知って得する医師の話シリーズ63 循環器内科部長 吉重 祐介 心臓

第80号
発行:平成27年10月5日(偶数月発行)
編集:県立薩南病院
南さつま市加世田高橋1968-4
電話:0993-53-5300
ホームページアドレス
http://hospital.pref.kagoshima.jp/
satsunan/
知って得する医師の話シリーズ63
心臓カテーテル検査と治療について
循環器内科部長
吉重
祐介
我 が 国 で は 、 年 間 約 10万 人 の 方 が 突 然 死 (予 期 し て い な い 突 然
の 病 死 )し て お り 、 そ の 内 約 6割 の 方 が 心 臓 の 異 常 が 原 因 で あ る 、
心臓突然死であると考えられています。その大半にかかわってく
るのが、虚血性心疾患と言われる、冠動脈の病気になります。
人 間 の 心 臓 に は 、 通 常 3本 の 冠 動 脈 が あ り 、 心 筋 に 酸 素 と 栄 養 を 補 給 す る 役 割 を 果
たしています。虚血性心疾患とは、心筋の酸素需要に供給が追い付かない病態で、冠
動脈の異常になります。冠動脈が狭くなる、詰まってしまう、または一時的に痙攣す
る 病 気 が あ り ま す 。そ れ ぞ れ (労 作 性 )狭 心 症 、心 筋 梗 塞 、冠 攣 縮 性 狭 心 症 と い い ま す 。
労作性狭心症は、冠動脈に器質的狭窄があり、安静時には症状は無く、労作により
一過性の心筋虚血が起こり胸部圧迫感などが出現しますが、安静により改善する状態
をいいます。
冠攣縮性狭心症とは、一過性に冠動脈が異常に収縮することにより心筋虚血を生じ
るもので、冠動脈には有意な狭窄がないものを言い、通常、朝方・夜間に多いです。
心筋梗塞とは文字通り、冠動脈が閉塞することを言います。急性心筋梗塞は致死率
の 高 い 病 気 と し て 知 ら れ て お り 、 死 亡 率 は 30%程 度 と 言 わ れ て い ま す 。
治 療 の 基 本 は 心 筋 梗 塞 へ の 進 展 を 阻 止 し て 、生 命 予 後 を 改 善 さ せ る こ と に あ り ま す 。
そのため、心臓カテーテル検査という、冠動脈にゴム状のカテーテルという管を挿
入して、直接的に血管を写す検査を行い、診断を確定します。必要に応じて、血管を
拡 げ る 治 療 (経 皮 的 冠 動 脈 形 成 術 )を 行 い ま す 。
経 皮 的 冠 動 脈 形 成 術 (PCI)と は 、狭 く な っ て い る 、も し く は 詰 ま っ て い る 冠 動 脈 を 、
風 船 で 血 管 を 拡 げ 、 ス テ ン ト と い う 金 網 を 留 置 す る 治 療 を 言 い ま す 。 日 本 で は 1981年
頃 か ら 風 船 治 療 が 行 わ れ 、 1993年 頃 か ら 従 来 型 の ス テ ン ト (BMS)が 使 用 さ れ 始 め ま し
た 。 し か し な が ら 治 療 部 が 狭 く な り 、 ま た 再 治 療 を 行 う こ と が 多 か っ た の で す が 、 20
04年 に 我 が 国 で 薬 剤 溶 出 ス テ ン ト (DES)が 認 可 さ れ て か ら 、飛 躍 的 に 再 狭 窄 率 が 低 下 。
現 在 第 2世 代 の DESが 使 用 さ れ て い ま す が 、再 治 療 を 必 要 と す る 割 合 が 著 し く 低 下 し 、
従来外科治療を勧めていた患者さんについても、現在では内科的な血管治療を行うこ
とが増えています。
虚血性心疾患が心配な方は、ぜひ循環器内科外来にご相談ください。
敬老のお祝い
今年は、9月17日(木)に入院している患者さんのうち、75歳以上の58名の方へ
『敬老のお祝い』を致しました。
古川院長が、病室を訪問し、一人ひとりの患者さんに敬老の日を迎えられた慶び
をお伝えし、お祝いの品をお渡ししました。
今回、100歳の方が入院されており、記念写真も撮影しました。
皆様、これからもお身体をいたわり、早くお元気になって下さい。
平成27年度
第1回
南薩地域医療・福祉施設交流会を開催して
平 成 25年 よ り 南 薩 地 域 の 交 流 会 を 開 催 し 、 地 域 の 方 々 と 顔 の 見 え る 関 係 つ く り に
努めているところです。
今回、地域包括ケアシステム構築のための連携強化を目的に、8月11日(火)アス
テム
小浦嘉朗氏より「日本の現状と在宅医療・介護にむけて」という内容でお話
をいただきました。
90名 ( 16職 種 ) の 出 席 を い た だ き 、 こ れ か ら の 日 本 の在宅医療・介護がどのよう
に変化していくのか。それぞれの職種が担うべき役割はなにか。について、皆さん
熱心に聞いておられました。
交流会終了後のアンケートでは、「地域医療・福祉の連携の大切さ、国の方向性が
わかった。」「介護施設の必要性と医—介の連携の重要性がわかった。」「医療と介護
の 連 携 を 図 る 為 に は 、 医 療 者 の 意 識 改 革 が 必 要 だ 。」 等 多 く の 貴 重 な 意 見 を い た だ
きました。
今後も、研修を重ねつつ内容を
検討し,地域との連携を図ってい
きたいと思います。
第13回 県立薩南病院「市民講座」
日時:平成27年11月29日(日)
14:00~16:00
場所:南さつま市 ふれあいかせだ(いにしへホ-ル)
テーマ
もっと知ろう『がん治療』のあれこれ
~
講
がんの放射線療法・化学療法
~
演
○「がんの放射線治療」
講師
鹿児島大学医学部・歯学部附属病院
放射線部特任助教 中村 文彦先生
○「手術以外のがん治療」
講師・薩南病院 外科部長 塗木 健介
・薩南病院 がん化学療法看護認定看護師
蒲牟田 ゆり
・薩南病院 がん薬物療法認定薬剤師
大久保 晃樹
フロアイベントのご案内 【時間 9:00~12:00】
○ 職業体験,見学コーナー
○ 足湯コーナー
○ 放射線療法の機器紹介コーナー
○ よろず相談コーナー
な ど !!
~
成人用インフルエンザ予防接種について(お知らせ) ~
今年もインフルエンザの季節が近づいてまいりました。
当院では、今年度もインフルエンザ予防接種を下記のとおり実施します。
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期
間 : 平 成 27年 10月 15日 ( 木 ) ~ 平 成 28年 2月 29日 ( 月 )
料
金 : 1 回 に つ き 3 ,5 0 0 円 ( ※ ワ ク チ ン が 値 上 り し て い ま す 。)
対 象 者:入院・通院患者及び一般来院者(高校生以上)
接種回数:原則1回
受
付 : 月 曜 日 か ら 金 曜 日 ( 午 前 8時 30分 ~ 午 前 11時 ま で 。
ただし、土・日・祝日を除く)
なお、予約制は取っておりませんので外来診察時等
に受付をして下さい。
◇ 負 担 額:助成金対象者の方は、市町村からの助成額を除いた金額。
◇ 助 成 に 必 要 な 書 類 : 満 65歳 以 上 等 の 方 は 「 予 診 票 」 を 必 ず 持 参 し て 下 さ い 。
なお、助成制度の詳細についてはお住まいの市町村担当
窓口へお問い合わせ下さい。
小児予防接種、健診・相談のご案内
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日 時:毎週水曜日 午後1時~5時
対象者:原則として南さつま市在住の方
内 容 : 乳 幼 児 診 査 ( 9~ 11か 月 児 健 診 )、 予 防 接 種 、 相 談
その他:事前に予約が必要です。月から金曜日の午後2時から午後5時ま
でに電話予約をお願いします。
○当院へのお問い合わせ
【所在地】
〒897-1123
【TEL】
0993-53-5300
【FAX】
0993-53-6764(事務室), 53-5436(地域医療連携室)
☆
地域医療連携室
鹿児島県南さつま市加世田高橋1968-4
相談支援センター(外科外来横)では,患者様やご家族からのご
相談をお受けしております。どうぞお気軽にご利用下さい。
薩南病院の理念
県立薩南病院は,中核的病院として地域医療に貢献し,住民に信頼され,
安心して医療を受けられる病院を目指します。
方
針
1
職員は,常に「患者さんのための病院」であることを自覚し,安全に充
分配慮して医療サービスを提供する。
2
職員は,常に研修・研究し,医療の質の向上に努める。
3
職員は,常に「和」をもって,より充実したチーム医療を実践する。
4
県立薩南病院は,常に他の医療・保健・福祉機関と連携し,効果的で最
善の医療を提供する。