豆抽出物低濃度 (
0
.
0
0
3
6
の植物性エストロゲンは αよりも β に対して強い結合活
gjkg,総イソフラボン 0
.
8
3mgを含む)と高濃度 (
0
.
3
6
性および遺伝子転写活性化能を示した Kuiperらの報告 21)
gjkg,総イソフラボン 83mgを含む)の間にあり,また
を反映していると考えられる.
EEの投与量 (
0
.
3
μ gjkg)は
, EE低濃度 (
1
μ gjkg)より少
ゲニステインと EEを併用投与すると,子宮重量が相加
なく,それぞれ 1回投与であるが,混合することで明ら
的に増加することを認めた前述の Shmidtらの報告 19) に
かな反応が見られている.このことも,本実験で大豆抽出
おいて,ゲニステインはエストロゲンレセプター α と非1
物と EEを併用すると複合エストロゲン活性が増加したこ
常に弱し、相互作用を持ち, EEのエストロゲンレセプター
とと一致する.
αとの結合において競合しないと考えられている. した
がってゲニステインはエストロゲンレセプター αの弱い
アゴ、ニストになる 23)と示唆されている.
イソフラボンや EEはエストロゲンレセプターに結合
し,生体作用を発揮するが,レセプターには αとβ の 2
つのサブタイプがあり,ラットを用いた研究では, αは子
この考え方からすると,今回の i
nv
i
t
r
oの実験におい
宮,精巣,下垂体,卵巣,腎臓,精巣上体,副腎,sは前
て,大豆抽出物と EEを併用するとエストロゲン活性が増
立腺,卵巣,肺,腸脱,脳,子宮,精巣で発現しているこ
とが明らかになっている 20) また,イソフラボンなどは,
加するという結果は, h
E
R
α あるいは hER-sで EEの強
αよりも β に対して強い結合活性および遺伝子転写活性化
能を示すことが報告されている 21). EEについても,その
の作用が総合的に影響し,エストロゲン活性が増加したた
*
3片山誠一,芦沢幸二,永井賢司,山本由徳,大保真由美,秋
山賢之介,山下保志.幼若雌性ラットの子宮におけるエスト
ロジェン応答遺伝子の発現に及ぼす巴t
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3
1回日本トキシコロジー学会学術年会プログラム・要旨集,
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)
いエストロゲン活性と大豆抽出物の弱いアゴニストとして
めであると推測され, αとβ の両レセプターを介した活性
が,i
nv
i
v
oの実験における大豆抽出物と EEを併用する
と子宮重量が増加する結果に反映されると説明できる.た
だし, EEの単独は hER-sよりも h
E
R
α に対して 5
.
7倍
強いエストロゲン活性を示したが,大豆抽出物は hER-s
に対して強いエストロゲン活性を示していることを含め,
,..-~胸
108
食衛誌
子宮で αとβ の両レセプターのどちらがどの程度関与す
Vol
.5
1,NO.3
絵子,川角祐介の両氏に深く感謝いたします.
るのかは不明である.
ところで,i
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oにおける大亘抽出物と EE併用によ
文
献
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る複合エストロゲン活性の増加の理由を i
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3
) 清水俊雄編著.改訂増補版機能性食品素材便覧.東京,
薬事日報社, 2006,p
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7
5
3
7
8
.(ISBN4
8
4
0
8
0
9
2
5
9
)
,
物の影響という視点から考察してみる. Kishidaら24) は
大豆イソフラボンを含む飼料 (0~300
mgjkg飼料)を 4
週間雄および雌ラットに与えた実験で,肝薬物代謝酵素の
チトクローム P450のアイソザイムの mRNA量を調べた
ところ,影響がなかったことから,イソフラボンは転写段
階の調節または転写後の mRNA安定化によるチトクロー
ム P450の誘導を引き起こさないと考察している. しか
し,窪田ら 25) は,大豆イソフラボン類(イソフラボン類
を 20%を含む大豆抽出物)を餌に 1%添加し,それを雄
ラットに 4週間摂取させたところ肝重量の増加を認め,
別の研究でイチョウ葉エキスが肝重量を増加し肝薬物代謝
酵素を誘導したこと 26) も考え合わせ,大豆イソフラボン
類によっても肝薬物代謝酵素の誘導と併用する医薬品の代
謝の変化が起きる可能性を推察している.なお,ラットは
.
6
5gjkgjdayを摂取しており,イソフラ
大豆抽出物約 0
ボンの摂取は約 130mgjkgjdayと算出され,雄ラット
に 300mgjkg飼料を与えた前述の Kishidaらの実験より
約 8倍多いと推定される.
そこで,結果には示していないが,今回の実験におい
て,コントロールに対する大豆抽出物の単独あるいは EE
との併用による肝重量の変化を同時に調べてみた. しか
し肝重量の増加は認められなかった.よって,肝薬物代
謝酵素の誘導を肝重量のみを指標とした場合,大立抽出物
は EEの代謝に影響を与えていないと推測されるが,窪田
らの実験と比較すると,今回の実験はイソフラボンの投与
量が少なく期間が短いこともあり,長期大量投与の場合は
どうなのか興味がもたれる.
今回の DSに使用される大豆抽出物とピルの成分 EEの
複合エス卜ロゲン活性について,安全性の観点から考察す
る.実験に用いた大豆抽出物は,市販の DSのイソフラボ
ンのヒ卜の 1日摂取目安量 50mgに相当する量の総イソ
フラボンを含むように調製し,マウスに経口投与した.ま
た 実 験 に は EEの経口投与量として l
μ gjkgを用いた.
これはヒ卜の体重(女性)で換算すると 50μ gj50kgと
なり,
ピル 1日 l錠の服用において含まれる EE30~40
μg,(
4
0
μ gj50kg=0.8μ g
j
k
g
)
2
7
)に近い用量である.大豆
抽出物と EEの併用による複合エストロゲン活性は大豆抽
出物の濃度増加に伴って増加するという結果に加えて,
DSが過剰摂取や長期摂取される可能性があることを考え
ると,大豆イソフラボンの DSと EEを含むピルの併用は
エストロゲン活性を増強するという観点から注意を要する
と思われる.
謝
辞
本研究を行うにあたり,実験にご協力いただいた川合美
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109
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Lee,Y.S
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),3,171-177(
2
0
0
0
)
.
低用量ピル (
OC)医師向け情報提供資料 服用者向け情報
提供資料.東京,薬事日報社, 1
999,p
.3
5
.(ISBN4
8
4
0
8
0
5
8
1
4
)
マルチプレックス PCR法による遺伝子組換えトウモロコ ダイエタリーサプリメン卜に使用される大豆抽出物とエチ
シ DAS-59122-7,MIR604
,MON863,MON88017系統の
ニルエストラジオールの複合エストロゲン活性(報文)
一斉定性分析法の開発(報文・英文)
川添禎浩中那賀和奈石橋弘志小原智未
小口太一大西真理真野潤ー穐山浩
手島玲子布藤聡古井聡橘田和美*
有薗幸司橋本香織北篠康司鈴木隆
食衛誌 5
1
(
3
),92~100 (
2
0
1
0
)
食衛誌 5
1
(
3
),101~109 (
2
0
1
0
)
食品衛生法に基づく厚生労働省による安全性審査におい
て,食品としての利用が承認されている遺伝子組換え
ダイエタリーサプリメントに使用される大豆抽出物とピ
(GM) ト ウ モ ロ コ シ 4系 統 (DAS-59122-7,MIR604,
E
E
)の複合エストロ
MON88017および MON863系統)を分析対象とした新 ルの成分エチニルエストラジオール (
規定性マルチプレックス PCR法を開発した.室内試験に ゲン活性を検討した.大豆抽出物(総イソフラボン 0
.
8
3
よる本分析法の検出限界を非組換えトウモロコシ由来
DNA及び GM トウモロコシ由来 DNAを混合した試料を mgを含む 0.0036gjkg,総イソフラボン 83mgを含む
用いて評価したところ, MON863,MIR604,MON8801
7 0
1
0
μgjkg)を併用で卵巣摘出マウスに
.
3
6gjkg) と EE(
の 3系統に関しては 0.16%,DAS-59122-7系統に関して
は 0.078%であった.我々は既に GM トウモロコシ 8系統 4日間経口投与したところ,相対子宮重量は有意に増加
(
Bt
11
,Even
t
176,GA21,恥lON810,MON863,NK603, し,大豆抽出物 (
0
.
3
6gjkg)と EE(
1
0
μ gjkg)の併用は
T25,TC1507)を分析対象とする定性マルチプレックス
PCR分析法を開発しており,今回開発した方法と組み合 EE(
10
μ gjkg)単独より有意に増加した.大豆抽出物はヒ
わせることで,現在,商業利用が予想される GM トウモ
トエストロゲンレセプター αおよび sに夫すしてエストロ
ロコシの主要 1
1系統すべてを対象とした定性検知をする
ことが可能となる. また,今後流通量の増加が予想される ゲン活性を有し, EEの併用によって活性の増加が認めら
スタック品種に対する検査法としての利用も期待される.
れた.
*独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構食品総
*京都府立大学食保健学科
合研究所
リアルタイム PCR法によるスケトウダラ卵加工品中のマ
スケトウダラ卵加工品 64検体からは使用表示どおりにそ
固相抽出 エキシマー蛍光誘導体化 HPLC法による食品
中不揮発性アミン類の分析(報文)
坂本智徳*赤木浩一樋脇弘
1
(
3
),115~121 (
2
0
1
0
)
食衛誌 5
固相抽出およびエキシマー誘導体化を用いた食品中不揮
発性アミン類(プトレシン,カダペリン, ヒスタミン,チ
ラミンおよびスペルミジン)の分析法を検討した.固体試
料は 3%トリクロロ酢酸を用いて,液体試料は水を用いて
抽出した.抽出液をポリマ一系強カチオン交換ミニカラム
.
8
)および水で
に負荷し, 25mmoljLリン酸緩衝液 (pH6
00mmoljL炭酸カリウム溶液で溶出した.
洗浄したのち 1
溶出液を 6mmoljL1
-ピレンブチリルクロリド溶液と混
合し誘導体化した.不揮発性アミン類誘導体を LC-FLD
で測定し, 確認試験は誘導体化せずに LC-MSjMSで測定
した. 検出限界 (SjNミ3
)は 0
.
0
4
μ gjg,定量限界 (SjN孟
1
0
)は 0
.
1μgjgであった.魚肉,味噌,醤油および赤ワ
れぞれの種が検出された.
インでの回収率は 80 .4 ~111% であった.
ダラおよびカラフ卜シシャモの検出(報文)
鶴田小百合*坂本智徳赤木浩一樋脇弘
食衛誌 5
1
(
3
),110~114 (
2
0
1
0
)
スケトウダラ卵加工品中のマダラ卵およびカラフトシ
シャモ卵を検出するリアルタイム PCR法を開発した.ス
ケトウダラ, マダラおよびカラフトシシャモに特異的なプ
ライマーと TaqManMGBプローブを cytochromeb領
域において設計した.本法は,他種との交差反応は認めら
れず,検出下限が DNA濃度 0
.
0
0
2n
g
!
.
μ
Lであり,検量
2
線の r
.000であった. また,本法を用いた試験では,
は1
スケトウダラ卵に 0.1%の割合で添加したマダラ卵または
カラフトシシャモ卵を検出することが可能であり,市販の
*福岡市保健環境研究所
*福岡市保健環境研究所
母子の原中 1-Hydroxypyreneから見た小児の化学物質曝
露と食事との関連(ノート)
メタミドホスおよびオメ卜エー卜の分析(報文)
鈴木慧*溝井美穂安達修一
上野英二*大野春香棚橋高志大島晴美
森拓哉吉永淳河原純子
三上栄一根本了松田りえ子
食衛誌 5
1
(
3
),128~132 (
2
0
1
0
)
食衛誌 5
1
(
3
),122~127 (
2
0
1
0
)
小児における多環芳香族炭化水素 (
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畜水産物およびはちみつ中のアセフェート, メタミドホ
hydrocarbon:PAH)曝露状況を, PAHの代謝物である尿
スおよびオメトエートを定量するための同時分析法を検討 中の 1
-hydroxypyrene(
1
0
H
P
)を指標として調査し,食
2種類の試料 事 と の 関 連 性 を 解 析 し た . 尿 中 1-0HP濃 度 [μmolj
した.牛筋肉,豚ギョーザ, はちみつなど 1
(5~10 g
)から,無水硫酸ナトリウムで脱水しながら酢酸 m
, 平均が小児 0
.
0
8
3,母親 0
.
0
4
6となり, 小児
o
l
c
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e
]は
の曝露量は母親の約1.
8
倍であることが確認されるととも
エチルで抽出し, GPCおよび PSAカラムクロマトグラ
フィーにより脱脂・精製したのち, カラムスイッチング付 に,母子聞で有意な正の相関が見られた.尿採取前日の食
事内容では,肉・魚摂取量と尿中 1-0HP濃度は正の関連
き ESI-SIMモード LC-MSで測定した.回収率 (
2併行×
が認められ,調理方法では高温調理により強い関連が認め
5 日)は,はちみつを除いて 7 1.4~98.4% (併行精度三五
られた.食事メニューを母子聞の一致性にて解析した結
12.5%,室内精度孟 14.1%) と良好であった.なお,はち 果,一致性が高い群ほど,母子聞の尿中 1-0HP濃度に高
みつに高純度のサロゲート物質を用いる内標準法を適用し い相関が認められ,曝露要因として食事の寄与が大きいこ
たところ,回収率が 97.6~98.6% と大きく改善された.
とが示唆された.
*愛知県衛生研究所
*相模女子大学大学院公衆衛生学研究室
LC-MSによる畜水産物およびはちみつ中アセフェート,